説明

トラクタのアシストグリップ

【課題】作業者が乗車、降車の際に容易に掴むことができるトラクタのアシストグリップをステアリングハンドルの前方に設けるとともに、作業者が掴み易いアシストグリップを提供しようとする。
【解決手段】操縦部4への乗車時、または降車時に、体重を支える為に、ハンドル11の前方に配置したアシストグリップ31において、前記アシストグリップ31を、左右一対の上方延出部32と、該上方延出部32の上端を連繋する水平延出部33とから略門型に形成するとともに、前記上方延出部32または水平延出部33またはその両方に、細径部32a・33aを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタのアシストグリップの技術に関し、特にハンドルの前方に配置して作業者が乗車、降車の際に容易に掴むことができるトラクタのアシストグリップの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からトラクタ等の作業車両においては、作業者がステップに足を載せて操縦部へ搭乗する際に、または、操縦部から降りる際に、身体を安定させ、容易に乗降できるように握る補助グリップとして、後輪のフェンダー上部に設けられたアシストグリップが公知となっている(例えば特許文献1を参照)。
【特許文献1】実公平7−34781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のアシストグリップは、操縦部の座席シートの両サイドに配設される為、例えば作業者は、座った状態から一旦腰を上げることも無く、自然に掴むことができる。従って、トラクタが不意に姿勢を崩した時等に、自身の身を守るべく姿勢を保持する為のグリップとしても有効である。
しかし、乗車、降車の際に、掴む可能性の高いステアリングハンドルは固定されていないために不安定となる。
【0004】
そこで、本発明はかかる課題に鑑み、作業者が乗車、降車の際に容易に掴むことができるトラクタのアシストグリップをステアリングハンドルの前方に設けるとともに、作業者が掴み易いアシストグリップを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、操縦部への乗車時、または降車時に、体重を支える為に、ハンドルの前方に配置したアシストグリップにおいて、前記アシストグリップを、左右一対の上方延出部と、該上方延出部の上端を連繋する水平延出部とから略門型に形成するとともに、前記上方延出部または水平延出部またはその両方に、細径部を形成したものである。
【0007】
請求項2においては、前記細径部は、前記上方延出部または水平延出部またはその両方の中途部外周に曲面状に形成したものである。
【0008】
請求項3においては、前記細径部は、前記上方延出部または水平延出部またはその両方の中途部に段差状に形成したものである。
【0009】
請求項4においては、操縦部への乗車時、または降車時に、体重を支える為に、ハンドルの前方に配置したアシストグリップにおいて、前記アシストグリップを、左右一対の上方延出部と、該上方延出部の上端を連繋する水平延出部とから略門型に形成するとともに、前記上方延出部を、前後幅広に構成し、該上方延出部の前後幅方向略中央部に孔を設けたものである。
【0010】
請求項5においては、操縦部への乗車時、または降車時に、体重を支える為に、ハンドルの前方に配置したアシストグリップにおいて、前記アシストグリップを、左右一対の上方延出部と、該上方延出部の上端を連繋する水平延出部とから略門型に形成するとともに、前記上方延出部又は水平延出部またはその両方の中途部外周に、凹部または凸部を形成したものである。
【0011】
請求項6においては、操縦部への乗車時、または降車時に、体重を支える為に、ハンドルの前方に配置したアシストグリップにおいて、前記アシストグリップを、左右一対の上方延出部と、該上方延出部の上端を連繋する水平延出部とから略門型に形成するとともに、前記上方延出部または水平延出部またはその両方の中途部外周に、連続した凹凸を設けたものである。
【0012】
請求項7においては、操縦部への乗車時、または降車時に、体重を支える為に、ハンドルの前方に配置したアシストグリップにおいて、前記アシストグリップを、左右一対の上方延出部と、該上方延出部の上端を連繋する水平延出部とから略門型に形成するとともに、前記上方延出部を側面視略「S」字状に形成したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
