説明

トナー容器及び画像形成装置

【課題】トナー容器の縦置き転倒に伴う、トナー飛散、容器破損を防止する。
【解決手段】トナー容器2の取手部2bの手前側となる面をトナー容器2の中心軸線Lに対して傾斜させることで、取手部2bを下にしてトナー容器2を縦置きしようとした時、トナー容器2が傾斜して縦置きすることができないようにする。取手部2bの一部を凹R面とすることで取手部2bに対する指掛けをしやすくし、トナー容器2の着脱操作性を良好にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、又はこれらの複合機などの電子写真方式による画像形成装置で使用するトナーを供給し又は同装置で使用済みのトナーを回収するトナー容器とそのトナー容器を備えた画像形成装置に係り、より詳しくは、容器形状の改良により容器の倒れ特性を改善したトナー容器と画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタなどの電子写真方式の画像形成装置においては、当該装置に使用するトナーを供給したり、当該装置で使用済みとなったトナーを回収したりするために、トナー容器が使用されている。このトナー容器の形状や型式は多種多様であるが、トナー容器の交換作業と回収作業を容易化するために、トナー容器を筒状としてその一端面に取手を形成したものがある。
【0003】
供給用のトナー容器は、トナーを排出する開口部を有するトナー補給装置が容器本体の側面に装着され、また回収用のトナー容器では、使用済みトナーを取り込む開口部が容器本体の側面に装着されている。前記開口部は、トナー容器本体の奥側(装置本体の奥側)又は手前側(トナー容器の取手側)に配置されることが多い。
【0004】
供給用のトナー容器を交換する場合、まず、使用済みのトナー容器を装置本体(筐体)の前板(フロントドアの支持板)に形成したトナー容器挿入穴から取り出す。この時、トナー容器の取手を一方の手で持ってトナー容器をボトル挿入穴から引き出し、引き出したトナー容器本体を他方の手で支えながらトナー容器を近くの設置面に横置き状態で仮置きする。新しいトナー容器を画像形成装置の本体に装着する場合も、一方の手でトナー容器の取手を持ち、他方の手でトナー容器本体を支えながら、トナー容器を装着する。このように、使用済みのトナー容器を近くの設置面に横置き状態で仮置きしておいてから新しいトナー容器をトナー容器挿入穴に装着し、その後使用済みトナー容器を所定の回収箱に入れて回収する。なお、供給用トナー容器は本来補給装置の開口部を上側にして横置きするように設計されており、補給装置と反対側の容器本体には、通常、設置面に当接する凸部が形成されている。
【0005】
トナー容器の交換頻度は画像形成装置の画像形成枚数等に依存するが、写真のような高印字率画像を多く含むいわゆるベタ画像を形成する場合は、一枚当たりのトナー消費量が一気に増大する。このため、特にプロダクションプリンティング分野のようにベタ画像を大量印刷する画像形成装置では、トナー容器の交換作業がきわめて頻繁に行われる。トナー容器の交換作業は専門の作業者が行うことが多いが、交換作業が頻繁であると、作業者が使用済みトナー容器を画像形成装置の本体天板上面に仮置きしたり、近くの床面に直接立てるいわゆる「直置き」をしたりしやすい。トナー容器の補給装置のトナー排出用開口部は弁体で閉塞されるようになっているが、開口部内に残留トナーが付着している場合もある。以上のような置き方をすると、トナー容器が不測に転倒した場合に前記残留トナーが開口部からこぼれて周囲に飛散し、床面を汚損したりトナー容器が損傷したりする場合がある。
【0006】
従来、トナー容器の不測の転倒による前述した問題が生じないように、容器形状を工夫したものがある(特許文献1参照)。このトナー容器は、トナー容器を縦置きした場合の底面となる箇所に突起部を形成し、トナー容器を設置面に縦置きしようとすると、この突起部が邪魔をして縦置きができないようにしたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、画像形成装置の設置環境は様々であって、トナー容器を想定外の設置面に置いた場合、トナー供給口又は回収口となる開口部を下側にしてトナー容器が転倒する可能性がある。例えば、前記特許文献1の回収用トナー容器Tを図7のように段差面Sに縦置きした場合、突起部Pが縦置きの邪魔をしないことがあるので、作業者が突起部Pの存在に気付かないことがある。このような縦置き状態のトナー容器Tにうっかり手を触れると、トナー容器Tが転倒して開口部Mからトナーが周囲に飛散したり、転倒の衝撃でトナー容器Tが損傷したりすることがある。また、図8のように毛足が長いタフトカーペットCの上にトナー容器Tを縦置きした場合も、突起部PがタフトカーペットCに埋まって縦置きの邪魔をしなくなるので、同様の問題が起こる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで前記課題を解決するために、以下のように本発明1〜6を構成することとした。
