説明

トラネキサム酸含有経口液剤

【課題】トラネキサム酸と甘味剤を含有する経口液剤において、(1)トラネキサム酸の安定化、(2)シュガーセメント防止および(3)トラネキサム酸の苦味マスキングを同時に達成する。
【解決手段】トラネキサム酸と甘味剤を含有する経口液剤において、甘味剤として還元麦芽糖水アメおよびスクラロースを組み合わせて配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラネキサム酸含有経口液剤、特に、(1)トラネキサム酸の安定化、(2)シュガーセメント防止および(3)トラネキサム酸の苦味をマスキングしたトラネキサム酸含有経口液剤に関する。
【背景技術】
【0002】
トラネキサム酸は、扁桃炎、咽喉頭炎に効能があり、錠剤以外の剤形に経口液剤としてシロップ剤(トランサミンシロップ、第一三共)があることが知られている。また、トラネキサム酸に他の薬物を配合した経口液剤として、トラネキサム酸以外にジヒドロコデインリン酸塩、dl−メチルエフェドリン塩酸塩、グアイフェシンおよびセネガ流エキスが配合された経口液剤が特許文献1に開示されている。
【0003】
経口液剤に配合される薬物は、トラネキサム酸をはじめとして、苦味があるものが多く、液剤化する場合には苦味をマスキングする必要がある。苦味をマスキングするために、経口液剤には、甘味剤として糖質、酸味剤として有機酸などの矯味剤が配合されている。
【0004】
しかし、甘味剤として糖質、酸味剤として有機酸を配合することにより、薬物の不安定化を招き、さらに多回服用液剤の場合、一定期間の使用時に甘味剤である糖が析出し、容器口に析出した糖が付着してキャップが閉めにくくなる(本明細書において、シュガーセメントという)という問題が発生することがある。そのため、経口液剤、特に多回服用液剤において、(1)薬物の安定化、(2)シュガーセメント防止および(3)薬剤の苦味マスキングを同時に達成することは困難である。
【特許文献1】特開平9−286726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、(1)トラネキサム酸の安定化、(2)シュガーセメント防止および(3)トラネキサム酸の苦味をマスキングしたトラネキサム酸含有経口液剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、トラネキサム酸、還元麦芽糖水アメおよびスクラロースを組み合わせて配合した経口液剤が、(1)トラネキサム酸の安定化、(2)シュガーセメント防止および(3)トラネキサム酸の苦味マスキングを同時に達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
[1]トラネキサム酸および甘味剤を含有する経口液剤であって、甘味剤が還元麦芽糖水アメおよびスクラロースであることを特徴とする経口液剤、
【0008】
[2]還元麦芽糖水アメを10〜50w/v%含有する上記[1]記載の経口液剤、
【0009】
[3]スクラロースを0.005〜0.100w/v%含有する上記[1]記載の経口液剤、
【0010】
[4]トラネキサム酸と、甘味剤として還元麦芽糖水アメおよびスクラロースを配合することを特徴とするトラネキサム酸含有経口液剤の安定化方法、
【0011】
[5]トラネキサム酸と、甘味剤として還元麦芽糖水アメおよびスクラロースを配合することを特徴とするトラネキサム酸含有多回服用経口液剤のシュガーセメント防止方法、および
【0012】
[6]トラネキサム酸と、甘味剤として還元麦芽糖水アメおよびスクラロースを配合することを特徴とするトラネキサム酸含有経口液剤の苦味マスキング方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、トラネキサム酸、還元麦芽糖水アメおよびスクラロースを組み合わせて配合することにより、トラネキサム酸と甘味剤を含有する経口液剤において、(1)トラネキサム酸の安定化、(2)シュガーセメント防止および(3)トラネキサム酸の苦味マスキングを同時に達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の経口液剤には、甘味剤として還元麦芽糖水アメとスクラロースを配合する。還元麦芽糖水アメの量は、経口液剤含量に基づいて10〜50w/v%であり、好ましくは、15〜45w/v%、さらに好ましくは20〜40w/v%である。
【0015】
スクラロースの量は、経口液剤含量に基づいて0.005〜0.100w/v%であり、好ましくは、0.010〜0.080w/v%、さらに好ましくは0.020〜0.060w/v%である。
【0016】
本発明の経口液剤は、トラネキサム酸が単独水溶液中(0.5%ブリトン−ロビンソン緩衝液)で安定なpH2〜12の範囲であることが好ましい。
【0017】
本発明の経口液剤には、トラネキサム酸以外に他の薬効成分を配合することができ、例えば、解熱鎮痛消炎剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳去痰剤、気管支拡張剤、ビタミン類、制酸剤、健胃薬、消化剤、止瀉剤および粘膜修復剤などが挙げられる。また、通常この種の経口液剤に配合される添加剤も配合してよく、例えば、酸味剤、防腐剤または保存剤、界面活性剤、可溶化剤、乳化剤、溶剤、香料、および着色剤などが挙げられる。
