説明

トランスフォーマ及びこれを備えるフラットパネルディスプレイ装置

【課題】LCDディスプレイ装置やLEDディスプレイ装置などの薄型ディスプレイ装置に採用することのできる薄型トランスフォーマ、及びこれを備えるフラットパネルディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】本発明によるトランスフォーマは、内部に貫通孔が備えられた管状の胴部と前記胴部の両端から外部に突出するフランジ部とを備える複数のボビンが結合されて構成されるボビン部と、前記ボビンに巻回されるコイルと、前記コイルと電磁結合する磁路を形成するコアとを含み、少なくとも1つの前記ボビンは、前記コイルのリード線が前記フランジ部を経由して前記フランジ部の外部面に配置される経路であるコイル経由部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCDディスプレイ装置やLEDディスプレイ装置などの薄型ディスプレイ装置に採用することのできる薄型トランスフォーマ、及びこれを備えるフラットパネルディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイ産業では、CRT(Cathode Ray Tube)に代替して、高解像度や大画面などのマルチメディアシステムに適した新技術のフラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)が注目されている。
【0003】
特に、大型ディスプレイにおいては、LCD(Liquid Crystal Display)テレビやPDP(Plasma Display Panel)テレビなどの薄型ディスプレイが注目されており、今後コストや市場性の面で持続的な関心が寄せられることが期待されている。
【0004】
そのうち、LCDテレビにおいては、バックライト光源として冷陰極蛍光ランプ(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)が使用されてきたが、最近、電力消費、寿命、親環境性などの様々な利点から、LED(Light Emitting Diode)の採用が次第に増加している。
【0005】
LEDを用いることにより、バックライトユニットが小型化されており、従って、フラットテレビの厚さも次第に薄くなっている。そして、フラットテレビ内部のパワー供給モジュールや、これに実装されるトランスフォーマも、スリム化が求められている。
【0006】
ところが、トランスフォーマが薄型に形成されることにより、トランスフォーマに巻回されるコイルの配置範囲が非常に狭くなるため、コイルを外部接続端子に引き出して締結することが難しいという問題がある。
【0007】
特に、複数のコイルを外部接続端子に締結する際には、コイルを互いに交差するように配置しなければならない場合が発生し、従って、交差するコイル間に接触が生じ、電気的な短絡が発生するという問題がある。
【0008】
一般に、従来のトランスフォーマにおいては、コイルがプリント基板に対して垂直に巻回されていた。また、コアは、プリント基板と平行に磁路を形成するように備えられていた。これにより、トランスフォーマの漏洩磁束は、ほとんどがバックカバーとトランスフォーマの間の空間(又は、プリント基板とトランスフォーマの間の空間)で磁路を形成していた。
【0009】
つまり、従来のトランスフォーマにおいては、バックカバーとトランスフォーマの間の空間全体にわたって漏洩磁束が分布するので、ディスプレイ装置のスリム化のためにバックカバーとトランスフォーマとの間隔を狭くした場合、漏洩磁束の干渉により、金属製のバックカバーが振動して騒音を発生するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、薄型ディスプレイ装置などで容易に使用することのできる薄型トランスフォーマ、及びこれを備えるフラットパネルディスプレイ装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、複数のコイルを互いに交差させないと共に外部接続端子に容易に締結することのできるトランスフォーマ、及びこれを備えるフラットパネルディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるトランスフォーマは、内部に貫通孔が備えられた管状の胴部と前記胴部の両端から外部に突出するフランジ部とを備える複数のボビンが結合されて構成されるボビン部と、前記ボビンに巻回されるコイルと、前記コイルと電磁結合する磁路を形成するコアとを含み、少なくとも1つの前記ボビンは、前記コイルのリード線が前記フランジ部を経由して前記フランジ部の外部面に配置される経路であるコイル経由部を備える。
【0013】
本発明の実施形態において、前記コイル経由部は、前記胴部に巻回された前記コイルのリード線が前記フランジ部の外部面に移動する経路である経由溝と、前記経由溝を経由した前記リード線が前記フランジ部の下部面を横切るように配置される経路である横断経路とを含んでもよい。
【0014】
本発明の実施形態において、前記ボビンは、少なくとも1つの前記フランジ部の一端から突出して形成され、複数の外部接続端子が締結される端子締結部を備えてもよい。
【0015】
本発明の実施形態において、前記コイル経由部は、前記端子締結部と、前記フランジ部の外部面から前記端子締結部と平行に突出して形成されるガイドブロックとの間に形成される経路であってもよい。
【0016】
本発明の実施形態において、前記ガイドブロックは、一端が前記フランジ部の外周縁から外部に突出するように形成され、前記経由溝は、前記ガイドブロックの突出した一端、前記端子締結部、及び前記フランジ部により形成される溝であってもよい。
【0017】
本発明の実施形態において、前記端子締結部は、前記外部接続端子間の空間に形成される複数の引き出し溝を備え、複数の前記リード線は、前記経由溝又は前記引き出し溝を介して前記外部接続端子に接続されるようにしてもよい。
【0018】
本発明の実施形態においては、前記横断経路又は前記端子締結部から外部に突出するように形成される少なくとも1つの支持突起をさらに含み、前記リード線は、前記支持突起に支持されて配置方向が転換されるようにしてもよい。
【0019】
本発明の実施形態において、前記支持突起は、前記フランジ部が形成する平面と平行な方向に突出してもよい。
【0020】
本発明の実施形態において、前記支持突起は、前記フランジ部が形成する平面と垂直な方向に突出してもよい。
【0021】
本発明の実施形態において、前記支持突起は、前記リード線との接触面が前記フランジ部と直角又は鋭角をなすように突出してもよい。
【0022】
本発明の実施形態において、前記ガイドブロックは、前記支持突起が形成された部分に対応して前記端子締結部との離隔距離が大きくなるように形成してもよい。
【0023】
本発明の実施形態において、前記支持突起は、前記リード線と接触する部分に面取り部が形成されるようにしてもよい。
【0024】
本発明の実施形態において、前記ガイドブロックは、前記フランジ部の外部に突出した一端から前記経由溝に向かって開放されるように形成される係止溝を備えてもよい。
【0025】
本発明の実施形態において、前記ボビン部は、前記コイル経由部を備える外側ボビンと、前記外側ボビンの貫通孔に挿入されて結合される内側ボビンとを含んでもよい。
【0026】
また、本発明によるトランスフォーマは、内部に貫通孔が備えられた管状の胴部と前記胴部の両端から外部に突出するフランジ部とを備える複数のボビンから構成されるボビン部と、少なくとも1つの前記フランジ部の一端に締結される外部接続端子と、前記胴部の外周面と前記フランジ部の一面が形成する空間に巻回される少なくとも1つのコイルとを含み、前記コイルのリード線は、互いに交差することを防止するために、前記フランジ部の一面と他面に分散配置されて前記外部接続端子に締結されるようにしてもよい。
【0027】
本発明の実施形態において、少なくとも1つの前記ボビンは、前記フランジ部の一端から突出して形成され、複数の外部接続端子が締結され、前記外部接続端子間の空間に前記リード線が配置される複数の引き出し溝が形成される端子締結部を備えてもよい。
【0028】
本発明の実施形態において、少なくとも1つの前記ボビンは、前記リード線が前記フランジ部の外部面に移動する経路である経由溝と、前記経由溝を経由した前記リード線が前記フランジ部の他面を横切るように配置される経路である横断経路とを含むコイル経由部を備えてもよい。
【0029】
また、本発明によるフラットパネルディスプレイ装置は、少なくとも1つの前記トランスフォーマが基板上に実装されて形成される電源供給部と、前記電源供給部から電源が供給されるディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネル及び前記電源供給部を保護するカバーとを含んでもよい。
【0030】
本発明の実施形態において、前記トランスフォーマの前記コイルは、前記電源供給部の前記基板と平行に巻回されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によるトランスフォーマは、個別に分離される複数のボビン(例えば、内側ボビン及び外側ボビン)を備え、これらボビンが結合する構造を有する。よって、個別のボビン毎にコイルを巻回し、その後、コイルが巻回された個別のボビンを結合することにより、トランスフォーマを完成することができる。従って、生産工程を自動化することができ、製造コストと製造時間を最小限に抑えることができるという利点がある。