(1)トナーを使用する装置本体に対して着脱自在に装着して前記トナーを供給し又は使用済みのトナーを回収するためのトナー容器であって、前記トナー容器は前記装置本体に対する着脱時の取手となる取手部を有し、前記取手部は前記装置本体に装着した状態で手前側となる面を前記トナー容器の中心軸線に対して傾斜させたトナー容器。
前記発明1によれば、トナー容器の取手部の手前側が傾斜しているので、取手部を下にしてトナー容器を設置面に置くことが困難ないし不可能となり、このような置き方をすることによってトナー容器が不測に転倒して内部のトナーが周囲に飛散したり、転倒によりトナー容器が損傷したりするのを防止することができる。また、取手部を下にした設置によりトナー容器が傾斜することで、作業者が取手部を下にして設置したことをすぐに認識すことができ、トナー容器の置き直しによりトナー容器の損傷を未然に防止することができる。
【0009】
(2)前記トナー容器は、トナーの供給口又は回収口となる開口部と、前記装置本体に対する着脱時の取手となる取手部を有し、前記取手部は、前記トナー容器の中心軸線上の一端面に凸状に形成された頭部と頸部とを有し、前記頭部は、その周縁の一部が前記トナー容器の一端面から最も離間した最高部を形成すると共に、前記最高部の反対側の周縁の一部が前記トナー容器の一端面に最も接近した最低部を形成し、前記トナー容器の開口部が、前記トナー容器の側面であって、前記トナー容器の中心軸線から見て前記最高部側の側面に配置され、前記トナー容器を前記装置本体から離脱させて前記頭部を下にして水平な設置面に置いた際に、前記開口部が下側となる方向以外の方向に容器が倒れる特性を有するようにした前記発明1のトナー容器。
前記発明2によれば、トナー容器の取手部となる頭部が最高部と最低部を有するので、取手部を下にしてトナー容器を設置面に置くと、前記最高部と最低部の高さの差によってトナー容器が傾斜するので、取手部を下にしてトナー容器置いたことをすぐに認識することができ、トナー容器の置き直しによりトナー容器の損傷を未然に防止することができる。
【0010】
(3)前記頭部の最高部と最低部の間の周縁を、前記最高部と最低部を通り前記トナー容器の中心軸線を含む第1平面と直交し前記最高部と最低部を通る第2平面を基準として、当該第2平面よりも前記トナー容器の一端面側に寄せて形成した前記発明2のトナー容器。
前記発明3によれば、前記最高部と最低部の間の周縁を前記のようにトナー容器の一端面側に寄せて形成してあるので、取手部を下にしてトナー容器を設置面に置いた場合、トナー容器が最低部側に倒れるか、この最低部側に倒れないとしても前記最高部と最低部を通る直線を支点として左右方向に倒れる特性が得られるので、トナー容器が最高部側に倒れて開口部が下向きとなってトナーが飛散するのを防止することができる。
【0011】
(4)前記最高部の近傍の前記頭部の端面が凹R面を構成する前記発明2又は3のトナー容器。
前記発明4によれば、取手部の最高部の近傍の凹R面によって当該最高部に指を掛けやすくなるので、トナー容器の着脱操作性が良好になる。
【0012】
(5)前記頭部の端面にトナー容器の種類を示すラベルを貼付した前記発明2から4のいずれかのトナー容器。
前記発明5によれば、取手部にラベルがあるのでラベルの視認性が向上し、色違いのトナー容器の誤装着などを防止することができる。
【0013】
(6)前記発明1〜5のいずれかのトナー容器を有する画像形成装置。
前記発明6によれば、トナー容器の倒れ特性を改善して転倒によるトナーの飛散を防止した画像形成装置が得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トナー容器の取手部の手前側となる面をトナー容器の中心軸線に対して傾斜させたので、取手部を下にしてトナー容器を水平設置面に置くとトナー容器が傾斜するので、取手部を下にしてトナー容器を設置面に置くことが困難ないし不可能となり、このような置き方をすることによってトナー容器が不測に転倒して内部のトナーが周囲に飛散したり、転倒によりトナー容器が損傷したりするのを防止することができる。また、取手部を下にした設置によりトナー容器が傾斜することで、作業者が取手部を下にして設置したことをすぐに認識することができ、トナー容器の置き直しによりトナー容器の損傷を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のトナー容器を装着する画像形成装置の全体簡略図である。
