説明

トリアゾール大環状系

【課題】立体配座の剛性、代謝安定性および細胞浸透性の高いペプチドまたはペプチドミメティクスの改善された製造方法を提供する。
【解決手段】新規なペプチドミメティック大環状化合物、それらの調製および使用方法、ならびにアミノ酸アナログおよび大環状化合物を形成するリンカー、ならびにそれら大環状化合物の製造で有用なキット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001] 本出願は、2007年2月23日出願の米国特許仮出願第60/903073号による利益を主張し、該出願を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
[0002] ペプチドは、医薬用途においてますます重要になりつつある。未修飾ペプチドは、不十分な代謝安定性、不十分な細胞浸透性、および立体配座のフレキシビリティによる不規則な結合となることが多い。これらの特性を改善するために、研究者らは、ジスルフィド結合の形成、アミド結合の形成、および炭素−炭素結合の形成を含む各種の方法によって環状ペプチドおよびペプチドミメティクスを作り出してきた(Jacksonら(1991)、J. Am. Chem. Soc. 113: 9391〜9392;Phelanら(1997)、J. Am. Chem. Soc. 119: 455〜460;Taylor(2002)、Biopolymers 66: 49〜75;Brunelら(2005)、Chem. Commun.(20)2552〜2554;Hiroshigeら(1995)、J. Am. Chem. Soc. 117: 11590〜11591;Blackwellら(1998)、Angew. Chem. Int. Ed. 37: 3281〜3284;Schafmeisterら(2000)、J. Am. Chem. Soc. 122: 5891〜5892)。これらの方法の限界には、不十分な代謝安定性(ジスルフィドおよびアミド結合)、不十分な細胞浸透性(ジスルフィドおよびアミド結合)、および潜在的に毒性のある金属の使用(炭素−炭素結合を形成するための)が含まれる。したがって、立体配座の剛性、代謝安定性および細胞浸透性の高いペプチドまたはペプチドミメティクスの改善された製造方法に対するかなりの必要性が存在する。本発明は、当技術分野におけるこれらおよびその他の必要性に対処するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003] 本明細書では、式I
【0004】
【化1】

のペプチドミメティック大環状化合物(peptidemimetic macrocycles)を提供し、式中、
各A、C、DおよびEは、独立して、天然または非天然のアミノ酸であり;
Bは、天然または非天然のアミノ酸、アミノ酸アナログ、
【0005】
【化2】

、[−NH−L−CO−]、[−NH−L−SO−]、または[−NH−L−]であり;
およびRは、独立して、−H、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
は、水素、任意選択によりRで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
Lは、大環状化合物を形成する式
【0006】
【化3】

のリンカーであり;
、LおよびLは、独立して、各々任意選択によりRで置換されたアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアリーレン、ヘテロシクロアリーレン、または[−R−K−R−]であり;
各Rは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり;
各Kは、O、S、SO、SO、CO、CO、またはCONRであり;
各Rは、独立して、ハロゲン、アルキル、−OR、−N(R、−SR、−SOR、−SO、−CO、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
各Rは、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
は、−H、任意選択によりRで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリール、あるいはD残基を有する環状構造の一部であり;
は、−H、任意選択によりRで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリール、あるいはE残基を有する環状構造の一部であり;
vは、1〜1000の整数であり;
wは、1〜1000の整数であり;
xは、0〜10の整数であり;
yは、0〜10の整数であり;
zは、0〜10の整数であり;
nは、1〜5の整数である。
【0007】
[0004] いくつかの実施形態において、Lは、
【0008】
【化4】

