説明

トナー搬送装置及びこれを備える画像形成装置

【課題】トナー搬送装置及びこれを備える画像形成装置において、トナーの搬送性が低下することを抑制しつつ、広範囲で堆積するトナーを崩す。
【解決手段】トナー崩し部材64は、スクリューの軸部に沿って延在する基部64aと、フィンと当接する位置に配置され、基部64aに固定される根元部64b2と当該根元部64b2よりもスクリューにおけるトナーの搬送方向の幅が広い先端部64b1とを有する可撓性板部材64bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー搬送装置及びこれを備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置は、トナー搬送装置を備えており、例えば、感光体(像担持体)からクリーニングブレードによって掻き落とされたトナーを上記トナー搬送装置で搬送して、廃棄トナーとして回収している。トナー搬送装置は、軸部に螺旋状に巻回されたフィンを有するスクリューを備えており、このスクリューを回転させることでトナーをスクリューの軸方向に搬送する。
【0003】
ところで、長時間に亘って画像形成装置を使用していると、スクリューの周囲にトナーが堆積し、堆積するトナーによって搬送経路が狭まる。このようにトナーの搬送経路が狭まると、トナーのスムーズな搬送ができなくなる。この結果、トナーの単位時間あたりの堆積量がスクリューの単位時間あたりの搬送量を上回り、トナーが周囲に漏れ出す場合もある。
【0004】
このようなトナーによって搬送経路が狭まることを防止するために、特許文献1や特許文献2には、スクリューのフィンに当接する位置に矩形状の弾性シートを配置し、フィンの移動によって弾性シートを揺動させ、これによって堆積するトナーを崩す方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−95357号公報
【特許文献2】特開2008−158168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような弾性シートが配置されることによって堆積するトナーを崩すことができる。しかしながら、スクリューへの供給経路が弾性シートによって狭まるためトナーのスクリューへの移動が阻害されることになる。このため、単位時間あたりのスクリューへのトナー供給量が減少し、トナーの搬送性が低下してしまう。
トナー供給量の減少を防ぐために、弾性シート同士を大きく離間させて配置することも考えられる。しかしながら、この場合には弾性シートのない領域ではトナーを崩すことができなくなり、トナーが崩れる領域が局所的となってしまう。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、トナー搬送装置及びこれを備える画像形成装置において、トナーの搬送性が低下することを抑制しつつ、広範囲で堆積するトナーを崩すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
第1の発明は、軸部に巻回された螺旋状のフィンを有すると共にトナーを軸方向に搬送するスクリューと、上記トナーの搬送方向に沿って配置されると共に堆積するトナーを崩すトナー崩し部材とを備えるトナー搬送装置であって、上記トナー崩し部材が、上記スクリューの軸部に沿って延在する基部と、上記フィンと当接する位置に配置され、上記基部に固定される根元部と当該根元部よりも上記スクリューにおける上記トナーの搬送方向の幅が広い先端部とを有する可撓性板部材とを備えるという構成を採用する。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記可撓性板部材が上記スクリューの軸部に沿って互いに離間しつつ複数設けられているという構成を採用する。
【0011】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記基部が、上記可撓性板部材を上記スクリューに向けて付勢しているという構成を採用する。
【0012】
第4の発明は、上記第1〜第3いずれかの発明において、上記可撓性板部材が、上記上流側から上記下流側に向けて高さ方向に広がる形状を有しているという構成を採用する。
【0013】
第5の発明は、上記第1〜第4いずれかの発明において、上記可撓性板部材が、先端から高さ方向に3分の1以内の箇所が上記スクリューと当接しているという構成を採用する。
【0014】
第6の発明は、上記第1〜第5いずれかの発明において、像担持体上の残留トナーを搬送する廃トナー搬送装置であるという構成を採用する。
【0015】
第7の発明は、上記可撓性板部材がフィンによって最大限変形された場合に、上記像担持体上の残留トナーを掻き取るクリーニングブレードの先端と上記スクリューの回転中心とを結ぶ線分上において、上記クリーニングブレードの先端から上記可撓性板部材までの距離は、上記クリーニングブレードの先端から当該線分と上記フィンの先端との交点までの距離の3分の1より短いという構成を採用する。
