トナー容器及び画像形成装置並びにIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法
【課題】 トナー容器からIDチップの脱着が容易となっており、且つ、IDチップを取り付けたトナー容器をリサイクルしたりリユースしたりする際に、トナー容器からIDチップを取り外す前にIDチップのメモリの書き換え回数を外部から視認することができ、トナー容器のリサイクル・リユースの作業時間を短縮することができるトナー容器を提供すること。
【解決手段】 容器本体50Yとキャップ51Yとを備えたトナー容器Y5において、IDチップDYをキャップ51Y又は容器本体50Yに取付部材(保護カバーCY)を介して脱着可能に取り付けると共に、取付部材(保護カバーCY)、キャップ51Y、容器本体50Yのいずれかの外部表面に突起(t1)を突設するか又は粘着テープを貼着してその表面に表記するかして、IDチップDYのメモリの書き換え回数を可視化する。
【解決手段】 容器本体50Yとキャップ51Yとを備えたトナー容器Y5において、IDチップDYをキャップ51Y又は容器本体50Yに取付部材(保護カバーCY)を介して脱着可能に取り付けると共に、取付部材(保護カバーCY)、キャップ51Y、容器本体50Yのいずれかの外部表面に突起(t1)を突設するか又は粘着テープを貼着してその表面に表記するかして、IDチップDYのメモリの書き換え回数を可視化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機、これらの複合機等の静電気力を利用した電子写真方式の画像形成装置に搭載されるトナー容器に関し、詳しくは、IDチップを取り付けたトナー容器のリサイクル・リユースの作業時間を短縮する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式による画像形成装置では、プロセスカートリッジの現像装置にトナーを供給するための新規トナーを収容するトナー容器(トナーボトル)をプロセスカートリッジとは別個に設けて画像形成装置本体に対して脱着自在に構成し、消耗品であるトナーだけをトナー容器ごと交換可能としてプロセスカートリッジの寿命を長くするようにした画像形成装置が知られている。
【0003】
また、このような脱着自在のトナー容器を備えた画像形成装置において、電子メモリ(ICなどの電子記憶媒体をいう、以下同じ)にトナー容器の製造番号などのトナー容器及びトナーに関する様々な個体識別管理に用いる情報(以下、ID情報という)を記憶させたもの(以下、IDチップという)をトナー容器に取り付け、画像形成装置本体側に電子メモリの読み書きを行うデータ処理装置(リーダ/ライタ)を設け、トナー容器を画像形成装置のトナー収容部に装着することにより端子同士が接触してデータ処理装置に電子メモリが電気的に接続され、ID情報がデータ処理装置に送られ、そのID情報をトナー供給動作の微調整などの様々な画像形成処理に利用する情報伝達を接触式としたトナー容器の個体識別管理の技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
更に、情報伝達を非接触式のものとしては、RFID(Radio Frequency IDentification)タグや非接触ICタグなどと呼ばれるアンテナ付き電子メモリにID情報を記憶させたIDチップをトナー容器に固着しておき、画像形成装置本体側に設けられたリーダ/ライタと電波により無線でID情報のやり取りをしてトナー容器の誤装着を未然に防止したりトナーの情報からトナー供給動作を微調整したりする技術が知られている(例えば、特許文献2、3)。
【0005】
しかし、接触式、非接触式を問わず、このようなIDチップが固着されたトナー容器に新しいトナーを再充填してリサイクルする際には、トナー容器の内部を水やエアーなどで高圧洗浄する必要があるが、IDチップは水や衝撃に弱いため、一旦トナー容器から取り外して洗浄・充填工程などのリサイクル処理の工程を経た後に再度取り付けなければならず面倒であるいという問題があった。また、一般的には、このようなIDチップやその取付部材は、トナー容器に熱溶着により固着されているため、取り外すことそのものに手間が掛かるという問題もあった。
【0006】
そして、トナー容器を破砕して原料としてリユースする際にも同様に、トナー容器とは異種原料であるIDチップやその取付部材を取り外さなければならないという問題があった。また、このとき、取り外されたIDチップの電子メモリは、初期化されて再利用されるが、この電子メモリには、書き込み(書き換え)回数に限界があり、誤作動を防止する観点から通常書き換え回数の制限(一般的なICでは10万回)が設けられている。しかし、この書き換え回数は、電子メモリをリーダ/ライタなどの装置で読み込まないと分らないため、IDチップやトナー容器のリサイクルやリユースの際の作業遅延の要因となっていた。
なお、IDチップの回路内に書き換え回数を表示する表示装置や書き換え回数の表示回路等を設けることは、不可能ではないが、小型化の要請に反するだけでなく、コストアップを招くため、現実問題としては困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、前記問題点を解決するべく、トナー容器からIDチップの脱着が容易となっており、且つ、IDチップを取り付けたトナー容器をリサイクルしたりリユースしたりする際に、トナー容器からIDチップを取り外す前にIDチップのメモリの書き換え回数を外部から視認することができ、トナー容器のリサイクル・リユースの作業時間を短縮することができるトナー容器、及びそのトナー容器を備えた画像形成装置、並びに、トナー容器の個体識別管理に用いるIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のトナー容器の発明は、容器本体とキャップとを備えたトナー容器において、前記キャップ又は容器本体に、IDチップが取付部材を介して脱着可能に取り付けられ、前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、前記IDチップのメモリの書き換え回数が可視化されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のトナー容器の発明は、請求項1に記載のトナー容器において、前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、突起が突設され、この突起が、前記メモリの書き換え回数に応じて滅損されることにより、前記メモリの書き換え回数が可視化されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載のトナー容器の発明は、請求項1に記載のトナー容器において、前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、粘着テープが貼着され、この粘着テープの外部表面に前記メモリの書き換え回数が表示されることにより、前記メモリの書き換え回数が可視化されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載のトナー容器の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器において、前記取付部材は、前記IDチップの外側を覆って保護する保護カバーを有し、この保護カバーは、裏面に前記IDチップが取り付けられたうえ、前記キャップ又は容器本体に脱着可能に装着されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載のトナー容器の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器において、前記取付部材は、前記IDチップの周囲を覆って保護する弾性材からなる保護枠体を有し、前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記保護枠体と嵌合する嵌合凹部が形成され、前記保護枠体が、前記嵌合凹部に嵌め込まれた状態で、これらを覆う可撓性フィルムが貼着されることにより、前記IDチップが前記キャップ又は容器本体に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載のトナー容器の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器において、前記取付部材は、弾性材からなる嵌合キャップを有し、前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記嵌合キャップと嵌合する嵌合凹部が形成され、前記IDチップには、嵌着用の嵌着穴が穿設され、前記嵌合キャップには、この嵌着穴と嵌合する嵌合突起が設けられており、前記嵌着穴に前記嵌合突起を挿通して前記IDチップを前記嵌合キャップに嵌着した状態で前記嵌合キャップを前記嵌合凹部に圧入することにより、前記IDチップが前記キャップ又は容器本体に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載のトナー容器の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器において、前記取付部材は、前記IDチップをスライド移動させて格納又は引き出し可能な格納部材を有し、前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記格納部材をスライド移動させて係合又は離脱可能な係合凸部が設けられており、前記格納部材が、前記IDチップを格納した状態でその引き出し面を塞ぐように前記係合凸部に係合されていることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の画像形成装置の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載のトナー容器が搭載されていることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載のIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法の発明は、トナー容器の個体識別管理に用いるIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法であって、前記IDチップをトナー容器に取り付ける取付部材又はトナー容器のいずれかの外部表面に突起を突設し、この突起を前記メモリの書き換え回数に応じて滅損することを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載のIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法の発明は、トナー容器の個体識別管理に用いるIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法であって、前記IDチップをトナー容器に取り付ける取付部材又はトナー容器のいずれかの外部表面に粘着テープを貼着し、この貼着テープの外部表面に前記メモリの書き換え回数を表記することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、前記のようであって、請求項1の発明によれば、容器本体とキャップとを備えたトナー容器において、前記キャップ又は容器本体に、IDチップが取付部材を介して脱着可能に取り付けられ、前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、前記IDチップのメモリの書き換え回数が可視化されているので、トナー容器からIDチップの脱着が容易となっており、且つ、IDチップを取り付けたトナー容器をリサイクルしたりリユースしたりする際に、トナー容器からIDチップを取り外す前にIDチップのメモリの書き換え回数を外部から視認することができるため、リーダ/ライタで読み込んで確認する手間を省くことができ、トナー容器のリサイクル・リユースの作業時間を短縮することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載のトナー容器において、前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、突起が突設され、この突起が、前記メモリの書き換え回数に応じて滅損されることにより、前記メモリの書き換え回数が可視化されているので、突起を押し潰したり折ったりするだけでIDチップのメモリの書き換え回数を可視化することができ、簡便な方法により前記作用効果を達成することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載のトナー容器において、前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、粘着テープが貼着され、この粘着テープの外部表面に前記メモリの書き換え回数が表示されることにより、前記メモリの書き換え回数が可視化されているので、粘着テープに書き換え回数を表記するという簡単な方法により、前記作用効果を達成することができるだけでなく、回数の数え・書き間違いの修正も簡単にすることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器において、前記取付部材は、前記IDチップの外側を覆って保護する保護カバーを有し、この保護カバーは、裏面に前記IDチップが取り付けられたうえ、前記キャップ又は容器本体に脱着可能に装着されているので、前記作用効果に加え、IDチップと保護カバーがセットとなっており、IDチップの破損や紛失のおそれが少なくなる。また、IDチップの脱着を、持ち易い保護カバーの脱着により行えるので、トナー容器のリサイクル・リユースの作業時間を更に短縮することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器において、前記取付部材は、前記IDチップの周囲を覆って保護する弾性材からなる保護枠体を有し、前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記保護枠体と嵌合する嵌合凹部が形成され、前記保護枠体が、前記嵌合凹部に嵌め込まれた状態で、これらを覆う可撓性フィルムが貼着されることにより、前記IDチップが前記キャップ又は容器本体に取り付けられているので、前記作用効果に加え、前記保護カバーのようなものが必要なくなり、可撓性フィルムという安価で薄肉の部材を使用しているため、省スペース化を図ることができると共に、部品コストの削減を図ることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器において、前記取付部材は、弾性材からなる嵌合キャップを有し、前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記嵌合キャップと嵌合する嵌合凹部が形成され、前記IDチップには、嵌着用の嵌着穴が穿設され、前記嵌合キャップには、この嵌着穴と嵌合する嵌合突起が設けられており、前記嵌着穴に前記嵌合突起を挿通して前記IDチップを前記嵌合キャップに嵌着した状態で前記嵌合キャップを前記嵌合凹部に圧入することにより、前記IDチップが前記キャップ又は容器本体に取り付けられているので、前記作用効果に加え、IDチップの脱着が嵌合キャップを嵌め込んだり、引き抜いたりするだけで行えるため、脱着を容易に行うことができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を更に短縮することができるだけでなく、保護カバーや、可撓性フィルムなどのIDチップを保護するための部材が必要なくなり、部品コストの削減を図ることができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器において、前記取付部材は、前記IDチップをスライド移動させて格納又は引き出し可能な格納部材を有し、前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記格納部材をスライド移動させて係合又は離脱可能な係合凸部が設けられており、前記格納部材が、前記IDチップを格納した状態でその引き出し面を塞ぐように前記係合凸部に係合されているので、前記作用効果に加え、取付部材である格納部材の脱着を容易に行えるだけでなく、IDチップを格納部材から脱着するのも摘んで引き出したり、押し込んだりするだけで行えるため、IDチップのリサイクルやリユースの際の作業時間を更に短縮することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1ないし7のいずれかに記載のトナー容器が搭載されているので、前記作用効果を画像形成装置において発揮することができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、トナー容器の個体識別管理に用いるIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法であって、前記IDチップをトナー容器に取り付ける取付部材又はトナー容器のいずれかの外部表面に突起を突設し、この突起を前記メモリの書き換え回数に応じて滅損するので、IDチップを取り付けたトナー容器をリサイクルしたりリユースしたりする際に、トナー容器からIDチップを取り外す前にIDチップのメモリの書き換え回数を外部から視認することができるため、リーダ/ライタで読み込んで確認する手間を省くことができ、トナー容器のリサイクル・リユースの作業時間を短縮することができる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、トナー容器の個体識別管理に用いるIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法であって、前記IDチップをトナー容器に取り付ける取付部材又はトナー容器のいずれかの外部表面に粘着テープを貼着し、この貼着テープの外部表面に前記メモリの書き換え回数を表記するので、IDチップを取り付けたトナー容器をリサイクルしたりリユースしたりする際に、トナー容器からIDチップを取り外す前にIDチップのメモリの書き換え回数を外部から視認することができるため、リーダ/ライタで読み込んで確認する手間を省くことができ、トナー容器のリサイクル・リユースの作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】カラープリンタ1の概略構成を正面透視状態で示す構成説明図である。
