説明

トナー搬送装置及び画像形成装置

【課題】簡単、安価に、耳障り音を抑制して運転できる等の利点を有するトナー搬送装置を提供する。
【解決手段】トナー容器と、容器に連設された筒状搬送路と、容器内から筒状搬送路内へ延びて容器内から筒状搬送路内へトナーを搬送するためのトナー搬送スクリューとを含んでいるトナー搬送装置(例えばクリーニング装置に組み合わされたトナー搬送装置)及びこのようなトナー搬送装置を含む画像形成装置において、搬送スクリューの螺旋部62bの筒状搬送路内に位置する部分は外周部に筒状搬送路の内壁面に接触摺動可能の突起部62cを有しており、搬送スクリューの筒状搬送路内に位置する部分の螺旋部の突起部62cを含む外径は搬送スクリューのトナー容器内に位置する部分の螺旋部の外径より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式や静電記録方式の画像形成装置等(例えば、電子写真方式でトナー像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ機、表示機、これらのうち2以上を組み合わせた複合機等)において使用できるトナー搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式や静電記録静方式の画像形成装置では、像担持体である静電潜像担持体上に目的とする画像に応じた静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーを含む現像剤を用いて現像してトナー像を形成することができる。
【0003】
また、一般的には、静電潜像担持体上に形成されるトナー像は被転写体に転写することができる。この場合、静電潜像担持体上に形成されるトナー像は被転写体である記録用紙等の記録シートに直接転写される場合のほか、第2の像担持体(中間の像担持体)を兼ねる被転写体(中間転写体)に転写され、さらにそこから記録シートに転写される場合もある。
【0004】
いずれにしても、かかる画像形成装置では、さまざまな場面でトナーを搬送することが求められる。例えば、前記静電潜像担持体上に形成される静電潜像を現像するにあったては現像装置が使用されるが、この現像装置へトナーホッパーからトナーを補給することがあり、その場合にトナー搬送装置が用いられることがある。
【0005】
また、静電潜像担持体から記録シートや中間転写体へのトナー像転写後に静電潜像担持体上に残留する転写残トナーを除去回収するクリーニング装置や、像担持体である中間転写体から次の被転写体(通常は記録シート)へトナー像転写後に中間転写体上に残留する転写残トナーを除去回収するクリーニング装置等から、回収トナーを廃棄容器へ向け排出搬送するにもトナー搬送装置が用いられる。
【0006】
また例えば、モノクロ画像形成装置では、クリーニング装置の回収トナーを現像装置へ循環させることがあり、この場合にもトナー搬送装置が用いられる。
【0007】
この様なトナー搬送装置の代表的なものとして、搬送すべきトナーを収容するトナー容器と前記トナー容器に連設された筒状搬送路と、前記トナー容器内から前記筒状搬送路内へ延びて前記トナー容器内から前記筒状搬送路内へトナーを搬送するためのトナー搬送スクリューとを含んでおり、前記トナー搬送スクリューは、軸部と前記軸部に周設された螺旋部を含んでおり、前記軸部の、前記筒状搬送路とは反対側の端部が前記トナー容器に回転可能に片持ち支持されているトナー搬送装置を挙げることができる。
【0008】
このタイプのトナー搬送装置では、搬送すべきトナーを収容するトナー容器は、クリーニング装置の回収トナー収納容器であったり、トナー補給用のトナーホッパーであったりしてもよい。
【0009】
いずれにしても、トナー搬送スクリューの軸部の、筒状搬送路とは反対側の端部は前記トナー容器に回転可能に精度よく片持ち支持されている。そして、該軸部端部には駆動伝達ギアが設けられているのが一般的である。
【0010】
しかし、反対側の前記筒状搬送路内の軸端部は支持されず自由状態になっており、トナー搬送スクリューの自由端側は、筒状搬送路の内面に接触摺動可能な状態で回転駆動される。そのため、トナー搬送時に耳障り音が発生することがある。特に、トナー搬送装置が新品で、トナー搬送筒状搬送路(一般的にはパイプ形態の搬送路)内にトナーが供給されていない場合には、音が発生しやすい。なお、トナーには潤滑成分が含まれているため、トナー搬送パイプ内にトナーが充満している状態では、音の発生が少なくなる。
【0011】
また、上記以外にも次のような問題もある。
クリーニング装置は、像担持体に残留したトナーを掻き取るクリーニングブレードと、トナーを収納するトナー容器とを含んでいるのが一般的であり、該トナー容器は、ブレードで掻き取った転写残トナー等を容器内へ受け入れるための、像担持体に対向する開口を有しており、該トナー容器には、クリーニングブレード周辺、トナー容器周辺、トナーを導入するための開口周辺の隙間を閉じるシールが設けられている。
【0012】
トナー容器内に堆積したトナーはトナー搬送装置によりトナー容器外へ搬送される。この場合、トナー搬送装置は、クリーニング装置を構成している、排出搬送すべきトナーを収納するトナー容器と、このトナー容器に連設された筒状搬送路と、トナー容器内から前記筒状搬送路内へ延びてトナー容器内から筒状搬送路内へトナーを搬送するためのトナー搬送スクリューとを含むものである。
【0013】
トナー容器内のトナーはトナー搬送スクリューにて搬送されるが、トナー容器内のトナー搬送路と、トナー容器外にトナーを搬送する前記の筒状搬送路では断面形状が異なる。
トナー容器内のトナー搬送路断面は、トナーを導入するための開口を必要とするために、一般的にはU字状断面である。一方、前記筒状搬送路断面は文字通り筒状断面を呈している。
