説明

トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩を含む外用組成物の製造方法

【課題】べたつきや油性感が抑制され、みずみずしい感触を有するトラネキサム酸エステルを有効成分とする外用組成物及びその製造方法の提供。
【解決手段】a)トラネキサム酸エステル塩と両親媒性高分子とを、水、水溶性有機溶媒又はこれらの混合溶媒中で溶解し、b)前記工程a)で得られた混合液を水性媒体中に添加することによって、トラネキサム酸エステル塩を両親媒性高分子が形成する分子集合体粒子に保持させることによって、トラネキサム酸エステル塩を水性媒体中で安定に分散させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩を有効成分として含む外用組成物の製造方法並びにそれによって得られる外用組成物及び分子集合体粒子に関する。また本発明は、該外用組成物を皮膚に局所適用することを含む皮膚を色素沈着抑制及び/又は美白するための化粧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トラネキサム酸エステルは美白効果を奏することが知られており、医薬品、医薬部外品及び化粧品等の外用組成物における美白成分として用いられている。例えば、特開平4−46144号公報(特許文献1)では、トラネキサム酸エステルを有効成分とする抗色素沈着外用剤が記載されている。また、特開2003−306419号公報(特許文献2)では、コエンザイムQ10と併用できる美白成分としてトラネキサム酸及びその誘導体が例示されている。さらに、特開2004−107262号公報(特許文献3)では、L−アスコルビン酸テトラ分枝脂肪酸エステル誘導体と併用できる油溶性美白剤として、トラネキサム酸セチルエステルが例示されている。
しかし、トラネキサム酸エステル又はその塩は、水や油に対する溶解度が低いため製剤中で凝集物を形成しやすく、製剤中に均一な状態で配合させることが難しいといった問題がある。
【0003】
特開2002−234836号公報(特許文献4)では、トラネキサム酸エステルを有効成分とするストレス対応外用組成物が記載されている。該公報では、オリーブ油などの油性成分を多量に用いてトラネキサム酸エステルを溶解させることが記載されている。しかし、この方法では、油性成分を多量に用いるため、剤形がクリームや乳液等に限られてしまう。また、得られた外用剤はべたつきや油性感があり、使用感が優れない。
【0004】
また、特開2006−306744号公報(特許文献5)では、トラネキサム酸エステル又はその塩とシリコーン油とを併用した外用組成物が記載されている。該公報では、トラネキサム酸エステル又はその塩とシリコーン油とを併用することで、組成物中におけるトラネキサム酸エステル又はその塩の溶解性を高めることができ、トラネキサム酸エステルの有する効果を長期間持続できることが記載されている。シリコーン油は比較的さっぱりとした使用感を与える油性成分として知られているが、トラネキサム酸エステルを溶解するために多量に用いる必要があり、外用組成物の剤形の選択の幅が狭くなる。
【0005】
ところで、特開2006−45079号公報(特許文献6)では、トラネキサム酸ナトリウムなどの美白成分と、ポリクオタニウムなどの4級アミノ基を有する高分子化合物とを併用することにより、安定な化粧料が得られることが記載されている。しかし、トラネキサム酸ナトリウムをはじめとして、ここで記載されている美白成分はすべて水溶性の化合物であり、製剤中における溶解性の問題は生じない。
【0006】
国際公開第00/57841号パンフレット(特許文献7)では、多糖類−コレステロール誘導体を化粧料の保湿成分として利用できることが記載されている。しかし、多糖類−コレステロール誘導体を用いることによって、水や油に対する溶解度が低い成分を製剤中に分散できることは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−46144号公報
【特許文献2】特開2003−306419号公報
【特許文献3】特開2004−107262号公報
【特許文献4】特開2002−234836号公報
【特許文献5】特開2006−306744号公報
【特許文献6】特開2006−45079号公報
【特許文献7】国際公開第00/57841号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような状況の下、べたつきや油性感が抑制され、みずみずしい感触を有する使用感の良好なトラネキサム酸エステル又はその塩を含有する製剤の提供が望まれている。また、剤形の選択の幅が広いトラネキサム酸エステル又はその塩を含有する製剤の提供が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩と両親媒性高分子とを、所定の条件下、水、水溶性有機溶媒又はこれらの混合溶媒中に溶解し、得られた混合物を水性媒体中に添加することによって、該トラネキサム酸エステル塩が凝集又は結晶沈降することなく、トラネキサム酸エステル塩を水性媒体中で安定に分散させることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、以下に示すトラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩(以下「トラネキサム酸エステル塩」ということがある。)を有効成分として含む外用組成物の製造方法を提供するものである。また、該方法により得られる外用組成物、並びに、この組成物を局所適用することにより皮膚の過剰な色素沈着を抑制し且つ/又は美白し、しみ又は色素沈着を薄くする化粧方法を提供するものである。
【0011】
[1]トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩を有効成分として含む外用組成物の製造方法であって、
a)トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩と両親媒性高分子とを、1:3〜1:20(重量比)の割合で、水、水溶性有機溶媒又はこれらの混合溶媒中で溶解する工程と、
b)前記工程a)で得られた混合液を水性媒体中に添加する工程と
を含む、前記外用組成物の製造方法。
[2]前記トラネキサム酸エステルが、下記式(1)
【化1】

