説明

トランジスタアレイとトランジスタアレイの連結方法

【課題】タイリングを行う単位表示パネルの数に制限がなくなり、より大型の表示装置を簡単に製造することが可能なトランジスタアレイを提供する。
【解決手段】本発明は、矩形状の主面を有する基材10と、前記基材10の前記主面に対する積層方向に配設されるデータライン引き回し電極100及びスキャンライン引き回し電極200と、前記データライン引き回し電極100と電気接続されるデータライン導通部と、前記スキャンライン引き回し電極200と電気接続されるスキャンライン導通部と、前記データライン導通部と前記スキャンライン導通部からの信号で駆動されるトランジスタを含む回路により所定電圧が保持される画素電極330を複数含む表示エリア300と、を有するトランジスタアレイ1であって、前記積層方向からみて、少なくとも前記データライン引き回し電極100又は前記スキャンライン引き回し電極200のいずれか一方が、前記表示エリア300と重畳することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の表示装置を製造する際に用いられる単位表示装置の各画素を駆動する
トランジスタアレイとこのようなトランジスタアレイの連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、大型の表示装置を製造する方法のひとつとして、単位表示装置を複数タイリングする方法が提案されている。タイリングによって大型表示装置を製造する技術については、例えば、特許文献1(特開平10−96911号公報)に、内部の遮光部と縁の遮光部を有している第
1及び第2基板を含む液晶表示装置の製造方法において、前記縁の遮光部を第1領域と、第2領域で区分する段階と、前記第1基板上に前記縁の遮光部の第1領域を区分する段階と、前記縁の遮光部の第1領域を除去し、前記縁の遮光部の第2領域を残す段階と、前記第1基板及び第2基板の縁の遮光部の第2領域を相互連結する段階とを有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開平10−96911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、単位表示パネルの各画素を駆動するための信号が入力される電極(引き回し電極)は、表示パネルの矩形状の表示エリアの2辺から引き出された構成となるが、このような構成の単位表示パネルを用いてタイリングにより大型表示装置を製造する場合、引き回し電極部と、表示エリアが重ならないようにレイアウトしようとすると、最大で4つの単位表示パネルを用いた表示装置(特許文献1の図9などに記載の表示装置)しか製造することができず、大型の表示装置を製造する上でのネックとなっていた。すなわち、従来の単位表示パネルにおける引き回し電極部が表示エリアの2辺から引き出された構成は表示装置の大型化を阻害する要因となっており、問題であった。
【0004】
なお、従来の単位表示パネルの中には、引き回し電極部を単位表示パネルの裏側に引き出すようにした構造も知られているが、このような構造のものを製造するためには非常にコストがかかり、大型の表示装置を製造する上での課題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以上のような課題を解決するためのものであり、請求項1に係る発明は、矩形状の主面を有する基材と、前記基材の前記主面に対する積層方向に配設されるデータライン引き回し電極及びスキャンライン引き回し電極と、前記データライン引き回し電極と電気接続されるデータライン導通部と、前記スキャンライン引き回し電極と電気接続されるスキャンライン導通部と、前記データライン導通部と前記スキャンライン導通部からの信号で駆動されるトランジスタを含む回路により所定電圧が保持される画素電極を複数含む表示エリアと、を有するトランジスタアレイであって、前記積層方向からみて、少なくとも前記データライン引き回し電極又は前記スキャンライン引き回し電極のいずれか一方が、前記表示エリアと重畳することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のトランジスタアレイにおいて、前記データライン引き回し電極及び前記スキャンライン引き回し電極が、前記基材の一辺側に延在するように配されることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載のトランジスタアレイにおいて、前記デ
ータライン引き回し電極とデータライン導通部とが電気接続する接続部と、前記スキャンライン引き回し電極とスキャンライン導通部とが電気接続する接続部が、前記基材の周縁に配されることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る発明は、請求項2乃至請求項3のいずれか1項に記載のトランジスタアレイにおいて、前記積層方向からみて、前記データライン引き回し電極とデータライン導通部とが電気接続する接続部と、前記スキャンライン引き回し電極とスキャンライン導通部とが電気接続する接続部が、前記画素電極に覆われていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に係る発明は、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のトランジスタアレイにおいて、前記基材の一辺側に延在された前記データライン引き回し電極及び前記スキャンライン引き回し電極の周囲にはESDリングが配されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に係る発明は、請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載のトランジスタアレイにおいて、前記基板には、前記データライン引き回し電極及び前記スキャンライン引き回し電極に信号を供給するドライバーICが配されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に係る発明は、請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載のトランジスタアレイにおいて、前記データライン引き回し電極及び前記スキャンライン引き回し電極が延在する前記基材の一辺と隣り合う2つの辺の間を導通するタイリング用電極が前記基材上に設けられることを特徴とする。
