説明

トナー補給装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】装置が大型化することなく、トナーの劣化を抑え、流動性の高いトナーを現像器に供給するトナー補給装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】中間ホッパー120は、トナーを貯留する貯留容器121と、貯留容器121内で回転してトナーを撹拌する第1及び第2撹拌部材123、124と、第1及び第2撹拌部材123、124により撹拌されたトナーを現像器14に供給するために回転する搬送部材122とを備える。更に、中間ホッパー120は、搬送部材122を回転駆動させるモータ150と、現像器14側の駆動部材によって回転駆動させられるジョイント130と、ジョイント130から第1及び第2撹拌部材123、124に回転駆動力を伝達する第3中間ギア135とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に備えられる現像器にトナーを供給するトナー補給装置及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、トナーを貯留するトナーコンテナから現像器にトナーを安定して供給する必要がある。近年、大量の印刷を迅速に行なうために、画像形成装置は高速化し、トナー消費量が増えている。トナーが消費され現像器内のトナーがなくなると、トナーが充填された新たなトナーコンテナに交換することになるが、高速の画像形成装置では、印字中にトナーコンテナを交換する必要が生じる場合もある。印字中にトナーコンテナを交換しても、画像形成を中断することがないようにしなくては、装置の操作性や印字効率が低下することになる。
【0003】
そこで、特許文献1では、トナーコンテナと現像器との間に中間ホッパーを設けている。トナーが無くなったトナーコンテナを中間ホッパーから取り外し、新たなトナーコンテナを中間ホッパーに装着して、トナーコンテナの交換中でも、中間ホッパーから現像器にトナーを供給することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−114798号公報(段落[0042]〜[0047]、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、トナーは中間ホッパー内で撹拌部材によって撹拌され、トナーを収容する現像容器の容量に対応した量のトナーが中間ホッパーから現像容器に補給される。画像形成が繰り返され、再度、現像容器内のトナーがなくなると、前回と同様に、撹拌されたトナーが中間ホッパーから現像容器に所定量だけ補給される。この補給を行なう毎に中間ホッパー内でトナーの撹拌を繰り返すと、トナー間で激しく擦れ、トナー表面の外添剤がトナー内に埋没し、または、外添剤がトナー表面から剥がれてしまうことになる。このように劣化したトナーを用いて現像を行なうと、画像濃度の低下や画像欠損等の画像不良が発生するという問題点があった。
【0006】
そこで、コンテナから中間ホッパーへトナーを補給する時に撹拌部材を適度に回転させ、トナーを均することが必要である。そのこととともに、中間ホッパーから現像器へのトナー補給時に撹拌部材を適度に回転させ、トナーの流動性を良くすることも必要である。この両方の課題を満たすには、トナー撹拌用モータとトナー補給用モータとを中間ホッパー内に設けてれば良いが、これでは中間ホッパーが大型化し、また中間ホッパーのコストが高くなるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、装置が大型化することなく、トナーの劣化を抑え、流動性の高いトナーを現像器に供給するトナー補給装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、トナーを貯留する貯留容器と、前記貯留容器内で回転してトナーを撹拌する撹拌部材と、前記撹拌部材により撹拌されたトナーを現像器に供給するために回転する搬送部材と、前記搬送部材を回転駆動させるモータと、現像器側の駆動部材によって回転駆動させられる連結部材と、前記連結部材から前記撹拌部材に回転駆動力を伝達する少なくとも一つの中間ギアとを備えることを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、撹拌部材と搬送部材は互いに独立して回転し、撹拌部材は現像器側の駆動部材によって回転駆動しトナーを撹拌する。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、前記モータからの回転駆動力を前記搬送部材に伝達する伝達軸が設けられ、前記中間ギアの何れか一つの回転軸は前記伝達軸と同軸となるように配置され、前記伝達軸の周りで自由回転することを特徴としている。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、前記モータの駆動出力軸にはウオームが固定され、前記伝達軸には前記ウオームと噛み合うウオームホイルが設けられることを特徴としている。