[式中、Rは、水酸基及びアミノ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖を有する飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基を表す。]
で示される、[1]記載の製造方法。
[3]前記トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩が、トラネキサム酸セチルエステル塩酸塩である、[1]又は[2]記載の製造方法。
[4]前記両親媒性高分子が、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体及びヘキシルジカルバンミン酸コレステリルプルランからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[3]の何れか1項に記載の製造方法。
[5]前記水性媒体が、水を60重量%以上含む、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の製造方法。
[6]前記工程a)において、前記トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩、両親媒性高分子及び溶媒を含む混合物を20〜120℃に加熱して混合液を得る、[1]〜[5]の何れか1項に記載の製造方法。
[7]前記工程b)において、50〜95℃の水性媒体中に、前記工程a)で得られた溶液を添加する、[1]〜[6]の何れか1項に記載の製造方法。
[8]前記工程b)においてトラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩を含む分子集合体粒子が形成される、[1]〜[7]の何れか1項に記載の製造方法。
[9]前記工程b)で得られた組成物を、別の外用組成物に添加する工程c)をさらに含む、[1]〜[8]の何れか1項に記載の製造方法。
[10][1]〜[9]のいずれか1項に記載の方法で得られる外用組成物。
[11]トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩0.001〜5.0重量%及び両親媒性高分子0.01〜25.0重量を含む、[10]記載の外用組成物。
[12]しみ又は色素沈着を薄くするために皮膚を色素沈着抑制及び/又は美白するための[10]又は[11]記載の外用組成物の化粧料としての使用。
[13][10]又は[11]記載の外用組成物を皮膚に局所適用することを含む、皮膚を色素沈着抑制及び/又は美白するための化粧方法。
[14]a)トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩と両親媒性高分子とを、1:3〜1:20(重量比)の割合で、水、水溶性有機溶媒又はこれらの混合溶媒中で溶解する工程と、b)前記工程a)で得られた混合液を水性媒体中に添加する工程とを含む方法で得られる分子集合体粒子。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トラネキサム酸エステルに由来する有効成分(すなわちトラネキサム酸エステル塩)を組成物中に安定な状態で分散させることができる。本発明によれば、トラネキサム酸エステル塩を含む外用組成物の剤形の選択の幅が広がり、多様な製品形態の外用組成物を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の外用組成物の製造方法、それによって得られる外用組成物及びその用途等について詳細に説明する。
【0014】
本発明の外用組成物の製造方法は、
a)トラネキサム酸エステル塩と両親媒性高分子とを、1:3〜1:20(重量比)の割合で、水、水溶性有機溶媒又はこれらの混合溶媒中で溶解する工程と、
b)前記工程a)で得られた混合液を水性媒体中に添加する工程と
を含む。
【0015】
以下、各工程について説明する。
【0016】
<工程a)>
工程a)では、トラネキサム酸エステル塩と両親媒性高分子とを所定の割合で用いて、水、水溶性有機溶媒又はこれらの混合溶媒中で溶解する。
【0017】
本発明の方法において、トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩に用いられるトラネキサム酸エステルは、下記式(1)で示されるものが好ましい。
【化2】