そして、トナー搬送スクリューのトナー搬送方向下流側が自由端になっている。
【0014】
これらのため、トナー搬送スクリューが回転すると芯振れを起こし、トナー容器のトナー搬送方向下流側の端面の前記筒状搬送路の入口の開口縁にトナー搬送スクリューの螺旋部の外周部が当たり、耳障りなこすれ音が発生する場合がある。
【0015】
この点、クリーニング装置におけるトナー搬送スクリューとトナー搬送路でのこすれ音発生を抑制する技術が幾つか提案されている。
例えば特許第4351421号公報には、トナー搬送コイルのトナー搬送方向とは反対側の螺旋部にグリース(潤滑剤)を塗布し、かつ、螺旋状コイルの外周端全体にグリースを塗布して、コイルと搬送路の摺動音を抑制するクリーニング装置が提案されている。
【0016】
また、特開2000−56567号公報には、トナー搬送スクリューを弾性材質(例えばゴム)で構成し、搬送パイプ(筒状搬送路)とのクリアランスを無くし、搬送スクリューとパイプのこすれ音を抑制したトナー搬送装置が提案されている。
特開2002−132109号公報には、トナー搬送スクリューの螺旋外径と搬送パイプ内径とがきわめて接近した部分を設けて、軸受廃止によるコストダウンを目的としたトナー搬送装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特許第4351421号公報
【特許文献2】特開2000−56567号公報
【特許文献3】特開2002−132109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、特許第4351421号公報に記載されたグリース(潤滑剤)塗布方式では、次のような問題が発生する。
トナー搬送コイルは、直径1mm程度のピアノ線で構成するのが一般的で、トナー搬送方向の反対側の螺旋部の極わずかな面だけにグリースを塗布するのは現実的に不可能に近い。また、グリースのような副資材は非常に高価なものなので、できるだけこのような副資材を使わない装置の提供に各メーカ努めているのが実情である。
【0019】
また、モノクロ画像形成装置については、フルカラー画像形成装置と違い混色問題が無いため、クリーニング装置で掻き取られたトナーを現像装置に戻して、トナーを再利用することがある。その場合、現像装置内のトナーは帯電量が重要であり、この帯電量が不安定で、適正になっていないと様々な画像品質問題を起こす。
【0020】
前述のトナー搬送方向の反対側の螺旋部にグリースを塗布できたとしても、トナーは様々な性質を持っており、数μmのトナーをグリースと接触させずに搬送することは不可能であり、トナーとグリースが混ざり合って搬送されることになる。トナーは前述のように様々な性質を持っており非常に敏感であるため、このような箇所へのグリース塗布を厳禁としているのが一般的である。
【0021】
特開2000−56567号公報及び特開2002−132109号公報に記載のトナー搬送装置は、いずれも目的が違うが積極的にトナー搬送スクリューとパイプ内面とを接触させる構成である。しかしながら、この二つの装置においては下記のような問題が発生する。
【0022】
一つには、積極的にトナー搬送スクリューとパイプ内面とを接触させる構成であるため、両者間の摺動抵抗が大きくなり、トナー搬送スクリュー駆動のエネルギー消費がそれだけ大きくなる。
なお、積極的にトナー搬送スクリューとパイプ内面とを接触させるには、トナー搬送スクリューの螺旋部の断面輪郭円とパイプ断面の内周円との一致が要求されるが、その様な2部材の円の一致は現実には不可能である。
【0023】
実際には、トナーが一般的には6μm程の小粒径で、流体・粉体・液体のような様々な性質を持っており、極わずかな隙間でもあるとトナーが入り込んでしまう。例えば、特開2000−56567号公報に記載のように、トナー搬送スクリューを弾性部材で構成した場合でも、搬送パイプの内面とスクリューの外径とにおいて円中心が一致しないと弾性圧が均等にならず、両者間に部分的な隙間が発生し、トナーがスクリューの螺旋部外周部と搬送パイプの内面の間に入り込み、トナー搬送時にトナーがパイプの内面にこすりつけられながら搬送されてしまう。また、トナー搬送スクリューとパイプを積極的に面接触させると摺動にて発熱する。
これらにより、熱でトナーが軟化したり、溶融したりし、やがてスクリューや搬送パイプ内にトナーが固着してスクリューをロックさせてしまう重大問題を起こす。
【0024】
近年、省電力、ウオームアップ時間短縮による省エネ化で、トナーの低温定着化が進んでいるので、トナーが溶けやすくなってきている。また、画像形成の高速化が進んでいるので、発熱が課題になってきている。
【0025】
そこで本発明は、搬送すべきトナーを収容するトナー容器と前記トナー容器に連設された筒状搬送路と、前記トナー容器内から前記筒状搬送路内へ延びて前記トナー容器内から前記筒状搬送路内へトナーを搬送するためのトナー搬送スクリューとを含んでおり、前記トナー搬送スクリューは、軸部と前記軸部に周設された螺旋部を含んでおり、前記軸部の、前記筒状搬送路とは反対側の端部が前記トナー容器に回転可能に片持ち支持されているトナー搬送装置であって次の利点を有するトナー搬送装置を提供することを第1の課題とする。
・ 簡単、安価に、前記トナー搬送スクリューと前記筒状搬送路内壁面とのこすれ音を抑制できるとともに前記トナー搬送スクリューの前記トナー容器内に位置する部分の螺旋部と前記筒状搬送路の入口の開口縁とのこすれ音発生を防止できる。
・ 前記トナー搬送スクリューと前記筒状搬送路内壁面との接触抵抗を低減でき、それだけ、トナー搬送スクリューの回転トルクを低減させることができ、今日の省エネルギーの要請に応えることができる。
・ 前記トナー搬送スクリューと前記筒状搬送路内壁面との摺動発熱を低減でき、搬送対象トナーを再使用する場合、その熱劣化を抑制できる。
【0026】
