説明

トナーカートリッジ及び画像形成装置

【課題】搬送部材へのトナーの付着量を低減させるトナーカートリッジを得る。
【解決手段】トナーカートリッジ11は、トナーが収容されるトナー収容室112が形成された容器本体110を備えている。容器本体110の内部には、トナーを搬送する搬送部材118が配設されている。搬送部材118は、片持ち構造であり、回転軸118Aの軸方向に沿って分割された複数の攪拌枝119を備えている。攪拌枝119は、回転軸118Aから径方向に延びる腕部119Aと、この腕部119Aの先端から容器本体110の軸方向に傾斜して容器本体110の内壁面に沿って延びる枝部119Bとを備えている。容器本体110の上部側の内壁には、攪拌枝119の1つが回転に伴い当たる突起部126が設けられている。攪拌枝119の1つが回転に伴い突起部126に当たり、突起部126を乗り越えることで、搬送部材118に振動が付与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、トナー吐出口が形成されたトナーボトルの底部に係合し、トナーボトルを回転駆動することによってトナーを吐出させる回転駆動手段を備え、トナーボトルの底部と回転駆動手段とが係合部の係脱により相対移動することによってトナーボトルに振動を与えるトナー補給機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−109737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、搬送部材へのトナーの付着量を低減させるトナーカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明に係るトナーカートリッジは、トナーを収容し、該トナーを外部に搬出するための搬出口を有するトナー収容部と、前記トナー収容部の内部に設けられ、回転によりトナーを前記搬出口へ搬送する搬送部材と、前記トナー収容部の壁部に設けられ、前記搬送部材が回転に伴い当たることで前記搬送部材に振動を付与する突起部と、を有するものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のトナーカートリッジにおいて、前記搬送部材は片持ち構造であり、前記突起部に前記搬送部材の自由端側が当たるものである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のトナーカートリッジにおいて、装置に装着されて前記トナー収容部の上部となる側に前記突起部が設けられているものである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のトナーカートリッジにおいて、前記突起部が前記トナー収容部の長手方向の端部を塞ぐ蓋部材に設けられているものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のトナーカートリッジにおいて、前記搬送部材は、回転軸と、前記回転軸から径方向に延びてその先端から前記トナー収容部の軸方向に傾斜すると共に前記トナー収容部の内面に沿って延びる攪拌枝と、を備え、前記攪拌枝が前記回転軸の軸方向に沿って分割されて複数設けられており、前記攪拌枝の1つが前記突起部に当たるものである。
【0010】
請求項6に記載の発明に係る画像形成装置は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のトナーカートリッジと、前記トナーカートリッジからトナーが供給される現像装置と、表面に静電潜像が形成され、前記静電潜像が前記現像装置のトナーによって現像される像保持体と、を有するものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、搬送部材を振動させない場合に比べ、搬送部材へのトナーの付着量を低減させることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、搬送部材の自由端側で突起部に当てない場合に比べ、搬送部材をより効果的に振動させて搬送部材へのトナーの付着量を低減させることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、トナー収容部の上部側で搬送部材に振動を付与しない場合と比較して、トナーの圧縮を抑制することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、突起部を蓋部材に設けない場合と比較して、トナーカートリッジの製造が容易となる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、回転軸に沿って分割させない攪拌枝に振動を付与する場合に比べ、搬送部材をより効果的に振動させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、搬送部材を振動させない場合に比べ、トナー収容部内のトナー残量を減少させ、像保持体表面の静電潜像の現像にトナーを無駄なく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係るトナーカートリッジを備えた画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るトナーカートリッジが接続された画像形成ユニットを示す斜視図である。
