説明

トラック番号及びセクタ番号を復号する方法、及び記録媒体

【課題】ヘッド位置がすばやく決定されることが可能である一方で、ディスクドライブ記録媒体の最小の部分が使用されるように、トラックアドレス及びサーボセクタアドレスを符号化すること。
【解決手段】記録媒体のサーボセクタに書き込まれた符号化されたデータに基づいてディスクドライブの記録媒体のトラック番号及びセクタ番号を復号する方法であって、第1、第2のサーボセクタからの第1、第2の符号化されたデータを連続的に読み込むステップと、前記第1、第2の符号化されたデータからSビットのセクタ番号を復号するステップと、前記第1、第2の符号化されたデータからLビットのトラック番号を復号するステップとを具備し、前記第1、第2の符号化されたデータの各々が(S+L)ビットより小さいビットを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態はディスクドライブに一般的に関連する。
【背景技術】
【0002】
ディスクドライブはデータストレージディスクの表面の同心のトラックにデジタルデータを格納するデータストレージ装置である。データストレージディスクはその上の磁気材料の層を伴った回転可能なハードディスクであり、ディスクが一定の角速度でその中心を回転する間、トラックの最も近くで保持されたトランスデューサヘッド、例えばリード/ライトヘッド、を使用して、データストレージディスクの所望のトラックから読み込みまたは所望のトラックに書き込まれる。
【0003】
リード操作またはライト操作の間、所望のトラックに適切にリード/ライトヘッドを並べるために、ディスクドライブはディスクドライブが製造される時、ディスク表面に書き込まれるサーボセクタに格納されるサーボデータを信頼する閉ループサーボシステムを一般的に使用する。これらのサーボセクタはディスクの外径から内径に“サーボウェッジ”または、“サーボスポーク”を形成し、サーボトラックライターのような外部機器またはセルフサーボライティングプロセージャを使用しているドライブそれ自体によって、ディスク表面にどちらかが書き込まれる。リード/ライトヘッドはリード/ライトヘッドのリードエレメントでサーボウェッジから読み出されるサーボ情報に基づいてフィードバック制御を使用することによって、データストレージディスクに対して配置されることが可能である。サーボセクタはサーボパターンの形式でディスク表面に対するリード/ライトヘッドの半径方向の位置及び円周方向の位置に関する位置情報を提供する。
【0004】
典型的なサーボパターンはリードチャネルのタイミングを同期するために使用されるプリアンブルフィールド、リード/ライトヘッドの粗い位置決めに関して使用されるサーボバースト番号及びトラック番号を提供する領域及び特定のデータストレージトラックに対するリード/ライトヘッドの正確な位置に関するサーボバーストから成る。パターンは各々のサーボセクタを列挙するためのフィールド、及び各々のデータストレージトラックを列挙するためのフィールドを含み、ここでサーボセクタ番号はリード/ライトヘッドの円周位置を提供し、トラック番号はリード/ライトヘッドの半径位置を提供する。
【0005】
データストレージディスクで共通に見つけられる多数、例えば数百のサーボセクタ及びデータストレージディスクで見つけられる多数、例えば数十万のトラックのために、サーボセクタ番号及びトラック番号を列挙しているフィールドは、さもなければユーザデータのために捧げられるような、ディスクのストレージスペースの重要な部分を占める。これらのフィールドの情報はほとんどのビットがトラックからトラック、及びセクタからセクタで変化しないままで、大部分は冗長であるため、方法はこれらのフィールドのサイズを最小化するために業界で発展した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5589998号明細書
【特許文献2】米国特許第6304398号明細書
【特許文献3】米国特許第6751774号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0059777号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
