説明

トリアジン構造を有するアミノ樹脂およびポリアリレート樹脂を含む光学フィルム用樹脂組成物およびそれを用いて製造した光学フィルム

【課題】
【解決手段】本発明は、トリアジン構造を有するアミノ樹脂およびポリアリレート樹脂を含む光学フィルム用樹脂組成物およびそれを用いて製造した光学フィルムに関し、前記光学フィルム用樹脂組成物を用い、光学フィルムが製作されるステップにおいて厚み方向位相差値が負の値を有しつつその値を制御することができ、また、面内位相差を制御することができ、別途の位相差補償フィルムを用いることなく、ディスプレイの基板としてガラスの代わりに用いることができる光学フィルムを製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトリアジン構造を有するアミノ樹脂およびポリアリレート樹脂を含む光学フィルム用樹脂組成物およびそれを用いて製造した光学フィルムに関する。
【0002】
本出願は2007年1月5日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2007−0001549号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
液晶表示装置、有機発光装置などのようなフラットパネルディスプレイは、用いるエネルギーが少なく、重さが軽いため、最近急速に成長している産業であり、その基材として一般的にガラスが用いられている。しかし、ガラスは壊れ易く、重く、薄く製造することが難しい。このような短所を補うために、ガラスの代わりに高分子フィルムを用いれば、軽量化、薄型化、およびフレキシブルなフラットパネルディスプレイを製造することができる。
【0004】
例えば、米国特許2005/0203239A1号(特許文献1)においては、ガラス繊維/エポキシ樹脂複合材またはガラス繊維/アクリル樹脂複合材の硬化によってガラス基材の代わりにしようとしている。また、米国特許2005/0209404A1号(特許文献2)においては、ガラス基板の代わりにガラス転移温度の高い樹脂を用いた高分子フィルムを用いた。しかし、現在多く用いられている液晶表示装置にこれらを用いるためには高分子フィルムの他に別途に位相差補償フィルムが必要である。
【0005】
一般的に、液晶表示装置は、電極が形成されている2枚の基板の間に液晶を注入し、電極に加える電圧の強さを調節して光透過量を調節する構造になっている。液晶分子は異方性を有しており、その分子からなる液晶セルやフィルムの異方性は液晶分子の分布および基板に対して傾斜した角度の分布程度に応じて変わる性質を有している。このため、液晶表示装置は見る角度に応じて光の量と色特性が変わる。
【0006】
このような液晶の位相差は、前記液晶の複屈折値とほぼ同じ複屈折値を有し、負の位相差値を有するように構成された位相差補償フィルムを用いて補償することによって視野角を補償することができる。
【0007】
厚み方向位相差値が負の値を有する位相差補償フィルムを製造するためには、フィルムを延伸する方法、複屈折を有する物質をキャスティングする方法などがある。現在、大半の位相差補償フィルムは延伸する方法により製造されている。しかし、延伸比率を調整する方法は機械的なことであって、所望する量だけの角度を調節することが容易ではない。また、偏光板と貼り合わせる時にロール(roll)状態にすることができず、一枚ずつ貼り合わせなければならないため、工程の効率性と異物の管理に不利な問題点がある。
【0008】
韓国公開特許2005−0004439号(特許文献3)には複屈折を有する液晶をキャスティングして用いる方法が記載されているが、液晶は複屈折が大きくてキャスティング厚さに敏感であるため、大面積になるほど鮮明な色の実現が難しいという短所がある。
【0009】
一方、厚み方向位相差値を有する位相差補償フィルムを製造するためにポリアリレートを用いてきた。フィルム型に加工すると、位相差が極めて大きくて、実際に液晶表示装置に使用し難いために厚み方向位相差値を調節できる技術が必要である。
【0010】
例えば、米国特許5,580,950号(特許文献4)においてはポリアリレートを用いているが、これを50μm厚さのフィルムと仮定すれば、厚み方向位相差値は数百〜数千nmであって、実際に液晶表示装置の位相差補償フィルムとして用いるには無理がある。その反面、面内位相差は延伸工程により容易に調節することができる。
【0011】
また、日本特許2001−19749号(特許文献5)においては、複屈折を下げるために単量体の組成を変更して複屈折を下げた。しかし、これは、ポリアリレートの長所である高耐熱性を害する短所がある。
【0012】
また、PCT/KR2005/003057号(特許文献6)には、ポリアリレートが優れた光透過度および耐熱性を有しており、さらにガス遮断性を向上させれば、液晶表示装置において単層構造 でガラスの代わりにフラットパネルディスプレイの高分子基材として適用することができると記載されている。しかし、液晶表示装置のガラスを代替する高分子フィルムとして、位相差補償フィルムの機能を果たすフィルムは報告されたことがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0203239A1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0209404A1号明細書
【特許文献3】韓国公開特許第2005−0004439号公報
【特許文献4】米国特許第5,580,950号明細書
【特許文献5】特開2001−19749号公報