【0016】
第8の発明は、画像形成装置であって、上記第1〜第7いずれかの発明であるトナー搬送装置を備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0017】
本発明においては、可撓性板部材は、スクリューの軸部に沿って延在する基部に対して固定されており、可撓性板部材の根元部の幅がスクリューによるトナーの搬送方向(軸部の延在方向)で先端部の幅よりも狭く設定されている。
このような本発明の可撓性板部材によれば、先端部にて広範囲のトナーを崩すことができる。また、根元部の周囲にはトナーが通過可能な広い空間を確保できるため、スクリューへのトナー供給をスムーズに行うことができる。
したがって、本発明によれば、トナー搬送装置及びこれを備える画像形成装置において、堆積するトナーをトナーの搬送性が低下することを抑制しつつ、広範囲で崩すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態における複合機の概略構成を模式的に示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態における複合機が備えるクリーニング装置を含む感光体ユニットの拡大図であり、(a)が縦断面図であり、(b)が斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態における複合機が備えるクリーニング装置を拡大した縦断面図である。
【図4】本発明の一実施形態における複合機が備えるトナー崩し部材を示す図であり、(a)が斜視図、(b)が正面図、(c)が一部を拡大した拡大図である。
【図5】本発明の一実施形態における複合機が備えるスクリューとトナー崩し部材との一部を示す斜視図であり、(a)が、フィンが可撓性板部材の上流側の端部に当接している状態を示し、(b)が、フィンが可撓性板部材の上流側の端部と下流側の端部との間に当接している状態を示し、(c)が、フィンが可撓性板部材の下流側の端部に当接している状態を示している。
【図6】図5の一部を示す平面図であり、(a)が図5(a)に、(b)が図5(b)に、(c)が図5(c)に対応した図である。
【図7】本発明の一実施形態における複合機が備えるスクリューとトナー崩し部材とを示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態における複合機の変形例を示す図面であり、クリーニングブレードとスクリューとトナー崩し部材とを示す模式図である。
【図9】本発明の一実施形態における複合機の変形例を示す図面であり、(a)が下流側から上流側に向けて高さ方向に広がる三角形状を有する可撓性板部材を示す正面図であり、(b)が略逆三角形状を有する可撓性板部材を示す正面図であり、(c)が、先端部と根元部が幅の異なる矩形状とされた形状を有する可撓性板部材を示す正面図であり、(d)が図4(c)に示す可撓性板部材の下流側の上隅を切断した形状を有する可撓性板部材を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像形成装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0020】
図1は、本実施形態の複合機A(画像形成装置)の概略構成を模式的に示す縦断面図である。本実施形態の複合機Aは、電子写真方式に基づいて画像形成を行う画像形成装置であり、図1に示すように、操作表示部1、画像読取部2、画像データ記憶部3、画像形成部4、通信部5及び演算制御部6を備える。
【0021】
操作表示部1は、操作キー及びタッチパネルを備えており、ユーザーと複合機Aとを関係付けるマンマシンインターフェイスとして機能する。操作表示部1は、操作キーまたはタッチパネルに表示された操作ボタンに対するユーザーの操作指示を操作信号として演算制御部6に出力するとともに、演算制御部6から入力される制御信号に基づいてタッチパネルに種々の情報を表示する。
【0022】
画像読取部2は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいてADF(Automatic document feeder:自動原稿送り装置)により自動給紙される原稿またはプラテンガラス上に載置された原稿の表面画像(原稿画像)をラインセンサーで読み取って原稿画像データに変換し、この原稿画像データを画像データ記憶部3に出力する。
【0023】
画像データ記憶部3は、半導体メモリーまたはハードディスク装置等であり、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて、原稿画像データ、通信部5が外部のクライアントコンピューターから受信するプリント画像データ及び通信部5が外部のファクシミリ装置から受信するファクシミリ画像データを記憶すると共にこれら画像データを読み出して画像形成部4に出力する。
