説明

トマト抽出物の治療的使用

本発明は、血漿トリグリセリド濃度を下げるための薬剤の製造のための、実質的にリコペンを含まず、そして、実質的に水不溶性粒子状物質を含まない、水溶性トマト抽出物又はその活性フラクションの使用を提供する。本発明は、水溶性トマト抽出物の投与によって、患者の血中トリグリセリド濃度を下げる方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トマト抽出物の投与による血中脂質濃度の減少に関し、特に血中トリグリセリド濃度の減少に関する。
【背景技術】
【0002】
脂質は、様々な有機溶媒中で高溶解性であり、膜の構成要素としての機能を果たすこと、体内の燃料源としての機能を果たすこと、エネルギーを貯蔵する手段を提供することを含むいくつかの生物学的役割を有する水不溶性生体分子である。3種類の主要な型の膜脂質、すなわち、リン脂質、糖脂質及びコレステロールがあり、リン脂質及び糖脂質は通常は、一般に脂肪酸と称される長鎖カルボン酸を含有する。脂肪酸は、生体膜の形成における役割に加えて、細胞活動の燃料源としての機能も果たす。過剰な脂肪酸は、グリセロールのトリアシルエステル(トリグリセリド)として脂肪組織中の脂肪細胞の細胞質に蓄えられる。
【0003】
コレステロール、トリグリセリドなどの脂質は一般に、リポタンパク質の形で血漿中を循環する。血漿リポタンパクは、タンパク質と脂質の比率によって決定される密度を部分的に基準として、4つの主要な種類に分類できる。この4種類は、カイロミクロン、超低密度リポタンパク質(VLDL)、低密度リポタンパク質(LDL)及び高密度リポタンパク質(HDL)である。
【0004】
カイロミクロンは、タンパク質、リン脂質及び遊離コレステロールの被膜で囲まれた非極性脂質の中心部(大部分がトリグリセリド)を含む大きなリポタンパク質粒子である。カイロミクロンは、高分子量(10〜1010)を有し、通常は、脂質を含有する食事が吸収された後に、腸粘膜によって腸のリンパ系に分泌される。カイロミクロンからのトリグリセリドは、最終的には脂肪組織に蓄えられる。
【0005】
超低密度リポタンパク質(VLDL)は、主にトリグリセリドを含有するが、コレステロールも含有しており、通常は約5×10の分子量を有する。VLDLは、肝臓で分泌され、VLDLのトリグリセリド成分は、一部食事の炭水化物に由来する。カイロミクロンと同様に、VLDLトリグリセリドは、一般に脂肪組織に蓄えられる。
【0006】
高濃度のコレステロールを含有するVLDLのフラクションは、βVLDLと称されることが多い。
【0007】
低密度リポタンパク質(LDL)は、血漿コレステロールの大部分を含有する。LDLが高濃度である場合は、トリグリセリド濃度は比較的通常のままである一方、血漿コレステロール濃度は増加する。
【0008】
高密度リポタンパク質(HDL)は、他の種類のリポタンパク質より著しく小さく、通常は、その大部分がタンパク質及びリン脂質からなる。HDLの血漿濃度はアテローム性動脈硬化の危険性と反比例することが見出されたために、HDLは一般に有益なリポタンパク質と考えられている。
【0009】
リポタンパク質のタンパク質成分は、アポタンパク質として知られている。膜安定物質として機能することに加えて、アポタンパク質は、特定のリポタンパク質の合成及び分泌にも必要であり、リポタンパク質を修飾する酵素の活性化において補助因子の機能を果たし、リポタンパク質を循環から除去する特定の受容体と相互作用する。
【0010】
血中脂質の通常とは異なる濃度は、いくつかの病状及び症状と関連付けられる。血中脂質の通常とは異なる濃度を表すのに使用される総称である異脂肪血症は、血漿中で上昇した脂質の性質によって、通常遭遇する3種類に分類できる。3種類の一般的分類は、高コレステロール血症、複合型高脂血症及び高トリグリセリド血症であり、これらは更に電気泳動により表現型的に、I型、IIA型、IIB型、III型、IV型及びV型に分類できる。
【0011】
I型高脂血症は、カイロミクロン濃度の大幅な上昇、及び、結果としてトリグリセリド濃度の上昇によって特徴付けられる。I型高脂血症は通常は、リポタンパク質リパーゼの先天性欠損、又はリポタンパク質リパーゼの活性化に必要とされるアポリポタンパク質であるアポC−IIの先天性欠損に起因する。この型の高脂血症の臨床症状には、発疹状黄色腫及び膵臓炎が挙げられる。
【0012】
IIA型高脂血症は、LDLコレステロール濃度の上昇によって特徴付けられる。これの原因となる可能性のある遺伝的症状には、家族性高コレステロール血症、多遺伝子高コレステロール血症、家族性複合型高脂血症及び家族性アポリポタンパク質B−100欠損症が挙げられる。高コレステロール血症は、過剰な食事性コレステロール摂取による場合もあり、又は腎炎症候群、骨髄腫、甲状腺機能低下などの疾患及び障害の副次的作用の場合がある。高コレステロール血症を患っている個人は、心筋梗塞の高リスクを示し、早発性冠動脈心疾患進行の危険性が高い。
【0013】
IIB型高脂血症は、LDLコレステロール濃度及びトリグリセリド濃度両方の上昇によって特徴付けられる。家族性複合型高脂血症は、VLDL濃度及びLDL濃度の両方が上昇する、この障害の最も一般的な遺伝的形態である。この障害は、米国人口の約1〜2%に及び、研究によると、60歳前の心筋梗塞患者の約10%がこの疾患を有する家族出身であることが示されている。