また本発明は、電子写真方式により像担持体上にトナー像を形成でき、前記トナー像を前記像担持体から被転写体に転写でき、前記転写後前記像担持体上に残留する転写残トナーをクリーニング装置で除去回収できる画像形成装置であって、少なくとも一つの前記クリーニング装置について、該クリーニング装置に回収されたトナーを該クリーニング装置から、耳障り音が抑制された状態で、簡単、安価に排出搬送することができ、それだけ支障なく画像形成できる画像形成装置を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は前記第1の課題を解決するため、
搬送すべきトナーを収容するトナー容器と前記トナー容器に連設された筒状搬送路と、前記トナー容器内から前記筒状搬送路内へ延びて前記トナー容器内から前記筒状搬送路内へトナーを搬送するためのトナー搬送スクリューとを含んでおり、前記トナー搬送スクリューは、軸部と前記軸部に周設された螺旋部を含んでおり、前記軸部の、前記筒状搬送路とは反対側の端部が前記トナー容器に回転可能に片持ち支持されているトナー搬送装置であり、前記トナー搬送スクリューの前記螺旋部の前記筒状搬送路内に位置する部分は外周部に前記筒状搬送路の内壁面に接触摺動可能の突起部を有しており、前記トナー搬送スクリューの前記筒状搬送路内に位置する部分の螺旋部の前記突起部を含む外径は前記トナー搬送スクリューの前記トナー容器内に位置する部分の螺旋部の外径より大きいトナー搬送装置を提供する。
【0028】
本発明に係るトナー搬送装置は、上記のとおりの構造のものであるから、構造簡単、安価に済む。
【0029】
本発明に係るトナー搬送装置によると、前記トナー搬送スクリューの前記螺旋部の前記筒状搬送路内に位置する部分は外周部に前記筒状搬送路の内壁面に接触摺動可能の突起部を有しており、従って前記螺旋部の外周部それ自身が全体的に前記筒状搬送路の内壁面に接触摺動するのではなく、少なくとも、該突起部のある部位で、該突起部が前記筒状搬送路の内壁面に接触摺動するだけであるから、
・ 前記トナー搬送スクリューと前記筒状搬送路間の相互接触抵抗がそれだけ低減され、たとえ前記筒状搬送路内に未だトナーが搬入されていない状態でも、前記トナー搬送スクリューと前記筒状搬送路との相互こすれ音の発生はそれだけ抑制される。
・ また、前記トナー搬送スクリューの回転トルクもそれだけ低減できる。
・ さらに、前記トナー搬送スクリューと前記筒状搬送路内壁面との摺動発熱を低減でき、搬送対象トナーを再使用する場合、その熱劣化を抑制できる。また、トナーの熱溶融固着に起因するトナー搬送スクリューのロックを抑制できる。
【0030】
また、本発明に係るトナー搬送装置によると、前記トナー搬送スクリューの前記筒状搬送路内に位置する部分の螺旋部の前記突起部を含む外径は前記トナー搬送スクリューの前記トナー容器内に位置する部分の螺旋部の外径より大きいから、前記トナー搬送スクリューの前記筒状搬送路内での芯出しが確実化し、前記トナー搬送スクリューの螺旋部の前記トナー容器内の部分、さらに言えば、該トナー容器内のトナー搬送方向下流側の螺旋部端部の前記筒状搬送路の入口開口縁との接触が避けられ、両者が接触すれば発生するこすれ音発生が防止される。
【0031】
なお、ここで、「前記トナー搬送スクリューの前記トナー容器内に位置する部分の螺旋部の外径」とは、該螺旋部が後述するようにその外周部に突起部等を有している場合は、該突起部等を含めた螺旋部全体の外径であり、螺旋部の外周部がそのような突起部等を有していない場合は、螺旋部本体の外径である。
【0032】
本発明に係る前記トナー搬送スクリューの前記螺旋部の前記筒状搬送路内に位置する部分の外周部の前記突起部は、その螺旋部の部分のトナー搬送スクリュー長手方向の全体にわたりあらかじめ定めた間隔(ピッチ)で複数個設けてもよいし、部分的に設けてもよい。
【0033】
いずれにしても、前記トナー搬送スクリューの前記筒状搬送路内での芯出しを確実化させ、前記トナー搬送スクリューの螺旋部の前記トナー容器内の部分の前記筒状搬送路の入口開口縁との接触を避けるうえで、少なくとも前記筒状搬送路内の筒状搬送路入口に隣り合う入口近傍部位において前記螺旋部の外周部にあらかじめ定めた間隔(ピッチ)で複数個形成する例を挙げることができる。
【0034】
また、前記トナー搬送スクリューの前記螺旋部の前記トナー容器内に位置する部分は前記トナー容器の内壁面と接触摺動可能の突起部をあらかじめ定めた間隔(ピッチ)で複数個有していてもよい。この場合、前記トナー搬送スクリューの前記筒状搬送路内に位置する部分の螺旋部の前記突起部を含む外径は前記トナー搬送スクリューの前記トナー容器内に位置する部分の螺旋部の前記突起部を含む外径より大きくする。
【0035】
前記トナー搬送スクリューと前記筒状搬送路内壁面との接触抵抗をより低減するために、前記トナー搬送スクリューの前記筒状搬送路内に位置する部分の外周部の前記突起部は前記筒状搬送路の内壁面に点接触摺動可能の突起部としてもよい。
【0036】
同様の理由で、前記トナー搬送スクリューの前記螺旋部の前記トナー容器内に位置する部分の外周部の前記突起部は前記トナー容器の内壁面に点接触摺動可能の突起部としてもよい。
【0037】
前記トナー搬送スクリューの例として、前記軸部と前記螺旋羽根とが一体的に形成されている合成樹脂製のトナー搬送スクリューを挙げることができる。
【0038】
本発明に係るトナー搬送装置は、例えば、電子写真方式により像担持体上にトナー像を形成できる画像形成装置において採用できる。
さらに言えば、例えば、像担持体上に形成されたトナー像が被転写体に転写される画像形成装置において、転写後像担持体上に残留するトナーをクリーニング装置で除去回収する場合に、該クリーニング装置から回収トナーを廃棄のため、或いは現像装置における再使用のために排出搬送することに採用できる。
