説明

トランスフェクション剤としてのテトラアルキレンペンタミンのアミドおよびペプチド誘導体

本発明は、新しく同定されたペンタミン系界面活性剤化合物、かかる化合物の使用およびそれらの製造に関する。本発明はまた、ポリヌクレオチドの細胞への移入を容易にするためのペンタミン系化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しく同定されたペンタミン系界面活性剤化合物、かかる化合物の使用、およびそれらの製造法に関する。本発明はまた、ポリヌクレオチドの細胞への移入を容易にするための、および薬物送達のための治療的に活性な化合物の細胞への移入を容易にするための、該ペンタミン系化合物の使用に関する。本発明の化合物の特性に関連する特性を有する化合物は、しばしば、ジェミニ界面活性剤と称される。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤は、低濃度であっても、液体の表面特性に著しい影響を及ぼす物質である。例えば、界面活性剤は、水または水性溶液に溶解した場合には表面張力を有意に減少させるであろうし、2つの液体間、または液体と固体との間の界面張力を減少させるであろう。界面活性剤分子のこの特性は、工業的に、特に、洗剤および石油工業において、幅広く活用されてきた。1970年代には、疎水性橋によって結合される極性頭部を有する2本の疎水性鎖を特徴とする新しい種類の界面活性剤分子が報告された(Deinega, Y et al., Kolloidn. Zh. 36, 649, 1974(非特許文献1))。「ジェミニ」と称されているこれらの分子(Menger, FM and Littau, CA, J. Am. Chem. Soc. 113, 1451, 1991(非特許文献2))は、それらの単量体等価物よりも非常に望ましい特性を有する。例えば、それらは、油性液体と水性液体との間の界面張力を低下させるのに非常に効果的であり、非常に低い臨界ミセル濃度を有する(Menger, FM and Keiper, JS, Angewandte. Chem. Int. Ed. Engl., 2000, 39, 1906(非特許文献3))。
【0003】
カチオン性界面活性剤は、とりわけ、ポリヌクレオチドの培養細胞へのトランスフェクションのために使用されており、遺伝子技術に関与する科学者が商業的に入手可能なこのような作用物質の例がある(例えば、アメリカ合衆国ウィスコンシン州のPromega Corp.から入手可能な真核細胞のトランスフェクションのための試薬TfxTM−50)。
【0004】
遺伝子治療またはアンチセンス治療のいずれかのためのインビボでのDNAの細胞への効果的な送達は、数年間、主要な目標であった。送達ビヒクルとしてのウイルスの使用、例えば、嚢胞性線維症(CF)の矯正的遺伝子治療を目的とした気道における上皮細胞のためのアデノウイルスの使用に多くの注目が集まった。しかしながら、CF患者におけるいくつかの成功した遺伝子移入の証拠があるにもかかわらず、アデノウイルス経路は、炎症性副作用および移入された遺伝子の限られた一過性発現のため問題をかかえたままである。カチオン性界面活性剤を使用する研究を含むインビボ遺伝子送達のためのいくつかの代替法が研究された。Gao, X et al. Gene Ther. 2, 710-722,1995(非特許文献4)は、アミン担持カチオン性脂質を用いて、CFマウスの呼吸上皮へのCF膜コンダクタンス制御因子(CFTR)の正常なヒト遺伝子を用いるこの方法の実行可能性を立証した。このグループは、引き続いてリポソームCF遺伝子治療試験を行い、一部が成功しただけであったが、ヒトにおけるこの方法の可能性を立証した(Caplen, NJ. et al., Nature Medicine, 1, 39-46, 1995(非特許文献5))。最近では、別のグループが遺伝子送達のための別のカチオン性脂質、例えば、コレステロール誘導体(Oudrhiri, N et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 94, 1651-1656, 1997(非特許文献7))の可能性を研究した(Miller, A, Angew. Int. Ed. Engl., 37, 1768-1785, 1998(非特許文献6))。この限られた研究によって、インビトロおよびインビボの両方で遺伝子の上皮細胞への移入を容易にするこれらコレステロール系化合物の能力が立証され、それにより、この一般的方法の有効性が支持された。
【0005】
最近、遺伝子トランスフェクションのための非ウイルス(カチオン性脂質)ベクターの使用が論評された。D. Niculescu-Duvaz, J. Heyes and C. J. Springer, Curr. Med. Chem., 2003, 10, 1233(非特許文献8)を参照。
【0006】
これらの研究および他の研究は、この新しい研究分野において、細胞ベースの実験におけるトランスフェクションのためにインビトロで、および遺伝子治療およびアンチセンス治療のためにインビボで、ポリヌクレオチドの細胞への有効な移入を容易にするための新規低毒性界面活性剤分子の開発が依然として必要とされていることを示している。以前、システイン(WO 99/29712(特許文献1))またはスペルミン(WO 00/77032(特許文献2))またはジアミン(WO 00/76954(特許文献3))をベースとするジェミニ界面活性剤が調製された。WO 00/27795(特許文献4)、WO 02/30957(特許文献5)、WO 02/50100(特許文献6)およびWO 03/82809(特許文献7)には別のジェミニ界面活性剤の例が記載されている。最近、ポリヌクレオチドベクターとしてのジェミニ界面活性剤の使用が論評された(A. J. Kirby, P. Camilleri, J. B. F. N. Engberts, M. C. Feiters, R. J. M. Nolte, O. Soederman, M. Bergsma, P. C. Bell, M. L. Fielden, C. L. Garcia Rodriguez, Philippe Guedat, A. Kremer, C. McGregor, C. Perrin, G. Ronsin and M. C. P. van Eijk, Angew. Chem. Int. Ed., 2003, 42, 1448(非特許文献9)、R. Zana and J. Xia, Gemini Surfactants, Marcel Dekker, NY, 2004(非特許文献10)もまた参照)。
【0007】
最近開発された技術は、遺伝子機能を一時的に抑制するための合成低分子干渉(si)二本鎖RNA分子の使用を含む。もともとC.elegans(A. Fire, Trends Genet., 1999, 15(9), 358(非特許文献11))の研究からつくられたこのRNA干渉(RNAi)の技術は、後に開発されて、その用途を哺乳動物細胞に適用することができるようになった(S. M. Elbashir, J. Harborth, W. Lendeckel, A. Yalcin, K. Weber, T. Tuschl, Nature, 2001, 411, 494(非特許文献12))。これらのsiRNAエフェクター分子を細胞集団の大部分の正しい位置に送達する能力がこの技術の有効な利用において重要な工程である。いったん正しく配置されると、RNA二本鎖のアンチセンス鎖が標的メッセンジャー(m)RNA(目的の標的をコードする)の相補的な領域と結合し、mRNAの加水分解およびそれに続く分解を引き起こす。このmRNAの一過性の減少は、標的遺伝子発現の一過性の減少を引き起こす。標的遺伝子発現を、該標的の機能を解明することができるようなレベルに減少させるために、非常に効果的な送達および正しい局在化が必要とされる。
【特許文献1】WO 99/29712
【特許文献2】WO 00/77032
【特許文献3】WO 00/76954
【特許文献4】WO 00/27795
【特許文献5】WO 02/30957
【特許文献6】WO 02/50100
【特許文献7】WO 03/82809
【非特許文献1】Deinega, Y et al., Kolloidn. Zh. 36, 649, 1974
【非特許文献2】Menger, FM and Littau, CA, J.Am.Chem.Soc. 113, 1451, 1991
【非特許文献3】Menger, FM and Keiper, JS, Angewandte. Chem. Int. Ed. Engl., 2000, 39, 1906
【非特許文献4】Gao, X et al. Gene Ther. 2, 710-722,1995
【非特許文献5】Caplen, NJ. et al., Nature Medicine, 1, 39-46, 1995
【非特許文献6】Miller, A, Angew. Int. Ed. Engl., 37, 1768-1785, 1998
【非特許文献7】Oudrhiri, N et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 94, 1651-1656, 1997
【非特許文献8】D. Niculescu-Duvaz, J. Heyes and C. J. Springer, Curr. Med. Chem., 2003, 10, 1233
【非特許文献9】A. J. Kirby, P. Camilleri, J. B. F. N. Engberts, M. C. Feiters, R. J. M. Nolte, O. Soederman, M. Bergsma, P. C. Bell, M. L. Fielden, C. L. Garcia Rodriguez, Philippe Guedat, A. Kremer, C. McGregor, C. Perrin, G. Ronsin and M. C. P. van Eijk, Angew. Chem. Int. Ed., 2003, 42, 1448
【非特許文献10】R. Zana and J. Xia, Gemini Surfactants, Marcel Dekker, NY, 2004
【非特許文献11】C.elegans (A. Fire, Trends Genet., 1999, 15(9), 358)
【非特許文献12】S. M. Elbashir, J. Harborth, W. Lendeckel, A. Yalcin, K. Weber, T. Tuschl, Nature, 2001, 411, 494
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、既存の化合物によって示される問題を克服することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
mは、1〜6であり;
qは、1〜6であり;
nは、1〜10であり;
pは、1〜10であり;
1、R2、R3、R4およびR5は、同一であっても異なっていてもよく、各々、水素、Rw、または(Aa)xから選択され;
ここで、Rwは、アミド誘導体として結合した、炭素原子24個までの飽和または不飽和の分枝状または非分枝状脂肪族カルボン酸であり、ここで、分子中に少なくとも2個のRw基が存在し;
(Aa)xは、各場合において同一であっても異なっていてもよく、直鎖または分枝状に結合した一連のx個の天然または非天然アミノ酸であり;
xは、0〜6である]
で示される一般構造を有する化合物、またはその塩、好ましくは、医薬上許容される塩に関する。
【0010】
好ましくは、mは、2または3であり、最も好ましくは3である。
【0011】
好ましくは、qは、2または3であり、最も好ましくは3である。
【0012】
好ましくは、nは、3〜6であり、最も好ましくは4である。
【0013】
好ましくは、pは、3〜6であり、最も好ましくは3である。
【0014】
(Aa)は、好ましくは、塩基性アミノ酸である。塩基性アミノ酸の例としては、[H2N(CH2)3]2N(CH2)CO2H、(H2NCH2)2CHCO2H、またはSer、Lys、Orn、Dab(ジアミノ酪酸)またはDap(ジアミノプロピオン酸)のLまたはDエナンチオマーが挙げられる。例えば、アミノ酸(Aa)は、側鎖にアミノ基(またはOH基であってもよい)を含んでおり、合計12個以下の炭素原子、例えば、合計10個以下の炭素原子を含んでいるアミノ酸であり得る。
【0015】
xは、好ましくは、1〜4である。最も好ましくは、xは1である。
【0016】
一の実施態様a)では、R1およびR5は、共にRwであり、R2、R3およびR4は全て(Aa)xである:
【化2】