【0012】
また、請求項8に係る発明は、請求項7に記載のトランジスタアレイを2つ以上連結すると共に、連結した前記トランジスタアレイ同士の前記タイリング用電極を導通させる工程と、前記タイリング用電極の一部を切断する工程と、からなることを特徴とするトランジスタアレイの連結方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のトランジスタアレイによれば、矩形状表示エリアの1辺のみから引き回し電極が引き出された単位表示パネルを製造することができるようになるので、タイリングを行う単位表示パネルの数に制限がなくなり、より大型の表示装置を簡単に製造することが可能となる。
【0014】
また、本発明のトランジスタアレイによれば、単位表示パネルを安価に製造することが可能となるので、これをタイリングして製造する大型の表示装置を安価に製造することができるようになる。
【0015】
また、本発明のトランジスタアレイの連結方法によれば、単位表示パネルを簡便に連結することが可能となるので、より大型の表示装置をコストアップすることなく製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るトランジスタアレイ1を構成するために用いられる基材10の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るトランジスタアレイ1の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るトランジスタアレイ1の1つの画素310の構造を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態に係るトランジスタアレイ1の等価回路を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るトランジスタアレイ1により構成される単位表示パネル500の分解斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係るトランジスタアレイ1により構成される単位表示パネル500の斜視図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るトランジスタアレイ1の積層構造概略の分解斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係るトランジスタアレイ1を構成するために用いられる基材10の斜視図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るトランジスタアレイ1の連結方法を説明する図である。
【図10】タイリングディスプレイを製造する際の表示パネル500のレイアウト例を示す模式図である。
【図11】タイリングディスプレイを製造する際の表示パネル500のレイアウト例を示す模式図である。
【図12】表示パネル500の構成例を模式的に示す図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係るトランジスタアレイ1の斜視図である。
【図14】ESDリング600のダイオードD1、D2をトランジスタTr1、Tr2によって構成し得ることを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係るトランジスタアレイ1を構成するために用いられる基材10の斜視図であり、図2は本発明の実施形態に係るトランジスタアレイ1の斜視図である。図2は図1に示す基材10に、所定の材料を積層することでトランジスタアレイ1を作り込んだものである。トランジスタアレイ1は、8×8のマトリクス状に配置された画素310を有する表示エリア300の表示制御を行うためのものである。表示エリア300を構成する画素310の数については8×8に限定されるものではなく、任意とすることができる。また、表示エリア300を構成する画素310の数については図示化の都合上、現実のものより少なくなっている。
【0018】
また、図5は本発明の実施形態に係るトランジスタアレイ1により構成される単位表示パネル500の分解斜視図であり、基材10上に作り込まれたトランジスタアレイ1に表示層400と透明電極層450とを順次積層する様子が示されているものである。また、図6は本発明の実施形態に係るトランジスタアレイ1により構成される単位表示パネル500の斜視図である。
【0019】
本実施形態においては、大型の表示装置をタイリングによって構成するための単位となる表示パネルの駆動を行うトランジスタアレイ1を例にとり説明する。前記のような単位表示パネルとしては、例えば、電子ペーパーを想定しており、基材10としては可撓性を有するものが用いられる場合に基づいて説明するが、本発明のトランジスタアレイ1が適用可能な表示パネルは電子ペーパーに限らず、その他の表示素子にも適用可能である。
【0020】
基材10に用いる材料としては、例えば、ポリイミドを主成分とする、可撓性、絶縁性、耐熱性に優れたものなどを用いることができる。また、これに限らず基材10としては、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フィノール樹脂等を用いることができる。本発明においてはこれらのいずれの絶縁性材料であっても好適に用いることができる。なお、基材10に用いられる絶縁性材料は1種類のみであってもよく、あるいは2種類以上であってもよい。
【0021】
図1に示すように、基板10の主面は矩形状になるように成形されており、アクティブ
