説明

トラフ式太陽熱集熱装置

【課題】曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向と該方向に直交する方向との両方向の軸線回りの曲げ剛性の向上を図るフレーム構造を有するトラフ式太陽熱集熱装置を提供すること。
【解決手段】本発明においては、複数の反射板の各反射板に対して個別に配設される支持フレームであって、所定の曲面形状を有して各反射板を支持するように形成された係合面を備える支持フレームと、該支持フレームに一体化されて該支持フレームを補強するアーム部と、アーム部を支持するサポートチューブとを具備し、支持フレームは、各反射板の背面全体にわたり延在するように形成され、また、各支持フレームの係合面全体にわたり分散され配置された複数の開口部を有するように形成され、各支持フレームの各開口部は、該各開口部の開口周囲近傍に補強部が配設されて形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽熱集熱装置に関し、特に、曲面鏡を用いて該曲面鏡の前方に配置された集熱管に太陽光を集光させ、集熱管の中を流れる液体を加熱するトラフ式太陽熱集熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラフ式太陽熱集熱装置においては、できるだけ多くのエネルギーを効率よく取り入れる必要上、集熱部には曲面鏡として集熱効率の高い放物面鏡が用いられ、放物面の焦点の位置に集熱管が取り付けられるものが知られている。
【0003】
このようなトラフ式太陽熱集熱装置における集熱効率は、放物面鏡の曲面形状の精度に大きく依存することとなる。このことに基づいて、放物面鏡支持構造部が、放物面鏡の自重を支え且つ風圧荷重等の外部荷重に対する補強材として配設されるガイド部材であって、放物面鏡をできるだけ理想的な曲面形状として固定するためのガイド部材を、放物面鏡の背面に有して構成されるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭55−121208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、曲面鏡を用いて該曲面鏡の前方に配置された集熱管に太陽光を集光させ、集熱管の中を流れる液体を加熱する太陽熱集熱装置、いわゆるトラフ式太陽熱集熱装置においては、先にも述べたように、集熱効率は曲面鏡の曲面形状の精度に大きく依存する。よって、このようなトラフ式太陽熱集熱装置における曲面鏡支持構造部に対して求められる剛性としては、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向と該方向に直交する方向との両方向の軸線回りの、風圧荷重等の外部荷重に対する曲げ剛性などが考えられる。
【0006】
例えば、特許文献1においては、曲面鏡を用いて該曲面鏡の前方に配置された集熱管に太陽光を集光させ、集熱管の中を流れる液体を加熱させて発生した熱により発電を行うトラフ式太陽熱発電用集熱装置の曲面鏡支持構造部において、放物面鏡の自重を支え且つ曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向に直交する方向の軸線回り曲げ剛性の向上を図るべく、放物面鏡の自重を支え且つ風圧荷重等の外部荷重に対する補強材として使用されうるように構成されるガイド部材が、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向に延在して曲面鏡の背面に直接的に配置されて形成される曲面支持構造部が開示されている。また、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向の軸線回り曲げ剛性の確保という点においては、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向に延在して曲面鏡の背面に直接的に配置されて形成される複数のガイド部材を、該複数のガイド部材の背面に配置される1つの棒状部材に不動に固定することでなされる構成が示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されているような曲面鏡支持構造部においては、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向に直交して延在して曲面鏡の背面に直接的に配置されて形成されるようなガイド部材が存在しない。そのために、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向の軸線回りの曲げ剛性が十分に得られていないことに起因して、場合によっては装置運用中に風圧力等の外部荷重より局所的に想定以上の変形が生じ、装置の運用に支障をきたす場合が生じうることが考えられる。
【0008】
