説明

トラックのテールゲート用の回転減速装置

【課題】トラックのテールゲートの急速な開放方向の回転を抑えて一定の速度でテールゲートを開放位置にもたらすことができ、トラックのテールゲートの閉鎖方向の回転に対して小さな抵抗トルクを発生できる上に、小型に形成し得る使い勝手の良いトラックのテールゲート用の回転減速装置を提供すること。
【解決手段】トラックのテールゲート用の回転減速装置1は、収容体5と、収容体5の内部に配された回転体8と、内部空間13aに収容された粘性流体14aと、回転体8に設けられた通路15a及び16aと、通路15aに配された一方向弁19と、通路16aに配された一方向弁20aとを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックのテールゲートの回転速度を制御するために好適に用いることができる回転減速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックの車体にヒンジ連結されたテールゲートは、トラックの荷台に対して荷物を積載したり積降したりする場合に開閉されるが、斯かる開閉は、通常、人手により行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−323007
【特許文献2】特開2009−113511
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、荷台を開放するために、テールゲートを人手により回転させる場合に、抵抗なしに急激にテールゲートが回転すると、テールゲートの閉鎖位置を規定するストッパーにテールゲートが激突して大きな音を発生する虞がある一方、反対に、荷台を閉鎖するために、テールゲートを人手により回転させる場合に、大きな回転トルクを必要とすると、荷台の閉鎖が困難となり、いずれにしても、テールゲートの開閉には適度の抵抗トルクが要求される上に、斯かる抵抗トルクを発生する回転減速装置は、テールゲートの設置位置の狭い空間に設置せざるを得なく、大きな回転減速装置は採用し難い。
【0005】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、トラックのテールゲートの急速な開放方向の回転を抑えて一定の速度でテールゲートを開放位置にもたらすことができ、トラックのテールゲートの閉鎖方向の回転に対して小さな抵抗トルクを発生し、而して、トラックのテールゲートを小さな力で急速に閉鎖位置にもたらすことができる上に、小型に形成し得る使い勝手の良いトラックのテールゲート用の回転減速装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のトラックのテールゲート用の回転減速装置は、円筒状の内周面を有すると共に当該内周面から径方向内方に突出して当該内周面に一体的に形成された内方突起を有した収容体と、この収容体の内周面に対面した円筒状の外周面を有すると共に当該外周面から径方向外方に突出して当該外周面に一体的に形成された外方突起を有して、収容体の内部に回転自在に配された回転体と、収容体の内周面、回転体の外周面及び内方突起の回転方向において互いに対面する側面で規定されていると共に回転体の外方突起で第一及び第二の二室に区画されている内部空間に収容された粘性流体と、第一及び第二の二室を相互に連通するように、回転体に設けられた第一及び第二の通路と、トラックのテールゲートの開放方向の回転に相当する回転体の収容体に対する一方の方向の回転では、当該一方の方向の回転による二室のうちの一方の室での粘性流体の内圧の一定以上の上昇で、この一方の室から二室のうちの他方の室への第一の通路を介する粘性流体の流動を許容する一方、トラックのテールゲートの閉鎖方向の回転に相当する回転体の収容体に対する他方の方向の回転における他方の室から一方の室への第一の通路を介する粘性流体の流動を禁止するように、第一の通路に配された第一の一方向弁と、回転体の収容体に対する一方の方向の回転における一方の室から他方の室への第二の通路を介する粘性流体の流動を禁止する一方、回転体の収容体に対する他方の方向の回転における他方の室から一方の室への第二の通路を介する粘性流体の流動を許容するように、第二の通路に配された第二の一方向弁とを具備しており、第一の一方向弁は、回転体に形成された弁座と、この弁座に着座すると共に回転体の内部に配された球体と、この球体を弁座に向かって弾性的に押圧するように一端では球体に接触する弾性部材とを有しており、第二の通路は、外方突起の突出縁に形成された少なくとも一つの切り欠きを有しており、第二の一方向弁は、外方