トナー担持体の製造方法、トナー担持体、現像装置、及び画像形成装置
【課題】簡便な方法で、耐久性のある円筒基体表面に配線を形成することができるようにする。
【解決手段】帯電部材6と試料基板7を100mmのギャップの非接触状態でセットし、この状態で1kVの電位を帯電部材6に与え、試料基板7上に潜像イメージを形成させた。次いで、機能性微粒子を炭化水素溶媒(EXON ISOPAR-H)に分散させ、湿式現像法を用いて試料基板7上の潜像に機能性微粒子を選択的に付着させた。ここで、機能性微粒子は、銀ナノ粒子を高分子材料でコートし、体積固有抵抗値が104W/cm3程度で、粒子径が1μm程度に調整された導電性微粒子を使用した。次いで、試料基板7上の導電性微粒子を予備乾燥し、150℃のオーブンに入れて30分間加圧焼成を行い、銀ナノ粒子を焼結させた。
【解決手段】帯電部材6と試料基板7を100mmのギャップの非接触状態でセットし、この状態で1kVの電位を帯電部材6に与え、試料基板7上に潜像イメージを形成させた。次いで、機能性微粒子を炭化水素溶媒(EXON ISOPAR-H)に分散させ、湿式現像法を用いて試料基板7上の潜像に機能性微粒子を選択的に付着させた。ここで、機能性微粒子は、銀ナノ粒子を高分子材料でコートし、体積固有抵抗値が104W/cm3程度で、粒子径が1μm程度に調整された導電性微粒子を使用した。次いで、試料基板7上の導電性微粒子を予備乾燥し、150℃のオーブンに入れて30分間加圧焼成を行い、銀ナノ粒子を焼結させた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真式の画像形成装置に使用される一成分式の現像装置において粉体トナーを担持する手段として利用されるトナー担持体、トナー担持体、現像装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルファブリケーションという印刷技術を応用した物作り技術が注目されており、その代表的なものとして、スクリーン印刷法とインクジェット法を応用した配線形成技術がある。
スクリーン印刷法は、一種の孔版印刷であり、配線パターンが形成された版を用いて導電性ペーストを基板に印刷する方法である。スクリーン印刷法に代表されるような有版印刷法は、版を必要とするため、少量多品種の生産には向かないが、大量生産では低コスト化が見込める方法である。しかし、スクリーンの線径をあまり細くすることができないため、線幅やピッチの細かいものには対応できないという問題がある。また、印刷対象物(基体)が円筒体である場合、円筒形状の直径(=周長)に僅かなばらつきがあると、印刷のつなぎ目部でパターンの位置精度が悪くなると言った不具合が生じることも、有版印刷法特有の問題点である。
インクジェット法は、インクジェットヘッドを用いて導電性インクを基板にオンデマンドに塗布する方法である。マスクレスのため少量多品種の生産には向いているが、配線パターンの配線幅やピッチが細かいものが要求された場合、他の印刷方法と比較して、印刷時間が長くなり、加工コストが高くなるという問題や、大量生産や大面積化に向かないという問題点がでてくる。
印刷技術以外の配線形成方法としては、従来のフォトリソグラフィー法がある。フォトリソグラフィー法は、絶縁基板に銅メッキを施し、その上にフォトレジストを塗布して、フォトマスクを介して露光、現像してレジストパターンを形成し、銅エッチングにより配線パターンを形成するものである。対象物(基体)が円筒体である場合、曲面状の周面にフォトマスクを介した露光を行うことが難しくなるため、光源を目的の線幅まで絞込み、光源をON/OFF制御しながら走査してレジストパターンを形成する技法が実施される。しかし、マスク露光とは異なり、光源を走査しながら少しずつレジストを硬化させるため、加工時間が長くなり、加工コストが高くなるという問題や、大量生産や大面積化に向かないという問題点がでてくる。また、銅電極をエッチングにより除去するため、材料使用量に無駄が生じたり、エッチング液や有機溶剤を使用することから環境負荷の高い製造方法になると言った問題点がある。
【0003】
次に、配線パターンの形成方法として、電子写真技術を応用した例を示す。
特許文献1の発明は、有機光導電層を有する電子写真感光体層を形成した基板に、(イ)該電子写真感光体を帯電させる工程、(ロ)該電子写真感光体を選択的に露光し、静電潜像を形成する工程、(ハ)該静電潜像に応じて該電子写真感光体にトナーを付着させ、パターンを形成する工程、(ニ)該パターンを形成した基板を焼成し、該有機光導電層を除去するとともにパターンを基板に直接固着させる工程を順次実施することによって、該トナーからなる所望のパターンを得ることを特徴としている。しかし、基板に有機光導電層が必要になることや、有機光導電層を除去する工程が必要になることから、工程が煩雑になり、加工コストが高くなるという問題点がある。
特許文献2の発明は、基板上の金属箔層をエッチングまたはリフトオフにより回路パターンを作製する方法において、パターンニングするためのレジストパターンを液体現像法で形成することを特徴としている。ここでの液体現像法では、予め帯電された感光体表面上に回路パターンに応じた電界分布潜像を形成し、レジスト部材を付着させて前記回路パターンに応じたレジスト像を形成し、基板上または前記金属箔層上に転写する。この方法は、マスクレスでレジストパターンを形成できるメリットがあるが、基板に金属を製膜する工程やエッチング工程があるため、工程数が多くなる。また、金属箔層をエッチングまたはリフトオフにより除去するため、材料使用量に無駄が生じることや、エッチング液や有機溶剤を使用することから環境負荷の高い製造方法になると言った問題点がある。
【0004】
特許文献3の発明は、湿式の電子写真現像方式を用いた回路パターン形成方法であって、絶縁性のキャリア液と当該キャリア液に懸濁された帯電したトナー粒子とを含む現像液に、回路パターンの静電潜像が形成された感光体を浸漬し、当該静電潜像に前記トナー粒子を付着させて当該感光体上にトナー顕像を形成する現像工程と、前記トナー顕像を乾燥させて前記キャリア液を除去する乾燥工程と、乾燥させた前記トナー顕像を絶縁性基板に転写する転写工程と、転写された前記トナー顕像を加熱して回路パターンを焼成する焼成工程とを有することを特徴としている。しかし、感光体が必要になることや、トナー顕像を絶縁性基板に転写する転写工程が必要になることから、工程が煩雑になり、加工コストが高くなるという問題点がある。
特許文献4には、感光体を用いずに、絶縁基板に直接イオンフロー法で潜像を形成し、湿式現像法で着色トナーを付着させ、カラーフィルタを作製する方法が提案されている。しかし、イオンフロー法を用いる場合、任意の潜像パターンを形成するためには、多チャンネル化が必要であり、しかも、コロナ放電でイオンを発生させるために高電圧をかける必要がある。多チャンネルをON/OFF制御する高電圧仕様の駆動回路が高価であることや、消費電力が大きいといった問題がある。また、イオンフロー装置の耐久性が低いことも問題になる。
【0005】
次に、トナー担持体について説明する。トナー担持体は、電子写真式の画像形成装置に装備される現像装置を構成する要素であり、例えば現像ローラ等と称される。トナー担持体は現像剤を収容した現像容器に設けた開口部内に配置されてその外周面の一部を感光体と対向配置されている。感光体にトナー担持体を接触させない現像方式、いわゆる非接触現像方式がいくつか提案されており、クラウド法やジャンピング法による現像方式が知られている。このうち、クラウド法は、トナー担持体に2種類の電極を配置し、交番電圧を印加することにより、トナー担持体上のトナーをホッピングさせて感光体に現像する方式であり、非磁性一成分トナーを現像する方法として、優れた方式であることが知られている。
以下にその他の従来技術を記載する。
特許文献5には、現像剤担持搬送体を駆動させて現像剤を像担持体に搬送する現像装置において、上記現像剤担持搬送体によって搬送される現像剤を予備荷電する予備荷電手段を設けると共に、この現像剤担持搬送体上に電界カーテンを作用させる電界カーテン発生手段を設けたことを特徴とする現像装置が提案されている。
特許文献6には、粉体を静電力で移動させる静電搬送装置において、前記粉体を静電力で搬送、ホッピングさせるための電界を発生させる複数の電極を有する搬送基板を備え、前記電極の前記粉体進行方向における幅が前記粉体の平均粒径の1倍以上20倍以下で、かつ、前記電極の前記粉体進行方向の間隔が前記粉体の平均粒径の1倍以上20倍以下であり、各電極にはn相(nは3以上の整数)以上の駆動波形が印加されることを特徴とする静電搬送装置が提案されている。
上記搬送基板の電極は、蒸着法又は電着法で形成された後、エッチングでパターニングされたものであり、支持基板上にAl、Ni−Cr等の導電性材料を0.1〜0.2μm厚で成膜し、これをフォトリソ技術等を用いて所要の電極形状にパターン化して形成している。これは、前述のフォトリソグラフィー法であり、フォトリソグラフィー法の問題点が生じることになる。
【0006】
特許文献7には、非磁性トナーを担持する現像剤担持体表面に、絶縁部を介して周期的な導電性電極パターンを設け、該電極に所望のバイアス電位を与えることで現像剤担持体表面近傍に電界勾配を発生せしめ、前記現像剤担持体上に前記非磁性トナーを付着搬送させることを特徴とする現像装置が提案されている。上記現像剤担持体の作製にあたっては、ポリイミドフィルム等の絶縁部材に電極を形成したものを通常の現像ローラの外周に貼り付けるという方法を採っており、これでは、ポリイミドフィルムを現像ローラの外周に貼り付けた時に生じるつなぎ目部の精度不良が画像品質の劣化を起こしてしまう。
特許文献8では、互いに絶縁された状態で所定方向に並ぶ複数の電極を有する電極パターンを備えた表面移動可能なトナー担持体を具備し、前記複数の電極中の所定の電極を起点にした奇数番目の電極の集合体である奇数番目電極群と偶数番目の電極の集合体である偶数番目電極群との間に電位差を生起せしめることで、前記トナー担持体の表面上のトナーを電極間で移動させながら前記トナー担持体の表面移動によって潜像担持体との対向位置まで搬送して前記潜像担持体上の潜像に付着させる現像装置において、奇数番目の電極と偶数番目の電極とにそれぞれ互いに位相ズレしたパルス電圧を印加することで前記トナー担持体の表面上のトナーを電極間で移動させるようにしたことを特徴とする現像装置を提案している。
上記トナー担持体は、絶縁体であるアクリル樹脂の円筒に軸穴を設け、ステンレス製の電極軸を円筒の軸穴に圧入して電極軸を奇数番目電極群、偶数番目電極群にそれぞれ接続する。次いで、トナー担持体の表面を外周旋削によって平滑に仕上げ、溝のピッチが100[μm]、溝幅が50[μm]となるように溝の切削を行う。溝切削を行ったローラに無電解ニッケルのメッキを施し、無電解ニッケルのメッキを施したローラの外周を旋削して不要な導体膜を取り除く。その後、ローラにシリコーン系樹脂をコーティングすることでローラの表面を平滑にし、同時に表面保護層(厚み約5[μm]、体積抵抗率約1010[Ω・cm])を形成してトナー担持体を製作している。しかし、この方法では、製作工程が多く煩雑であり、溝加工を切削で行っているため加工時間が長く、加工コストが高くなるという問題点がある。
【特許文献1】特許第3147621号
【特許文献2】特開平8−88456号公報
【特許文献3】特開2002−151828公報
【特許文献1】特開2001−183519公報