【0024】
画像形成部4は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて、給紙カセット48から取り出した記録紙Pに画像データ記憶部3から読み出した画像データに基づくトナー像を画像形成するものである。このような画像形成部4は、図1に示すように、ベルトローラー41、中間転写ベルト42、トナーの各色(Y,M,C,K)に対応する4つの画像形成ユニット43Y,43M,43C,43K、1次転写ローラー44Y,44M,44C,44K、廃棄トナー搬送部45、廃棄トナーボトル46、満杯検出センサー47、給紙カセット48、ピックアップローラー49、搬送ローラー50、レジストローラー51、2次転写ローラー52、定着ローラー対53、排紙ローラー54及び排紙トレイ55を備えている。
【0025】
ベルトローラー41は、図示するように、離間して配設された3つのローラー、つまり駆動ローラー41a、従動ローラー41b及びテンションローラー41cからなる。すなわち、駆動ローラー41aと従動ローラー41bとは水平方向に一定距離を空けて配置され、テンションローラー41cは、このような駆動ローラー41aと従動ローラー41bとの間かつ若干上方に変位した位置に配置されている。中間転写ベルト42は、このようなベルトローラー41(駆動ローラー41a、従動ローラー41b、テンションローラー41c)に架け渡された無端ベルトであり、駆動ローラー41aによって矢印で示す方向に走行する。
【0026】
すなわち、中間転写ベルト42は、駆動ローラー41aと従動ローラー41bとの間においては水平方向に走行する。また、上述した駆動ローラー41aは、駆動力を発生するモーターが軸結合されたローラーであり、モーターの動力によって中間転写ベルト42を矢印方向に走行させる。上記従動ローラー41bは、自由回転するように設けられたフリーローラーであり、中間転写ベルト42を駆動ローラー41aの動力に従って案内する。
また、上記テンションローラー41cは、回転軸が可動可能に設けられ、所定の付勢力で中間転写ベルト42を押圧することにより一定のテンション(張力)を中間転写ベルト42に付与するローラーである。
【0027】
画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kは、図示するように、上述した中間転写ベルト42の水平走行部位に所定間隔を空けて設けられている。これら画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kのうち、画像形成ユニット43Yは、イエロー(Y)のトナー画像を形成するユニットであり、従動ローラー41bに最も近い位置に設けられている。画像形成ユニット43Mは、マゼンダ(M)のトナー画像を形成するユニットであり、上記画像形成ユニット43Yの次に従動ローラー41bに近い位置に設けられている。画像形成ユニット43Cは、シアン(C)のトナー画像を形成するユニットであり、上記画像形成ユニット43Mの次に従動ローラー41bに近い位置に設けられている。
画像形成ユニット43Kは、ブラック(K)のトナー画像を形成するユニットであり、駆動ローラー41aに最も近い位置に設けられている。
【0028】
このような画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kは、図示するように、感光体ドラム43a(像担持体)、帯電部43b、レーザースキャニングユニット43c、現像ユニット43d及びクリーニング装置43eを構成要素としている。なお、画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kは、トナー画像の色のみが異なっているだけであり、構成要素は同一である。
【0029】
感光体ドラム43aは、周面が所定の感光体材料(例えばアモルファスシリコン)で形成された円筒部材である。帯電部43bは、感光体ドラム43aの周面(感光面)を均一に帯電させるものである。レーザースキャニングユニット43cは、帯電状態の上記感光面にレーザー光を照射することにより、感光面に静電潜像を形成するものである。現像ユニット43dは、感光面にトナーを供給することにより当該感光面に形成された静電潜像をトナー画像として現像するものである。
【0030】
クリーニング装置43eは、感光体ドラム43aの周面に残留するトナー(残留トナー)を掻き落として廃棄トナーTとして廃棄トナー搬送部45に受け渡すものである。このクリーニング装置43eは、本実施形態の複合機Aの特徴であるトナー崩し部材64を備えており、後に別図を参照してより詳細に説明する。
【0031】