【0032】
また、本発明によるトランスフォーマは、コイルのリード線がボビンの下部面でボビンを横切る経路であるコイル経由部を備える。つまり、本発明によるトランスフォーマにおいては、端子締結部の引き出し溝だけでなく、コイル経由部を介して、コイルを外部接続端子に接続することができる。
【0033】
従って、コイルのリード線をより様々な経路で外部接続端子に締結することができるので、リード線が互いに接触してリード線間で短絡が発生する問題を防止することができる。
【0034】
また、本発明によるトランスフォーマが基板に実装された場合、トランスフォーマのコイルは、基板と平行に巻回された状態を維持する。このように、コイルが基板と平行に巻回された場合、トランスフォーマから発生する漏洩磁束が外部と干渉することを最小限に抑えることができる。
【0035】
従って、薄型ディスプレイ装置にトランスフォーマが取り付けられても、トランスフォーマから発生する漏洩磁束とディスプレイ装置のバックカバー間で干渉が生じることを最小限に抑えることができるので、トランスフォーマによりディスプレイ装置に騒音が発生することを防止することができる。つまり、薄型ディスプレイ装置にも容易に採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1a】本発明の実施形態によるトランスフォーマを概略的に示す斜視図である。
【図1b】本発明の実施形態によるトランスフォーマを概略的に示す斜視図である。
【図2】図1bに示すトランスフォーマのボビン部を概略的に示す斜視図である。
【図3】図1aに示すトランスフォーマをA−A'線に沿った断面図である。
【図4】図1aに示すトランスフォーマの内側ボビンを概略的に示す斜視図である。
【図5】図4のB部分を拡大して他の角度で示す部分斜視図である。
【図6】図1aに示すトランスフォーマの外側ボビンの下部を概略的に示す底面斜視図である。
【図7】図6に示す外側ボビンの下部面を示す底面図である。
【図8】図6に示す外側ボビンをC−C'線に沿った部分断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態による外側ボビンの下部面を示す斜視図である。
【図10】図9に示す外側ボビンの下部面を示す底面図である。
【図11a】本発明の実施形態によるフラットパネルディスプレイ装置を概略的に示す分解斜視図である。
【図11b】図11aのD−D'線に沿った部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本明細書及び請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常の意味又は辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者は自分の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に基づき、本発明の技術的思想に合致するように解釈しなければならない。よって、本明細書に記載された実施形態と図面に開示された構成は、本発明の最も好ましい実施形態にすぎず、本発明の技術的思想を完全に示すものではないので、本出願時点においてこれらに代替できる様々な均等物や変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0038】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。なお、添付図面において、同一の構成要素には可能な限り同一の符号を付す。また、本発明の要旨を不明にする公知機能及び構成については詳細な説明を省略する。同様の理由で、添付図面において、一部の構成要素は誇張もしくは省略したり概略的に示し、各構成要素の大きさは実際の大きさをそのまま反映するものではない。
【0039】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0040】
図1a及び図1bは本発明の実施形態によるトランスフォーマを概略的に示す斜視図であり、図2は図1bに示すトランスフォーマのボビン部を概略的に示す斜視図であり、図3は図1aに示すトランスフォーマをA−A'線に沿った断面図である。
【0041】
また、図4は図1aに示すトランスフォーマの内側ボビンを概略的に示す斜視図であり、図5は図4のB部分を拡大して他の角度で示す部分斜視図である。図6は図1aに示すトランスフォーマの外側ボビンの下部を概略的に示す底面斜視図であり、図7は図6に示す外側ボビンの下部面を示す底面図であり、図8は図6に示す外側ボビンをC−C'線に沿った部分断面図である。
【0042】
図1a〜図8に示すように、本発明の実施形態によるトランスフォーマ100は、ボビン部10、コイル50、及びコア40を含む。
【0043】
ボビン部10は、外側ボビン30と、少なくとも1つの内側ボビン20とを含む。
【0044】
内側ボビン20は、図4及び図5に示すように、内部中心に貫通孔21が形成される管状の胴部22と、胴部22の両端から胴部22の外径方向に拡張されて形成されるフランジ部23と、外部と電気的かつ物理的に接続するための外部接続端子26と、外部接続端子26が締結される端子締結部24とを備える。
【0045】
胴部22の内部に形成される貫通孔21は、後述するコア40の一部が挿入される通路として用いられる。本実施形態においては、貫通孔21が断面矩形状に形成される場合を例に挙げる。これは、貫通孔21に挿入されるコア40の形状に対応して形成されたものであり、本発明による内側ボビン20の貫通孔21は、これに限定されず、貫通孔21に挿入されるコア40の形状に対応して様々な形状に形成することができる。
【0046】
フランジ部23は、形成位置によって上部フランジ部23aと下部フランジ部23bに分けられる。また、胴部22の外周面、上部フランジ部23a、及び下部フランジ部23bの間に形成される空間は、後述するコイル50が巻回される内側巻線部20aとして用いられる。つまり、フランジ部23は、内側巻線部20aに巻回されるコイル50を両側面から支持する役割を果たすと共に、外部からコイル50を保護し、外部とコイル50間の絶縁性を確保する役割を果たす。
【0047】
内側ボビン20の下部フランジ部23bの一側には、外部接続端子26が締結される端子締結部24が形成される。端子締結部24は、下部フランジ部23bの一側から外部方向(すなわち、下方)に突出して形成され、内側巻線部20aに巻回されるコイル50のリード線が挿入される少なくとも1つの引き出し溝25を備えてもよい。引き出し溝25により、コイル50のリード線を内側ボビン20の外部に引き出すことができる。
【0048】
外部接続端子26は、端子締結部24から胴部22の外径方向又は下方に突出するように、端子締結部24に締結される。特に、本実施形態による外部接続端子26は、下部フランジ部23bの外周縁に沿って配置されるように、端子締結部24に締結されることを特徴とする。
【0049】
また、内側ボビン20の端子締結部24は、外径方向に沿って突出して形成される支持部29aを備える。支持部29aは、所定間隔離隔して配置された外部接続端子26間の空間に形成され、後述する支持顎29と同様に、外側ボビン30の下部面と接触して外側ボビン30を支持することができる。
【0050】
一方、本実施形態においては、支持部29aが外部接続端子26の突出方向と平行な方向に突出する場合を例に挙げる。しかしながら、本発明による支持部29aは、これに限定されず、端子締結部24の側面から外部接続端子26の突出方向と垂直な方向に突出するように形成するなど、様々な形状に形成することができる。
【0051】
また、本実施形態による内側ボビン20の上部フランジ部23aは、一側の外周縁と他側の外周縁を異なる形状に形成してもよい。すなわち、上部フランジ部23aは、端子締結部24の上部である一側に配置される外周縁を、弧状又は直線状に形成するのではなく、屈曲状に形成してもよい。
【0052】
ここで、屈曲は、端子締結部24に締結された外部接続端子26の締結位置に対応して形成される。すなわち、屈曲は、図5のZ方向から見るとき、端子締結部24に締結された外部接続端子26が最大限露出するように形成される。
【0053】
このような上部フランジ部23aの屈曲は、コイル50を内側ボビン20に容易に自動巻回するための構成である。より具体的には、上部フランジ部23aの屈曲は、自動巻線装置(図示せず)がコイル50を外部接続端子26に巻回するために外部接続端子26の周りを回転してコイル50を巻く過程で、コイル50又は自動巻線装置が上部フランジ部23aと接触することを防止するためのものである。
【0054】
よって、自動巻線過程でコイル50又は自動巻線装置が上部フランジ部23aと接触しない場合は、上部フランジ部23aに形成される屈曲は省略してもよい。
【0055】
一方、薄型のトランスフォーマ100を形成するためには、内側ボビン20に備えられるフランジ部23の厚さも最大限薄く形成されることが好ましい。ところが、本実施形態による内側ボビン20は、絶縁性材質である樹脂材で形成されるため、フランジ部23が薄すぎる場合、フランジ部23がその形状を維持することができず、撓んでしまうという問題が発生することがある。
【0056】
