説明

トナー搬送ローラ

【課題】トナー供給性及びトナー掻き取り性が向上したトナー搬送ローラを提供する。
【解決手段】シャフト2と、該シャフト2の外周に形成されたポリウレタンフォームからなる弾性層3とを備えるトナー搬送ローラ1において、前記ポリウレタンフォームからなる弾性層3が、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒及び水を含む原料混合物を成形発泡させてなり、前記ポリオールが、プレポリマー化されたポリオールを20〜100質量%含むことを特徴とするトナー搬送ローラ1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー搬送ローラ及び該トナー搬送ローラを用いた画像形成装置に関し、特に画像形成装置に用いることにより、画像濃度を向上させつつ、ゴースト画像の発生を抑制することが可能なトナー搬送ローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、潜像を保持した感光ドラム等にトナーを供給し、感光ドラムの潜像にトナーを付着させて潜像を可視化する現像方法として、加圧現像法が知られている。該加圧現像法においては、例えば、感光ドラムを一定電位に帯電した後、露光機により感光ドラム上に静電潜像を形成し、更に、トナーを担持した現像ローラを、静電潜像を保持した感光ドラムに接触させて、トナーを感光ドラムの潜像に付着させることで現像を行う。
【0003】
上記画像形成装置においては、現像ローラに加えて、トナーを現像ローラに供給するためのトナー搬送ローラ等が用いられ、該トナー搬送ローラは、例えば、金属等の良導電性材料からなるシャフトの外周に、ポリオール、ポリイソシアネート、水(発泡剤)、触媒等を含む原料混合物を攪拌混合して発泡させたウレタンフォームからなる層を形成した構造となっている(特許文献1)。ここで、上記ウレタンフォームの気泡は、主として連通しており、トナーがローラ内に保持され、ローラ表面の開口部(気泡)を通じて現像ローラに搬送されることになる。しかしながら、上記の構造のトナー搬送ローラにおいては、画像濃度やゴースト画像の問題を十分に解決する手段が報告されていない。
【0004】
【特許文献1】特開平9−274373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、現像ローラへのトナー供給性と現像ローラ上に残留したトナーに対する掻き取り性を向上させたトナー搬送ローラを提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかるトナー搬送ローラを用いることで、画像濃度が向上する上、ゴースト画像の発生が抑制された画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、トナー搬送ローラを構成するポリウレタンフォームからなる弾性層に、プレポリマー化されたポリオールを含む原料混合物を用いることで、トナー搬送ローラのトナー供給性及びトナー掻き取り性が改善されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明のトナー搬送ローラは、シャフトと、該シャフトの外周に形成されたポリウレタンフォームからなる弾性層とを備え、
前記ポリウレタンフォームからなる弾性層が、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒及び水を含む原料混合物を成形発泡させてなり、
前記ポリオールが、プレポリマー化されたポリオールを20〜100質量%含むことを特徴とする。
【0008】
本発明のトナー搬送ローラにおいて、前記プレポリマー化されたポリオールの合成に用いる原料ポリオールは、官能基数が2〜4であることが好ましい。
【0009】
また、本発明の画像形成装置は、上記のトナー搬送ローラを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プレポリマー化されたポリオールを含む原料混合物により、ポリウレタンフォームからなる弾性層をシャフトの外周に形成することで、トナー供給性及びトナー掻き取り性が向上したトナー搬送ローラを提供することができる。また、かかるトナー搬送ローラを適用することで、画像濃度が向上する上、ゴースト画像の発生が抑制された画像成形装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<トナー搬送ローラ>