【特許文献6】国際公開第PCT/KR2005/003057号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明は、前記従来技術の問題点を解決するために、ポリアリレート樹脂とトリアジン構造を有するアミノ樹脂を混合することにより、フィルムの製作ステップにおいて厚み方向位相差値が負の値を有しつつその値を制御することができ、また、面内位相差も調節することができる光学フィルム用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、ポリアリレートの透明性および高耐熱性と関わり、別途の位相差補償フィルムを用いることなく、ディスプレイの基板としてガラスの代わりに用いることができ、位相差フィルムとしても用いることができる光学フィルムおよびそれを含むディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明はトリアジン構造を有するアミノ樹脂およびポリアリレート樹脂を含む光学フィルム用樹脂組成物を提供する。
【0017】
本発明は前記トリアジン構造を有するアミノ樹脂およびポリアリレート樹脂を含む光学フィルム用樹脂組成物を用いて製造した光学フィルムを提供する。
【0018】
本発明は前記光学フィルムが基板として含まれたディスプレイを提供する。
【0019】
本発明は前記光学フィルムが位相差補償フィルムとして含まれたディスプレイを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明のトリアジン構造を有するアミノ樹脂およびポリアリレート樹脂を含む光学フィルム用樹脂組成物は、ポリアリレートの透明性および高耐熱性と関わり、別途の位相差補償フィルムを用いることなく、ディスプレイの基板としてガラスの代わりに用いることができ、このような組成物を用いて光学フィルムを製作するステップにおいて、トリアジン構造を有するアミノ樹脂の含量により、厚み方向位相差値が負の値を有しつつその値を制御することができ、延伸により面内位相差を制御することができる光学フィルムを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0022】
本発明の光学フィルム用樹脂組成物はポリアリレート樹脂およびトリアジン構造を有するアミノ樹脂を混合することを特徴とする。前記光学フィルム用樹脂組成物は、トリアジン構造を有するアミノ樹脂の含量によりフィルムの厚み方向位相差値を調節することができ、製造されたフィルムを延伸することにより面内位相差を調節することができる。
【0023】
前記ポリアリレート樹脂とトリアジン構造を有するアミノ樹脂を混合する時に触媒をさらに混合することができる。前記触媒はアミノ樹脂の硬化触媒として一般的に酸(acid)が好ましく、例えば、酢酸、安息香酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などを含むC1〜C10の有機酸;塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含む無機酸などを用いることができる。また、ジブチル錫ジラウレート(dibutyltin dilaurate、CAS No.77−58−7)などを含むスズ化合物(tin compound)も用いることができる。
【0024】
本発明の光学フィルム用樹脂組成物に含まれるトリアジン構造を有するアミノ樹脂としては下記化学式1で示される単量体またはオリゴマーであることが好ましいが、下記化学式1で示される構造に限定されるものではない。
【0025】
【化1】

前記化学式1において、
xおよびyはx+y=3であり、1≦x≦3および0≦y≦2の整数であり、
3、R4およびR5は、各々独立に、水素、ハロゲン、C1〜C10の炭素数を有するアルキル、C7〜C12の炭素数を有するアリールアルキル、C6〜C12の炭素数を有するアリールおよびC1〜C12の炭素数を有するアシルのうちから選択される。
【0026】
具体的には、前記トリアジン構造を有するアミノ樹脂としてはヘキサメトキシメチレンメラミン、ヘキサエトキシメチレンメラミン、ヘキサヒドロキシメチレンメラミン、ヘキサブトキシメチレンメラミン、テトラヒドロキシメチレンベンゾグアナミン、テトラメトキシメチレンベンゾグアナミン、テトラエトキシベンゾグアナミン、テトラブトキシメチレンベンゾグアナミンなどが挙げられ、これらを1種以上混合して用いることができるが、これらのみに限定されない。
【0027】
前記トリアジン構造を有するアミノ樹脂は、ポリアリレート樹脂100重量部に対し、所望の位相差に対応して0.1〜100重量部を用いることができる。この時、0.1重量部未満であれば位相差を減らす効果が小さく、100重量部をより大きくすれば位相差を減らす効果が飽和し、使用量が増加しても位相差を減らす効果が微弱である。
【0028】
本発明の光学フィルム用樹脂組成物に含まれるポリアリレート樹脂は、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールを縮重合して製造した芳香族ポリエステル樹脂のことをいう。このようなポリアリレート樹脂は用いる原料物質に応じて色々な分子構造式を有し得るが、2価フェノールとしてのビスフェノールAと芳香族ジカルボン酸としてのテレフタル酸またはイソフタル酸を縮重合して製造することが好ましい。ポリアリレート樹脂は下記化学式2の繰り返し単位を含むことができる。
【0029】
【化2】

前記化学式2において、
aおよびbは各々独立に0〜4の整数であり、
R1およびR2は、各々独立に、ハロゲン、C1〜C12の炭素数を有するアルキル、アルケニルまたはアルキニル、C7〜C12の炭素数を有するアリールアルキル、C6〜C12の炭素数を有するアリール、C1〜C12の炭素数を有するニトリル、C1〜C12の炭素数を有するアルコキシおよびC1〜C12の炭素数を有するアシルのうちから選択され、aが2以上であれば、2つ以上のR1は互いに同じであるか異なってもよく、bが2以上であれば、2つ以上のR2は互いに同じであるか異なってもよく、
前記WはC1〜C30の炭素数を有するアルキリデン、C2〜C30の炭素数を有するアルキレン、C3〜C30の炭素数を有するシクロアルキリデン、C3〜C30の炭素数を有するシクロアルキレン、フェニルが置換されたC2〜C30の炭素数を有するアルキレン、NHまたはNR(Rは前記R1およびR2の定義と同様である)のような窒素誘導体、リン誘導体、リン酸化物、酸素、硫黄、スルホキシドおよびスルホンのうちから選択された一つである。