本発明は上記課題に鑑み、曲面鏡を用いて該曲面鏡の前方に配置された集熱管に太陽光を集光させ、集熱管の中を流れる液体を加熱するトラフ式太陽熱集熱装置において、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向と該方向に直交する方向との両方向の軸線回りの曲げ剛性の向上を簡易な構成にて図ることを可能とするようなフレーム構造を有するトラフ式太陽熱集熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、複数の反射板にて構成される曲面鏡を用いて該曲面鏡の前方に配置された集熱管に太陽光を集光させ、該集熱管の中を流れる液体を加熱するトラフ式太陽熱集熱装置において、前記複数の反射板の各反射板に対して個別に配設される支持フレームであって、所定の曲面形状を有して前記各反射板を支持するように形成された係合面を備える支持フレームと、前記支持フレームに一体化されて該支持フレームを補強するアーム部と、前記アーム部を支持するサポートチューブとを具備し、前記支持フレームは、前記各反射板の背面全体にわたり延在するように形成され、また、前記支持フレームの前記係合面全体にわたり分散され配置された複数の開口部を有して形成され、前記支持フレームの前記各開口部は、該各開口部の開口周囲近傍に補強部が配設されて形成される、トラフ式太陽熱熱装置が提供される。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明では、複数の反射板にて構成される曲面鏡を用いて該曲面鏡の前方に配置された集熱管に太陽光を集光させ、該集熱管の中を流れる液体を加熱するトラフ式太陽熱集熱装置において、複数の反射板の各反射板に対して、それぞれに対応する支持フレームが個別に配設される。そして、それぞれの反射板に対して配設される各支持フレームは、対応する反射板の背面全体にわたり延在するように形成される。また、支持フレームは、軽量化の観点から、各支持フレームの係合面全体にわたり分散され配置された複数の開口部を有するように形成される。さらに、該開口部周辺の強度及び剛性の向上を図るべく、各支持フレームの各開口部は、該各開口部の開口周囲近傍に補強部が配設されて形成される。
【0011】
このような支持フレームによれば、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向と該方向に直交する方向との両方向に延在して曲面鏡の背面に直接的に配置されて形成される補強部材を有するものとして曲面鏡支持構造部を構成することができ、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向に直交して延在して曲面鏡の背面に直接的に配置されて形成されるような補強部が存在しないような構成の場合と比較して、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向と該方向に直交する方向との両方向の軸線回りの曲げ剛性の向上を簡易な構成にて図ることを可能とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、前記支持フレームと前記アーム部とは、プレス加工にて一部材から一体成形される、請求項1に記載のトラフ式太陽熱集熱装置が提供される。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記支持フレームと前記アーム部とは別部材で形成され、前記アーム部は前記支持フレームに対してボルト締結にて一体化される、請求項1に記載のトラフ式太陽熱集熱装置が提供される。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記補強部は、前記アーム部と前記支持フレームとのボルト締結に使用される締結具の反射板に対する干渉を回避すべく、前記アーム部と前記支持フレームとのボルト締結に使用されるボルトのヘッドあるいはナットを収容しうる凹み空間を有して形成される、請求項3に記載のトラフ式太陽熱集熱装置が提供される。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記反射板の周縁部分が折り返され、前記支持フレームを挟みつけた状態にて一体化されている、請求項1から請求項4の何れか一つの請求項に記載のトラフ式太陽熱集熱装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
各請求項に記載の発明によれば、曲面鏡を用いて該曲面鏡の前方に配置された集熱管に太陽光を集光させ、集熱管の中を流れる液体を加熱するトラフ式太陽熱集熱装置において、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向と該方向に直交する方向との両方向の軸線回りの曲げ剛性の向上を簡易な構成にて図ることを可能とするようなフレーム構造を有するトラフ式太陽熱集熱装置を提供することを可能にする、という共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のトラフ式太陽熱集熱装置の一実施形態における曲面鏡支持構造部の全体斜視図である。
【図2】図1に示す反射板と支持フレームとアーム部との分解斜視図である。
【図3】本発明のトラフ式太陽熱集熱装置の別の実施形態における反射板と支持フレームとアーム部との組立斜視図である。
【図4】図3に示す反射板と支持フレームとアーム部との分解斜視図である。
【図5】別の実施形態の反射板と支持フレームとの組立斜視図である。
【図6】図5に示す反射板と支持フレームとの分解斜視図である。