【0018】
解熱鎮痛消炎剤としては、例えば、アセトアミノフェン、イブプロフェン、エテンザミド、フェナセチン、メフェナム酸、アスピリン、サリチル酸コリン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸アミド、アンチピリン、フェニルブタゾン、スルピリン、ジクロフェナクナトリウム、アルミノプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ロキソプロフェンナトリウム、チノリジン塩酸塩、エピリゾール、チアラミド塩酸塩、インドメタシン、アセメタシン、グラフェニン、ペンタゾシンおよびピロキシカムなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を併せて配合してもよい。
【0019】
抗ヒスタミン剤としては、例えば、クロルフェニラミンマレイン酸塩、メキタジン、プロメタジン、ジフェンヒドラミン塩酸塩およびカルビノキサミンマレイン酸塩などが挙げられ、これらは1種または2種以上を併せて配合してもよい。
【0020】
鎮咳去痰剤または気管支拡張剤としては、例えば、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、dl−メチルエフェドリン塩酸塩、グアイフェネシン、セネガ流エキス、カルボシステイン、ブロムヘキシン塩酸塩、トリメトキノール塩酸塩、クロペラスチン塩酸塩、テオフィリン、アミノフィリンおよびノスカピンなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を併せて配合してもよい。
【0021】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンC類(アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウムなど)、ビタミンE類(コハク酸dl−α―トコフェロールカルシウム、コハク酸d−α―トコフェロール、酢酸d−α―トコフェロールなど)、L−システイン、ビタミンB類(塩酸チアミン、硝酸チアミン、塩酸フルスルチアミン、塩酸ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、ベンフォチアミンなど)、ビタミンB類(リボフラビン、リン酸リボフラビン、酪酸リボフラビンなど)、ビタミンB類(塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサールなど)、ビタミンB12類(シアノコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、メコバラミンなど)、パントテン酸カルシウム、パントテン酸カルシウムタイプS、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ガンマーオリザノール、オロチン酸、グルクロノラクトン、グルクロン酸アミド、ヨクイニン、ヘスペリジン、ビオチンおよびコンドロイチン硫酸ナトリウムなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を併せて配合してもよい。
【0022】
制酸剤としては、例えば、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウム共沈生成物、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、アミノ酢酸、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートおよびロートエキスなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を併せて配合してもよい。
【0023】
健胃薬としては、例えば、アロエ、ウイキョウ、ウコン、オウバク、オウレン、加工大蒜、コウジン、コウボク、ショウキョウ、センブリ、ケイヒ、ダイオウ、チクセツニンジン、チンピ、トウヒ、ニガキ、ニンジン、ハッカ、ホップ、ウイキョウ油、ケイヒ油、ショウキョウ油、トウヒ油、ハッカ油、レモン油、l−メントール、塩酸ベタイン、塩化カルニチンおよび乾燥酵母などが挙げられ、これらは1種または2種以上を併せて配合してもよい。
【0024】
消化剤としては、例えば、でんぷん消化酵素、たん白消化酵素、脂肪消化酵素、繊維素消化酵素、ウルソデスオキシコール酸および胆汁末などが挙げられ、これらは1種または2種以上を併せて配合してもよい。
【0025】
止瀉剤としては、例えば、アクリノール、塩化ベルべリン、グアヤコール、クレオソート、次サリチル酸ビスマス、次硝酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、タンニン酸、カオリン、ペクチン、薬用炭、乳酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどを、鎮痛鎮痙剤として、塩酸パパベリンおよびアミノ安息香酸エチルなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を併せて配合してもよい。