[式中、Rは、水酸基及びアミノ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖を有する飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基を表す。]
【0018】
上記式(1)中、Rは、炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖を有する飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は水酸基及びアミノ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
脂肪族炭化水素基は、非環式であってもよいし、環式であってもよい。脂肪族炭化水素基が非環式の場合には、直鎖でもよいし、分岐鎖でもよい。脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルジエニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルアルキル基などが含まれる。これらの中でも、アルキル基が好ましい。炭素数は8〜20が好ましく、特に12〜18が好ましい。
【0019】
該脂肪族炭化水素基の置換基の数は特に制限されない。該脂肪族炭化水素基が置換基を2以上有する場合は、該置換基は、水酸基又はアミノ基のいずれかであってもよいし、水酸基及びアミノ基の両方が含まれていてもよい。
【0020】
上記式(1)で示されるトラネキサム酸エステルとしては、具体的には、トラネキサム酸ラウリルエステル、トラネキサム酸ミリスチルエステル、トラネキサム酸セチルエステル及びトラネキサム酸ステアリルエステル等が挙げられる。これらの中でも、トラネキサム酸セチルエステルが特に好ましい。
【0021】
本発明に用いられるトラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩は、本発明の目的を阻害しないものであれば特に制限されないが、トラネキサム酸エステルの塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩、臭素酸塩、硝酸塩などの鉱酸塩;シュウ酸塩、乳酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩;炭酸塩などが好ましく挙げられる。
【0022】
中でも、本発明に用いられるトラネキサム酸エステル塩としては、トラネキサム酸セチルエステル塩酸塩、トラネキサム酸セチルエステルリン酸塩、トラネキサム酸セチルエステル硫酸塩、トラネキサム酸セチルエステル臭素酸塩、トラネキサム酸セチルエステル硝酸塩、トラネキサム酸セチルエステルシュウ酸塩、トラネキサム酸セチルエステル乳酸塩、トラネキサム酸セチルエステルクエン酸塩及びトラネキサム酸セチルエステル炭酸塩からなる群から選択されるものが好ましい。特に、トラネキサム酸セチルエステル塩酸塩が好ましい。
トラネキサム酸エステル塩は1種単独で用いても、2種以上用いてもよい。
【0023】
本発明において両親媒性高分子は、親水性部分と疎水性部分とをあわせ持つ重量平均分子量1万以上の高分子である。本発明に用いられる両親媒性高分子としては、水、水溶性有機溶媒又はこれらの混合溶媒中で自己会合して分子集合体粒子を形成する性質を有する高分子が好ましく挙げられる。
【0024】
両親媒性高分子の重量平均分子量は、1万〜500万が好ましく、3万〜200万がより好ましく、10万〜100万が特に好ましい。尚、本発明において重量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GFC:Gel Filtration Chromatographty、プルラン換算)によって求められる。
【0025】
本発明に用いられる両親媒性分子としては、例えば、両親媒性で4級アミノ基を有する高分子化合物であるポリクオタニウムが挙げられる。特に重量平均分子量が10万〜200万(好ましくは10万〜100万)のポリクオタニウム−61((2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体)(例えば、特開2004−196868号公報参照)が好ましく挙げられる。
また、両親媒性分子としては、多糖類−ステロール誘導体、例えばコレステロールプルランを用いることができる(例えば、猪又潔ら、Fragrance Journal、30(7)、74−78(2002)、国際公開第2000/12564号パンフレット参照)。特に重量平均分子量が5万〜50万のヘキシルジカルバミン酸コレステリルプルランが好ましく用いられる。
両親媒性高分子としては市販品を用いることもできる。例えば、日油株式会社製「Lipidure(登録商標)−S」(例えば、福井洋樹ら、Fragrance Journal、33(1)、970102(2005)参照)、コレステロールプルランの水分散液である「Meduseeds(登録商標)−C1」などが挙げられる。
両親媒性高分子は、1種単独で用いても、2種以上用いてもよい。
【0026】
本発明の製造方法において、トラネキサム酸エステル塩と両親媒性高分子とは、1:3〜1:20の割合(重量比)で用いる。両親媒性高分子の割合がこれより少ないとトラネキサム酸エステル塩を十分に安定に分散させることが出来ず、トラネキサム酸エステル塩の凝集又は結晶沈降が生じる場合があり、これより多いと効率が悪く、また水、水溶性有機溶媒又はこれらの混合溶媒中に溶解させることが難しい場合がある。トラネキサム酸エステル塩と両親媒性高分子とは、1:3〜1:15の割合で用いることが好ましく、1:4〜1:10の割合で用いることがより好ましい。
【0027】
工程a)では、トラネキサム酸エステル塩と両親媒性高分子とを、水、水溶性有機溶媒又はこれらの混合溶媒中で溶解する。
【0028】
本発明に用いる水溶性有機溶媒は、本発明の方法に従ってトラネキサム酸エステル塩及び両親媒性高分子を溶解できるものであれば特に制限されない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール(好ましくは炭素数1〜5のアルコール);エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、グリセリン、ジグリセリン等の多価アルコール等が挙げられる。
これらの水溶性有機溶媒は、1種単独で用いても、2種以上用いてもよい。
【0029】
中でも、工程a)で用いる溶媒としては、水、多価アルコール又はこれらの混合溶媒が好ましい。溶媒は両親媒性高分子の種類等によって適宜選択されればよい。例えば、両親媒性高分子として(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体を用いる場合、溶媒としては1種又は2種以上の多価アルコールを用いることが好ましい。他方、ヘキシルジカルバミン酸コレステリルプルランを用いる場合は、溶媒としては水を用いることが好ましい。
【0030】
溶媒の使用量は、トラネキサム酸エステル塩と両親媒性高分子とを溶解できる量であればよい。溶媒の使用量は、使用する両親媒性高分子の種類等によっても異なるが、通常、トラネキサム酸エステル塩の使用量に対して、重量比で、10〜2000倍が好ましく、20〜500倍がより好ましく、50〜200倍が特に好ましい。
本発明の一実施態様において、例えば、両親媒性分子として(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体を用いる場合、溶媒である多価アルコールの使用量は、トラネキサム酸エステル塩の使用量に対して、重量比で、10〜200倍が好ましく、50〜200倍がより好ましい。
本発明の別の実施態様において、例えば、両親媒性分子としてヘキシルジカルバミン酸コレステリルプルランを用いる場合、溶媒である水の使用量は、トラネキサム酸エステル塩の使用量に対して、重量比で、500〜2000倍が好ましい。
【0031】
溶媒の使用量は、得られる外用組成物の用途によっても異なる場合がある。溶媒の使用量は、外用組成物の用途に応じて、適宜決定されればよい。
【0032】
工程a)において、トラネキサム酸エステル塩と両親媒性高分子とを、水、水溶性有機溶媒又はこれらの混合溶媒中で溶解する際、該溶媒を加熱により加温してもよい。この場合、溶媒の温度は、溶媒の沸点以下であることが好ましく、通常、20〜120℃が好ましく、50〜100℃がより好ましく、70〜90℃が特に好ましい。
【0033】
<工程b)>
工程b)では、工程a)で得られた混合液を水性媒体中に添加する。
本発明の好ましい態様によれば、工程a)で得られた混合液を水性媒体中に添加することによって、両親媒性高分子は、水性媒体中で疎水性部分を内側に、親水性部分を外側にして自己会合して分子集合体粒子を形成することができる。本発明の好ましい態様によれば、この分子集合体粒子中にトラネキサム酸エステル塩が保持されることによって、トラネキサム酸エステル塩が凝集又は結晶沈降することなく、トラネキサム酸エステル塩を水性媒体中で安定な状態で分散させることができる。
【0034】
本発明において両親媒性分子が自己会合して得られる分子集合体粒子の粒子径は特に制限されないが、粒度分布をレーザー回折式粒度分布測定装置(SHIMADZU社製「SALD−7000」)を用いて測定して得られたメディアン径が、1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.2μm以下がさらに好ましい。分子集合体粒子は小さいものほど好ましい。メディアン径の下限は通常0.02μm程度である。
【0035】
工程b)において用いられる水性媒体は、水を全体の50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上含む媒体である。
【0036】
