説明

トリアザスピロ[5.5]ウンデカン誘導体の新規結晶

本発明は、トリアザスピロ[5.5]ウンデカン誘導体の新規結晶に関する。(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶は、医薬品原薬として安全で、かつ大量に供給可能であり、また、強力なケモカイン/ケモカイン受容体の拮抗作用を有することから、各種炎症性疾患、喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー疾患、腎炎、腎症、肝炎、関節炎、慢性関節リウマチ、自己免疫疾患、移植臓器拒絶反応、後天性免疫不全症候群等の予防および/または治療剤の製造に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、医薬品として有用で、かつ新規な(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩(以下、化合物(I)と略記する場合がある。)の結晶、その製造方法、およびその結晶を有効成分として含有する薬剤に関する。
【背景技術】
ケモカインは、内因性の白血球走化性、活性化作用を有し、ヘパリン結合性の強い塩基性蛋白質として知られている。現在では、ケモカインは、炎症、免疫反応時の特異的白血球の浸潤を制御するのみならず、発生、生理的条件下でのリンパ球のホーミング、血球前駆細胞、体細胞の移動にも関わると考えられている。
血球細胞は種々のサイトカインによって、その分化、増殖、細胞死が制御されている。生体内において炎症は局所的にみられ、リンパ球の分化、成熟等はある特定の部位で行われている。すなわち、必要とされる種々の細胞が、ある特定の部位に移動し、集積して、一連の炎症・免疫反応が起こる。従って、細胞の分化、増殖、死に加えて、細胞の移動も免疫系にとって必要不可欠な現象である。
生体内での血球細胞の移動は、まず、発生過程において、AGM領域に始まる造血が胎児肝を経て、骨髄での永久造血へと移行することから始まる。更に、胎児肝・骨髄から胸腺へと、T細胞・胸腺樹状細胞の前駆細胞が移動し、胸腺環境下で細胞分化する。クローン選択を受けたT細胞は、二次リンパ組織へ移動し、末梢における免疫反応に関与する。抗原を捕らえて、活性化・分化した皮膚のランゲルハンス細胞は、局所リンパ節のT細胞領域に移動し、樹状突起細胞としてナイーブT細胞を活性化する。メモリーT細胞はリンパ管・血管を経て、再びリンパ節にホーミングする。また、B細胞、腸管上皮内T細胞、γδT細胞、NKT細胞、樹状細胞は、骨髄より胸腺を経ずに移動・分化し、免疫反応に関与する。
ケモカインは、このような種々の細胞の移動に深く関与している。例えば、MIP3β、SLCとその受容体であるCCR7は、抗原を捕らえた成熟樹状細胞が、ナイーブT細胞およびメモリーT細胞と効率良く出会うために、これらの細胞の局所リンパ組織への移動・ホーミングにおいて重要な働きをしている。SLCの発現に欠損があるPLTマウスの二次リンパ節には、抗原特異的な免疫反応を司るために必要なT細胞、並びに樹状細胞がほとんど観察されない(J.Exp.Med.,189(3),451(1999))。
MDC、TARCとその受容体であるCCR4は、Th2細胞の関わる免疫・炎症反応において、Th2細胞の局所への移動に重要な働きをしている。ラット劇症肝炎モデル(P.acnes+LPS)において、抗TARC抗体は、血中ALT量の上昇、および肝臓中TNFα、FasLの発現量の上昇を抑制し、更にラット致死率を改善した(J.Clin.Invest.,102,1933(1998))。また、マウスOVA誘発気道過敏性モデルにおいて、抗MDC抗体は肺間質に集積する好酸球数を減らし、気道過敏性を抑制した(J.Immunology,163,403(1999))。
MCP−1とその受容体であるCCR2は、マクロファージの炎症部位への浸潤に関与している。抗MCP−1抗体は、ラット抗Thy1.1抗体腎炎モデルにおいて、糸球体への単球・マクロファージの浸潤に対する抑制効果を示した(Kidney Int.,51,770(1997))。
このように、ケモカイン受容体は、種々の特異的な細胞において、ある特定した時期に発現し、そのエフェクター細胞がケモカインの産生される個所に集積するというメカニズムを通じて、炎症・免疫反応の制御に大きく関与している。
ヒト免疫不全ウィルス(以下、HIVと略する。)感染によって引き起こされる後天性免疫不全症候群(エイズ(AIDS)と呼ばれている。)は、近年最もその治療法を切望されている疾患の一つである。主要な標的細胞であるCD4陽性細胞にHIVの感染が一度成立すると、HIVは患者の体内で増殖をくり返し、やがては免疫機能をつかさどるT細胞を壊滅的に破壊する。この過程で徐々に免疫機能が低下し、発熱・下痢・リンパ節の腫脹等の様々な免疫不全状態を示すようになり、カリニ肺炎等の種々の日和見感染症を併発し易くなる。このような状態がエイズの発症であり、カボジ肉腫等の悪性腫瘍を誘発し、重篤化することはよく知られている。
現在エイズに対する各種の予防、治療方法としては、例えば、(1)逆転写酵素阻害剤やプロテアーゼ阻害剤の投与によるHIVの増殖抑制、(2)免疫賦活作用のある薬物の投与による日和見感染症の予防、緩和等が試みられている。
HIVは、免疫系の中枢を司るヘルパーT細胞に主に感染する。その際、T細胞の膜上に発現している膜蛋白CD4を利用することは、1985年より知られている(Cell,52,631(1985))。CD4分子は433個のアミノ酸残基からなり、成熟ヘルパーT細胞以外にマクロファージ、一部のB細胞、血管内皮細胞、皮膚組織のランゲルハンス細胞、リンパ組織にある樹状細胞、中枢神経系のグリア細胞等で発現が見られる。しかし、CD4分子のみではHIVの感染が成立しないことが明らかになるにつれて、HIVが細胞に感染する際にかかわるCD4分子以外の因子の存在の可能性が示唆されるようになった。
1996年になって、CD4分子以外のHIV感染にかかわる因子としてFusinという細胞膜蛋白が同定された(Science,272,872(1996))。このFusin分子は、ストローマ細胞由来因子−1(Stromal Derived Factor−1:SDF−1と略する。)の受容体(すなわち、CXCR4である。)であることが証明された。更に、インビトロでSDF−1が、T細胞指向性(X4)HIVの感染を特異的に抑制することも証明された(Nature,382,829(1996)、Nature,382,833(1996))。すなわち、SDF−1がHIVより先にCXCR4に結合することによって、HIVが細胞に感染するための足掛かりを奪い、HIVの感染が阻害されたと考えられる。
また同じ頃、別のケモカイン受容体であり、RANTES、MIP−1α、MIP−1βの受容体であるCCR5も、マクロファージ指向性(R5)HIVが感染する際に利用されることが発見された(Science,272,1955(1996))。
従って、HIVとCXCR4やCCR5を奪い合うことのできるもの、あるいはHIVウイルスに結合し、該ウイルスをCXCR4やCCR5に結合できない状態にさせるものは、HIV感染阻害剤となり得るはずである。また当初、HIV感染阻害剤として発見された低分子化合物が、実はCXCR4のアンタゴニストであることが示された例もある(Nature Medicine,4,72(1998))。
以上から、ケモカイン/ケモカイン受容体は、炎症、免疫疾患またはHIV感染に深く関与していると考えられる。例えば、各種炎症性疾患、喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー疾患(アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アレルギー性好酸球性胃腸症等)、腎炎、腎症、肝炎、関節炎、慢性関節リウマチ、乾癬、鼻炎、結膜炎、虚血再灌流傷害、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、急性呼吸窮迫症候群、細菌感染に伴うショック、糖尿病、自己免疫疾患、移植臓器拒絶反応、免疫抑制、癌転移予防、後天性免疫不全症候群等に関与していると考えられる。
既に、トリアザスピロ[5.5]ウンデカン誘導体がケモカイン/ケモカイン受容体拮抗作用を有し、ケモカインが関与している疾患、例えば各種炎症性疾患、喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー疾患(アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アレルギー性好酸球性胃腸症等)、腎炎、腎症、肝炎、関節炎、慢性関節リウマチ、乾癬、鼻炎、結膜炎、虚血再灌流傷害、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、急性呼吸窮迫症候群、細菌感染に伴うショック、糖尿病、自己免疫疾患、移植臓器拒絶反応、免疫抑制、癌転移予防、後天性免疫不全症候群等の治療および/または予防に有用であることが開示されている(WO01/40227号参照。)。
しかしながら、該明細書には、化合物(I)に関する記載は全くされておらず、化合物(I)は新規な化合物である。
【発明の開示】
化合物(I)は、WO02/074770号の実施例9(54)に記載されている。しかしながら、本発明者らの研究によれば、この明細書に記載された方法に従って化合物(I)を製造したところ、結晶ではなく、非結晶であることがわかった。
一般に、非結晶である物質は、医薬品の原薬として以下の点の問題点が予想される。すなわち、医薬品が実際に製造され、流通するときに一定の品質を保つことができない可能性が考えられる。
医薬品は、いかに薬効に優れ、安全性が確認された物質であろうとも、一定の品質を保つことができないのであれば、むしろ有害な事態を招きかねず、そのような化合物は医薬品としての存在意義が無い。このように医薬品において品質の確保は極めて重要な課題の1つである。この品質を確保するためには、常に一定の品質の原薬を安定供給できることが必要条件である。非結晶ではなく、安定な結晶を原薬として供給することはそのための非常に効果的な方法である。
つまり、WO02/074770号の明細書に記載した方法に従って製造される化合物(I)は、非結晶であるため、常に一定の品質の化合物を安定に大量供給することが非常に困難であり、この方法によって得られる原薬は、医薬品として実用に供する上で重大な障害をもつものであると考えられる。そのため、化合物(I)について、常に一定の品質を有し、かつ医薬品原薬として大量供給することのできる、単一でかつ安定な結晶を提供することが望まれている。