いくつかの方法で、サーボセクタ番号に関するフィールドは各々のトラックに関する特定のサーボセクタを指定するためのインデックスマークとしてサーブするインデックスビットによって置き換えられ完全に消去される。インデックスビットはトラックごとのサーボセクタに関してインデックス値、例えば1にセットされ、インデックスビットはトラックの全ての他のサーボセクタに関して、ヌル値、例えば0にセットされている。このアプローチに対する重大な欠点はリード/ライトヘッドの位置が知られていない時、リード/ライトヘッドの知られている位置を回復させるために必要とされる時間が平均してディスクの半回転ということである。ヘッド位置はディスクドライブの通常の操作の間、頻繁に不明である。例えばドライブの表面の間をスイッチングする時、これは重大な欠点である。
【0008】
他の方法はトラックアドレス及びサーボセクタアドレスを結合し、単一のより小さなフィールドにする。いくつかの場合で、1つのアドレス情報の一部はトラックアドレスフィールド/サーボセクタアドレスフィールドのサイズを減少させるために犠牲にされるため、これらの方法はリード/ライトヘッドの実際の位置で曖昧さを導く。位置の曖昧さはディスクドライブ性能の信頼性との関連でとても望ましくない。他の場合で、このような方法は、リード/ライトヘッドの位置がいくつか数のサーボセクタに関する同じトラックに置かれる時、リード/ライトヘッドの位置がただ決定されることができるという追加の制限を持ち、これはヘッド位置を決定するために必要な時間をも増加する。
【0009】
上のことを考慮すると、ヘッド位置がすばやく決定されることが可能である一方で、ディスクドライブ記録媒体の最小の部分が使用されるように、トラックアドレス及びサーボセクタアドレスを符号化することのシステムと方法に関して業界でニーズがある。
【0010】
実施形態による方法は、記録媒体のサーボセクタに書き込まれた符号化されたデータに基づいて、ディスクドライブの記録媒体のトラック番号及びセクタ番号を復号する方法であって、第1のサーボセクタからの第1の符号化されたデータ及び第2のサーボセクタからの第2の符号化されたデータを連続的に読み込むステップと、前記第1の符号化されたデータ及び前記第2の符号化されたデータからSビットのセクタ番号を復号するステップと、前記第1の符号化されたデータ及び前記第2の符号化されたデータからLビットのトラック番号を復号するステップと、を具備し、前記第1の符号化されたデータ及び前記第2の符号化されたデータの各々が(S+L)ビットより小さいビットを含んでいる方法である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、ディスクドライブの例示の実施形態の斜視図である。
【図2】図2は、実施形態に従ったストレージディスクを例証する。
【図3】図3は、実施形態に従って、サーボウェッジの中に配置されたサーボセクタの概略図である。
【図4】図4は、典型的なサーボセクタアドレスフィールド及び典型的なトラックアドレスフィールドを伴ったコンバインドアドレスフィールドの比較を概略的に例証する。
【図5】図5は、実施形態に従って、コンバインドアドレス値が、サーボセクタアドレス値及びトラックアドレス値から構成される方法を概念的に例証しているブロック図である。
【図6】図6は、実施形態に従ってストレージディスクに対してトランスデューサヘッドの位置を決定するための方法を、ステップワイズ法で要約したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、ディスクドライブ110の例示の実施形態の遠近法の図である。明快さのために、ディスクドライブ110はトップカバーなしに例証される。ディスクドライブ110は、スピンドルモータ114によって回転するストレージディスク112を含む。スピンドルモータ114は、ベースプレート116にマウントされる。アクチュエータアームアセンブリ118は、ベースプレート116にもマウントされ、リード/ライトヘッド127を伴ったフレクスチャアーム122にマウントされたスライダ120を持つ。フレクスチャアーム122は、ベアリングアセンブリ126の周りを回転するアクチュエータアーム124に取り付けられる。ボイスコイルモータ128は、ストレージディスク112に対してスライダ120を動かす。それゆえ、ストレージディスク112の表面112Aに配置された所望の同心のデータストレージトラック上にリード/ライトヘッド127を置く。スピンドルモータ114、リード/ライトヘッド127、及びボイスコイルモータ128は、プリント回路基板132にマウントされた電子回路130に接続される。