【0012】
また、請求項4に記載の発明では、前記搬送部材は、前記貯留容器に回転自在に支持される軸部と、前記軸部の周りに形成される螺旋羽根とを有し、前記伝達軸は前記搬送部材の軸部と同軸で一体に設けられることを特徴としている。
【0013】
また、請求項5に記載の発明では、上記の構成のトナー補給装置が搭載された画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、撹拌部材と搬送部材は互いに独立して回転駆動し、撹拌部材は現像器側の駆動部材によって回転しトナーを撹拌するので、現像器が作動するときにトナー撹拌が行なわれ、トナーの流動性は良くなる。また、トナー補給装置から現像器にトナーを補給する毎にトナー補給装置内のトナーを撹拌することがないので、過度な撹拌がなくなり、トナーの劣化が抑えられる。更に撹拌部材を回転駆動するモータ等の駆動部材を別途設ける必要がないのでトナー補給装置が小型になり、またトナー補給装置をコストダウンすることができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明によれば、伝達軸と少なくとも一つの中間ギアとの回転軸は同軸となるように配置され、中間ギアは伝達軸の周りで自由回転するので、ギア、伝達軸等の駆動機構が装置内に大きな容積を占有することがなく、装置が小型化する。
【0016】
また、請求項3に記載の発明によれば、搬送部材はウオームギアによって回転駆動されるので、装置内に大きな容積を占有することがなく、装置が小型化する。
【0017】
また、請求項4の発明によれば、伝達軸は搬送部材の軸部と同軸で一体に設けられるので、モータによる回転駆動力を搬送部材に確実に伝達することができ、トナー補給装置から現像器へのトナー供給量が安定する。
【0018】
また、請求項5に記載の発明によれば、装置が大型化することなく、トナーの劣化を抑え、流動性の高いトナーを現像器に供給するトナー補給装置を備える画像形成装置にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るトナー補給装置が搭載された画像形成装置の概略構成を示す図
【図2】本実施形態に係るトナー補給装置からトナーが補給される現像器の概略構成を示す側面断面図
【図3】本実施形態に係るトナー補給装置を示す側面断面図
【図4】本実施形態に係るトナー補給装置を示す斜視図
【図5】本実施形態に係るトナー補給装置の駆動機構部を示す斜視図
【図6】本実施形態に係るトナー補給装置の駆動機構部の要部を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明はこの実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係るトナー補給装置である中間ホッパーを搭載した画像形成装置の概略構成を示す図である。画像形成装置1は、その下部に配設された給紙部2と、この給紙部2の側方に配設された用紙搬送部3と、この用紙搬送部3の上方に配設された画像形成部4と、この画像形成部4よりも排出側に配設された定着部5と、画像形成部4及び定着部5の上方に配設された画像読取部6と、トナーコンテナ110及び中間ホッパー120とを備えている。
【0022】
給紙部2は、用紙9を収容する複数の給紙カセット7を備えており、給紙ローラ8の回転動作により、複数の給紙カセット7のうち選択された給紙カセット7から用紙9を1枚ずつ確実に用紙搬送部3に送り出す。
【0023】
用紙搬送部3に送られた用紙9は、用紙搬送経路10を経由して画像形成部4に向けて搬送される。画像形成部4は、電子写真プロセスによって、用紙9にトナー像を形成するものであり、図1の矢印方向に回転可能に軸支された感光体11と、この感光体11の周囲にその回転方向に沿って、帯電部12、露光部13、現像器14、転写部15、クリーニング部16、及び除電部17を備えている。
【0024】
帯電部12は、高電圧を印加される帯電ワイヤを備えており、この帯電ワイヤからのコロナ放電によって感光体11表面に所定電位を与えると、感光体11表面が一様に帯電させられる。そして、画像読取部6によって読み取られた原稿の画像データに基づく光が、露光部13により感光体11に照射されると、感光体11の表面電位が選択的に減衰され、感光体11表面に静電潜像が形成される。
【0025】