そこで、本発明者らは、化合物(I)の結晶を得るべく、種々検討を行った。すなわち、塩酸(すなわち塩化水素水溶液)とメタノールの混合溶媒に、化合物(I)のフリー体、すなわち、(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカンを溶解し、50℃乃至55℃で撹拌し、室温まで冷却し、さらに0℃乃至5℃まで冷却し、析出した固体をろ取した。しかしながら、この固体を分析したところ、意外にも溶媒の成分を含む固体であることがわかった(後記のB固体)。このB固体を常温でのX線結晶回折スペクトルにより解析したが、常に同じX線結晶回折スペクトルを与えないため、明確な構造解析を行うことができなかった。しかし、低温でのX線結晶回折スペクトルの解析結果から、B固体は、メタノールおよび水の溶媒和物であることが推察された。このように、当業者が通常行う結晶化操作では、化合物(I)の無溶媒和物の結晶を得ることが困難であることがわかった。従って、化合物(I)は、非常に溶媒和しやすい化合物であることが予測された。このような溶媒和物は、医薬品原薬として用いるには、安定性や毒性の面で問題となる場合がある。例えば水和物では、吸湿性や水分子の放出等によって質量が変化することもあり、またメタノールの溶媒和物は、メタノールが毒性を有するため、医薬品原薬として用いることはできない。
そこで、本発明者らは、このような問題点についても解決を試み、鋭意検討した結果、化合物(I)の、無溶媒和物の、純粋で単一な結晶を得ることに成功し、またその結晶化方法を確立することにより、本発明を完成した。
本発明の化合物(I)の無溶媒和物の結晶(以下、化合物(I)の無溶媒和物の結晶と略記する場合がある。)は、WO02/074770号には記載されていない化合物である。すなわち、化合物(I)の無溶媒和物の結晶は、WO02/074770号の実施例9(54)に記載した方法に従って製造した化合物とは、X線結晶回折スペクトル、示差走査熱量測定(DSC)、赤外線吸収スペクトルのデータが明らかに異なっており、新規な化合物である。
また、本発明者らは、化合物(I)の溶媒和物、または化合物(I)の非結晶から、化合物(I)の無溶媒和物の結晶を得ることにも成功した。
すなわち、本発明は、
1.(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の結晶、
2.無溶媒和物である前記1記載の結晶、
3.融点が、約230℃乃至約240℃である前記1記載の結晶、
4.融点が、約232℃乃至約235℃である前記1記載の結晶、
5.粉末X線回折スペクトルが、図1に示される粉末X線回折スペクトルである前記1記載の結晶、
6.粉末X線回折スペクトルにおける回折角2θが、5.15、8.06、10.26、11.01、13.72、15.46、17.36、18.03、18.58、19.00、19.51、20.71、21.73、22.58、23.80、24.96、27.07(度)である前記5記載の結晶、
7.赤外吸収スペクトルが、図3に示される赤外吸収スペクトルである前記1記載の結晶、
8.赤外吸収スペクトルにおいて、2924、2504、1682、1632、1597、1503、1426、1377、1235、1163、1098、961、928、876、855、770、727、681cm−1に吸収を有する前記7記載の結晶、
9.平均粒子径が、約0.05μm乃至約200μmである前記1記載の結晶、
10.P2空間群の結晶である前記2記載の結晶、
11.格子定数が、a=11.8105オングストローム±7%、b=7.8730オングストローム±7%、c=18.2351オングストローム±7%を示す前記10記載の結晶、
12.低級アルコール系溶媒または水と混和するエーテル系溶媒を実質的に含まないか、または残留量として、5000ppm以下である前記2記載の結晶、
13.(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の粗精製物を溶解または懸濁させた、水を含有していてもよい低級アルコール系溶媒、または水を含有していてもよい水と混和するエーテル系溶媒から結晶化させることを特徴とする(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶の製造方法、
14.低級アルコール系溶媒が、C1〜4アルキルアルコール、または酢酸C1〜4アルキルエステルである前記13記載の製造方法、
15.低級アルコール系溶媒が、メタノールまたはエタノールである前記14載の製造方法、
16.低級アルコール系溶媒が、酢酸エチルである前記14記載の製造方法、
17.水と混和するエーテル系溶媒が、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサンまたはテトラヒドロフランである前記13記載の製造方法、
18.水と低級アルコール系溶媒の混合体積比、または水と、水と混和するエーテル系溶媒の混合体積比が1:50乃至7:3である前記13記載の製造方法、
19.水と低級アルコール系溶媒の混合体積比、または水と、水と混和するエーテル系溶媒の混合体積比が1:35乃至5:5である前記18記載の製造方法、
20.結晶化の温度が、約−10℃乃至約40℃である前記13記載の製造方法、
21.結晶化の時間が、約20分乃至約5時間である前記13記載の製造方法、
22.前記13乃至21のいずれかの項に記載の製造法により得られる(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶、
23.(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカンと塩化水素を、(1)C1〜4アルキルアルコール、(2)C1〜4アルキルアルコールと水の混合溶媒、(3)水と混和するエーテル系溶媒、(4)水と混和するエーテル系溶媒と水の混合溶媒、(5)C1〜4アルキルアルコールと水と混和するエーテル系溶媒の混合溶媒、(6)C1〜4アルキルアルコール、水と混和するエーテル系溶媒、および水の混合溶媒、または(7)水から選択される溶媒に溶解または懸濁し、約40℃乃至約80℃に昇温する工程、ついで約−5℃乃至約35℃に冷却する工程を含むことを特徴とする、(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶の製造方法、
24.C1〜4アルキルアルコールが、メタノールまたはエタノールである前記23記載の製造方法、
25.水と混和するエーテル系溶媒が、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサンまたはテトラヒドロフランである前記23記載の製造方法、
26.(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカンと塩化水素を、(1)C1〜4アルキルアルコール、(2)C1〜4アルキルアルコールと水の混合溶媒、(3)水と混和するエーテル系溶媒、(4)水と混和するエーテル系溶媒と水の混合溶媒、(5)C1〜4アルキルアルコールと水と混和するエーテル系溶媒の混合溶媒、(6)C1〜4アルキルアルコール、水と混和するエーテル系溶媒、および水の混合溶媒、または(7)水から選択される溶媒に溶解または懸濁し、約40℃乃至約80℃に昇温する工程、ついで約−5℃乃至約35℃に冷却する工程、ついでC1〜4アルキルアルコールまたは水と混和するエーテル系溶媒を添加する工程、ついで所望によって水を添加する工程を含むことを特徴とする、前記23記載の製造方法、
27.(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の溶媒和物または(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の非結晶を、酢酸C1〜4アルキルエステルに溶解または懸濁する工程、約40℃乃至約80℃に昇温する工程および約−5℃乃至約35℃に冷却する工程を含むことを特徴とする、(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶の製造方法、
28.前記20乃至24のいずれかの項に記載の方法によって得られる(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶、
29.平均粒子径が、約0.05μm乃至200μmである前記28記載の結晶、
30.前記1、22または28記載の結晶を有効成分として含有する医薬組成物、
31.ケモカイン/ケモカイン受容体の作用の制御剤である前記30記載の組成物、
32.ケモカイン/ケモカイン受容体の作用に起因する疾患の治療および/または予防剤である前記31記載の組成物、
33.前記1、22または28記載の結晶の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、哺乳動物におけるケモカイン/ケモカイン受容体の作用に起因する疾患の予防または治療方法、および
34.ケモカイン/ケモカイン受容体の作用に起因する疾患の予防および/または治療剤を製造するための前記1、28または28記載の結晶の使用等に関する。
化合物(I)の無溶媒和物の結晶、すなわち(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶は、以下の粉末X線回折スペクトルデータ、赤外吸収スペクトルデータ、示差走査熱量測定データ等によって特徴づけられる。
Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角(2θ)、半値幅および相対強度が表1に示される(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶(以下A結晶と略記する場合がある。)。

赤外吸収スペクトルにおいて、2924、2504、1682、1632、1597、1503、1426、1377、1235、1163、1098、961、928、876、855、770、727、681cm−1に吸収を有する(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶。
示差走査熱量測定において、244℃付近に吸熱ピークを有する(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶。
本発明の化合物(I)の無溶媒和物の結晶は、本明細書中の物理化学的性質によって特定されるものであるが、各スペクトルのデータの性質上多少変わりうるものであるから、厳密に解されるべきではない。
例えば、粉末X線回折スペクトルのデータの性質上、結晶の同一性の認定においては、回折角(2θ)や半値幅や全体的なパターンが重要であり、相対強度は結晶成長の方向、粒子の大きさ、測定条件によって多少変わりうる。
また、示差走査熱量測定データにおいても、結晶の同一性の認定においては、全体的なパターンが重要であり、測定条件によって多少変わりうる。
