説明

トナー搬送ロール

【課題】 トナーが漏れるのを防止するシール部を有するトナー搬送ロールにおいて、シール部の摩耗を抑え、トナー漏れを防ぐことを課題としている。
【解決手段】 トナー漏れ防止用のシール部材が外周面が摺接されているトナー搬送ロール10であって、イオン導電性ゴム100質量部にアルミナ3〜50質量部と誘電正接調整用充填剤を含有する。前記シール部材3は搬送ロール1の軸線方向の両端に摺動自在に外嵌されている。前記イオン導電性ゴムの比重が1.2以上が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー漏れ防止用のシール部材が搬送ロールの外周面に摺接されているトナー搬送ロールに関し、詳しくは、シール部材と搬送ロールとの摺接摩擦により生じる熱を効率よく逃がすことによりシール部の摩耗を抑え、ひいてはトナー漏れを防ぐことができるトナー搬送ロール、特に、現像ロールに好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による印刷技術においては、高速化、高画質化、カラー化、小型化といった改良が進み、広く世の中に普及してきた。これら改良において鍵となるのがトナーである。前記あらゆる要求を満たすために必要となるのが、トナー粉末の微細化と、トナー粒径の均一化、トナーの球形化である。トナーの微細化については、トナー粒径が10μm以下、さらには5μm以下のものも出てきている。トナーの球形化については、真球度が99%を上回るものまで出てきている。さらに、高画質化を求めて、従来の粉砕トナーに代わり重合トナーが主流となりつつある。かかる重合トナーは、デジタル情報を印刷物にする際にドットの再現性が非常によく高品質な印刷物が得られる。
【0003】
このようなトナーの微細化および均一化・球形化、重合トナーへの移行に対応して、電子写真方式の画像形成装置を構成する各部材にはより高性能な機能が要求され、しかもかかる機能を製品の使用寿命の最後まで持続できる耐久性が求められる。
このような課題に対し、本発明者は、電気特性の均一性に優れたイオン導電性ゴムに誘電正接調整用充填剤を配合することにより、電気抵抗の均一化と共に、トナー等の付着物への帯電性に優れ、かつその帯電性を持続可能な導電性ゴムロールを開発した(特開2004−170845号公報(特許文献1))。
前記導電性ゴムロールを用いればトナーの帯電量を高いレベルに保持することができトナーの搬送性を向上させることができるが、耐久性の面ではまだ改良の余地がある。
【0004】
耐久性を向上させ、長期にわたり信頼性高く機能を発揮するためには、トナーを一定量次のパーツに供給する現像ロール、感光体もしくは転写ローラ、または転写されずに残ったトナーを回収するクリーニングロールなどの部材において、非常に小さく形の整ったトナーを忠実に次の部材に搬送することはもちろん、さらに各部材から機械内部にトナーを漏らさないことが重要となる。
【0005】
具体的には、トナーを搬送する搬送ロールの軸線方向両端に環状のシール部材を摺動自在に外嵌しており、搬送部と非搬送部を隔てる境界、すなわち搬送ロールの外周面とシール部材の内周面の間の摺接部に、微細化したトナーがもぐり込みやすくなる。トナーが球形の場合は形状効果により更にその傾向が顕著になる。トナーが摺接部にもぐり込むと、搬送ロールとシール部材とはトナーを介して接触することになるため、接触時に高圧力がかかり激しい発熱を伴う。この発熱により、搬送ロールおよびシール部材の摩耗が激しくなり、ひいてはトナー漏れを起こす場合がある。さらに、重合トナーの場合はトナーを構成する熱可塑性樹脂が溶融し、トナーが大径化・エッジ化し融着して大きくなると共に角張ってきて、搬送ロールとシール部材のそれぞれを加速度的に破壊していく。また、仮にトナーが全くもぐりこまない場合であっても、搬送ロールの外周面とシール部材の内周面は常に発熱を伴いながら摺動するため、搬送ロールとシール部材が摩耗して隙間を生じるようになる。そして、この隙間にトナーが侵入しやすくなり、経時的にはトナーのもぐり込みによる上記問題が発生しうる。
【0006】
前記した搬送ロールとシール部材間の摺動により生じる発熱が引き起こす諸問題を解決することを目的とする公知発明としては、以下のものが挙げられる。
特開2002−91158号公報(特許文献2)には、現像ローラの内部に形成されている空間部と、前記現像ローラの両端部に形成され、前記空間部と外気との間を連通する放熱開口部とを備えていることを特徴とする1成分現像ローラが提案されている。
この構成によれば、現像ローラとトナー規制部材との接触部分における発熱を外部に放熱して昇温を防止でき、トナーの凝集や固着を防止することができることが記載されている。
【0007】
特開2002−278386号公報(特許文献3)には、現像ローラ寄りの現像剤攪拌搬送部材をヒートパイプなどの高熱伝導部材とし、その端部に放熱(熱交換)のためのフィンを設けた画像形成装置が提案されている。この構成によれば、画像形成部以外からの熱影響を抑え、且つ冷却の効果を向上させ得ることが記載されている。
