説明

トランスアクスルの試験装置

【課題】入力軸と出力軸との間隔が異なる各種のトランスアクスルに対応するとともに、寿命を長くする。
【解決手段】取付架台2に取り付けられたトランスアクスル1の入力軸に入力軸用トルクメータ3を介して駆動モータ4を連結するとともに、トランスアクスル1の一対の出力軸に角度のない(入力軸及び出力軸と平行)アクスル軸5,6及び出力軸用トルクメータ7,8を介してダイナモメータ9,10を連結し、一方の出力軸用トルクメータ7及び一方のダイナモメータ9を入力軸と直角方向に移動可能な第1の移動台14上に取り付け、他方の出力軸用トルクメータ8を入力軸と直角方向に移動可能な第2の移動台17上に取り付け、他方の出力軸用トルクメータと他方の位置固定のダイナモメータ10とを等速ボールジョイント13を介して連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トランスアクスルの試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トランスアクスルは、FF車用またはFF4WD車用の変速機であり、図2に特許文献1に記載された従来のトランスアクスルの試験装置の平面図を示し、取付架台2に取り付けられたトランスアクスル1の入力軸には入力軸用トルクメータ3を介して駆動モータ4を連結する。トルクメータ3は取付架台2と一体構造となっている。駆動モータ4には外径が小さい永久磁石形駆動モータを用いる。又、トランスアクスル1の一対の出力軸にはアクスル軸5,6及び出力軸用トルクメータ7,8を介してダイナモメータ9,10を連結する。11はトルクメータ7及びダイナモメータ9を載置したベッド、12はトルクメータ8及びダイナモメータ10を載置したベッドである。駆動モータ4はトランスアクスル1を取り付けた取付架台2とダイナモメータ10との間に配設され、アクスル軸6の長さも駆動モータ4のこのような配設を可能とする長さとする。即ち、アクスル軸6の長さをある程度長くして駆動モータ4とダイナモメータ10の位置が重ならないようにする。又、駆動モータ4はトランスアクスル1の入力軸の軸線上に配置され、ダイナモメータ9,10はトッランスアクスル1の出力軸の軸線上に配置される。
【0003】
上記構成において、駆動モータ4を回転させると、トルクメータ3を介してトランスアクスル1が駆動され、この駆動はアクスル軸5,6及びトルクメータ7,8を介してダイナモメータ9,10に伝えられ、動力が吸収される。
【特許文献1】特開2002−5791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来のトランスアクスルの試験装置においては、トランスアクスル1の入力軸及び出力軸は共に機種により固定であるので、入力軸と出力軸との間隔Aが異なる各種のトランスアクスル1に対応するためには、アクスル軸5,6に角度を付けて出力軸用トルクメータ7,8側と連結するようにしていた。しかしながら、アクスル軸5,6に角度を付けて耐久試験等の走行試験を行った場合、寿命が短くなる等の欠点が生じた。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するために成されたものであり、入力軸と出力軸との間隔が異なる各種のトランスアクスルに対応することができるとともに、寿命を長くすることができるトランスアクスルの試験装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の請求項1に係るトランスアクスルの試験装置は、取付架台に取り付けられたトランスアクスルの入力軸に入力軸用トルクメータを介して駆動モータを連結するとともに、トランスアクスルの一対の出力軸に入力軸と平行な(出力軸とも平行な、以下同じ)アクスル軸及び出力軸用トルクメータを介して動力吸収部を連結し、一方及び他方の出力軸用トルクメータ及び動力吸収部をそれぞれ入力軸に対して直角方向に移動可能な移動台上に取り付けたものである。
【0007】
請求項2に係るトランスアクスルの試験装置は、取付架台に取り付けられたトランスアクスルの入力軸に入力軸用トルクメータを介して駆動モータを連結するとともに、トランスアクスルの一対の出力軸に入力軸と平行なアクスル軸及び出力軸用トルクメータを介して動力吸収部を連結し、各出力軸用トルクメータをそれぞれ入力軸と直角方向に移動可能な移動台上に取り付け、各出力軸用トルクメータと位置固定の各動力吸収部とをそれぞれ等速ボールジョイントを介して連結したものである。
