説明

トラクタ

【課題】従来のフレーム成形部品は、部品強度を上げるために樹脂素材の使用量を増やして成形品の層厚を厚くする必要があり、製造コストが高くなり、部品点数が多いため組立工数が増える課題があった。
【解決手段】車体の後部に設けるセミクローラ、又は後輪の上方に配置して、上面には複数の操作レバーの案内溝が前後方向に複数形成された左右両側のフェンダーと、該左右フェンダーの間に、オペレーター用のシートを装置するために設けるシートパネルと、前記左右フェンダーの前半部分を前部下方に湾曲して形成した前縁から連続して前方に延長して形成する左右両側のステップとの三部材を、合成樹脂材を素材として一体に成形してトラクタ用のフレーム成形部品に形成し、該フレーム成形部品を、前記車体の操縦位置に装置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、合成樹脂を素材として成形し、フェンダーと、ステップと、シートパネルとを一体に形成したトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からトラクタのフェンダーは、合成樹脂材を素材にして前側に接続するステップと一体に成形して部品点数を少なくし、コストの低減を目的として合理化を図る技術が開発されている。
【0003】
例えば、特開昭61−211174号公報に示されている発明は、操縦席横側の車輪を覆うフェンダーと、操縦席前側の操縦フロアー横部のステップ部とを一体的にして、該操縦席、及び操縦フロアー部に対して開閉可能に構成した点を主要部としている。上記従来型は、公開公報に開示されているように、フエンダー部とステップ部とを一体的に開放できるため、これらフェンダー部とステップ部とによって覆われている操縦席部、及び操縦フロアー部が大きく開放され、内部の点検整備、及び清掃が容易にできると記載されている。
【特許文献1】特開昭61−211174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から、トラクタに成形部品として使用されているフェンダー、シート・パネル、ステップの3部材を、合成樹脂材を素材として一体の成形部品として製作されているものはなく、それぞれ単品の成形部品であったり、前項で本件出願人が提示した特許文献1に示されているように、ステップとフェンダーとの2部材をまとめて一体として一つのフレーム成形部品に成形するようになっていた。このように、従来のフレーム成形部品は、1部材か、せいぜい2部材を一つの成形部品としていたから、肉厚を厚くして部品強度を上げるために使用する樹脂素材の量が多く必要となって、製造コストが高くなり、更には、製品の組立工程において、部品点数が多いために工数が増えてコスト高になる課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するために、つぎの如き技術手段を講じている。
まず、請求項1に記載した発明は、車体(1)の後部に設けるセミクローラ(2)、又は後輪(3)の上方に配置して、上面には複数の操作レバー(4)の案内溝(5)が前後方向に複数形成された左右両側のフェンダー(6,6)と、該左右フェンダー(6,6)の間に、オペレーター用のシート(7)を装置するために設けるシートパネル(8)と、前記左右フェンダー(6,6)の前半部分を前部下方に湾曲して形成した前縁から連続して前方に延長して形成する左右両側のステップ(9,9)との三部材(6,8,9)を、合成樹脂材を素材として一体に成形してトラクタ用のフレーム成形部品(10)に形成し、該フレーム成形部品(10)を、前記車体(1)の操縦位置に装置する構成としたトラクタとしたものである。
【0006】
前記三部材(6,8,9)を一体成形することによって、単品成形に比較して強度がアップし、従来必要としていた別体の補強用のフレームが省略できる利点があり、トラクタの車体(1)に組み立てる行程においても、工数の低減が図れるものとなる。
【0007】
また、請求項2に記載した発明は、前記フレーム成形部品(10)は、前記車体(1)に設けた取付部(11)に連結して支持し、該フレーム成形部品(10)の前後、略中間位置で上下方向に発生する変形の中心部、乃至はその近傍部位に、下側からインシュレーター(12)を装備して、前記車体(1)上から弾性的に受止め支持する構成とした請求項1記載のトラクタとしたものである。
【0008】