しかし、上記の方法では、装置が大型化しやすく、また風の流れや部材の位置により冷却速度差が生じて、かえってトナーの搬送特性が悪くなる部分が発生する可能性がある。
【0008】
【特許文献1】特開2004−170845号公報
【特許文献2】特開2002−91158号公報
【特許文献3】特開2002−278386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、トナー漏れ防止用シール部材を搬送ロールの外周面に摺接されているトナー搬送ロールにおいて、シール部材の摩耗を抑え、トナー漏れを防ぐことを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するため、トナー漏れ防止用のシール部材が外周面が摺接されているトナー搬送ロールであって、
イオン導電性ゴム100質量部にアルミナ3〜50質量部と誘電正接調整用充填剤を含有することを特徴とするトナー搬送ロールを提供している。
具体的には、前記搬送ロールの軸線方向の両端に環状の前記シール部材が摺動自在に外嵌されているものに好適に用いられる。
【0011】
前記のように、搬送ロール中に、熱伝導性に優れたアルミナを配合することにより、シール部材と搬送ロールの外周面との摩擦により生じる熱をロール全体にすばやく分散させることができ、ロール内部に伝達された熱は金属からなる芯金を経由して外部に逃がすことができる共に、アルミナが配合されたロール表面からも放熱されできる。そのため、シール部材と搬送ロールとの摺動摩擦による発熱により加速されていたシール部の摩耗を抑えることができ、トナー漏れをより長期間にわたって有効に防ぐことができる。さらには、搬送ロールが前記摺動部での発熱により高温とならないため、重合トナーを構成する熱可塑性樹脂が溶融しトナーが大径化・エッジ化し溶着して大きくなると共に角張ってくるのを防ぐことができる。よって、シール部材および搬送ロールの耐久性を格段に向上させることができる。
【0012】
アルミナは、アルミニウムの酸化物(Al)である。当該アルミナは、イオン導電性ゴム100質量部に対して3〜50質量部含有されており、なかでも5〜30質量部含有されていることがより好ましく、8〜25質量部含有されていることが特に好ましい。アルミナの含有量が3〜50質量部としているのは、3質量部以下であると、シール部材と搬送ロールとの摺動摩擦により生じた熱を逃がす効果が得られにくい。一方、アルミナの含有量が50質量部以上であると、ロールの硬度が上昇し硬くなりすぎ、トナーの劣化も促進されると共にロール表面を研磨する研磨材の耐久性が悪くなり、再ドレスが必要となる。特に、アルミナの含有量は30質量部以下とすると、誘電正接調整用充填剤との混合性が良くなる利点がある。
【0013】
本発明で用いるアルミナは、粒径が1μm以下のものが80%以上を占めていることが好ましく、さらに粒径が0.5μm以下のものが50%以上を占めていることがより好ましい。このように粒径の小さなアルミナを用いることにより、均一に分散させることができ放熱効果が向上するとともに、ロール表面の均一性を確保しやすいという利点がある。
【0014】
本発明で用いるイオン導電性ゴムとしては、各種不飽和ゴムまたは熱可塑性ゴム等を用いることができ、共重合ゴムやブレンドゴム等の種々の形態で使用することができる。
具体的には、エピハロヒドリンゴム(特に、エピクロルヒドリンゴム)、ポリエーテル系ゴム、アクリロニトリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴムまたはシリコーンゴム等を挙げることができ、これらは単体で用いてもよいし2種以上をブレンドして用いてもよい。
【0015】
なかでも本発明で用いるイオン導電性ゴムとしては、エチレンオキサイド含有ゴムが好ましい。エチレンオキサイド含有ゴムとしては、ポリエーテル系ポリマーまたはエピクロルヒドリンゴムなどが挙げられる。
ポリエーテル系ポリマーとしては、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグルシジルエーテル共重合体、エチレンオキサイド−アリルグルシジルエーテル共重合体、プロピレンオキサイド−アリルグルシジルエーテル共重合体、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体またはウレタン系ゴム等が挙げられる。
エピクロルヒドリンゴムとしては、例えばエピクロルヒドリン(EP)単独重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体等が挙げられる。
【0016】
特に、本発明で用いるイオン導電性ゴムとしては、エピクロルヒドリンゴムを主体とするゴムを用いることが好ましい。エピクロルヒドリンゴムと他のゴム成分とを組み合わせる場合は、エピクロルヒドリンゴムが全ゴム成分100質量部に対して約20質量部以上100質量部未満の割合で配合されていることが好ましい。