突起の突出縁を跨いで当該外方突起の突出縁に回転方向に関して可動に設けられている弁体を具備しており、この弁体は、回転体の収容体に対する一方の方向の回転において切り欠きを塞いで一方の室から他方の室への第二の通路を介する粘性流体の流動を禁止するように、一方の室の粘性流体の内圧を受ける外方突起の一方の面に配された完全閉鎖片部と、回転体の収容体に対する他方の方向の回転において切り欠きを部分的に塞いで他方の室から一方の室への第二の通路を介する粘性流体の流動を許容するように、他方の室の粘性流体の内圧を受ける外方突起の他方の面に配された不完全閉鎖片部と、完全閉鎖片部及び不完全閉鎖片部を互いに連結するように、外方突起の突出縁に配されていると共に収容体の内周面及び外方突起の突出縁に回転方向に摺動自在に接触している連結部とを具備している。
【0007】
本発明のトラックのテールゲート用の回転減速装置によれば、トラックのテールゲートの開放方向の回転に相当する回転体の収容体に対する一方の方向の回転において、一方の室の粘性流体の内圧の上昇に拘わらず、第二の一方向弁は、一方の室から他方の室への第二の通路を介する粘性流体の流動を禁止する一方、当該一方の方向の回転による一方の室での粘性流体の内圧の一定以下の上昇では、第一の一方向弁は、一方の室から他方の室への第二の通路を介する粘性流体の流動を禁止する結果、トラックのテールゲートの開放方向の回転に相当する回転体の収容体に対する一方の方向の回転に対して粘性流体の内圧の上昇量に対応して抵抗トルクを発生し、当該一方の方向の回転による一方の室での粘性流体の内圧の一定以上の上昇では、第一の一方向弁は、一方の室から他方の室への第二の通路を介する粘性流体の流動を許容する結果、トラックのテールゲートの開放方向の回転に相当する回転体の収容体に対する一方の方向の回転に対して粘性流体の内圧のそれ以上の上昇を抑えて一定の抵抗トルクを発生し、而して、トラックのテールゲートの急速な開放方向の回転を抑えて一定の速度でテールゲートを開放位置にもたらすことができ、トラックのテールゲートの閉鎖方向の回転に相当する回転体の収容体に対する他方の方向の回転において、他方の室の粘性流体の内圧の上昇に拘わらず、第一の一方向弁は、他方の室から一方の室への第二の通路を介する粘性流体の流動を禁止する一方、同じく他方の室の粘性流体の内圧の上昇に拘わらず、第二の一方向弁は、他方の室から一方の室への第二の通路を介する粘性流体の流動を許容する結果、トラックのテールゲートの閉鎖方向の回転に相当する回転体の収容体に対する他方の方向の回転に対して小さな抵抗トルクを発生し、而して、トラックのテールゲートを小さな力で急速に閉鎖位置にもたらすことができ、使い勝手の良いトラックのテールゲート用の回転減速装置を提供できる。
【0008】
また、好ましい例では、収容体は、該内部空間を規定すると共に該内方突起が一体的に形成された該円筒状の内周面を有する円筒状本体と、この円筒状本体の軸方向の一方の端部に一体的に設けられた蓋部と、円筒状本体の軸方向の他方の端部に取付けられていると共に中央に貫通孔を有した蓋部材とを有しており、回転体は、外方突起が一体的に形成された該外周面を有した回転体本体と、この回転体本体の内部に嵌装された円筒体とを具備しており、第一の通路は、回転体本体及び円筒体に形成されており、球体は、円筒体の中空部に配されており、弁座は、円筒体に形成されている。
【0009】
本発明において、内方突起は、収容体の内周面に一体的に形成された突起本体と、この突起本体の突出端部に被せられていると共に回転体の外周面に回転方向に摺動自在に接触するシール部材とを有しているとよく、このシール部材が耐摩耗性をも有していると、長期に亘ってシール性を維持でき好ましい。
【0010】
本発明の好ましい例では、球体は、回転体の収容体に対する他方の方向の回転における他方の室からの粘性流体の内圧を受ける際に、弁座に着座して第一の通路を閉鎖する一方、回転体の収容体に対する一方の方向の回転による一方の室からの一定以上の上昇した粘性流体の内圧を受ける際に、弁座から離れて第一の通路を開放するように第一の通路に配されている。
【0011】
完全閉鎖片部は、一方の室からの粘性流体の内圧を受ける際に、外方突起の一方の面に接触して切り欠きを塞ぐ一方、不完全閉鎖片部が他方の室の粘性流体の内圧を受ける際に、不完全閉鎖片部の外方突起の他方の面への移動に伴う連結部の移動で外方突起の一方の面から離反するようになっているとよい。
【0012】
