説明

トラクター

【課題】熱交換器の冷却効率の低下を防止することができるトラクター100の提供を目的とする。
【解決手段】前端部に外気導入口8aを有するボンネット8で取り囲まれるエンジンルーム20と、エンジンルーム20内であって、外気導入口8aとエンジンルーム20の後方に配置されるエンジン2との間に配置される複数の熱交換器30と、エンジン2よりも前方のエンジンルーム20の下面を全て覆うようにして複数の熱交換器30の下方に配置される遮蔽板28と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクターに関し、特にインタークーラー、オイルクーラーなどの熱交換器の配置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンが収納されているエンジンルーム内の前方に、冷却ファン、エンジンの冷却水を冷却するラジエータを配置したトラクターが知られている。このようなトラクターにおいて、エンジンルーム内に、エンジンの過給機で圧縮された空気を冷却するインタークーラーや、油圧機器の作動油を冷却するオイルクーラー等の熱交換器が合わせて収容されている。例えば特許文献1の如くである。
【0003】
特許文献1のトラクターは、エンジンルームの機器を保持する前フレームの下部が外部と連通するように空洞に構成されるとともに、ラジエータの下方であって、前フレームの内部にオイルクーラーを配置している。これにより、冷却ファンによって吸引された外気は、冷却風としてオイルクーラーを通過した後に前フレームの下部の空洞からエンジンルームの外へ排出されるようになっている。
【0004】
しかし、特許文献1の技術においては、エンジンルームの下面が外部と連通しているため、トラクターの運転状態によってはラジエータとオイルクーラー等の熱交換器とを通過して加熱された冷却風が再びエンジンルーム内に逆流入する場合がある。そのため、熱交換器の冷却効率が低下してしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−163064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は係る課題を鑑みてなされたものであり、熱交換器の冷却効率の低下を防止することができるトラクターの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、前端部に外気導入口を有するボンネットで取り囲まれるエンジンルームと、前記エンジンルーム内であって、前記外気導入口と前記エンジンルームの後方に配置されるエンジンとの間に配置される複数の熱交換器と、前記エンジンよりも前方の前記エンジンルームの下面を全て覆うようにして前記複数の熱交換機の下方に配置される遮蔽板と、を備えるものである。
【0009】
請求項2においては、前記複数の熱交換器は、前記エンジンの前方に配置されるラジエータと、前記ラジエータの前方に配置されるインタークーラーと、前記インタークーラーの下方に前記インタークーラーと上下に並ぶように配置される油圧式無段変速機用オイルクーラーと、から構成されるものである。
【0010】
請求項3においては、前記遮蔽板には、前記外気導入口近傍に補助外気導入口が形成されるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、複数の熱交換器の下方が遮蔽板によって遮蔽されているので、エンジンの熱気や、熱交換器を冷却することで昇温された後に機外に排出された冷却風が、エンジンルームの下方からエンジンルーム内に再び流入することがない。これにより、熱交換器の冷却効率が低下することを防止することができる。
【0013】
請求項2においては、熱交換器であるインタークーラーと油圧式無段変速機用オイルクーラーとを上下に並んで配置することで、外気導入口から吸引された外気の流れ方向において、重複するように配置される熱交換器が減り、外気が冷却風として通過する熱交換器の数を少なくすることができる。これにより、熱交換器の冷却効率が低下することを防止することができる。
【0014】
請求項3においては、インタークーラーの下方に配置される油圧式無段変速機用オイルクーラーに近接する位置に補助外気導入口を形成することで、最背面に位置するラジエータ31の放熱効率を改善することができる。これにより、熱交換器の冷却効率が低下することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るトラクターの全体的な構成を示した側面図。
