トラクタ
【課題】ボンネットで覆われるトラクタ車体の前部にエンジンを設けたトラクタにおいて、メンテナンスを容易にする。
【解決手段】ボンネット1で覆われるトラクタ車体2の前部にエンジン6を設け、該エンジン6の前方において、ラジエータ17、エアクリーナ21、バッテリー22、エンジンの付属機器類7、オイルクーラ18、及び空調用のコンデンサ19を集中的に配置し、側面視で機体前方にかけて、ラジエータ17、オイルクーラ18、空調用のコンデンサ19、バッテリー22を順番に配置して設け、エアクリーナ21はバッテリー22の上方に配置して設けたことを特徴とするトラクタの構成とする。
【解決手段】ボンネット1で覆われるトラクタ車体2の前部にエンジン6を設け、該エンジン6の前方において、ラジエータ17、エアクリーナ21、バッテリー22、エンジンの付属機器類7、オイルクーラ18、及び空調用のコンデンサ19を集中的に配置し、側面視で機体前方にかけて、ラジエータ17、オイルクーラ18、空調用のコンデンサ19、バッテリー22を順番に配置して設け、エアクリーナ21はバッテリー22の上方に配置して設けたことを特徴とするトラクタの構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンやこれに付属する機器を搭載したトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からトラクタの前部に装備するアクスルブラケットは、エンジンを搭載し、その前側にはエンジンに付属する機器類を搭載する構成とし、更に、その下側には、フロントアクスルハウジングを取り付ける構成であるために、これらの重量に耐えきれず、変形や破損が生じ易く、これらに耐える強度を確保できる構造を作り出すために多くの発明が提案されている。ここに、その一例として、特開2007−62596号公開特許公報を特許文献1として提示する。
【0003】
そして、該公報に開示されている技術内容は、
「フロントアクスルブラケット1を鋳造成形とし、同ブラケット底面部2の上周辺には、適宜高さの前壁部3と左右側壁部4,4と後壁部を一体成形して略バケット状に形成する。またこのブラケット底面部2の下部で且つ前記左右側壁部4,4と後壁部下方に位置する箇所に、フロントアクスルハウジングを回動自在に支持する支持壁9を一体成形する。また前記底面部2の上面には、エンジン補器を取り付けるフレーム枠の取付座を突設状に一体形成する。」
と記載され、フロントアクスルブラケット1は、前壁部3と左右側壁部4,4と後壁部を一体成形して略バケット状に形成する構造にして、剛性を高めて、充分な強度を確保できる構成にしたと述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−62596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、公知のアクスルブラケットは、前項で出願人が提示した特許文献1に記載されているように、必要な強度は、複数の壁構造を利用して強化し、確保されたが、上面の搭載面の高さを、エンジンの搭載位置とその前側に設けたエンジン補器類の搭載位置との高さを同一に構成しているから、エンジンに付属する大型の機器が搭載し難い課題があった。
【0006】
ここで、少し具体的に述べると、従来のアクスルブラケットは、上側のエンジンやエンジン補器類を搭載する面が全面同一の高さに形成されていたから、エンジンの補器、すなわち、搭載するエンジンに必要な付属機器であるラジエータ、オイルクーラ、インタークーラ等を低い位置に搭載することができず、更には、大型の付属機器が搭載し難い問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、この出願は、上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、つぎの如き技術手段を講じている。すなわち、ボンネット(1)で覆われるトラクタ車体(2)の前部にエンジン(6)を設け、該エンジン(6)の前方において、ラジエータ(17)、エアクリーナ(21)、バッテリー(22)、エンジンの付属機器類(7)、オイルクーラ(18)、及び空調用のコンデンサ(19)を集中的に配置し、側面視で機体前方にかけて、ラジエータ(17)、オイルクーラ(18)、空調用のコンデンサ(19)、バッテリー(22)を順番に配置して設け、エアクリーナ(21)はバッテリー(22)の上方に配置して設けたことを特徴とするトラクタとしたものである。
【0008】
エンジン(6)の前方において、ラジエータ(17)、エアクリーナ(21)、バッテリー(22)、エンジンの付属機器類(7)、オイルクーラ(18)、及び空調用のコンデンサ(19)を集中的に配置する。
【0009】
つぎに、請求項2に記載した発明は、上下に幅広い取付け面(3)を形成した左右一対の帯板(4),(4)を、平面視で略平行に配置して前後方向に延長したアクスルブラケット(5)を構成し、該アクスルブラケット(5)は、エンジン(6)を搭載する後支持部(5a)と、その前側に連続したエンジン(6)の付属機器類(7)を搭載する前支持部(5b)とを構成し、該前支持部(5b)は、前記後支持部(5a)より上縁の搭載部(8)が低い位置になるように下げて形成したことを特徴とする請求項1に記載のトラクタとしたものである。
【0010】
アクスルブラケット(5)は、エンジン(6)を搭載する後支持部(5a)と、その前側に連続したエンジン(6)の付属機器類(7)を搭載する前支持部(5b)とを構成するが、前支持部(5b)の搭載部(8)を、後支持部(5a)のそれより上縁が低い位置になるように下げて形成しているから、ラジエータやインタークーラ、その他オイルクーラ等のエンジン(6)の付属機器(7)を低い位置に安定よく搭載できる。更に、前支持部(5b)の搭載部(8)を低くしているから、エンジン付属機器(7)の大型化が可能になる利点がある
【発明の効果】
【0011】
まず、請求項1の発明は、メンテナンスを効率よくできる。