さらに、赤外線吸収スペクトルにおいても、結晶の同一性の認定においては、全体的なパターンが重要であり、測定条件によって多少変わりうる。
本明細書中、化合物(I)にメタノールおよび水が溶媒和した固体、すなわち後記のB固体は、本明細書中の物理化学的性質によって特定されるものであり、その製造方法は限定されない。すなわち、後記した実施例に記載するB固体の示差走査熱量測定データおよび/または赤外線吸収スペクトルデータを示す固体であれば、如何なる製法によって製造される固体であっても、B固体に包含される。ただし、各スペクトルのデータの性質上多少変わりうるものであるから、厳密に解されるべきではない。
本明細書中、化合物(I)にエタノールおよび/または水が溶媒和した固体、すなわち後記のC固体は、本明細書中の物理化学的性質によって特定されるものであり、その製造方法は限定されない。すなわち、後記した実施例に記載するC固体の示差走査熱量測定データおよび/または赤外線吸収スペクトルデータを示す固体であれば、如何なる製法によって製造された固体であっても、C固体として包含される。ただし、各スペクトルのデータの性質上多少変わりうるものであるから、厳密に解されるべきではない。
本明細書中、化合物(I)の非結晶は、本明細書中の物理化学的性質によって特定されるものであり、その製造方法はWO02/074770号の明細書に記載した方法に限定されない。すなわち、後記した実施例に記載する化合物(I)の非結晶の示差走査熱量測定データおよび/または赤外線吸収スペクトルデータを示す非結晶であれば、如何なる製法によって製造された非結晶であっても、化合物(I)の非結晶として包含される。ただし、各スペクトルのデータの性質上多少変わりうるものであるから、厳密に解されるべきではない。
本明細書中、化合物(I)の粗精製物とは、化合物(I)を成分として含み、かつ化合物(I)の無溶媒和物の結晶が示す本明細書中の物理化学的性質を示さないものを意味する。
本明細書中、化合物(I)の結晶は、化合物(I)の結晶であればこれをすべて包含し、溶媒和の有無には左右されない。すなわち、化合物(I)に溶媒が溶媒和している結晶であってもよく、また、化合物(I)の無溶媒和物の結晶であってもよい。ここで、化合物(I)の結晶として好ましくは、化合物(I)の無溶媒和物の結晶である。化合物(I)の無溶媒和物の結晶としては、医薬品の原薬として使用可能な平均粒子径の結晶が好ましい。該結晶の平均粒子径として具体的には、例えば約0.05μm乃至約200μmが好ましく、約1μm乃至約50μmがより好ましく、約5μm乃至約30μmが特に好ましい。とりわけ約10μm乃至約20μmが好ましい。
本発明の化合物(I)の無溶媒和物の結晶とは、実質的に溶媒和していない結晶を意味する。実質的に溶媒和していない結晶とは、その結晶格子中に溶媒の成分を含まない結晶を意味し、結晶格子外に溶媒の成分が含まれるものも包含する。すなわち、該化合物(I)の無溶媒和物の結晶には、例えば、結晶格子外に溶媒の成分を含む結晶等も含まれる。
さらに本発明の化合物(I)の無溶媒和物の結晶には、許容される範囲内の非結晶、または許容される範囲内の溶媒和物の固体(例えば、前記したB固体、C固体またはそれら以外の溶媒和した固体等)が混在していてもよい。
上記したように、本発明の化合物(I)の無溶媒和物の結晶には、結晶格子外に溶媒の成分が含まれるもの、および/または許容される範囲内の溶媒和物の固体が混在しているものが含まれるが、この場合の溶媒成分の量(残留量または溶媒残留量と呼ばれることがある)は、溶媒によって異なるが、医薬品原薬として許容される範囲内の溶媒成分の量であることが好ましい。例えば、低級アルコール系溶媒または水と混和するエーテル系溶媒等は、実質的に含まないか、または残留量として約5000ppm以下であることが好ましい。より具体的には、本発明の化合物(I)の無溶媒和物の結晶における溶媒残留量は、例えばメタノールであれば約0ppm乃至約3000ppm、好ましくは約0ppm乃至約2000ppm、より好ましくは約0ppm乃至約1500ppmの範囲内にあることが好ましく、例えば酢酸エチルであれば約0ppm乃至約5000ppmの範囲内にあることが好ましい。また水分含量は約1%以下であることが好ましい。
化合物(I)の無溶媒和物の結晶は、P2空間群の結晶であり、その格子定数は、a=11.8105オングストローム(Å)、b=7.8730オングストローム(Å)、c=18.2351オングストローム(Å)である。ここで、a、b、cで表わされる格子定数は、例えば温度等の影響によって増減するため、厳密に解されるべきではない。格子定数の変化は、a、b、cそれぞれ約±15%、より好ましくは約±7%、特に好ましくは約±5%以内であることが好ましい。
また、化合物(I)の無溶媒和物の結晶は、約225℃以上の融点を示す。より具体的には、化合物(I)の無溶媒和物の結晶は、約230℃乃至約240℃、好ましくは約232℃乃至約235℃に融点を示す。融点は、一般的に行われる融点測定法等で確認することができるが、測定条件によって、多少変わりうるものであるから、厳密に解されるべきではない。
[本発明化合物の製造方法]
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の結晶は、以下に記載した方法、これらに準ずる方法または実施例に記載した方法によって製造することができる。より具体的には、本発明の(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶は、下記の方法1〜方法4の反応によって製造することができる。
方法1:化合物(I)のフリー体を、塩酸塩への変換反応に付し、単離精製することなく、化合物(I)の無溶媒和物の結晶を得る方法;
方法2:化合物(I)のフリー体を、塩酸塩への変換反応に付し、化合物(I)の溶媒和物(後記のB固体)を単離精製し、その後、化合物(I)の無溶媒和物の結晶を得る方法;
方法3:化合物(I)のフリー体を、塩酸塩への変換反応に付し、化合物(I)の溶媒和物(後記のC固体)を単離精製し、その後、化合物(I)の無溶媒和物の結晶を得る方法;
方法4:化合物(I)のフリー体を、塩酸塩への変換反応に付し、化合物(I)の非結晶を単離精製し、(WO02/074770号の実施例9(54)に記載した方法により行われる)その後、化合物(I)の無溶媒和物の結晶を得る方法である。
以下に各方法について、詳細に説明する。
(1)方法1は、(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカンを、塩酸塩への変換反応に付し、単離精製することなく、さらに結晶化することによって、本発明の化合物(I)の無溶媒和物の結晶を製造する方法である。
塩酸塩への変換反応は公知であり、例えば、塩化水素を含む溶媒中、約0℃乃至約90℃、好ましくは約40℃乃至約80℃の温度で行われる。ここで、「塩化水素を含む溶媒」における溶媒は、塩化水素を溶解しうる溶媒、または塩化水素を溶解しうる溶媒と混和できる溶媒であればよい。塩化水素を含む溶媒は、塩化水素を溶解しうる溶媒、または塩化水素を溶解しうる溶媒と混和できる溶媒に、塩化水素ガス、または塩化水素水溶液、すなわち塩酸を添加することによって容易に調製することができる。「塩化水素を含む溶媒」における溶媒としては、例えば(1)C1〜4アルキルアルコール、(2)C1〜4アルキルアルコールと水の混合溶媒、(3)水と混和するエーテル系溶媒、(4)水と混和するエーテル系溶媒と水の混合溶媒、(5)C1〜4アルキルアルコールと水と混和するエーテル系溶媒の混合溶媒、(6)C1〜4アルキルアルコール、水と混和するエーテル系溶媒、および水の混合溶媒、または(7)水等が挙げられる。また、該「塩化水素を含む溶媒」における溶媒は、塩酸塩への変換反応の後に行われる結晶化における溶媒としても用いることができるものが好ましい。このような溶媒としては、例えば「水を含有していてもよい、低級アルコール系溶媒または水と混和するエーテル系溶媒」等が挙げられる。「低級アルコール系溶媒」としては、例えば、C1〜4アルキルアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等)またはC1〜4アルキルアルコールの酢酸エステル、すなわち酢酸C1〜4アルキルエステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル等)等が挙げられる。「水と混和するエーテル系溶媒」としては、例えば、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。塩酸塩への変換反応における溶媒としての、「水を含有していてもよい、低級アルコール系溶媒または水と混和するエーテル系溶媒」として好ましくは、水と、前記「C1〜4アルキルアルコール」の混合溶媒、または水と、前記「水と混和するエーテル系溶媒」の混合溶媒等が挙げられる。より好ましくは、水とメタノールの混合溶媒、水とエタノールの混合溶媒、水とジオキサンの混合溶媒等が挙げられ、特に、水とメタノールの混合溶媒が好ましい。
この結晶化は、塩酸塩への変換反応に付した反応混合溶液を、約−10℃乃至約40℃で撹拌し、A結晶を結晶化させることにより行われる。
より具体的には、例えば、塩化水素を含む「水を含有していてもよい、低級アルコール系溶媒または水と混和するエーテル系溶媒」等を用いて約40℃乃至約80℃で塩酸塩への変換反応を行った後、さらに約−10℃乃至約40℃、好ましくは約−5℃乃至約35℃、より好ましくは約−5℃乃至約10℃で撹拌し、必要であれば、処理し(例えば、低級アルコール系溶媒または水と混和するエーテル系溶媒を加える等)、A結晶を析出させ、必要であれば、さらに処理する(例えば、水を加える等)ことにより、効率的に化合物(I)の無溶媒和物の結晶であるA結晶を製造することができる。
前記「C1〜4アルキルアルコール」を用いた場合には、溶媒和した固体(例えば、後記したB固体またはC固体等)が生成するので、安定に化合物(I)の無溶媒和物の結晶であるA結晶を得るためには、塩酸塩への変換反応の後、必要であれば、前記「C1〜4アルキルアルコール」を加え、水と前記「C1〜4アルキルアルコール」の混合体積比を変化させることが好ましい。
また、前記の「C1〜4アルキルアルコール」または「水と混和するエーテル系溶媒」を用いた場合には、化合物(I)の無溶媒和物の結晶であるA結晶の収量を向上するために、必要であれば、水を加えることが好ましい。
上記した方法1における水と前記「C1〜4アルキルアルコール」の混合体積比、または水と前記「水と混和するエーテル系溶媒」の混合体積比は特に限定されないが、好ましくは1:50乃至7:3、より好ましくは1:35乃至1:1の範囲内で行うことが好ましい。