請求項1においては、細径部を形成することにより、作業者は乗車、降車の際に握り易く、また、滑ることなくしっかりアシストグリップを掴んで体を保持することができる。
【0015】
請求項2においては、アシストグリップを掴んで持ち易い位置まで滑らしながら移動でき、作業者が細径部を掴んだときの力が分散され保持力を保つことができる。
【0016】
請求項3においては、細径部と通常の直径で形成された部分が明確に分かれているため、細径部を掴んだ際に、作業者の手が滑ることを防止できる。
【0017】
請求項4においては、作業者は乗車、降車の際にアシストグリップを掴んだ時に、指または手を孔に挿入することで、しっかりアシストグリップを掴むことができ、滑ることなく確実に体を支えることができる。
【0018】
請求項5においては、作業者は乗車、降車の際に凹部に指をいれて、または凸部に指を引っ掛けて掴むことにより、しっかりアシストグリップを掴むことができ、滑ることなく確実に体を支えることができる。
【0019】
請求項6においては、アシストグリップを握った時に、凹凸に合わせて指を位置させることにより、握り易くフィットして、しっかりアシストグリップを掴むことができ、滑ることなく確実に体を支えることができる。
【0020】
請求項7においては、作業者は乗車、または、降車の際に、アシストグリップを斜め上方から掴めるようになり、容易に握れて、力を入れ易く体を確実に保持することができる。また、乗車時に、「ハ」字状に手を上げた状態からアシストグリップを掴むことができて、無駄な動きがなく、安定した体勢で握り、体を保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るトラクタの全体的な構成を示した側面図、図2は操縦部の斜視図、図3は操縦部の後方斜視図、図4はアシストグリップの取付部分を示した拡大後方斜視図、図5は操縦部の側面図である。図6は操縦部の平面図、図7はアシストグリップの正面図、図8はアシストグリップの側面図、図9は別実施例にかかる操縦部の側面図、図10は別実施例にかかる操縦部の側面図、図11は別実施例にかかる操縦部の側面図、図12は別実施例にかかる操縦部の側面図、図13は別実施例にかかる操縦部の側面図、図14は別実施例にかかる操縦部の平面図、図15は別実施例にかかる操縦部の平面図、図16は別実施例にかかるアシストグリップの正面図、図17は別実施例にかかる操縦部の平面図である。
【実施例1】
【0022】
[全体構成]
まず図1及び図2により、トラクタ1の全体構造について説明する。
トラクタ1は、エンジンフレーム2の上部前側にはエンジン部3が配設され、その後方に操縦部4が配設されている。前記エンジンフレーム2の前下部には、フロントアクスルケース(図示せず。)が左右揺動自在に配設され、該フロントアクスルケースに軸支された前車軸(図示せず。)の両端には、前輪6・6が軸支されている。一方、前記エンジンフレーム2の後方には、ミッションケース(図示せず。)が配設され、該ミッションケースの後部両側には、リヤアクスルケース(図示せず。)に軸支された後車軸(図示せず。)が設けられている。そして、該後車軸の両端部には、後輪7・7が軸支されている。
【0023】
前記エンジン部3はエンジンフレーム2の上部前側に配設されており、エンジンフレーム2上に、エンジン8が搭載されている。前記エンジン8からの動力は、前記ミッションケース内の変速装置や駆動伝達機構等を介して、前輪6・6や後輪7・7やPTO軸等に伝達される。また、エンジン8を覆うボンネット9内にはラジエータやバッテリ等が収納されている。
【0024】
前記操縦部4は、エンジン部3の後方に位置し、トラクタ1の略中央部から後方にかけて配設される。
前記ボンネット9の後方には、ダッシュボード10が配設され、その内部には、燃料タンク18等が収納されている。また、ダッシュボード10の上後部にはハンドル軸17を挿通するための開口部が設けられ、前記ハンドル軸17の上端にハンドル11が固設されている。また、該ハンドル11の前方には、回転数計や燃料計や警報ランプ等を配備した表示パネル12が配設され、該表示パネル12の前方、即ち前記ダッシュボード10の前部上面には、本発明に係るアシストグリップ(前アシストグリップ)31が配置されている。また、前記ダッシュボード10の後方には、座席シート13が配設され、該座席シート13の両側部には、アシストグリップ(横アシストグリップ)16・16が配置されている。該座席シート13とダッシュボード10の間の下部には、ステップ14が設けられており、これらハンドル11、座席シート13等により、操縦部4が構成されている。