【図3】図1に示す4色のトナーカートリッジがホルダーに装着された状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示すトナーカートリッジの分解斜視図である。
【図5】図1に示すトナーカートリッジを軸方向と直交する方向から見た断面図である。
【図6】図5に示すトナーカートリッジに用いられる搬送部材を示す斜視図である。
【図7】図5に示すトナーカートリッジに用いられる搬送部材の攪拌枝が突起部に当たる状態を示す拡大断面図である。
【図8】(A)は、図5に示すトナーカートリッジに用いられる突起部を上から見た配置を示す構成図であり、(B)は、本実施形態の第1変形例に係る突起部を上から見た配置の構成を示す断面図である。
【図9】(A)〜(C)は、本実施形態の第2〜第4変形例に係る突起部の形状を示す断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るトナーカートリッジに用いられる搬送部材及び突起部の構成を示す断面図である。
【図11】比較例に係るトナーカートリッジに用いられる搬送部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係るトナーカートリッジを備えた画像形成装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(画像形成装置の全体構成)
まず、第1実施形態に係るトナーカートリッジを備えた画像形成装置の構成を説明する。図1には、画像形成装置の一例としてのプリンタ10が示されている。また、図2には、プリンタ10に設けられた画像形成ユニット12Yが示されている。
【0020】
プリンタ10は、フルカラー画像又は白黒画像を形成するデジタルプリンタであり、内部に画像処理装置(図示省略)が設けられている。画像処理装置は、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像データに画像処理を施すようになっている。
【0021】
プリンタ10の上部には、図1に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ11Y、11M、11C、11Kが交換可能に設けられている。なお、以後の説明では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(黒)の各色に対応する部材の符号にY、M、C、Kを付与して区別するが、区別する必要がないときは省略する場合がある。
【0022】
トナーカートリッジ11Y、11M、11C、11Kには、それぞれトナー供給路13Y、13M、13C、13Kの一端が接続されている。なお、トナー供給路13Y、13M、13C、13Kは、パイプで構成されており、プリンタ10の側面に沿って下方側へ向けられた配置となっている。なお、図2では、トナーカートリッジ11Yに接続されたトナー供給路13Yのみを図示しているが、他のトナー供給路13M、13C、13Kの構成は同じであるので図示を省略する。
【0023】
また、プリンタ10の中央部には、Y、M、C、Kの現像剤に対応する4つの画像形成ユニット12(12Y、12M、12C、12K)が、正面視にて右斜め下方に向けて互いに一部を重ねた状態で配置されている。現像剤は、非磁性タイプのトナーと、磁性を有するキャリアとが混合されたものである。ここで、トナー供給路13Y、13M、13C、13Kの他端が、4つの画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kに設けられた現像装置70にそれぞれ接続されており、各色のトナーが各現像装置70に供給されるようになっている。
【0024】
各画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの上方には、転写部14が設けられている。転写部14は、中間転写体の一例としての中間転写ベルト16と、中間転写ベルト16の内側に配置され、各画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの各トナー像を中間転写ベルト16に多重転写させる4つの一次転写部材の一例としての一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kと、中間転写ベルト16上で重ねられたトナー像を、記録用紙Pに転写させる二次転写ロール20とを有している。
【0025】
