説明

トラック用収納構造

【課題】荷物を置くスペースが限られているトラックの乗員室の荷物用スペースを拡張すると共に、乗員室側から自由に荷物を出し入れすることができるトラック用収納構造を提供する。
【解決手段】乗員室2と荷台3とを備え、該乗員室2の後部にリアウィンドウガラス7を取り付けるための窓枠5を有するトラック1に用いられるトラック用収納構造10であって、内部に収納空間13を形成する収納ボックス11は、乗員室2の後部に取り付けられたとき、リアウィンドウガラス7が取り外された状態の窓枠5を介して乗員室2と連通可能な開口部12を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック用収納構造に関し、より詳細には、トラックの乗員室内に置かれる荷物を収納可能な収納空間を与えるトラック用収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、トラックの乗員室は、荷台のスペースを確保するため、比較的狭く設計されており、小さい荷物や乗員が身近に使用する道具類等は、ダッシュボードの上や乗員室床面の上に煩雑に置かれる場合が多い。このようなトラックの荷物収納を考慮したものとしては、例えば、折り畳み可能な荷物室を荷物自動車の荷台に設け、この荷物室を展開し、また不要のときには折り畳んで、大小さまざまな荷物の積載に対応できるようにした荷物自動車用の物入れが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、貨物自動車の屋外荷室の長さを越える様な長さの長尺物貨物を搭載することができるようにしたものも考案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2では、乗員室と屋外荷室との間の仕切パネルにおいて、リアウィンドウガラスの下方に開口部が形成され、該開口部には車両後方に回動可能な上開きリッドが設けられている。そして、このリッドを上開きに回動して該開口部を開放し、リヤシートをダブルフォールディング状態とすることにより、起立状態のシートバックと閉塞状態のリッドとの間、又は、シートクッションと車体フロアとの間の何れか一方の間に、折り畳まれて平板状態となっていた拡大荷室部材を展開する。これにより、拡大荷室部材が、開口部を介して車室を越えて屋外荷室に到達し、屋外荷室を拡大荷室部材によって車室内まで拡大している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−37664号公報
【特許文献2】特開2001−10545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の物入れは、荷物自動車の荷台の一部に折り畳み可能な荷物室を設けたものであり、乗員室側からは該荷物室に荷物を出し入れすることができず、操作性に課題があった。また、荷台に荷物室を載置した際には、長尺の荷物を配置しづらいという課題も存在する。さらに、特許文献2に記載の貨物自動車の荷室拡大構造は、仕切パネルの下方に開口部を設けるため、トラックに改良を施す必要があり、加えて、乗員室から自由に出し入れしたい小さい荷物を収納するための荷物用スペースを与えるものでもない。
【0006】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、トラックの乗員室の荷物用スペースを拡張することができると共に、乗員室側から自由に荷物を出し入れすることができるトラック用収納構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、
乗員室と荷台とを備え、該乗員室の後部にリアウィンドウガラスを取り付けるための窓枠を有するトラックに用いられるトラック用収納構造であって、
前記荷台側に突出するように前記乗員室の後部に取り付け可能で、内部に収納空間を形成する収納ボックスを備え、
前記収納ボックスは、前記乗員室の後部に取り付けられたとき、前記リアウィンドウガラスが取り外された状態の前記窓枠を介して前記乗員室と連通可能な開口部を有することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、
前記収納ボックスは、前記乗員室の後部に取り付けられたとき、少なくとも後面となる面にウィンドウを有することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の構成に加えて、
前記収納ボックスは、鳥居状の枠体とともに前記乗員室の後部に固定されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記乗員室の後部に取り付けられた前記収納ボックスの下方に配置可能で、前記収納ボックスとの対向面に開口を有する収納ケースをさらに備え、