よって、本実施形態によるトランスフォーマ100は、フランジ部23が撓むことを防止し、フランジ部23の剛性を補強するために、フランジ部23の外部面に絶縁リブ27を備えてもよい。絶縁リブ27は、フランジ部23の外部面から突出する形状に複数形成してもよい。また、絶縁リブ27は、上部フランジ部23aの外部面と下部フランジ部23bの外部面の両方に形成してもよく、必要に応じて、いずれか一方にのみ選択的に形成してもよい。
【0057】
また、前述したように、本実施形態によるトランスフォーマ100は、薄型に形成されることを特徴とするので、絶縁リブ27がフランジ部23から過度に突出するように形成されてはならない。従って、本実施形態による絶縁リブ27は、フランジ部23の外周面に沿って外部方向(すなわち、上方又は下方)に突出するように形成され、フランジ部23の厚さと同等の厚さで突出する。
【0058】
このような絶縁リブ27の形状により、本実施形態によるトランスフォーマ100は、絶縁リブ27の突出距離を最小化しながらも、フランジ部23の剛性を確保することができる。
【0059】
しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、後述する外側ボビン30の絶縁リブ37と同様に、沿面距離に対応して絶縁リブ27の突出距離を設定するなど、様々な応用が可能である。
【0060】
図においては、内側ボビン20に1つの絶縁リブ27のみがフランジ部23の外周縁に沿って形成される場合を示すが、フランジ部23の剛性又は沿面距離をより確保するために、絶縁リブ27をさらに形成してもよい。この場合、さらに形成される絶縁リブ27は、フランジ部23の形状に沿ってフランジ部23の内部でリング状に突出するように形成してもよい。
【0061】
一方、内側ボビン20が剛性の高い材質で形成されるので、内側ボビン20に絶縁リブ27が形成されなくてもフランジ部23が撓むことなくその形状を維持する場合、内側ボビン20の絶縁リブ27は省略してもよい。
【0062】
また、図4に示すように、本実施形態による絶縁リブ27は、内側ボビン20が後述するコア40の内部面と対面しない部分にのみ形成される。すなわち、本実施形態による絶縁リブ27は、コア40の結合時にコア40の外部に露出するフランジ部23の外周面上にのみ形成される。これは、ボビン部10とコア40との密着力を高めるためのものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、絶縁リブ27は、必要に応じてフランジ部23全体に形成してもよい。また、コア40の外部に露出するフランジ部23上には、絶縁リブ27を多く突出させ、コア40の内部面と対面するフランジ部23上には、絶縁リブ27を少なく突出させて構成するなど、様々な応用が可能である。
【0063】
このような本実施形態による内側ボビン20のフランジ部23は、後述する外側ボビン30と結合され、このために、フランジ部23の外周縁には、少なくとも1つの嵌合突起28及び支持顎29が備えられる。
【0064】
嵌合突起28は、上部フランジ部23aの外周縁上に対をなして形成され、互いに反対方向に向かって突出して形成される。本実施形態においては、上部フランジ部23aの外周縁のうち最も離隔する両端からそれぞれ嵌合突起28が外径方向に突出して形成される場合を例に挙げる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0065】
また、本発明による嵌合突起28は、1対に形成される構成に限定されず、複数(2つ以上)がフランジ部23の外周縁上で様々な方向に配置されるように形成するなど、様々な構成が可能である。
【0066】
また、本実施形態においては、フランジ部23と絶縁リブ27が形成する側面から嵌合突起28が突出する場合を例に挙げる。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、嵌合突起28がフランジ部23の側面のみから突出するように形成するか、絶縁リブ27の側面のみから突出するように形成するなど、様々な応用が可能である。
【0067】
支持顎29は、下部フランジ部23bに形成され、端子締結部24と反対側である下部フランジ部23bの他側で、嵌合突起28が形成された位置に対応する位置に形成される。より具体的には、支持顎29は、下部フランジ部23bに形成された絶縁リブ27から外径方向に突出して形成される。
【0068】
このような支持顎29は、前述した端子締結部24の支持部29aと同様に、内側ボビン20が外側ボビン30と結合された場合、外側ボビン30の下部面を支持する。
【0069】
このように、上部フランジ部23aに嵌合突起28が形成され、下部フランジ部23bに支持顎29が形成されることにより、内側ボビン20は、後述する外側ボビン30と結合された場合、外側ボビン30から容易に分離されなくなる。これについては、後述する外側ボビン30についての説明でより詳細に説明する。
【0070】
外側ボビン30は、図6〜図8に示すように、内側ボビン20と類似の構成を有し、内側ボビン20と同等の厚さに形成されるが、大きさにおいては異なる。
【0071】
外側ボビン30は、内側ボビン20と同様に、内部中心に貫通孔31が形成される管状の胴部32、フランジ部33、端子締結部34、及び外部接続端子36を備える。よって、内側ボビン20と同様の構成については具体的な説明を省略し、内側ボビン20と異なる構成についてより詳細に説明する。
【0072】
胴部32の内部に形成される貫通孔31は、内側ボビン20が挿入されて結合される空間として用いられる。従って、外側ボビン30に形成される貫通孔31は、内側ボビン20のフランジ部23の外周縁の形状に対応する形状に形成される。
【0073】
また、外側ボビン30の胴部32の外周面とフランジ部33(上部フランジ部33a及び下部フランジ部33b)の間に形成される空間は、後述するコイル50が巻回される外側巻線部30aとして用いられる。
【0074】
下部フランジ部33bには、内側ボビン20と同様に、外部接続端子36が締結される端子締結部34が形成される。
【0075】
外部接続端子36は、端子締結部34の端部から胴部32の外径方向又は下方に突出するように、端子締結部34に締結される。
【0076】
端子締結部34は、下部フランジ部33bの一端から外部に突出して形成される。より具体的には、本実施形態による端子締結部34は、下部フランジ部33bから外径方向及び下方に延びて突出する長い棒状に形成される。ここで、棒状に形成される端子締結部34の両端は、それぞれ下部フランジ部33bの外周縁から外部にさらに突出するように形成される。
【0077】
また、端子締結部34と下部フランジ部33bが連結される部分には段差が形成される。すなわち、図6及び図7に示すように、端子締結部34の下部面は、下部フランジ部33bの下部面から段差を有して突出する。
【0078】
このような本実施形態による端子締結部34には、複数の外部接続端子36が所定間隔離隔して配置される。外部接続端子36は、端子締結部34の端部から胴部232の外径方向又は下方に突出するように、端子締結部34に締結される。
【0079】
また、端子締結部34には、コイル50のリード線を外部接続端子36にガイドする複数のガイド突起34a及び引き出し溝34bが形成されてもよい。
【0080】
ガイド突起34aは、複数が平行に端子締結部34の下部面から下方に突出して形成される。図1bに示すように、ガイド突起34aは、外側巻線部30aに巻回されるコイル50のリード線を外部接続端子36に容易に締結できるように、リード線をガイドするためのものである。従って、ガイド突起34aは、コイル50を確実にガイドできるように、コイル50のリード線の直径以上突出して形成される。
【0081】
引き出し溝34bは、ガイド突起34a間の空間に複数形成され、外側巻線部30aに巻回されるコイル50のリード線が端子締結部34の下部面に移動する経路として用いられる。
【0082】
このような端子締結部34の構成により、外側巻線部30aに巻回されるコイル50のリード線は、図1a及び図1bに示すように、引き出し溝34bを介して外側ボビン30の下部に移動し、その後隣接して配置されたガイド突起34a間の空間を介して外部接続端子36に電気的に接続される。このとき、コイル50のリード線50b'がより強固に固定されるように、コイル50のリード線50b'をガイド突起34aに一回又は数回巻回した後に外部接続端子36に締結してもよい。
【0083】
本実施形態においては、外側ボビン30の端子締結部34にのみガイド突起34aが形成される場合を例に挙げるが、これに限定されるものではなく、必要に応じて内側ボビン20の端子締結部24にもガイド突起を形成するなど、様々な応用が可能である。
【0084】
一方、本実施形態によるトランスフォーマ100は、2次コイル50bのリード線50b'を外部接続端子36にガイドするために、引き出し溝25だけでなく、後述するコイル経由部70を共に用いることを特徴とする。
【0085】
図6及び図7に示すように、本実施形態によるトランスフォーマ100は、コイル経由部70を備える。
【0086】
コイル経由部70は、外側ボビン30に巻回された2次コイル50bのリード線50b'が、端子締結部34ではなく、外側ボビン30の外周縁を介して下部フランジ部33bの外部面(すなわち、下部面)を経由するように配置され、その後外部接続端子36に接続される経路を提供する。
【0087】
