説明

トナーボックス

【課題】トナーシールによる良好なシール性を発揮することができる、トナーボックスを提供する。
【解決手段】トナーボックス11は、内部にトナーを収容する本体51を備えている。本体51には、その内外を連通する連通口58が形成されている。この連通口58を開閉するために、シャッタが設けられている。トナーシール71により連通口58の周囲が取り囲まれている。トナーシール71は、接着面77を備える弾性層75と、弾性層75における接着77面と反対側の面に配置されるメッシュ層76とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置のトナーボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタなどの画像形成装置の一例では、装置本体に対して着脱可能にフレームが設けられ、トナーを収容したトナーボックスがそのフレームに装着される。
【0003】
トナーボックスとして、たとえば、トナーが収容される中空円柱状の内側筐体と、この内側筐体を回動可能に収容する中空円柱状の外側筐体とを備える二重シリンダ構造のものが提案されている。内側筐体の周壁には、内側通過口が形成されている。内側筐体の外周面には、内側通過口の周囲を取り囲むようにトナーシールが配置されている。外側筐体の周壁には、内側通過口に対応して、外側通過口が形成されている。
【0004】
内側筐体が外側筐体に対して回動されて、内側通過口が外側通過口に対向すると、内側筐体内と外部とが連通し、内側筐体内と外部との間でトナーが流通可能となる。また、内側筐体が外側筐体に対して回動されて、内側通過口に外側筐体の内周面が対向することにより、内側筐体内と外部との連通が遮断(内側通過口が閉塞)され、内側筐体内からトナーがこぼれることが防止される。この状態において、トナーボックスがフレームに対して着脱される。
【0005】
トナーシールは、弾性を有する発泡体からなり、内側通過口の周囲において、内側筐体の外周面と外側筐体の内周面との間に圧縮状態で介在されている。これにより、内側筐体の外周面と外側筐体の内周面との間にトナーが漏れ出すことが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−237252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
トナーシールのシール圧を上げると、トナー漏れを良好に防止することができる反面、外側筐体に対する内側筐体の回動に要するトルクが大きくなる。そのため、トナーシールは、トナーシールによるシール性を確保できながら、外側筐体に対する内側筐体の回動に要するトルクがなるべく低くなるように設けられる。
【0008】
ところが、通常の状態でシール性を確保することができても、たとえば、温度変化などにより内側筐体が変形し、内側筐体内の圧力(内圧)が上がると、トナーシールによりシールしきれなくなり、トナー漏れを生じるおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、トナーシールによる良好なシール性を発揮することができる、トナーボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明は、トナーボックスであって、内部にトナーを収容し、内外を連通する連通口を有する本体と、前記連通口を開放する開放位置と前記連通口を閉塞する閉塞位置とに移動可能に設けられるシャッタと、前記シャッタが前記閉塞位置にある状態で、前記本体と前記シャッタとの間に設けられ、前記連通口の周囲を取り囲むトナーシールとを備え、前記トナーシールは、接着面を備える弾性層と、前記弾性層における前記接着面とは反対側の面に配置されるメッシュ層とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トナーボックスは、内部にトナーを収容する本体を備えている。本体には、その内外を連通する連通口が形成されている。この連通口を開閉するために、シャッタが設けられている。すなわち、シャッタは、連通口を開放する開放位置と連通口を閉塞する閉塞位置とに移動可能に設けられている。
【0012】
シャッタが閉塞位置に位置する状態において、本体とシャッタとの間にトナーシールが介在され、このトナーシールにより連通口の周囲が取り囲まれる。トナーシールは、接着面を備える弾性層と、弾性層における接着面と反対側の面に配置されるメッシュ層とを有している。メッシュ層は、トナーの漏出を阻止しながら、空気の流通を許容する。そのため、温度変化などにより本体が変形したときに、メッシュ層を通して本体内から外部に空気が逃げ、これにより、その変形による本体内の圧力(内圧)の上昇を押さえることができる。その結果、トナーシールによる良好なシール性を発揮し続けることができ、本体とシャッタとの間からのトナーの漏れを良好に防止することができる。
【0013】
メッシュ層の配置により、シャッタの移動に伴ってシャッタまたは本体とメッシュ層とが摺擦する場合には、シャッタまたは本体と弾性層とが摺擦する場合と比較して、その摺擦時の抵抗が小さいので、シャッタを小さいトルクで移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るカラープリンタの断面図である。
【図2】図2は、図1に示されるカラープリンタの斜視図であり、ドロワユニットが本体フレームから引き出された状態を示す。
【図3】図3は、図1に示されるドロワユニットの斜視図であり、すべてのトナーボックスが離脱された状態を示す。
【図4A】図4Aは、図1に示されるドロワユニットの右側面図であり、開放用操作部材が第2位置に位置し、シャッタが開放位置に位置している状態を示す。
【図4B】図4Bは、図1に示されるドロワユニットの左側面図であり、閉塞用操作部材が第3位置に位置し、シャッタが開放位置に位置している状態を示す。
【図5A】図5Aは、図1に示されるドロワユニットの右側面図であり、開放用操作部材が第1位置に位置し、シャッタが閉塞位置に位置している状態を示す。
【図5B】図5Bは、図1に示されるドロワユニットの左側面図であり、閉塞用操作部材が第4位置に位置し、シャッタが閉塞位置に位置している状態を示す。
【図6】図6は、図4Aに示される開放用操作部材と図4Bに示される閉塞用操作部材との連動のための機構を示す斜視図である。
【図7】図7は、図3に示されるドロワユニットの平面図である。
【図8】図8は、図7に示される切断線A−Aにおけるドロワユニットの断面図である。
【図9】図9は、図8に示されるシャッタ駆動部材の斜視図である。
【図10】図10は、図9に示されるシャッタ駆動部材の本体部の斜視図である。
【図11】図11は、図1に示されるトナーボックスの斜視図である。
【図12】図12は、図11に示されるトナーボックスの分解斜視図である。
【図13】図13は、図12に示されるトナーシールの側面図である。
【図14】図14は、図13に示されるメッシュ層の表面の一部の斜視図である。
【図15】図15は、図13に示されるメッシュ層の断面図である。
【図16A】図16Aは、図11に示されるトナーボックスの底面図であり、シャッタが開放位置に位置している状態を示す。
【図16B】図16Bは、図11に示されるトナーボックスの底面図であり、シャッタが閉塞位置に位置している状態を示す。
【図17A】図17Aは、図11に示されるトナーボックスおよび図7に示されるシャッタ駆動部材の断面図であり、シャッタが開放位置に位置している状態を示す。
【図17B】図17Bは、図11に示されるトナーボックスおよび図7に示されるシャッタ駆動部材の断面図であり、シャッタが閉塞位置に位置している状態を示す。
【図18A】図18Aは、図11に示されるトナーボックスおよび図7に示されるシャッタ駆動部材の左側面図であり、トナーボックスがシャッタ駆動部材と結合される前の状態をロック機構の状態を含めて示す。
【図18B】図18Bは、図11に示されるトナーボックスおよび図7に示されるシャッタ駆動部材の左側面図であり、トナーボックスがシャッタ駆動部材と結合された後の状態をロック機構の状態を含めて示す。
【図19】図19は、図18A,18Bに示されるロック機構の一部を示す斜視図である。
【図20A】図20Aは、図18A,18Bに示されるロック機構によりシャッタが固定された状態を示す断面図である。
【図20B】図20Bは、図18A,18Bに示されるロック機構によるシャッタの固定が解除された状態を示す断面図である。