【図2】同上のプロセスカートリッジの概略構成を図1の部分拡大図で示す構成説明図である。
【図3】実施の形態に係るトナー容器を斜め上方から見た状態で示す斜視図である。
【図4】同上のトナー容器を下方から見た状態で示す斜視図である。
【図5】カラープリンタ1の外装パネルを取り外した状態でトナー収容部の近傍を主に示す斜視図である。
【図6】図5のトナー収容部の正面部分を覆うインナーパネルを示す正面図である。
【図7】図3、4のトナー容器の挿入口への挿入後、回転装着前の状況を示す正面図である。
【図8】同上のトナー容器との嵌合状況及びトナー補給装置の概略構成を示す鉛直断面図である。
【図9】主に実施の形態に係るリーダ/ライタの構成を示すブロック図である。
【図10】実施例1に係るIDタグユニットの構成を示す鉛直断面図である。
【図11】同上のIDタグユニットを下方から見た状態で示す斜視図である。
【図12】同上のIDタグユニットの保護カバーの突起の変形例を示す斜視図である。
【図13】実施例2に係るIDタグユニットの構成を示す鉛直断面図である。
【図14】同上のIDタグユニットを下方から見た状態で示す斜視図である。
【図15】実施例3に係るIDタグユニットの構成を示す鉛直断面図である。
【図16】同上のIDタグユニットを下方から見た状態で示す斜視図である。
【図17】実施例4に係るIDタグユニットの構成を示す鉛直断面図である。
【図18】同上のIDタグユニットを下方から見た状態で示す斜視図である。
【図19】実施例5に係るIDタグユニットの構成を示す鉛直断面図である。
【図20】同上のIDタグユニットを下方から見た状態で示す斜視図である。
【図21】実施例6に係るIDタグユニットの構成を示す鉛直断面図である。
【図22】同上のIDタグユニットを下方から見た状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。
【0030】
[画像形成装置の全体構成]
先ず、画像形成装置の全体構成について図1を用いて説明する。符号1は、本発明に係る画像形成装置の一実施例として示すタンデム型のカラープリンタであり、色材3原色と黒色からなるイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の4つのトナーからフルカラーの画像を形成する画像形成装置である。このカラープリンタ1は、装置全体の筐体である画像形成装置本体10と、この画像形成装置本体10の中央やや下部に配置され、前記4色のトナーを用いて各色のトナー像を形成する画像形成部11と、この画像形成部11の下方に配置され、後述の感光体ドラム上に静電潜像を書き込む光学ユニット12と、画像形成部11の上方に配置され、画像形成部11で形成されたトナー像をコピー用紙に転写する転写部13と、この転写部13の用紙搬送方向下流側となる装置本体10の一側寄りに配置され、トナー像をコピー用紙に定着する定着部14と、画像形成装置本体10の最下部に配置され、シート材であるコピー用紙を複数枚収容して1枚ずつ給紙する給紙部15と、画像形成装置本体10の上部であって定着部14の脇に配置され、画像が定着された用紙を積層載置して収容する胴内排紙型の排紙部16と、この排紙部16の下方に配置され、新規トナーを色毎に収容する4つのトナー容器が装着されるトナー収容部17などから構成されている。
【0031】
画像形成部11は、4色のトナー毎に設けられた略同じ構成からなり、画像形成装置本体10に対して脱着自在な4つのプロセスカートリッジ11Y,11M,11C,11Kから構成され、パソコンなどの他の情報機器から送信される画像情報に基づいて、各プロセスカートリッジにおいて対応するトナー色の画像を形成する機能を有している。このプロセスカートリッジ11Y,11M,11C,11Kは、図2に示すように、ドラム形状の潜像担持体である回転駆動可能な感光体ドラムY1(M1,C1,K1)が備えられ、この感光体ドラムY1(M1,C1,K1)を中心にその外周に沿って配設されている、感光体ドラムY1(M1,C1,K1)の外周表面を所定の電圧に一様に帯電して初期化する帯電装置Y2(M2,C2,K2)と、感光体ドラムY1(M1,C1,K1)の外周表面上に後述の光学ユニット12により形成された静電潜像にトナーを転移させてトナー像に現像する現像装置Y3(M3,C3,K3)と、後述の転写部13で転写され残った感光体ドラムY1(M1,C1,K1)の外周表面上の残留トナーをクリーニングするクリーニング装置Y4(M4,C4,K4)などから構成されている。
【0032】
光学ユニット12は、LD(レーザダイオード)等の光源と、走査用の回転多面鏡であるポリゴンミラー、それらを走査するポリゴンモータ、fθレンズ、ミラー等の走査光学系などから主に構成され、光源から後述の感光体ドラムの表面にレーザ光Lを照射して選択的に露光させ、静電潜像を書き込む露光装置(書き込み装置)である。
【0033】
転写部13は、画像形成装置本体10から取り外し可能に構成された中間転写ユニット130から主に構成されており、この中間転写ユニット130は、複数の張架ローラに張架され、回転駆動可能な可撓性を有する無端ベルトからなる中間転写ベルト131(中間転写体)と、図示しないバイアス電源に接続され、1次転写バイアスを印加して感光体ドラムY1,M1,C1,K1上に形成された各色のトナー像を静電気力で中間転写ベルト131外周面に転移させる4つの1次転写ローラ13Y,13M,13C,13Kとから主に構成され、中間転写ベルト131が感光体ドラムY1,M1,C1,K1と接触する転写ニップにおいて、1次転写ローラ13Y,13M,13C,13Kにより中間転写ベルト131にトナー像と逆極性の転写バイアスを印加して静電引力により中間転写ベルト131にトナー像を転写する機能を有している。
【0034】
また、転写部13には、図示しない付勢手段で付勢されて張架ローラの1つをバックアップローラとして中間転写ベルト131に圧接して2次転写ニップを形成する2次転写ローラ132が設けられており、この2次転写ローラは、図示しないバイアス電源に接続され、トナー像と逆極性の転写バイアスが印加可能となっている。
【0035】
定着部14は、ハロゲンヒータなどの発熱手段が設けられ加熱する定着ベルト14aと、この定着ベルト14aに付勢手段で付勢されて圧接し、定着ニップを形成する加圧ローラ14bと、から主に構成され、この定着ニップで未定着のトナー像を担持した用紙に、熱と圧力を加えて定着する定着装置である。また、この定着部14は、樹脂などの断熱性を有する材質からなるハウジング14cで装置本体10内の他の部位と区画され、熱が他の部分に伝播して悪影響を及ぼすのを低減するように構成されている。
【0036】
給紙部15は、シート材である所定の大きさの複数枚のコピー用紙の束を収容する給紙カセット150と、この給紙カセット150に収容されたコピー用紙の束の最上部にある用紙に圧接して回転することで搬送路Rにコピー用紙を給送するピックアップローラ151と、このピックアップローラ151に圧接されて複数枚同時に給送されたコピー用紙を1枚ずつに分離する分離装置152と、を備え、コピー用紙を2次転写ニップへ続く搬送路Rに1枚ずつ分離・供給する機能を有している。
【0037】
また、搬送路Rには、所定間隔毎に設けられてコピー用紙を搬送する複数の搬送ローラ対R1や、2次転写ニップへ用紙を搬送するタイミングを調整するレジストローラ対R2なども設けられている。
【0038】
排紙部16は、定着部14を通過して画像が定着されたコピー用紙を装置本体10から排紙する排紙ローラ対160,161と、この排紙ローラ対160,161により排紙・出力されたコピー用紙を積載・載置して収容する2つの排紙トレイ162,163と、から主に構成され、画像形成・定着後の用紙を載置してストックしておく部位(スペース)である。また、2つの排紙トレイ162,163は、図示しない切り替え爪等により排出先を切り替えて選択可能となっている。
【0039】
トナー収容部17は、トナー色毎に各色の新規トナーを収容するトナー容器である4つのトナーボトルY5,M5,C5,K5が装着可能なスペースであり、4つの挿入口17Y,17M,17C,17Kを有している。なお、トナーボトルY5,M5,C5,K5については、後で詳述する。
【0040】
(画像形成動作)
次に、カラープリンタ1の画像形成動作(作像プロセス)について図1を用いて説明する。
先ず、画像形成部11において各帯電装置Y2,M2,C2,K2により感光体ドラムY1,M1,C1,K1の外周表面がそれぞれ一様に帯電されて初期化される。そして、パソコンなど他の装置から制御手段(図示せず)に送られてきた画像情報を基に、初期化された感光体ドラムY1,M1,C1,K1の外周表面を光学ユニット12により選択的に露光して帯電電位のレベルを低下させることで感光体ドラムY1,M1,C1,K1の外周面上に静電潜像が形成される。次に、現像装置Y3,M3,C3,K3で現像ローラに担持したトナーに現像バイアスを印加することにより各色のトナーを静電潜像に転移させ、静電潜像がトナー像に現像される。
【0041】
そして、1次転写ニップにおいて各感光体ドラムY1,M1,C1,K1上に形成されたトナー像に各1次転写ローラ13Y,13M,13C,13Kから中間転写ベルト131を介してトナー像と逆極性の1次転写バイアスが印加され、静電引力により各感光体ドラムY1,M1,C1,K1の外周面から中間転写ベルト131に転写され、中間転写ベルト131上で重畳されてフルカラーのトナー像が形成される。
【0042】
一方、給紙部15では、制御手段(図示せず)により給紙カセット150から分離装置152によりコピー用紙が1枚ずつ分離されて搬送路Rに送り出される。そして、搬送路Rに送り出されたコピー用紙は、搬送ローラ対R1により搬送されてレジストローラ対R2まで到達して一旦停止する。そして、中間転写ベルト131上のフルカラーのトナー像が担持されている部分の2次転写ニップへの到達時間に合わせて、レジストローラ対R2の駆動が開始され、転写のタイミングが調整されてコピー用紙が2次転写ニップへ給紙される。
【0043】
2次転写ニップでは、中間転写ベルト131を介してコピー用紙にトナー像と逆極性の転写バイアスが印加され、中間転写ベルト131上のフルカラーのトナー像が静電引力によりコピー用紙に転写される。次に、定着部14では、定着ニップにおいて、この未定着のトナー像を担持するコピー用紙に熱と圧力が加えられ、溶融したトナーが用紙に浸透圧着されて定着する。画像が定着されたコピー用紙は、排紙ローラ対160,161により排紙トレイ162,163に排紙されてスタックされる。また、1次転写後も感光体ドラムY1,M1,C1,K1上に残留・付着する転写残トナーは、クリーニング装置Y4,M4,C4,K4のクリーニングブレードで掻き取ってクリーングされ、2次転写後も中間転写ベルト131上に残留する転写残トナーは、図示しないクリーニングユニットでクリーニングされ、次の画像形成に備えられる。
【0044】
(プロセスカートリッジ及び現像装置)
次に、カラープリンタ1のプロセスカートリッジ及び現像装置について図2を用いて更に詳細に説明する。前述の4つのプロセスカートリッジ11Y,11M,11C,11Kは、使用するトナーの色が相違するだけで、略同じ構成であるので、イエロー色のプロセスカートリッジ11Yを例に挙げて説明し、他は説明を省略する。
【0045】
前述のように、プロセスカートリッジ11Yは、図示しない駆動手段の駆動力が伝達可能となっており、図の矢印方向に回転駆動する感光体ドラムY1が設けられている。そして、この感光体ドラムY1を中心に回転方向上流側から帯電装置Y2、現像装置Y3、クリーニング装置Y4の順番に配設されている。符号13Yは、1次転写ローラ、符号131は、中間転写ベルトであり、1次転写ローラ13Yが、中間転写ベルト131を挟んで、感光体ドラムY1方向へ進退することで、1次転写ニップを形成・解除可能となっている。
【0046】
帯電装置Y2は、帯電ローラ20と、クリーニングローラ21などから構成され、帯電ローラ20は、図示しない電源に接続され、感光体ドラムY1の外周表面を一様に帯電させる機能を有し、クリーニングローラ21は、この帯電ローラ20に付着したトナー等をクリーニングする機能を有している。
【0047】
現像装置Y3は、(イエロー色の)トナーと磁性キャリアとを含有する現像剤を収容する現像ケース30と、現像剤を担持して感光体ドラムY1と近接対向する現像領域まで搬送し、感光体ドラムY1にトナーを供給する現像剤担持体としての現像ローラ31と、この現像ローラ31が担持する現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材としてのドクターブレード32と、現像ケース30内の現像剤を撹拌しながら帯電させ、現像ローラ31まで搬送する搬送スクリュー33,34、現像ケース30内のトナー濃度を検知する濃度検知センサ35などから構成されている。また、現像ローラ31は、回転駆動する現像スリーブ31aと、その内部に固設され、複数の磁極を有するマグネット31bと、からなり、図示しないバイアス電源に接続され現像バイアスを印加可能となっている。
【0048】
また、現像ケース30は、トナー補給口36において後述のトナー補給装置と連通し、濃度検知センサ35の計測値に基づいてトナー補給装置が作動してトナーボトルY5からトナーが供給され、現像ケース30内に収容される現像剤のトナー濃度は、所定の範囲内となるようになっている。
【0049】
クリーニング装置Y4は、先端が感光体ドラムY1の外周表面に当接するクリーニングブレード40と、このクリーニングブレード40を支持し、クリーニングブレード40で掻き取った廃トナーを収容するクリーニングケース41と、このクリーニングケース41内に溜まった廃トナーを図示しない廃トナー収容ボトルに向けて搬出する搬出スクリュー42などから構成されおり、1次転写後も感光体ドラムY1の外周面に付着する残留トナーを掻き取ってクリーニングする機能を有している。
【0050】
(現像装置の動作)
次に、現像装置の動作(現像プロセス)について、図2を用いて詳細に説明する。
先ず、トナー補給口36を介してトナー補給装置によりトナーボトルY5から供給されたトナーは、搬送スクリュー33,34により現像ローラ31まで搬送され、その間に現像ケース30内に収容されている磁性キャリアと撹拌されて、摩擦帯電により所望の帯電量に帯電される。
【0051】
次に、帯電された現像剤は、マグネット31bの磁力により磁性キャリアが引き付けられて現像ローラ31の外周表面に担持される。そして、現像スリーブ31aの回動に伴いドクターブレード32を通過し、その際、ドクターブレード32のブレード先端で層厚が規制される。更なる現像スリーブ31aの回動に伴って、現像ローラ31に担持された現像剤は、現像領域に運ばれ、そこで、現像バイアスが印加され、所定の極性に帯電したトナーだけが静電力により感光体ドラムY1の表面に担持されている静電潜像に転移する。
【0052】