中間転写ベルト16は、図示しないモータで駆動される駆動ロール22と、中間転写ベルト16の張力を調整するテンションロール24と、二次転写ロール20と対向配置されたバックアップロール26との間に、一定の張力で巻き掛けられており、駆動ロール22により、図1の矢印X方向(反時計回り方向)に循環駆動されるようになっている。
【0026】
一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kは、中間転写ベルト16を挟んでそれぞれの画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの像保持体の一例としての感光体28(28Y、28M、28C、28K)と対向配置されている。また、一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kは、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性(本実施形態では一例として正極性)の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。なお、二次転写ロール20も、給電ユニットによって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が付与されるようになっている。
【0027】
また、中間転写ベルト16の駆動ロール22が設けられている位置の外周面には、クリーニング装置30が設けられている。クリーニング装置30は、クリーニングブラシ32及びクリーニングブレード34を備えており、クリーニングブラシ32及びクリーニングブレード34によって、中間転写ベルト16上の残留トナーや紙粉等を除去するようになっている。
【0028】
プリンタ10の記録用紙Pの搬送経路と反対側の側面近傍には、プリンタ10の各部の駆動制御を行う制御ユニット36が設けられている。また、画像形成ユニット12の下側には、帯電された感光体28の表面に各色に対応した露光光L(LY、LM、LC、LK)を照射して静電潜像を形成する露光ユニット40が設けられている。
【0029】
露光ユニット40は、4つの画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kに共通の1つのユニットで構成されており、4つの半導体レーザ(図示省略)を各色の色材階調データに応じて変調して、これらの半導体レーザから露光光LY、LM、LC、LKを階調データに応じて出射するように構成されている。なお、露光ユニット40は、各画像形成ユニット12毎に個別に設けてもよい。
【0030】
また、露光ユニット40は、直方体状のフレーム38で密閉されており、内部には、各露光光Lを主走査方向に走査するためのf−θレンズ(図示省略)及びポリゴンミラー42が設けられている。フレーム38の上面には、4本の露光光LY、LM、LC、LKを、各画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの感光体28に向けて出射するためのガラス窓44Y、44M、44C、44Kが設けられている。
【0031】
ここで、露光ユニット40の半導体レーザから出射された露光光LY、LM、LC、LKは、f−θレンズを介してポリゴンミラー42に照射され、このポリゴンミラー42によって偏向走査される。ポリゴンミラー42で偏向走査された露光光LY、LM、LC、LKは、結像レンズ及び複数枚のミラーからなる光学系(図示省略)を介して、感光体28上の露光ポイントに、斜め下方から走査露光される。
【0032】
一方、露光ユニット40の下側には、記録用紙Pが収納された給紙カセット46が配置されている。また、給紙カセット46の端部から鉛直方向上方には、記録用紙Pを搬送する用紙搬送路50が設けられている。
【0033】
用紙搬送路50には、記録用紙Pを給紙カセット46から送り出す給紙ロール48と、記録用紙Pを1枚ずつ給紙させる用紙分離搬送用のロール対52と、中間転写ベルト16上の画像の移動タイミングと記録用紙Pの搬送タイミングを合わせる用紙先端位置合わせロール54とが設けられている。ここで、給紙カセット46から給紙ロール48によって順次送出された記録用紙Pは、用紙搬送路50を経由して、間欠的に回転する用紙先端位置合わせロール54によって中間転写ベルト16の二次転写位置まで一旦搬送され、停止される。
【0034】
二次転写ロール20の上方には、定着装置60が設けられている。定着装置60は、加熱された加熱ロール62と、この加熱ロール62に圧接された加圧ロール64とを備えている。ここで、二次転写ロール20によって各色のトナー像が転写された記録用紙Pは、加熱ロール62と加圧ロール64との圧接部で熱及び圧力により定着され、記録用紙Pの搬送方向下流側に設けられた排出装置の一例としての排紙ロール66によって、プリンタ10の上部に設けられた排出部68に排出されるようになっている。また、トナー像の二次転写工程が終了した中間転写ベルト16の表面は、クリーニング装置30によって残留トナーや紙粉等が除去される。
