説明

トモグラフィ装置及びトモグラフィ計測方法

【課題】非等温場においても正確に電気インピーダンス分布を計測することができるトモグラフィ装置及びトモグラフィ計測方法を提供する。
【解決手段】計測断面Bの外周に配置される複数の電極2と、複数の電極2とともに配置される複数の温度センサ3と、電流負荷電極2aに電流を供給する電源4と、計測対象電極2bの電位差を計測する電圧計5と、電流負荷電極2a及び計測対象電極2bの全ての組合せについて電位差の計測データを取得し、電気インピーダンス・トモグラフィ法による演算を行い、被計測物Aの電気インピーダンスの分布を導出する演算部6と、を有し、演算部6は、導出された電気インピーダンスを、複数の温度センサ3が計測した計測温度に基づいて補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計測物の内部断面における電気インピーダンスの分布を計測するトモグラフィ装置及びトモグラフィ計測方法に関し、特に、温度が不均一な被計測物内部における電気インピーダンスの変化を補正するトモグラフィ装置及びトモグラフィ計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被計測物の内部断面における電気インピーダンスの分布を計測する方法として、電気インピーダンス・トモグラフィ法(Electrical Impedance Tomography)が用いられている(例えば、特許文献1乃至3参照)。電気インピーダンス・トモグラフィ法では、被計測物の外周に複数の電極を配置し、隣接する一対の電極間に電流を流して他の隣接する一対の電極間の電位差を測定することを全ての電極の組合せで繰り返し、測定した全電位差から所定のアルゴリズムを用いて被計測物の内部断面における電気インピーダンスの分布を算出する。
【0003】
例えば、電気インピーダンス・トモグラフィ法は、特許文献1等に記載されたように、患者の胸郭内部に癌細胞があるか否かを診断したり、アクリル樹脂等の電気的非伝導材料から構成された槽又はパイプライン内の内容物に異物が含まれるか否かを判別したりするために使用される。これらは、癌細胞と正常な細胞、内容物と異物との間における電気インピーダンスの違いを利用したものである。
【0004】
ここで、電気インピーダンス・トモグラフィ法は、温度の変動によって電気インピーダンスが変動してしまうので、計測場の温度が一定に保たれることが前提である。例えば、特許文献3に記載された電気インピーダンスを非接触的に画像化する装置は、サーモスタットを備え、サーモスタットを使用して被画像化物(被計測物)の温度を一定に保ち、各電極と被画像化物との間の電気インピーダンスを一定に保つように構成されている。
【0005】
ところで、従来、原子力発電所から排出された放射性廃棄物をガラス固化するためにガラス溶融炉が使用されている(例えば、特許文献4参照)。国内における一般的なガラス溶融炉は、上部から放射性廃棄物とガラス原料とを炉内に投入し、主電極、底部電極及び間接加熱装置を使用して加熱し、下部の流下ノズルから放射性廃棄物を含んだ溶融ガラスを流下し、炉下に設置されたキャニスタの中で固化するように構成されている。しかし、放射性廃棄物に含まれる白金族類が炉底に堆積し、溶融ガラスの流下を妨げる場合があり、炉内の白金族類の堆積状況を把握する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3759606号
【特許文献2】特表2010−504781号公報
【特許文献3】特表2009−502394号公報
【特許文献4】特開2010−189240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、電気インピーダンス・トモグラフィ法を上述したガラス溶融炉に適用し、炉内の電気インピーダンス分布を計測することによって白金族類の分布を把握しようとした場合、ガラス溶融炉内部は温度が著しく不均一であり、正確な電気インピーダンス分布を計測できないという問題があった。また、ガラス溶融炉のように、高温で対流が生じやすい被計測物には、特許文献3に記載されたようなサーモスタットを用いて等温場を形成することは難しいという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑み創案されたものであり、非等温場においても正確に電気インピーダンス分布を計測することができるトモグラフィ装置及びトモグラフィ計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、電気インピーダンス・トモグラフィ法を用いて、被計測物における計測断面の電気インピーダンスの分布を計測するトモグラフィ装置であって、前記計測断面の外周に配置される複数の電極と、前記複数の電極とともに配置される複数の温度センサと、前記複数の電極から選択される隣接した一対の電流負荷電極に電流を供給する電源と、前記複数の電極から選択される他の隣接する一対の計測対象電極の電位差を計測する電圧計と、前記電流負荷電極に対して全ての前記計測対象電極の電位差を計測するとともに、前記複数の電極に対して全ての組合せの前記電流負荷電極を選択して前記計測対象電極の全ての電位差を計測することによって、前記電流負荷電極及び前記計測対象電極の全ての組合せについて電位差の計測データを取得し、該計測データに基づいて前記電気インピーダンス・トモグラフィ法による演算を行い、前記被計測物の電気インピーダンスの分布を導出する演算部と、を有し、前記演算部は、導出された前記電気インピーダンスを、前記複数の温度センサが計測した計測温度に基づいて補正する、ことを特徴とするトモグラフィ装置が提供される。