1次転写ローラー44Y,44M,44C,44Kは、図示するように画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kに対応して4つ設けられており、各々に中間転写ベルト42を挟んだ状態で各画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kの感光体ドラム43aに対向配置されている。また、各1次転写ローラー44Y,44M,44C,44Kには1次転写バイアス(高電圧)が印加されており、各1次転写ローラー44Y,44M,44C,44Kは、この1次転写バイアスの作用によって各画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kの上記感光体ドラム43aにそれぞれ形成された各色のトナー像を中間転写ベルト42に転写(1次転写)させる。
【0032】
廃棄トナー搬送部45は、搬送スクリューや該搬送スクリューを収容する搬送路等から構成されており、各画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kのクリーニング装置43eにより感光体ドラム43aから掻き落とされた残留トナーを回収し、廃棄トナーTとして廃棄トナーボトル46に搬送するものである。廃棄トナーボトル46は、上記廃棄トナー搬送部45から供給された廃棄トナーTを収容・貯留する容器であり、複合機本体に着脱自在に取り付けられている。
【0033】
この廃棄トナーボトル46は、図示するように、首部46aの上部に設けられた収容口46b(開口)が上向きとなるように複合機本体に装着されており、廃棄トナー搬送部45の後端部から落下する廃棄トナーTを収容口46bから収容する。なお、このような廃棄トナーボトル46は、満杯状態まで廃棄トナーTを収容すると、ユーザーによって取り外されて内容物である廃棄トナーTが取り出され、空状態となって再装着される。また、満杯状態まで廃棄トナーTが収容された廃棄トナーボトル46は、ユーザーによって取り外されて、新たな廃棄トナーボトル46が装着されてもよい。
【0034】
満杯検出センサー47は、このような廃棄トナーボトル46の首部46aに所定の光(検出光)を照射することにより廃棄トナーボトル46の満杯検出を行う光センサーである。すなわち、満杯検出センサー47は、図1に示すように、廃棄トナーボトル46の首部46aに対応する位置に設けられた赤外LED(Light Emitting Diode)47a(発光素子)と、当該赤外LED47aに首部46aを挟んで対向配置されたフォトトランジスタ47b(受光素子)とから構成されており、赤外LED47aから首部46aに照射された検出光の透過強度をフォトトランジスタ47bで検出することによって、廃棄トナーボトル46内の廃棄トナーTが首部46aに差し掛かるまで増えたか、つまり廃棄トナーボトル46が満杯状態になったかを検出する。
【0035】
廃棄トナーボトル46において廃棄トナーTが首部46aに差し掛かるまで増えると、廃棄トナーTによって検出光が遮られるので、フォトトランジスタ47bで検出される検出光の透過強度は低下する。満杯検出センサー47は、このような検出光の透過強度を示す信号を検出信号として演算制御部6に出力する。
【0036】
給紙カセット48は、A4サイズやB5サイズ等、所定形状の記録紙Pを複数枚重ねた状態で収容する容器である。ピックアップローラー49は、給紙カセット48の上部において記録紙Pに圧接するように設けられ、給紙カセット48内の記録紙Pを1枚づつ取り出して搬送ローラー50に送り出すローラーである。搬送ローラー50は、ピックアップローラー49から給紙された記録紙Pをレジストローラー51に向けて搬送するローラーである。レジストローラー51は、搬送ローラー50から供給された記録紙Pを所定のタイミングで2次転写ローラー52に供給するローラーである。
【0037】
2次転写ローラー52は、中間転写ベルト42を挟んで駆動ローラー41aに対向配置されたローラーであり、中間転写ベルト42上のトナー画像を記録紙Pに転写(2次転写)させるものである。この2次転写ローラー52には、2次転写バイアス(高電圧)が印加されており、2次転写ローラー52は、この2次転写バイアスの作用によって中間転写ベルト42上のトナー画像を記録紙Pに転写(2次転写)させる。
【0038】
定着ローラー対53は、内部にヒータを備えた加熱ローラー53aと、当該加熱ローラー53aに圧接する加圧ローラー53bとから構成されている。この定着ローラー対53は、加熱ローラー53aと加圧ローラー53bとで各色のトナー画像が転写された記録紙Pを挟み込むことにより記録紙Pを加熱及び加圧して、各色のトナー画像を記録紙P上に定着させる。排紙ローラー54は、定着ローラー対53から供給された記録紙Pを排紙トレイ55に向けて搬送するローラーである。排紙トレイ55は、排紙ローラー54から供給された記録紙Pを収容・保持する収容部である。
【0039】