本発明のトラックのテールゲート用の回転減速装置の一つの例では、収容体は、トラックの車体に固着されるようになっており、回転体は、テールゲートの回転軸に連結されるようになっているが、これに代えて、収容体は、テールゲートの回転軸に連結されるようになっており、回転体は、トラックの車体に固着されるようになっていてもよく、また、トラックのテールゲートに用いる場合には、本発明の回転減速装置をトラックのテールランプの収容ケース内に配置すると良い。
【0013】
粘性流体としては、好ましくは100〜1,000,000cst、より好ましくは10,000〜100,000cstのシリコーンオイルを例示でき、好ましい例では、収容体及び回転体本体は、アルミ製であって、弁体、円筒体及びシール部材は、合成樹脂製であり、球体は、鋼球からなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トラックのテールゲートの急速な開放方向の回転を抑えて一定の速度でテールゲートを開放位置にもたらすことができ、トラックのテールゲートの閉鎖方向の回転に対して小さな抵抗トルクを発生し、而して、トラックのテールゲートを小さな力で急速に閉鎖位置にもたらすことができる上に、小型に形成し得る使い勝手の良いトラックのテールゲート用の回転減速装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の一例の図2に示すI−I線矢視断面説明図である。
【図2】図2は、図1に示す例のII−II線矢視断面説明図である。
【図3】図3は、図2に示すI−III線矢視断面説明図である。
【図4】図4は、図2に示すIV−I線矢視断面説明図である。
【図5】図5は、図2に示すV−I線矢視断面説明図である。
【図6】図6は、図2に示すI−VI線矢視断面説明図である。
【図7】図7は、図1に示す例の左側面説明図である。
【図8】図8は、トラックのテールゲート等の説明図である。
【図9】図9は、トラックのテールゲート等の説明図である。
【図10】図10は、図1に示す例の動作説明図である。
【図11】図11は、図1に示す例の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお
、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0017】
図1から図7において、本例のトラックのテールゲート用の回転減速装置1は、円筒状の内周面2を有すると共に当該内周面2から径方向内方に突出して当該内周面2に一体的に形成された内方突起3及び4を有した収容体5と、収容体5の内周面2に対面した円筒状の外周面6を有すると共に当該外周面6から径方向外方に突出して当該外周面6に一体的に形成された外方突起7a及び7bを有して、収容体5の内部に軸心Oを中心として回転方向Rに回転自在に配された回転体8と、収容体5の内周面2、回転体8の外周面6及び内方突起3及び4の回転方向Rにおいて互いに対面する側面9a及び10a並びに9b及び10bで規定されていると共に回転体8の外方突起7a及び7bで二室11a及び12a並びに11b及び12bに区画されている内部空間13a及び13bに収容された粘性流体14a及び14bと、二室11a及び12a並びに11b及び12bを相互に連通するように、回転体8に設けられた通路15a及び16a並びに15b及び16bと、トラック17のテールゲート18(図8及び図9参照)の開放方向の回転に相当する回転体8の収容体5に対する軸心Oを中心とする一方の方向R1の回転では、当該方向R1の回転による二室11a及び12a並びに11b及び12bのうちの一方の室11a及び11bでの粘性流体14a及び14bの内圧の一定以上の上昇で、一方の室11a及び11bから二室のうちの他方の室12a及び12bへの通路15a及び15bを介する粘性流体14a及び14bの流動を許容する一方、トラック17のテールゲート18の閉鎖方向の回転に相当する回転体8の収容体5に対する軸心Oを中心として他方の方向R2の回転における室12a及び12bから室11a及び11bへの通路15a及び15bを介する粘性流体14a及び14bの流動を禁止するように、通路15a及び15bに配された一方向弁19と、回転体8の収容体5に対する方向R1の回転における室11a及び11bから室12a及び12bへの通路16a及び16bを介する粘性流体14a及び14bの流動を禁止する一方、回転体8の収容体5に対する方向R2の回転における室12a及び12bから室11a及び11bへの通路16a及び16bを介する粘性流体14a及び14bの流動を許容するように、通路16a及び16bに配された一方向弁20a及び20bとを具備している。
【0018】