【0010】
前記計測温度による前記電気インピーダンスの変化を求めて、前記計測温度と前記電気インピーダンスとを対応付けた対応テーブルを作成し、該対応テーブルを格納した記憶部を有し、前記演算部は、前記対応テーブルを参照して、導出された前記電気インピーダンスを補正するようにしてもよい。
【0011】
前記演算部は、前記電極の数に応じて前記計測断面における複数の計測領域を設定し、該計測領域ごとに前記電気インピーダンスを導出するとともに前記計測温度に基づいて補正するようにしてもよい。また、前記演算部は、前記被計測物の外縁からの距離に基づいて前記計測温度を補正するようにしてもよい。
【0012】
前記記憶部は、前記電気インピーダンスの数値と前記被計測物内の導電性物質の濃度との関係を求めて前記電気インピーダンスの数値と前記導電性物質の濃度とを対応付けた濃度算出テーブルを格納し、前記演算部は、前記電気インピーダンスの数値から、前記濃度算出テーブルを参照して前記導電性物質の濃度を算出するようにしてもよい。また、前記演算部は、前記被計測物の電気インピーダンスの分布に替えて、前記導電性物質の濃度分布を導出するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明によれば、電気インピーダンス・トモグラフィ法を用いて、被計測物における計測断面の電気インピーダンスの分布を計測するトモグラフィ計測方法であって、前記計測断面の外周に複数の電極及び複数の温度センサを配置する準備工程と、前記温度センサの計測温度による前記電気インピーダンスの変化を求めて前記計測温度と前記電気インピーダンスとを対応付けた対応テーブルを作成する対応テーブル作成工程と、前記電極の個数に応じて前記計測断面を複数の計測領域に分割するメッシュ作成工程と、前記複数の電極から選択される隣接した一対の電流負荷電極に電流を供給して、前記複数の電極から選択される他の隣接する一対の計測対象電極の電位差を計測する電位差計測工程と、該電位差計測工程と同時に前記計測対象電極に対応する前記温度センサの温度を計測する温度計測工程と、前記電位差計測工程及び前記温度計測工程を繰り返して、前記電流負荷電極及び前記計測対象電極の全ての組合せについて電位差の計測データを取得し、該計測データに基づいて前記電気インピーダンス・トモグラフィ法による演算を行い、前記被計測物の電気インピーダンスを算出する電気インピーダンス算出工程と、該電気インピーダンス算出工程により算出された前記電気インピーダンスを前記計測温度から前記対応テーブルを参照して補正する電気インピーダンス補正工程と、該電気インピーダンス補正工程により補正された電気インピーダンスを用いて分布画像を構成する電気インピーダンス分布導出工程と、を有する、ことを特徴とするトモグラフィ計測方法が提供される。
【0014】
前記被計測物の外縁からの距離に基づいて前記計測温度を補正する計測温度補正工程を有していてもよい。
【0015】
前記電気インピーダンスの数値と前記被計測物内の導電性物質の濃度との関係を求めて前記電気インピーダンスの数値と前記導電性物質の濃度とを対応付けた濃度算出テーブルを作成する濃度算出テーブル作成工程と、前記電気インピーダンスの数値から前記濃度算出テーブルを参照して前記導電性物質の濃度を算出して濃度分布を導出する濃度分布導出工程と、を有していてもよい。
【発明の効果】
【0016】
上述した本発明に係るトモグラフィ装置及びトモグラフィ計測方法によれば、電位差の計測と同時に電極周辺の温度を計測することができ、その計測温度により電気インピーダンスを補正することができ、被計測物における計測断面が非等温場を有する場合であっても、正確に電気インピーダンス分布を計測することができる。また、電気インピーダンスの数値と被計測物内の導電性物質の濃度との関係を求めておくことにより、電気インピーダンスの数値から導電性物質の濃度分布を容易に把握することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るトモグラフィ装置を説明するための図であり、(a)は円筒形状を有する被計測物の外観図、(b)は略円錐形状を有する被計測物の外観図、(c)は装置の概略構成図、を示している。
【図2】被計測物の計測断面における電流の流れを示す図であり、(a)は導電率が一様である場合、(b)は壁面付近の導電率が高い場合、を示している。