【図7】支持フレームに対する反射板のヘミング加工の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を用いて本発明に係るトラフ式太陽熱集熱装置の実施形態について説明する。図1は、本発明のトラフ式太陽熱集熱装置の一実施形態における曲面鏡支持構造部の全体斜視図である。図2は、図1に示す反射板と支持フレームとアーム部との分解斜視図である。図1及び図2の各図において、1は曲面鏡支持構造部、2は曲面鏡、3は集熱管、4は支持フレーム、5はアーム部、6はサポートチューブ、7は反射板、8は開口部、9は補強部、をそれぞれ示す。なお、集熱管3は図示しないアーム部材によってサポートチューブ6に対して固定されている。
【0019】
曲面鏡2は、複数の反射板7にて構成されるものとする。曲面鏡2としては、ガラス鏡板として形成することも考えられる。しかしながら、曲面鏡2がガラス鏡板として形成された場合においては、飛び石などにより割れや破損が生じやすいことが考えられる。このことに基づいて、本実施形態においては、可撓性を有する金属板から構成されて且つ表面に反射皮膜が適用された複数の反射板7にて、曲面鏡2が形成されるものとする。この場合における鏡面は、例えば、研磨面もしくはフィルム鏡の貼付、金属蒸着膜などにて形成されるものとする。また、反射板7の材質としては、例えば、鉄やステンレスあるいはアルミニウムなどが使用されうる。
【0020】
支持フレーム4は、所定の曲面形状を有して反射板7を支持するように形成された係合面を備えて構成される。このような係合面を有して構成される支持フレーム4によれば、平板として形成された反射板7を、支持フレーム4の係合面上に適切に配設することで所定の曲面形状を有する曲面鏡2を形成するようにすることもでき、この場合においては、プレス加工などによる鏡自体の曲面形状形成のための加工処理を不要とすることを可能としうる。
【0021】
複数の反射板7の各反射板7に対して、対応する支持フレーム4が個別に配設される。そして、それぞれの反射板7に対して配設される各支持フレーム4は、対応する反射板7の背面全体にわたり延在するように形成される。また、支持フレーム4は、軽量化の観点から、各支持フレーム4の係合面全体にわたり分散され配置された複数の開口部8を有するように形成される。さらに、該開口部8周辺の強度及び剛性の向上を図るべく、各支持フレーム4の各開口部8は、該各開口部8の開口周囲近傍に補強部9が配設されて形成される。補強部9は支持フレーム4と一体的にプレスで絞られて形成されている。
【0022】
このような支持フレーム4によれば、曲面鏡2の曲面形状の曲率が変化する方向と該方向に直交する方向との両方向に延在して曲面鏡2の背面に直接的に配置されて形成される補強部を有するものとして曲面鏡支持構造部1を構成することができ、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向に直交して延在して曲面鏡の背面に直接的に配置されて形成されるような補強部が存在しないような構成の場合と比較して、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向と該方向に直交する方向との両方向の軸線回りの曲げ剛性の向上を簡易な構成にて図ることを可能とする。
【0023】
本実施形態においては、支持フレーム4の係合面と反射板7とは、スポット溶接や接着などによって一体化されるものとする。例えば、支持フレーム4と反射板7とがアルミニウム材から形成される場合においては、摩擦スポット溶接(FSJ)または接着にて一体化されることが好ましい。また、支持フレーム4と反射板7とが鋼板から形成される場合においては、スポット溶接または接着にて一体化されることが好ましい。さらに、支持フレーム4の係合面と反射板7とは、図7に示すようなヘミング加工により、すなわち、反射板7の周縁部分を折り返し、支持フレーム4を挟み付けた状態にて一体物とする加工を行った上で、摩擦スポット溶接(FSJ)やスポット溶接あるいは接着などにて結合されることが好ましい。但し、支持フレーム4の係合面と反射板7との結合は、これに限定されるものではなく、例えばリベット接合やネジ締結などの適切なプロセスにて行われてもよい。また、支持フレームの材質としては、例えば、鉄やステンレスあるいはアルミニウムなどが使用されうる。
【0024】
アーム部5は、支持フレーム4に一体化されて該支持フレーム4を補強するように構成される。また、本実施形態においては、支持フレーム4とアーム部5とは、プレス加工にて一部材から一体成形されるものとする。このような構成によれば、部品点数や組立工数の削減を図ることが可能となる。但し、支持フレーム4に対するアーム部5の形成は、プレス加工による形成に限定されることはなく、例えば、支持フレーム4に対してアーム部5を溶接にて一体化するものとしてもよい。この場合においてアーム部5の材質としては、支持フレーム4と同様に例えば、鉄やステンレスあるいはアルミニウムなどが使用されうる。また、アーム部5は、求められる軽量性や剛性あるいは加工性などの観点から、あらかじめ肉盗みをした金属板をプレス加工して形成するものとしてもよい。
【0025】
そして、これらの支持フレーム4とアーム部5とは協働して、曲面鏡2の曲面形状を所定の精度に確保すべく、曲面鏡2の自重を支え且つ風圧力等の外部荷重に対しても十分な強度及び剛性をもたらす役割を果たすべく構成されるものとする。