【特許文献2】特開平3−21967号公報
【特許文献3】特開2002−341656公報
【特許文献4】特開2003−84560公報
【特許文献5】特開2007−133376公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した各従来技術には以下のような問題点がある。
特許文献1に係る発明では、基板に有機光導電層が必要になることや、有機光導電層を除去する工程が必要になることから、工程が煩雑になり、加工コストが高くなるという問題点がある。
特許文献2に係る発明では、工程数が多くなることや、金属箔層をエッチングまたはリフトオフにより除去するため、材料使用量に無駄が生じること、さらには、エッチング液や有機溶剤を使用することから環境負荷の高い製造方法になると言った問題点がある。
特許文献3に係る発明では、感光体が必要になることや、トナー顕像を絶縁性基板に転写する転写工程が必要になることから、工程が煩雑になり、加工コストが高くなるという問題点がある。
特許文献4に係る発明では、多チャンネルをON/OFF制御する高電圧仕様の駆動回路が高価であることや、消費電力が大きいといった問題がある。また、イオンフロー装置の耐久性が低いことも問題になる。
【0008】
特許文献5に係る発明では、現像剤を用いるため、環境負荷が高い製造方法となるという問題点がある。
特許文献6に係る発明では、搬送基板の電極は、蒸着法又は電着法で形成された後、エッチングでパターンニングされたものであり、支持基板上にAl、Ni−Cr等の導電性材料を0.1〜0.2μm厚で成膜し、これをフォトリソ技術等を用いて所要の電極形状にパターン化して形成している。これは、前述のフォトリソグラフィー法であり、フォトリソグラフィー法の問題点が生じることになる。
特許文献7に係る発明では、ポリイミドフィルムを現像ローラの外周に貼り付けた時に生じるつなぎ目部の精度不良が画像品質の劣化を起こしてしまうという問題点がある。
特許文献8に係る発明では、製作工程が多く煩雑であり、溝加工を切削で行っているため加工時間が長く、加工コストが高くなるという問題点がある。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、電子写真技術を一成分式現像剤に用いるトナー担持体(現像ローラ)の製造に応用し、感光体を使用することも、感光体を除去することもなく、また、転写工程も必要とはせず、簡便な方法で耐久性のある円筒基体表面への配線形成方法を提案し、トナー担持体の製造方法、およびその製造方法によって作製されたトナー担持体、現像装置、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、基材、及び該基材面に形成され且つ形成しようとする静電パターンとほぼ同一のパターン形状を備えた導電材料を有した帯電部材を用意する工程と、導電性基板、及び該導電性基板面の少なくとも一部に形成された絶縁材料層を有した基体を用意する工程と、前記基体の絶縁材料層に前記帯電部材を用いて静電パターンを形成する工程と、導電性を有する粉体を前記静電パターン上に付着せしめて配線パターンを形成する工程と、を備えたことを特徴としている。
数μm〜数十μm幅の微細な電極パターンを精度良く、大量生産に向いた、生産効率の優れた方法で基体に形成することができ、非磁性一成分トナーの非接触現像を可能にするためのトナー担持体を提供することができる。
請求項2に係わる発明は、前記基体が、ローラ形状の部材であり、ローラ外周面上に絶縁材料層を設けて配線パターンを形成したことを特徴としている。
加工装置の小型化が図れる。
【0010】
請求項3に係わる発明は、前記帯電部材の基材上に製膜された導電材料層の上に、絶縁材料からなるパターン形状が形成されていることを特徴としている。
パターン形状を有する絶縁材料で導電材料をマスクするだけの簡便な方法で、導電材料のパターン形状を得ることができ、帯電部材に電圧を印加することで、絶縁基体上に導電材料のパターン形状と同一の静電パターンを形成(複製)することが可能になる。
請求項4に係わる発明は、前記帯電部材の導電性の基材上に導電材料の有無から成る配線パターンが形成されていることを特徴としている。
絶縁材料上に導電材料のパターンを形成するだけの簡便な方法で、導電材料のパターン形状を得ることができ、帯電部材に電圧を印加することで、絶縁基体上に導電材料のパターン形状と同一の静電パターンを形成(複製)することが可能になる。
請求項5に係わる発明は、前記帯電部材が平板形状であることを特徴としている。
請求項3または4記載の導電材料のパターンを形成することが簡単になり、パターンの形状精度も高いものが得られる。
【0011】
請求項6に係わる発明は、前記帯電部材がベルト形状であることを特徴としている。
連続的な静電パターンを形成する場合や、大面積化に対応しやすくなる。また、ベルト形状はフレキシブルに対応できるため、装置構成の自由度が大きくなる。
請求項7に係わる発明は、前記帯電部材が、ローラ形状であることを特徴としている。
連続的な静電パターンを形成する場合や、大面積化に対応しやすくなる。また、瞬間的な帯電領域が微小範囲になるため、帯電が安定し、精度の高い静電パターンを得ることができる。
請求項8に係わる発明は、ローラ形状の前記帯電部材の外径と、ローラ形状の前記基体の外径がほぼ同径であり、静電パターン形成時に前記帯電部材と前記基体をそれぞれ回転させ、その角速度を同じにすることを特徴とすることを特徴としている。
つなぎ目部(ローラ形状における潜像形成の始点と終点)の静電パターンの形状精度を高くすることができ、画像劣化の少ないトナー担持体を得ることができる。
【0012】
請求項9に係わる発明は、前記帯電部材を、基体の一部に設けた絶縁材料層に接触させた状態で電位差を与えることで、前記導電材料で形成されたパターン形状とほぼ同一の静電パターンを前記絶縁層に形成することを特徴としている。
帯電部材と基体の位置関係(帯電ギャップ)を一定にすることができ、帯電量が安定した静電イメージを形成することができる。その結果、導電性トナーの付着量も安定し、配線抵抗のばらつきが少なく、トナー担持体の性能も向上する。
請求項10に係わる発明は、前記帯電部材を、基体の一部に設けた絶縁材料層と微少な空隙を設けて配置した状態で電位差を与えることで、前記導電材料形成されたパターン形状とほぼ同一の静電パターンを前記絶縁層に形成することを特徴としている。
帯電領域を拡大して、加工速度を上げることが可能になる。また、請求項8に記載の方法を可能にする。
請求項11に係わる発明は、前記基体の一部に設けた絶縁層を、予め正負いずれか一方の電荷で帯電させた後、前記帯電部材によって、逆符号の電荷のパターンを形成することを特徴としている。
基体上に形成されたトナーと同符号の電荷がトナーと反発するために、地汚れ(不要な箇所にトナーが付着すること)の少ない配線パターンが得られ、ショート(短絡)することのない部品信頼性の高いトナー担持体を得ることができる。
【0013】
請求項12に係わる発明は、前記導電性を有する粉体を静電パターン上に付着せしめる方法として、乾式現像法を用いることを特徴としている。
湿式現像法(液体現像法)と比較して、溶剤レスで安全性が高く、環境負荷の少ない方法であり、加工装置のコストも安くなる。
請求項13に係わる発明は、前記導電性を有する粉体を静電パターン上に付着せしめる方法として、湿式現像法(液体現像法)を用いることを特徴としている。
使用するトナー粒径が乾式現像法より小さくなるため、配線パターン(電極幅、ピッチ)を微細化することができる。
請求項14に係わる発明は、トナー担持体において、請求項1乃至13いずれかに記載の方法により、基体の一部に設けた絶縁層上に配線パターンが形成されたことを特徴としている。
地汚れの発生を抑えることができるホッピング方式の画像形成装置を提供することができる。
請求項15に係わる現像装置は、請求項14に記載のトナー担持体を備えたことを特徴とする。
請求項16に係わる画像形成装置は、請求項15に記載の現像装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のトナー担持体の製造方法及びトナー担持体によれば、電子写真技術をトナー担持体の製造に応用し、感光体を使用することも、感光体を除去することもなく、また、転写工程も必要とはせず、簡便な方法で、耐久性のある円筒基体表面に配線を形成することができるトナー担持体の製造方法、およびその製造方法によって作製されたトナー担持体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を添付図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
[第1の実施形態]
まず、図1は本発明の第1の実施形態に係る帯電材料と導電基板からなる帯電部材及び配線パターンを示す図である。
図1に基づいて帯電部材6の作製手順について説明する。
図1(a)に示すように、帯電部材6の製造においては、導電性基板2としてSUS(Stainless Used Steel)(ステンレス鋼)製の平板を使用し、帯電材料(導電材料)1として未硬化のメラミン樹脂に硬化開始剤とカーボンブラックを添加して、製膜後の体積固有抵抗値が104〜106W/cm3の範囲に調整された材料を使用した。導電性基板(SUS基板)2上に未硬化の帯電材料1を50μmの膜厚になるように均一に塗布し、150℃の温度で30分間加熱してメラミン樹脂を硬化させた。次いで、レーザーアブレーション法によって帯電材料(帯電材料層)1を選択的に除去し、図1(b)に示すような線幅50μmの帯電材料1のパターンを形成した。
導電性基板2としてはSUS材の他に、導電性の材料であればどのような材料も使用可能であるが、材料コストや加工コストを考慮すると、アルミ、鉄、銅、真鍮等を使用することが望ましい。
【0016】
また、帯電材料(導電材料)1のベースレジンには熱硬化性樹脂が望ましく、メラミン樹脂の他に、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、フラン樹脂、アルキッド樹脂等の熱硬化性樹脂や、これら熱硬化性樹脂を2種以上含む混合物であっても使用することができる。また、ガラスやセラミックス等の無機材料や、後述の熱可塑性樹脂も使用することができる。
また、帯電材料1への導電性付与部材としては、カーボンブラックの他に、銀や銅等の金属微粒子(ナノ粒子)や、カーボンナノチューブ、ATO粉末、ITO粉末、各種フェライト粉末等を使用することができ、ベースレジンに導電性付与部材を添加して、体積固有抵抗値が104〜1010W/cm3の範囲、望ましくは104〜106W/cm3の範囲に調整されている材料が良い。
導電性基板2上に帯電材料1を塗布する方法としては、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、スピンコート、バーコート、ブレードコート等の各種製膜方法が使用できる。
帯電材料1のベースレジンとして熱可塑性樹脂を使用することができ、前記した体積固有抵抗値の範囲に入るように熱可塑性樹脂に導電性付与部材を添加したものや、イオン導電性を有する熱可塑性樹脂を用いて、射出成形法や押出成形法、熱プレス成形法等の樹脂加工法により、平板や円筒形状の基板上に直接成形しても良い。更に、帯電材料1の表面に平滑性が要求される場合には、射出成形法や押出成形法で形成した後に、切削法や研削法等で表面を2次加工しても良い。