通信部5は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて、電話回線を介して外部の複合機あるいはファクシミリ装置と通信を行うと共に、LAN(Local Area Network)を介してクライアントコンピューター等と通信を行うものである。すなわち、この通信部5は、G3等のファクシミリ規格に準拠した通信機能とイーサネット(登録商標)等のLAN規格に準拠した通信機能とを兼ね備えたものである。
【0040】
演算制御部6は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び電気的に相互接続された各部と各種信号の送受信を行うインターフェイス回路等から構成されている。この演算制御部6は、上記ROMに記憶された制御プログラムに基づいて各種の演算処理を行うと共に各部と通信を行うことにより複合機Aの全体動作を制御する。
【0041】
このように構成された本実施形態の複合機Aでは、例えばユーザーがADFに原稿をセットし、また操作表示部1を操作することによって原稿の複写(コピー)を指示すると、当該指示に関する指示信号は操作表示部1から演算制御部6に入力される。この結果、演算制御部6は、画像読取部2に原稿の頁毎に原稿画像を順次読み取らせると共に、当該原稿画像の原稿画像データを画像データ記憶部3に記憶させる。そして、演算制御部6は、上記原稿画像データに基づいて各トナー色に対応するビットマップ画像データをそれぞれ生成し、これらビットマップ画像データに基づいて原稿画像の画像形成処理を画像形成部4に実行させる。
【0042】
すなわち、演算制御部6は、ピックアップローラー49を駆動させて給紙カセット48内の記録紙Pを1枚ずつ取り出して搬送ローラー50に送り出させると共に当該搬送ローラー50を駆動させて記録紙Pをレジストローラー51に向けて搬送させる。また、演算制御部6は、駆動ローラー41aを駆動させて中間転写ベルト42を走行状態とすると共に、各画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kを駆動させ、上述した各ビットマップ画像データに基づいて各色のトナー像を各感光体ドラム43aの感光面(周面)に形成させる。そして、演算制御部6は、各1次転写ローラー44Y,44M,44C,44Kに1次転写バイアスを印加させることによって、各感光体ドラム43aのトナー像を中間転写ベルト42上に1次転写させる。
【0043】
そして、演算制御部6は、画像形成ユニット43Y,43M,43C,43Kにおける各色の画像形成の処理タイミングに合わせてレジストローラー51を駆動させると共に2次転写ローラー52に2次転写バイアスを印加させることによって、記録紙Pの所望位置に中間転写ベルト42上のトナー画像(原稿画像)を2次転写させる。そして、演算制御部6は、定着ローラー対53及び排紙ローラー54を駆動させて、記録紙P上のトナー画像を定着させると共に排紙トレイ55に排出させる。
【0044】
次に、本実施形態の複合機Aの特徴部分を含む感光体ユニットのクリーニング装置43eについて、図2〜図7を参照して説明する。
図2は、クリーニング装置43eを含む拡大図である。この図2において、(a)が縦断面図であり、(b)が斜視図である。また、図3は、クリーニング装置43eを拡大した縦断面図である。なお、図2(b)においては、後述のクリーニングブレード62を省略して図示している。
これらの図に示すように、クリーニング装置43eは、感光体ドラム43aの側方に配置されており、フレーム61と、クリーニングブレード62と、スクリュー63と、トナー崩し部材64を備えている。なお、クリーニング装置43eの構成要素のうち、スクリュー63とトナー崩し部材64は、本発明の廃トナー搬送装置(トナー搬送装置)を構成している。つまり、本実施形態においては、クリーニング装置43eの内部に本発明の廃トナー搬送装置の機能が組み込まれている。
【0045】
フレーム61は、内部が廃棄トナーTの搬送経路となると共に内部にスクリュー63やトナー崩し部材64を収容する略筒状の容器である。また、フレーム61の感光体ドラム43a側の側部には、感光体ドラム43aから掻き落とした廃棄トナーTを内部に取り込むための開口が設けられている。このようなフレーム61は、複合機Aの骨格となる剛性部材に対して固定されている。
【0046】
クリーニングブレード62は、感光体ドラム43aの周面と摺擦するようにフレーム61の開口部分に配置されており、感光体ドラム43aの周面に残留する残留トナーを掻き落とすものである。
【0047】
スクリュー63は、クリーニングブレード62によって掻き落とされた残留トナーを廃棄トナーTとして廃棄トナー搬送部45まで搬送するものである。このスクリュー63は、フレーム61によって回転可能に軸支された軸部63aと、軸部に巻回された螺旋状のフィン63bとを有している。なお、本実施形態においては、図3に示す方向から見て右巻きにフィン63bが巻回されており、スクリュー63は、不図示の駆動機構によって図3に示す方向から見て右向きに回転される。このため、フィン63bが見かけ上、図2(b)に示す廃棄トナー搬送方向に向かって移動し、廃棄トナーTもフィン63bの移動に伴ってスクリュー63の軸方向に搬送される。