【0035】
次に、画像形成ユニット12について説明する。ここでは、一例として、画像形成ユニット12Yについて説明する。なお、他の各色に対応した画像形成ユニット12M、12C、12Kは、画像形成ユニット12と同様の構造であるため、説明を省略する。また、画像形成ユニット12Yの各構成部材については、符号Yを省略して表示する。
【0036】
図2に示すように、画像形成ユニット12は、矢印A(時計回り)方向に回転駆動される感光体28を備えている。感光体28の周囲には、感光体28の表面に接触して感光体28を一様に帯電する帯電装置の一例としての帯電ロール72と、前述の露光光Lにより感光体28上に形成された静電潜像を各色の現像剤(トナー)で現像する現像装置70と、転写後の感光体28の表面に光を照射して除電を行う除電装置の一例としてのイレーズランプ74と、除電後の感光体28の表面を清掃するクリーニングユニット76とが設けられている。
【0037】
クリーニングユニット76は、クリーニングブレード73と、搬送部材75とを備えている。搬送部材75は、クリーニングブレード73の背面側に配置され、クリーニングブレード73によって掻き取られた転写残トナー等を排トナーボックス(図示省略)に排出する。
【0038】
現像装置70は、現像剤が収容される現像剤収容室80が内部に形成された筐体81を備えている。トナーカートリッジ11に接続されたトナー供給路13の端部は筐体81に接続されており、トナー供給路13の内部には、搬送用スクリュー部材(図示省略)が配設されている。現像剤収容室80には、トナーカートリッジ11からトナー供給路13を介してトナーが必要に応じて補給されるようになっている。現像剤収容室80には、感光体28と対向する位置に現像ロール78が設けられている。現像ロール78の下方側には、仕切壁93を挟んで両側に現像剤を攪拌、混合して搬送する2本の攪拌搬送部材91、92が設けられている。
【0039】
帯電ロール72、現像装置70及びクリーニングユニット76は、感光体28の表面と対向して、感光体28の回転方向上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
【0040】
次に、プリンタ10の画像形成工程について説明する。
【0041】
画像形成ユニット12Y、12C、12M、12Kでは、感光体28が回転し、帯電ロール72により感光体28表面が帯電される。画像処理装置(図示省略)で画像処理が施された画像データは、さらにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の色材階調データに変換され、露光ユニット40に順次出力される。露光ユニット40では、各色の色材階調データに応じて各露光光Lを出射して、各感光体28に走査露光を行い、潜像(静電潜像)が形成される。
【0042】
図1及び図2に示すように、感光体28上に形成された静電潜像は、現像装置70によって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像(現像剤像)として顕在化され現像が行われる。そして、各画像形成ユニット12Y、12M、12C、12Kの感光体28上に順次形成された各色のトナー像は、4つの一次転写ロール18Y、18M、18C、18Kによって中間転写ベルト16上に順次多重転写される。
【0043】
中間転写ベルト16上に多重転写された各色のトナー像は、二次転写ロール20によって、搬送されてきた記録用紙P上に二次転写される。そして、記録用紙P上の各色のトナー像が定着装置60で定着され、定着後の記録用紙Pは、排出部68に排出される。
【0044】
トナー像の転写工程が終了した後の感光体28の表面は、クリーニングユニット76によって残留トナーや紙粉等が除去される。また、中間転写ベルト16上の残留トナーや紙粉等が、クリーニング装置30で除去される。
【0045】
(トナーカートリッジの構成)
次に、トナーカートリッジ11Y、11M、11C、11Kの構成について説明する。
【0046】
図3に示すように、プリンタ10の内部に配設されたフレーム100には、トナーカートリッジ11Y、11M、11C、11Kをそれぞれ保持するホルダー102Y、102M、102C、102Kが設けられている。トナーカートリッジ11Y、11M、11C、11Kは、ホルダー102Y、102M、102C、102Kに着脱可能に装着されており、トナーが無くなると、それぞれ新しいトナーカートリッジ11Y、11M、11C、11Kに交換できるようになっている。
【0047】
トナーカートリッジ11Y、11M、11C、11Kの構成は同じであるので、ここでは、一例としてトナーカートリッジ11Yについて説明する。なお、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(黒)を区別する必要がないときは各部材の符号Y、M、C、Kを省略する場合がある。
【0048】
