説明

トナー供給ローラ

【課題】発泡体層内に浸入するトナー量の低減を図ることで、トナー供給性を損なうことなくトナーのロスを低減して、トナーロスに起因するコストの削減と、良好な画像性とを両立させたトナー供給ローラを提供する。
【解決手段】シャフト1の外周に発泡体層3が担持されてなるトナー供給ローラである。発泡体層3が、0.02〜6.8cc/cm/sec、好適には0.02〜5.5cc/cm/sec、より好適には0.02〜0.1cc/cm/secの範囲内の通気性を有する発泡体を用いて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトナー供給ローラ(以下、単に「ローラ」とも称する)に関し、詳しくは、複写機やプリンタ、特にはレーザービームプリンタ(LBP)等の画像形成装置において、感光体や紙等の画像形成体にトナーを搬送してその表面に可視画像を形成する現像ローラに対しトナーを供給するために用いられるトナー供給ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置等における現像部には、図2に示すように、静電潜像を保持する感光体等の画像形成体11と、この画像形成体11に当接して表面に担持したトナー20を付着させることにより静電潜像を可視画像化する現像ローラ12と、この現像ローラ12にトナー20を供給するトナー供給ローラ13とが設けられており、トナー20を、トナー収容部14から、トナー供給ローラ13および現像ローラ12を介して画像形成体11まで搬送する一連のプロセスにより、画像形成が行われる。なお、図2中、符号15は成層ブレード、符号16は帯電ローラ、符号17は転写ローラ、符号18はクリーニング部、符号19はクリーニングブレード19を、それぞれ示す。
【0003】
このような現像機構において良好な画像形成を行うためには、トナーの薄層が現像ローラ表面にムラなく均一に形成されて担持されていることが必要となるので、現像ローラ自体のトナー保持性能等に加え、トナー供給ローラの性能、特には表面性能が重要となる。すなわち、トナー供給ローラには、現像ローラに当接して、摩擦帯電、トナーの供給(搬送)および不要トナーの掻き取りを行うことにより、現像ローラ表面上に均一なトナー層を形成することが要求される。
【0004】
上記要請を満足し得る良好な表面性能を備えたトナー供給ローラを得るために、従来より、様々な検討が重ねられてきている。かかるトナー供給ローラとしては、一般に、シャフトの外周に、ウレタンフォーム等の発泡体層を担持させた構成のものが知られている。このような発泡体層を有するトナー供給ローラにおいては、良好なトナー供給性を確保するために、発泡体層の通気性が重要となる。この発泡体層の通気性は、通常、トナー供給性とトナーパッキングの抑制との両立の観点から規定される。
【0005】
トナー供給ローラに係る改良技術として、例えば、特許文献1には、芯金と、その周面に設けられた発泡層とを備えるトナー供給ロールにおいて、発泡層の密度を0.1〜0.8g/cm、平均セル径を50〜300μm、通気度を5.0cm/cm/秒以下とする技術が開示されている。また、特許文献2には、樹脂発泡体またはゴム発泡体からなる発泡層を少なくとも外周に備えたトナー供給ローラにおいて、発泡層を、通気性が5ml/cm/s以下、密度が50kg/m以上で且つ200kg/m以下、ヒステリシスロス率が35%以上で且つ45%以下に規定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−290363号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開2007−333830号公報(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、発泡体層を用いたトナー供給ローラにおいては、使用時に発泡体層内にトナーが入り込むことで、現像に供されないトナーが生じ、結果として印刷に用いられるトナーに無駄が生ずるという問題があった。また、ローラ内に浸入したトナーが固化すると、ローラ表層の弾性率が変化して、画像不具合を引き起こすおそれもある。したがって、トナー供給ローラにおいて、トナー供給性を損なうことなく、発泡体層内に浸入するトナー量を低減して、トナーのロスを低減することが求められていた。
【0008】
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、トナー供給性を損なうことなく、発泡体層内に浸入するトナー量の低減を図ることでトナーのロスを低減して、トナーロスに起因するコストの削減と、良好な画像性とを両立させたトナー供給ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は鋭意検討した結果、発泡体層の通気性を、従来なかった低い範囲に規定することで、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明のトナー供給ローラは、シャフトの外周に発泡体層が担持されてなるトナー供給ローラにおいて、