このような本実施形態によるコイル経由部70は、ガイドブロック78、支持突起76、及び端子締結部34により形成され、経由溝72及び横断経路74を含む。
【0088】
ガイドブロック78は、外側ボビン30の下部面、すなわち下部フランジ部33bの下部面上に形成される。ガイドブロック78は、外側ボビン30の外部接続端子36と内側ボビン20の1次コイル50aとの間の沿面距離を確保すると共に、外側ボビン30の下部に2次コイル50bのリード線50b'が配置される通路を提供するために備えられる。
【0089】
このために、本実施形態によるガイドブロック78は、端子締結部34と貫通孔31の間の空間から突出し、端子締結部34と平行な方向に沿って外側ボビン30の下部フランジ部33bの下部面を横切るように配置される。
【0090】
また、本実施形態によるガイドブロック78は、両端の少なくとも一方の端部が外側ボビン30の下部フランジ部33bから外部に突出するように形成される。ここで、外部に突出したガイドブロック78の一端と端子締結部34の一端の間の空間は、経由溝72として用いられる。
【0091】
経由溝72は、前述したように、下部フランジ部33bの外周縁から垂直に外部に突出するガイドブロック78の一端、端子締結部34の一端、及びその間に備えられる下部フランジ部33bにより形成される溝である。このような経由溝72は、外側ボビン30に巻回された2次コイル50bのリード線50b'が外側ボビン30の下部を経由するようにする経路として用いられる。
【0092】
本実施形態による経由溝72は、その大きさ(又は、深さ)を拡張するために、ガイドブロック78の一端と端子締結部34の一端との間に備えられる下部フランジ部33bを凹溝状にして形成してもよい。
【0093】
一方、本実施形態においては、ガイドブロック78及び端子締結部34の一端が下部フランジ部33bの外部に突出することにより経由溝72が形成される場合を例に挙げる。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、他の様々な構成が可能である。例えば、ガイドブロック78及び端子締結部34の一端を突出させるのではなく、ガイドブロック78と端子締結部34との間にある下部フランジ部33bの一部を除去して溝を形成するなど、下部フランジ部33bの外周縁上に溝を形成することができれば、様々な形態で構成することが可能である。
【0094】
また、本実施形態によるガイドブロック78の他端は、一端部分に比べて端子締結部34との離隔距離が大きくなるように形成される。これは、2次コイル50bのリード線50b'を外部接続端子36に自動結線するための構成であり、これについては後述する。
【0095】
横断経路74は、ガイドブロック78と端子締結部34との間に形成され、下部フランジ部33bを横切る通路を提供する。このような横断経路74は、経由溝72を経由した2次コイル50bのリード線50b'が端子締結部34の長手方向に沿って配置される経路として用いられる。
【0096】
支持突起76は、横断経路74に配置されたリード線50b'の経路を変更するために備えられる。すなわち、本実施形態による支持突起76は、横断経路74に配置されたリード線50b'がそれぞれ対応する外部接続端子36に接続されるように、リード線50b'の配置経路を変更するために備えられる。よって、リード線50b'は、支持突起76に支持され、横断経路74から外部接続端子36が配置された方向にその経路が変更される。
【0097】
本実施形態による支持突起76は、フランジ部33が形成する平面と垂直な方向に突出する。支持突起76は、横断経路74又は端子締結部34から外部に突出するように形成されてもよいが、本実施形態においては、支持突起76が下部フランジ部33bと端子締結部34が連結される部分から下部フランジ部33bの下部に突出するように形成される場合を例に挙げる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0098】
また、支持突起76は、横断経路74に配置されるリード線50b'の数又は当該リード線50b'が接続される外部接続端子36の数に対応して複数形成してもよい。
【0099】
また、本実施形態による支持突起76は、リード線50b'と接触する外部面が底面(すなわち、外側ボビン30の下部フランジ部33b)に対して直角をなすように突出する。これは、支持突起76に支持されるリード線50b'が支持突起76から離脱することを防止するための構成である。
【0100】
本実施形態による支持突起76は、前述した構成に限定されず、支持突起76に支持されるリード線50b'が支持突起76から離脱しないようにすることができれば、様々な形状に形成することができる。例えば、リード線50b'と接触する支持突起76の接触面は、前記底面に対して鋭角をなすように形成してもよい。また、支持突起76の接触面に段差や溝が形成されるように構成するなど、様々な応用が可能である。
【0101】
また、リード線50b'と接触する支持突起76の接触面は、リード線50b'との摩擦を最小限に抑えるために、曲面又は傾斜面からなる面取り部が形成されるようにしてもよい。
【0102】
また、本実施形態によるトランスフォーマ100が複数の支持突起76を備える場合、各支持突起76が異なる大きさを有するように形成してもよい。
【0103】
そして、本実施形態による複数の支持突起76は、横断経路74と接する一側面が横断経路74内に一部突出してもよく、ここで、突出距離は、各支持突起76毎に異なってもよい。
【0104】
この場合、支持突起76は、経由溝72に隣接して配置されるほど横断経路74内に突出する一端の突出距離が短く、経由溝72から離れて配置されるほど一端の突出距離が大きくなるように形成してもよい。これは、経由溝72を経由するコイル50bのリード線50b'が複数の場合、経由溝72を経由するリード線50b'が互いにねじれたり絡まった状態で配置されて、リード線50b'間で短絡が発生するなどの問題を防止するためのものである。
【0105】
つまり、本実施形態によるトランスフォーマ100においては、支持突起76の突出距離に応じて各支持突起76に支持されるリード線50b'が異なる位置に配置されるように配置位置が決定される。従って、経由溝72を経由するリード線50b'が複数であっても、各リード線50b'が横断経路74内で互いに重なることなく並んで配置されるので、上記問題が発生することを防止することができる。
【0106】
一方、図7に示すように、本実施形態においては、リード線50b'の経路が支持突起76により略直角に変更される場合を例に挙げる。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、リード線50b'を他のリード線50b'との干渉なく外部接続端子36に強固に固定締結することができれば、リード線50b'の経路は様々な角度に設定することができる。
【0107】
以下、前述した本実施形態による外側ボビン30に2次コイル50bを巻回した後、コイル経由部70を用いてリード線50b'を外部接続端子36に締結する過程を説明する。
【0108】
外側ボビン30の外側巻線部30aに巻回された2次コイル50bは、リード線50b'が外部接続端子36に巻回されて締結されるようにするために、外側ボビン30の下部面に移動する。このとき、2次コイル50bのリード線50b'は、前述した引き出し溝34b、又はコイル経由部70の経由溝72を介して外側ボビン30の下部面に移動する。
【0109】
引き出し溝34bを介して外側ボビン30の下部面に移動したリード線50b'は、ガイド突起34a間の空間を介して直接外部接続端子36に締結される。ここで、本実施形態によるトランスフォーマ100においては、リード線50b'の動きを強固に固定するために、リード線50b'をガイド突起34aに一回又は数回巻回した後に外部接続端子36に締結するように構成するなど、様々な方法を用いることができる。
【0110】
それに対して、リード線50b'がコイル経由部70を介して外部接続端子36に接続される場合、リード線50b'は、経由溝72を介して外側ボビン30の下部面に移動する。そして、外側ボビン30の下部面に移動したリード線50b'は、外側ボビン30の下部面に形成された横断経路74内に配置され、その後支持突起76に支持されてその経路が変更される。その後、リード線50b'を外部接続端子36に巻回してリード線50b'と外部接続端子36を物理的かつ電気的に接続することにより、巻線を完了する。
【0111】
前述した本実施形態によるトランスフォーマ100においては、2次コイル50bを外側ボビン30に容易に自動巻回できるように、コイル経由部70が構成される。
【0112】
つまり、本実施形態によるトランスフォーマ100においては、外側ボビン30に2次コイル50bを巻回する過程と、2次コイル50bのリード線50b'を、経由溝72を介して外側ボビン30の下部面に移動させて横断経路74に配置する過程と、支持突起76に支持されることによりリード線50b'の経路を変更してリード線50b'を外部接続端子36が形成された方向に引き出し、その後リード線50b'を外部接続端子36に締結する過程とを、別途の自動巻線装置(図示せず)により自動で行うことができる。
【0113】
前述したように、本実施形態によるガイドブロック78は、他端が一端部分に比べて端子締結部34との離隔距離が大きくなるように形成される。このような構成により、自動巻線装置は、拡張された空間(すなわち、横断経路)を用いてリード線50b'を支持突起76に容易に巻回することができる。これにより、リード線50b'の経路を変更する過程を自動で容易に行うことができる。