磁性キャリア及び残留したトナーは、現像スリーブ31aの回動に伴って、マグネット31bの反発極まで達し、そこで、現像スリーブ31aの表面から離脱・落下し、搬送スクリュー34で他の現像剤と撹拌されて次回の現像に使用される。
【0053】
(トナー容器及びトナー補給装置)
次に、カラープリンタ1のトナー容器及びトナー補給装置について、図1、及び図3〜図8を用いて説明する。
図1に示したように、本実施例に係るカラープリンタ1には、各現像装置Y3,M3,C3,K3へ補給するための新規トナーを収容するトナー容器としてトナー色毎に設けられた4つのトナーボトルY5,M5,C5,K5がトナー収容部17の4つの挿入口17Y,17M,17C,17K(図5、6参照)に装着可能となっている。また、このトナーボトルY5,M5,C5,K5に収容された新規トナーは、トナー補給装置Y6,M6,C6,K6により現像装置Y3,M3,C3,K3へ補給可能となっている。なお、これらのトナーボトルY5,M5,C5,K5、トナー補給装置Y6,M6,C6,K6、及びその周辺部材は、使用するトナーの色が相違するだけで、その他は略同一構成のため、主にイエロー(Y)用のものを例に挙げて説明し、他は説明を省略する。
【0054】
[トナー容器]
先ず、本発明の実施の形態に係るトナー容器について図3、図4を用いて説明する。図3は、実施の形態に係るトナー容器を斜め上方から見た状態で示す斜視図であり、図4は、実施の形態に係るトナー容器を斜め上方から見た状態で示す斜視図である。但し、図4では、後述の容器本体の突起の図示を省略している。
【0055】
図3に示すように、本発明の実施の形態に係るトナー容器であるトナーボトルY5は、PET樹脂からなる一端が開口した水平方向に長い略円筒状の容器本体50Yと、この容器本体50Yの開口した一端に嵌着されて容器本体50Yを回転自在に保持するキャップ51Yと、から主に構成されている。この容器本体50Yは、キャップ51Y内と連通しており、螺旋状の突起50aYがその内周面から内側に向け凸状に形成されている。また、容器本体50Yは、駆動手段である図示しない駆動モータの駆動力が伝達可能に構成され、駆動モータにより所定方向に回転することで、内部に収容する新規トナーが螺旋状の突起50aYに案内されてキャップ51Yへ徐々に搬送される仕組みとなっている。
【0056】
キャップ51Yは、円筒キャップ状に形成されたキャップ本体510Yから主に構成され、このキャップ本体510Yの外周面には、装着時に後述のトナー補給装置Y6と連通するトナー供給口TH(図4、図8参照)が設けられている。また、キャップ51Yには、装着時に把手となる把持部511Y、トナー供給口THを開閉するシャッタ部材512Y、容器本体50Yを回転自在に係止する複数の係止爪513Y、画像形成装置本体10への装着時にガイドするガイドリブ514Y、シャッタ部材512Yの内部に設けられ、画像形成装置本体10への回転装着時に後述のトナー補給装置Y6の嵌合スリットと嵌合する嵌合部515Y(図8参照)なども設けられている。
【0057】
シャッタ部材512Yは、後述のトナーボトルの画像形成装置本体10への装着回転動作と連動してキャップ本体510Yの周面に沿って摺動し、キャップ本体510Yの外周面に設けられたトナー供給口TH(図4、図8参照)を開閉する機能を有し、係止爪513Yは、容器本体50Yの開口周りに形成された図示しない係合溝と係合して容器本体50Yを回転自在に係止する機能を有している。なお、ガイドリブ514Y、嵌合部515Yの機能については、後述の装着回転動作において説明する。
【0058】
また、図4に示すように、キャップ51Yの外周面には、トナーボトルY5の製造番号やトナーの属性情報などのトナーボトルY5に関するID情報(個体識別情報)が入力されたIDチップとしてアンテナ(図示せず)を有する電子メモリ(電子記憶媒体)を備えたRFIDタグTYが取り付けられている。このRFIDタグTYは、電子メモリとして無線通信でID情報が書き換え可能なICを有するIDチップDYと、このIDチップDYが裏面に貼着されて電子メモリを保護する保護カバーCYと、から主に構成されたIDタグユニットとしてユニット化され、キャップ51Yの外周面に脱着自在に構成されている。なお、このRFIDタグのトナーボトルへの脱着構成、及び保護カバーの詳細については後で詳述する。
【0059】
(装着回転動作)
次に、トナーボトルY5,M5,C5,K5の画像形成装置本体10への装着について図5〜図8を用いて説明する。
図5は、画像形成装置本体10のフロントカバーなどの外装パネルを取り外した状態を示しており、図6は、インナーパネルを抜き出して正面図として示したものである。図5に示すように、フロントカバーを開放すると前述の挿入口17Y,17M,17C,17Kが露呈する。これらの挿入口17Y,17M,17C,17Kは、図6に示すインナーパネルに形成されており、把持部511Yを掴んでトナーボトルY5,M5,C5,K5を容器本体50Y側から長手方向に挿入して画像形成装置本体10に装着する。
【0060】
この挿入口17Y(17M,17C,17K)には、図6に示すように、ガイドリブ514Yを挿通してガイドするガイドスリットS1と、シャッタ部材512Yを挿通する拡縁部S2が形成されており、トナーボトルY5のガイドリブ514Yを、画像形成装置本体10の挿入口17YのガイドスリットS1に合わせて、トナーボトルY5を挿入口17Yに挿入すると、キャップ本体510Yの周面から突出しているシャッタ部材512Yも拡縁部S2を支障なく通過できるように構成されている。
【0061】
また、このインナーパネル内側の挿入口17Y直下の手前、即ち、トナーボトルY5を根元まで画像形成装置本体10に挿入した際のキャップ51Yの直下には、後述のトナー補給装置Y6が配設されており、トナーボトルY5を根元まで画像形成装置本体10に挿入した後に、図7に示すように、図の矢印方向、即ち、正面から見て時計回りに把持部511Yを掴んだまま回転させて、図8に示すように、トナー補給装置Y6の嵌合部である嵌合スリット60cYと、キャップ51Yの嵌合部515Yとを嵌合させて、トナーボトルY5をトナー補給装置Y6に装着する。このとき、シャッタ部材512Yは、トナー補給装置Y6に当接して停止するため、把持部511Yの回転方向とは反対方向へキャップ51Yに対して相対的に移動することとなり、トナー供給口THを開放する。勿論、この嵌合スリット60cYは、トナー補給装置Y6に必ずしも設けられている必要はなく、画像形成装置本体10に設けられていてもよい。また、嵌着方法は、図示形態に限られず、トナーボトルY5とトナー補給装置Y6とがしっかりと密封(シール)されて連通され、トナー飛散を防げるように装着できればよい。
【0062】
(トナー補給装置)
次に、トナー補給装置Y6について、図8を用いて簡単に説明する。
図8に示すように、トナー補給装置Y6は、装置全体の収容ケースである補給装置本体60Yと、供給されるトナーを撹拌する撹拌部材61Yと、回転駆動してトナーを現像装置Y3へ搬送する搬送スクリュー62Yなどから構成されており、新規トナーを収容するトナー容器であるトナーボトルY5から現像装置Y3へトナーを搬送する機能を有している。
【0063】
この補給装置本体60Yの上端には、トナーボトルY5のトナー供給口THと連通するトナー取入口60aYが設けられ、下端には、現像装置Y3の現像ケース30内と連通するトナー補給口60bYが設けられている。また、このトナー取入口60aYには、前述のトナーボトルY5の嵌合部515Yと嵌合する嵌合スリット60cYが形成され、この嵌合スリット60cYにより、トナー供給口THとトナー取入口60aYとを嵌着・密封して連通することができ、結合部分から漏出するトナー飛散を防止することができる。
【0064】
撹拌部材61Yは、可撓性を有する可撓性部材61aYが回転駆動可能な軸61bYに沿って取り付けられており、この軸61bYを回動させて、可撓性部材61aYで撹拌し、トナーの凝集を防ぐ機能を有している。
【0065】
搬送スクリュー62Yは、回転駆動して図示の矢印方向に斜め上方へトナーを搬送し、自重により落下させてトナー補給口60bYから現像装置Y3へトナーを搬送させる機能を有している。このように、斜め上方へ重力に逆らって搬送させた後、自重により落下させて搬送するようにすることで、搬送スクリュー62Yを停止しても、補給装置本体60Yへ収容されているトナーが重力で落下して現像装置Y3へ搬送されることを防ぐことができ、より正確な量のトナーを搬送することができるようになっている。
【0066】
(リーダ/ライタ)
次に、図9を用いて、前述のRFIDタグTYのリーダ/ライタについて簡単に説明する。
プリンタ1のRFIDタグTYのリーダ/ライタRWは、RFID−R/Wボードから主に構成され、このRFID−R/Wボードは、信号の授受を行うCPUを備え、画像形成装置の制御ボードと双方向通信可能となっており、ガラスエポキシ樹脂等からなるボードを基体として、その表面に18μm厚の銅箔によるGNDパターンとループ状のパターンを持ったループアンテナとが形成されている。そして、その上にレジストコートが形成されて配線パターンが保護されるようになっている。
【0067】
このループアンテナは、各トナーボトルが前述のように画像形成装置本体10へ装着された状態で前述の各RFIDタグと対向する位置(各トナーボトルの真下)にそれぞれ計4つ設けられており、リーダ/ライタRWは、これらのループアンテナLY,LM,LC,LKから特定周波数の電波を放射して各RFIDタグのアンテナから反射されてくる微弱電波をループアンテナLY,LM,LC,LKで受信することによりRFIDタグの電子メモリに記憶されているID情報の読み込み、書き込みを行うよう構成されている。
【0068】
そのため、トナーボトルの個体識別を行うことができ、読み込んだID情報からトナーの属性情報などを読み出して、画像形成時の色の微調整等を行うことができるようになっている。また、ID情報を無線で読み書きすることができるので、配線を省略することができ、トナーボトルの装着の精度が厳しく要求されることがなくなる。それに加え、トナーボトルの交換時に、誤った色のトナーボトルが装着されても、それを検知してユーザに知らせるようにすることができる。
【実施例1】
【0069】
(IDタグユニット)
次に、図10、図11を用いて、IDタグユニットの一例として示す実施例1に係るRFIDタグの詳細構成について説明する。図10は、実施例1に係るRFIDタグの構成を示す鉛直断面図、図11は、実施例1に係るRFIDタグを下方から見た状態で示す斜視図である。
実施例1に係るRFIDタグTY1は、前述のように、アンテナを有して無線通信でID情報が書き換え可能なICを備えたIDチップDYと、このIDチップDYが裏面に貼着されてIDチップDYの外部を覆って保護する保護カバーCY1と、から主に構成され、この保護カバーCY1が、前述のキャップ51Yの外周表面に装着されることにより、RFIDタグTY1がトナーボトルY5に脱着自在に取り付けられている。
【0070】
このIDチップDYの電子メモリであるICは、回路の外部又は内部にアンテナを有し、このアンテナで前述のリーダ/ライタRWのループアンテナLYが発する電波を受けて、その電波をエネルギー源として記憶されているID情報の送信・書き換え等の動作を行うように構成されている。
【0071】
また、このIDチップDYは、図10に示すように、両面テープで保護カバーCY1の裏面(キャップ51Y側の面)に貼着されている。勿論、IDチップDYの保護カバーCY1への貼着は、接着剤などで接着されていても構わない。
【0072】
保護カバーCY1は、図11示すように、4つの嵌合部CY1a,CY1b,CY1c,CY1dを有した概形がテーブル状となっており、その外部面(キャップ51Yから遠い方の面)には、先端が半球形となった円柱状の突起t1が外側に向けて複数突設されている。
【0073】
なお、この突起は、図11に示した先端が半球形となった円柱状の突起t1ではなく、図12に示すような角柱状の突起t2であっても構わない。要するに、突起の形状は、外部面から突出しているものであればどのようなものであってもよい。
【0074】
そして、前述のキャップ51Yの外周表面には、図11に示すように、保護カバーCY1の4つの嵌合部CY1a,CY1b,CY1c,CY1dと対応する位置に、4つの嵌合穴k1a,k1b,k1c,k1dからなる嵌合凹部k1が設けられており、これらの嵌合穴k1a,k1b,k1c,k1dは、4つの嵌合部CY1a,CY1b,CY1c,CY1dより少し小さめに形成されているので、保護カバーCY1の嵌合部CY1a,CY1b,CY1c,CY1dが差し込まれることにより、保護カバーCY1がキャップ51Yに圧入されて嵌着される仕組みとなっている。
【0075】
このため、実施例1に係るRFIDタグTY1によれば、IDタグユニットの脱着が、RFIDタグTY1をトナーボトルY5のキャップ51Yから抜き差しするだけで行えるので、トナーボトルY5からIDチップDYやその取付部材である保護カバーCY1の脱着を容易に行うことができる。よって、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
【0076】
なお、図11及び図12に示した、突起t1や突起t2は、後述のように、IDチップDYの書き換え回数に応じて、押し潰されたり折られたりすることにより滅損されて電子メモリの書き換え回数が視認できるようになっており、一々IDチップDYをリーダ/ライタなどで読み込んで書き換え回数を確認する作業を省略することができ、更に、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
【実施例2】
【0077】
次に、図13、図14を用いて、実施例2に係るRFIDタグについて説明する。図13は、実施例2に係るRFIDタグの構成を示す鉛直断面図、図14は、実施例2に係るRFIDタグを下方から見た状態で示す斜視図である。実施例2に係るRFIDタグが、実施例1に係るRFIDタグと相違する点は、保護カバーの脚部の形状、及び保護カバーのキャップへの取付構造だけであり、電子メモリなどは同じ構成であるので、同じ構成のものは同一符号を付し、説明を省略する。
【0078】
実施例2に係るRFIDタグTY2の保護カバーCY2は、実施例1に係る保護カバーCY1の脚部が一対の係止爪CY2a,CY2bとなっており、これらと対応するトナーボトルY5のキャップ51Yの外周表面に、係止爪CY2a,CY2bと係合する凹部である係合凹部k2が形成され、この係合凹部k2には、係止爪CY2a,CY2bを掛け止める係合爪k2a,k2bが設けられている。
【0079】
また、IDチップDYは、保護カバーCY2の裏面に貼着されているのではなく、係止爪CY2a,CY2bが外側に開いた状態から元に戻る際の弾性復元力を利用して、保護カバーCY2の裏面の係止爪CY2a,CY2b間には嵌め込まれている。このため、両面テープでの貼着作業を省略することができ、両面テープの材料費と作業時間の短縮によるコスト削減を達成することができる。
【0080】
このように、実施例2に係るRFIDタグTY2によれば、IDタグユニットの脱着が、係止爪CY2a,CY2bを係合凹部k2に掛け止めたり解除したりするだけで行えるので、トナーボトルY5からIDチップDYやその取付部材である保護カバーCY2の脱着を容易に行うことができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。また、両面テープでIDチップDYを保護カバーCY2へ貼着する作業を省略してコスト削減を達成することができると共に、IDチップDYを保護カバーCY2から取り外すことも容易となり、更にトナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
【実施例3】
【0081】
次に、図15、図16を用いて、実施例3に係るRFIDタグについて説明する。
実施例3に係るRFIDタグTY3は、アンテナを有するICからなるIDチップDY’と、このIDチップDY’が裏面に嵌着されてIDチップDY’を保護する保護カバーCY3と、から主に構成されている。
【0082】
このIDチップDY’が、実施例2に係るIDチップDYと相違する点は、中央部に嵌着穴Dhが形成されている点だけであり、アンテナやメモリ機能等は同様の構成となっており、また、保護カバーCY3も、実施例2に係る保護カバーCY2と相違する点は、裏面に嵌着穴Dhと嵌合する嵌合突起CY3cが突設されているだけであり、係止爪CY3a,CY3bは、実施例2の係止爪CY2a,CY2bと同構成であり、外部面の突起t1も同構成となっている。
このため、嵌合突起CY3cからIDチップDY’を引き抜くだけで、IDチップDY’を保護カバーCY3から容易に取り外すことができる。
【0083】
そして、前述のキャップ51Yの外周表面には、図16に示すように、係止爪CY3a,CY3bと係合する凸部である係合凸部k3が形成され、この係合凸部k3には、係止爪CY3a,CY3bを掛け止める一対の係止棒k3a,k3bが設けられている。