水性媒体は、必要に応じて、水溶性有機溶媒、単糖、オリゴ糖、アミノ酸、塩類、防腐剤、界面活性剤等の水溶性成分を含んでいてもよい。
水溶性有機溶媒は、工程a)において例示したものと同じものを用いることができる。
単糖、オリゴ糖、アミノ酸、塩類、防腐剤及び界面活性剤等は、後述の任意成分として例示する化合物等を用いることができる。
【0037】
水性媒体の使用量は、トラネキサム酸エステル塩、好ましくはトラネキサム酸エステル塩を含む、両親媒性高分子が形成する分子集合体粒子が十分に分散できる量であればよく、通常、工程a)で得られた混合液に対して、重量比で、0.8〜100倍が好ましく、1.0〜50倍がより好ましく、2.0〜20倍が特に好ましい。
【0038】
水性媒体の使用量は、得られる外用組成物の用途等によって適宜選択される。
【0039】
工程a)で得られた混合液を水性媒体中に添加する際、水性媒体及び/又は混合液を加熱により加温してもよい。このとき水性媒体及び/又は混合液の温度は、水性媒体又は混合液の沸点以下であることが好ましく、通常、50〜95℃が好ましく、60〜85℃がより好ましく、65〜75℃が特に好ましい。
【0040】
<工程c)>
本発明の製造方法では、工程b)で得られた組成物をそのまま外用組成物として用いることもできるし、工程b)で得られた組成物を、別の外用組成物に添加する工程c)を任意に含んでいてもよい。
【0041】
工程c)で用いられる別の外用組成物は、本発明の目的を損なわないものであれば特に制限されない。例えば、洗顔料、化粧水、美容液、乳液、クリーム、パック等のフェイシャル化粧料やファンデーション、口紅、アイシャドー等のメーキャップ化粧料やボディー化粧料、毛髪化粧料、口腔化粧料、芳香化粧料、洗浄料、軟膏等が挙げられる。この場合、本発明の外用組成物は、公知のホワイトニング剤の代わりに添加してもよいし、公知のホワイトニング剤に追加して添加してもよい。
ホワイトニング剤としては、後述の任意成分として配合できるホワイトニング剤として例示した化合物、例えば、アスコルビン酸及びその塩又はその誘導体、ビタミンC3などのナイアシン、AHA、BHA、アルブチン、コウジ酸、ルシノール、エラグ酸、カモミラET、トラネキサム酸、シクロアミノ酸誘導体、リノール酸等が挙げられる。
【0042】
上記のようにして、トラネキサム酸エステル塩が水性媒体中に安定に分散されてなる外用組成物を得ることができる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の製造方法によって得られた外用組成物を皮膚に局所適用すると、両親媒性分子が形成する分子集合体粒子が皮膚の上で乾燥してラメラ層を形成し、トラネキサム酸エステル塩はこのラメラ層中に保持されるため、徐々に皮膚にたどり着くことになり、トラネキサム酸エステル塩の効果が長時間持続するものと考えられる。また、トラネキサム酸エステル塩が分子集合体粒子に保持されていることにより、公知の美白成分と併用しても外用組成物の安定性を維持することができる。
【0043】
本発明の外用組成物は、所望により、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、化粧品又は医薬品に配合可能な成分を含むことができる。これらの任意成分は、前記工程b)又は工程c)で得られた外用組成物に添加してもよいし、本発明の目的を損なわない範囲で工程a)における溶媒中、或いは、工程b)における水性媒体中に予め添加しておいてもよい。
【0044】
本発明に用いられる化粧品又は医薬品に配合可能な成分としては、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ類、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール(好ましくは炭素数6以上のアルコール、より好ましくは炭素数10以上のアルコール)、合成エステル油、シリコーン油、界面活性剤、コサーファクタント、保湿剤、皮膜剤、増粘剤、ゲル化剤、無機鉱物類、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、単糖、オリゴ糖、アミノ酸、植物抽出物、有機アミン、高分子エマルジョン、酸化防止剤、酸化防止助剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、血流促進剤、殺菌剤、消炎(抗炎症)剤、細胞(皮膚)賦活化剤、角質溶解剤、清涼剤、収斂剤、美白剤、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防腐剤、pH調整剤、緩衝剤、香料、水等を必要に応じて適宜配合することができ、目的とする剤形に応じて常法により製造することができる。
【0045】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウムまたはアルミニウムレーキ等の有機顔料;天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等が挙げられる。なお、粉末成分は、疎水化処理されていてもよい。
【0046】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0047】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0048】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0049】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、水添ポリデセン、イソドデカン等が挙げられる。
【0050】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0051】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0052】
合成エステル油としては、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ラウロイルグルタミン酸(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル/イソステアリル)、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン等が挙げられる。
【0053】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチコン)、メチルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0054】
シリコーンエラストマーとしては、例えば、非乳化オルガノポリシロキサンエラストマー又は乳化オルガノシロキサンエラストマーが挙げられる。非乳化オルガノポリシロキサンエラストマーとしては、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、ラウリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーなどが挙げられる。
ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーとしては、DOW CORNING社(Midland,Michigan)より「DC9040」及び「DC9045」などの名称で市販されているもの、MOMENTIVE社より「SFE839」及び「Velvasil」シリーズ製品、信越化学工業株式会社より「KSG−15」、「KSG―16」、「KSG−18」などの名称で市販されているもの([ジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマー])、GRANT INDUSTRIES社より「グランシル」(商標)シリーズ製品などが挙げられる。
ラウリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーとしては、信越化学工業株式会社より「KSG−31」、「KSG−32」、「KSG−41」、「KSG−42」、「KSG−43」及び「KSG−44」などの名称で市販されているものなどが挙げられる。
乳化オルガノシロキサンエラストマーとしては、ポリアルコキシル化シリコーンエラストマー又はポリグリセロール化シリコーンエラストマーなどが挙げられる。
ポリアルコキシル化シリコーンエラストマーとしては、DOW CORNING社より「DC9010」及び「DC9011」などの名称で市販されているもの、信越化学工業株式会社より「KSG−20」、「KSG−21」、「KSG−30」、「KSG−31」、「KSG−32」、「KSG−33」、「KSG−210」、「KSG−310」、「KSG−320」、「KSG−330」、「KSG−340」及び「X−226146」などの名称で市販されているものなどが挙げられる。
ポリグリセロール化シリコーンエラストマーとしては、信越化学工業株式会社より「KSG−710」、「KSG−810」、「KSG−820」、「KSG−830」、「KSG−840」、「KSG−31」、「KSG−32」、「KSG−41」、「KSG−42」、「KSG−43」及び「KSG−44」などの名称で市販されているものなどが挙げられる。また、他にシリコーン鎖とアルキル鎖の2種類のブランチが導入されたシリコーンエラストマーとしては、信越化学工業株式会社より、「KSG−042Z」、「KSG−045Z」、「KSG−320Z」、「KSG−350Z」、「KSG−820Z」、「KSG−850Z」などの名称で市販されているものなどが挙げられる。
【0055】