尚、座席シート13の後方には、安全フレーム15が立設されている。
【0025】
[アシストグリップ]
次に、本発明に係るアシストグリップ31の実施例1について、図2乃至図8を用いて説明する。
アシストグリップ31は、樹脂製素材(ダッシュボード10と同素材。)で成形された一体型の「門型」形状から構成され、ダッシュボード10の上面部に配設される。即ち、図2及び図7に示すように、前記アシストグリップを、左右一対の上方延出部32と、該上方延出部32の上端を連繋する水平延出部33とから形成して、これらは継ぎ目無く一体型の「門型」形状から構成される。また、図4、図7及び図8に示すように、前記上方延出部32の下端は正面視略長方形に形成された基部34が突設されており、該基部34の下端からボルト35が突設している。
【0026】
次に、本発明に係るアシストグリップ31の取付について、図3及び図4を用いて説明する。
アシストグリップ31は、ダッシュボード10に直接取付けることも可能であるが、別体として、ダッシュボード10に開口した孔10aに前記基部34を挿通し、ダッシュボード10内に配置した取付部材(本実施例ではラジエータブラケット41に設けられたステー部42)に着脱自在に取付けることが好ましい。以下、その詳細を説明する。
【0027】
図3及び図4に示すようにボンネット9内後部には、エンジンフレーム2からラジエータブラケット41が立設されており、該ラジエータブラケット41の上部より機体後方に突出して、取付部となるステー部42が一体的に形成されている。該ステー部42の左右両側には、上部が開口された略筒状の嵌合部42aが一体的に形成され、該嵌合部42aの内部には前記ボルト35・35を挿通するためのボルト孔42b・42bが上下方向に開口されている。つまり、アシストグリップ両端基部34の形状に合わせた略筒状の嵌合部42aが、ラジエータブラケット41上のステー部42の左右両側上に一体的に構成されているのである。該ボルト孔42b・42bは前記ボルト35・35の本数に対応して開口されており、本実施例においては一箇所の嵌合部42aにつき前後二箇所のボルト孔42bが開口されている。また、本実施例では前面及び左右両側面に板状部材を立設して嵌合部42aを形成しているが、前記ステー部42の厚さを大きくし、嵌合部42aを刳り貫いて形成することも可能である。
【0028】
前記アシストグリップ31を前記ステー部42に取付ける際は、まず上方から前記基部34をダッシュボード10の孔10aに挿入する。その後、図7に示すようにアシストグリップ31を基部34の下端を前記嵌合部42aに嵌合させて、位置決めと支持を強固にするとともにボルト35・35をボルト孔42b・42bに挿入し、下方からナット52・52及びワッシャ53・53で締結するのである。このように取付けられたアシストグリップ31は、下端がボルト締結されるだけでなく、下部が嵌合部42aで強固に固定されるので、耐久性・水平方向の荷重に対する耐加重性が大きくなるのである。
このように構成することにより、アシストグリップの取付作業が容易になり、例えばアシストグリップに損傷があった場合にはアシストグリップのみを交換することで容易に修理をすることが可能となる。また、後述する形状の違うアシストグリップに変更することも容易となる。
【0029】
また、アシストグリップ31は側面視においてダッシュボード10上で上後方へ傾斜させており、前記アシストグリップ31の傾斜は前記表示パネル12の上部カバーの傾斜に合わせることで違和感なく意匠性を向上させている。こうして、操縦部4へ左右両側から乗車する場合に、ハンドル11の前方に位置するアシストグリップ31の上方延出部32を容易に握れるようにしている。
そして、アシストグリップ31の上側部はハンドル11の最上端部より低い位置まで達した後、左右両側から中央へ緩やかに上方に変化させ、継ぎ目無く連結され、正面視略逆U字状に形成される。換言すると、ハンドル11の上端の前下方にアシストグリップ31の上端が位置するように構成している。こうして、アシストグリップ31の水平延設部33の上端はハンドル11の上端よりも低くなるように配置し、また、アシストグリップ31の左右幅はハンドル11の左右幅より長くダッシュボード10の左右幅と略同じ、或いは、短く構成して、アシストグリップ31を上方や側方より容易に握れるようにするとともに、該アシストグリップ31と安全フレーム15により作業者の安全空間を形成している。
