説明

トラマドールの副作用の低減方法

本発明は、トラマドールの副作用を低減する方法を提供する。したがって一実施形態において、本発明は、トラマドール材料を摂取するヒト男性において新たに発見された性機能に関係する副作用の発生率を低下させる方法を提供する。その方法は、トラマドール材料を摂取する男性にホスホジエステラーゼ阻害剤を投与することを含む。本発明は、医薬組成物も提供する。一実施形態において、その組成物は、トラマドール材料およびホスホジエステラーゼ阻害剤を含む。本発明は更に、キットを提供する。一実施形態において、そのキットは、トラマドール材料およびホスホジエステラーゼ阻害剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2007年2月12日に出願された米国仮特許出願第60/889,380を相互参照する。先行出願の開示全体は、添付の出願の開示の一部とみなされ、本明細書に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、トラマドールの副作用を低減する方法に関する。性機能に関係する副作用、例えば勃起機能不全は、トラマドールの新たに発見された副作用である。したがって一実施形態において、本発明は、トラマドールを摂取するヒト男性の性機能に関係する1種以上の副作用の発生率を低下させる方法に関する。その方法は、その男性にホスホジエステラーゼ阻害剤を投与することを含む。本発明は、医薬組成物にも関する。一実施形態において、その組成物は、トラマドール材料およびホスホジエステラーゼ阻害剤を含む。本発明は更に、キットに関する。一実施形態において、そのキットは、トラマドール材料およびホスホジエステラーゼ阻害剤を含む。
【背景技術】
【0003】
トラマドールは、中枢に作用する合成鎮痛性化合物である。その作用様式は、完全には理解されていない。動物試験から、少なくとも2つの補助的機序:(1)親化合物(トラマドール)およびO−脱メチル化M1代謝産物の、μ−オピオイド受容体への結合、ならびに(2)ノルエピネフリンおよびセロトニンの再取込みの弱阻害、が適用され得ると思われる。オピオイド活性は、μ−オピオイド受容体に対して、親化合物がより低い親和力で結合すること、およびM1代謝産物がより高い親和力で結合することの両方によるものである。動物モデルでは、M1は、鎮痛作用の生成においてはトラマドールよりも最大6倍強力であり、μ−オピオイド結合においては200倍強力である。トラマドールは、他の幾つかのオピオイド鎮痛薬と同様に、インビトロでノルエピネフリンおよびセロトニンの再取込みを阻害することが示された。これらの機序は、独立して、トラマドールの全体的鎮痛プロファイルに貢献する可能性がある。
【0004】
鎮痛作用とは別に、頻尿および尿失禁の治療(特許文献1参照)、咳、気管支炎および一般的な風邪の治療(特許文献2および3参照)、ならびに早発射精の治療(特許文献4参照)にトラマドールを使用することが、記載されている。
【0005】
トラマドールは、鎮痛作用のために使用する際、特に慢性痛の治療に長期間使用する際に、公知の副作用を有する。報告された発生率5%以上の副作用は、めまい、悪心、便秘、頭痛、傾眠、嘔吐、そう痒、中枢神経刺激(神経質、不安、激越、振せん、痙直、多幸感、情緒不安定および幻覚)、無力、発汗、消化不良、口腔乾燥および下痢である。ウルトラム(Ultram)(登録商標)塩酸トラマドールの記載を参照されたい(非特許文献1参照)。トラマドールのこれらの副作用を低減する方法が、記載されている(特許文献5〜13参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,090,856号明細書
【特許文献2】米国特許第3,652,589号明細書
【特許文献3】米国特許第3,830,934号明細書
【特許文献4】米国特許第6,974,839号明細書
【特許文献5】米国特許第6,056,968号明細書
【特許文献6】米国特許第6,221,394号明細書
【特許文献7】米国特許第6,297,286号明細書
【特許文献8】米国特許第6,696,066号明細書
【特許文献9】米国特許第6,765,010号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2001/0006967号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2006/0052389号明細書
【特許文献12】国際公開第00/32558号パンフレット
【特許文献13】国際公開第00/67739号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Physicians’ Desk Reference
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年になり、塩酸(±)シス−トラマドールを摂取するヒト男性が、性機能に関係する副作用を受けることが見出された(以下の実施例1〜2参照)。これらの副作用は、勃起機能不全(8%〜14%)、無オルガスム症(3%〜7%)、陰茎の感覚減退(4%〜5%)、性欲減退(<1%〜2%)およびオルガスム感覚の減退(0〜<1%)であった。これらの男性は、鎮痛作用のために(±)シス−トラマドールを低い治療濃度範囲で単回投与されていた。性機能に関係する副作用を受けた男性の数が、(±)シス−トラマドールの用量に伴って増加したため、これらの副作用の割合は、高用量のトラマドールを摂取する男性、またはトラマドールを慢性的に摂取する男性で高くなる可能性がある。トラマドールのこれらの副作用は、過去に知られていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって本発明は、トラマドール材料を摂取するヒト男性の性機能に関係する副作用の発生率を低下させる方法を提供する。その方法は、その男性に、トラマドール材料に加えて有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を投与することを含む。
【0010】
本発明は、トラマドール材料が効果的治療となるヒト男性の疾患または状態、例えば疼痛または早発射精を治療する改善された方法も提供する。その改善は、その男性に、トラマドール材料に加えて有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を投与することを含む。
【0011】
本発明は更に、医薬組成物を提供する。その組成物は、薬学的に許容される担体、トラマドール材料およびホスホジエステラーゼ阻害剤を含む。
本発明は、トラマドール材料およびホスホジエステラーゼ阻害剤を含むキットも提供する。そのキットは、容器を1個以上含んでいてもよく、容器のそれぞれがトラマドール材料およびホスホジエステラーゼ阻害剤の両方を含んでいてもよい。あるいはそのキットは、トラマドール材料を保持する容器と、ホスホジエステラーゼ阻害剤を保持する異なる容器とを含んでいてもよい。
【0012】
本発明は更に、トラマドール材料を摂取するヒト男性の複数の副作用の発生率を低下させる方法を提供する。その方法は、性機能に関係する副作用の発生率を低下させる有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤と、過去に知られたトラマドール材料のその他の1種以上の副作用(即ち性機能に関係しない副作用)の発生率を低下させる有効量の別の材料(本明細書において「第2の副作用低減薬」と呼ぶ)とを投与することを含む。
【0013】
本発明は、トラマドール材料が効果的治療となるヒト男性の疾患または状態、例えば疼痛または早発射精を治療する改善された方法も提供する。その改善は、有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤と、有効量の第2の副作用低減薬とを投与することを含む。
【0014】
本発明は、別の医薬組成物を提供する。その組成物は、薬学的に許容される担体、トラマドール材料、ホスホジエステラーゼ阻害剤および第2の副作用低減薬を含む。
本発明は、更なる医薬組成物を提供する。その組成物は、薬学的に許容される担体、ホスホジエステラーゼ阻害剤および第2の副作用低減薬を含む。
【0015】
本発明は更に、トラマドール材料、ホスホジエステラーゼ阻害剤および第2の副作用低減薬を含むキットを提供する。そのキットは、容器を1個以上含んでいてもよく、容器のそれぞれがトラマドール材料、ホスホジエステラーゼ阻害剤、第2の副作用低減薬またはこれらの2つ以上の組合せを保持していてもよい。
【0016】
本発明は更に、トラマドール材料を用いて射精を遅延させて早発射精を治療する、改善された方法を提供する。その改善は、有効量の材料を投与して、トラマドール材料の1種以上の副作用の発生率を低下させることを含む。その材料は、性機能に関係する副作用の発生率を低下させるホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはトラマドール材料の別の副作用(即ち、性機能に関係しない副作用)1種以上の発生率を低下させる第2の副作用低減薬であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】トラマドールの立体異性体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書において用いられるトラマドールの「性機能に関係する副作用」としては、勃起機能不全、無オルガスム症、陰茎の感覚減退、性欲減退およびオルガスム感覚の減退が挙げられる。
【0019】
本明細書において用いられる、トラマドールの「性機能に関係しない副作用」としては、めまい、悪心、便秘、頭痛、傾眠、疲労、不眠、嘔吐、蒼白、そう痒、神経質、不安、活動過剰、不穏、激越、振せん、痙直、多幸感、情緒不安定、注意散漫、うつ気分、多幸気分、幻覚、無臭覚、鼻閉、無力、発汗、消化不良、口腔乾燥、かゆみ、膨満および下痢が挙げられる。その他については、ウルトラム(登録商標)塩酸トラマドールの記載であるPhysicians’ Desk Referenceを参照されたい。