【0014】
家族性異βリポタンパク血症としても知られるIII型高脂血症は、コレステロール濃度及びトリグリセリド濃度両方の上昇によって特徴付けられ、血液からトリグリセリドに富んだVLDLレムナント粒子を除去することが困難なことに起因する。この型の高脂血症の臨床症状には、結節状及び扁平黄色腫の発症が挙げられる。
【0015】
III型高脂血症は、早発性冠動脈心疾患と関連することも多い。
【0016】
高トリグリセリド血症としても知られるIV型高脂血症は、トリグリセリド濃度の上昇によって特徴付けられる。IV型高脂血症を有する個人は、通常トリグリセリド濃度が250〜500mg/dlである。高トリグリセリド血症は、遺伝に由来する場合があり、又は真性糖尿病、ネフローゼなどの疾患に起因する場合がある。更なる原因には、ある種の薬剤の作用、及び糖やアルコールの高摂取などの食事要因が挙げられる。
【0017】
V型高脂血症は、カイロミクロン及びVLDL濃度の上昇、ならびに結果として非常に高いトリグリセリド濃度によって特徴付けられる。大部分が脂肪分解障害及びVLDLの過剰産生によるこの型の高脂血症は、遺伝に由来する場合があり、又は真性糖尿病、肥満症又はアルコール消費量の結果生ずる可能性がある。臨床症状には、発疹状黄色腫及び膵臓炎が挙げられる。
【0018】
異脂肪血症の第2の形態は、真性糖尿病、甲状腺機能低下、ネフローゼ症候群、閉塞性肝疾患及びある種の薬剤の使用とも関連する。LDL濃度を増加させ、又は、HDL濃度を減少させる可能性がある薬剤として、プロゲスチン、アナボリックステロイド、副腎皮質ステロイド、β遮断剤などのある種の血圧降下薬及び利尿剤が挙げられる。内因性交感神経刺激作用(ISA)がないβ遮断剤は、HDL濃度を減少させ、トリグリセリド濃度を増加させる傾向がある。チアジド系及びループ利尿剤は、LDLの穏やかで、時には一過性の上昇の原因となる場合がある。経口避妊薬は、女性によっては高トリグリセリド血症の原因となる場合がある。
【0019】
心疾患の進行及びこの疾患と関連する死亡における、トリグリセリド濃度上昇の役割は、以前は幾分不明確であり、特にトリグリセリド濃度の上昇が原因なのか、又はそれが単に疾患の症状なのかが不明確であった。しかし、ここ数年間に亘り、トリグリセリド濃度の上昇は心疾患進行の危険性を上昇させる可能性があり、慢性心疾患を有する患者死亡率を上昇させる可能性がある証拠が明らかになってきた。
【0020】
例えば、Jeppesenらは、Circulation,1998;97:1029−1036において、虚血性心疾患の危険におけるトリグリセリド濃度の作用の調査について記述し、中年及び老年の白人男性において、トリグリセリド濃度の上昇は心臓発作を起こす危険性を増加させる可能性があることを明らかにした。Jeppesenの研究において、最も高いトリグリセリド濃度を有する男性は、最も低いトリグリセリド濃度を有する男性と比べて、心臓発作を起こす可能性が2倍以上であることが見出された。これについて可能性のある説明の1つは、高いトリグリセリド濃度が、LDLの大きさ、密度分布及び組成に影響を与え、それによって心臓発作を引き起こす血管閉塞を促進する可能性が高いより小さく密度の高いLDL粒子となる可能性があるということである。
【0021】
HaimらのCirculation、1999,100:475−482は、トリグリセリド濃度上昇と慢性冠動脈心疾患を有する患者の死亡との関連性について報告した。この研究において、Haimらは心疾患を有する11,532人の患者の血中脂質濃度と死亡との関連性を調査し、とりわけトリグリセリド濃度上昇は、高HDLコレステロールの患者の死亡危険の増加と関連性があることを結論付けた。
【0022】
米国国立保健研究所(NIH)の一部である国立心肺血液研究所(NHLBI)は、血中トリグリセリド濃度を以下のように分類した。
【0023】
【表1】

【0024】
全米コレステロール教育プログラム(NCEP)の2001年改正済ガイドラインでは、トリグリセリド濃度の上昇によりもたらされる健康上のリスクについて十分に問題にしており、高境界値のトリグリセリド濃度の場合であっても、治療することを推奨している。
【0025】
果物及び野菜を大量に摂取することは、疾患の危険が減少する可能性がある重要な予防策であることは知られている。疾患の発症及び進行に関わる1つの要因は、異常な酸化過程が起こり、ヒドロキシ及びペルオキシ遊離基又は化合物が発生することである。部分的には、果物及び野菜を食べることの有益な効果は、その中に含まれる酸化反応を抑制する抗酸化物質によって説明される。抑制の原因となると知られている特定の抗酸化物質として、ビタミンC、ビタミンE、ならびにα及びβカロテノイド、リコペン、ルテイン、ゼアンチン、クリプトキサンチン、キサントフィルを含めたカロテノイドが挙げられる。
【0026】
疾患予防に関与するトマト由来の栄養化合物の同定に多大な努力が払われてきた。このような化合物は、AbushitaらのFood Chemistry,1997,60(2),207−212に開示されており、ここではトマトのカロテノイド抽出物が分別され、主要成分がリコペン、βカロテン及びルテインであると同定された。トマトの研究は、低密度リポタンパク質(LDL)の酸化に対する抗酸化防御におけるカロテノイド、特にリコペンの役割について集中してきた。
【0027】