【0030】
前記リン誘導体はリンを含んでいる化合物であって、PHまたはPR(Rは前記R1およびR2の定義と同様である)のように表示することができる。
【0031】
本発明のポリアリレート樹脂を製造するために用いることのできる芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ジ安息香酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−メチレン−ビス(安息香酸)、1,2−ビス(4−ヒドロキシカルボニルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシカルボニルフェニル)プロパン、4,4’−オキソ−ビス(安息香酸)、ビス(4−ヒドロキシカルボニルフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシカルボニルフェニル)スルホン、これらの芳香族基にC1〜C2の炭素数を有するアルキルまたはハロゲン基が置換された芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、これらのうちから選択された単層構造 または2種以上の混合物を用いることができる。特に、全体芳香族ジカルボン酸中、テレフタル酸ハライド10〜90モル%およびイソフタル酸ハライド90〜10モル%の混合物を用いることが好ましい。
【0032】
本発明のポリアリレート樹脂を製造するために用いることのできる芳香族ジオール化合物としてはビス(4−ヒドロキシアリール)アルカン、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン、ジヒドロキシジアリールエーテル、ジヒドロキシジアリールスルフィド、ジヒドロキシジアリールスルホキシド、ジヒドロキシジアリールスルホンなどが挙げられ、これらのうちから選択された1種または2種以上の混合物を用いることができる。
【0033】
具体的には、前記ビス(4−ヒドロキシアリール)アルカン(bis(4−hydroxyaryl)alkane)の例としてはビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(bis(4−hydroxyphenyl)methane)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(2,2−bis(4−hydroxyphenyl)propane、BPA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(2,2−bis(4−hydroxyphenyl)ethane)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(2,2−bis(4−hydroxy−3−methylphenyl)propane)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン(2,2−bis(4−hydroxyphenyl)heptane)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン(2,2−bis(4−hydroxy−3,5−dichlorophenyl)propane)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン(2,2−bis(4−hydroxy−3,5−dibromophenyl)propane)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン(bis(4−hydroxyphenyl)phenylmethane)、4,4−ジヒドロキシフェニル−1,1−m−ジイソプロピルベンゼン(4,4−dihydroxyphenyl−1,1−m−diisopropylbenzene)、4,4−ジヒドロキシフェニル−9,9−フルオレン(4,4−dihydroxyphenyl−9,9−fluorene)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(2,2−bis(4−hydroxyphenyl)fluorene)、9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(9,9−bis(3,5−dimethyl−4−hydroxyphenyl)fluorene)、9,9−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(9,9−bis(3,5−dibromo−4−hydroxyphenyl)fluorene)などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができるが、これらのみに限定されない。
【0034】
また、前記ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン(bis(hydroxyaryl)cycloalkanes)の例としては1,1−ビス(4,4’−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン(1,1−bis(4,4’−hydroxyphenyl)cyclopentane)、1,1−ビス(4,4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(1,1−bis(4,4’−hydroxyphenyl)cyclohexane)、1−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(1−methyl−1−(4−hydroxyphenyl)−4−(dimethyl−4−hydroxyphenyl)cyclohexane)、4−{1−[3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキシル]−1−メチルエチル}フェノール(4−{1−[3−(4−hydroxyphenyl)−4−methylcyclohexyl]−1−methylethyl}phenol)、4,4−[1−メチル−4−(1−メチルエチル)−1,3−シクロヘキシリジル]ビスフェノール(4,4−[1−methyl−4−(1−methylethyl)−1,3−cyclohexylidyl]bisphenol)、2,2,2,2−テトラヒドロ−3,3,3,3−テトラメチル−1,1−スピロビス−[1H]−インデン−6,6−ジオール(2,2,2,2−tetrahydro−3,3,3,3−tetramethyl−1,1−spirobis−[1H]−indene−6,6−diol)などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができるが、これらのみに限定されない。
【0035】
また、前記ジヒドロキシジアリールエーテルの例としてはビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)エーテル、4,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルフェニルエーテルなどが挙げられ;ジヒドロキシジアリールスルフィドの例としては4,4−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルジフェニルスルフィドなどが挙げられ;ジヒドロキシジアリールスルホキシドの例としては4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルジフェニルスルホキシドなどが挙げられ;ジヒドロキシジアリールスルホンの例としては4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン(4,4−dihydroxydiphenylsulfone、BPS)、4,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルジフェニルスルホンなどが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができるが、これらのみに限定されない。
【0036】
前記ポリアリレート樹脂の重量平均分子量は10,000〜500,000が好ましい。
【0037】
本発明のポリアリレート樹脂は界面重合法、溶融重合法、溶液重合法などの当技術分野に知られている方法により重合して製造することができるが、反応速度および重合後の高分子の分離精製の面で界面重合法が好ましい。
【0038】
前記重合方法において、重合温度は芳香族ジカルボン酸の加水分解およびポリアリレート樹脂の加水分解が抑制されるという点で0〜40℃、好ましくは0〜30℃である。前記方法による重合終了後、酸によって過量の塩基を中和し、攪拌を停止し、水層を廃棄し、蒸留水で洗浄することを繰り返して塩類を除去した後にポリアリレート樹脂を得ることができる。
【0039】
また、前記ポリアリレート樹脂の重合反応に、分子量調節剤、アルカリ、有機溶媒および相移動触媒のうちの1種以上を添加することができる。
【0040】
前記分子量調節剤は重合体の分子量を調節するために使われる。好適な分子量調節剤としては1価のヒドロキシ化合物、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−プロピルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、o−tert−ブチルフェノール、m−tert−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノールなどの1価のフェノール化合物;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどの1価のアルコール;ベンゾイルクロライド、酢酸ハライド、プロピオン酸ハライド、オクタン酸ハライド、シクロヘキシルカルボン酸ハライド、トルイル酸ハライド、p−tert−ブチル安息香酸ハライド、p−メトキシフェニル酢酸ハライドなどの1価の(芳香族)カルボン酸ハライド;およびベンゼンスルホン酸クロライド、トルエンスルホン酸クロライド、メタンスルホン酸クロライドなどのスルホン酸クロライドが挙げられる。
【0041】
前記アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物が挙げられ、アルカリは2価フェノールおよび1価フェノール化合物が有するフェノール性水酸基モル数の1.01〜2倍用いることが好ましい。その使用量が1.01倍未満である場合には2価フェノール化合物を完全に溶かしにくく、その使用量が2倍をより大きくする場合には中和のために過量の酸が必要であり、重合過程中に起こる芳香族ジカルボン酸の加水分解を考慮すれば、アルカリはフェノール性水酸基モル数の1.01〜2倍が好ましい。
【0042】
前記有機溶媒は水とは混合されないつつもポリアリレートを溶解できる溶媒が適当であり、例えば、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどを単層構造 または2種以上を混合して用いることができる。
【0043】
前記相移動触媒は界面重合の重合速度を向上させるために使われるものであり、テトラアルキルアンモニウムイオン、テトラアルキルホスホニウムイオン、非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0044】