【0008】
請求項3に係るトランスアクスルの試験装置は、取付架台に取り付けられたトランスアクスルの入力軸に入力軸用トルクメータを介して駆動モータを連結するとともに、トランスアクスルの一対の出力軸に入力軸と平行なアクスル軸及び出力軸用トルクメータを介して動力吸収部を連結し、入力軸と反対側の出力軸用トルクメータ及び動力吸収部を入力軸と直角方向に移動可能な第1の移動台上に取り付け、入力軸側の出力軸用トルクメータを入力軸に対して直角方向に移動可能な第2の移動台上に取り付け、第2の移動台上に取り付けた出力軸用トルクメータと位置固定の動力吸収部とを等速ボールジョイントを介して連結したものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のようにこの発明の請求項1によれば、一方及び他方の出力軸用トルクメータ及び動力吸収部をそれぞれ入力軸に対して直角方向に移動可能な移動台上に取り付けており、トランスアクスルの入力軸と出力軸の間隔が異なる場合、出力軸用トルクメータ及び動力吸収部が取り付けられた移動台を入力軸と直角方向に移動させることにより、対応させることができる。又、トランスアクスルの出力軸に連結されるアクスル軸に角度を持たせないので、寿命を長くすることができる。
【0010】
又、請求項2によれば、各出力軸用トルクメータをそれぞれ入力軸に対して直角方向に移動可能な移動台上に取り付け、この各出力軸用トルクメータと位置固定の動力吸収部とを等速ボールジョイントを介して連結しており、トランスアクスルの入力軸と出力軸の間隔が異なる場合、各出力軸用トルクメータを取り付けた移動台を入力軸と直角方向に移動させることにより、対応させることができる。又、トランスアクスルの出力軸に連結されるアクスル軸に角度を持たせないので、寿命を長くすることができる。
【0011】
請求項3によれば、入力軸と反対側の出力軸用トルクメータ及び動力吸収部を入力軸と直角方向に移動可能な第1の移動台上に取り付け、入力軸側の出力軸用トルクメータを入力軸と直角方向に移動可能な第2の移動台上に取り付け、第2の移動台上に取り付けた出力軸用トルクメータと位置固定の動力吸収部とを等速ボールジョイントを介して連結しており、トランスアクスルの入力軸と出力軸の間隔が異なる場合、入力軸と反対側の出力軸用トルクメータ及び動力吸収部を取り付けた第1の移動台及び入力軸側の出力軸用トルクメータを取り付けた第2の移動台を軸直角方向に移動させることにより、対応させることができる。又、トランスアクスルの出力軸に連結されるアクスル軸に角度を持たせないので、寿命を長くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面とともに説明する。図1はこの発明の実施最良形態によるトランスアクスルの試験装置の平面図である。取付架台2に取り付けられたトランスアクスル1の入力軸には入力軸用トルクメータ3を介して駆動モータ4を連結するとともに、トランスアクスル1の一対の出力軸には角度のない(入力軸及び出力軸と平行な)アクスル軸5,6を介して出力軸用トルクメータ7,8を連結し、一方の出力軸用トルクメータ7には一方のダイナモメータ(動力吸収部)9を連結し、他方の出力軸用トルクメータ8には他方の位置固定のダイナモメータ(動力吸収部)10を等速ボールジョイント13を介して連結する。14はレール15上に入力軸と直角方向に移動可能に設けられた第1の移動台であり、第1の移動台14上には一方の出力軸用トルクメータ7及びダイナモメータ9が取り付けられる。又、他方の出力軸用トルクメータ8はレール16上に入力軸と直角方向に移動可能に設けられた第2の移動台17上に取り付けられる。
【0013】