国際特許出願公開第99/55350号、及び欧州特許第1334728号では、本出願人等は、血小板凝集の抑制物質としてのトマトの水溶性抽出物の使用について開示した。
【0028】
米国特許第5,502,038号(Medical Research Foundation of Oregon)には、コレステロール吸収を阻害し、高コレステロール血症の治療に有用な、ネオチゴゲニンアグリコン部分を含有する様々なグリコシドの単離、合成及び使用について記載されている。対象とする特定化合物は、トマトの種由来であり、三糖のネオチゴゲニンを含む。しかし、米国特許第5,502,038号に記載されているグリコシドは、水に不溶性又は微溶性のように思われる。例えば、化合物である四糖のフロスタンが、乾燥したトマトの種の微粉化によってトマトの種から単離され、その後メタノールにより多回抽出された。クロマトグラフィーに次いで、β−グルコシダーゼによる処理で四糖のフロスタンは、三糖のネオチゴゲニルに変換され、水不溶性の生成物となった。
【0029】
中国特許出願公開第1352941A号(Ji Jianjun)には、血管を柔らかくするために使用することができ、心血管疾患、脳血管疾患及び癌を予防することができるトマトの種の抽出物を含むリノール酸カプセルが開示されている。
【0030】
中国特許出願公開第1650951A号(Ningbo Jianyong Biolog. Science)には、トマト抽出物及びダイズ油から調製したリコペン混合物を動脈硬化症、心筋梗塞及び慢性心疾患を予防するために使用できることが開示されている。
【0031】
FriedmanらのJournal of Food Science,Vol.65,pp897−900には、赤又は緑のトマトをハムスターに与えると、血漿の低密度リポタンパク質、コレステロール及びトリグリセリド濃度が下がることを開示されている。この論文は、トマチン(緑のトマトにおける)、リコペン(赤いトマトにおける)、トマト繊維、タンパク質などの赤及び緑のトマトの様々な成分のコレステロール濃度を減少させる能力に焦点を当てているが、トマトの様々な個々の成分のトリグリセリド濃度への作用については何の情報も含んでいない。この論文は、ハムスターへの作用がヒトにおいても引き起こされるかどうかの評価を行うことは有益であろうと結論付けている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
実質的にリコペン及び不溶性繊維を含まない赤いトマトの水溶性抽出物は、トリグリセリドの血漿濃度を減少させることが今や予想外に見出された。従って、これまでに得た結果は、このような抽出物を含有する薬剤は、トリグリセリド濃度の高い血中濃度に起因し若しくは悪化する疾患又は症状の治療及び予防に有用であり得ることを示す。
【課題を解決するための手段】
【0033】
従って、第1の態様では、本発明は、血漿トリグリセリド濃度を下げるための薬剤の製造のための、実質的にリコペンを含まず、そして、実質的に水不溶性粒子状物質を含まない水溶性トマト抽出物又はその活性フラクションの使用を提供する。
【0034】
本発明のトマト抽出物は、熟した、すなわち赤いトマトからの水様抽出物であり、水溶性である。本明細書で使用された用語「水溶性」は、トマト抽出物が、室温、例えば25℃で可溶性であることを意味する。抽出物は、かなりより低い温度で、例えば4℃の低温で水溶性であることも知見された。
【0035】
この抽出物は、0又は無視できる濃度のリコペンを含有する。例えば、この抽出物は、0.5重量(乾燥重量)%未満のリコペンを含有し、例えば、0.1重量%未満、又は0.05重量%未満、又は0.01重量%未満、又は0.005重量%未満、又は0.001重量%未満、又は0.0005重量%未満、又は0.0001重量(乾燥重量)%未満のリコペンを含有する。
【0036】
この抽出物は、通常、0又は無視できる濃度のトマチンを含有する。例えば、この抽出物は、0.5重量(乾燥重量)%未満のトマチンを含有し、例えば、0.1重量%未満、又は0.05重量%未満、又は0.01重量%未満、又は0.005重量%未満、又は0.001重量%未満、又は0.0005重量%未満、又は0.0001重量(乾燥重量)%未満のトマチンを含有する。
【0037】
この抽出物は、実質的に水不溶性粒子状物質を含まない。従って、例えば、この抽出物は、0.5重量(乾燥重量)%未満の水不溶性粒子状物質を含有し、例えば、0.1重量%未満、又は0.05重量%未満、又は0.01重量%未満、又は0.005重量%未満、又は0.001重量%未満、又は0.0005重量%未満、又は0.0001重量(乾燥重量)%未満の水不溶性粒子状物質を含有する。一実施形態では、この抽出物は、水不溶性粒子状物質をまったく含有していない。
【0038】
本明細書で使用する場合「活性フラクション」という用語は、トマト抽出物から単離されたフラクションを示し、このフラクションはトリグリセリドの血中濃度を減少させる能力を有する。
【0039】
本発明はまた、下記をも提供するものである:
・血漿トリグリセリド濃度を下げる際に使用する、実質的にリコペンを含まず、そして、実質的に水不溶性粒子状物質を含まない、水溶性トマト抽出物又はその活性フラクション。
・血漿トリグリセリド濃度を下げる際に使用する、実質的にリコペンを含まず、そして、実質的に水不溶性粒子状物質を含まない、水溶性トマト抽出物又はその活性フラクションを含む組成物。
