説明

トマト風味パン

【課題】美味しく栄養もあるにもかかわらずダイエットにも適したトマト風味パンを提供する。
【解決手段】トマトジュースに使用小麦粉の一部を入れて溶かし調味して泥醤状液となし、これに残り小麦粉を入れてこねることによりパン生地をつくり、このようにトマトジュースでねったパン生地を熟成して焼き上げたことを特徴とする。
【効果】造り方が容易でありトマトジュースが水で薄められることなくその栄養素やうま味成分を多量に含ませたまま造ることができ、しかもトマトとの相性の良い美味しい味に整えやすく、風味の良いパン作りが可能であり、大人はばかりでなく、たとえトマト嫌いの子供であっても違和感なく喜んで食することができる。しかも、リコピンや各種ビタミン、食物繊維などの働きにより単に健康の維持向上をなしうるばかりでなく、美味しく食べてダイエットを難なく成功しうることになるという優れた効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、味が良く健康にもダイエットにも良好に作用するトマト風味パンに関する。
【背景技術】
【0002】
パンは小麦粉にドライイーストなどの酵母菌を混入し塩等の調味料を加えて水でねって発酵させた生地を焼いたものであるが、生地に脱脂粉乳やチョコレートをねり込んだり、豆類やクルミ、いちご等の果実類、野菜類の具を混ぜて消費者の多様な好みに応じられている。
【0003】
また、従来のダイエットパンは、基本的にはカロリーのある材料を使用しないことを原則とし低カロリーに仕上げられる。例えば生地におからを混入したもの、竹炭の粉末を混入したものなどを挙げることができる。おからが腸内細菌の餌となる食物繊維が豊富でありこと、また、竹炭が腸内において脂肪を吸着しそれを排斥する機能があること等に着目して開発された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のダイエットパンは、お腹が張って満腹感が生じることなどでダイエット効果が期待されるが、美味しくないおからや竹炭により食欲がわかなく、積極的に食べたいと思えるものではなかった。
【0005】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、美味しく栄養もあるにもかかわらずダイエットにも適したトマト風味パンを提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明は、トマトジュースに使用小麦粉の一部を入れて溶かし調味して泥醤状液となし、これに残り小麦粉を入れてこねることによりパン生地をつくり、このようにトマトジュースでねったパン生地を熟成して焼き上げたことを特徴とするトマト風味パンを提供する。
【0007】
トマト風味パンを上記のように構成したから、小麦粉でパン生地をつくるときに原則として加水はしなく、トマトジュースで一部の小麦粉を溶いて均一化した泥醤状液をつくり、それで残りの小麦粉をねり上げるため、リコピンが水で薄められなく造り方も極簡単である。
【0008】
トマトジュースには食物繊維やビタミン類が豊富に含まれているが、それ以上に注目すべきはリコピンがたっぷり含まれていることである。これがパンに均一に混入し生地と一体化しているために、たとえトマトが嫌いな子供であっても全く抵抗がなく、知らずに美味しく食することができ、また、自ずとリコピンを摂取し健康の維持向上を図ることでき、リコピンによるダイエット効果を享受できる。
【0009】
リコピンは、トマトの赤い色素であって、カロチノイドの一種である。ベータカロチンのように体内でビタミンAに変わることもないのでこれまでは重要視されなかったのであるが、生活習慣病の予防に有効な活性酸素を除去する抗酸化作用があり、これがベータカロチンの2倍程強いことが知られている。また、ベータカロチンと同じカロチノイドの一種であるので、油に良く溶け一緒に摂ると吸収率が良いことも特徴である(請求項2参照)。
【0010】
さらに注目すべきは、このリコピンを加熱すると吸収が良くなることであり、それだけダイエット効果が特に高まる。これは焼きトマトがダイエットに効果があるということでも知られているが、本発明においては、パン生地を焼き上げるときに加熱されるために、リコピンが体内に吸収されやすく変化する。したがって、ダイエット効果が倍増するのである。
【0011】