(2)方法2は、(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカンと塩化水素を含む、メタノールと水の混合溶媒を用いて、塩酸塩への変換反応に付し、化合物(I)の溶媒和物(後記のB固体)を単離精製し、その後、結晶化することにより、本発明の化合物(I)の無溶媒和物の結晶を製造する方法である。
塩酸塩への変換反応は、上記した方法1の塩酸塩への変換反応と同様に行われる。詳しくは、約40℃乃至約80℃で塩酸塩への変換反応を行い、さらに約−10℃乃至約35℃で撹拌し、好ましくは約−5℃乃至約10℃で撹拌し、固体を析出させることにより行われる。析出した固体は、当業者によって通常行われる方法(例えば、ろ過、乾燥等)を用いて単離精製し、以下の結晶化に供される。
この結晶化は、上記の反応によって得られた固体を、前記「水を含有していてもよい、低級アルコール系溶媒または水と混和するエーテル系溶媒」等を用いて、約40℃乃至約80℃、好ましくは約50℃乃至約80℃で撹拌し、さらに約−5℃乃至約35℃、好ましくは約10℃乃至約35℃で撹拌し、結晶を析出させることにより行われる。該「水を含有していてもよい、低級アルコール系溶媒または水と混和するエーテル系溶媒」として好ましくは、例えば酢酸エチル、メタノール、エタノール、1,2−ジメトキシエタン等、またはこれらと水の混合溶媒(例えば、メタノール水溶液、エタノール水溶液、1,2−ジメトキシエタン水溶液等)等が挙げられる。とりわけ、酢酸エチルが好ましい。結晶化は、水を含有しない溶媒を用いて行うことがより好ましいが、所望によって、任意の混合比率の、水と低級アルコール系溶媒の混合溶媒、または水と、水と混和するエーテル系溶媒の混合溶媒、好ましくは水の比率が25%以下のこれらの混合溶媒を用いることができる。
(3)方法3は、(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカンと、塩化水素を含む、エタノールと水の混合溶媒を用いて、塩酸塩への変換反応に付し、化合物(I)の溶媒和物(後記のC固体)を単離精製し、その後、結晶化することにより、本発明の化合物(I)の無溶媒和物の結晶を製造する方法である。
塩酸塩への変換反応は、上記した方法1の塩酸塩への変換反応と同様に行われる。詳しくは、約40℃乃至約80℃で塩酸塩への変換反応を行い、さらに約−10℃乃至約35℃、好ましくは約−5℃乃至約10℃で撹拌し、固体を析出させることにより行われる。析出した固体は、当業者によって通常行われる方法(例えば、ろ過、乾燥等)を用いて単離精製し、前記した方法2に記載の結晶化に付すことで、本発明の化合物(I)の無溶媒和物の結晶とすることができる。
(4)方法4は、(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカンを、WO02/074770号の実施例9(54)に記載した方法によって、化合物(I)の非結晶を単離精製し、さらに結晶化することにより、本発明の化合物(I)の無溶媒和物の結晶を製造する方法である。
ここで、塩酸塩への変換反応および精製方法は、WO02/074770号の実施例9(54)に記載した方法と同様に行われる。この方法によって得られた非結晶は、前記した方法2に記載の結晶化に付すことで、本発明の化合物(I)の無溶媒和物の結晶とすることができる。
塩酸塩への変換反応と結晶化は、操作における利便性から、一連した反応として行うことが好ましい。
方法2〜方法4において、B固体、C固体、または非結晶を得る方法を開示したが、これらの固体または非結晶を得る方法は、これらの方法に限定されない。従って、如何なる方法によって得られたB固体、C固体、または非結晶を用いても、上記した方法によって、本発明の化合物(I)の無溶媒和物の結晶を得ることができるものであれば、その方法は、すべて本発明に包含される。
また、塩酸塩への変換反応によって、上記した以外の溶媒和物、または非結晶が得られた場合にも、前記した方法2に記載の結晶化に付すことで、本発明の化合物(I)の無溶媒和物の結晶とすることができる。
また、本発明化合物の製造に用いる(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカンは、(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン、またはその酸付加物塩と4−(4−ホルミルフェニルオキシ)安息香酸を還元的アミノ化反応に付すことにより製造することができる。
この還元的アミノ化反応は公知であり、例えば、有機溶媒(例えば、ジクロロエタン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、酢酸およびこれらの混合物等)中、三級アミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等)の存在下、あるいは非存在下、還元剤(例えば、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等)の存在下、0℃乃至40℃の温度で行われる。
さらに、この反応の原料である(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン、またはその酸付加物塩は、以下の反応工程式(I)によって製造することができる。

前記反応工程式中、各反応はそれぞれ公知の方法によって行われる。また、前記反応工程式において、出発物質として用いる式(IV)、式(V)、式(VI)および式(VII)で示される化合物は、それ自体公知であるか、あるいは公知の方法により容易に製造することができる。また、本明細書中、Bocは、tert−ブトキシカルボニル基を表わし、酸付加物塩は、無機酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等)、あるいは有機酸塩(例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩等)を表わす。
具体的には、(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン、またはその酸付加物塩は、式(IV)、式(V)、式(VI)および式(VII)で示される化合物を反応に付し、式(VIII)で示される化合物を得、式(VIII)で示される化合物を脱Boc基反応、環化反応、所望により酸付加物塩への変換反応に付し、式(IX)で示される化合物、またはその酸付加物塩を得、式(IX)で示される化合物、またはその酸付加物塩を脱ベンジル基反応に付すことにより製造することができる。
より具体的には、式(VIII)で示される化合物は、式(IV)、式(V)、式(VI)および式(VII)で示される化合物を、例えば有機溶媒(例えばメタノール、エタノール等)中、混合し、30℃乃至100℃に加熱することにより得ることができる。
さらに、式(IX)で示される化合物、またはその酸付加物塩は、式(VIII)で示される化合物を、脱Boc基反応、環化反応、所望により酸付加物塩への変換反応に付すことにより製造することができる。
この脱Boc基反応は公知であり、例えば、有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、アニソール等)中、有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トシル酸等)、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸等)もしくはこれらの混合物(例えば、臭化水素/酢酸等)中、0℃乃至100℃の温度で行なわれる。
また、この環化反応は公知であり、例えば、有機溶媒(例えば、酢酸エチル、ジクロロエタン、トルエン等)中、三級アミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等)を用いるか、酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸等)を用いるか、または用いないで60℃乃至120℃に加熱することにより行われる。この反応はモルホリノエチルアミノ基の切断と同時に環化される反応である。
さらに、この酸付加物塩への変換反応は公知であり、例えば、有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、ジオキサン、酢酸エチルおよびこれらの混合物等)中、水の存在下または非存在下、酸(例えば、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸等)、あるいは有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、イセチオン酸、グルクロン酸、グルコン酸等)等)存在下、0℃乃至90℃の温度で行われる。さらにこの反応混合物を−10℃乃至40℃で撹拌し、結晶を析出させることにより行われる。
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン、またはその酸付加物塩は、式(IX)で示される化合物、またはその酸付加物塩を脱ベンジル基反応に付すことにより製造することができる。この脱ベンジル基反応は公知であり、例えば、溶媒(例えば、エーテル系(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等)、アルコール系(例えば、メタノール、エタノール等)、ベンゼン系(例えば、ベンゼン、トルエン等)、ケトン系(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系(例えば、アセトニトリル等)、アミド系(例えば、ジメチルホルムアミド等)、水、酢酸エチル、酢酸またはそれらの2以上の混合溶媒等)中、触媒(例えば、パラジウム/炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケル等)の存在下、常圧または加圧下の水素雰囲気下またはギ酸アンモニウム存在下、0℃乃至200℃の温度で行なわれる。
[薬理活性]
本発明化合物である(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶、またはその溶媒和物の固体が、WO02/074770号の明細書に記載した方法に従って製造された非結晶と同程度の、強いケモカイン/ケモカイン受容体拮抗作用を有することは、WO01/40227号に記載された方法により確認した。
[毒性]
本発明化合物の毒性は非常に低く、例えばラットを用いた単回投与試験では、2000mg/kgでも顕著な毒性は見られなかった。従って本発明化合物は、医薬として使用するために十分安全であると判断できる。
【産業上の利用可能性】