【図2】本発明の一実施形態に係るトラクターの無段変速機である油圧式無段変速機の構成を示す概略図。
【図3】本発明の一実施形態に係るトラクターのエンジンルーム内を示す斜視図。
【図4】本発明の一実施形態に係るトラクターの複数の熱交換器の接続を示す概略図。
【図5】本発明の一実施形態に係るトラクターのエンジンルーム内における冷却風の流れを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
まず、本発明に係る作業車両の実施の一形態であるトラクター100の全体構成について図1及び図2を用いて説明する。
以下の説明では矢印X方向をトラクター100の前方向、矢印Y方向をトラクター100の左方向として前後左右上下方向を規定する。
【0018】
トラクター100は種々の作業機(ロータリ等)を装着し、装着した作業機を用いて種々の作業を行うものである。
図1に示すように、トラクター100は、機体フレーム1が長手方向を前後方向として配置され、その後部でエンジン2に連結される。エンジン2の後部には、トラクター100の動力伝達機構の一部を収納するトランスミッションケース9が長手方向を前後方向として連結される。機体フレーム1の前部はフロントアクスルを介して左右一対の前輪4に支持され、トランスミッションケース9の後部はリアアクスルを介して左右一対の後輪5に支持される。
【0019】
そして、エンジン2の動力が前記動力伝達機構で変速された後、トランスミッションケース9に作業機装着装置3を介して装着された図示しない耕耘装置等の作業機にも伝達可能とされる。さらに、エンジン2の動力によって、駆動される図示しない油圧ポンプにより圧送される作動油を、機体フレーム1及びトランスミッションケース9に装着された図示しないフロントローダ等の作業機や作業機装着装置3に供給可能とされる。このようにして、エンジン2の動力が伝達されることによって、種々の作業機が駆動される。
【0020】
また、エンジン2の動力が前記動力伝達機構で変速された後、前記フロントアクスルを経て左右一対の前輪4に伝達可能とされるとともに、前記リアアクスルを経て左右一対の後輪5に伝達可能とされる。エンジン2の動力が伝達されることによって、左右一対の前輪4および左右一対の後輪5が回転駆動され、トラクター100の走行が行われる。
【0021】
トランスミッションケース9の上部においては、作業者が搭乗してトラクター100を操作するための運転操作部6が設けられ、キャビン7によって覆われる。また、キャビン7の前方は、前端部に外気導入口8a、及び、後部両側に排出口8bを有するボンネット8によって覆われたエンジンルーム20が構成される。エンジンルーム20内には、エンジン2及び複数の熱交換器30等が配置される。
【0022】
以下では、図2を用いてトランスミッションケース9、及び油圧式無段変速機(以下、単に「HST10」と記す)10について説明する。
【0023】
トランスミッションケース9は、矩形断面を有する略筒状の部材を複数連結して構成される。トランスミッションケース9は、その長手方向を前後方向として配置される(図1参照)。
【0024】
図2に示すように、HST10は、前記動力伝達機構の一部を成すものであり、エンジン2が発生する回転動力を無段階に変速するものである。HST10は、トランスミッションケース9内に配置される。HST10は、主としてポンプ入力軸11、チャージポンプ12、可変容量型の油圧ポンプ13、閉回路油路14、固定容量型の油圧モータ15、モータ出力軸16、アクチュエータ17等を具備する。但し、油圧モータ15を可変容量型として、油圧モータ15の可動斜板、または、油圧ポンプ13及び油圧モータ15の両方の可動斜板を制御する構成とすることも可能である。
【0025】
ポンプ入力軸11は、エンジン2によって回転されるフライホイール21の回転動力を伝達するものである。ポンプ入力軸11の一端は、フライホイール21に連動連結される。
【0026】
チャージポンプ12は、作動油を供給するものである。チャージポンプ12は、ポンプ入力軸11の他端が連動連結される。フライホイール21の回転動力は、ポンプ入力軸11を介してチャージポンプ12に伝達される。チャージポンプ12は、ポンプ入力軸11により伝達される回転動力により回転し、オイルタンクとしての役割を兼ねるトランスミッションケース9内の作動油を閉回路油路14に供給する。
【0027】