以下に、本発明のトナー搬送ローラを、図を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明のトナー搬送ローラの一例の断面図である。図示例のトナー搬送ローラ1は、長さ方向両端部を軸支されて取り付けられるシャフト2と、該シャフト2の外周に形成されたウレタンフォームからなる弾性層3とを備える。本発明のトナー搬送ローラの弾性層3は、ポリオール、ポリイソシアネート、水及び触媒を含む原料混合物を成形発泡させたポリウレタンフォームからなる。かようなポリウレタンフォーム中には、一般に、ポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)とポリオールの水酸基(OH)との反応によるウレタン結合(−NHCOO−)、及びポリイソシアネートと水との反応により形成するアミノ基とイソシアネート基との反応による尿素結合(−NHCONH−)が存在しており、また、未反応ポリオールが存在する場合もある。ここで、プレポリマー化した原料を使用することで、尿素結合に対するウレタン結合の比率が高まる。負帯電性を有するウレタン結合が相対的に増えるため、ポリウレタンフォームの負帯電性を高めることができることになる。そして、かかるポリウレタンフォームからなる弾性層を備えるトナー搬送ローラを画像形成装置に用いる場合、トナー搬送ローラを現像ローラと擦り合わせることによる物理的なトナーの供給に加えて、負帯電性を示すトナーとトナー搬送ローラが電気的に反発することにより、トナーを現像ローラに供給することができる。即ち、負帯電性トナーを用いる画像形成装置においては、より好適であるといえる。また、未反応ポリオールを減少すれば、トナー搬送ローラへのトナー吸着の問題が解消され、トナー供給性を改善することができる。従って、本発明のトナー搬送ローラにおいては、少なくとも一部のポリオールをポリイソシアネートとプレポリマー化することで、十分な量のウレタン結合を確保し、かつ、未反応ポリオールを減少することができるため、現像ローラへのトナー供給性が向上し、良好な画像濃度を提供することができる。また、本発明のトナー搬送ローラにおいては、プレポリマー化した原料を使用する方が、(同じ力に対する)ポリウレタンフォームの伸張性が良好となり、回転摩擦時に現像ローラとの接触面積が大きくなるため、現像ローラ上に残留したトナーに対する掻き取り性が向上し、ゴースト画像の発生を抑制することができる。
【0012】
本発明のトナー搬送ローラのシャフトとしては、良好な導電性を有する限り特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくりぬいた金属製円筒体等の金属製シャフト、或いは良導電性のプラスチック製シャフト等を用いることができる。
【0013】
本発明のトナー搬送ローラの弾性層は、上記した通り、ポリオール、ポリイソシアネート、水及び触媒を含む原料混合物を成形発泡させたポリウレタンフォームからなる。
【0014】
上記原料混合物に用いるポリオールは、水酸基(OH)を複数有する化合物であり、プレポリマー化されたポリオールを20〜100質量%含むことを要し、35〜100質量%含むことが好ましい。ここで、プレポリマー化されたポリオールは、ポリオールとポリイソシアネートを反応させた化合物であり、反応性官能基として水酸基(OH)を複数有する。上記ポリオール中のプレポリマー化されたポリオールの割合が20質量%未満では、ポリウレタンフォームに占める尿素結合に対するウレタン結合の割合を十分に高めることができず、負帯電性効果が十分に得られない。
【0015】
上記プレポリマー化されたポリオールの合成に用いる原料ポリオールは、官能基数が2〜4であることが好ましい。ここで、官能基とは、水酸基をさし、官能基数とは、平均官能基数をさす。該原料ポリオールの官能基数が2未満では、ポリウレタンフォームの圧縮永久歪みが悪化し、実用上問題となるおそれがある。一方、原料ポリオールの官能基数が4を超えると、ポリウレタンフォームの独立気泡が多くなり、伸びも悪化するおそれがある。また、原料ポリオールの官能基数が4を超えると、あまりに高粘度となり、生産することが困難である。
【0016】
上記プレポリマー化されたポリオールの合成に用いる原料ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブタジエンポリオール、プロピレンオキサイド(PO)変性ポリブタジエンポリオール及びポリイソプレンポリオール等が挙げられる。なお、上記ポリエステルポリオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールと、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸等の多塩基カルボン酸とから得られ、また、上記ポリエーテルポリオールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールに、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキサイドを付加させて得られる。また、上記プレポリマー化されたポリオールの合成に用いる原料ポリオールの分子量は、特に制限されるものではない。一方、上記プレポリマー化されたポリオールの合成に用いるポリイソシアネートとしては、特に限定されるものではなく、下記に詳細に説明するポリイソシアネートとして例示したものと同様のものが挙げられる。
【0017】