前記のような方法により製造されたポリアリレート樹脂は諸物性に優れたエンジニアリングプラスチック樹脂であって、透明で複屈折が高いためにディスプレイの位相差補償フィルムとして用いることができる。また、耐熱性が高いために、ガラスを代替できるフラットパネルディスプレイの基板である高分子フィルムとして用いることができる。前記ポリアリレート樹脂を位相差補償フィルムまたはフラットパネルディスプレイの基板である高分子フィルムとして用いるためには、溶融押出、キャスティング法などを利用してフィルム形態に製造することができる。この中、キャスティング方法は、キャスティングする時にフィルムの厚さを調節するのが容易であるために厚み方向位相差値を微細に調節することができ、溶融圧出する時に生じ得る面内位相差を最小化することができ、均一な組成を有するフィルムを得ることができるという点で好ましい。ポリアリレート樹脂をキャスティングしてフィルムとして製造する時、そのものでフィルム形態を維持するためには、厚さ10μm以上、好ましくは20μm以上であることが好ましい。従来技術のようにポリアリレート樹脂だけでフィルムを形成する場合、フィルムの厚み方向位相差値は絶対値である200nm以上の値だけを有するので液晶表示装置の位相差補償フィルムとして用いるのに適していないため、厚み方向位相差値を調節しなければならないが、これが容易ではない。しかし、本発明においては、ポリアリレートの透明性および高耐熱性を阻害することなく、厚み方向位相差値を制御する方法として、ポリアリレート樹脂とトリアジン構造を有するアミノ樹脂を混合してフィルムを製造することにより、ポリアリレート樹脂の透明性および高耐熱性を阻害することなく厚み方向位相差値を制御することができる。
【0045】
本発明は、トリアジン構造を有するアミノ樹脂およびポリアリレート樹脂を含む光学フィルム用樹脂組成物から製造された光学フィルムを提供する。この時、前記光学フィルムは、トリアジン構造を有するアミノ樹脂の含量により厚み方向位相差値を調節することができ、延伸することにより面内位相差を調節することができる。
【0046】
先ず、面内位相差を発現するために前記光学フィルムを延伸することが好ましい。延伸は、フィルムの未乾燥状態で実施してもよく、乾燥を完了してから実施してもよい。延伸は、フィルム製造中に行ってもよく、フィルムを巻いてから再び解いて行ってもよい。延伸はフィルムに残存する溶媒量により変わるが、80℃〜250℃で行うことが好ましく、延伸比率は1%〜500%が好ましい。
【0047】
光学フィルムの面方向において、屈折率の最も大きい方向をx軸、x軸に面方向に直角である方向をy軸、xy平面に垂直な方向をz軸に設定し、590nmにおいて、各方向の屈折率であるnx、ny、nzを測定し、フィルムの厚さを測定して、下記数学式1および2により、光学フィルムの厚み方向位相差値および面内位相差を計算することができる。
【0048】
【数1】

前記数学式1において、nxはフィルム面において最も屈折率が大きい方向の屈折率、nyはフィルム面においてnxの直角方向の屈折率、nzはフィルムの面方向に対する垂直方向の屈折率、dはフィルムの厚さ、Rthは厚み方向位相差値を示す。
【0049】
【数2】

前記数学式2において、nxはフィルム面において最も屈折率が大きい方向の屈折率、nyはフィルム面においてnxの直角方向の屈折率、dはフィルムの厚さ、およびRinは面内位相差を示す。
【0050】
本発明に係る光学フィルムは、厚み方向位相差値値が負の値を有しつつ、絶対値が0nmより大きく1000nm以下であり、面内位相差値が0nm〜1000nmの範囲を有し、この範囲内で所望の目的に応じて調節できることを特徴とする。
【0051】
本発明の光学フィルムは10μm〜200μmの厚さを有することが好ましい。厚さが10μm以下であれば静電気などでフィルムを取り扱いにくく、厚さが200μm以上であれば物性が改善されることなく溶媒の乾燥に多くの時間が必要であって経済的に不利である。
【0052】
本発明に係る光学フィルムは下記のような製造方法によって製造することができる。先ず、ポリアリレート樹脂は、ポリアリレート樹脂の合成過程でポリアリレート樹脂溶液から分離したポリアリレートを溶媒に溶かして用いるか、洗浄が終わった重合溶液から水を除去して適切な溶媒を投入するか濃縮して用いることができる。前記ポリアリレート樹脂溶液は予め溶媒に薄められたトリアジン構造を有するアミノ樹脂に投入されてもよく、溶媒に薄められたポリアリレート樹脂溶液にトリアジン構造を有するアミノ樹脂を投入してもよいが、溶解にかかる時間を減らせるという点で溶媒に薄められたアミノ樹脂にポリアリレート樹脂を投入して高分子溶液を製造することが好ましい。前記高分子溶液は室温で攪拌することができ、沸騰点までに加熱することもできる。
【0053】
本発明のポリアリレート樹脂およびトリアジン構造を有するアミノ樹脂を含む光学フィルム用樹脂組成物はキャスティング法を利用してフィルム形態に製造することができる。この時、ポリアリレート樹脂およびアミノ樹脂を含む高分子溶液の高分子濃度は特に制限されないが、キャスティングに適した粘度を得るためには、ポリアリレート樹脂100重量部に対し、溶媒は100重量部〜3300重量部が好ましく、より好ましくは100重量部〜2000重量部である。
【0054】
前記ポリアリレート樹脂およびアミノ樹脂を含む高分子溶液の製造に用いられる溶媒はポリアリレート樹脂を溶解できるものであれば特に制限されないが、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、テトラクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのケトン類;エチルアセテート、メチルアセテートなどのエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランなどの環状エーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどのエーテル類などが挙げられる。これらの溶媒は1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0055】
ポリアリレート樹脂およびアミノ樹脂を含む高分子溶液は、必要により、UV安定剤、熱安定剤、可塑剤、マット剤、接着力改善剤、充填剤などのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0056】