内部空間13a側と内部空間13b側とは、互いに同様に構成されているので、以下、内部空間13a側について説明し、内部空間13b側については、対応の構成に符号bを付して必要に応じて説明する。
【0019】
収容体5は、内部空間13a及び13bを規定すると共に内方突起3及び4が一体的に形成された円筒状の内周面2を有する円筒状本体31と、円筒状本体31の軸方向Aの一方の端部32に一体的に設けられた蓋部33と、円筒状本体31の軸方向Aの他方の端部の鍔部34に複数のリベット35を介して取付けられていると共に中央に貫通孔36を有した蓋部材37と、円筒状本体31の外周面38に一体的に設けられた回転防止板部39と、鍔部34の外周面40に一体的に設けられていると共に貫通孔41を有した取付け部42と、鍔部34の外周面40に一体的に設けられた位置決め突起43と、蓋部33の内側面44に一体的に設けられた円筒状の軸受部45とを有しており、斯かる収容体5は、取付け部42の貫通孔41の挿入されるボルト等を介してトラック17の車体46に固着されるようになっている。
【0020】
内方突起3及び4の夫々は、収容体5の円筒状本体31の内周面2に一体的に形成された突起本体51と、突起本体51の突出端部52に被せられていると共に回転体8の外周面6に回転方向Rに摺動自在に接触する断面U字状のシール部材53とを有している。
【0021】
回転体8は、外方突起7a及び7bが一体的に形成された該外周面6を有すると共にトラック17のテールゲート18の回転軸61が装着される回り止め付き有底穴62を一端面63に有した回転体本体64と、回転体本体64の他端面65で開口した有底穴66に挿入されて回転体本体64の内部に嵌装、固着されていると共に中空部67を有した合成樹脂製の円筒体68と、回転体本体64の他端面65に一体的に形成されていると共に軸受部45を取り囲んで軸受部45に回転方向Rに回転自在に支持された円筒状軸部69とを具備している。
【0022】
収容体5と回転体8との間には、粘性流体14a及び14bの漏出を阻止するシールリング71、72及び73が配されており、回転体8は、一方では、円筒状軸部69で軸受部45に回転方向Rに回転自在に支持されおり、他方では、蓋部材37との間に配された鍔付きブッシュ軸受74を介して収容体5に回転方向Rに回転自在に支持されている。
【0023】
通路15a及び16a並びに15b及び16bとに対して共用の一方向弁19は、回転体8の円筒体68に形成された弁座81と、弁座81に着座すると共に回転体8の内部である円筒体68の中空部67に移動自在に配された鋼球からなる球体83と、球体83を弁座81に向かって弾性的に押圧するように一端84では球体83に接触すると共に他端85では蓋部33の内側面44に接触する弾性部材としてのコイルばね86を有している。
【0024】
内部空間13aに収容された粘性流体14aとしては、100〜1,000,000cst、好ましくは10,000〜100,000cstのシリコーンオイルが使用され、一つの実施例では10,000cstのシリコーンオイルが使用される。
【0025】
回転体本体64及び円筒体68に形成された通路15aは、一端で室11aに開口すると共に円筒体68の外面により規定されて回転体本体64に形成された通路91aと、一端で通路91aに連通する一方、他端で中空部67に連通するように、弁座81で規定された貫通孔92と、中空部67と、一端で中空部67に連通すると共に円筒体68に形成されたスリット93aと、一端でスリット93aに連通する一方、他端で室12aに開口すると共に回転体本体64及び円筒状軸部69に形成されたスリット94aとを具備しており、スリット94aの室12aへの他端での開口端95aは、回転体8が方向R2に一杯に回転されている位置(図2に示す回転位置)では、内方突起3のシール部材53で閉鎖されており、貫通孔92及び中空部67は、通路15aと通路15bとに対して共用されている。
【0026】
而して、球体83は、回転体8の収容体5に対する方向R2の回転における室12aからの粘性流体14aの内圧を受ける際に、弁座81に着座して通路15aを閉鎖する一方、回転体8の収容体5に対する方向R1の回転による室11aからの一定以上の上昇した粘性流体14aの内圧を受ける際に、弁座81から離れて通路15aにおいて貫通孔92を開放するように通路15aに配されている。
【0027】
外方突起7aの突出縁96aに形成された少なくとも一つ、本例では二個の切り欠き97aを有している通路16aを開閉する一方向弁20aは、外方突起7aの突出縁96aを跨いで当該外方突起7aの突出縁96aに回転方向Rに関して可動に設けられている弁体98aを具備している。
【0028】