マトリックス方式のトランジスタアレイ1のデータラインに信号を供給するデータライン引き回し電極100、及び、トランジスタアレイ1のスキャンラインに信号を供給するスキャンライン引き回し電極200が当該主面上に設けられている。また、データライン引き回し電極100及びスキャンライン引き回し電極200に供給する信号を生成するドライバーIC50に対する駆動信号を供給するために用いられるドライバーIC導通電極30も前記主面上に形成されるようになっている。
【0022】
本実施形態においては、データライン用のドライバーIC50、スキャンライン用のドライバーIC50はいずれも基板10の矩形ABCDにおける辺DA側に配されるようになっている。また、これらドライバーIC50と接続されるデータライン引き回し電極100及びスキャンライン引き回し電極200についても辺DA側に集約されるようになっている。
【0023】
辺DA側で集約されているデータライン引き回し電極100は、辺ABの際まで引き回されて、辺ABから主面の垂直方向(積層方向)に形成される回路にスルーホールを介して電気接続するように構成される。
【0024】
また、辺DA側で集約されているスキャンライン引き回し電極200は、辺BCの際まで引き回されて、辺BCから主面の垂直方向(積層方向)に形成される回路にスルーホールを介して電気接続するように構成される。
【0025】
なお、図1に示す実施形態では、データライン引き回し電極100は基材10の辺ABの周縁まで引き回され、スキャンライン引き回し電極200は基材10の辺BCの周縁まで引き回される構造となっているが、製造の初期の段階から、これら各電極を基材10の周縁(すなわち、基材10の際のぎりぎりのところ)に形成する必要はない。例えば、マージンをもった基材を用意しておき、本実施形態と同様にトランジスタアレイ1を構成し、製造の最終段階で、前記マージンをレーザーやカッティングマシーンで切断して除去することもできる。
【0026】
本実施形態においては、データライン引き回し電極100、スキャンライン引き回し電極200やドライバーIC導通電極30などの電極、或いはスルーホールなどにおける電気接続部に用いる導電性材料としては、所望の導電性を有する連結用電極を形成できるものであれば特に限定されるものではない。このような導電性材料としては、例えば、金、銅、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、スズ等の金属材料とポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン等の導電性高分子材料とITO、IZO等の酸化物を挙げることができる。
【0027】
図2に示すように、データライン引き回し電極100は辺ABにおいて、辺ABに並んでいる8つの画素310を構成する回路と電気接続され、同様に、スキャンライン引き回し電極200は辺BCにおいて、辺BCに並んでいる8つの画素310を構成する回路と電気接続されるようになっている。
【0028】
図2のPで示される画素310については、データライン引き回し電極100及びスキャンライン引き回し電極200の双方と直接的に電気接続される構造となっている。そこで、次に、Pで示される画素310を例にとり積層方向において、データライン引き回し電極100及びスキャンライン引き回し電極200が画素310を構成する回路とどのように接続されているかについて説明する。
【0029】
なお、本実施形態においては、データライン引き回し電極100は、辺ABに並んでいる8つの画素310を構成する回路と電気接続され、さらにスキャンライン引き回し電極
200は辺BCに並んでいる8つの画素310と直接的に電気接続される構成であり、データライン引き回し電極100とデータライン導通部110とが電気接続する接続部と、前記スキャンライン引き回し電極200とスキャンライン導通部210とが電気接続する接続部が、基材10の周縁に配されるレイアウトとなっているが、このようなレイアウトは必須の構成ではない。
【0030】
例えば、図2において、Pで示される画素310と直接的に導通するデータライン引き回し電極100は、辺BC側に並んでいる8つの画素310のいずれと導通させるように構成することも可能である。このため、上記のように、前記各接続部が基材10の周縁に配されるレイアウトは必須の構成要件ではない。
【0031】
図3は本発明の実施形態に係るトランジスタアレイ1の1つの画素310の構造を説明する図である。図3(A)Pで示される画素310を構成する導体部及び半導体部を積層方向からみた図であり、図3(B)は図3(A)の線X−X’における断面を示しており、図3(C)は図3(A)の線Y−Y’における断面を示しており、図3(D)は図3(A)の線Z−Z’における断面を示している。
【0032】
また、図4は本発明の実施形態に係るトランジスタアレイ1の等価回路を示す図である。図3に示すように、トランジスタアレイ1のひとつの画素310を構成する回路は、データラインとスキャンラインの格子点に対応するように設けられており、ひとつの画素310の回路は電界効果トランジスタTrと、並列接続された2つのコンデンサCs、Cpとの直列接続とから構成される。当該回路において、トランジスタTrのソース電極はデータラインに、またゲート電極はスキャンラインに接続されるようになっている。また、トランジスタTrのドレイン電極は、コンデンサCsを構成する上部電極331側、及びコンデンサCpを構成する画素電極330側に接続されるようになっている。ここで、コンデンサCsは、画素310に供給された信号を比較的に長い時間にわたって蓄積させるためのものであり、また、コンデンサCpは表示層400を介して画素電極330と対向する透明電極層450との間に生じる容量である。図4におけるVcomは、透明電極層450の電位を示しており、全ての画素310に共通するものである。Vcomは、前記の回路において、コンデンサCsの下部電極332、及びコンデンサCpの透明電極層450側と電気的に接続される。
【0033】