【0026】
粘膜修復剤としては、例えば、アルジオキサ、L−グルタミン、銅クロロフィリンカリウム、銅クロロフィリンナトリウム、メチルメチオニンスルホニウムクロライドおよびジメチルポリシロキサンなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を併せて配合してもよい。
【0027】
酸味剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸、酒石酸および乳酸などの有機酸を配合してもよい。
【0028】
防腐剤または保存剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウムまたはパラベン類(パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチルおよびパラオキシ安息香酸プロピルなど)を1種または2種以上を併せて配合してもよい。
【0029】
界面活性剤、可溶化剤、乳化剤または溶剤を配合してもよい。
【0030】
界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(ポロクサマー188)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリソルベート20およびポリソルベート80などが挙げられ、1種または2種以上を併せて配合してもよい。
【0031】
可溶化剤としては、例えば、精製大豆レシチン、大豆レシチン、ダイズ油、中鎖脂肪酸トリグリセリド、マクロゴール4000、マクロゴール6000、流動パラフィン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60およびポリソルベート80などが挙げられ、1種または2種以上を併せて配合してもよい。
【0032】
乳化剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリソルベート20、ポリソルベート80、精製大豆レシチン、大豆レシチン、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよび流動パラフィンなどが挙げられ、1種または2種以上を併せて配合してもよい。
【0033】
溶剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリソルベート80、大豆レシチン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、マクロゴール4000、マクロゴール6000、オリーブ油、ゴマ油、ヒマシ油、ダイズ油および流動パラフィンなどが挙げられ、1種または2種以上を併せて配合してもよい。
【0034】
香料としては、例えば、L−メントールまたは各種フレーバー(ストロベリーフレーバー、チェリーフレーバー、オレンジフレーバー、アップルフレーバー、レモンフレーバー、グレープフルーツフレーバー、バナナフレーバー、ブラックティーフレーバー、ハーブミントフレーバーおよびコーヒーフレーバーなど)を、着色剤としては、例えば、カラメルまたは色素などを1種または2種以上を併せて配合してもよい。
【0035】
本発明の経口液剤は、処方成分を混合溶解後、メンブランフィルター(例えば、0.45μm)で濾過し、調製される。必要に応じて、低温滅菌(例えば、60℃で2分間)を実施してもよい。得られた液剤は、ガラス瓶に充填し、キャップを巻締めする。必要に応じて、中栓を装着してもよい。多回服用液剤の場合、本発明の経口液剤は、公知のトラネキサム酸含有経口液剤と同様に、計量用コップなどの計量用容器を用い、定められた用量(例えば、10mL)を計量し服用する。1回量をガラス瓶に充填し、キャップを巻締めした液剤の場合は、キャップ開栓後、1回量を服用する。
【0036】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0037】
ジヒドロコデインリン酸塩 20mg
dl−メチルエフェドリン塩酸塩 50mg
グアイフェンシン 200mg
トラネキサム酸 280mg
セネガ流エキス 0.4mL
還元麦芽糖水アメ 12g
スクラロース 10mg
クエン酸 40mg
クエン酸ナトリウム 100mg
L−メントール 4mg
カラメルKS−SB 120mg
安息香酸ナトリウム 28mg
パラオキシ安息香酸エチル 20mg
ハーブミントフレーバー 微量
ブラックティーフレーバー 微量
精製水 適量
計 40mL
pH 5.5
【0038】
処方成分を混合溶解後、メンブランフィルター(0.45μm)で濾過し、液剤を調製した。
【実施例2】
【0039】
ジヒドロコデインリン酸塩 20mg
dl−メチルエフェドリン塩酸塩 50mg
グアイフェンシン 200mg
トラネキサム酸 280mg
セネガ流エキス 0.4mL
還元麦芽糖水アメ 12g
スクラロース 20mg
安息香酸ナトリウム 28mg
パラオキシ安息香酸エチル 20mg
ストロベリーフレーバー 微量
1mol/L塩酸 適量
精製水 適量
計 40mL
pH 5.5
【0040】
上記の実施例1と同様の方法により液剤を調製した。
