説明

トナー搬送装置およびそれを備えた画像形成装置

【課題】新たに補給されたトナーが塊になることを抑制して、トナーの帯電不良に起因するかぶりの発生を抑制したトナー搬送装置、およびそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像装置141は、非磁性のトナーと磁性のキャリアとを含む現像剤が搬送される現像剤搬送路37と、現像剤搬送路37を画定する壁面39を有する壁部38と、トナーを現像剤搬送路37から所定の像担持体135に供給する現像ローラ11と、現像剤搬送路37内に延在して、現像剤を攪拌しつつ搬送させる搬送部材17,19と、現像剤搬送路37の上方に位置し、新たなトナーを外部から現像剤搬送路37に補給するためのトナー補給口21と、現像剤搬送路37におけるトナー補給口21の下方位置に配設されて、壁部38の壁面39に摺接しつつ、壁面39に付着したトナーを掻き落とすように構成された掻き落とし部材40と含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーを搬送するトナー搬送装置、およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非磁性のトナーと磁性のキャリアとを含む2成分現像剤を用いる現像装置は、一般的に、現像剤が搬送される現像剤搬送路と、トナーを現像剤搬送路から所定の像担持体(例えば感光体ドラム)に供給して、該像担持体上にトナー像を形成する現像ローラと、現像剤搬送路内に延在して、現像剤を攪拌しつつ搬送させるスクリューフィーダとを含む。スクリューフィーダによる現像剤の攪拌により、非磁性トナーは磁性キャリアによって帯電される。
【0003】
現像剤搬送路の上方位置には、該現像剤搬送路に新たなトナーを補給するためのトナー補給口が設けられている。現像剤搬送路に補給されたトナーは、スクリューフィーダによって現像剤搬送路内で搬送される。新たなトナーが現像剤搬送路に補給されるとき、現像剤搬送路におけるトナー補給口の下方位置に、一定量のトナーがまとまって落下する。そのため、トナーを良好に帯電させると共に、現像剤のトナー濃度を均一化するために、一定量がまとまって補給されたトナーを現像剤中に速やかに分散させる必要がある。
【0004】
トナーを速やかに分散させる技術として、例えば特許文献1のものが知られている。特許文献1の現像装置では、スクリューフィーダの軸部には、該軸部の周方向に突出する複数の針状部材が設けられていると共に、スクリューフィーダの羽根部には、軸部の軸方向に突出する複数の針状部材が設けられている。そして、複数の針状部材は、トナー補給口の下方に位置するように設定されているので、新たなトナーが一定量まとまって補給された場合であっても、複数の針状部材はスクリューフィーダの回転に伴ってトナーを現像剤中に速やかに分散させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−333658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の現像装置では、新たに補給されたトナーを複数の針状部材によって分散させているものの、現像剤搬送路の内面とスクリューフィーダおよび複数の針状部材との間の隙間にトナーが滞留しやすい。前記隙間に滞留したトナーを、スクリューフィーダおよび針状部材によって現像剤中に分散させることは難しい。滞留したトナーが塊りとなって何らかの拍子に現像剤搬送路内に搬送されると、トナーを良好に帯電させることが難しくなるため、トナーの帯電不良に起因する、いわゆるかぶりが発生する。その結果、良好なトナー像を形成することが難しい。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、新たに補給されたトナーが塊になることを抑制して、トナーの帯電不良に起因するかぶりの発生を抑制することが可能なトナー搬送装置、およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るトナー搬送装置は、トナーを収容するトナー収容容器と、前記トナー収容容器から前記トナーが補給され、前記トナーが搬送されるトナー補給通路と、前記トナー補給通路を画定する壁面を有する壁部と、前記トナー補給通路内に延在して、前記トナーを攪拌しつつ搬送させる搬送部材と、前記トナー補給通路の上方に位置し、新たなトナーを前記トナー収容容器から前記トナー補給通路に落下して補給するためのトナー補給口と、前記トナー補給通路における前記トナー補給口の下方位置であって前記トナーが落下される位置に配設されて、前記壁部の前記壁面に摺接しつつ、前記壁面に付着したトナーを掻き落とすように構成された掻き落とし部材と、を備え、前記掻き落とし部材は、前記トナー補給通路に沿って延び、軸心回りに回転可能な軸部と、前記軸部に設けられて前記壁部の前記壁面に向かって前記軸部の周面から突出し、前記軸部の回転に伴って前記壁面に摺接しつつ前記壁面に付着したトナーを掻き落とす羽根部とを含み、前記羽根部は弾性材料から形成され、前記軸部の軸方向に互いに所定の距離離間して配列された複数の細長片状の羽根からなる第1羽根群と、前記複数の羽根からなり、前記第1羽根群とは前記軸部の周方向に離間した第2羽根群とを含み、前記第2羽根群の各羽根は、前記第1羽根群の配列ピッチ間に配列されている。
【0009】
本発明に係るトナー搬送装置によれば、トナー補給通路におけるトナー補給口の下方位置は、一定量の新たなトナーがトナー補給口から落下しつつ補給される位置であるが、その下方位置に配設された掻き落とし部材は、トナー補給通路を画定する壁部の壁面に摺接しつつ、壁面に付着したトナーを掻き落とすように構成されているので、壁面に付着したトナーが塊となることが抑制される。つまり、本発明に係るトナー搬送装置では、掻き落とし部材と壁面との間に、トナーが滞留してしまう隙間が形成されていない。したがって、塊となったトナーが何らかの拍子にトナー補給通路内に搬送された場合に発生し得る、いわゆるかぶりを抑制することができる。これにより、補給されたトナーは、トナー補給通路内において搬送部材によって攪拌されて良好に帯電される。その結果、良好なトナー像が形成される。また、掻き落とし部材は、軸部と軸部に設けられた羽根部という一般的な部材から構成することができるので、かぶりを抑制しつつも、トナー搬送装置の構成が複雑化することを回避できる。また、本構成によれば、羽根部に弾性を付与することができる。したがって、羽根部は、壁部の壁面に沿って弾性変形しつつ壁面に摺接するので、羽根部と壁面との間の密着度を高めることができる。これにより、羽根部が壁面に付着したトナーを掻き落とす際の掻き落とし性を高めることができる。また、羽根部は軸部の軸方向に互いに所定の距離離間して配列された複数の細長片状の羽根からなるので、羽根部が例えば薄板状部材からなる構成と比較して、羽根部が軸部の回転に伴って回転するときに発生する空気流れを抑制することができる。これにより、新たに補給されるトナーの飛散が抑制される。更に、第2羽根群の各羽根は、第1羽根群の配列ピッチ間に配列されているので、羽根部は、掻き落とし部材の軸部が一回転する間に広い範囲で壁面に付着したトナーを掻き落とすことができる。
【0010】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記搬送部材は、前記トナー補給通路に沿って延び、軸心回りに回転可能なスクリュー軸部と、前記スクリュー軸部の外周面に設けられた螺旋状羽根部とを有するスクリュー部材であり、前記掻き落とし部材の前記軸部は、前記スクリュー軸部の一端部から構成されている。
【0011】
この構成によれば、掻き落とし部材の軸部とスクリュー軸部とが一体化されているので、それらを別部材とする構成と比較してトナー搬送装置の構造を簡単化できる。
【0012】
本発明に係る画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体にトナーを供給して該像担持体上にトナー像を形成する現像装置と、前記トナー補給通路を介して前記現像装置にトナーを搬送する上記に記載のトナー搬送装置と、前記トナー像を用紙に転写する転写部と、前記用紙上のトナー像を該用紙上に定着させる定着部とを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るトナー搬送装置および画像形成装置によれば、新たに補給されたトナーが塊になることを抑制して、トナーの帯電不良に起因するかぶりの発生を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造の概略を示す図である。
【図2】上記画像形成装置に備えられる現像装置の外観斜視図である。
【図3】図2に示す現像装置をA1−A2線に沿って切断した断面図である。
【図4】図3に示す現像装置をB1−B2線に沿って切断した断面図である。
【図5】トナー補給部の拡大平面図であり、掻き落とし部材の構成を示す。