【0017】
次に、図2はレーザーアブレーション法によって帯電材料を選択的に除去し、帯電材料の任意パターンを形成した後、凹部や全面に絶縁材料を塗布(塗工)して作成した帯電部材の例を示す図である。
図2に示すようにレーザーアブレーション法によって帯電材料1を選択的に除去し、帯電材料1の任意パターンを形成した後で、帯電材料パターン1a間の凹部内に絶縁材料3を塗布(塗工)してもよい。
図3は、レーザーアブレーション法によって帯電材料を選択的に除去し、帯電材料の任意パターンを形成した後、凹部や全面に絶縁材料を塗布(塗工)して作成した帯電部材の例を示す図である。
図3に示すようにレーザーアブレーション法によって帯電材料1を選択的に除去し、帯電材料1の任意パターンを形成した後で、帯電材料パターン1a及び凹部内を含めた全面に絶縁材料3を塗布(塗工)するようにしてもよい。
【0018】
次に、図4は第1の実施の形態における試料基板を示す図であり、試料基板(基体)7の作製手順について図4に基づいて説明する。
導電性基板4としてSUS製の平板を使用し、絶縁材料5として未硬化のメラミン樹脂に硬化開始剤を添加した材料を使用した。導電性基板(SUS基板)4上に未硬化の絶縁材料(絶縁材料層)5を20μmの膜厚になるように均一に塗布し、150℃の温度で30分間加熱して硬化させた。
なお、導電性基板4にはSUS材の他、導電性の部材であればどのような材料でも使用可能であるが、材料コストや加工コストを考慮すると、アルミ、鉄、銅、真鍮等を使用することが望ましい。
絶縁材料5としては、熱硬化性樹脂が望ましく、メラミン樹脂の他に、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂や、これら熱硬化性樹脂を2種以上含む混合物でも使用することができる。熱硬化性樹脂以外にも、熱可塑性樹脂やガラスやセラミックス等の無機材料を使用することができる。
導電性基板4上に絶縁材料5を塗布する方法としては、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、スピンコート、バーコート、ブレードコート等の製膜方法が使用できる。また、熱可塑性樹脂の場合には、射出成形法や押出成形法、熱プレス成形法等の熱成形法を使用することができる。
【0019】
次に、図5は帯電部材に電位を与えて試料基板(基体)上に潜像イメージを形成させる方法を示す図であり、図5に基づいて配線パターン作製手順(帯電工程〜現像工程〜乾燥・加圧焼結工程)について説明する。
上記の工程で夫々製作された帯電部材6と試料基板7を図5に示すように100mmのギャップGを隔てた非接触状態で対向してセットし、この状態で1kVの電位を帯電部材6に与え、試料基板7の絶縁材料5上に潜像イメージを形成させた。
なお、電位の符号は正負いずれでもよく、現像工程で付着させる機能性微粒子の帯電性能で決まるものである。また、予め逆符号の電位で試料基板(基体)7全面を帯電させておき、帯電部材6で電位を与えてもよい。
【0020】
次いで、機能性微粒子を炭化水素溶媒(EXON ISOPAR-H)に分散させ、湿式現像法を用いて試料基板7上の絶縁材料5に形成された潜像に機能性微粒子を選択的に付着させた。ここで、機能性微粒子は、銀ナノ粒子を高分子材料でコートし、体積固有抵抗値が104W/cm3程度で、粒子径が1μm程度に調整された導電性微粒子を使用した。
次いで、試料基板7上の導電性微粒子を予備乾燥し、150℃のオーブンに入れて30分間加圧焼成を行い、銀ナノ粒子を焼結させた。
この結果、パターンの形成は良好であり、得られた導電性微粒子のパターンの体積固有抵抗値が104W/cm3程度になることが確認された。
機能性微粒子を付着させる方法として、湿式現像法の他に乾式現像法でも良く、この方法は炭化水素溶媒を使用しないため湿式現像法よりも簡便な方法である。但し、乾式現像法に使用できる機能性微粒子は最小で4μm程度であるため、湿式現像法と比較して精細さに劣るといった欠点があるが、数十μm以上のパターン形成を目的とした場合には有意差が生じるものではない。
【0021】
[第2の実施形態]
図6、及び図7に基づいて第2の実施形態に係る製造方法について説明する。図6は第2の実施の形態における帯電材料と導電基板からなる帯電部材および配線パターンを示す図であり、図7は帯電部材に電位を与えて試料基板(基体)上に潜像イメージを形成させる方法を示す図である。
まず、帯電部材11の作製手順について説明する。
図6(a)の縦断面図に示すように、導電性の平板としてSUS基板(導電性基板)10を使用し、SUS基板10上に積層される帯電材料(導電材料)9として未硬化のメラミン樹脂に硬化開始剤とカーボンブラックを添加して、体積固有抵抗値が104〜106W/cm3の範囲に調整された材料を使用した。SUS基板10上に未硬化の帯電材料9を膜厚が50μmになるように均一に塗布し、150℃の温度で30分間加熱してメラミン樹脂を硬化させた。次いで、帯電材料9上に、絶縁材料8となるネガ型のフォトレジスト(microchem SU-8)を20mm塗布し、マスク露光して選択的にフォトレジストを硬化させ、現像処理により未露光部(未硬化部)のフォトレジストを除去し、フォトレジストのパターン、すなわち絶縁材料8のパターン8a(図6(b)の平面図参照)を得た。
ネガ型のフォトレジストの代わりに、ポジ型のフォトレジストを用いても同様のパターンを得ることができる。
試料基板(基体)12としては、第1の実施形態で使用した試料基板7と同様のものを使用した。
【0022】
次に、配線パターン作製手順(帯電工程〜現像工程〜乾燥・加圧焼結工程)について図7に基づいて説明する。
第1の実Gを隔てた非接触状態で対向してセットし、この状態で1kVの電位を帯電部材11に与え、試料基板12(導電性基板4上に絶縁材料層5を積層)上の絶縁材料層5に潜像イメージを形成させた。
次いで、導電性微粒子を炭化水素溶媒(EXON ISOPAR-H)に分散させ、湿式現像法を用いて試料基板12上の絶縁材料層5に形成した潜像に機能性微粒子を選択的に付着させ、試料基板12上の導電性微粒子を予備乾燥し、150℃のオーブンに入れて30分間加圧焼成を行い、銀ナノ粒子を焼結させた。
この結果、パターンの形成は良好であり、得られた導電性微粒子のパターンの体積固有抵抗値が104W/cm3程度になることが確認された。
【0023】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について図8、図9に基づいて説明する。
図8は導電性基板(SUS製ローラ)を示す図であり、図9は第3の実施形態に係る配線パターン作製手順(帯電工程〜現像工程〜乾燥・加圧焼結工程)を示す図である。
帯電部材16の作製に際しては、第2の実施形態で使用した帯電部材11と同様のものを帯電部材16として使用した。
図8に示すように、ローラ状の試料基板(基体)15の作製に際しては、導電性基板13としてSUS製のローラを使用し、導電性基板13の外周に積層された絶縁材料14として未硬化のメラミン樹脂に硬化開始剤を添加した材料を使用した。導電性基板(SUS製ローラ)13の周面上に未硬化の絶縁材料14をディッピング法で10μmの膜厚になるように均一に塗布し、150℃の温度で30分間加熱して硬化させた。
導電性基板13としてはSUS材の他、導電性の部材であればどのような材料も使用可能であるが、材料コストや加工コストを考慮すると、アルミ、鉄、銅、真鍮等を使用することが望ましい。また、内部が中空のパイプ形状で、その両端に軸部品を接合したものでも同様に使用することができる。
【0024】
次に、配線パターン作製手順(帯電工程〜現像工程〜乾燥・加圧焼結工程)に付いて図9に基づいて説明する。
帯電部材16とローラ状の試料基板15とを図9に示すように100mmのギャップGを隔てて非接触状態でセットし、この状態で1kVの電位を帯電部材16に与え、試料基板15の絶縁材料14上に潜像イメージを形成させた。ここで、試料基板15を回転させながら帯電部材16上面に沿って移動させることにより、円筒形状の試料基板15上に潜像イメージを形成させている。
次いで、機能性微粒子を炭化水素溶媒(EXON ISOPAR-H)に分散させ、湿式現像法を用いて試料基板(基体)15上の絶縁材料14に形成された潜像に機能性微粒子を選択的に付着させた。ここで、機能性微粒子は、銀ナノ粒子を高分子材料でコートし、体積固有抵抗値が104W/cm3程度で、粒子径が1μm程度に調整された導電性微粒子を使用した。
次いで、試料基板15上の導電性微粒子を予備乾燥し、150℃のオーブンに入れて30分間加圧焼成を行い、銀ナノ粒子を焼結させた。
この結果、パターンの形成は良好であり、得られた導電性微粒子のパターンの体積固有抵抗値が104W/cm3程度になることが確認された。
【0025】
[第4の実施形態]
次に、図10、図11に基づいて本発明の第4の実施形態について説明する。図10は第4の実施形態に係る帯電部材の説明図であり、図11は第4の実施形態に係る配線パターン作製手順(帯電工程〜現像工程〜乾燥・加圧焼結工程)を示す図である。
まず、帯電部材20の作製手順について説明する。
図10(a)に示すように、導電性基板17としてSUS製のローラを使用し、導電性基板17の外周に積層された帯電材料(導電材料)18として未硬化のメラミン樹脂に硬化開始剤とカーボンブラックを添加して、製膜後の体積固有抵抗値が104〜106W/cm3の範囲に調整された材料を使用した。導電性基板(SUS製のローラ)17の周面上に未硬化の帯電材料18をディッピング法で50μmの膜厚になるように均一に塗布し、150℃の温度で30分間加熱してメラミン樹脂を硬化させた。次いで、レーザーアブレーション法によって前記帯電材料18を選択的に除去し、帯電材料18の任意パターンを形成し、帯電部材20とした(図10(b)参照)。
第3の実施形態で使用した試料基板15(導電材料13、絶縁材料14)と同様のものを試料基板(基体)19として使用した。
【0026】
次に、配線パターン作製手順(帯電工程〜現像工程〜乾燥・加圧焼結工程)について図11に基づいて説明する。
ローラ状の帯電部材20とローラ状の試料基板19を図11のように100mmのギャップGを隔てて非接触状態で対向配置してセットし、この状態で1kVの電位を帯電部材20に与え、試料基板19の周面上に潜像イメージを形成させた。ここで、試料基板19と帯電部材20を互いに逆方向に同一の角速度で回転させることにより、試料基板19上に潜像イメージを形成させている。また、回転方向は互いに逆方向とされる。図11の例では、試料基板19を反時計回りに回転され、帯電部材20を時計回りに回転させている。
次いで、機能性微粒子を炭化水素溶媒(EXON ISOPAR-H)に分散させ、湿式現像法を用いて試料基板19上の潜像に機能性微粒子を選択的に付着させた。ここで、機能性微粒子は、銀ナノ粒子を高分子材料でコートし、体積固有抵抗値が104W/cm3程度で、粒子径が1μm程度に調整された導電性微粒子を使用した。
次いで、試料基板19上の導電性微粒子を予備乾燥し、150℃のオーブンに入れて30分間加圧焼成を行い、銀ナノ粒子を焼結させた。
この結果、パターンの形成は良好であり、得られた導電性微粒子のパターンの体積固有抵抗値が104W/cm3程度になることが確認された。
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0027】
次に、図12は本発明の製造方法によって製造されたトナー担持体を備えた現像装置の概略構成図である。
