説明

トランスデューサプローブのためのトランスデューサ構造体およびその製造方法

【課題】トランスデューサプローブのためのトランスデューサ構造体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】超音波プローブの構成において使用するための複合セラミックトランスデューサ構造体10は、基板16と複数の圧電トランスデューサ柱14とを含む。複数の圧電トランスデューサ柱14は、基板16上のX−Y平面上に設定されている複数の空間位置内に、制御可能に形成される。複数の圧電トランスデューサ柱14は、基板16のX−Y−Z平面内に画定されている複数の形状を含み、複数の圧電トランスデューサ柱14は、超音波プローブ内のせん断波の最小化を促す。複数の圧電トランスデューサ柱14は、光硬化性圧電セラミック材料を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載されている実施形態はトランスデューサ構造体に関し、さらに詳細には、トランスデューサプローブ内で使用するためのトランスデューサ構造体の制御された形成および構成のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電柱または圧電柱のアレイを含むことが多い超音波プローブが、例えば超音波走査による構造物内部の非破壊撮像を含むいくつかの用途に使用される。多くのそのような撮像用途では、通常は圧電材料と非圧電材料とで構成されている複合材料を使用することが望ましい。これらの複合材料は、モノリシックの圧電材料と比較して、より良い圧電性能をもたらす。より高い周波数での動作を可能にすることにより、得られる画像の解像度を高めるために、複合材料を構成する個々の圧電特徴の寸法をできる限り縮小する必要がある。圧電トランスデューサを製造するための既知のダイスアンドフィル(dice−and−fill)法は、一般に、圧電トランスデューサ内の柱状柱のサイズが縮小された場合、解像限界に達する。さらに、ダイスアンドフィル法などのプローブを製造する既知の方法は、トランスデューサ柱間の直線切り口の製造に限定され、それにより、例えばトランスデューサ柱配列の制限、横断面形状の制限、および自由形状の3次元トランスデューサ特徴の作製不可能という制限など、利用可能なトランスデューサ設計空間を制限する。
【0003】
より高い周波数での既知の超音波プローブの動作が、トランスデューサ材料の厚さを減少させることおよびトランスデューサを含む圧電柱のx−y横断面積を相応に減少させることにより部分的に達成される。この作業過程は、トランスデューサの製造を完了するためのダイシング時間を増加させることになる。さらに、高周波トランスデューサを製造するダイスアンドフィル法の生産収率は、一般に、その(より薄い)圧電柱の破損の可能性の増大により、従来式に製造されるより低い周波数のトランスデューサの生産収率と比較して低下する。さらに、既知の製造方法は、複合構造体内で1つまたは複数の超音波波長を伝播させるせん断波を伴って製造されるトランスデューサを作り出す可能性がある。せん断波は、プローブに関する設計制約をもたらし、かつプローブ内でのリンギングなどの音響干渉をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0199392号明細書
【発明の概要】
【0005】
一態様では、超音波プローブの構成において使用するための複合セラミックトランスデューサ構造体が提供される。該構造体は、基板と複数の圧電トランスデューサ柱とを含む。複数の圧電トランスデューサ柱は、基板上に、基板のX−Y平面上に設定されている複数の空間位置に、制御可能に形成される。複数の圧電柱は、基板のX−Y−Z平面内に画定されている複数の形状を含み、複数の圧電トランスデューサ柱は、超音波プローブ内のせん断波の最小化を促すように構成されている。
【0006】