【図6】図5のX−X線に沿って切断した断面図である。
【図7】図6のY−Y線に沿って切断した断面図である。
【図8】掻き落とし部材の羽根が弾性変形した状態を示す図である。
【図9】掻き落とし部材の羽根部の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造の概略を示す図である。画像形成装置1は例えば、カラーコピー、カラープリンタおよびカラーファクシミリ機能を有するデジタル複合機に適用することができる。画像形成装置1は装置本体100と装置本体100の上に配置された画像読取部200とを含む。
【0016】
画像読取部200はCCD(Charge Coupled Device)等によって画像(文字、図、写真等)を読み取り、画像データとして出力する。画像読取部200はカラー画像を読み取る機
能を有する。これによりカラーコピーおよびカラーファクシミリの送信が可能となる。
【0017】
装置本体100は用紙貯留部110、画像形成部130および定着部160を含む。
【0018】
用紙貯留部110は装置本体100の最下部に配置されており、用紙Pの束を貯留することができる用紙トレイ111を含む。用紙トレイ111は装置本体100に差し込んで装着される。用紙Pを補給するときは装置本体100から用紙トレイ111を引き出す。用紙トレイ111に貯留された用紙Pの束において、最上位の用紙Pがピックアップローラ113の駆動により、用紙搬送路115へ向けて繰り出される。用紙Pは用紙搬送路115を通って、画像形成部130へ搬送される。
【0019】
画像形成部130は搬送されてきた用紙Pにトナー像を形成する。画像形成部130はトナー像を転写ベルト131に転写する順番に従って配置された、マゼンタ用ユニット133M、シアン用ユニット133C、イエロー用ユニット133Y、ブラック用ユニット133Kを含む。これらのユニットは同様の構成を有しており、マゼンタ用ユニット133Mを例にして説明する。
【0020】
マゼンタ用ユニット133Mは感光体ドラム135および露光装置137を含む。感光体ドラム135の周りには帯電器139、現像装置141およびクリーナ143が配置されている。帯電器139は感光体ドラム135の周面を一様に帯電させる。露光装置137は画像データ(画像読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された
画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)の中でマゼンタデータに対応する光を生
成し、一様に帯電された感光体ドラム135の周面に照射する。これにより、感光体ドラム135の周面にはマゼンタデータに対応する静電潜像が形成される。この状態で感光体ドラム135の周面に現像装置141からマゼンタトナーを供給することにより、周面にはマゼンタデータに対応するトナー像が形成される。
【0021】
転写ベルト131は感光体ドラム135と1次転写ローラ145により挟まれた状態で時計周りに動くことができる。マゼンタデータに対応するトナー像は感光体ドラム135から転写ベルト131に転写される。感光体ドラム135の周面に残っているマゼンタトナーはクリーナ143によって除去される。
【0022】
マゼンタ用ユニット133M、シアン用ユニット133C、イエロー用ユニット133Y、ブラック用ユニット133Kの上方には、対応する色のトナーを収容したコンテナ(トナー収容容器)、すなわち、マゼンタトナー用コンテナ147M、シアントナー用コンテナ147C、イエロートナー用コンテナ147Y、ブラックトナー用コンテナ147Kが配置されている。各色の現像装置141には対応するコンテナからトナーが補給される。
【0023】
上述したように転写ベルト131にはマゼンタデータに対応するトナー像が転写され、このトナー像に重ねてシアンデータに対応するトナー像が転写され、同様に、イエローデータに対応するトナー像、ブラックデータに対応するトナー像が重ねて転写される。これにより転写ベルト131にカラーのトナー像が形成される。このカラーのトナー像は2次転写ローラ149によって、用紙貯留部110から搬送されてきた用紙Pに転写される。
【0024】
カラーのトナー像が転写された用紙Pは定着部160に送られる。定着部160は加熱ローラ161と定着ローラ163とに定着ベルト165が掛けられた構造を有する。定着ベルト165は定着ローラ163と加圧ローラ167により挟まれている。これらのローラによって、カラーのトナー像が転写された用紙Pが挟まれる。これにより、カラーのトナー像と用紙Pに熱と圧力が加えられて、カラーのトナー像を用紙Pに定着させる。用紙Pは排紙トレイ169に排紙される。