前記発泡体層が、0.02〜6.8cc/cm/secの範囲内の通気性を有する発泡体を用いて形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明において、前記発泡体の通気性は、好適には0.02〜5.5cc/cm/sec、より好適には0.02〜0.1cc/cm/secの範囲内である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上記構成としたことにより、トナー供給性を損なうことなくトナーのロスを低減して、トナーロスに起因するコストの削減と、良好な画像性とを両立させたトナー供給ローラを実現することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のトナー供給ローラの一例を示す軸方向に直交する方向の断面図である。
【図2】本発明の画像形成装置の一例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明のトナー供給ローラの一例を示す軸方向に直交する方向の断面図を示す。図示するように、本発明のトナー供給ローラは、シャフト1の外周に、所望に応じ接着層2を介して、発泡体層3が担持されてなる構成を有する。
【0015】
本発明においては、発泡体層3に用いる発泡体の通気性が、0.02〜6.8cc/cm/sec、好適には0.02〜5.5cc/cm/sec、より好適には0.02〜0.1cc/cm/secの範囲内である点に特徴がある。発泡体の通気性を上記の低い範囲内に規定したことで、トナーがローラ内部に浸入する経路を遮断して、トナーの浸入量を低く抑えることができ、これにより、トナーのロスを低減して、トナー燃費の向上を図ることができるとともに、トナーの固化に起因する画像性の低下を防止することができる。一方で、通気性が上記範囲よりも低いと、トナー供給量が不十分となって、画質の低下を生じてしまう。ここで、上記発泡体の通気性は、JIS L 1096に準拠して測定された値である。
【0016】
本発明のローラにおいては、発泡体層3を構成する発泡体の通気性の値が上記範囲を満足するものであればよく、その具体的に構成および製造方法については、特に制限されるものではない。
【0017】
本発明のローラにおいて、シャフト1としては、特に制限されるものではなく、例えば、硫黄快削鋼などの鋼材にニッケルや亜鉛等のめっきを施したものや、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属製の中実体からなる芯金、内部を中空にくりぬいた金属製円筒体等の金属製シャフト等を用いることができる。
【0018】
接着層2は、シャフト1と発泡体層3との接着を確保するために所望に応じ適宜設けることができ、例えば、二液型ポリウレタン接着剤やエポキシ接着剤、ポリエステル接着剤、アクリル接着剤、アクリルエマルジョン接着剤、ウレタンエマルジョン接着剤などを用いて形成することができる。
【0019】
また、本発明において、発泡体層3は、ポリウレタンフォームやシリコーンフォーム等の発泡体により形成することができ、好適には、ポリウレタンフォームからなるものとする。かかるポリウレタンフォームとしては、例えば、2個以上の活性水素を有する化合物と2個以上のイソシアネート基を有する化合物を、触媒、発泡剤、整泡剤等の添加剤とともに攪拌混合して発泡・硬化させることにより製造されたものを用いることができる。
【0020】
本発明においては、具体的には例えば、ウレタンプレポリマーに、そのイソシアネート基に対して化学当量的に過剰の水量を供給する量の導電性炭素粒子の水分散液を加えて混合・発泡させて得られる導電性ポリウレタンフォームを用いることができる。この場合、ウレタンプレポリマーとして、ポリオキシエチレン連鎖含有量が全ポリオール量の30質量%以下であるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合ポリエーテル系ポリオールを化学当量的に過剰のイソシアネート成分と反応させることにより得られたプレポリマーを用いて、混合後の発泡を、大気圧下で自由発泡した場合のフォーム体積よりも小さい内容積を有するモールド内で行う。
【0021】
上記ウレタンプレポリマーの調製に使用するポリオールは、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスルトール、ソルビトール等の多価アルコールやアミン類等、2個以上の活性水素を含有する化合物の一種または二種以上に、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加して作製されるが、最終的に得られるポリオール中、エチレンオキサイドの付加により形成されるポリオキシエチレン連鎖が全ポリオール量の分子量中の30質量%以下であるポリオール単独、あるいは、ポリオキシエチレン連鎖を有するポリオールとそれを有しないポリオールとをブレンドして作製されたポリオール全量に対するポリオキシエチレン連鎖の量が30質量%以下になるよう調整したポリオールを用いる。
【0022】