別の態様では、超音波プローブの構成において使用するためのセラミックトランスデューサ構造体を製造する方法が提供される。本方法は、基板層を形成するステップと、該基板層上に層を形成するステップとを含み、該層は、トランスデューサ材料と感光性樹脂とを含む。本方法は、層の複数の選択された領域をプログラム可能な光パターンに暴露し、層の選択された領域を制御可能に硬化して、複数の圧電トランスデューサ柱の形成を容易にするステップをさらに含む。圧電トランスデューサ柱は、基板のX−Y平面上に設定されておりかつ基板のX−Y−Z平面内に複数の形状を有する複数の空間位置を含む。圧電トランスデューサ柱は、超音波プローブ内のせん断波の最小化および縦波の維持を促すように構成されている。
【0007】
さらにある態様では、超音波プローブが提供される。該プローブは、基板と、基板上に制御可能に形成される複数の圧電トランスデューサ柱とを含む。該柱は、基板のX−Y平面上の複数の空間位置に形成されており、複数のトランスデューサ柱は、基板のX−Y−Z平面内に画定されている複数の形状を含む。複数の圧電トランスデューサ柱は、超音波プローブ内のせん断波の最小化および縦波の維持を促すように構成されている。プローブは、基板上の圧電トランスデューサ柱を取り囲む充填材をさらに含む。電気接点が、複数の圧電トランスデューサ柱に接続されて、電気エネルギーの超音波エネルギーへの変換を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】複数のトランスデューサ柱のアレイを含む例示的トランスデューサ構造体の部分横断面図である。
【図2】図1に示されている構造体で使用されるトランスデューサ柱のアレイを製造する例示的方法の流れ図である。
【図3A】図1に示されている構造体で使用されるトランスデューサ柱を製造する際に使用されてもよい例示的スラリシステムの図である。
【図3B】図3Aに示されているスラリシステムの別のプロセス図(process view)である。
【図4】図1に示されている構造体で使用されるトランスデューサ柱を製造する際に使用されてもよい例示的光変調システムの図である。
【図5A】例示的光パターンを作製するのに使用されている、図4に示されている光変調システムの図である。
【図5B】図4に示されている光変調システムの別のプロセス図である。
【図5C】図4に示されている光変調システムの別のプロセス図である。
【図5D】図4に示されている光変調システムの別のプロセス図である。
【図6】図1に示されている構造体の斜視図である。
【図7】図6に示されている構造体のための例示的トランスデューサ柱の側面図である。
【図8】図6に示されている構造体で使用されてもよい例示的トランスデューサ柱の別の側面図である。
【図9】図6に示されている構造体で使用されてもよいトランスデューサ柱の例示的アレイの平面図である。
【図10】図9に示されているトランスデューサ柱のアレイの斜視図である。
【図11】トランスデューサ柱のアレイを備えて製造されている例示的プローブの部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、基板16上に配設されている複数のトランスデューサ柱14のアレイ12を含む例示的トランスデューサ構造体10の横断面図を示す。図2は、トランスデューサ柱14のアレイ12を製造するのに用いられてもよい例示的方法200の流れ図である。例示的実施形態では、方法200は、基板16上に(図3に示されている)層18を形成するステップ202を含む。基板16は、限定されないが、プラスチック、ガラス、マイカ、金属、セラミック、および/またはそれらの組合せなどの材料を含んでいてもよい。層18は、限定されないが、超音波トランスデューサ材料および光硬化性高分子材料などの材料から製造される。超音波トランスデューサ材料には、1つもしくは複数の導電性材料、および/または1つもしくは複数の圧電材料、および/または1つもしくは複数の音響材料が含まれる可能性がある。
【0010】
例示的実施形態では、層18の複数の選択された領域が、(図4に示されている)プログラム可能な光システム30に暴露される204。次に、層18の選択された領域が硬化されて206、層18の重合超音波トランスデューサ領域を形成し、層18の未露光領域が選択的に除去されて208、重合超音波トランスデューサ柱14の所望の配列を作り出す。方法200はまた、重合超音波トランスデューサ柱14を分離して(debinding)210、有機高分子を選択的に除去するステップと、次に、重合超音波トランスデューサ柱14の配列を焼結して212、超音波トランスデューサ柱14の所望のアレイ12を得るステップとを含む。
【0011】
図3Aは、層18を調製する際に使用されてもよい例示的スラリシステム20を示す。図3Bは、図3Aに示されているスラリシステムの別のプロセス図を示す。薄い均一の層を形成する任意の適切な製造方法が用いられて、層18を形成してもよい。本例示的実施形態では、スラリシステム20のディスペンサ24が、スラリ22のビード26を基板16上に堆積させ、スラリ22は、トランスデューサ材料と感光性樹脂材料とを含む。スラリビード26の径および/またはビード26形成速度が、構造体10の所定の特性に基づいて制御されてもよい。製造中、ブレード28が、スラリ22を制御可能に掃引し、層18の所望の定寸および成形を容易にする。層18の調製に使用するための他の適切なシステム(図示せず)は、当該技術分野で既知のナイフブレード技法、ドクターブレード技法、およびスクリーン印刷を含むが、それらに限定されない。
【0012】
本例示的実施形態では、層18は、圧電材料15と光硬化性高分子材料17とを含む。任意の適切な圧電材料が、層18の製造に使用されてもよい。例えば、圧電材料には、チタン酸ジルコン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ニオブ酸リチウム、チタン酸ビスマス、チタン酸鉛、および/またはそれらの組合せが含まれていてもよいが、それらのみに限定されない。他の圧電材料には、ニオブ酸鉛マグネシウム、ニオブ酸鉛亜鉛、ニオブ酸鉛ニッケル、酸化ビスマススカンジウム、および/またはそれらの組合せが含まれていてもよいが、それらのみに限定されない。本例示的実施形態では、圧電材料はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を含む。別の実施形態では、層18はまた、任意の適切な導電性材料と感光性樹脂とを含んでいてもよい。例えば、適切な導電性材料には、プラチナ、パラジウム、プラチナ−パラジウム合金、および/またはそれらの組合せが含まれていてもよいが、それらのみに限定されない。1つまたは複数の超音波トランスデューサ材料と互換性がある、任意の光硬化性高分子材料が、層18を形成するのに使用されてもよい。さらに、所与の波長分布の光に暴露されると重合する任意の光硬化性材料が、層18を製造するのに使用されてもよい。
【0013】
図4は、構造体10で使用される、トランスデューサ柱14のアレイ12を製造する際に使用されてもよい例示的光変調器システム30を示す。図5A〜図5Dは、例示的光パターンを作製するのに使用されている、図4に示されている光変調システムを示す。ある実施形態では、「ステップアンドスキャン」製造技法を使用して、空間光変調器34が体系的に移動して、層18を露光する。製造中、層18の複数の選択された領域19が、重合プロセスを開始することができる所定の強度および波長分布の光に暴露される204。システム30は、デジタル制御信号を供給し、変調光強度および/または空間光変調器34の方向を制御して、層18上での所定の光パターン36の生成を容易にするコンピュータ32を含む。一実施形態では、プログラム可能な光パターン36はデジタル制御される。コンピュータ32は電子制御信号を生成し、空間光変調器34は、層18の複数の選択された領域19上に所定の光パターン36を投影し、層18のそれら選択された領域19を露光し、硬化する206。各層18は、デジタル的にプログラム可能な光パターン36に暴露され、個々の特徴の結像が、コンピュータ制御により動的に達成される。製造されることになる構造体の横断面を表すデジタルパターン38が、層18上に投影される。空間光変調器34は、層18の選択された領域19内に存在する感光性樹脂を選択的に硬化して206、層18内に重合領域を生じさせる。
【0014】