【0025】
次に、現像装置141について詳細に説明する。図2は現像装置141の外観斜視図である。図3は図2に示す現像装置141をA1−A2線に沿って切断した断面図である。現像装置141は、該現像装置141の内部空間を画定し、装置本体100の前後方向(図1の紙面に対して垂直方向)に延びる現像容器30を含む。現像容器30は、前記前後方向(つまり、現像装置141の長手方向)に延びる底容器31と、底容器31を上方から覆う主カバー32と、現像剤141の長手方向における両端部開口を塞ぐ前側板33および後側板34とを有する。これらの底容器31、主カバー32、前側板33および後側板34によって前記内部空間が画定されている。前側板33から、現像装置141の長手方向にトナー補給部36が突出している。トナー補給部36には、新たなトナーを現像装置141に補給するためのトナー補給口21が設けられている。
【0026】
図3は、図2のA1−A2線に沿って切断した断面図であり、現像装置141の内部構成を示している。現像装置141は、現像容器30の底容器31における前記内部空間に面する内壁面31aに形成された第1現像剤搬送路27および第2現像剤搬送路29と、感光体ドラム135の周面に対向配置された現像ローラ11と、現像ローラ11に対向配置されたマグネットローラ13と、第1現像剤搬送路27の上方かつマグネットローラ13の近傍に配置された汲み上げローラ15と、マグネットローラ13に供給される現像剤の量を規制する現像剤規制ブレード46とを含む。
【0027】
第1現像剤搬送路27および第2現像剤搬送路29は、非磁性のトナーと磁性のキャリアとからなる現像剤を循環させるための通路である。第1現像剤搬送路27および第2現像剤搬送路29については後に詳述する。
【0028】
汲み上げローラ15は、磁石が内臓されており、第1現像剤搬送路27から現像剤を磁気的に汲み上げてマグネットローラ13の周面に現像剤を供給する。
【0029】
現像剤規制ブレード46は、現像装置141の長手方向に延びる板部材であって、マグネットローラ13の周面に磁気的に付着した現像剤の量を規制することにより、汲み上げローラ15から供給される現像剤の量を規制するものである。現像剤規制ブレード46の先端部とマグネットローラ13の周面との間には、所定寸法の僅かな隙間が形成されており、マグネットローラ13が回転すると、現像剤は、前記隙間において現像剤規制ブレード46の先端部によって規制される。これにより、マグネットローラ13の周面に、所定厚みの現像剤層が均一に形成される。
【0030】
マグネットローラ13と現像ローラ11の対向部において電気力によってトナーを現像ローラ11の周面に供給する。現像ローラ11は、感光体ドラム135の周面にトナーを供給して前記周面上にトナー像を形成する。なお、現像ローラ11、マグネットローラ13および汲上げローラ15は、各軸心が現像装置141の長手方向に延びるように現像装置141内に配設されている。
【0031】
図4は、図3のB1−B2線に沿って切断した断面図であり、上方から見た第1現像剤搬送路27および第2現像剤搬送路29の構成を示している。現像容器30の底容器31の内壁面31aは、現像剤を循環させるための循環空間23を画定しており、その循環空間23を、現像装置141の長手方向に延びる仕切り壁25によって仕切ることにより、第1現像剤搬送路27および第2現像剤搬送路29が形成されている。第1現像剤搬送路27および第2現像剤搬送路29は共に現像装置141の長手方向(図4では左右方向)に平行に延びている。
【0032】
第1現像剤搬送路27には、第1スクリュー部材17が該第1現像剤搬送路27内を延在するように配設されている。第1スクリュー部材17は、現像剤を攪拌しつつ図4における左方向Lに搬送する。また、第2現像剤搬送路29にも、第2スクリュー部材19が該第2現像剤搬送路29内を延在するように配設されている。第2スクリュー部材19は、現像剤を攪拌しつつ図4における右方向Mに搬送する。第1スクリュー部材17および第2スクリュー部材19による現像剤の搬送方向は互いに逆方向に設定されている。本実施形態では、第1スクリュー部材17および第2スクリュー部材19は搬送部材を構成する。
【0033】