【0114】
このような本実施形態によるトランスフォーマ100においては、2次コイル50bのリード線50b'が外側ボビン30の下部面で外側ボビン30を横切る経路である、コイル経由部70を提供する。
【0115】
よって、2次コイル50bのリード線50b'は、互いに交差することを防止するために、下部フランジ部33bの一面(すなわち、端子締結部34の引き出し溝34b)と他面(すなわち、コイル経由部70)に分散配置されて外部接続端子36に締結されるので、従来のトランスフォーマより様々な経路でコイル50bのリード線50b'を外部接続端子36に締結することができる。
【0116】
従来は、ボビンに複数のコイルが巻回される場合、外部接続端子に引き出されるコイルのリード線が互いに交差するように配置され、従って、リード線が互いに接触してコイル間で短絡が発生するという問題がある。
【0117】
しかし、本実施形態によるトランスフォーマ100においては、前述したように、コイル経由部70による新しい経路を提供することにより、リード線50b'を様々な経路で外部接続端子36に接続することができる。従って、リード線50b'が互いに交差したり接触することを防止することができる。
【0118】
また、本実施形態による外側ボビン30は、内側ボビン20と同様に、フランジ部33を最大限薄く形成することが好ましい。
【0119】
よって、フランジ部33上には、フランジ部33が撓むことを防止し、フランジ部33の剛性を補強するために、少なくとも1つの絶縁リブ37を備える。
【0120】
ここで、外側ボビン30に形成される絶縁リブ37は、内側ボビン20と同様に、フランジ部33の外部面から突出する形状に複数形成してもよい。また、絶縁リブ37の突出距離は、フランジ部33の剛性を維持すると共に、外側ボビン30に巻回されたコイル50と内側ボビン20に巻回されたコイル50との間に沿面距離を確保することができるように形成される。
【0121】
これについてより詳細に説明すると次の通りである。
【0122】
図3に示すように、内側ボビン20と外側ボビン30が結合された場合、内側ボビン20に巻回された1次コイル50aと外側ボビン30に巻回された2次コイル50bとの間の沿面距離は、ほとんどが外側ボビン30のフランジ部33の外部面に沿って形成される。
【0123】
よって、本実施形態によるトランスフォーマ100においては、外側ボビン30の大きさを最小化すると共に沿面距離を確保するために、絶縁リブ37を用いる。すなわち、絶縁リブ37の数や突出距離を調節することにより、外側ボビン30に巻回されたコイル50と内側ボビン20に巻回されたコイル50との間に沿面距離を確保する。
【0124】
ここで、内側ボビン20のフランジ部23が十分に長く延びて形成された場合、内側ボビン20に巻回された1次コイル50aの外部面と外側ボビン30の貫通孔31の内周面との間に、所定間隔の空間Sが形成される。従って、このような場合は、1次コイル50aと2次コイル50b間の距離をより確保することができるので、1つの絶縁リブ37のみを備えても容易に沿面距離を確保することができる。これは、外側ボビン30のフランジ部33が十分に長く延びて形成された場合も同様である。
【0125】
それに対して、内側ボビン20のフランジ部23又は外側ボビン30のフランジ部33が短く形成されており、フランジ部23、33の幅だけでは沿面距離の確保が難しい場合、本実施形態によるトランスフォーマ100においては、外側ボビン30のフランジ部33に絶縁リブ37をさらに形成することにより、沿面距離を確保することができる。
【0126】
ここで、外側ボビン30に形成される複数の絶縁リブ37は、沿面距離を確保するために、異なる突出距離を有するように構成してもよい。
【0127】
一方、外側ボビン30に形成される絶縁リブ37は、内側ボビン20と同様に、外側ボビン30に備えられる2つのフランジ部(上部フランジ部33a及び下部フランジ部33b)の外部面の両方に形成してもよく、必要に応じて、いずれか一方にのみ選択的に形成してもよい。また、絶縁リブ37は、フランジ部33の外周縁に沿って形成してもよく、フランジ部33の形状に沿ってフランジ部33の内部でリング状に突出するように形成してもよい。
【0128】
これに加えて、外側ボビン30の絶縁リブ37は、内側ボビン20の絶縁リブ27と同様に、外側ボビン30がコア40の内部面と対面しない部分にのみ形成してもよく、絶縁リブ37が形成されなくてもフランジ部33が撓むことなくその形状を維持する場合、外側ボビン30の絶縁リブ37は省略してもよい。
【0129】
このような本実施形態による外側ボビン30は、貫通孔31に挿入されて結合される内側ボビン20を固定できるように、胴部32の内周面に少なくとも1つの結合溝38を備える。
【0130】
結合溝38は、内側ボビン20に形成された嵌合突起28の数、形成位置、及び形状に対応して形成される。
【0131】
本実施形態においては、1対の嵌合突起28が内側ボビン20の上部フランジ部23aの外周縁上から反対方向に向かって突出して形成される。これに対応して、1対の結合溝38が外側ボビン30の貫通孔31の内周面のうち対向する位置にそれぞれ形成される。
【0132】
結合溝38は、図8に示すように、嵌合溝38aとガイド溝38bとを含んでもよい。
【0133】
嵌合溝38aは、胴部32の一端、すなわち上端に形成され、嵌合突起28の形状に対応する溝状に形成される。嵌合溝38aは、内側ボビン20の嵌合突起28が嵌められる溝であり、嵌合突起28が結合溝38の嵌合溝38aに結合されることにより、最終的に内側ボビン20と外側ボビン30が結合される。よって、嵌合突起28がどちらも嵌合溝38aに嵌められると、内側ボビン20が外側ボビン30の貫通孔31内に完全に挿入され、従って、内側ボビン20と外側ボビン30とは一体となる。
【0134】
ガイド溝38bは、嵌合溝38aから外側ボビン30の胴部32の他端、すなわち下端に向かって外側ボビン30の胴部32の内周面を横切る溝状に形成され、底面は傾斜して形成される。すなわち、ガイド溝38bの深さは、胴部32の他端部分で最も深く、嵌合溝38aに隣接する位置では浅い。このようなガイド溝38bは、内側ボビン20が外側ボビン30に結合された場合、嵌合突起28が移動する通路として用いられる。
【0135】
前述した嵌合突起28と結合溝38の結合過程を説明すると次の通りである。
【0136】
内側ボビン20を外側ボビン30に結合するために、まず、内側ボビン20のうち支持顎29が形成された他側を外側ボビン30の貫通孔31に挿入する過程が行われる。このとき、内側ボビン20の他側は、外側ボビン30の下部から外側ボビン30の貫通孔31に挿入される。そして、内側ボビン20の嵌合突起28は、端子締結部34が形成された外側ボビン30の一側の結合溝38に軽く嵌められて結合される。
【0137】
次に、端子締結部24が形成された内側ボビン20の一側を外側ボビン30の貫通孔31に押し込む過程が行われる。この過程で、端子締結部24が形成された側の嵌合突起28は、外側ボビン30の他側に形成された結合溝38のガイド溝38bに進入する。
【0138】
前述したように、ガイド溝38bは、胴部32の下端面付近の深さが最も深く形成されているため、嵌合突起28を結合溝38のガイド溝38bに容易に挿入することができる。
【0139】
そして、内側ボビン20を外側ボビン30の貫通孔31に押し込むことにより、ガイド溝38bに挿入された嵌合突起28は、ガイド溝38bに沿って外側ボビン30の胴部22の上方に移動し、最終的に嵌合溝38aに嵌められる。このとき、内側ボビン20の端子締結部24に形成された支持部29aと、支持顎29は、外側ボビン30の下部面に接触し、内側ボビン20が外側ボビン30の上方に過度に移動することを抑制する。
【0140】
嵌合突起28がどちらも結合溝38の嵌合溝38aに嵌められることにより、内側ボビン20は、嵌合突起28がガイド溝38bと嵌合溝38aを区分する段顎に係止されるため、下方への移動が抑制される。また、支持顎29と端子締結部24の支持部29aが外側ボビン30の下端面を支持するため、上方への移動も抑制される。従って、外側ボビン30との結合が完了した内側ボビン20は、外側ボビン30から容易に分離されなくなる。
【0141】
一方、本実施形態によるトランスフォーマ100においては、外側ボビン30の結合溝38のうち、内側ボビン20の嵌合突起28が先に嵌められる結合溝38の場合は、嵌合突起28が直接嵌合溝38aに挿入されて嵌められるため、嵌合突起28を嵌合溝38aまでガイドするための別途のガイド溝を備える必要がない。よって、嵌合突起28が先に嵌められる結合溝38の場合は、嵌合溝38aのみを備えるように形成してもよい。
【0142】
また、本実施形態によるトランスフォーマ100は、図3及び図8に示すように、個別のボビン(内側ボビン20及び外側ボビン30)のフランジ部23、33の幅Wが胴部22、32の厚さTより長く形成されることを特徴とする。図8においては外側ボビン30の部分断面のみを示すが、これは説明の便宜のためのものであり、内側ボビン20にも同様に適用することができる。
【0143】