前記収納ボックスは、前記収納ケースとの対向面に開閉部を有することを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の構成に加えて、
前記収納ケースは、前記収納ボックスとの対向面と異なる面に扉部を有することを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項4又は5に記載の構成に加えて、
前記収納ケースは、前記収納ボックスに取り付け可能で、鳥居状の枠体とともに前記乗員室の後部に固定されることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項4又は5に記載の構成に加えて、
前記収納ケースは、その下部の幅方向両側に脚部を有し、該脚部を介して前記荷台上に載置可能であることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項5に記載の構成に加えて、
前記扉部は、前記収納ケースの少なくとも幅方向側面を開口するように形成され、
前記収納ケースは、その下部の幅方向両側に脚部を有し、前記扉部が前記荷台の側板より上方で開閉されるように、該脚部を介して前記荷台上に載置可能であることを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、
前記収納ボックスは、前記開口部を形成するフレーム部材と、該フレーム部材に取り付けられて前記収納空間を形成する折畳み可能な袋体と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、荷物を置くスペースが限られているトラックの乗員室における荷物用スペースを拡張することができ、散乱しがちな小さな荷物を整理して収納ボックスに収納することができる。また、乗員室側から収納ボックスに自由に荷物を出し入れすることができ、利便性が大幅に向上する。
【0017】
請求項2の発明によれば、収納ボックスのウィンドウを介してトラック後方を確認することができ、収納ボックスが取り付けられていてもトラック後方の視認性を十分に確保することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、鳥居状の枠体と共に収納ボックスを乗員室の後部に固定することができ、収納ボックスを簡単に固定することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、収納ボックスの開閉部を介して、収納ボックスの下部に固定された収納ケース内に小型の荷物を収納することができ、より多くの荷物を収納することができるとともに、荷物を外から見えないように収納することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、乗員室側から窓枠を介して収納ボックス及び収納ケース内に荷物を収納することができ、更に、大きな荷物は、扉部を開いて荷台側から収納ケースに出し入れすることができ、利便性が大幅に向上する。
【0021】
請求項6の発明によれば、収納ケースと収納ボックスとを一体化して、これらを鳥居状の枠体と共に乗員室の後部に固定することができ、収納ケースと収納ボックスとを簡単に固定することができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、小さな荷物は収納ボックスや収納ケースに収納し、長尺の荷物は、幅方向両側の脚部の間に挿入して荷台に載置することができ、小さな荷物と長尺の荷物とを効率的に積載することができる。
【0023】
請求項8の発明によれば、収納ケースの幅方向側面を開口する扉部は、荷台の側板より上方で開閉されるので、荷台の側板を閉じたまま、収納ケースの扉部を開閉することができ、トラックの外部から収納ケースに荷物を収納することができ、利便性が向上する。
【0024】
請求項9の発明によれば、収納ボックスが必要ないときは、袋体を折り畳むことにより収納ボックスを最小化して、荷台に大きな荷物を載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る第1実施形態のトラック用収納構造が取り付けられたトラックの外観斜視図である。
【図2】図1のトラック用収納構造を運転席側から見た斜視図である。
【図3】図1のトラック用収納構造の取付け手順を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態の変形例のトラック用収納構造が取り付けられたトラックの外観斜視図である。
【図5】(a)は本発明に係る第2実施形態のトラック用収納構造が取り付けられたトラックの外観斜視図、(b)は運転席側から見た斜視図である。
【図6】図5に示す収納ケースの斜視図である。
【図7】図5に示す収納ボックスの開閉部の各種構造を示す概略斜視図である。
【図8】図5に示すトラック用収納構造の取付け手順を示す斜視図である。