比較例1
【0041】
ジヒドロコデインリン酸塩 20mg
dl−メチルエフェドリン塩酸塩 50mg
グアイフェンシン 200mg
トラネキサム酸 280mg
セネガ流エキス 0.4mL
精製白糖 1g
粉末還元麦芽糖水アメ 5g
エリスリトール 5g
トレハロース 0.5g
安息香酸ナトリウム 28mg
パラオキシ安息香酸エチル 20mg
1mol/L塩酸 適量
精製水 適量
計 40mL
pH 5.5
【0042】
上記の実施例1と同様の方法により液剤を調製した。
比較例2
【0043】
ジヒドロコデインリン酸塩 20mg
dl−メチルエフェドリン塩酸塩 50mg
グアイフェンシン 200mg
トラネキサム酸 280mg
セネガ流エキス 0.4mL
精製白糖 1g
粉末還元麦芽糖水アメ 3g
エリスリトール 7g
トレハロース 0.5g
安息香酸ナトリウム 28mg
パラオキシ安息香酸エチル 20mg
1mol/L塩酸 適量
精製水 適量
計 40mL
pH 5.5
【0044】
上記の実施例1と同様の方法により液剤を調製した。
比較例3
【0045】
ジヒドロコデインリン酸塩 20mg
dl−メチルエフェドリン塩酸塩 50mg
グアイフェンシン 200mg
トラネキサム酸 280mg
セネガ流エキス 0.4mL
粉末還元麦芽糖水アメ 5g
アセスルファムK 30mg
ステビア抽出精製物 15mg
安息香酸ナトリウム 28mg
パラオキシ安息香酸エチル 20mg
ストロベリーフレーバー 微量
1mol/L塩酸 適量
精製水 適量
計 40mL
pH 5.5
【0046】
上記の実施例1と同様の方法により液剤を調製した。
比較例4
【0047】
ジヒドロコデインリン酸塩 20mg
dl−メチルエフェドリン塩酸塩 50mg
グアイフェンシン 200mg
トラネキサム酸 280mg
セネガ流エキス 0.4mL
精製白糖 8.67g
クエン酸 40mg
クエン酸ナトリウム 100mg
L−メントール 4mg
カラメルKS−SB 120mg
安息香酸ナトリウム 28mg
パラオキシ安息香酸エチル 20mg
ハーブミントフレーバー 微量
ブラックティーフレーバー 微量
精製水 適量
計 40mL
pH 5.5
【0048】
上記の実施例1と同様の方法により液剤を調製した。
試験例1
【0049】
実施例1,2および比較例1〜4の液剤にガラス瓶の瓶口を浸し、その後ガラス瓶を液剤から引き上げ、瓶口にキャップを締めたガラス瓶を50℃1週間保存し、瓶口でのシュガーセメント析出の有無を調べた。
【表1】

【0050】
実施例1および2では、50℃1週間保存後、瓶口にシュガーセメント析出が無かった。一方、比較例1〜4では、いずれも、50℃1週間保存後、瓶口にシュガーセメント析出があった。
試験例2
【0051】
実施例1および比較例4の液剤をガラス瓶に充填し、キャップを締めた後、60℃1〜3週間、50℃2〜8週間保存し、液剤中のトラネキサム酸含量を測定し、残存率を算出した。
【表2】

【0052】
実施例1中のトラネキサム酸含量は60℃3週間保存後も50℃8週間保存後も残存率の低下がなく、安定であった。一方、比較例4中のトラネキサム酸含量は60℃3週間保存後および50℃8週間保存後で残存率の低下を認めた。
試験例3
【0053】
健康成人3人(パネル:A〜C)により、実施例1および比較例4の液剤を口に含み、その味(苦味、甘味、清涼感)を官能評価した。評価は3;強い、2;適度、1;わずか、0;なしのスコアで行った。
【表3】

【0054】
実施例1および比較例4共に、苦味はなく、甘味、清涼感が適度であり、服用感が良好な経口液剤であった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、(1)トラネキサム酸の安定性、(2)シュガーセメント防止および(3)トラネキサム酸の苦味をマスキングしたトラネキサム酸含有経口液剤を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラネキサム酸および甘味剤を含有する経口液剤であって、甘味剤が還元麦芽糖水アメおよびスクラロースであることを特徴とする経口液剤。
【請求項2】
還元麦芽糖水アメを10〜50w/v%含有する請求項1記載の経口液剤。
【請求項3】
スクラロースを0.005〜0.100w/v%含有する請求項1記載の経口液剤。
【請求項4】
トラネキサム酸と、甘味剤として還元麦芽糖水アメおよびスクラロースを配合することを特徴とするトラネキサム酸含有経口液剤の安定化方法。
【請求項5】
トラネキサム酸と、甘味剤として還元麦芽糖水アメおよびスクラロースを配合することを特徴とするトラネキサム酸含有経口液剤のシュガーセメント防止方法。
【請求項6】
トラネキサム酸と、甘味剤として還元麦芽糖水アメおよびスクラロースを配合することを特徴とするトラネキサム酸含有経口液剤の苦味マスキング方法。

【公開番号】特開2009−114142(P2009−114142A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290808(P2007−290808)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】