また、ポリアルキルエーテル基をペンダント又は架橋として含むシリコーンエラストマーを任意成分として本発明の外用組成物に配合してもよい。特に適しているポリアルキルエーテル基を含むシリコーンエラストマーとしては、化粧品原料国際命名法(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients (INCI))による名称で、ビス−ビニルジメチコン/ビス−イソブチルPPG−20クロスポリマー、ビス−ビニルジメチコン/PPG−20クロスポリマー、ジメチコン/ビス−イソブチルPPG−20クロスポリマー、ジメチコン/PPG−20クロスポリマー及びジメチコン/ビス−secブチルPPG−20クロスポリマーなどが挙げられる。このような架橋エラストマーは、DOW CORNING社より、「SOEB−1」、「SOEB−2」、「SOEB−3」、「SOEB−4」などの試験化合物名で、並びに、「DC EL−8052 IH Si Organic Elastomer Blend」などの商品名(案)で入手することができる。これらのエラストマー粒子は、各溶媒(SOEB−1及びSOEB−2にはイソドデカン、SOEB−3にはイソヘキサデカン、SOEB−4にはイソデシルネオペンタノエートが用いられる)に予め膨潤させて提供される。
【0056】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、親油性ノニオン性界面活性剤及び親水性ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0057】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE−ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE−ラウリル硫酸ナトリウム等);N−アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE−オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE−ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N−アシルグルタミン酸塩(例えば、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE−アルキルエーテルカルボン酸;POE−アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0058】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE−アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0059】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0060】
親油性ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル;ステアレス−2等が挙げられる。
【0061】
親水性ノニオン性界面活性剤としては、例えば、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレート、POE−ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等);POE−グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等);POE−脂肪酸エステル類(例えば、POE−モノオレエート、POE−ジステアレート、POE−モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE−アルキルエーテル類(例えば、POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POE−コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP−アルキルエーテル類(例えば、POE・POP−セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP−水添ラノリン、POE・POP−グリセリンエーテル等);ステアレス−21等が挙げられる。
【0062】
コサーファクタントとしては、例えば、高級アルコールが挙げられる。中でも、直鎖アルコールである、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等が好ましく、特にセチルアルコールが好ましい。
【0063】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0064】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられる。
【0065】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等)等が挙げられる。
【0066】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D−グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D−エリトロース、D−エリトルロース、D−トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L−アラビノース、D−キシロース、L−リキソース、D−アラビノース、D−リボース、D−リブロース、D−キシルロース、L−キシルロース等);六炭糖(例えば、D−グルコース、D−タロース、D−プシコース、D−ガラクトース、D−フルクトース、L−ガラクトース、L−マンノース、D−タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2−デオキシ−D−リボース、6−デオキシ−L−ガラクトース、6−デオキシ−L−マンノース等);アミノ糖(例えば、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D−グルクロン酸、D−マンヌロン酸、L−グルロン酸、D−ガラクツロン酸、L−イズロン酸等)等が挙げられる。
【0067】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、ゲンチオビオース、ウンビリシン、ラフィノース、ゲンチアノース、マルトトリオース、メレジトース、プランテオース、ウンベリフェロース、スタキオース、ベルバスコース等が挙げられる。
【0068】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ−アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0069】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
【0070】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0071】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、Eおよびその誘導体、パントテン酸およびその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0072】
酸化防止剤としては、例えば、パルミチン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、グルコシドアスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、ソルビン酸アスコルビルなどのアスコルビン酸及びその誘導体;
酢酸トコフェロール、ソルビン酸トコフェロール、その他のトコフェロールのエステルなどのトコフェロール及びその誘導体;ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びブチルヒドロキシアニソール(BHA);没食子酸エステル;リン酸;クエン酸;マレイン酸;マロン酸;スクシン酸;フマル酸;ケファリン;ヘキサメタリン酸塩;フィチン酸;エチレンジアミンテトラ酢酸:及びアイリッシュモス(Chondrus crispus)、ロディオラ属(Rhodiola)、高度好熱菌、マテ茶葉、オーク材、カユ・ラペ樹皮(kayu rapet bark)、サクラ葉、イランイラン葉(ylang ylang leaves)などの植物エキスが挙げられる。
【0073】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;ジプロピレングリコール;グリセリン;1,3−ブチレングリコール;キシリトール;ソルビトール;マルチトール;コンドロイチン硫酸などのムコ多糖類;ヒアルロン酸;ヒアルロン酸ナトリウム;ヒアルロン酸アセチルナトリウム;ムコイチン硫酸;カロニン酸;アテロコラーゲン;コレステリル−12−ヒドロキシステアレート;胆汁酸塩;ピロリドンカルボン酸塩及び乳酸塩などのNMF(自然保湿因子)の主成分;尿素、システイン及びセリンなどのアミノ酸類;短鎖可溶性コラーゲン;ジグリセリン(EO)PO付加物;日油株式会社より「Lipidure HM」及び「Lipidure PBM」などの名称で市販されている2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのホモポリマー又はコポリマー;パンテノール;アラントイン;日油株式会社より「Wilbride S 753」の名称で市販されているPEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン;旭化成ケミカルズ株式会社より「AMINOCOAT」の名称で市販されているトリメチルグリシン;スウィートチェスナット(Castanea sativa)エキス、ヘーゼルナットタンパク質加水分解物、チューベローズ(Polianthes tuberosa)多糖類、アルガンツリー種子油(Argania spinosa kernel oil)、丸善製薬株式会社より「真珠エキス」(登録商標)の名称で市販されているコンキオリン含有真珠エキスなどの各種植物エキスが挙げられる。