【図21】図21は、シャッタの変形例を示す斜視図である。
【図22】図22は、図21に示される切断線B−Bにおけるシャッタの断面図である。
【図23】図23は、トナーシールの変形例を示す側面図である。
【図24】図24は、トナーシールの他の変形例を示す側面図である。
【図25】図25は、トナーシールがシャッタに接着された変形例を示す断面図である。
【図26】図26は、トナーシールが本体およびシャッタに接着された変形例を示す断面図である。
【図27】図27は、他の形状のシャッタが採用された変形例に係るトナーボックスの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
1.カラープリンタの構成
図1に示されるように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、タンデム型のカラープリンタである。カラープリンタ1は、図1,2に示されるように、本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2内には、ドロワユニット3が装着されている。本体ケーシング2の前面には、フロントカバー4が開閉可能に設けられている。そして、ドロワユニット3は、フロントカバー4を開けた状態で、本体ケーシング2内の収容位置(図1に実線で示される位置)と本体ケーシング2外の引出位置(図1に仮想線で示される位置、図2に示される位置)との間で水平方向に移動させることができる。
【0016】
なお、フロントカバー4が設けられている側(図1における左側)をカラープリンタ1の前側(正面側)とする。また、カラープリンタ1の上下左右に関しては、カラープリンタ1を前側から見たときを基準とする。また、ドロワユニット3およびこれに装着されるトナーボックス11については、特に言及がない限り、本体ケーシング2に装着された状態での方向を基準として説明する。図2では、フロントカバー4の図示が省略されている。
ドロワユニット3には、図1に示されるように、4つの感光ドラム5がそれぞれ左右方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に保持されている。4つの感光ドラム5は、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色用として設けられ、前側からブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの順に前後方向に等間隔で並列に配置されている。
【0017】
また、ドロワユニット3には、4つの帯電器6が保持されている。4つの帯電器6は、それぞれ感光ドラム5に対応して設けられ、その対応する感光ドラム5の後上方に配置されている。帯電器6は、たとえば、ワイヤおよびグリッドを備えるスコロトロン型帯電器である。
【0018】
さらに、ドロワユニット3には、4つの現像部の一例としての現像器7が保持されている。4つの現像器7は、それぞれ感光ドラム5に対応して設けられ、その対応する感光ドラム5の前上方に配置されている。各現像器7は、現像フレーム8と、現像フレーム8に収容される現像ローラ9とを備えている。現像ローラ9は、左右方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に設けられ、感光ドラム5に接触するように配置されている。
【0019】
また、ドロワユニット3には、4つのクリーナ10が保持されている。4つのクリーナ10は、それぞれ感光ドラム5に対応して設けられ、その対応する感光ドラム5の前上方に配置されている。クリーナ10は、感光ドラム5の表面に付着している紙粉などを除去する。
【0020】
そして、ドロワユニット3において、各現像器7の上部には、トナーを収容するトナーボックス11を装着するためのスペース12が設けられている。トナーボックス11は、ドロワユニット3が引出位置に引き出された状態で、ドロワユニット3の上方から各現像器7の上方のスペース12に装着される。現像器7には、トナーボックス11からトナーが供給される。
【0021】
本体ケーシング2内において、ドロワユニット3の上方には、各色に対応した4本のレーザビームを出射する露光器13が配置されている。
【0022】
感光ドラム5の回転に伴って、感光ドラム5の表面は、帯電器6からの放電によって一様に帯電された後、露光器13からのレーザビームにより選択的に露光される。この露光によって、感光ドラム5の表面から電荷が選択的に除去され、感光ドラム5の表面に静電潜像が形成される。静電潜像が現像ローラ9に対向すると、現像ローラ9から静電潜像にトナーが供給される。これによって、感光ドラム5の表面にトナー像が形成される。
【0023】
なお、露光器13に代えて、4つのLEDアレイが各感光ドラム5に対応して設けられてもよい。
【0024】
本体ケーシング2の底部には、用紙Pを収容する給紙カセット14が配置されている。給紙カセット14に収容されている用紙Pは、各種ローラにより、搬送ベルト15上に搬送される。搬送ベルト15は、4つの感光ドラム5に下方から対向して配置されている。感光ドラム5に対して搬送ベルト15の上側部分を挟んで対向する各位置には、転写ローラ16が配置されている。搬送ベルト15上に搬送された用紙Pは、搬送ベルト15の走行により、搬送ベルト15と各感光ドラム5との間を順次に通過する。そして、感光ドラム5の表面上のトナー像は、用紙Pと対向したときに、用紙Pに転写される。
【0025】
搬送ベルト15に対して用紙Pの搬送方向における下流側には、定着器17が設けられている。トナー像が転写された用紙Pは、定着器17に搬送される。定着器17では、加熱および加圧により、トナー像が用紙Pに定着される。トナー像が定着した用紙Pは、各種ローラにより、本体ケーシング2の上面の排紙トレイ18に排出される。
2.ドロワユニット
(1)ドロワフレーム
図3に示されるように、ドロワユニット3は、ドロワフレーム21を備えている。ドロワフレーム21は、左右方向に間隔を開けて対向する1対の側板22,23と、側板22,23の各前端部間に架設されるフロントビーム24と、側板22,23の各後端部間に架設されるリヤビーム25とを備え、全体として、平面視で四角枠状をなしている。
【0026】
4つの感光ドラム5、4つの帯電器6、4つの現像器7および4つのクリーナ10(図1参照)は、側板22,23により、その左右両側から挟まれた状態で一括して保持されている。そして、側板22,23の間において、各現像器7の上方にトナーボックス11を装着するためのスペース12が設けられている。言い換えれば、側板22,23は、各4つの感光ドラム5、帯電器6、現像器7およびクリーナ10を保持するとともに、トナーボックス11を装着するためのスペース12を確保する間隔を左右方向に開けて、左右方向において互いに対向している。
(2)開放用操作部材
右側の側板23の右側面(外側面)には、図4A,5Aに示されるように、4つの開放用操作部材26がそれぞれスペース12に対応して配置されている。開放用操作部材26は、左右方向に延びる軸からなる回動支点部27と、回動支点部27に結合されたレバー部28とを有している。
【0027】
回動支点部27は、側板23に回転可能に支持されている。
【0028】
レバー部28は、たとえば、側面視円形状の結合部29と、結合部29から前方に延びる細長い板状の延部30とを一体的に有している。レバー部28は、結合部29に回動支点部27が相対回転不能に挿通されることにより、回動支点部27に結合されている。
【0029】
そして、開放用操作部材26は、回動支点部27を支点とする揺動により、図5Aに示されるように、レバー部28の延部30が前下がりに傾斜する第1位置と、図4Aに示されるように、延部30が水平方向に延びる第2位置とに移動可能である。したがって、開放用操作部材26の第1位置から第2位置への移動方向(回動方向)は、開放用操作部材26を右側から見て時計回りである。
【0030】
また、右側の側板23の右側面には、開放用操作部材26の上方に、第2位置に位置している4つの開放用操作部材26を一括して覆うカバーである第1カバー31が設けられている。第1カバー31は、右側に延び、屈曲して下方に延びる断面L字状をなしており、図4Aに示されるように、開放用操作部材26が第2位置に位置している状態において、レバー部28の結合部29のほぼ上半分および延部30のほぼ全体をその内側(側板23との間)に収容する。また、第1カバー31は、側板23と一体に形成されている。
(3)閉塞用操作部材