【0039】
このようなことから、本発明に係るトナー搬送装置として、例えば、電子写真方式により像担持体上にトナー像を形成でき、前記トナー像を前記像担持体から被転写体に転写でき、前記転写後前記像担持体上に残留する転写残トナーをクリーニング装置で除去回収できる画像形成装置において少なくとも一つの前記クリーニング装置から回収トナーを排出搬送するトナー搬送装置を挙げることができる。
【0040】
本発明は前記第2の課題を解決するために、電子写真方式により像担持体上にトナー像を形成でき、前記トナー像を前記像担持体から被転写体に転写でき、前記転写後前記像担持体上に残留する転写残トナーをクリーニング装置で除去回収できる画像形成装置であり、少なくとも一つの前記クリーニング装置について、該クリーニング装置に回収されたトナーを該クリーニング装置から排出搬送するトナー搬送装置が設けられているとともに該トナー搬送装置は本発明に係るトナー搬送装置である画像形成装置を提供する。
【0041】
この画像形成装置において前記トナー搬送装置により回収トナーが排出搬送される前記クリーニング装置は前記像担持体から除去回収したトナーを受け入れ収納するトナー収納容器を含んでおり、該トナー収納容器は前記トナー搬送装置の搬送対象トナーを収容する前記トナー容器を兼ねていてもよい。
【0042】
いずれにしても、本発明に係る画像形成装置によると、少なくとも一つの前記クリーニング装置は、それに対して設けられているトナー搬送装置が本発明に係るトナー搬送装置であるから、該クリーニング装置に回収されたトナーを該クリーニング装置から、耳障り音が抑制された状態で、簡単、安価に排出搬送することができ、それだけ支障なく画像形成できる。
【0043】
本発明に係る画像形成装置は、電子写真方式により像担持体上にトナー像を形成でき、前記トナー像を前記像担持体から被転写体である記録シートに転写できる画像形成装置でもよく、前記像担持体上のトナー像を被転写体でもある(中間転写体と一般に呼ばれている)第2の像担持体に転写でき、該第2の像担持体(中間転写体)から記録シートに転写できる画像形成装置であってもよい。
後者の画像形成装置では、クリーニング装置は前記最初の像担持体に対しても、前記第2の像担持体に対しても設けられているのが一般的である。
【0044】
また本発明に係る画像形成装置はモノクロ画像形成装置でも、カラー画像形成装置でもよい。
【発明の効果】
【0045】
以上説明したように本発明によると、
搬送すべきトナーを収容するトナー容器と前記トナー容器に連設された筒状搬送路と、前記トナー容器内から前記筒状搬送路内へ延びて前記トナー容器内から前記筒状搬送路内へトナーを搬送するためのトナー搬送スクリューとを含んでおり、前記トナー搬送スクリューは、軸部と前記軸部に周設された螺旋部を含んでおり、前記軸部の、前記筒状搬送路とは反対側の端部が前記トナー容器に回転可能に片持ち支持されているトナー搬送装置であって次の利点を有するトナー搬送装置を提供することができる。
・ 簡単、安価に、前記トナー搬送スクリューと前記筒状搬送路内壁面とのこすれ音を抑制できるとともに前記トナー搬送スクリューの前記トナー容器内に位置する部分の螺旋部と前記筒状搬送路の入口の開口縁とのこすれ音発生を防止できる。
・ 前記トナー搬送スクリューと前記筒状搬送路内壁面との接触抵抗を低減でき、それだけ、トナー搬送スクリューの回転トルクを低減させることができ、今日の省エネルギーの要請に応えることができる。
・ 前記トナー搬送スクリューと前記筒状搬送路内壁面との摺動発熱を低減でき、搬送対象トナーを再使用する場合、その熱劣化を抑制できる。
【0046】
また本発明によると、電子写真方式により像担持体上にトナー像を形成でき、前記トナー像を前記像担持体から被転写体に転写でき、前記転写後前記像担持体上に残留する転写残トナーをクリーニング装置で除去回収できる画像形成装置であって、少なくとも一つの前記クリーニング装置について、該クリーニング装置に回収されたトナーを該クリーニング装置から、耳障り音が抑制された状態で、簡単、安価に排出搬送することができ、それだけ支障なく画像形成できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る画像形成装置の1例を概略的に示す図である。
【図2】図1の画像形成装置における感光体クリーニング装置の構成を感光体及び帯電器とともに示す図である。
【図3】図2のクリーニング装置の一部の、クリーニングブレード側から見た斜視図である。
【図4】図2のクリーニング装置の一部の、クリーニングブレード側から、かつ、クリーニングブレード及び上流シールを外して見た斜視図である。
【図5】図2のクリーニング装置の一部の内部構造、特にトナー搬送路の部分を示す図である。
【図6】図2のクリーニング装置におけるトナー搬送スクリューの一部の斜視図である。
【図7】トナー搬送スクリューの螺旋部の外周部の複数突起部の中心角度間隔を示す図である。
【図8】トナー搬送スクリューの他の例の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、図面を参照して本発明に係る画像形成装置の例及び本発明に係るトナー搬送装置の例について説明する。
【0049】
図1は本発明に係る画像形成装置例の構成の概略を示している。
図1に示す画像形成装置は電子写真方式の画像形成装置である。
図1に示す画像形成装置は、所謂タンデム型のフルカラープリンタPRである。
【0050】
プリンタPRは、駆動ローラ71とこれに対向するローラ72に巻き掛けられた無端の中間転写ベルト7(第2の像担持体でもある中間転写体の1例)を有している。転写ベルト7は、図示省略のベルト駆動部により駆動される駆動ローラ71により図中反時計方向(図中矢印方向)CCWに回される。中間転写ベルト7及びローラ71,72等は中間転写ユニット70を構成している。