また、上記原料混合物に用いるポリオールは、プレポリマー化されたポリオールを20〜100質量%含む限り、特に制限はなく、必要に応じて、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブタジエンポリオール、プロピレンオキサイド(PO)変性ポリブタジエンポリオール及びポリイソプレンポリオール等をブレンドして用いることができる。
【0018】
上記原料混合物に用いるポリイソシアネートは、イソシアネート基(NCO)を複数有する化合物であって、該ポリイソシアネートとして、具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(粗MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)や、これらのイソシアヌレート変性物、カルボジイミド変性物、グリコール変性物等が挙げられる。なお、これらポリイソシアネートは、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。また、これらポリイソシアネートの使用量は、該ポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)と上記ポリオールの水酸基(OH)との比(NCO/OH)が95/100〜110/100の範囲になるよう適宜選択されることが好ましい。
【0019】
上記原料混合物に用いる水は、発泡剤として作用し、上記ポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)と反応して炭酸ガスを発生させる。また、水の使用量は、上記ポリオール100質量部に対して1.0〜3.0質量部の範囲が好ましい。
【0020】
上記原料混合物に用いる触媒は、ウレタン化反応用の触媒であり、具体的には、ジブチルスズジラウレート,ジブチルスズジアセテート,ジブチルスズチオカルボキシレート,ジブチルスズジマレエート,ジオクチルスズチオカルボキシレート,オクテン酸スズ、スタナスオクトエート等の有機スズ化合物;オクテン酸鉛等の有機鉛化合物;トリエチルアミン,ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類;テトラメチルエチレンジアミン,テトラメチルプロパンジアミン,テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類;ペンタメチルジエチレントリアミン,ペンタメチルジプロピレントリアミン,テトラメチルグアニジン等のトリアミン類;トリエチレンジアミン,ジメチルピペラジン,メチルエチルピペラジン,メチルモルホリン,ジメチルアミノエチルモルホリン,ジメチルイミダゾール等の環状アミン類;ジメチルアミノエタノール,ジメチルアミノエトキシエタノール,トリメチルアミノエチルエタノールアミン,メチルヒドロキシエチルピペラジン,ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類;ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル,エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類等が挙げられる。これら触媒の中でも、アミン類触媒が好ましい。これら触媒は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記触媒の使用量は、ウレタン化反応の反応性を向上させる観点から、上記ポリオール100質量部に対して0.001〜3.0質量部の範囲が好ましい。
【0021】
上記原料混合物は、更にポリウレタンフォームのセルを安定させるため、整泡剤を含むことが好ましい。上記原料混合物に用いることができる整泡剤としては、ポリエーテル変性シリコーンオイル等のシリコーン系整泡剤の他、イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活剤等を挙げることができる。該整泡剤の使用量は、上記ポリオール100質量部に対して0.5〜7.0質量部の範囲が好ましい。
【0022】
上記原料混合物には、上記ポリウレタンフォームからなる弾性層に導電性を付与するため、導電剤を添加してもよく、該導電剤としては、イオン導電剤、電子導電剤等が挙げられる。イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩;リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられ、電子導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボンブラック、酸化処理等を施したカラー用カーボンブラック、熱分解カーボンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープ酸化スズ、ITO、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、カーボンウィスカー、黒鉛ウィスカー、炭化チタンウィスカー、導電性チタン酸カリウムウィスカー、導電性チタン酸バリウムウィスカー、導電性酸化チタンウィスカー、導電性酸化亜鉛ウィスカー等の導電性ウィスカー等が挙げられる。これら導電剤の使用量は、上記ポリウレタンフォームからなる弾性層が所望の導電性を有するように適宜調整することができる。