・患者の血中トリグリセリド濃度を下げる方法であって、患者に、実質的にリコペンを含まず、そして、実質的に水不溶性粒子状物質を含まない、水溶性トマト抽出物又はその活性フラクションの、トリグリセリドを下げる有効量を投与することを含むところの方法。
【0040】
「有効量」とは、患者に治療効果を与える量をいう。治療効果は、客観的(すなわち、何らかの試験又はマーカーで測定できる)な場合もあり、又は主観的(すなわち、患者が効果のある兆候を示す又は感じる)な場合もある。
【0041】
本発明の更なる態様及び実施形態は、下記及び本明細書に添付の特許請求の範囲に記載した通りである。
【0042】
本発明の組成物は、トリグリセリド濃度上昇に起因する病状及び症状の予防又は治療に使用可能である。従って、例えば、この組成物は、冠動脈心疾患の発症を予防若しくは遅らせ、冠動脈心疾患を軽減し、冠動脈心疾患を患う患者の死亡を防止若しくは減少させる目的で投与可能である。この組成物は、高トリグリセリド血症の予防若しくは治療、又はトリグリセリド濃度上昇に起因する可能性がある肥満症、発疹状黄色腫、膵臓炎などの症状の治療若しくは予防にも使用可能である。
【0043】
この組成物を与えてもよい患者集団には、冠動脈心疾患、真性糖尿病、甲状腺機能低下、ネフローゼ症候群、閉塞性肝疾患及び肥満症を患っている患者が含まれる。
【0044】
本発明の抽出物、活性フラクション及び薬剤を投与する患者は、通常はヒト患者である。
【0045】
抽出物の調製及び特徴付け
本発明は、トマトの水様抽出物を利用する。
【0046】
このような抽出物は、皮つき又は皮なしでトマトの果肉をホモジナイズし、次いでホモジネートを濾過して、固体を除去することにより調製される。実質的に全ての水不溶性固体が、例えば遠心分離及び/又は濾過によって除去される。
【0047】
あるいは、市販のトマトペーストを、抽出物の調製のための出発物質として使用してもよい。トマトペーストは通常、水で希釈され、次いで、例えば、遠心分離及び/又は濾過によって水不溶性固体が除去され、実質的に澄明な液となる。
【0048】
いずれの場合にも、固体を除去することはリコペンを含有する皮の断片を除去する効果を有する。従って、本発明のトマト抽出物は、実質的にリコペンを含まない水溶性抽出物である。
【0049】
水性濾液を、更に分別して、脂質減少作用に関与する1種又は複数の化合物を含有する活性フラクションを得てもよい。また、濾液を蒸発させて、乾燥した水溶性抽出物を得てもよい。
【0050】
本発明の一実施形態では、水溶性抽出物は水溶液状である。
【0051】
他の実施形態では、水溶性トマト抽出物は、乾燥(例えば、脱水状態)状態である。
【0052】
トマトホモジネートの濾過は、一段式で行い、又は、トマトの皮の大きい粒子及び/又はトマトの果肉の他の水不溶性断片を除去するための、比較的粗濾過又は遠心分離ステップから始める一連の濾過ステップにより行ってもよい。次いで、更なる濾過ステップを行って、実質的に澄明な液、例えば、固体を失わずに0.2μフィルターを透過する溶液を得てもよい。
【0053】
従って、本発明の好ましい一実施形態では、トマト抽出物は、実質的にリコペンを含まず、固体を失わずに0.2μフィルターを透過できる水溶性抽出物である。
【0054】
抽出物の調製のための出発物質がトマトペーストである場合、これは、「ホットブレイク」処理よりも「コールドブレイク」処理により製造されたものであることが好ましい。「コールドブレイク」及び「ホットブレイク」という用語は、トマト加工の分野では周知であり、市販のトマトペーストは通常、ホットブレイク処理又はコールドブレイク処理されたペーストとして販売されている。コールドブレイク処理されたペーストは、ホモジナイズしたトマトを約95℃の温度で熱処理にかけるところのホットブレイク処理がなされたペーストとは対照的に、トマトのホモジナイゼーションし、次いで、トマトを約60℃以下の温度で加熱する熱加工ステップを含む処理によって調製することができる(例えば、AnthonらのJ. Agric. Food Chem.2002,50,6153−6159参照)。
【0055】
製剤及び栄養補助食品配合物
抽出物又はその活性フラクションは、経口投与のために配合してもよい。それ自体として、これらは例えば、溶剤、懸濁剤、シロップ剤、錠剤、カプセル剤、トローチ剤及びスナックバー、挿入剤及び貼付剤として配合できる。このような配合物は、それ自体が周知の方法によって調製することができる。
【0056】
例えば、抽出物又は活性フラクションは、糖、ビタミン、香料添加剤、着色剤、保存料、増粘剤から選択される1種又は複数の賦形剤がある状態で、経口投与のためにシロップ剤又は他の溶剤、例えばドリンク剤に形成できる。
【0057】
塩化ナトリウム、糖などの等張化剤を加えて、特定の浸透力を有する溶剤、例えば、等張液を得ることができる。緩衝剤などの1種又は複数のpH調整剤も、pHを特定の値に調製し、好ましくはその値を維持するために使用できる。緩衝剤の例として、クエン酸ナトリウム/クエン酸緩衝液及びリン酸緩衝液が挙げられる。
【0058】
あるいは、抽出物又はその活性フラクションを、例えば、噴霧乾燥又は凍結乾燥によって乾燥でき、乾燥生成物は、固体又は半固体の剤形、例えば錠剤、トローチ剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤又はゲル剤として配合できる。