【0051】
ローラ72には転写ベルト7上の2次転写残トナー等を清掃するクリーニング装置73が臨んでおり、駆動ローラ71にはベルト7を間にして2次転写ローラ8が臨んでいる。クリーニング装置73に回収されるトナー等は図示省略の搬送手段にて図示省略の廃棄容器へ送られる。
【0052】
2次転写ローラ8の表層部は弾性材料で形成されており、図示省略の押圧手段にて駆動ローラ71に支持された中間転写ベルト7の部分に押圧され、中間転写ベルト7との間にニップ部を形成し、中間転写ベルト7の回転に従動して、或いは、後述するように該ニップ部に送り込まれる記録紙、オーバーヘッドプロジェクター用シート等の記録シートSの移動に従動して、或いは図示省略の駆動部に駆動されて回転することができる。2次転写ローラ8には、図示省略の電源から2次転写バイアスを印加することができる。
【0053】
中間転写ベルト7及び2次転写ローラ8の上方には定着装置FXが配置されており、下方にはタイミングローラ対TRが配置されており、さらにその下方に、記録シートSを収容した記録シート収容カセット9が配置されている。
【0054】
定着装置FXはハロゲンランプヒータ等の熱源を内蔵した定着加熱ローラとこれに圧接される加圧ローラとを含むものである。
記録シート収容カセット9に収容された記録シートSは、シート供給ローラ91にて1枚ずつ引き出してタイミングローラ対TRへ供給することができる。
【0055】
中間転写ベルト7を巻き掛けたローラ71、72の間には、転写ベルト7に沿って、ローラ72からローラ71に向けて、イエロー画像形成部Y、マゼンタ画像形成部M、シアン画像形成部C及びブラック画像形成部Kがこの順序で配置されている。
【0056】
Y、M、C、Kの各画像形成部は、静電潜像担持体(第1の像担持体の例)としてドラム型の感光体1を備えており、該感光体の周囲に帯電器2、露光装置3、現像装置4、クリーニング装置6及び除電装置Irがこの順序で配置されている。
【0057】
各画像形成部の感光体1にはベルト7を間にして1次転写ローラ5が対向配置されている。1次転写ローラ5は、図示省略の押圧手段にて感光体1の方向へ押圧され、ベルト7に接触して従動回転するとともにベルト7を感光体1に接触させることができる。
【0058】
1次転写ローラ5には、感光体1上に形成されるトナー像をベルト7へ1次転写するための1次転写バイアスを図示省略の電源から印加できる。
【0059】
露光装置3は、図示省略のパーソナルコンピュータ、画像読取装置等から提供される画像情報に応じて、レーザービームの点滅により感光体1にドット(点)露光で画像露光を施し、静電潜像を形成できる。
【0060】
各画像形成部における感光体1は、ここでは負帯電性の感光体であり、図示省略の感光体駆動モータにて図中時計方向回りに回転駆動できる。
【0061】
各画像形成部における帯電器2は、本例ではスコロトロン帯電器であり、所定のタイミングで図示省略の電源から帯電用の電圧が印加される。なお、帯電器2は帯電ローラを用いるもの等であってもよい。
【0062】
各画像形成部における現像装置4は、磁性キャリアと非磁性トナーを主成分とする所謂2成分現像剤を用いて、感光体1上に形成される静電潜像を、図示省略の電源から現像バイアスが印加される現像スリーブ或いは現像ローラ41で反転現像することができる。
なお、現像装置は、トナーを主体とする所謂1成分現像剤を用いる1成分現像装置でもよい。
【0063】
このプリンタによると、Y、M、C、Kの画像形成部のうち1又は2以上を用いて画像を形成することができる。
画像形成部Y、M、C及びKのすべてを用いてフルカラー画像を形成する場合を例にとると、先ず、イエロー画像形成部Yにおいてイエロートナー像を形成し、これを転写ベルト7に1次転写する。
【0064】
すなわち、イエロー画像形成部Yにおいて、感光体1が図中時計方向に回転駆動され、帯電器2にて表面が一様に所定電位に帯電され、該帯電域に露光装置3からイエロー画像用の画像露光が施され、感光体1上にイエロー用静電潜像が形成される。この静電潜像はイエロートナーを有する現像装置4の現像バイアスが印加された現像スリーブ41にて現像されて可視イエロートナー像となる。このイエロートナー像は1次転写ローラ5にて転写ベルト7上に1次転写される。このとき、1次転写ローラ5には図示省略の電源から1次転写バイアスが印加される。
【0065】
同様にして、マゼンタ画像形成部Mにおいてマゼンタトナー像が形成されて転写ベルト7に転写され、シアン画像形成部Cにおいてシアントナー像が形成されて転写ベルト7に転写され、ブラック画像形成部Kにおいてブラックトナー像が形成されて転写ベルト7に転写される。
【0066】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像はこれらが中間転写ベルト7上に重ねて転写されるタイミングで形成される。
かくして転写ベルト7上に形成された多重トナー像は転写ベルト7の回動により2次転写ローラ8へ向け移動する。
【0067】
一方、記録シートSが記録シート収容カセット9からシート供給ローラ91にて引き出され、タイミングローラ対TRへ供給され、待機している。
【0068】
このようにタイミングローラ対TRのところで待機する記録シートSは、中間転写ベルト7にて送られてくる多重トナー像に合わせて、転写ベルト7と2次転写ローラ8とのニップ部に供給される。多重トナー像は図示省略の電源から2次転写バイアスが印加された2次転写ローラ8にて記録シートS上に2次転写される。
【0069】
その後記録シートSは定着装置FXに通され、そこで多重トナー像が加熱加圧下に記録シートSに定着される。記録シートSはひき続き、排出ローラ対DRにて排出トレイTへ排出される。
【0070】