【図9】(a)は第2実施形態の変形例に係るトラック用収納構造が取り付けられたトラックの外観斜視図、(b)は長尺荷物が積載された状態を示す概略側面図である。
【図10】本発明に係る第4実施形態のトラック用収納構造が取り付けられたトラックの外観斜視図である。
【図11】図10に示す収納ケースの外観斜視図である。
【図12】本発明に係る第5実施形態のトラック用収納構造が取り付けられたトラックの外観斜視図である。
【図13】図12のトラック用収納構造を運転席側から見た斜視図である。
【図14】(a)は図12のトラック用収納構造が折り畳まれ状態を運転席側から見た斜視図、(b)はトラックの概略側面図である。
【図15】図11の収納ケースが単独で使用される状態を示すトラックの外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係るトラック用収納構造の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、トラック用収納構造を構成する収納ボックスや収納ケースの前後、左右、上下方向は、トラックに取り付けられた状態における方向で表すものとする。
【0027】
(第1実施形態)
図1〜図3に示すように、第1実施形態のトラック用収納構造10が適用される小型トラック1は、乗員室2と、隔壁4によって乗員室2と区画された荷台3と、を備える。また、乗員室2内のシート9のシートバック9aより上方となる、隔壁4の上方部分には、リアウィンドウガラス7が取り付けられる窓枠5が設けられ、また、隔壁4の後面で窓枠5の周囲には、鳥居状の枠体6が固定される。
【0028】
そして、本実施形態のトラック用収納構造10は、リアウィンドウガラス7が取り外された窓枠5を覆って荷台3側へ突出するように、乗員室2の後部を為す隔壁4に取り付けられる収納ボックス11を備える。収納ボックス11は、例えば、金属薄板や合成樹脂材料からなり、一側面に開口部12を有した略直方体形状の有底箱状に形成され、内部に収納空間13を形成する。収納ボックス11の開口部12は、窓枠5の大きさとほぼ等しい大きさを有しており、収納空間13は、隔壁4に取り付けられたとき、リアウィンドウガラス7が取り外された状態の窓枠5を介して乗員室2と連通する。
【0029】
また、収納ボックス11は、隔壁4に取り付けられたとき、後面となる面に、透明ガラスや透明樹脂パネルが嵌め込まれたリアウィンドウ16を有し、左右側面となる面に、透明ガラスや透明樹脂パネルが嵌め込まれたサイドウィンドウ17を有する。さらに、収納ボックス11の左右上方角部には、それぞれボルト穴14aが設けられた複数の取付けステー14が外方に突出して形成されている。そして、収納ボックス11の下部18は、小さな荷物を載置可能な載置台を構成する。
【0030】
このような収納ボックス11をトラック1に取り付ける際には、まず、図3(a)に示すように、トラック1から隔壁4に取り付けられている鳥居状の枠体6と、窓枠5に嵌め込まれているリアウィンドウガラス7を取り外す。次いで、図3(b)に示すように、収納ボックス11の取付けステー14を、隔壁4と鳥居状の枠体6との間に狭持し、複数のボルト8により枠体6と共に隔壁4に固定する。また、収納ボックス11を隔壁4に固定した後に、収納ボックス11の開口部12と隔壁4の窓枠5とをモール材15を用いて全周に亘って結合し、収納ボックス11と隔壁4との間を封止する(図2参照。)。
【0031】
このように、本実施形態のトラック用収納構造10によれば、荷台3と、後部にリアウィンドウガラス7を取り付けるための窓枠5を有する乗員室2と、を備えるトラック1において、収納ボックス11が乗員室2の後部に取り付けられたとき、収納ボックス11内部の収納空間13が、リアウィンドウガラス7が取り外された状態の窓枠5及び収納ボックス11の開口部12を介して乗員室2と連通する。これにより、収納場所が制限されるトラック1の乗員室2に散乱しがちな小さな荷物を、収納ボックス11内に収納することができ、乗員室2における荷物用スペースを拡張することができる。また、窓枠5を介して乗員室2から小さな荷物を収納ボックス11に出し入れすることができ、利便性が大幅に向上する。さらに、収納ボックス11は、隔壁4の窓枠5、即ち、荷台3の床面3aより上方に浮いた状態で固定されているので、収納ボックス11の取付けによって荷台3の前後長さが制約を受けることはなく、長尺荷物を積載することができる。
【0032】
また、収納ボックス11は、乗員室2の後部に取り付けられたとき、後面となる面にリアウィンドウ16を有するので、収納ボックス11のリアウィンドウ16を介してトラック後方を確認することができ、収納ボックス11が取り付けられていてもトラック後方の視認性を十分に確保することができる。
【0033】
更に、収納ボックス11は、鳥居状の枠体6と共に、乗員室2の後部に固定されるので、収納ボックス11を簡単に固定することができる。
【0034】