である。別の実施形態において、Lは、
【0009】
【化5】

である。さらなる実施形態において、RおよびRの少なくとも一方は、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである。関連する実施形態において、RおよびRは、独立して、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである。例えば、RおよびRの少なくとも一方は、非置換またはハロ−で置換されたアルキルでよい。いくつかの実施形態において、RおよびRは、両方とも独立して、非置換またはハロ−で置換されたアルキルである。他の実施形態において、RおよびRの少なくとも一方は、メチルである。さらに他の実施形態において、RおよびRの両方がメチルである。
【0010】
[0005] いくつかの実施形態において、DおよびEの少なくとも一方は、高分子量の脂質または炭化水素で置換された天然または非天然のアミノ酸である。他の実施形態において、DおよびEの少なくとも一方は、大環状化合物を形成するさらなるリンカーに結合している。さらに他の実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物の二次構造は、対応する非大環状ポリペプチドの対応する二次構造に比べてより安定である。いくつかの実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、α−ヘリックスを含む。該α−ヘリックスは、例えば1〜5ターンを含むことができる。他の実施形態において、該α−ヘリックスは、対応する非大環状ポリペプチドのα−ヘリックスに比べてより安定である。大環状化合物を形成するリンカーは、1〜5ターンのα−ヘリックス、例えば、約1、2、3、4または5ターンのα−ヘリックスに及ぶことができる。大環状化合物を形成するリンカーの長さは、例えば、α−ヘリックスの1ターンにつき約5Å〜約9Åでよい。いくつかの実施形態において、大環状化合物を形成するリンカーは、約1ターンのα−ヘリックスに及ぶ。このような実施形態において、大環状化合物を形成するリンカーの長さは、約6個の炭素−炭素結合〜約14個の炭素−炭素結合の長さにほぼ等しいか、あるいは約8個の炭素−炭素結合〜約12個の炭素−炭素結合の長さに等しくてよい。関連する実施形態において、大環状化合物は、約18〜26個の原子の環を含むことができる。
【0011】
[0006] 他の実施形態において、大環状化合物を形成するリンカーは、約2ターンのα−ヘリックスに及ぶ。いくつかの実施形態において、大環状化合物を形成するリンカーの長さは、約8個の炭素−炭素結合〜約16個の炭素−炭素結合の長さにほぼ等しいか、あるいは約10個の炭素−炭素結合〜約13個の炭素−炭素結合の長さにほぼ等しくてよい。関連する実施形態において、大環状化合物は、約29〜約37個の原子の環を含むことができる。
【0012】
[0007] いくつかの実施形態において、本発明のペプチドミメティック大環状化合物の合成で有用なアミノ酸は、式IIaまたはIIb
【0013】
【化6】

の化合物であり、式中、
およびRは、独立して、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
各QおよびTは各々、非置換またはRで置換されたアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、および[−R−K−R−]からなる群から独立して選択され;
Kは、O、S、SO、SO、CO、CO、またはCONRであり;
は、水素、任意選択によりRで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
は、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり;
各Rは、独立して、ハロゲン、アルキル、−OR、−N(R、−SR、−SOR、−SO、−CO、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
各Rは、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
およびRは、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
10およびR11は、独立して、−H、またはペプチド合成に適した任意の保護基であり;
gおよびhは、各々独立して、0〜5の整数であり(ここでg+hは1を超える);
nは、1〜5の整数である。
【0014】
[0008] いくつかの実施形態において、化合物は、式IIaの化合物であり、Rは、非置換またはハロ−で置換されたアルキルである。他の実施形態において、化合物は式IIbの化合物であり、Rは、非置換またはハロ−で置換されたアルキルである。さらに他の実施形態において、化合物は式IIaの化合物であり、Rは、非置換のアルキルである。例えば、Rはメチルでよい。さらに他の実施形態において、化合物は式IIbの化合物であり、Rは、非置換のアルキルである。例えば、Rはメチルでよい。本発明の化合物のいくつかの実施形態において、RおよびR10の少なくとも一方は、ペプチド合成に適した保護された基である。別の態様において、本発明は、さらに、本発明の化合物または本発明のペプチドミメティック大環状化合物の調製で有用なその他のアミノ酸アナログを、本明細書に記載するような大環状化試薬と共に含むキットを提供する。
【0015】
[0009] いくつかの実施形態において、本発明は、
a)式IIaおよびIIb
【0016】
【化7】