[R1およびR5は、独立して、上記定義のRwであり、R2、R3およびR4は、独立して、上記定義の(Aa)xである]。かかる実施態様では、R1およびR5は、例えば、同一のRwであってよく、R2、R3およびR4は、例えば、同一の(Aa)xであってよい。
【0017】
別の実施態様b)では、R2およびR4はRwであり、R3は水素であり、R1およびR5は(Aa)xである:
【化3】

[R2およびR4は、独立して、上記定義のRwであり、R1およびR5は、独立して、上記定義の(Aa)xである]。かかる実施態様では、R2およびR4は、例えば、同一のRwであってよく、R1およびR5は、例えば、同一の(Aa)xであってよい。
【0018】
別の実施態様c)では、R2およびR4はRwであり、R1、R3およびR5はすべて水素またはすべて(Aa)xである:
【化4】

または
【化5】

[R2およびR4は、独立して、上記定義のRwであり、R1、R3およびR5は、すべてHまたはすべて独立して上記定義の(Aa)xである]。かかる実施態様では、R2およびR4は、例えば、同一のRwであってよい。R1、R3およびR5は、例えば、同一の(Aa)であってよい。
【0019】
別の実施態様d)では、R2、R3およびR4はRwであり;R1およびR5は共に水素または共に(Aa)xである:
【化6】