トナー像のベルト7への1次転写において感光体1上に残留する転写残トナー等はクリーニング装置6で除去回収され、2次転写によりベルト7上に残留する2次転写残トナー等は前記のとおりクリーニング装置73で清掃される。クリーニング装置6に除去回収されたトナーも廃棄容器へ送られる。
【0071】
クリーニング装置6についてさらに説明する。
一般的に言えば、感光体等の像担持体上の転写残トナーを除去回収するクリーニング装置は、クリーニングブレード、クリーニングブラシ等のクリーニング部材により機械的に、或いはそのようなクリーニング部材による機械的除去と電界等による電気的除去とを組み合わせて、像担持体から転写残トナーを除去回収するものであるが、ここでのクリーニング装置6は、図2に示すように、クリーニングブレード61により感光体1上の転写残トナー等を掻き取り除去するものである。
【0072】
すなわち、クリーニング装置6は、クリーニングブレード61と、ブレード61にて除去される転写残トナー等を開口63から受け入れ収納するトナー容器64と、容器64に連設された筒状搬送路67と、トナー容器64内から筒状搬送路67内へ延びてトナー容器64内から筒状搬送路67内へトナーを搬送するためのトナー搬送スクリュー62とを含んでいる。トナー容器64、筒状搬送路67及びトナー搬送スクリュー62は、クリーニング装置6からトナーを排出搬送するトナー搬送装置を構成している。
【0073】
図2に示すように、クリーニングブレード61が感光体1に当接され、感光体1が図示省略の感光体駆動モータにより図中時計方向に回転駆動されることで、感光体1上の転写残トナー等がブレード61に掻き取られ、トナー容器64内に収納される。容器64に収納されたトナーは、トナー搬送スクリュー72の回転により、容器64から筒状搬送路67(図3、図4参照)へ排出搬送され、さらに筒状搬送路67先端部のトナー廃棄口67a(図3、図4参照)から図示省略のトナー廃棄容器或いはそれへつながったトナー搬送路へ廃棄される。
【0074】
図3はクリーニング装置6の一部を、クリーニングブレード61側から見た斜視図である。
トナー容器64の開口63の周辺には、図3に示すように、トナー漏れを防ぐために、上流シール65とサイドシール66が設けられており、サイドシール66については、図3に示していないが、反対側(奥側)にも同様のシールが設けられており、これらのシールとクリーニングブレード61を感光体1の表面に十分接触させ、開口63の周囲の隙間を無くして、開口63からのトナー漏れを防止している。
【0075】
トナー搬送スクリュー62についてさらに説明する。
図4はクリーニング装置6の一部を、クリーニングブレード61側から、かつ、クリーニングブレード61及び上流シール65を外して見た斜視図である。図5はクリーニング装置6の一部の内部構造、特にトナー搬送路の部分を示す図である。図6はクリーニング装置6におけるトナー搬送スクリュー62の一部の斜視図である。
【0076】
トナー搬送スクリュー62は、軸部62aと該軸部に周設された螺旋部62bを含んでいる。螺旋部62bは本例では螺旋羽根の形態のものである。トナー搬送スクリュー62は、合成樹脂成形により軸部62aと螺旋羽根62bが一体的に形成されている合成樹脂製のトナー搬送スクリューである。
【0077】
図示の螺旋羽根62bはトナー送り面及びその反対側の面に段差部、筋部等が形成されているが、これらは樹脂成形時に成形型により形成されたものである。このような段差部、筋部等は無くてもよい。成形型をより細かく分割形成しておく等により、このような段差部、筋部等を平滑化してもよい。
【0078】
軸部62aの、筒状搬送路67とは反対側の端部(図示省略)がトナー容器64に回転可能にしっかりと片持ち支持されている。トナー搬送スクリュー62の筒状搬送路67側の端部は自由端部となっている。
【0079】
軸部62aの、筒状搬送路67とは反対側の端部はさらにトナー容器64外へ突出し、該突出部分に駆動伝達ギア(図示省略)が設けられており、このギアが図示省略の伝動機構を介して感光体駆動モータにて回転駆動される。
【0080】
トナー容器64内のトナー搬送路64aはそこへトナーを導入するための、ここでは上方へ向け開いた開口を必要とするために、U字断面で構成されている。容器64におけるトナー搬送路64aのトナー搬送方向下流側の端64bは、トナーを導入するそのような上方へ向けられた開口を必要としないことと、トナー漏れを防止するために、前記の筒状搬送路67に連続している。前記のトナー搬送路64aのトナー搬送方向下流側の端64bは筒状搬送路67の入口64cでもある。このように容器64のトナー搬送路64aの断面形状と筒状搬送路67の断面形状(ここでは円形)とは異なっている。
【0081】
図5に示されるように、筒状搬送路67は、トナー容器64等の製作の都合上、トナー容器74と一体的に形成された部分671と、これに対して後付けされたパイプからなる部分672とからなっている。筒状搬送路部分671は、筒状搬送路入口64cを含む部分であり、換言すれば、筒状搬送路67における。その入口64c近傍の部分である。
筒状搬送路67の後付けされた部分672の先端部に前記のトナー廃棄口67aが形成されている。
【0082】
図5、図6において、Aは容器64内のU字断面の搬送路64аの長手方向範囲である。Bは筒状搬送路67の部分671の長手方向範囲である。Cは搬送パイプで構成された筒状搬送路部分672の長手方向範囲である。
【0083】
A、B、Cの範囲の各搬送路内径とトナー搬送スクリュー62の螺旋部62bの外径は、両者間に極わずかなクリアランス(0.5mm〜1mm程度)を設けているが、トナー搬送スクリュー62のトナー搬送方向下流側部分(トナー廃棄開口67а近傍)が支持されていないため自由端となっている。仮に、この箇所を支持したとしても、トナー搬送スクリュー成形時のそりや、樹脂一体成形であるために剛性が十分でないことにより、トナー搬送スクリュー62が自重で垂れ下がり、搬送路の内壁と搬送スクリュー62の螺旋羽根62bの外周部がこすれて回転する。