弁体98aは、回転体8の収容体5に対する方向R1の回転において各切り欠き97aを塞いで室11aから室12aへの通路16aを介する粘性流体14aの流動を禁止するように、室11aの粘性流体14aの内圧を受ける外方突起7aの一方の面101aに配された完全閉鎖片部102aと、回転体8の収容体5に対する方向R2の回転において切り欠き97aを部分的に塞いで室12aから室11aへの通路16aを介する粘性流体14aの流動を許容するように、室12aの粘性流体14aの内圧を受ける外方突起7aの他方の面103aに配された不完全閉鎖片部104aと、完全閉鎖片部102a及び不完全閉鎖片部104aを互いに連結するように、外方突起7aの突出縁96aに配されていると共に収容体5の内周面2及び外方突起7aの突出縁96aに回転方向Rに摺動自在に接触している連結部105aとを具備している。
【0029】
完全閉鎖片部102aは、室11aからの粘性流体14aの内圧を受ける際に、外方突起7aの一方の面101aに接触して各切り欠き97aを塞ぐ一方、不完全閉鎖片部104aが室12aの粘性流体14aの内圧を受ける際に、不完全閉鎖片部104aの外方突起7aの他方の面103aへの移動に伴う連結部105aの移動で外方突起7aの面101aから離反して当該面101aとの間に隙間106aを生じるようになっている(図11参照)。
【0030】
以上のトラックのテールゲート用の回転減速装置1は、例えば、図8及び図9に示すトラック17において、収容体5が、取付け部42の貫通孔41に挿通されたボルト等を介して車体46に、当該車体46に対して位置決め突起43によりその回転方向Rの回転位置を位置決めされる一方、回転防止板部39により当該車体46に対して回転方向Rに回転しないように固着されるようになっており、回転体8が、一端で有底穴62に嵌入されたテールゲート18の回転軸61に連結されて、テールランプの収容ケース110内に配置されて、使用される。
【0031】
収容体5がトラック17の車体46に固着され、回転体8が回転軸61に連結されて収容ケース110内に配置されたテールゲート用の回転減速装置1おいて、トラック17の荷台111がテールゲート18で閉鎖された状態(図8に示す状態)では、室11aを最大容積にする一方、室12aを最小容積にするように外方突起7aが図2に示すように配置されるように回転体8は回転されており、球体83が弁座81に着座して一方向弁19は通路15aを閉鎖しており、この状態で、トラック17の荷台111を閉鎖したテールゲート18を、荷台111を開放すべく、人手により方向R1に回転すると、回転体8の外方突起7aも方向R1に回転され、この回転で、収容体5の内周面2への連結部105aの接触による接触抵抗及び室11aの粘性流体14aの内圧で、弁体98aが外方突起7aに対して相対的に方向R2に移動され、完全閉鎖片部102aが外方突起7aの面101aに接触して切り欠き97aを完全に塞いで弁体98aは、図10に示すように、通路16aを閉鎖する結果、室11aの容積の減少に連れて室11aの粘性流体14aの内圧が上昇して、粘性流体14aの内圧の上昇量に対応して回転体8の方向R1の回転に対して抵抗トルクが発生されてテールゲート18の荷台111を開放する方向R1に対する回転に対して制動が与えられて、テールゲート18の急激な方向R1の回転が阻止される一方、室11aの容積の減少に連れて室11aの粘性流体14aの内圧が一定以上に上昇すると、コイルばね86の弾性力に抗して球体83が弁座81から離れて一方向弁19は、通路15aを開放して、通路15aを介して室11aの粘性流体14aが室12aに流動して、室11aの容積の減少に連れての室11aの粘性流体14aの内圧の上昇が停止されて、室11aの粘性流体14aの内圧の一定以上の上昇後は、回転体8の方向R1の回転に対しての抵抗トルクの上昇が抑えられて、テールゲート18の荷台111を開放する方向R1に対する回転に対して一定の制動が与えられることになり、テールゲート18は、トラック17の荷台111を開放した状態(図9に示す状態)にもたらされる一方、テールゲート18がトラック17の荷台111を開放した状態(図9に示す状態)では、室11aを最小容積にする一方、室12aを最大容積にするように外方突起7aが配置されるように回転体8は回転されており、球体83が弁座81に着座して一方向弁19は通路15aを閉鎖しており、この状態で、トラック17の荷台111を開放したテールゲート18を、荷台111を閉鎖すべく、方向R2に回転すると、回転体8の外方突起7aも方向R2に回転され、この回転で、収容体5の内周面2への連結部105aの接触による接触抵抗及び室12aの粘性流体14aの内圧で、弁体98aが