仕切り壁25には、長手方向両端部分のそれぞれに第1連通口55および第2連通口56が形成されている。第1連通口55および第2連通口56により、第1現像剤搬送路27および第2現像剤搬送路29が互いに連通され、現像剤は、第1スクリュー部材17および第2スクリュー部材19によって第1連通口55および第2連通口56を介して第1現像剤搬送路27および第2現像剤搬送路29内を時計回りの方向に循環する。
【0034】
現像装置141は、上述したように、新たなトナーを現像装置141に補給するためのトナー補給口21が形成されたトナー補給部36を有する。トナー補給部36は、現像容器30から長手方向に突出した形態の壁部38によって構成されている。トナー補給部36は、壁部38の内壁面39によって画定されたトナー補給通路37を有する。トナー補給通路37は、第2現像剤搬送路29の一端側(図4では左端側)に連通されて、第2現像剤搬送路29の一部を構成している。トナー補給口21は、トナー補給通路37における左端部の上方に位置する。第2スクリュー部材19は、その一端部(図4では左端部)がトナー補給通路37内にも延在するように寸法設定されている。
【0035】
また、トナー補給部36は、トナー補給通路37におけるトナー補給口21の下方位置に配設された掻き落とし部材40を有する。掻き落とし部材40は、トナー補給口21を介してトナー補給通路37に補給されたトナーが内壁面39に付着した場合にそのトナーを内壁面39から掻き落とすように構成されている。
【0036】
以下、掻き落とし部材40について図5〜図7を参照しながら説明する。図5は、トナー補給部36の拡大平面図であり、掻き落とし部材40の構成を示す。図6は、図5のX−X線に沿って切断した断面図である。図7は、図6のY−Y線に沿って切断した断面図である。
【0037】
掻き落とし部材40は、トナー補給通路37に沿って延び、軸心回りに回転可能な軸部41と、軸部41の外周面に設けられた羽根部42とを含む。
【0038】
第2スクリュー部材19は、第2現像剤搬送路29およびトナー補給通路37に沿って延び、軸心回りに回転可能なスクリュー軸部43と、スクリュー軸部43の外周面に一体に設けられた螺旋状羽根部44とからなる。本実施形態では、掻き落とし部材40の軸部41は、スクリュー軸部43の一端部(図4では左端部)から構成されている。つまり、掻き落とし部材40の軸部41と第2スクリュー部材のスクリュー軸部43とは一体物である。なお、掻き落とし部材40の軸部41と第2スクリュー部材のスクリュー軸部43とを別部材とし、それらを接合するようにしてもよい。
【0039】
掻き落とし部材40の羽根部42は、軸方向に配列された複数の細長片状の羽根45からなる。各羽根45は、壁部38の内壁面39に向かって軸部41の外周面から軸部41の周面から突出する形状を有する。
【0040】
具体的には、各羽根45は、軸部41の外周面に取り付けられた基端部47と、基端部47から内壁面39に向かって延びる本体部48と、本体部48から内壁面39に向かって延びて内壁面39に当接した状態の先端部49とを一体に有する細長の部材である。
【0041】
また、各羽根45は、軸部41の外周面から内壁面39に延びる長さ寸法と、軸部41の軸方向に延びる幅寸法と、軸部41の周方向に延びる厚さ寸法とを有する。本実施形態では、各羽根45は、例えば、約10.0mmの長さ寸法と、約2.0mmの幅寸法と、約0.2mmの厚さ寸法とを有する。羽根45の材料としては、例えばPETが挙げられる。
【0042】
内壁面39に当接した状態の先端部49は、第2スクリュー部材19のスクリュー軸部43、つまり軸部41の回転に伴って内壁面39を引っ掻くようにして該内壁面39に摺接する。特に、羽根45を弾性材料、例えばPETから製造した場合、羽根45に弾性を付与することができる。したがって、羽根45の先端部49は、図8に示すように、幅寸法の方向において内壁面39に沿って弾性変形しつつ内壁面39に摺接するので、先端部49と内壁面39との間の密着度を高めることができる。これにより、後述するように羽根45が内壁面39に付着したトナーを掻き落とす際の掻き落とし性を高めることができる。なお、図8では、軸部41が時計回りに回転した場合の先端部49の状態を示している。
【0043】
羽根部42は、図5〜図7に示す形態では、軸部41の軸方向に互いに所定の距離離間して配列された複数(図5では4つ)の羽根45からなる第1羽根群51と、軸部41の軸方向に互いに所定の距離離間して配列された複数(図5では4つ)の羽根45からなり、第1羽根群51とは軸部41の周方向に離間した第2羽根群52とを含む。第1羽根群51と第2羽根群52とは互いに軸部41を挟んで180°離間している。