【0020】
本明細書において用いられる「副作用の発生率を低下させる」は、副作用を予防すること、または副作用の発生数を減少させることを意味する。
本明細書において用いられる用語「勃起機能不全」は、満たされた性交または性行為を実施するのに十分な陰茎勃起に達すること、および/またはそれを維持することに対する恒常的又は頻発的な不能を意味する。「勃起機能不全」は、本明細書において、陰茎勃起の部分的、一時的または間欠的欠如を意味するのにも用いられる。
【0021】
International Index of Erectile Functon(IIEF)の勃起機能(EF)ドメインが、患者用質問表として開発および評価され、現在では勃起機能不全の診断に広く用いられている。IIEFのEFドメインは、高度の感受性および特異性により検査信頼性および正当性を示した。特にスコアが25以下の男性は、EDを有すると分類され、スコアが25を超える男性は、EDを有さないと分類される(感受性=0.97;特異性=0.88)。更にIIEF勃起機能の質問への回答により、勃起機能不全を5種の診断カテゴリー:勃起機能不全なし(スコア26〜30);「軽度の」勃起機能不全(スコア22〜25);「軽度〜中等度の」勃起機能不全(スコア17〜21);「中等度の」勃起機能不全(スコア11〜16);および「重度の」勃起機能不全(スコア6〜10)、に分類することができる。ローゼン(Rosen)他著、Int. J. Impot. Res. 14(4):p226〜244(2002年8月)およびローゼン他著、Urology,49:p822〜830(1997年)(IIEF質問表のコピーおよびEF質問の同定を含む)を参照されたい。Sexual Health Inventory for Men(SHIM)と呼ばれるIIEFとは別の部分集合も診断ツールとして開発および評価され、今日では勃起機能不全の診断用に広く使用されている。21以下のスコアの男性は、EDを有すると分類され、21を超えるスコアの男性は、EDを有さないと分類される(感受性=0.98;特異性=0.88)。更にSHIM質問への回答により、勃起機能不全を5種の診断カテゴリー:勃起機能不全なし(スコア22〜25);「軽度の」勃起機能不全(スコア17〜21);「軽度〜中等度の」勃起機能不全(スコア12〜16);「中等度の」勃起機能不全(スコア8〜11);および「重度の」勃起機能不全(スコア5〜7)、に分類することができる。ローゼン他著、Int. J. Impot. Res. 14(4):p226〜244(2002年8月)(SHI質問の同定)およびローゼン他著、Urology,49:p822〜830(1997年)(IIEF質問表のコピーを含む)を参照されたい。したがって勃起機能不全は、EFスコアおよび/またはSHIMスコアを用いて診断することができ、勃起機能不全の重症度も、これらのスコアを用いて評価することができる。
【0022】
本明細書において用いられる「勃起機能不全の発生率を低下させる」は、勃起機能不全が予防されること、または勃起機能不全の発生数が減少することを意味する。本明細書において用いられる「勃起機能不全の重症度の低下」は、EFおよび/またはSHIMスコアにより測定される勃起機能不全の重症度が低下すること、即ち、EFまたはSHIMスコアが増加することを意味する。
【0023】
本明細書において用いられる用語「早発射精」は、男性がパートナーおよび/または彼自身を満足させるのに十分な程、射精過程を制御することができない性機能不全を意味する。早発射精は、性交時に最小の刺激により、そして/または所望よりも早いか、挿入の前もしくは挿入後短時間で起こる、パートナーの一方または両方に苦痛が生じるような継続的もしくは反復的射精を指す。モンタグ(Montague)他著、J. Urol.,172:p290〜294(2004年):Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th ed.,American Psychiatric Association, Washington, D.C.(2000年)を参照されたい。前記用語は、「先天的」、「生涯続く」、「原発的」および「後天的」な早発射精を包含する。
【0024】
早発射精を診断するために、様々な特異的基準が提案されたが、汎用的に受け入れられている規準または規準群はない。具体的な提案規準としては、(i)挿入前または挿入後10〜20ストローク以内での射精;(ii)1〜2分未満のうちの射精、(iii)女性がオルガスム機能不全を有さない場合では、女性がオルガスムを有し得るよりも50%急速な射精、が挙げられる。例えば、米国特許第6,037,360号明細書および同第5,151,448号明細書;Male Infertility and Sexual Dysfunction, p356(スプリンガー/ベルラグ(Springer−Verlag)1997年);Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(American Psychiatric Association 1994年)を参照されたい。より近年になり、苦痛または対人間困難の証拠と併せて、ストップウォッチにより2分未満で測定された膣内射精潜時(「IELT」または「IVELT」)が、臨床試験での早発射精の診断に用いられた。プリオール(Pryor)他著、Lancet,368(9539):p929〜937(2006年9月9日)を参照されたい。一つの報告から、IELTが1分未満の男性が、「明確な」早発射精を有し、IELTが1〜1.5分の男性が、「可能性のある」早発射精を有するが、早発射精の重症度(例えば、「非症候性」、「軽度」、「中等度」、「重度」)が、関連する精神的問題に関して定義されるべきであることが示唆された。ワルディンガー(Waldinger)他著、J. Sex. Med.,2(4):p498〜507(2005年)。早発射精を診断するための、患者による効果指標とも呼ばれる様々な自己申告の効果指標質問表が開発された。アルソフ(Althof)他著、Urol. Clin. North Am.,34(4):p581〜589(2007年11月)を参照されたい。早発射精診断ツール(PEDT)は、そのような質問表の一つである。近年になり、それが評価され、スコア9および10が、「可能性のある」早発射精であり、スコア11以上が、早発射精と診断されることが示された。シモンズ(Symonds)他著、Eur. Urol.,52:p565〜573(2007年)およびシモンズ他著、Int. J. Impot. Res., 19:p521〜5(2007年)(質問表のコピーを含む)を参照されたい。その質問表は、制御の欠如、早発射精の頻度、最小の性的刺激、苦痛および対人間関係の問題を評価するものである。目下のところ本発明人は、早発射精の最良の診断基準が、短いIELT+PEDTスコア9以上であると判断している。短いIELTの厳密な定義は、地理的領域および/または文化的相違に応じて変動すると予測され、経験的に決定することができる。米国に関しては、本発明人は目下のところ、短いIELTの最良の定義が、ストップウォッチを用いて測定すると、2分未満のIELTが性交実施の50%を超えることと判断している。
【0025】
本明細書において用いられる「射精を遅延させる」は、治療を受ける男性が、治療を受けていない場合に男性が通常経験するよりも長時間、射精を防ぐように、射精過程を制御し得ることを意味する。その男性は、パートナーをより満足させる、または完全に満足させるのに十分な程、射精過程を制御し得ると予測される。「射精を遅延させる」は、射精を総合的に防ぐことを意味するものではない。
【0026】
用語「トラマドール材料」は、本明細書において、2−[(ジメチルアミノ)メチル]−1−(3−メトキシフェニル)−シクロヘキサノール(「トラマドール」)およびトラマドールの薬学的に許容される全ての形態および誘導体を指すために用いられる。特にその用語は、N−オキシド誘導体(「トラマドールN−オキシド」)およびO−デスメチル誘導体(「O−デスメチルトラマドール」)を包含する。その用語は、トラマドールおよびその誘導体の溶媒和物、多型、および薬学的に許容される酸付加塩も包含する。その用語は更に、各立体異性体(各鏡像異性体を含む)および立体異性体混合物(ラセミ体を含む)を含む前述のいずれかの立体異性体全てを包含する。
【0027】
トラマドールの立体異性体を、図1に示す。トラマドールの各立体異性体の命名法に関係する文献には、幾つかの矛盾が見られる。本願の目的では、トラマドールの「シス」および「トランス」立体異性体の呼称は、トラマドール分子内のシクロヘキサン環のジメチルアミノおよびヒドロキシ置換基の相対位置を参照して作られている。図1に示されるとおり、R,RおよびS,S鏡像異性体は、本明細書において「シス」異性体を指すが、R,SおよびS,R異性体は、本明細書において「トランス」異性体を指す。同じく図1に示されるとおり、トラマドールのR,R異性体は、本明細書において「+」シス異性体を指し、S,S異性体は、「−」シス異性体を指す。目下のところ、R,SおよびS,R異性体は、光学活性がないと理解される。
【0028】
トラマドール、トラマドールN−オキシド、およびO−デスメチルトラマドールを製造する方法は、周知である。例えば、米国特許第3,652,589号明細書、同第3,830,934号明細書、同第5,223,541号明細書、同第5,336,691号明細書、同第5,723,668号明細書、同第5,728,885号明細書、および同第5,874,620号明細書を参照されたい(それらの完全な開示は、本明細書に参考として援用される)。トラマドールは、ドイツ、アシェンのグリュネンタール(Gruenenthal)GmbHをはじめとする複数の供給業者から市販もされている。
【0029】
薬学的に許容される酸付加塩は、薬学的に許容される実質的に非毒性の有機および無機酸を用いて、当該技術分野で周知の従来法により調製される。そのような酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、ニコチン酸などが挙げられる。好ましいのは、塩酸である。