上記ウレタンプレポリマーは、上記ポリオールに化学当量以上のイソシアネート成分を反応させて過剰のイソシアネート成分を含むよう調製されたものであり、ウレタンプレポリマー中のNCO基含有率が3〜30質量%であるものが望ましい。ウレタンプレポリマーのNCO基含有率が3質量%未満では、系の粘度が上昇して取扱いが困難となり、また、発生するガス量が少なくなることから発泡体の密度の制御も困難となる。一方、NCO基含有率が30質量%を超える場合、発生するガス量が多すぎて緻密なセルが得にくく、実用的ではない。
【0023】
上記ウレタンプレポリマーの調製に用いるイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、シクロヘキシル−メタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチルポリフェニルイソシアネート、粗TDI、粗MDI、変性MDI等が挙げられる。
【0024】
上記導電性炭素粒子を含む水分散液は、カーボンブラックまたはグラファイト等の導電性炭素粒子を界面活性剤等と共に水に分散したものであり、分散性や水分散液の粘度等の観点から、炭素粒子の含有量が5〜50質量%のものが好ましい。カーボンブラックの種類としては、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、カラーブラック等のいずれでもよい。
【0025】
上記導電性ポリウレタンフォームの製造に際しては、ウレタンプレポリマーと導電性炭素粒子の水分散液の他に、第3成分としてシリコン系整泡剤、アミン系、錫系の触媒に加え、必要に応じて低沸点の溶剤を補助発泡剤として用いることができるが、その種類等に関しては一般的なポリウレタン発泡体製造用のものが用いられ、特に制限はない。
【0026】
ウレタンプレポリマーと導電性炭素粒子の水分散液との混合比率としては、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対し化学当量的に過剰の水量となる量の導電性炭素の水分散液を加えるものとする。上記水分散液の比率が少ないと、最終的に得られるポリウレタンフォームに十分な導電性を付与するだけの導電性炭素を混入することが困難であり、また、発泡倍率が上昇して、緻密なセルが得られなくなる。水量の上限については特に制限されないが、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対し化学当量的に300倍以上の水量では、ウレタンプレポリマーとの相溶性の面から、均一混合が難しくなり好ましくない。
【0027】
上記製法において使用するモールドは密閉型のものが好ましく、モールド内容積は、少なくとも大気圧下での自由発泡で得られるフォーム体積よりも小さいものとする。このようなモールドを使用すれば、成形時にはモールド内は必然的に大気圧より高圧となるので、大気圧下の自由発泡ではセル荒れやクラック等が発生してしまうところ、モールド内で加圧成形されることによりセルが安定化するものと推測される。
【0028】
大気圧下での自由発泡体積に対するモールド内容積の比率については、少なくとも1より小さく、好ましくは0.5〜0.9の範囲とする。この比率が0.5以下では発泡時にモールドにかかる圧力が高くなるので型の設計が難しくなることと、製品のセルが独立気泡になってモールドの圧力を抜くのに時間がかかる等、生産性に難が生ずる。一方、この比率が0.9以上では、セルが粗になる傾向がある。
【0029】
本発明に係る発泡体としては、上記モールド内成形により得られる導電性ポリウレタンフォームの他、特許第3480028号公報に開示された手法で製造された、800〜3600の平均分子量差を有する2種類の単一ジオールを含む単一ジオールの混合物をポリオール成分に対して総量で50質量%以上含むポリエーテルポリオール、イソシアネート、水、触媒及び発泡剤を混合し、発泡させ、放置することにより製造されたポリウレタンフォームを用いることもできる。ここで、単一のジオールとは、1種のジオールまたは平均分子量の差が400以内の2種以上のジオール群を総称する意味に用いられる。また、平均分子量差とは、対象となるジオールが各々有する平均分子量の差分を表し、組み合わせが多種類ある場合には、特に、最大の差分を表す意味に用いられる。
【0030】
上記ポリウレタンフォームを製造する際に用いるポリエーテルポリオールは、(1)例えば、ジエチレングリコールにプロピレンオキサイドのみを付加させたタイプのポリエーテルポリオール、(2)例えば、ジエチレングリコールにプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドをブロックまたはランダムに付加させたタイプのポリエーテルポリオール、(3)上記(1)または(2)に、例えば、アクリルニトリルやスチレンをグラフトしたタイプのポリエーテルポリオール等を含み、特に制限されないが、より効果を発揮するためには、好ましくは(1)タイプのポリエーテルポリオールを用いる。
【0031】
