説明

トランスポンダに対するセンサ素子の結合

本発明はトランスポンダに対するセンサ素子の結合に関するものであり、トランスポンダに対する前記センサ素子の結合は容量結合または電磁結合によって実現される。そのことから、センサ素子とトランスポンダとの間に設けることのできるあらゆる種類の分離層はタイヤ等の気密かつ液密な容器内で本発明を有利に使用することを可能とする。さらに、被測定対象物の不導電性材料は容量結合用誘電体として使用することができ、導電性部材は電磁結合用導体ループの一部を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスポンダに対するセンサ素子の結合に関する。
【背景技術】
【0002】
トランスポンダの重要な電気変量を適切な読取装置によって無線で問合せることは無線センサ技術の基本機能である。問合せるべき電気変量に、被測定物理変量に関する情報が好適なセンサ素子によって刻印される。
【0003】
非接触式無線センサ技術のさまざまな利用分野において(単数または複数のセンサ素子による)測定変量の検出位置は読取装置による無線問合せに適したトランスポンダ位置と一致しない。その場合、センサ素子は一般にトランスポンダの別の機能的コンポーネント(特にトランスポンダの無線で読取装置と接続されたユニット)に線路で結合されている。
【0004】
多くの用途においてトランスポンダに対するセンサ素子(8)の直接的線路結合は、被測定対象物の機能を損なうことなくしては可能でない。というのも、例えばトランスポンダとセンサとの間にある機能上本質的な分離壁、ダイヤフラム、被覆等が貫通され、従って破損されねばならないであろうからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、被測定対象物の機能を損なわない冒頭に指摘した種類の結合を明示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、トランスポンダに対するセンサ素子の結合を容量結合によって実現することによっても、またトランスポンダに対するセンサ素子の結合を電磁結合によって実現することによっても解決される。
【0007】
その都度の測定変量にその値が依存した静電容量がセンサ素子として使用されると、特別有利である。選択的に、その都度の測定変量にその値が依存したインダクタンスまたはオーム抵抗がセンサ素子として使用されることも有利であることがある。
【0008】
中空体の気密性が肝要でありまたは物体の機械的安定性が損なわれてはならないような用途において本発明の好ましい1構成は、トランスポンダに対するセンサ素子の結合が、トランスポンダとセンサ素子との間にある分離層の全面的または部分的機械的貫通なしに実現されることにある。代表的例は、以下で一般にタイヤと称する車両または飛行機のタイヤである。
【0009】
本発明の有利な1構成は、少なくともセンサ素子またはトランスポンダが分離層の相反する側に配置されていることにある。多くの応用事例にとってきわめて好適な選択案は、これら素子の1つを好ましくは分離層の表面または内部のいずれかに配置しておくことにある。
【0010】
本発明の好ましい使用は、容器の気体または液体を少なくとも部分的に充填した内部空間内でセンサ素子による測定変量の検出が実現されることにある。
【0011】
電気絶縁材料からなる分離層が設けられている場合、容量結合の誘電体が少なくとも部分的に機械的分離層によって形成されることによって、容量結合は特別簡単に[実現]される。
【0012】
分離層中に電気伝導性導体が存在している場合、電磁結合の導体ループの少なくとも一部が既存の導体によって形成されることによって、電磁結合は特別簡単に[実現]される。
スチールベルトを有するタイヤで本発明を利用する場合、スチールベルトが電磁結合の導体ループとして使用されると特別有利である。
【0013】
付加的にまたは選択的に、導体ループが加硫によってタイヤ内に配置されると望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に示した2つの実施例を基に本発明がさらに説明される。
【0015】
図1によればセンサ素子がトランスポンダ5に無線で結合されている。すなわちセンサ素子8とトランスポンダ5は線路で接続されているのではない。センサ素子8の出力端はむしろ結合コンデンサ7、7’を介してトランスポンダ5の入力端と容量結合されている。センサ素子8は被測定変量に依存してオーム抵抗、静電容量またはインダクタンスとして構成しておくことができる。
【0016】
トランスポンダ5はアンテナ6を介して個別の読取/書込み装置1のアンテナ4と接続されており、この読取/書込み装置が送信器2と受信器3とを有する。読取/書込み装置1を介してセンサ素子8の測定データは線路なしに読み取ることができる。読取/書込み装置1が定置に配置されている一方、センサ素子8とトランスポンダ5は可動測定対象物13上にある。
【0017】
図示例においてセンサ素子8とトランスポンダ5はダイヤフラム9または別の電気絶縁材料によって分離されている。ダイヤフラム9または別の不導電性材料は結合コンデンサ7の板の間にある誘電体を形成し、この誘電体が結合静電容量に影響を及ぼす。
【0018】
このような状況は、例えば車両タイヤの物体内部にセンサ素子8を配置するときに与えられている。車両タイヤのカーカス内の好適なセンサ素子で温度、変形またはその他の物理変量を測定するために結合コンデンサ7の板がタイヤの内面に配置され、第2板は第1板から一定の距離を置いて完全にタイヤ材料に一体化される。密封を行うタイヤ内層は無傷なままである。そのことはここに被着されるブチル層のゆえにきわめて重要である。というのもブチル層はなかんずくタイヤの気密性にとって決定的責任を負うからである。コンデンサ板の間にあるタイヤ材料は結合コンデンサ7の誘電体を形成する。