【0044】
また、第2羽根群52の各羽根45は、第1羽根群51の配列ピッチ間に配列されている。つまり、第2羽根群52の羽根45は、軸部41の周方向から見て第1羽根群51の羽根45と重ならないように配列されている。例えば、図5を参照して説明すると、第2羽根群52における最も上側の羽根45は、軸部41の周方向から見て第1羽根群51における最も上側の羽根45と2番目の羽根45との間に位置するように設定されている。
【0045】
以上説明した現像装置141によれば、トナー補給通路37におけるトナー補給口21の下方位置は、一定量の新たなトナーがトナー補給口21から落下しつつ補給される位置であるが、その下方位置に配設された掻き落とし部材40の各羽根45は、その先端部49が軸部41の回転に伴って壁部38の内壁面39に摺接するので、新たに補給されたトナーが内壁面39に付着した場合にそのトナーを内壁面39から掻き落とすことができる。そのため、内壁面39に付着したトナーが塊となることが抑制される。つまり、本実施形態に係る現像装置141では、掻き落とし部材40の羽根部42と内壁面39との間に、補給されたトナーが滞留してしまう隙間が形成されていない。掻き落とされたトナーは羽根部42の回転に伴って第2スクリュー部材19側に移動する。
【0046】
したがって、塊となったトナーが何らかの拍子にトナー補給通路37から第2現像剤搬送路29または第1現像剤搬送路27内に搬送された場合に発生し得る、いわゆるかぶりを抑制することができる。これにより、補給された非磁性トナーは、第1現像剤搬送路27および第2現像剤搬送路29内において第1スクリュー部材17および第2スクリュー部材19によって攪拌されて磁性キャリアによって良好に帯電される。その結果、良好なトナー像が形成される。
【0047】
また、羽根部42は軸部41の軸方向に互いに所定の距離離間して配列された複数の細長片状の羽根45からなるので、羽根部42が例えば薄板状部材からなる構成と比較して、複数の羽根45が軸部41の回転に伴って回転するときに発生する空気流れを抑制することができる。これにより、新たに補給されるトナーの飛散が抑制される。
【0048】
さらに、第2羽根群52の各羽根45は、第1羽根群51の配列ピッチ間に配列されているので、羽根部42は、軸部41が一回転する間に広い範囲で内壁面39に付着したトナーを掻き落とすことができる。
【0049】
さらに、羽根45は、例えばPETから形成されているので、内壁面39を引っ掻くように該内壁面39に摺接しても、内壁面39を傷付けることが抑制される。また、羽根45をPETから製造することで、羽根45に弾性を付与することができるので、羽根45は弾性変形しつつ内壁面39に摺接する。これにより、羽根45によるトナーの掻き落とし性を高めることができる。
【0050】
さらに、掻き落とし部材40は、軸部41と軸部41に設けられた羽根部42という一般的な部材から構成することができるので、かぶりを抑制しつつも、現像装置141の構成が複雑化することを回避できる。
【0051】
なお、上記した実施形態では、第2羽根群52が第1羽根群51に対して軸部41を挟んで180°離間した場合につき説明したが、第2羽根群52の第1羽根群51に対する離間角度は、内壁面39に付着したトナーが確実に掻き落とされる限り特に限定されない。
【0052】
また、上記した実施形態では、2つの羽根群51,52を設けた場合につき説明したが、羽根群の数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。例えば、羽根群が第1羽根群〜第3羽根群からなる場合、第1羽根群〜第3羽根群は、互いに120°ずつ離間させる。また、羽根群が第1羽根群〜第4羽根群からなる場合、第1羽根群〜第4羽根群は、互いに90°ずつ離間させる。
【0053】
さらに、第1羽根群51および第2羽根群52において、図8に示すように、各羽根45の基端部47を連結してもよい。この構成によれば、第1羽根群51および第2羽根群52の軸部41の外周面への取付けが容易となる。
【0054】
次に、本実施形態に係る現像装置141を用いて行った実験について説明する。この実験では、例えば第1現像剤搬送路27に設置されたトナー濃度センサを用い、トナーの補給速度を一定にしながら、印字率5%の用紙を連続で200枚印字したときの第1現像剤搬送路27におけるトナー濃度を測定した。掻き落とし部材40を採用した現像装置141に対する実験結果を表1に示すと共に、掻き落とし部材40を採用しなかった現像装置141に対する実験結果を表2に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