図3(B)に示すように、基材10上に配されているデータライン引き回し電極100は、データライン導通部110と電気接続部Thを介して接続されている。データライン導通部110は、図4の等価回路におけるデータラインに相当する導通部である。図3(A)に示すように、各画素310において、このデータライン導通部110からはソース電極322が引き出されるようになっている。データライン導通部110は図3(A)でみて垂直方向に配される隣接する画素310の回路に導通する。
【0034】
また、図3(C)に示すように、基材10上に配されているスキャンライン引き回し電極200は、スキャンライン導通部210と電気接続部Thを介して接続されている。スキャンライン導通部210は、図4の等価回路におけるスキャンラインに相当する導通部である。図3(A)に示すように、各画素310において、このスキャンライン導通部210からはゲート電極323が引き出されるようになっている。スキャンライン導通部210は図3(A)でみて水平方向に配される隣接する画素310の回路に導通する。
【0035】
図3(D)に示すように、データライン導通部110から引き出されたソース電極322と、スキャンライン導通部210から引き出されたゲート電極323と、前記ソース電極322と同レベルの層に設けられるドレイン電極321と、半導体層324とゲート絶縁層342とによってトランジスタTrが構成されるようになっている。
【0036】
また、上記のようなトランジスタTrを構成するソース電極322の一端には、コンデンサCsの上部電極331が接続されている。図3(D)に示すように、この上部電極331はさらに電気接続部Thを介して画素電極330と接続される。この画素電極330は積層方向からみて、画素310全体を覆うように設けられている。
【0037】
本実施形態においては、画素電極330が積層方向からみて、図3(B)に示すデータライン引き回し電極100とデータライン導通部110の電気接続部Th、及び、図3(C)に示すスキャンライン引き回し電極200とスキャンライン導通部210の電気接続部Thと重畳していることがひとつの特徴となっている。上記の2つの電気接続部には、単位表示パネル500における表示のための信号がのっており、この信号による電圧変動のために周辺構成に干渉を起こしやすいが、2つの電気接続部が前記画素電極330に覆われるようになっているために、画素電極330がシールド的に機能することで前記のような干渉を抑制する効果を期待できる。
【0038】
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、積層方向からみて第1構成が第2構成に覆われているとは、積層方向に向けて投影を行ったとき、第1構成による投影が、第2構成による投影に含まれることを示している。
【0039】
ゲート電極323が形成されている層と同レベルの層においては、前記上部電極331と対向するように下部電極332が設けられ、これら対向する電極によってコンデンサCsが形成されるようになっている。また、下部電極332には、水平方向に隣り合う画素310を構成する下部電極332と電気的に連結するように連結電極335が設けられている。この連結電極335を介して水平方向に隣り合う一連の下部電極332は接続され、さらにトランスファーゲート(不図示)を介して、表示パネル500の最上面部を構成する透明電極層450と電気的に接続されるようになっている。また、画素電極330と、これに対向している透明電極層450とによって、コンデンサCpが形成される。
【0040】
上記のようなトランジスタアレイ1においては、層間絶縁層341、ゲート絶縁層342、封止層343が各層レベルにおける絶縁層として設けられている。ここで、半導体層324に用いられる半導体材料、及び層間絶縁層341、ゲート絶縁層342、封止層343などに用いられる絶縁材料について説明する。
【0041】
本発明に用いられる半導体層324としては、トランジスタアレイ1の用途等に応じて、所望のトランジスタ特性を示すものであれば特に限定されるものではない。このような半導体層324としては、たとえば、有機半導体材料が用いられた有機トランジスタ、シリコン材料が用いられたアモルファスシリコントランジスタ、ポリシリコントランジスタ、酸化物半導体材料が用いられたInGaZnOトランジスタ、ZnOトランジスタ等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの半導体層324であっても好適に用いることができるが、中でも本発明においては有機トランジスタが用いられることが好ましい。上記半導体層324として有機トランジスタが用いられることにより、本発明のトランジスタアレイ1を、より簡易的に製造することができるからである。
【0042】
本発明に用いられる有機トランジスタとしては、有機半導体材料からなる有機半導体層が用いられ、トランジスタとして機能するものであれば特に限定されるものではない。このような有機トランジスタに用いる有機半導体材料としては、例えば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等を挙げることができる。より具体的には、ペンタセン等の低分子系有機半導体材料、および、ポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)等のポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオ
フェン)、ポリベンゾチオフェン等のポリチオフェン類、ポリイソチアナフテン等のポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレン等のポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)等のポリアニリン類、ポリアセチレン等のポリアセチレン類、ポリジアセチレン、ポリアズレン等のポリアズレン類等の高分子系有機半導体材料を挙げることができる。なかでも本発明においては、ペンタセンまたはポリチオフェン類を好適に用いることができる。