次いで、現像器14が感光体11表面の静電潜像を現像し、感光体11表面にトナー像が形成される。このトナー像が転写部15によって感光体11と転写部15との間に供給された用紙9に転写される。
【0026】
トナー像が転写された用紙9は、画像形成部4の用紙搬送方向の下流側に配置された定着部5に向けて搬送される。定着部5では、加熱部材18及び加圧ローラ19によって、用紙9が加熱加圧され、用紙9上にトナー像が溶融定着される。次いで、トナー像が定着された用紙9は、排出ローラ対20によって排出トレイ21上に排出される。
【0027】
転写部15による転写後、感光体11表面に残留しているトナーは、クリーニング部16により除去され、また感光体11表面の残留電荷は除電部17により除去される。そして、感光体11は帯電部12によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われる。
【0028】
画像形成が繰り返し行われると現像器14のトナーが消費される。現像器14にトナーを供給するために、現像器14の上方には、トナーコンテナ110及び中間ホッパー120が配設されている。トナーコンテナ110は未使用のトナーを貯留するものであり、中間ホッパー120は、トナーコンテナ110からトナーを受け取り、トナーを解して現像器14に供給する。
【0029】
次に、現像器について図2に基づいて説明する。図2は画像形成装置1に用いられる現像器14の概略構成を示す断面側面図である。
【0030】
現像器14は、一成分磁性トナーを収容する現像容器22と、このトナーを撹拌する撹拌スクリュー23、24と、現像ローラ27、及び規制部材28とを備えている。
【0031】
撹拌スクリュー23、24は、現像容器22内に回転可能に配設され、トナーを撹拌、循環させて、現像ローラ27に供給する。
【0032】
現像ローラ27は、固定磁石体25と現像スリーブ26とを備える。現像スリーブ26は、円筒状の非磁性材からなり、撹拌スクリュー24に隣接する位置で現像容器22に回転可能に支持される。固定磁石体25は、現像スリーブ26内に固設される永久磁石からなり、現像スリーブ26に向けて磁界を発生する。また、現像ローラ27は、現像容器22の開口から露出し、像担持体である感光体11に一定の間隔を隔てて対向している。この対向する領域は、現像スリーブ26上に担持されているトナーを感光体11に向けて供給するための現像領域Dとなっている。更に、現像スリーブ26には、トナーを感光体11に供給するために、直流に交流を重畳した現像バイアス29が印加される。
【0033】
規制部材28は、現像スリーブ26表面に担持されるトナーを所定の層厚に規制するものであり、現像スリーブ26の略上方で現像スリーブ26表面との間に所定間隔を隔てて、現像容器22に取り付けられる。
【0034】
現像スリーブ26内の固定磁石体25の磁力により、撹拌スクリュー24から供給されたトナーが現像スリーブ26表面に担持される。担持されたトナーは、規制部材28により所定の層厚に規制され、現像スリーブ26の回転(図2の矢印方向の回転)により、現像領域Dに向けて搬送される。現像スリーブ26に現像バイアス29が印加されることにより、現像領域Dにおいて現像スリーブ26と感光体11との間に電位差が発生し、現像スリーブ26上のトナーは感光体11に供給され、感光体11上の静電潜像はトナー像に現像される。
【0035】
現像容器22の上部には、トナー補給口95が設けられる。現像容器22内のトナーが消費され少なくなると、新しいトナーが中間ホッパー120(図1参照)からトナー補給口95を介して現像容器22内に供給される。更にトナー補給口95の近傍には、図示しない現像側ジョイントが設けられ、現像側ジョイントは後述する中間ホッパー120側のジョイントに係合し、中間ホッパー120側のジョイントを回転させる。
【0036】
次に、中間ホッパー120について図3に基づいて説明する。図3は現像器にトナーを供給する中間ホッパーとトナーコンテナの概略構成を示す断面側面図である。
【0037】
トナーコンテナ110は、未使用のトナーを貯留するコンテナ容器111と、補給口111aと、補給口111aの開閉状態を切り替えるシャッター部材114と、コンテナスクリュー112と、撹拌パドル113とを備える。また、トナーコンテナ110は中間ホッパー120に対して着脱自在に取り付けられる。
【0038】
補給口111aは、コンテナ容器111の底部で容器の長手方向の一端部に形成され、トナーを中間ホッパー120に供給する。
【0039】
撹拌パドル113は、撹拌パドル113の軸部から径方向の両側に延び、且つ容器の長手方向に展開されるパドル状の羽根であり、パドル状の羽根の回転によって、コンテナ容器111内のトナーを撹拌する。
【0040】