【図3】本発明の第一実施形態に係るトモグラフィ計測方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第二実施形態に係るトモグラフィ計測方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第三実施形態に係るトモグラフィ計測方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第四実施形態に係るトモグラフィ計測方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係るトモグラフィ装置の適用例を示す図であり、(a)は全体構成図、(b)は図7(a)におけるX部の拡大図、である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係るトモグラフィ装置及びトモグラフィ計測方法について、図1乃至図7を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の実施形態に係るトモグラフィ装置を説明するための図であり、(a)は円筒形状を有する被計測物の外観図、(b)は略円錐形状を有する被計測物の外観図、(c)は装置の概略構成図、を示している。図2は、被計測物の計測断面における電流の流れを示す図であり、(a)は導電率が一様である場合、(b)は壁面付近の導電率が高い場合、を示している。図3は、本発明の第一実施形態に係るトモグラフィ計測方法を示すフローチャートである。
【0019】
本発明の実施形態に係るトモグラフィ装置1は、図1に示したように、電気インピーダンス・トモグラフィ法を用いて、被計測物Aにおける計測断面Bの電気インピーダンスの分布を計測するトモグラフィ装置であって、計測断面Bの外周に配置される複数の電極2と、複数の電極2とともに配置される複数の温度センサ3と、複数の電極2から選択される隣接した一対の電流負荷電極2a,2aに電流を供給する電源4と、複数の電極2から選択される他の隣接する一対の計測対象電極2b,2bの電位差を計測する電圧計5と、電流負荷電極2aに対して全ての計測対象電極2bの電位差を計測するとともに、複数の電極2に対して全ての組合せの電流負荷電極2aを選択して計測対象電極2bの全ての電位差を計測することによって、電流負荷電極2a及び計測対象電極2bの全ての組合せについて電位差の計測データを取得し、かかる計測データに基づいて電気インピーダンス・トモグラフィ法による演算を行い、被計測物Aの電気インピーダンスの分布を導出する演算部6と、を有し、演算部6は、導出された電気インピーダンスを、複数の温度センサ3が計測した計測温度に基づいて補正するように構成されている。
【0020】
前記被計測物Aは、例えば、図1(a)に示したような円筒形状や図1(b)に示したような略円錐形状の外形を有し、断面が円形の計測断面Bを有する。略円錐形状とは、下方に向かって縮径した円錐面により構成される壁面を有し、図示したような円錐台形状を含む趣旨である。計測断面Bは、例えば、被計測物Aの中心軸に垂直な面に設定される。なお、被計測物Aは、図示した形状に限定されるものではなく、被計測物Aの外周に電極2を配置して平面の計測断面Bを構成できるものであれば、楕円筒形状、角錐形状等であってもよい。
【0021】
前記電極2は、計測断面Bの外周に沿って等間隔にm個配置される。mは任意の整数であり、例えば、8,12,16,32等に設定される(図では8個)。また、電極2は、被計測物Aの壁面を貫通し、内部の内容物に電流を流すことができるように配置されている。また、電極2は、被計測物Aの壁面と電気的に絶縁された状態に配置される。被計測物Aの壁面が絶縁材により構成されている場合には、電極2を挿通するだけでよいが、被計測物Aの壁面が導電材により構成されている場合には、電極2の外周に絶縁材を配置するようにしてもよい。電極2と被計測物Aの壁面とが絶縁されていない場合には、電極2から流される電流がほとんどの被計測物Aの壁面に流れてしまい、計測断面B内に流れなくなってしまうためである。
【0022】
前記温度センサ3は、電極2ごとに配置され、電極2の近傍の温度を計測する。すなわち、温度センサ3は、計測断面Bの外周に沿って等間隔にm個配置される。各温度センサ3は、演算部6に接続されており、計測した計測温度を演算部6に送信する。かかる温度センサ3は、例えば、前記電極2の絶縁材に埋め込まれた熱電対により構成される。
【0023】
前記電源4は、例えば、交流電源であり、複数の電極2から選択される電流負荷電極2a,2aに電流を供給する。電流負荷電極2aは、隣接した一対の電極2であり、図1(c)に示したように、8個の電極2を有する場合には、電流負荷電極2aは8通りの組合せを有する。ここでは、1組の電流負荷電極2aに電流を供給する場合を図示しているが、実際には、8組の全ての電流負荷電極2aに電流を供給するように配電されている。各組の電流負荷電極2aに電流を供給するには、一つの電源4から各組の電流負荷電極2aに電流を供給できるように配線してもよいし、各組に対応する個数の電源4を配置してもよい。なお、被計測物Aに電流を供給する電流負荷電極2aの切り換えや電流の供給は、演算部6の指令に基づいて処理される。
【0024】