【0059】
また、追加の成分を何ら加えることなく、単純な乾燥抽出物を調製できる。あるいは、乾燥抽出物は、固体支持体;例えば、スクロース、ラクトース、グルコース、フルクトース、マンノースなどの糖、若しくはキシリトール、ソルビトール、マンニトールなどの糖アルコール;又はセルロース誘導体に吸着させることにより調製できる。他の特に有用な吸着剤として、穀粉、例えばコムギ粉及びコーンフラワーなどのデンプンを主成分とした吸着剤が挙げられる。錠剤配合のために、乾燥抽出物は、通常、糖、例えばスクロース及びラクトース;キシリトール、ソルビトール、マンニトールなどの糖アルコール;粉末セルロース、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースなどの変性セルロース又はセルロース誘導体などの希釈剤と混合される。錠剤は、通常、造粒剤、結合剤、滑沢剤及び崩壊剤から選択される1種又は複数の賦形剤も含有する場合もある。崩壊剤の例として、デンプン及びデンプン誘導体、ならびに他の膨潤性ポリマー、例えば架橋カルボキシメチルセルロース、架橋ポリビニルピロリドン、グリコール酸デンプンなどの架橋ポリマー崩壊剤が挙げられる。滑沢剤の例として、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などのステアレートが挙げられる。結合剤及び造粒剤の例として、ポリビニルピロリドンが挙げられる。希釈剤が自然にあまり甘くない場合は、甘味料、例えばグリチルリジン酸アンモニウム又はアスパルテーム、サッカリン酸ナトリウムなどの人工甘味料を加えることができる。
【0060】
乾燥抽出物は、カプセルに組み込むために、散剤、顆粒剤又は半固体として配合してもよい。散剤の形態で使用する場合には、抽出物は、錠剤に関して上述した任意の1種又は複数の賦形剤と共に配合してもよく、又は、無希釈の形態としてもよい。半固体の形態で提供するために、乾燥抽出物は、ポリエチレングリコールなどの粘稠液体若しくは半固体媒体、又はグリコール、例えば、プロピレングリコール、グリセロール、又は野菜油若しくは魚油、例えばオリーブ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、月見草油、ダイズ油、タラ肝油、ニシン油などから選択される油などの液体担体中に溶解又は懸濁させてもよい。このような抽出物は、ハードゼラチン若しくはソフトゼラチンタイプのカプセル、又はハード若しくはソフトゼラチン同等物から作製したカプセルに充填してもよいが、ソフトゼラチン若しくはゼラチン同等物のカプセルが粘稠液体又は半固体充填物のために好ましい。
【0061】
乾燥抽出物は、例えば、果物バー、ナッツバー、シリアルバーなどのスナック食品バーに組み込むための粉末形態でも提供してもよい。スナック食品バーの形態で提供するために、乾燥抽出物は、日干しトマト、干しブドウ、スルタナなどの乾燥果物、ラッカセイ、又はカラスムギ、コムギなどの穀類から選択される任意の1種又は複数の成分と混合してもよい。
【0062】
乾燥抽出物は、溶液にもどすために、粉末形態で提供してもよい。それ自体として、乾燥抽出物は、糖;クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液などの緩衝剤;炭酸塩、例えば重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウムなどの重炭酸塩から形成される発泡剤;及び例えばクエン酸、酸クエン酸塩(acid citrate salt)などの固体酸などの可溶性の賦形剤も含有してもよい。
【0063】
好ましい一実施形態では、乾燥抽出物は、カプセル、例えば、ハードゼラチンカプセルに組み込むために、好ましい固体(例えば、粉末)賦形剤と任意選択で併せて、粉末形態で提供される。
【0064】
本発明の固体又は半固体剤形は、約1000mgまで、例えば、約800mgまでの乾燥抽出物を含有してもよい。
【0065】
抽出物は、食品サプリメント若しくは食品添加物として提供してもよく、又は、食品、例えば機能性食品又は栄養補助食品に組み込んでもよい。
【0066】
本発明の組成物は、特定された濃度の抽出物又はその活性フラクションを含有する単位剤形の形態で提供してもよい。このような単位剤形は、所望の程度の生物活性を達成するために選択することができる。例えば単位剤形は、抽出物又は活性フラクションの1000mg(乾燥重量)までの量、より典型的には、800mgまでの量、例えば50mg〜800mg、例えば100mg〜500mgの量を含有してもよい。単位剤形に含まれてもよい抽出物又は活性フラクションの特定量は、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg及び800mgから選択できる。
【0067】
本発明の組成物は、投与説明書と共に、容器、パック又はディスペンサー内に含めてもよい。
【0068】
製薬学的用途
関係する病患及び症状の治療のために、患者に1日当たり投与される抽出物又は活性フラクションの量は、抽出物の強さ、治療中の特定の症状又は疾患とその重症度によって決定され、最終的には医師の判断により決定される。しかしながら、投与される量は通常、問題の症状を治療するのに効果的な非毒性量である。