電子回路130は、リードチャネル、マイクロプロセッサベースドコントローラ、及びランダムアクセスメモリ(RAM)を含む。記述の明快さのために、ディスクドライブ110は、単一のストレージディスク112及びアクチュエータアームアセンブリ118で例示される。ディスクドライブ110は、多数のストレージディスク112及び多数のアクチュエータアームアセンブリ118をも含むかもしれない。さらに、ディスク112の各々の面は、フレクスチャアーム122に接続された関連したリード/ライトヘッド127を持つかもしれない。個々のヘッドがデュアルステージアクチュエーションを使用してアクチュエータに対して別々にいくらか小さな距離を移動するように設定されている装置に、この中で記述された実施形態は等しく適用可能である。
【0014】
図2は、サーボウェッジ244がメディアライタまたはセルフサーボライト(SSW)を経由してディスクドライブ110それ自体のどちらかによってストレージディスク112上に書き込まれた後、典型的な方法で編成されたデータを伴ったストレージディスク112を例証する。ストレージディスク112は、データを格納するためのデータセクタ246に置かれた同心のデータストレージトラック242を含む。同心のデータストレージトラック242は、サーボウェッジ244に書き込まれたサーボ情報によって位置的に定義される。同心のデータストレージトラック242の各々は中心線として概略的に例証されるが、実際には対応する中心線の周りにわずかな幅を占める。実質的に放射状に並べられたサーボウェッジ244は同心のデータストレージトラック242を横断していることを示し、同心のデータストレージトラック242のトラックピッチ、すなわちスペーシング、及び半径の位置を定義するサーボ情報を含んでいるサーボセクタを含む。このようなサーボ情報は所定のトラック242上にリード/ライトヘッド127を置くためのリード操作及びライト操作の間、リード/ライトヘッド127によって読み込まれるリファレンス信号を含んでいるサーボセクタを含む。サーボセクタは以下に図3と関連して非常に詳細に記述される。実際には、サーボウェッジ244はいくらか曲げられるかもしれない、例えばスパイラルパターンに設定される。典型的に、ストレージディスク112に含まれる同心のデータストレージトラック242及びサーボウェッジ244の実際の数は、図2に例証されるよりもかなり多い。例えば、ストレージディスク112は数10万の同心のデータストレージトラック242及び数100のサーボウェッジ244を含むかもしれない。
【0015】
ディスクドライブ110が動作中の時、アクチュエータアームアセンブリ118はストレージディスク112の内径(ID)と外径(OD)の間の円弧を移動する。アクチュエータアームアセンブリ118は、電流がボイスコイルモータ128のボイスコイルを通過する時、1つの方向に加速し、電流が反転する時、反対の方向に加速する、これは、ストレージディスク112に対して、アクチュエータアームアセンブリ118及び取り付けられたリード/ライトヘッド127の位置の制御を許可している。ボイスコイルモータ128は、同心のデータストレージトラック242上のリード/ライトヘッド127の位置を決定するために、リード/ライトヘッド127によってストレージディスクから読み出される位置データを使用する業界で周知のサーボシステムに接続される。サーボシステムはボイスコイルモータ128のボイスコイルを介して駆動するために適切な電流を決定し、電流ドライバ及び関連した回路を使用して前記電流を駆動する。
【0016】
図3は、実施形態に従ったサーボウェッジ244に配置されたサーボセクタ300の略図である。サーボセクタ300は、サーボセクタフォーマットの例示の説明図であり、プリアンブルフィールド301、サーボマークフィールド302、コンバインドアドレスフィールド350、パッドフィールド303、及びサーボバーストフィールド304A乃至304Dを含む。サーボセクタ300のフォーマットは例示の例証であり、サーボセクタ300を形作っている異なるフィールドの特定のオーダーは、図3に記述されたフォーマットから発明の範囲から逸脱することなく変更するかもしれない。プリアンブル フィールド301は、リードチャネルのタイミングを同期し、信号振幅を調整する。サーボマークフィールド302は、サーボエリアの始まりを示している情報を含み、パッドフィールド303は、コンバインドアドレスフィールド350及びサーボバーストフィールド304A乃至304Dの間のバッファとして含まれる。サーボバーストフィールド304A乃至304Dは、同心のデータストレージトラック242の位置を定めるための正確なヘッド位置情報を含む。いくつかの方法は、振幅サーボバーストまたは位相エンコーディドサーボバーストを含むこのような正確な位置決めを実行するために業界で周知である。その方法は復調方式に依存して使用される。