外方突起7aに対して相対的に方向R1に移動され、不完全閉鎖片部104aが外方突起7aの面103aに接触する一方、完全閉鎖片部102aが外方突起7aの面101aから離れて完全閉鎖片部102aと外方突起7aの面103aとの間に隙間106aが生じて、切り欠き97aを開放して弁体98aは、図11に示すように、各切り欠き97aからなる通路16aを開放する結果、通路16a及び隙間106aを介して室12aの粘性流体14aが室11aに容易に流動して、室12aの容積の減少に連れての室12aの粘性流体14aの内圧の上昇を抑えて、テールゲート18の荷台111を閉鎖する方向R2に対する回転に対して殆ど制動を与えないで、テールゲート18は、トラック17の荷台111を閉鎖した状態(図8に示す状態)にもたらされる。
【0032】
以上のように、トラックのテールゲート用の回転減速装置1によれば、トラック17のテールゲート18の開放方向の回転に相当する回転体8の収容体5に対する方向R1の回転において、一方の室11aの粘性流体14aの内圧の上昇に拘わらず、一方向弁20aは、室11aから室12aへの通路16aを介する粘性流体14aの流動を禁止する一方、当該方向R1の回転による室11aでの粘性流体14aの内圧の一定以下の上昇では、一方向弁19は、室11aから室12aへの通路15aを介する粘性流体14aの流動を禁止する結果、トラック17のテールゲート18の開放方向の回転に相当する回転体8の収容体5に対する方向R1の回転に対して室11aでの粘性流体14aの内圧の上昇量に対応して抵抗トルクを発生し、当該方向R1の回転による室11aでの粘性流体14aの内圧の一定以上の上昇では、一方向弁19は、室11aから室12aへの通路15aを介する粘性流体14aの流動を許容する結果、トラック17のテールゲート18の開放方向の回転に相当する回転体8の収容体5に対する方向R1の回転に対して室11aでの粘性流体14aの内圧のそれ以上の上昇を抑えて一定の抵抗トルクを発生し、而して、トラック17のテールゲート18の急速な開放方向の回転を抑えて一定の速度でテールゲート18を開放位置にもたらすことができ、トラック17のテールゲート18の閉鎖方向の回転に相当する回転体8の収容体5に対する方向R2の回転において、室12aの粘性流体14aの内圧の上昇に拘わらず、一方向弁19は、室12aから室11aへの通路15aを介する粘性流体の流動を禁止する一方、同じく室12aの粘性流体14aの内圧の上昇に拘わらず、一方向弁20aは、室12aから室11aへの通路16aを介する粘性流体14aの流動を許容する結果、トラック17のテールゲート18の閉鎖方向の回転に相当する回転体8の収容体5に対する方向R2の回転に対して小さな抵抗トルクを発生し、而して、トラック17のテールゲート18を小さな力で急速に閉鎖位置にもたらすことができ、使い勝手の良いトラック17のテールゲート18を提供できる。
【0033】
以上の動作は、内部空間13b側においても同様に行われる。
【0034】
上記の例のトラックのテールゲート用の回転減速装置1では、内方突起3及び4により二つの内部空間13a及び13bを形成したが、本発明では、一つの内方突起で一つの内部空間を形成し、この一つの内部空間を一つの外方突起で二室に区画してもよく、更には、三個以上の内方突起で三個以上の内部空間を形成し、この各内部空間を外方突起で二室に区画してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 回転減速装置
2 内周面
3、4 内方突起
5 収容体
6 外周面
7a、7b 外方突起
8 回転体
9a、9b、10a、10b 側面
11a、11b、12a、12b 室
13a、13b 内部空間
14a、14b 粘性流体
15a、15b、16a、16b 通路
17 トラック
18 テールゲート
19 一方向弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の内周面を有すると共に当該内周面から径方向内方に突出して当該内周面に一体的に形成された内方突起を有した収容体と、この収容体の内周面に対面した円筒状の外周面を有すると共に当該外周面から径方向外方に突出して当該外周面に一体的に形成された外方突起を有して、収容体の内部に回転自在に配された回転体と、収容体の内周面、回転体の外周面及び内方突起の回転方向において互いに対面する側面で規定されていると共に回転体の外方突起で第一及び第二の二室に区画されている内部空間に収容された粘性流体と、第一及び第二の二室を相互に連通するように、回転体に設けられた第一及び第二の通路と、トラックのテールゲートの開放方