前記電圧計5は、複数の電極2から選択される計測対象電極2b,2bの電位差を計測する。計測対象電極2bは、1組の電流負荷電極2aを除いた残りの電極2から選択される隣接した一対の電極2である。例えば、図1(c)に示したように、8個の電極2を有する場合には、1組の電流負荷電極2aを除いた6個の電極2から選択されるため、5通りの組合せを有する。ここでは、1組の計測対象電極2bの電位差を計測する場合を図示しているが、実際には、5組の全ての計測対象電極2bの電位差を計測できるように配線されている。また、電圧計5は、選択され得る8組の電流負荷電極2aに対して、それぞれ5組の計測対象電極2bが存在し、全ての組合せの計測対象電極2bについて電位差を計測できるように配線されている。各組の計測対象電極2bの電位差を計測するには、一つの電圧計5で全ての組合せの計測対象電極2bの電位差を計測できるように配線してもよいし、各組に対応する個数の電圧計5を配置してもよい。なお、電位差を計測する計測対象電極2bの切り換えや電位差の計測は演算部6の指令に基づいて処理される。
【0025】
ここで、電極2の個数に基づく計測断面Bの解像度について説明する。例えば、図1(c)に示したように、8個の電極を配置した場合、1組の電流負荷電極2aに対して5組の計測対象電極2bを有し、電流負荷電極2aは8通りの選択方法があるため、重複する組合せを考慮すれば、計測点数は、8×5/2=20と求めることができる。これを一般化すれば、m個の電極を配置した場合における計測点数xは、x=m(m−3)/2の計算式により求めることができる。そして、計測断面Bの解像度は、この計測点数xによって定められ、計測点数xと同じだけの解像度を有することから、計測点数xの個数以上の要素(計測領域U)に分割することが好ましい。例えば、図1(c)に示したように、8個の電極を有する場合には、20個の計測領域U1〜U20のメッシュを作成することができる。
【0026】
前記演算部6は、電極2の個数に応じて計測断面Bにおける計測領域U(例えば、U1〜U20)を設定し、電源4及び電圧計5を制御して20通りの計測点数についての電位差を計測した計測データを取得し、計測領域Uごとに電気インピーダンスを算出し、計測断面Bにおける電気インピーダンスの分布を導出する。また、演算部6は、電位差の計測と同時に計測対象電極2bに対応する温度センサ3の温度を計測し、計測温度のデータを取得する。かかる計測温度は、電位差の計測ごとに温度センサ3からデータを取得するようにしてもよいし、温度センサ3の計測温度を常時取得しておいて電位差計測時における計測温度のデータをピックアップするようにしてもよい。なお、演算部6は、いわゆるコンピュータにより構成される。
【0027】
そして、演算部6は、温度センサ3の計測温度に基づいて、電気インピーダンスの数値を計測領域U(例えば、U1〜U20)ごとに補正する。電圧計5による電位差は、電流の流れる経路の温度によって変化するためである。具体的には、計測温度による電気インピーダンスの変化を予め求めておき、計測温度と電気インピーダンスとを対応付けた対応テーブルを作成し、対応テーブルを格納した記憶部7を演算部6に接続する。
【0028】
対応テーブルは、被計測物Aに必要な温度範囲内で作成され、例えば、かかる温度範囲の最低温度又は最高温度における電気インピーダンスを基準にして、その差分を補正値として保有する。演算部6は、かかる対応テーブルを参照して、導出された電気インピーダンスを計測温度に基づいて補正値を加減又は乗除して補正する。対応テーブルの作成には、実機又は試験装置を用いてデータを取得するようにしてもよいし、実機又は試験装置の過去の実績を分析してデータを取得するようにしてもよいし、シミュレーションによってデータを取得するようにしてもよい。
【0029】
ところで、被計測物Aの計測断面Bにおける導電率が一様である場合には、電流負荷電極2aにより供給された電流は、図2(a)に示したように、計測断面B内において電流は一様に流れることとなる。一方、被計測物Aの計測断面Bにおける壁面付近の導電率が高い場合には、電流負荷電極2aにより供給された電流は、図2(b)に示したように、計測断面B内において電流は壁面付近に沿って流れやすくなる。例えば、図1(a)に示したような円筒形状の被計測物Aにおいて内壁面付近に異物が付着したり、図1(b)に示したような略円錐形状の被計測物Aにおいて内壁面に沈殿物や沈降物等の異物が堆積したりする。この異物が導電性を有する場合、電流負荷電極2aにより供給された電流は、図2(b)に示したように、計測断面Bにおける被計測物Aの壁面付近に沿って流れてやすくなる。したがって、電気インピーダンスを計測することによって、計測断面Bにおける異物の堆積量を把握することができる。
【0030】
ここで、上述したトモグラフィ装置1を使用した本発明の第一実施形態に係るトモグラフィ計測方法について、図3に示したフローチャートを参照しつつ説明する。
【0031】