【0043】
また、層間絶縁層341、ゲート絶縁層342、封止層343などに用いられる絶縁材料としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の絶縁性無機材料、および、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等の絶縁性有機材料等の絶縁性有機材料を用いることができる。
【0044】
以上のように構成されるトランジスタアレイ1の上面部に、図5に示すように、表示層400と透明電極層450とが順次積層される。ここで、表示層400としては、電子ペーパーの表示方式に応じて適宜選択することができる。電子ペーパーの表示方式としては、公知のものを適用することができ、例えば、電気泳動方式、ツイストボール方式、粉体移動方式(電子粉流体方式、帯電トナー型方式)、液晶表示方式、サーマル方式(発色方式、光散乱方式)、エレクトロデポジション方式、可動フィルム方式、エレクトロクロミック方式、エレクトロウェッティング方式、磁気泳動方式などが挙げられる。
【0045】
また、透明電極層450の材料としては、透明電極を形成可能な導電性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)等の導電性酸化物を用いることができる。
【0046】
トランジスタアレイ1に表示層400と透明電極層450とが積層されると、各トランスファーゲート(不図示)と透明電極層450との間が不図示の導通部によって電気接続されると共に、2つのドライバーIC50が載置される。このうち、データライン用のドライバーIC50がデータライン引き回し電極100とドライバーIC導通電極30と電気接続され、また、スキャンライン用のドライバーIC50がスキャンライン引き回し電極200とドライバーIC導通電極30と電気接続されて、表示パネル500が完成する。このような表示パネル500は、表示エリア300の1辺のみから引き回し電極が引き出された構成となっており、複数タイリングすることによって大型の表示装置を製造する上での単位表示パネル500として利用される。
【0047】
ここで、あらためて、本実施形態に係るトランジスタアレイ1に特有な構成について整理する。本発明のトランジスタアレイ1によって表示パネル500を構成したとき、表示エリア300の1辺のみから引き回し電極が引き出された構成となるのは、データライン引き回し電極100やスキャンライン引き回し電極200が、積層方向からみて表示エリア300と重畳していることに起因している。
【0048】
ここで、図1乃至図6で説明した実施形態においては、データライン引き回し電極100やスキャンライン引き回し電極200の双方が、積層方向からみて表示エリア300と重畳した構成により、引き回し電極を1辺のみから引き出すようにしているが、本発明はこのような場合に限らず、データライン引き回し電極100又はスキャンライン引き回し電極200のいずれか一方が、表示エリア300と重畳することでも実現可能である。このような場合を図7を参照して説明する。図7は本発明の他の実施形態に係るトランジス
タアレイ1の積層構造概略の分解斜視図である。
【0049】
図7において、一点鎖線に対応する領域は基材10にトランジスタアレイ1が作り込まれた後に、表示エリア300となる領域を示している。この表示エリア300が形成する矩形ABCDを基準に考えると、他の実施形態に係るトランジスタアレイ1に用いられる基材10上では、スキャンライン引き回し電極200が辺AB側に集約されるようになっている。
【0050】
層間絶縁層341上における点線で囲まれた範囲は、ゲート電極323などスキャンラインと導通する構成Sが配されており、各構成Sは、スキャンライン引き回し電極200は辺AB側においてスルーホール導通部(不図示)を介して導通される。
【0051】
また、ゲート絶縁層342上における点線で囲まれた範囲は、ソース電極322などデータラインと導通する構成Dが配されており、各構成Dはデータライン引き回し電極100と導通するようになっている。
【0052】
概略、以上のような積層構造を有するトランジスタアレイ1についても作製することが可能であるが、このようなトランジスタアレイ1の場合、表示エリア300と積層方向からみて重畳するのは、スキャンライン引き回し電極200のみである。このように本発明に係るトランジスタアレイ1は、データライン引き回し電極100又はスキャンライン引き回し電極200のいずれか一方が、表示エリア300と重畳するように構成することで実現することができる。
【0053】
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、積層方向からみて第1構成と第2構成とが重畳しているとは、積層方向に向けて投影を行ったとき、第1構成による投影と、第2構成による投影とが重なっていることを示いている。
【0054】
以上のような本発明のトランジスタアレイ1によれば、矩形状表示エリア300の1辺のみからデータライン引き回し電極100及びスキャンライン引き回し電極200が引き出された単位表示パネル500を製造することができるようになるので、タイリングを行う単位表示パネル500の数に制限がなくなり、より大型の表示装置を簡単に製造することが可能となる。
【0055】
また、本発明のトランジスタアレイ1においては、データライン引き回し電極100又はスキャンライン引き回し電極200のいずれか一方を、表示エリア300と重畳するように構成するのみの簡単な構造であるので、単位表示パネル500を安価に製造することが可能となり、これをタイリングして製造する大型の表示装置を安価に製造することができるようになる。
【0056】
再び、図1乃至図6に示す実施形態に戻って説明する。本実施形態においては、データライン引き回し電極100及びスキャンライン引き回し電極200が、基材10の一辺側(図1の辺DA側)に延在するように配されることとなり、これにより、タイリングを行う単位表示パネル500の数に制限がなくなり、より大型の表示装置を簡単に製造することが可能となるという効果を享受することができる。