上記ポリエーテルポリオールを製造するために用いられる開始剤としては、多価アルコール、多価フェノール、モノ若しくはポリアミン等が挙げられるが、好適には多価アルコールおよび多価フェノールであり、特に好適には多価アルコールであり、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等が挙げられ、中でもジエチレングリコールがより好ましい。
【0032】
また、上記ポリエーテルポリオール成分には、ジオール以外のポリオール成分も含み得る。このようなポリオール成分としては、通常、ポリウレタンフォームの製造に使用される3官能の、例えば、グリセリンベースにアルキレンオキサイド、例えば、プロピレンオキサイドを付加させたもの、2種のアルキレンオキサイド、例えば、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとをランダム若しくはブロックで付加させたもの、多官能のものとしては、例えば、サッカロースベースに上記と同様のものを付加させたポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0033】
上記イソシアネート成分としては、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等を、単独若しくは混合して使用することができ、中でも、トリレンジイソシアネートが特に好ましい。
【0034】
上記触媒および発泡剤としては、その種類および使用量に特に制限はなく、公知のものを適宜使用することができる。例えば、触媒としては、トリエチレンジアミン、テトラメチレンヘキサジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等のアミン触媒、スタナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート等の有機錫触媒が挙げられる。また、発泡剤としては、メチレンクロライド、フロン123、フロン141b等が挙げられる。
【0035】
さらに、上記自由発泡により得られるポリウレタンフォームには、上記の他に、各種の添加剤、例えば、難燃剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤、整泡剤等を適宜配合することができる。このうち整泡剤としては、具体的には例えば、各種のシロキサン、ポリアルキレンオキサイドブロック共重合体等が挙げられる。
【0036】
ここで、上記自由発泡により得られるポリウレタンフォームに導電性を付与する方法としては、上記ポリウレタンフォーム原料中にあらかじめ導電剤を配合する方法と、製造されたポリウレタンフォームに導電剤を含浸させる方法とがあるが、設計上の自由度が高いことから、後者の方法を用いることが好ましい。具体的には、ポリウレタンフォームに導電剤とバインダとを含む含浸液を含浸させて、導電性を付与する手法を用いることができる。この含浸液中の導電剤の量および含浸液の量を適宜選定することにより、ポリウレタンフォームの電気抵抗値を所定に決定することができ、トナー供給ローラとしての電気抵抗値を上記所定の範囲に調整することができる。
【0037】
上記導電剤としては、カーボンブラックやグラファイトなどの炭素質粒子、銀やニッケルなどの金属粉、酸化スズや酸化チタン、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物の単体、あるいは硫酸バリウムなどの絶縁性微粒子を芯体として上記導電性金属酸化物を湿式的に被覆したもの、導電性金属炭化物、導電性金属窒化物、導電性金属ホウ化物等から選択される1種または複数種の組み合わせを用いることができる。なお、コスト面からはカーボンブラックが好ましく、導電性制御のしやすさからは、導電性金属酸化物が好ましい。また、かかる導電剤としては、平均粒径が100nm以下、特には50nm以下の微細粒子を用いることが好ましい。
【0038】
含浸液に用いるバインダとしては、アクリル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、アクリル酸‐スチレン共重合体樹脂、アクリル酸‐酢酸ビニル共重合体樹脂等のアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、クロロプレンゴム等を例示することができる。特に好ましくは、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、クロロプレンゴムである。これらバインダは、単独で、または2種以上の混合物として用いることができる。導電剤を単独で含浸させてもポリウレタンフォームの気泡壁に強固に結合し得ないが、バインダを配合することにより、導電剤がポリウレタンフォームの気泡壁に強固に付着して、安定な導電性層をポリウレタンフォーム気泡内に形成することができる。
【0039】
上記導電剤とバインダとの配合比は、バインダの固形分100質量部に対して、導電剤の固形分が10〜110質量部、特には30〜50質量部であることが好ましい。導電剤の量が上記範囲を超えると、ポリウレタンフォームへの接着力が不十分になる傾向があり、上記範囲未満であると、トナー供給ローラの表面抵抗が安定しない傾向がある。