[式中、
およびRは、独立して、−H、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
各QおよびTは各々、非置換またはRで置換されたアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、および[−R−K−R−]からなる群から独立して選択され;
Kは、O、S、SO、SO、CO、CO、またはCONRであり;
は、水素、任意選択によりRで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
は、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり;
各Rは、独立して、ハロゲン、アルキル、−OR、−N(R、−SR、−SOR、−SO、−CO、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
各Rは、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
およびRは、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
10およびR11は、独立して、−H、またはペプチド合成に適した任意の保護基であり;
gおよびhは、各々独立して0〜5の整数であり;
nは、1〜5の整数である]の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、および
b)大環状化試薬;
を含むキットを提供する。
【0017】
[0010] いくつかの実施形態において、キットは、式IIaの化合物を含み、Rは非置換またはハロ−で置換されたアルキルである。関連する実施形態において、Rは非置換のアルキルである。例えば、Rはメチルでよい。他の実施形態において、キットは、式IIbの化合物を含み、Rは、非置換またはハロ−で置換されたアルキルである。関連する実施形態において、Rは、非置換のアルキルである。例えば、Rはメチルでよい。
【0018】
[0011] いくつかの実施形態において、キットは、少なくとも1種の式IIaの化合物、および少なくとも1種の式IIbの化合物を含む。本発明のキットは、該式中のRおよびR10の少なくとも一方がペプチド合成に適した保護された基である式IIaまたは式IIbの化合物を含むこともできる。本発明のキットの具体的な実施形態において、大環状化試薬はCu試薬である。本発明のキットのさらに他の実施形態において、大環状化試薬は、Ru試薬である。
【0019】
[0012] 本発明は、また、ペプチドミメティック大環状化合物の合成方法を提供し、該方法は、式IIIまたは式IV
【0020】
【化8】

[式中、v、w、x、y、z、A、B、C、D、E、R、R、R、R、LおよびLは、前に定義した通りであり、R12は、大環状化試薬がCu試薬である場合には−Hであり、R12は、大環状化試薬がRu試薬である場合には−Hまたはアルキルである]のペプチドミメティック前駆体を大環状化試薬と接触させる工程を含み、さらにここで、前記の接触工程は、式IIIまたは式IV中のアルキン部分とアジド部分との間に共有結合を形成する。例えば、R12は、大環状化試薬がRu試薬である場合には、メチルでよい。
【0021】
[0013] 本発明の方法のいくつかの実施形態において、RおよびRの少なくとも一方は、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである。関連する実施形態において、RおよびRは、独立して、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである。
【0022】
[0014] 例えば、RおよびRの少なくとも一方は、非置換またはハロ−で置換されたアルキルでよい。別の例で、RおよびRは、両方とも、独立して、非置換またはハロ−で置換されたアルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRの少なくとも一方はメチルである。他の実施形態において、RおよびRはメチルである。大環状化試薬は、Cu試薬でよい。別法として、大環状化試薬は、Ru試薬でよい。
【0023】
[0015] いくつかの実施形態において、ペプチドミメティック前駆体は、接触工程の前に精製される。他の実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、接触工程の後に精製される。さらに他の実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、接触工程の後にリフォールディングされる。該方法は、溶液中で実施できる、あるいは別法として、該方法は、固体支持体上で実施できる。