本発明の第一実施形態に係るトモグラフィ計測方法は、電気インピーダンス・トモグラフィ法を用いて、被計測物Aにおける計測断面Bの電気インピーダンスの分布を計測するトモグラフィ計測方法であって、計測断面Bの外周に複数の電極2及び複数の温度センサ3を配置する準備工程(SP101)と、温度センサ3の計測温度による電気インピーダンスの変化を求めて計測温度と電気インピーダンスとを対応付けた対応テーブルT1を作成する対応テーブル作成工程(SP102)と、電極2の個数に応じて計測断面Bを複数の計測領域Uに分割するメッシュ作成工程(SP103)と、複数の電極2から選択される隣接した一対の電流負荷電極2aに電流を供給して、複数の電極2から選択される他の隣接する一対の計測対象電極2bの電位差を計測する電位差計測工程(SP106)と、電位差計測工程と同時に計測対象電極2bに対応する温度センサ3の温度を計測する温度計測工程(SP106)と、電位差計測工程及び温度計測工程(SP106)を繰り返して、電流負荷電極2a及び計測対象電極2bの全ての組合せについて電位差の計測データを取得し、かかる計測データに基づいて電気インピーダンス・トモグラフィ法による演算を行い、被計測物Aの電気インピーダンスを算出する電気インピーダンス算出工程(SP107)と、電気インピーダンス算出工程により算出された電気インピーダンスを計測温度から対応テーブルT1を参照して補正する電気インピーダンス補正工程(SP108)と、電気インピーダンス補正工程により補正された電気インピーダンスを用いて分布画像を構成する電気インピーダンス分布導出工程(SP109)と、を有する。
【0032】
前記準備工程(SP101)は、本発明の第一実施形態に係るトモグラフィ計測方法を実施するに際し、電気インピーダンス・トモグラフィ法による演算を行うための電位差のデータを取得する電極2と、電気インピーダンスを補正するための計測温度を取得する温度センサ3と、を被計測物Aに配置する工程である。
【0033】
前記対応テーブル作成工程(SP102)は、温度と電気インピーダンスとの相関関係を予め計測しておく工程である。計測対象電極2bの計測温度による電気インピーダンスの変化を予め求めておけば、計測温度と電気インピーダンスとを対応付けた対応テーブルT1を作成することができ、計測対象電極2bの電位差計測時における温度を計測することにより、容易に電気インピーダンスを補正することができ、計測断面Bが非等温場を有する場合であっても、正確な電気インピーダンスを算出することができる。
【0034】
前記メッシュ作成工程(SP103)は、図1(c)に示したように、電極2の個数に応じた解像度が得られるように、計測断面Bを複数の計測領域U1〜U20に分割して計測用のメッシュを作成する工程である。なお、計測領域U1〜U20に対応した対応テーブルT1を作成する場合には、対応テーブル作成工程(SP102)とメッシュ作成工程(SP103)との順序を入れ替えてもよい。
【0035】
次に、全ての計測領域Uが低抵抗の場合における計測番号nでの電位差V(n)firと、全ての計測領域Uが高抵抗の場合における計測番号nでの電位差V(n)objを求め、有限要素法を用いて、e番目の計測領域Uのみが高抵抗のときの計測番号nにおける電位差V(e,n)を求める(SP104)。
【0036】
次に、電位差V(n)firと電位差V(n)objと電位差V(e,n)とを以下の数式(数1)に代入して、感度行列S(e,n)を求める(SP105)。ただし、β(e)=D(e)/Dallであり、D(e)はe番目の計測領域Uの面積であり、Dallは全ての計測領域Uの面積の総和である。
【0037】
【数1】

【0038】
前記電位差計測工程(SP106)は、電源4により電流負荷電極2aに電流を供給して、計測対象電極2bの電位差を電圧計5により計測する工程である。電圧計5により計測された電位差をV(n)measuredとする。なお、上述したメッシュ作成工程(SP103)〜感度行列算出工程(SP105)までの工程は、従来技術におけるトモグラフィ計測方法と同じ処理を行う工程である。
【0039】
前記温度計測工程(SP106)は、電位差計測時における計測対象電極2bの温度を計測する工程である。電位差計測工程と温度計測工程は、同時に行う処理であるため、図3に示したフローチャートでは同じ工程(SP106)に含めている。
【0040】
電気インピーダンス算出工程(SP107)は、電位差計測工程(SP106)により得られた計測データに基づいて電気インピーダンスを算出する工程である。まず、補正された電位差V(n)measuredを以下の数式(数2)に代入することによって無次元化する。この無次元電位差を使用することにより、抵抗の最大値が1、最小値が0となり、画像化する際に好都合となる。
【0041】
【数2】

【0042】
その後、感度行列S(e,n)と無次元電位差とを以下の数式(数3)に代入して、インピーダンス相当値P(e)を算出する。
【0043】
【数3】

【0044】
前記電気インピーダンス補正工程(SP108)は、算出された電気インピーダンスを電位差計測時における計測温度に基づいて補正する工程である。具体的には、対応テーブルT1を参照して計測温度に対応した補正値を、電気インピーダンス算出工程(SP107)により算出されたインピーダンス相当値P(e)に加減又は乗除することにより、電気インピーダンスを補正する。
【0045】