【0084】
ここで問題になるのが、このままであると、搬送スクリュー乃至搬送路のどちらかが潤滑性材料で構成されていない場合、両者の摺動時に異常音が発生する。また、これ以外にも次のような問題がある。すなわち、容器64内のU字断面の搬送路64аと、容器64と筒状搬送路67の境界(AとBの境界)である筒状搬送路入口64cにて、搬送スクリューが自由端になっているために該入口64cの開口円の縁に搬送スクリュー62の螺旋羽根62b外周部が引っかかり、こすれ音が発生する場合がある。この音はA側とB側の芯振れ量の違いによって発生度合いが変わる。
【0085】
これらの問題を解決するために、トナー搬送スクリュー62では、トナー搬送スクリュー62の螺旋羽根62bの筒状搬送路67内に位置する部分は、図6に示すように、複数個の突起部62cを有している。突起部62cは筒状搬送路67の内壁面に接触摺動可能の突起部であり、筒状搬送路内壁面との接触抵抗が低減されるように、ここでは、筒状搬送路内壁面に臨む自由先端が丸く形成され筒状搬送路内壁面に点接触可能に形成されている。
【0086】
さらに説明すると、図5及び図6に示す例では、突起部62cを、筒状搬送路67内の筒状搬送路入口64cに隣り合う入口近傍部位(範囲)B、換言すれば、筒状搬送路67の部分671において、突起部62cを螺旋羽根62bの外周部に120度の中心角度間隔(図7参照)で複数個(ここでは3個)形成してある。
【0087】
すなわち、Bの範囲の搬送路671のA側(入口64c)近傍の搬送スクリュー螺旋羽根62bの外周に突起部62cを複数設け、Bの範囲での搬送スクリュー62の螺旋羽根62bの突起部62cを含む外径を、Aの範囲の螺旋羽根の外径より大きい寸法関係に設定してあり、これにより、入口64c付近での搬送スクリュー62の芯出しを確実にでき、入口64cの開口縁に搬送スクリュー62の螺旋羽根62bの外周部が引っかかることによるこすれ音の発生を防止している。
【0088】
上記突起部62c等の具体例として次のものを挙げることができる。
すなわち、トナー搬送スクリュー62の螺旋羽根62bそれ自身の外径を8mmに、突起部62cを図5、図6及び図7に示すように120度の中心角度間隔で3個設け、各突起部62cの高さを0.5mmに、従って螺旋羽根62bの該突起部62cを含む外径を9mmに設定し、筒状搬送路67(部分671)の内壁面とのクリアランスを0.2mmに設定し、従って筒状搬送路67の内径を9.4mmに設定する例を挙げることができる。
【0089】
ここで重要なのは、クリアランスの設定で、クリアランスが0になると搬送スクリュー62がロックしてしまうため、寸法ばらつきを考慮してできるだけ小さく設定するのが望ましい。前記B範囲の条件の場合、容器64内のU字断面の搬送路64аの長手方向範囲Aにおいては、搬送スクリュー62の螺旋羽根62bの外周を8mmに、U字搬送路の内径を9.4mmに設定する例を挙げることができる。
【0090】
このように、Bの搬送路では搬送スクリュー62とのクリアランスが0.2mmで、Aの搬送路では搬送スクリュー62とのクリアランスが0.7mmとなり、Bの搬送路で搬送スクリュー62の芯出しが行われるため、図5に示す入口64cの開口円の縁に搬送スクリュー62の螺旋外周部が当る寸法関係に無いため、回転時の異常音を防止できる。
なお、本発明は以上のような寸法関係に限定されるものではなく、Bの搬送路内の突起部を含む外径がAの搬送路内の螺旋部外径より大きい設計にすればよい。実験、実績等にて適正な寸法関係に設定すればよい。突起部62cの長手方向の位置であるが、Bの搬送路内でも、できるだけAに近い図5の入口64c近傍に設けることが望ましい。
【0091】
突起部62cの螺旋部62bの円周方向の配置についてさらに説明する。
筒状搬送路67の部分671が円筒形態であるため、図7のように突起部62cを螺旋部62bの円周方向3等分の位置に3箇所配置するのが理想で、このような配置にすることで搬送スクリュー62の芯出しができるが、搬送スクリュー62の金型の割り構成でほぼ突起部位置と突起部形状が決まる。従って、金型の割り構成で適正な数と形状に設定すればよく、突起部の数と角度間隔に特段の限定はない。
【0092】
図8はトナー搬送スクリュー62の他の例の一部の斜視図である。
図8のように搬送スクリュー62の長手方向ほぼ全域にわたって、螺旋部62bの外周部に突起部62cをあらかじめ定めた間隔で複数個設けてもよい。
【0093】
このように突起部62cを全体的に複数設けることで、たとえ個々の突起部62cのトナー搬送路側の形状が前記のように点接触可能なものでなくても、搬送スクリュー全体としては、A,B,C範囲のトナー搬送路の内壁面と突起部62cが点接触で摺動しやすくなり、螺旋部62bの外周とトナー搬送路との摺動抵抗を、これらが面接触する場合の摺動抵抗より低減でき、摺動時のこすれ音をそれだけ抑制することができる。また、摺動抵抗が低減することでトルク低減となり、結果として消費エネルギーの低減につながる。
【0094】
突起部の高さであるが、Bの範囲の突起部を含む外径をAの範囲の突起部を含む外径より大きくして、Bの範囲とAの範囲の突起部高さを変えることで、図5で説明した入口64cの開口円の縁に搬送スクリュー62の螺旋部62bの外周部がこすれる問題を解消できる。突起部は複数設ければよいが、数及び位置は前記のものに限定されない。突起形状については、トナー搬送路との接触抵抗を低減するうえで、トナー搬送路と接触する側の形状を既述のとおりトナー搬送路と点接触する形状としてもよく、例えば、突起部の稜線にR付けを行ってもよい。
【0095】