【0084】
このように、実施例3に係るRFIDタグTY3によれば、IDタグユニットの脱着が、係止爪CY3a,CY3bを係合凸部k3に掛け止めたり解除したりするだけで行えるので、トナーボトルY5からIDチップであるIDチップDY’やその取付部材である保護カバーCY3の脱着を容易に行うことができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。また、実施例2に係るRFIDタグTY2と同様に、両面テープでIDチップDY’を保護カバーCY3へ貼着する作業を省略してコスト削減を達成することができると共に、IDチップDY’の保護カバーかCY3から取り外すことも容易となり、更にトナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
【実施例4】
【0085】
次に、図17、図18を用いて、実施例4に係るRFIDタグについて説明する。
実施例4に係るRFIDタグTY4は、実施例1に係るIDチップDYと同構成のアンテナを有するICからなるIDチップDYと、このIDチップDYを中央に収容して、その周囲を覆って保護する中空矩形状のスポンジ材(発泡樹脂材)からなる保護枠体WY4と、から主に構成されている。
【0086】
また、前述のキャップ51Yの外周表面には、保護枠体WY4より少し小さい嵌合凹部k4が形成され、この嵌合凹部k4に保護枠体WY4が嵌め込まれることにより、IDチップDYがキャップ51Yに装着されている。
そして、この嵌合凹部k4に保護枠体WY4及びIDチップDYが収容された状態で、これらを覆ってトナーなどの粉塵から保護するポリエステルフィルムからなる可撓性フィルムFYが両面テープで貼着され、IDチップDYがトナーボトルY5から脱落しないようになっており、保護枠体WY4及び可撓性フィルムFYがIDチップDYの取付部材としても機能している。
【0087】
このため、実施例4に係るRFIDタグTY4によれば、IDタグユニットの脱着が、保護枠体WY4を嵌合凹部k4に嵌め込んで両面テープで可撓性フィルムFYを貼ったり、この可撓性フィルムFYを剥がしたりするだけで行えるので、トナーボトルY5からIDチップDYやその取付部材である保護枠体WY4の脱着を容易に行うことができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
また、実施例1〜3の保護カバーのようなものが必要なくなり、可撓性フィルムFYという安価で薄肉の部材を使用しているため、省スペース化を図ることができると共に、部品コストの削減を図ることができる。
【0088】
なお、キャップ51Yの外周表面には、前述の保護カバーCY1〜CY3の突起t1と同様の突起t1が突設されており、IDチップDYの書き換え回数に応じて、この突起t1が押し潰されたり折られたりすることによりIDチップDYの書き換え回数が視認できるようになっている。このため、一々IDチップDYの電子メモリをリーダ/ライタなどで読み込んで書き換え回数を確認する作業を省略することができ、更に、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
【実施例5】
【0089】
次に、図19、図20を用いて、実施例5に係るRFIDタグについて説明する。
実施例5に係るRFIDタグTY5は、実施例3に係るIDチップDY’と同構成の中央に嵌着穴Dhを有するIDチップDY’と、この嵌着穴Dhに嵌合する嵌合突起Pを有する弾性樹脂からなる概略円筒状の嵌合キャップCY5と、から主に構成されている。
【0090】
また、前述のキャップ51Yの外周表面には、嵌合キャップCY5の径より少し小さく嵌合キャップCY5の高さより深い嵌合凹部k5が形成され、この嵌合凹部k5に嵌合キャップCY5を圧入して嵌め込むことにより、IDチップDY’がキャップ51Yの外周表面の内部に装着されている。
【0091】
このため、実施例5に係るRFIDタグTY5によれば、IDタグユニットの脱着が、嵌合凹部k5にIDチップDY’を嵌着した嵌合キャップCY5を嵌め込んだり、嵌合突起Pを掴んで引き抜いたりするだけで行えるので、トナーボトルY5からIDチップDY’やその取付部材である嵌合キャップCY5の脱着を容易に行うことができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
【0092】
それに加え、IDチップDY’をキャップ51Yの外周表面より深い位置に収容することによりIDチップDY’を保護しているので、実施例1〜3のような保護カバーや、実施例4の可撓性フィルムFYなどの電子メモリを保護するための部材が必要なくなり、部品コストの削減を図ることができる。
【0093】
なお、キャップ51Yの外周表面には、前述の保護カバーCY1〜CY3の突起t1と同様の突起t1が突設されており、IDチップDY’の書き換え回数に応じて、押し潰されたり折られたりすることによりIDチップDY’の書き換え回数が視認できるようになっている。このため、一々IDチップDY’をリーダ/ライタなどで読み込んで書き換え回数を確認する作業を省略することができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を更に短縮することができる。
【実施例6】
【0094】
次に、図21、図22を用いて、実施例6に係るRFIDタグについて説明する。
実施例6に係るRFIDタグTY6は、実施例1に係るIDチップDYと同構成のIDチップDYと、このIDチップDYをスライド移動させて格納又は引き出し可能な取付部材である格納部材CY6と、から主に構成されている。
【0095】
この格納部材CY6は、下面及び一側面が開口した形状の凹部CY6aが形成され、この凹部CY6aの側面には、IDチップDYの基板の厚さより少し大きい幅の一対の溝部CY6bが形成され、この一対の溝部CY6bにIDチップDYの基板の両端が差し込まれている。
このため、開口した下面から指を差し込んでIDチップDYを摘むことが可能となっており、IDチップDYをスライド移動させて格納部材CY6に格納したり、格納部材CY6から引き出したりすることが容易な構成となっている。
【0096】
また、前述のキャップ51Yの外周表面には、格納部材CY6をスライド移動させて係合又は脱離自在な係合凸部k6が設けられており、この係合凸部k6には、格納部材CY6を収納可能な大きさの下面及び一側面が開口した形状の収納凹部k6aが形成され、この収納凹部k6aの側面には、一対の係止爪k6bが設けられ、収納凹部k6aに収納された格納部材CY6が、この一対の係止爪k6bで掛け止められることにより、キャップ51Yの外周表面からRFIDタグTY6が脱落しないようになっている。
【0097】
そして、凹部CY6aの開口した側面(引き出し面)を係合凸部k6の収容凹部k6aの側面で塞ぐように格納部材CY6を収納しているので、格納部材CY6からIDチップDYが脱落するおそれもない。勿論、収容凹部k6aの背面で格納部材CY6の引き出し面を塞ぐようにしても構わない。要するに、収納凹部k6aの壁面(係合凸部k6の引き出し面と下面以外の面)で凹部CY6aの引き出し面を塞ぐように格納していればよい。
【0098】
このように、実施例6に係るRFIDタグTY6によれば、IDタグユニットの脱着が、嵌合凸部k6にIDチップDYを格納した格納部材CY6を引き出したり、押し込んだりするだけで行えるので、トナーボトルY5からIDチップDYやその取付部材である格納部材CY6の脱着を容易に行うことができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
【0099】
それに加え、IDチップDYを格納部材CY6から脱着するのもIDチップDYを摘んで引き出したり、押し込んだりするだけで行えるので、IDチップDYの取り外し作業も極めて短時間で行え、リサイクルやリユースの際の作業時間を更に短縮することができる。
【0100】
なお、キャップ51Yの外周表面には、前述の保護カバーCY1〜CY3の突起t1と同様の突起t1が突設されており、IDチップDYの書き換え回数に応じて、押し潰されたり折られたりすることによりIDチップDYの書き換え回数が視認できるようになっている。このため、一々IDチップDYをリーダ/ライタなどで読み込んで書き換え回数を確認する作業を省略することができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を更に短縮することができる。
【0101】
以上のように、本発明のIDタグユニットとして実施例1〜6に係るRFIDタグをトナー容器であるトナーボトルのキャップの外周面に取り付ける場合で説明したが、容器本体の外周面やキャップ又は容器本体の端面に取り付けてもよく、その場合でもIDタグユニットをトナー容器の個体識別管理に用いることができるのは明らかである。但し、トナー容器のキャップにIDタグユニットを取り付けた方が、キャップ自身が回転しないため、IDタグユニットが脱落するおそれも少なく、リーダ/ライタでIDチップを読み込む際にも都合がよい。
また、IDチップのメモリとして非接触式のアンテナ付きICを例に挙げて説明したが、勿論、接触式のICや磁気メモリなどの他の記憶媒体であっても構わない。
【0102】
[メモリの書き換え回数の可視化方法]
次に、トナー容器の個体識別管理に用いるメモリの書き換え回数の可視化方法について説明する。
前述した実施例1に係るRFIDタグTY1が取り付けられたトナーボトルY5を例示して説明すると、トナーボトルY5に新しいトナーを再充填してリサイクルする際に、IDチップDYのID情報が新しい内容に書き換えられる。また、トナーボトルY5を破砕してリユースする際にも、IDチップDYが取り外されて別の新しいトナーボトルのID情報に書き換えられる。
【0103】
このIDチップDYの書き換え回数に応じて、RFIDタグTY1の保護カバーCY1の外部面に突設された突起t1を押し潰すことにより、IDチップDYの書き換え回数をリーダ/ライタなどでIDチップDYを読み込むことをせずに視認することができる。
例えば、書き換え回数が5回に達すると突起t1をポンチなどで1つ押し潰すようにする。このとき、押し潰すのではなく、折っても構わないし、他の方法で突起を滅損しても構わない。そうすることで、電子メモリの書き換え回数が外部から一目瞭然となり一々電子メモリをリーダ/ライタなどで読み込んで書き換え回数を確認する作業を省略することができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
【0104】
勿論、突起t1は、形状などの限定はなく、前述のt2などの他の形状の突起であっても構わないし、突起が設けられている場所も、実施例1〜3のように、保護カバーの外部面でも、実施例4〜6のように、トナーボトルのキャップの外周表面であっても構わない。要するに、キャップの端面部分やトナーボトルの容器本体の外周面を含めて外部から視認できるトナー容器の外部表面に突起が設けられていればよい。
【0105】
なお、突起を滅損することで可視化する場合を説明したが、トナー容器の外部表面に紙テープなどの粘着テープを貼着し、そのテープ表面に電子メモリの書き換え回数を表記することでも可視化することが可能である。また、回数を直接表記するのではなく、文字や記号などを使って間接的に書き換え回数を表示するようにしてもよい。
【0106】
以上のように、実施の形態に係る画像形成装置としてタンデム型のカラープリンタを例に挙げて説明したが、必ずしもこのようなものに限られず、例えば、モノクロ用のプリンタやコピー機などにも本発明を適用することができる。要するに、IDチップを有するIDタグユニットが取り付けられているトナー容器を備えた画像形成装置には、本発明を適用することができる。また、トナー容器の形状やメモリの書き換え回数表示用の突起の形状なども、図示形態に限られず、特許請求の範囲に記載された範囲内において適宜、修正・変更できることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0107】
1 カラープリンタ(画像形成装置)
Y5,M5,C5,K5 トナーボトル(トナー容器)
50Y 容器本体
51Y キャップ
k1,k4,k5 嵌合凹部
k2 係合凹部
k3,k6 係合凸部
TY1,TY2,TY3,TY4,TY5,TY6 RFIDタグ(IDタグユニット)
DY,DY’ IDチップ
CY1,CY2,CY3 保護カバー(取付部材)
WY4 保護枠体(取付部材)
CY5 嵌合キャップ(取付部材)
CY6 格納部材(取付部材)
t1,t2 突起
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【特許文献1】特開2006−267992号公報
【特許文献2】特開2004−053761号公報
【特許文献3】特開2004−139031号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機、これらの複合機等の静電気力を利用した電子写真方式の画像形成装置に搭載されるトナー容器に関し、詳しくは、IDチップを取り付けたトナー容器のリサイクル・リユースの作業時間を短縮する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式による画像形成装置では、プロセスカートリッジの現像装置にトナーを供給するための新規トナーを収容するトナー容器(トナーボトル)をプロセスカートリッジとは別個に設けて画像形成装置本体に対して脱着自在に構成し、消耗品であるトナーだけをトナー容器ごと交換可能としてプロセスカートリッジの寿命を長くするようにした画像形成装置が知られている。
【0003】
また、このような脱着自在のトナー容器を備えた画像形成装置において、電子メモリ(ICなどの電子記憶媒体をいう、以下同じ)にトナー容器の製造番号などのトナー容器及びトナーに関する様々な個体識別管理に用いる情報(以下、ID情報という)を記憶させたもの(以下、IDチップという)をトナー容器に取り付け、画像形成装置本体側に電子メモリの読み書きを行うデータ処理装置(リーダ/ライタ)を設け、トナー容器を画像形成装置のトナー収容部に装着することにより端子同士が接触してデータ処理装置に電子メモリが電気的に接続され、ID情報がデータ処理装置に送られ、そのID情報をトナー供給動作の微調整などの様々な画像形成処理に利用する情報伝達を接触式としたトナー容器の個体識別管理の技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
更に、情報伝達を非接触式のものとしては、RFID(Radio Frequency IDentification)タグや非接触ICタグなどと呼ばれるアンテナ付き電子メモリにID情報を記憶させたIDチップをトナー容器に固着しておき、画像形成装置本体側に設けられたリーダ/ライタと電波により無線でID情報のやり取りをしてトナー容器の誤装着を未然に防止したりトナーの情報からトナー供給動作を微調整したりする技術が知られている(例えば、特許文献2、3)。
【0005】
しかし、接触式、非接触式を問わず、このようなIDチップが固着されたトナー容器に新しいトナーを再充填してリサイクルする際には、トナー容器の内部を水やエアーなどで高圧洗浄する必要があるが、IDチップは水や衝撃に弱いため、一旦トナー容器から取り外して洗浄・充填工程などのリサイクル処理の工程を経た後に再度取り付けなければならず面倒であるいという問題があった。また、一般的には、このようなIDチップやその取付部材は、トナー容器に熱溶着により固着されているため、取り外すことそのものに手間が掛かるという問題もあった。
【0006】
そして、トナー容器を破砕して原料としてリユースする際にも同様に、トナー容器とは異種原料であるIDチップやその取付部材を取り外さなければならないという問題があった。また、このとき、取り外されたIDチップの電子メモリは、初期化されて再利用されるが、この電子メモリには、書き込み(書き換え)回数に限界があり、誤作動を防止する観点から通常書き換え回数の制限(一般的なICでは10万回)が設けられている。しかし、この書き換え回数は、電子メモリをリーダ/ライタなどの装置で読み込まないと分らないため、IDチップやトナー容器のリサイクルやリユースの際の作業遅延の要因となっていた。