[医薬品への適用]
ヒトを含めた動物、特にヒトにおいて、本発明化合物は、ケモカイン/ケモカイン受容体の作用を制御するので、ケモカイン/ケモカイン受容体の作用に起因する疾患、例えば各種炎症性疾患、喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー疾患(アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アレルギー性好酸球性胃腸症等)、腎炎、腎症、肝炎、関節炎、慢性関節リウマチ、乾癬、鼻炎、結膜炎、虚血再灌流傷害、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、急性呼吸窮迫症候群、細菌感染に伴うショック、糖尿病、自己免疫疾患、移植臓器拒絶反応、免疫抑制、癌転移予防、後天性免疫不全症候群等の予防および/または治療に有用である。
本発明化合物、あるいは塩酸塩以外の非毒性の塩、酸付加塩、またはその水和物を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人あたり、1回につき、1mgから1000mgの範囲で、1日1回から数回経口投与されるか、または成人一人あたり、1回につき、1mgから100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与(好ましくは、静脈内投与)されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。
本発明化合物を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤および、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤等として用いられる。
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。
このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
非経口投与のためのその他の製剤としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される外用液剤、軟膏剤、塗布剤、吸入剤、スプレー剤、坐剤および膣内投与のためのペッサリー等が含まれる。
スプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。
本発明化合物は、他の薬剤、例えば、HIV感染の予防および/または治療剤(特に、AIDSの予防および/または治療剤)と組み合わせて用いてもよい。この場合、これらの薬物は、別々にあるいは同時に、薬理学的に許容されうる賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、溶解補助剤、希釈剤等と混合して製剤化し、HIV感染の予防および/または治療のための医薬組成物として経口的にまたは非経口的に投与することができる。
本発明化合物は、他のHIV感染の予防および/または治療剤(特に、AIDSの予防および/または治療剤)に対して耐性を獲得したHIV−1に対して感染阻害作用を有する。従って、他のHIV感染の予防および/または治療剤が効果を示さなくなったHIV感染者に対しても用いることができる。この場合、本発明化合物を単剤で用いても良いが、感染しているHIV−1株が耐性を獲得したHIV感染の予防および/または治療剤またはそれ以外の薬剤と併用して用いても良い。
本発明化合物は、HIV感染を阻害しない薬物と組み合わせて、単剤よりもHIV感染の予防および/または治療効果を増強するものを含む。
本発明化合物と組み合わせて用いられる他のHIV感染の予防および/または治療剤の例としては、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ケモカイン拮抗剤(例えば、CCR2拮抗剤、CCR3拮抗剤、CCR4拮抗剤、CCR5拮抗剤、CXCR4拮抗剤等)、フュージョン阻害剤、HIV−1の表面抗原に対する抗体、HIV−1のワクチン等が挙げられる。
逆転写酵素阻害剤として、具体的には、(1)核酸系逆転写酵素阻害剤のジドブジン(商品名:レトロビル)、ジダノシン(商品名:ヴァイデックス)、ザルシタビン(商品名:ハイビッド)、スタブジン(商品名:ゼリット)、ラミブジン(商品名:エピビル)、アバカビル(商品名:ザイアジェン)、アデフォビル、アデフォビル ジピボキシル、エントリシタビン(商品名:コビラシル)、PMPA(商品名:テノフォヴィル)等、(2)非核酸系逆転写酵素阻害剤のネビラピン(商品名:ビラミューン)、デラビルジン(商品名:レスクリプター)、エファビレンツ(商品名:サスティバ、ストックリン)、カプラヴィリン(AG1549)等が挙げられる。
プロテアーゼ阻害剤として、具体的には、インジナビル(商品名:クリキシバン)、リトナビル(商品名:ノービア)、ネルフィナビル(商品名:ビラセプト)、サキナビル(商品名:インビラーゼ、フォートベース)、アンプリナビル(商品名:エジネラーゼ)、ロピナビル(商品名:カレトラ)、ティプラナビル等が挙げられる。
ケモカイン拮抗剤としては、ケモカインレセプターの内因性のリガンド、またはその誘導体および非ペプチド性低分子化合物、またはケモカインレセプターに対する抗体が含まれる。
ケモカインレセプターの内因性のリガンドとしては、具体的には、MIP−1α、MIP−1β、RANTES、SDF−1α、SDF−1β、MCP−1、MCP−2、MCP−4、エオタキシン(Eotaxin)、MDC等が挙げられる。
内因性リガンドの誘導体としては、具体的には、AOP−RANTES、Met−SDF−1α、Met−SDF−1β等が挙げられる。
ケモカインレセプターの抗体としては、具体的には、Pro−140等が挙げられる。
CCR2拮抗剤としては、具体的には、WO99/07351号、WO99/40913号、WO00/46195号、WO00/46196号、WO00/46197号、WO00/46198号、WO00/46199号、WO00/69432号、WO00/69815号またはBioorg.Med.Chem.Lett.,10,1803(2000)に記載された化合物等が挙げられる。
CCR3拮抗剤としては、具体的には、DE19837386号、WO99/55324号、WO99/55330号、WO00/04003号、WO00/27800号、WO00/27835号、WO00/27843号、WO00/29377号、WO00/31032号、WO00/31033号、WO00/34278号、WO00/35449号、WO00/35451号、WO00/35452号、WO00/35453号、WO00/35454号、WO00/35876号、WO00/35877号、WO00/41685号、WO00/51607号、WO00/51608号、WO00/51609号、WO00/51610号、WO00/53172号、WO00/53600号、WO00/58305号、WO00/59497号、WO00/59498号、WO00/59502号、WO00/59503号、WO00/62814号、WO00/73327号またはWO01/09088号に記載された化合物等が挙げられる。
CCR5拮抗剤としては、具体的には、WO99/17773号、WO99/32100号、WO00/06085号、WO00/06146号、WO00/10965号、WO00/06153号、WO00/21916号、WO00/37455号、EP1013276号、WO00/38680号、WO00/39125号、WO00/40239号、WO00/42045号、WO00/53175号、WO00/42852号、WO00/66551号、WO00/66558号、WO00/66559号、WO00/66141号、WO00/68203号、特開2000−309598号、WO00/51607号、WO00/51608号、WO00/51609号、WO00/51610号、WO00/56729号、WO00/59497号、WO00/59498号、WO00/59502号、WO00/59503号、WO00/76933号、WO98/25605号、WO99/04794号、WO99/38514号またはBioorg.Med.Chem.Lett.,10,1803(2000)に記載された化合物等が挙げられる。
CXCR4拮抗剤としては、具体的には、AMD−3100、T−22、KRH−1120またはWO00/66112号に記載された化合物等が挙げられる。
フュージョン阻害剤としては、具体的には、T−20(pentafuside)、T−1249等が挙げられる。
以上の併用薬剤は例であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
代表的な逆転写酵素阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤の通常の臨床投与量は、例えば、以下に示すとおりであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ジドブジン:100mgカプセル、1回200mg、1日3回;
300mg錠剤、1回300mg、1日2回;
ジダノシン:25−200mg錠剤 1回125−200mg、1日2回;
ザルシタビン:0.375−0.75mg錠剤、1回0.75mg、1日3回;
スタブジン:15−40mgカプセル、1回30−40mg、1日2回;
ラミブジン:150mg錠剤、1回150mg、1日2回;
アバカビル:300mg錠剤、1回300mg、1日2回;
ネビラピン:200mg錠剤、1回200mg、14日間1日1回、その後1日2回;
デラビルジン:100mg錠剤、1回400mg、1日3回;
エファビレンツ:50−200mgカプセル、1回600mg、1日1回;
インジナビル:200−400カプセル、1回800mg、1日3回;
リトナビル:100mgカプセル、1回600mg、1日2回;
ネルフィナビル:250mg錠剤、1回750mg、1日3回;
サキナビル:200mgカプセル、1回1,200mg、1日3回;
アンプレナビル:50−150mg錠剤、1回1,200mg、1日2回。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例1で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータである。
図2は、実施例1で得られたA結晶の示差走査熱量測定(DSC)データである。
図3は、実施例1で得られたA結晶の赤外線吸収(IR)スペクトルデータである。
図4は、実施例1で得られたA結晶の単結晶X線回折スペクトル構造解析データ(1)である。
図5は、実施例1で得られたA結晶の単結晶X線回折スペクトル構造解析データ(2)である。