【0074】
皮膚軟化剤としては、ポリメタクリル酸グリセリル、メチルグルセス−20(methyl gluceth-20)などが挙げられる。
【0075】
老化防止剤としては、例えば、アシルアミノ酸(具体的には、SEDERMA社より「Maxilip」、「Matrixyl 3000」、「Biopeptide CL」の名称で市販されているもの、SEPPIC社より「Sepilift」の名称で市販されているものなどが挙げられる。);エンドウ(Pisum sativum)エキス;ダイズタンパク質加水分解物;マンヌロン酸メチルシラノール;加水分解ペポカボチャ種子油粕;セネデスムスエキスなどが挙げられる。
【0076】
抗汚染剤としては、例えば、ワサビノキ種子エキス(Moringa pterygosperma seed extracts)(具体的には、LSN社より「Purisoft」の名称で市販されているものが挙げられる。);シアバターエキス(具体的には、SILAB社より「Detoxyl」の名称で市販されているもの、セイヨウキズタエキス(ivy extract)、フィチン酸、ヒマワリ種子エキスのブレンド(例えば、SEDERMA社より「OSMOPUR」の名称で市販されているもの)などが例示される。)などが挙げられる。
【0077】
角質溶解剤としては、例えば、α−ヒドロキシ酸(具体的には、グリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸及び酒石酸などが例示される)、β−ヒドロキシ酸(具体的には、サリチル酸などが例示される)、それらのエステル(具体的には、乳酸C12−13アルキル)及びこれらのヒドロキシ酸を含む植物エキス(具体的には、ロゼリソウ(Hibiscus sabdriffa)エキスなどが例示される)などが挙げられる。
【0078】
水溶性高分子としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガム、タマリントガム、グルコマンナン、キシラン、マンナン、キサンタンガム、寒天、ペクチン、フコイダン、ガラクトマンナン、カードラン、ジェランガム、フコゲル、カゼイン、コラーゲン、デンプン、ヒアルロン酸ナトリウム、アルカシーラン(アルカリゲネス産生多糖体)等の天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロイルエステル、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース等の半合成高分子、PVA(ポリビニルアルコール)、PVM(ポリビニルメチルエーテル)、PVP(ポリビニルピロリドン)、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、アクリレート/C10−30アルキルアクリレートクロスポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子等が挙げられる。
増粘剤である粘土鉱物としては、例えば、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト等が挙げられる。
【0079】
抗炎症剤としては、例えば、ビサボロール、アラントイン、トラネキサム酸、酸化亜鉛、硫黄酸化物及びその誘導体、コンドロイチン硫酸塩、グリチルリチン酸及びその誘導体(グリチルリチン酸塩など)などが挙げられる。
【0080】
本発明の外用組成物は、メラニン形成メカニズム(ステージI)に含まれるメラニン細胞特異的タンパク質であるPmel17などの構造タンパク質の合成を阻害する目的で、ホワイトニング剤を少なくとも1種含んでいてもよい。ホワイトニング剤としては、BASF社より「Cytovector」(登録商標)の名称で市販されているフェルラ酸含有サイトベクター(水、グリコール、レシチン、フェルラ酸、ヒドロキシエチルセルロース)などが挙げられる。
【0081】
さらに必要に応じて、本発明の外用組成物は、国際公開第2009/010356号パンフレットに記載されているペプチドを少なくとも1種含んでいてもよい。
【0082】
さらに必要に応じて、本発明の外用組成物は、メラニン合成、小眼球症関連転写因子発現、抗チロシナーゼ活性、エンドテリン-1合成に対して阻害効果を有するホワイトニング剤を含んでいてもよい。例えば、丸善製薬株式会社より「Licorice extract」(登録商標)の名称で市販されている甘草エキス(Glycyrrhiza glabra extract)などが挙げられる。
【0083】
さらに必要に応じて、本発明の外用組成物は、ビタミンC化合物などの抗酸化作用をも有するホワイトニング剤を含んでいてもよい。例えば、アスコルビン酸塩、脂肪酸又はソルビン酸のアスコルビルエステル、その他のアスコルビン酸誘導体などが挙げられる。具体的には、リン酸アスコルビル塩(リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウムなど)、アスコルビン酸のサッカリドエステル(アスコルビル−2−グルコシド、2−O−α−D−グルコピラノシル L−アスコルビン酸、6−O−β−D−ガラクトピラノシル L−アスコルビン酸など)が例示される。このタイプの活性成分は、DKSH社より「Ascorbyl glucoside」(登録商標)の名称で市販されている。
【0084】
さらに必要に応じて、本発明の外用組成物は、他のホワイントニング剤を含んでいてもよい。例えば、植物エキス(房咲水仙などのエキス)、トラネキサム酸セチル(日光ケミカルズ株式会社製、製品名「NIKKOL TXC」)、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、システイン、4−チオレゾルシン、レゾルシノールもしくはルシノール又はそれらの誘導体、グリチルリチン酸及びヒドロキノン−β−グルコシドなどの色素沈着抑制剤を含んでいてもよい。
【0085】
本発明の外用組成物は、さらに必要に応じて、有機日焼け防止剤及び/又は無機日焼け防止剤を含んでいてもよい。
有機日焼け防止剤としては、ブチルメトキシジベンゾイルメタンなどのジベンゾイルメタン誘導体(HOFFMANN LA ROCHEより「Parsol 1789」の名称で市販されているものなど);メトキシケイヒ酸オクチルなどのケイヒ酸誘導体(HOFFMANN LA ROCHEより「Parsol MCX」の名称で市販されているものなど);サリチル酸塩;パラアミノ安息香酸;β,β’−ジフェニルアクリレート誘導体;ベンゾフェノン誘導体;テレフタリリデンジカンファースルホン酸などのベンジリデンカンファー誘導体;フェニルベンジイミダゾール誘導体;トリアジン誘導体;フェニルベンゾトリアゾール誘導体;アントラニル酸誘導体などが挙げられる。これらは被覆又はカプセル化されていてもよい。
無機日焼け防止剤としては、顔料あるいは金属酸化物を任意に被覆してなるナノ顔料などが挙げられる。ナノ顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又は酸化セリウムなどが挙げられる。これらの化合物はいずれもUV光防御剤としてよく知られている。
【0086】
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル(メチルパラベン、プロピルパラベン等)、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0087】
その他、本発明の外用組成物に用いられる任意成分としては、パーソナルケア製品評議会(Personal Care Products Council)より発行されている「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」(第13版、2010年)に収載されているものを使用することができる。
【0088】
これらの任意成分の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲であれば特に制限されなく、剤形や製品形態などによって適宜選択される。
【0089】
本発明の外用組成物の剤形は、任意に選択可能であり、溶液系、乳化系、水−油二層系、水−油−粉末三層系、ゲル系等の剤形を採用することができる。
【0090】
本発明の外用組成物の製品形態は任意に選択することができ、洗顔料、化粧水、美容液、乳液、クリーム、パック等のフェイシャル化粧料やファンデーション、口紅、アイシャドー等のメーキャップ化粧料やボディー化粧料、毛髪化粧料、口腔化粧料、芳香化粧料、洗浄料、軟膏等に用いることができる。
【0091】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の外用組成物は、皮膚を色素沈着抑制及び/又は美白する効果を奏することができる。すなわち、本発明においては、本発明の外用組成物を皮膚に局所適用することにより、皮膚を色素沈着抑制及び/又は美白する化粧方法も提供するものである。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の外用組成物を化粧料として用いることにより、皮膚を色素沈着抑制及び/又は美白して、しみ又は色素沈着を薄くすることができる。
【実施例】
【0092】
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0093】
〔実施例1〜8〕
表1に示す組成の外用組成物を次のとおり調製した。
成分1〜7を軽く混合し、85±5℃にて加熱溶解した(混合物1)。一方、成分9.精製水を70±5℃に保ち撹拌しながら、混合物1を徐々に加えた。その後、室温(25±5℃)まで冷却し、成分8.を添加した。
【0094】
【表1】