また、図2に示すように、アシストグリップ31は表示パネル12上方を跨いで左右方向に配置され、アシストグリップ31の内側と表示パネル12の外周との間に所定の空間Sを形成して、その間に指が入り、確実に握れるようにしている。
また、図6に示すように、アシストグリップ31の水平延出部33は平面視において、円弧状に構成しており、ハンドル11と略同心円状として、アシストグリップ31とハンドル11との間に所定の空間を形成して、ハンドル操作の邪魔にならないようにし、かつ、アシストグリップ31の水平延設部33を上から容易に握れるようにしている。
【0030】
アシストグリップ31の断面形状は略矩形の形状とし、鋭角部を排除した、曲線による構成を基本とするが、これに限定されるものでは無く、例えば、部材の剛性や、作業者の握り易さ等の理由から、円形、多角形、または独特の形状にて構成しても良い。
【0031】
また、前記アシストグリップ31の上方延出部32の上下方向略中央は作業者が持ちやすいように細径部32aを形成している。すなわち図5及び図8に示すように、上方延出部32の上下方向略中央部の細径部32aは手の大きさに合わせて握れる太さとし、その他の部分はその握る部分よりも太くして滑らないようにしている。具体的には幅が約5乃至6センチメートル程度に構成して、その他の部分より細く構成するものである。このように構成することにより、作業者は乗車、降車の際に細径部32aを持つことにより、しっかりアシストグリップを掴むことができる。また、トラクタが不意に姿勢を崩した時等に、咄嗟に掴んだときに滑ることもない。
また、図14に示すように、前記アシストグリップ31の水平延出部33に細径部33aを設けることも可能である。これにより、着座している作業者が立ち上がる際に細径部33aを持つことで、しっかりアシストグリップ31を掴むことができる。また、前記アシストグリップ31の上方延出部32と水平延出部33の両方に細径部32a、33aを設けることも可能である。
【0032】
また、図5及び図8に示すように、前記上方延出部32の細径部32aは他の部分と連続的に繋がるように形成され、中央部の細い部分は曲面状に軸心側に凹む構成としている。このように構成することにより、作業者が上方延出部32の細径部32aを掴んだときの力が分散され保持力を保つことができる。なお、本実施例では、図5及び図8に示すように上方延出部32の上下方向中央部のうち前部を曲面状に凹む構成としているが、この形状に限定せず、例えば後部を曲面で形成することもできるし、または、前後部を曲面で形成することも、側面を曲面に形成することも全周を曲面に凹む構成とすることも可能である。
また、水平延出部33に設けた細径部33aを他の部分と連続的に繋がるように形成し、中央部の細い部分を曲面状に軸心側に凹む構成とすることも可能である。このように構成することにより、作業者が水平延出部33の細径部33aを掴んだときの力が分散され保持力を保つことができる。
【0033】
尚、アシストグリップ31の素材については、本実施例の如く樹脂製素材に限定されるものでは無く、例えば、金属素材等を用いて形成しても良い。また、構成部品についても、本実施例の如く一体型に限定されるものでは無く、例えば、上方延出部と水平延出部を別部品で構成し、組立性の容易化を図る構成としても良い。また、アシストグリップ31はダッシュボード10と一体的に構成することも可能である。
【実施例2】
【0034】
次に、アシストグリップ31の上方延出部32の形状についての別実施例について説明する。なお、アシストグリップ31の上方延出部32以外の構成については、実施例1に記載した構成と同様とする。
図9に示すように、前記アシストグリップ31の上方延出部32は上下方向中央部分の細径部32aを側面視略コの字状に凹むように形成して他の部分より細く構成されている。すなわち、通常の太さの部分と凹状に構成された部分との間に段差ができている。このように構成することにより、細径部32aと通常の太さの部分が明確に分かれることになるため、細径部32aを掴んだ際に、作業者の手がすべることを防止できる。なお通常の太さの部分と凹状の部分の境となる角の部分は鋭角部を排除し曲線により構成したことにより作業者の手が傷つくのを防止している。