そして、請求項2の発明は、アクスルブラケット(5)の上縁を、後支持部(5a)の高さ位置に比較して、前支持部(5b)の上縁が低い位置になるように下げて形成しているから、ラジエータやインタークーラ、その他オイルクーラ等を低い位置に搭載して安定をよくし、更に、前支持部(5b)の搭載部(8)には、大型のエンジン付属機器(7)を搭載することができるから、余裕のあるエンジン補器を装備できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】トラクタのエンジンルームの側面図
【図2】エンジンルームの平面図
【図3】主としてアクスルブラケットの取付け状態の側面図
【図4】ローダを取り付けたトラクタの側面図
【図5】エンジンルームの側面図
【図6】他の実施例のエンジンルームの側面図
【図7】リヤアクスルハウジングの断面図
【図8】前図7のS−S線の断面図
【図9】リヤアクスルハウジングの一部の側面図
【図10】外部取出油圧装置を配列した斜面図
【図11】外部操作レバーを示し、(A)は正面図、(B)は側面図
【図12】ヒユーズボックス等の取付け斜面図
【図13】リレー類の取付け斜面図
【図14】ハーネスを配索した斜面図
【図15】ハーネスを配策した斜面図
【図16】ハーネスを配索したフードの内部斜面図
【図17】ハーネスを配策したキャビンルーフの内部を示す斜面図
【図18】ハーネスを配策した左フェンダーの内部斜面図
【図19】ハーネスを配策した右フェンダーの内部斜面図
【図20】配線図
【図21】トラクタの平面図
【図22】トラクタの側面図
【図23】燃料タンクの側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明を、図面に示す農業用トラクタの実施例を具体的に説明する。
まず、トラクタ13は、図4に示すように、トラクタ車体2の後部に左右一対の駆動用の後輪14,14を軸架し、前部にはステアリングハンドル15によって操舵される左右の前輪16,16を軸架して構成している。そして、トラクタ13は、前記ステアリングハンドル15を装備した運転席23を囲んだキャビン24の前方側をボンネット1で覆い、その内部にエンジン6や該エンジン6の補器、すなわち、ラジエータ17、オイルクーラ18、空調用のコンデンサ19、インタークーラ20、エアクリーナ21、バッテリー22等を内装して搭載した構成としている。
【0014】
この場合、実施例は、図1、乃至図4に示すように、鉄板から製作した左右一対の帯板4,4に、上下方向の幅を持たせて取付け面(図1、及び図3参照)3を形成し、平面視で略平行(図2参照)に配置して前後方向に延長したアクスルブラケット5を構成している。そして、このアクスルブラケット5は、図1以下の側面視で解るように、エンジン6を搭載する後ろ側の後支持部5aと、その前側に連続したエンジン6の付属機器類7を塔載する前支持部5bとを形成しているが、図面のように、前支持部5bを、後支持部5aより上縁の搭載部8が低い位置になるように下げた形状に形成している。
【0015】
そして、エンジン6は、前記アクスルブラケット5を構成している左右一対の帯板4,4の後支持部5aに、図1、及び図3に示すように、内側面に取り付けて搭載している。そして、エンジン6の付属機器7は、ラジエータ17を初めとして各機器が、図面に示すように、前記アクスルブラケット5の前支持部5bに取り付けて搭載し、エンジン駆動時に補器として機能する構成としている。
【0016】
このように、実施例は、アクスルブラケット5の上縁を、後支持部5aの高さ位置に比較して、前支持部5bの上縁が低い位置になるように下げて形成しているから、ラジエータ17やインタークーラ20、その他オイルクーラ18等を低い位置に搭載して安定をよくし、更に、前支持部5bの搭載部8には、大型のエンジン付属機器7を搭載することもできるから、余裕のあるエンジン補器を装備できるものとなった。なお、ラジエータ17は、これを少し一方側に寄せて搭載すると、他方側にエアコンホースやハーネス類を配策する空間ができて便利である。
【0017】
つぎに、フロントローダ10は、図4に示すように、トラクタ車体2の前側に装備する場合には、前記実施例の如く、エンジン6を連結して搭載しているアクスルブラケット5を利用して後支持部5aに取付けた構成としている。すなわち、前記フロントローダ(10)のブラケット(11)は、図3に示すように、前記エンジン6を内側に取付けた後支持部5aの帯板4,4を利用して、その外側の取付け面3に取付け、支持した構成としている。そして、フロントローダ10は、図4に示すように、中間部を折り曲げ自在に枢着連結し主フレーム25の先端部にバケット26を枢着し、主フレーム25の基部を、前記ブラケット(11)に連結し、前部上側と基部下側とにそれぞれ伸縮自在に操作する油圧シリンダ27,28を連結して構成している。
【0018】
このように構成した実施例は、帯板4,4の取付け面3の上下幅を幅広に形成して上側部分と下側部分とに取付けスペースを設けたアクスルブラケット5を用意することによって、内面の上側にエンジン6を取り付け、その部位の外面ですぐ下側にフロントローダ10のブラケット11を取り付けて連結することによって、別構成の取付け部を構成する必要がないから、低コストで製作できる利点がある。そして、帯板4,4は、その内面の上部側と外面の下部側とにそれぞれ取り付けて強固に連結することによって、互いに強度が増して安定した支持ができる特徴と、併せて、取付け面3の幅を下方に広げたから、全体として下がり、ローダ10の重心位置を低くすることも可能になった特徴がある。
【0019】
つぎに、図5に示した実施例は、エンジン6等を覆うボンネット1の後部側面にエンジンルーム30の排気口31を左右に開口して、室内の熱気を排出する構成としている。この場合、排気口31は、すぐ背後に装置されているキャビン24の前面上側の窓ガラスよりは低い位置に排風できる高さに開口しており、排気位置が低くなる構成としている。
【0020】