【0026】
本実施形態においてサポートチューブ6は、図示しないボルト締結構造にてアーム部5を不動に支持するように構成される。すなわち、サポートチューブ6は、アーム部5を不動に支持するとともに、アーム部5と一体化された支持フレーム4と、該支持フレーム4に結合される反射板7とをサポートチューブ6に対して不動に支持するものとして構成される。また、サポートチューブ6は、トラフ式太陽熱集熱装置を設置する設置面と曲面鏡支持構造部1との間に配置され曲面鏡支持構造部1を支持するマウント構造部(不図示)に連結されうるものとして構成される。サポートチューブ6の材質としては、支持フレーム4やアーム部5と同様に例えば、鉄やステンレスあるいはアルミニウムなどが使用されうる。
【0027】
図3は、本発明のトラフ式太陽熱集熱装置の別の実施形態における反射板と支持フレームとアーム部との組立斜視図である。図4は、図3に示す反射板と支持フレームとアーム部との分解斜視図である。図3及び図4の各図において、14は支持フレーム、15はアーム部、17は反射板、18は開口部、19は補強部、をそれぞれ示す。
【0028】
図3及び図4に示される実施形態においても、図1及び図2に示される実施形態と同様に、曲面鏡は、複数の反射板17にて構成されるものとする。曲面鏡としては、ガラス鏡板として形成することも考えられる。しかしながら、曲面鏡がガラス鏡板として形成された場合においては、飛び石などにより割れや破損が生じやすいことが考えられる。このことに基づいて、本実施形態においては、図1及び図2に示される実施形態と同様に、可撓性を有する金属板から構成されて且つ表面に反射皮膜が適用された複数の反射板17にて、曲面鏡が形成されるものとし、鏡面は、例えば、研磨面もしくはフィルム鏡の貼付、金属蒸着膜などにて形成されるものとする。尚、反射板17の材質としては、例えば、鉄やステンレスあるいはアルミニウムなどが使用されうる。
【0029】
また、支持フレーム14についても、図1及び図2に示される実施形態と同様に、所定の曲面形状を有して反射板17を支持するように形成された係合面を備えて構成される。このような係合面を有して構成される支持フレーム14によれば、平板として形成された反射板17を、支持フレーム14の係合面上に適切に配設することで所定の曲面形状を有する曲面鏡を形成するようにすることもでき、この場合においては、プレス加工などによる鏡自体の曲面形状形成ための加工処理を不要とすることを可能としうる。
【0030】
さらに、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向と該方向に直交する方向との両方向の軸線回りの曲げ剛性の向上を簡易な構成にて図ることを可能とすべく、図1及び図2に示される実施形態と同様に、各反射板17に対して、対応する支持フレーム14が個別に配設される。そして、それぞれの反射板17に対して配設される各支持フレーム14は、対応する反射板17の背面全体にわたり延在するように形成される。また、支持フレーム14は、軽量化の観点から、各支持フレーム14の係合面全体にわたり分散され配置された複数の開口部18を有するように形成される。さらに、該開口部18周辺の強度及び剛性の向上を図るべく、各支持フレーム14の各開口部18は、該各開口部18の開口周囲近傍に補強部19が配設されて形成される。補強部19は支持フレーム14と一体的にプレスで絞られて形成されている。
【0031】
また、本実施形態においても、支持フレーム14の係合面と反射板17とは、スポット溶接や接着によって一体化されるものとする。例えば、支持フレーム14と反射板17とがアルミニウム材から形成される場合においては、摩擦スポット溶接(FSJ)または接着にて一体化されることが好ましい。また、支持フレーム14と反射板17とが鋼板から形成される場合においては、スポット溶接または接着にて一体化されることが好ましい。さらに、支持フレーム14の係合面と反射板17とは、図7に示すようなヘミング加工により、すなわち、反射板17の周縁部分を折り返し、支持フレーム14を挟み付けた状態にて一体物とする加工を行った上で、摩擦スポット溶接(FSJ)やスポット溶接あるいは接着などにて結合されることが好ましい。但し、支持フレーム14の係合面と反射板17との結合は、これに限定されるものではなく、例えばリベット接合やネジ締結などの適切なプロセスにて行われてもよい。また、支持フレームの材質としては、例えば、鉄やステンレスあるいはアルミニウムなどが使用されうる。
【0032】
ところで、図1及び図2に示される実施形態においては、部品点数や組立工数の削減などの観点から、支持フレーム4とアーム部5とは、プレス加工にて一部材から一体成形されるものとされる。しかしながら、プレス加工機の加工能力などの制約から、支持フレームに求められる大きさによってはプレス加工にて支持フレームとアーム部とを一体成形することが困難な場合も考えられる。
【0033】