エピクロルヒドリンゴムと組み合わせる他のゴムとしては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)もしくはクロロプレンなどの比較的高抵抗なゴム、または低抵抗ポリマーなどが挙げられる。前記低抵抗ポリマーとしては、エチレンオキシドと不飽和エポキシドとの二元共重合体、プロピレンオキシドと不飽和エポキシドとの二元共重合体またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドと不飽和エポキシドとの三元共重合体等が挙げられる。前記不飽和エポキシドとしては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートおよびブタジエンモノオキシドなどが挙げられる。
【0017】
なかでも、クロロプレンゴムまたは/およびエチレンオキサイド(EO)−プロピレンオキサイド(PO)−アリルグリシジルエーテル(AGE)共重合体(以下、EO−PO−AGE共重合体という)がエピクロルヒドリンゴムと組み合わせる他のゴムとして好適である。特にエピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴムおよびEO−PO−AGE共重合体のブレンドゴムは耐摩耗性に優れているので、アルミナを含有させることによる摩耗性の向上と相まって、さらに有効にトナー漏れを防止することができる。当該ブレンドゴムにおける各成分の割合は特に限定されず適宜選択すればよいが、例えば、重量比で、エピクロルヒドリンゴム:クロロプレンゴム:EO−PO−AGE共重合体=2〜5:4〜7:1、好ましくは3〜4:5〜6:1である。なお、ゴムの耐摩耗性は、優れたものから順に、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴムおよびEO−PO−AGE共重合体のブレンドゴム>エピクロルヒドリンゴム>エピクロルヒドリンゴムおよびクロロプレンゴムのブレンドゴムとなる。
【0018】
本発明で用いるイオン導電性ゴムは、その比重が1.2以上であることが好ましい。
比重が1.2以上になると比較的熱容量が大きいため発熱量が大きくなる。
このような発熱量が大きなロールにアルミナを配合すれば、アルミナが発揮する放熱効果が顕著に現れ、アルミナを添加しない場合と比較して、より効果的にシール部材の摩耗を低減することができる。
比重が大きくなるほど熱容量が大きくなり発熱量も増えるため、イオン導電性ゴムの比重は、好ましくは1.35以上であり、特に1.4以上が好ましい。上限は1.6以下であることが好ましい。
【0019】
搬送ロールに含有させる前記誘電正接調整用充填剤として、弱導電性カーボンブラックまたは/および脂肪酸処理された炭酸カルシウムを1種または複数種配合することが好ましい。これらを配合することにより、イオン導電性を損なうことなく、従来のイオン導電性ゴム配合では実現できなかった非常に低い誘電正接を実現することができる。誘電正接調整用充填剤としては、その他、クレー、有機/無機顔料等が挙げられる。
【0020】
前記弱導電性カーボンブラックとは、粒径が大きくストラクチャーの発達が小さく、導電性への寄与が小さいカーボンブラックであり、これを配合することにより、導電性を高めることなく、分極作用によるコンデンサー的な働きを得ることができ、電気抵抗の均一化を損なうことなく、帯電性のコントロールを実現できる。
弱導電性カーボンブラックとしては種々の選択が可能であるが、中でも大粒径を得やすいファーネス法、サーマル法により製造されたカーボンブラックが好ましく、不純物の少ないサーマルカーボンブラックが最も好ましい。カーボンの分類で言うと、SRFやFT、MTが好ましい。また、顔料で用いられるカーボンブラックを用いても良い。
弱導電性カーボンブラックの平均粒径は100nm〜500nmであることが好ましい。この程度の大きさのものを用いれば、アルミナの分散を阻害せず、弱導電性カーボンブラックとアルミナとの分散性の相性がよくなるからである。
【0021】
前記脂肪酸処理された炭酸カルシウムは、脂肪酸が炭酸カルシウムの界面に存在することにより、通常の炭酸カルシウムに比べ活性が高く、また、易滑性であることから、高分散化が容易かつ安定して実現できる。さらに、脂肪酸処理により分極作用が促されると、ゴム内のコンデンサー的な働きが強まるため、誘電正接を効率良く低減することができる。
【0022】
誘電正接調整用充填剤の配合量は、本発明のトナー搬送ロールは、電圧5V、周波数100Hzで交流電圧を印加した際の誘電正接が0.1〜1.5となるように選択すればよい。ゴムローラの電気特性において誘電正接とは、電気の流し易さ(導電率)とコンデンサー成分(静電容量)の影響度を示す指標であり、交流電流を印加した際の位相遅れを示すパラメータであり、電圧をかけた時のコンデンサー成分割合の大きさを示している。誘電正接が大きいと電気(電荷)を通しやすく分極は進みにくいが、逆に誘電正接が小さいと電気(電荷)を通しにくく分極が進むことになる。誘電正接を上記0.1〜1.5範囲とすることで、トナー搬送ロールにおける分極を最適な範囲にすることができるため、電気抵抗の均一化を損なうことなく、トナーに帯電性を付加でき、付加した帯電性を維持することができる。