このように構成すれば、前記エンジンルーム30は、排気口31から熱風が排出されるため、比較的低温に保たれる利点があり、排出された熱風によってキャビン24のガラスが曇って視界を遮ることもない特徴がある。
【0021】
つぎに、図6に示した実施例について説明する。
この実施例は、エンジン6の付属機器7に関するもので、アクスルブラケット5に搭載したエンジン6の前側に、前方側から順番にエアクリーナ21、インタークーラ20、エアコンのコンデンサ19、オイルクーラ18、ラジエータ17を搭載し、下側にはバッテリー22を装備した構成としている。これらの各付属機器7は、それぞれを組み込んで取り付けできる特殊なブラケットを製作しておき、予め、サブ組みしておき、メインの組み立てラインに持ち込んで効率的に組立作業を行うものである。したがって、メインの組み立てラインは、アクスルブラケット5にエンジン6を組み立てすると、その前側に、予めサブ組みしたエンジンの付属機器7をまとめて組み立てることが出来て組立作業が効率的にできるものとなった。
【0022】
そして、コンデンサ19は、上側に配置するインタークーラ20を、図面の通り斜めに取り付けることによって、その下側の形成された空間部33を利用して横から挿し込んで引き出し式に取り付けることを可能にしている。そして、インタークーラ20は、エアクリーナ21とかラジエータ17の如く全ての機種に装備するものではないから、これを装備しない機種にあっては、その分ボンネット1を短くしてトラクタの全長を短くし、小回りの効く車両にすることができる。
【0023】
つぎに、図7、乃至図9に示したトランスミッションケースのオイルブリーザに関する実施例を説明する。
従来、トランスミッションケースにオイルブリーザを設けると、ミッションケース内でギヤの回転に伴うオイルの攪拌、オイル温度の上昇によってケース内圧が上がり、ブリーザからオイルが外に噴出する場合があった。特に、トランスミッション内のオイルは、内部に軸架されて高速で回転するギヤによって攪拌され、外に噴出する場合が多く、低温時に高速走行するとき等に多く発生していた。
【0024】
それに対して、本件実施例は、オイルブリーザ35のブリーザ口36を、図面に示すように、リヤアクスルハウジングケース37の上面に開口するが、大気に開放する部分は、ブレーキデイスク38を装備したブレーキ室39に構成している。そして、オイルブリーザ35は、検油棒40の横に連通させたブリーザパイプ41の先端に開口させて、図9に示すように、ブリーザホース42を連通した構成としている。
【0025】
この場合、実施例は、リヤアクスルハウジングケース37の左右両側にあるブレーキ室39に構成し、極端な内圧の上昇を未然に防止できる構成としている。
このように、実施例に係るリヤアクスルハウジングケース37のオイルブリーザ口36は、オイルを攪拌するギヤが存在しないブレーキ室39に開口したから、ギヤの回転に伴うオイルの攪拌作用が起きず、オイルの噴出をほとんどなくすることが出来た。
【0026】
また、オイルブリーザー35は、リヤアクスルハウジングケース37の左右にそれぞれ開口すれば、オイルの温度差による噴出にも対応することが可能となり、極端な内圧の差(ケース内の左右の差)も修正できてリヤアクスルハウジングケース37を大気に開放できる特徴がある。
【0027】
つぎに、図10、及び図11に示した外部油圧の外部操作レバー45について実施例を説明する。外部油圧装置46は、図面の通り、実施例では4連を並べて配置した構成とし、それぞれ送油口47と還流口48とが一対となって構成され、その上側に外部操作用レバー45を着脱する取付け部49を設けて、バルブ操作ができる構成としている。そして、実施例に係る外部油圧装置46は、前記送油口47と還流口48とに油圧機器のホースを接続し、該当する取付け部49に外部操作用レバー45を取り付けるだけで該当する油圧装置46のバルブ操作ができる構成としている。
【0028】
そして、外部操作用レバー45は、図11に(A)正面図と(B)に示した側面図に示すように、上下の回り止め50,50の間に係合ピン51が設けられた構成としている。一方、外部油圧装置46は、図10に示すように、取付け部49に取付け孔52が設けられ、前記係合ピン51を挿し込んで取り付けできる構成としている。
【0029】
以上のように、外部操作用レバー45は、各外部油圧装置46の取付け部49にきわめて簡単に着脱しながらバルブ操作が可能であるから、従来の如く、全部にそれぞれ個別の操作レバーを取り付けた構成に対比して、はるかに低コストで製作できる特徴がある。そして、外部油圧装置46は、不使用のときには前記外部操作用レバー45を取外した状態にしているから、外観上もすっきりした形状になってデザイン上も有効となっている。
【0030】
つぎに、キャビン24を構成するキャビンフレーム55を利用して、トラクタに装備する電気設備に関する電装品を配置して設けた実施例を説明する。
まず、図12は、左側のピラー56に、ワークランプ等のリレー類57やヒユーズボックス58を配置して取り付けた構成としている。そして、図13に示した実施例は、キャビン24に設置する複数のリレー類59,60を、右側のピラー61に配置して取り付けた構成としている。
【0031】
このように、キャビン24の左右ピラー56,61を利用して、図12、及び図13に示したように、リレー類57,59,60やヒユーズボックス58等を配置して取り付けた構成にすると、トラブルが発生した時、ピラーカバーを外すだけの操作で、すぐリレー類57,59,60の作動確認が可能であるから、トラブルシューチンがきわめて容易にできる特徴がある。更に、各電装品は、メンテナンスもきわめて容易となる利点がある。
【0032】
つぎに、図14、乃至図16に示した実施例は、各電装品を電気的に接続するためのハーネス63の配索状態を示している。