図5A〜図5Dに最も良く示されているように、製造中、空間光変調器モジュール34は、X平面およびY平面に沿った略水平の平面内で移動可能であり、層18上の所望の露光パターン42で、デジタル的にプログラム可能な光パターン36を発する。空間光変調器モジュール34はまた、Z平面に沿って移動可能であってもよい。例えば、空間光変調器モジュール34は、X平面に沿って移動して、層18の少なくとも一部分上に第1の露光パターン44を生成してもよく、Y平面に沿って移動して、層18の少なくとも一部分上に異なる露光パターン46を生成してもよい。同様に、空間光変調器34は、Z平面に沿って移動して、層18の少なくとも一部分上にさらに別の露光パターン48を生成してもよい。このステップアンドスキャン技法を用いることにより、小領域、高解像度、およびデジタルマスクを使用して、より大きな部分が製造されることが容易になる。
【0015】
方法200は、層18の未露光領域21を選択的に除去することを継続して208、重合トランスデューサ柱14の所望の配列を作り出す。次に、重合トランスデューサ柱14のアレイ12が分離されて210、有機高分子を除去する。最後に、本例示的実施形態では、方法200は、重合トランスデューサ柱14を焼結して212、(図1に示されている)基板16の全体に亘って間隔を置かれる超音波トランスデューサ柱14の所望のアレイ12を得るステップを含む。トランスデューサ柱14は、任意の制御された間隔で配置することができ、かつ/または種々の物理的寸法および/または種々の形状を有して単独で製造することができる。トランスデューサ柱14は、低コストで、任意の間隔で制御可能に形成することが可能であり、かつ/または構造体10が本明細書に記載されているように機能することを可能にする自由形状の3次元形成のための任意の物理的寸法および/または形状を有し得る。
【0016】
トランスデューサ柱14の制御可能な形成および配列は、アレイ12内で伝播する超音波トランスデューサ波長のせん断波を最小化するかまたは実質的に排除することにより、(図11に示されているプローブ50などの)プローブによる解像度の強化を促進する。トランスデューサ柱14が、任意の適切な形態、ならびに/あるいはアレイ12内のせん断波の最小化または排除を促す配向および/もしくは定寸を有していてもよく、それにより、アレイ12内の縦波の維持および/または強化が促進され、かつ/またはプローブ50による解像度の強化が促進される。
【0017】
ある実施形態では、複数のトランスデューサ柱14が、基板16上に制御可能に形成され、配置される。複数のトランスデューサ柱14は、基板16のX−Y平面上に設定されている複数の空間位置を有して形成される。さらに、複数のトランスデューサ柱14は、基板16のX−Y−Z平面内に画定されている複数の形状を有して形成される。トランスデューサ柱14の複数の空間位置および複数の形状は、アレイ12内のせん断波の最小化および縦波の維持を促すように構成されている。ある実施形態では、トランスデューサ柱14の空間位置および/または形状は、該柱14により生成されかつ該柱14内すなわち間を伝播するせん断波の干渉および/または解消を容易にするように構成されている。本例示的実施形態では、トランスデューサ柱14の空間位置および/または形状は、該柱14内すなわち間を伝播するせん断波の振幅の減少をさらに促す。複数の空間位置および形状は、(図11に示されている)プローブ50などのプローブの圧電特性および音響特性の強化を促進する。
【0018】
図6は、トランスデューサ柱14の制御可能に形成され、配列されているアレイ12を含む構造体10の斜視図を示す。ある実施形態では、トランスデューサ柱14の複数の空間位置が、基板16上に複数のトランスデューサ柱14の周期配列を含む。あるいは、トランスデューサ柱14の複数の空間位置は、基板16上に複数のトランスデューサ柱14の非周期配列を含む。ある実施形態では、基板16上に設定されているトランスデューサ柱14の複数の空間位置は、0−3、3−0、1−3、3−1、3−3および2−2の複合構造体の少なくとも1つを含む。
【0019】