【0057】
また、本実施形態においては、データライン引き回し電極100とデータライン導通部110とが電気接続する接続部と、スキャンライン引き回し電極200スキャンライン導通部210とが電気接続する接続部が、基材10の周縁(図1の辺AB及び辺BC近傍)に配されることを特徴としており、このような特徴点によっても、前記と同様の効果を享受しているということができる。
【0058】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図8は本発明の他の実施形態に係るトランジスタアレイ1を構成するために用いられる基材10の斜視図であり、先の実施形態で言えば、図1に相当するものである。本実施形態においては、データライン引き回し電極100及びスキャンライン引き回し電極200が延在する基材10の一辺(DA)と隣り合う2つの辺(辺AB及び辺CD)の間を導通するタイリング用電極70が前記基材10上に設けられる点において、先の実施形態と異なる。
【0059】
タイリング用電極70は、辺ABから辺CDまでを導通する複数の線条電極である。タイリング用電極70として設ける線条電極の数は、特に限定されるものではない。また、このようなタイリング用電極70を構成する線条電極の全ては、ドライバーIC導通電極30と導通するようになっている。以上のように構成される基材10に基づいてトランジスタアレイ1や表示パネル500を作製する方法については、先の実施形態と同様であるので、説明を割愛する。
【0060】
次に、本実施形態に係るトランジスタアレイ1(或いは表示パネル500)を連結することによって大型の表示装置を作製する方法につき説明する。図9は本発明の他の実施形態に係るトランジスタアレイ1の連結方法を説明する図である。図9においては、図8に示す基材10に基づいて作製された表示パネル500、表示パネル500’の2つを連結する場合を例にとり説明する。
【0061】
2つの表示パネル、或いはトランジスタアレイ同士を連結する上では、図9に示すように、2つの基材上に設けられたタイリング用電極70の線条電極同士が一致するように、表示パネル500、表示パネル500’を配置する。次に、タイリング用電極70における線条電極と、同じ配列の線条電極が設けられている連結用フレキシブルプリント基板550(図中の点線部が導通部)によって、表示パネル500上のタイリング用電極70の線条電極と、表示パネル500’ 上のタイリング用電極70の線条電極とを導通させる
。次に、タイリング用電極70、ドライバーIC導通電極30上の図9×(バツ印)によって示される箇所をレーザーなどによって切断する。これによって、タイリング用電極70の線条電極が適当なドライバーIC50と導通するので、タイリング用電極70をドライバーIC50駆動用の導電部として利用することが可能となる。
【0062】
以上のような本発明によるトランジスタアレイ1の連結方法によれば、タイリング用電極70が設けられた共通規格のトランジスタアレイ1を1種類設けておき、これらを連結して、不要なタイリング用電極70を切断するだけで、大型の表示装置を構成することができるので、タイリングディスプレイ(表示装置)の製造コストを削減することができる。
【0063】
また、本発明のトランジスタアレイ1の連結方法によれば、単位表示パネル500を簡便に連結することが可能となるので、より大型の表示装置をコストアップすることなく製造することが可能となる。
【0064】
ここで、本発明に基づいて作製された単位表示パネル500を用いて、大型の表示装置(タイリングディスプレイ)を構成する際のレイアウト例について説明する。表示パネル500はその積層方向からみると、表示エリア300を含む表示部510と、ドライバーICや引き回し電極100などが配された配線部520とから概略構成されてなるものである。このような単位表示パネル500を用いて、タイリングディスプレイを作製する際には図10に示すようなレイアウトをとることで、単位表示パネル500同士の重なり部を一切設けることなく、ディスプレイを構成することが可能となる。図10に示すレイアウト例によれば、表示パネル500同士を重ね合わせることなく、無制限に設けることが
可能となる。
【0065】
図10の例では、タイリングディスプレイを製造するにあたり、単位表示パネル500同士の重なり部がないようにレイアウトしたが、これに限らず、単位表示パネル500同士が重なりあるようにレイアウトすることも可能である。図11(A)は重なり部が有するレイアウトを積層方向からみた模式図であり、図11(B)はこれを断面方向からみた模式図である。本実施形態においては、単位表示パネル500を薄く製造することが可能であるので、図11に示すような重なり部を有するようにレイアウトしたとしても、つなぎ目が目立たないタイリングディスプレイを作製することができる。
【0066】
図10及び図11では、複数の単位表示パネル500をレイアウトすることによって、ディスプレイを作製する方法について説明したが、単位表示パネル500は一枚だけでディスプレイを構成することもできる。単位表示パネル500だけでディスプレイを構成した場合、ドライバーICなどが設けられる配線部520以外の、可撓性を有する表示部510は、例えば、丸めることができるようなディスプレイとすることができる。
【0067】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図12は表示パネル500の構成例を模式的に示す図であり、表示パネル500の断面構造を示す図である。これまで説明した実施形態においては、図12(A)に示すように、1つのトランジスタアレイ1上に1つの表示層400を、さらにその上に1つの透明電極450を積層させて表示パネル500を構成するようにしていた。これに対して、他の実施形態としては、図12(B)に示すような表示パネル500も構成することが可能である。すなわち、表示パネル500を構成する上では、タイリングした2つのトランジスタアレイ1、1’上に1つの表示層400を、さらにその上に1つの透明電極450を積層させて構成するようにしてもよい。さらに図12(B)の例に限らず、任意の数タイリングしたトランジスタアレイに対して、任意の数の表示層、透明電極を組み合わせて積層するようにして、表示パネル500を構成することもできる。