【0095】
〔比較例1〜5〕
表2に示す組成の外用組成物を次のとおり調製した。
成分1〜4を軽く混合し、85±5℃にて加熱溶解した(混合物1)。一方、成分6.精製水を70±5℃に保ち撹拌しながら、混合物1を徐々に加えた。その後、室温(25±5℃)まで冷却し、成分5.を添加した。
【0096】
【表2】

【0097】
〔実施例1〜8及び比較例1〜5の安定性評価〕
実施例1〜8及び比較例1〜5の外用組成物について、室温(25±5℃)に一晩放置した後、目視にて凝集物の有無及び結晶の析出状態を確認した。結果を表3および表4に示した。
【表3】

【0098】
【表4】

【0099】
表3に示されるように、実施例1〜8の外用組成物においてトラネキサム酸セチルエステル塩酸塩は、結晶または凝集物を形成せずに半透明状態が得られた。トラネキサム酸セチルエステル塩酸塩を含む両親媒性高分子の分子集合体が、均一な微粒子として分散しているためであると考えられる。一方、比較例1〜5では、トラネキサム酸セチルエステル塩酸塩の結晶が沈降物として存在した。
【0100】
〔実施例1〜8の粒度分布測定〕
実施例1〜8の外用組成物について、室温(20〜25℃)に一晩放置した後、その粒度分布をレーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−7000、SHIMADZU社製)にて測定した。
予め蒸留水で満たし循環させてあるフローセル中に試料を投入すると、その投入量に応じて光強度分布が変化する。その光強度分布の最大値が35〜75%になる適正濃度まで試料を投入し、粒度分布を測定した。結果をメディアン径にて表5に示した。
【0101】
【表5】

【0102】
表5に示されるように、実施例1〜8の外用組成物において、トラネキサム酸セチルエステル塩酸塩を含む両親媒性分子の分子集合体が均一な微粒子として分散していることが確認された。
【0103】
〔実施例9〜11、及び比較例6〜8〕
表6に示す組成の外用組成物を次のとおり調製した。
成分1〜4を軽く攪拌し、85±5℃にて加熱溶解させた(混合物1)。一方、成分14.精製水のうち10.0重量%を70±5℃に保ち撹拌しながら、これに混合物1を徐々に加え、その後、室温(25±5℃)まで冷却させた(混合物2)。次に、成分5〜8及び14の精製水の残部を室温(25±5℃)にて撹拌混合し溶解させ、この溶液に成分9〜13のアスコルビン酸2−グルコシド水溶液をさらに加えた(混合物3)。さらに混合物3と混合物2を軽く攪拌混合した。
【0104】
【表6】