【図2】本発明に係るトナー容器の斜視図である。
【図3A】本発明に係るトナー容器の側面図である。
【図3B】本発明に係るトナー容器の取手部の断面図である。
【図4】(A)(B)は、本発明に係るトナー容器を水平面に縦置きした状態の側面図と正面図である。
【図5】(A)〜(C)は、トナー容器の倒れ特性を示す側面図である。
【図6】(A)〜(C)は、トナー容器の倒れ特性を示す正面図である。
【図7】従来のトナー容器を段差面に縦置きした状態の側面図である。
【図8】従来のトナー容器を絨毯面に縦置きした状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のトナー容器を装着する画像形成装置について、図1を参照してその概略を説明し、次いで図2〜図6に基づいてトナー容器の形状についてさらに説明することとする。
【0017】
(画像形成装置)
図1の画像形成装置はカラーレーザプリンタであって、一定の間隔で配置された4つの画像形成手段101Y、101C、101M、101Kにて構成されるタンデム画像形成部を備える。なお、画像形成手段の添字Y、C、M、Kは、イエロー、シアン、マゼンダ、ブラックの部材であることを示している。
【0018】
各像形成手段101Y、101C、101M、101Kは、像担持体としての感光体(感光体ドラム)21Y、21C、21M、21Kと、感光体ドラム21Y、21C、21M、21Kに潜像を形成する手段(例えば、光書込ユニット9や帯電装置30等)と、感光体ドラム21Y、21C、21M、21K上の潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置10Y、10C、10M、10Kと、感光体ドラム表面を清浄化させるためのクリーニング装置40とを備える。
【0019】
このプリンタの上部には、トナー容器2Y、2C、2M、2Kが配置されている。画像形成装置の本体には、これら4本のトナー容器2Y、2C、2M、2Kを水平方向に挿入可能なトナー容器装着穴が形成されている。トナー容器2Yにはイエローのトナーが充填され、トナー容器2Cにはシアントナーが充填され、トナー容器2Mにはマゼンダトナーが充填され、トナー容器2Kにはブラックトナーが充填されている。なお、トナー容器2Y、2C、2M、2Kから図示省略の搬送経路を介して所定の補給量だけ各色現像装置10Y、10C、10M、10Kに各色トナーが補給される。
【0020】
また、タンデム画像形成部の下部に潜像形成手段としての光書込ユニット9が設けられている。この光書込ユニット9は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等
を備える。そして、画像データに基づいて各感光体21Y,21C,21M,21Kの表面にレーザ光を走査しながら照射するように構成されている。
【0021】
タンデム画像形成部の上方には、中間転写体として無端ベルト状の中間転写ベルト1を設けている。この中間転写ベルト1は、支持ローラ1a、1bに掛け回され、この支持ローラのうち駆動ローラ1aの回転軸には駆動源としての図示しない駆動モータが連結されている。この駆動モータを駆動させると、中間転写ベルト1が支持ローラ1a、1bに掛け回された状態で反時計回方向に走行(回転)する。この際、従動可能な支持ローラ1bが回転する。中間転写ベルト1の内側には、感光体21Y,21C,21M,21K上に形成されたトナー像を中間転写ベルト1上に転写するための一次転写装置11Y,11C,11M,11Kを設けている。
【0022】
また、前記一次転写装置11Y,11C,11M,11Kより中間転写ベルト1の駆動方向下流に二次転写装置としての二次転写ローラ4を設けている。この二次転写ローラ4と中間転写ベルト1を挟んで反対の側には、支持ローラ1bが配置されており、この支持ローラ1bが押圧部材としての機能を果たしている。また、二次転写ローラ4よりも上流側には給紙カセット8、給紙コロ7、及びレジストローラ6等が配設される。さらに、二次転写ローラ4によりトナー像を転写された記録媒体Sの進行方向に関して二次転写ローラ4の下流部には、記録媒体S上の画像を定着する定着装置5及び排紙ローラ3を備えている。