左側の側板22の左側面(外側面)には、図4B,5Bに示されるように、4つの閉塞用操作部材32がそれぞれスペース12に対応して配置されている。閉塞用操作部材32は、左右方向に延びる軸からなる回動支点部33と、回動支点部33に結合されたレバー部34とを有している。
【0031】
回動支点部33は、側板22に回転可能に支持されている。
【0032】
レバー部34は、たとえば、側面視円形状の結合部35と、結合部35から前方に延びる細長い板状の延部36とを一体的に有している。レバー部34は、結合部35に回動支点部33が相対回転不能に挿通されることにより、回動支点部33に結合されている。
【0033】
そして、閉塞用操作部材32は、回動支点部33を支点とする揺動により、図4Bに示されるように、レバー部34の延部36が前下がりに傾斜する第3位置と、図5Bに示されるように、延部36が水平方向に延びる第4位置とに移動可能である。したがって、閉塞用操作部材32の第3位置から第4位置への移動方向(回動方向)は、開放用操作部材26の第1位置から第2位置への移動方向と逆方向、つまり閉塞用操作部材32を左側から見て反時計回りである。
【0034】
また、左側の側板22の左側面には、閉塞用操作部材32の上方に、第4位置に位置している4つの閉塞用操作部材32を一括して覆うカバーである第2カバー37が設けられている。第2カバー37は、左側に延び、屈曲して下方に延びる断面L字状をなしており、図5Bに示されるように、閉塞用操作部材32が第4位置に位置している状態において、レバー部34の結合部35のほぼ上半分および延部36のほぼ全体をその内側(側板22との間)に収容する。また、第2カバー37は、側板22と一体に形成されている。
(4)レバー連動機構
閉塞用操作部材32の回動支点部33は、左側の側板22(図3参照)を貫通して、側板22,23間において、図6に示されるように、左右方向に長く延びている。図7に示されるように、回動支点部33の左端部には、側板22の右側(内側)において、左ピニオンギヤ38が相対回転不能に取り付けられている。左ピニオンギヤ38の回転が阻害されないように、左ピニオンギヤ38と側板22との間には、微小な間隔が空けられている。一方、回動支点部33の右端部には、側板23の左側(内側)において、右ピニオンギヤ39が相対回転不能に取り付けられている。右ピニオンギヤ39は、左ピニオンギヤ38よりも左右方向に長く形成されている。右ピニオンギヤ39の回転が阻害されないように、右ピニオンギヤ39と側板23との間には、微小な間隔が空けられている。
【0035】
開放用操作部材26の回動支点部27は、右側の側板23(図3参照)を貫通している。そして、図6に示されるように、回動支点部27の左端部は、右ピニオンギヤ39に後上方から対向し、その左端部には、ピニオンギヤ40が相対回転不能に取り付けられている。ピニオンギヤ40は、右ピニオンギヤ39と噛合している。
【0036】
開放用操作部材26および閉塞用操作部材32は、図4A,4B,6に示されるように、開放用操作部材26が第2位置に位置する状態で、閉塞用操作部材32が第3位置に位置するように、各位置が調整されてドロワフレーム21に組み付けられる。
【0037】
閉塞用操作部材32が第3位置から第4位置に移動されると、その移動に伴って、回動支点部33、左ピニオンギヤ38および右ピニオンギヤ39が左側から見て反時計回りに回動する。すると、右ピニオンギヤ39の回動がピニオンギヤ40に伝達され、ピニオンギヤ40および回動支点部27が左側から見て時計回りに回動する。この回動支点部27の回動により、開放用操作部材26は、第2位置から第1位置に移動する。
【0038】
開放用操作部材26が第1位置から第2位置に移動されると、その移動に伴って、回動支点部27およびピニオンギヤ40が左側から見て反時計回りに回動する。すると、ピニオンギヤ40の回動が右ピニオンギヤ39に伝達され、右ピニオンギヤ39、回動支点部33および左ピニオンギヤ38が左側から見て時計回りに回動する。この回動支点部33の回動により、閉塞用操作部材32は、第4位置から第3位置に移動する。
【0039】
このように、開放用操作部材26は、閉塞用操作部材32の第3位置から第4位置への移動に連動して、第2位置から第1位置に移動する。また、閉塞用操作部材32は、開放用操作部材26の第1位置から第2位置への移動に連動して、第4位置から第3位置に移動する。
(5)現像フレーム
図3,7に示されるように、現像フレーム8は、前後方向に等間隔で配置され、側板22,23間に架設されている。トナーボックス11を装着するための各スペース12は、現像フレーム8によって区切られている。
【0040】
現像フレーム8には、図8に示されるように、現像ローラ9を収容する現像室41が形成されている。現像室41は、感光ドラム5側が開放されており、この現像室41における開放側の端部に、現像ローラ9が配置されている。
【0041】
現像フレーム8は、現像室41とトナーボックス11を装着するためのスペース12との間に、現像室41側に向けて円弧状に凸湾曲した板状の仕切壁42を有している。この仕切壁42により、現像フレーム8内が現像室41とその上方のスペース12とに仕切られている。仕切壁42の周方向の中央部には、図3に示されるように、スペース12にトナーボックス11が装着された状態で、そのトナーボックス11に形成されている3つの連通口58(図12参照)と対向する位置に、3つの矩形状の開口43が形成されている。
(6)シャッタ駆動部材
そして、図7,8に示されるように、仕切壁42の上方には、後述するシャッタ73を駆動するためのシャッタ駆動部材44が移動可能に配置されている。
【0042】
シャッタ駆動部材44は、図9に示されるように、樹脂からなる樹脂板の一例としての本体部111と、本体部111上に接着された金属薄板からなる金属板の一例としての補強板112とを備えている。
【0043】
本体部111は、図10に示されるように、左右方向に間隔を空けて並べて配置された4つの板状部441,442,443,444と、左右方向に延びる棒状をなし、板状部441〜444の後端部を連結する連結部445とを一体的に有している。各板状部441〜444は、仕切壁42にほぼ沿うように現像室41側に向けて円弧状に凸湾曲した板状をなしている。
【0044】
なお、シャッタ駆動部材44は、各現像フレーム8の仕切壁42の上方に設けられているが、図7,8では、図面の簡素化のため、1つの仕切壁42の上方に設けられたシャッタ駆動部材44のみが示されている。
【0045】
図7に示されるように、左端の板状部444は、左ピニオンギヤ38に上方から対向している。そして、その下面(左ピニオンギヤ38に対向する面)には、左ピニオンギヤ38と噛合する左ラックギヤ45が形成されている。
【0046】
一方、右端の板状部441は、図7に示されるように、右ピニオンギヤ39に上方から対向している。より具体的には、図6に示されるように、右ピニオンギヤ39の右端部に、ピニオンギヤ40が噛合し、右ピニオンギヤ39は、ピニオンギヤ40よりも左側に延びている。板状部441は、その右ピニオンギヤ39におけるピニオンギヤ40よりも左側に延びた部分に対して上方から対向している。板状部441の下面(右ピニオンギヤ39と対向する面)には、右ピニオンギヤ39と噛合する右ラックギヤ45が形成されている。
【0047】
開放用操作部材26または閉塞用操作部材32が操作されて、左ピニオンギヤ38および右ピニオンギヤ39が回動すると、それらの回動がそれぞれ左ラックギヤ46および右ラックギヤ45に伝達される。これにより、シャッタ駆動部材44は、開口43と対向する位置(図7に示される位置)とその前方の位置との間で移動する。具体的には、開放用操作部材26が第1位置から第2位置に移動されると、左ピニオンギヤ38および右ピニオンギヤ39の回動に伴い、シャッタ駆動部材44は、開口43と対向する位置から前方に移動し、開口43と対向しない位置に配置される。そして、この状態から、閉塞用操作部材32が第3位置から第4位置に移動されると、左ピニオンギヤ38および右ピニオンギヤ39の回動に伴い、シャッタ駆動部材44は、開口43と対向しない位置から後方に開口43と対向する位置まで移動する。
【0048】
各板状部441〜444の上面には、後述する各シャッタ駆動用開口88と対応する位置に、シャッタ駆動用突起47が形成されている。
【0049】
補強板112は、板状部441の右端部および板状部444の左端部を除いて、本体部111の全域を被覆している。そして、補強板112における各シャッタ駆動用突起47と重なる位置には、挿通口113が形成されている。各シャッタ駆動用突起47は、挿通口113に挿通されて、補強板112の上方に突出している。