図14は、右側フェンダー64を利用して配索した状態を示す斜面図で、一方の端部のハーネス63aは、上方のルーフ右側に延長され、他方の端部63bは、更に、右側に延長される。そして、ハーネス63は、図面に示した如く、専用のハーネスのみの経路65か形成され、更に、ハーネス専用のクランプ66を配置して保持される構成となっている。そして、図15に示した実施例は、ハーネス63の一端部63aを左側のフェンダーに延長し、他方の端63b部分を、上方の左側ルーフに、更に、下端63bを、ステップ68の下側にも延長して配索している。
【0033】
図16は、フード69の内部を示し、フード69にハーネス63を配索した一実施例を示している。
そして、フード69内のハーネス63の配索は、トラブル発生時のメンテナンスの向上を目的として、1本のハーネス63に限定しており、トラクタ本機側との接続は、一箇所に限定した構成としている。実施例の場合、フード69のハーネス63は、後端部63cの1箇所を,トラクタ本機側のメインハーネスに接続する構成とし、途中部分は、ほとんど鉄板の裏側を通し露出させず、エンジン補器等との接触が無いように配慮した構成としている。80は左右前部にある前照灯を示している。
【0034】
つぎに、ハーネス63は、図17に示すように、キャビンルーフ70内の角部分を活用して、角に沿わせて這わせ幹線となるハーネスを配索している。そして、各スイッチ類、エアコンユニット、ラジカセ等の配線は、上記幹線となるハーネス63から分配して配索した構成となっている。そして、実施例は、ハーネス63をキャビンルーフ70の枠体71を利用して、角の内側に沿わせて固定した配索構成にしたから、確実な固定が可能であるとともに、損傷や破損を受けることがほとんどなく、長期間の使用に耐える特徴がある。
【0035】
そして、スイッチ類73は、図17に示すように、中央下部のパネル(ルーフ)74に配置して設け、各電装品(ワークランプ、ビーコンランプ等)のスイッチ操作を可能とし、更に、前記パネル74は、比較的簡単に着脱を可能とし、配線中のコネクタの取出しが容易にできるように構成している。
【0036】
そして、前記ハーネス63は、図面に示すように、ルーフ70内の配索中に左右両側に一箇所ずつ合わせて2箇所のアースポイント75,75を設け、これによって、ハーネスのグランド回路が設計上、効率よく取れるようになった。したがって、実施例は、ハーネスの本数(回路数)削減が出来、配索スペースの削減が可能となった。
【0037】
つぎに、図18、及び図19に示した実施例は、フェンダー64内にハーネス63を配索した構成であって、図18は、左フェンダー64内部に配索した状態で、リヤコンビ(L)、外部昇降スイッチへの配線を示している。そして、図19は、右フェンダー64内部に配索した状態を示し、リヤコンビ(R)、水平昇降スイッチへの接続する状態を示している。
【0038】
そして、フェンダー64内の外部昇降スイッチへのハーネス回路を、WX型(水平あり)、WD型(水平なし)で共用が可能に構成している。
そして、キャビン24に配索したハーネス63は、フロントピラー部のウインカー、作業灯などへの接続をギボシ端子の構成にしている。このように、ハーネス63は、ギボシにして長さを千鳥にすることによって、ウインカー、作業灯へのブラケットパイプ内を通さなければならないため作業性がよくなる利点がある。又、ハーネス63は、別構成(図20参照)になっているので不具合発生時の点検、交換が容易に行えるものとなっている。
【0039】
つぎに、トラクタの燃料タンクに充填している燃料の盗難防止策について実施例を説明する。
第1実施例は、図21、及び図22に示すように、トラクタに搭載した燃料タンク81の給油口82に設けたキャップ83の上側に、キャビンドア84に一体として取り付けたキャップ保護具85を設けている。そして、該キャップ保護具85は、キャビンドア84を閉めた状態では、常に、前記燃料タンク81の給油口82のキャップ83の上側に位置してキャップ83の開閉ができないように保護する構成としている。
【0040】
したがって、燃料タンク81は、キャビンドア84に施錠して閉めている間は、給油口82のキャップ83の上側にキャップ保護具85があって、そのキャップ83を開けることができず、燃料の盗難を防止できる。
【0041】
つぎに、図23に示した第2実施例は、燃料タンク81の内部で給油口82のすぐ下側に、ネット86を張り、給油ポンプの吸い口がタンク内に挿入できない構成にしている。
以上のように、第1実施例は、キャビン24のドア84に施錠して閉めておけば、燃料タンク81の給油口82が開かず、燃料の盗難が起きることはない。つぎに、第2実施例は、ネット86を燃料タンク81の給油口82下側に設けたから、ポンプの吸引口がタンク内に挿入できず、燃料が盗難に合うことはない優れた特徴がある。
【符号の説明】
【0042】
1 ボンネット
2 トラクタ車体
3 取付け面
4,4 帯板
5 アクスルブラケット
5a 後支持部
5b 前支持部
6 エンジン
7 付属機器(エンジンの付属機器類)
8 搭載部
10 フロントローダ
11 ローダのブラケット
17 ラジエータ
18 オイルクーラ
19 コンデンサ
21 エアクリーナ
22 バッテリー
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンやこれに付属する機器を搭載したトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からトラクタの前部に装備するアクスルブラケットは、エンジンを搭載し、その前側にはエンジンに付属する機器類を搭載する構成とし、更に、その下側には、フロントアクスルハウジングを取り付ける構成であるために、これらの重量に耐えきれず、変形や破損が生じ易く、これらに耐える強度を確保できる構造を作り出すために多くの発明が提案されている。ここに、その一例として、特開2007−62596号公開特許公報を特許文献1として提示する。
【0003】
そして、該公報に開示されている技術内容は、
「フロントアクスルブラケット1を鋳造成形とし、同ブラケット底面部2の上周辺には、適宜高さの前壁部3と左右側壁部4,4と後壁部を一体成形して略バケット状に形成する。またこのブラケット底面部2の下部で且つ前記左右側壁部4,4と後壁部下方に位置する箇所に、フロントアクスルハウジングを回動自在に支持する支持壁9を一体成形する。また前記底面部2の上面には、エンジン補器を取り付けるフレーム枠の取付座を突設状に一体形成する。」