図6は、実施例2で得られたB固体の示差走査熱量測定(DSC)データである。
図7は、実施例2で得られたB固体の赤外線吸収(IR)スペクトルデータである。
図8は、実施例3で得られたC固体の示差走査熱量測定(DSC)データである。
図9は、実施例3で得られたC固体の赤外線吸収(IR)スペクトルデータである。
図10は、実施例4で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータである。
図11は、実施例4で得られたA結晶の赤外線吸収(IR)スペクトルデータである。
図12は、比較例1で得られた非結晶の粉末X線回折スペクトルデータである。
図13は、比較例1で得られた非結晶の示差走査熱量測定(DSC)データである。
図14は、比較例1で得られた非結晶の赤外線吸収(IR)スペクトルデータである。
図15は、実施例5(1)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータである。
図16は、実施例5(1)で得られたA結晶の赤外線吸収(IR)スペクトルデータである。
図17は、実施例5(2)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータである。
図18は、実施例5(2)で得られたA結晶の赤外線吸収(IR)スペクトルデータである。
図19は、実施例5(3)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータである。
図20は、実施例5(3)で得られたA結晶の赤外線吸収(IR)スペクトルデータである。
図21は、実施例5(4)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータである。
図22は、実施例5(4)で得られたA結晶の赤外線吸収(IR)スペクトルデータである。
図23は、実施例5(5)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータである。
図24は、実施例5(5)で得られたA結晶の赤外線吸収(IR)スペクトルデータである。
図25は、実施例5(6)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータである。
図26は、実施例5(6)で得られたA結晶の赤外線吸収(IR)スペクトルデータである。
図27は、実施例5(7)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータである。
図28は、実施例5(7)で得られたA結晶の赤外線吸収(IR)スペクトルデータである。
図29は、実施例5(8)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータである。
図30は、実施例5(8)で得られたA結晶の赤外線吸収(IR)スペクトルデータである。
図31は、実施例5(9)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータである。
図32は、実施例5(9)で得られたA結晶の赤外線吸収(IR)スペクトルデータである。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、参考例および実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例1
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−ベンジル−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・メタンスルホン酸塩
窒素ガス雰囲気下、1−ベンジル−4−ピペリドン(798g)のメタノール(4L)溶液に、n−ブチルアミン(310g)、(2R,3R)−2−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピオン酸(1200g)、2−モルホリノエチルイソシアナイド(600g)を順次加えた。反応混合物を50℃乃至55℃で3時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、濃塩酸(2L)を加えた。反応混合物を50℃乃至55℃で2時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、メタノール(2L)、水(12L)を加え、25%水酸化ナトリウム水溶液(3.03L)を加えた。反応混合物を濃縮し、酢酸エチルで抽出した。抽出液に、氷酢酸(1.14L)を加え、2時間還流した。反応混合物を室温まで冷却し、水、2M水酸化ナトリウム水溶液(9.5L)、33%食塩水(5.4L)で洗浄し、濃縮した。得られた残渣に、酢酸エチル(10.4L)を加え、60℃乃至65℃で30分間撹拌し、60℃乃至70℃でメタンスルホン酸(388g)を加えた。反応混合物を同温度で10分間撹拌し、結晶を析出させた。反応混合物を40℃乃至45℃、0℃乃至5℃に冷却し、1時間撹拌した。析出した結晶をろ過し、酢酸エチルで洗浄後、乾燥し、以下の物性値を有する標題化合物(1802g)を得た。
TLC:Rf 0.42(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR(200MHz,CDOD):δ7.51−7.22(m,5H),4.36(s,2H),4.14(d,J=2.2Hz,1H),4.00(m,1H),3.76(m,1H),3.59−3.38(m,3H),3.30−3.03(m,2H),2.70(s,3H),2.54−1.83(m,6H),1.82−1.56(m,5H),1.53−1.08(m,6H),1.06−0.77(m,5H)。
参考例2
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・メタンスルホン酸塩
窒素ガス雰囲気下、参考例1で製造した化合物(1792g)のジメチルホルムアミド溶液(3.3L)に10%パラジウム/炭素(18g)を加えた。反応混合物を水素ガスで置換した。反応混合物を水素ガス圧0.5MPa下、80℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反広混合物をろ過し、標題化合物のジメチルホルムアミド溶液を得た。
参考例3
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン
窒素ガス雰囲気下、参考例2で製造した化合物のジメチルホルムアミド溶液(8.4L)に、トリエチルアミン(340g)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1486g)、4−(4−ホルミルフェニルオキシ)安息香酸(969g)を加えた。反応混合物を室温で8時間撹拌した。反応混合物を65℃乃至70℃まで加熱し、70℃に加熱した水(3.3L)を加え、混合物を65℃乃至70℃で10分間撹拌し、結晶を析出させた。さらに反応混合物に70℃に加熱した水(3.3L)を加え、65℃乃至70℃で10分間撹拌した。反応混合物を15℃乃至30℃まで冷却し、30分間撹拌した。析出した結晶を濾取し、60%メタノール水溶液で洗浄することにより、以下の物性値を有する、標題化合物(2354g)を得た。
TLC:Rf 0.48(クロロホルム:メタノール:酢酸=20:4:1);
NMR(300MHz,d−DMSO):δ7.92(d,J=8.7Hz,2H),7.67(m,1H),7.37(d,J=8.4Hz,2H),7.06(d,J=8.4Hz,2H),7.01(d,J=8.7Hz,2H),5.07(br−s,1H),3.95(s,1H),3.51(s,2H),3.40−3.09(m,3H),2.83−2.62(m,4H),2.10−1.84(m,4H),1.80−1.44(m,7H),1.40−1.22(m,3H),1.20−1.04(m,3H),0.87(t,J=7.0Hz,3H),0.85−0.75(m,2H)。
【実施例1】
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶(A結晶)
0.032M塩酸(50.8L)のメタノール(126L)溶液に、20℃乃至50℃で、参考例3で製造した化合物(湿重量30.3kg、乾燥時の換算重量20kg、10.3kgのメタノール:水=6:4の混合溶液を含有)を加えた。反応混合物を50℃乃至55℃で30分間撹拌した。反応混合物をろ過し、70%メタノール水溶液で洗浄した。濾液を50℃乃至55℃で撹拌した。反応混合溶液を室温まで冷却し、10分間撹拌した。さらに反応混合物を0℃乃至5℃まで冷却し、結晶を析出させた。このようにして得られた懸濁液にメタノール(41L)を加え、0℃乃至5℃で1時間撹拌し、5℃に冷却した水(58L)を加え、同温度で30分間撹拌した。このようにして析出した結晶をろ過し、60%メタノール水溶液で洗浄し、乾燥し、以下の物性値を有する本発明化合物のA結晶(18.5kg)を得た。また、該結晶の平均粒子径は、15.8μm(レーザー回折式粒度分布測定装置、SALD−2100(島津製作所)で測定)であり、融点は、約235℃(日本薬局方記載のキャピラリー法で測定)であった。
このようにして得られた本発明化合物のA結晶の粉末X線回折スペクトルデータを図1に、示差走査熱量測定データを図2に、赤外線吸収スペクトルデータを図3に、単結晶X線回折スペクトル構造解析データを図4、5にそれぞれ示した。
(1)粉末X線回折スペクトルデータ
[測定条件]
装置:BRUKER DISCOVER with GADDS(C2)
ターゲット:Cu
フィルター:なし
電圧:40kV
電流:40mA
露光時間:180sec
[結果]
結果を表2に示す。

(2)示差走査熱量測定データ
[測定条件]
装置:SEIKO INSTRUMENT DSC6200
試料量:2.8mg
試料セル:SUS 密封容器
窒素ガス流量:20mL/min
昇温速度:10℃/min
[結果]
その結果、244℃付近に吸熱ピークを有することがわかった。
(3)赤外線吸収スペクトルデータ
[測定条件]
装置:日本分光 FTIR−660plus/SENSIR DURASCOPE
分解能:4cm−1
スキャン回数:16
[結果]
IR(Attenuated total reflectance法(以下ATR法と略記する):2924,2504,1682,1632,1597,1503,1426,1377,1235,1163,1098,961,928,876,855,770,727,681cm−1
(4)単結晶X線回折スペクトル構造解析データ
[測定条件]
装置:リガク RAXIS−RAPIDイメージングプレート