また、図15に示すように水平延出部33に設けた細径部33aと通常の太さの部分との間に段差ができるように構成することもできる。このように構成することにより、細径部33aと通常の太さの部分が明確に分かれることになるため、細径部を掴んだ際に、作業者の手がすべることを防止できる。
【実施例3】
【0035】
次に、アシストグリップ31の上方延出部32の形状についての別実施例について説明する。なお、アシストグリップ31の上方延出部32以外の構成については、実施例1に記載した構成と同様とする。
図10に示すように、前記アシストグリップ31の上方延出部32は上下方向中央部より下方に向かって側面視幅方向に広がる構成としており、その中央部に略相似形の孔32bを設けている。該孔32bは前または後の部分を握った時に指側が入る大きさとしており、この孔32bを除いた延出部のA−A´断面積は前述の上方延出部32の断面積とほぼ等しく構成している。このように構成することにより、作業者は乗車、降車の際に上方延出部32の中央部の孔32bに指(手先側)を入れて細くなった部分を持つことにより、しっかりアシストグリップ31を掴むことができる。また、トラクタ1が不意に姿勢を崩した時等に、咄嗟に掴むことが容易となり、滑ることもない。また、断面積が従来のアシストグリップ31の上方延出部32と変わらないため、作業者が掴むことにより応力がかかるときであっても十分な強度を得ることができる。
【実施例4】
【0036】
次に、アシストグリップ31の上方延出部32の形状についての別実施例について説明する。なお、アシストグリップ31の上方延出部32以外の構成については、実施例1に記載した構成と同様とする。
図11に示すように、前記アシストグリップ31の上方延出部32は上下方向中央部で上下方向に長い略長円形で溝状の凹部32cを設けている。該凹部32cには作業者がアシストグリップ31の上方延出部32を掴む際、指を掛けることができるようになっている。但し、前記とは逆に上方延出部32のは上下方向中央部で上下方向に長い凸部を設ける構成とすることもできる。このように構成することにより、作業者は乗車、降車の際に凹部32cに指を挿入して掴むことにより、しっかりアシストグリップ31を掴むことができる。また、トラクタ1が不意に姿勢を崩した時等に、咄嗟に掴むことが容易となる。
また、図16に示すように、水平延出部33に左右方向に長い略長円形で溝状の凹部33cを設けることも可能である。このように構成することにより、着座した作業者が立ち上がる際に、凹部33cに指を挿入して掴むことにより、しっかりアシストグリップを掴むことができる。
【実施例5】
【0037】
次に、アシストグリップ31の上方延出部32の形状についての別実施例について説明する。なお、アシストグリップ31の上方延出部32以外の構成については、実施例1に記載した構成と同様とする。
図12に示すように、前記アシストグリップ31の上方延出部32は、上下方向中央部の前後面に波型の凹凸部32dを設けている。該凹凸部32dは作業者がアシストグリップ31の上方延出部32を握った際に、凸部と凸部の間に指が入り込む大きさの凹凸形状としている。このように構成することで、しっかりアシストグリップ31を掴むことができる。また、トラクタが不意に姿勢を崩した時等に、滑ることなく咄嗟に掴むことが容易となる。但し、凹凸部32dは側面または全周に設けることも可能である。また、凹凸の間隔を狭くして多く設け、凹部の深さも浅くして滑り止めとすることも可能である。
また、図17に示すように、水平延出部33の前後面に凹凸部33dを設けることも可能である。該凹凸部33dは作業者がアシストグリップ31の水平延出部33を握った際に、凸部と凸部の間に指が入り込む大きさの凹凸形状としている。このように構成することで、しっかりアシストグリップ31を掴むことができる。
【実施例6】
【0038】
次に、アシストグリップ31の上方延出部32の形状についての別実施例について説明する。なお、アシストグリップ31の上方延出部32以外の構成については、実施例1に記載した構成と同様とする。
図13に示すように、前記アシストグリップ31の上方延出部32は、均一な太さで構成しており、側面視略「逆S」字となるように形成している。つまり、アシストグリップ31の上方延出部32は、側面視においてダッシュボード10上面から斜め前上方に所定長さ延出してから斜め上後方に折り曲げて所定長さ延出して、更に、斜め前上方に折り曲げて所定長さ延出している。