なお、IDチップの回路内に書き換え回数を表示する表示装置や書き換え回数の表示回路等を設けることは、不可能ではないが、小型化の要請に反するだけでなく、コストアップを招くため、現実問題としては困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、前記問題点を解決するべく、トナー容器からIDチップの脱着が容易となっており、且つ、IDチップを取り付けたトナー容器をリサイクルしたりリユースしたりする際に、トナー容器からIDチップを取り外す前にIDチップのメモリの書き換え回数を外部から視認することができ、トナー容器のリサイクル・リユースの作業時間を短縮することができるトナー容器、及びそのトナー容器を備えた画像形成装置、並びに、トナー容器の個体識別管理に用いるIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のトナー容器の発明は、容器本体とキャップとを備えたトナー容器において、前記キャップ又は容器本体に、IDチップが取付部材を介して脱着可能に取り付けられ、前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、前記IDチップのメモリの書き換え回数が可視化されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のトナー容器の発明は、請求項1に記載のトナー容器において、前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、突起が突設され、この突起が、前記メモリの書き換え回数に応じて滅損されることにより、前記メモリの書き換え回数が可視化されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載のトナー容器の発明は、請求項1に記載のトナー容器において、前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、粘着テープが貼着され、この粘着テープの外部表面に前記メモリの書き換え回数が表示されることにより、前記メモリの書き換え回数が可視化されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載のトナー容器の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器において、前記取付部材は、前記IDチップの外側を覆って保護する保護カバーを有し、この保護カバーは、裏面に前記IDチップが取り付けられたうえ、前記キャップ又は容器本体に脱着可能に装着されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載のトナー容器の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器において、前記取付部材は、前記IDチップの周囲を覆って保護する弾性材からなる保護枠体を有し、前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記保護枠体と嵌合する嵌合凹部が形成され、前記保護枠体が、前記嵌合凹部に嵌め込まれた状態で、これらを覆う可撓性フィルムが貼着されることにより、前記IDチップが前記キャップ又は容器本体に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載のトナー容器の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器において、前記取付部材は、弾性材からなる嵌合キャップを有し、前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記嵌合キャップと嵌合する嵌合凹部が形成され、前記IDチップには、嵌着用の嵌着穴が穿設され、前記嵌合キャップには、この嵌着穴と嵌合する嵌合突起が設けられており、前記嵌着穴に前記嵌合突起を挿通して前記IDチップを前記嵌合キャップに嵌着した状態で前記嵌合キャップを前記嵌合凹部に圧入することにより、前記IDチップが前記キャップ又は容器本体に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載のトナー容器の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器において、前記取付部材は、前記IDチップをスライド移動させて格納又は引き出し可能な格納部材を有し、前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記格納部材をスライド移動させて係合又は離脱可能な係合凸部が設けられており、前記格納部材が、前記IDチップを格納した状態でその引き出し面を塞ぐように前記係合凸部に係合されていることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の画像形成装置の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載のトナー容器が搭載されていることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載のIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法の発明は、トナー容器の個体識別管理に用いるIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法であって、前記IDチップをトナー容器に取り付ける取付部材又はトナー容器のいずれかの外部表面に突起を突設し、この突起を前記メモリの書き換え回数に応じて滅損することを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載のIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法の発明は、トナー容器の個体識別管理に用いるIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法であって、前記IDチップをトナー容器に取り付ける取付部材又はトナー容器のいずれかの外部表面に粘着テープを貼着し、この貼着テープの外部表面に前記メモリの書き換え回数を表記することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、前記のようであって、請求項1の発明によれば、容器本体とキャップとを備えたトナー容器において、前記キャップ又は容器本体に、IDチップが取付部材を介して脱着可能に取り付けられ、前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、前記IDチップのメモリの書き換え回数が可視化されているので、トナー容器からIDチップの脱着が容易となっており、且つ、IDチップを取り付けたトナー容器をリサイクルしたりリユースしたりする際に、トナー容器からIDチップを取り外す前にIDチップのメモリの書き換え回数を外部から視認することができるため、リーダ/ライタで読み込んで確認する手間を省くことができ、トナー容器のリサイクル・リユースの作業時間を短縮することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載のトナー容器において、前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、突起が突設され、この突起が、前記メモリの書き換え回数に応じて滅損されることにより、前記メモリの書き換え回数が可視化されているので、突起を押し潰したり折ったりするだけでIDチップのメモリの書き換え回数を可視化することができ、簡便な方法により前記作用効果を達成することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載のトナー容器において、前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、粘着テープが貼着され、この粘着テープの外部表面に前記メモリの書き換え回数が表示されることにより、前記メモリの書き換え回数が可視化されているので、粘着テープに書き換え回数を表記するという簡単な方法により、前記作用効果を達成することができるだけでなく、回数の数え・書き間違いの修正も簡単にすることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器において、前記取付部材は、前記IDチップの外側を覆って保護する保護カバーを有し、この保護カバーは、裏面に前記IDチップが取り付けられたうえ、前記キャップ又は容器本体に脱着可能に装着されているので、前記作用効果に加え、IDチップと保護カバーがセットとなっており、IDチップの破損や紛失のおそれが少なくなる。また、IDチップの脱着を、持ち易い保護カバーの脱着により行えるので、トナー容器のリサイクル・リユースの作業時間を更に短縮することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器において、前記取付部材は、前記IDチップの周囲を覆って保護する弾性材からなる保護枠体を有し、前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記保護枠体と嵌合する嵌合凹部が形成され、前記保護枠体が、前記嵌合凹部に嵌め込まれた状態で、これらを覆う可撓性フィルムが貼着されることにより、前記IDチップが前記キャップ又は容器本体に取り付けられているので、前記作用効果に加え、前記保護カバーのようなものが必要なくなり、可撓性フィルムという安価で薄肉の部材を使用しているため、省スペース化を図ることができると共に、部品コストの削減を図ることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器において、前記取付部材は、弾性材からなる嵌合キャップを有し、前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記嵌合キャップと嵌合する嵌合凹部が形成され、前記IDチップには、嵌着用の嵌着穴が穿設され、前記嵌合キャップには、この嵌着穴と嵌合する嵌合突起が設けられており、前記嵌着穴に前記嵌合突起を挿通して前記IDチップを前記嵌合キャップに嵌着した状態で前記嵌合キャップを前記嵌合凹部に圧入することにより、前記IDチップが前記キャップ又は容器本体に取り付けられているので、前記作用効果に加え、IDチップの脱着が嵌合キャップを嵌め込んだり、引き抜いたりするだけで行えるため、脱着を容易に行うことができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を更に短縮することができるだけでなく、保護カバーや、可撓性フィルムなどのIDチップを保護するための部材が必要なくなり、部品コストの削減を図ることができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器において、前記取付部材は、前記IDチップをスライド移動させて格納又は引き出し可能な格納部材を有し、前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記格納部材をスライド移動させて係合又は離脱可能な係合凸部が設けられており、前記格納部材が、前記IDチップを格納した状態でその引き出し面を塞ぐように前記係合凸部に係合されているので、前記作用効果に加え、取付部材である格納部材の脱着を容易に行えるだけでなく、IDチップを格納部材から脱着するのも摘んで引き出したり、押し込んだりするだけで行えるため、IDチップのリサイクルやリユースの際の作業時間を更に短縮することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1ないし7のいずれかに記載のトナー容器が搭載されているので、前記作用効果を画像形成装置において発揮することができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、トナー容器の個体識別管理に用いるIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法であって、前記IDチップをトナー容器に取り付ける取付部材又はトナー容器のいずれかの外部表面に突起を突設し、この突起を前記メモリの書き換え回数に応じて滅損するので、IDチップを取り付けたトナー容器をリサイクルしたりリユースしたりする際に、トナー容器からIDチップを取り外す前にIDチップのメモリの書き換え回数を外部から視認することができるため、リーダ/ライタで読み込んで確認する手間を省くことができ、トナー容器のリサイクル・リユースの作業時間を短縮することができる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、トナー容器の個体識別管理に用いるIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法であって、前記IDチップをトナー容器に取り付ける取付部材又はトナー容器のいずれかの外部表面に粘着テープを貼着し、この貼着テープの外部表面に前記メモリの書き換え回数を表記するので、IDチップを取り付けたトナー容器をリサイクルしたりリユースしたりする際に、トナー容器からIDチップを取り外す前にIDチップのメモリの書き換え回数を外部から視認することができるため、リーダ/ライタで読み込んで確認する手間を省くことができ、トナー容器のリサイクル・リユースの作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】カラープリンタ1の概略構成を正面透視状態で示す構成説明図である。
【図2】同上のプロセスカートリッジの概略構成を図1の部分拡大図で示す構成説明図である。
【図3】実施の形態に係るトナー容器を斜め上方から見た状態で示す斜視図である。
【図4】同上のトナー容器を下方から見た状態で示す斜視図である。
【図5】カラープリンタ1の外装パネルを取り外した状態でトナー収容部の近傍を主に示す斜視図である。
【図6】図5のトナー収容部の正面部分を覆うインナーパネルを示す正面図である。
【図7】図3、4のトナー容器の挿入口への挿入後、回転装着前の状況を示す正面図である。
【図8】同上のトナー容器との嵌合状況及びトナー補給装置の概略構成を示す鉛直断面図である。
【図9】主に実施の形態に係るリーダ/ライタの構成を示すブロック図である。
【図10】実施例1に係るIDタグユニットの構成を示す鉛直断面図である。
【図11】同上のIDタグユニットを下方から見た状態で示す斜視図である。
【図12】同上のIDタグユニットの保護カバーの突起の変形例を示す斜視図である。
【図13】実施例2に係るIDタグユニットの構成を示す鉛直断面図である。
【図14】同上のIDタグユニットを下方から見た状態で示す斜視図である。
【図15】実施例3に係るIDタグユニットの構成を示す鉛直断面図である。
【図16】同上のIDタグユニットを下方から見た状態で示す斜視図である。
【図17】実施例4に係るIDタグユニットの構成を示す鉛直断面図である。
【図18】同上のIDタグユニットを下方から見た状態で示す斜視図である。
【図19】実施例5に係るIDタグユニットの構成を示す鉛直断面図である。
【図20】同上のIDタグユニットを下方から見た状態で示す斜視図である。
【図21】実施例6に係るIDタグユニットの構成を示す鉛直断面図である。
【図22】同上のIDタグユニットを下方から見た状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。
【0030】
[画像形成装置の全体構成]
先ず、画像形成装置の全体構成について図1を用いて説明する。符号1は、本発明に係る画像形成装置の一実施例として示すタンデム型のカラープリンタであり、色材3原色と黒色からなるイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の4つのトナーからフルカラーの画像を形成する画像形成装置である。このカラープリンタ1は、装置全体の筐体である画像形成装置本体10と、この画像形成装置本体10の中央やや下部に配置され、前記4色のトナーを用いて各色のトナー像を形成する画像形成部11と、この画像形成部11の下方に配置され、後述の感光体ドラム上に静電潜像を書き込む光学ユニット12と、画像形成部11の上方に配置され、画像形成部11で形成されたトナー像をコピー用紙に転写する転写部13と、この転写部13の用紙搬送方向下流側となる装置本体10の一側寄りに配置され、トナー像をコピー用紙に定着する定着部14と、画像形成装置本体10の最下部に配置され、シート材であるコピー用紙を複数枚収容して1枚ずつ給紙する給紙部15と、画像形成装置本体10の上部であって定着部14の脇に配置され、画像が定着された用紙を積層載置して収容する胴内排紙型の排紙部16と、この排紙部16の下方に配置され、新規トナーを色毎に収容する4つのトナー容器が装着されるトナー収容部17などから構成されている。
【0031】