掻き落とし部材40を採用した現像装置141では、表1から明らかなように、200枚の用紙を印字した全期間にわたってトナー濃度が安定していた。この結果は、補給されたトナーが掻き落とし部材40によって塊にならなかったことを示している。
【0058】
一方、掻き落とし部材40を採用しなかった現像装置141では、表2に示すように、印字枚数が約140枚のときにトナー濃度が著しく上昇した。この結果は、補給されたトナーが塊となって第1現像剤搬送路27に搬送され、かぶりを発生させたことを示す。また、表2から明らかなように、掻き落とし部材40を採用しなかった現像装置141では、掻き落とし部材40を採用した現像装置141と比較してトナー濃度の変動が大きくなったことが認められた。
【0059】
以上の実験結果から、かぶりを抑制するうえでは、掻き落とし部材40が効果的であることが確認された。
【符号の説明】
【0060】
1 画像形成装置
17 第1スクリュー部材
19 第2スクリュー部材
27 第1現像剤搬送路
29 第2現像剤搬送路
21 トナー補給口
30 現像容器
31 底容器
36 トナー補給部
37 トナー補給通路
38 壁部
39 内壁面
40 掻き落とし部材
41 軸部
42 羽根部
45 羽根
51 第1羽根群
52 第2羽根群
141 現像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容するトナー収容容器と、
前記トナー収容容器から前記トナーが補給され、前記トナーが搬送されるトナー補給通路と、
前記トナー補給通路を画定する壁面を有する壁部と、
前記トナー補給通路内に延在して、前記トナーを攪拌しつつ搬送させる搬送部材と、
前記トナー補給通路の上方に位置し、新たなトナーを前記トナー収容容器から前記トナー補給通路に落下して補給するためのトナー補給口と、
前記トナー補給通路における前記トナー補給口の下方位置であって前記トナーが落下される位置に配設されて、前記壁部の前記壁面に摺接しつつ、前記壁面に付着したトナーを掻き落とすように構成された掻き落とし部材と、を備え、
前記掻き落とし部材は、前記トナー補給通路に沿って延び、軸心回りに回転可能な軸部と、前記軸部に設けられて前記壁部の前記壁面に向かって前記軸部の周面から突出し、前記軸部の回転に伴って前記壁面に摺接しつつ前記壁面に付着したトナーを掻き落とす羽根部とを含み、
前記羽根部は弾性材料から形成され、前記軸部の軸方向に互いに所定の距離離間して配列された複数の細長片状の羽根からなる第1羽根群と、前記複数の羽根からなり、前記第1羽根群とは前記軸部の周方向に離間した第2羽根群とを含み、
前記第2羽根群の各羽根は、前記第1羽根群の配列ピッチ間に配列されているトナー搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のトナー搬送装置において、前記搬送部材は、前記トナー補給通路に沿って延び、軸心回りに回転可能なスクリュー軸部と、前記スクリュー軸部の外周面に設けられた螺旋状羽根部とを有するスクリュー部材であり、
前記掻き落とし部材の前記軸部は、前記スクリュー軸部の一端部から構成されているトナー搬送装置。
【請求項3】
像担持体と、
前記像担持体にトナーを供給して該像担持体上にトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー補給通路を介して前記現像装置にトナーを搬送する請求項1または2に記載のトナー搬送装置と、
前記トナー像を用紙に転写する転写部と、
前記用紙上のトナー像を該用紙上に定着させる定着部と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−11912(P2013−11912A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230558(P2012−230558)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【分割の表示】特願2009−265911(P2009−265911)の分割
【原出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】