【0050】
このように、本体部111に補強板112が重ね合わされることにより、シャッタ駆動部材44の剛性を確保することができ、シャッタ駆動部材44による後述するシャッタ73(図12参照)の安定した移動を達成することができる。
【0051】
また、シャッタ駆動用突起47が補強板112の挿通口113に挿通されることにより、本体部111に対して補強板112を位置決めすることができながら、シャッタ駆動用突起47を補強板112から突出した状態に設けることができる。
【0052】
さらに、シャッタ駆動部材44の移動と連動して、補強板112により、仕切壁42に形成されている3つの開口43が開閉されるので、補強板112は、それらの開口43を開閉する現像側シャッタとしての機能を有する。
3.トナーボックス
(1)本体
図11,12に示されるように、トナーボックス11は、内部にトナーを収容する樹脂製の本体51を備えている。本体51は、左右方向に延びる中空の略半円柱状に形成されている。具体的には、本体51は、内部にトナーを収容する空間が形成され、左右に長い長方形状の上面52と、上面52の前端縁に接続され、下方に向けて凸湾曲する断面略半円弧状の円弧面53と、円弧面53の後端縁から後方に向けて上面52と平行に延びる固定面54と、上面52の後端縁と固定面54の後端縁とに跨がる後面55と、上面52、円弧面53、固定面54および後面55の各左端縁間に跨がる左側面56と、上面52、円弧面53、固定面54および後面55の各右端縁間に跨がる右側面57とを有する形状をなしている。
【0053】
本体51の円弧面53には、図12に示されるように、その最下端よりも少し後方の部分に、本体51の内外を連通する3つの連通口58が形成されている。3つの連通口58は、左右方向に間隔を空けて並べて形成され、それぞれ左右方向に長い長方形状をなしている。
【0054】
また、円弧面53には、各連通口58の左右両側に、円弧面53の周方向に延びる細長い溝状の逃がし用溝59が形成されている。
【0055】
円弧面53の前端部には、図16A,16Bに示されるように、複数の位置決め用突起60が左右方向に間隔を空けて形成されている。各位置決め用突起60は、図17A,17Bに示されるように、前方に延び、屈曲して上方に延びる鉤状をなしている。
【0056】
また、図12に示されるように、本体51の左右両端部には、それぞれ円弧面53の最下部から上方に窪む凹部61,62が形成されている。左側の凹部61は、本体51の左側面56において開放されている。右側の凹部62は、本体51の右側面57において開放されている。
【0057】
トナーボックス11は、本体51の円弧面53に貼着されるトナーシール71と、円弧面53を覆うように設けられるシャッタカバー72と、円弧面53とシャッタカバー72との間に設けられるシャッタ73とをさらに備えている。
(2)トナーシール
トナーシール71は、図12に示されるように、各連通口58に対応して設けられている。トナーシール71は、開口74を有するシート状に形成されている。開口74の開口面積は、連通口58の開口面積よりも大きい。そして、トナーシール71は、連通口58と開口74とが対向して連通するように位置合わせされて、本体51の円弧面53に貼着され、連通口58の周囲を取り囲んでいる。
【0058】
また、トナーシール71は、図13に示されるように、弾性層75と弾性層75の一方面に配置されるメッシュ層76との積層構造(2層構造)を有している。
【0059】
弾性層75は、弾性を有する発泡体(たとえば、株式会社ロジャースイノアック製の商品名:ポロン)からなる。弾性層75は、メッシュ層76よりもはるかに厚く形成されている。弾性層75におけるメッシュ層76側と反対側の面は、接着面77とされ、接着剤を介して本体51の円弧面53に接着される。
【0060】
メッシュ層76は、その表面の一部が図14に示され、断面の一部が図15に示されるように、経糸78と緯糸79とが交互に浮き沈みさせて織られた平織り繊維からなる。隣り合う経糸78間の間隔および隣り合う緯糸79間の間隔は、15μm以上50μm以下であり、好ましくは、25μm以上40μm以下である。
【0061】
また、図16A,16Bに示されるように、トナーシール71において、連通口58に対して前側(円弧面53の前端部側)に配置される部分の円弧面53に沿う方向の幅D1は、連通口58に対して後側(円弧面53の後端部側)に配置される部分の円弧面53に沿う方向の幅D2よりも大きい。
(3)シャッタカバー
シャッタカバー72は、樹脂フィルムからなり、本体51の円弧面53に沿って湾曲している。シャッタカバー72は、シャッタ73の厚さよりも小さい厚さ、具体的には、0.03mm以上0.3mm以下の範囲内の厚さを有し、好ましくは、0.08mm以上0.2mm以下の厚さを有している。また、シャッタカバー72の左右方向の幅は、円弧面53の左右方向の幅とほぼ等しく、シャッタカバー72は、円弧面53を左右方向のほぼ全幅にわたって被覆している。
【0062】
シャッタカバー72の前端部には、図12に示されるように、複数の位置決め用開口80が左右方向に間隔を空けて形成されている。各位置決め用開口80には、図17A,17Bに示されるように、本体51の円弧面53に形成された位置決め用突起60が係合している。より具体的には、シャッタカバー72の前端部には、各位置決め用突起60と左右方向において同じ位置に、位置決め用突起60を挿通可能なサイズの位置決め用開口80が形成されている。そして、各位置決め用開口80には、位置決め用突起60が挿通されて、その上端縁が位置決め用突起60に係止されている。
【0063】
また、シャッタカバー72の後端部は、本体51の固定面54に沿うように折り曲げられている。このシャッタカバー72の後端部には、図12に示されるように、複数のビス挿通孔81が左右方向に間隔を空けて形成されている。そして、図16A,16Bに示されるように、各位置決め用開口80と位置決め用突起60とが係合され、各ビス挿通孔81にビス82が挿通されて、各ビス82の先端部が本体51の固定面54にねじ込まれることにより、シャッタカバー72が本体51に取り付けられている。
【0064】
また、シャッタカバー72には、図11,12に示されるように、各トナーシール71と対向する位置に、トナー流通用開口83が形成されている。トナー流通用開口83は、左右方向に長い長方形状をなし、その開口面積が連通口58の開口面積よりも大きく、連通口58の全域を露出させるように形成されている。また、トナー流通用開口83は、図16Aに示されるように、シャッタ73が開放位置(後述する)に位置する状態において、トナーシール71における後端縁とトナー流通用開口83の後端縁との間に隙間が形成されるとともに、トナーシール71の左右両端縁とトナー流通用開口83の左右両端縁との各間に隙間が形成され、トナーシール71の前端部がシャッタカバー72と本体51の円弧面53との間に挟まれるようなサイズに形成されている。これにより、シャッタ73が開放位置に位置する状態では、トナーシール71の後端縁および左右両端縁がシャッタカバー72に覆われず、その後端縁および左右両端縁がトナー流通用開口83を介して外側に突出する。
【0065】
さらに、シャッタカバー72には、図12に示されるように、トナー流通用開口83の左右方向の幅がシャッタカバー72の後端部に近づくほど狭くなるように、トナー流通用開口83の後側の両角部に、シャッタカバー72の周方向に対して傾斜する部分をトナー流通用開口83の周縁の一部として有する傾斜部84が形成されている。
【0066】
なお、傾斜部84におけるトナー流通用開口83の周縁の一部をなす部分は、シャッタカバー72の周方向に対して傾斜していれば、直線状に延びていてもよいし、緩やかに湾曲していてもよい。図12には、当該部分が緩やかに湾曲した形状が示されている。
【0067】
また、シャッタカバー72には、本体51の各逃がし用溝59と対向する位置に、前後方向(シャッタカバー72の周方向)に長く延びるガイド用開口85が形成されている。ガイド用開口85の前後方向の長さは、逃がし用溝59の前後方向の長さ以上である。また、ガイド用開口85の左右方向の幅は、逃がし用溝59の左右方向の幅以上である。そして、ガイド用開口85は、逃がし用溝59の全体と対向している。
【0068】
さらに、シャッタカバー72には、本体51の凹部61,62と対向する位置に、それぞれロック部材挿通口86,87が形成されている。