【0105】
〔実施例9〜11及び比較例6〜8の安定性評価〕
実施例9〜11及び比較例6〜8の皮膚外用剤について、室温(25±5℃)に一晩放置した後、目視にて凝集物の有無及び結晶の析出状態を確認した。結果を表7に示した。
【0106】
【表7】

【0107】
表7に示されるように、実施例9〜11の外用組成物においてトラネキサム酸セチルエステル塩酸塩は、結晶または凝集物を形成せずに微粒子が均一に分散した透明溶液が得られた。一方、比較例6〜8では、トラネキサム酸セチルエステル塩酸塩と他成分との凝集物が透明溶液中に浮遊した状態が認められた。
【0108】
〔実施例12〜17〕
表8に示す組成の乳液タイプの外用組成物を次のとおり調製した。
油相成分1〜9及び水相成分10〜18をそれぞれ85±5℃に加熱撹拌溶解し、85±5℃に保った水相成分に油相成分を撹拌しながら加えた。次いで成分19又は20の粉体成分を撹拌しながら加え、その後、撹拌しながら室温(25±5℃)まで冷却した。 さらに撹拌冷却の途中で、成分21〜25のアスコルビン酸2−グルコシド水溶液、成分26〜29のホワイトニング成分、及び成分30、31の混合液、実施例4、実施例7又は実施例8の外用組成物を加えた。
【0109】
【表8】

【0110】
〔比較例9、10〕
表9に示す組成の乳液タイプの外用組成物を次のとおり調製した。
油相成分1〜9及び水相成分10〜18をそれぞれ85±5℃に加熱撹拌溶解し、85±5℃に保った水相成分に油相成分を撹拌しながら加えた。
次いで成分19又は20の粉体成分を撹拌しながら加え、その後、撹拌しながら室温(25±5℃)まで冷却した。さらに撹拌冷却の途中で、成分21〜25のアスコルビン酸2−グルコシド水溶液、成分26〜29のホワイトニング成分、成分30及び31の混合液、比較例2又は比較例5の外用組成物を加えた。
【0111】
【表9】

【0112】
〔実施例12〜17及び比較例9、10の安定性評価〕
実施例12〜17及び比較例9、10の外用組成物を高温度(40℃±5℃)にてそれぞれ3月放置した後、目視にて凝集物の有無及び結晶の析出状態を確認した。結果を表10及び表11に示した。
【0113】
【表10】

【0114】
【表11】

【0115】
表10及び表11に示されるように、高温度に放置した場合、実施例12〜17の外用組成物において、白色から淡黄色の乳液中に凝集物の存在は認められなかった。しかし、比較例9及び10の外用組成物において、白色から淡黄色の乳液中に褐変した凝集物の混在が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明の外用組成物は、医薬品、医薬部外品及び化粧品等に好適に用いられる。本発明の外用組成物は、様々な剤形及び製品形態で用いられる。本発明の好ましい態様によれば、本発明の外用組成物を皮膚に局所適用することにより皮膚を色素沈着抑制及び/又は美白する効果を奏することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩を有効成分として含む外用組成物の製造方法であって、
a)トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩と両親媒性高分子とを、1:3〜1:20(重量比)の割合で、水、水溶性有機溶媒又はこれらの混合溶媒中で溶解する工程と、
b)前記工程a)で得られた混合液を水性媒体中に添加する工程と
を含む、前記外用組成物の製造方法。
【請求項2】
前記トラネキサム酸エステルが、下記式(1)
【化3】

[式中、Rは、水酸基及びアミノ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖を有する飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基を表す。]
で示される、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩が、トラネキサム酸セチルエステル塩酸塩である、請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
前記両親媒性高分子が、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体及びヘキシルジカルバンミン酸コレステリルプルランからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記水性媒体が、水を60重量%以上含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記工程a)において、前記トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩、両親媒性高分子及び溶媒を含む混合物を20〜120℃に加熱して混合液を得る、請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記工程b)において、50〜95℃の水性媒体中に、前記工程a)で得られた混合液を添加する、請求項1〜6の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記工程b)においてトラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩を含む分子集合体粒子が形成される、請求項1〜7の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記工程b)で得られた組成物を、別の外用組成物に添加する工程c)をさらに含む、請求項1〜8の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法で得られる外用組成物。
【請求項11】
トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩0.001〜5.0重量%及び両親媒性高分子0.01〜25.0重量を含む、請求項10記載の外用組成物。
【請求項12】
しみ又は色素沈着を薄くするために皮膚を色素沈着抑制及び/又は美白するための請求項10又は11記載の外用組成物の化粧料としての使用。
【請求項13】
請求項10又は11記載の外用組成物を皮膚に局所適用することを含む、皮膚を色素沈着抑制及び/又は美白するための化粧方法。
【請求項14】
a)トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩と両親媒性高分子とを、1:3〜1:20(重量比)の割合で、水、水溶性有機溶媒又はこれらの混合溶媒中で溶解する工程と、
b)前記工程a)で得られた混合液を水性媒体中に添加する工程と
を含む方法で得られる分子集合体粒子。

【公開番号】特開2012−36126(P2012−36126A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177580(P2010−177580)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(304040474)株式会社シャネル化粧品技術開発研究所 (7)
【Fターム(参考)】