このような形状は、本実施形態によるトランスフォーマ100が薄型に形成される特徴から導き出されたものである。すなわち、本発明によるトランスフォーマ100は、非常に厚さの薄い薄型のトランスフォーマ100であって、例えば、外部接続端子26、36を含むトランスフォーマ100全体の垂直厚さが約12mm以下となるように形成される。
【0144】
このような薄型のトランスフォーマ100において出力電圧を確保するためには(すなわち、コイルの巻回数を確保するためには)、本実施形態による個別のボビン20、30は、従来のボビンに比べて、コイル50が巻回される各巻線部20a、30aの深さが深く形成されなければならない。
【0145】
このために、本実施形態による個別のボビン20、30は、胴部22、32の厚さTよりフランジ部23、33の幅Wが長く形成される。
【0146】
また、本実施形態による内側ボビン20及び外側ボビン30は、フランジ部23、33の内部面(すなわち、内側巻線部20a、外側巻線部30aを形成する面)を傾斜して形成することにより、フランジ部23、33の厚さが外径方向へ行くほど薄くなるように形成してもよい。
【0147】
図8においては外側ボビン30の断面のみを示すが、前述したように、内側ボビン20にも同様に適用することができる。図8を参照すると、フランジ部23、33は、基本的には厚さD1に形成されるが、外径方向へ行くほど薄くなり、外周縁では厚さD2に形成される。従って、巻線部20a、30aは、外径方向へ行くほど幅が広くなるように構成される。
【0148】
このような構成も、本実施形態によるトランスフォーマ100が薄型に形成されることにより導き出されたものである。より具体的には、本実施形態によるトランスフォーマ100においては、フランジ部23、33の幅Wが胴部22、32の厚さTより長く形成されることにより、個別のボビン20、30の各巻線部20a、30aの深さが従来のトランスフォーマのボビンより非常に深く形成される。このような独特の構造により、個別のボビン20、30を製造する過程で、巻線部20a、30aに挿入された金型が個別のボビン20、30から容易に分離されない問題が発生することがある。
【0149】
しかし、本実施形態によるトランスフォーマ100においては、外径方向へ行くほど各巻線部20a、30aの幅が広くなるように構成されるため、金型を個別のボビン20、30から容易に分離することができる。
【0150】
一方、本実施形態によるフランジ部23、33は、外径方向へ行くほど厚さが減少するため、撓みやすくなる。しかし、前述したように、本実施形態によるフランジ部23、33は、外部面に絶縁リブ27、37を備えることにより、フランジ部23、33の厚さが薄くなっても撓みやすくなる問題を解消することができる。
【0151】
このように構成される本実施形態によるボビン部10は、内側ボビン20に備えられる外部接続端子26と外側ボビン30に備えられる外部接続端子36とが最大限離隔するように配置されることを特徴とする。従って、内側ボビン20が外側ボビン30と結合される際に、内側ボビン20は、端子締結部24が形成された部分が、外側ボビン30の端子締結部34が形成された部分ではなく、反対方向に位置するように、外側ボビン30に結合される。
【0152】
つまり、外側ボビン30の外部接続端子36と内側ボビン20の外部接続端子26とは、反対方向に突出するように配置される。従って、本実施形態によるトランスフォーマ100においては、1次コイル50a及び2次コイル50bの外部接続端子26、36間が十分に離隔するため、1、2次間の絶縁距離を容易に確保することができる。
【0153】
また、図3に示すように、本実施形態によるトランスフォーマ100においては、外側ボビン30により、内側巻線部20aに巻回される1次コイル50aと外側巻線部30aに巻回される2次コイル50b間の絶縁性を確保する。従って、1次コイル50aと2次コイル50bとを最大限隣接して配置することができる。
【0154】
しかし、トランスフォーマ100の出力特性や沿面距離を確保するために、1次コイル50aの外部面と外側ボビン30の貫通孔31の内周面とが所定間隔Sだけ離隔するように構成してもよい。これは、内側ボビン20のフランジ部23の幅、又は内側ボビン20に巻回される1次コイル50aの巻回数を調節することにより容易に適用することができる。
【0155】
また、本実施形態によるボビン部10は、内側ボビン20と外側ボビン30が結合された場合、内側ボビン20のフランジ部23と外側ボビン30のフランジ部33とが同一平面上に位置するようにしてもよい。すなわち、内側ボビン20と外側ボビン30とが結合されたボビン部10は、絶縁リブ27、37又は端子締結部24、34が形成された部分に突出した部分が一部存在するだけであり、全体として平坦な薄型を保つ。従って、基板上に実装された場合も、非常に低い実装高さを提供することができ、薄型ディスプレイ装置などに容易に採用することができる。
【0156】
また、本実施形態においては、ボビン部10が1つの外側ボビン30と1つの内側ボビン20とから構成される場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、1つの外側ボビン30内に複数のボビンが挿入されるように構成してもよい。例えば、外側ボビン30の貫通孔31に外側ボビン30と類似の形状に形成される別途のボビン(以下、中間ボビンという)が挿入され、中間ボビンの貫通孔に内側ボビン20が挿入されるようにボビン部10を構成し、内側ボビン20の貫通孔21にコア40が挿入されるように構成してもよい。
【0157】
このような場合、1次コイルと2次コイルのいずれか一方は、3つの個別のボビンのうち2つの個別のボビンに選択的に巻回される。
【0158】
このような本実施形態によるボビン部10の個別のボビン20、30は、射出成形により容易に製造することができるが、これに限定されるものではなく、プレス加工など様々な方法により製造することができる。また、本実施形態による個別のボビン20、30は、絶縁性の樹脂材からなることが好ましく、高耐熱性及び高耐電圧性を有する材質からなることが好ましい。個別のボビン20、30を形成する材質としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、フェノール系樹脂などを用いることができる。
【0159】
コイル50は、1次コイル50aと2次コイル50bとを含む。
【0160】
1次コイル50aは、内側ボビン20に形成された内側巻線部20aに巻回される。
【0161】
また、本発明による1次コイル50aは、1つの内側巻線部20aに互いに電気的に絶縁されるように巻回された複数のコイルであってもよい。すなわち、本実施形態によるトランスフォーマ100においては、1次コイル50aを複数のコイルから構成することにより、各コイルに選択的に電圧を印加することができ、これに対応して2次コイル50bを介して様々な電圧を引き出すことができる。
【0162】
このために、1次コイル50aを構成する複数のコイルは、直径の異なるコイルを選択的に用いてもよく、異なる巻回数を有するように構成してもよい。また、単線を用いてもよく、複数本の線を撚り合わせた撚線を用いてもよい。
【0163】
このような1次コイル50aのリード線は、内側ボビン20に備えられる外部接続端子26に接続される。
【0164】
2次コイル50bは、外側ボビン30に形成された外側巻線部30aに巻回される。
【0165】
2次コイル50bも、前述した1次コイル50aと同様に、互いに電気的に絶縁されるように巻回された複数のコイルであってもよく、その例を図3に示す。このような2次コイル50bのリード線は、外側ボビン30に備えられる外部接続端子36に接続される。
【0166】
一方、本実施形態においては、前述したように、内側巻線部20aに1次コイル50aが巻回され、外側巻線部30aに2次コイル50bが巻回される場合を例に挙げる。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、外側巻線部30aに1次コイル50aを巻回し、内側巻線部20aに2次コイル50bを巻回するなど、使用者が希望する電圧を引き出すことができれば、様々な応用が可能である。
【0167】
コア40は、内側ボビン20の内部に形成される貫通孔21に挿入され、コイル50と電磁結合する磁路を形成する。
【0168】
本実施形態によるコア40は、1対で構成され、内側ボビン20の貫通孔21からそれぞれ挿入して当接させて締結することができる。このようなコア40としては、「EE」コア、「EI」コアなどを用いることができる。
【0169】
また、コア40は、他の材質に比べて高透磁率、低損失、高飽和磁束密度、安定性、及び低生産コストの特性を有するMn−Zn系フェライトで形成してもよい。しかしながら、本発明の実施形態によるコア40の形状や材質が限定されるものではない。
【0170】
一方、図示していないが、本実施形態によるボビン部10とコア40との間には、絶縁テープを介在してもよい。絶縁テープは、ボビン部10に巻回されたコイル50とコア40間の絶縁を確保するために備えられる。
【0171】
このような絶縁テープは、ボビン部10と対面するコア40の内周面全体に対応して介在してもよく、コイル50とコア40が対面する部分にのみ部分的に介在してもよい。
【0172】