と記載され、フロントアクスルブラケット1は、前壁部3と左右側壁部4,4と後壁部を一体成形して略バケット状に形成する構造にして、剛性を高めて、充分な強度を確保できる構成にしたと述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−62596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、公知のアクスルブラケットは、前項で出願人が提示した特許文献1に記載されているように、必要な強度は、複数の壁構造を利用して強化し、確保されたが、上面の搭載面の高さを、エンジンの搭載位置とその前側に設けたエンジン補器類の搭載位置との高さを同一に構成しているから、エンジンに付属する大型の機器が搭載し難い課題があった。
【0006】
ここで、少し具体的に述べると、従来のアクスルブラケットは、上側のエンジンやエンジン補器類を搭載する面が全面同一の高さに形成されていたから、エンジンの補器、すなわち、搭載するエンジンに必要な付属機器であるラジエータ、オイルクーラ、インタークーラ等を低い位置に搭載することができず、更には、大型の付属機器が搭載し難い問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、この出願は、上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、つぎの如き技術手段を講じている。すなわち、ボンネット(1)で覆われるトラクタ車体(2)の前部にエンジン(6)を設け、該エンジン(6)の前方において、ラジエータ(17)、エアクリーナ(21)、バッテリー(22)、エンジンの付属機器類(7)、オイルクーラ(18)、及び空調用のコンデンサ(19)を集中的に配置し、側面視で機体前方にかけて、ラジエータ(17)、オイルクーラ(18)、空調用のコンデンサ(19)、バッテリー(22)を順番に配置して設け、エアクリーナ(21)はバッテリー(22)の上方に配置して設けたことを特徴とするトラクタとしたものである。
【0008】
エンジン(6)の前方において、ラジエータ(17)、エアクリーナ(21)、バッテリー(22)、エンジンの付属機器類(7)、オイルクーラ(18)、及び空調用のコンデンサ(19)を集中的に配置する。
【0009】
つぎに、請求項2に記載した発明は、上下に幅広い取付け面(3)を形成した左右一対の帯板(4),(4)を、平面視で略平行に配置して前後方向に延長したアクスルブラケット(5)を構成し、該アクスルブラケット(5)は、エンジン(6)を搭載する後支持部(5a)と、その前側に連続したエンジン(6)の付属機器類(7)を搭載する前支持部(5b)とを構成し、該前支持部(5b)は、前記後支持部(5a)より上縁の搭載部(8)が低い位置になるように下げて形成したことを特徴とする請求項1に記載のトラクタとしたものである。
【0010】
アクスルブラケット(5)は、エンジン(6)を搭載する後支持部(5a)と、その前側に連続したエンジン(6)の付属機器類(7)を搭載する前支持部(5b)とを構成するが、前支持部(5b)の搭載部(8)を、後支持部(5a)のそれより上縁が低い位置になるように下げて形成しているから、ラジエータやインタークーラ、その他オイルクーラ等のエンジン(6)の付属機器(7)を低い位置に安定よく搭載できる。更に、前支持部(5b)の搭載部(8)を低くしているから、エンジン付属機器(7)の大型化が可能になる利点がある
【発明の効果】
【0011】
まず、請求項1の発明は、メンテナンスを効率よくできる。
そして、請求項2の発明は、アクスルブラケット(5)の上縁を、後支持部(5a)の高さ位置に比較して、前支持部(5b)の上縁が低い位置になるように下げて形成しているから、ラジエータやインタークーラ、その他オイルクーラ等を低い位置に搭載して安定をよくし、更に、前支持部(5b)の搭載部(8)には、大型のエンジン付属機器(7)を搭載することができるから、余裕のあるエンジン補器を装備できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】トラクタのエンジンルームの側面図
【図2】エンジンルームの平面図
【図3】主としてアクスルブラケットの取付け状態の側面図
【図4】ローダを取り付けたトラクタの側面図
【図5】エンジンルームの側面図
【図6】他の実施例のエンジンルームの側面図
【図7】リヤアクスルハウジングの断面図
【図8】前図7のS−S線の断面図
【図9】リヤアクスルハウジングの一部の側面図
【図10】外部取出油圧装置を配列した斜面図
【図11】外部操作レバーを示し、(A)は正面図、(B)は側面図
【図12】ヒユーズボックス等の取付け斜面図
【図13】リレー類の取付け斜面図
【図14】ハーネスを配索した斜面図
【図15】ハーネスを配策した斜面図
【図16】ハーネスを配索したフードの内部斜面図
【図17】ハーネスを配策したキャビンルーフの内部を示す斜面図
【図18】ハーネスを配策した左フェンダーの内部斜面図
【図19】ハーネスを配策した右フェンダーの内部斜面図
【図20】配線図
【図21】トラクタの平面図
【図22】トラクタの側面図
【図23】燃料タンクの側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明を、図面に示す農業用トラクタの実施例を具体的に説明する。
まず、トラクタ13は、図4に示すように、トラクタ車体2の後部に左右一対の駆動用の後輪14,14を軸架し、前部にはステアリングハンドル15によって操舵される左右の前輪16,16を軸架して構成している。そして、トラクタ13は、前記ステアリングハンドル15を装備した運転席23を囲んだキャビン24の前方側をボンネット1で覆い、その内部にエンジン6や該エンジン6の補器、すなわち、ラジエータ17、オイルクーラ18、空調用のコンデンサ19、インタークーラ20、エアクリーナ21、バッテリー22等を内装して搭載した構成としている。