油圧ポンプ13は、作動油を吐出するものである。油圧ポンプ13には、チャージポンプ12を介してポンプ入力軸11の他端が連動連結される。フライホイール21の回転動力は、ポンプ入力軸11を介して油圧ポンプ13に伝達される。油圧ポンプ13は、ポンプ入力軸11により伝達される回転動力により回転し、作動油を吐出する。
油圧ポンプ13は、可動斜板13aを具備する。アクチュエータ17によって可動斜板13aの傾斜角度を調整することにより、作動油の吐出量及び吐出方向を変更することができる。
【0028】
閉回路油路14は、油圧ポンプ13によって吐出された作動油を案内するものである。閉回路油路14は、チャージポンプ12及び油圧ポンプ13に連通接続される。閉回路油路14は、ニュートラルバルブ14aや高圧リリーフバルブ14bが具備され、チャージポンプ12によってオイルタンク19から作動油が供給される。
【0029】
油圧モータ15は、圧送される作動油により回転するものである。油圧モータ15は、閉回路油路14に連通接続される。閉回路油路14によって案内される作動油により、油圧モータ15は回転する。すなわち、油圧ポンプ13から出力される動力は、閉回路油路14を通じて圧送される作動油によって油圧モータ15に伝達される。
【0030】
モータ出力軸16は、油圧モータ15の回転動力を伝達するものである。モータ出力軸16の一端は、油圧モータ15に連動連結され、モータ出力軸16の他端は、差動装置5aに連動連結される。油圧モータ15の回転動力は、モータ出力軸16を介して差動装置5aに伝達される。伝達された回転動力は、差動装置5aにより左右に分配され、前記リアアクスルを経て左右一対の後輪5に伝達される。
【0031】
HST10は、運転操作部6に具備される操作具6aによってアクチュエータ17が操作されることで油圧モータ15の回転数及び回転方向が調整されることにより、トラクター100の走行速度、走行方向を変更することができる。なお、本実施形態において、HST10は、アクチュエータ17によって調整されるものとしたがこれに限定されるものではなく、ワイヤーやレバーを介してHST10に接続される操作具6aによって操作される構成としてもよい。また、油圧式無段変速機はHSTに限らず、油圧を介して動力を伝達する構成を有するものであればよい。
【0032】
以下では、図3及び図4を用いてエンジンルーム20内に配置される冷却ファン22、複数の熱交換器30、遮蔽板28等について説明する。
【0033】
図3に示すように、送風装置としての冷却ファン22は、外気を冷却風としてエンジンルーム20内に吸引するとともに、複数の熱交換器30及びエンジン2を冷却した冷却風をエンジンルーム20外へ排出するものである。冷却ファン22は、エンジン2の方向に送風するようにエンジン2の前方に回転自在に支持される。冷却ファン22は、エンジン2のクランク軸からの回転動力により駆動される。冷却ファン22は、ボンネット8の外気導入口8aから外気を冷却風として吸引するとともに、冷却風をエンジン2の左右側方のボンネット8に形成される排出口8b、及び機体フレーム1の下方から排出可能なように配置される。
【0034】
複数の熱交換器30は、エンジンルーム20内において、エンジン2の前方にある機体フレーム1の上側に配置される。複数の熱交換器30は、ラジエータ31と、インタークーラー32と、油圧式無段変速機用オイルクーラーであるHST用オイルクーラー33・33と、を備える。
【0035】
ラジエータ31は、エンジン2の循環式冷却水を冷却するものであり、略直方体状に構成される。ラジエータ31は、放熱面が冷却ファン22と近接して対向するように、冷却ファン22の前方に配置される。
図4に示すように、ラジエータ31は、その後方に配置されたエンジン2のウォータージャケット2aに冷却水配管23を介して接続され、冷却水をエンジン2との間で循環させることができるように構成される。
【0036】
図3、図4に示すように、インタークーラー32は、エンジン2に付設された過給機24により圧縮された吸気を冷却するものである。インタークーラー32は、上下方向幅がラジエータ31の上下方向幅の略半分に設定される略直方体状に構成される。インタークーラー32は、後側放熱面がラジエータ31の前側放熱面と対向するように、エンジンルーム20内の上方に配置される。インタークーラー32の前方には、エンジン2が外気を吸入する略円筒状のエアフィルタ27が配置される。
図4に示すように、インタークーラー32は、エンジン2の吸気マニホールド25、および過給機24に吸気管26を介して接続される。つまり、吸気マニホールド25と過給機24のコンプレッサーとの間に吸気管26を介してインタークーラー32が接続される。
【0037】