(4)シャッタ
シャッタ73は、樹脂フィルムからなり、図12に示されるように、本体51の円弧面53に沿って湾曲している。シャッタ73の左右方向の幅は、シャッタカバー72の左右方向の幅よりも少し小さい。また、シャッタ73は、円弧面53に沿う方向において、トナーシール71の円弧面53に沿う方向の幅よりも大きく、シャッタ73が後述する開放位置と閉塞位置との間で移動されたときに、シャッタ73が本体51の固定面54および位置決め用突起60に当接しないような幅を有している。
【0069】
シャッタ73には、本体51の各逃がし用溝59と対向する位置に、2つのシャッタ駆動用開口88がシャッタ73の周方向に間隔を開けて形成されている。シャッタ73が開放位置および閉塞位置のいずれに位置している状態においても、すべてのシャッタ駆動用開口88が逃がし用溝59と対向し、シャッタカバー72のガイド用開口85と対向して連通するように、その各位置における2つのシャッタ駆動用開口88の間隔が決められている。
【0070】
また、シャッタ73の後端部(円弧面53の後端部側の端部)には、本体51の各連通口58と左右方向において同じ位置に、円弧面53の後端部側に向かって開いたV字状の切欠89が形成されている。これにより、シャッタ73の後端縁は、シャッタ73の周方向に対して傾斜する部分90を有している。
【0071】
さらに、シャッタ73には、閉塞位置において、本体51の凹部61,62と対向する位置に、それぞれロック用開口91,92が形成されている。これにより、シャッタ73が閉塞位置に位置している状態において、ロック用開口91,92がそれぞれ凹部61,62と対向し、また、ロック用開口91,92がそれぞれシャッタカバー72のロック部材挿通口86,87と対向して、凹部61とロック部材挿通口86とがロック用開口91を介して連通するとともに、凹部62とロック部材挿通口87とがロック用開口92を介して連通する。
【0072】
そして、シャッタ73は、本体51の円弧面53とシャッタカバー72との間に挟まれて、それらにより保持された状態で、次に述べる開放位置と閉塞位置との間で移動されることができる。
(5)シャッタの開放位置
開放位置において、シャッタ73は、図16Aに示されるように、シャッタカバー72のトナー流通用開口83に対して前側に配置されている。より具体的には、開放位置において、シャッタ73の後端縁は、トナー流通用開口83の前端縁よりも前側に位置し、シャッタ73の後端部は、トナーシール71の前端部とシャッタカバー72との間に挟まれている。そのため、本体51の連通口58およびトナーシール71の開口74が互いに連通した状態で開放され、本体51の内外が連通する。また、トナーシール71の後端縁および左右両端縁が露出するので、その後端縁および左右両端縁がトナー流通用開口83を介して外側に突出する。
(6)シャッタの閉塞位置
図16Bに示されるように、閉塞位置は、開放位置に対して後側の位置である。閉塞位置において、シャッタ73の後端縁は、トナー流通用開口83の後端縁よりもわずかに後側に位置している。そのため、シャッタ73は、切欠89の一部と対向する部分を除いて、トナー流通用開口83のほぼ全域と対向し、シャッタカバー72におけるトナー流通用開口83の周囲の部分と接触している。そして、トナーシール71は、その全体がシャッタ73と本体51の円弧面53との間に挟まれる。その結果、本体51の連通口58およびトナーシール71の開口74の全域がシャッタ73により覆われ、本体51の内外がシャッタ73により遮断される。
4.トナーボックスの装着
トナーボックス11は、シャッタ73が閉塞位置に位置している状態で、現像フレーム8の仕切壁42の上方のスペース12(図7参照)に着脱される。
【0073】
スペース12にトナーボックス11が装着されていない状態では、図5Aに示されるように、開放用操作部材26が第1位置に位置し、図5Bに示されるように、閉塞用操作部材32が第4位置に位置している。そして、仕切壁42の上方のシャッタ駆動部材44は、図7,8に示されるように、仕切壁42の開口43と対向する位置に位置している。
【0074】
トナーボックス11は、ドロワユニット3(ドロワフレーム21)が本体ケーシング2外の引出位置(図1参照)に引き出された状態で、スペース12に対して上方から装着される。このとき、図17Bに示されるように、シャッタ駆動部材44に形成されている相対的に前側のシャッタ駆動用突起47は、ほぼ鉛直上方に向き、相対的に後側のシャッタ駆動用突起47は、前上方に傾斜する方向に向いている。そして、トナーボックス11がスペース12に装着されると、各シャッタ駆動用突起47がガイド用開口85を介して各シャッタ駆動用開口88に係合する。
【0075】
その後、ドロワユニット3が引出位置に引き出された状態のまま、開放用操作部材26が第1位置(図5A参照)から第2位置(図4A参照)に移動されると、シャッタ駆動部材44が開口43と対向する位置から開口43と対向しない位置(図17A参照)に移動する。このシャッタ駆動部材44の移動に伴って、シャッタ73は、シャッタ駆動部材44と一体的に開放位置から前方に移動し、開放位置に配置される。
【0076】
そして、図8に示されるように、仕切壁42上には、各トナーシール71と対向する位置に、環状のフレームシール93が各開口43の周囲を取り囲むように配置されている。シャッタ73が開放位置に配置されると、トナーシール71の後端縁および左右両端縁がトナー流通用開口83を介して外側に突出し、その突出した部分がフレームシール93と直に圧接するとともに、フレームシール93におけるトナーシール71と接触しない部分がシャッタカバー72に接触する。これにより、仕切壁42とシャッタカバー72との間がトナーシール71およびフレームシール93によりシールされた状態で、トナーシール71の開口74と開口43とがフレームシール93の開口部分を介して連通する。
【0077】
すべてのスペース12にトナーボックス11が装着されて、すべての開放用操作部材26が第1位置から第2位置に移動され、すべてのトナーボックス11のシャッタ73が開放位置に配置されると、すべての現像器7にトナーボックス11からトナーが供給される。この後、ドロワユニット3が本体ケーシング2内の収容位置に移動され、フロントカバー4(図1参照)が閉じられると、カラープリンタ1における画像形成動作を開始することができる。
【0078】
トナーボックス11がドロワユニット3から取り外されるときには、フロントカバー4が開かれて、ドロワユニット3が収容位置から引出位置に引き出される。そして、閉塞用操作部材32が第3位置(図4B参照)から第4位置(図5B参照)に移動される。これにより、シャッタ駆動部材44が開口43と対向しない位置から開口43と対向する位置(図17B参照)に移動する。このシャッタ駆動部材44の移動に伴って、シャッタ73は、シャッタ駆動部材44と一体的に開放位置から後方に移動し、閉塞位置に配置される。
【0079】
その後、トナーボックス11がスペース12から取り出される。シャッタ73が閉塞位置に配置されているので、その取り出されたトナーボックス11の本体51内からトナーがこぼれるおそれはない。
5.ロック機構
トナーボックス11がドロワユニット3から取り外された状態では、シャッタ駆動用開口88にシャッタ駆動用突起47が係合されていないので、シャッタ73が本体51およびシャッタカバー72に対してフリーになる。そのため、トナーボックス11に振動などが加わると、シャッタ73が閉塞位置から移動するおそれがある。
【0080】
そこで、トナーボックス11の凹部61,62には、図18A,18Bに示されるように、ドロワユニット3から取り出された状態でシャッタ73を閉塞位置で固定するためのロック機構101が設けられている。凹部61に設けられるロック機構101と凹部62に設けられるロック機構101とは、互いに左右反転した構成であるので、以下では、ロック機構101の構成について、凹部61に設けられたロック機構101を取り上げて説明する。
【0081】
ロック機構101は、図19に示されるように、アーム102と、アーム102に取り付けられたロック用突起103とを含む。
【0082】
アーム102は、板ばねなどの弾性を有する薄板からなる。そして、アーム102は、凹部61内で下方に延び、屈曲して左方に延び、さらに屈曲して下方に延びるクランク形状をなしている。具体的には、図18A,18Bに示されるように、アーム102は、凹部61内で下方に延びる固定部104と、固定部104の下端から左方に延びる保持部105と、保持部105の左端から下方に延びる当接部106とを一体的に有している。固定部104は、ビス107により、本体51における凹部61内で左側に向いた面に固定されている。