本例示的実施形態では、間隔52が隣接するトランスデューサ柱14間に画定されるように、トランスデューサ柱14が配置される。ある実施形態では、間隔52は、トランスデューサ柱14の少なくとも1つと、隣接するトランスデューサ柱14との間で等距離である。別の実施形態では、間隔52は、トランスデューサ柱14の少なくとも1つと、隣接するトランスデューサ柱14との間で等距離でない。一実施形態では、トランスデューサ柱14間の間隔52は、約5ミクロンから約50ミクロンの間である。各トランスデューサ柱14は、近位端54と、遠位端56と、それらの間に延在している本体58とを含む。近位端54は、基板16に結合されており、本体58は、基板16から離れて近位端54から延在している。本例示的実施形態では、複数のトランスデューサ柱14の少なくとも1つが、実質的に一様な形態60を備えて形成されている本体58を有する。さらに具体的には、本明細書に使用されているように、一様な形態60は、本体58に沿った横断面形状の小さい変化に対応する実質的に滑らかな側面外形および/または実質的に一様なパターン化された側面外形(図示せず)を含む。さらに、本明細書に使用されているように、一様な形態60は、本体58に関して実質的に同様の横断面積を含む。
【0020】
別の実施形態では、複数のトランスデューサ柱14の複数の形状は、複数のトランスデューサ柱14の少なくとも1つのトランスデューサ柱14に関して異なる横断面積を含む。さらに、ある実施形態では、複数のトランスデューサ柱14の複数の形状は、複数のトランスデューサ柱14の少なくとも1つのトランスデューサ柱14に関して異なる側面外形形状を含む。
【0021】
本例示的実施形態では、複数のトランスデューサ柱14の少なくとも1つの本体58は、限定されないが、略円形の横断面を含む円柱形状などの、非直交形状62を有する。一実施形態では、そのようなトランスデューサ素子14の直径64が、約1ミクロンから約50ミクロンの間の長さである。本例示的実施形態では、本体58は各々、端部54と56との間で測定される実質的に等しい高さ66を有する。本例示的実施形態では、各トランスデューサ素子の高さ66は、約5ミクロンから約150ミクロンの間である。さらに、本例示的実施形態では、本体58は、少なくとも2:1の高さ幅アスペクト比を含む。あるいは、少なくとも1つの本体58は、アレイ12内の複数のトランスデューサ柱14の他の本体58と比較して、異なる高さ66を有して形成される。
【0022】
図7は、図6に示されている構造体の例示的トランスデューサ柱14の側面図を示す。本例示的実施形態では、少なくとも1つのトランスデューサ柱14は、複数のトランスデューサ柱14の他のトランスデューサ柱14とは異なる密度68を有し得る。あるいは、複数のトランスデューサ柱14の各トランスデューサ柱14は、実質的に類似した密度を有し得る。各トランスデューサ柱14の密度構造が、アレイ12内を伝播する超音波トランスデューサ波のせん断波を最小化するかまたは実質的に排除することを促す。トランスデューサ柱14は、アレイ12の柱14内すなわち間で伝播しないようせん断波を排除することを促す任意の密度分布で形成することができる。トランスデューサ柱14は、アレイ12の柱14内すなわち間を伝播する波の縦波の維持を促す任意の密度分布で形成することができる。さらに、ある実施形態では、複数のトランスデューサ柱14の各トランスデューサ柱14は、均一な密度分布または非均一な密度分布を有し得る。トランスデューサ柱14はまた、限定されないが、トランスデューサ柱14内に分布されている止まり穴および通り穴などの構造を含み得る。
【0023】
図8は、非直交形状70を有して形成される例示的トランスデューサ素子14の側面図を示す。本例示的実施形態では、トランスデューサ素子14が、六角形横断面により画定されている柱状形状を有して形成される。本例示的実施形態では、トランスデューサ素子14の各辺73の長さ72が、約1ミクロンから約50ミクロンの間であり、各トランスデューサ素子14は、約5ミクロンから約150ミクロンの間の、基板16から測定される高さ74を有する。
【0024】
図9は、図6に示されている基板16上に配設されているトランスデューサ柱14の例示的アレイ76の平面図を示す。図10はアレイ76の斜視図を示す。本例示的実施形態では、アレイ76内のトランスデューサ柱14は、限定されないが略円形の横断面により画定されている円柱形状などの、非直交形状を有して形成される。あるいは、アレイ76内のトランスデューサ柱14は、限定されないが六角形横断面形状などの、他の非直交形状(図示せず)を有して形成することができる。さらに、アレイ76内のトランスデューサ柱14は、直交形状(図示せず)を有して形成されてもよい。