この現像装置30は、感光体40の周面に対して対向配置されており、感光体40の回転方向上流側に位置する図示しない帯電装置によりその周面を一様に帯電されている。帯電装置の下流側には図示しない画像情報書込み部、現像装置30、転写部が順次配置されており、感光体上の静電潜像に画像情報書込み部からレーザ光等の画像情報を照射して静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置30からの粉体トナーによって現像する。こうして得られた現像像(トナー像)は図示しない給紙装置から供給される記録紙上に転写部にて転写され、その後、図示しない定着装置により定着されて機外へ排出される。
現像装置30が感光体40と対向する部位には本発明のトナー担持体31が配置されており、現像容器内で攪拌搬送されてきたトナーをその周面に保持して回転しながらトナーを感光体40上の静電潜像上に供給する。
【0028】
以上のように本発明の各実施形態によれば以下のような効果を奏する。
まず、本発明は、基材、及び該基材面に形成され且つ形成しようとする静電パターンとほぼ同一のパターン形状を備えた導電材料を有した帯電部材を用意する工程と、導電性基板、及び該導電性基板面の少なくとも一部に形成された絶縁材料層を有した基体を用意する工程と、前記基体の絶縁材料層に前記帯電部材を用いて静電パターンを形成する工程と、導電性を有する粉体を前記静電パターン上に付着せしめて配線パターンを形成する工程と、を備えている。
このため、数μm〜数十μm幅の微細な電極パターンを精度良く、大量生産に向いた、生産効率の優れた方法で基体に形成することができ、非磁性一成分トナーの非接触現像を可能にするためのトナー担持体を提供することができる。
また、基体が、ローラ形状の部材であり、ローラ外周面上に絶縁材料層を設けて配線パターンを形成するので、加工装置の小型化が図れる。
【0029】
また、帯電部材の基材上に製膜された導電材料層の上に、絶縁材料からなるパターン形状が形成されているので、パターン形状を有する絶縁材料で導電材料をマスクするだけの簡便な方法で、導電材料のパターン形状を得ることができ、帯電部材に電圧を印加することで、絶縁基体上に導電材料のパターン形状と同一の静電パターンを形成(複製)することが可能になる。
また、帯電部材の導電性の基材上に導電材料の有無から成る配線パターンが形成されているので、絶縁材料上に導電材料のパターンを形成するだけの簡便な方法で、導電材料のパターン形状を得ることができ、帯電部材に電圧を印加することで、絶縁基体上に導電材料のパターン形状と同一の静電パターンを形成(複製)することが可能になる。
また、帯電部材が平板形状であるので、導電材料のパターンを形成することが簡単になり、パターンの形状精度も高いものが得られる。
【0030】
また、帯電部材がベルト形状であるので、連続的な静電パターンを形成する場合や、大面積化に対応しやすくなる。また、ベルト形状はフレキシブルに対応できるため、装置構成の自由度が大きくなる。
また、帯電部材が、ローラ形状であるため、連続的な静電パターンを形成する場合や、大面積化に対応しやすくなる。また、瞬間的な帯電領域が微小範囲になるため、帯電が安定し、精度の高い静電パターンを得ることができる。
また、ローラ形状の前記帯電部材の外径と、ローラ形状の前記基体の外径がほぼ同径であり、静電パターン形成時に前記帯電部材と前記基体をそれぞれ回転させ、その角速度を同じにするため、つなぎ目部(ローラ形状における潜像形成の始点と終点)の静電パターンの形状精度を高くすることができ、画像劣化の少ないトナー担持体を得ることができる。
また、帯電部材を、基体の一部に設けた絶縁材料層に接触させた状態で電位差を与えることで、導電材料で形成されたパターン形状とほぼ同一の静電パターンを前記絶縁層に形成するので、帯電部材と基体の位置関係(帯電ギャップ)を一定にすることができ、帯電量が安定した静電イメージを形成することができる。その結果、導電性トナーの付着量も安定し、配線抵抗のばらつきが少なく、トナー担持体の性能も向上する。
【0031】
また、帯電部材を、基体の一部に設けた絶縁材料層と微少な空隙を設けて配置した状態で電位差を与えることで、導電材料形成されたパターン形状とほぼ同一の静電パターンを前記絶縁層に形成するので、帯電領域を拡大して、加工速度を上げることが可能になる。
また、基体の一部に設けた絶縁層を、予め正負いずれか一方の電荷で帯電させた後、前記帯電部材によって、逆符号の電荷のパターンを形成するので、基体上に形成されたトナーと同符号の電荷がトナーと反発するために、地汚れ(不要な箇所にトナーが付着すること)の少ない配線パターンが得られ、ショート(短絡)することのない部品信頼性の高いトナー担持体を得ることができる。
また、導電性を有する粉体を静電パターン上に付着せしめる方法として、乾式現像法を用いるので、湿式現像法(液体現像法)と比較して、溶剤レスで安全性が高く、環境負荷の少ない方法であり、加工装置のコストも安くなる。
また、導電性を有する粉体を静電パターン上に付着せしめる方法として、湿式現像法(液体現像法)を用いるので、使用するトナー粒径が乾式現像法より小さくなるため、配線パターン(電極幅、ピッチ)を微細化することができる。
【0032】
また、トナー担持体において、上記いずれかの方法により、基体の一部に設けた絶縁層上に配線パターンが形成されるので、地汚れの発生を抑えることができるホッピング方式の画像形成装置を提供することができる。
このように本発明のトナー担持体の製造方法及びトナー担持体によれば、電子写真技術をトナー担持体の製造に応用し、感光体を使用することも、感光体を除去することもなく、また、転写工程も必要とはせず、簡便な方法で、耐久性のある円筒基体表面に配線を形成することができる非磁性一成分式の現像装置に適したトナー担持体の製造方法、およびその製造方法によって作製されたトナー担持体を提供することができる。
本発明はこの非磁性一成分トナーを用いる現像装置と、現像装置を備えた電子写真式の画像形成装置(複写機、プリンタ、ファクシミリ)を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1の実施の形態における帯電材料と導電基板からなる帯電部材および配線パターンを示す図である。
【図2】レーザーアブレーション法によって帯電材料を選択的に除去し、帯電材料の任意パターンを形成した後、凹部や全面に絶縁材料を塗布(塗工)して作成した帯電部材の例を示す図である。
【図3】レーザーアブレーション法によって帯電材料を選択的に除去し、帯電材料の任意パターンを形成した後、凹部や全面に絶縁材料を塗布(塗工)して作成した帯電部材の例を示す図である。
【図4】第1の実施の形態における試料基板を示す図である。
【図5】帯電部材に電位を与えて試料基板上に潜像イメージを形成させる方法を示す図である。
【図6】第2の実施の形態における帯電材料と導電基板からなる帯電部材および配線パターンを示す図である。
【図7】帯電部材に電位を与えて試料基板上に潜像イメージを形成させる方法を示す図である。
【図8】導電性基板(SUS製ローラ)を示す図である。
【図9】第3の実施形態に係る配線パターン作製手順(帯電工程〜現像工程〜乾燥・加圧焼結工程)を示す図である。
【図10】第4の実施形態に係る帯電部材の説明図である。
【図11】第4の実施形態に係る配線パターン作製手順(帯電工程〜現像工程〜乾燥・加圧焼結工程)を示す図である。
【図12】本発明のトナー担持体を備えた現像装置の説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 帯電材料(導電材料)、2 導電性基板、3 絶縁材料、4 導電性基板、5 絶縁材料、6 帯電部材、7 試料基板(基体)、8 絶縁材料、9 帯電材料(導電材料)、10 導電性基板、11 帯電部材、12 試料基板(基体)、13 導電性基板(ローラ)、14 絶縁材料、15 試料基板(基体)、16 帯電部材、17 導電性基板(ローラ)、18 帯電材料(導電材料)、19 試料基板(基体)、20 帯電部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真式の画像形成装置に使用される一成分式の現像装置において粉体トナーを担持する手段として利用されるトナー担持体、トナー担持体、現像装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルファブリケーションという印刷技術を応用した物作り技術が注目されており、その代表的なものとして、スクリーン印刷法とインクジェット法を応用した配線形成技術がある。
スクリーン印刷法は、一種の孔版印刷であり、配線パターンが形成された版を用いて導電性ペーストを基板に印刷する方法である。スクリーン印刷法に代表されるような有版印刷法は、版を必要とするため、少量多品種の生産には向かないが、大量生産では低コスト化が見込める方法である。しかし、スクリーンの線径をあまり細くすることができないため、線幅やピッチの細かいものには対応できないという問題がある。また、印刷対象物(基体)が円筒体である場合、円筒形状の直径(=周長)に僅かなばらつきがあると、印刷のつなぎ目部でパターンの位置精度が悪くなると言った不具合が生じることも、有版印刷法特有の問題点である。
インクジェット法は、インクジェットヘッドを用いて導電性インクを基板にオンデマンドに塗布する方法である。マスクレスのため少量多品種の生産には向いているが、配線パターンの配線幅やピッチが細かいものが要求された場合、他の印刷方法と比較して、印刷時間が長くなり、加工コストが高くなるという問題や、大量生産や大面積化に向かないという問題点がでてくる。
印刷技術以外の配線形成方法としては、従来のフォトリソグラフィー法がある。フォトリソグラフィー法は、絶縁基板に銅メッキを施し、その上にフォトレジストを塗布して、フォトマスクを介して露光、現像してレジストパターンを形成し、銅エッチングにより配線パターンを形成するものである。対象物(基体)が円筒体である場合、曲面状の周面にフォトマスクを介した露光を行うことが難しくなるため、光源を目的の線幅まで絞込み、光源をON/OFF制御しながら走査してレジストパターンを形成する技法が実施される。しかし、マスク露光とは異なり、光源を走査しながら少しずつレジストを硬化させるため、加工時間が長くなり、加工コストが高くなるという問題や、大量生産や大面積化に向かないという問題点がでてくる。また、銅電極をエッチングにより除去するため、材料使用量に無駄が生じたり、エッチング液や有機溶剤を使用することから環境負荷の高い製造方法になると言った問題点がある。
【0003】
次に、配線パターンの形成方法として、電子写真技術を応用した例を示す。
特許文献1の発明は、有機光導電層を有する電子写真感光体層を形成した基板に、(イ)該電子写真感光体を帯電させる工程、(ロ)該電子写真感光体を選択的に露光し、静電潜像を形成する工程、(ハ)該静電潜像に応じて該電子写真感光体にトナーを付着させ、パターンを形成する工程、(ニ)該パターンを形成した基板を焼成し、該有機光導電層を除去するとともにパターンを基板に直接固着させる工程を順次実施することによって、該トナーからなる所望のパターンを得ることを特徴としている。しかし、基板に有機光導電層が必要になることや、有機光導電層を除去する工程が必要になることから、工程が煩雑になり、加工コストが高くなるという問題点がある。