【0069】
患者に投与される抽出物又は活性フラクションの量は通常、抽出物中の有効成分濃度又は成分によって変動する。しかしながら、高脂血症が媒介する疾患を患っているヒト患者のための通常の1日投与量の投薬計画は、体重1キログラム当たり0.0001〜0.1グラム、好ましくは0.001〜0.05グラムでよい。活性フラクションが単離され投与される場合、投与される固形物の量を、フラクションの純度の増加と一致する量だけ減少させることができる。通常は、トリグリセリド濃度上昇を患っているヒト患者への1日当たりの抽出物の、少なくとも100mg(乾燥重量又は乾燥重量当量)、好ましくは少なくとも200mg、更に通常は少なくとも500mgの投与により、血中トリグリセリド濃度を著しく減少させる。
【0070】
組成物は、1日当たりに、単一又は複数の投与単位、例えば1日1回〜4回、好ましくは1日1回又は2回投与してもよい。
【0071】
本発明の抽出物は、固体、液体又は半固体の形態で投与してもよい。抽出物は、例えばトマトジュース若しくはその濃縮物のみの形態で、又はオレンジジュースなどの他の果汁と混合した形態で投与してもよい。
【0072】
本発明の組成物は、トリグリセリド濃度の減少作用を有する。それ自体として、本発明の組成物は、トリグリセリド濃度の上昇が関与する症状及び障害の治療に有用である。このような症状及び障害は上述した通りである。
【0073】
これらには限定されないが、下記の実施例により、及び添付図面を参照して、本発明をここで例示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
【実施例1】
【0075】
トマト抽出物の調製
本発明の治療方法に使用するためのトマト抽出物は、出発物質として0.350AU未満の褐変指標(420nmでの可溶性固形物12.5g/Lの濃度の溶液の吸光度)を有する28〜30°ブリックス(すなわち28〜30%固体、w/w)の市販の、コールドブレイク処理されたトマトペーストを使用して調製した。ペーストを超純水で希釈し(1:5)、大きい粒子状物質を遠心濾過により除去した後、室温でWestfalia MSB−14Separator(遠心ディスク清澄器)を使用して清澄を行った。次いで、より小さい粒子状物質を、45℃を超えない温度で精密濾過により除去し、不溶性の遠心沈殿した固体を含有せず、可溶性固形物を失わずに0.2μフィルターを透過できる澄んだ淡黄色の溶液を得た。この溶液を、非酵素的褐変反応の進行を制限するために注意深く制御した条件及び50℃を超えない温度を用いて、蒸発により65°ブリックスのシロップに濃縮した。蒸発手順開始時に、瞬間殺菌ステップ(T=105℃、3秒間)を組み込んだ。最終生成物は、0.600AU未満の褐変指標及び1000未満の細菌の総平板計数により特徴付けられた。
【0076】
以下に述べるヒト研究の間に投与するために、濃縮抽出物をオレンジジュースマトリックスに加えた。
【0077】
研究プロトコルの概要
無作為クロスオーバーパイロット試験を、図1に示すプロトコルに従って行った。このパイロット研究の目的は、プラセボと比較して、本発明のトマト抽出物を含有するオレンジジュースの常習的消費の、様々な血液学的パラメーターへの効果を試験することであった。
【0078】
対象とする1つのパラメーターは、血中脂質の組成であった。多くの一連の証拠は、LDLコレステロールと心血管疾患発病率との直接的関係を支持している。これは、母集団内研究(例えば、Framingham)及び母集団間研究(すなわち、7カ国)を含む。高濃度のLDLコレステロールによって特徴付けられる遺伝性疾患である家族性高コレステロール血症は、非常に高い早発性アテローム性動脈硬化の発病率を有する。自然発症及び食餌誘発性の高コレステロール血症の両方を有する動物は、ヒトのアテローム性動脈硬化に似た病変が進行する。
【0079】
この介入研究において、様々な血漿脂質の種類、すなわちコレステロール、高密度リポタンパク質(HDL)、低密度リポタンパク質(LDL)及びトリグリセリドの濃度を、この試験を通して個々の脂質プロフィールのいかなる変化も定量化できるようにモニターした。血液のいくつかの細胞成分の膜リン脂質組成もモニターした。
【0080】
試験の設計は各個人がプラセボ対照となり得るように行った(図1)。健康状態を確認する当初選別の後、22人がRowett Research Institute(Bucksburn、Aberdeen、United Kingdom)のHuman Nutrition Unit(HNU)に、6週間に亘り2週間に1回参加するように要請された。二重盲検を行うために、被験者は2グループに無作為に割り付けられ、下記のように介入1及び介入2を受けた。
【0081】
・グループ1:4週間の介入1(抽出物で強化した機能性飲料)の後、2週間の介入2(プラセボ)
・グループ2:2週間の介入2(プラセボ)の後、4週間の介入1(抽出物で強化した機能性飲料)
【0082】
強化された機能性飲料は、有効成分を有する上述した濃縮物6g及び7.2gの糖を、0.15%の香味料を含有する濃縮物からのオレンジジュース200mL中で混合することにより調製した。
【0083】
プラセボは、0.15%の香味料を含有し生理活性成分を含有しないオレンジジュース200mL中に糖10.8gを混合することにより作製された。両方の飲料を瓶詰めし、低温殺菌した。日中携帯する1瓶は、1日用量を含んでいた。