または
【化7】

[R2、R3およびR4はRwであり、R1およびR5は共に水素または共に上記定義の(Aa)xである]。かかる実施態様では、R2、R3およびR4は、例えば、同一のRwであってよく、R1およびR5は、例えば、同一の(Aa)xであってよい。
【0020】
さらに好ましい実施態様では、アミド誘導体として結合した、炭素原子24個までの飽和または不飽和の分枝状または非分枝状脂肪族カルボン酸Rwは、炭素原子10個またはそれ以上、例えば、炭素原子12個またはそれ以上、例えば、14個またはそれ以上、例えば、16個またはそれ以上有する。さらに好ましい実施態様では、アミド誘導体として結合した、炭素原子24個までの飽和または不飽和の分枝状または非分枝状脂肪族カルボン酸Rw
−C(O)(CH2)10CH3
−C(O)(CH2)12CH3
−C(O)(CH2)14CH3
−C(O)(CH2)16CH3
−C(O)(CH2)18CH3
−C(O)(CH2)20CH3
−C(O)(CH2)7CH=CH(CH2)5CH3天然混合物、
−C(O)(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3天然混合物、
−C(O)(CH2)7CH=CH(CH2)5CH3シス、
−C(O)(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3シス、
−C(O)(CH2)7CH=CH(CH2)5CH3トランス、
−C(O)(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3トランス、
−C(O)(CH2)7CH=CHCH2CH=CH(CH2)4CH3
−C(O)(CH2)7(CH=CHCH2)3CH3
−C(O)(CH2)3CH=CH(CH2CH=CH)3(CH2)4CH3
−C(O)(CH2)7CHCH(CH2)7CH3
−C(O)CH2CH(CH3)[CH2CH2CH2CH(CH3)]3CH3、または
−C(O)(CH2)22CH3
から選択される。
【0021】
最も好ましくは、該基は、−CO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3天然混合物、−CO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3シスおよび−CO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3トランスから選択される。
【0022】
一の実施態様では、本発明の化合物は、いわゆる「ジェミニ」界面活性剤化合物である。言い換えると、該化合物は、少なくとも2本の脂肪族鎖について対称的である。
【0023】
本発明の化合物は、当業者に周知の合成化学を使用して容易に入手可能な出発物質から調製され得る。図1に示されるスキームは、本発明の化合物の合成のための中間体5の一般的な合成スキームを示している。
【0024】
図2の一般的なスキームに示されるように、中間体5を保護し、還元して、R2、R3およびR4の位置が保護されており、R1およびR5の位置が遊離NH2基である進行したペンタミン中間体7を得ることができる。R1およびR5の位置のアミノ基の、Rw基を付加するさらなる反応、ならびにR2、R3およびR4の位置の脱保護、次いで、適当な条件下での(Aa)x基の付加により、本発明の実施態様a)による置換パターンを有する分子を調製することができる。
【0025】
図4の一般的なスキームに示されるように、中間体5を還元して、R3の位置だけが保護されており、R1、R2、R4およびR5の位置が遊離アミノ基である他の進行したペンタミン中間体12を得ることができる。次の、R1およびR5の位置の第一級アミノ基の保護、R2およびR4の位置でのRw基の付加、次いで、R1およびR5での脱保護および適当な条件下での(Aa)x基の付加、ならびに最後の、R3の位置での脱保護により、本発明の実施態様b)による置換パターンを有する分子を調製することができる。R1およびR5の位置の(Aa)x基の付加を省略するならば、類似の方法で本発明の実施態様c)による置換パターンを有する分子を調製することができる。R5の位置での脱保護を(Aa)x基の付加の前に生じさせるならば、類似の方法で本発明の実施態様c)の2番目の選択肢による置換パターンを有する分子を調製することができる。
【0026】
図5の一般的なスキームに示されるように、中間体12から調製され得る、R1、R3およびR5の位置で保護されている進んだ中間体13をR3の位置で脱保護し、その後、R2、R3およびR4の各位置へのRw基の付加により官能化することができる。次の、R1およびR5の位置のアミノ基の脱保護および適当な条件下での(Aa)x基の付加、ならびに最後の脱保護により、本発明の実施態様d)による置換パターンを有する分子を調製することができる。R1およびR5の位置での(Aa)x基の付加を省略するならば、類似の方法でR1およびR5の位置に第一級アミノ基を有する本発明の実施態様d)の選択肢による置換パターンを有する分子を調製することができる。
【0027】
様々な代替の保護および脱保護ストラテジーが当業者には周知であり、特定の望ましい最終置換パターンのために適当なストラテジーを考えることができる。非対称的な置換パターンについては、生成物または中間体の物理的分離が必要となる場合がある。適当な分離方法、例えば、クロマトグラフィー法が当業者に周知である。
【0028】
本発明の分子の塩は、例えば図6および7におけるスキームに示されるように、標準的な技術により調製することができる。図6に示されるスキームでは、塩形成工程は脱保護工程でもある。
【0029】
本発明の別の態様は、ペンタミン系化合物を使用するための方法に関する。かかる使用は、全生物におけるアンチセンス、遺伝子治療および遺伝子免疫化(抗体の発生に関する)のためのオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの細胞への移入を容易にすることを含む。他の使用は、例えば特に遺伝子発現研究およびアンチセンス制御実験において、かかる移入が必要とされる場合にポリヌクレオチドの培養細胞へのトランスフェクションを容易にするために本発明の化合物を用いることを含む。かかるポリヌクレオチドおよびアンチセンス分子の調製のためのプロトコールは当該技術分野において周知である(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)、Cohen, JS ed. Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression, CRC Press, Boca Raton, FL (1989))。ポリヌクレオチドを該化合物と混合し、細胞に加え、インキュベートしてポリヌクレオチド取り込みを可能にすることができる。さらなるインキュベーションの後、トランスフェクトDNAにより与えられる表現型形質について該細胞をアッセイすることができるか、または、ノーザンブロッティングにより、またはPCRに基づく定量化方法(例えば、Taqman(登録商標)法(アメリカ合衆国コネティカット州のPerkin Elmer))を使用することにより、該DNAから発現されるmRNAのレベルを測定することができる。本発明の化合物は、従来技術における化合物と比べて、培養細胞におけるDNAの細胞取り込み効率において有意な(典型的には3〜6倍の)向上をもたらす。トランスフェクションプロトコールでは、該ペンタミン界面活性剤化合物は、トランスフェクションの効率を向上させるために1種類またはそれ以上の補充物と合わせて使用することができる。かかる補充物は、例えば、
(i)中性担体、例えば、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)(Farhood, H., et al (1985) Biochim. Biophys. Acta, 1235-1289);
(ii)錯化剤、例えば、商業的に入手可能なPLUS剤(アメリカ合衆国メリーランド州のLife Technologies Inc.)、またはポリリジンもしくはポリオルニチンペプチドのようなペプチド、または排他的ではないが主にリジン、オルニチンおよび/またはアルギニンのような塩基性アミノ酸を含むペプチド(例えば、Henner, WD et al (1973) J. Virol. 12(4) pp741-747)
から選択され得る。上記リストは網羅していることを意図するものではなく、トランスフェクションの効率を向上させる他の補充物は本発明の範囲内となる。
【0030】
さらに別の態様では、本発明は、本発明の化合物を使用する遺伝子治療における遺伝物質の移入に関する。例えば、当業者は、当該技術分野で周知のプロトコールを使用して、本発明のペンタミン界面活性剤化合物の使用を含む遺伝子治療用の遺伝子送達方法を開発することができる。例えば、遺伝子移入ベクターの肺への送達のための界面活性剤の使用は、Weiss, DJ (2002) Molecular Therapy 6(2) pp148 to 152において論評されている。
【0031】
本発明のさらに別の態様は、本発明の化合物を使用してインビトロおよびインビボで非ヌクレオチド系薬剤化合物の細胞への送達をもたらす方法に関する。
【0032】
以下の定義は、本明細書にてしばしば使用される用語の理解を容易にするためのものである。
【0033】
「アミノ酸」とは、+3NCH(R)CO2-の形の双極子イオン(双性イオン)をいう。それらは、基Rの性質によって区別され、Rが水素と違う場合にはD系列およびL系列を形成する不斉性であり得る。R基が例えば非極性である場合(例えば、アラニン、ロイシン、フェニルアラニン)または極性である場合(例えば、グルタミン酸、ヒスチジン、アルギニンおよびリジン)の20種類の天然アミノ酸がある。非天然アミノ酸の場合、Rは、自然界に見られるアミノ酸では見られない他の基であり得る。
【0034】
「ポリヌクレオチド」とは、一般に、未修飾RNAもしくはDNAであっても修飾RNAもしくはDNAであってもよいポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドをいう。「ポリヌクレオチド」としては、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖領域と二本鎖領域との混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、および一本鎖領域と二本鎖領域との混合物であるRNA、一本鎖もしくはより典型的には二本鎖であり得るかまたは一本鎖領域と二本鎖領域との混合物であり得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。加えて、「ポリヌクレオチド」とは、RNAもしくはDNA、またはRNAおよびDNAの両方を含む三本鎖領域をいう。ポリヌクレオチドなる用語としてはまた、1個またはそれ以上の修飾塩基を含有するDNAのものまたはRNAのもの、および安定性のためまたは別の理由のために修飾された骨格をもつDNAのものまたはRNAのものが挙げられる。「修飾」塩基としては、例えば、トリチル化塩基、およびイノシンのような珍しい塩基が挙げられる。DNAおよびRNAに対して様々な修飾が行われてきた;かくして、「ポリヌクレオチド」は、自然界で典型的に見られるようなポリヌクレオチドの化学的、酵素的または代謝的に修飾された形態、ならびにウイルスおよび細胞のDNAおよびRNA特性をもつ化学形態を包含する。「ポリヌクレオチド」はまた、しばしばオリゴヌクレオチドと称される比較的短いポリヌクレオチドを包含する。
【0035】
「トランスフェクション」とは、化学的手段または物理的手段のいずれかによる細胞膜の修飾を含む方法を使用するポリヌクレオチドの培養細胞への導入をいう。かかる方法は、例えば、Sambrook et al., MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)に記載されている。該ポリヌクレオチドは、直鎖または環状の一本鎖または二本鎖であってよく、ポリヌクレオチドの複製、またはポリヌクレオチドの一部を含んでいてもよい相同的もしくは非相同的遺伝子の発現を制御するエレメントを含むことができる。
【0036】
医薬上許容される酸付加塩は、所望により有機溶媒のような適当な溶媒中にて、式(I)で示される化合物を適当な無機酸または有機酸(例えば、臭化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、コハク酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、安息香酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(例えば、2−ナフタレンスルホン酸)、またはヘキサン酸)と反応させて、例えば結晶化および濾過により通常単離される塩を得ることにより形成することができる。式(I)で示される化合物の医薬上許容される酸付加塩は、例えば、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩(例えば、2−ナフタレンスルホン酸塩)またはヘキサン酸塩を含み得るかまたはこの塩である。
【0037】
本発明は、水和物および溶媒和物を含む式(I)で示される化合物の塩の可能な全ての化学量論的形態および非化学量論的形態をその範囲内に包含する。
【0038】
式(I)で示される化合物には、立体異性体形態で存在することができるものがある。本発明は、これらの化合物の全ての幾何異性体および光学異性体、ならびにラセミ化合物を包含するその混合物を包含することが理解されるであろう。互変異性体もまた本発明の態様をなす。
【0039】
ここで、以下の実施例によって本発明を説明する。該実施例は、如何なる場合も本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【実施例】
【0040】
記載1: N1,N8−ビス(トリフルオロアセチル)−スペルミジン・トリフルオロ酢酸塩(2;m=3、n=4)
【化8】