【0083】
ロック用突起103は、図19に示されるように、扁平な四角柱状をなし、アーム102の保持部105の下面に固定されている。ロック用突起103は、シャッタ73が閉塞位置に位置するときに、保持部105の下面におけるシャッタ73のロック用開口91と対向する位置に配置されている。
【0084】
そのため、トナーボックス11がドロワユニット3から取り外された状態では、図18A,20Aに示されるように、ロック用突起103は、シャッタ73のロック用開口91,92に挿通される。これにより、シャッタ73の閉塞位置からの移動が規制される。よって、トナーボックス11がドロワユニット3から取り外された状態でのシャッタ73の閉塞位置からの移動が防止される。
【0085】
トナーボックス11がドロワユニット3に設けられたスペース12に装着されるときには、その装着の途中で、図18B,20Bに示されるように、アーム102の当接部106の下端がシャッタ駆動部材44の上面(本体部441,444の上面)に当接する。トナーボックス11が装着方向にさらに移動されると、当接部106がシャッタ駆動部材44から受ける力により、アーム102の保持部105がその左端部が持ち上がるように撓み変形する。これにより、ロック用突起103がロック用開口91,92から離脱する。その結果、シャッタ73は、本体51およびシャッタカバー72に対してフリーになり、シャッタ駆動部材44と一体的に移動可能な状態になる。
6.作用効果
(1)作用効果1
以上のように、トナーボックス11は、内部にトナーを収容する本体51を備えている。本体51には、その内外を連通する連通口58が形成されている。この連通口58を開閉するために、シャッタ73が設けられている。すなわち、シャッタ73は、連通口58を開放する開放位置と連通口58を閉塞する閉塞位置とに移動可能に設けられている。
【0086】
そして、シャッタ73は、樹脂成形品および金属加工品ではなく、フィルムからなる。そのため、連通口58にトナーが存在する状態で、シャッタ73が開放位置から閉塞位置に移動されても、シャッタ73の縁部上にトナーが載らない。よって、トナーボックス11が現像器7から取り外された後に、トナーボックス11(シャッタ73の縁部上)からトナーがこぼれ落ちることがなく、カラープリンタ1の本体ケーシング2内および本体ケーシング2外がトナーで汚れることを防止できる。
【0087】
また、フィルムからなるシャッタ73は、本体51の形状に沿って変形しつつ移動可能である。そのため、シャッタ73の開閉に必要なスペースが小さくてすむ。その結果、連通口58の周辺の形状の自由度が増し、現像器7の周りの小型化に寄与することができる。
【0088】
さらにまた、トナーシール71とシャッタ73とが局所的に強く圧接することが防止され、トナーシール71とシャッタ73とがほぼ一様に圧接する。そのため、シャッタ73の円滑な移動を確保することができる。さらに、シャッタ73とトナーシール71との密着性が向上するので、トナー漏れを良好に防止することができる。
【0089】
また、シャッタ73には、現像器7に設けられたシャッタ駆動用突起47と係合するシャッタ駆動用開口88が形成されている。シャッタ駆動用開口88とシャッタ駆動用突起47とが係合した状態で、シャッタ駆動用突起47が移動されると、シャッタ駆動用突起47とともにシャッタ73が移動する。よって、簡素な構成により、シャッタ73を開放位置と閉塞位置との間で移動させることができる。
【0090】
なお、シャッタ73を移動させるための構成として、シャッタ73にシャッタ駆動用突起が設けられ、現像器7にその突起と係合するシャッタ駆動用開口が形成される構成も考えられる。しかし、その構成では、トナーボックス11が現像器7から取り外された状態で、シャッタ駆動用突起を指で摘んで、シャッタ73を閉塞位置から開放位置に容易に移動させることができる。これに対し、シャッタ駆動用開口88を指で摘むことは難しいので、シャッタ73にシャッタ駆動用開口88が形成された構成では、トナーボックス11が現像器7から取り外された状態において、シャッタ73が閉塞位置から開放位置に移動されることを防止できる。よって、トナーボックス11からのトナーの漏出を一層防止することができる。
(2)作用効果2
シャッタ駆動用開口88は、連通口58に対してシャッタ73の移動方向と直交する方向、つまり左右方向の両側に形成されている。そのため、シャッタ駆動用突起47からシャッタ73に、その移動のための駆動力を左右方向においてバランスよく与えることができる。その結果、シャッタ73を安定して移動させることができる。
(3)作用効果3
また、本体51には、シャッタ駆動用開口88と対向する位置に、逃がし用溝59が形成されている。そのため、シャッタ駆動用突起47をシャッタ駆動用開口88に挿通させて、その先端を逃がし用溝59に挿入することができる。これにより、シャッタ駆動用突起47とシャッタ駆動用開口88とを確実に係合させることができる。そして、逃がし用溝59は、シャッタ73の移動方向に延びている。そのため、シャッタ駆動用突起47とシャッタ駆動用開口88との係合状態を維持しつつ、シャッタ73を移動させることができる。
(4)作用効果4
連通口58は、本体51に複数形成されている。これにより、本体51内と現像器7との間でトナーを良好に流通させることができ、その流通量を大きく確保することができる。
(5)作用効果5
また、シャッタ73における開放位置から閉塞位置に向かう方向の下流側(閉方向下流側)の端縁に、シャッタ73の移動方向に対して傾斜する部分(傾斜部分)90が形成されている。そのため、シャッタ73が開放位置から閉塞位置に移動されるときに、トナーシール71に対するシャッタ73の接触幅が徐々に増大する。これにより、トナーシール71に対するシャッタ73の接触幅が急増することが防止され、シャッタ73の移動に対する抵抗が急増することが防止される。その結果、シャッタ73の円滑な移動を確保することができる。
【0091】
また、シャッタ73における閉方向下流側の端縁が直線的に延びる構成(傾斜部分90を有さない構成)では、シャッタ73が開放位置から閉塞位置に移動されるときに、その端縁がトナーシール71に引っ掛かり、シャッタ73の移動が阻害されるおそれがある。これに対し、傾斜部分90が形成されている構成では、シャッタ73が開放位置から閉塞位置に移動されるときに、トナーシール71に対して傾斜部分90が斜めに移動するため、シャッタ73の端縁がトナーシール71に引っ掛かることを防止できる。
(6)作用効果6
また、本体51には、シャッタ73に向けて突出するロック用突起103が形成されている。これに対応して、シャッタ73には、ロック用開口91,92が形成されている。ロック用突起103は、シャッタ73が閉塞位置に位置する状態で、ロック用開口91,92に係合する。これにより、シャッタ73の閉塞位置からの移動が阻止される。よって、トナーボックス11が現像器7から離脱されている状態でのシャッタ73の移動を確実に防止することができ、トナーボックス11からのトナーの漏出をより一層防止することができる。
(7)作用効果7
シャッタ73は、シャッタカバー72に覆われている。そのため、シャッタ73が手で直接に触られることを防止でき、トナーボックス11が現像器7から取り外された状態において、シャッタ73が手で操作されて、閉塞位置から開放位置に移動されることを防止できる。よって、トナーボックス11からのトナーの漏出を一層防止することができる。
(8)作用効果8
シャッタカバー72には、シャッタ駆動用開口88と対向する位置に、ガイド用開口85が形成されている。そのため、シャッタ駆動用突起47をガイド用開口85に挿通させて、シャッタ駆動用突起47のガイド用開口85から突出した部分とシャッタ駆動用開口88とを係合させることができる。そして、ガイド用開口85は、シャッタ73の移動方向に延びているので、シャッタ駆動用突起47は、シャッタ駆動用開口88と係合した状態でガイド用開口85内を移動可能である。よって、シャッタカバー72を備える構成において、シャッタ駆動用突起47とシャッタ駆動用開口88との係合状態を維持しつつ、シャッタ73を移動させることができる。
(9)作用効果9
また、シャッタカバー72には、連通口58と対向する位置に、トナー流通用開口83が形成されている。そのため、連通口58が開放された状態で、連通口58およびトナー流通用開口83を介して、本体51内と現像器7との間でトナーを流通させることができる。