使用中に極端な変形が予測できる部位に、予め、変形部を下側から支持して受け止め出来るインシュレーター(10)を設けておき、変形時に受け止め支持して、極端な歪みの発生を未然に阻止して破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
まず、請求項1の発明は、左右両側のフェンダー(6,6)と、該フェンダー(6,6)の間に位置するシートパネル(8)と、前記フェンダー(6,6)の前縁に連続して前方へ延長した左右両側のステップ(9,9)との三部材(6,8,9)を、合成樹脂材を素材として一体に成形してトラクタ用のフレーム成形部品(10)に形成したから、従来のフレーム成形部品のように、単品か、せいぜい2部材を一つの成形部品としていたものに比較して限られた樹脂素材の量で強度が確保できるものとなり、製造コストの低減ができる特徴がある。
【0010】
そして、この発明は、上述の如く、部品点数の削減に基づき製品の組立工程において、当然組立工数が削減できるから製造コストの低減ができる特徴がある。更に、この発明は、左右両側のフェンダー(6,6)には、その上面に操作レバー(4)の案内溝(5)まで加工してあり、別体の操作案内プレートの製作、組み立ての全てを削減できる特徴もある。
【0011】
つぎに、請求項2の発明は、フレーム成形部品(10)を車体(1)に装着して作業を行うとき、例えば、オペレーターがステップ(9)上に立つと、その部分に集中的に荷重がかかり変形する虞があるように、作業中に当然、極端な変形が起きるであろうと予測できる部位に、予め、歪みを下側から支持して弾性的に受け止めることが出来るインシュレーター(12)を設けておき、変形時には、すぐに、インシュレーター(12)で受け止めて支持し、その部分の極端な歪みの発生を未然に阻止して全体の破損を防止する特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、トラクタ15全体の概要について説明する。トラクタ15は、図6に示すように、通常、後輪3を軸装する車軸16に左右一対のセミクローラ2を装備した構成であって、該セミクローラ2は、前部のボンネットカバー17内に搭載したエンジン18からミッション装置19を経由して前記車軸16から出力される回転動力により駆動スプロケット20が駆動され、走行動力が伝動される構成となっている。そして、運転席21は、車体1の後部上側に搭載されているキャビン22の室内に設けられ、その左右側方位置や前方部には、各種の操作レバー4やステアリングハンドル23等が集中的に配置されており、オペレーターが座った状態でトラクタ15の運転ができる構成となっている。
【0013】
つぎに、本件出願発明の主要部となるフレーム成形部品10について、実施例を説明する。
まず、フレーム成形部品10は、図1に示すように、左右両側のフェンダー6,6と、該フェンダー6,6の間に、オペレーター用のシート7を装置するために設けるシートパネル8と、前記フェンダー6,6の前部、低位置に連続した左右両側のステップ9,9との三部材6,8,9を一体として成形部品とした構成としている。この場合、フレーム成形部品10は、合成樹脂材を素材として一体に成形して一個のトラクタ用の成形部品に形成したものである。
【0014】
そして、フェンダー6,6は、前記したセミクローラ2を覆う形状にして、その上方に配置(図6参照)できるものとし、上面の内側寄りにはレバー案内板24として多数の操作レバー4を案内する複数条の案内溝5を前後方向に設けて構成している(図1参照)。そして、シートパネル8は、前記した運転席21となるシート7を取付け支持ができる形状に成形し、前記左右のフェンダー6,6の間に設けられた構成となっている。そして、左右両側のステップ9,9は、図1、及び図3に示すように、前記フェンダー6,6の前半部分を前部下方に湾曲して形成し、その前縁から連続して前方に延長して形成した構成としている。
【0015】
このように、フレーム成形部品10は、上記三部材6,8,9を一体として一個の成形部品に形成し、トラクタ用の部品として構成している。
そして、フレーム成形部品10は、図2、及び図3に示すように、左右両側のステップ9,9の前部分に前部取付用フレーム25,25を固着し、更に、シートパネル8の後部に左右に渡して後部取付用フレーム26を設けて構成している。そして、前部取付用フレーム25,25と後部取付用フレーム26とは、図面に示すように、それぞれマウント27を装備して緩衝機能を保持させてトラクタ15の車体1上に取り付けた構成としている。この場合、トラクタ15は、組立工程の手順として、まず、車体1上に、上記のように前部取付用フレーム25,25と後部取付用フレーム26と設けたフレーム成形部品10を、車体1の取付部11に取り付けた後、図6に示すように、キャビン22を搭載する。そして、前記した運転席21は、シートパネル8上にオペレーター用のシート7を取り付けて構成している。