画像形成部11は、4色のトナー毎に設けられた略同じ構成からなり、画像形成装置本体10に対して脱着自在な4つのプロセスカートリッジ11Y,11M,11C,11Kから構成され、パソコンなどの他の情報機器から送信される画像情報に基づいて、各プロセスカートリッジにおいて対応するトナー色の画像を形成する機能を有している。このプロセスカートリッジ11Y,11M,11C,11Kは、図2に示すように、ドラム形状の潜像担持体である回転駆動可能な感光体ドラムY1(M1,C1,K1)が備えられ、この感光体ドラムY1(M1,C1,K1)を中心にその外周に沿って配設されている、感光体ドラムY1(M1,C1,K1)の外周表面を所定の電圧に一様に帯電して初期化する帯電装置Y2(M2,C2,K2)と、感光体ドラムY1(M1,C1,K1)の外周表面上に後述の光学ユニット12により形成された静電潜像にトナーを転移させてトナー像に現像する現像装置Y3(M3,C3,K3)と、後述の転写部13で転写され残った感光体ドラムY1(M1,C1,K1)の外周表面上の残留トナーをクリーニングするクリーニング装置Y4(M4,C4,K4)などから構成されている。
【0032】
光学ユニット12は、LD(レーザダイオード)等の光源と、走査用の回転多面鏡であるポリゴンミラー、それらを走査するポリゴンモータ、fθレンズ、ミラー等の走査光学系などから主に構成され、光源から後述の感光体ドラムの表面にレーザ光Lを照射して選択的に露光させ、静電潜像を書き込む露光装置(書き込み装置)である。
【0033】
転写部13は、画像形成装置本体10から取り外し可能に構成された中間転写ユニット130から主に構成されており、この中間転写ユニット130は、複数の張架ローラに張架され、回転駆動可能な可撓性を有する無端ベルトからなる中間転写ベルト131(中間転写体)と、図示しないバイアス電源に接続され、1次転写バイアスを印加して感光体ドラムY1,M1,C1,K1上に形成された各色のトナー像を静電気力で中間転写ベルト131外周面に転移させる4つの1次転写ローラ13Y,13M,13C,13Kとから主に構成され、中間転写ベルト131が感光体ドラムY1,M1,C1,K1と接触する転写ニップにおいて、1次転写ローラ13Y,13M,13C,13Kにより中間転写ベルト131にトナー像と逆極性の転写バイアスを印加して静電引力により中間転写ベルト131にトナー像を転写する機能を有している。
【0034】
また、転写部13には、図示しない付勢手段で付勢されて張架ローラの1つをバックアップローラとして中間転写ベルト131に圧接して2次転写ニップを形成する2次転写ローラ132が設けられており、この2次転写ローラは、図示しないバイアス電源に接続され、トナー像と逆極性の転写バイアスが印加可能となっている。
【0035】
定着部14は、ハロゲンヒータなどの発熱手段が設けられ加熱する定着ベルト14aと、この定着ベルト14aに付勢手段で付勢されて圧接し、定着ニップを形成する加圧ローラ14bと、から主に構成され、この定着ニップで未定着のトナー像を担持した用紙に、熱と圧力を加えて定着する定着装置である。また、この定着部14は、樹脂などの断熱性を有する材質からなるハウジング14cで装置本体10内の他の部位と区画され、熱が他の部分に伝播して悪影響を及ぼすのを低減するように構成されている。
【0036】
給紙部15は、シート材である所定の大きさの複数枚のコピー用紙の束を収容する給紙カセット150と、この給紙カセット150に収容されたコピー用紙の束の最上部にある用紙に圧接して回転することで搬送路Rにコピー用紙を給送するピックアップローラ151と、このピックアップローラ151に圧接されて複数枚同時に給送されたコピー用紙を1枚ずつに分離する分離装置152と、を備え、コピー用紙を2次転写ニップへ続く搬送路Rに1枚ずつ分離・供給する機能を有している。
【0037】
また、搬送路Rには、所定間隔毎に設けられてコピー用紙を搬送する複数の搬送ローラ対R1や、2次転写ニップへ用紙を搬送するタイミングを調整するレジストローラ対R2なども設けられている。
【0038】
排紙部16は、定着部14を通過して画像が定着されたコピー用紙を装置本体10から排紙する排紙ローラ対160,161と、この排紙ローラ対160,161により排紙・出力されたコピー用紙を積載・載置して収容する2つの排紙トレイ162,163と、から主に構成され、画像形成・定着後の用紙を載置してストックしておく部位(スペース)である。また、2つの排紙トレイ162,163は、図示しない切り替え爪等により排出先を切り替えて選択可能となっている。
【0039】
トナー収容部17は、トナー色毎に各色の新規トナーを収容するトナー容器である4つのトナーボトルY5,M5,C5,K5が装着可能なスペースであり、4つの挿入口17Y,17M,17C,17Kを有している。なお、トナーボトルY5,M5,C5,K5については、後で詳述する。
【0040】
(画像形成動作)
次に、カラープリンタ1の画像形成動作(作像プロセス)について図1を用いて説明する。
先ず、画像形成部11において各帯電装置Y2,M2,C2,K2により感光体ドラムY1,M1,C1,K1の外周表面がそれぞれ一様に帯電されて初期化される。そして、パソコンなど他の装置から制御手段(図示せず)に送られてきた画像情報を基に、初期化された感光体ドラムY1,M1,C1,K1の外周表面を光学ユニット12により選択的に露光して帯電電位のレベルを低下させることで感光体ドラムY1,M1,C1,K1の外周面上に静電潜像が形成される。次に、現像装置Y3,M3,C3,K3で現像ローラに担持したトナーに現像バイアスを印加することにより各色のトナーを静電潜像に転移させ、静電潜像がトナー像に現像される。
【0041】
そして、1次転写ニップにおいて各感光体ドラムY1,M1,C1,K1上に形成されたトナー像に各1次転写ローラ13Y,13M,13C,13Kから中間転写ベルト131を介してトナー像と逆極性の1次転写バイアスが印加され、静電引力により各感光体ドラムY1,M1,C1,K1の外周面から中間転写ベルト131に転写され、中間転写ベルト131上で重畳されてフルカラーのトナー像が形成される。
【0042】
一方、給紙部15では、制御手段(図示せず)により給紙カセット150から分離装置152によりコピー用紙が1枚ずつ分離されて搬送路Rに送り出される。そして、搬送路Rに送り出されたコピー用紙は、搬送ローラ対R1により搬送されてレジストローラ対R2まで到達して一旦停止する。そして、中間転写ベルト131上のフルカラーのトナー像が担持されている部分の2次転写ニップへの到達時間に合わせて、レジストローラ対R2の駆動が開始され、転写のタイミングが調整されてコピー用紙が2次転写ニップへ給紙される。
【0043】
2次転写ニップでは、中間転写ベルト131を介してコピー用紙にトナー像と逆極性の転写バイアスが印加され、中間転写ベルト131上のフルカラーのトナー像が静電引力によりコピー用紙に転写される。次に、定着部14では、定着ニップにおいて、この未定着のトナー像を担持するコピー用紙に熱と圧力が加えられ、溶融したトナーが用紙に浸透圧着されて定着する。画像が定着されたコピー用紙は、排紙ローラ対160,161により排紙トレイ162,163に排紙されてスタックされる。また、1次転写後も感光体ドラムY1,M1,C1,K1上に残留・付着する転写残トナーは、クリーニング装置Y4,M4,C4,K4のクリーニングブレードで掻き取ってクリーングされ、2次転写後も中間転写ベルト131上に残留する転写残トナーは、図示しないクリーニングユニットでクリーニングされ、次の画像形成に備えられる。
【0044】
(プロセスカートリッジ及び現像装置)
次に、カラープリンタ1のプロセスカートリッジ及び現像装置について図2を用いて更に詳細に説明する。前述の4つのプロセスカートリッジ11Y,11M,11C,11Kは、使用するトナーの色が相違するだけで、略同じ構成であるので、イエロー色のプロセスカートリッジ11Yを例に挙げて説明し、他は説明を省略する。
【0045】
前述のように、プロセスカートリッジ11Yは、図示しない駆動手段の駆動力が伝達可能となっており、図の矢印方向に回転駆動する感光体ドラムY1が設けられている。そして、この感光体ドラムY1を中心に回転方向上流側から帯電装置Y2、現像装置Y3、クリーニング装置Y4の順番に配設されている。符号13Yは、1次転写ローラ、符号131は、中間転写ベルトであり、1次転写ローラ13Yが、中間転写ベルト131を挟んで、感光体ドラムY1方向へ進退することで、1次転写ニップを形成・解除可能となっている。
【0046】
帯電装置Y2は、帯電ローラ20と、クリーニングローラ21などから構成され、帯電ローラ20は、図示しない電源に接続され、感光体ドラムY1の外周表面を一様に帯電させる機能を有し、クリーニングローラ21は、この帯電ローラ20に付着したトナー等をクリーニングする機能を有している。
【0047】
現像装置Y3は、(イエロー色の)トナーと磁性キャリアとを含有する現像剤を収容する現像ケース30と、現像剤を担持して感光体ドラムY1と近接対向する現像領域まで搬送し、感光体ドラムY1にトナーを供給する現像剤担持体としての現像ローラ31と、この現像ローラ31が担持する現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材としてのドクターブレード32と、現像ケース30内の現像剤を撹拌しながら帯電させ、現像ローラ31まで搬送する搬送スクリュー33,34、現像ケース30内のトナー濃度を検知する濃度検知センサ35などから構成されている。また、現像ローラ31は、回転駆動する現像スリーブ31aと、その内部に固設され、複数の磁極を有するマグネット31bと、からなり、図示しないバイアス電源に接続され現像バイアスを印加可能となっている。
【0048】
また、現像ケース30は、トナー補給口36において後述のトナー補給装置と連通し、濃度検知センサ35の計測値に基づいてトナー補給装置が作動してトナーボトルY5からトナーが供給され、現像ケース30内に収容される現像剤のトナー濃度は、所定の範囲内となるようになっている。
【0049】
クリーニング装置Y4は、先端が感光体ドラムY1の外周表面に当接するクリーニングブレード40と、このクリーニングブレード40を支持し、クリーニングブレード40で掻き取った廃トナーを収容するクリーニングケース41と、このクリーニングケース41内に溜まった廃トナーを図示しない廃トナー収容ボトルに向けて搬出する搬出スクリュー42などから構成されおり、1次転写後も感光体ドラムY1の外周面に付着する残留トナーを掻き取ってクリーニングする機能を有している。
【0050】
(現像装置の動作)
次に、現像装置の動作(現像プロセス)について、図2を用いて詳細に説明する。
先ず、トナー補給口36を介してトナー補給装置によりトナーボトルY5から供給されたトナーは、搬送スクリュー33,34により現像ローラ31まで搬送され、その間に現像ケース30内に収容されている磁性キャリアと撹拌されて、摩擦帯電により所望の帯電量に帯電される。
【0051】
次に、帯電された現像剤は、マグネット31bの磁力により磁性キャリアが引き付けられて現像ローラ31の外周表面に担持される。そして、現像スリーブ31aの回動に伴いドクターブレード32を通過し、その際、ドクターブレード32のブレード先端で層厚が規制される。更なる現像スリーブ31aの回動に伴って、現像ローラ31に担持された現像剤は、現像領域に運ばれ、そこで、現像バイアスが印加され、所定の極性に帯電したトナーだけが静電力により感光体ドラムY1の表面に担持されている静電潜像に転移する。
【0052】
磁性キャリア及び残留したトナーは、現像スリーブ31aの回動に伴って、マグネット31bの反発極まで達し、そこで、現像スリーブ31aの表面から離脱・落下し、搬送スクリュー34で他の現像剤と撹拌されて次回の現像に使用される。
【0053】
(トナー容器及びトナー補給装置)
次に、カラープリンタ1のトナー容器及びトナー補給装置について、図1、及び図3〜図8を用いて説明する。
図1に示したように、本実施例に係るカラープリンタ1には、各現像装置Y3,M3,C3,K3へ補給するための新規トナーを収容するトナー容器としてトナー色毎に設けられた4つのトナーボトルY5,M5,C5,K5がトナー収容部17の4つの挿入口17Y,17M,17C,17K(図5、6参照)に装着可能となっている。また、このトナーボトルY5,M5,C5,K5に収容された新規トナーは、トナー補給装置Y6,M6,C6,K6により現像装置Y3,M3,C3,K3へ補給可能となっている。なお、これらのトナーボトルY5,M5,C5,K5、トナー補給装置Y6,M6,C6,K6、及びその周辺部材は、使用するトナーの色が相違するだけで、その他は略同一構成のため、主にイエロー(Y)用のものを例に挙げて説明し、他は説明を省略する。
【0054】
[トナー容器]
先ず、本発明の実施の形態に係るトナー容器について図3、図4を用いて説明する。図3は、実施の形態に係るトナー容器を斜め上方から見た状態で示す斜視図であり、図4は、実施の形態に係るトナー容器を斜め上方から見た状態で示す斜視図である。但し、図4では、後述の容器本体の突起の図示を省略している。
【0055】
図3に示すように、本発明の実施の形態に係るトナー容器であるトナーボトルY5は、PET樹脂からなる一端が開口した水平方向に長い略円筒状の容器本体50Yと、この容器本体50Yの開口した一端に嵌着されて容器本体50Yを回転自在に保持するキャップ51Yと、から主に構成されている。この容器本体50Yは、キャップ51Y内と連通しており、螺旋状の突起50aYがその内周面から内側に向け凸状に形成されている。また、容器本体50Yは、駆動手段である図示しない駆動モータの駆動力が伝達可能に構成され、駆動モータにより所定方向に回転することで、内部に収容する新規トナーが螺旋状の突起50aYに案内されてキャップ51Yへ徐々に搬送される仕組みとなっている。
【0056】
キャップ51Yは、円筒キャップ状に形成されたキャップ本体510Yから主に構成され、このキャップ本体510Yの外周面には、装着時に後述のトナー補給装置Y6と連通するトナー供給口TH(図4、図8参照)が設けられている。また、キャップ51Yには、装着時に把手となる把持部511Y、トナー供給口THを開閉するシャッタ部材512Y、容器本体50Yを回転自在に係止する複数の係止爪513Y、画像形成装置本体10への装着時にガイドするガイドリブ514Y、シャッタ部材512Yの内部に設けられ、画像形成装置本体10への回転装着時に後述のトナー補給装置Y6の嵌合スリットと嵌合する嵌合部515Y(図8参照)なども設けられている。
【0057】
シャッタ部材512Yは、後述のトナーボトルの画像形成装置本体10への装着回転動作と連動してキャップ本体510Yの周面に沿って摺動し、キャップ本体510Yの外周面に設けられたトナー供給口TH(図4、図8参照)を開閉する機能を有し、係止爪513Yは、容器本体50Yの開口周りに形成された図示しない係合溝と係合して容器本体50Yを回転自在に係止する機能を有している。なお、ガイドリブ514Y、嵌合部515Yの機能については、後述の装着回転動作において説明する。
【0058】
また、図4に示すように、キャップ51Yの外周面には、トナーボトルY5の製造番号やトナーの属性情報などのトナーボトルY5に関するID情報(個体識別情報)が入力されたIDチップとしてアンテナ(図示せず)を有する電子メモリ(電子記憶媒体)を備えたRFIDタグTYが取り付けられている。このRFIDタグTYは、電子メモリとして無線通信でID情報が書き換え可能なICを有するIDチップDYと、このIDチップDYが裏面に貼着されて電子メモリを保護する保護カバーCYと、から主に構成されたIDタグユニットとしてユニット化され、キャップ51Yの外周面に脱着自在に構成されている。なお、このRFIDタグのトナーボトルへの脱着構成、及び保護カバーの詳細については後で詳述する。
【0059】
(装着回転動作)
次に、トナーボトルY5,M5,C5,K5の画像形成装置本体10への装着について図5〜図8を用いて説明する。
図5は、画像形成装置本体10のフロントカバーなどの外装パネルを取り外した状態を示しており、図6は、インナーパネルを抜き出して正面図として示したものである。図5に示すように、フロントカバーを開放すると前述の挿入口17Y,17M,17C,17Kが露呈する。これらの挿入口17Y,17M,17C,17Kは、図6に示すインナーパネルに形成されており、把持部511Yを掴んでトナーボトルY5,M5,C5,K5を容器本体50Y側から長手方向に挿入して画像形成装置本体10に装着する。
【0060】
この挿入口17Y(17M,17C,17K)には、図6に示すように、ガイドリブ514Yを挿通してガイドするガイドスリットS1と、シャッタ部材512Yを挿通する拡縁部S2が形成されており、トナーボトルY5のガイドリブ514Yを、画像形成装置本体10の挿入口17YのガイドスリットS1に合わせて、トナーボトルY5を挿入口17Yに挿入すると、キャップ本体510Yの周面から突出しているシャッタ部材512Yも拡縁部S2を支障なく通過できるように構成されている。