【0017】
コンバインドアドレスフィールド350は、サーボセクタ300に関するサーボセクタアドレス及びサーボセクタ300が配置されるトラックのトラックアドレスを含む。実施形態に従って、この情報は単一値、すなわちコンバインドアドレス値に組み合わされ、サーボセクタアドレスを格納するためにサイズされたサーボセクタアドレス、及びトラックアドレスを格納するためにサイズされたトラックアドレスフィールドのトータルのビットよりも小さいビットを持っているフィールドに格納される。サーボセクタアドレス及びトラックアドレスは、ディスク上の2つの位置に関するコンバインドアドレス値を読み込むことによって、サーボセクタアドレス及びトラックアドレスが曖昧にではなく取り出すことができるように反対に結合される。ここで、2つの位置は必ずしも同じトラックでなくてもよい。したがって、リード/ライトヘッド127の位置はディスクの2つの位置に関するコンバインドアドレス値を読み込むことによって決定されることができる。これはストレージディスク112がインデックスビットに回転するまで待つよりも非常に早い。
【0018】
図4は、典型的なサーボセクタアドレスフィールド401及び典型的なトラックアドレスフィールド402をとコンバインドアドレスフィールド350との比較を概略的に例証する。サーボセクタアドレスフィールド401はストレージディスク112のサーボセクタアドレスに関するビット値を含むようにサイズされたサーボセクタフィールドである。ディスクドライブには典型的に数百のサーボセクタがあるので、サーボセクタアドレスフィールド401のビット長410は9ビットであり、実施形態では511個の固有のサーボセクタアドレスを調整することができる。同様に、トラックアドレスフィールド402はストレージディスク上のトラックアドレスに関するビット値を含むようにサイズされたサーボセクタフィールドであり、18ビットのビット長420を持つ。図に示されるように、コンバインドアドレスフィールド350のビット数はビット長410とビット長420の合計よりも実質的に小さい。したがってサーボセクタ300のサイズ、及びサーボウェッジ244によって占有されるストレージディスク112の連続する部分を実質的に減少させる。いくつかの実施形態で、コンバインドアドレスフィールド350はトラックアドレスフィールド402のビット長410と同様の小さなビット長を持つかもしれない。
【0019】
図5は、実施形態にしたがって、コンバインドアドレス値510がサーボセクタアドレス値501及びトラックアドレス値502から構成される方法を概念的に例証しているブロック図である。サーボセクタアドレス値501は、ストレージディスク112の特定のサーボセクタに関するアドレス値であり、サーボセクタアドレスフィールド401のビット長410、例えば9ビット、に等しいビット長を持つ。図5に例証される実施形態で、サーボセクタアドレス値501は、Sビットのビット長を持ち、Sは式1に関連して以下で定義される。トラックアドレス値502は、ストレージディスク112の特定のトラックに関するアドレス値であり、トラックアドレスフィールド402のビット長420、例えば18ビット、に等しいビット長を持つ。図5に例証される実施形態で、トラックアドレス値502は、Lビットのビット長を持ち、Lは図3に関連して以下に定義される。ここで記述される例示の実施形態で、コンバインドアドレス値510は、ビット長Lに等しいビット長をもまた持つ。他の実施形態で、発明の範囲から逸脱することなく、サーボセクタアドレスフィールド401及びトラックアドレスフィールド402のトータルのビット長よりもコンバインドアドレス値510が小さい限り、コンバインドアドレス値510はビット長420よりも大きなビット長を持つかもしれない。
【0020】
最初に、”マンジド(munged)”セクタ番号m(s)は、図5のマンジ(munge)オペレーション520によって示されるように、サーボセクタアドレス値501から計算される。式1は、サーボセクタアドレス値501、ここではsで示される、のマンジオペレーション520を明確に記述する。