図3に示すように、HST用オイルクーラー33・33は、HST10の作動油を冷却するものである。HST用オイルクーラー33・33は、上下方向幅がラジエータ31の上下方向幅の略半分に設定される略直方体状に構成される。HST用オイルクーラー33・33は、後側放熱面がラジエータ31の前側放熱面と対向するように、エンジンルーム20内に配置される。HST用オイルクーラー33・33は、その冷却効率を向上させるために、複数(本実施例においては2個)のHST用オイルクーラー33が前後方向に対向するようにして配置されている。そして、HST用オイルクーラー33・33は、エンジンルーム20内に冷却風として吸引された外気の流れ方向において(エンジンルーム20の側面視において)、他の熱交換器であるインタークーラー32と重複しないようインタークーラー32の下方に配置される。厳密に言えば、HST用オイルクーラー33・33は、その冷却風の通過部分がインタークーラー32の冷却風の通過部分と重複しないように配置される。
図4に示すように、HST用オイルクーラー33・33は、HST10(トランスミッションケース9)に給油管18を介して接続される。
HST用オイルクーラー33・33およびインタークーラー32の容量は、エンジン2の出力や作動油の使用量等によって決定されるが、大きさが定められている既製品または規格品を用いることによりコストの低減化が図られる。
【0038】
遮蔽板28は、エンジンルーム20内に機体フレーム1の下方から流入する外気を遮蔽するものである。遮蔽板28は板状部材から形成され、板面を上下方向として機体フレーム1の上側に密接して配置される。遮蔽板28は、上面視でボンネット8の下面開口部と略同一形状に形成され、ラジエータ31よりも前方のエンジンルーム20の下面を全て覆うように構成される。一方、機体フレーム1の前端部には、上面を開口した箱状に形成され、バッテリー29bが収納されるバッテリー収納部29が構成されている。したがって、遮蔽板28のうち、バッテリー収納部29の開口部と重複する部分にはバッテリー収納孔28aが形成される。
【0039】
バッテリー収納部29の開口部分の前後方向は、バッテリー29bの前後方向幅よりも大きく構成される。よって、バッテリー29bをバッテリー収納孔28aの後方に寄せてバッテリー収納部29内に配置することで、バッテリー収納部29には、バッテリー29bの前方に隙間が形成される。加えて、バッテリー収納部29の底面の前方には、機外と連通するようにして貫通孔29aが形成される。これにより、遮蔽板28は、バッテリー収納孔28aにおけるバッテリー29bの前方の隙間を補助外気導入口28bとして、貫通孔29aから流入する外気を冷却風としてエンジンルーム20に流入可能に構成される。
【0040】
次に、図5を用いて、冷却風の流れの態様について説明する。
【0041】
図5に示すように、冷却ファン22がエンジン2からの回転動力により回転駆動されると、冷却ファン22によって、外気が機外からエンジンルーム20内にボンネット8の外気導入口8a、及び遮蔽板28の補助外気導入口28bを通じて吸引される(白矢印A参照)。エンジンルーム20内に流入した外気は、冷却風としてエンジンルーム20後方の冷却ファン22に向かって流れる。
【0042】
エンジンルーム20内において、冷却風の一部は、外気導入口8aから流入してエアフィルタ27を迂回しながら、インタークーラー32を通過し(白矢印B参照)、その後にラジエータ31を通過する。冷却風の一部は、外気導入口8aから流入してエアフィルタ27を迂回しながら、HST用オイルクーラー33・33を通過し(白矢印C参照)、その後にラジエータ31を通過する。また、バッテリー収納部29の底面の貫通孔29aから流入した冷却風は、補助外気導入口28bからバッテリーを迂回するようにして、主にHST用オイルクーラー33・33を通過し(白矢印D参照)、その後にラジエータ31を通過する。
【0043】
この際、前述のように、インタークーラー32とHST用オイルクーラー33・33とが互いに重複しないように上下に配置されている。従って、エンジンルーム20内に流入した冷却風の大部分は、インタークーラー32又はHST用オイルクーラー33・33のどちらか一方を通過した後に、ラジエータ31を通過する。つまり、エンジンルーム20内に流入した冷却風は、インタークーラー32とHST用オイルクーラー33・33との両方を通過してラジエータ31に至ることがない。すなわち、インタークーラー32を通過して熱交換により暖められた冷却風が、HST用オイルクーラー33・33を通過して熱交換によりさらに暖められたあとにラジエータ31を通過することがない。