向の回転に相当する回転体の収容体に対する一方の方向の回転では、当該一方の方向の回転による二室のうちの一方の室での粘性流体の内圧の一定以上の上昇で、この一方の室から二室のうちの他方の室への第一の通路を介する粘性流体の流動を許容する一方、トラックのテールゲートの閉鎖方向の回転に相当する回転体の収容体に対する他方の方向の回転における他方の室から一方の室への第一の通路を介する粘性流体の流動を禁止するように、第一の通路に配された第一の一方向弁と、回転体の収容体に対する一方の方向の回転における一方の室から他方の室への第二の通路を介する粘性流体の流動を禁止する一方、回転体の収容体に対する他方の方向の回転における他方の室から一方の室への第二の通路を介する粘性流体の流動を許容するように、第二の通路に配された第二の一方向弁とを具備しており、第一の一方向弁は、回転体に形成された弁座と、この弁座に着座すると共に回転体の内部に配された球体と、この球体を弁座に向かって弾性的に押圧するように一端では球体に接触する弾性部材とを有しており、第二の通路は、外方突起の突出縁に形成された少なくとも一つの切り欠きを有しており、第二の一方向弁は、外方突起の突出縁を跨いで当該外方突起の突出縁に回転方向に関して可動に設けられている弁体を具備しており、この弁体は、回転体の収容体に対する一方の方向の回転において切り欠きを塞いで一方の室から他方の室への第二の通路を介する粘性流体の流動を禁止するように、一方の室の粘性流体の内圧を受ける外方突起の一方の面に配された完全閉鎖片部と、回転体の収容体に対する他方の方向の回転において切り欠きを部分的に塞いで他方の室から一方の室への第二の通路を介する粘性流体の流動を許容するように、他方の室の粘性流体の内圧を受ける外方突起の他方の面に配された不完全閉鎖片部と、完全閉鎖片部及び不完全閉鎖片部を互いに連結するように、外方突起の突出縁に配されていると共に収容体の内周面及び外方突起の突出縁に回転方向に摺動自在に接触している連結部とを具備しているトラックのテールゲート用の回転減速装置。
【請求項2】
収容体は、該内部空間を規定すると共に該内方突起が一体的に形成された該円筒状の内周面を有する円筒状本体と、この円筒状本体の軸方向の一方の端部に一体的に設けられた蓋部と、円筒状本体の軸方向の他方の端部に取付けられていると共に中央に貫通孔を有した蓋部材とを有している請求項1に記載のトラックのテールゲート用の回転減速装置。
【請求項3】
回転体は、外方突起が一体的に形成された該外周面を有した回転体本体と、この回転体本体の内部に嵌装された円筒体とを具備しており、第一の通路は、回転体本体及び円筒体に形成されており、球体は、円筒体の中空部に配されており、弁座は、円筒体に形成されている請求項1又は2に記載のトラックのテールゲート用の回転減速装置。
【請求項4】
内方突起は、収容体の内周面に一体的に形成された突起本体と、この突起本体の突出端部に被せられていると共に回転体の外周面に回転方向に摺動自在に接触するシール部材とを有している請求項1から3のいずれか一項に記載のトラックのテールゲート用の回転減速装置。
【請求項5】
球体は、回転体の収容体に対する他方の方向の回転における他方の室からの粘性流体の内圧を受ける際に、弁座に着座して第一の通路を閉鎖する一方、回転体の収容体に対する一方の方向の回転による一方の室からの一定以上の上昇した粘性流体の内圧を受ける際に、弁座から離れて第一の通路を開放するように第一の通路に配されている請求項1から4のいずれか一項に記載のトラックのテールゲート用の回転減速装置。
【請求項6】
完全閉鎖片部は、一方の室からの粘性流体の内圧を受ける際に、外方突起の一方の面に接触して切り欠きを塞ぐ一方、不完全閉鎖片部が他方の室の粘性流体の内圧を受ける際に、不完全閉鎖片部の外方突起の他方の面への移動に伴う連結部の移動で外方突起の一方の面から離反するようになっている請求項1から5のいずれか一項に記載のトラックのテールゲート用の回転減速装置。
【請求項7】
収容体は、トラックの車体に固着されるようになっており、回転体は、テールゲートの回転軸に連結されるようになっている請求項1から6のいずれか一項に記載のトラックのテールゲート用の回転減速装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−28290(P2013−28290A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166054(P2011−166054)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)