特許文献2の発明は、基板上の金属箔層をエッチングまたはリフトオフにより回路パターンを作製する方法において、パターンニングするためのレジストパターンを液体現像法で形成することを特徴としている。ここでの液体現像法では、予め帯電された感光体表面上に回路パターンに応じた電界分布潜像を形成し、レジスト部材を付着させて前記回路パターンに応じたレジスト像を形成し、基板上または前記金属箔層上に転写する。この方法は、マスクレスでレジストパターンを形成できるメリットがあるが、基板に金属を製膜する工程やエッチング工程があるため、工程数が多くなる。また、金属箔層をエッチングまたはリフトオフにより除去するため、材料使用量に無駄が生じることや、エッチング液や有機溶剤を使用することから環境負荷の高い製造方法になると言った問題点がある。
【0004】
特許文献3の発明は、湿式の電子写真現像方式を用いた回路パターン形成方法であって、絶縁性のキャリア液と当該キャリア液に懸濁された帯電したトナー粒子とを含む現像液に、回路パターンの静電潜像が形成された感光体を浸漬し、当該静電潜像に前記トナー粒子を付着させて当該感光体上にトナー顕像を形成する現像工程と、前記トナー顕像を乾燥させて前記キャリア液を除去する乾燥工程と、乾燥させた前記トナー顕像を絶縁性基板に転写する転写工程と、転写された前記トナー顕像を加熱して回路パターンを焼成する焼成工程とを有することを特徴としている。しかし、感光体が必要になることや、トナー顕像を絶縁性基板に転写する転写工程が必要になることから、工程が煩雑になり、加工コストが高くなるという問題点がある。
特許文献4には、感光体を用いずに、絶縁基板に直接イオンフロー法で潜像を形成し、湿式現像法で着色トナーを付着させ、カラーフィルタを作製する方法が提案されている。しかし、イオンフロー法を用いる場合、任意の潜像パターンを形成するためには、多チャンネル化が必要であり、しかも、コロナ放電でイオンを発生させるために高電圧をかける必要がある。多チャンネルをON/OFF制御する高電圧仕様の駆動回路が高価であることや、消費電力が大きいといった問題がある。また、イオンフロー装置の耐久性が低いことも問題になる。
【0005】
次に、トナー担持体について説明する。トナー担持体は、電子写真式の画像形成装置に装備される現像装置を構成する要素であり、例えば現像ローラ等と称される。トナー担持体は現像剤を収容した現像容器に設けた開口部内に配置されてその外周面の一部を感光体と対向配置されている。感光体にトナー担持体を接触させない現像方式、いわゆる非接触現像方式がいくつか提案されており、クラウド法やジャンピング法による現像方式が知られている。このうち、クラウド法は、トナー担持体に2種類の電極を配置し、交番電圧を印加することにより、トナー担持体上のトナーをホッピングさせて感光体に現像する方式であり、非磁性一成分トナーを現像する方法として、優れた方式であることが知られている。
以下にその他の従来技術を記載する。
特許文献5には、現像剤担持搬送体を駆動させて現像剤を像担持体に搬送する現像装置において、上記現像剤担持搬送体によって搬送される現像剤を予備荷電する予備荷電手段を設けると共に、この現像剤担持搬送体上に電界カーテンを作用させる電界カーテン発生手段を設けたことを特徴とする現像装置が提案されている。
特許文献6には、粉体を静電力で移動させる静電搬送装置において、前記粉体を静電力で搬送、ホッピングさせるための電界を発生させる複数の電極を有する搬送基板を備え、前記電極の前記粉体進行方向における幅が前記粉体の平均粒径の1倍以上20倍以下で、かつ、前記電極の前記粉体進行方向の間隔が前記粉体の平均粒径の1倍以上20倍以下であり、各電極にはn相(nは3以上の整数)以上の駆動波形が印加されることを特徴とする静電搬送装置が提案されている。
上記搬送基板の電極は、蒸着法又は電着法で形成された後、エッチングでパターニングされたものであり、支持基板上にAl、Ni−Cr等の導電性材料を0.1〜0.2μm厚で成膜し、これをフォトリソ技術等を用いて所要の電極形状にパターン化して形成している。これは、前述のフォトリソグラフィー法であり、フォトリソグラフィー法の問題点が生じることになる。
【0006】
特許文献7には、非磁性トナーを担持する現像剤担持体表面に、絶縁部を介して周期的な導電性電極パターンを設け、該電極に所望のバイアス電位を与えることで現像剤担持体表面近傍に電界勾配を発生せしめ、前記現像剤担持体上に前記非磁性トナーを付着搬送させることを特徴とする現像装置が提案されている。上記現像剤担持体の作製にあたっては、ポリイミドフィルム等の絶縁部材に電極を形成したものを通常の現像ローラの外周に貼り付けるという方法を採っており、これでは、ポリイミドフィルムを現像ローラの外周に貼り付けた時に生じるつなぎ目部の精度不良が画像品質の劣化を起こしてしまう。
特許文献8では、互いに絶縁された状態で所定方向に並ぶ複数の電極を有する電極パターンを備えた表面移動可能なトナー担持体を具備し、前記複数の電極中の所定の電極を起点にした奇数番目の電極の集合体である奇数番目電極群と偶数番目の電極の集合体である偶数番目電極群との間に電位差を生起せしめることで、前記トナー担持体の表面上のトナーを電極間で移動させながら前記トナー担持体の表面移動によって潜像担持体との対向位置まで搬送して前記潜像担持体上の潜像に付着させる現像装置において、奇数番目の電極と偶数番目の電極とにそれぞれ互いに位相ズレしたパルス電圧を印加することで前記トナー担持体の表面上のトナーを電極間で移動させるようにしたことを特徴とする現像装置を提案している。
上記トナー担持体は、絶縁体であるアクリル樹脂の円筒に軸穴を設け、ステンレス製の電極軸を円筒の軸穴に圧入して電極軸を奇数番目電極群、偶数番目電極群にそれぞれ接続する。次いで、トナー担持体の表面を外周旋削によって平滑に仕上げ、溝のピッチが100[μm]、溝幅が50[μm]となるように溝の切削を行う。溝切削を行ったローラに無電解ニッケルのメッキを施し、無電解ニッケルのメッキを施したローラの外周を旋削して不要な導体膜を取り除く。その後、ローラにシリコーン系樹脂をコーティングすることでローラの表面を平滑にし、同時に表面保護層(厚み約5[μm]、体積抵抗率約1010[Ω・cm])を形成してトナー担持体を製作している。しかし、この方法では、製作工程が多く煩雑であり、溝加工を切削で行っているため加工時間が長く、加工コストが高くなるという問題点がある。
【特許文献1】特許第3147621号
【特許文献2】特開平8−88456号公報
【特許文献3】特開2002−151828公報
【特許文献1】特開2001−183519公報
【特許文献2】特開平3−21967号公報
【特許文献3】特開2002−341656公報
【特許文献4】特開2003−84560公報
【特許文献5】特開2007−133376公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した各従来技術には以下のような問題点がある。
特許文献1に係る発明では、基板に有機光導電層が必要になることや、有機光導電層を除去する工程が必要になることから、工程が煩雑になり、加工コストが高くなるという問題点がある。
特許文献2に係る発明では、工程数が多くなることや、金属箔層をエッチングまたはリフトオフにより除去するため、材料使用量に無駄が生じること、さらには、エッチング液や有機溶剤を使用することから環境負荷の高い製造方法になると言った問題点がある。
特許文献3に係る発明では、感光体が必要になることや、トナー顕像を絶縁性基板に転写する転写工程が必要になることから、工程が煩雑になり、加工コストが高くなるという問題点がある。
特許文献4に係る発明では、多チャンネルをON/OFF制御する高電圧仕様の駆動回路が高価であることや、消費電力が大きいといった問題がある。また、イオンフロー装置の耐久性が低いことも問題になる。
【0008】
特許文献5に係る発明では、現像剤を用いるため、環境負荷が高い製造方法となるという問題点がある。
特許文献6に係る発明では、搬送基板の電極は、蒸着法又は電着法で形成された後、エッチングでパターンニングされたものであり、支持基板上にAl、Ni−Cr等の導電性材料を0.1〜0.2μm厚で成膜し、これをフォトリソ技術等を用いて所要の電極形状にパターン化して形成している。これは、前述のフォトリソグラフィー法であり、フォトリソグラフィー法の問題点が生じることになる。
特許文献7に係る発明では、ポリイミドフィルムを現像ローラの外周に貼り付けた時に生じるつなぎ目部の精度不良が画像品質の劣化を起こしてしまうという問題点がある。
特許文献8に係る発明では、製作工程が多く煩雑であり、溝加工を切削で行っているため加工時間が長く、加工コストが高くなるという問題点がある。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、電子写真技術を一成分式現像剤に用いるトナー担持体(現像ローラ)の製造に応用し、感光体を使用することも、感光体を除去することもなく、また、転写工程も必要とはせず、簡便な方法で耐久性のある円筒基体表面への配線形成方法を提案し、トナー担持体の製造方法、およびその製造方法によって作製されたトナー担持体、現像装置、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、基材、及び該基材面に形成され且つ形成しようとする静電パターンとほぼ同一のパターン形状を備えた導電材料を有した帯電部材を用意する工程と、導電性基板、及び該導電性基板面の少なくとも一部に形成された絶縁材料層を有した基体を用意する工程と、前記基体の絶縁材料層に前記帯電部材を用いて静電パターンを形成する工程と、導電性を有する粉体を前記静電パターン上に付着せしめて配線パターンを形成する工程と、を備えたことを特徴としている。
数μm〜数十μm幅の微細な電極パターンを精度良く、大量生産に向いた、生産効率の優れた方法で基体に形成することができ、非磁性一成分トナーの非接触現像を可能にするためのトナー担持体を提供することができる。
請求項2に係わる発明は、前記基体が、ローラ形状の部材であり、ローラ外周面上に絶縁材料層を設けて配線パターンを形成したことを特徴としている。
加工装置の小型化が図れる。
【0010】
請求項3に係わる発明は、前記帯電部材の基材上に製膜された導電材料層の上に、絶縁材料からなるパターン形状が形成されていることを特徴としている。
パターン形状を有する絶縁材料で導電材料をマスクするだけの簡便な方法で、導電材料のパターン形状を得ることができ、帯電部材に電圧を印加することで、絶縁基体上に導電材料のパターン形状と同一の静電パターンを形成(複製)することが可能になる。
請求項4に係わる発明は、前記帯電部材の導電性の基材上に導電材料の有無から成る配線パターンが形成されていることを特徴としている。
絶縁材料上に導電材料のパターンを形成するだけの簡便な方法で、導電材料のパターン形状を得ることができ、帯電部材に電圧を印加することで、絶縁基体上に導電材料のパターン形状と同一の静電パターンを形成(複製)することが可能になる。
請求項5に係わる発明は、前記帯電部材が平板形状であることを特徴としている。
請求項3または4記載の導電材料のパターンを形成することが簡単になり、パターンの形状精度も高いものが得られる。
【0011】
請求項6に係わる発明は、前記帯電部材がベルト形状であることを特徴としている。
連続的な静電パターンを形成する場合や、大面積化に対応しやすくなる。また、ベルト形状はフレキシブルに対応できるため、装置構成の自由度が大きくなる。