一方、本発明によるトランスフォーマは、前述した実施形態に限定されず、様々な応用が可能である。後述する実施形態によるトランスフォーマは、前述した実施形態によるトランスフォーマ(図1aの符号100)と類似の構造で構成され、外側ボビンに備えられるコイル経由部のみが異なる。よって、同一の構成要素についての詳細な説明は省略し、外側ボビンのコイル経由部を中心にさらに詳細に説明する。なお、前述した実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0173】
図9は本発明の他の実施形態による外側ボビンの下部面を示す斜視図であり、図10は図9に示す外側ボビンの下部面を示す底面図である。
【0174】
図9及び図10に示すように、本実施形態による外側ボビン30は、前述した実施形態と同様に、コイル経由部170を備える。
【0175】
コイル経由部170は、ガイドブロック78、支持突起76、及び端子締結部34により形成され、係止溝77、経由溝72、及び横断経路74を含む。
【0176】
一方、本実施形態において、経由溝72及び横断経路74は、前述した実施形態と同様に構成してもよい。よって、これについての具体的な説明は省略する。
【0177】
ガイドブロック78は、前述した実施形態と同様に、外側ボビン30の下部面、すなわち下部フランジ部33bの下部面上に形成される。ガイドブロック78は、外側ボビン30の外部接続端子36と内側ボビン(図3の符号20)の1次コイル(図3の符号50a)との間の沿面距離を確保すると共に、外側ボビン30に巻回された2次コイルのリード線50b'が配置される通路を提供するために備えられる。
【0178】
このために、本実施形態によるガイドブロック78は、端子締結部34と貫通孔31の間の空間から突出し、端子締結部34と平行な方向に沿って外側ボビン30の下部フランジ部33bの下部面を横切るように配置される。
【0179】
また、本実施形態によるガイドブロック78は、両端の少なくとも一方の端部が外側ボビン30の下部フランジ部33bから外部に突出するように形成される。ここで、外部に突出したガイドブロック78の一端と端子締結部34の一端の間の空間は、経由溝72として用いられる。
【0180】
外側ボビン30の下部フランジ部33bから突出したガイドブロック78の一端には、係止溝77が備えられる。係止溝77は、下部フランジ部33bの外部に突出したガイドブロック78の一端から経由溝72に向かって開放されるように形成される。
【0181】
このような係止溝77は、リード線50b'がコイル経由部170を経由するようにする過程で、リード線50b'が経由溝72から離脱することを防止するために備えられる。これについてより詳細に説明すると次の通りである。
【0182】
本実施形態によるトランスフォーマにおいては、外側ボビン30の外側巻線部(例えば、図8の符号30a)にコイルを巻回し、コイルのリード線50b'が経由溝72を介して外側ボビン30の下部面を経由するようにする。そして、このような過程は、前述したように、別途の自動巻線装置により全て自動で行うことができる。
【0183】
ところが、このように自動でコイルのリード線50b'が外側ボビン30の下部面を経由するようにする過程で、コイルのリード線50b'が経由溝72から離脱する場合が発生し得る。
【0184】
そこで、本実施形態による外側ボビン30においては、上記の場合を防止するために、ガイドブロック78の一端に係止溝77を形成する。よって、コイルのリード線50b'が外側ボビン30の下部面を経由するようにする過程でコイルのリード線50b'に流動が発生しても、リード線50b'は係止溝77に挿入されてその動きが抑制される。従って、コイルのリード線50b'が経由溝72から離脱することを容易に防止することができる。
【0185】
本実施形態による支持突起76は、下部フランジ部33bが形成する平面と平行な方向に突出する。すなわち、外側ボビン30の下部面ではなく、側面に突出するように形成される。
【0186】
より具体的には、支持突起76は、係止溝77とは反対方向で下部フランジ部33bの外部に突出するように形成され、前述した実施形態と同様に、リード線50b'を支持する役割を果たす。
【0187】
このような支持突起76の構造により、リード線50b'は、横断経路74に沿って配置され、その後下部フランジ部33bの下部面を経て外部に露出するように支持突起76に巻回され、その後外部接続端子36に接続される。
【0188】
一方、図においては、支持突起76が、下部フランジ部33bと端子締結部34が連結される部分から突出する場合を例に挙げる。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、支持突起76が端子締結部34から突出するように構成するか、支持突起76が下部フランジ部33bの外周縁から突出するように構成するなど、様々な応用が可能である。
【0189】
また、前述した実施形態と同様に、リード線50b'と接触する支持突起76の接触面は、リード線50b'との摩擦を最小限に抑えるために、曲面又は傾斜面からなる面取り部が形成されるようにしてもよい。
【0190】
以下、このように構成される本実施形態によるコイル経由部170にコイルのリード線50b'が配置されて外部接続端子36に締結される過程を説明する。
【0191】
外側ボビン30の外側巻線部30aに巻回された2次コイル50bのリード線50b'が経由溝72を介して外側ボビン30の下部面に移動する。このとき、リード線50b'に流動が発生しても、ガイドブロック78の係止溝77により動きが抑制されるため、リード線50b'は経由溝72内に安定して配置される。
【0192】
そして、外側ボビン30の下部面に移動したリード線50b'は、外側ボビン30の下部面に形成された横断経路74内に配置され、横断経路74に沿って外側ボビン30の下部面を横切って外側ボビン30の反対側面に引き出される。
【0193】
引き出されたリード線50b'は、支持突起76によりその経路が変更される。すなわち、リード線50b'は、外側ボビン30の側面に突出した支持突起76に巻回され、その後ガイド突起34a間に配置され、外部接続端子36に締結される。
【0194】
このように、本実施形態による支持突起76は、リード線50b'を横断経路74から対応する外部接続端子36に接続できるように、リード線50b'の配置経路を変更するために備えられる。
【0195】
また、本実施形態による支持突起76は、外側ボビン30の側面に突出するように形成されるため、支持突起76に巻回されるリード線50b'が支持突起76から離脱することを根本的に防止することができる。
【0196】
一方、図においては、リード線50b'の支持突起76への巻回数が約半回である場合を例に挙げるが、より強固な固定のために、リード線50b'の支持突起76への巻回数を複数回にするなど、様々な応用が可能である。
【0197】
図11aは本発明の実施形態によるフラットパネルディスプレイ装置を概略的に示す分解斜視図であり、図11bは図11aのD−D'線に沿った部分断面図である。
【0198】
まず、図11aに示すように、本発明の実施形態によるフラットパネルディスプレイ装置1は、ディスプレイパネル4、トランスフォーマ100が実装された電源供給部5、及びカバー2、8を含んでもよい。
【0199】
カバー2、8は、フロントカバー2と、バックカバー8とを含み、互いに結合されて内部に空間を形成する。
【0200】
ディスプレイパネル4は、カバー2、8により形成される内部空間内に配置され、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機発光ダイオード(OLED)など、様々なフラットディスプレイパネルを用いることができる。
【0201】
電源供給部(SMPS)5は、ディスプレイパネル4に電源を供給する。電源供給部5は、プリント基板6に複数の電子部品を実装して形成してもよく、特に、前述した実施形態によるトランスフォーマの少なくとも1つを実装してもよい。本実施形態においては、図1aのトランスフォーマ100を用いる場合を例に挙げる。
【0202】
電源供給部5は、シャーシ7に固定し、ディスプレイパネル4と共にカバー2、8により形成される内部空間内に配置して固定することができる。
【0203】
図11bに示すように、電源供給部5に実装されるトランスフォーマ100は、コイル50がプリント基板6と平行をなす方向に巻回される。また、プリント基板6の平面上で見ると(Z方向)、コイル50は、時計方向又は反時計方向に巻回される。そして、コア40の一部(すなわち、上面)は、バックカバー8と平行をなして磁路を形成する。
【0204】
これにより、本実施形態によるトランスフォーマ100は、図11bに示すように、コイル50により発生する磁場のうち、バックカバー8とトランスフォーマ100との間に形成される磁束(φ)は、ほとんどコア40内に磁路が形成されるため、バックカバー8とトランスフォーマ100との間で漏洩磁束(φl)が生じることを最小限に抑えることができる。
【0205】
つまり、本実施形態によるトランスフォーマ100は、コイル50がプリント基板6と平行をなす方向に巻回されるように構成されることにより、従来のように漏洩磁束(φl)の磁路がトランスフォーマ100とバックカバー8の間の空間に全体的に形成されるのではなく、部分的に小さく形成される。
【0206】
よって、本実施形態によるトランスフォーマ100は、その外部に遮蔽装置(例えば、遮蔽シールドなど)を採用しなくても、漏洩磁束(φl)と金属製のバックカバー8間で干渉が生じることを最小限に抑えることができる。
【0207】