【0019】
この例において読取/書込み装置1が車両内に配置されており、走行中にタイヤ測定データは車載コンピュータ等に転送することができる。
【0020】
図2が示す応用事例では、トランスポンダ5に対するセンサ素子8の無線結合は電磁結合12によって行われる。2つのコイル10、11の電磁結合は測定対象物の設計条件を利用して行われる。タイヤにおいてこの配置が利用されると、一方のコイル10はタイヤ内側にあり、他方のコイル9はタイヤ材料に一体化されている。第2コイルは少なくとも部分的にタイヤのスチールベルトによって形成しておくことができる。
【0021】
測定のために任意のあらゆる物理変量が考慮の対象となる。つまり測定値を検出する素子の具体的実施は決定的でなく、一般に関心を寄せる測定変量に依存している。センサ素子8の考えられる実施形態はその都度の測定変量にその値が依存した静電容量、インダクタンスまたはオーム抵抗である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】容量結合を基にしたトランスポンダに対するセンサ素子(8)の結合の第1例のブロック線図である。
【図2】電磁結合を基にした第2例のブロック線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスポンダに対するセンサ素子の結合において、トランスポンダ(5)に対するセンサ素子(8)の結合が容量結合(7)によって実現されていることを特徴とする結合。
【請求項2】
トランスポンダに対するセンサ素子の結合において、トランスポンダ(5)に対するセンサ素子(8)の結合が電磁結合(12)によって実現されていることを特徴とする結合。
【請求項3】
その都度の測定変量にその値が依存した静電容量がセンサ素子(8)として使用されることを特徴とする、請求項1または2記載の結合。
【請求項4】
その都度の測定変量にその値が依存したインダクタンスがセンサ素子(8)として使用されることを特徴とする、請求項1または2記載の結合。
【請求項5】
その都度の測定変量にその値が依存したオーム抵抗がセンサ素子(8)として使用されることを特徴とする、請求項1または2記載の結合。
【請求項6】
トランスポンダ(5)に対するセンサ素子(8)の結合が、トランスポンダ(5)とセンサ素子(8)との間にある分離層の部分的機械的貫通なしに実現されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の結合。
【請求項7】
トランスポンダ(5)に対するセンサ素子(8)の結合が、トランスポンダ(5)とセンサ素子(8)との間にある分離層の全面的機械的貫通なしに実現されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の結合。
【請求項8】
あらゆる種類の分離層の相反する側、表面または内部(すなわち材料内)でセンサ素子による測定変量の検出が実現されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の結合。
【請求項9】
あらゆる種類の容器の気体または液体を少なくとも部分的に充填した内部空間内でセンサ素子による測定変量の検出が実現されることを特徴とする、請求項1〜7記載の結合。
【請求項10】
あらゆる種類の車輪の気体または液体を少なくとも部分的に充填した内部空間内でセンサ素子による測定変量の検出が実現されることを特徴とする、請求項1〜7記載の結合。
【請求項11】
あらゆる種類のタイヤの表面または内部(すなわち材料内)でセンサ素子による測定変量の検出が実現されることを特徴とする、請求項1〜7記載の結合。
【請求項12】
容量結合に必要な誘電体が、未損傷もしくは少なくとも全面的には突き破られていない機械的分離層によって実現されることを特徴とする、請求項1〜12記載の結合。
【請求項13】
基本状況のとき既に存在して電気導体ループとして利用可能な構造体を利用して電磁結合が実現されることを特徴とする、請求項1〜12記載の結合。
【請求項14】
基本状況のとき存在しないが電気導体ループとして利用可能な構造体を取付けて電磁結合が実現されることを特徴とする、請求項1〜12記載の結合。
【請求項15】
あらゆる種類のタイヤのスチールベルトによって電磁結合が実現されることを特徴とする、請求項1〜12記載の結合。
【請求項16】
電気導体ループとして利用可能な付加的構造体をあらゆる種類のタイヤに加硫することによって電磁結合が実現されることを特徴とする、請求項1〜12記載の結合。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−507587(P2006−507587A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554342(P2004−554342)
【出願日】平成15年11月13日(2003.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012702
【国際公開番号】WO2004/049280
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(505043432)アイキュウ・モビール・ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】