このように上方延出部32に二カ所の折り曲げ部を構成することにより、作業者はアシストグリップ31の上方延出部32を掴む際に、「逆S」字の折り曲げ部に上方より手をかけやすくなるため、搭乗する際にはアシストグリップ31をしっかり掴むことができる。降車する際には斜め前上方部分を上方より容易に握ることが可能となり、しっかり掴むことができる。また、トラクタ1が不意に姿勢を崩した時等に、折曲部で引っ掛かり滑ることがない。また、従来のアシストグリップと太さが変わらないため、作業者が掴むことにより応力がかかるときであっても十分な強度を得ることができる。
【0039】
以上のように、本発明にかかるトラクタ1のアシストグリップ31は、操縦部4への乗車時、または降車時に、体重を支える為に、ハンドル11の前方に配置したアシストグリップ31において、前記アシストグリップ31を、左右一対の上方延出部32と、該上方延出部32の上端を連繋する水平延出部33とから略門型に形成するとともに、前記上方延出部32または水平延出部33またはその両方に、細径部32a・33aを形成したものである。このように構成することにより、細径部を形成することにより、作業者は乗車、降車の際に握り易く、また、滑ることなくしっかりアシストグリップを掴んで体を保持することができる。
【0040】
また、前記細径部32aは、前記上方延出部32または水平延出部33またはその両方の中途部外周に曲面状に形成したものである。このように構成することにより、アシストグリップを掴んで持ち易い位置まで滑らしながら移動でき、作業者が細径部を掴んだときの力が分散され保持力を保つことができる。
【0041】
また、前記細径部32aは、上方延出部32または水平延出部33またはその両方の中途部に段差状に形成したものである。このように構成することにより、細径部と通常の直径で形成された部分が明確に分かれているため、細径部を掴んだ際に、作業者の手が滑ることを防止できる。
【0042】
また、操縦部4への乗車時、または降車時に、体重を支える為に、ハンドル11の前方に配置したアシストグリップ31において、前記アシストグリップ31を、左右一対の上方延出部32と、該上方延出部32の上端を連繋する水平延出部33とから略門型に形成するとともに、前記上方延出部32を、前後幅広に構成し、該延出部の前後幅方向略中央部に孔32bを設けたものである。このように構成することにより、作業者は乗車、降車の際にアシストグリップを掴んだ時に、指または手を孔に挿入することで、しっかりアシストグリップを掴むことができ、滑ることなく確実に体を支えることができる。
【0043】
また、操縦部4への乗車時、または降車時に、体重を支える為に、ハンドル11の前方に配置したアシストグリップ31において、前記アシストグリップ31を、左右一対の上方延出部32と、該上方延出部32の上端を連繋する水平延出部33とから略門型に形成するとともに、前記上方延出部32又は水平延出部33またはその両方の中途部外周に、凹部または凸部32c、33cを形成したものである。このように構成することにより、作業者は乗車、降車の際に凹部に指をいれて、または凸部に指を引っ掛けて掴むことにより、しっかりアシストグリップを掴むことができ、滑ることなく確実に体を支えることができる。
【0044】
また、操縦部4への乗車時、または降車時に、体重を支える為に、ハンドル11の前方に配置したアシストグリップ31において、前記アシストグリップ31を、左右一対の上方延出部32と、該上方延出部32の上端を連繋する水平延出部33とから略門型に形成するとともに、前記上方延出部32または水平延出部33またはその両方の中途部外周に、連続した凹凸32dを設けたものである。このように構成することにより、アシストグリップを握った時に、凹凸に合わせて指を位置させることにより、握り易くフィットして、しっかりアシストグリップを掴むことができ、滑ることなく確実に体を支えることができる。
【0045】