すなわち、誘電正接が0.1より小さいものをイオン導電により実現するのは困難であり、誘電正接が1.5より大きいと上記のような良好な帯電特性を得られない。なかでも、本発明のトナー搬送ロールの誘電正接は0.2〜1.0であることがより好ましい。
【0023】
より具体的には、誘電正接調整用充填剤として上記弱導電性カーボンブラックを用いる場合、上記ゴム成分100質量部に対して弱導電性カーボンブラックを5〜70質量部配合することが好ましい。弱導電性カーボンブラックの種類により適切な配合量が異なるが、上記範囲とすることにより、イオン導電の状態を維持しながら誘電正接を低減することができる。さらに、アルミナとの分散性等の観点から、弱導電性カーボンブラックの配合量は25〜55質量部が好ましい。
【0024】
また、誘電正接調整用充填剤として上記脂肪酸処理された炭酸カルシウムを用いる場合、上記ゴム成分100質量部に対して脂肪酸処理された炭酸カルシウムを30〜80質量部配合することが好ましい。上記範囲としているのは、30質量部より少ないと誘電正接に及ぼす影響が小さく誘電正接の低減を得にくいためである。一方、80質量部より多いと誘電正接のコントロールは可能であるものの硬度の上昇や抵抗値の変動が生じやすくなるためである。より好ましくは40〜70質量部である。
【0025】
誘電正接調整用充填剤の配合量は、アルミナの配合量よりも多い方が好ましい。特に誘電正接調整用充填剤として上記弱導電性カーボンブラックを用いる場合は、アルミナの配合量よりも多く配合する。
【0026】
本発明のトナー搬送ロールにおいて、印加電圧100Vにおけるローラ抵抗R100と印加電圧500Vにおけるローラ抵抗R500がともに10〜10の範囲内にあることが好ましく、10〜10の範囲内にあることがより好ましい。
電気抵抗が上記範囲の10より小さいと電流が流れすぎ、画像不良が発生しやすいためであり、また放電の可能性も生じる。一方、上記10より大きいと、低温低湿環境でトナー飛翔時の電圧変動が大きくなりすぎる。
【0027】
さらに、印加電圧100Vにおけるローラ抵抗R100と印加電圧500Vにおけるローラ抵抗R500が(logR100−logR500)<0.5の関係を有することが好ましい。現像バイアスに近い500Vの電圧印加時の抵抗値を基準として100Vの電圧印加時の抵抗値との差を上記のように規定することで、ローラの電気抵抗等の電気特性が均一化される。このように、電圧依存性の小さいイオン導電とするのが好ましい。なお、通常カーボンブラック等の電子導電に依存している場合には(logR100−logR500)の値は1以上となる。
【0028】
本発明のトナー搬送ロールにおいては、表面粗さRzが1μm以上8μm以下であることが好ましい。Rzが1μm未満であるとトナーを搬送しにくくなる。一方、Rzが8μm以上であると表面の凹にトナーが多くなり搬送ムラが生じやすい。さらに、Rmaxが10μm以下であることがより好ましい。
また、表面の摩擦係数が0.1〜1.5であることが好ましい。かかる範囲であれば、トナーの帯電性向上およびトナーの付着防止と合わせて、シール部での発熱量を抑制できるためである。また、トナー搬送ロールの摩擦係数が1.5以上であると、トナーにかかるせん断力などのストレスが大きい。一方、トナー搬送ロールの摩擦係数が0.1以下であると、トナーが滑って十分な量のトナーを搬送することが難しくなる。
【0029】
本発明のトナー搬送ロールは、トナーを表面に保持してトナーを搬送する機能が必要な部材であれば、いずれにも用いることができる。より具体的には、画像形成装置の現像ロール、感光体、転写ベルトまたはクリーニングロールとして用いることができる。
本発明のトナー搬送ロールにおけるトナーの搬送量は特に限定されないが、0.01〜1.0mg/cm程度のトナー量を搬送できることが好ましい。
【0030】
本発明のトナー搬送ロールはトナー漏れ防止用のシール部材を有するが、シール部材という名称にとらわれず、トナー搬送ロールの外周面に摺動接触する部材が付設されているトナー搬送ロールは全て本発明の範囲に含まれる。例えば、トナー回収機が搬送ロールと摺接して付設されているクリーニングロール、クリーナーを有する帯電ロールや転写ロールも本発明でいう「シール部材を有するトナー搬送ロール」に含まれる。
【発明の効果】
【0031】
本発明のトナー搬送ロールにおいては、熱伝導性に優れたアルミナを配合することにより、シール部材と搬送ロールの外周面との摩擦により生じる熱をロール全体にすばやく分散させて放熱することができる。そのため、シール部材と搬送ロールとの摺動摩擦による発熱により加速されていたシール部材の摩耗を抑えることができ、トナー漏れをより長期間にわたって有効に防ぐことができる。