【0061】
また、このインナーパネル内側の挿入口17Y直下の手前、即ち、トナーボトルY5を根元まで画像形成装置本体10に挿入した際のキャップ51Yの直下には、後述のトナー補給装置Y6が配設されており、トナーボトルY5を根元まで画像形成装置本体10に挿入した後に、図7に示すように、図の矢印方向、即ち、正面から見て時計回りに把持部511Yを掴んだまま回転させて、図8に示すように、トナー補給装置Y6の嵌合部である嵌合スリット60cYと、キャップ51Yの嵌合部515Yとを嵌合させて、トナーボトルY5をトナー補給装置Y6に装着する。このとき、シャッタ部材512Yは、トナー補給装置Y6に当接して停止するため、把持部511Yの回転方向とは反対方向へキャップ51Yに対して相対的に移動することとなり、トナー供給口THを開放する。勿論、この嵌合スリット60cYは、トナー補給装置Y6に必ずしも設けられている必要はなく、画像形成装置本体10に設けられていてもよい。また、嵌着方法は、図示形態に限られず、トナーボトルY5とトナー補給装置Y6とがしっかりと密封(シール)されて連通され、トナー飛散を防げるように装着できればよい。
【0062】
(トナー補給装置)
次に、トナー補給装置Y6について、図8を用いて簡単に説明する。
図8に示すように、トナー補給装置Y6は、装置全体の収容ケースである補給装置本体60Yと、供給されるトナーを撹拌する撹拌部材61Yと、回転駆動してトナーを現像装置Y3へ搬送する搬送スクリュー62Yなどから構成されており、新規トナーを収容するトナー容器であるトナーボトルY5から現像装置Y3へトナーを搬送する機能を有している。
【0063】
この補給装置本体60Yの上端には、トナーボトルY5のトナー供給口THと連通するトナー取入口60aYが設けられ、下端には、現像装置Y3の現像ケース30内と連通するトナー補給口60bYが設けられている。また、このトナー取入口60aYには、前述のトナーボトルY5の嵌合部515Yと嵌合する嵌合スリット60cYが形成され、この嵌合スリット60cYにより、トナー供給口THとトナー取入口60aYとを嵌着・密封して連通することができ、結合部分から漏出するトナー飛散を防止することができる。
【0064】
撹拌部材61Yは、可撓性を有する可撓性部材61aYが回転駆動可能な軸61bYに沿って取り付けられており、この軸61bYを回動させて、可撓性部材61aYで撹拌し、トナーの凝集を防ぐ機能を有している。
【0065】
搬送スクリュー62Yは、回転駆動して図示の矢印方向に斜め上方へトナーを搬送し、自重により落下させてトナー補給口60bYから現像装置Y3へトナーを搬送させる機能を有している。このように、斜め上方へ重力に逆らって搬送させた後、自重により落下させて搬送するようにすることで、搬送スクリュー62Yを停止しても、補給装置本体60Yへ収容されているトナーが重力で落下して現像装置Y3へ搬送されることを防ぐことができ、より正確な量のトナーを搬送することができるようになっている。
【0066】
(リーダ/ライタ)
次に、図9を用いて、前述のRFIDタグTYのリーダ/ライタについて簡単に説明する。
プリンタ1のRFIDタグTYのリーダ/ライタRWは、RFID−R/Wボードから主に構成され、このRFID−R/Wボードは、信号の授受を行うCPUを備え、画像形成装置の制御ボードと双方向通信可能となっており、ガラスエポキシ樹脂等からなるボードを基体として、その表面に18μm厚の銅箔によるGNDパターンとループ状のパターンを持ったループアンテナとが形成されている。そして、その上にレジストコートが形成されて配線パターンが保護されるようになっている。
【0067】
このループアンテナは、各トナーボトルが前述のように画像形成装置本体10へ装着された状態で前述の各RFIDタグと対向する位置(各トナーボトルの真下)にそれぞれ計4つ設けられており、リーダ/ライタRWは、これらのループアンテナLY,LM,LC,LKから特定周波数の電波を放射して各RFIDタグのアンテナから反射されてくる微弱電波をループアンテナLY,LM,LC,LKで受信することによりRFIDタグの電子メモリに記憶されているID情報の読み込み、書き込みを行うよう構成されている。
【0068】
そのため、トナーボトルの個体識別を行うことができ、読み込んだID情報からトナーの属性情報などを読み出して、画像形成時の色の微調整等を行うことができるようになっている。また、ID情報を無線で読み書きすることができるので、配線を省略することができ、トナーボトルの装着の精度が厳しく要求されることがなくなる。それに加え、トナーボトルの交換時に、誤った色のトナーボトルが装着されても、それを検知してユーザに知らせるようにすることができる。
【実施例1】
【0069】
(IDタグユニット)
次に、図10、図11を用いて、IDタグユニットの一例として示す実施例1に係るRFIDタグの詳細構成について説明する。図10は、実施例1に係るRFIDタグの構成を示す鉛直断面図、図11は、実施例1に係るRFIDタグを下方から見た状態で示す斜視図である。
実施例1に係るRFIDタグTY1は、前述のように、アンテナを有して無線通信でID情報が書き換え可能なICを備えたIDチップDYと、このIDチップDYが裏面に貼着されてIDチップDYの外部を覆って保護する保護カバーCY1と、から主に構成され、この保護カバーCY1が、前述のキャップ51Yの外周表面に装着されることにより、RFIDタグTY1がトナーボトルY5に脱着自在に取り付けられている。
【0070】
このIDチップDYの電子メモリであるICは、回路の外部又は内部にアンテナを有し、このアンテナで前述のリーダ/ライタRWのループアンテナLYが発する電波を受けて、その電波をエネルギー源として記憶されているID情報の送信・書き換え等の動作を行うように構成されている。
【0071】
また、このIDチップDYは、図10に示すように、両面テープで保護カバーCY1の裏面(キャップ51Y側の面)に貼着されている。勿論、IDチップDYの保護カバーCY1への貼着は、接着剤などで接着されていても構わない。
【0072】
保護カバーCY1は、図11示すように、4つの嵌合部CY1a,CY1b,CY1c,CY1dを有した概形がテーブル状となっており、その外部面(キャップ51Yから遠い方の面)には、先端が半球形となった円柱状の突起t1が外側に向けて複数突設されている。
【0073】
なお、この突起は、図11に示した先端が半球形となった円柱状の突起t1ではなく、図12に示すような角柱状の突起t2であっても構わない。要するに、突起の形状は、外部面から突出しているものであればどのようなものであってもよい。
【0074】
そして、前述のキャップ51Yの外周表面には、図11に示すように、保護カバーCY1の4つの嵌合部CY1a,CY1b,CY1c,CY1dと対応する位置に、4つの嵌合穴k1a,k1b,k1c,k1dからなる嵌合凹部k1が設けられており、これらの嵌合穴k1a,k1b,k1c,k1dは、4つの嵌合部CY1a,CY1b,CY1c,CY1dより少し小さめに形成されているので、保護カバーCY1の嵌合部CY1a,CY1b,CY1c,CY1dが差し込まれることにより、保護カバーCY1がキャップ51Yに圧入されて嵌着される仕組みとなっている。
【0075】
このため、実施例1に係るRFIDタグTY1によれば、IDタグユニットの脱着が、RFIDタグTY1をトナーボトルY5のキャップ51Yから抜き差しするだけで行えるので、トナーボトルY5からIDチップDYやその取付部材である保護カバーCY1の脱着を容易に行うことができる。よって、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
【0076】
なお、図11及び図12に示した、突起t1や突起t2は、後述のように、IDチップDYの書き換え回数に応じて、押し潰されたり折られたりすることにより滅損されて電子メモリの書き換え回数が視認できるようになっており、一々IDチップDYをリーダ/ライタなどで読み込んで書き換え回数を確認する作業を省略することができ、更に、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
【実施例2】
【0077】
次に、図13、図14を用いて、実施例2に係るRFIDタグについて説明する。図13は、実施例2に係るRFIDタグの構成を示す鉛直断面図、図14は、実施例2に係るRFIDタグを下方から見た状態で示す斜視図である。実施例2に係るRFIDタグが、実施例1に係るRFIDタグと相違する点は、保護カバーの脚部の形状、及び保護カバーのキャップへの取付構造だけであり、電子メモリなどは同じ構成であるので、同じ構成のものは同一符号を付し、説明を省略する。
【0078】
実施例2に係るRFIDタグTY2の保護カバーCY2は、実施例1に係る保護カバーCY1の脚部が一対の係止爪CY2a,CY2bとなっており、これらと対応するトナーボトルY5のキャップ51Yの外周表面に、係止爪CY2a,CY2bと係合する凹部である係合凹部k2が形成され、この係合凹部k2には、係止爪CY2a,CY2bを掛け止める係合爪k2a,k2bが設けられている。
【0079】
また、IDチップDYは、保護カバーCY2の裏面に貼着されているのではなく、係止爪CY2a,CY2bが外側に開いた状態から元に戻る際の弾性復元力を利用して、保護カバーCY2の裏面の係止爪CY2a,CY2b間には嵌め込まれている。このため、両面テープでの貼着作業を省略することができ、両面テープの材料費と作業時間の短縮によるコスト削減を達成することができる。
【0080】
このように、実施例2に係るRFIDタグTY2によれば、IDタグユニットの脱着が、係止爪CY2a,CY2bを係合凹部k2に掛け止めたり解除したりするだけで行えるので、トナーボトルY5からIDチップDYやその取付部材である保護カバーCY2の脱着を容易に行うことができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。また、両面テープでIDチップDYを保護カバーCY2へ貼着する作業を省略してコスト削減を達成することができると共に、IDチップDYを保護カバーCY2から取り外すことも容易となり、更にトナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
【実施例3】
【0081】
次に、図15、図16を用いて、実施例3に係るRFIDタグについて説明する。
実施例3に係るRFIDタグTY3は、アンテナを有するICからなるIDチップDY’と、このIDチップDY’が裏面に嵌着されてIDチップDY’を保護する保護カバーCY3と、から主に構成されている。
【0082】
このIDチップDY’が、実施例2に係るIDチップDYと相違する点は、中央部に嵌着穴Dhが形成されている点だけであり、アンテナやメモリ機能等は同様の構成となっており、また、保護カバーCY3も、実施例2に係る保護カバーCY2と相違する点は、裏面に嵌着穴Dhと嵌合する嵌合突起CY3cが突設されているだけであり、係止爪CY3a,CY3bは、実施例2の係止爪CY2a,CY2bと同構成であり、外部面の突起t1も同構成となっている。
このため、嵌合突起CY3cからIDチップDY’を引き抜くだけで、IDチップDY’を保護カバーCY3から容易に取り外すことができる。
【0083】
そして、前述のキャップ51Yの外周表面には、図16に示すように、係止爪CY3a,CY3bと係合する凸部である係合凸部k3が形成され、この係合凸部k3には、係止爪CY3a,CY3bを掛け止める一対の係止棒k3a,k3bが設けられている。
【0084】
このように、実施例3に係るRFIDタグTY3によれば、IDタグユニットの脱着が、係止爪CY3a,CY3bを係合凸部k3に掛け止めたり解除したりするだけで行えるので、トナーボトルY5からIDチップであるIDチップDY’やその取付部材である保護カバーCY3の脱着を容易に行うことができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。また、実施例2に係るRFIDタグTY2と同様に、両面テープでIDチップDY’を保護カバーCY3へ貼着する作業を省略してコスト削減を達成することができると共に、IDチップDY’の保護カバーかCY3から取り外すことも容易となり、更にトナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
【実施例4】
【0085】
次に、図17、図18を用いて、実施例4に係るRFIDタグについて説明する。
実施例4に係るRFIDタグTY4は、実施例1に係るIDチップDYと同構成のアンテナを有するICからなるIDチップDYと、このIDチップDYを中央に収容して、その周囲を覆って保護する中空矩形状のスポンジ材(発泡樹脂材)からなる保護枠体WY4と、から主に構成されている。
【0086】
また、前述のキャップ51Yの外周表面には、保護枠体WY4より少し小さい嵌合凹部k4が形成され、この嵌合凹部k4に保護枠体WY4が嵌め込まれることにより、IDチップDYがキャップ51Yに装着されている。
そして、この嵌合凹部k4に保護枠体WY4及びIDチップDYが収容された状態で、これらを覆ってトナーなどの粉塵から保護するポリエステルフィルムからなる可撓性フィルムFYが両面テープで貼着され、IDチップDYがトナーボトルY5から脱落しないようになっており、保護枠体WY4及び可撓性フィルムFYがIDチップDYの取付部材としても機能している。
【0087】
このため、実施例4に係るRFIDタグTY4によれば、IDタグユニットの脱着が、保護枠体WY4を嵌合凹部k4に嵌め込んで両面テープで可撓性フィルムFYを貼ったり、この可撓性フィルムFYを剥がしたりするだけで行えるので、トナーボトルY5からIDチップDYやその取付部材である保護枠体WY4の脱着を容易に行うことができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
また、実施例1〜3の保護カバーのようなものが必要なくなり、可撓性フィルムFYという安価で薄肉の部材を使用しているため、省スペース化を図ることができると共に、部品コストの削減を図ることができる。
【0088】
なお、キャップ51Yの外周表面には、前述の保護カバーCY1〜CY3の突起t1と同様の突起t1が突設されており、IDチップDYの書き換え回数に応じて、この突起t1が押し潰されたり折られたりすることによりIDチップDYの書き換え回数が視認できるようになっている。このため、一々IDチップDYの電子メモリをリーダ/ライタなどで読み込んで書き換え回数を確認する作業を省略することができ、更に、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
【実施例5】
【0089】
次に、図19、図20を用いて、実施例5に係るRFIDタグについて説明する。
実施例5に係るRFIDタグTY5は、実施例3に係るIDチップDY’と同構成の中央に嵌着穴Dhを有するIDチップDY’と、この嵌着穴Dhに嵌合する嵌合突起Pを有する弾性樹脂からなる概略円筒状の嵌合キャップCY5と、から主に構成されている。
【0090】
また、前述のキャップ51Yの外周表面には、嵌合キャップCY5の径より少し小さく嵌合キャップCY5の高さより深い嵌合凹部k5が形成され、この嵌合凹部k5に嵌合キャップCY5を圧入して嵌め込むことにより、IDチップDY’がキャップ51Yの外周表面の内部に装着されている。
【0091】
このため、実施例5に係るRFIDタグTY5によれば、IDタグユニットの脱着が、嵌合凹部k5にIDチップDY’を嵌着した嵌合キャップCY5を嵌め込んだり、嵌合突起Pを掴んで引き抜いたりするだけで行えるので、トナーボトルY5からIDチップDY’やその取付部材である嵌合キャップCY5の脱着を容易に行うことができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
【0092】
それに加え、IDチップDY’をキャップ51Yの外周表面より深い位置に収容することによりIDチップDY’を保護しているので、実施例1〜3のような保護カバーや、実施例4の可撓性フィルムFYなどの電子メモリを保護するための部材が必要なくなり、部品コストの削減を図ることができる。
【0093】
なお、キャップ51Yの外周表面には、前述の保護カバーCY1〜CY3の突起t1と同様の突起t1が突設されており、IDチップDY’の書き換え回数に応じて、押し潰されたり折られたりすることによりIDチップDY’の書き換え回数が視認できるようになっている。このため、一々IDチップDY’をリーダ/ライタなどで読み込んで書き換え回数を確認する作業を省略することができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を更に短縮することができる。
【実施例6】
【0094】