なお、収納ボックス11は、乗員室2の後部に取り付けられたとき、少なくとも後面となる面にウィンドウを有する構成であることが好ましく、図4に示す本実施形態の変形例のように、後面から左右両側面に亘って連続する単一の曲面ウィンドウ16aを有するものであってもよい。
【0035】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態のトラック用収納構造を、図5から図8を参照して詳細に説明する。なお、上記実施形態と同一または同等部分には同一符号を付して、説明を省略又は簡略化する。
【0036】
図5に示すように、第2実施形態のトラック用収納構造10では、収納ボックス11の下部に、別体として形成された収納ケース21が取り付けられている。
【0037】
図6も参照して、収納ケース21は、例えば、金属薄板や合成樹脂材料からなり、収納ボックス11との対向面、即ち、上面に2つの開口22を有する有底箱状に形成され、その内部には、小さな荷物を収容可能な収容室23が設けられている。収納ケース21の左右側部には、それぞれボルト穴24aが設けられた複数の取付けステー24が外方に突出して形成されている。また、収納ケース21の後面及び左右側面は、外観性を考慮して、収納ボックス11の後面及び左右側面から連続するように形成されている。
【0038】
収納ボックス11は、基本的に、第1実施形態で説明した収納ボックス11と同様の形状を有しているが、下部18には、収納ケース21の2つの開口22とほぼ等しい寸法を有する2つの搬出入開口孔19が形成されており、収納ケース21の2つの開口22と収納ボックス11の2つの搬出入開口孔19とが連通している。また、この2つの搬出入開口孔19は、図7(a)に示すように、開閉部としての板状の蓋体26が、取付けネジ27によって固定されることで塞がれる。このため、収納ケース21の必要に応じて、蓋体26を装着又は取り外すことによって、搬出入開口孔19を開閉することができる。
【0039】
なお、収納ボックス11の下部18の搬出入開口孔19の形状は、収納ケース21の開口22と連通する構成であればよい。
また、開閉部の構成においても、板状の蓋体26以外に任意に設計することができる。例えば、図7(b)に示すように、収納ボックス11には、左右方向にスライド移動して、下部18に設けられた搬出入開口孔19を開閉可能な開閉部である開閉扉28が設けられてもよい。また、図7(c)に示すように、開閉部は、折り畳むことにより搬出入開口孔19を開閉する折り畳み扉29であってもよく、図7(d)に示すように、搬出入開口孔19を開閉する蛇腹式開閉扉30から構成されてもよい。
【0040】
これにより、収納ボックス11の収納空間13と収納ケース21の収容室23とは、蓋体26、開閉扉28、折り畳み扉29、蛇腹式開閉扉30などの開閉部が開放されている状態では、収納ボックス11の搬出入開口孔19、及び収納ケース21の開口22を介して連通し、乗員室2から収納ケース21の収容室23に荷物を収容することができる。また、開閉部が閉じられている状態では、収納ケース21の収容室23内の荷物を外部から見えないように収納することができ、また、小さな荷物を開閉部上に載置して、収納ボックス11の収納空間13に収容することもできる。
【0041】
このような収納ボックス11及び収納ケース21をトラック1に取り付ける際には、図8(a)に示すように、第1実施形態と同様、トラック1からは、隔壁4に取り付けられている鳥居状の枠体6と、窓枠5に嵌め込まれているリアウィンドウガラス7を取り外す。
また、収納ケース21は、その開口22側(上面)が、不図示のクッション部材を介して収納ボックス11の下面に当接され、収納ケース21と収納ボックス11とが、ボルト締めによって一体に固定される。そして、図8(b)に示すように、収納ボックス11の取付けステー14、及び収納ケース21の取付けステー24を、隔壁4と鳥居状の枠体6との間に狭持し、複数のボルト8を取付けステー14、24のボルト穴14a、24aに挿通し、枠体6と共に隔壁4に固定する。
【0042】
これにより、収納ボックス11の収納空間13は、リアウィンドウガラス7が取り外された状態の窓枠5を介して乗員室2と連通し、収納ケース21の収容室23は、収納ボックス11の開閉部及び収納ケース21の開口22を介して乗員室2と連通する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のトラック用収納構造10によれば、収納ボックス11との対向面に開口22を有し、収納ボックス11の下面に取り付け可能な収納ケース21を更に備え、収納ボックス11は、収納ケース21との対向面に蓋体26、開閉扉28、折り畳み扉29、蛇腹式開閉扉30などの開閉部を有するので、乗員室2側から収納ボックス11を介して小物を収納ケース21内に収納することができ、より多くの荷物を収納することができる。また、開閉部が閉じられている状態では、収納ケース21の収容室23内の荷物を外部から見えないように収納することができ、また、収納ボックス11の収納空間13に小さな荷物を収容することもできる。