【0030】
目下好ましいのは、トラマドールおよびその酸付加塩、特に塩酸塩である。より好ましいのは、(±)シス−トラマドール、その酸付加塩(特に塩酸塩)、各鏡像異性体(特に(−)鏡像異性体)、および少なくとも60%の(−)鏡像異性体を含む非ラセミ体トラマドールである。
【0031】
トラマドール材料での治療が必要とされる疾患および状態としては、疼痛、頻尿、尿失禁、咳、気管支炎、一般的な風邪および早発射精が挙げられる。そのような疾患または状態を治療するために、有効量のトラマドール材料が投与される。「有効量」とは、非毒性であるが疾患または状態を治療するためのトラマドール材料の十分な量を意味する。「治療する」は、本明細書において、疾患もしくは状態を治癒するなど、疾患または状態の症状を軽減すること(全体的または部分的)、または疾患もしくは状態を予防することを意味するために用いられる。疾患または状態を治療するのに効果的な投与形態、投与様式および時間、ならびにトラマドール材料の量は、公知であるか、または経験的に決定することができる。疼痛を治療するためのトラマドール材料の有効量は、周知である。例えば、ウルトラム(登録商標)塩酸トラマドールの記載であるPhysicians’ Desk Refernceを参照されたい。頻尿、尿失禁、咳、気管支炎または一般的な風邪を治療するためのトラマドールの量が、記載されている。例えば、米国特許第6,090,856号明細書、同第3,652,589号明細書および同第3,830,934号明細書を参照されたい。射精を遅延させるため、または早発射精を治療するための塩酸(±)シス−トラマドールの有効量は、性行為の約30分〜約24時間前に経口的に摂取される約1mg〜約250mg、好ましくは約10mg〜約200mg、より好ましくは約25mg〜約150mgである。しかし、投与量が、用いられるトラマドールの特定の形態、投与経路、投与のタイミング、投与される他の薬物の特性、治療される疾患または状態、疾患または状態の重症度、患者の年齢、大きさおよび状態、ならびに薬品業界で公知の類似因子により変動することが、当業者に理解される。一般に適切な用量は、毒性を示さずに射精を遅延させるために効果的な最低用量の化合物量であろう。しかし投与量、投与経路などは、担当医により正しい医学的判断の範囲内で決定される。
【0032】
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、第2のメッセンジャーヌクレオチドcAMPおよびcGMPの代謝に関与する細胞内酵素の一分類である。PDEは、現在では11種:タイプI〜XIの主なファミリーに分類された。ファミリーの構成は、組織、細胞内および非細胞内分布、ならびにcAMPおよびcGMP経路へのつながりにより変動する。例えばPDEタイプIII(PDE3)、PDEタイプIV(PDE4)およびPDEタイプV(PDE5)は、海綿体において見出され、PDE5が最も豊富である。
【0033】
「ホスホジエステラーゼ阻害剤」は、PDEの活性を選択的または非選択的に阻害または低下させ得る薬剤である。本発明に用いられる適切なPDE阻害剤としては、米国特許第5,250,534号明細書、同第5,859,006号明細書、同第6,140,329号明細書、同第6,362,178号明細書、同第6,403,597号明細書、同第6,469,012号明細書、同第6,821,975号明細書、同第6,943,166号明細書および同第6,943,171号明細書に記載されたものが挙げられる(それらの完全な開示は、本明細書に参考として援用される)。PDE阻害剤を製造する方法は、公知である。米国特許第5,250,534、同第5,859,006、同第6,140,329号明細書、同第6,362,178号明細書、同第6,403,597号明細書、同第6,469,012号明細書、同第6,821,975号明細書、同第6,943,166号明細書および同第6,943,171号明細書を参照されたい。本発明に用いられるPDE阻害剤は、好ましくはPDE3、PDE4および/またはPDE5の阻害剤である。より好ましくは、PDE阻害剤はPDE5の選択的阻害剤である。更に好ましくは、阻害剤は、シルデナフィル、バルデナフィルおよび/またはタダラフィル、ならびにそれらの薬学的に許容される形態(例えば、塩、溶媒和物、立体異性体(各異性体および異性体混合物)など)である。最も好ましくは、阻害剤はクエン酸シルデナフィル(例えば、バイアグラ(Vigra)(登録商標)クエン酸シルデナフィル;ファイザー(Pfizer))、塩酸バルデナフィル(例えば、レビトラ(Levitra)(登録商標)塩酸バルデナフィル;シェリング・プラウ(Schering−Plough))および/またはタダラフィル(例えば、シアリス(Cialis)(登録商標);リリー・アイコス(Lilly ICOS))である。
【0034】
トラマドール材料を摂取するヒト男性の性機能に関係する副作用の発生率を低下させるために、トラマドールに加えて、有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤を男性に投与する。ホスホジエステラーゼ阻害剤は、もちろん性行為の前の有効な時間に投与されなければならない。「有効な時間」とは、副作用の発生率を低下させるのに有効であるような、ホスホジエステラーゼ阻害剤が投与されるべき性行為前の時間範囲を意味する。トラマドール材料の投与の副作用として特に該当するのは、勃起機能不全であり、本発明は特に、トラマドール材料を摂取する男性の勃起機能不全の発生率および/または重症度を低下させることに関与する。トラマドール材料およびホスホジエステラーゼ阻害剤を、同時または任意の順序で連続して投与してもよい。それらは、同一または異なる投与様式で別個に投与してもよく、またはそれらは、単一の投与経路により単一投与形態で併用投与してもよい。「有効量」とは、トラマドール材料を摂取するヒト男性の性機能に関係する副作用の発生率を低下させるためのホスホジエステラーゼ阻害剤の非毒性であるが十分な量を意味する。バイアグラ(登録商標)クエン酸シルデナフィルの有効量は、性行為の約30分〜約4時間前に経口投与される約5mg〜約500mg、好ましくは約25mg〜約100mgである。レビトラ(登録商標)塩酸バルデナフィルの有効量は、性行為の約30分〜約2時間前に経口投与される約1mg〜約100mg、好ましくは約5mg〜約20mgである。シアリス(登録商標)タダラフィルの有効量は、性行為の約30分〜約36時間前に経口投与される約1mg〜約100mg、好ましくは約5mg〜約20mgである。しかし投与量が、用いられるトラマドールの特定の形態および量、トラマドールの投与理由、用いられる特定のホスホジステラーゼ阻害剤、投与経路、投与のタイミング、投与される他の薬物の同一性、副作用の重症度、患者の年齢、大きさおよび状態、ならびに薬品業界で公知の類似因子により変動することが、当業者に理解される。一般に適切な用量は、毒性を示さずに副作用の発生率を低下させるのに効果的な最低用量の化合物量であろう。しかし投与量、投与経路などは、担当医により正しい医学的判断の範囲内で決定される。効果的な投与形態、投与様式および時間、ならびに投与量は、経験的に決定することができる。
【0035】
性機能に関係しないトラマドールの副作用の発生率を低下させる適切な第2の副作用低減薬は、公知である。例えば、米国特許第6,056,968号明細書、同第6,221,394号明細書、同第6,297,286号明細書、同第6,696,066号明細書および同第6,765,010号明細書、米国特許出願公開第2001/0006967号明細書および同第2006/0052389号明細書、ならびに国際公開第00/32558号パンフレットおよび国際公開第00/67739号パンフレットを参照されたい(それらの完全な開示は、本明細書に参考として援用される)。本発明は、後に開発される更なるそのような薬剤の使用も包含する。
【0036】
本明細書において用いられる「第2の副作用低減薬」は、性機能に関係しないトラマドール材料の1種以上の副作用の発生率を低減し得るいずれかの化合物または他の材料である。
【0037】
特に好ましいのは、米国特許第6,765,010号明細書、米国特許出願公開第2001/0006967号明細書および同第2006/0052389号明細書、ならびに国際公開第00/67739号パンフレットに記載されたとおり、オピオイドアンタゴニストである第2の副作用低減薬の使用である。適切なオピオイドアンタゴニストとしては、ナルメフェン、ナルトレキソン、ナロキソン、エトルフィンおよびジヒドロエトルフィンが挙げられる。本明細書での使用に好ましいのは、ナルトレキソンである。特にこれらの参考は、少量(例えば、10ng〜1mg)のオピオイドアンタゴニストが、トラマドールの副作用を低減しながらトラマドールの鎮痛作用を高めることを教示している。これらの参考は、多量のオピオイドアンタゴニストを使用すると、トラマドールの効果が低減することも教示している。しかし極めて意外なことに、2.5mg〜10mgのナルトレキソン量を使用すると、射精の遅延におけるトラマドールの有効性が低減しないことが、本発明により見出された。
【0038】
米国特許第6,056,968号明細書、同第6,221,394号明細書および同第6,297,286号明細書、ならびに国際公開第00/32558号パンフレットは、トラマドール材料の(−)鏡像異性体が、(+)トラマドールに関連する副作用、例えば悪心、嘔吐、便秘、めまい、視朦、嗜眠状態、傾眠、沈静、幻覚、呼吸抑制および多幸感などを低減することを教示している。特に(−)鏡像異性体は、鎮吐薬であり、悪心および嘔吐を低減する。こうして勃起機能不全以外のトラマドールの副作用の発生率を低下させるために、(−)トラマドールを、トラマドール材料に加えて投与することができる。あるいは多量の、好ましくは少なくとも60%、最大100%のトラマドール材料の(−)鏡像異性体を含む非ラセミ体トラマドールを、トラマドール材料として用いることができる。
【0039】