【0084】
被験者らは、介入の初日早朝にHNUに行き、そこで約40mLのベースラインとなる空腹時血液試料を提供した。各被験者のベースラインの血漿脂質プロフィールを得るために、この試料を使用した。次いで、被験者は無作為に割り付けられた強化されたオレンジジュース又はプラセボのオレンジジュースを与えられ、家に持ち帰り、毎日規定時間に飲んだ。被験者らは、2週間後にHNUに行き、また空腹時血液試料を提供し、その後6週間の研究の間、再び2週間に一度同じ事を行った。介入期間に亘って、トマト容量当量は、トマト2個/1日までであった。血漿脂質及び赤血球リン脂質の組成の測定を各時点で行い、強化されたオレンジジュースの常習的消費のこれらのパラメーターに対する効果を調べた。
【0085】
志願者らは「過剰な」量のトマト、トマトジュース又は他のトマト製品(「規定食の食品リスト」に記載された通りに)の消費を控えるよう、及び補給時期の日記をつけるように依頼された。それ以外の食事制限は行わなかった。
【0086】
脂質測定は、EDTA抗凝固処理血漿に対してKone Autoanalyserを使用して行った。血漿コレステロール、HDL−コレステロール及びトリグリセリドを定量化した。血漿LDL−コレステロールは、引き算(LDL−コレステロール=総コレステロール−HDL−コレステロール)により計算した。血小板/赤血球リン脂質の組成は、修正Bligh and Dyer法による抽出の後にGC−MSによって測定した(結果は示さない)。
【0087】
結果概要
血漿脂質測定
第1表及び第2表は、それぞれグループ1及びグループ2の被験者の、各サンプリング時点での定量化した脂質(mmol/L)及びベースラインの脂質の状態からの%変化(Δ%)を示す。これらの表では、異なる補給計画が、B(ベースライン、すなわち治療前の試料)、C(対照治療)及びE(El=2週間時点における抽出物で強化された治療、E2=4週間時点における抽出物で強化された治療)として示されている。
【0088】
【表2】

【0089】
【表3】

【0090】
16セットの全データを試験に募集した22人の被験者から得た。第3表は無作為化された被験者グループ1及び2のベースライン血漿脂質状態を要約する。グループ1及びグループ2はベースラインとして同様の血漿脂質プロフィールを有することが判る。全体的に、血漿脂質濃度は、総コレステロール(Chol)が5mmol/L超で現在の保健省の推奨より高かった。更に、コレステロール:HDL−コレステロール比(Chol:HDL)は、両グループとも4超であった。
【0091】
【表4】

【0092】
下記の総括表(第4表)は、治療(E)及び対照(C)の補給期間の総血漿コレステロール、HDL−コレステロール及びトリグリセリドについて、グループ1及びグループ2のベースライン値から観察される変化を示す。これを図2においてグラフで示す。抽出物及び対照による治療の間で、総コレステロール又はHDL−コレステロールの差異は見られなかった。しかし、対照と比較して、抽出物治療の後で血漿トリグリセリドは両グループで減少した(第4表及び図2参照)。
【0093】
【表5】

【0094】
このデータは、トマト抽出物で強化されたオレンジジュースの常習的消費が血漿トリグリセリド濃度の減少をもたらすことができることを示す。強化されたオレンジジュースに対して最高の反応を個人として示した被験者は、最も高いベースラインのトリグリセリド:HDL−コレステロール比を有する者の中にいたことが観察された(第1表、第2表及び第3表参照)。
【0095】
トリグリセリドは、食物由来の脂肪であり、又は体により作られ、体脂肪組織の約95%を占める。主要なトリグリセリドを含有するリポタンパク質は、超低密度リポタンパク質(VLDL)と呼ばれる。トリグリセリド(又はVLDL)の高血漿濃度は、心疾患の危険増加と関連がある。トリグリセリドとHDL−コレステロールの比は、ある集団(男性、糖尿病患者、高血圧患者)における心臓発作の強力な予測の判断材料となる可能性があり、トリグリセリドと他の血中脂質との複雑な代謝の相互作用を示している。高トリグリセリドは、脂肪分解酵素の作用を減少させ、高濃度のVLDL及び低濃度のHDLとなる可能性がある。
【0096】
被験者の異なるベースライン脂質状態及び研究期間の被験者の自由な食事(食事制限なし)の両方を反映して、測定間に観察された差異は大きかった。それにより個人が反応の異なるパターンを示したため、トリグリセリドについて観察される効果の開始と持続は、まだ結論付けられない。あるヒト(例えば、被験者14)は、t=2週間で強い効果を示したが、それはt=4週間で減少したように見えた。一方他のヒト(例えば、被験者17)は、反対の行動様式を示した。観察された効果を更に解明するために食事制限が必要であろう。
【0097】
このパイロット試験は、4週間に亘る抽出物で強化されたオレンジジュースの消費により、特に空腹時血漿トリグリセリド濃度が減少することによって被験者の血漿脂質濃度に一定の変化を起こしたことを示した。従って、トマト抽出物の長期間の消費は、血漿脂質プロフィールに有益な変化を起こす結果となる可能性がある。
【実施例2】
【0098】
製剤
カプセル製剤
カプセル製剤は、実施例1に記載したようにトマト抽出物を凍結乾燥し、得られた凍結乾燥粉末をハードゼラチンカプセル殻に充填し、1カプセル当たり800mgのカプセル含量とすることにより調製する。