コンテナスクリュー112は、コンテナ容器111内の底部に設けられ、長手方向に一定のピッチで螺旋状に軸部の周りに形成され、補給口111aに対向している。コンテナスクリュー112が軸部の周りに回転すると、撹拌されたトナーが補給口111aに向かって搬送される。そして、補給口111aを塞いでいるシャッター部材114が補給口111aを開放すると、コンテナ容器111内のトナーは補給口111aを介して中間ホッパー120に供給されることになる。
【0041】
トナーコンテナ110から中間ホッパー120にトナーが供給され、コンテナ容器111内のトナーを使い切ると、そのトナーコンテナ110は中間ホッパー120から取り外され、トナーが充満した新たなトナーコンテナ110が中間ホッパー120に装着される。
【0042】
中間ホッパー120は、トナーを貯留するホッパー容器121と、受け入れ口121aと、送出口121bと、送出口121bの開閉状態を切り替えるシャッター部材127と、搬送部材122と、第1及び第2撹拌部材123、124、及びトナーセンサ128とを備える。
【0043】
受け入れ口121aはホッパー容器121の上部でトナーコンテナ110の補給口111aに対向する位置に形成される。
【0044】
送出口121bは、ホッパー容器121の底部で容器の長手方向の一端部に形成され、現像器14のトナー補給口95(図2参照)に対向する。
【0045】
搬送部材122は、軸部122aと螺旋羽根122bを有し、ホッパー容器121内の底部で送出口121bに対向して設けられる。軸部122aはホッパー容器121の両側壁に回転自在に支持され、螺旋羽根122bは軸部122aの周りに一定のピッチで螺旋状に形成される。螺旋羽根122bが軸部122a周りに回転すると、撹拌されたトナーは送出口121bに向かって搬送される。
【0046】
第1撹拌部材123は第1軸部123aと第1羽根123bを有する。第1軸部123aはホッパー容器121の両側壁に回転自在に支持され、第1羽根123bは第1軸部123aから径方向で片側に延びるが比較的に短く、且つ容器の長手方向に展開し、その先端部が屈曲したパドル状に形成される。第1羽根123bが軸部123a周りに回転すると、少量のトナーが撹拌される。
【0047】
第2撹拌部材124は第2軸部124aと第2羽根124bを有する。第2軸部124aはホッパー容器121の両側壁に回転自在に支持され、第2羽根124bは第2軸部124aから径方向で片側に延びるが比較的に長く、且つ容器の長手方向に展開し、その先端部が屈曲したパドル状に形成される。また、第2羽根124bは周方向において第1撹拌部材123の第1羽根123bの逆方向に屈曲している。第2羽根124bが軸部124a周りに回転すると、多量のトナーが撹拌される。尚、第1及び第2撹拌部材123、124及び搬送部材122の各軸部は図3の紙面の表裏方向に平行に配置される。
【0048】
第2撹拌部材124はホッパー容器121内で受け入れ口121aの略下側に配設されて、受け入れ口121aから第2撹拌部材124にトナーが落下することになる。そして、第2撹拌部材124は落下するトナーを撹拌して、撹拌したトナーを第1撹拌部材123側に搬送する。
【0049】
第1撹拌部材123は、第2撹拌部材124の右下側で対向して配設され、また、搬送部材122の略上側で搬送部材122に対向して配設される。第1撹拌部材123は第2撹拌部材124から搬送されたトナーを撹拌して、トナーは搬送部材122側に搬送される。
【0050】
シャッター部材127は送出口121bを開閉するものであり、常時、送出口121bを塞ぎ、ホッパー容器121から現像器14にトナーを供給するときに、容器の長手方向に移動して送出口121bを開放する。
【0051】
トナーセンサ128はホッパー容器121内のトナー量を検知するものであり、この検知結果に応じて、トナーコンテナ110から中間ホッパー120にトナーが供給される。トナーセンサ128はセンサ室121cに収納される。センサ室121cはホッパー容器121の、第1撹拌部材123の上側と第2撹拌部材124の右側との空間に形成され、ホッパー容器121から突出することなく配置される。
【0052】
図4は中間ホッパーの外観を示す斜視図である。中間ホッパー120は前述のようにホッパー容器121を備え、ホッパー容器121には、第1及び第2撹拌部材123、124(図3参照)を収納する撹拌部材収納部121dと、搬送部材122(図3参照)を収納する搬送部材収納部121eが形成される。搬送部材収納部121eにはトナーの送出口121bが形成される。搬送部材122が回転すると、ホッパー容器121内のトナーは搬送部材収納部121e内の図4の右側から左側に搬送され、送出口121bから現像器14(図2参照)に供給されることになる。
【0053】