スペルミジン1(m=3、n=4;8.0g、55.0mmol)のCH3CN(150mL)および水(2.0mL)中溶液にトリフルオロ酢酸エチル(33.0mL、275mmol)を添加し、該混合物を還流させながら3時間加熱した。室温に冷却した後、溶媒を真空蒸発させた。残留固体をCH2Cl2(2×150mL)と一緒にトリチュレートして、白色固体としてトリフルオロ酢酸塩2を得た(21.0g)。
LC−MS(ESI):tR=1.10分(m/z=338.1 [M+H]+)。
【0041】
記載2: N4−(tert−ブトキシカルボニル)−N1,N8−ビス(トリフルオロアセチル)−スペルミジン(3;m=3、n=4)。
【化9】

窒素雰囲気下、ジ炭酸ジ−tert−ブチル(11.3g、51.3mmol)およびトリエチルアミン(75.0mL、54.0mmol)のTHF(25mL)中溶液をN1,N8−ビス(トリフルオロアセチル)スペルミジン・トリフルオロ酢酸塩2(21.0g、46.7mmol)に添加した。室温で18時間後、溶媒を真空蒸発させ、EtOAc(500mL)を添加した。該溶液を5%NaHCO3水溶液(2×150mL)およびブライン(150mL)で連続的に洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空蒸発させて、白色固体としてBocカルバメート3を得た(20.0g)。
LC−MS(ESI):tR=4.09分(m/z=438.3 [M+H]+)。
【0042】
記載3: N4−(tert−ブトキシカルボニル)−スペルミジン(4;m=3、n=4)。
【化10】

10℃で水酸化ナトリウム水溶液(100mL×0.5N)をN4−(tert−ブトキシカルボニル)−N1,N8−ビス(トリフルオロアセチル)−スペルミジン3(20.0g、45.7mmol)のMeOH(500mL)中撹拌溶液に添加した。冷却浴を外し、該混合物を18時間撹拌した後、MeOHを真空蒸発させた。得られた水性懸濁液をCHCl3−MeOH[9:1](5×300mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、真空蒸発させて、無色油状物としてBocカルバメート4(10.0g)を得た。
LC−MS(ESI):tR=2.15分(m/z=246.2 [M+H]+)。
【0043】
記載4: [4−(2−シアノ−エチルアミノ)−ブチル]−[3−(2−シアノ−エチルアミノ)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(5;m=3、n=4)。
【化11】

0℃に維持したBocカルバメート4(4.0g、16.3mmol)のMeOH(50mL)中撹拌溶液にアクリロニトリル(2.15mL、32.6mmol)を2時間にわたってゆっくりと添加した。得られた混合物をさらに18時間室温に維持し、次いで、真空濃縮した。得られた残留物をMeOH:EtOAc[10:90]で溶離するカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製して、無色の粘稠性油状物としてビス−ニトリル5を得た(5.00g)。
LC−MS(ESI):tR=2.15分(m/z=352.1 [M+H]+)。
【0044】
記載5: {4−[tert−ブトキシカルボニル−(2−シアノ−エチル)−アミノ]−ブチル}−{3−[tert−ブトキシカルボニル−(2−シアノ−エチル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(6;m=3、n=4)
【化12】

窒素雰囲気下、ビス−ニトリル5(2.5g、7.11mmol)のTHF(10mL)およびトリエチルアミン(15mL)の混合液中溶液にジ炭酸ジ−tert−ブチル(3.40g、15.64mmol)のTHF(15mL)中溶液を添加した。室温で18時間後、溶媒を真空蒸発させ、EtOAc(100mL)を添加した。有機溶液を5%NaHCO3水溶液(2×50mL)およびブライン(50mL)で連続的に洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空蒸発させて、薄黄色の液体としてトリス−Bocカルバメート6を得た(3.9g)。
1H−NMR(CDCl3):δH 1.45(m,31H)、1.75(m,2H)、2.60(m,4H)、3.16(m,4H)、3.26(m,4H)、3.45(m,4H)。
【0045】
記載6: {4−[(3−アミノ−プロピル)−tert−ブトキシカルボニル−アミノ]−ブチル}−{3−[(3−アミノ−プロピル)−tert−ブトキシカルボニル−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(7;m=3、n=4)。
【化13】

トリス−Bocニトリル6(3.90g、7.06mmol)、NaOH(0.45g、11.2mmol)およびラネーニッケル(2.1g)の95%エチルアルコール(30mL)中混合物を水素雰囲気下(1気圧)にて室温で18時間撹拌した。触媒を濾去し、濾液を10mLに真空濃縮し、40%NaOH水溶液(20mL)およびMeOH(10mL)で処理した。分取した油状物をCHCl3(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、真空濃縮して、薄黄色の油状物としてジアミン7を得た(3.90g)。
1H−NMR(CDCl3):δH 1.45(brs,31H)、1.63(m,4H)、1.73(m,2H)、2.67(m,4H)、3.20(m,12H)。
【0046】
記載7: オクタデカ−9−エン酸(3−アミノ−プロピル)−(4−{3−[(3−アミノ−プロピル)−オクタデカ−9−エノイル−アミノ]−プロピルアミノ}−ブチル)−アミド・三トリフルオロ酢酸塩(9;R=オレイル、m=3、n=4)。
【化14】

オレイン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(2.78g、7.32mmol)のTHF(50mL)中溶液および炭酸カリウム(1.08g、7.86mmol)の水(10mL)中溶液を7(632mg、2.58mmol)のTHF(40mL)中溶液に添加した。得られた混合物を室温で18時間撹拌し、次いで、真空濃縮した。残留物を酢酸エチル(300mL)に溶解し、水(150mL×2)で洗浄し、次いで、乾燥させ(Na2SO4)、真空濃縮して、無色の粘稠性油状物としてトリス−Bocカルバメート8を得た。油状物をCH2Cl2(25mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(15mL)で処理した。得られた混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、真空濃縮し、残留物をジエチルエーテル(200mL)と一緒に共蒸発させて、白色固体として三トリフルオロ酢酸塩9を得た(3.72g)。
LC−MS(ESI):tR=3.94分(m/z=788.7 [M+H]+)。
【0047】
記載8: N1,N8−ジオレイル−N4−トリス−(Aa)x−ペンタミン・塩酸塩(11;R=オレイル、m=3、n=4)の一般的な製造方法
【化15】