ターゲット:CuKα(λ=1.54178Å)
フィルター:graphite monochromated
電圧:60kV
電流:90mA
スキャンスピード:1°/min
[結果]
結晶学的データは以下のものであった。
格子定数:a=11.8105(4)Å
b=7.8730(2)Å
c=18.2351(7)Å
空間群:P2(#4)
R因子:0.042
【実施例2】
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩のメタノールおよび水からなる溶媒和物の固体(B固体)
0.35M塩酸(170mL)のメタノール(256mL)溶液に、参考例3で製造した化合物(乾燥重量:28.4g)を加えた。反応混合物を50℃乃至55℃で溶解した。反応混合物を20℃乃至30℃まで冷却し、30分間撹拌した。さらに、0℃乃至5℃まで冷却し、1時間撹拌した。析出した固体をろ過し、乾燥し、以下の物性値を有するB固体(27.1g)を得た。
このB固体が、メタノールおよび水が溶媒和したものであることはNMRによって確認した。
このようにして得られたB固体の示差走査熱量測定データを図6に、赤外線吸収スペクトルデータを図7にそれぞれ示した。
(1)示差走査熱量測定データ
[測定条件]
装置:SEIKO INSTRUMENT DSC6200
試料量:3.4mg
試料セル:SUS 密封容器
窒素ガス流量:20mL/min
昇温速度:10℃/min
[結果]
その結果、164,252℃付近に吸熱ピークを有することがわかった。
(2)赤外線吸収スペクトルデータ
[測定条件]
装置:日本分光 FTIR−660plus/SENSIR DURASCOPE
分解能:4cm−1
スキャン回数:16
[結果]
IR(ATR法):3256,2932,1661,1597,1503,1418,1240,1167,1113,928,878,862,849,775,681cm−1
【実施例3】
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩のエタノールおよび/または水からなる溶媒和物の固体(C固体)
6M塩酸(1.05mL)のエタノール溶液(17.3mL)に、参考例3で製造した化合物(乾燥重量:3.46g)を加え、加熱して溶解した。反応混合物に50℃乃至53℃に加熱した水(33.3mL)を加え、21時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、30分間撹拌した。さらに、0℃乃至5℃まで冷却し、析出した固体をろ過し、乾燥し、以下の物性値を有するC固体(2.74g)を得た。
このC固体が、エタノールおよび/または水が溶媒和したものであることはNMRによって確認した。
このようにして得られたC固体の示差走査熱量測定データを図8に、赤外線吸収スペクトルデータを図9にそれぞれ示した。
(1)示差走査熱量測定データ
[測定条件]
装置:SEIKO INSTRUMENT DSC6200
試料量:2.05mg
試料セル:SUS 密封容器
窒素ガス流量:20mL/min
昇温速度:10℃/min
[結果]
その結果、158,229℃付近に吸熱ピークを有することがわかった。
(2)赤外線吸収スペクトルデータ
[測定条件]
装置:日本分光 FTIR−660plus/SENSIR DURASCOPE
分解能:4cm−1
スキャン回数:16
[結果]
IR(ATR法):2934,1667,1601,1503,1385,1250,1169,1096,1024,930,851,775cm−1
【実施例4】
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶(A結晶)
酢酸エチル(440mL)に、実施例2で製造した固体(B固体)(29.4g)を加えた。混合物を60℃乃至65℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、30分間撹拌した。析出した結晶をろ過し、乾燥し、実施例1と同様の物性値を有する本発明化合物のA結晶(28.5g)を得た。
実施例4で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータを図10に、赤外線吸収スペクトルデータを図11にそれぞれ示した。
比較例1
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の非結晶
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩を、WO02/074770号の明細書に記載された製造方法に従って、クロロホルム:メタノール=5:1でカラム精製することにより製造した。
このようにして得られた比較化合物は、非結晶であることがわかった。この非結晶の粉末X線回折スペクトルデータを図12に、示差走査熱量測定データを図13に、赤外線吸収スペクトルデータを図14にそれぞれ示した。
(1)粉末X線回折スペクトルデータ
[測定条件]
装置:BRUKER DISCOVER with GADDS(C2)
ターゲット:Cu
フィルター:なし
電圧:40kV
電流:40mA
露光時間:180sec
[結果]
粉末X線回折スペクトルでは、ピークは認められなかった。
(2)示差走査熱量測定データ
[測定条件]
装置:SEIKO INSTRUMENT DSC6200
試料量:4.0mg
試料セル:SUS 密封容器
窒素ガス流量:20mL/min
昇温速度:10℃/min
[結果]
その結果、69,248℃付近に吸熱ピークを有することがわかった。
(3)赤外線吸収スペクトルデータ
[測定条件]
装置:日本分光 FTIR−660plus/SENSIR DURASCOPE
分解能:4cm−1
スキャン回数:16
[結果]
IR(ATR法):2926,1659,1597,1501,1418,1238,1159,1098,928,876,849,774cm−1
【実施例5(1)〜5(9)】
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶(A結晶)
以下に示した方法によって、本発明化合物のA結晶をそれぞれ得た。
【実施例5(1)】
6M塩酸(0.173mL)のメタノール(4.5mL)溶液に、参考例3で製造した化合物(乾燥重量:0.5g)を加えた。反応混合物を60℃に加熱し、溶解した。混合物を氷冷後、水(3mL)を加え撹拌した。析出した結晶をろ過し、乾燥し、以下の本発明のA結晶を得た。
実施例5(1)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータを図15に、赤外線吸収スペクトルデータを図16にそれぞれ示した。
【実施例5(2)】
6M塩酸(0.173mL)のメタノール(5.25mL)溶液に、参考例3で製造した化合物(乾燥重量:0.5g)を加えた。反応混合物を60℃に加熱し、溶解した。混合物を氷冷後、水(2.25mL)を加え撹拌した。析出した結晶をろ過し、乾燥し、以下の本発明のA結晶を得た。
実施例5(2)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータを図17に、赤外線吸収スペクトルデータを図18にそれぞれ示した。
【実施例5(3)】
6M塩酸(0.173mL)のメタノール(6mL)溶液に、参考例3で製造した化合物(乾燥重量:0.5g)を加えた。反応混合物を60℃に加熱し、溶解した。混合物を氷冷後、水(1.5mL)を加え撹拌した。析出した結晶をろ過し、乾燥し、以下の本発明のA結晶を得た。
実施例5(3)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータを図19に、赤外線吸収スペクトルデータを図20にそれぞれ示した。
【実施例5(4)】
6M塩酸(0.346mL)と水(2.354mL)のメタノール(6.3mL)溶液に、参考例3で製造した化合物(乾燥重量:1g)を加えた。反応混合物を51℃に加熱し、溶解した。混合物を氷冷後、メタノール(1.8mL)を加え撹拌した。さらに、水(2.7mL)を加え撹拌した。析出した結晶をろ過し、乾燥し、以下の本発明のA結晶を得た。
実施例5(4)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータを図21に、赤外線吸収スペクトルデータを図22にそれぞれ示した。
【実施例5(5)】
6M塩酸(0.346mL)と水(4.454mL)のメタノール(7.2mL)溶液に、参考例3で製造した化合物(乾燥重量:1g)を加えた。反応混合物を57℃に加熱し、溶解した。混合物を氷冷後、メタノール(7.2mL)を加え撹拌した。析出した結晶をろ過し、乾燥し、以下の本発明のA結晶を得た。
実施例5(5)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータを図23に、赤外線吸収スペクトルデータを図24にそれぞれ示した。
【実施例5(6)】
濃塩酸(1.29kg)と水(15.47kg)のメタノール(30.85kg)溶液に、参考例3で製造した化合物(乾燥重量:6.07kg)を加えた。反応混合物を52℃に加熱し、溶解した。混合物を氷冷後、メタノール(9.7kg)を加え撹拌した。さらに、水(18kg)を加え撹拌した。析出した結晶をろ過し、乾燥し、以下の本発明のA結晶を得た。
実施例5(6)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータを図25に、赤外線吸収スペクトルデータを図26にそれぞれ示した。
【実施例5(7)】
濃塩酸(19.5kg)と水(237kg)のメタノール(473kg)溶液に、参考例3で製造した化合物(乾燥重量:91.5kg)を加えた。反応混合物を51℃に加熱し、溶解した。混合物を氷冷後、メタノール(150kg)を加え撹拌した。さらに、水(270kg)を加え撹拌した。析出した結晶をろ過し、乾燥し、以下の本発明のA結晶を得た。
実施例5(7)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータを図27に、赤外線吸収スペクトルデータを図28にそれぞれ示した。
【実施例5(8)】
濃塩酸(68.6kg)と水(835kg)のメタノール(1645kg)溶液に、参考例3で製造した化合物(乾燥重量:322kg)を加えた。反応混合物を51℃に加熱し、溶解した。混合物を氷冷後、メタノール(520kg)を加え撹拌した。さらに、水(930kg)を加え撹拌した。析出した結晶をろ過し、乾燥し、以下の本発明のA結晶を得た。
実施例5(8)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータを図29に、赤外線吸収スペクトルデータを図30にそれぞれ示した。
【実施例5(9)】