トラマドール材料を摂取するヒトの性機能に関係しないトラマドール材料の副作用の発生率を低下させるために、有効量の第2の副作用低減薬を、トラマドール材料に加えてヒトに投与する。2種の薬物は、同時または任意の順序で連続して投与してもよい。それらは、同一もしくは異なる投与様式で別個に投与してもよく、またはそれらは、単一の投与経路により単一投与形態で併用投与してもよい。「有効量」は、トラマドール材料を摂取するヒトの性機能に関係しない副作用の発生率を低下させるための第2の副作用低減薬の非毒性であるが十分な量を意味する。投与量が、用いられるトラマドールの特定の形態および量、トラマドールの投与理由、用いられる特定の第2の副作用低減薬、投与経路、投与のタイミング、投与される他の薬物の特性、副作用の重症度、患者の年齢、大きさおよび状態、ならびに薬品業界で公知の類似因子により変動することが、当業者に理解される。一般に適切な用量は、毒性を示さずに副作用の発生率を低下させるのに効果的な最低用量の化合物量であろう。しかし投与量、投与経路などは、担当医により正しい医学的判断の範囲内で決定される。効果的な投与形態、投与様式および時間、ならびに投与量は、経験的に決定することができる。
【0040】
トラマドール材料を摂取するヒト男性の性機能に関係するトラマドール材料の副作用の発生率および性機能に関係しないトラマドール材料の副作用の発生率を低下させるために、有効量のホスホジエステラーゼ阻害剤および有効量の第2の副作用低減薬を、トラマドールに加えて男性に投与する。3種の薬物は、同時または任意の順序で連続して投与してもよい。それらは、同一または異なる投与様式で別個に投与してもよく、またはそれらは、単一の投与経路により単一投与形態で併用投与してもよい。投与量が、用いられるトラマドールの特定の形態および量、トラマドールの投与理由、用いられる特定の第2の副作用低減薬、用いられる特定のホスホジステラーゼ阻害剤、投与経路、投与のタイミング、投与される他の薬物の特性、副作用の重症度、患者の年齢、大きさおよび状態、ならびに薬品業界で公知の類似因子により変動することが、当業者に理解される。一般に適切な用量は、毒性を示さずに性機能に関係する副作用の発生率および性機能に関係しない副作用の発生率を低下させるのに効果的な最低用量の化合物量であろう。しかし、投与量、投与経路などは、担当医により正しい医学的判断の範囲内で決定される。効果的な投与形態、投与様式および時間、ならびに投与量は、経験的に決定することができる。
【0041】
トラマドール材料、ホスホジエステラーゼ阻害剤および第2の副作用低減薬は、経口、経鼻、経直腸、非経口(例えば、静脈内、皮下、または筋肉内)、局所(即ち、皮膚または粘膜への送達)、経皮(即ち、皮膚を通した血流への薬物通過による送達)、経粘膜(即ち、粘膜組織を通した血流への薬物通過による送達)、海綿体内(即ち、陰茎の海綿体組織の一方または両方に注入)、および尿道内(即ち、尿道への送達)など、いずれの適切な投与経路で投与してもよい。非常に好ましいのは、経口投与である。
【0042】
トラマドール材料、ホスホジエステラーゼ阻害剤および第2の副作用低減薬は、単独で投与することが可能であるが、それらを医薬配合剤(組成物)として(個別に、または様々な組合せで)投与することが好ましい。その医薬組成物は、薬学的に許容される1種以上の担体および任意に他の化合物、薬物または他の1種以上の材料と混和された、トラマドール材料、ホスホジエステラーゼ阻害剤、第2の副作用低減薬、または活性成分としてのこれらの2つ以上を含む。各担体は、配合剤の他の成分と適合性があり、組成物を摂取する男性に有害でないという意味で「許容され」なければならない。薬学的に許容される担体は、当該技術分野で周知である。選択された投与経路に関わらず、活性成分は、当業者に公知の従来法により薬学的に許容される投与形態に配合される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesを参照されたい。
【0043】
トラマドール材料を含む医薬組成物およびその医薬組成物を製造する方法が、記載されている。例えば、米国特許第3,652,589号明細書、同第3,830,934号明細書、同第5,223,541号明細書、同第5,591,452号明細書、同第5,601,842号明細書、同第5,728,885号明細書、同第6,017,963号明細書、同第6,090,856号明細書、および同第6,156,342号明細書を参照されたい(その完全な開示は、本明細書に参考として援用される)。その上、トラマドールおよび薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物は、製造され、世界中で販売されている。米国では、経口投与用の(±)シス−2−[(ジメチルアミノ)メチル]−1−(3−メトキシフェニル)−シクロヘキサノール塩酸が、08869ニュージャージー州ラリタンのオルト−マクネイル・ファーマシューティカル社(Ortho−MacNeil Pharmaceutical Inc.)からウルトラム錠として入手できる。各ウルトラム錠は、(±)シス−2−[(ジメチルアミノ)メチル]−1−(3−メトキシフェニル)−シクロヘキサノール塩酸50mgおよび多数の不活性成分(コーンスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリソルバート80、デンプングリコール酸ナトリウム、二酸化チタンおよびワックス)を含む。商品名ウルトラム(登録商標)として販売される市販のトラマドール製剤は、塩酸トラマドールのR,R異性体とS,S異性体との混合物からなる。
【0044】
ホスホジエステラーゼ阻害剤を含む医薬組成物およびその医薬組成物を製造する方法も、記載されている。例えば、米国特許第5,250,534号明細書、同第5,859,006号明細書、同第6,140,329号明細書、同第6,362,178号明細書、同第6,403,597号明細書、同第6,469,012号明細書、同第6,821,975号明細書、同第6,943,166号明細書および同第6,943,171号明細書を参照されたい(それらの完全な開示は、本明細書に参考として援用される)。適切なホスホジエステラーゼ阻害剤も、ファイザー(バイアグラ(登録商標)クエン酸シルデナフィル、シェリング・プラウ(レビトラ(登録商標)塩酸バルデナフィル)およびリリー・アイコス(シアリス(登録商標)タダラフィル)から市販されている。
【0045】
経口投与に適した本発明の配合剤は、それぞれが所定量の活性成分を含むカプセル、ピル、錠剤、粉末、顆粒の形態、または水性もしくは非水性液中の溶液もしくは懸濁液、または水中油型もしくは油中水型の液体エマルション、またはエリキシルもしくはシロップ、または香錠(ゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシアなどの不活性ベースを用いて)などであってもよい。好ましい経口投与形態は、錠剤およびカプセルである。
【0046】
経口投与用の本発明の固体投与形態(カプセル、錠剤、ピル、糖剤、粉末、顆粒など)において、活性成分を薬学的に許容される担体、例えばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/あるいは以下のもの:(1)充填剤または増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/もしくはケイ酸;(2)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/もしくはアカシア;(3)保水剤、例えばグリセリン;(4)崩壊剤、例えばアガー・アガー、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム;(5)溶液遅延剤、例えばパラフィン;(6)吸収促進剤、例えば第4級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセリン;(8)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイトクレイ;(9)滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物;ならびに(10)着色剤、のいずれかと混合されている。カプセル、錠剤およびピルの場合には、医薬組成物は、緩衝剤を含んでいてもよい。ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用いながら、同様の型の固体組成物をソフトおよびハードゼラチンカプセルの充填剤として用いてもよい。
【0047】
錠剤は、任意に1種以上の副成分と共に圧縮または成形により製造してもよい。圧縮錠は、結合剤(例えばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑剤、不活性希釈、防腐剤、崩壊剤(例えばデンプングリコール酸ナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて製造してもよい。成形錠は、不活性液体希釈剤で加湿された粉末化合物の混合物を、適切な機械で成形することにより製造してもよい。
【0048】
本発明の医薬組成物の錠剤および他の固体投与形態、例えば、糖剤、カプセル、ピルおよび顆粒は、切込みを入れても、またはコーティングおよびシェル、例えば腸溶性コーティングおよび医薬品配合業界で周知の他のコーティングと共に製造してもよい。それらは、例えば様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて、内部の活性成分の緩効性または徐放性を提供することで、所望の放出プロファイル、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを提供するように配合してもよい。それらは、例えば、細菌保持フィルタでのろ過により滅菌してもよい。これらの組成物は、任意に不透明化剤を含んでいてもよく、それらが、胃腸管の特定の部分で任意の遅延的手法により、活性成分のみまたはそれを優先的に放出するような組成物であってもよい。これらの組成物は、活性成分のみまたはそれを優先的に、特定の順序で(例えば、一方を他方よりも前に、一方を直ちにかつ他方は徐々に、両方とも徐々に、但し異なる放出プロファイルで、など)放出するような組成物であってもよい。用いられ得る包埋組成物の例は、高分子物質およびワックスを含む。活性成分は、マイクロカプセル形態であってもよい。