【0016】
このように、前記フレーム成形部品10は、前部取付用フレーム25,25と後部取付用フレーム26とによって、前部と後部とのそれぞれ左右の両方を車体1に設けた取付部11に連結して支持し、その中間部分に後述するインシュレーター12を下側に設けて変形度合いが大きいときにのみ車体1で受け止めて支持できる構成としている。すなわち、インシュレーター12は、図4、及び図5に示すように、前記フレーム成形部品10の前後の略中間位置において、上下方向に発生する変形の中心部、乃至はその近傍部位に下側から設けて下方に変形して歪んだ部分を下方の車体1上にインシュレーター12を直接接当させて弾性的に受止め支持する構成としている。
【0017】
以上、述べたように、実施例は、左右両側のフェンダー6,6と、該フェンダー6,6の間に位置するシートパネル8と、前記フェンダー6,6の前縁に連続して前方へ延長した左右両側のステップ9,9との三部材6,8,9を、合成樹脂材を素材として一体に成形してトラクタ15用のフレーム成形部品10に形成したから、従来のフレーム成形部品のように、単品か、せいぜい2部材を一つの成形部品としていたものに比較して限られた樹脂素材の量で強度が確保できるものとなり、製造コストの低減を図ることができるものとなった。従来のように、例えば、左右両側のフェンダー6,6と、その間に設けるシートパネル8とを一体に成形して、左右のステップ9,9を別部品に製造すると、補強のためにフロアフレームが必要となって、大幅にコスト高になる問題点が、実施例によって解消されている。
【0018】
そして、実施例は、上述の如く、部品点数の削減に基づき製品の組立工程において、当然組立工数が削減できるから製造コストの低減ができる利点と、更に、実施例の場合、左右両側のフェンダー6、6には、その上面を、操作レバー4の案内溝5を加工したレバー案内板24に形成して、別体の操作レバーの案内プレートの製作、組み立ての全てを削減している。
【0019】
そして、実施例は、トラクタ15に取り付けたフレーム成形部品10において、作業中に当然、極端な変形が起きるであろうと予測できる部位、例えば、オペレーターがステップ9上に立つと、その部分に集中的に荷重がかかって下方側に変形するであろうと思われる部分に、歪みを下側から支持して受け止めるために、インシュレーター12を取り付けた構成にしている。したがって、実施例は、作業中に想定位置に変形が発生すると、すぐに、インシュレーター12で下側から車体1上に受け止めて支持し、その部分の極端な歪みの発生を未然に阻止して全体の破損を未然に防止するものとなった。
【0020】
つぎに、図7、乃至図9に示すマットガード30の実施例について説明する。
従来のフェンダーは、横外側に幅広く形成してセミクローラ2を被い、持ち回りによる泥土の跳ね上げ量を比較的少なくしていたが、予測した効果に対してコストが大幅に高くなっていた。それに対して、実施例は、幅狭いフェンダーに変更してコスト低減を図りながら、跳ね上げられる泥土を安価なマットガード30によって防泥する構成とした。
【0021】
まず、ステップ9,9は、図面に示すように、左右のフェンダー6,6の低部前縁から連続して前方に延長して設けられ、その下方には、若干の間隔を隔てて階段状に外側に出してサブステップ31を設けて乗降するオペレーターの踏み台を構成している。そして、マットガード30は、図8に示すように、上縁をフェンダー6,6の上下中間部分に位置させて外側にはみ出した状態にしてステップ9,9の後方からサブステップ31,31の後方まで下方側に延長して取り付けた構成としている。実施例の場合、マットガード30は、EVAシートで構成している。
【0022】
したがって、マットガード30は、比較的安価に製作できて、セミクローラ2が持ち回ってきる泥土を受け止め、充分な防泥効果を発揮することができるものとなった。そして、マットガード30は、ステップ9,9から下側のサブステップ31,31まで達するように、下部(サブステップ31,31側)を前側に折り曲げて形成したから、強度が付加されて比較的強い構造となっている。そして、実施例の場合、マットガード30は、前述のとおり、上端部をフェンダー6の上下中間の高さ位置にして外側にはみ出した状態でステップ6,6の後方から下側のサブステップ31の後方まで下方に延長して取り付けた構成としているから、材料費が節約できてコスト低減が図れ、比較的大きな防泥効果が発揮できる特徴がある。