【0024】
[0016] 本明細書では、本発明の方法を、その結合に好都合である条件下でペプチドミメティック前駆体またはペプチドミメティック大環状化合物に結合する標的高分子の存在下で実施することも企図している。いくつかの実施形態において、該方法は、その結合に好都合である条件下でペプチドミメティック前駆体またはペプチドミメティック大環状化合物に優先的に結合する標的高分子の存在下で実施される。該方法は、ペプチドミメティック大環状化合物のライブラリーを合成するのに適用することもできる。
【0025】
[0017] 本発明の方法から得られるペプチドミメティック大環状化合物は、水性溶液中でα−ヘリックスを構成することができる。例えば、ペプチドミメティック大環状化合物は、水性溶液中で、対応する非大環状ポリペプチドと比較して増加したα−ヘリックス構造を示し得る。いくつかの実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、対応する非大環状ポリペプチドと比較して増加した熱安定性を示す。他の実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、対応する非大環状ペプチドと比較して増加した生物学的活性を示す。さらに他の実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は
、対応する非大環状ポリペプチドと比較してタンパク質分解に対する増加した耐性を示す。さらに他の実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、対応する非大環状ポリペプチドと比較して生存細胞への増加した浸透能力を示す。
【0026】
[0018] いくつかの実施形態において、式IIIまたは式IVのペプチドミメティック前駆体のアルキン部分は、L−プロパルギルグリシン、D−プロパルギルグリシン、(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−5−ヘキシン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−5−へキシン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−7−オクチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−7−オクチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−8−ノニン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−8−ノニン酸からなる群から選択されるアミノ酸の側鎖であり、式IIIまたは式IVのペプチドミメティック前駆体のアジド部分は、ε−アジド−L−リシン、ε−アジド−D−リシン、ε−アジド−α−メチル−L−リシン、ε−アジド−α−メチル−D−リシン、δ−アジド−α−メチル−L−オルニチン、およびδ−アジド−α−メチル−D−オルニチンからなる群から選択されるアミノ酸の側鎖である。
【0027】
[0019] いくつかの実施形態において、x+y+zは3であり、A、BおよびCは、独立して、天然または非天然のアミノ酸である。他の実施形態において、x+y+zは6であり、A、BおよびCは、独立して、天然または非天然のアミノ酸である。
【0028】
[0020] いくつかの実施形態において、大環状化試薬はCu試薬であり、接触工程は、プロトン性溶媒、水性溶媒、有機溶媒、およびこれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で実施される。例えば、溶媒は、HO、THF/HO、tBuOH/HO、DMF、DIPEA、CHCN、CHCl、ClCHCHCl、またはこれらの混合物からなる群から選択できる。他の実施形態において、大環状化試薬はRu試薬であり、接触工程は、有機溶媒中で実施される。例えば、溶媒は、DMF、THF、CHCN、CHCl、またはClCHCHClでよい。溶媒は、ヘリックス形成に好都合である溶媒でよい。
【0029】
[0021] いくつかの実施形態において、本発明の方法を実施して得られるペプチドミメティック大環状化合物は、式(I)
【0030】
【化9】