【0025】
図示のように、少なくともいくつかのトランスデューサ柱14が、アレイ76内の他のトランスデューサ柱14と比較して、アレイ76内に異なる物理的定寸で形成される。さらに具体的には、本例示的実施形態では、アレイ76は、アレイ76内の他のトランスデューサ柱84と比較して、より大きな横断面寸法を有して形成される複数のトランスデューサ柱78を含む。さらに、ある実施形態では、アレイ76内の各トランスデューサ素子78は、各隣接するトランスデューサ素子84の直径82より大きな直径80を有する。本例示的実施形態では、各直径80は、各直径82より約30%から50%大きい。
【0026】
アレイ76内では、各トランスデューサ素子78が、一対79のトランスデューサ柱84と一群81の他のトランスデューサ柱84との間に配置されている。一群81のトランスデューサ柱84は、複数のトランスデューサ柱84を含んでいてもよい。一実施形態では、一群81は4つのトランスデューサ柱84を含む。本例示的実施形態では、隣接するトランスデューサ柱84間に画定されている間隔83が、約5ミクロンから約50ミクロンの間である。さらに、トランスデューサ素子78と各隣接するトランスデューサ柱84との間に画定されている間隔85が、約5ミクロンから約50ミクロンの間である。アレイ76の配向、ならびにトランスデューサ柱78および84の形状および/または寸法が、せん断波を最小化するかまたはトランスデューサ構造体10のトランスデューサ柱14内すなわち間を伝播しないよう実質的に排除することを促す。さらに、アレイ76の配向、ならびにトランスデューサ柱78および84の形状および/または寸法は、トランスデューサ構造体10のトランスデューサ柱14内すなわち間を伝播する縦波の維持を促す。さらに、アレイ76の配向、ならびにトランスデューサ柱78および84の形状および/または寸法は、構造体10の外形寸法の縮小を容易にし、(図11に示されている)プローブ50などのプローブが、既知の間隔および/または配向および/または形状を有するプローブより高い周波数で動作することを可能にする。さらに、アレイ76の配向、ならびにトランスデューサ柱78および84の形状および/または寸法は、プローブ50により得られる画像の解像度を高めることを促進する。
【0027】
図11は、トランスデューサ柱14のアレイ12を備えて製造されている例示的プローブ50の部分側面図を示す。プローブ50は、プローブ50が電源(図示せず)に電気的に連結されることを可能にする、各上面88上に結合された電極86を備えたトランスデューサ柱14のアレイ12を含む。柱14は、電気エネルギーを超音波エネルギーに変換する。プローブ50はまた、基板16上の複数のトランスデューサ柱14を囲む充填材92を含む。本例示的実施形態では、充填材92は、トランスデューサ柱を一緒に保持し柱14間に電極材を支持するエポキシ材料を含み、それにより、モノリシックセラミック材料と比較してより低い音響インピーダンスとより高い結合係数とを有する複合材料を作り出す。この形成により、トランスデューサ柱14とプローブ50により検査されている構成要素(図示せず)との間のより効率的な音響結合が可能になる。
【0028】
本明細書に用いられている用語「制御されるまたは配列される」は、構造体および/またはトランスデューサ柱および/またはプローブの1つまたは複数の構成要素の検討時に用いられた場合、独立してユーザ定義されるかまたはプログラム可能に実施される、トランスデューサ柱の物理的形状および/または寸法および/または配向を指す可能性がある。さらに、該用語はまた、プローブのトランスデューサ柱の配列がやはりユーザ定義される状況、および例えば非均一かつ/または均一である可能性がある状況を指し、含む可能性がある。この配列は、制御された距離または制御されていない距離に亘って、非周期的/無作為とすることができると考えられる。構造体および/またはトランスデューサ柱および/またはプローブの1つまたは複数の構成要素の検討時に用いられた場合の用語「柱」は、圧電材料の任意の特徴を指す可能性がある。