【0048】
図4は、トナー崩し部材64を示す図であり、(a)が斜視図、(b)が正面図、(c)が一部を拡大した拡大図である。これらの図に示すように、トナー崩し部材64は、スクリュー63の軸方向に延在する長尺状の基部64aと、当該基部64aの長手方向に等間隔で配置される複数の可撓性板部材64bとから構成されている。このトナー崩し部材64は、クリーニングブレード62とスクリュー63との間に配置されており、スクリュー63のフィン63bの移動に伴って可撓性板部材64bが変形することで、堆積する廃棄トナーTを崩すものである。
【0049】
基部64aは、クリーニングブレード62の設置箇所の裏側(スクリュー側)において、フレーム61に対して固定されている。この基部64aは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)によって形成されおり、接着剤によってフレーム61に対して貼付されている。この基部64aは、可撓性板部材64bをスクリュー63に向けて付勢している。
【0050】
可撓性板部材64bは、図4(a)〜(c)に示すように、廃棄トナー搬送方向(スクリュー63による廃棄トナーTの搬送方向)の上流側に向けて尖った略三角形状の板部材であり、基部64a側を向く斜辺64cと基部64aに対して平行な上辺64dとを有している。斜辺64cは、フィン63bが回転するときに当該フィン63bに可撓性板部材64bが巻き込まれないよう、例えばフィン63bの延在方向Xに対して直交する姿勢とされている。このように可撓性板部材64bは、廃棄トナー搬送方向の上流側から下流側に向けて高さ方向(基部64aの延在方向に対して直交する方向)に広がる形状を有している。
【0051】
この結果、可撓性板部材64bは、先端部64b1の幅L1が根元部64b2の幅L2よりも広い形状とされている。つまり、本実施形態において可撓性板部材64bは、基部64aに対して固定される根元部64b2と、この根元部64b2よりもスクリュー63における廃棄トナーTの搬送方向の幅が広い先端部64b1を有している。
【0052】
また、可撓性板部材64bは、基部64aと同様にポリエチレンテレフタレート(PET)によって形成さており、可撓性を有している。なお、可撓性板部材64bの材質は、可撓性を有していればテフロン(登録商標)やカプトン(登録商標)等の他の樹脂製シートでも構わないが、コストや耐久性の面からポリエチレンテレフタレート(PET)がより好ましい。
【0053】
このような可撓性板部材64bは、廃棄トナー搬送方向の下流側の端部64eが基部64aに対して固定されると共に上流側の端部64fが基部64aと切り離されており、下流側の端部64eが基部64aに対して固定されることで基部64aに対して立設されるように支持されている。
また、可撓性板部材64bは、スクリュー63の軸部63aに沿って配列されると共に先端部64b1側がフィン63bと当接するように配置されている。
【0054】
このような可撓性板部材64bの配置ピッチP1は、スクリュー63のフィン63bの螺旋ピッチP2よりも1mm程度小さく設定されている(図5参照)。つまり、可撓性板部材64bの配置ピッチP1と螺旋ピッチP2とが異なっている。なお、ここで言う螺旋ピッチP2とは、スクリュー63の軸方向において、フィン63bの1巻目の部位と2巻目の部位(隣合う部位)とが離間する間隔を意味している。
【0055】
次に、図5及び図6を参照してトナー崩し部材64の可撓性板部材64bの動きについて説明する。なお、図5は、スクリュー63とトナー崩し部材64との一部を示す斜視図であり、(a)〜(c)にて時系列的な変化の様子を示している。(a)は、フィン63bが可撓性板部材64bの上流側の端部64fに当接している状態を示している。また、(b)は、フィン63bが可撓性板部材64bの上流側の端部64fと下流側の端部64eとの間に当接している状態を示している。また、(c)は、フィン63bが可撓性板部材64bの下流側の端部64eに当接している状態を示している。また、図6は、図5に示す可撓性板部材64bの1つを含んで拡大した平面図であり、(a)が図5(a)に、(b)が図5(b)に、(c)が図5(c)に対応している。
【0056】
図5(a)及び図6(a)に示すように、螺旋状のフィン63bが可撓性板部材64bに上流側から当接すると、可撓性板部材64bの上流側の端部64dが基部64aと切り離されていることから、可撓性板部材64bの上流側の端部64fは、スクリュー63の軸部63aの半径方向に大きく移動する。この結果、可撓性板部材64bは、上流側がスクリュー63から離間する方向に大きく傾き、基部64aに固定された下流側を支点として捩れる。