[式中、v、w、x、y、z、A、B、C、D、E、R、R、R、RおよびLは、前に定義した通りである]を有する。
【0031】
参照文献の組込み
[0022] 本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、各々個々の刊行物、特許、および特許出願が参照により具体的かつ個別的に組み込まれることを示すと同程度まで、参照により本明細書中に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義
[0023] 本明細書中で使用する場合、用語「大環状化合物」は、共有結合で結合された少なくとも9個の原子によって形成された環(ring)または環(cycle)を含む化学構造を有する分子を指す。
【0033】
[0024] 本明細書中で使用する場合、用語「ペプチドミメティック大環状化合物」は、複数のペプチド結合によって連結された複数のアミノ酸残基、および大環状化合物を形成する少なくとも1つのリンカー(該リンカーは、1つの天然型(naturally-occurring)アミノ酸残基、非天然型(non-naturally-occurring)アミノ酸残基またはアミノ酸アナログ残基のα炭素と、別の天然型アミノ酸残基、非天然型アミノ酸残基またはアミノ酸アナログ残基のα炭素との間で大環状化合物を形成する)を含む化合物を指す。ペプチドミメティック大環状化合物は、任意選択により、1つまたは複数のアミノ酸残基および/またはアミノ酸アナログ残基の間の1つまたは複数の非ペプチド結合を含み、大環状化合物を形成する任意の残基に加え、任意選択により1つまたは複数の天然型アミノ酸残基またはアミノ酸アナログ残基を含む。
【0034】
[0025] 本明細書中で使用する場合、用語「安定性」は、円偏光二色性、NMRまたは別の生物物理学的測定よって測定される、本発明のペプチドミメティック大環状化合物による溶液中での特定の二次構造の維持、またはインビトロまたはインビボでのタンパク質分解に対する耐性を指す。本発明中で考慮される二次構造の非制限的例が、α−ヘリックス、β−ターン、およびβ−シート(β−plated sheet)である。
【0035】
[0026] 本明細書中で使用する場合、用語「ヘリックス安定性」は、円偏光二色性によって測定される、本発明のペプチドミメティック大環状化合物によるα−ヘリックス構造の維持を指す。例えば、いくつかの実施形態において、本発明のペプチドミメティック大環状化合物は、対応する非大環状ポリペプチドと比較して、円偏光二色性によって決定されるα−螺旋性(helicity)の少なくとも1.25、1.5、1.75または2倍の増加を示す。
【0036】
[0027] 用語「α−アミノ酸」または簡単に「アミノ酸」は、α−炭素と呼ばれる炭素に結合したアミノ基およびカルボキシル基の両方を含む分子を指す。適切なアミノ酸には、限定はされないが、天然型アミノ酸のD−およびL−異性体の両方、ならびに有機合成またはその他の代謝経路によって調製される非天然型アミノ酸が含まれる。文脈において特に示さない限り、用語アミノ酸は、本明細書中で使用する場合、アミノ酸アナログを含むと解釈される。
【0037】
[0028] 用語「天然型アミノ酸」は、天然で合成されるペプチド中に一般的に見出され、1文字略号A、R、N、C、D、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、YおよびVで知られる、20種のアミノ酸のいずれか1つを指す。
【0038】
[0029] 用語「アミノ酸アナログ」は、構造的にアミノ酸に類似し、ペプチドミメティック大環状化合物の形成においてアミノ酸と置き換えることができる分子を指す。アミノ酸アナログには、限定はされないが、アミノ基とカルボキシル基との間に1つまたは複数のさらなるメチレン基を含めること(例えば、α−アミノβ−カルボキシ酸)、またはアミノ基またはカルボキシ基を類似の反応性基で置き換えること(例えば、第一級アミンを第二級または第三級アミンで代替、またはカルボキシ基をエステルで置き換えること)を除けば、本明細書中で定義する通りのアミノ酸と構造的に同じである化合物が含まれる。
【0039】
[0030] 「非必須」アミノ酸残基は、その本質的な生物学的または生物化学的活性(例えば、受容体結合または活性化)をなくすかまたは実質的に変えることなしに、ポリペプチドの野生型配列(例えば、BH3ドメインまたはp53MDM2結合ドメイン)から変化し得る残基である。「必須」アミノ酸残基は、ポリペプチドの野生型配列から変化した場合に、該ポリペプチドの本質的な生物学的または生物化学的活性をなくすか実質的になくす残基である。
【0040】
[0031] 「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、K、R、H)、酸性側鎖(例えば、D、E)、非荷電極性側鎖(例えば、G、N、Q、S、T、Y、C)、非極性側鎖(例えば、A、V、L、I、P、F、M、W)、β−分枝側鎖(例えば、T、V、I)、および芳香族側鎖(例えば、Y、F、W、H)を有するアミノ酸が含まれる。したがって、例えば、BH3ポリペプチド中の予想される非必須アミノ酸残基は、好ましくは、同一の側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基で置き換えられる。
【0041】
[0032] 用語「員」は、大環状化合物または大環状化合物を形成するリンカーとの関連で使用する場合、大環状化合物を形成するか形成できる原子であって、置換基または側鎖原子を除く。類比により、シクロデカン、1,2−ジフルオロ−デカン、および1,3−ジメチルシクロデカンは、水素、フルオロ置換基またはメチル側鎖が大環状化合物の形成に関与しないので、すべて10員の大環状化合物とみなす。
【0042】
[0033] 記号
【0043】
【化10】