【0023】
つぎに、HSTの変速操作装置において、ペダルによる変装操作装置について実施例を説明する。
従来のこの種装置は、例えば、特開2006−76525号公開特許公報によって公開されているように、前進ペダルと後進ペダルとを支持する回動支持軸と、第二の回動支持軸とは、別のブラケットに支持された構成となっている。それに対して、以下に説明する実施例は、ペダルアーム34a,34bの支持軸35と、カウンターシャフト37とを同一のHSTペダルブラケット33に支持した点に特徴がある。
【0024】
まず、HSTペダルブラケット33は、図10、及び図11に示すように、前進側ペダルアーム34aと後進側ペダルアーム34bとのそれぞれの回動筒を支持する支持軸35の軸架支持孔36と、カウンターシャフト37の軸受支持部38と、ポテンショメーター39の取付支持部40とから構成し、車体1のフロアー41の下側に着脱自由に取り付けができる構成としている。この場合、実施例は、図11に示すように、支持孔36には支持軸35を軸架して設け、軸受支持部38にはカウンターシャフト37を軸装してサブ組み立てをしてHSTペダルASSYとして完成した後、フロアー41に後付けできる構成としている。そして、支持軸35には、前進側と後進側との二つのペダルアーム34a,34bを軸着し、連動ロット42a,42bと連動アーム43a,43bとを介して前記カウンターシャフト37に連動可能に連結して構成している。そして、ポテンショメーター39は、取付支持部40に設けられ、前記カウンターシャフト37の回転を検出して図外のHSTのトラニオン軸に電気的に接続して制御する構成となっている。
【0025】
以上のように、予め、サブ組みをしたHSTペダルASSY(図11の状態)45は、図12に示すように、フロアー41の下側にねじ止めによって着脱自由に取り付けできる構成としている。
【0026】
そして、上記実施例に係るHSTペダルASSY45は、型式の異なる大型機(図13(a)参照)のフロアー41でも小型機(図13(b)参照)のフロアー41でも、予め、前記HSTペダルブラケット33を、大型用と小型用との2型式用意してサブ組立てをすれば、取付面の傾斜の違う場合でも簡単に取り付けができる。例えば、大型機のフロアー41は、図13(a)に示すように、水平状になっている場合には、それに適したブラケット33を使用し、図13(b)に示す小型機の場合の場合には、傾斜した取付面に合ったブラケット33を使用すれば、比較的簡単に取り付けることが可能となる。
【0027】
このように、実施例は、各型式に合わせてブラケットのみを用意すれば、それ以外の各部品は、共用できる優れた特徴があり、大幅にコスト低減をはかることができる特徴がある。
【0028】
つぎに、燃料タンク50とエンジン51との間の装備する水抜きフィルター52とメインフィルター53とについて、図面に基づき実施例を説明する。
まず、実施例は、図14に示すように、燃料タンク50とエンジン51との間に配置して、燃料中に混入している水や塵等の夾雑物を除去する水抜きフィルター52とメインフィルター53との高さに段差を設けて設置し、燃料タンク50、水抜きフィルター52、メインフィルター53、エンジン51の順番に燃料ホース49で接続し、送油の過程で燃料から効果的に水抜きと夾雑物のフィルター処理を行うことができる構成としている。
【0029】
実施例の場合、水抜きフィルター52は、メインフィルター53より低い位置に配置し、燃料タンク50から燃料ホース49を通して供給された燃料中の水抜き作用をして、メインフィルター53に燃料を供給するが、その場合、メインフィルター53より位置が低いために、メインフィルター53側へ水の循環が極力防止できるものとなっている。
【0030】
なお、実施例の場合、メインフィルター53は、エンジン51の燃料供給口54よりも上側の高い位置に配置したから、燃料供給が円滑に行われ、エアの流入がほとんど発生しない構成となっている。
【0031】