図4及び図5に示すように、トナーカートリッジ11Yは、トナーを収容するトナー収容部の一例としての円筒状の容器本体110を備えている。容器本体110の内部には、トナーが収容されるトナー収容室112が形成されている。容器本体110の一端部110Aの側面には円形の開口部111が形成されており、容器本体110の一端部110Aには、開口部111を塞ぐように蓋部材の一例としてのキャップ114が容器本体110に取り付けられている。容器本体110の他端部110Bの下部には、トナー収容室112に収容されたトナーを搬出(排出)するための搬出口116が形成されている。容器本体110には、搬出口116の外側に搬出口116を格納可能なスライド部材117が設けられている。トナーカートリッジ11Yがホルダー102Yに装着された状態で、スライド部材117が開放され、トナーカートリッジ11Yの搬出口116とトナー供給路13Yとが連通されるようになっている。
【0049】
容器本体110の内部には、トナー収容室112に収容されたトナーを搬出口116の方向(矢印B方向)に搬送するための搬送部材118(アジテータ)が設けられている。搬送部材118は、回転軸118Aにより一定方向に回転する。容器本体110の他端部110Bには、搬送部材118の回転軸118Aを回転可能に支持する環状の支持体120と、容器本体110の他端部110Bに形成された開口を塞ぐと共に支持体120を固定するキャップ122とが設けられている。
【0050】
支持体120とキャップ122の中心部には、円形の孔部120A、122Aがそれぞれ設けられている。孔部120A、122Aには、キャップ122の外側からジョイント部材124の軸部124Aが挿入され、軸部124Aが回転軸118Aの端部に形成された連結部118Bに連結されている。ジョイント部材124の軸部124Aの一端には、キャップ122の孔部122Aの内径よりも大径のフランジ部124Bが形成されており、軸部124Aが孔部120A、122Aに挿入された状態でジョイント部材124が回転可能となっている。ジョイント部材124には、図示しない駆動部からの駆動力が伝達され、ジョイント部材124と一体とされた搬送部材118が回転するようになっている。
【0051】
図6に示すように、搬送部材118は、支持体120及びキャップ122に回転可能に支持されており、片持ち構造となっている。搬送部材118には、回転軸118Aの軸方向に沿って分割された複数の攪拌枝119が設けられている。攪拌枝119は、回転軸118Aから径方向に延びる腕部119Aと、この腕部119Aの先端から容器本体110の軸方向に傾斜すると共に容器本体110の内壁面に沿って延びる枝部119Bと、を備えている。本実施形態では、回転軸118Aから腕部119Aが径方向上方に延びる共に枝部119Bが容器本体110の内壁面に沿って一方側(図6中右側)に延びた攪拌枝119と、回転軸118Aから腕部119Aが径方向下方に延びると共に枝部119Bが容器本体110の内壁面に沿って他方側(図6中左側)に延びた攪拌枝119と、が交互に形成されている。搬送部材118は、回転軸118Aにより複数の攪拌枝119が回転し、トナーを一定方向(図5中の矢印B方向)に搬送するようになっている。本実施形態では、搬送部材118は樹脂で形成されている。なお、搬送部材118は樹脂に限定されず、金属等の他の部材で形成してもよい。
【0052】
図5に示すように、容器本体110の上部側の内壁には、搬送部材118の攪拌枝119の1つが回転に伴い当たる突起部126が設けられている。図7に示されるように、攪拌枝119の1つが回転に伴い突起部126に当たり、突起部126を乗り越えることで、搬送部材118に振動が付与されるようになっている。突起部126は、容器本体110の一端部110A側、すなわちトナーの搬送方向上流側に設けられている。突起部126をトナーの搬送方向上流側に設けることで、トナーが搬送部材118で搬送されるとトナーが少なくなり、搬送部材118が振動しやすくなる。また、突起部126は、キャップ122と反対方向の搬送部材118の自由端側に設けられている。攪拌枝119が搬送部材118の自由端側で突起部126に当たることで、搬送部材118をより効果的に振動させるようになっている。
【0053】
また、トナーカートリッジ11がホルダー102に装着された状態(図3参照)で、容器本体110の上部となる側に突起部126が設けられている。すなわち、突起部126は、トナー収容室112内に収容されるトナーで埋もれない位置である容器本体110の上部側に設けられている。本実施形態では、突起部126は樹脂で形成されている。
【0054】
本実施形態では、突起部126は略直方体状に形成されている。図8(A)には、容器本体110の内部を上から見た状態の搬送部材118及び突起部126が示されている。突起部126の幅方向(容器本体110の長手方向と直交する方向)両側の側面は、回転軸118Aの軸方向とほぼ平行に配置されている。言い換えると、突起部126の4つの側面は、攪拌枝119の側面に対して交差する方向に配置されており、攪拌枝119が回転したときに攪拌枝119の側面が突起部126の角部に当たる構成となっている。