請求項7に係わる発明は、前記帯電部材が、ローラ形状であることを特徴としている。
連続的な静電パターンを形成する場合や、大面積化に対応しやすくなる。また、瞬間的な帯電領域が微小範囲になるため、帯電が安定し、精度の高い静電パターンを得ることができる。
請求項8に係わる発明は、ローラ形状の前記帯電部材の外径と、ローラ形状の前記基体の外径がほぼ同径であり、静電パターン形成時に前記帯電部材と前記基体をそれぞれ回転させ、その角速度を同じにすることを特徴とすることを特徴としている。
つなぎ目部(ローラ形状における潜像形成の始点と終点)の静電パターンの形状精度を高くすることができ、画像劣化の少ないトナー担持体を得ることができる。
【0012】
請求項9に係わる発明は、前記帯電部材を、基体の一部に設けた絶縁材料層に接触させた状態で電位差を与えることで、前記導電材料で形成されたパターン形状とほぼ同一の静電パターンを前記絶縁層に形成することを特徴としている。
帯電部材と基体の位置関係(帯電ギャップ)を一定にすることができ、帯電量が安定した静電イメージを形成することができる。その結果、導電性トナーの付着量も安定し、配線抵抗のばらつきが少なく、トナー担持体の性能も向上する。
請求項10に係わる発明は、前記帯電部材を、基体の一部に設けた絶縁材料層と微少な空隙を設けて配置した状態で電位差を与えることで、前記導電材料形成されたパターン形状とほぼ同一の静電パターンを前記絶縁層に形成することを特徴としている。
帯電領域を拡大して、加工速度を上げることが可能になる。また、請求項8に記載の方法を可能にする。
請求項11に係わる発明は、前記基体の一部に設けた絶縁層を、予め正負いずれか一方の電荷で帯電させた後、前記帯電部材によって、逆符号の電荷のパターンを形成することを特徴としている。
基体上に形成されたトナーと同符号の電荷がトナーと反発するために、地汚れ(不要な箇所にトナーが付着すること)の少ない配線パターンが得られ、ショート(短絡)することのない部品信頼性の高いトナー担持体を得ることができる。
【0013】
請求項12に係わる発明は、前記導電性を有する粉体を静電パターン上に付着せしめる方法として、乾式現像法を用いることを特徴としている。
湿式現像法(液体現像法)と比較して、溶剤レスで安全性が高く、環境負荷の少ない方法であり、加工装置のコストも安くなる。
請求項13に係わる発明は、前記導電性を有する粉体を静電パターン上に付着せしめる方法として、湿式現像法(液体現像法)を用いることを特徴としている。
使用するトナー粒径が乾式現像法より小さくなるため、配線パターン(電極幅、ピッチ)を微細化することができる。
請求項14に係わる発明は、トナー担持体において、請求項1乃至13いずれかに記載の方法により、基体の一部に設けた絶縁層上に配線パターンが形成されたことを特徴としている。
地汚れの発生を抑えることができるホッピング方式の画像形成装置を提供することができる。
請求項15に係わる現像装置は、請求項14に記載のトナー担持体を備えたことを特徴とする。
請求項16に係わる画像形成装置は、請求項15に記載の現像装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のトナー担持体の製造方法及びトナー担持体によれば、電子写真技術をトナー担持体の製造に応用し、感光体を使用することも、感光体を除去することもなく、また、転写工程も必要とはせず、簡便な方法で、耐久性のある円筒基体表面に配線を形成することができるトナー担持体の製造方法、およびその製造方法によって作製されたトナー担持体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を添付図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
[第1の実施形態]
まず、図1は本発明の第1の実施形態に係る帯電材料と導電基板からなる帯電部材及び配線パターンを示す図である。
図1に基づいて帯電部材6の作製手順について説明する。
図1(a)に示すように、帯電部材6の製造においては、導電性基板2としてSUS(Stainless Used Steel)(ステンレス鋼)製の平板を使用し、帯電材料(導電材料)1として未硬化のメラミン樹脂に硬化開始剤とカーボンブラックを添加して、製膜後の体積固有抵抗値が104〜106W/cm3の範囲に調整された材料を使用した。導電性基板(SUS基板)2上に未硬化の帯電材料1を50μmの膜厚になるように均一に塗布し、150℃の温度で30分間加熱してメラミン樹脂を硬化させた。次いで、レーザーアブレーション法によって帯電材料(帯電材料層)1を選択的に除去し、図1(b)に示すような線幅50μmの帯電材料1のパターンを形成した。
導電性基板2としてはSUS材の他に、導電性の材料であればどのような材料も使用可能であるが、材料コストや加工コストを考慮すると、アルミ、鉄、銅、真鍮等を使用することが望ましい。
【0016】
また、帯電材料(導電材料)1のベースレジンには熱硬化性樹脂が望ましく、メラミン樹脂の他に、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、フラン樹脂、アルキッド樹脂等の熱硬化性樹脂や、これら熱硬化性樹脂を2種以上含む混合物であっても使用することができる。また、ガラスやセラミックス等の無機材料や、後述の熱可塑性樹脂も使用することができる。
また、帯電材料1への導電性付与部材としては、カーボンブラックの他に、銀や銅等の金属微粒子(ナノ粒子)や、カーボンナノチューブ、ATO粉末、ITO粉末、各種フェライト粉末等を使用することができ、ベースレジンに導電性付与部材を添加して、体積固有抵抗値が104〜1010W/cm3の範囲、望ましくは104〜106W/cm3の範囲に調整されている材料が良い。
導電性基板2上に帯電材料1を塗布する方法としては、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、スピンコート、バーコート、ブレードコート等の各種製膜方法が使用できる。
帯電材料1のベースレジンとして熱可塑性樹脂を使用することができ、前記した体積固有抵抗値の範囲に入るように熱可塑性樹脂に導電性付与部材を添加したものや、イオン導電性を有する熱可塑性樹脂を用いて、射出成形法や押出成形法、熱プレス成形法等の樹脂加工法により、平板や円筒形状の基板上に直接成形しても良い。更に、帯電材料1の表面に平滑性が要求される場合には、射出成形法や押出成形法で形成した後に、切削法や研削法等で表面を2次加工しても良い。
【0017】
次に、図2はレーザーアブレーション法によって帯電材料を選択的に除去し、帯電材料の任意パターンを形成した後、凹部や全面に絶縁材料を塗布(塗工)して作成した帯電部材の例を示す図である。
図2に示すようにレーザーアブレーション法によって帯電材料1を選択的に除去し、帯電材料1の任意パターンを形成した後で、帯電材料パターン1a間の凹部内に絶縁材料3を塗布(塗工)してもよい。
図3は、レーザーアブレーション法によって帯電材料を選択的に除去し、帯電材料の任意パターンを形成した後、凹部や全面に絶縁材料を塗布(塗工)して作成した帯電部材の例を示す図である。
図3に示すようにレーザーアブレーション法によって帯電材料1を選択的に除去し、帯電材料1の任意パターンを形成した後で、帯電材料パターン1a及び凹部内を含めた全面に絶縁材料3を塗布(塗工)するようにしてもよい。
【0018】
次に、図4は第1の実施の形態における試料基板を示す図であり、試料基板(基体)7の作製手順について図4に基づいて説明する。
導電性基板4としてSUS製の平板を使用し、絶縁材料5として未硬化のメラミン樹脂に硬化開始剤を添加した材料を使用した。導電性基板(SUS基板)4上に未硬化の絶縁材料(絶縁材料層)5を20μmの膜厚になるように均一に塗布し、150℃の温度で30分間加熱して硬化させた。
なお、導電性基板4にはSUS材の他、導電性の部材であればどのような材料でも使用可能であるが、材料コストや加工コストを考慮すると、アルミ、鉄、銅、真鍮等を使用することが望ましい。
絶縁材料5としては、熱硬化性樹脂が望ましく、メラミン樹脂の他に、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂や、これら熱硬化性樹脂を2種以上含む混合物でも使用することができる。熱硬化性樹脂以外にも、熱可塑性樹脂やガラスやセラミックス等の無機材料を使用することができる。
導電性基板4上に絶縁材料5を塗布する方法としては、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、スピンコート、バーコート、ブレードコート等の製膜方法が使用できる。また、熱可塑性樹脂の場合には、射出成形法や押出成形法、熱プレス成形法等の熱成形法を使用することができる。
【0019】
次に、図5は帯電部材に電位を与えて試料基板(基体)上に潜像イメージを形成させる方法を示す図であり、図5に基づいて配線パターン作製手順(帯電工程〜現像工程〜乾燥・加圧焼結工程)について説明する。
上記の工程で夫々製作された帯電部材6と試料基板7を図5に示すように100mmのギャップGを隔てた非接触状態で対向してセットし、この状態で1kVの電位を帯電部材6に与え、試料基板7の絶縁材料5上に潜像イメージを形成させた。
なお、電位の符号は正負いずれでもよく、現像工程で付着させる機能性微粒子の帯電性能で決まるものである。また、予め逆符号の電位で試料基板(基体)7全面を帯電させておき、帯電部材6で電位を与えてもよい。
【0020】
次いで、機能性微粒子を炭化水素溶媒(EXON ISOPAR-H)に分散させ、湿式現像法を用いて試料基板7上の絶縁材料5に形成された潜像に機能性微粒子を選択的に付着させた。ここで、機能性微粒子は、銀ナノ粒子を高分子材料でコートし、体積固有抵抗値が104W/cm3程度で、粒子径が1μm程度に調整された導電性微粒子を使用した。
次いで、試料基板7上の導電性微粒子を予備乾燥し、150℃のオーブンに入れて30分間加圧焼成を行い、銀ナノ粒子を焼結させた。
この結果、パターンの形成は良好であり、得られた導電性微粒子のパターンの体積固有抵抗値が104W/cm3程度になることが確認された。
機能性微粒子を付着させる方法として、湿式現像法の他に乾式現像法でも良く、この方法は炭化水素溶媒を使用しないため湿式現像法よりも簡便な方法である。但し、乾式現像法に使用できる機能性微粒子は最小で4μm程度であるため、湿式現像法と比較して精細さに劣るといった欠点があるが、数十μm以上のパターン形成を目的とした場合には有意差が生じるものではない。
【0021】
[第2の実施形態]
図6、及び図7に基づいて第2の実施形態に係る製造方法について説明する。図6は第2の実施の形態における帯電材料と導電基板からなる帯電部材および配線パターンを示す図であり、図7は帯電部材に電位を与えて試料基板(基体)上に潜像イメージを形成させる方法を示す図である。
まず、帯電部材11の作製手順について説明する。