つぎに、図15(a)に示す燃料フィルター55は、容器56の容積を、内側に装備したフィルターペーパー57の下部位置より下側に拡大して水の溜り部58を広くとった構成としている。このように構成することによって、燃料フィルター55は、水の溜り部58に水が満杯(フィルターペーパー57の底面に水が触れるまでの時間)に達するまでの時間が長くかかるからメンテナンスの回数が減って、メンテナンスコストを下げることが出来る特徴がある。
【0032】
つぎに、図15(b)に示す燃料フィルター55は、全体の容積を前述のとおり下側に大きくした構成であって、下部に水抜き栓59を設けて水抜きができる構成にしたものである。従来、燃料フィルター55のメンテナンスは、水が溜まると全体を外して排水を行っていたが、実施例のように、水抜き栓59を設けると、栓59を抜けば排水が可能であって、メンテナンスに手間がかからず楽に出来る特徴がある。
【0033】
そして、圧力式自動開閉水抜き栓60は、図15(c)に示すように、圧縮スプリング61を利用して圧力弁式に構成すると、水が一定量溜まると、自動的に開いて排水が可能となり、排水が完了すると自動的に閉まる構成にすることができる。
【0034】
そして、図15(c)の実施例は、高分子ろ過膜62を使用しており、ろ過膜62によって水のみを流下させて油から水を、確実に分離できる利点があり、フィルターペーパー57を長持ちさせることが出来るものとなった。
【0035】
つぎに、駐車ブレーキ65の実施例を、図16、乃至図17に基づいて説明する。
実施例に係る駐車ブレーキ65は、図16に示すように、操作ロット66の上部をパーキングペダル67のアーム68の端部に連結し、下部をL型連動アーム69の上部に接続して構成している。そして、前記アーム68は、中間部を機体に枢着しており、一方の端部に設けたパーキングペダル67を踏み込むと、他方に連結した操作ロット66が連動して上動する構成としている。
【0036】
そして、連杆70は、前端部を前記L型連動アーム69の枢着部から下側に延長したアーム部69aに連結して後方のブレーキ装置71側に延長し、後端部に接続長孔72を開口してブレーキ操作アーム73の中間部分に接続して駐車ブレーキ操作力が伝達される構成としている。そして、前記連杆70は、後端部に設けた前記接続長孔72の範囲内において、別機構によって走行中のブレーキ操作が支障なく行われる構成となっている。
【0037】
そして、前記L型連動アーム69は、図17(a)、乃至図17(c)に示すように、回動支点(前記枢着部)の外側に複数段の係止段部74を有する係止カム75を固着して、ロック部材76によって係脱自由に係止できる構成としている。そして、ロック部材76は、図面に示すように、支点P越えして作動するスプリング77に接続させて設け、ロック時(図17(b)参照)とロック解除時(図17(a)参照)とに支点Pを越えてばね圧によって位置保持ができる構成となっている。78はパーキングスプリングを示している。
【0038】
この場合、前記L型連動アーム69は、パーキングスプリング78が働いて、図17(a)の位置ではパーキングペダル67が踏み込まれていない状態(駐車ブレーキ65がかからない状態)を示し、ロック部材76も開放位置にあり、スプリング77が支点Pの左にある。
【0039】
つぎに、前記L型連動アーム69は、図17(b)の位置では、パーキングペダル67が踏み込まれて、駐車ブレーキ65がかかった位置であって、ロック部材76が、回動してきた係止カム75の係止段部74に係合してロック状態にあり、スプリング77が支点Pの右にある。
【0040】
つぎに、前記L型連動アーム69は、図17(c)の位置がパーキングペダル67を前記パーキングスプリング78に抗して踏み込んだ状態を示し、駐車ブレーキ65を解除しようと踏み込んだ位置であって、下側に回動してきた係止カム75の押し離し作用でロック部材76が、上部に押圧されてロック状態を解除して、スプリング77を支点Pの右に変位する作動状態を示している。
【0041】
以上のように、実施例は、駐車ブレーキ65の操作を、煩わしい操作をすることなく、行うことが可能となり、ブレーキ状態のロックと解除との切替操作をパーキングペダル67の踏み込み操作のみで可能とし、楽な体勢で操作ができる特徴がある。
【0042】
つぎに、トラクタ車体の前部に装着しているフレーム枠80に、図18、乃至図20に示すように、複数の取付孔81,81、及び調節用孔82を設けて、揺動ストッパー83と、フロントPTOを固定するためのプレート84(ステー)とを取付けた実施例を説明する。
【0043】