本発明に係る光学フィルムは、ポリアリレート樹脂およびトリアジン構造を有するアミノ樹脂を含む高分子溶液を、スピンキャスティング法、ロールキャスティング法、フローキャスティング法、プリント法、ディップコート法、グラビアキャスティング法、バーキャスティング法などを含むキャスティング法を利用して製造することができる。この時、ポリアリレート樹脂およびトリアジン構造を有するアミノ樹脂を含む高分子溶液をキャスティングして溶媒を乾燥する時、温度を徐々に上げるか、一定温度で溶媒を乾燥することが好ましい。
【0057】
本発明の光学フィルムは未延伸または延伸したフィルムであることを特徴とし、前記光学フィルムは単層構造 でディスプレイの位相差補償フィルムとして用いることができる。また、ポリアリレート樹脂の透明性および高耐熱性と関わり、ガラスの代わりにフラットパネルディスプレイの基板として用いることができる。
【0058】
また、本発明の光学フィルムは少なくとも一面にガス遮断層、SiOx(x=1〜2)、SiON、AlOx(x=1〜3)、AlON、AlON、ITO、IZOなどの水分遮断層、酸素遮断層またはITO、IZOなどの透明導電層を有してよい。これらは、通常、スパッタリングや、化学蒸着(chemical vapor deposition、CVD)またはプラズマ化学蒸着(Plasma−enhanced chemical vapor deposition、PECVD)により生成させることができる。
【0059】
本発明の光学フィルムは、必要により、例えば、ハードコート処理、反射防止処理、粘着防止処理、拡散処理、防幻処理などをさらに実施することができる。
【0060】
前記ハードコート処理はスクラッチの防止などを目的としており、例えば、前記本発明に係る光学フィルムの表面に硬化型樹脂からなる硬度や活性に優れた硬化皮膜を形成する処理である。前記硬化型樹脂としては、例えば、シリコン系、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系などの紫外線硬化型樹脂などを用いることができ、前記処理は従来の公知方法によって行うことができる。
【0061】
前記粘着防止処理は隣接する層との粘着防止を目的としており、従来の公知方法によって行うことができる。
【0062】
前記反射防止処理は光学フィルム表面における外光の反射防止を目的としており、従来の公知の反射防止層などの形成によって実施することができる。
【0063】
前記防幻処理は光学フィルム表面から外光が反射することによる透過光の視認妨害を防止することなどを目的としており、例えば、従来の公知方法によって実施することができる。
【0064】
本発明の光学フィルムは単層構造 または2層以上をラミネーションして製造した形態で用いることができる。
【0065】
本発明は、基板として本発明の光学フィルムを含むディスプレイを提供する。具体的には、液晶表示装置において、液晶セルを構成する基板として用いることができる。また、有機発光素子において基板として用いることができ、これにより、その上に電極および有機半導体層を形成して素子を製作することができる。
【0066】
また、本発明は位相差フィルムとして本発明の光学フィルムを含むディスプレイを提供する。具体的には、液晶セルおよび前記液晶セルの両面に偏光板が備えられた液晶表示装置において、前記液晶セルおよび偏光板の間に本発明の光学フィルムを含む液晶表示装置を製作することができる。
【実施例】
【0067】
以下、本発明の実施例により本発明をより詳細に説明する。但し、本発明の実施例は色々な形態に変形することができ、本発明の範囲が下記にて詳述する実施例によって限定されると解釈してはいけない。本発明の実施例は当業界で平均的知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0068】
<製造例>ポリアリレートの合成
攪拌器が取り付けられた反応器に蒸留水600g、水酸化ナトリウム20.6g、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン47.6g、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン9.2g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド2.5gを投入し、反応器の温度を25℃に維持した。これとは別途に、イソフタル酸クロライドとテレフタル酸クロライドを同一の量で混合した49.8gの芳香族ジカルボン酸クロライド混合物をメチレンクロライド600gに溶かした。この溶液をアルカリ水溶液が溶けている反応器に攪拌しながら添加した。1時間攪拌した後に塩酸を加え、蒸留水で洗浄した。水層の伝導度が20nm/cm以下になる時までに繰り返し洗浄した後、この溶液をメタノールに注いで重合体を相分離した後、高分子をフィルターリングした後、120℃の真空オーブンで12時間乾燥して溶媒を除去した。高分子の重量平均分子量およびガラス転移温度は下記のように分析した。
【0069】
(1)重合完了後、重合溶液を分取し、クロマトグラフィー用テトラヒドロフランで0.1重量%に薄め、クロマトグラフィー用テトラヒドロフランを溶離液にしてゲル透過クロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線に換算して重量平均分子量を測定した。
【0070】
(2)ガラス転移温度TgはDSC(differential scanning calorimeter)を利用して測定するが、窒素雰囲気下で分当り10℃の速度で300℃までに昇温して試料の熱気録をなくし、室温までに冷却した後、300℃までに分当り10℃の速度で再び昇温してTgを測定した。
【0071】
前記のような方法により分析されたポリアリレートの重量平均分子量は69,000であり、ガラス転移温度は215℃であった。
【0072】
<実施例1>