トリス−アミン9(300mg、0.27mmol)のCH2Cl2(15mL)中溶液に、N末端保護アミノ酸((PG)y(Aa)x:3.5モル当量)、TBTU(298mg、0.93mmol)、HOBt(125mg、0.93mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.20g、1.59mmol)を添加した。室温で18時間撹拌した後、該反応混合物を真空濃縮し、残留物をEtOAc(10mL)に溶解した。有機溶液を水(2×10mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空濃縮して油状物を得、これを、MeOH:CH2Cl2[5:95]で溶離するカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製して、油状物として中間体Bocカルバメート10を得た。カルバメート10をジエチルエーテル(2mL)に溶解し、HClのジオキサン中溶液(4M、4mL)で処理した。室温で18時間撹拌した後、得られた白色沈殿物を濾過により回収し、無水ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥させて、白色粉末としてペンタミン・塩酸塩11を得た(11〜77%)。
【0048】
実施例1: (Aa)x=L−Lys
【化16】

LC−MS(ESI):tR=10.97分(m/z=1173.1 [M+H]+);HRMS(ESI)m/z:計算値(C67134115)1173.0569、測定値1173.0542 [M+H]+
【0049】
実施例2: (Aa)x=D−Lys
【化17】

LC−MS(ESI):tR=10.93分(m/z=1173.1 [M+H]+);HRMS(ESI)m/z:計算値(C67134115)1173.0569、測定値1173.0540 [M+H]+
【0050】
実施例3: (Aa)x=L−Orn
【化18】

LC−MS(ESI):tR=11.12分(m/z=1131.0 [M+H]+);HRMS(ESI)m/z:計算値(C64128115)1131.0100、測定値1131.0087 [M+H]+
【0051】
実施例4: (Aa)x=L−Ser
【化19】

LC−MS(ESI):tR=12.94分(m/z=1049.9 [M+H]+);HRMS(ESI)m/z:計算値(C5811388)1049.8681、測定値1049.8662 [M+H]+
【0052】
記載9: [4−(3−アミノ−プロピルアミノ)−ブチル]−[3−(3−アミノ−プロピルアミノ)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(12;m=3、n=4)
【化20】

ビス−ニトリル5(3.10g、8.81mmol)、NaOH(0.3g、7.5mmol)およびラネーニッケル(1.5g)の95%エチルアルコール(30mL)中混合物を水素雰囲気下(1気圧)で室温にて18時間撹拌した。触媒を濾去し、濾液を10mLに真空濃縮し、40%NaOH水溶液(20mL)およびMeOH(10mL)で処理した。油状物を分取し、これをCHCl3(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、真空濃縮して、薄黄色の油状物としてアミン12を得た(2.90g)。
1H−NMR(MeOH):δH 1.42−1.61(m,13H)、1.62−1.80(m,6H)、2.52−2.75(m,12H)、3.18−3.33(m,4H)。
【0053】
記載10: {4−[3−(2,2,2−トリフルオロ−アセチルアミノ)−プロピルアミノ]−ブチル}−{3−[3−(2,2,2−トリフルオロ−アセチルアミノ)−プロピルアミノ]−プロピル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(13;m=3、n=4)
【化21】

アミン12(2.98g、8.23mmol)のCH3CN(100mL)中溶液にトリフルオロ酢酸エチル(5.88mL、49.39mmol)および水(2.0mL)を添加した。該反応混合物を還流させながら3時間加熱し、次いで、室温に冷却させ、溶媒を真空蒸発させた。残留固体をまずCH2Cl2(50mL)と一緒にトリチュレートし、次いで、無水ジエチルエーテル(100mL)と一緒にトリチュレートして、薄黄色固体として二トリフルオロ酢酸塩13を得た(6.0g)。
1H−NMR(DMSO):δH 1.35(s,9H)、1.45(m,4H)、1.78(m,6H)、2.88(m,8H)、3.07−3.19(m,4H)、3.25(m,4H)、8.48(brs,4H)、9.50(m,2H)。
【0054】
記載11: {4−[(3−アミノ−プロピル)−オクタデカ−9−エノイル−アミノ]−ブチル}−{3−[(3−アミノ−プロピル)−オクタデカ−9−エノイル−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(15;m=3、n=4)
【化22】

オレイン酸(1.60g、5.66mmol)およびジアミン13(2.00g、2.57mmol)のCH2Cl2(40mL)およびDMF(10mL)の混合液中溶液にTBTU(1.81g、5.66mmol)、HOBt(0.76g、5.66mmol)およびDIEA(1.99g、15.42mmol)を添加した。室温で18時間撹拌した後、該反応混合物を真空濃縮した。残留物をCH2Cl2(100mL)に再溶解し、5%KHSO4水溶液(25mL)、5%K2CO3水溶液(2×25mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。有機溶液を乾燥させ(Na2SO4)、真空濃縮させてガム状物を得、これを、MeOHおよびCHCl3[3:97]の混合物で溶離するカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製して、無色のガム状物として中間体トリフルオロ酢酸塩14を得た。該ガム状物をMeOH(10mL)に溶解し、水(2mL)およびK2CO3(1.13g、8.12mmol)を添加した。得られた混合物を室温で18時間撹拌し、次いで、真空濃縮した。残留物をCH2Cl2(100mL)に溶解し、5%K2CO3水溶液(2×25mL)およびブライン(50mL)で連続的に洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空蒸発させて、無色のガム状物としてジアミン15を得た(1.30g)。
LC−MS(ESI):tR=4.51分(m/z=888.8 [M+H]+)。
【0055】
記載12: 保護N−ヒドロキシスクシンイミジルアミノ酸(PG)y(Aa)xOSucの一般的な製造方法
【化23】

室温にて、N−ヒドロキシスクシンイミド(1.1当量)およびN末端保護アミノ酸(1当量)の無水THF(10mL)中混合物にジシクロヘキシルカルボジイミド(1.05当量)のTHF(15mL)中溶液を撹拌しながら添加した。該混合物を室温で18時間撹拌し、次いで、濾過して、沈殿した固体を除去した。残留物をCH2Cl2(10mL)に再溶解し、さらに2回濾過した。最後に、溶媒を真空蒸発させて、白色粉末としてN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを得た。
(Aa)x(PG)y=D−Lys(Boc)2。LC−MS(ESI):tR=3.88分(m/z=345.1 [M−OSuc]+)。
(Aa)x(PG)y=L−Orn(Boc)2。LC−MS(ESI):tR=3.79分(m/z=331.1 [M−OSuc]+)。
(Aa)x(PG)y=L−Ser(OtBu)(Boc)。LC−MS(ESI):tR=3.02分(m/z=204.1 [M−OSuc]+)。
(Aa)x(PG)y=L−Ser(OtBu)−L−Lys(Boc)2。LC−MS(ESI):tR=3.61分(m/z=433.1 [M−OSuc]+)。
(Aa)x(PG)y=[BocHN(CH2)3]2NCH2CO2H。LC−MS(ESI):tR=3.12分(m/z=388.1 [M−OSuc]+)。
【0056】
記載13: ビス−オレイルペンタミン・塩酸塩(17;R=オレイル、m=3、n=4)の一般的な製造方法
【化24】