【0057】
そして、図5(b)及び図6(b)に示すように、フィン63bがさらに廃棄トナーTの搬送方向に移動していくと、フィン63bが可撓性板部材64bの下流側の端部64eに近づくに連れて当該端部64eもスクリュー63から離間する方向に徐々に傾いていく。この結果、可撓性板部材64bの捩れが徐々に解消されていき、フィン63bが可撓性板部材64bの下流側の端部64eに到達すると、図5(c)及び図6(c)に示すように、可撓性板部材64bの捩れが解消される。
【0058】
スクリュー63が回転している間は、廃棄トナーTの搬送方向の上流側から下流側に複数のフィン63bが見かけ上進行する。このため、可撓性板部材64bに対して、フィン63bが上流側から繰り返し当接する。このため、可撓性板部材64bは、上流側から下流側に向かって扇ぐように変形動作を繰り返す。
このように可撓性板部材64bが上流側から下流側に向かって扇ぐような変形動作を繰り返すことによって、廃棄トナーTは、可撓性板部材64bの動きによっても上流側から下流側に搬送される。
【0059】
このようなクリーニング装置43eでは、クリーニングブレード62によって感光体ドラム43aの周面から掻き落とした残留トナーを、回転されるスクリュー63が、廃棄トナー搬送部45まで搬送する。さらに、クリーニング装置43eでは、可撓性板部材64bの変形によって、スクリュー63の周囲に堆積する廃棄トナーTを崩すと共に廃棄トナーTを廃棄トナー搬送部45に向けて搬送する。
【0060】
このように、本実施形態においては、廃棄トナーTがスクリュー63とトナー崩し部材64との両方によって下流側に向けて搬送される。このため、トナー崩し部材64が配置されることによる廃棄トナーTの搬送性の低下を可撓性板部材64bの動きによって補うことができる。その結果、廃棄トナーTの搬送性が良好に維持される。また、スクリューの周囲に堆積する廃棄トナーTは、可撓性板部材64bの動きが繰り返されることによって崩される。
【0061】
また、本実施形態においては、スクリュー63の軸部63aに沿って延在する基部64aに対して可撓性板部材64bが固定されており、スクリュー63におけるトナーTの搬送方向(軸部63aの延在方向)における可撓性板部材64bの根元部64b2の幅が、先端部64b1の幅よりも狭く設定されている。
このような本実施形態における可撓性板部材64bによれば、先端部64b1にて広範囲のトナーTを崩すことができる。また、根元部64b2の周囲にはトナーTが通過可能な広い空間を確保できるため、スクリュー63へのトナー供給をスムーズに行うことができる。
したがって、本実施形態によれば、トナーTの搬送性が低下することを抑制しつつ、広範囲で堆積するトナーTを崩すことが可能となる。
【0062】
また、本実施形態においては、可撓性板部材64bがスクリュー63の軸部63aに沿って互いに離間しつつ複数設けられている。このため、スクリュー63の長手方向の全域に亘って、可撓性板部材64bによって廃棄トナーTの溜まりを崩すことが可能となる。
【0063】
また、本実施形態においては、基部64aが可撓性板部材64bをスクリュー63に向けて付勢している。このため、見かけ上のフィン63bの移動により、フィン63bから可撓性板部材64bが外れた場合に、今までフィン63bによって変形されていた可撓性板部材64bが勢い良く元の形状に復元する。この結果、堆積したトナーTをより確実に崩すことが可能となる。
【0064】
なお、可撓性板部材64bが元の形状に復元しようとするときにトナーTに対して与える衝撃力は、フィン63bに当接しているときの可撓性板部材64bの反りが大きい程増大する。このため、可撓性板部材64bは、先端から高さ方向に3分の1以内の箇所がスクリュー63のフィン63bと当接していることが好ましい。例えば、可撓性板部材64bの高さが10mmである場合には、可撓性板部材64bの先端から3mmの箇所でフィン63bと当接させるようにする。
【0065】
また、可撓性板部材64bがフィン63bによって最大限変形された場合に、図8に示すように、クリーニングブレード62の先端Bとスクリュー63の回転中心Cとを結ぶ線分BC上において、クリーニングブレード62の先端Bから可撓性板部材64bまでの距離d1は、クリーニングブレード62の先端Bから当該線分BCとフィン63bの先端Dとの交点までの距離d2の3分の1より短いことが好ましい。
これによって、フィン63bに当接しているときの可撓性板部材64bの反りを十分に大きくすることができ、可撓性板部材64bが元の形状に復元しようとするときにトナーTに対して与える衝撃力を十分に高めることができる。
【0066】
また、本実施形態において可撓性板部材64bは、上流側から下流側に向けて高さ方向に広がる形状を有している。図4の(c)に示すように、斜辺64cと基部64aとの間に大きな隙間を形成することができ、クリーニングブレード62からスクリュー63へ廃棄トナーTをスムーズに供給することが可能となる。