【数1】

【0021】
ここで、Sは全てのsに関して、条件s<2を十分に満たす整数であり、以下に記述されるcは負でない整数の定数である。したがって、Sはサーボセクタビット数、すなわちビット長410に等しいかもしれない。ここで使用され、式1によって記述されるオペレーションに適用されるような用語“マンジング(munging)”は、情報が(不完全に)変換されることを意味し、置換文字を通した強力なパスワードを構築することに関連した用語”マンジ”の意味と混同されるべきではない。さらに、ここでモジュロオペレーションに関して使用される表記mod(a,b)は、表記“a modulo b”または“a mo b”の表記の単なる簡便な代替である。
【0022】
式1は、式2が全てのs>0に関して真であるようにm(s)を定義する。
【0023】
mod[m(s)−m(s−1)−c,2]=s (2)
したがって、全てのs>0に関して連続したマンジドセクタ番号、すなわちm(s)とm(s−1)間の差分、すなわち、modulo[2]は、セクタ番号を決定し、sは2つの連続したセクタ読み込みからほとんどいつも決定されることができる。例外的な場合はs=0の場合である。0からN−1に番号付けされたN個のサーボセクタがあると仮定すると、mod[m(0)−m(N−1)−c,2]≧Nまたは0 となるような、一定の負でない整数cが常にある。したがって、セクタ番号がN−1から0に”ラップ”したとしても、連続したマンジドセクタ番号の後方差分からセクタ番号を一意的に決定することは常に可能である。この特性は、他の公知で特許された方法による改良である。
【0024】
実施形態は、式2によって例証される後方差分の有益な特性を保存するようにコンバインドアドレス値510を生成するために、マンジドセクタ番号m(s)及びトラックアドレス値502を結合する。式3はこの中ではマンジドセクタ番号m(s)及びtで示されるトラックアドレス値502から、ここではtau(t,s)で示されるコンバインドアドレス値510を計算するための公式を表している。
【0025】
tau(t,s)=mod(t+2(L−S)*m(s),2L) (3)
ここで、L≧Sである。実施形態で、Lはトラックアドレスビット、すなわちビット長420に等しい整数であるが、より大きな整数でもあるかもしれない。式3のアプリケーションは図5のビットシフト操作530及びモジュロ加算操作540によって示されるように、トラックアドレス値502の上位ビットのマンジドセクタ番号m(s)を置き、その結果、トラックアドレス値502の下位ビット、すなわち下位ビット領域502Aを変化しないままとする。実施形態で、結果のコンバインドアドレスはグレーコードであり、媒体に書き込まれる。
【0026】
式3によって表されるようなコンバインドアドレス値510の定義は、コンバインドアドレス値510が2つの連続するセクタから読み出される時にトラックアドレス値502及びサーボセクタアドレス値501が決定されることを許可するいくつかの特性を持つ。リード/ライトヘッド127の半径方向の速度の粗い推定を仮定すると、2つの連続するセクタは同じトラックにある必要はない。リード/ライトヘッド127の半径方向の速度を推定するための公知の方法のいくつかが使用されるかもしれない。ヘッドスイッチの間、半径方向の速度が典型的に極めて遅いので、サーボセクタ毎の0トラックの推定された速度は通常十分である。初期のヘッド読み込みに関して、半径方向の速度も典型的に遅く、ゼロ速度推定も通常十分である。ボイスコイルからの逆起電力は、半径方向の速度のより正確な推定を提供できる。もし高速度シークの間、トラックアドレス及びセクタ番号アドレスを再取得することになれば、典型的な実施が最新の半径方向の速度の推定を提供する。
【0027】