室温にて、保護N−ヒドロキシスクシンイミドアミノ酸エステル(PG)y(Aa)xOSuc(2.2当量)およびジアミン15(1.0当量)のTHF(30mM)中溶液をK2CO3の水中溶液(2.2当量、0.2M)で処理した。該混合物を18時間撹拌し、次いで、真空濃縮した。残留物をEtOAc(15mM)で希釈し、半分の量の水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空蒸発させてガム状物を得、これを、MeOHおよびCHCl3[10:90]の混合物で溶離するカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製して、ガム状物として中間体Bocカルバメート16を得た。該ガム状物を、窒素下にて室温で18時間、HClのジエチルエーテル中溶液(2M、50mM)で処理した後、沈殿した固体を濾過により回収し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥させて、白色粉末としてビス−オレイルペンタミン・塩酸塩17を得た(収率66〜88%)。
【0057】
実施例5: (Aa)x=L−Lys
【化25】

LC−MS(ESI):tR=10.17分(m/z=1044.96 [M+H]+);HRMS(ESI)m/z:計算値(C6112294)1044.9606、測定値1044.9626 [M+H]+
【0058】
実施例6: (Aa)x=D−Lys
【化26】

LC−MS(ESI):tR=10.24分(m/z=1044.96 [M+H]+);HRMS(ESI)m/z:計算値(C6112294)1044.9620、測定値1044.9630 [M+H]+
【0059】
実施例7: (Aa)x=L−Orn
【化27】

LC−MS(ESI):tR=10.25分(m/z=1016.93 [M+H]+);HRMS(ESI)m/z:計算値(C5911894)1016.9307、測定値1016.9313 [M+H]+
【0060】
実施例8: (Aa)x=L−Ser
【化28】

LC−MS(ESI):tR=11.71分(m/z=962.8364 [M+H]+);HRMS(ESI)m/z:計算値(C5510876)962.8361、測定値962.8364 [M+H]+
【0061】
実施例9: (Aa)x=L−Ser−L−Lys
【化29】

LC−MS(ESI):tR=10.39分(m/z=1219.03 [M+H]+)、HRMS(ESI)m/z:計算値(C67132118)1219.0260、測定値1219.0258 [M+H]+
【0062】
実施例10: (Aa)x=[H2N(CH2)3]2NCH2CO2
【化30】

LC−MS(ESI):tR=9.96分(m/z=1131.05 [M+H]+);HRMS(ESI)m/z:計算値(C65132114)1131.0464、測定値1131.0470 [M+H]+
【0063】
記載14: 2,2,2−トリフルオロ−N−[3−(4−{3−[3−(2,2,2−トリフルオロ−アセチルアミノ)−プロピルアミノ]−プロピルアミノ}−ブチルアミノ)−プロピル]−アセトアミド・三トリフルオロ酢酸塩(18;m=3、n=4)
【化31】

室温で、Bocカルバメート13(4.00g、5.14mmol)のCH2Cl2(10mL)中撹拌溶液にトリフルオロ酢酸(10mL)を添加した。18時間後、該混合物を真空濃縮し、残留物を無水ジエチルエーテル(100mL)で処理した。得られた沈殿物を濾過により回収し、無水ジエチルエーテル(50mL)で洗浄して、白色粉末として三トリフルオロ酢酸塩18を得た(4.00g)。
1H−NMR(MeOH):δ 1.75(m,4H)、1.95(m,4H)、2.10(m,2H)、3.05(m,8H)、3.15(m,4H)、3.38(m,4H)。
【0064】
記載15: オクタデカ−9−エン酸{4−[(3−アミノ−プロピル)−オクタデカ−9−エノイル−アミノ]−ブチル}−{3−[(3−アミノ−プロピル)−オクタデカ−9−エノイル−アミノ]−プロピル}−アミド(20;R=オレイル、m=3、n=4)
【化32】

オレイン酸(3.00g、10.6mmol)、18(2.50g、3.21mmol)のCH2Cl2(100mL)中溶液にTBTU(4.12g、12.8mmol)、HOBt(1.73g、12.8mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(4.15g、32.1mmol)を添加した。室温で18時間撹拌した後、該混合物を真空濃縮し、残留物をCH2Cl2(100mL)に再溶解し、5%KHSO4水溶液(25mL)、5%K2CO3水溶液(2×25mL)、およびブライン(50mL)で連続的に洗浄した。有機溶液を乾燥させ(Na2SO4)、真空濃縮して油状物を得、これを、MeOHおよびCHCl3[3:97]の混合物で溶離するカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製して、無色のガム状物としてトリフルオロアセトアミド19を得た。
【0065】
該ガム状物をMeOH(10mL)および水(2mL)の混合物に溶解し、K2CO3(1.13g、8.12mmol)を添加した。この混合物を窒素下にて室温で18時間撹拌し、次いで、真空濃縮した。残留物をCH2Cl2(100mL)で希釈し、有機溶液を5%K2CO3水溶液(2×25mL)およびブライン(50mL)で連続的に洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空蒸発させて、無色のガム状物としてビス−アミン20を得た(1.50g)。
LC−MS(ESI):tR=8.98分(m/z=1053.4 [M+H]+)。
【0066】
記載16: トリス−オレイル,ビス−(Aa)x−ペンタミン・塩酸塩(22;R=オレイル、m=3、n=4)の一般的な製造方法
【化33】

室温で、保護N−ヒドロキシスクシンイミドアミノ酸エステル(PG)y(Aa)xOSuc(2.2当量)およびジアミン20(1.0当量)のTHF(20mM)中溶液をK2CO3の水中溶液(2.2当量、0.2M)で処理した。該混合物を窒素下で18時間撹拌し、次いで、真空濃縮した。残留物をEtOAc(10mM)で希釈し、半分の量の水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空蒸発させてガム状物を得、これを、MeOHおよびCHCl3[10:90]の混合物で溶離するカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製して、ガム状物として中間体Bocカルバメート21を得た。該ガム状物を、窒素下にて室温で18時間、HClのジエチルエーテル中溶液(2M、50mM)で処理し、沈殿した固体を濾過により回収し、無水ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥させて、白色粉末としてトリス−オレイルペンタミン・塩酸塩22を得た(収率41〜56%)。
【0067】
実施例11: (Aa)x=L−Lys
【化34】

LC−MS(ESI):tR=12.94分(m/z=1309.20 [M+H]+);HRMS(ESI)m/z:計算値(C7915495)1309.2073、測定値1309.2070 [M+H]+
【0068】
実施例12: (Aa)x=D−Lys
【化35】

LC−MS(ESI):tR=12.94分(m/z=1309.20 [M+H]+);HRMS(ESI)m/z:計算値(C7915495)1309.2073、測定値1309.2075 [M+H]+
【0069】
実施例13: (Aa)x=L−Orn
【化36】

LC−MS(ESI):tR=12.97分(m/z=1281.17 [M+H]+);HRMS(ESI)m/z:計算値(C5911895)1281.1760、測定値1281.1759 [M+H]+
【0070】
実施例14: (Aa)x=L−Ser
【化37】

LC−MS(ESI):tR=17.28分(m/z=1227.08 [M+H]+);HRMS(ESI)m/z:計算値(C7314077)1227.0814、測定値1227.0814 [M+H]+
【0071】
実施例15: (Aa)x=L−Ser−L−Lys
【化38】

LC−MS(LC−TOF):tR=3.17分(1484.60 [M+H]+)。
【0072】
実施例16: (Aa)x=[H2N(CH2)3]2NCH2CO2
【化39】

LC−MS(LC−TOF):tR=3.83分(m/z=1396.75 [M+H]+)。
【0073】
実施例17: ビス−オレイルペンタミン・塩酸塩(23;R=オレイル、m=3、n=4)の製造方法
【化40】