これら揺動ストッパー83と、プレート84とは、限られた特殊な地域で使用するトラクタに装備する構成であって、図面に示すように、前者は、前部アクスルブラケット85の上下揺動を規制する機能(図19参照)を有し、後者は、フロントPTOを固定するためのステーとして利用する構成である。
【0044】
まず、揺動ストッパー83は、図19に示すように、前部アクスルブラケット85の上側において、2個の取付孔81,81と、その上側に調節用孔82とを設けて、下側の揺動を規制できる位置と、反転させて上側の調節用孔82に取付け替えると規制を解除する位置とに調節できる構成としている。
【0045】
そして、プレート84は、図18、及び図20に示すように、フレーム枠80の前部位置に取付孔81,81を設けて取付けができる構成としている。従来、プレート84は、フロントピボットに取付孔を設けて取付けていたが、その取付孔をフレーム枠80に変更してコストダウンを図った。
【0046】
フロントピボットは、鋳物製品であるから、取付孔のために鋳物型を改造する必要があるが、型代がコストアップとなる。それに対して、フレーム枠80に取付孔81,81を設ける工数がはるかに安く、製造コストを大幅に低減できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】フレーム成形部品の平面図
【図2】フレーム成形部品に取付用フレームを装着した平面図
【図3】図2の側面図
【図4】インシュレーターを装置した要部の側面図
【図5】図4の要部拡大図
【図6】トラクタの側面図
【図7】フレーム成形部品にマットガードを取り付けた斜面図
【図8】マットガードを取り付けたフレーム成形部品の正面図
【図9】マットガードを取り付けたフレーム成形部品の側面図
【図10】HSTペダルブラケットの側面図
【図11】HSTペダル組立部品の側面図
【図12】フロアにHSTペダル組立部品を取り付けた状態の側面図
【図13】(a)大型機のフロアにHSTペダル組立部品を取り付けた正面図 (b)小型機のフロアにHSTペダル組立部品を取り付けた正面図
【図14】水抜きフィルターとメインフィルターとの側面図
【図15】(a)燃料フィルターの側面図 (b)水抜き栓を有する燃料フィルターの側面図 (c)圧力式自動開閉水抜き栓の側面図
【図16】駐車ブレーキの操作機構の側面図
【図17】(a)駐車ブレーキ操作機構中のL型連動アームの作用側面図 (b)駐車ブレーキ操作機構中のL型連動アームの作用側面図 (c)駐車ブレーキ操作機構中のL型連動アームの作用側面図
【図18】フレーム枠に取り付けた揺動ストッパーの側面図
【図19】揺動ストッパーの調節位置を示す作用図
【図20】フレーム枠にプレートを取り付けた側面図
【符号の説明】
【0048】
1 車体 2 セミクローラ
3 後輪 4 操作レバー
5 案内溝 6,6 フェンダー
7 シート 8 シートパネル
9、9 ステップ 10 フレーム成形部品
11 取付部 12 インシュレーター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(1)の後部に設けるセミクローラ(2)、又は後輪(3)の上方に配置して、上面には複数の操作レバー(4)の案内溝(5)が前後方向に複数形成された左右両側のフェンダー(6,6)と、該左右フェンダー(6,6)の間に、オペレーター用のシート(7)を装置するために設けるシートパネル(8)と、前記左右フェンダー(6,6)の前半部分を前部下方に湾曲して形成した前縁から連続して前方に延長して形成する左右両側のステップ(9,9)との三部材(6,8,9)を、合成樹脂材を素材として一体に成形してトラクタ用のフレーム成形部品(10)に形成し、該フレーム成形部品(10)を、前記車体(1)の操縦位置に装置する構成としたトラクタ。
【請求項2】
前記フレーム成形部品(10)は、前記車体(1)に設けた取付部(11)に連結して支持し、該フレーム成形部品(10)の前後、略中間位置で上下方向に発生する変形の中心部、乃至はその近傍部位に、下側からインシュレーター(12)を装備して、前記車体(1)上から弾性的に受止め支持する構成とした請求項1記載のトラクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−83620(P2009−83620A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−254778(P2007−254778)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】