【0049】
本発明の化合物の経口投与用の液体投与形態としては、薬学的に許容されるエマルション、ミクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。液体投与形態は、活性成分に加えて、当該技術分野で一般に用いられる不活性希釈剤、例えば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(詳細には綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油およびごま油)、グリセリン、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0050】
経口組成物は、不活性希釈液の他にも、佐剤、例えば湿潤剤、乳化剤および懸濁液、甘味剤、着香剤、着色剤、芳香剤、増粘剤、ならびに防腐剤を含んでいてもよい。
懸濁液は、活性成分に加えて、懸濁剤、例えばエトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガー・アガーおよびトラガカント、ならびにそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0051】
経直腸投与用の本発明の医薬組成物の配合剤は、活性成分を、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤用ワックスまたはサリチル酸塩などを含む適切な非刺激性賦形剤および1種以上の担体と混合することにより製造され得、室温で固体であるが体温では液体となるため、直腸では融解して活性成分を放出する坐剤として提供してもよい。
【0052】
活性成分の局所、経皮または経粘膜投与用の投与形態としては、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、ドロップおよび吸入剤が挙げられる。活性成分を、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体およびいずれかの緩衝液、または必要となり得る噴射剤と混合してもよい。
【0053】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、活性成分に加えて、賦形剤、例えば動物および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0054】
粉末およびスプレーは、活性成分に加えて、賦形剤、例えばラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末またはこれらの物質の混合物を含んでいてもよい。加えてスプレーは、慣用される噴射剤、例えばクロロフルオロ炭化水素および揮発性非置換炭化水素、例えばブタンおよびプロパンを更に含んでいてもよい。
【0055】
活性成分は、従来の経皮薬送達系、即ち経皮パッチを利用して皮膚を介して送達させてもよく、この場合の活性成分は、代表的には皮膚に貼付される薬物送達系として働く積層構造に含まれる。そのような構造において、活性成分は、代表的には上部の裏面層の下にある層即ち「リザーバ」に含まれる。積層装置は、一つのリザーバを含んでいてもよく、またはそれは、複数のリザーバを含んでいてもよい。一実施形態において、リザーバは、薬物送達時に系を皮膚に貼付する働きがある薬学的に許容される接触接着材のポリマーマトリックスを含む。適切な皮膚接触接着材の例としては、非限定的に、ポリエチレン、ポリシロキサン、ポリイソブチレン、ポリアクリラート、ポリウレタンなどが挙げられる。あるいは薬物含有リザーバおよび皮膚接触接着材は、離れた別個の層として存在し、リザーバの下に接着材を含むが、この場合、リザーバは、上記のポリマーマトリックスであってもよく、または液体もしくはヒドロゲルのリザーバであってもよく、または他の形態であってもよい。
【0056】
装置の上面として働くこれらの積層内の裏面層は、積層構造の第1の構造要素として機能し、装置にかなりの可撓性を提供する。裏面材料に選択される材料は、活性成分および存在する他の材料に実質的に不透過性であるように選択されなければならない。裏面層は、薬物送達時に皮膚が水和されることが望ましいかどうかに応じて、閉塞性または非閉塞性のいずれであってもよい。裏面は、好ましくは可撓性弾性材料のシートまたはフィルムで作製される。裏面層に適したポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどが挙げられる。
【0057】
貯蔵時および使用前には、積層構造は、剥離ライナーを含む。使用の直前に、この層が、装置から除去されて、その基板表面、つまり薬物リザーバまたは離れた接触貼付層のいずれかが暴露され、その結果、系が皮膚に貼付されてもよい。剥離ライナーは、薬物/賦形剤不透過性材料で製造されなければならない。
【0058】
経皮薬物送達装置は、当該技術分野で公知の従来の技術を利用して、例えば接着剤、薬物および賦形剤の液体混和物を裏面層上にキャスティングし、その後、剥離ライナーを積層することにより、作製してもよい。同様に接着剤混合物は、剥離ライナー上にキャスティングされ、その後、裏面層に積層されていてもよい。あるいは薬物リザーバを薬物または賦形剤の不在下で製造し、その後、薬物/賦形剤混合物中で「含浸させる」ことにより装填してもよい。
【0059】
加えて積層された経皮薬物送達系は、皮膚透過強化剤を含んでいてもよい。即ち、幾つかの薬物の皮膚への本質的な薬物透過性は過度に低く、治療レベルの薬物を適当な面積の破壊されていない皮膚に通過させ得ないため、皮膚透過強化剤をそのような薬物と併用する必要がある。そのような強化剤は、当該技術分野で周知である。
【0060】
本発明の医薬組成物を、経鼻エアロゾルまたは吸入剤により投与してもよい。そのような組成物は、医薬配合剤の技術分野で周知の技術により調製され、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、生物学的利用度を高める吸収促進剤、例えばフッ化炭素もしく窒素などのような噴射剤、および/または他の従来の可溶化もしくは分散剤を用いて、生理食塩水中の溶液として調製してもよい。
【0061】
局所薬物送達用の好ましい配合剤は、軟膏およびクリームである。軟膏は、代表的には石油または他の石油誘導体を基にした半固形製剤である。選択された活性剤を含むクリームは、当該技術分野で公知のとおり、粘液または半固形エマルションで、水中油型または油中水型のいずれかである。クリームベースは、水洗性であり、油相、乳化剤および水相を含む。油相は、「内部」相と呼ばれることもあり、一般に石油および脂肪アルコール、例えばセチルまたはステアリルアルコールを含み、水相は必ずではないが通常は体積で油相を上回り、一般に保水剤を含む。クリーム配合剤中の乳化剤は、一般に非イオン性、陰イオン性、陽イオン性または両性イオン性界面活性剤である。当業者に理解されるとおり、用いられる具体的な軟膏またはクリームベースは、最適な薬物送達のために提供される。他の担体または賦形剤と同様に、軟膏ベースは、不活性、安定性、非刺激性および非感受性でなければならない。
【0062】
口腔投与用の配合剤としては、錠剤、ロゼンジ、ゲルなどが挙げられる。あるいは、当業者に公知の経粘膜送達系を用いて、口腔投与を実行してもよい。
非経口投与に適した医薬組成物は、薬学的に許容される滅菌等張水性または非水性溶液、分散体、懸濁液もしくはエマルション、または使用直前に滅菌注射可能な溶液もしくは分散体に戻すことのできる滅菌粉末もしくは他の1種以上の固体形態と共に活性成分を含み、酸化防止剤、緩衝液、対象とするレシピエントの血液と等張の配合剤にするための溶質、懸濁剤もしくは増粘剤を含んでいてもよい。
【0063】
医薬組成物中で使用し得る適切な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、ならびに注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エステルが挙げられる。例えばレシチンなどのコーティング材料を使用することにより、分散体の場合には必要な粒度を保持することにより、そして界面活性剤を使用することにより、適切な流動性を保持することができる。
【0064】
これらの組成物は、佐剤、例えば湿潤剤、乳化剤および分散剤などを含んでいてもよい。等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを組成物中に含むことが望ましい場合もある。加えて、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの含有により、注入可能な医薬形態の長期吸収を達成してもよい。
【0065】
場合により、活性成分の効果を延長するためには、皮下または筋肉注射により活性成分の吸収を遅延させることが望ましい。これは、水溶性の低い結晶性または非晶質材料の液体懸濁物の使用により達成され得る。その場合、活性成分の吸収速度は、解離速度に依存し、その一方で結晶サイズおよび結晶形態にも依存する場合がある。あるいは、薬物を油性賦形剤に溶解または懸濁させることにより、非経口投与された活性成分の吸収遅延が達成される。
【0066】
生分解性ポリマー、例えばポリアクチド/ポリグリコリド中で活性成分のマイクロカプセルマトリックスを形成させることにより、注射可能なデポ形態が形成される。ポリマーに対する活性成分の比、および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、活性成分の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)が挙げられる。デポ型の注射可能な配合剤は、活性成分をリポソームまたは身体組織と適合性のあるミクロエマルションに閉じ込めることによっても調製される。注射可能な材料は、例えば細菌保持フィルタでろ過することにより、滅菌することができる。