モノ−Bocジアミン14(90.0mg、0.10mmol)をHClのジエチルエーテル中溶液(2M、5mL)で処理し、窒素下にて室温で3時間撹拌した。窒素流下で溶媒を蒸発させ、残留固体を無水ジエチルエーテル(2mL)で洗浄し、真空乾燥させて、白色粉末として三塩酸塩23を得た(85.0mg)。
LC−MS(ESI):tR=12.28分(m/z=788.77 [M+H]+);HRMS(ESI)m/z:計算値(C499852)788.7721、測定値788.7710 [M+H]+
【0074】
実施例18: トリス−オレイルペンタミン・塩酸塩(24;R=オレイル、m=3、n=4)の製造方法
【化41】

トリス−オレアート20(85.0mg、81.0μmol)をHClのジエチルエーテル中溶液(1.5M、5mL)で処理し、窒素下にて室温で3時間撹拌した。窒素流下にて溶媒を蒸発させ、残留白色固体を無水ジエチルエーテル(2mL)で洗浄し、真空乾燥させて、白色粉末として二塩酸塩24を得た(70.0mg)。
LC−MS(ESI):tR=17.63分(m/z=1053.01 [M+H]+);HRMS(ESI)m/z:計算値(C6713053)1053.0174、測定値1053.0181 [M+H]+
【0075】
実施例19 ペンタミン系化合物を使用する、GFPを発現する組換えプラスミドの細胞へのトランスフェクション
付着細胞系CHO−K1、CV1およびA549細胞を使用してトランスフェクション試験を行った。完全培地は、10%v/vのウシ胎仔血清および1×L−グルタミンを補充した、F12培地(CHO−K1について)およびDMEM培地(CV1、A549について)からなっていた。全ての培地および補充物は、Life Technologiesから入手した。
【0076】
インビトロ遺伝子トランスフェクション
トランスフェクションの16〜18時間前に細胞を組織培養処理済み96ウェルプレート(Costar)中に約2×104細胞/ウェルの密度で播種した。Optimem中にて0.025μg/μlのプラスミド溶液を調製した。使用したプラスミドは、Clontechから入手したpCMV−eGFPであった。最終反応混合物中の最終濃度が20、10、5および2.5μg/mlとなるように該ペンタミン脂質を10倍濃縮物としてOptimemに溶解した。ウェルごとにペンタミン脂質10μlをプラスミド10μlと混合した。該複合体を室温で10分間インキュベートした。プレート中の細胞から培地を除去し、それらをPBS 100μlで1回洗浄した。該複合体(20μl)を各ウェルに加え、次に、Optimem(無血清)または増殖培地(血清)80μlを加えて、最終容量を100μlにした。無血清プロトコールでは、次いで、該プレートを37℃で6時間インキュベートし、次いで、培地を除去し、各ウェルに新鮮な完全培地を加え、さらに18時間インキュベーションを続けた。血清プロトコールでは、該プレートを37℃で24時間インキュベートした。
【0077】
製造者(Roche Diagnostics)のガイドラインに従ってレポーター遺伝子アッセイを行った。該プレートから培地を除去し、細胞をPBS 100μlで1回洗浄した。次いで、各ウェルにレポーター溶解バッファー(50mM HEPES pH7.5、2mM EDTA、0.05%トリトン×100、2mM DTT)100μlを加えた。次いで、該プレートを−80℃で15分間放置し、その後、室温で解凍した。次いで、励起波長485nmおよび発光波長520nmを用いて標準的なプレートリーダー(Tecan Ultra、Tecan)を使用して蛍光を測定した。
【0078】
図8は、実施例4の化合物を用いてトランスフェクトされたCHO−K1細胞におけるGFPの発現を示す。
図9は、実施例12、13、15、17および18の化合物を用いてトランスフェクトされたA549細胞におけるpCMV−eGFPの発現を示す。
図10は、実施例5、6、7、8および11の化合物を用いてトランスフェクトされたCV−1細胞におけるpCMV−eGFPの発現を示す。
図11は、実施例12、13、15、17および18の化合物を用いてトランスフェクトされたCV−1細胞におけるpCMV−eGFPの発現を示す。
【0079】
実施例20 ペンタミン系界面活性剤化合物を使用するsiRNAの細胞へのトランスフェクション
付着細胞系A549、Ishikawa、MCF7およびCaco2を使用してノックダウン試験を行った。完全培地は、10%v/vのウシ胎仔血清および1×L−グルタミンを補充した、DMEM培地(A549、Ishikawa、MCF7について)およびEMEM培地(Caco2について)からなっていた。全ての培地および補充物は、Life Technologiesから入手した。
【0080】
インビトロsiRNAトランスフェクション
トランスフェクションの16〜18時間前に細胞を組織培養処理済み96ウェルプレート(Costar)中に約2×104細胞/ウェルの密度で播種した。Optimem中にてDharmaconから購入したsiRNA(ターゲティングJNK1または非ターゲティング対照)の1uM溶液を調製した。最終反応混合物中の最終濃度が5μg/mlとなるようにジェミニ脂質を10倍濃縮物としてOptimemに溶解した。市販の試薬リポフェクタミン2000を最終濃度2.5μg/mlで使用した。ウェルごとにジェミニ脂質の10ul試料をsiRNA 10ulと混合した。該複合体を室温で10分間インキュベートした。プレート中の細胞から培地を除去し、それらをPBS 100μlで1回洗浄した。該複合体(20μl)を各ウェルに添加し、次いで、増殖培地(血清)80μlを添加して最終容量を100μlにし、該プレートを37℃で24時間インキュベートした。この時点で、PBS 100μlを使用して細胞を1回洗浄し、次いで、RNA溶解バッファー(Promega)100μlに溶解させた。標準的な定量的RT−PCR(taqman)を行って、Jnk1 siRNA標識細胞および非標的細胞の両方においてハウスキーピング遺伝子GAPDHと比べたJnk1の相対的な存在量を測定した。ノックダウンの程度は、Jnk1の処理(Jnk1)コピー対Jnk1の対照(非標的)コピーの比率として表した。
【0081】
図12は、実施例12、13および4の化合物を用いてトランスフェクトされたCaco2細胞におけるJnk1のノックダウンを示す。
図13は、実施例13の化合物を用いてトランスフェクトされたIshikawa細胞におけるJnk1のノックダウンを示す。
図14は、実施例13の化合物を用いてトランスフェクトされたMCF7細胞におけるJnk1のノックダウンを示す。
図15は、実施例12および13の化合物を用いてトランスフェクトされたA549細胞におけるJnk1のノックダウンを示す。
【0082】
本明細書にて引用した特許および特許出願を包含するがこれらに限定されない全ての刊行物は、個々の刊行物が十分に記載されているのと同様に参照することにより本明細書の一部を構成することを具体的かつ個別に明示されているのと同様に参照することにより本明細書の一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、本発明の分子の合成において有用な進んだ中間体5の合成のための一般的なスキームを示す。
【図2】図2は、本発明の一の一般的な実施態様による分子の合成のための一般的なスキームを示す。
【図3】図3は、本発明の分子の合成において有用な活性化アミノ酸(Aa)x基の調製のための反応スキームを示す。
【図4】図4は、本発明のさらなる一般的な実施態様による分子の合成のための一般的なスキームを示す。
【図5】図5は、本発明のさらなる一般的な実施態様による分子の合成のための一般的なスキームを示す。
【図6】図6は、本発明の一の実施態様による分子の塩の生成のための進んだ中間体の脱保護のための一般的な反応スキームを示す。
【図7】図7は、本発明の一の実施態様による塩の生成のための反応スキームを示す。
【図8】図8は、実施例4の化合物を用いてトランスフェクトされたCHO−K1細胞におけるGFPの発現を示す。実施例4の濃度は、ug/mlで示される。L2Kは、リポフェクタミン2000TMを示す。
【図9】図9は、実施例12、13、15、17および18の化合物を用いてトランスフェクトされたA549細胞におけるpCMV−GFPの発現を示す。L2K#は、リポフェクタミン2000TMを示す。
【図10】図10は、実施例5、6、7、8および11の化合物を用いてトランスフェクトされたCV−1細胞におけるpCMV−GFPの発現を示す。L2K#は、リポフェクタミン2000TMを示す。
【図11】図11は、実施例12、13、15、17および18の化合物を用いてトランスフェクトされたCV−1細胞におけるpCMV−GFPの発現を示す。L2K#は、リポフェクタミン2000TMを示す。
【図12】図12は、実施例12、13および4の化合物を用いてトランスフェクトされたCaco2細胞におけるJnk1のノックダウンを示す。L2Kは、リポフェクタミン2000TMを示す。
【図13】図13は、実施例13の化合物を用いてトランスフェクトされたIshikawa細胞におけるJnk1のノックダウンを示す。L2Kは、リポフェクタミン2000TMを示す。
【図14】図14は、実施例13の化合物を用いてトランスフェクトされたMCF7細胞におけるJnk1のノックダウンを示す。L2Kは、リポフェクタミン2000TMを示す。
【図15】図15は、実施例12および13の化合物を用いてトランスフェクトされたA549細胞におけるJnk1のノックダウンを示す。L2Kは、リポフェクタミン2000TMを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
mは、1〜6であり;
qは、1〜6であり;
nは、1〜10であり;
pは、1〜10であり;
1、R2、R3、R4およびR5は、同一であっても異なっていてもよく、各々、水素、Rw、または(Aa)xから選択され;
ここで、Rwは、アミド誘導体として結合した、炭素原子24個までの飽和または不飽和の分枝状または非分枝状脂肪族カルボン酸であり、ここで、分子中に少なくとも2個のRw基が存在し;
(Aa)xは、各場合において同一であっても異なっていてもよく、直鎖または分枝状に結合した一連のx個の天然または非天然アミノ酸であり;
xは、0〜6である]
で示される一般構造を有する化合物、またはその塩、好ましくは、医薬上許容される塩。
【請求項2】
mが2または3である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
qが2または3である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
nが3〜6である、請求項1〜3いずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
pが3〜6である、請求項1〜4いずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
(Aa)が塩基性アミノ酸である、請求項1〜5いずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
(Aa)が[H2N(CH2)3]N(CH2)CO2H、(H2NCH2)2CHCO2H、またはSer、Lys、Orn、DabまたはDapのLまたはDエナンチオマーから選択される、請求項1〜5いずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
xが1である、請求項1〜6いずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
1およびR5が共にRwであり、R2、R3およびR4が(Aa)xである:
【化2】