【0014】
この場合、実施例は、図1、乃至図4に示すように、鉄板から製作した左右一対の帯板4,4に、上下方向の幅を持たせて取付け面(図1、及び図3参照)3を形成し、平面視で略平行(図2参照)に配置して前後方向に延長したアクスルブラケット5を構成している。そして、このアクスルブラケット5は、図1以下の側面視で解るように、エンジン6を搭載する後ろ側の後支持部5aと、その前側に連続したエンジン6の付属機器類7を塔載する前支持部5bとを形成しているが、図面のように、前支持部5bを、後支持部5aより上縁の搭載部8が低い位置になるように下げた形状に形成している。
【0015】
そして、エンジン6は、前記アクスルブラケット5を構成している左右一対の帯板4,4の後支持部5aに、図1、及び図3に示すように、内側面に取り付けて搭載している。そして、エンジン6の付属機器7は、ラジエータ17を初めとして各機器が、図面に示すように、前記アクスルブラケット5の前支持部5bに取り付けて搭載し、エンジン駆動時に補器として機能する構成としている。
【0016】
このように、実施例は、アクスルブラケット5の上縁を、後支持部5aの高さ位置に比較して、前支持部5bの上縁が低い位置になるように下げて形成しているから、ラジエータ17やインタークーラ20、その他オイルクーラ18等を低い位置に搭載して安定をよくし、更に、前支持部5bの搭載部8には、大型のエンジン付属機器7を搭載することもできるから、余裕のあるエンジン補器を装備できるものとなった。なお、ラジエータ17は、これを少し一方側に寄せて搭載すると、他方側にエアコンホースやハーネス類を配策する空間ができて便利である。
【0017】
つぎに、フロントローダ10は、図4に示すように、トラクタ車体2の前側に装備する場合には、前記実施例の如く、エンジン6を連結して搭載しているアクスルブラケット5を利用して後支持部5aに取付けた構成としている。すなわち、前記フロントローダ(10)のブラケット(11)は、図3に示すように、前記エンジン6を内側に取付けた後支持部5aの帯板4,4を利用して、その外側の取付け面3に取付け、支持した構成としている。そして、フロントローダ10は、図4に示すように、中間部を折り曲げ自在に枢着連結し主フレーム25の先端部にバケット26を枢着し、主フレーム25の基部を、前記ブラケット(11)に連結し、前部上側と基部下側とにそれぞれ伸縮自在に操作する油圧シリンダ27,28を連結して構成している。
【0018】
このように構成した実施例は、帯板4,4の取付け面3の上下幅を幅広に形成して上側部分と下側部分とに取付けスペースを設けたアクスルブラケット5を用意することによって、内面の上側にエンジン6を取り付け、その部位の外面ですぐ下側にフロントローダ10のブラケット11を取り付けて連結することによって、別構成の取付け部を構成する必要がないから、低コストで製作できる利点がある。そして、帯板4,4は、その内面の上部側と外面の下部側とにそれぞれ取り付けて強固に連結することによって、互いに強度が増して安定した支持ができる特徴と、併せて、取付け面3の幅を下方に広げたから、全体として下がり、ローダ10の重心位置を低くすることも可能になった特徴がある。
【0019】
つぎに、図5に示した実施例は、エンジン6等を覆うボンネット1の後部側面にエンジンルーム30の排気口31を左右に開口して、室内の熱気を排出する構成としている。この場合、排気口31は、すぐ背後に装置されているキャビン24の前面上側の窓ガラスよりは低い位置に排風できる高さに開口しており、排気位置が低くなる構成としている。
【0020】
このように構成すれば、前記エンジンルーム30は、排気口31から熱風が排出されるため、比較的低温に保たれる利点があり、排出された熱風によってキャビン24のガラスが曇って視界を遮ることもない特徴がある。
【0021】
つぎに、図6に示した実施例について説明する。
この実施例は、エンジン6の付属機器7に関するもので、アクスルブラケット5に搭載したエンジン6の前側に、前方側から順番にエアクリーナ21、インタークーラ20、エアコンのコンデンサ19、オイルクーラ18、ラジエータ17を搭載し、下側にはバッテリー22を装備した構成としている。これらの各付属機器7は、それぞれを組み込んで取り付けできる特殊なブラケットを製作しておき、予め、サブ組みしておき、メインの組み立てラインに持ち込んで効率的に組立作業を行うものである。したがって、メインの組み立てラインは、アクスルブラケット5にエンジン6を組み立てすると、その前側に、予めサブ組みしたエンジンの付属機器7をまとめて組み立てることが出来て組立作業が効率的にできるものとなった。
【0022】
そして、コンデンサ19は、上側に配置するインタークーラ20を、図面の通り斜めに取り付けることによって、その下側の形成された空間部33を利用して横から挿し込んで引き出し式に取り付けることを可能にしている。そして、インタークーラ20は、エアクリーナ21とかラジエータ17の如く全ての機種に装備するものではないから、これを装備しない機種にあっては、その分ボンネット1を短くしてトラクタの全長を短くし、小回りの効く車両にすることができる。
【0023】
つぎに、図7、乃至図9に示したトランスミッションケースのオイルブリーザに関する実施例を説明する。
従来、トランスミッションケースにオイルブリーザを設けると、ミッションケース内でギヤの回転に伴うオイルの攪拌、オイル温度の上昇によってケース内圧が上がり、ブリーザからオイルが外に噴出する場合があった。特に、トランスミッション内のオイルは、内部に軸架されて高速で回転するギヤによって攪拌され、外に噴出する場合が多く、低温時に高速走行するとき等に多く発生していた。
【0024】