このホッパー容器121の一側面には駆動機構部129が設けられる。駆動機構部129は、連結部材であるジョイント130を備え、更に、第1及び第2撹拌部材123、124と搬送部材122(図3参照)を回転駆動させる歯車等の駆動部材を備える。
【0054】
ジョイント130はホッパー容器121の下側で送出口121bの近傍に配設され、四方に延びる凸状部を有する。この凸状部が現像器14に設けた現像側ジョイントの例えば凹状部に係合すると、現像器14側のモータ等の回転駆動力がジョイント130に付与される。
【0055】
図5は駆動機構部129を示す斜視図であり、図6は駆動機構部129の要部を示す断面図である。尚、図5は駆動機構部129を収納する筐体を取り外した状態を図4の裏面側から見た図である。
【0056】
図5に示すように、駆動機構部129は、前述のジョイント130の他に、ギア列132〜135と、第1撹拌ギア136と、第2撹拌ギア138、モータ150と、モータ150に接続されるウオームギア151、152と、検出板161を備える。
【0057】
ギア列132〜135及び第1及び第2撹拌ギア136、138は、夫々平歯車からなり、ジョイント130の回転駆動力をギア132からギア135へ、更に第1及び第2撹拌ギア136、138へと順次伝達し、第1及び第2撹拌部材123、124を回転させる。
【0058】
第1撹拌ギア136は第1撹拌部材123(図3参照)に接続され第1撹拌部材123を回転駆動させる。つまり、第1撹拌部材123の軸部123aは、ホッパー容器121の側壁121fに回転自在に支持されるとともホッパー容器121の側壁121fから外側に突出して設けられており、第1撹拌ギア136はこの突出した軸部123aに一体に取り付けられる。
【0059】
第2撹拌ギア138は第2撹拌部材124(図3参照)に接続され第2撹拌部材124を回転駆動させる。つまり、第2撹拌部材124の軸部124aは、ホッパー容器121の側壁121fに回転自在に支持されるとともにホッパー容器121の側壁121fから外側に突出して設けられており、第2撹拌ギア138はこの突出した軸部124aに一体に取り付けられる。
【0060】
第1撹拌ギア136と第2撹拌ギア138との間にはアイドルギア137が設けられる。アイドルギア137は、ホッパー容器121の側壁121fに回転自在に設けられ、第1撹拌ギア136と第2撹拌ギア138の両方に噛合する。第1撹拌ギア136が回転するとアイドルギア137を介して第2撹拌ギア138は第1撹拌ギア136と同じ方向に回転する。これによって、第1及び第2撹拌部材123、124が回転しホッパー容器121内のトナーが撹拌される。
【0061】
第2撹拌ギア138の歯数は第1撹拌ギア136の歯数に対して多く設定され、第1及び第2撹拌ギア136、138が回転すると、第2撹拌部材124(図3参照)は比較的に低速で回転し、ホッパー容器121内の多量のトナーを緩やかに撹拌して、一方、第1撹拌部材123(図3参照)は比較的に高速で回転し、搬送部材122(図3参照)側へ搬送するための少量のトナーを迅速に撹拌することになる。
【0062】
ギア列132〜135のうち、ジョイントギア132はジョイント軸131に一体に設けられる。このジョイント軸131は図5の右側まで延び、ジョイント軸131の右端部には前述のジョイント130(図略、図4参照)が一体に設けられる。ジョイント130が回転するとジョイントギア132は回転駆動する。尚、ジョイントギア132とジョイント軸131及びジョイント130は一体で回転すればよく、ジョイントギア132とジョイント軸131及びジョイント130を樹脂で一体に成型してもよいし、またジョイント軸131とジョイント130を一体に形成してもよいし、またジョイントギア132とジョイント軸131を一体に形成してもよい。
【0063】
また、ギア列132〜135のうち、第1中間ギア133と第2中間ギア134は、同軸に並べて一体形成された二段ギアであり、ホッパー容器121の側壁121fに固設された固定軸139に回転自在に設けられる。第1中間ギア133はジョイントギア132に噛合し、第2中間ギア134は第3中間ギア135に噛合する。
【0064】
第3中間ギア135はホッパー容器121の側壁121fに形成した軸受けに回転自在に設けられ、第2中間ギア134に噛合するとともに第1撹拌ギア136にも噛合している。
【0065】
従って、現像器14側の回転駆動力がジョイント130に付与されると、ジョイント軸131が回転し、ジョイントギア132及び第1〜第3中間ギア133〜135を介して、第1及び第2撹拌ギア136、138が回転駆動し、これによって、第1及び第2撹拌部材123、124が回転しホッパー容器121内のトナーが撹拌される。
【0066】