(10)作用効果10
トナー流通用開口83の開口面積は、連通口58の開口面積よりも大きい。そのため、トナー流通用開口83から連通口58の全域を露出させることができるので、本体51内と現像器7との間でのトナーの流通がシャッタカバー72により阻害されることを防止できる。
(11)作用効果11
また、シャッタカバー72には、傾斜部84が形成されている。傾斜部84は、シャッタ73の移動方向に対して傾斜する部分をトナー流通用開口83の周縁の一部として有している。これにより、トナー流通用開口83におけるシャッタ73の移動方向と直交する方向の幅は、開放位置から閉塞位置に向かう方向の下流側ほど狭くなっている。そのため、シャッタ73が開放位置から閉塞位置に移動されるときに、シャッタカバー72に対するシャッタ73の接触幅が徐々に増大する。これにより、シャッタカバー72に対するシャッタ73の接触幅が急増することが防止され、シャッタ73の移動に対する抵抗が急増することが防止される。その結果、シャッタ73の円滑な移動を確保することができる。
【0092】
また、トナー流通用開口83が完全な矩形状をなし、シャッタカバー72に傾斜部84が形成されていない構成では、シャッタ73が開放位置から閉塞位置に移動されるときに、シャッタ73における閉方向下流側の端縁がシャッタカバー72におけるトナー流通用開口83の周縁に引っ掛かり、シャッタ73の移動が阻害されるおそれがある。これに対し、シャッタカバー72に傾斜部84が形成されている構成では、シャッタ73が開放位置から閉塞位置に移動されるときに、シャッタ73における閉方向下流側の端縁に対して傾斜部84が斜めに移動するため、そのシャッタ73の端縁がシャッタカバー72におけるトナー流通用開口83の周縁に引っ掛かることを防止できる。
(12)作用効果12
シャッタカバー72の厚さは、シャッタ73の厚さよりも小さい。そのため、シャッタカバー72が設けられていても、本体51と現像器7との間の間隔を小さく保つことができ、本体51内と現像器7との間でトナーを円滑に流通させることができる。
(13)作用効果13
シャッタカバー72は、フィルムからなり、その厚さは、0.03mm以上0.3mm以下であることが好ましく、0.08mm以上0.2mm以下であることがより好ましい。このような厚さのフィルムを用いることにより、シャッタカバー72を弾性変形可能に形成することができる。
【0093】
シャッタカバー72が弾性変形可能であるので、シャッタ73が開放位置から閉塞位置に移動されて、トナーシール71とシャッタカバー72との間にシャッタ73がトナーシール71を圧縮しつつ進入するときに、シャッタ73がトナーシール71から受ける反力をシャッタカバー72の変形により吸収することができる。そのため、シャッタ73を開放位置と閉塞位置との間で円滑に移動させることができる。また、シャッタカバー72を現像器7(シャッタ駆動部材44)の形状に合わせて変形させることができるので、トナーボックス11と現像器7との間のデッドスペースをなくすことができ、トナーボックス11および現像器7を含む構成の小型化、ひいてはカラープリンタ1の小型化を図ることができる。
(14)作用効果14
また、本体51には、位置決め用突起60が形成されている。位置決め用突起60は、本体51からシャッタカバー72に向けて突出している。そして、シャッタカバー72には、位置決め用突起60が係合する位置決め用開口80が形成されている。位置決め用突起60と位置決め用開口80とを係合させることにより、シャッタカバー72を本体51に対して位置決めすることができる。よって、トナーボックス11を組み立てるときに、シャッタカバー72を本体51に容易に取り付けることができる。
(15)作用効果15
シャッタ駆動部材44の樹脂からなる本体部441には、シャッタ73を移動させるための駆動力が入力される左ラックギヤ45が形成されている。これにより、左ラックギヤ45を容易に形成することができる。そして、左ラックギヤ45に駆動力が入力されることにより、シャッタ駆動部材44を移動させることができ、このシャッタ駆動部材44の移動に伴って、シャッタ73を開放位置と閉塞位置との間で移動させることができる。
(16)作用効果16
また、トナーシール71により連通口58の周囲が取り囲まれている。トナーシール71は、接着面77を備える弾性層75と、弾性層75における接着77面と反対側の面に配置されるメッシュ層76とを有している。メッシュ層76は、トナーの漏出を阻止しながら、空気の流通を許容する。そのため、温度変化などにより本体が変形したときに、メッシュ層76を通して本体51内から外部に空気が逃げ、これにより、その変形による本体51内の圧力(内圧)の上昇を押さえることができる。その結果、トナーシール71による良好なシール性を発揮し続けることができ、本体51とシャッタ73との間からのトナーの漏れを良好に防止することができる。
【0094】
また、シャッタ73の移動に伴ってシャッタ73とメッシュ層76とが摺擦するので、シャッタ73と弾性層75とが摺擦する場合と比較して、その摺擦時の抵抗が小さいので、シャッタ73を小さいトルクで移動させることができる。
(17)作用効果17
メッシュ層76は、本体51に沿う方向に空気を流通可能に形成されている。そのため、本体51とシャッタ73との間でトナーシール71がそれらの対向方向に圧縮されていても、本体51内の空気をメッシュ層76を通して外部に逃がすことができる。よって、トナーシール71によるトナーの良好なシール性を発揮することができながら、本体51内の空気を外部に良好に逃がすことができる。
(18)作用効果18
メッシュ層76を形成する繊維の間隔は、15μm以上50μm以下であることが好ましい。繊維の間隔がその範囲内であれば、メッシュ層76は、トナーに対するシール性を有しながら、空気を流通させることができる。
【0095】
また、メッシュ層76を形成する繊維の間隔は、25μm以上40μm以下であることがより好ましい。この場合、メッシュ層76は、トナーに対するさらに良好なシール性を有しながら、空気をスムーズに流通させることができる。
(19)作用効果19
メッシュ層76が平織りにより形成されているので、本体51とシャッタ73との間でトナーシール71がそれらの対向方向に圧縮された状態において、経糸78および緯糸79の各側方に空隙を確保することができ、空気を一様に流通させることができる。そのため、本体51内の空気を外部に良好に逃がすことができる。
(20)作用効果20
トナーシール71に取り囲まれる空間の開口面積は、連通口58の開口面積よりも大きい。そのため、トナーシール71に取り囲まれる空間である開口74を介して連通口58の全域を露出させることができるので、本体51内と現像器7との間でのトナーの流通がトナーシール71により阻害されることを防止できる。
(21)作用効果21
シャッタ73が開放位置に位置する状態では、シャッタ73が開放位置に位置する状態で、シャッタ73の後端縁(シャッタ73が開放位置から閉塞位置に移動する閉方向における下流側の端縁)がトナー流通用開口83の前端縁よりも前側に位置している。また、シャッタ73が閉塞位置に位置する状態では、シャッタ73は、シャッタカバー72におけるトナー流通用開口83の周囲の部分によって被覆される。そのため、シャッタ73は、開放位置および閉塞位置のどちらに位置する状態であっても、閉方向と直交する方向である左右方向の全幅にわたってシャッタカバー72に覆われる。したがって、シャッタ73に変形を生じさせる応力が作用しても、その変形がシャッタカバー72により抑えられる。よって、シャッタ73に変形が生じることを防止でき、その変形に起因するトナー漏れの発生を防止することができる。
(22)作用効果22
また、シャッタ73が開放位置に位置する状態では、トナーシール71における閉方向の下流側の端縁である後端縁とトナー流通用開口83の後端縁との間に隙間が形成される。すなわち、シャッタ73が開放位置に位置する状態では、トナーシール71における後端縁は、トナー流通用開口83に臨み、シャッタカバー72に覆われていない。そのため、シャッタ73が開放位置に位置する状態では、少なくともトナーシール71における後端縁がトナー流通用開口83を介して外側に突出する。よって、トナーボックス11が現像器7に装着された状態で、トナー流通用開口83から突出するトナーシール71を現像器7(フレームシール93)に当接させることができ、そのトナーシール71を利用して、トナーボックス11と現像器7との間のシールを達成することができる。その結果、本体51と現像器7との間の間隔を短くすることができ、それらの間からのトナー漏れの可能性をさらに低減することができる。