【0023】
定着装置5は、定着部材としての定着ローラ51と、加熱部材としての加熱ローラ54の少なくとも2つのローラに巻き掛けられて回転駆動される定着ベルト55と、この定着ベルト55の表面に圧接する加圧部材52と、定着ベルト55にテンションを付与するテンション部材56とを具備している。また、加熱ローラ54は加熱源53を有し、定着ローラ51の表面は、図示省略の温度制御手段によって所定の温度に維持される。
【0024】
前記のように構成された画像形成装置におけるプリンタ動作を説明する。個々の画像形成手段でその感光体21Y,21C,21M,21Kを回転させ、感光体21Y,21C,21M,21Kの回転とともに、まず帯電装置17Y,17C,17M,17Kで感光体21Y,21C,21M,21Kの表面を一様に帯電する。
【0025】
次いで画像データを光書込ユニット9からのレーザによる書込み光を照射して感光体21Y,21C,21M,21K上に静電潜像を形成する。その後、現像装置10Y,10C,10M,10Kによりトナーが付着され静電潜像を可視像化することで各感光体21Y,21C,21M,21K上にそれぞれ、イエロー・シアン・マゼンタ・ブラックの単色画像を形成する。
【0026】
図示省略の駆動モータで駆動ローラ1aを回転駆動して他の従動ローラ1b、二次転写ローラ4を従動回転し、中間転写ベルト1を回転搬送する。そして、その可視像を一次転写装置11Y,11C,11M,11Kで中間転写ベルト1上に順次転写する。これによって中間転写ベルト1上に合成カラー画像を形成する。画像転写後の感光体21Y,21C,21M,21Kの表面は感光体クリーニング装置40で残留トナーを除去して清掃して再度の画像形成に備える。
【0027】
画像形成のタイミングにあわせて、給紙カセット8からは記録媒体Sが給紙コロ7により繰り出され、レジストローラ6まで搬送され、一旦停止する。そして、画像形成動作とタイミングを取りながら、二次転写ローラ4と中間転写ベルト1の間に搬送される。ここで、中間転写ベルト1と二次転写ローラ4とは記録媒体Sを挟んでいわゆる二次転写ニップを形成し、二次転写ローラ4にて中間転写ベルト1上のトナー像を記録媒体S上に二次転写する。
【0028】
そして、画像転写後の記録媒体Sは定着装置5へ送りこまれることになる。定着装置5では、定着部材(定着ローラ)51に対向し定着部材51に圧接される加圧部材(加圧ローラ)52により形成されるニップ部に用紙を挟持搬送することで記録媒体(用紙)S上のトナー像を加熱加圧し記録媒体としての用紙Sに定着させる。またニップ部から排出された用紙Sは、排紙ローラ3から機外に排出される。一方、画像転写後の中間転写ベルト1は、中間転写体クリーニング装置12で、画像転写後に中間転写ベルト1上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部による再度の画像形成に備える。
【0029】
(トナー容器の形状)
次に、前述したトナー容器2Y、2C、2M、2Kの形状について説明する。トナー容器2Y、2C、2M、2Kは樹脂製であって、すべて図2〜図6に示すような形状に統一されている。このトナー容器2は、図2及び図3Aのように、円筒状の容器本体2aと、この容器本体2aの一端面2dに形成された取手部2bと、この取手部2bがある側の本体2aの下面に配置されたトナー補給装置2cを有する。画像形成装置の本体には、前述のように4本のトナー容器2Y、2C、2M、2Kの装着穴が形成されていて、トナー容器2をその取手部2b側を手前にして水平方向に装置本体の装着穴に装着すると、取手部2bが装置本体の前面側で横並びし、全てのトナー容器2Y、2C、2M、2Kが所定の装着穴に装着されていることが一目で確認できるようになっている。
【0030】
トナー補給装置2cは、その内部に図3Aで水平方向に往復動可能な弁体を内蔵し、この弁体を装置本体側の駆動部材で駆動することにより、トナー容器2の内部のトナーを補給装置2cの開口部2c1から定量的かつ間欠的に装置本体側に供給可能に構成されている。
【0031】
前記取手部2bは図2〜図4に示すように、円形の頭部2b1と、この頭部2b1よりも小径の円筒状の頸部2b2で構成され、これら頭部2b1と頸部2b2は、容器本体2aの中心軸線L上に形成されている。頸部2b2はトナー容器2の一端面2dに垂直に固定され、この頸部2b2の先端に頭部2bの中心が連結されている。頭部2bは、その周縁が容器本体2aの直径の6割程度の大きさの円形を成す薄肉円筒状の外側リング部2b1を形成し、この外側リング部2b1の内側領域に同じような薄肉円筒状の内側リング部2b2が同心状に形成されている。そして、頭部2bの中心部から内側リング部2b2を半径方向に横断し外側リング部2b1の内周面に至る複数本のスポーク部2b3が放射状に形成されている。