【0029】
本明細書に記載されている実施形態は、トランスデューサ柱の形状および/または配向および/または間隔を実現して、せん断波の最小化および/または排除ならびに縦波の維持を促し、それにより、既知のトランスデューサ柱を含むプローブの性能と比較して、関連するプローブの性能を高める。本明細書に記載されている実施形態は、例えば円形および六角形などの、x−y平面、x−z平面、またはy−z平面のいずれかに非直交柱状横断面を含む。非直交柱状横断面は、構造体全体に亘る電位の印加により生成されるせん断波の最小化または実質的な排除をさらに促す。本明細書に記載されている実施形態は、費用効率の高い製造を用いて、改善されたより高い電気機械結合係数、トランスデューサと検査されている物品との間の改善された音響インピーダンス整合、改善された共鳴特性のために自由形状の3次元トランスデューサ柱を作り出す能力をさらに提供する。
【0030】
本明細書に記載されている実施形態は、トランスデューサプローブで使用するための構造体を提供する。開示されている寸法範囲は、間にある全ての部分的範囲を含む。トランスデューサ柱の寸法範囲は、トランスデューサ素子の外形寸法の縮小を容易にして、プローブがより高い周波数で動作することを可能にする。さらに、トランスデューサ素子の寸法範囲は、プローブにより得られる画像の解像度を高めることを促進する。
【0031】
本明細書に記載されている実施形態の技術的効果が、トランスデューサ構造体のアレイ内を伝播するせん断波の最小化または排除を促す、トランスデューサ柱の制御されたアレイを含む。本明細書に記載されているトランスデューサ柱のアレイの別の技術的効果が、トランスデューサ素子の寸法の縮小を容易にして、プローブをより高い周波数で動作させることを容易にする。トランスデューサ柱のアレイのさらなる技術的効果が、プローブにより得られる画像の解像度を高めることを促進する。
【0032】
トランスデューサ柱、プローブ、およびトランスデューサ柱と構造体とプローブとを製造しかつプローブを組み立てる方法の例示的実施形態が、詳細に前述されている。トランスデューサ柱、構造体、プローブ、および方法は、本明細書に記載されている特定の実施形態に限定されず、むしろ、トランスデューサ柱の構成要素および/またはプローブおよび/または方法のステップは、本明細書に記載されている他の構成要素および/またはステップとは無関係に別個に利用されてもよい。例えば、プローブおよび方法はまた、他の診断システムおよび診断方法との組合せで使用されてもよく、本明細書に記載されている超音波トランスデューサプローブのみを用いた実践に限定されない。むしろ、例示的実施形態は、多くの他の診断システムまたは他の支持構造体と関連して実施され、利用されることが可能である。
【0033】
本発明の種々の実施形態の特定の特徴が、いくつかの図面に示されており、他の図面に示されていない可能性があるが、これは便宜上のことに過ぎない。本発明の原理に従って、図面の任意の特徴が、任意の他の図面の任意の特徴との組合せで言及されかつ/または特許請求されてもよい。
【0034】
本明細書は、例を用いて、最良の波を含めて本発明を開示し、また、任意の層またはシステムを作製することおよび使用することならびに任意の援用された方法を実践することを含めて、任意の当業者が本発明を実践することを可能にする。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲により定められており、当業者に思い付く他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文言と僅かしか異ならない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内に入るものとする。
【符号の説明】
【0035】
10 構造体
12 アレイ
14 トランスデューサ柱
16 基板
200 方法
18 機能層
202 機能層を形成する
204 複数の選択された領域を露光する
206 機能層の選択された領域を硬化する
208 機能層の未露光領域を除去する
210 トランスデューサ素子のアレイを分離する