(23)作用効果23
さらに、シャッタ73が開放位置に位置する状態において、トナーシール71における閉方向と直交する方向である左右方向の両側端縁とトナー流通用開口83における左右方向の両側端縁との間にもそれぞれ隙間が形成される。これにより、シャッタ73が開放位置に位置する状態では、トナーシール71における後端縁に加えて、左右両端縁がシャッタカバー72に覆われない。そのため、シャッタ73が開放位置に位置する状態では、それらの3つの端縁がトナー流通用開口83を介して外側に突出する。その結果、トナーボックス11が現像器7に装着された状態で、トナーシール71と現像器7(フレームシール93)との接触面積が増大するので、トナーシール71によるトナーボックス11と現像器7との間のシール性の向上を図ることができる。
(24)作用効果24
トナーシール71において、連通口58に対して閉方向の上流側である前側(円弧面53の前端部側)に配置される部分の円弧面53に沿う方向の幅D1は、連通口58に対して閉方向の下流側である後側(円弧面53の後端部側)に配置される部分の円弧面53に沿う方向の幅D2よりも大きい。
【0096】
これにより、トナーシール71における前端部をシャッタカバー72と本体51との間に挟んだ状態で、トナーシール71における後端縁をシャッタカバー72から確実に露出させることができる。
(25)作用効果25
また、シャッタ73が開放位置に位置する状態では、シャッタ73における閉方向の下流側端部である前端部がトナーシール71とシャッタカバー72との間に配置される。すなわち、シャッタ73が開放位置に位置する状態において、シャッタ73における前端部がトナーシール71上から脱落しない。そのため、シャッタ73が開放位置から閉塞位置に移動されるときに、シャッタ73がトナーシール71にひっかかることがなく、シャッタ73を円滑に移動させることができる。
(26)作用効果26
また、シャッタ駆動部材44は、樹脂からなる本体部111と、金属薄板からなる補強板112とを備えている。本体部111に補強板112が重ね合わされることにより、シャッタ駆動部材44の剛性を確保することができ、シャッタ駆動部材44によるシャッタ73の安定した移動を達成することができる。
【0097】
また、シャッタ駆動用突起47は、樹脂からなる本体部111に形成されている。これにより、シャッタ駆動用突起47を容易に形成することができる。
【0098】
さらに、シャッタ駆動用突起47が補強板112の挿通口113に挿通されることにより、本体部111に対して補強板112を位置決めすることができながら、シャッタ駆動用突起47を補強板112から突出した状態に設けることができる。
7.変形例
(1)第1変形例
シャッタ73は、図12に示される構成に限らず、図21,22に示される構成であってもよい。
【0099】
図12に示されるシャッタ73には、シャッタ駆動用突起47(図10参照)が係合されるシャッタ駆動用開口88が貫通して形成されている。これに対し、図21,22に示されるシャッタ73には、シャッタ駆動用突起47が係合されるシャッタ駆動用凹部121が形成されている。この構成では、シャッタ駆動用凹部121の入口122がシャッタ駆動用開口の一例となる。
(2)第2変形例
トナーシール71は、図13に示される構成に限らず、図24に示される構成であってもよい。
【0100】
図13に示されるトナーシール71は、弾性層75とメッシュ層76との2層構造を有している。これに対し、図24に示されるトナーシール71では、メッシュ層76上に、さらに別のメッシュ層131が積層されている。
【0101】
トナーシール71が複数のメッシュ層76を有しているので、トナーボックス11の本体51(図12参照)内の空気を外部に一層良好に逃がすことができる。
(3)第3変形例
また、トナーシール71は、図25に示される構成であってもよい。すなわち、弾性層75とメッシュ層76とが交互に積層され、トナーシール71は、4層以上の積層構造を有していてもよい。
(4)第4変形例
また、トナーシール71は、図26に示されるように、シャッタ73に接着されていてもよい。
(5)第5変形例
さらに、図27に示されるように、本体51の円弧面53に接着されたトナーシール71に対向して接触するように、シャッタ73にトナーシール71と同様な構成の別のトナーシール141が接着されていてもよい。
(6)第6変形例
また、図16Aに示される構成では、シャッタ73が開放位置に位置する状態で、シャッタ73の後端縁がトナー流通用開口83の前端縁よりも前側に位置している。しかしながら、本体51の連通口58(好ましくは、連通口58およびトナーシール71の開口74)の全域が開放されれば、シャッタ73の後端縁がトナー流通用開口83の前端縁よりも後側に位置していてもよい。
(7)第7変形例
さらにまた、図16Bに示される状態では、シャッタカバー72におけるトナー流通用開口83の全周にわたって、その周囲の部分がシャッタ73と接触している。しかしながら、図26に示されるように、シャッタ73の形状によっては、シャッタ73が閉塞位置に位置する状態で、シャッタカバー72におけるトナー流通用開口83の周縁の一部がシャッタ73と接触していなくてもよい。
【0102】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0103】
7 現像器
11 トナーボックス
44 シャッタ駆動部材
45 左ラックギヤ
46 右ラックギヤ
47 シャッタ駆動用突起
51 本体
53 円弧面
58 連通口
59 逃がし用溝
60 位置決め用突起
71 トナーシール
72 シャッタカバー
73 シャッタ
75 弾性層
76 メッシュ層
77 接着面
78 経糸
79 緯糸
80 位置決め用開口
83 トナー流通用開口
85 ガイド用開口
88 シャッタ駆動用開口
91 ロック用開口
92 ロック用開口
93 フレームシール
103 ロック用突起
111 本体部
112 補強板
113 挿通口
121 シャッタ駆動用凹部
122 入口
131 メッシュ層
141 トナーシール
441 本体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にトナーを収容し、内外を連通する連通口を有する本体と、
前記連通口を開放する開放位置と前記連通口を閉塞する閉塞位置とに移動可能に設けられるシャッタと、
前記シャッタが前記閉塞位置に位置する状態で、前記本体と前記シャッタとの間に設けられ、前記連通口の周囲を取り囲むトナーシールとを備え、
前記トナーシールは、接着面を備える弾性層と、前記弾性層における前記接着面とは反対側の面に配置されるメッシュ層とを有する、トナーボックス。
【請求項2】
前記メッシュ層は、前記本体に沿う方向に空気を流通可能に形成されている、請求項1に記載のトナーボックス。
【請求項3】
前記メッシュ層を形成する繊維の間隔は、15μm以上50μm以下である、請求項1または2に記載のトナーボックス。
【請求項4】
前記メッシュ層を形成する繊維の間隔は、25μm以上40μm以下である、請求項3に記載のトナーボックス。
【請求項5】
前記トナーシールは、複数の前記メッシュ層を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナーボックス。
【請求項6】
前記複数のメッシュ層は、連続して重ねて積層されている、請求項5に記載のトナーボックス。
【請求項7】
前記弾性層と前記メッシュ層とが交互に積層されている、請求項5に記載のトナーボックス。
【請求項8】
前記メッシュ層は、平織りにより形成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のトナーボックス。
【請求項9】
前記トナーシールに取り囲まれる空間の開口面積は、前記連通口の開口面積よりも大きい、請求項1〜8のいずれか一項に記載のトナーボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−242552(P2011−242552A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113669(P2010−113669)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】