【0023】
上記原料混合物には、上記ポリオール、ポリイソシアネート、水、触媒、整泡剤、導電剤の他に、トナー搬送ローラの製造に通常使用される添加剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
【0024】
本発明のトナー搬送ローラは、例えば、予めシャフト2が配置された円筒状のモールドに、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒及び水を含む原料混合物を、ウレタン発泡機を用いて注入し、発泡成形させることで作製できる。
【0025】
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、上述したトナー搬送ローラを備えることを特徴とする。本発明の画像形成装置は、上記トナー搬送ローラを用いる以外、特に制限はなく、公知の方法で製造することができる。
【0026】
以下に、図2を参照して本発明の画像形成装置を詳細に説明する。図2は、本発明の画像形成装置の一例の部分断面図である。図示例の画像形成装置は、静電潜像を保持した感光ドラム4と、感光ドラム4の近傍(図では上方)に位置し感光ドラム4を帯電させるための帯電ローラ5と、トナー6を供給するためのトナー搬送ローラ7と、トナー搬送ローラ7と感光ドラム4との間に配置された現像ローラ8と、現像ローラ8の近傍(図では上方)に設けられた成層ブレード9と、感光ドラム4の近傍(図では下方)に位置する転写ローラ10と、感光ドラム4に隣接して配置されたクリーニングローラ11とを備える。なお、本発明の画像形成装置は、更に画像形成装置に通常用いられる公知の部品(図示せず)を備えることができる。
【0027】
図示例の画像形成装置においては、感光ドラム4に帯電ローラ5を当接させて、感光ドラム4と帯電ローラ5との間に電圧を印加して、感光ドラム4を一定電位に帯電させた後、露光機(図示せず)により静電潜像を感光ドラム4上に形成する。次に、感光ドラム4と、トナー搬送ローラ7と、現像ローラ8とが、図中の矢印方向に回転することで、トナー搬送ローラ7上のトナー6が現像ローラ8を経て感光ドラム4に送られる。現像ローラ8上のトナー6は、成層ブレード9により、均一な薄層に整えられ、現像ローラ8と感光ドラム4とが接触しながら回転することにより、トナー6が現像ローラ8から感光ドラム4の静電潜像に付着し、該潜像が可視化する。潜像に付着したトナー6は、転写ローラ10で紙等の記録媒体に転写され、また、転写後に感光ドラム4上に残留するトナー6は、クリーニングローラ11によって除去される。ここで、本発明の画像形成装置においては、トナー搬送ローラ7に、上述した本発明のトナー搬送ローラを用いることで、優れた画像を安定的に形成することが可能となる。
【実施例】
【0028】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0029】
(プレポリマー化されたポリオールの製造例1)
反応容器中のイソシアネート(TDI−80と粗MDIの混合物,質量比(TDI−80/粗MDI)=8/2)3.1kgに、ポリオール(サンニックスFA−703,三洋化成(株)製,官能基数=3)10kgを加え、窒素雰囲気下、70℃×24時間の条件で攪拌して反応させた。反応系中のイソシアネート基含有率をJIS K7301(6.3 イソシアネート基含有率)に準拠した測定方法により確認し、その減少が停止した時点で、加熱を停止し、プレポリマー化されたポリオールA(イソシアネート基含有率:8.8質量%)を得た。なお、TDI−80は、2,4-トリレンジイソシアネート(A)と2,6-トリレンジイソシアネート(B)との質量比(A/B)が80/20の混合物である。
【0030】
(プレポリマー化されたポリオールの製造例2)
反応容器中のイソシアネート(TDI−80と粗MDIの混合物,質量比(TDI−80/粗MDI)=8/2)6.3kgに、ポリオール(サンニックスFA−703,三洋化成(株)製,官能基数=3)10kgを加え、窒素雰囲気下、70℃×24時間の条件で攪拌して反応させた。反応系中のイソシアネート基含有率をJIS K7301(6.3 イソシアネート基含有率)に準拠した測定方法により確認し、その減少が停止した時点で、加熱を停止し、プレポリマー化されたポリオールB(イソシアネート基含有率:15.7質量%)を得た。
【0031】
(プレポリマー化されたポリオールの製造例3)
反応容器中のイソシアネート(TDI−80と粗MDIの混合物,質量比(TDI−80/粗MDI)=8/2)15.7kgに、ポリオール(サンニックスFA−703,三洋化成(株)製,官能基数=3)10kgを加え、窒素雰囲気下、70℃×24時間の条件で攪拌して反応させた。反応系中のイソシアネート基含有率をJIS K7301(6.3 イソシアネート基含有率)に準拠した測定方法により確認し、その減少が停止した時点で、加熱を停止し、プレポリマー化されたポリオールC(イソシアネート基含有率:26.4質量%)を得た。