【0067】
海綿体内注射は、シリンジまたは他の適切な装置の使用により実行することができる。本明細書で有用であり両方の海綿体への同時注入に用いられ得る皮下シリンジの例は、米国特許第4,127,118号明細書に記載されている。針を陰茎の各背部静脈の側に定置して、それを海綿体の深部に挿入することにより、陰茎の背部で注射を実施する。
【0068】
活性成分を、経尿道薬物送達に適した医薬配合剤中で投与することができる。その配合剤は、選択された1種以上の担体または賦形剤、例えば水、シリコーン、ワックス、石油ゼリー、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、リポソーム、糖、例えばマンニトールおよびラクトース、ならびに/または他の様々な材料を含み、ポリエチレングリコールおよびその誘導体が、特に好ましい。経尿道透過強化剤を尿道投与形態に組入れることが望ましい場合がある。適切な経尿道透過強化剤の例としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、デシルメチルスルホキシド、ポリエチレングリコールモノラウラート、グリセリンモノラウラート、レシチン、1位で置換されたアザシクロヘプタン−2−オン、特に1−n−ドデシルシクロアザシクロヘプタン−2−オン(カリフォルニア州イルビンのネルソン・リサーチ・アンド・デベロップメント社(Nelson Research & Development Co.)から商品名アゾン(Azone)(登録商標)として入手できる)、セパ(SEPA)(登録商標)(マサチューセッツ州レキシントンのマクロケム社(Macrochem Co.)から入手できる)、アルコール(例えばエタノール)、洗剤(例えばタージトール(Tergitol)(登録商標)、ノンオキシノール(Nonoxynol−9)(登録商標)およびツイーン−80(Tween−80)(登録商標))などが挙げられる。経尿道配合剤は、加えて尿道に存在し得る薬物分解酵素を阻害するのに効果的な酵素阻害剤を1種以上含んでいてもよい。更なる任意成分としては、薬物配合剤の調製および送達の分野の当業者に理解されるとおり、賦形剤、防腐剤(例えば酸化防止剤)、キレート化剤、可溶化剤(例えば界面活性剤)などが挙げられる。
【0069】
国際公開第91/16021号パンフレットで説明されるとおり、経尿道薬物投与は、多数の異なる方法で、様々な尿道投与形態を利用して実施することができる。例えば、可撓性チューブ、瓶型搾り出し容器、ポンプまたはエアロゾルスプレーから、薬物を尿道に導入することができる。薬物が、尿道で吸収、溶融または生体侵食されるコーティング、ペレットまたは坐剤に含まれてもよい。特定の実施形態において、薬物は、陰茎インサートの外表面上のコーティングに含まれる。薬物を経尿道投与するための薬物送達装置は、米国特許第6,037,360号明細書および国際公開第91/16021号パンフレットに記載される。
【0070】
ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール誘導体を含む尿道坐剤配合剤は、当業者に理解されるとおり、そして適切な文献および医薬教書に記載されているとおり、尿道投与形態として用いることができ、従来の技術、例えば圧縮成形、熱成形などを利用して従来どおり配合してもよい。例えば、医薬組成物を尿道坐剤の形態で調製するための代表的な方法を開示する、Remington:The Science and Practic of Pharmacy, 19th Ed.(ペンシルバニア州イーストン、マックパブリシング社(Mack Publishing Co.,)、1995年)を参照されたい。尿道坐剤が、ポリエチレングリコールまたは他の経尿道賦形剤への活性成分の溶解度を高めるのに効果的な1種以上の可溶化剤(例えば、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性または両性イオン性界面活性剤)を含むことも好ましい。
【0071】
薬物の緩効性または徐放性を提供する尿道投与形態中で、活性成分を送達することが望ましい場合がある。そのような場合、投与形態は、代表的には生体適合性の生分解性材料、代表的には生分解性ポリマーを含む。そのようなポリマーの例としては、ポリエステル、ポリアルキルシアノアクリラート、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、アルブミン、ゼラチンおよびデンプンが挙げられる。例えば国際公開第96/40054号パンフレットで説明されるとおり、これらおよび他のポリマーを用いて生分解性微粒子を提供することができ、それにより薬物の緩効性または徐放性が可能になり、その一方で必要な投与頻度が最小限に抑えられる。
【0072】
尿道内投与の方法は、「活性」送達機構、例えばイオン導入法、電気穿孔法またはフォノフォレシスを含み得る。薬物をこの方法で送達させる装置および方法は、当該技術分野で周知である。イオン導入法により補助される薬物送達は、例えば国際公開第96/40054号パンフレットに記載されている。簡潔に述べると、外部電極から尿道プローブ内に含まれる、またはそれに付着させた第2の電極まで通る電流により、尿道壁を通して活性薬物を輸送する。
【0073】
医薬配合剤は、単位用量または多用量型の密閉容器、例えばアンプルおよびバイアル中に存在してもよく、また使用直前に滅菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを必要とする凍結乾燥条件下で貯蔵してもよい。即時注射溶液および懸濁液を、上記型の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製してもよい。
【0074】
本発明は、トラマドール材料およびホスホジエステラーゼ阻害剤を含むキットも提供する。そのキットは、容器を1個以上含んでいてもよく、容器のそれぞれがトラマドール材料およびホスホジエステラーゼ阻害剤を含んでいてもよい。その場合、トラマドール材料およびホスホジエステラーゼ阻害剤は、好ましくは同じ医薬組成物に含まれる。あるいはそのキットは、トラマドール材料を保持する容器と、ホスホジエステラーゼ阻害剤を保持する異なる容器とを含んでいてもよい。適切な容器としては、管、アンプル、バイアル、瓶、ホイルパケット、トレイのウェル、およびブリスタパックに成形されたくぼみが挙げられる。そのキットは、トラマドール材料およびホスホジエステラーゼ阻害剤を投与して、トラマドール材料での治療が必要とされる疾患または状態を治療して、トラマドール材料を摂取する男性の性機能に関係する副作用の発生率を低下させるための使用説明書も含む。容器は、好ましくはパッケージ、例えば箱に含まれる。使用説明書は、容器の一つに貼付もしくはその表面に印刷されていてもよく、パッケージの内側の別の紙シートに印刷されていてもよく、またはパッケージに貼付もしくはその表面に印刷されていてもよい。
【0075】
本発明は、トラマドール材料、ホスホジエステラーゼ阻害剤および第2の副作用低減薬を含む別のキットを提供する。そのキットは、容器を1個以上含んでいてもよく、容器のそれぞれがトラマドール材料、ホスホジエステラーゼ阻害剤、第2の副作用低減薬またはこれらの2つ以上の組合せを含んでいてもよい。適切な容器は、上記のとおりである。そのキットは、トラマドール材料、ホスホジエステラーゼ阻害剤および第2の副作用低減薬を投与して、トラマドール材料での治療が必要とされる疾患または状態を治療し、トラマドール材料を摂取する男性の性機能に関係する副作用および性機能に関係しない副作用の発生率を低下させるための使用説明書も含む。容器は、好ましくはパッケージ、例えば箱に含まれる。使用説明書は、容器の一つに貼付もしくはその表面に印刷されていてもよく、パッケージの内側の別の紙シートに印刷されていてもよく、またはパッケージに貼付もしくはその表面に印刷されていてもよい。
【0076】
本発明は、ホスホジエステラーゼ阻害剤および第2の副作用低減薬を含む更なるキットを提供する。そのキットは、容器を1個以上含んでいてもよく、それぞれがホスホジエステラーゼ阻害剤、第2の副作用低減薬またはこれら2つの組合せを含んでいてもよい。適切な容器は、上記のとおりである。そのキットは、ホスホジエステラーゼ阻害剤および第2の副作用低減薬を投与して、トラマドール材料での治療が必要とされる疾患または状態を治療し、トラマドール材料を摂取する男性の性機能に関係する副作用および性機能に関係しない副作用の発生率を低下させるための使用説明書も含む。容器は、好ましくはパッケージ、例えば箱に含まれる。使用説明書は、容器の一つに貼付もしくはその表面に印刷されていてもよく、パッケージの内側の別の紙シートに印刷されていてもよく、またはパッケージに貼付もしくはその表面に印刷されていてもよい。
【実施例】
【0077】
実施例1〜2
塩酸トラマドールは、FDAで認可された中枢作用のある鎮痛薬で、弱オピオイドおよびセロトニン再取込み阻害活性を有する。過去30年間の塩酸トラマドールを用いたプラセボコントロール臨床試験において、広範囲の副作用が軽度または中等度の有害事象として報告されている。
【0078】