従って、フラットパネルディスプレイ装置1などの薄型の電子機器にトランスフォーマ100が取り付けられ、バックカバー8とトランスフォーマ100との間隔が非常に狭く形成された場合も、バックカバー8の振動により騒音が発生することを防止することができる。
【0208】
前述した本実施形態によるトランスフォーマは、自動化された製造方法に適するように構成されることを特徴とする。
【0209】
つまり、本実施形態によるトランスフォーマは、内側ボビンと外側ボビンにコイルがそれぞれ別々に巻回され、巻線が完了すると内側ボビンと外側ボビンを結合し、その後コアを結合して完成する。
【0210】
このように、本発明によるトランスフォーマは、1次コイルと2次コイルを自動巻線するために、内側ボビンと外側ボビンが分離された状態でそれぞれコイルを巻回できるように構成される。ここで、コイルの巻線は、別途の自動巻線装置により行ってもよい。
【0211】
また、本発明による内側ボビン及び外側ボビンは、自動巻線された1次コイル及び2次コイルのリード線が端子締結部に形成された引き出し溝、ガイド突起などにより一次的に固定された後、外部接続端子に締結されるようになっている。従って、コイルを自動巻線する過程でコイルのリード線を外部接続端子に締結する際に、リード線が容易に繰り出されてしまうことを防止することができる。
【0212】
また、巻線が完了した内側ボビンと外側ボビンとは、嵌合突起と結合溝とにより容易に結合することができる。この過程も、別途の装置により自動で行うことができる。
【0213】
このように、本発明によるトランスフォーマにおいては、ほとんどの製造工程を自動化することができ、従って、製造コストと製造時間を大幅に削減することができるという利点がある。
【0214】
また、本発明によるトランスフォーマは、コイルのリード線がボビンの下部面でボビンを横切る経路であるコイル経由部を備える。すなわち、本発明によるトランスフォーマにおいては、引き出し溝に加えて、コイル経由部を介して、コイルを外部接続端子に接続することができる。
【0215】
従って、コイルのリード線をより様々な経路で外部接続端子に締結することができるので、リード線間の接触により短絡が発生する問題を防止することができる。
【0216】
また、本発明によるトランスフォーマは、非常に薄い薄型に形成される。従って、薄型ディスプレイ装置に容易に採用することができる。
【0217】
一方、本発明によるトランスフォーマ、及びこれを備えるフラットパネルディスプレイ装置は、前述した実施形態に限定されず、様々な応用が可能である。
【0218】
例えば、前述した実施形態においては、外側ボビンにのみコイル経由部が形成される場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、内側ボビンにも外側ボビンと同様にコイル経由部を形成してもよい。
【0219】
また、前述した実施形態においては、各個別のボビンが略直方体状に形成される場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、所望の電圧を引き出すことができれば、円筒形状などの様々な形状に形成することができる。
【0220】
これに加えて、本実施形態においては、ディスプレイ装置に採用されるトランスフォーマを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、トランスフォーマを備える薄型の電子機器であれば幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0221】
1 フラットパネルディスプレイ装置
100 トランスフォーマ
10 ボビン部
20 内側ボビン
30 外側ボビン
20a 内側巻線部
30a 外側巻線部
21、31 貫通孔
22、32 胴部
23、33 フランジ部
23a、33a 上部フランジ部
23b、33b 下部フランジ部
24、34 端子締結部
25、34b 引き出し溝
26、36 外部接続端子
27、37 絶縁リブ
28 嵌合突起
29 支持顎
29a 支持部
34a ガイド突起
34b 引き出し溝
38 結合溝
38a 嵌合溝
38b ガイド溝
40 コア
50 コイル
50a 1次コイル
50b 2次コイル
70、170 コイル経由部
72 経由溝
74 横断経路
76 支持突起
77 係止溝
78 ガイドブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に貫通孔が備えられた管状の胴部と前記胴部の両端から外部に突出するフランジ部とを備える複数のボビンが結合されて構成されるボビン部と、
前記ボビンに巻回されるコイルと、
前記コイルと電磁結合する磁路を形成するコアと
を含み、
少なくとも1つの前記ボビンは、
前記コイルのリード線が前記フランジ部を経由して前記フランジ部の外部面に配置される経路であるコイル経由部を備える、トランスフォーマ。
【請求項2】
前記コイル経由部は、
前記胴部に巻回された前記コイルのリード線が前記フランジ部の外部面に移動する経路である経由溝と、
前記経由溝を経由した前記リード線が前記フランジ部の下部面を横切るように配置される経路である横断経路と
を含む、請求項1に記載のトランスフォーマ。
【請求項3】
前記ボビンは、少なくとも1つの前記フランジ部の一端から突出して形成され、複数の外部接続端子が締結される端子締結部を備える、請求項2に記載のトランスフォーマ。
【請求項4】
前記コイル経由部は、前記端子締結部と、前記フランジ部の外部面から前記端子締結部と平行に突出して形成されるガイドブロックとの間に形成される経路である、請求項3に記載のトランスフォーマ。
【請求項5】
前記ガイドブロックは、一端が前記フランジ部の外周縁から外部に突出するように形成され、
前記経由溝は、前記ガイドブロックの突出した一端、前記端子締結部、及び前記フランジ部により形成される溝である、請求項4に記載のトランスフォーマ。
【請求項6】
前記端子締結部は、前記外部接続端子間の空間に形成される複数の引き出し溝を備え、複数の前記リード線は、前記経由溝又は前記引き出し溝を介して前記外部接続端子に接続される、請求項5に記載のトランスフォーマ。
【請求項7】
前記横断経路又は前記端子締結部から外部に突出するように形成される少なくとも1つの支持突起をさらに含み、前記リード線は、前記支持突起に支持されて配置方向が転換される、請求項4に記載のトランスフォーマ。
【請求項8】
前記支持突起は、前記フランジ部が形成する平面と平行な方向に突出する、請求項7に記載のトランスフォーマ。
【請求項9】
前記支持突起は、前記フランジ部が形成する平面と垂直な方向に突出する、請求項7に記載のトランスフォーマ。
【請求項10】
前記支持突起は、前記リード線との接触面が前記フランジ部と直角又は鋭角をなすように突出する、請求項7に記載のトランスフォーマ。
【請求項11】
前記ガイドブロックは、前記支持突起が形成された部分に対応して前記端子締結部との離隔距離が大きくなるように形成される、請求項7に記載のトランスフォーマ。
【請求項12】
前記支持突起は、前記リード線と接触する部分に面取り部が形成される、請求項7に記載のトランスフォーマ。
【請求項13】
前記ガイドブロックは、前記フランジ部の外部に突出した一端から前記経由溝に向かって開放されるように形成される係止溝を備える、請求項5に記載のトランスフォーマ。
【請求項14】
前記ボビン部は、
前記コイル経由部を備える外側ボビンと、
前記外側ボビンの貫通孔に挿入されて結合される内側ボビンと
を含む、請求項1に記載のトランスフォーマ。
【請求項15】
内部に貫通孔が備えられた管状の胴部と前記胴部の両端から外部に突出するフランジ部とを備える複数のボビンから構成されるボビン部と、
少なくとも1つの前記フランジ部の一端に締結される外部接続端子と、
前記胴部の外周面と前記フランジ部の一面が形成する空間に巻回される少なくとも1つのコイルとを含み、
前記コイルのリード線は、互いに交差することを防止するために、前記フランジ部の一面と他面に分散配置されて前記外部接続端子に締結される、トランスフォーマ。
【請求項16】
少なくとも1つの前記ボビンは、前記フランジ部の一端から突出して形成され、複数の外部接続端子が締結され、前記外部接続端子間の空間に前記リード線が配置される複数の引き出し溝が形成される端子締結部を備える、請求項15に記載のトランスフォーマ。
【請求項17】
少なくとも1つの前記ボビンは、前記リード線が前記フランジ部の外部面に移動する経路である経由溝と、前記経由溝を経由した前記リード線が前記フランジ部の他面を横切るように配置される経路である横断経路とを含むコイル経由部を備える、請求項16に記載のトランスフォーマ。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の少なくとも1つのトランスフォーマが基板上に実装されて形成される電源供給部と、
前記電源供給部から電源が供給されるディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネル及び前記電源供給部を保護するカバーと
を含む、フラットパネルディスプレイ装置。
【請求項19】
前記トランスフォーマのコイルは、前記電源供給部の前記基板と平行に巻回される、請求項18に記載のフラットパネルディスプレイ装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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