【0099】
希釈したトマト抽出物を含有するカプセル剤
実施例1の水様トマト抽出物に、スクロース、ラクトース及びソルビトールから選択した希釈剤を加える。次いで、得られた混合物を凍結乾燥し粉末とし、ハードゼラチンカプセル殻に充填し、1カプセル当たり800mgのカプセル含量(200mgのトマト抽出物及び600mgの希釈剤)とする。
【0100】
均等物
前述の実施例は本発明を例示する目的で提示したものであり、本発明の範囲にいかなる限定を課すものであると解釈すべきではない。上記及び実施例において例示した本発明の特定の実施形態に対して、本発明の基礎にある趣旨から逸脱することなしに、数多くの修正及び変更がなされ得ることは正に明らかである。このような全ての修正は、本出願に包含されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】個人の血中脂質濃度に対するトマト抽出物の効果を研究するために、本願発明者らが設計した無作為化クロスオーバー試験に使用されるプロトコルを示す図である。
【図2】対照物質(2週間)又はトマト抽出物(4週間)の消費の血漿脂質濃度への効果を比較するものであり、総血漿コレステロール濃度、血漿HDL−コレステロール濃度、及び血漿トリグリセリド濃度におけるベースライン状態からの変化の全てを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血漿トリグリセリド濃度を下げるための薬剤を製造するための、水溶性トマト抽出物又はその活性フラクションの使用であって、前記水溶性トマト抽出物又はその活性フラクションが、実質的にリコペンを含まず、そして、実質的に水不溶性粒子状物質を含まないことを特徴とする、水溶性トマト抽出物又はその活性フラクションの使用。
【請求項2】
血漿トリグリセリド濃度を下げる際に使用される、水溶性トマト抽出物又はその活性フラクションであって、前記水溶性トマト抽出物又はその活性フラクションは、実質的にリコペンを含まず、そして、実質的に水不溶性粒子状物質を含まないことを特徴とする、水溶性トマト抽出物又はその活性フラクション。
【請求項3】
水溶性トマト抽出物又はその活性フラクションからなり、血漿トリグリセリド濃度を下げる際に使用される組成物であって、前記水溶性トマト抽出物又はその活性フラクションは、実質的にリコペンを含まず、そして、実質的に水不溶性粒子状物質を含まないことを特徴とする組成物。
【請求項4】
患者の血中トリグリセリド濃度を下げる方法であって、水溶性トマト抽出物又はその活性フラクションの、トリグリセリド濃度を下げる有効量を患者に投与することを含み、前記水溶性トマト抽出物又はその活性フラクションは、実質的にリコペンを含まず、そして、実質的に水不溶性粒子状物質を含まないことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記水溶性トマト抽出物が実質的に粒子状物質を含まない、請求項1から4のいずれか1つに記載の使用、使用のための抽出物、方法又は組成物。
【請求項6】
前記水溶性トマト抽出物の水溶液が、固体を失うことなく、0.2μフィルターを透過することができる、請求項1から5のいずれか1つに記載の使用、使用のための抽出物、方法又は組成物。
【請求項7】
前記水溶性トマト抽出物を脱水して、水溶性乾燥抽出物を提供する、請求項1から6のいずれか1つに記載の使用、使用のための抽出物、方法又は組成物。
【請求項8】
前記水溶性トマト抽出物が、丸ごとのトマト又はコールドブレイク処理されたトマトペーストから調製される、請求項1から7のいずれか1つに記載の使用、使用のための抽出物、方法又は組成物。
【請求項9】
冠動脈心疾患の発症を予防し若しくは遅らせ、そして/又は、冠動脈心疾患を軽減し、そして、冠動脈心疾患の患者の死亡を防止し若しくは減少させる目的で、又は、高トリグリセリド血症を予防し若しくは治療し、又は、トリグリセリド濃度上昇に起因する可能性がある肥満症、発疹状黄色腫、膵臓炎などの病気を予防し若しくは治療する目的で、血漿トリグリセリド濃度を減少させる、請求項1から8のいずれか1つに記載の使用、使用のための抽出物、方法又は組成物。
【請求項10】
前記水溶性トマト抽出物が水溶液状である、請求項1から9のいずれか1つに記載の使用、使用のための抽出物、方法又は組成物。
【請求項11】
前記水溶性トマト抽出物が乾燥状態である、請求項1から10のいずれか1つに記載の使用、使用のための抽出物、方法又は組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−530076(P2008−530076A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554657(P2007−554657)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000521
【国際公開番号】WO2006/085115
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(507273068)プロヴェクシス ナチュラル プロダクツ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】