近年になり、塩酸トラマドールが、早発射精の男性において射精を有意に遅延させ得ることが報告された。米国特許第6,974,839号明細書、サファリンジャド(Safarinejad)他著、J. Clin. Psychopharmacol.,26(1):p27〜31(2006年2月)およびサレム(Salem)他著、J. Sex. Med.,5(1):p188〜193(2008年1月)を参照されたい。性交の2〜5時間前に異なる3用量の経口塩酸トラマドールを自己投与する重度早発射精の60名を超える男性志願者を登録したプラセボコントロール用量設定試験を、コロラド州オーロラのDMI バイオサイエンシーズ社(DMI Biosciences, Inc.)を代表して実施した。この臨床試験の非公開の結果から、3用量それぞれで統計学的に有意な射精の遅延が実証された。しかし、この試験で患者が報告した結果反応から、以下の過去に未報告の軽度または中等度の有害事象(3用量での薬物暴露合計に基づく割合):勃起機能不全(8%〜14%)、無オルガスム症(3%〜7%)、および陰茎の感覚減退(4%〜5%)も報告された。より一般性が低く未予測の薬物関連の軽度または中等度の有害事象は、性欲減退(<1%〜2%)およびオルガスム感覚の減退(0〜<1%)であった。性行為に関係するこれらの軽度または中等度の有害事象は、一般的には用量依存性であり、40歳以上の男性でより多く発症した。
【0079】
塩酸トラマドールと他の薬物との併用が、塩酸トラマドールのこれらの新たに報告された軽度または中等度の副作用を低減するか否かを検討するために、男性志願者で、性交前に塩酸トラマドールを単独摂取した後の有害事象を、性交前に塩酸トラマドールと経口ホスホジエステラーゼ−5阻害剤(クエン酸シルデナフィル、バイアグラ(登録商標))との併用、ならびに塩酸トラマドールおよびクエン酸シルデナフィルと低い経口用量の公知オピオイド阻害剤(塩酸ナルトレキソン)の併用を受けた場合の有害事象と比較した。
【0080】
詳細には、3名の健常な異性愛者の男性対象者(平均年齢57歳)が、インフォームドコンセントに署名し、性交の2〜5時間前に経口塩酸トラマドール100mgを自己投与すること、および有害事象を記録することを志願した。他の時間に、これらの志願者は、性交の2〜5時間前に、経口クエン酸シルデナフィル50mgまたは経口クエン酸シルデナフィル50mg+経口塩酸ナルトレキソン2.5〜10mgと併用した塩酸トラマドール25〜100mgを自己投与し、有害作用を記録した。これらの志願者は、過去3ヶ月間はいずれのオピオイド薬にも暴露されておらず、志願者は、オピオイド薬またはアルコールを、この試験で投与される薬物と共に摂取しなかった。
【0081】
トラマドール単独
トラマドール副作用のこの試験では、性交の2〜5時間前に単独投与された経口塩酸トラマドール25mgまたは100mgは、一貫して射精を遅延させ、実質的により軽度または中等度の有害事象が、100mg用量で報告された。対象1名は、単独の塩酸トラマドール100mgの各投与の後に、性機能およびに関係する数多くの有害事象に加え鼻閉および便秘を報告し、この試験の参加を継続するために後には塩酸トラマドールを25mgまで減量した。全体として単独摂取された塩酸トラマドール100mgは、以下の性行為に関係する軽度または中等度有害事象(3用量での薬物暴露合計に基づく割合):オルガスム感覚の減退(57%)、勃起機能不全(43%)、陰茎の感覚減退(43%)、性欲減退(43%)、無オルガスム症(29%)、に関与した。単独摂取された塩酸トラマドール100mgは、この試験において、過去に報告された性行為に関係しない軽度または中等度有害事象、例えば便秘(71%)、不眠(71%)、鼻閉(57%)、口腔乾燥(57%)、かゆみ(57%)、めまい(14%)、不穏(29%)、悪心(14%)、および疲労感(14%)(3種の志願者全体での薬物暴露合計に基づく割合)、にも関与した。この試験では、全ての型の副作用の発生率が他の試験に比較して高くなっているが、その原因として、対象者3名全員の年齢、および25mgを超える塩酸トラマドールで多数の副作用を恒常的に体感しており、トラマドールの副作用に特に感受性を有すると思われる1名の対象者を含めたことが最も大きいと考えられる。これは、一部の対象が高用量のトラマドールで多数の反復される副作用を継続して有することを示す早発射精についてトラマドールの上記臨床試験で回収された非公開の有害事象データを反映している。重篤な有害事象は起こらず、性機能に対する負の影響および他の全ての有害事象は、一時的なものであった。
【0082】
トラマドール+クエン酸シルデナフィル
塩酸トラマドール25mgまたは100mgとクエン酸シルデナフィル50mgとの併用は、塩酸トラマドール単独と比較して、各エピソードの性機能を大幅に改善し、新たに報告された性機能に関連する軽度または中等度の有害事象はいずれも報告されなかった(即ち、勃起機能不全、無オルガスム症、陰茎の感覚減退、性欲減退、またはオルガスム感覚の減退の報告なし)。しかしながら、他の過去に報告された軽度または中等度有害事象、例えばめまい、不眠、不穏、悪心、口腔乾燥、疲労感、便秘および鼻閉は、時々報告された。重篤な有害事象は起こらず、有害事象は全て一時的であった。
【0083】
トラマドール+クエン酸シルデナフィル+ナルトレキソン
クエン酸シルデナフィル50mgと、ナルトレキソン:トラマドール比を2.5mg:100mg、5.0mg:100mgおよび10mg:100mgとする塩酸トラマドールおよび塩酸ナルトレキソンとの3種併用では、性機能を大幅に改善し、性行為に関連する有害事象が報告されなかった(即ち、勃起機能不全、無オルガスム症、陰茎の感覚減退、性欲減退、またはオルガスム感覚の減退の報告なし)。ナルトレキソン:トラマドール比を5.0mg:100mgとする、塩酸トラマドール、クエン酸シルデナフィルおよび塩酸ナルトレキソンの3種併用により報告された軽度または中等度有害事象は、口腔乾燥および疲労感のみであった。加えて、ナルトレキソン:トラマドール比を10mg:100mgとする塩酸トラマドール、クエン酸シルデナフィルおよび塩酸ナルトレキソンの3種併用は、性交を妨げなかった一時的な傾眠が1名で軽度に生じたことを除き、性的な有害事象、またはめまい、不眠、不穏、悪心、口腔乾燥、疲労感、便秘、かゆみおよび鼻閉などの以前に報告された軽度もしくは中等度の有害事象は報告されなかった。重篤な有害事象は起こらなかった。この試験の志願者は、塩酸トラマドール、クエン酸シルデナフィルおよび塩酸ナルトレキソンの3種併用が、塩酸トラマドール100mg単独またはクエン酸シルデナフィル50mgと共に投与された塩酸トラマドール100mgに比較して本質的に軽度または中等度の副作用を示さず、より良好な性体験(例えば、「射精の遅延」、「強い勃起」)をもたらすことを報告した。
【0084】
結論
塩酸トラマドールをホスホジエステラーゼ−5阻害剤、例えばクエン酸シルデナフィルと併用すると、新たに報告された性機能に関係する副作用、例えば勃起機能不全、無オルガスム症、陰茎の感覚減退、性欲減退、またはオルガスム感覚の減退の発生率を著しく低下させた。しかし過去に報告された軽度または中等度の副作用は、志願者により引き続き報告された。ナルトレキソン:トラマドール比10mg:100mgを利用した塩酸トラマドール、クエン酸シルデナフィルおよび塩酸ナルトレキソンの3種併用は、全ての副作用、つまり過去に報告された副作用および性行為を妨げ得る新たに報告された性的副作用の全ての発生率を有意に低下させた。塩酸トラマドール、クエン酸シルデナフィルおよび塩酸ナルトレキソンの3種併用では、100mgもの高用量の塩酸トラマドールが、性交時に副作用により干渉されることなく容易に許容された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラマドール材料を摂取するヒト男性の性機能に関係する副作用の発生率を低下させる方法であって、その男性に、トラマドール材料に加えて有効量のホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記副作用が、勃起機能不全、無オルガスム症、陰茎の感覚減退、性欲減退およびオルガスム感覚の減退またはこれらの2つ以上の組合せからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記副作用が、勃起機能不全である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
トラマドール材料が効果的治療となるヒト男性の疾患または状態を治療する改善された方法であって、その改善が、その男性に、トラマドール材料に加えて有効量のホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤を投与することを含む方法。
【請求項5】
前記疾患または状態が、疼痛である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記疾患または状態が、早発射精である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
トラマドール材料を摂取するヒト男性の性機能に関係する副作用および性機能に関係しない副作用の発生率を低下させる方法であって、その男性に、トラマドール材料に加えて有効量のホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤および有効量の第2の副作用低減薬を投与することを含む方法。
【請求項8】
前記第2の副作用低減薬が、オピオイドアンタゴニストである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の副作用低減薬が、ナルトレキソンである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
トラマドール材料が効果的治療となるヒト男性の疾患または状態を治療する改善された方法であって、その改善が、その男性に、トラマドール材料に加えて有効量のホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤および有効量の第2の副作用低減薬を投与することを含む方法。
【請求項11】