【0044】
また、本実施形態の収納ケース21も、荷台3の床面3aより上方に浮いた状態で固定されているので、収納ケース21の取付けによって荷台3の長さが制約を受けることがなく、長尺荷物を積載することができる。
【0045】
また、収納ケース21は、収納ボックス11に取り付け可能で、鳥居状の枠体6とともに乗員室2の後部に固定されるので、収納ボックス11及び収納ケース21を簡単に固定することができる。
その他の構成及び効果は、第1実施形態のトラック用収納構造と同様である。
【0046】
なお、本実施形態の収納ボックス11は、下部18に蓋体26のような簡単に開閉できないような構成の場合には、第1実施形態のような収納ケース21を有しないトラック用収納構造においても適用することができ、収納ケース21の有無に関わらずに利用することができる。
【0047】
また、第2実施形態の変形例に係るトラック用収納構造として、図9に示すように、収納ケース21の下部に、更に独立した大型収納ケース31が配置されてもよい。
【0048】
この大型収納ケース31は、収納ケース21と荷台3の床面3a間の距離と略同じ高さを有し、後面側に配設された扉部32により密閉される大型の有底箱状に形成されている。また、大型収納ケース31の後面及び左右側面も、外観性を考慮して、収納ケース21の後面及び左右側面から連続するように形成されている。扉部32は、後面側に一対の取手33を備えると共に、扉部32の上部に設けられた複数のヒンジ34によって上方に開閉可能となっている。
【0049】
大型収納ケース31は、収納ボックス11及び収納ケース21から独立して形成された収納部であり、収納ボックス11及び収納ケース21を、乗員室2の後部に取り付けた後(図8参照)、大型収納ケース31を荷台3上に載置して、収納ボックス11及び収納ケース21の下方でトラック1に取り付けられる。
【0050】
これにより、収納ボックス11及び収納ケース21に収納できないような大型の荷物も、扉部32を開いて外部から大型収納ケース31に収納することができる。従って、小さな荷物から大きな荷物まで、荷物の大きさに応じて収納場所を使い分けて、荷物を整理して効率的に収納することができる。また、図9(b)に示すように、長尺荷物35も、大型収納ケース31の扉部32を上方に開放した状態で固定することにより、荷台3上に搭載することができる。
【0051】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態のトラック用収納構造について、図10及び図11を参照して説明する。なお、上記実施形態と同一または同等部分には同一符号を付して、説明を省略又は簡略化する。
【0052】
図10に示すように、本実施形態のトラック用収納構造10は、第2実施形態で説明した開閉部を有する収納ボックス11と、脚付き収納ケース41との組み合わせから構成されている。
【0053】
図11も参照して、脚付き収納ケース41は、例えば、金属薄板や合成樹脂材料からなり、収納ボックス11との対向面、即ち、上面に開口42を有する有底箱状に形成され、その内部に収容室43が設けられている。脚付き収納ケース41は、下部の幅方向両側に一対の脚部44を有し、これら脚部44を介して荷台3上に載置される。脚付き収納ケース41の左右側部には、それぞれボルト穴48aが設けられた複数の取付けステー48が外方に突出して形成されている。また、脚付き収納ケース41の後面及び左右側面は、外観性を考慮して、収納ボックス11の後面及び左右側面から連続するように形成されている。
【0054】
脚付き収納ケース41は、収納ボックス11との対向面(上面)と異なる面、具体的には、後面から側面にかけてそれぞれ設けられた各開口(図示せず)を、独立して開閉可能な一対の略L字型の扉部45を備える。それぞれの扉部45は、脚付き収納ケース41の後部中央部に縦方向に配置された一対のヒンジ46によって開閉自在に取り付けられている。また、一対の扉部45には、それぞれ取手47が固定されている。
【0055】
図10に示すように、脚付き収納ケース41は、脚部44の高さによって、一対の扉部45の下面が、荷台3の側板3bの上面3b1より高くなるように配置されている。従って、扉部45は、荷台3の側板3bが閉じた状態でも、側板3bと干渉することなく開閉することができる。即ち、取手47を把持し、ヒンジ46を中心として扉部45を水平方向に展開して開閉することにより、トラック1の外部から収容室43に荷物を容易に収容することができる。
なお、脚部44は、一対の扉部45の下面が、荷台3の側板3bの上面3b1より高くなるように、荷台3の側板3bの高さに応じて、長さ調整可能に構成されてもよいし、或いは、荷台3の側板3bの高さに応じた高さの脚部44を収納ケース41に取り付けるようにしてもよい。また、脚部44は、収納ケース41の下方に空間を与える構成であればよく、一対の脚部44が収納ケース41の下面で連続する単一部品であってもよく、収納ケース41の下面の4隅に独立して配置される構成であってもよい。