このことに基づいて、図3及び図4に示される実施形態においては、アーム部15と支持フレーム14とは別部材で形成され、アーム部15は支持フレーム14に対して取付部14−1にてボルト締結にて一体化されるものとする。このような構成によれば、より大きな支持フレームを求められる際にも対応することを可能とする。また、本実施形態においては、補強部19は、プレス加工にて形成されるものとされ、また、アーム部15と支持フレーム14とのボルト締結に使用されるボルトやナットなどの締結具の反射板17に対する干渉を回避すべく、アーム部15と支持フレーム14とのボルト締結に使用されるボルトのヘッドあるいはナットを収容しうる凹み空間を有して形成される。このような凹み空間を利用してアーム部15と支持フレーム14とのボルト締結を行うようにすれば、該ボルト締結に使用されるボルトのヘッドやナットの反射板17の鏡面への突出を回避することができ、反射板17の鏡面に影響を与えることなく、アーム部15と支持フレーム19とをボルト締結を行うことを可能とする。
【0034】
アーム部15は、支持フレーム14に一体化されて該支持フレーム14を補強するように構成される。また、アーム部15の材質としては、支持フレーム14と同様に例えば、鉄やステンレスあるいはアルミニウムなどが使用されうる。本実施形態におけるアーム部15は、求められる軽量性や剛性あるいは加工性などの観点から、あらかじめ肉盗みをした金属板にて形成されるものとする。尚、アーム部15と支持フレーム14との一体化は、ネジ締結に限られることはなく、リベット締結あるいは溶接や接着などにて一体化されてもよい。
【0035】
図5は、別の実施形態の反射板と支持フレームとの組立斜視図である。また、図6は、図5に示す反射板と支持フレームとの分解斜視図である。図5及び図6の各図において、24は支持フレーム、27は反射板、28は開口部、29は補強部、をそれぞれ示す。
【0036】
図5及び図6に示される実施形態においては、支持フレーム24における開口部28の形状及び配置が図3及び図4に示されるものとは異なるものとされ、この点以外の構成については、図3及び図4に示された実施形態と図5及び図6に示された実施形態とは同様のものであるものとする。なお、アーム部の図示は省略されているが、図3,4のアーム部15と同様のものを、取付部24−1にてボルトで締結することができる。
【0037】
図3及び図4に示される支持フレーム14における開口部18は、矩形状に形成されて等間隔に離間して配置されて構成されるものとされる。これに対して、図5及び図6に示される支持フレーム24における開口部28は、種々の形状を有して形成されるものとして構成される。ちなみに、支持フレームにおける開口部の形状及び配置は、曲面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向と該方向に直交する方向との両方向の軸線回りの曲げ剛性および軽量化の観点から、求められる仕様条件を満足させうるようすることが可能であれば、どのような形状及び配置とされてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 曲面鏡支持構造部
2 曲面鏡
3 集熱管
4 支持フレーム
5 アーム部
6 サポートチューブ
7 反射板
8 開口部
9 補強部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の反射板にて構成される曲面鏡を用いて該曲面鏡の前方に配置された集熱管に太陽光を集光させ、該集熱管の中を流れる液体を加熱するトラフ式太陽熱集熱装置において、
前記複数の反射板の各反射板に対して個別に配設される支持フレームであって、所定の曲面形状を有して前記各反射板を支持するように形成された係合面を備える支持フレームと、
前記支持フレームに一体化されて該支持フレームを補強するアーム部と、
前記アーム部を支持するサポートチューブとを具備し、
前記支持フレームは、前記各反射板の背面全体にわたり延在するように形成され、また、前記支持フレームの前記係合面全体にわたり分散され配置された複数の開口部を有して形成され、
前記支持フレームの前記各開口部は、該各開口部の開口周囲近傍に補強部が配設されて形成される、トラフ式太陽熱集熱装置。
【請求項2】
前記支持フレームと前記アーム部とは、プレス加工にて一部材から一体成形される、請求項1に記載のトラフ式太陽熱集熱装置。
【請求項3】
前記支持フレームと前記アーム部とは別部材で形成され、前記アーム部は前記支持フレームに対してボルト締結にて一体化される、請求項1に記載のトラフ式太陽熱集熱装置。
【請求項4】
前記補強部は、前記アーム部と前記支持フレームとのボルト締結に使用される締結具の反射板に対する干渉を回避すべく、前記アーム部と前記支持フレームとのボルト締結に使用されるボルトのヘッドあるいはナットを収容しうる凹み空間を有して形成される、請求項3に記載のトラフ式太陽熱集熱装置。
【請求項5】
前記反射板の周縁部分が折り返され、前記支持フレームを挟みつけた状態にて一体化されている、請求項1から請求項4の何れか一つの請求項に記載のトラフ式太陽熱集熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−88063(P2013−88063A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230063(P2011−230063)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】