【0068】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図13は本発明の他の実施形態に係るトランジスタアレイ1の斜視図である。本実施形態が、これまでに説明した実施形態と異なる点は、基材10の一辺側に延在されたデータライン引き回し電極100及びスキャンライン引き回し電極200の周囲にはESDリング600が配されることを特徴としている。
【0069】
図13の吹き出し内に示されるように、ESDリング600は、データライン引き回し電極100及びスキャンライン引き回し電極200及びトランスファーゲートの周囲を電気的に囲むと共に、データライン引き回し電極100(又はスキャンライン引き回し電極200、又はトランスファーゲート)との間に、ダイオードD1、D2とが接続された構成となっている。
【0070】
ダイオードD1、D2は、図14に示すように、先の実施形態で説明したトランジスタと同様のトランジスタTr1、Tr2のゲート電極をソース・ドレイン電極のどちらか一方を短絡させて構成することができる。このための積層構造は、図3で説明したものを応用することで実現することができる。
【0071】
ESDはElectro Static Dischargeの略であり、上記のようなESDリング600が、データライン引き回し電極100及びスキャンライン引き回し電極200及びトランスファーゲートの周囲に設けられることにより、データライン引き回し電極100、スキャンライン引き回し電極200、トランスファーゲートや基材10に発生した静電気を、ダイオードD1、D2を介してESDリング600側に逃がすこと
ができるようになる。以上のようなESDリング600が設けられた実施形態によれば、ESDリング600についても、データライン引き回し電極100及びスキャンライン引き回し電極200と同様、基材10の一辺側に配されることとなり、残りの3辺を利用したシームレスのタイリングを行い、大型の表示装置を構成することが可能となる。
【0072】
以上、本発明のトランジスタアレイによれば、矩形状表示エリアの1辺のみから引き回し電極が引き出された単位表示パネルを製造することができるようになるので、タイリングを行う単位表示パネルの数に制限がなくなり、より大型の表示装置を簡単に製造することが可能となる。
【0073】
また、本発明のトランジスタアレイによれば、単位表示パネルを安価に製造することが可能となるので、これをタイリングして製造する大型の表示装置を安価に製造することができるようになる。
【0074】
また、本発明のトランジスタアレイの連結方法によれば、単位表示パネルを簡便に連結することが可能となるので、より大型の表示装置をコストアップすることなく製造することが可能となる。
(実施例)
基材10として、PENフィルム基材を用い、この上にAl(膜厚150nm)続いてCr(膜厚20nm)をスパッタ蒸着して基材全面に積層させた。次いでフォトリソグラフィー工程およびエッチング工程にてAl/Cr積層薄膜をパターニングしてデータライン引き回し電極100及びスキャンライン引回し電極200を形成した。
【0075】
次に、引回し電極上に紫外線感光性アクリル系樹脂をスピンコートし、フォトマスクを介した露光及びアルカリ現像工程を行い、スルーホールのパターニングを行った。次いで150℃のオーブンにて加熱硬化させ、層間絶縁層341(膜厚3μm)を形成した。
【0076】
続いて、層間絶縁層341上にAl(膜厚150nm)をスパッタ蒸着し、次いでフォトリソグラフィー工程およびエッチング工程にてAl薄膜をパターニングしてスキャンライン導通部210、ゲート電極323、Cs下部電極332を形成した。この工程にて、スキャンライン引回し電極200とスキャンライン導通部210を導通させた。
【0077】
次に、ゲート電極323を形成した表面に紫外線感光性アクリル系樹脂をスピンコートし、フォトマスクを介した露光及びアルカリ現像工程を行い、データライン導通部110のスルーホールのパターニングを行った。次いで150℃のオーブンにて加熱硬化させ、ゲート絶縁層342(膜厚1μm)を形成した。
【0078】
次に、ゲート絶縁層342上にポジ型フォトレジストをスピンコートにて塗布し、フォ
トマスクを用いた露光および現像工程を経てデータライン導通部110、ソース電極322およびドレイン電極321、Cs上部電極331形成領域のフォトレジストを除去した。次いで、Au(膜厚50nm)をスパッタ蒸着してフォトレジスト上全面にAu薄膜を形成した。次いで、アセトンに浸漬させた状態で超音波浴槽にてフォトレジスト及びフォトレジスト上のAu薄膜を除去し、データライン導通部110、ソース電極322およびドレイン電極321、Cs上部電極331を形成した。この工程にて、データライン引回し電極100とデータライン導通部110を導通させた。
【0079】
次に、チオフェン系ポリマーをモノクロロベンゼン溶液に固形分濃度1wt%にて溶解させた有機半導体溶液を準備し、ソース・ドレイン電極を形成した表面にスピンコートにて膜厚50nmの有機半導体層を全面に形成した。次いで、紫外線感光性アクリル系樹脂を有機半導体層上にスピンコートし、フォトマスクを介した露光及びアルカリ現像工程を
行い、トランジスタチャネル領域上にアクリル系樹脂をパターニングした。次いで150℃のオーブンにて加熱硬化させ、トランジスタチャネル領域上にアクリル系樹脂を形成した。
【0080】
次に、大気下で真空紫外線(波長172nm、照度3mW/cm2)を60秒間照射し、アクリル系樹脂で覆われている以外の領域の有機半導体をアッシング除去し、半導体のパターニングを行った。これにより、半導体層324を得た。
【0081】