【0032】
(プレポリマー化されたポリオールの製造例4)
反応容器中のイソシアネート(TDI−80と粗MDIの混合物,質量比(TDI−80/粗MDI)=8/2)31.3kgに、ポリオール(サンニックスFA−703,三洋化成(株)製,官能基数=3)10kgを加え、窒素雰囲気下、70℃×24時間の条件で攪拌して反応させた。反応系中のイソシアネート基含有率をJIS K7301(6.3 イソシアネート基含有率)に準拠した測定方法により確認し、その減少が停止した時点で、加熱を停止し、プレポリマー化されたポリオールD(イソシアネート基含有率:33.3質量%)を得た。
【0033】
(実施例1〜3及び比較例1〜2)
上記プレポリマー化されたポリオールを用い、表1に示す配合処方の原料混合物を混合攪拌し、その原料混合物を直径6mm、長さ260mmの金属製シャフトを中心に配設した内径15mm、長さ280mmのモールドに注入し、押さえ冶具で蓋をした後、60℃で1時間硬化させてトナー搬送ローラを得た。得られたトナー搬送ローラにおいて、画像濃度及びゴースト画像を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0034】
(1)画像濃度
得られたトナー搬送ローラを画像形成装置に組み込み、該画像形成装置内に含まれるトナー色を全面に配する画像を印刷し、印刷された画像の画像濃度を目視観察により、下記基準で評価した。
十分、かつ均一に着色されているものを「○」、「○」の評価よりも着色が薄く、部分的にかすれがあるものを「△×」とした。
【0035】
(2)ゴースト画像
得られたトナー搬送ローラを画像形成装置に組み込み、規定のゴースト評価用画像パターンを印刷し、印刷された画像のゴースト不良の発生の有無を、目視による官能評価にて下記基準で評価した。
ゴースト画像がないものを「○」、部分的に薄いゴースト画像があるものを「△」、明確なゴースト画像があるものを「△×」とした。
【0036】
【表1】

【0037】
*1 三洋化成(株)製,ポリエーテルポリオール.
*3 東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製,シリコーン整泡剤.
*2 架橋剤.
*4 花王(株)製,3級アミン触媒.
*5 花王(株)製,脂肪族3級アミン触媒.
*6 TDI−80と粗MDIの混合物中の質量比を示す.なお,TDI−80は,2,4-トリレンジイソシアネート(A)と2,6-トリレンジイソシアネート(B)との質量比(A/B)が80/20の混合物である.
*7 TDI−80/粗MDIの使用量を指数表示したものである.イソシアネートインデックス = (ポリイソシアネート成分系中のNCOのモル数/ポリオール成分系中の水を含めたイソシアネート反応性水酸基の合計モル数) × 100.
【0038】
表1から、実施例1〜3のトナー搬送ローラは、プレポリマー化されたポリオールを20質量%以上含むポリオールを含む原料混合物を硬化させたポリウレタンフォームからなる弾性層を用いたことで、比較例1〜2のトナー搬送ローラよりも画像濃度が良好で、また、ゴースト画像の問題も解消されていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のトナー搬送ローラの一例の断面図である。
【図2】本発明の画像形成装置の一例の部分断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 トナー搬送ローラ
2 シャフト
3 弾性層
4 感光ドラム
5 帯電ローラ
6 トナー
7 トナー搬送ローラ
8 現像ローラ
9 成層ブレード
10 転写ローラ
11 クリーニングローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、該シャフトの外周に形成されたポリウレタンフォームからなる弾性層とを備えるトナー搬送ローラにおいて、
前記ポリウレタンフォームからなる弾性層が、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒及び水を含む原料混合物を成形発泡させてなり、
前記ポリオールが、プレポリマー化されたポリオールを20〜100質量%含むことを特徴とするトナー搬送ローラ。
【請求項2】
前記プレポリマー化されたポリオールの合成に用いる原料ポリオールは、官能基数が2〜4であることを特徴とする請求項1に記載のトナー搬送ローラ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のトナー搬送ローラを用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−37120(P2009−37120A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202939(P2007−202939)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】