【0032】
前記外側リング部2b1は、トナー容器2を装置本体に装着した状態で、その周縁下部が手前側にせり出し、トナー容器2の一端面2dからの最も離間した最高部61を形成している。また外側リング部2b1の周縁上部は、トナー容器2の一端面2dに最も接近する最低部62を形成している。そして最高部61から最低部62に至る外側リング部2b1の周縁は、図3Aのように側方から見た場合、全体として凹円弧状に緩やかに窪んで形成されている。このような特徴のある取手部2bの形状とすることで、トナー容器2を交換する作業者が、取手部2bを下側にしてトナー容器2を縦置きすることが不可能であると認識しやすくする効果がある。
【0033】
前記凹円弧状の緩やかな窪みを図4(A)(B)を参照してさらに詳しく説明すると、最高部61と最低部62を通りトナー容器2の中心軸線を含む平面を第1平面P1とし、この第1平面P1と直交し最高部61と最低部62を通る平面を第2平面P2としたとき、前記最高部61から最低部62に至る外側リング部2b1の周縁は、第2平面P2よりもトナー容器2の一端面2d側に寄せて、すなわち第2平面P2から離して形成してある。但し、図3A、図3Bに示すように、容器本体2aの中心軸線Lから下側領域であって最高部61の近傍領域では、曲率が比較的大きな凹R面63となっているのに対し、容器本体2aの中心軸線Lから上側領域であって最低部62の近傍領域では、曲率が比較的小さく実質的にはほぼフラットな平面部64となっている。
【0034】
取手部2bの頭部2b1の外側リング部2b1の内側には、図3Bに一点鎖線で示すように、内側リング部と2b2スポーク部2b3で構成される面に円形のラベル71を貼り付けることができるようになっている。このラベル71はトナー容器2のトナーの色や型番等を表示可能なものであって、頭部の手前側面積を比較的広く確保することができるので、ラベル71の大きさも見やすいように最適寸法にすることが容易である。但し、ラベル71は円形で頭部2b1も円形であるから、ラベル71を貼り付ける際にラベル71の向きを正しい方向に合わせにくいことも考えられる。そこで、ラベル71の向きが傾かないように、またラベル71の上下を逆にして間違って貼り付けることのないようにするため、図3Bのように、外側リング部2b1の最高部61の直近内側のスポーク部2b3の先端に、目印としての凸部65を形成するとよい。この凸部65にラベル71の最下部を合わせるようにしてラベル71を貼れば、ラベル71をバラツキなく正しく綺麗に貼ることができる。なお、図3BでRはトナー収容室である。
【0035】
(トナー容器の交換)
トナー容器2は以上のように構成され、このトナー容器2を作業者が交換する場合、図3Aのように取手部2bに指を掛けてトナー容器2の着脱を行う。この際、頭部2b1の最高部61を親指と人差し指で自然に挟むように持つことができるので、トナー容器2の着脱操作性が良好になる。
【0036】
次に、このように取り外したトナー容器2をいったん近くの設置面に仮置きし、新しいトナー容器2を装置本体に装着する。トナー容器2を仮置きする場合、設置面にスペース的な余裕があれば補給装置2cを上側にして水平に仮置きするのが望ましい。図2に示すように、トナー容器2の本体上面には脚部2eが形成され、この脚部2eを下側にして設置面に仮置きすれば、補給装置2cが上向きになってトナーがこぼれる心配がない。しかし、装置本体の周囲スペースに余裕がない場合、作業者はともするとトナー容器2を縦にして仮置きする場合がある。このような容器縦置きの場合でも、取手部2bを上向きにして仮置きすれば補給装置2cが上側になるので、開口部2c1からトナーが漏れて周囲に飛散する心配はない。
【0037】
しかし、図4(A)(B)のように間違って取手部2bを下向きにしてトナー容器2を仮置きすると、トナー容器2の転倒方向によっては補給装置2cの開口部2c1からトナーがこぼれ出るおそれがある。しかし、本発明のトナー容器2は取手部2bを下向きにして仮置きすると、容器本体2aが垂直線に対して角度θで傾斜するので、作業者は仮置きした途端に取手部2bを下向きにして仮置きしたことに気付く。角度θの大きさは、取手部2bの最高部61と最低部62の高さ設定により自由に変更可能であり、例えば5°〜10°など、トナー容器2の重心位置等に対応して、トナー容器2の所望の倒れ特性が得られるように設定することができる。このため、トナー容器2は図4(A)(B)の状態では垂直姿勢で安定的に自立することができず、トナー容器2が不安定に横揺れするなどの挙動を示すため、そのまま仮置きすることが不可能であり、間違いであることが直ちに作業者に分かるようになっている。