【0056】
また、脚付き収納ケース41は、下部18に開閉部(蓋体26、開閉扉28、折り畳み扉29、蛇腹式開閉扉30)を備える収納ボックス11(図7参照)の下部に固定されているので、収納ボックス11の開閉部が開放されたとき、その収容室43が開口42を介して収納ボックス11の収納空間13と連通する。これにより、乗員室2側からも脚付き収納ケース41の収容室43に荷物を収容することができる。
【0057】
このように、本実施形態のトラック用収納構造10によれば、脚付き収納ケース41は、その下部の幅方向両側に一対の脚部44を有し、該一対の脚部44を介して荷台3上に載置されるので、小さな荷物は収納ボックス11や脚付き収納ケース41に収納し、長尺の荷物は、一対の脚部44間の空間に挿入して荷台3に載置することにより、小さな荷物から長尺の荷物までを効率的に積載することができる。
【0058】
また、脚付き収納ケース41は、その下部の幅方向両側に設けられた一対の脚部44を介して荷台3上に載置され、脚付き収納ケース41の幅方向側面を開口する扉部45は、荷台3の側板9の上面9aより上方で開閉されるので、大きな荷物を収容する場合、荷台3の側板9を閉じたまま扉部45を開閉して、荷台3の側方からの積み下ろし作業を行うことができる。これにより、荷台3に他の荷物を積載した状態でも、脚付き収納ケース41の収容室43に荷物を収容することができ、作業性に優れたものとなる。
その他の構成及び効果は、第1実施形態のトラック用収納構造と同様である。
【0059】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態のトラック用収納構造について、図12から図14を参照して説明する。なお、上記実施形態と同一または同等部分には同一符号を付して、説明を省略又は簡略化する。
【0060】
図12及び図13に示すように、本実施形態のトラック用収納構造10の収納ボックス11Aは、開口部12を形成するフレーム部材51と、フレーム部材51に取り付けられて収納空間13を形成する折畳み可能な袋体52とを備える。フレーム部材51は、例えば、金属パイプなどにより略矩形枠状に形成されてなり、第1実施形態の収納ボックス11と同様に、左右上方角部からボルト穴14aが設けられた複数の取付けステー14が外方に突出して形成されている。収納ボックス11Aは、取付けステー14が、隔壁4と鳥居状の枠体6との間に狭持され、複数のボルト8により枠体6と共に隔壁4に固定される。
【0061】
また、袋体52は、例えば、オープンカーなどに使用される幌材53によって筒状に形成されており、袋体52の後面を、アクリル樹脂またはポリカーボネート樹脂などの透明樹脂部材54がはめ込まれた樹脂製窓枠55が固着されている。なお、図示しないが、幌材53の側面にも軟質の透明樹脂部材からなる側面ウィンドウが設けられてもよい。
【0062】
フレーム部材51と樹脂製窓枠55とは、中間で略くの字型に折り曲げ可能な左右一対の折畳み式フレーム56によって連結されている。袋体52は、図13に示すように、折畳み式フレーム56を直線状に伸ばすことにより、隔壁4から後方に展開されて内部に収納空間13が形成され、袋体52の下部に配置した載置ボード57上に荷物を載せて収納することができる。また、図14(a)に示すように、載置ボード57を外した後、折畳み式フレーム56を略くの字型に折り曲げることにより、袋体52が略平板状に折り畳まれ(図14(b)参照)、荷台3側への突出長さが小さくなるので、荷台3を広く使用することが可能となり、大きな荷物Pを積載できるようになる。
【0063】
以上説明したように、収納ボックス11Aは、開口部12を形成するフレーム部材51と、フレーム部材51に取り付けられて収納空間13を形成する折畳み可能な袋体52と、を有するので、袋体52を広げることで収納空間13を形成すると共に、袋体52を折り畳むことにより収納ボックス11Aの荷台3側への突出長さを最小化して、荷台3に大きな荷物Pを載置することができる。
【0064】
その他の構成及び効果は、第1実施形態のトラック用収納構造と同様である。
【0065】
尚、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
上記実施形態では、収納ボックス11、11A、収納ケース21、及び脚付き収納ケース41は、鳥居状の枠体6のボルト締結と共に取り付けられることが望ましいが、固定方法に応じて、鳥居状の枠体6のボルト締結とは別に、隔壁4に取り付けられる構成であってもよい。
また、上記実施形態では、トラック用収納構造が小型トラックに適用される場合をしめしているが、乗員室の後面にリアウィンドウガラスが取り付けられる窓枠を有するトラックであれば、任意のトラックに適用可能であり、また、シート列が前後一列のトラックに限らず、前後複列のシート列のトラックであってもよい。