【0055】
また、本実施形態の突起部の第1変形例として、図8(B)に示すように、突起部128の攪拌枝119と対向する一側面が攪拌枝119の側面とほぼ平行になるように配置してもよい。この場合は、攪拌枝119が回転したときに攪拌枝119の一側面が突起部128の側面に当たる構成となっている。
【0056】
次に、本実施形態のトナーカートリッジの作用について説明する。
【0057】
搬送部材118が回転軸118A周りに回転すると、図7中の二点鎖線及び実線で示すように攪拌枝119が突起部126に当たり、突起部126を乗り越えることで、搬送部材118に振動が付与される。その際、搬送部材118の自由端側で攪拌枝119が突起部126に当たるため、搬送部材118の振動がより大きくなる。搬送部材118の振動により、搬送部材118へのトナーの付着量が低減され、トナー収容室112内のトナー残量が減少する。
【0058】
また、回転軸118Aの軸方向に分割された複数の攪拌枝119のうちの1つが突起部126に当たり、突起部126を乗り越えることで、図11に示されるように、回転軸200Aの軸方向に沿って金属製のスパイラル部材202が繋がっている搬送部材200に比べて、搬送部材118の振動が大きくなる。
【0059】
また、トナー収容室112内のトナーで埋もれない容器本体110の上部側で攪拌枝119が突起部126に当たることで、トナー収容室112に溜まったトナーが圧縮されることがない。
【0060】
また、容器本体110に突起部126を設けるのみで、搬送部材118に振動を付与するので、部品点数を増加させることはない。
【0061】
図8(A)に示すように、突起部126の側面を攪拌枝119の側面に対して交差する方向に配置した構成に代えて、図8(B)に示すように、攪拌枝119と対向する突起部128の側面を攪拌枝119の側面に沿って配置した構成でも、同様に搬送部材118に振動を付与することができる。
【0062】
次に、本実施形態の突起部の第2〜第4変形例について説明する。
【0063】
第2変形例として、図9(A)に示すように、直方体状の突起部130に角部を切り欠いたテーパー面130Aを設けてもよい。攪拌枝119は、回転により矢印方向に移動し、テーパー面130Aに当たり、突起部130を乗り越えることで、搬送部材118に振動が付与される。
【0064】
また、第3変形例として、図9(B)に示すように、回転軸118A(図5参照)の軸方向両側の突起部130の角部をR状とした(曲面状に形成した)略U字状の突起部132を設けてもよい。
【0065】
さらに、第4変形例として、図9(C)に示すように、回転軸118A(図5参照)の軸方向に沿って先端の断面を略半円状の湾曲面とした突起部134を設けてもよい。攪拌枝119は、回転により矢印方向に移動して突起部132、134の表面に当たり、突起部132、134を乗り越えることで、搬送部材118に振動が付与される。
【0066】
次に、図10を用いて、第2実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0067】
図10に示されるように、トナーカートリッジ11の円筒状の容器本体150の一端部150Aには、容器本体150の内径を段差部151により拡大させた拡径部152が設けられている。容器本体150には、一端部150Aに形成された開口部を塞ぐ蓋部材の一例としてのキャップ154が装着されている。キャップ154には、容器本体150の拡径部152に挿入される挿入部154Aと、挿入部154Aの外径を段差部154Bにより拡大させた拡径部154Cと、が形成されている。キャップ154は、段差部154Bが容器本体150の拡径部152の端部に接するまで挿入部154Aを拡径部152に挿入することで、容器本体150の一端部150Aに装着されている。
【0068】
キャップ154の内壁には、搬送部材118の回転時に攪拌枝119の1つが当たる略直方体状の突起部126が設けられている。搬送部材118の回転時に攪拌枝119の1つが突起部126に当たり、突起部126を乗り越えることで、搬送部材118に振動が付与される。
【0069】
キャップ154の内壁に突起部126を設けることで、樹脂製のキャップ154を金型で成形するときに突起部126が抜ける構成となり、製造が容易となる。
【0070】
なお、突起部126は、図8(B)に示されるように、攪拌枝119と対向する側面が攪拌枝119の側面とほぼ平行に配置される構成でもよい。また、突起部126の変形例として、図9(A)〜(C)に示されるように、先端にテーパー面、R状面、略半円状の湾曲面を設けた構成でもよい。
【0071】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
【0072】
突起部の形状や位置は、上記実施形態に限定されるものではなく、他の形状や位置に変更が可能である。また、搬送部材の攪拌枝の形状は、上記実施形態に限定されるものではなく、他の形状に変更が可能である。