記述は、コンバインドアドレス値510の2つの連続する観察結果、例えばtau(t2,s)及びtau(t1,s−1)からのサーボセクタアドレス値501及びトラックアドレス値502と、この中でt1及びt2で示される2つの未知のトラックからのサーボセクタアドレス値501及びトラックアドレス値502の両方を決定することに関してこれから提供される。リード/ライトヘッド127が第1のトラック及び第2のトラック、すなわちt1、t2の間を動いた時の推定半径方向速度vが実際の半径方向速度の許容できる範囲内であるということを仮定して、tau(t2,s)及びtau(t1,s−1)はストレージディスク112の異なる同心データストレージトラック242からの観察結果であるかもしれない。特にもし、(トラック/セクタで表わされる)推定された半径方向の速度vがリード/ライトヘッド127が第1のトラックと第2のトラックの間を動く実際の半径方向の速度である−2(L-S-1)+1と2(L-S-1)内であるならば、計算されたトラックアドレス値502及びサーボセクタアドレス値501は補正されるだろう。典型的な実施形態でL=18及びS=9とすると、推定された半径方向の速度vはリード/ライトヘッド127の実際の半径方向の速度の±256トラック/セクタ内であるということが典型的に要求され、これは満たすことが困難な条件ではない。当業者はこの精度の半径方向の速度推定をもたらすことは様々な手段によってすでに達成されるだろうということを理解するだろう。例えば1つの実施形態で、磁石内を回転しているボイスコイルモータ128からの逆起電力がこのような概算を提供することができる。したがって、半径方向の速度vが正しいと仮定すると、シリンダーt2及びセクタs−1に関する期待されたコンバインドアドレス値510、すなわちtauexpは式4によって表されることができる。
【0028】
tauexp(t2,s−1)
=mod[smod(tau(t2,s)−(tau(t1,s−1)+v),2(L-S)
+(tau(t1,s−1)+v),2L] (4)
ここで、smodは“符号付きのモジュロ”オペレータである。符号付きのモジュロオペレータは式5によって定義される。
【数2】

【0029】
そして、整数x及び偶数の整数Nを含む−N/2、N/2−1の範囲で値を創造する。したがって、符号付きのモジュロオペレータは正及び負両方の差分を供給するオフセットを加えることで実質的にモジュロオペレータと同様である。
【0030】
1つのトラックからのコンバインドアドレス値510及び前のサーボセクタの同一トラックについてのコンバインドアドレスの推定値を与えると、サーボセクタアドレス値501は式6から決定され得る。
【数3】

【0031】
トラックアドレス値502、すなわちt2は式7を使用して計算される。
【0032】
t2=mod[tau(t2,s)−2(L-S)m(s),2] (7)
したがって、サーボセクタアドレス値501及びトラックアドレス値502の両方は、コンバインドアドレス値510の2つの連続する観測結果から計算されることができる。
【0033】
上で述べられたように、発明者は
mod[m(0)−m(N−1)−c,2]≧Nまたは0
となるような、一定の負でない整数cが常にあることを決定した。ここでNはストレージディスク112の表面のセクタ数である。定数cはセクタ番号がN−1から0に“ラップ”した時でさえ、2つの連続するマンジドセクタ番号m(s)の後方差分から、サーボセクタアドレス値501、すなわちsを一意的に決定することを可能にする。式8はcに関する一つの可能な値を計算する。
【数4】

【0034】
ここで、Nはセクタ数であり、Sはセクタ番号を表すために使用されるビット数である。表1は400近くのNに関する式8からのサンプル出力を提供し、セクタ番号公式はN−1から0へのラップポイントで正確に動くということの検証及び、計算されたcの値を含んでいる。
【表1】

【0035】
図6は、実施形態に従って、ストレージディスクに対するトランスデューサヘッドの位置を決定するための方法600を、ステップワイズ方法で要約するフローチャートである。方法600は図1のディスクドライブ110に実質的に同様のディスクドライブに関して記述される。しかしながら、他のディスクドライブも方法600の使用から利益を得るかもしれない。ステップ601から605を実行するためのコマンドがディスクドライブの電子回路の中またはストレージディスクそれ自体に格納された値として、及び/またはディクスドライブコントロールアルゴリズム内に存在するかもしれない。
【0036】
ステップ601で、コンバインドアドレス値510はストレージディスク112の2つの連続するセクタ、すなわちtau(t2,s)及びtau(t1,s−1)に関して観測される。上で述べたように、各々のセクタはストレージディスク112の異なるトラック上に配置されるかもしれない。
【0037】
ステップ602で、期待されたコンバインドアドレス値510すなわちtauexpは、ステップ601の間リード/ライトヘッド127が2つのセクタ間を動いている時、リード/ライトヘッド127の半径方向の速度の推定値及び式4を使用して計算される。