212 トランスデューサ素子のアレイを焼結する
20 スラリシステム
22 スラリ
24 ディスペンサ
26 ビード
28 ブレード
30 変調器システム
32 コンピュータ
34 空間光変調器
36 光パターン
38 デジタルパターン
42 パターン
44 パターン
46 パターン
48 パターン
50 プローブ
52 非周期間隔
54 近位端
56 遠位端
58 本体
60 一様な形態
62 非直交形状
64 直径
66 高さ
68 ボイド
70 六角形形状
72 長さ
73 辺
74 高さ
76 非周期アレイ
78 トランスデューサ素子
79 トランスデューサ素子84の対
80 直径
81 群
82 直径
83 (トランスデューサ素子84間の)間隔
84 トランスデューサ素子
85 (トランスデューサ素子78とトランスデューサ素子84との間の)間隔
86 電極
88 面
92 充填材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブ(50)の構成において使用するための複合セラミックトランスデューサ構造体(10)であって、
基板(16)と、
前記基板(16)上に、前記基板(16)のX−Y平面上に設定されている複数の空間位置内に、制御可能に形成される複数の圧電トランスデューサ柱(14)であり、前記基板(16)のX−Y−Z平面内に画定されている複数の形状を含み、前記超音波プローブ(50)内のせん断波の最小化を促すように構成されている、圧電トランスデューサ柱(14)と
を含む、複合セラミックトランスデューサ構造体(10)。
【請求項2】
各前記複数の圧電トランスデューサ柱(14)は、光硬化性圧電セラミック材料を含む、請求項1記載の複合セラミックトランスデューサ構造体(10)。
【請求項3】
前記基板(16)の前記X−Y平面上に設定されている前記複数の空間位置は、0−3、3−0、1−3、3−1、3−3および2−2の複合構造体(10)の少なくとも1つを含む、請求項1記載の複合セラミックトランスデューサ構造体(10)。
【請求項4】
前記基板(16)の前記X−Y平面内の前記複数の空間位置は、前記複数の圧電トランスデューサ柱(14)の非周期配列を含む、請求項1記載の複合セラミックトランスデューサ構造体(10)。
【請求項5】
前記複数の圧電トランスデューサ柱(14)の少なくとも1つは、前記複数の圧電トランスデューサ柱(14)のその他とは異なる横断面積を有する、請求項1記載の複合セラミックトランスデューサ構造体(10)。
【請求項6】
前記複数の圧電トランスデューサ柱(14)の少なくとも1つは、前記複数の圧電トランスデューサ柱(14)のその他とは異なる側面外形を有する、請求項1記載の複合セラミックトランスデューサ構造体(10)。
【請求項7】
前記複数の圧電トランスデューサ柱(14)の少なくとも1つは、前記複数の圧電トランスデューサ柱(14)のその他とは異なる高さを有する、請求項1記載の複合セラミックトランスデューサ構造体(10)。
【請求項8】
前記複数の圧電トランスデューサ柱(14)の少なくとも1つは、前記複数の圧電トランスデューサ柱(14)のその他とは異なる密度を有する、請求項1記載の複合セラミックトランスデューサ構造体(10)。
【請求項9】
前記複数の圧電トランスデューサ柱(14)の少なくとも1つは、非均一な密度を有する、請求項1記載の複合セラミックトランスデューサ構造体(10)。
【請求項10】
前記複数の圧電トランスデューサ柱(14)の少なくとも1つは、前記複数の圧電トランスデューサ柱(14)の隣接する圧電トランスデューサ柱(14)から等距離でなく間隔を置かれる、請求項1記載の複合セラミックトランスデューサ構造体(10)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−68616(P2013−68616A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−205150(P2012−205150)
【出願日】平成24年9月19日(2012.9.19)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】