【0040】
なお、上記含浸液には、導電剤およびバインダに加えて、適量の水およびトルエン、酢酸エチル等の有機溶媒を添加することができる。これらの溶媒は、含浸液の粘度が5〜300cps(25℃)程度となるように添加することが好ましい。粘度をこの範囲内とすることにより、含浸付着作業がさらに容易となる。また、上記含浸液には、必要に応じて他の添加剤、例えば、鉱物油系消泡剤、シリコン系消泡剤、界面活性剤、荷電制御剤等を添加することができる。これらは、含浸液100質量部に対して0.001〜10質量部、特には0.001〜0.1質量部にて添加することが好ましい。
【0041】
上記含浸液を用いてポリウレタンフォームに導電性を付与する手法としては、例えば、粉末状の導電剤とバインダとを、必要に応じて他の添加剤とともに水または有機溶媒に分散・含有させて含浸液を準備し、この含浸液にブロック状のポリウレタンフォームを浸漬して、含浸液をポリウレタンフォームの気泡内に含浸させる。その後、ポリウレタンフォームを含浸液から取り出し、圧縮して余剰の含浸液を除去した後、加熱乾燥して水分等を除去することで、導電剤をバインダとともに、ポリウレタンフォームの気泡内に固着させることができる。
【0042】
なお、上記のうちモールドを用いた製法により得られた導電性ポリウレタンフォームは、比較的セル径が小さく、セルが連通する部分と独立セル部分とを含み、独立セル部分が比較的多いという特徴を有する。かかる導電性ポリウレタンフォームにおいては、配合の調整によりこの独立セル部分の比率を変えることで、上記発明の範囲の通気性が容易に得られる。また、かかる導電性ポリウレタンフォームの、密度は、好適には0.03〜0.13g/cmであり、平均セル径は、好適には210〜270μmの範囲である。導電性ポリウレタンフォームの密度が0.03g/cm未満であると、現像ローラ上の残留トナーを掻き取れず、正常な画質が得られないおそれがある。一方、導電性ポリウレタンフォームの密度が0.13g/cmを超えると、高硬度であるためにトナーにダメージを与え、やはり正常な画質を得られないおそれがある。
【0043】
また、上記のうち自由発泡を用いた製法により得られた導電性ポリウレタンフォームは、比較的セル径が大きく、基本的に連通セルからなる。かかる導電性ポリウレタンフォームにおいては、配合の調整により連通セルの比率を変えることで、上記発明の範囲の通気性を得ることができ、また、スコット処理(熱処理)等の除膜処理を施して、セルを連通させることもできる。この導電性ポリウレタンフォームの、密度は、好適には0.03〜0.10g/cmであり、平均セル径は、好適には340〜520μmの範囲である。導電性ポリウレタンフォームの密度が0.03g/cm未満であると、現像ローラ上の残留トナーを掻き取れず、正常な画質が得られないおそれがある。一方、導電性ポリウレタンフォームの密度が0.10g/cmを超えると、高硬度であるためにトナーにダメージを与え、やはり正常な画質を得られないおそれがある。
【0044】
上述のようにして得られたポリウレタンフォームからなる発泡体層3を用いたトナー供給ローラの製造は、例えば、以下のように行うことができる。すなわち、まず、適宜形状にて製造されたポリウレタンフォームから所望のサイズにてブロック状弾性体を切り出し、穴を開けて、所望に応じ接着層2を介してシャフト1を通す。その後、このブロック状発泡体の表面を研磨して円筒状のローラ形状に仕上げることで、本発明のトナー供給ローラを得ることができる。また、ポリウレタンフォームをシャフト1と一体的に形成した後、その不要部分を研磨して円筒状のローラ形状に仕上げる方法や、ローラ形状を有する型内で、ポリウレタンフォームをシャフト1と一体的に発泡成形する方法、ポリウレタンフォーム1をピーリング加工により円筒体として、ピーリング加工により生じたバリを溶融させる方法なども、適宜用いることが可能である。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<実施例1,2>
グリセリンにプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを付加して最終的にポリオキシエチレン連鎖の含有量を20質量%とした分子量5000のポリエーテル系ポリオール100gと、トリレンジイソシアネート(2,6異性体量20%:日本ポリウレタン(株)製:TDI80)25gとを反応させて、NCO含有量7.5質量%のウレタンプレポリマーを得た。
【0046】
このウレタンプレポリマー100gに、導電性カーボンブラック8質量%を含む導電性カーボン水分散液(ライオン(株)製:W−311N)25gと、反応活性化触媒としてのNメチルモルフォリン1g、トリエチルアミン0.3g、およびシリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製:L−520)1.5gとを秤量添加し、8秒間撹拌混合した後、直ちに内容積900cmのモールド内に注入した。この場合、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対して添加された水量は、化学当量で12倍であった。また、同一配合、同一量の原料を、大気圧下で自由発泡した場合の体積は1125cmであった。