さらに、トナー搬送ロールが発熱により高温とならないため、重合トナーを構成する熱可塑性樹脂が溶融しトナーが大径化・エッジ化し、融着して大きくなると共に角張ってくるのを防ぐことができる。このことによっても、シール部の耐久性が格段に向上する。
また、トナー搬送ロールを構成するゴムの摩耗性が悪いとシール部の摩耗が発生しやすいが、アルミナを添加することでトナー搬送ロールを構成するゴムの摩耗性の悪さが改善できることから、シール部材の摩耗を抑えることができ、シール部材の耐久性を向上させることができる。
【0032】
本発明のトナー搬送ロールにおいては、アルミナが電子を保持しやすいという性質を有するため、トナーへの帯電を効率よく行わせることができ、優れたトナー搬送性を有する。トナーの帯電が10マイクロクローン/g以下に落ちるとかぶり画像が発生するとされているが、本発明のトナー搬送ロールを現像ローラとして用いれば、トナーの帯電を長期間にわたり持続することができるため、かぶり画像の発生を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように本発明のトナー搬送ロール10は円筒形状の肉厚0.5〜15mm(本実施形態では肉厚10mm)の搬送ロール1と、その中空部に圧入された直径10mmの円柱形状の芯金(シャフト)2と、トナー4が漏れるのを防止する一対の環状のシール部材3を備え、これらシール部材3は搬送ロール1の軸線方向の両端に摺動自在に外嵌している。
搬送ロール1と芯金2とは導電性接着剤で接合されている。芯金はアルミニウム、アルミニウム合金、SUSもしくは鉄等の金属製、またはセラミック製等とすることができる。
シール部材3はテフロン(登録商標)などの不織布やシートからなる。
搬送ロール1の肉厚を0.5〜15mmとしているのは、上記範囲より小さいと適当なニップを得にくく、上記範囲より大きいと部材が大きすぎて小型軽量化を図りにくいからである。
【0034】
搬送ロール1の基材となるイオン導電性ゴムとしてはエピクロルヒドリンゴムを用いている。エピクロルヒドリンゴムとクロロプレンゴムとのブレンドゴム(ブレンド比1:1)や、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴムおよびEO−PO−AGE共重合体のブレンドゴム(ブレンド比4:5:1)を用いてもよい。
【0035】
前記エピクロルヒドリンゴムとしては、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド二元共重合体、またはエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体を用いることが好ましい。なかでも、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテルの共重合比率が45〜10モル%/50〜80モル%/0〜10モル%であるエピクロルヒドリンゴムを用いることが好ましく、前記共重合比率が40〜20モル%/55〜75モル%/0〜10モル%であるエピクロルヒドリンゴムを用いることがより好ましく、前記共重合比率が40モル%/56モル%/4モル%であるエピクロルヒドリンゴムを用いることが特に好ましい。
エピクロルヒドリンゴムと組み合わせるEO−PO−AGE共重合体としては、EO:PO:AGE=90:4:6のポリマーを用いることが好ましい。
【0036】
搬送ロール1においては、前述のイオン導電性ゴム100質量部に対しアルミナが3〜50質量部配合されている。アルミナの配合量は、5〜30質量部が好ましく、8〜25質量部がより好ましい。前記アルミナとしては、分散性を向上させるために、粒径1μm以下の粒子が91%、粒径500nm以下の粒子が64%を占めているものを用いる。
【0037】
搬送ロール1には、さらに誘電正接調整用充填剤が配合されている。誘電正接調整用充填剤としては、弱導電性カーボンブラックまたは脂肪酸処理された炭酸カルシウムを用いる。なかでも弱導電性カーボンブラックを用いる方が好ましい。アルミナとの分散性の相性がよく、アルミナの分散を阻害しないからである。脂肪酸処理された炭酸カルシウムを用いる場合は、アルミナとなじみが良すぎて、一部凝集して大きな粒状の異物に成長する可能性があるため、注意を要する。
弱導電性カーボンブラックとしては、アルミナとの分散性の観点から、粒径が100〜500nm、好ましくは120nmのものを用いる。弱導電性カーボンブラックの配合量は本発明のトナー搬送ロールの誘電正接を0.1〜1.5程度の適正な値とするために5〜70質量部とする。アルミナとの混合性を鑑みれば、弱導電性カーボンブラックの配合量は25〜55質量部が好ましく、40質量部がより好ましい。
脂肪酸処理された炭酸カルシウムの配合量は、本発明のトナー搬送ロールの誘電正接を0.1〜1.5程度の適正な値とするために30質量部〜80質量部とする。アルミナとの混合性を鑑みれば、脂肪酸処理された炭酸カルシウムの配合量は40〜70質量部が好ましく、50質量部がより好ましい。
【0038】