搬送部材122(図3参照)の回転駆動はモータ150を駆動源として行なわれる。モータ150は、ウオームギア151、152を介して搬送部材122を回転駆動し、モータ150の軸をホッパー容器121の側壁121fに対して平行に固設される。モータ150の駆動出力軸にはウオーム151が固定され、ウオーム151は伝達軸153に設けたウオームホイル152に噛合して、伝達軸153は搬送部材122と同軸で一体に設けられることで、モータ150が回転駆動すると、搬送部材122は回転させられる。
【0067】
図6に示すように、伝達軸153は、筒状をなし、その外周面153bにウオームホイル152を一体に形成し、その内周面153aに搬送部材122の軸部122aを嵌装する。
【0068】
更に、伝達軸153の内周面153aには平坦面153cが形成され、一方、搬送部材122の軸部122aには、伝達軸153の内周面153aに対向する平坦面122cが形成される。これによって、伝達軸153が搬送部材122の軸部122aに嵌装されると、搬送部材122は伝達軸153と一体に回転することになる。尚、伝達軸153と搬送部材122の軸部122aを一体に形成し、ウオームホイル152を別部材とし、後でウオームホイル152を伝達軸153に一体に取り付けるように構成してもよい。また、搬送部材122の軸部122aと伝達軸153とウオームホイル152とを一体に形成するようにしてもよい。このように伝達軸153が搬送部材122の軸部122aと同軸に設けられ一体で回転するのであれば、ウオームホイル152と伝達軸153と搬送部材122の軸部122aは適宜一体に設ければよい。
【0069】
また、ホッパー容器121の側壁121fにはフランジ部が形成され、このフランジ部の内径側には内側軸受け面121iが形成され、また、フランジ部の外径側には外側軸受け面121hと、外側軸受け面121hの周上に直立する当接面121gとが形成される。
【0070】
側壁121fの外側軸受け面121hには前述の第3中間ギア135の軸受け孔135aが回転自在に嵌装される。更に、第3中間ギア135は側壁121fの当接面121gと係止筒154の当接面154aとに軸方向の両側を挟まれる。これによって、第3中間ギア135は軸方向に移動することなく回転するようにホッパー容器121の側壁121fに保持されることになる。尚、係止筒154は伝達軸153の外周面153bに固設されている。一方、側壁121fの内側軸受け面121iには伝達軸153の外周面153bが回転自在に嵌装される。
【0071】
従って、伝達軸153と第3中間ギア135は交差して配置されることになる。つまり、伝達軸153の軸芯と第3中間ギア135の回転軸とは同軸となるように配置され、第3中間ギア135は側壁121fの外側軸受け面121hに嵌合して伝達軸153の周りで回転する。一方、伝達軸153は第3中間ギア135の軸受け孔135a内で側壁121fの内側軸受け面121iに嵌合して回転する
【0072】
このような駆動機構部129の構成において、モータ150が回転駆動すると、モータ150のウオーム151と伝達軸153のウオームホイル152との噛合によって伝達軸153は減速回転し、伝達軸153と一体に設けた搬送部材122は回転し、そしてホッパー容器121内トナーは送出口121b(図3参照)に搬送される。
【0073】
また、伝達軸153の外周面153bには、周方向に複数の孔が形成された検出板161が固設される。この検出板161は図示しないフォトインターラプターとともに、搬送部材122の回転数を検出するものである。つまり、搬送部材122の回転にともない検出板161が回転するとき、フォトインターラプターから投光した光が検出板161の複数の孔を通過し、フォトインターラプターの受光素子がこの通過光を検知する。フォトインターラプターはこの検知した光のパルス数に基づいて搬送部材122の回転数を検出する。搬送部材122が回転しているときには、中間ホッパー120の送出口121bから現像器14にトナーが供給されているが、所定量のトナーを現像器14に供給するために、所定のトナー量に対応する回転数になると、フォトインターラプターのパルス信号に基づいて、モータ150の駆動を停止し、現像器14へのトナーの供給が完了する。
【0074】
上記実施形態によれば、中間ホッパー120は、トナーを貯留する貯留容器121と、貯留容器121内で回転してトナーを撹拌する第1及び第2撹拌部材123、124と、第1及び第2撹拌部材123、124により撹拌されたトナーを現像器14に供給するために回転する搬送部材122とを備える。更に、中間ホッパー120は、搬送部材122を回転駆動させるモータ150と、現像器14側の駆動部材によって回転駆動させられるジョイント130と、ジョイント130から第1及び第2撹拌部材123、124に回転駆動力を伝達する第3中間ギア135とを備える。