【0047】
その後、発泡液が硬化するに要する時間(約10分)後に圧力を抜き、発泡体を取り出したところ、下記表中に示す密度、セル径および通気性を有する緻密なセルを持つ各導電性ポリウレタンフォームが得られた。なお、各上記発泡体の通気性は、JIS L 1096に準拠して測定した。
【0048】
<実施例3〜5および比較例1,2>
下記表中に示す密度およびセル径にて自由発泡にて作製されたポリウレタンフォーム((株)ブリヂストン製)を準備した。このうち比較例1,2のポリウレタンフォームについては、スコット処理により除膜処理を施した。その後、各ポリウレタンフォームの通気性を測定したところ、下記表中に示す値が得られた。なお、各上記発泡体の通気性は、JIS L 1096に準拠して測定した。
【0049】
次いで、バインダー(エネックス社製,SEバインダー,ウレタン樹脂水分散体)、固形分50質量%のシリコーン粉体 (東レ・ダウコーニング(株)製)(2.6g/L)、導電剤(ライオン社製,ライオンペーストW311N)および自己乳化型シリコーン系消泡剤を混合して、含浸液を調製した。上記含浸液を満たした浴中に、ブロック状(16mm×1000mm×2000mm)の上記ポリウレタンフォームを浸漬し、2本のロール間で圧縮した後、開放して、含浸液をウレタンフォームに含浸させた。これを浴上に導いて、ニップロールに通して余分な含浸液を絞り、除去した後、110℃の熱風炉にて10分間加熱乾燥し、各導電性ウレタンフォームを得た。なお、含浸液の付着量は、ブロック状ウレタンフォームを含浸液から取り出した後の圧縮の際の圧力によって調節するか、または、含浸液中のカーボン、シリコーン粉体およびバインダーの濃度を変更することにより、調節することができる。
【0050】
<ローラ加工>
上記により得られた各導電性ポリウレタンフォームのブロックを裁断し、20×20×230mmの角型の形状に切り出した。これに、長手方向に沿ってφ5mmのシャフト孔を穿孔した。次いで、このシャフト孔に、ウレタン系ホットメルト接着剤を約50μm厚に塗布した、Niメッキを施したφ6mmの鋼鉄材製シャフトを挿入し、加熱・冷却することにより、接着した。次いで、シャフトの両端を保持してフォームの外周を研削し、フォーム端部を切り落とすことで、直径11.5mm、長さ220mmの寸法精度の高いトナー供給ローラが得られた。
【0051】
<画像評価>
各トナー供給ローラを市販のレーザービームプリンタに装着し、初期および末期(5000枚印字後)における画質を評価した。結果は、100%ベタ画像を印字したときの、濃度とカスレ具合が、通常と遜色ない場合を○、どちらか一方が劣る場合を△、どちらも劣る場合を×として評価した。その結果を、下記の表中に示す。
【0052】
<浸入トナー量評価>
各トナー供給ローラの発泡体層内に浸入したトナー量は、以下のようにして評価した。まず、印字前のトナー供給ローラの質量を電子天秤にて測定した後(質量A)、このトナー供給ローラを市販のレーザービームプリンタに装着し、5000枚印字した。その後、トナー供給ローラを取り出し、表面のトナーを取り除いた後のトナー供給ローラの質量を電子天秤にて測定した(質量B)。その質量の増加分(質量B−質量A)を、侵入トナー量とした。その結果を、下記の表中に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
上記表中に示すように、通気性の値が本発明の範囲を満足する導電性ポリウレタンフォームを発泡体層に用いた各実施例のトナー供給ローラにおいては、画質を良好に保持しつつ、ローラ内に浸入するトナーの量を大幅に低減できることが確かめられた。
【符号の説明】
【0056】
1 シャフト
2 接着層
3 弾性体層
11 画像形成体
12 現像ローラ
13 トナー供給ローラ
14 トナー収容部
15 成層ブレード
16 帯電ローラ
17 転写ローラ
18 クリーニング部
19 クリーニングブレード
20 トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトの外周に発泡体層が担持されてなるトナー供給ローラにおいて、
前記発泡体層が、0.02〜6.8cc/cm/secの範囲内の通気性を有する発泡体を用いて形成されていることを特徴とするトナー供給ローラ。
【請求項2】
前記発泡体の通気性が、0.02〜5.5cc/cm/secの範囲内である請求項1記載のトナー供給ローラ。
【請求項3】
前記発泡体の通気性が、0.02〜0.1cc/cm/secの範囲内である請求項2記載のトナー供給ローラ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−11726(P2013−11726A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144158(P2011−144158)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】