前記搬送ロール1においては、前記必須成分の他に、本発明の目的に反しない限り加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、無機充填剤、受酸剤、軟化剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、可塑剤、造核剤、気泡防止剤または架橋剤等の添加剤を適宜配合してもよい。本発明では加硫剤は配合している。
【0039】
配合する加硫剤しては硫黄系、トリアジン誘導体系、チオウレア系、各種モノマー等が使用できる。これらは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。硫黄系加硫剤としては粉末硫黄、またはテトラメチルチウラムジスルフィドもしくはN,N−ジチオビスモルホリンなどの有機含硫黄化合物等が挙げられる。チオウレア系加硫剤としてはテトラメチルチオウレア、トリメチルチオウレア、エチレンチオウレアおよび(C2n+1NH)C=S(式中、nは1〜10の整数を表す。)で示されるチオウレア等よりなる群から選択される1種または複数種のチオウレアを用いることができる。なかでも、本発明においては粉末硫黄とエチレンチオウレアとを併用することが好ましい。
加硫剤の添加量はゴム成分100質量部に対して約0.5質量部以上約5質量部以下、好ましくは約1質量部以上約3質量部以下である。
【0040】
エピクロルヒドリンゴムなどのハロゲン系ゴムを使用する場合にはハロゲン系ゴムの重量に対し受酸剤を0.5質量%以上10質量%以下の割合、より好ましくは1.0質量%以上、8.0質量%以下の割合で配合するのが好ましい。
0.5質量%よりも少ないと加硫阻害および他の部材の汚染を防止する効果が生じにくいためである。一方、5.0質量%よりも多いと硬度が上昇しやすいためである。受酸剤としては、分散性にも優れているので特にハイドロタルサイト類、マグサラットが好ましい。その他、受酸剤としては、酸受容体として作用する種々の物質を用いることができる。
【0041】
搬送ロール1の表層部分は酸化膜とされていることが好ましい。酸化膜としては多数のC=O基またはC−O基等を有する酸化膜が好ましい。かかる酸化膜は本発明のトナー搬送ロールにおける摩擦係数の低減および誘電正接の調整により有効である。酸化膜は搬送ロールの表面に紫外線照射あるいは/およびオゾン照射等の処理を施し搬送ロールを酸化することで搬送ロールの表層部分に形成できる。なかでも紫外線照射により酸化膜を形成することが処理時間も早く、コストが低いことから好ましい。上記酸化膜を形成するための処理は公知の方法に従って行うことができる。例えば、紫外線照射を行う場合には搬送ロールの表面と紫外線ランプとの距離やゴムの種類等により異なるが、波長が100〜400nm、より好ましくは100〜200nmの紫外線を30秒〜30分、好ましくは1分〜10分程度照射することが好ましい。なお、紫外線の強度や照射条件(時間、槽内温度、距離)は本発明における誘電正接、摩擦係数とする範囲内で選定される。
【0042】
酸化膜形成前のトナー搬送ロールに電圧50Vを印加した時のローラ抵抗をR50とし、酸化膜形成後の印加電圧50Vにおけるローラ抵抗をR50aとしたとき、logR50a−logR50=0.2〜1.5であることが好ましい。前記値が0.2より小さいと低摩擦係数を実現しにくく耐久性も向上しにくいためである。一方、1.5より大きいとローラ使用時の抵抗変化が大きくなり、良好な帯電特性が得られないためである。また、安定して電圧を負荷することができる50Vという低電圧時のローラ抵抗を指標値としているため、酸化被膜形成による微小な抵抗上昇を精度良く捉えることができる。なお、好ましい範囲は0.5〜1.2である。
【0043】
本発明のトナー搬送ロールは常法により作製できる。例えば、搬送ロールを構成する成分をバンバリーミキサで混練り後、ゴム押出機でチューブ状に予備成形し、この予備成形品を160℃で15〜70分間加硫したのち、芯金を挿入・接着し表面を研磨した後、所要寸法にカットした後、適宜研磨を施してローラとする等の従来公知の種々の方法を用いることができる。加硫時間は、加硫試験用レオメータ(例:キュラストメータ)により最適加硫時間を求めて決めるとよい。また、加硫温度は必要に応じて上記温度に上下して定めてもよい。なお、他の部材への汚染と圧縮永久ひずみを低減させるため、なるべく十分な加硫量を得られる様に条件を設定することが好ましい。また、発泡剤等を配合して、発泡ロールを形成してもよい。
ローラを水洗いしたあと、搬送ロールの表面に酸化膜を形成する。具体的には、紫外線照射機を用い、ローラと紫外線ランプ間の距離を10cmとして周方向90度毎に紫外線(波長184.9nmと253.7nm)を5分間照射し、ローラを4回回転させることで、ローラ全周(360度)に酸化膜を形成することができる。
【0044】
このようにして得られる本発明のトナー搬送ロールは、印加電圧100Vにおけるローラ抵抗R100が6≦logR100≦6.1であり、印加電圧500Vにおけるローラ抵抗R500が5.9≦logR500≦6である。表面粗さRzが1.0μm以上8.0μm以下であり、表面の摩擦係数が0.3〜1.0である。