それに対して、本件実施例は、オイルブリーザ35のブリーザ口36を、図面に示すように、リヤアクスルハウジングケース37の上面に開口するが、大気に開放する部分は、ブレーキデイスク38を装備したブレーキ室39に構成している。そして、オイルブリーザ35は、検油棒40の横に連通させたブリーザパイプ41の先端に開口させて、図9に示すように、ブリーザホース42を連通した構成としている。
【0025】
この場合、実施例は、リヤアクスルハウジングケース37の左右両側にあるブレーキ室39に構成し、極端な内圧の上昇を未然に防止できる構成としている。
このように、実施例に係るリヤアクスルハウジングケース37のオイルブリーザ口36は、オイルを攪拌するギヤが存在しないブレーキ室39に開口したから、ギヤの回転に伴うオイルの攪拌作用が起きず、オイルの噴出をほとんどなくすることが出来た。
【0026】
また、オイルブリーザー35は、リヤアクスルハウジングケース37の左右にそれぞれ開口すれば、オイルの温度差による噴出にも対応することが可能となり、極端な内圧の差(ケース内の左右の差)も修正できてリヤアクスルハウジングケース37を大気に開放できる特徴がある。
【0027】
つぎに、図10、及び図11に示した外部油圧の外部操作レバー45について実施例を説明する。外部油圧装置46は、図面の通り、実施例では4連を並べて配置した構成とし、それぞれ送油口47と還流口48とが一対となって構成され、その上側に外部操作用レバー45を着脱する取付け部49を設けて、バルブ操作ができる構成としている。そして、実施例に係る外部油圧装置46は、前記送油口47と還流口48とに油圧機器のホースを接続し、該当する取付け部49に外部操作用レバー45を取り付けるだけで該当する油圧装置46のバルブ操作ができる構成としている。
【0028】
そして、外部操作用レバー45は、図11に(A)正面図と(B)に示した側面図に示すように、上下の回り止め50,50の間に係合ピン51が設けられた構成としている。一方、外部油圧装置46は、図10に示すように、取付け部49に取付け孔52が設けられ、前記係合ピン51を挿し込んで取り付けできる構成としている。
【0029】
以上のように、外部操作用レバー45は、各外部油圧装置46の取付け部49にきわめて簡単に着脱しながらバルブ操作が可能であるから、従来の如く、全部にそれぞれ個別の操作レバーを取り付けた構成に対比して、はるかに低コストで製作できる特徴がある。そして、外部油圧装置46は、不使用のときには前記外部操作用レバー45を取外した状態にしているから、外観上もすっきりした形状になってデザイン上も有効となっている。
【0030】
つぎに、キャビン24を構成するキャビンフレーム55を利用して、トラクタに装備する電気設備に関する電装品を配置して設けた実施例を説明する。
まず、図12は、左側のピラー56に、ワークランプ等のリレー類57やヒユーズボックス58を配置して取り付けた構成としている。そして、図13に示した実施例は、キャビン24に設置する複数のリレー類59,60を、右側のピラー61に配置して取り付けた構成としている。
【0031】
このように、キャビン24の左右ピラー56,61を利用して、図12、及び図13に示したように、リレー類57,59,60やヒユーズボックス58等を配置して取り付けた構成にすると、トラブルが発生した時、ピラーカバーを外すだけの操作で、すぐリレー類57,59,60の作動確認が可能であるから、トラブルシューチンがきわめて容易にできる特徴がある。更に、各電装品は、メンテナンスもきわめて容易となる利点がある。
【0032】
つぎに、図14、乃至図16に示した実施例は、各電装品を電気的に接続するためのハーネス63の配索状態を示している。
図14は、右側フェンダー64を利用して配索した状態を示す斜面図で、一方の端部のハーネス63aは、上方のルーフ右側に延長され、他方の端部63bは、更に、右側に延長される。そして、ハーネス63は、図面に示した如く、専用のハーネスのみの経路65か形成され、更に、ハーネス専用のクランプ66を配置して保持される構成となっている。そして、図15に示した実施例は、ハーネス63の一端部63aを左側のフェンダーに延長し、他方の端63b部分を、上方の左側ルーフに、更に、下端63bを、ステップ68の下側にも延長して配索している。
【0033】
図16は、フード69の内部を示し、フード69にハーネス63を配索した一実施例を示している。
そして、フード69内のハーネス63の配索は、トラブル発生時のメンテナンスの向上を目的として、1本のハーネス63に限定しており、トラクタ本機側との接続は、一箇所に限定した構成としている。実施例の場合、フード69のハーネス63は、後端部63cの1箇所を,トラクタ本機側のメインハーネスに接続する構成とし、途中部分は、ほとんど鉄板の裏側を通し露出させず、エンジン補器等との接触が無いように配慮した構成としている。80は左右前部にある前照灯を示している。
【0034】
つぎに、ハーネス63は、図17に示すように、キャビンルーフ70内の角部分を活用して、角に沿わせて這わせ幹線となるハーネスを配索している。そして、各スイッチ類、エアコンユニット、ラジカセ等の配線は、上記幹線となるハーネス63から分配して配索した構成となっている。そして、実施例は、ハーネス63をキャビンルーフ70の枠体71を利用して、角の内側に沿わせて固定した配索構成にしたから、確実な固定が可能であるとともに、損傷や破損を受けることがほとんどなく、長期間の使用に耐える特徴がある。
【0035】
そして、スイッチ類73は、図17に示すように、中央下部のパネル(ルーフ)74に配置して設け、各電装品(ワークランプ、ビーコンランプ等)のスイッチ操作を可能とし、更に、前記パネル74は、比較的簡単に着脱を可能とし、配線中のコネクタの取出しが容易にできるように構成している。
【0036】
そして、前記ハーネス63は、図面に示すように、ルーフ70内の配索中に左右両側に一箇所ずつ合わせて2箇所のアースポイント75,75を設け、これによって、ハーネスのグランド回路が設計上、効率よく取れるようになった。したがって、実施例は、ハーネスの本数(回路数)削減が出来、配索スペースの削減が可能となった。
【0037】