【0075】
この構成によると、第1及び第2撹拌部材123、124と搬送部材122は互いに独立して回転し、第1及び第2撹拌部材123、124は現像器14側の駆動部材によって回転駆動しトナーを撹拌するので、現像器14が作動するときにトナー撹拌が行なわれ、トナーの流動性は良くなる。
【0076】
また、この構成によると、中間ホッパー120から現像器14にトナーを補給する毎に中間ホッパー120内のトナーを撹拌することがないので、過度な撹拌がなくなり、トナーの劣化が抑えられる。
【0077】
また、この構成によると、トナーコンテナ110から中間ホッパー120へトナーを補給するとき、搬送部材122を駆動することなく中間ホッパー120内に補給されたトナーを撹拌することができる。
【0078】
また、この構成によると、第1及び第2撹拌部材123、124を回転駆動するモータ等の駆動部材を別途設ける必要がないので中間ホッパー120が小型になり、また、中間ホッパー120をコストダウンすることができる。
【0079】
また、この構成によると、搬送部材122と第1及び第2撹拌部材123、124とは互いに独立して回転駆動することで、第1及び第2撹拌部材123、124の回転負荷を受けることなく、搬送部材122は回転し、搬送部材122の回転が安定し中間ホッパー120から現像器14にトナーを安定して正確に供給することができる。
【0080】
また、上記実施形態によれば、モータ150からの回転駆動力を搬送部材122に伝達する伝達軸153が設けられ、この伝達軸153の軸芯と第3中間ギア135の回転軸とは同軸となるように配置され、第3中間ギア135は伝達軸153の周りで自由回転する。これによって、第3中間ギア135、伝達軸153等の駆動機構が装置内に大きな容積を占有することがなく、装置が小型化する。
【0081】
また、上記実施形態によれば、ジョイント130と第1及び第2撹拌部材123、124とを接続するギア列132〜135を備え、第3中間ギア135は複数の平歯車からなるギア列132〜135の一つの平歯車であり、モータ150の駆動出力軸にはウオーム151が固定され、伝達軸153にはウオームホイル152が設けられる。これによって、ジョイント130と第1及び第2撹拌部材123、124とに接続するギア列132〜135のギアの配置と数を適宜設定することで、第1及び第2撹拌部材123、124は貯留容器121内の撹拌効率の良い位置に配置することができる。また、搬送部材122はウオームギア151、152によって回転駆動されるので、装置内に大きな容積を占有することがなく、装置が小型化する。
【0082】
また、上記実施形態によれば、搬送部材122は回転自在な軸部122aとこの軸部122aの周りに形成される螺旋羽根122bとを有し、伝達軸153は搬送部材122の軸部122aと同軸で一体に設けられる。これによって、モータ150による回転駆動力を搬送部材122に確実に伝達することができ、中間ホッパー120から現像器14へのトナー供給量が安定する。
【0083】
尚、上記実施形態では、モノクロ用画像形成装置に搭載されるトナー補給装置に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、カラー複写機、またはカラープリンタ等の各色毎に対応するトナー補給装置を搭載した画像形成装置においても、各色毎の現像器側の駆動部材によって、各トナー補給装置の撹拌部材を適宜回転させるようにすることが可能であり、トナー補給装置内で過剰に撹拌されるのを防ぐことができる。
【0084】
また、上記実施形態では、トナー補給装置を中間ホッパー120に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、現像器14に対して着脱自在であり、貯留した新たなトナーを現像器14に直接補給するトナーコンテナ等のトナー補給装置に適用してもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、第1及び第2撹拌部材123、124を備える構成を示したが、本発明はこれに限らず、一つ、また三つ以上の撹拌部材を中間ホッパー120内に配置する構成にしてもよい。また、第1及び第2撹拌部材123、124はパドル状の羽根で形成される構成を示したが、本発明はこれに限らず、第1及び第2撹拌部材123、124は軸方向に螺旋状に延びる羽根で形成してもよい。この場合も上記と同様の効果を奏する。
【0086】
また、上記実施形態では、第1及び第2撹拌部材123、124を上下方向に対して傾斜するように配置する構成を示したが、本発明はこれに限らず、第1及び第2撹拌部材123、124を水平方向、または上下方向に並列するように配置してもよい。この場合も上記と同様の効果を奏する。