前記電気インピーダンス分布導出工程(SP109)は、補正された電気インピーダンスに基づいて電気インピーダンス分布画像を再構成する工程である。かかる工程では、計測断面Bにおける1回の計測結果により求められる複数のインピーダンス相当値P(e)に対して、最大値を1として、最小値を0として、電気インピーダンス分布画像を再構成する。
【0046】
次に、所定時間又は所定回数、計測を実施したか否かを判別する(SP110)。かかる工程では、電気インピーダンス分布導出工程(SP109)を必要な回数だけ繰り返したか否かを時間又は回数を基準にして判別する工程である。必要な回数は、1回であってもよいし、複数回の平均値を算出するような場合には必要な回数を2回以上に設定してもよい。
【0047】
そして、電気インピーダンス分布導出工程(SP109)の計測が所定の条件(時間又は回数)を満足していない場合には、電位差計測工程及び温度計測工程(SP106)に戻って電気インピーダンス分布導出工程(SP109)を繰り返し、所定の条件(時間又は回数)を満足した場合には処理を終了する。
【0048】
上述した第一実施形態に係るトモグラフィ計測方法によれば、電位差の計測と同時に電極2周辺の温度を計測することができ、その計測温度により電気インピーダンスを補正することができ、被計測物Aにおける計測断面Bが非等温場を有する場合であっても、正確に電気インピーダンス分布を計測することができる。
【0049】
特に、被計測物Aの壁面に導電性物質である異物が堆積している場合には、計測断面Bにおける被計測物Aの壁面付近に沿って電流が流れやすい。したがって、計測対象電極2bの近傍の温度を計測することにより、電流が流れる経路の温度を実質的に計測することができ、正確な電気インピーダンスを計測することができ、異物の堆積状況を正確に把握することができる。
【0050】
続いて、本発明の他の実施形態に係るトモグラフィ計測方法について説明する。ここで、図4は本発明の第二実施形態に係るトモグラフィ計測方法を示すフローチャートであり、図5は本発明の第三実施形態に係るトモグラフィ計測方法を示すフローチャートであり、図6は本発明の第四実施形態に係るトモグラフィ計測方法を示すフローチャートである。なお、第一実施形態と同じ構成部品については、同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0051】
図4に示した第二実施形態に係るトモグラフィ計測方法は、被計測物Aの外縁からの距離に基づいて計測温度を補正するようにしたものである。具体的には、第一実施形態における電気インピーダンス補正工程(SP108)の替わりに、被計測物Aの外縁からの距離に基づいて計測温度を補正する計測温度補正工程(SP111)と、算出された電気インピーダンスを電位差計測時における補正した計測温度に基づいて補正する電気インピーダンス補正工程(SP112)と、を有する。
【0052】
上述したように、温度センサ3は、計測断面Bの外周に沿って配置されるため、計測断面Bの外周部の温度は正確に計測できるものの、計測断面Bの中央部における温度は正確に計測することができない。したがって、計測断面Bの外周部における計測領域U1〜U8に比較して、中央部における計測領域U17〜U20の計測温度の精度が低下する。そこで、例えば、対応テーブル作成工程(SP102)において、被計測物Aの外縁からの距離に応じた補正係数又は補正テーブルを、実測、試験又はシミュレーションにより算出しておき、計測領域Uごとに計測温度を補正する。かかる被計測物Aの外縁からの距離に応じた補正係数又は補正テーブルは記憶部7に記憶されており、演算部6が上述した補正処理を行う。
【0053】
図5に示した第三実施形態に係るトモグラフィ計測方法は、計測断面Bに含まれる導電性物質の濃度分布を導出できるようにしたものである。具体的には、電気インピーダンスの数値と被計測物A内の導電性物質の濃度との関係を求めて電気インピーダンスの数値と導電性物質の濃度とを対応付けた濃度算出テーブルT2を作成する濃度算出テーブル作成工程(SP113)と、電気インピーダンスの数値から濃度算出テーブルT2を参照して導電性物質の濃度を算出して濃度分布を導出する濃度分布導出工程(SP114)と、を有する。
【0054】
前記濃度算出テーブル作成工程(SP113)は、第一実施形態におけるテーブル作成工程(SP102)と実質的に同じタイミングで処理される。計測温度と電気インピーダンスとの対応テーブルT1と、電気インピーダンスの数値と導電性物質の濃度とを対応付けた濃度算出テーブルT2とは、同一のテーブルにより構成するようにしてもよい。濃度算出テーブルT2を作成することにより、電気インピーダンスに対応した導電性物質の濃度を計測することができ、被計測物Aの壁面に堆積した導電性物質である異物の堆積状況を容易に把握することができる。
【0055】
また、上述したトモグラフィ装置1において、記憶部7は、電気インピーダンスの数値と被計測物A内の導電性物質の濃度との関係を求めて電気インピーダンスの数値と導電性物質の濃度とを対応付けた濃度算出テーブルT2を格納し、演算部6は、電気インピーダンスの数値から、濃度算出テーブルT2を参照して導電性物質の濃度を算出する。また、演算部6は、インピーダンス分布画像に基づいて、導電性物質の濃度分布画像を作成、濃度分布を導出する。