図6(a)の縦断面図に示すように、導電性の平板としてSUS基板(導電性基板)10を使用し、SUS基板10上に積層される帯電材料(導電材料)9として未硬化のメラミン樹脂に硬化開始剤とカーボンブラックを添加して、体積固有抵抗値が104〜106W/cm3の範囲に調整された材料を使用した。SUS基板10上に未硬化の帯電材料9を膜厚が50μmになるように均一に塗布し、150℃の温度で30分間加熱してメラミン樹脂を硬化させた。次いで、帯電材料9上に、絶縁材料8となるネガ型のフォトレジスト(microchem SU-8)を20mm塗布し、マスク露光して選択的にフォトレジストを硬化させ、現像処理により未露光部(未硬化部)のフォトレジストを除去し、フォトレジストのパターン、すなわち絶縁材料8のパターン8a(図6(b)の平面図参照)を得た。
ネガ型のフォトレジストの代わりに、ポジ型のフォトレジストを用いても同様のパターンを得ることができる。
試料基板(基体)12としては、第1の実施形態で使用した試料基板7と同様のものを使用した。
【0022】
次に、配線パターン作製手順(帯電工程〜現像工程〜乾燥・加圧焼結工程)について図7に基づいて説明する。
第1の実Gを隔てた非接触状態で対向してセットし、この状態で1kVの電位を帯電部材11に与え、試料基板12(導電性基板4上に絶縁材料層5を積層)上の絶縁材料層5に潜像イメージを形成させた。
次いで、導電性微粒子を炭化水素溶媒(EXON ISOPAR-H)に分散させ、湿式現像法を用いて試料基板12上の絶縁材料層5に形成した潜像に機能性微粒子を選択的に付着させ、試料基板12上の導電性微粒子を予備乾燥し、150℃のオーブンに入れて30分間加圧焼成を行い、銀ナノ粒子を焼結させた。
この結果、パターンの形成は良好であり、得られた導電性微粒子のパターンの体積固有抵抗値が104W/cm3程度になることが確認された。
【0023】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について図8、図9に基づいて説明する。
図8は導電性基板(SUS製ローラ)を示す図であり、図9は第3の実施形態に係る配線パターン作製手順(帯電工程〜現像工程〜乾燥・加圧焼結工程)を示す図である。
帯電部材16の作製に際しては、第2の実施形態で使用した帯電部材11と同様のものを帯電部材16として使用した。
図8に示すように、ローラ状の試料基板(基体)15の作製に際しては、導電性基板13としてSUS製のローラを使用し、導電性基板13の外周に積層された絶縁材料14として未硬化のメラミン樹脂に硬化開始剤を添加した材料を使用した。導電性基板(SUS製ローラ)13の周面上に未硬化の絶縁材料14をディッピング法で10μmの膜厚になるように均一に塗布し、150℃の温度で30分間加熱して硬化させた。
導電性基板13としてはSUS材の他、導電性の部材であればどのような材料も使用可能であるが、材料コストや加工コストを考慮すると、アルミ、鉄、銅、真鍮等を使用することが望ましい。また、内部が中空のパイプ形状で、その両端に軸部品を接合したものでも同様に使用することができる。
【0024】
次に、配線パターン作製手順(帯電工程〜現像工程〜乾燥・加圧焼結工程)に付いて図9に基づいて説明する。
帯電部材16とローラ状の試料基板15とを図9に示すように100mmのギャップGを隔てて非接触状態でセットし、この状態で1kVの電位を帯電部材16に与え、試料基板15の絶縁材料14上に潜像イメージを形成させた。ここで、試料基板15を回転させながら帯電部材16上面に沿って移動させることにより、円筒形状の試料基板15上に潜像イメージを形成させている。
次いで、機能性微粒子を炭化水素溶媒(EXON ISOPAR-H)に分散させ、湿式現像法を用いて試料基板(基体)15上の絶縁材料14に形成された潜像に機能性微粒子を選択的に付着させた。ここで、機能性微粒子は、銀ナノ粒子を高分子材料でコートし、体積固有抵抗値が104W/cm3程度で、粒子径が1μm程度に調整された導電性微粒子を使用した。
次いで、試料基板15上の導電性微粒子を予備乾燥し、150℃のオーブンに入れて30分間加圧焼成を行い、銀ナノ粒子を焼結させた。
この結果、パターンの形成は良好であり、得られた導電性微粒子のパターンの体積固有抵抗値が104W/cm3程度になることが確認された。
【0025】
[第4の実施形態]
次に、図10、図11に基づいて本発明の第4の実施形態について説明する。図10は第4の実施形態に係る帯電部材の説明図であり、図11は第4の実施形態に係る配線パターン作製手順(帯電工程〜現像工程〜乾燥・加圧焼結工程)を示す図である。
まず、帯電部材20の作製手順について説明する。
図10(a)に示すように、導電性基板17としてSUS製のローラを使用し、導電性基板17の外周に積層された帯電材料(導電材料)18として未硬化のメラミン樹脂に硬化開始剤とカーボンブラックを添加して、製膜後の体積固有抵抗値が104〜106W/cm3の範囲に調整された材料を使用した。導電性基板(SUS製のローラ)17の周面上に未硬化の帯電材料18をディッピング法で50μmの膜厚になるように均一に塗布し、150℃の温度で30分間加熱してメラミン樹脂を硬化させた。次いで、レーザーアブレーション法によって前記帯電材料18を選択的に除去し、帯電材料18の任意パターンを形成し、帯電部材20とした(図10(b)参照)。
第3の実施形態で使用した試料基板15(導電材料13、絶縁材料14)と同様のものを試料基板(基体)19として使用した。
【0026】
次に、配線パターン作製手順(帯電工程〜現像工程〜乾燥・加圧焼結工程)について図11に基づいて説明する。
ローラ状の帯電部材20とローラ状の試料基板19を図11のように100mmのギャップGを隔てて非接触状態で対向配置してセットし、この状態で1kVの電位を帯電部材20に与え、試料基板19の周面上に潜像イメージを形成させた。ここで、試料基板19と帯電部材20を互いに逆方向に同一の角速度で回転させることにより、試料基板19上に潜像イメージを形成させている。また、回転方向は互いに逆方向とされる。図11の例では、試料基板19を反時計回りに回転され、帯電部材20を時計回りに回転させている。
次いで、機能性微粒子を炭化水素溶媒(EXON ISOPAR-H)に分散させ、湿式現像法を用いて試料基板19上の潜像に機能性微粒子を選択的に付着させた。ここで、機能性微粒子は、銀ナノ粒子を高分子材料でコートし、体積固有抵抗値が104W/cm3程度で、粒子径が1μm程度に調整された導電性微粒子を使用した。
次いで、試料基板19上の導電性微粒子を予備乾燥し、150℃のオーブンに入れて30分間加圧焼成を行い、銀ナノ粒子を焼結させた。
この結果、パターンの形成は良好であり、得られた導電性微粒子のパターンの体積固有抵抗値が104W/cm3程度になることが確認された。
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【0027】
次に、図12は本発明の製造方法によって製造されたトナー担持体を備えた現像装置の概略構成図である。
この現像装置30は、感光体40の周面に対して対向配置されており、感光体40の回転方向上流側に位置する図示しない帯電装置によりその周面を一様に帯電されている。帯電装置の下流側には図示しない画像情報書込み部、現像装置30、転写部が順次配置されており、感光体上の静電潜像に画像情報書込み部からレーザ光等の画像情報を照射して静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置30からの粉体トナーによって現像する。こうして得られた現像像(トナー像)は図示しない給紙装置から供給される記録紙上に転写部にて転写され、その後、図示しない定着装置により定着されて機外へ排出される。
現像装置30が感光体40と対向する部位には本発明のトナー担持体31が配置されており、現像容器内で攪拌搬送されてきたトナーをその周面に保持して回転しながらトナーを感光体40上の静電潜像上に供給する。
【0028】
以上のように本発明の各実施形態によれば以下のような効果を奏する。
まず、本発明は、基材、及び該基材面に形成され且つ形成しようとする静電パターンとほぼ同一のパターン形状を備えた導電材料を有した帯電部材を用意する工程と、導電性基板、及び該導電性基板面の少なくとも一部に形成された絶縁材料層を有した基体を用意する工程と、前記基体の絶縁材料層に前記帯電部材を用いて静電パターンを形成する工程と、導電性を有する粉体を前記静電パターン上に付着せしめて配線パターンを形成する工程と、を備えている。
このため、数μm〜数十μm幅の微細な電極パターンを精度良く、大量生産に向いた、生産効率の優れた方法で基体に形成することができ、非磁性一成分トナーの非接触現像を可能にするためのトナー担持体を提供することができる。
また、基体が、ローラ形状の部材であり、ローラ外周面上に絶縁材料層を設けて配線パターンを形成するので、加工装置の小型化が図れる。
【0029】
また、帯電部材の基材上に製膜された導電材料層の上に、絶縁材料からなるパターン形状が形成されているので、パターン形状を有する絶縁材料で導電材料をマスクするだけの簡便な方法で、導電材料のパターン形状を得ることができ、帯電部材に電圧を印加することで、絶縁基体上に導電材料のパターン形状と同一の静電パターンを形成(複製)することが可能になる。
また、帯電部材の導電性の基材上に導電材料の有無から成る配線パターンが形成されているので、絶縁材料上に導電材料のパターンを形成するだけの簡便な方法で、導電材料のパターン形状を得ることができ、帯電部材に電圧を印加することで、絶縁基体上に導電材料のパターン形状と同一の静電パターンを形成(複製)することが可能になる。
また、帯電部材が平板形状であるので、導電材料のパターンを形成することが簡単になり、パターンの形状精度も高いものが得られる。
【0030】
また、帯電部材がベルト形状であるので、連続的な静電パターンを形成する場合や、大面積化に対応しやすくなる。また、ベルト形状はフレキシブルに対応できるため、装置構成の自由度が大きくなる。
また、帯電部材が、ローラ形状であるため、連続的な静電パターンを形成する場合や、大面積化に対応しやすくなる。また、瞬間的な帯電領域が微小範囲になるため、帯電が安定し、精度の高い静電パターンを得ることができる。
また、ローラ形状の前記帯電部材の外径と、ローラ形状の前記基体の外径がほぼ同径であり、静電パターン形成時に前記帯電部材と前記基体をそれぞれ回転させ、その角速度を同じにするため、つなぎ目部(ローラ形状における潜像形成の始点と終点)の静電パターンの形状精度を高くすることができ、画像劣化の少ないトナー担持体を得ることができる。
また、帯電部材を、基体の一部に設けた絶縁材料層に接触させた状態で電位差を与えることで、導電材料で形成されたパターン形状とほぼ同一の静電パターンを前記絶縁層に形成するので、帯電部材と基体の位置関係(帯電ギャップ)を一定にすることができ、帯電量が安定した静電イメージを形成することができる。その結果、導電性トナーの付着量も安定し、配線抵抗のばらつきが少なく、トナー担持体の性能も向上する。
【0031】
また、帯電部材を、基体の一部に設けた絶縁材料層と微少な空隙を設けて配置した状態で電位差を与えることで、導電材料形成されたパターン形状とほぼ同一の静電パターンを前記絶縁層に形成するので、帯電領域を拡大して、加工速度を上げることが可能になる。
また、基体の一部に設けた絶縁層を、予め正負いずれか一方の電荷で帯電させた後、前記帯電部材によって、逆符号の電荷のパターンを形成するので、基体上に形成されたトナーと同符号の電荷がトナーと反発するために、地汚れ(不要な箇所にトナーが付着すること)の少ない配線パターンが得られ、ショート(短絡)することのない部品信頼性の高いトナー担持体を得ることができる。