また、トマトやトマトジュースには、うま味成分としてグルタミン酸やアスパラギン酸が非常に多く、これが生地に均等に浸透するのでコクとうま味が非常に良く加わる。その他、ビタミンA、C、ベータカロチン、食物繊維なども豊富に含まれている。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、この発明のトマト風味パンは、造り方が容易でありトマトジュースが水で薄められることなくその栄養素やうま味成分を多量に含ませたまま造ることができ、しかもトマトとの相性の良い美味しい味に整えやすく、風味の良いパン作りが可能であり、大人はばかりでなく、たとえトマト嫌いの子供であっても違和感なく喜んで食することができる。しかも、リコピンや各種ビタミン、食物繊維などの働きにより単に健康の維持向上をなしうるばかりでなく、美味しく食べてダイエットを難なく成功しうることになるという優れた効果がある。
【0013】
加えて、請求項2によれば、美味しくなるに止まらず、リコピンの吸収率が高まるのでダイエットの効果をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明のトマト風味パンを作る手順の主要な工程を(イ)〜(ニ)の順に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明においてはトマトジュースを使用するために、小麦粉を溶いたりねったりするための水を必要としない点に特徴がある。これでリコピンなどの成分が薄まることがない。リコピンの効果を高めるためには有機栽培、無農薬栽培で無添加の自然のトマトジュースが使用される。また、調味その他のついては様々となるが、一つの例を次に提示する。
【実施例1】
【0016】
(原材料)
小麦粉(強力粉) 100g
トマトジュース(無添加) 75cc
砂糖 9g
食塩 3g
マーガリン 8g
ドライイースト 4g
白すりごま 10g
サイコロチーズ 20g
(作り方)
(1)ポウルにおいて温めたトマトジュースにマーガリンを入れて溶かす(図1のイ)。マーガリンはコクを増すとともに、リコピンの吸収を高める脂質としてはたらく(請求項2参照)。
(2)(1)に1/3の小麦粉を入れ混ぜながた溶かす(ロ)。この状態を泥醤状液ということにする。泥醤状液にはリコピンが均等に含まれている。
(3)(2)にドライイースト、砂糖、食塩の順で入れよく混ぜる。
(4)(3)に白すりごま、サイコロチーズ(両方ともリコピンの吸収率を高める油脂成分が多い)を入れ混ぜる。
(5)(4)に小麦粉の残り2/3を入れ(ハ)よくこねる。これでパン生地ができる(ニ)。
(6)(5)パン生地を電子レンジに200Wで30秒かけて加熱してから、10分生地をねかせる(一次発酵)。
(7)(6)のパン生地を一つパン毎に成形し、電子レンジに200Wで30秒かけて加熱してから室温で10分ねかせる(二次発酵)。
(8)(7)を皿に並べ、70°Cに温めたオーブンで13分焼く。この時の加熱温度でリコピンが吸収されやすい状態となる。
【0017】
上記のようにつくったトマト風味パンを食したところ、その際に割ってみてもトマトが含まれている形跡がなく、あっさりした良い香りとともに、コクとうま味が調和して、この上なく美味しく味わうことができた。「あっさり」はトマトに含まれるクエン酸の作用によるものと考えられる。
【0018】
(比較例)
トマトジュースのかわりにトマトソースを使用したが、粘性があるためにこれでは小麦粉を溶いたりねったりするために水を必要となり、リコピンが水で薄められることになった。また、上記実施例の本願発明のトマト風味パンに比してコクとうま味、香りに欠けていたので、リコピンの量などの比較とともに品願発明のものが優れていることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トマトジュースに使用小麦粉の一部を入れて溶かし調味して泥醤状液となし、これに残り小麦粉を入れてこねることによりパン生地をつくり、このようにトマトジュースでねったパン生地を熟成して焼き上げたことを特徴とするトマト風味パン。
【請求項2】
前記トマトジュースが小麦粉の一部を溶く前に予めマーガリンを溶いてあることを特徴とする請求項1記載のトマト風味パン。

























【図1】
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