上記構成において、駆動モータ4を回転させると、トルクメータ3を介してトランスアクスル1の入力側及び出力側が駆動され、この駆動はアクセル軸5、6及びトルクメータ7,8、さらには等速ボールジョイント13を介してダイナモメータ9,10に伝えられ、動力が吸収される。ここで、トランスアクスル1の機種が異なり、その入力軸と出力軸の間隔Aが異なった場合、トランスアクスル1の出力軸の位置が異なり、この出力軸と平行なアクスル軸5,6の位置も異なってくる。この場合、一方の出力側では第1の移動台14をレール15に沿って入力軸と直角方向に移動させ、トルクメータ7及びダイナモメータ9の回転軸の位置をアクスル軸5に合わせ、連結する。又、他方の出力側では第2の移動台17をレール16に沿って入力軸と直角方向に移動させ、トルクメータ8の回転軸の位置をアクセル軸6と合わせ、連結する。ダイナモメータ10は位置固定であるが、等速ボールジョイント13がトルクメータ8及びダイナモメータ10と自在に連結されているので、トルクメータ8の回転軸の位置が軸方向に変化しても何ら支障はない。
【0014】
上記した実施最良形態においては、試験をするトランスアクスル1の入力軸と出力軸の間隔Aが異なっても、第1及び第2の移動台14,17を入力軸と直角方向に移動させることにより、対応することができる。又、アクスル軸5,6はトランスアクスル1の入力軸及び出力軸と平行で角度を持たないので、長時間の走行試験を行っても支障が生じず、寿命を長くすることができる。
【0015】
なお、上記実施最良形態においては、一方の出力側ではトルクメータ7及びダイナモメータ9を第1の移動台14上に取り付け、他方の出力側ではトルクメータ8を第2の移動台17上に取り付け、トルクメータ8と位置固定のダイナモメータ10とを等速ボールジョイント13により連結したが、両方の出力側でトルクメータ7,8及びダイナモメータ9,10をそれぞれ第1の移動台14上に取り付けても良く、また両方の出力側でトルクメータ7,8をそれぞれ第2の移動台17上に取り付け、このトルクメータ7,8と位置固定のダイナモメータ9,10とを等速ボールジョイント13により連結するようにしても良い。何れの場合も、上記した実施最良形態と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施最良形態によるトランスアクスルの試験装置の平面図である。
【図2】特許文献1に示された従来のトランスアクスルの試験装置の平面図である。
【符号の説明】
【0017】
1…トランスアクスル
2…取付架台
3…入力軸用トルクメータ
4…駆動モータ
5,6…アクスル軸
7,8…出力軸用トルクメータ
9,10…ダイナモメータ
13…等速ボールジョイント
14,17…移動台
15,16…レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付架台に取り付けられたトランスアクスルの入力軸に入力軸用トルクメータを介して駆動モータを連結するとともに、トランスアクスルの一対の出力軸に入力軸と平行なアクスル軸及び出力軸用トルクメータを介して動力吸収部を連結し、一方及び他方の出力軸用トルクメータ及び動力吸収部をそれぞれ入力軸に対して直角方向に移動可能な移動台上に取り付けたことを特徴とするトランスアクスルの試験装置。
【請求項2】
取付架台に取り付けられたトランスアクスルの入力軸に入力軸用トルクメータを介して駆動モータを連結するとともに、トランスアクスルの一対の出力軸に入力軸と平行なアクスル軸及び出力軸用トルクメータを介して動力吸収部を連結し、各出力軸用トルクメータをそれぞれ入力軸に対して直角方向に移動可能な移動台上に取り付け、各出力軸用トルクメータと位置固定の各動力吸収部とをそれぞれ等速ボールジョイントを介して連結したことを特徴とするトランスアクスルの試験装置。
【請求項3】
取付架台に取り付けられたトランスアクスルの入力軸に入力軸用トルクメータを介して駆動モータを連結するとともに、トランスアクスルの一対の出力軸に入力軸と平行なアクスル軸及び出力軸用トルクメータを介して動力吸収部を連結し、入力軸と反対側の出力軸用トルクメータ及び動力吸収部を入力軸に対して直角方向に移動可能な第1の移動台上に取り付け、入力軸側の出力軸用トルクメータを入力軸に対して直角方向に移動可能な第2の移動台上に取り付け、第2の移動台上に取り付けた出力軸用トルクメータと位置固定の動力吸収部とを等速ボールジョイントを介して連結したことを特徴とするトランスアクスルの試験装置。

【図1】
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【図2】
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