メチレンクロライド9.00gにアミノ樹脂であるP&ID社のMELCROSS(登録商標)85樹脂0.05gを入れて均一な溶液を製造した後、前記製造例で製造されたポリアリレート樹脂1.00gを投入し、30℃で24時間攪拌して均一な溶液を製造した。0.45μmフィルタで濾過して不溶物とホコリを除去し、アミノ樹脂が含まれたポリアリレート溶液を製造した。ガラス上にドープを注ぎ、ドクターブレードで0.6m/minの速度でキャスティングし、室温で60分間乾燥し、100℃で60分間、150℃で60分間、190℃で30分間乾燥して溶媒を除去した後に剥離した。フィルムの厚さは51μmであり、フィルムのガラス転移温度Tgは211℃であり、全透過率は91.8%であり、ヘイズ(haze)は0.6%であった。全透過率およびヘイズ(haze)はMURAKAMI COLOR RESEARCH LABORATORY社のHR−100で3回測定して平均値を取った。
【0073】
この時、フィルムの面内位相差および厚み方向位相差値は下記のように測定した。厚み方向位相差値は、王子計測機器(株)のKobra21−ADH(商品名)を用い、590nmにおいて、面方向における屈折率の最も大きい方向をx軸、x軸に面方向に直角である方向をy軸、xy平面に垂直な方向をz軸に設定して、590nmにおいて各方向の屈折率であるnx、ny、nzを測定し、フィルム層の厚さを測定して各軸方向の屈折率であるnx、ny、nzを測定した後、前記数学式1および2により、フィルムの厚み方向位相差値および面内位相差を計算した。フィルムの面内位相差および厚み方向位相差値の結果は表1の通りである。
【0074】
<実施例2>
P&ID社のMELCROSS(登録商標)85樹脂0.1gを用いることを除いては、実施例1と同じ方法によりフィルムを製造した。フィルムの厚さは51μmであり、フィルムのTgは205℃であり、全透過率は92.0%であり、ヘイズは0.5%である。フィルムの面内位相差および厚み方向位相差値の結果は表1の通りである。
【0075】
<実施例3>
P&ID社のMELCROSS(登録商標)85樹脂0.25gを用いることを除いては、実施例1と同じ方法によりフィルムを製造した。フィルムの厚さは50μmであり、フィルムのTgは199℃であり、全透過率は91.9%であり、ヘイズは0.6%である。フィルムの面内位相差および厚み方向位相差値の結果は表1の通りである。
【0076】
<実施例4>
P&ID社のMELCROSS(登録商標)85樹脂0.5gを用いることを除いては、実施例1と同じ方法によりフィルムを製造した。フィルムの厚さは53μmであり、フィルムのTgは192℃であり、全透過率は91.8%であり、ヘイズは0.7%である。フィルムの面内位相差および厚み方向位相差値の結果は表1の通りである。
【0077】
<比較例1>
P&ID社のMELCROSS(登録商標)85樹脂を用いないことを除いては、実施例1と同じ方法によりフィルムを製造した。フィルムの厚さは50μmであり、フィルムのTgは215℃であり、全透過率は92.1%であり、ヘイズは0.6%である。フィルムの面内位相差および厚み方向位相差値の結果は表1の通りである。
【0078】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリアジン構造を有するアミノ樹脂およびポリアリレート樹脂を含む光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項2】
触媒をさらに含む、請求項1に記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項3】
前記触媒は、酢酸、安息香酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸およびメタンスルホン酸を含むC1〜C10の有機酸;塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸を含む無機酸;およびジブチル錫ジラウレート(dibutyltin dilaurate)を含むスズ化合物(tin compound)からなる群から選択された1種以上を含む、請求項2に記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項4】
下記数学式1で定義される前記光学フィルムの厚み方向位相差値がトリアジン構造を有するアミノ樹脂の量によって調節され、下記数学式2で定義される前記光学フィルムの面内位相差が延伸によって調節される、請求項1に記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【数3】

前記数学式1において、
xはフィルム面において最も屈折率が大きい方向の屈折率、nyはフィルム面においてnxの直角方向の屈折率、nzはフィルムの面方向に対する垂直方向の屈折率、dはフィルムの厚さ、およびRthは厚み方向位相差値を示し、
【数4】

前記数学式2において、
xはフィルム面において最も屈折率が大きい方向の屈折率、nyはフィルム面においてnxの直角方向の屈折率、dはフィルムの厚さ、およびRinは面内位相差を示す。
【請求項5】
前記トリアジン構造を有するアミノ樹脂は下記化学式1で示される単量体またはオリゴマーである、請求項1に記載の光学フィルム用樹脂組成物:
【化3】

前記化学式1において、
xおよびyはx+y=3であり、1≦x≦3および0≦y≦2の整数であり、
3、R4およびR5は、各々独立に、水素、ハロゲン、C1〜C10の炭素数を有するアルキル、C7〜C12の炭素数を有するアリールアルキル、C6〜C12の炭素数を有するアリールおよびC1〜C12の炭素数を有するアシルからなる群から選択される。
【請求項6】
前記トリアジン構造を有するアミノ樹脂は、前記ポリアリレート100重量部に対して0.1〜100重量部含まれる、請求項1に記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項7】