【0044】
そのうえ、インタークーラー32及びHST用オイルクーラー33・33が、冷却風の流れ方向において、それぞれ重複しないように配置されているため、エンジンルーム20内を通過する冷却風の通過抵抗がエンジンルーム20内の位置によらず略同一であり、冷却風の流れが特定の部分に集中することがない。
【0045】
エンジンルーム20内でインタークーラー32又はHST用オイルクーラー33・33を通過した後、ラジエータ31を通過することにより高温に暖められた冷却風は、エンジン2の後側方へ流れて、エンジン2の下方(灰色矢印E参照)、又はボンネット8の排出口8b(灰色矢印F参照)から機外へ排出される。この際、エンジン2の下方へ流れる冷却風は、機体フレーム1の下方からエンジンルーム20内に流入しようとしても遮蔽板28によって遮蔽される。
【0046】
以上の如く、前端部に外気導入口8aを有するボンネット8で取り囲まれるエンジンルーム20と、エンジンルーム20内であって、外気導入口8aとエンジンルーム20の後方に配置されるエンジン2との間に配置される複数の熱交換器30と、エンジン2よりも前方のエンジンルーム20の下面を全て覆うようにして複数の熱交換器30の下方に配置される遮蔽板28と、を備えるものである。
【0047】
このように構成することにより、複数の熱交換器30の下方が遮蔽板28によって遮蔽されているので、エンジン2の熱気や、複数の熱交換器30を冷却することで昇温された後に機外に排出された冷却風が、エンジンルーム20の下方からエンジンルーム20内に再び流入することがない。これにより、複数の熱交換器30の冷却効率が低下することを防止することができる。
【0048】
また、複数の熱交換器30は、エンジン2の前方に配置されるラジエータ31と、ラジエータ31の前方に配置されるインタークーラー32と、インタークーラー32の下方にインタークーラー32と上下に並ぶように配置される油圧式無段変速機用オイルクーラーであるHST用オイルクーラー33・33と、から構成されるものである。
【0049】
このように構成することにより、熱交換器であるインタークーラー32とHST用オイルクーラー33・33とを上下に並んで配置することで、外気導入口8aから吸引された外気の流れ方向において、重複するように配置される熱交換器が減り、外気が冷却風として通過する熱交換器の数を少なくすることができる。これにより、複数の熱交換器30の冷却効率が低下することを防止することができる。
【0050】
また、遮蔽板28には、外気導入口8a近傍に補助外気導入口28bが形成されるものである。
【0051】
このように構成することにより、インタークーラー32の下方に配置されるHST用オイルクーラー33・33に近接する位置に補助外気導入口28bを形成することで、最背面に位置するラジエータ31の放熱効率を改善することができる。これにより、複数の熱交換器30の冷却効率が低下することを防止することができる。
【符号の説明】
【0052】
2 エンジン
8 ボンネット
8a 外気導入口
20 エンジンルーム
28 遮蔽板
30 複数の熱交換器
100 トラクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端部に外気導入口を有するボンネットで取り囲まれるエンジンルームと、
前記エンジンルーム内であって、前記外気導入口と前記エンジンルームの後方に配置されるエンジンとの間に配置される複数の熱交換器と、
前記エンジンよりも前方の前記エンジンルームの下面を全て覆うようにして前記複数の熱交換機の下方に配置される遮蔽板と、を備えるトラクター。
【請求項2】
前記複数の熱交換器は、
前記エンジンの前方に配置されるラジエータと、
前記ラジエータの前方に配置されるインタークーラーと、
前記インタークーラーの下方に前記インタークーラーと上下に並ぶように配置される油圧式無段変速機用オイルクーラーと、から構成される請求項1に記載のトラクター。
【請求項3】
前記遮蔽板には、
前記外気導入口近傍に補助外気導入口が形成される請求項1または請求項2に記載のトラクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−136083(P2012−136083A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288214(P2010−288214)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】