【0067】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0068】
例えば、上記実施形態においては、可撓性板部材64bが廃棄トナーTの搬送方向における上流側から下流側に向けて高さ方向に広がる三角形状を有している構成について説明した。
しかしながら、本発明における可撓性板部材64bは、このような形状に限定されるものではなく、図9(a)〜(d)に示すように、先端部の幅が根元部の幅よりも広い形状であれば、他の形状を採用することも可能である。図9(a)は、下流側から上流側に向けて高さ方向に広がる三角形状を有する可撓性板部材64baを示している。図9(b)は、略逆三角形状を有する可撓性板部材64bbを示している。図9(c)は、先端部と根元部が幅の異なる矩形状とされた形状を有する可撓性板部材64bcを示している。図9(d)は、上記実施形態の可撓性板部材64bの下流側の上隅を切断した形状を有する可撓性板部材64bdを示している。
【0069】
上記実施形態においては、本発明の画像形成装置をカラー印刷用の複合機Aに適用した構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、プリンター、ファクシミリ装置、モノクロ印刷用の複合機とすることもできる。
【0070】
また、上記実施形態においては、本発明のトナー搬送装置を廃トナー搬送装置としてクリーニング装置43eの内部に組み込む構成について説明した。
しかしながら、本発明は、廃トナー搬送装置としてのみではなく、現像ユニット43dにてトナーを搬送するためのトナー搬送装置や、現像ユニット43dに供給するトナーを収容するトナーコンテナ(不図示)にてトナーを搬送するためのトナー搬送装置に組み込むことも可能である。
【符号の説明】
【0071】
A……複合機(画像形成装置)、T……廃棄トナー、63……スクリュー、63a……軸部、63b……フィン、64……トナー崩し部材、64a……基部、64b,64ba,64bb,64bc,64bd……可撓性板部材、64b1……先端部、64b2……根元部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部に巻回された螺旋状のフィンを有すると共にトナーを軸方向に搬送するスクリューと、前記トナーの搬送方向に沿って配置されると共に堆積するトナーを崩すトナー崩し部材とを備えるトナー搬送装置であって、
前記トナー崩し部材は、
前記スクリューの軸部に沿って延在する基部と、
前記フィンと当接する位置に配置され、前記基部に固定される根元部と当該根元部よりも前記スクリューにおける前記トナーの搬送方向の幅が広い先端部とを有する可撓性板部材と
を備えることを特徴とするトナー搬送装置。
【請求項2】
前記可撓性板部材が前記スクリューの軸部に沿って互いに離間しつつ複数設けられていることを特徴とする請求項1記載のトナー搬送装置。
【請求項3】
前記基部は、前記可撓性板部材を前記スクリューに向けて付勢していることを特徴とする請求項1または2記載のトナー搬送装置。
【請求項4】
前記可撓性板部材は、前記上流側から前記下流側に向けて高さ方向に広がる形状を有していることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のトナー搬送装置。
【請求項5】
前記可撓性板部材は、先端から高さ方向に3分の1以内の箇所が前記スクリューと当接していることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のトナー搬送装置。
【請求項6】
像担持体上の残留トナーを搬送する廃トナー搬送装置であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のトナー搬送装置。
【請求項7】
前記可撓性板部材がフィンによって最大限変形された場合に、前記像担持体上の残留トナーを掻き取るクリーニングブレードの先端と前記スクリューの回転中心とを結ぶ線分上において、前記クリーニングブレードの先端から前記可撓性板部材までの距離は、前記クリーニングブレードの先端から当該線分と前記フィンの先端との交点までの距離の3分の1より短いことを特徴とする請求項6記載のトナー搬送装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のトナー搬送装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−113987(P2013−113987A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259212(P2011−259212)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】