本発明に係るトナー搬送装置は中間転写ベルト7のクリーニング装置73から廃トナーを排出搬送すること等にも適用できる。
また、本発明は複写機、ファクシミリ機、複合機等の画像形成装置にも適用でき、カラー画像形成装置だけでなく、モノクロ画像形成装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置等において、例えば像担持体から転写残トナーを除去回収するクリーニング装置からトナーを排出搬送することに採用できるトナー搬送装置であって、簡単、安価に、耳障り音を抑制して運転できる等の利点を有するトナー搬送装置を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0097】
PR プリンタ
S 記録シート
1 感光体
2 帯電器
3 画像露光装置
4 現像装置
5 転写ローラ
6 クリーニング装置
61 クリーニングブレード
62 トナー搬送スクリュー
62а 軸部
62b 螺旋部
62c 突起部
63 容器開口
64 トナー容器
64 a トナー搬送路
64b 容器64のトナー搬送路64аの端
64c 筒状搬送路の入口
65 上流シール
66 サイドシール
67 筒状搬送路
671 搬送路67の部分
672 搬送路67の部分
67а トナー廃棄口
7 定着装置
TR タイミングローラ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送すべきトナーを収容するトナー容器と前記トナー容器に連設された筒状搬送路と、前記トナー容器内から前記筒状搬送路内へ延びて前記トナー容器内から前記筒状搬送路内へトナーを搬送するためのトナー搬送スクリューとを含んでおり、前記トナー搬送スクリューは、軸部と前記軸部に周設された螺旋部を含んでおり、前記軸部の、前記筒状搬送路とは反対側の端部が前記トナー容器に回転可能に片持ち支持されているトナー搬送装置であり、前記トナー搬送スクリューの前記螺旋部の前記筒状搬送路内に位置する部分は外周部に前記筒状搬送路の内壁面に接触摺動可能の突起部を有しており、前記トナー搬送スクリューの前記筒状搬送路内に位置する部分の螺旋部の前記突起部を含む外径は前記トナー搬送スクリューの前記トナー容器内に位置する部分の螺旋部の外径より大きいことを特徴とするトナー搬送装置。
【請求項2】
前記トナー搬送スクリューの前記螺旋部の前記筒状搬送路内に位置する部分の外周部の前記突起部は、少なくとも前記筒状搬送路内の筒状搬送路入口に隣り合う入口近傍部位において前記螺旋部の外周部に間隔をおいて複数個形成されている請求項1記のトナー搬送装置。
【請求項3】
前記トナー搬送スクリューの前記螺旋部の前記トナー容器内に位置する部分は前記トナー容器の内壁面と接触摺動可能の突起部を間隔をおいて複数個有しており、前記トナー搬送スクリューの前記筒状搬送路内に位置する部分の螺旋部の前記突起部を含む外径は前記トナー搬送スクリューの前記トナー容器内に位置する部分の螺旋部の前記突起部を含む外径より大きい請求項1又は2記載のトナー搬送装置。
【請求項4】
前記トナー搬送スクリューの前記螺旋部の前記筒状搬送路内に位置する部分は、トナー搬送スクリュー長手方向の全体にわたり、間隔をおいて前記突起部を複数個有しており、前記トナー搬送スクリューの前記螺旋部の前記トナー容器内に位置する部分は、トナー搬送スクリュー長手方向の全体にわたり、間隔をおいて複数個の前記突起部を有している請求項3記載のトナー搬送装置。
【請求項5】
前記トナー搬送スクリューの前記螺旋部の前記筒状搬送路内に位置する部分の外周部の前記突起部は前記筒状搬送路の内壁面に点接触摺動可能の突起部である請求項1から4のいずれか1項に記載のトナー搬送装置。
【請求項6】
前記トナー搬送スクリューの前記螺旋部の前記トナー容器内に位置する部分の外周部の前記突起部は前記トナー容器の内壁面に点接触摺動可能の突起部である請求項3又は4記載のトナー搬送装置。
【請求項7】
前記トナー搬送スクリューは、前記軸部と前記螺旋羽根とが一体的に形成されている合成樹脂製のトナー搬送スクリューである請求項1から6のいずれか1項に記載のトナー搬送装置。
【請求項8】
電子写真方式により像担持体上にトナー像を形成でき、前記トナー像を前記像担持体から被転写体に転写でき、前記転写後前記像担持体上に残留する転写残トナーをクリーニング装置で除去回収できる画像形成装置において少なくとも一つの前記クリーニング装置から回収トナーを排出搬送するトナー搬送装置である請求項1から7のいずれか1項に記載のトナー搬送装置。
【請求項9】
電子写真方式により像担持体上にトナー像を形成でき、前記トナー像を前記像担持体から被転写体に転写でき、前記転写後前記像担持体上に残留する転写残トナーをクリーニング装置で除去回収できる画像形成装置であり、少なくとも一つの前記クリーニング装置について、該クリーニング装置に回収されたトナーを該クリーニング装置から排出搬送するトナー搬送装置が設けられているとともに該トナー搬送装置は請求項1から7のいずれか1項に記載のトナー搬送装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記トナー搬送装置により回収トナーが排出搬送される前記クリーニング装置は前記像担持体から除去回収したトナーを受け入れ収納するトナー収納容器を含んでおり、該トナー収納容器は前記トナー搬送装置の搬送対象トナーを収容する前記トナー容器を兼ねている請求項9記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−53316(P2012−53316A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196372(P2010−196372)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】