また、操縦部4への乗車時、または降車時に、体重を支える為に、ハンドル11の前方に配置したアシストグリップ31において、前記アシストグリップ31を、左右一対の上方延出部32と、該上方延出部32の上端を連繋する水平延出部33とから略門型に形成するとともに、前記上方延出部32を側面視略「S」字状に形成したものである。このように構成することにより、作業者は乗車、または、降車の際に、アシストグリップを斜め上方から掴めるようになり、容易に握れて、力を入れ易く体を確実に保持することができる。また、乗車時に、「ハ」字状に手を上げた状態からアシストグリップを掴むことができて、無駄な動きがなく、安定した体勢で握り、体を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施例に係るトラクタの全体的な構成を示した側面図。
【図2】操縦部の斜視図。
【図3】操縦部の後方斜視図。
【図4】アシストグリップの取付部分を示した拡大後方斜視図。
【図5】操縦部の側面図。
【図6】操縦部の平面図。
【図7】アシストグリップの正面図。
【図8】アシストグリップの側面図。
【図9】別実施例にかかる操縦部の側面図。
【図10】別実施例にかかる操縦部の側面図。
【図11】別実施例にかかる操縦部の側面図。
【図12】別実施例にかかる操縦部の側面図。
【図13】別実施例にかかる操縦部の側面図。
【図14】別実施例にかかる操縦部の平面図。
【図15】別実施例にかかる操縦部の平面図。
【図16】別実施例にかかるアシストグリップの正面図。
【図17】別実施例にかかる操縦部の平面図。
【符号の説明】
【0047】
1 トラクタ
2 エンジンフレーム
4 操縦部
6 前輪
7 後輪
10 ダッシュボード
11 ハンドル
31 アシストグリップ
32 上方延出部
33 水平延出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦部への乗車時、または降車時に、体重を支える為に、ハンドルの前方に配置したアシストグリップにおいて、前記アシストグリップを、左右一対の上方延出部と、該上方延出部の上端を連繋する水平延出部とから略門型に形成するとともに、前記上方延出部または水平延出部またはその両方に、細径部を形成したことを特徴とするトラクタのアシストグリップ。
【請求項2】
前記細径部は、前記上方延出部または水平延出部またはその両方の中途部外周に曲面状に形成したことを特徴とする請求項1に記載のトラクタのアシストグリップ。
【請求項3】
前記細径部は、前記上方延出部または水平延出部またはその両方の中途部に段差状に形成したことを特徴とする請求項1に記載のトラクタのアシストグリップ。
【請求項4】
操縦部への乗車時、または降車時に、体重を支える為に、ハンドルの前方に配置したアシストグリップにおいて、前記アシストグリップを、左右一対の上方延出部と、該上方延出部の上端を連繋する水平延出部とから略門型に形成するとともに、前記上方延出部を、前後幅広に構成し、該上方延出部の前後幅方向略中央部に孔を設けたことを特徴とするトラクタのアシストグリップ。
【請求項5】
操縦部への乗車時、または降車時に、体重を支える為に、ハンドルの前方に配置したアシストグリップにおいて、前記アシストグリップを、左右一対の上方延出部と、該上方延出部の上端を連繋する水平延出部とから略門型に形成するとともに、前記上方延出部又は水平延出部またはその両方の中途部外周に、凹部または凸部を形成したことを特徴とするトラクタのアシストグリップ。
【請求項6】
操縦部への乗車時、または降車時に、体重を支える為に、ハンドルの前方に配置したアシストグリップにおいて、前記アシストグリップを、左右一対の上方延出部と、該上方延出部の上端を連繋する水平延出部とから略門型に形成するとともに、前記上方延出部または水平延出部またはその両方の中途部外周に、連続した凹凸を設けたことを特徴とするトラクタのアシストグリップ。
【請求項7】
操縦部への乗車時、または降車時に、体重を支える為に、ハンドルの前方に配置したアシストグリップにおいて、前記アシストグリップを、左右一対の上方延出部と、該上方延出部の上端を連繋する水平延出部とから略門型に形成するとともに、前記上方延出部を側面視略「S」字状に形成したことを特徴とするトラクタのアシストグリップ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−35184(P2009−35184A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202356(P2007−202356)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】