【0056】
図6に示した第四実施形態に係るトモグラフィ計測方法は、第三実施形態と同様に、計測断面Bに含まれる導電性物質の濃度分布を導出できるようにしたものである。かかる第四実施形態では、被計測物Aの電気インピーダンスの分布に替えて、導電性物質の濃度分布を直接的に導出するようにしたものである。具体的には、電気インピーダンス分布導出工程(SP109)の替わりに、濃度分布導出工程(SP115)を有する。
【0057】
記憶部7は、電気インピーダンスの数値と導電性物質の濃度とを対応付けた濃度算出テーブルT2を有するため、演算部6は、補正された電気インピーダンスに基づいて電気インピーダンス分布画像を再構成する替わりに、濃度分布画像を再構成することができる。したがって、導電性物質の濃度を知りたい場合には、電気インピーダンス分布画像の導出を省略して、直接的に濃度分布画像を導出するようにしてもよい。
【0058】
最後に、上述した実施形態のトモグラフィ装置1をガラス溶融炉10に適用した場合について、図7を参照しつつ説明する。ここで、図7は、本発明の実施形態に係るトモグラフィ装置の適用例を示す図であり、(a)は全体構成図、(b)は図7(a)におけるX部の拡大図、である。
【0059】
従来、原子力発電所から排出された放射性廃棄物をガラス固化するためにガラス溶融炉10が使用されている。国内における一般的なガラス溶融炉10は、図7(a)に示したように、上部から放射性廃棄物11とガラス原料12とを炉内に投入し、主電極13、底部電極14及び間接加熱装置15を使用して加熱し、下部の流下ノズル16から放射性廃棄物を含んだ溶融ガラスを流下し、炉下に設置されたキャニスタ17の中で固化するように構成されている。なお、ガラス溶融炉10の外壁は耐火レンガ等の断熱材18により構成されている。かかるガラス溶融炉10の炉底部側は、円錐面又は角錐面を有し、高さ方向に断面積が変化する形状を有している。
【0060】
そして、本実施形態のトモグラフィ装置1は、放射性廃棄物に含まれる白金族類の炉内の堆積状況を把握するために使用される。具体的には、ガラス溶融炉10の炉底部側が被計測物Aであり、白金族類の堆積状況を把握したい箇所に複数の電極2及び複数の温度センサ3を配置することにより計測断面Bを形成する。図示しないが、電源4、電圧計5、演算部6及び記憶部7は、炉外に配置される。また、ここでは、計測断面Bを一箇所に配置しているが、高さ方向に複数の計測断面Bを形成するようにしてもよい。
【0061】
白金族類は、溶融ガラスと比較して導電性が高く、かつ、白金族類は壁面に堆積しやすいため、上述した本実施形態に係るトモグラフィ計測方法を使用することに適しており、計測断面Bにおける電気インピーダンスを計測することにより、白金族類の濃度分布を把握することができ、白金族類の炉内の堆積状況を把握することができる。また、本実施形態に係るトモグラフィ装置1及びトモグラフィ計測方法を使用することにより、ガラス溶融炉10の運転を停止することなく、リアルタイムに白金族類の堆積状況を把握することができ、ガラス溶融炉10の洗浄やメンテナンスのタイミングを容易に把握することができる。
【0062】
また、図7(b)に示したように、温度センサ3は、絶縁体31により被覆されており、電極2の内部に埋め込まれている。すなわち、電極2は、絶縁体31を被覆する金属製のシース管により構成されている。かかる構成により、容易に電極2及び温度センサ3を略同じ位置に容易に配置することができる。温度センサ3による計測温度と電気インピーダンスとの相関関係は、ガラス溶融炉10の運転シーケンスによって幾つかのパターンに大別することができる場合もあり得る。かかる場合には、対応テーブルにガラス溶融炉10の運転シーケンスを関係付けておき、運転状況によって温度センサ3の計測温度に対応する電気インピーダンスの補正値又は補正係数を変更するようにしてもよい。
【0063】
上述した本実施形態に係るトモグラフィ装置1及びトモグラフィ計測方法は、かかるガラス溶融炉10に適用される場合に限定されるものではなく、計測断面Bが非等温場を有する場合に電気インピーダンスを計測したい場合や被計測物Aの壁面に堆積した導電性物質の状況を把握したい場合には、種々の溶融炉や焼却炉等に適用することができる。例えば、ガス及び砂が混合される流動床炉や、気液二相流を構成する蒸発管等の配管系においても適用することが可能である。
【0064】
本発明は上述した実施形態に限定されず、電位差計測には電気抵抗式に替えてキャパシタ式を使用してもよい、第三実施形態及び第四実施形態に係るトモグラフィ計測方法に対して第二実施形態に係るトモグラフィ計測方法を適用してもよい等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0065】
1 トモグラフィ装置
2 電極
2a 電流負荷電極
2b 計測対象電極
3 温度センサ
4 電源
5 電圧計
6 演算部