[R1およびR5は、独立して、Rwであり、R2、R3およびR4は、独立して、(Aa)xである]、請求項1〜8いずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
2およびR4がRwであり、R3が水素であり、R1およびR5が(Aa)xである:
【化3】

[R2およびR4は、独立して、Rwであり、R1およびR5は、独立して、(Aa)xである]、請求項1〜8いずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
2およびR4がRwであり、R1、R3およびR5が全て水素または全て(Aa)xである:
【化4】

または
【化5】

[R2およびR4は、独立して、Rwであり、R1、R3およびR5は、全てHまたは全て独立して(Aa)xである]、請求項1〜8いずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
2、R3およびR4がRwであり;R1およびR5が共に水素または共に(Aa)xである:
【化6】

または
【化7】

[R2、R3およびR4は、Rwであり、R1およびR5は、共に水素または共に独立して(Aa)xである]、請求項1〜8いずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
アミド誘導体として結合した、炭素原子24個までの飽和または不飽和の分枝状または非分枝状脂肪族カルボン酸Rwが炭素原子12個またはそれ以上を有する、請求項1〜8いずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
アミド誘導体として結合した、炭素原子24個までの飽和または不飽和の分枝状または非分枝状脂肪族カルボン酸Rw
−C(O)(CH2)10CH3
−C(O)(CH2)12CH3
−C(O)(CH2)14CH3
−C(O)(CH2)16CH3
−C(O)(CH2)18CH3
−C(O)(CH2)20CH3
−C(O)(CH2)7CH=CH(CH2)5CH3天然混合物、
−C(O)(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3天然混合物、
−C(O)(CH2)7CH=CH(CH2)5CH3シス、
−C(O)(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3シス、
−C(O)(CH2)7CH=CH(CH2)5CH3トランス、
−C(O)(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3トランス、
−C(O)(CH2)7CH=CHCH2CH=CH(CH2)4CH3
−C(O)(CH2)7(CH=CHCH2)3CH3
−C(O)(CH2)3CH=CH(CH2CH=CH)3(CH2)4CH3
−C(O)(CH2)7CHCH(CH2)7CH3
−C(O)CH2CH(CH3)[CH2CH2CH2CH(CH3)]3CH3、または
−C(O)(CH2)22CH3
から選択される、請求項1〜11いずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
式:
【化8】

で示される化合物。
【請求項16】
式:
【化9】

で示される化合物。
【請求項17】
インビボまたはインビトロでのDNAもしくはRNAまたはそのアナログの真核細胞または原核細胞へのトランスフェクションを可能にすることにおける請求項1〜16いずれか1項で定義した化合物の使用。
【請求項18】
請求項17記載のペンタミン界面活性剤化合物の使用であって、該化合物が、
(i)中性担体;または
(ii)錯化剤
からなる群から選択される1つまたはそれ以上の補充物と合わせて用いられる、使用。
【請求項19】
中性担体がジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)である、請求項18記載の使用。
【請求項20】
錯化剤がPLUS剤である、請求項18記載の使用。
【請求項21】
錯化剤が主に塩基性アミノ酸を含むペプチドである、請求項18記載の使用。
【請求項22】
ペプチドが塩基性アミノ酸からなる、請求項21記載の使用。
【請求項23】
塩基性アミノ酸がリジンおよびアルギニンから選択される、請求項21または22記載の使用。
【請求項24】
ペプチドがポリリジンまたはポリオルニチンである、請求項21記載の使用。
【請求項25】
遺伝子治療のためにインビボでポリヌクレオチドを細胞へトランスフェクトする方法であって、請求項1〜16いずれか1項記載の化合物を遺伝子治療ベクターと一緒にまたは遺伝子治療ベクターとは別に投与することを含む、方法。
【請求項26】
抗感染症治療のためのポリヌクレオチドまたは抗感染症化合物の原核生物または真核生物への移入を容易にするための請求項1〜16いずれか1項記載の使用。
【請求項27】
培養細胞のお互いの接着または固体もしくは半固体表面への接着を容易にするための請求項1〜16いずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項28】
1個またはそれ以上の活性化アミノ酸および/または1個またはそれ以上の活性化Rw基と保護されていてもよいペンタミン分子とのカップリングを含んでおり、必要に応じて該カップリングの後に脱保護工程を含んでいてもよい、請求項1〜16いずれか1項記載の化合物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2008−520610(P2008−520610A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541816(P2007−541816)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012461
【国際公開番号】WO2006/053783
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】