濃塩酸(33.4kg)と水(402kg)のメタノール(812kg)溶液に、参考例3で製造した化合物(乾燥重量:157kg)を加えた。反応混合物を52℃に加熱し、溶解した。混合物を氷冷後、メタノール(250kg)を加え撹拌した。さらに、水(460kg)を加え撹拌した。析出した結晶をろ過し、乾燥し、以下の本発明のA結晶を得た。
実施例5(9)で得られたA結晶の粉末X線回折スペクトルデータを図31に、赤外線吸収スペクトルデータを図32にそれぞれ示した。
製剤例1
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に50mgの活性成分を含有する錠剤10万錠を得た。
・(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロ
キシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニル
オキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデ
カン・塩酸塩の結晶 ・・・5.0kg
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) ・・・0.2kg
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) ・・・0.1kg
・微結晶セルロース ・・・4.7kg
製剤例2
以下の各成分を常法により混合した後、溶液を常法により滅菌し、5mlずつアンプルに充填し、常法により凍結乾燥し、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル10万本を得た。
・(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロ
キシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニル
オキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデ
カン・塩酸塩の結晶 ・・・2.0kg
・マンニトール ・・・20.0kg
・蒸留水 ・・・500L
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】

【図30】

【図31】

【図32】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の結晶。
【請求項2】
無溶媒和物である請求の範囲1記載の結晶。
【請求項3】
融点が、約230℃乃至約240℃である請求の範囲1記載の結晶。
【請求項4】
融点が、約232℃乃至約235℃である請求の範囲1記載の結晶。
【請求項5】
粉末X線回折スペクトルが、図1に示される粉末X線回折スペクトルである請求の範囲1記載の結晶。
【請求項6】
粉末X線回折スペクトルにおける回折角2θが、5.15、8.06、10.26、11.01、13.72、15.46、17.36、18.03、18.58、19.00、19.51、20.71、21.73、22.58、23.80、24.96、27.07(度)である請求の範囲5記載の結晶。
【請求項7】
赤外吸収スペクトルが、図3に示される赤外吸収スペクトルである請求の範囲1記載の結晶。
【請求項8】
赤外吸収スペクトルにおいて、2924、2504、1682、1632、1597、1503、1426、1377、1235、1163、1098、961、928、876、855、770、727、681cmに吸収を有する請求の範囲7記載の結晶。
【請求項9】
平均粒子径が、約0.05μm乃至約200μmである請求の範囲1記載の結晶。
【請求項10】
P2空間群の結晶である請求の範囲2記載の結晶。
【請求項11】
格子定数が、a=11.8105オングストローム±7%、b=7.8730オングストローム±7%、c=18.2351オングストローム±7%を示す請求の範囲10記載の結晶。
【請求項12】
低級アルコール系溶媒または水と混和するエーテル系溶媒を実質的に含まないか、または残留量として、5000ppm以下である請求の範囲2記載の結晶。
【請求項13】
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の粗精製物を溶解または懸濁させた、水を含有していてもよい低級アルコール系溶媒、または水を含有していてもよい水と混和するエーテル系溶媒から結晶化させることを特徴とする(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶の製造方法。
【請求項14】
低級アルコール系溶媒が、C1〜4アルキルアルコール、または酢酸C1〜4アルキルエステルである請求の範囲13記載の製造方法。
【請求項15】
低級アルコール系溶媒が、メタノールまたはエタノールである請求の範囲14載の製造方法。
【請求項16】
低級アルコール系溶媒が、酢酸エチルである請求の範囲14記載の製造方法。
【請求項17】
水と混和するエーテル系溶媒が、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサンまたはテトラヒドロフランである請求の範囲13記載の製造方法。
【請求項18】
水と低級アルコール系溶媒の混合体積比、または水と、水と混和するエーテル系溶媒の混合体積比が1:50乃至7:3である請求の範囲13記載の製造方法。
【請求項19】
水と低級アルコール系溶媒の混合体積比、または水と、水と混和するエーテル系溶媒の混合体積比が1:35乃至5:5である請求の範囲18記載の製造方法。
【請求項20】
結晶化の温度が、約−10℃乃至約40℃である請求の範囲13記載の製造方法。
【請求項21】
結晶化の時間が、約20分乃至約5時間である請求の範囲13記載の製造方法。
【請求項22】
請求の範囲13乃至21のいずれかの項に記載の製造法により得られる(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶。
【請求項23】
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカンと塩化水素を、(1)C1〜4アルキルアルコール、(2)C1〜4アルキルアルコールと水の混合溶媒、(3)水と混和するエーテル系溶媒、(4)水と混和するエーテル系溶媒と水の混合溶媒、(5)C1〜4アルキルアルコールと水と混和するエーテル系溶媒の混合溶媒、(6)C1〜4アルキルアルコール、水と混和するエーテル系溶媒、および水の混合溶媒、または(7)水から選択される溶媒に溶解または懸濁し、約40℃乃至約80℃に昇温する工程、ついで約−5℃乃至約35℃に冷却する工程を含むことを特徴とする、(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶の製造方法。
【請求項24】
C1〜4アルキルアルコールが、メタノールまたはエタノールである請求の範囲23記載の製造方法。
【請求項25】
水と混和するエーテル系溶媒が、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサンまたはテトラヒドロフランである請求の範囲23記載の製造方法。
【請求項26】
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカンと塩化水素を、(1)C1〜4アルキルアルコール、(2)C1〜4アルキルアルコールと水の混合溶媒、(3)水と混和するエーテル系溶媒、(4)水と混和するエーテル系溶媒と水の混合溶媒、(5)C1〜4アルキルアルコールと水と混和するエーテル系溶媒の混合溶媒、(6)C1〜4アルキルアルコール、水と混和するエーテル系溶媒、および水の混合溶媒、または(7)水から選択される溶媒に溶解または懸濁し、約40℃乃至約80℃に昇温する工程、ついで約−5℃乃至約35℃に冷却する工程、ついでC1〜4アルキルアルコールまたは水と混和するエーテル系溶媒を添加する工程、ついで所望によって水を添加する工程を含むことを特徴とする、請求の範囲23記載の製造方法。
【請求項27】
(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の溶媒和物または(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の非結晶を、酢酸C1〜4アルキルエステルに溶解または懸濁する工程、約40℃乃至約80℃に昇温する工程および約−5℃乃至約35℃に冷却する工程を含むことを特徴とする、(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶の製造方法。
【請求項28】
請求の範囲20乃至24のいずれかの項に記載の方法によって得られる(3R)−1−ブチル−2,5−ジオキソ−3−((1R)−1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルメチル)−9−(4−(4−カルボキシフェニルオキシ)フェニルメチル)−1,4,9−トリアザスピロ[5.5]ウンデカン・塩酸塩の無溶媒和物の結晶。
【請求項29】
平均粒子径が、約0.05μm乃至200μmである請求の範囲28記載の結晶。
【請求項30】
請求の範囲1、22または28記載の結晶を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項31】
ケモカイン/ケモカイン受容体の作用の制御剤である請求の範囲30記載の組成物。
【請求項32】
ケモカイン/ケモカイン受容体の作用に起因する疾患の治療および/または予防剤である請求の範囲31記載の組成物。
【請求項33】
請求の範囲1、22または28記載の結晶の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、哺乳動物におけるケモカイン/ケモカイン受容体の作用に起因する疾患の予防または治療方法。
【請求項34】
ケモカイン/ケモカイン受容体の作用に起因する疾患の予防および/または治療剤を製造するための請求の範囲1、28または28記載の結晶の使用。

【国際公開番号】WO2004/026874
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【発行日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537583(P2004−537583)
【国際出願番号】PCT/JP2003/011835
【国際出願日】平成15年9月17日(2003.9.17)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】