7 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気インピーダンス・トモグラフィ法を用いて、被計測物における計測断面の電気インピーダンスの分布を計測するトモグラフィ装置であって、
前記計測断面の外周に配置される複数の電極と、
前記複数の電極とともに配置される複数の温度センサと、
前記複数の電極から選択される隣接した一対の電流負荷電極に電流を供給する電源と、
前記複数の電極から選択される他の隣接する一対の計測対象電極の電位差を計測する電圧計と、
前記電流負荷電極に対して全ての前記計測対象電極の電位差を計測するとともに、前記複数の電極に対して全ての組合せの前記電流負荷電極を選択して前記計測対象電極の全ての電位差を計測することによって、前記電流負荷電極及び前記計測対象電極の全ての組合せについて電位差の計測データを取得し、該計測データに基づいて前記電気インピーダンス・トモグラフィ法による演算を行い、前記被計測物の電気インピーダンスの分布を導出する演算部と、を有し、
前記演算部は、導出された前記電気インピーダンスを、前記複数の温度センサが計測した計測温度に基づいて補正する、
ことを特徴とするトモグラフィ装置。
【請求項2】
前記計測温度による前記電気インピーダンスの変化を求めて、前記計測温度と前記電気インピーダンスとを対応付けた対応テーブルを作成し、該対応テーブルを格納した記憶部を有し、前記演算部は、前記対応テーブルを参照して、導出された前記電気インピーダンスを補正する、ことを特徴とする請求項1に記載のトモグラフィ装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記電極の数に応じて前記計測断面における複数の計測領域を設定し、該計測領域ごとに前記電気インピーダンスを導出するとともに前記計測温度に基づいて補正する、ことを特徴とする請求項2に記載のトモグラフィ装置。
【請求項4】
前記演算部は、前記被計測物の外縁からの距離に基づいて前記計測温度を補正する、ことを特徴とする請求項1に記載のトモグラフィ装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記電気インピーダンスの数値と前記被計測物内の導電性物質の濃度との関係を求めて前記電気インピーダンスの数値と前記導電性物質の濃度とを対応付けた濃度算出テーブルを格納し、前記演算部は、前記電気インピーダンスの数値から、前記濃度算出テーブルを参照して前記導電性物質の濃度を算出する、ことを特徴とする請求項2に記載のトモグラフィ装置。
【請求項6】
前記演算部は、前記被計測物の電気インピーダンスの分布に替えて、前記導電性物質の濃度分布を導出するようにした、ことを特徴とする請求項5に記載のトモグラフィ装置。
【請求項7】
電気インピーダンス・トモグラフィ法を用いて、被計測物における計測断面の電気インピーダンスの分布を計測するトモグラフィ計測方法であって、
前記計測断面の外周に複数の電極及び複数の温度センサを配置する準備工程と、
前記温度センサの計測温度による前記電気インピーダンスの変化を求めて前記計測温度と前記電気インピーダンスとを対応付けた対応テーブルを作成する対応テーブル作成工程と、
前記電極の個数に応じて前記計測断面を複数の計測領域に分割するメッシュ作成工程と、
前記複数の電極から選択される隣接した一対の電流負荷電極に電流を供給して、前記複数の電極から選択される他の隣接する一対の計測対象電極の電位差を計測する電位差計測工程と、
該電位差計測工程と同時に前記計測対象電極に対応する前記温度センサの温度を計測する温度計測工程と、
前記電位差計測工程及び前記温度計測工程を繰り返して、前記電流負荷電極及び前記計測対象電極の全ての組合せについて電位差の計測データを取得し、該計測データに基づいて前記電気インピーダンス・トモグラフィ法による演算を行い、前記被計測物の電気インピーダンスを算出する電気インピーダンス算出工程と、
該電気インピーダンス算出工程により算出された前記電気インピーダンスを前記計測温度から前記対応テーブルを参照して補正する電気インピーダンス補正工程と、
該電気インピーダンス補正工程により補正された電気インピーダンスを用いて分布画像を構成する電気インピーダンス分布導出工程と、を有する、
ことを特徴とするトモグラフィ計測方法。
【請求項8】
前記被計測物の外縁からの距離に基づいて前記計測温度を補正する計測温度補正工程を有する、ことを特徴とする請求項7に記載のトモグラフィ計測方法。
【請求項9】
前記電気インピーダンスの数値と前記被計測物内の導電性物質の濃度との関係を求めて前記電気インピーダンスの数値と前記導電性物質の濃度とを対応付けた濃度算出テーブルを作成する濃度算出テーブル作成工程と、
前記電気インピーダンスの数値から前記濃度算出テーブルを参照して前記導電性物質の濃度を算出して濃度分布を導出する濃度分布導出工程と、を有する、
ことを特徴とする請求項7に記載のトモグラフィ計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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