【0038】
ステップ603で、式602で計算された、期待されたコンバインドアドレス値510、すなわちtauexpを与えると、式6はステップ601で観測された2つのセクタの1つ、すなわちセクタ(t2,s)に関するサーボセクタアドレス値501を決定するために使用されることができる。
【0039】
ステップ604で、ステップ603で決定されたサーボセクタアドレス値501を与えると、式7はセクタ(t2、s)に関するトラックアドレス値502を計算するために使用される。
【0040】
検証のために、表2は復号されたセクタ番号及びトラック番号を含んでいる、方法600のサンプル出力を供給する。表2を生成することに関して、シリンダビットLの数は19ビットであり、セクタビットSの数は9であり、セクタNの数は400であり、cの値は3であり、リードヘッドの実際の速度は550トラック/セクタであり、そして推定された半径方向の速度は250トラック/セクタであった。セクタ番号399と0の間のラップポイントが実施形態に関して特に関心があるので、セクタ391からセクタ13に関する結果は表2に例証される。図に示されるように、復号されたトラック番号は実際のトラック番号に一致し、復号されたセクタ番号は実際のセクタ番号に一致する。
【表2】

【0041】
つまり、実施形態は2つのコンバインドフィールドより実質的に小さいコンバインドアドレスフィールドに、サーボセクタアドレスフィールド及びトラックアドレスフィールドを圧縮することの利点がある。コンバインドアドレスフィールドは異なるトラックに配置された2つの連続するセクタを観測することによって復号されることが可能であるので、ディスクドライブのリード/ライトヘッドの位置を決定するためのプロセスが速やかに実行される。さらに、実施形態に従って、コンバインドアドレスフィールドを復号するために使用される公式は2による除算、乗算、モジュロ、2の指数モジュラスを伴った符号付きのモジュロ操作を主に含み、これらの公式を解くことはバイナリコンピュータを使用して簡単である。例えば、2による除算、乗算及びは各々左へのシフト及び右へのシフトを単に必要とし、2の指数モジュラスを伴うモジュロオ操作は論理的または算術的なシフトのペアを必要とする。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
110…ディスクドライブ、112…ストレージディスク、127…リードヘッド、130…電子回路、132…プリント回路基板、242…データストレージトラック、244…サーボウェッジ、246…データセクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体のサーボセクタに書き込まれた符号化されたデータに基づいてディスクドライブの記録媒体のトラック番号及びセクタ番号を復号する方法であって、
第1のサーボセクタからの第1の符号化されたデータ及び第2のサーボセクタからの第2の符号化されたデータを連続的に読み込むステップと、
前記第1の符号化されたデータ及び前記第2の符号化されたデータからSビットのセクタ番号を復号するステップと、
前記第1の符号化されたデータ及び前記第2の符号化されたデータからLビットのトラック番号を復号するステップと、
を具備し、
前記第1の符号化されたデータ及び前記第2の符号化されたデータの各々が(S+L)ビットより小さいビットを含んでいる方法。
【請求項2】
前記第1の符号化されたデータ及び前記第2の符号化されたデータの各々がLビットを含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の符号化されたデータ及び前記第2の符号化されたデータが前記ディスクドライブのトランスデューサヘッドを使用して読み込まれ、前記第1の符号化されたデータ及び前記第2の符号化されたデータの前記読み込みの時、前記Sビットセクタ番号と前記Lビットトラック番号の復号が前記トランスデューサヘッドの推定された半径方向の速度にも基づいている請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第1のサーボセクタ及び前記第2のサーボセクタが同じトラック上に位置を定められる請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記第1のサーボセクタ及び前記第2のサーボセクタが異なるトラック上に位置を定められる請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記記録媒体がN個の別個のサーボセクタを持ち、前記第1のサーボセクタが前記(N−1)番目のサーボセクタを表し、前記第2のサーボセクタが前記0番目のサーボセクタを表す請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記第1のサーボセクタ及び前記第2のサーボセクタが異なるトラック上に位置を定められる請求項6記載の方法。