次に、図21、図22を用いて、実施例6に係るRFIDタグについて説明する。
実施例6に係るRFIDタグTY6は、実施例1に係るIDチップDYと同構成のIDチップDYと、このIDチップDYをスライド移動させて格納又は引き出し可能な取付部材である格納部材CY6と、から主に構成されている。
【0095】
この格納部材CY6は、下面及び一側面が開口した形状の凹部CY6aが形成され、この凹部CY6aの側面には、IDチップDYの基板の厚さより少し大きい幅の一対の溝部CY6bが形成され、この一対の溝部CY6bにIDチップDYの基板の両端が差し込まれている。
このため、開口した下面から指を差し込んでIDチップDYを摘むことが可能となっており、IDチップDYをスライド移動させて格納部材CY6に格納したり、格納部材CY6から引き出したりすることが容易な構成となっている。
【0096】
また、前述のキャップ51Yの外周表面には、格納部材CY6をスライド移動させて係合又は脱離自在な係合凸部k6が設けられており、この係合凸部k6には、格納部材CY6を収納可能な大きさの下面及び一側面が開口した形状の収納凹部k6aが形成され、この収納凹部k6aの側面には、一対の係止爪k6bが設けられ、収納凹部k6aに収納された格納部材CY6が、この一対の係止爪k6bで掛け止められることにより、キャップ51Yの外周表面からRFIDタグTY6が脱落しないようになっている。
【0097】
そして、凹部CY6aの開口した側面(引き出し面)を係合凸部k6の収容凹部k6aの側面で塞ぐように格納部材CY6を収納しているので、格納部材CY6からIDチップDYが脱落するおそれもない。勿論、収容凹部k6aの背面で格納部材CY6の引き出し面を塞ぐようにしても構わない。要するに、収納凹部k6aの壁面(係合凸部k6の引き出し面と下面以外の面)で凹部CY6aの引き出し面を塞ぐように格納していればよい。
【0098】
このように、実施例6に係るRFIDタグTY6によれば、IDタグユニットの脱着が、嵌合凸部k6にIDチップDYを格納した格納部材CY6を引き出したり、押し込んだりするだけで行えるので、トナーボトルY5からIDチップDYやその取付部材である格納部材CY6の脱着を容易に行うことができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
【0099】
それに加え、IDチップDYを格納部材CY6から脱着するのもIDチップDYを摘んで引き出したり、押し込んだりするだけで行えるので、IDチップDYの取り外し作業も極めて短時間で行え、リサイクルやリユースの際の作業時間を更に短縮することができる。
【0100】
なお、キャップ51Yの外周表面には、前述の保護カバーCY1〜CY3の突起t1と同様の突起t1が突設されており、IDチップDYの書き換え回数に応じて、押し潰されたり折られたりすることによりIDチップDYの書き換え回数が視認できるようになっている。このため、一々IDチップDYをリーダ/ライタなどで読み込んで書き換え回数を確認する作業を省略することができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を更に短縮することができる。
【0101】
以上のように、本発明のIDタグユニットとして実施例1〜6に係るRFIDタグをトナー容器であるトナーボトルのキャップの外周面に取り付ける場合で説明したが、容器本体の外周面やキャップ又は容器本体の端面に取り付けてもよく、その場合でもIDタグユニットをトナー容器の個体識別管理に用いることができるのは明らかである。但し、トナー容器のキャップにIDタグユニットを取り付けた方が、キャップ自身が回転しないため、IDタグユニットが脱落するおそれも少なく、リーダ/ライタでIDチップを読み込む際にも都合がよい。
また、IDチップのメモリとして非接触式のアンテナ付きICを例に挙げて説明したが、勿論、接触式のICや磁気メモリなどの他の記憶媒体であっても構わない。
【0102】
[メモリの書き換え回数の可視化方法]
次に、トナー容器の個体識別管理に用いるメモリの書き換え回数の可視化方法について説明する。
前述した実施例1に係るRFIDタグTY1が取り付けられたトナーボトルY5を例示して説明すると、トナーボトルY5に新しいトナーを再充填してリサイクルする際に、IDチップDYのID情報が新しい内容に書き換えられる。また、トナーボトルY5を破砕してリユースする際にも、IDチップDYが取り外されて別の新しいトナーボトルのID情報に書き換えられる。
【0103】
このIDチップDYの書き換え回数に応じて、RFIDタグTY1の保護カバーCY1の外部面に突設された突起t1を押し潰すことにより、IDチップDYの書き換え回数をリーダ/ライタなどでIDチップDYを読み込むことをせずに視認することができる。
例えば、書き換え回数が5回に達すると突起t1をポンチなどで1つ押し潰すようにする。このとき、押し潰すのではなく、折っても構わないし、他の方法で突起を滅損しても構わない。そうすることで、電子メモリの書き換え回数が外部から一目瞭然となり一々電子メモリをリーダ/ライタなどで読み込んで書き換え回数を確認する作業を省略することができ、トナーボトルのリサイクルやリユースの際の作業時間を短縮することができる。
【0104】
勿論、突起t1は、形状などの限定はなく、前述のt2などの他の形状の突起であっても構わないし、突起が設けられている場所も、実施例1〜3のように、保護カバーの外部面でも、実施例4〜6のように、トナーボトルのキャップの外周表面であっても構わない。要するに、キャップの端面部分やトナーボトルの容器本体の外周面を含めて外部から視認できるトナー容器の外部表面に突起が設けられていればよい。
【0105】
なお、突起を滅損することで可視化する場合を説明したが、トナー容器の外部表面に紙テープなどの粘着テープを貼着し、そのテープ表面に電子メモリの書き換え回数を表記することでも可視化することが可能である。また、回数を直接表記するのではなく、文字や記号などを使って間接的に書き換え回数を表示するようにしてもよい。
【0106】
以上のように、実施の形態に係る画像形成装置としてタンデム型のカラープリンタを例に挙げて説明したが、必ずしもこのようなものに限られず、例えば、モノクロ用のプリンタやコピー機などにも本発明を適用することができる。要するに、IDチップを有するIDタグユニットが取り付けられているトナー容器を備えた画像形成装置には、本発明を適用することができる。また、トナー容器の形状やメモリの書き換え回数表示用の突起の形状なども、図示形態に限られず、特許請求の範囲に記載された範囲内において適宜、修正・変更できることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0107】
1 カラープリンタ(画像形成装置)
Y5,M5,C5,K5 トナーボトル(トナー容器)
50Y 容器本体
51Y キャップ
k1,k4,k5 嵌合凹部
k2 係合凹部
k3,k6 係合凸部
TY1,TY2,TY3,TY4,TY5,TY6 RFIDタグ(IDタグユニット)
DY,DY’ IDチップ
CY1,CY2,CY3 保護カバー(取付部材)
WY4 保護枠体(取付部材)
CY5 嵌合キャップ(取付部材)
CY6 格納部材(取付部材)
t1,t2 突起
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【特許文献1】特開2006−267992号公報
【特許文献2】特開2004−053761号公報
【特許文献3】特開2004−139031号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体とキャップとを備えたトナー容器において、
前記キャップ又は容器本体に、IDチップが取付部材を介して脱着可能に取り付けられ、前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、前記IDチップのメモリの書き換え回数が可視化されていることを特徴とするトナー容器。
【請求項2】
前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、突起が突設され、
この突起が、前記メモリの書き換え回数に応じて滅損されることにより、前記メモリの書き換え回数が可視化されていることを特徴とする請求項1に記載のトナー容器。
【請求項3】
前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、粘着テープが貼着され、
この粘着テープの外部表面に前記メモリの書き換え回数が表示されることにより、前記メモリの書き換え回数が可視化されていることを特徴とする請求項1に記載のトナー容器。
【請求項4】
前記取付部材は、前記IDチップの外側を覆って保護する保護カバーを有し、
この保護カバーは、裏面に前記IDチップが取り付けられたうえ、前記キャップ又は容器本体に脱着可能に装着されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器。
【請求項5】
前記取付部材は、前記IDチップの周囲を覆って保護する弾性材からなる保護枠体を有し、
前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記保護枠体と嵌合する嵌合凹部が形成され、
前記保護枠体が、前記嵌合凹部に嵌め込まれた状態で、これらを覆う可撓性フィルムが貼着されることにより、前記IDチップが前記キャップ又は容器本体に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器。
【請求項6】
前記取付部材は、弾性材からなる嵌合キャップを有し、
前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記嵌合キャップと嵌合する嵌合凹部が形成され、
前記IDチップには、嵌着用の嵌着穴が穿設され、前記嵌合キャップには、この嵌着穴と嵌合する嵌合突起が設けられており、
前記嵌着穴に前記嵌合突起を挿通して前記IDチップを前記嵌合キャップに嵌着した状態で前記嵌合キャップを前記嵌合凹部に圧入することにより、前記IDチップが前記キャップ又は容器本体に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器。
【請求項7】
前記取付部材は、前記IDチップをスライド移動させて格納又は引き出し可能な格納部材を有し、
前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記格納部材をスライド移動させて係合又は離脱可能な係合凸部が設けられており、
前記格納部材が、前記IDチップを格納した状態でその引き出し面を塞ぐように前記係合凸部に係合されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のトナー容器が搭載されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
トナー容器の個体識別管理に用いるIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法であって、
前記IDチップをトナー容器に取り付ける取付部材又はトナー容器のいずれかの外部表面に突起を突設し、この突起を前記メモリの書き換え回数に応じて滅損することを特徴とするIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法。
【請求項10】
トナー容器の個体識別管理に用いるIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法であって、
前記IDチップをトナー容器に取り付ける取付部材又はトナー容器のいずれかの外部表面に粘着テープを貼着し、この貼着テープの外部表面に前記メモリの書き換え回数を表記することを特徴とするIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法。
【請求項1】
容器本体とキャップとを備えたトナー容器において、
前記キャップ又は容器本体に、IDチップが取付部材を介して脱着可能に取り付けられ、前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、前記IDチップのメモリの書き換え回数が可視化されていることを特徴とするトナー容器。
【請求項2】
前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、突起が突設され、
この突起が、前記メモリの書き換え回数に応じて滅損されることにより、前記メモリの書き換え回数が可視化されていることを特徴とする請求項1に記載のトナー容器。
【請求項3】
前記取付部材、キャップ、及び容器本体のいずれかの外部表面には、粘着テープが貼着され、
この粘着テープの外部表面に前記メモリの書き換え回数が表示されることにより、前記メモリの書き換え回数が可視化されていることを特徴とする請求項1に記載のトナー容器。
【請求項4】
前記取付部材は、前記IDチップの外側を覆って保護する保護カバーを有し、
この保護カバーは、裏面に前記IDチップが取り付けられたうえ、前記キャップ又は容器本体に脱着可能に装着されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器。
【請求項5】
前記取付部材は、前記IDチップの周囲を覆って保護する弾性材からなる保護枠体を有し、
前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記保護枠体と嵌合する嵌合凹部が形成され、
前記保護枠体が、前記嵌合凹部に嵌め込まれた状態で、これらを覆う可撓性フィルムが貼着されることにより、前記IDチップが前記キャップ又は容器本体に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器。
【請求項6】
前記取付部材は、弾性材からなる嵌合キャップを有し、
前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記嵌合キャップと嵌合する嵌合凹部が形成され、
前記IDチップには、嵌着用の嵌着穴が穿設され、前記嵌合キャップには、この嵌着穴と嵌合する嵌合突起が設けられており、
前記嵌着穴に前記嵌合突起を挿通して前記IDチップを前記嵌合キャップに嵌着した状態で前記嵌合キャップを前記嵌合凹部に圧入することにより、前記IDチップが前記キャップ又は容器本体に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器。
【請求項7】
前記取付部材は、前記IDチップをスライド移動させて格納又は引き出し可能な格納部材を有し、
前記キャップ又は容器本体の外部表面には、前記格納部材をスライド移動させて係合又は離脱可能な係合凸部が設けられており、
前記格納部材が、前記IDチップを格納した状態でその引き出し面を塞ぐように前記係合凸部に係合されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー容器。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のトナー容器が搭載されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
トナー容器の個体識別管理に用いるIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法であって、
前記IDチップをトナー容器に取り付ける取付部材又はトナー容器のいずれかの外部表面に突起を突設し、この突起を前記メモリの書き換え回数に応じて滅損することを特徴とするIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法。
【請求項10】
トナー容器の個体識別管理に用いるIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法であって、
前記IDチップをトナー容器に取り付ける取付部材又はトナー容器のいずれかの外部表面に粘着テープを貼着し、この貼着テープの外部表面に前記メモリの書き換え回数を表記することを特徴とするIDチップのメモリの書き換え回数の可視化方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−145870(P2012−145870A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5747(P2011−5747)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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