前記疾患または状態が、疼痛である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記疾患または状態が、早発射精である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の副作用低減薬が、オピオイドアンタゴニストである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の副作用低減薬が、ナルトレキソンである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記トラマドール材料が、トラマドールまたはその薬学的に許容される形態であり、前記PDE阻害剤が、PDE5阻害剤である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記トラマドール材料が、(±)シス−トラマドールまたはその薬学的に許容される塩であり、前記PDE5阻害剤が、シルデナフィルもしくはその薬学的に許容される形態、バルデナフィルもしくはその薬学的に許容される形態、タダラフィルもしくはその薬学的に許容される形態、またはこれらのPDE5阻害剤の2つ以上の組合せからなる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記トラマドール材料が、塩酸(±)シス−トラマドールであり、前記PDE5阻害剤が、クエン酸シルデナフィル、塩酸バルデナフィル、タダラフィルまたはこれらのPDE5阻害剤の2つ以上の組合せからなる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記PDE5阻害剤が、クエン酸シルデナフィルである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
薬学的に許容される担体、トラマドール材料およびホスホジステラーゼ(PDE)阻害剤を含む医薬組成物。
【請求項20】
第2の副作用低減薬を更に含む、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記第2の副作用低減薬が、オピオイドアンタゴニストである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記第2の副作用低減薬が、ナルトレキソンである、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
前記トラマドール材料が、トラマドールまたはその薬学的に許容される形態であり、前記PDE阻害剤が、PDE5阻害剤である、請求項19〜22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
前記トラマドール材料が、(±)シス−トラマドールまたはその薬学的に許容される塩であり、前記PDE5阻害剤が、シルデナフィルもしくはその薬学的に許容される形態、バルデナフィルもしくはその薬学的に許容される形態、タダラフィルもしくはその薬学的に許容される形態、またはこれらのPDE5阻害剤の2つ以上の組合せからなる、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記トラマドール材料が、塩酸(±)シス−トラマドールであり、前記PDE5阻害剤が、クエン酸シルデナフィル、塩酸バルデナフィル、タダラフィルまたはこれらのPDE5阻害剤の2つ以上の組合せからなる、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記PDE5阻害剤が、クエン酸シルデナフィルである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
薬学的に許容される担体、ホスホジステラーゼ(PDE)阻害剤および第2の副作用低減薬を含む医薬組成物。
【請求項28】
前記第2の副作用低減薬が、オピオイドアンタゴニストであり、前記PDE阻害剤が、PDE5阻害剤である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記第2の副作用低減薬が、ナルトレキソンであり、前記PDE5阻害剤が、シルデナフィルもしくはその薬学的に許容される形態、バルデナフィルもしくはその薬学的に許容される形態、タダラフィルもしくはその薬学的に許容される形態、またはこれらのPDE5阻害剤の2つ以上の組合せからなる、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記PDE5阻害剤が、クエン酸シルデナフィル、塩酸バルデナフィル、タダラフィルまたはこれらのPDE5阻害剤の2つ以上の組合せからなる、請求項24に記載の組成物。
【請求項31】
前記PDE5阻害剤が、クエン酸シルデナフィルである、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
(a)トラマドール材料およびホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤を保持する容器、または
(b)トラマドール材料を保持する第1の容器およびホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤を保持する第2の容器、
を含むキット。
【請求項33】
容器を1個以上含むキットであって、容器のそれぞれがトラマドール材料、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、第2の副作用低減薬またはこれらの2つ以上の組合せを保持するキット。
【請求項34】
前記第2の副作用低減薬が、オピオイドアンタゴニストである、請求項33に記載のキット。
【請求項35】
前記第2の副作用低減薬が、ナルトレキソンである、請求項33に記載のキット。
【請求項36】
前記トラマドール材料が、トラマドールまたはその薬学的に許容される形態であり、前記PDE阻害剤が、PDE5阻害剤である、請求項32〜35のいずれか1項に記載のキット。
【請求項37】
前記トラマドール材料が、(±)シス−トラマドールまたはその薬学的に許容される塩であり、前記PDE5阻害剤が、シルデナフィルもしくはその薬学的に許容される形態、バルデナフィルもしくはその薬学的に許容される形態、タダラフィルもしくはその薬学的に許容される形態、またはこれらのPDE5阻害剤の2つ以上の組合せからなる、請求項36に記載のキット。
【請求項38】
前記トラマドール材料が、塩酸(±)シス−トラマドールであり、前記PDE5阻害剤が、クエン酸シルデナフィル、塩酸バルデナフィル、タダラフィルまたはこれらのPDE5阻害剤の2つ以上の組合せからなる、請求項37に記載のキット。
【請求項39】
前記PDE5阻害剤が、クエン酸シルデナフィルである、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
ヒト男性に有効量のトラマドール材料を投与することを含むヒト男性の射精を遅延させる改善された方法であって、その改善が、その男性に、トラマドール材料に加えて有効量のホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤を投与すること、有効量の第2の副作用低減薬を投与すること、またはホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤と第2の副作用低減薬の両方の有効量を投与することを含む方法。
【請求項41】
前記男性が、早発射精を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記トラマドール材料が、トラマドールまたはその薬学的に許容される形態である、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記トラマドール材料が、(±)シス−トラマドールまたはその薬学的に許容される形態である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記トラマドール材料が、塩酸(±)シス−トラマドールである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
第2の副作用低減薬が投与され、かつ前記第2の副作用低減薬が、オピオイドアンタゴニストである、請求項40〜44のいずれか1
項に記載の方法。
【請求項46】
前記第2の副作用低減薬が、ナルトレキソンである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
PDE阻害剤が投与され、かつ前記PDE阻害剤が、PDE5阻害剤である、請求項40〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記PDE5阻害剤が、シルデナフィルもしくはその薬学的に許容される形態、バルデナフィルもしくはその薬学的に許容される形態、タダラフィルもしくはその薬学的に許容される形態、またはこれらのPDE5阻害剤の2つ以上の組合せからなる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記PDE5阻害剤が、クエン酸シルデナフィル、塩酸バルデナフィル、タダラフィルまたはこれらのPDE5阻害剤の2つ以上の組合せからなる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記PDE5阻害剤が、クエン酸シルデナフィルである、請求項49に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−518168(P2010−518168A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549685(P2009−549685)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/053722
【国際公開番号】WO2008/100933
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(502113644)ディーエムアイ バイオサイエンシズ インコーポレイテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】DMI BIOSCIENCES,INC.
【Fターム(参考)】