【請求項8】
ディスクドライブのコントローラに、
前記ディスクドライブの記録媒体のサーボセクタに書き込まれた第1の符号化されたデータ及び第2の符号化されたデータを第1のサーボセクタ及び第2のサーボセクタから連続的に読み込むステップと、
前記第1の符号化されたデータ及び前記第2の符号化されたデータからSビットのセクタ番号を復号するステップと、
前記第1の符号化されたデータ及び前記第2の符号化されたデータからLビットのトラック番号を復号するステップと、
を実行させる命令を具備するコンピュータ可読記録媒体であって、
前記第1の符号化されたデータ及び前記第2の符号化されたデータの各々が(S+L)ビットより少ないビットを含むコンピュータ可読記録媒体。
【請求項9】
前記第1の復号されたデータ及び前記第2の符号化されたデータの各々がLビットを含む請求項8記載のコンピュータ可読記録媒体。
【請求項10】
前記第1の符号化されたデータ及び前記第2の符号化されたデータは前記ディスクドライブのトランスデューサヘッドを使用して読み込まれ、前記第1の符号化されたデータ及び前記第2の符号化されたデータの前記読み込みの時、前記Sビットセクタ番号及び前記Lビットトラック番号の前記復号は前記トランスデューサヘッドの推定された半径方向の速度にも基づいている請求項8記載のコンピュータ可読記録媒体。
【請求項11】
前記第1のサーボセクタ及び前記第2のサーボセクタが同じトラックに設けられる請求項8記載のコンピュータ可読記録媒体。
【請求項12】
前記第1のサーボセクタ及び前記第2のサーボセクタが異なるトラックに設けられる請求項8記載のコンピュータ可読記録媒体。
【請求項13】
前記記録媒体がN個の別個のサーボセクタを持ち、前記第1のサーボセクタが前記(N−1)番目のサーボセクタを表し、前記第2のサーボセクタが前記0番目のサーボセクタを表す請求項8記載のコンピュータ可読記録媒体。
【請求項14】
前記第1のサーボセクタ及び前記第2のサーボセクタが異なるトラックに設けられる請求項13記載のコンピュータ可読記録媒体。
【請求項15】
ディスクドライブの記録媒体であって、各々が多数のアドレスフィールドを持っている多数のサーボセクタを含み、該アドレスフィールドの1つは前記記録媒体の各々のトラックに関するものであり、
各々のアドレスフィールドがLビットの符号化されたデータを含み、前記アドレスフィールドの下位ビットは前記アドレスフィールドに対応している前記トラックのトラック番号の下位ビットに一致し、前記アドレスフィールドの上位ビットは前記トラック番号の上位ビットに一致しない記録媒体。
【請求項16】
Lが27ビットよりも小さい請求項15記載の記録媒体。
【請求項17】
Lが18ビットまたは19ビットに等しい請求項16記載の記録媒体。
【請求項18】
前記アドレスフィールドは、前記Lビットの符号化されたデータの2つの連続した読み込みからサーボセクタ番号及びトラック番号を復号するために必要とされる前記Lビットの符号化されたデータを格納するためのコンバインドアドレスフィールドを表している請求項15記載の記録媒体。
【請求項19】
前記サーボセクタは前記サーボセクタ番号または前記トラック番号のどちらかを格納するためのアドレスフィールドを含まない請求項18記載の記録媒体。
【請求項20】
アドレスフィールドに関する前記Lビットの符号化されたデータは前記アドレスフィールドに対応している前記サーボセクタのサーボセクタ番号を表しているビット及び前記トラック番号の前記上位ビットのモジュロ操作を行うことによって生成される請求項15記載の記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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