【0038】
また、作業者が前記不安定な仮置き状態を見過ごすか無視して、トナー容器2が図4(A)(B)の状態から不用意に倒れるようなことがあっても、本発明のトナー容器2は、トナー容器2の補給装置2cが取手部2bの最高部61側に配置されているので、トナー容器2が補給装置2c側に倒れて補給装置2cが下向き状態になるおそれがない。トナー容器2が最も倒れやすい方向は図4(A)の角度θの傾斜方向すなわち取手部2bの最低部62のある側であって、図5のように最低部62を支点としてトナー容器2が倒れたとしても、図5(C)のように補給装置2cを上側にしてトナー容器2が横倒しになるから、補給装置2cの開口部2c1からトナーが周囲に飛散することがない。
【0039】
また、図4(B)の左右方向(矢印方向)にトナー容器2が転倒したとしても、図6(C)のように補給装置2cを横向きにしてトナー容器2が横倒しになるから、補給装置2cの開口部2c1からトナーが飛散する可能性は少ない。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々変形が可能であって、例えば前記実施形態ではトナー容器の容器本体を円筒状としたが、この容器形状は円筒状の他、角筒状や直方体形状であってもよいし、トナー容器は回収用のトナー容器であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
2(2C、2K、2M、2Y) トナー容器
2a 容器本体
2b 取手
2b1 外側リング部
2b2 内側リング部
2b3 スポーク部
2c 補給装置
2c1 開口部
2d 一端面
2e 脚部
61 最高部
62 最低部
63 凹R部
64 平面部
65 凸部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】特開2009−294406号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを使用する装置本体に対して着脱自在に装着して前記トナーを供給し又は使用済みのトナーを回収するためのトナー容器であって、前記トナー容器は前記装置本体に対する着脱時の取手となる取手部を有し、前記取手部は前記装置本体に装着した状態で手前側となる面を前記トナー容器の中心軸線に対して傾斜させたトナー容器。
【請求項2】
前記トナー容器は、トナーの供給口又は回収口となる開口部を有し、
前記取手部は、前記トナー容器の中心軸線上の一端面に凸状に形成された頸部と頭部を有し、
前記頭部は、その周縁の一部が前記トナー容器の一端面から最も離間した最高部を形成すると共に、前記最高部の反対側の周縁の一部が前記トナー容器の一端面に最も接近した最低部を形成し、
前記トナー容器の開口部が、前記トナー容器の側面であって、前記トナー容器の中心軸線から見て前記最高部側の側面に配置され、
前記トナー容器を前記装置本体から離脱させて前記頭部を下にして水平な設置面に置いた際に、前記開口部が下側となる方向以外の方向に容器が倒れる特性を有するようにした請求項1に記載のトナー容器。
【請求項3】
前記頭部の最高部と最低部の間の周縁を、前記最高部と最低部を通り前記トナー容器の中心軸線を含む第1平面と直交し前記最高部と最低部を通る第2平面を基準として、当該第2平面よりも前記トナー容器の一端面側に寄せて形成した請求項2のトナー容器。
【請求項4】
前記最高部の近傍の前記頭部の端面が凹R面を構成する請求項2又は3のトナー容器。
【請求項5】
前記頭部の端面にトナー容器の種類を示すラベルを貼付した請求項2から4のいずれか1に記載のトナー容器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1に記載のトナー容器を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−198319(P2012−198319A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61219(P2011−61219)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】