【0073】
上記の実施形態では、突起部は樹脂で形成されているが、これに限定されず、突起部をゴム等の弾性部材で形成してもよい。
【実施例】
【0074】
次に、トナーカートリッジの実施例について説明する。
【0075】
まず、比較例1では、図6に示す樹脂製の搬送部材118を備えたトナーカートリッジを用い、トナー収容室112のトナー残量と、搬送部材118へのトナー付着量と、トナー収容室112の内壁へのトナー付着量を測定した。また、比較例2では、図11に示す金属製の搬送部材200を備えたトナーカートリッジを用い、上記と同様の測定を行った。比較例1、2では、トナーカートリッジに突起部を設けずに(搬送部材118に振動を付与せずに)測定を行った。その結果を表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
表1に示すように、樹脂製の搬送部材118は金属製の搬送部材200に比べ、トナー残量がかなり増加している。特に、搬送部材118へのトナー付着量が増加している。これは、搬送部材118の回転軸118Aの形状(四角、又は十字など)や、搬送部材118の表面積が大きいことが原因であると考えられる。搬送部材118の表面積を減少させれば、トナー残量が低減されるが、剛性の低下が懸念され、変更できない。
【0078】
一方、実施例1では、図5に示すように、樹脂製の搬送部材118を備えたトナーカートリッジ11を用い、突起部126により搬送部材118に振動を付与した状態で、トナー収容室112のトナー残量と、搬送部材118へのトナー付着量と、トナー収容室112の内壁へのトナー付着量を測定し、搬送部材118に振動を付与しない場合と比較した。その結果を表2に示す。
【0079】
【表2】

【0080】
表2に示すように、実施例1では、突起部126により搬送部材118に振動を付与することにより、トナー収容室112のトナー残量が半減することがわかった。特に、搬送部材118へのトナー付着量が大幅に減少している。また、トナーが固まるトナーグリットに関しては、実施例1、比較例1とであまり差は見られない。
【符号の説明】
【0081】
10 プリンタ(画像形成装置)
11 トナーカートリッジ
12 画像形成ユニット
13 トナー供給路
28 感光体(像保持体)
70 現像装置
110 容器本体
112 トナー収容室(トナー収容部)
116 搬出口
118 搬送部材
118A 回転軸
119 攪拌枝
119A 腕部
119B 枝部
126 突起部
128 突起部
130 突起部
132 突起部
134 突起部
150 容器本体
154 キャップ(蓋部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容し、該トナーを外部に搬出するための搬出口を有するトナー収容部と、
前記トナー収容部の内部に設けられ、回転によりトナーを前記搬出口へ搬送する搬送部材と、
前記トナー収容部の壁部に設けられ、前記搬送部材が回転に伴い当たることで前記搬送部材に振動を付与する突起部と、
を有するトナーカートリッジ。
【請求項2】
前記搬送部材は片持ち構造であり、前記突起部に前記搬送部材の自由端側が当たる請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項3】
装置に装着されて前記トナー収容部の上部となる側に前記突起部が設けられている請求項1又は請求項2に記載のトナーカートリッジ。
【請求項4】
前記突起部が前記トナー収容部の長手方向の端部を塞ぐ蓋部材に設けられている請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のトナーカートリッジ。
【請求項5】
前記搬送部材は、回転軸と、前記回転軸から径方向に延びてその先端から前記トナー収容部の軸方向に傾斜すると共に前記トナー収容部の内面に沿って延びる攪拌枝と、を備え、
前記攪拌枝が前記回転軸の軸方向に沿って分割されて複数設けられており、
前記攪拌枝の1つが前記突起部に当たる請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のトナーカートリッジ。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のトナーカートリッジと、
前記トナーカートリッジからトナーが供給される現像装置と、
表面に静電潜像が形成され、前記静電潜像が前記現像装置のトナーによって現像される像保持体と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−203327(P2011−203327A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68178(P2010−68178)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】