また、導電性を有する粉体を静電パターン上に付着せしめる方法として、乾式現像法を用いるので、湿式現像法(液体現像法)と比較して、溶剤レスで安全性が高く、環境負荷の少ない方法であり、加工装置のコストも安くなる。
また、導電性を有する粉体を静電パターン上に付着せしめる方法として、湿式現像法(液体現像法)を用いるので、使用するトナー粒径が乾式現像法より小さくなるため、配線パターン(電極幅、ピッチ)を微細化することができる。
【0032】
また、トナー担持体において、上記いずれかの方法により、基体の一部に設けた絶縁層上に配線パターンが形成されるので、地汚れの発生を抑えることができるホッピング方式の画像形成装置を提供することができる。
このように本発明のトナー担持体の製造方法及びトナー担持体によれば、電子写真技術をトナー担持体の製造に応用し、感光体を使用することも、感光体を除去することもなく、また、転写工程も必要とはせず、簡便な方法で、耐久性のある円筒基体表面に配線を形成することができる非磁性一成分式の現像装置に適したトナー担持体の製造方法、およびその製造方法によって作製されたトナー担持体を提供することができる。
本発明はこの非磁性一成分トナーを用いる現像装置と、現像装置を備えた電子写真式の画像形成装置(複写機、プリンタ、ファクシミリ)を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1の実施の形態における帯電材料と導電基板からなる帯電部材および配線パターンを示す図である。
【図2】レーザーアブレーション法によって帯電材料を選択的に除去し、帯電材料の任意パターンを形成した後、凹部や全面に絶縁材料を塗布(塗工)して作成した帯電部材の例を示す図である。
【図3】レーザーアブレーション法によって帯電材料を選択的に除去し、帯電材料の任意パターンを形成した後、凹部や全面に絶縁材料を塗布(塗工)して作成した帯電部材の例を示す図である。
【図4】第1の実施の形態における試料基板を示す図である。
【図5】帯電部材に電位を与えて試料基板上に潜像イメージを形成させる方法を示す図である。
【図6】第2の実施の形態における帯電材料と導電基板からなる帯電部材および配線パターンを示す図である。
【図7】帯電部材に電位を与えて試料基板上に潜像イメージを形成させる方法を示す図である。
【図8】導電性基板(SUS製ローラ)を示す図である。
【図9】第3の実施形態に係る配線パターン作製手順(帯電工程〜現像工程〜乾燥・加圧焼結工程)を示す図である。
【図10】第4の実施形態に係る帯電部材の説明図である。
【図11】第4の実施形態に係る配線パターン作製手順(帯電工程〜現像工程〜乾燥・加圧焼結工程)を示す図である。
【図12】本発明のトナー担持体を備えた現像装置の説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 帯電材料(導電材料)、2 導電性基板、3 絶縁材料、4 導電性基板、5 絶縁材料、6 帯電部材、7 試料基板(基体)、8 絶縁材料、9 帯電材料(導電材料)、10 導電性基板、11 帯電部材、12 試料基板(基体)、13 導電性基板(ローラ)、14 絶縁材料、15 試料基板(基体)、16 帯電部材、17 導電性基板(ローラ)、18 帯電材料(導電材料)、19 試料基板(基体)、20 帯電部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、及び該基材面に形成され且つ形成しようとする静電パターンとほぼ同一のパターン形状を備えた導電材料を有した帯電部材を用意する工程と、導電性基板、及び該導電性基板面の少なくとも一部に形成された絶縁材料層を有した基体を用意する工程と、前記基体の絶縁材料層に前記帯電部材を用いて静電パターンを形成する工程と、導電性を有する粉体を前記静電パターン上に付着せしめて配線パターンを形成する工程と、を備えたことを特徴とするトナー担持体の製造方法。
【請求項2】
前記基体がローラ形状であり、該基体の外周面上の前記絶縁材料層に前記配線パターンを形成したことを特徴とする請求項1に記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項3】
前記帯電部材の基材上に製膜された導電材料層の上に、絶縁材料からなるパターン形状が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項4】
前記帯電部材の導電性の基材上に導電材料の有無から成る配線パターンが形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項5】
前記帯電部材が平板形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項6】
前記帯電部材がベルト形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項7】
前記帯電部材がローラ形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項8】
ローラ形状の前記帯電部材の外径と、ローラ形状の前記基体の外径がほぼ同径であり、静電パターン形成時に前記帯電部材と前記基体をそれぞれ回転させ、その角速度を同じにすることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項9】
前記帯電部材を、前記基体の一部に設けた絶縁材料層に接触させた状態で両者間に電位差を与えることで、前記導電材料層で形成されたパターン形状とほぼ同一の静電パターンを前記絶縁材料層に形成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項10】
前記帯電部材と前記基体の一部に設けた絶縁層との間に微小な空隙を設けて配置した状態で両者間に電位差を与えることで、前記導電材料で形成されたパターン形状とほぼ同一の静電パターンを前記絶縁材料層に形成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項11】
前記基体の一部に設けた絶縁材料層を予め正負いずれか一方の電荷で帯電させた後、前記帯電部材によって、逆符号の電荷のパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項12】
前記導電性を有する粉体を前記静電パターン上に付着せしめる方法として、乾式現像法を用いることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項13】
前記導電性を有する粉体を前記静電パターン上に付着せしめる方法として、湿式現像法を用いることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法により、前記基体の一部に設けた絶縁層上に配線パターンが形成されたことを特徴とするトナー担持体。
【請求項15】
請求項14に記載のトナー担持体を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項16】
請求項15に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
基材、及び該基材面に形成され且つ形成しようとする静電パターンとほぼ同一のパターン形状を備えた導電材料を有した帯電部材を用意する工程と、導電性基板、及び該導電性基板面の少なくとも一部に形成された絶縁材料層を有した基体を用意する工程と、前記基体の絶縁材料層に前記帯電部材を用いて静電パターンを形成する工程と、導電性を有する粉体を前記静電パターン上に付着せしめて配線パターンを形成する工程と、を備えたことを特徴とするトナー担持体の製造方法。
【請求項2】
前記基体がローラ形状であり、該基体の外周面上の前記絶縁材料層に前記配線パターンを形成したことを特徴とする請求項1に記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項3】
前記帯電部材の基材上に製膜された導電材料層の上に、絶縁材料からなるパターン形状が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項4】
前記帯電部材の導電性の基材上に導電材料の有無から成る配線パターンが形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項5】
前記帯電部材が平板形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項6】
前記帯電部材がベルト形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項7】
前記帯電部材がローラ形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項8】
ローラ形状の前記帯電部材の外径と、ローラ形状の前記基体の外径がほぼ同径であり、静電パターン形成時に前記帯電部材と前記基体をそれぞれ回転させ、その角速度を同じにすることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項9】
前記帯電部材を、前記基体の一部に設けた絶縁材料層に接触させた状態で両者間に電位差を与えることで、前記導電材料層で形成されたパターン形状とほぼ同一の静電パターンを前記絶縁材料層に形成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項10】
前記帯電部材と前記基体の一部に設けた絶縁層との間に微小な空隙を設けて配置した状態で両者間に電位差を与えることで、前記導電材料で形成されたパターン形状とほぼ同一の静電パターンを前記絶縁材料層に形成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項11】
前記基体の一部に設けた絶縁材料層を予め正負いずれか一方の電荷で帯電させた後、前記帯電部材によって、逆符号の電荷のパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項12】
前記導電性を有する粉体を前記静電パターン上に付着せしめる方法として、乾式現像法を用いることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項13】
前記導電性を有する粉体を前記静電パターン上に付着せしめる方法として、湿式現像法を用いることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載のトナー担持体の製造方法により、前記基体の一部に設けた絶縁層上に配線パターンが形成されたことを特徴とするトナー担持体。
【請求項15】
請求項14に記載のトナー担持体を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項16】
請求項15に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−217022(P2009−217022A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61275(P2008−61275)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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