また、本発明のトナー搬送ロールを現像ロールとして用いた場合、1%の印字画像により印刷を重ねていくと、シール部前面にトナーが乗った段階での枚数が7,500枚以上であり、かぶり画像が発生した段階での枚数が8,000枚以上である。さらに、シール部へのトナーの侵入は見られない。
【0045】
以下、本発明のトナー搬送ロールについて実施例および比較例を示して説明する。
【0046】
【表1】

【0047】
各実施例および比較例のトナー搬送ロールにおける構成成分としては以下のものを用いた。
ゴム成分としては、エピクロルヒドリンゴム(ダイソー(株)製「エピクロマーCG102」)を用いた。かかるゴム成分はエチレンオキサイド(EO)/エピクロルヒドリン(EP)/アリルグリシジルエーテル(AGE)の共重合比率が56モル%/40モル%/4モル%であるエピクロルヒドリン系重合体 である。当該エピクロルヒドリンゴムの比重は1.24である。
誘電正接調整用充填剤としては、実施例1〜7および比較例1,3では弱電性カーボンブラック(旭カーボン(株)製「旭#15」、平均一次粒子径120nm)を用い、実施例8および比較例2では脂肪酸処理炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製「白艶華CC」)を用いた。
アルミナは昭和電工(株)製「AL−160SG−1」を用いた。このアルミナは、粒径1μm以下の粒子が91%、粒径500nm以下の粒子が64%を占めている。
その他、表1には記載していないが、加硫剤として、硫黄をゴム成分100質量部に対して0.5質量部、エチレンチオウレア(川口化学製アクセル22−S)をゴム成分100質量部に対して1.4質量部を用いた。さらに、受酸剤としてハイドロタルサイト(協和化学工業(株)製「DHT−4A−2」)をゴム成分100質量部に対して3質量部用いた。
【0048】
各実施例および比較例のトナー搬送ロールの製造方法について以下に述べる。
表1に記載の配合材料をバンバリーミキサで混練り後、ゴム押出機にて外径φ22mm、内径φ9〜9.5mmのチューブ状に押し出し加工を施した。該チューブを加硫用のφ8mmシャフトに装着し、加硫缶にて160℃で1時間加硫を行った後、導電性接着剤を塗布したφ10mmのシャフトに装着して160℃のオーブン内で接着した。その後、端部をカット成形し、円筒研磨機でトラバース研磨、仕上げ研磨として鏡面研磨を施し、JIS B 0601に規定の表面粗さRzが3〜5μmになるように仕上げた。その結果、φ20mm(交差0.05)のトナー搬送ロールを得た。
ローラ表面を水洗いした後、紫外線照射を行い表面に酸化層を形成した。これは紫外線照射機(セン特殊光源(株)製「PL21−200」)を用い、ローラと紫外線ランプ間の距離を10cmとして周方向90度毎に紫外線(波長184.9nmと253.7nm)を5分間照射することによって行い、ローラを90度ずつ4回回転させてローラ全周(360度)に酸化膜を形成させた。
【0049】
上記のように作製した各実施例および比較例のトナー搬送ロールについて下記の特性測定を行った。
(表面粗さRzの測定)
表面粗さRzは、JIS B 0601(1994)にしたがって測定した。
【0050】
(ローラ電気抵抗の測定)
図2に示すように芯金2を通した搬送ロール1をアルミドラム3上に当接搭載し、電源4の+側に接続した内部抵抗r(100Ω)の導線の先端をアルミドラム3の一端面に接続すると共に電源4の−側に接続した導線の先端を芯金2の他端面に接続して通電を行った。芯金2の両端に500gずつの荷重Fをかけ30rpmで回転させた状態で、印加電圧Eを500Vまたは100Vとした時の上記内部抵抗rにかかる電圧Vを4秒間に100個測定した。
この装置において印加電圧をEとすると、ローラ抵抗RはR=r×E/(V−r)となるが、今回−rの項は微少とみなし、R=r×E/Vという式を用いてRを算出した。なお、上記測定は温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で行った。
【0051】
(摩擦係数の測定)
図3に示すように、デジタルフォースゲージ((株)イマダ製「Model PPX−2T」)41と、摩擦片(市販のポリエステル製のOHPフィルム、ロール長手方向との接触羽場:50mm)42と、20gの重り44と、トナー搬送ロール43とからなる装置においてデジタルフォースゲージ41で測定された数値をオイラーの式に代入し、摩擦係数を算出した。
【0052】
各実施例および比較例のトナー搬送ロールを市販のレーザープリンターに現像ローラとして装着し、シール部の摩耗性およびかぶり画像の発生を評価した。なお、前記レーザープリンターはプラス帯電性を有する1成分系非磁性トナーを使用するものである。
【0053】
(シール部の摩耗性)