前記トリアジン構造を有するアミノ樹脂は、ヘキサメトキシメチレンメラミン、ヘキサエトキシメチレンメラミン、ヘキサヒドロキシメチレンメラミン、ヘキサブトキシメチレンメラミン、テトラヒドロキシメチレンベンゾグアナミン、テトラメトキシメチレンベンゾグアナミン、テトラエトキシベンゾグアナミンおよびテトラブトキシメチレンベンゾグアナミンからなる群から選択された1種または2種以上を含む、請求項5に記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項8】
前記ポリアリレート樹脂は、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールを縮重合して製造した下記化学式2で示される繰り返し単位を含む芳香族ポリエステル樹脂である、請求項1に記載の光学フィルム用樹脂組成物:
【化4】

前記化学式2において、
aおよびbは各々独立に0〜4の整数であり、
R1およびR2は、各々独立に、ハロゲン、C1〜C12の炭素数を有するアルキル、アルケニルまたはアルキニル、C7〜C12の炭素数を有するアリールアルキル、C6〜C12の炭素数を有するアリール、C1〜C12の炭素数を有するニトリル、C1〜C12の炭素数を有するアルコキシおよびC1〜C12の炭素数を有するアシルからなる群から選択され、aが2以上であれば、2つ以上のR1は互いに同じであるか異なってもよく、bが2以上であれば、2つ以上のR2は互いに同じであるか異なってもよく、
WはC1〜C30の炭素数を有するアルキリデン、C2〜C30の炭素数を有するアルキレン、C3〜C30の炭素数を有するシクロアルキリデン、C3〜C30の炭素数を有するシクロアルキレン、フェニルが置換されたC2〜C30の炭素数を有するアルキレン、NHまたはNR(Rは前記R1およびR2の定義と同様である)で示される窒素誘導体、リン誘導体、リン酸化物、酸素、硫黄、スルホキシドおよびスルホンのうちから選択された一つである。
【請求項9】
前記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、ジ安息香酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−メチレン−ビス(安息香酸)、1,2−ビス(4−ヒドロキシカルボニルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシカルボニルフェニル)プロパン、4,4’−オキソ−ビス(安息香酸)、ビス(4−ヒドロキシカルボニルフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシカルボニルフェニル)スルホンおよび芳香族基にC1〜C2の炭素数を有するアルキルまたはハロゲン基が置換された芳香族ジカルボン酸からなる群から選択された1種または2種以上を含む、請求項8に記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項10】
前記芳香族ジオールは、ビス(4−ヒドロキシアリール)アルカン、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン、ジヒドロキシジアリールエーテル、ジヒドロキシジアリールスルフィド、ジヒドロキシジアリールスルホキシドおよびジヒドロキシジアリールスルホンからなる群から選択された1種または2種以上を含む、請求項8に記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項11】
前記ポリアリレート樹脂は重量平均分子量が10,000〜500,000である、請求項1に記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のうちのいずれか1項の光学フィルム用樹脂組成物を用いて製造した光学フィルム。
【請求項13】
下記数学式1で定義される厚み方向位相差値がトリアジン構造を有するアミノ樹脂の量によって調節され、下記数学式2で定義される面内位相差が延伸によって調節される、請求項12に記載の光学フィルム:
【数5】

前記数学式1において、
xはフィルム面において最も屈折率が大きい方向の屈折率、nyはフィルム面においてnxの直角方向の屈折率、nzはフィルムの面方向に対する垂直方向の屈折率、dはフィルムの厚さ、およびRthは厚み方向位相差値を示し、
【数6】

前記数学式2において、
xはフィルム面において最も屈折率が大きい方向の屈折率、nyはフィルム面においてnxの直角方向の屈折率、dはフィルムの厚さ、およびRinは面内位相差を示す。
【請求項14】
前記光学フィルムは、厚み方向位相差値値が負の値を有しつつ、絶対値が0nmより大きく1000nm以下であり、面内位相差値が0nm〜1000nmの範囲を有する、請求項12に記載の光学フィルム。
【請求項15】
前記光学フィルムの少なくとも一面に、ガス遮断層、水分遮断層、酸素遮断層および透明導電層からなる群から選択された一つ以上を含む、請求項12に記載の光学フィルム。
【請求項16】
ハードコート処理、反射防止処理、 粘着防止処理、拡散処理および防幻処理からなる群から選択された一つ以上によって処理される、請求項12に記載の光学フィルム。
【請求項17】
前記光学フィルムは面方向に1%〜500%延伸される、請求項12に記載の光学フィルム。
【請求項18】
前記光学フィルムは単層構造または2層以上を有する積層構造である、請求項12に記載の光学フィルム。
【請求項19】
請求項12の光学フィルムが基板として含まれたディスプレイ。
【請求項20】
請求項12の光学フィルムが位相差フィルムとして含まれたディスプレイ。

【公表番号】特表2010−515108(P2010−515108A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544796(P2009−544796)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【国際出願番号】PCT/KR2008/000048
【国際公開番号】WO2008/082264
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】