【0066】
また、脚付き収納ケース41は、図15に示すように、単独でも使用することができる。即ち、本発明のトラック収納構造は、乗員室と荷台とを備え、該乗員室の後部にリアウィンドウガラスを取り付けるための窓枠を有するトラックに用いられ、乗員室の後部に取り付け可能で、内部に収納空間を形成すると共に、少なくとも幅方向側面を開口する扉部と、その下部の幅方向両側に脚部とを有する収納ケースを備える。これにより、小さな荷物は、収納ケースに収納し、長尺の荷物は、幅方向両側の脚部間の空間に挿入して荷台に載置することができ、小さな荷物から長尺の荷物までを効率的に積載することができる。
【0067】
また、収納ケースは、収納ケースの幅方向側面を開口する扉部が、荷台の側板より上方で開閉されることで、荷台の側板を閉じたまま、収納ケースの扉部を開閉することができ、トラックの外部から収納ケースに荷物を収納することができ、利便性が高い。
【0068】
さらに、この収納ケースは、第3実施形態のような収納ボックスとの組合せによる使用も考慮して、収納ボックスの下面に形成される開口に対応する開口が上面に形成され、収納ケースの開口を塞ぐ蓋体を有する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 トラック
2 乗員室
3 荷台
5 窓枠
6 枠体
7 リアウィンドウガラス
9 側板
10 トラック用収納構造
11、11A 収納ボックス
12 開口部
13 収納空間
16 リアウィンドウ(ウィンドウ)
17 サイドウィンドウ(ウィンドウ)
21 収納ケース
22、42 開口
26 蓋体(開閉部)
28 開閉扉(開閉部)
29 扉(開閉部)
30 蛇腹式開閉扉(開閉部)
31 大型収納ケース(収納ケース)
32、45 扉部
41 脚付き収納ケース(収納ケース)
44 脚部
51 フレーム部材
52 袋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員室と荷台とを備え、該乗員室の後部にリアウィンドウガラスを取り付けるための窓枠を有するトラックに用いられるトラック用収納構造であって、
前記荷台側に突出するように前記乗員室の後部に取り付け可能で、内部に収納空間を形成する収納ボックスを備え、
前記収納ボックスは、前記乗員室の後部に取り付けられたとき、前記リアウィンドウガラスが取り外された状態の前記窓枠を介して前記乗員室と連通可能な開口部を有することを特徴とするトラック用収納構造。
【請求項2】
前記収納ボックスは、前記乗員室の後部に取り付けられたとき、少なくとも後面となる面にウィンドウを有することを特徴とする請求項1に記載のトラック用収納構造。
【請求項3】
前記収納ボックスは、鳥居状の枠体とともに前記乗員室の後部に固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のトラック用収納構造。
【請求項4】
前記乗員室の後部に取り付けられた前記収納ボックスの下方に配置可能で、前記収納ボックスとの対向面に開口を有する収納ケースをさらに備え、
前記収納ボックスは、前記収納ケースとの対向面に開閉部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のトラック用収納構造。
【請求項5】
前記収納ケースは、前記収納ボックスとの対向面と異なる面に扉部を有することを特徴とする請求項4に記載のトラック用収納構造。
【請求項6】
前記収納ケースは、前記収納ボックスに取り付け可能で、鳥居状の枠体とともに前記乗員室の後部に固定されることを特徴とする請求項4又は5に記載のトラック用収納構造。
【請求項7】
前記収納ケースは、その下部の幅方向両側に脚部を有し、該脚部を介して前記荷台上に載置可能であることを特徴とする請求項4又は5に記載のトラック用収納構造。
【請求項8】
前記扉部は、前記収納ケースの少なくとも幅方向側面を開口するように形成され、
前記収納ケースは、その下部の幅方向両側に脚部を有し、前記扉部が前記荷台の側板より上方で開閉されるように、該脚部を介して前記荷台上に載置可能であることを特徴とする請求項5に記載のトラック用収納構造。
【請求項9】
前記収納ボックスは、前記開口部を形成するフレーム部材と、該フレーム部材に取り付けられて前記収納空間を形成する折畳み可能な袋体と、を有することを特徴とする請求項1に記載のトラック用収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−101645(P2012−101645A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250970(P2010−250970)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(390023917)八千代工業株式会社 (186)
【Fターム(参考)】