1%の印字画像により印刷を重ねてゆき、500枚を印刷するごとに目視でシール部の汚れを確認した。シール部前面にトナーが乗った段階で摩耗と判断し、そのときの枚数を表1に記載した。そして、シール部の摩耗が非常に少なく耐久性に極めて優れているもの(10,000枚以上)は「◎」と、シール部の摩耗が少なく耐久性に優れているもの(8,000〜9,500枚)は「○」と評価した。一方、比較例1〜3では、表1に記載の枚数の時点で、トナーがシール部前面に乗るだけでなく、シール部にもぐりこんでいた。
【0054】
(かぶり画像の発生)
1%の印字画像により印刷を重ねてゆき、500枚を印刷するごとに、黒べたと白地が連続する部分を設けた評価用画像を出力した。評価用画像を出力した際に白地部分が黒っぽくなった段階でかぶり画像が発生したと判断し、そのときの枚数を表1に記載した。かぶり画像が発生する枚数が、6,000枚以下の場合は製品としての耐久性が保証できないため「×」と、6,500枚〜7,500枚の場合は実際の使用に耐えられないため「△」と、8,000枚〜9,500枚の場合は耐久性に優れているため「○」と、10,000枚以上の場合は耐久性に非常に優れているため「◎」と評価した。
【0055】
(総合評価)
市販プリンターのトナー寿命(6000枚)に対し、シール摩耗とかぶり画像の総合評価である。
「◎」は、実用上極めて耐久性に優れ、かつ高画質が長期にわたり維持できる。
「○〜◎」は、実用上極めて耐久性に優れ、かつ高画質が維持できる。
「○」は、実用上耐久性に優れ、かつ高画質が維持できる。
「△」は、実用上ん耐久性が劣る。摩耗時にトナーの流入が開始している。かぶりより早くシール部が摩耗する。
「×」は、現像ロールとしては不適で、実用化できない。
【0056】
表1の実施例1〜7と比較例1または実施例8と比較例2を比較すれば明らかなように、アルミナを3質量部以上添加することで、かぶり画像の発生を有効に防止することができるとともに、シール部の耐摩耗性が向上され、トナーがシール部にもぐりこむのを防ぐことができることがわかった。
さらに、表1の実施例1〜7と比較例3を比較すれば明らかなように、アルミナの添加量は3〜50質量部が適切であること分かった。なかでも、アルミナの添加量は8〜25質量部であることがシール部の耐摩耗性の向上およびかぶり画像発生の防止の観点から好ましいことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明のトナー搬送ロールは、画像形成装置に用いる現像ロール、クリーニングロール、クリーナーを具備する帯電ロールや転写ロールとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明のトナー搬送ロールの概略図である。
【図2】本発明の実施例において、トナー搬送ロールの電気抵抗の測定方法を示す図である。
【図3】トナー搬送ロールの摩擦係数の測定方法を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 搬送ロール
2 芯金
3 シール部
4 トナー
10 トナー搬送ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー漏れ防止用のシール部材が外周面が摺接されているトナー搬送ロールであって、
イオン導電性ゴム100質量部にアルミナ3〜50質量部と誘電正接調整用充填剤を含有することを特徴とするトナー搬送ロール。
【請求項2】
前記搬送ロールの軸線方向の両端に環状の前記シール部材が摺動自在に外嵌されている請求項1に記載のトナー搬送ロール。
【請求項3】
上記イオン導電性ゴムの比重が1.2以上である請求項1または請求項2に記載のトナー搬送ロール。
【請求項4】
上記誘電正接調整用充填剤として弱導電性カーボンブラックまたは/および脂肪酸処理された炭酸カルシウムを用いている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のトナー搬送ロール。
【請求項5】
印加電圧100Vにおけるローラ抵抗R100と印加電圧500Vにおけるローラ抵抗R500がともに10〜10の範囲内にあり、かつ(logR100−logR500)<0.5であり、表面粗さRzが1μm以上8μm以下であり、表面の摩擦係数が0.1〜1.5である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のトナー搬送ロール。
【請求項6】
画像形成装置において、現像ロールとして用いられる請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のトナー搬送ロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−163205(P2006−163205A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−357345(P2004−357345)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】