【0087】
また、上記実施形態では、ジョイント130の回転駆動力を第1及び第2撹拌ギア136、138へ伝達するためにギア列132〜135を配置する構成を示したが、本発明はこれに限らず、1枚のギアによってジョイント130の回転駆動力を第1及び第2撹拌ギア136、138へ伝達するように構成してもよいし、また、4枚以外の枚数でギア列を構成してもよい。この場合も上記実施形態と同様に撹拌部材と搬送部材は互いに独立して回転駆動し、上記と同様の効果を奏する。
【0088】
また、上記実施形態では、モータ150の軸にはウオーム151が設けられ、伝達軸153にはウオームホイル152が設けられる構成を示したが、本発明はこれに限らず、モータ150の軸と伝達軸153に夫々平歯車を設けて、モータ150の軸をホッパー容器121の側壁121fに対して直角に配置する構成にしてもよい。この場合も上記実施形態と同様に撹拌部材と搬送部材は互いに独立して回転駆動し、上記と同様の効果を奏する。
【0089】
また、上記実施形態では、伝達軸153は搬送部材122の軸部122aと同軸で一体に設けられる構成を示したが、本発明はこれに限らず、伝達軸にギアを設けて、また搬送部材122の軸部122aにギアを設けて、この二つのギアに中間ギアが噛合する構成にしてもよい。この場合も上記実施形態と同様に撹拌部材と搬送部材は互いに独立して回転駆動し、上記と同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に備えられる現像器にトナーを供給するトナー補給装置及びそれを備えた画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 画像形成装置
14 現像器
95 トナー補給口
110 トナーコンテナ
120 中間ホッパー(トナー補給装置)
121 ホッパー容器(貯留容器)
121a 受け入れ口
121b 送出口
121d 撹拌部材収納部
121e 搬送部材収納部
121f 側壁
121g 当接面
121h 外側軸受け面
121i 内側軸受け面
122 搬送部材
122a 軸部
122b 螺旋羽根
122c 平坦面
123 第1撹拌部材
123a 第1軸部
123b 第1羽根
124 第2撹拌部材
124a 第2軸部
124b 第2羽根
129 駆動機構部
130 ジョイント(連結部材)
131 ジョイント軸
132 ジョイントギア(ギア列)
133 第1中間ギア(ギア列)
134 第2中間ギア(ギア列)
135 第3中間ギア(中間ギア、ギア列)
136 第1撹拌ギア
137 アイドルギア
138 第2撹拌ギア
150 モータ
151 ウオーム
152 ウオームホイル
153 伝達軸
153a 内周面
153b 外周面
153c 平坦面
154 係止筒
154a 当接面
161 検出板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを貯留する貯留容器と、前記貯留容器内で回転してトナーを撹拌する撹拌部材と、前記撹拌部材により撹拌されたトナーを現像器に供給するために回転する搬送部材と、前記搬送部材を回転駆動させるモータと、現像器側の駆動部材によって回転駆動させられる連結部材と、前記連結部材から前記撹拌部材に回転駆動力を伝達する少なくとも一つの中間ギアとを備えるトナー補給装置。
【請求項2】
前記モータからの回転駆動力を前記搬送部材に伝達する伝達軸が設けられ、前記中間ギアの何れか一つの回転軸は前記伝達軸と同軸となるように配置され、前記伝達軸の周りで自由回転することを特徴とする請求項1に記載のトナー補給装置。
【請求項3】
前記モータの駆動出力軸にはウオームが固定され、前記伝達軸には前記ウオームと噛み合うウオームホイルが設けられることを特徴とする請求項2に記載のトナー補給装置。
【請求項4】
前記搬送部材は、前記貯留容器に回転自在に支持される軸部と、前記軸部の周りに形成される螺旋羽根とを有し、前記伝達軸は前記搬送部材の軸部と同軸で一体に設けられることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のトナー補給装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のトナー補給装置が搭載された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−197255(P2011−197255A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62600(P2010−62600)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】