つぎに、図18、及び図19に示した実施例は、フェンダー64内にハーネス63を配索した構成であって、図18は、左フェンダー64内部に配索した状態で、リヤコンビ(L)、外部昇降スイッチへの配線を示している。そして、図19は、右フェンダー64内部に配索した状態を示し、リヤコンビ(R)、水平昇降スイッチへの接続する状態を示している。
【0038】
そして、フェンダー64内の外部昇降スイッチへのハーネス回路を、WX型(水平あり)、WD型(水平なし)で共用が可能に構成している。
そして、キャビン24に配索したハーネス63は、フロントピラー部のウインカー、作業灯などへの接続をギボシ端子の構成にしている。このように、ハーネス63は、ギボシにして長さを千鳥にすることによって、ウインカー、作業灯へのブラケットパイプ内を通さなければならないため作業性がよくなる利点がある。又、ハーネス63は、別構成(図20参照)になっているので不具合発生時の点検、交換が容易に行えるものとなっている。
【0039】
つぎに、トラクタの燃料タンクに充填している燃料の盗難防止策について実施例を説明する。
第1実施例は、図21、及び図22に示すように、トラクタに搭載した燃料タンク81の給油口82に設けたキャップ83の上側に、キャビンドア84に一体として取り付けたキャップ保護具85を設けている。そして、該キャップ保護具85は、キャビンドア84を閉めた状態では、常に、前記燃料タンク81の給油口82のキャップ83の上側に位置してキャップ83の開閉ができないように保護する構成としている。
【0040】
したがって、燃料タンク81は、キャビンドア84に施錠して閉めている間は、給油口82のキャップ83の上側にキャップ保護具85があって、そのキャップ83を開けることができず、燃料の盗難を防止できる。
【0041】
つぎに、図23に示した第2実施例は、燃料タンク81の内部で給油口82のすぐ下側に、ネット86を張り、給油ポンプの吸い口がタンク内に挿入できない構成にしている。
以上のように、第1実施例は、キャビン24のドア84に施錠して閉めておけば、燃料タンク81の給油口82が開かず、燃料の盗難が起きることはない。つぎに、第2実施例は、ネット86を燃料タンク81の給油口82下側に設けたから、ポンプの吸引口がタンク内に挿入できず、燃料が盗難に合うことはない優れた特徴がある。
【符号の説明】
【0042】
1 ボンネット
2 トラクタ車体
3 取付け面
4,4 帯板
5 アクスルブラケット
5a 後支持部
5b 前支持部
6 エンジン
7 付属機器(エンジンの付属機器類)
8 搭載部
10 フロントローダ
11 ローダのブラケット
17 ラジエータ
18 オイルクーラ
19 コンデンサ
21 エアクリーナ
22 バッテリー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンネット(1)で覆われるトラクタ車体(2)の前部にエンジン(6)を設け、該エンジン(6)の前方において、ラジエータ(17)、エアクリーナ(21)、バッテリー(22)、エンジンの付属機器類(7)、オイルクーラ(18)、及び空調用のコンデンサ(19)を集中的に配置し、側面視で機体前方にかけて、ラジエータ(17)、オイルクーラ(18)、空調用のコンデンサ(19)、バッテリー(22)を順番に配置して設け、エアクリーナ(21)はバッテリー(22)の上方に配置して設けたことを特徴とするトラクタ。
【請求項2】
上下に幅広い取付け面(3)を形成した左右一対の帯板(4),(4)を、平面視で略平行に配置して前後方向に延長したアクスルブラケット(5)を構成し、該アクスルブラケット(5)は、エンジン(6)を搭載する後支持部(5a)と、その前側に連続したエンジン(6)の付属機器類(7)を搭載する前支持部(5b)とを構成し、該前支持部(5b)は、前記後支持部(5a)より上縁の搭載部(8)が低い位置になるように下げて形成したことを特徴とする請求項1に記載のトラクタ。
【請求項1】
ボンネット(1)で覆われるトラクタ車体(2)の前部にエンジン(6)を設け、該エンジン(6)の前方において、ラジエータ(17)、エアクリーナ(21)、バッテリー(22)、エンジンの付属機器類(7)、オイルクーラ(18)、及び空調用のコンデンサ(19)を集中的に配置し、側面視で機体前方にかけて、ラジエータ(17)、オイルクーラ(18)、空調用のコンデンサ(19)、バッテリー(22)を順番に配置して設け、エアクリーナ(21)はバッテリー(22)の上方に配置して設けたことを特徴とするトラクタ。
【請求項2】
上下に幅広い取付け面(3)を形成した左右一対の帯板(4),(4)を、平面視で略平行に配置して前後方向に延長したアクスルブラケット(5)を構成し、該アクスルブラケット(5)は、エンジン(6)を搭載する後支持部(5a)と、その前側に連続したエンジン(6)の付属機器類(7)を搭載する前支持部(5b)とを構成し、該前支持部(5b)は、前記後支持部(5a)より上縁の搭載部(8)が低い位置になるように下げて形成したことを特徴とする請求項1に記載のトラクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−148773(P2012−148773A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−63697(P2012−63697)
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【分割の表示】特願2008−219896(P2008−219896)の分割
【原出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【分割の表示】特願2008−219896(P2008−219896)の分割
【原出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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