次に、紫外線感光性アクリル系樹脂をスピンコートし、フォトマスクを介した露光及びアルカリ現像工程を行い、画素電極330導通部(電気接続部Th)のスルーホールのパターニングを行った。次いで150℃のオーブンにて加熱硬化させ、封止層(膜厚10μm)を形成した。
【0082】
次に、カーボンペーストをスクリーン印刷にてデータライン導通部110及びスキャンライン導通部210を覆うようにパターン印刷し、画素電極(膜厚5μm)を形成した。この工程にて、画素電極330とCs上部電極331を導通させた。
【0083】
次に、データライン引き回し電極100及びスキャンライン引き回し電極200が、表示エリア以外に延在している1辺を除く3辺をカッティングマシーンにて裁断し、3辺が峡額縁のトランジスタアレイ1を形成した。裁断の結果、3辺の額縁は約100μm幅であった。
【0084】
続いて、200mm×200mmの大きさのツイストボール方式の電子ペーパーシートに、上記工程にて作製した表示エリア100mm×100mmのトランジスタアレイ1を粘着材にて4枚張り合わせた。このとき別体であるトランジスタアレイ1の基材間を約50μmにて貼り合わせて固定し、表示パネル500(タイリングディスプレイ)を作製した。
【0085】
作製した表示パネル500データライン引き回し電極100及びスキャンライン引き回し電極200から所定の信号を送り、電子ペーパーシートに絵柄を表示させた。結果、別体であるトランジスタアレイ1隙間における電子ペーパーシートの応答不可領域は約200μm幅であり、トランジスタアレイ1間の繋ぎ目を軽減したタイリングディスプレイを作製することができた。また、上記したトランジスタ作製工程と同工程にて、データライン引き回し電極100及びスキャンライン引き回し電極200が表示エリア以外に延在している1辺にダイオードを配置してESDリングを形成することで、3辺の峡額縁化に寄与することができた。
【符号の説明】
【0086】
1・・・トランジスタアレイ
10・・・基材
30・・・ドライバーIC導通電極
50・・・ドライバーIC
70・・・タイリング用電極
100・・・データライン引き回し電極
110・・・データライン導通部
200・・・スキャンライン引き回し電極
210・・・スキャンライン導通部
300・・・表示エリア
310・・・画素
321・・・ドレイン電極
322・・・ソース電極
323・・・ゲート電極
324・・・半導体層
330・・・画素電極
331・・・上部電極
332・・・下部電極
341・・・層間絶縁層
342・・・ゲート絶縁層
343・・・封止層
400・・・表示層
450・・・透明電極層
500・・・表示パネル
510・・・表示部
520・・・配線部
550・・・連結用フレキシブルプリント基板
600・・・ESDリング
Th・・・電気接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の主面を有する基材と、
前記基材の前記主面に対する積層方向に配設されるデータライン引き回し電極及びスキャンライン引き回し電極と、
前記データライン引き回し電極と電気接続されるデータライン導通部と、
前記スキャンライン引き回し電極と電気接続されるスキャンライン導通部と、
前記データライン導通部と前記スキャンライン導通部からの信号で駆動されるトランジスタを含む回路により所定電圧が保持される画素電極を複数含む表示エリアと、を有するトランジスタアレイであって、
前記積層方向からみて、少なくとも前記データライン引き回し電極又は前記スキャンライン引き回し電極のいずれか一方が、前記表示エリアと重畳することを特徴とするトランジスタアレイ。
【請求項2】
前記データライン引き回し電極及び前記スキャンライン引き回し電極が、前記基材の一辺側に延在するように配されることを特徴とする請求項1に記載のトランジスタアレイ。
【請求項3】
前記データライン引き回し電極とデータライン導通部とが電気接続する接続部と、前記スキャンライン引き回し電極とスキャンライン導通部とが電気接続する接続部が、前記基材の周縁に配されることを特徴とする請求項2に記載のトランジスタアレイ。
【請求項4】
前記積層方向からみて、前記データライン引き回し電極とデータライン導通部とが電気接続する接続部と、前記スキャンライン引き回し電極とスキャンライン導通部とが電気接続する接続部が、前記画素電極に覆われていることを特徴とする請求項2乃至請求項3のいずれか1項に記載のトランジスタアレイ。
【請求項5】
前記基材の一辺側に延在された前記データライン引き回し電極及び前記スキャンライン引き回し電極の周囲にはESDリングが配されることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のトランジスタアレイ。
【請求項6】
前記基板には、前記データライン引き回し電極及び前記スキャンライン引き回し電極に信号を供給するドライバーICが配されることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載のトランジスタアレイ。
【請求項7】
前記データライン引き回し電極及び前記スキャンライン引き回し電極が延在する前記基材の一辺と隣り合う2つの辺の間を導通するタイリング用電極が前記基材上に設けられることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載のトランジスタアレイ。
【請求項8】
請求項7に記載のトランジスタアレイを2つ以上連結すると共に、連結した前記トランジスタアレイ同士の前記タイリング用電極を導通させる工程と、
前記タイリング用電極の一部を切断する工程と、からなることを特徴とするトランジスタアレイの連結方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−132960(P2012−132960A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282580(P2010−282580)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】