は、分子構造の一部として使用される場合、単結合またはトランスもしくはシスの二重結合を指す。
【0044】
[0034] 用語「アミノ酸側鎖」は、アミノ酸のα−炭素に結合している部分を指す。例えば、アラニンにとってのアミノ酸側鎖はメチルであり、フェニルアラニンにとってのアミノ酸側鎖はフェニルメチルであり、システインにとってのアミノ酸側鎖はチオメチルであり、アスパラギン酸にとってのアミノ酸側鎖はカルボキシメチルであり、チロシンにとってのアミノ酸側鎖は4−ヒドロキシフェニルメチル等である。その他の非天然型アミノ酸の側鎖、例えば、天然に存在するもの(例えば、アミノ酸の代謝産物)または合成で作られたもの(例えば、α,α二置換アミノ酸)も含む。
【0045】
[0035] 用語「ポリペプチド」は、共有結合(例えば、アミド結合)によって連結された天然型または非天然型の2つ以上のアミノ酸を包含する。本明細書に記載されるようなポリペプチドには、完全長タンパク質(例えば、完全にプロセシングされたタンパク質)およびより短いアミノ酸配列(例えば、天然型タンパク質のフラグメントまたは合成ポリペプチドのフラグメント)が含まれる。
【0046】
[0036] 用語「大環状化試薬」は、本明細書中で使用する場合、アジドとアルキンとの間の反応を仲介することによって本発明のペプチドミメティック大環状化合物を調製するのに使用できる任意の試薬を指す。このような試薬には、限定はされないが、反応性Cu(I)種を提供する試薬などのCu試薬、例えば、CuBr、CuIまたはCuOTf、ならびにアスコルビン酸またはアスコルビン酸ナトリウムなどの還元剤を添加することによってインサイチュで活性Cu(I)試薬に転換できるCu(COCH、CuSO、およびCuClなどのCu(II)塩が含まれる。大環状化試薬には、さらに、例えば、Cp*RuCl(PPh、[Cp*RuCl]、または反応性Ru(II)種を提供できるその他のRu試薬などの当技術分野で周知のRu試薬が含まれる。
【0047】
[0037] 用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、あるいはこれらのラジカルを指す。
【0048】
[0038] 用語「アルキル」は、指定された数の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖である炭化水素鎖を指す。例えば、C〜C10は、該基が、その中に1〜10個(両端数を含む)の炭素原子を有することを示す。数の指定が何らない場合には、「アルキル」は、その中に1〜20個(両端数を含む)の炭素原子を有する鎖(直鎖または分枝鎖)である。
【0049】
[0039] 用語「アルキレン」は、二価のアルキル(すなわち、−R−)を指す。
【0050】
[0040] 用語「アルケニル」は、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖である炭化水素鎖を指す。アルケニル部分は、指定された数の炭素原子を含む。例えば、C〜C10は、該基が、その中に2〜10個(両端数を含む)の炭素原子を有することを示す。用語「低級アルケニル」は、C〜Cアルケニル鎖を指す。数の指定が何らない場合には、「アルケニル」は、その中に2〜20個(両端数を含む)の炭素原子を有する鎖(直鎖または分枝鎖)である。
【0051】
[0041] 用語「アルキニル」は、1つまたは複数の炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖である炭化水素鎖を指す。アルキニル部分は、指定された数の炭素原子を含む。例えば、C〜C10は、該基が、その中に2〜10個(両端数を含む)の炭素原子を有することを示す。用語「低級アルキニル」は、C〜Cアルキニル鎖を指す。数の指定が何らない場合には、「アルキニル」は、その中に2〜20個(両端数を含む)の炭素原子を有する鎖(直鎖または分枝鎖)である。
【0052】
[0042] 用語「アリール」は、各環の0、1、2、3または4個の原子は置換基で置換されている6員の炭素単環式または10員の炭素二環式芳香族環系を指す。アリール基の例には、フェニル、ナフチルなどが含まれる。用語「アリールアルキル」または用語「アラルキル」は、アリールで置換されたアルキルを指す。用語「アリールアルコキシ」は、アリールで置換されたアルコキシを指す。
【0053】
[0043] 「アリールアルキル」は、アリール基の水素原子の1つが、前に定義したC〜Cアルキル基で置き換えられている上で定義した通りのアリール基を指す。アリールアルキル基の代表的な例には、限定はされないが、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−エチルフェニル、3−エチルフェニル、4−エチルフェニル、2−プロピルフェニル、3−プロピルフェニル、4−プロピルフェニル、2−ブチルフェニル、3−ブチルフェニル、4−ブチルフェニル、2−ペンチルフェニル、3−ペンチルフェニル、4−ペンチルフェニル、2−イソプロピルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、2−イソブチルフェニル、3−イソブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、2−sec−ブチルフェニル、3−sec−ブチルフェニル、4−sec−ブチルフェニル、2−t−ブチルフェニル、3−t−ブチルフェニル、および4−t−ブチルフェニルが含まれる。
【0054】
[0044] 「アリールアミド」は、アリール基の水素原子の1つが、1つまたは複数の−C(O)NH基で置き換えられている、前に定義したアリール基を指す。アリールアミド基の代表的な例には、2−C(O)NH2−フェニル、3−C(O)NH−フェニル、4−C(O)NH−フェニル、2−C(O)NH−ピリジル、3−C(O)NH−ピリジル、および4−C(O)NH−ピリジルが含まれる。
【0055】
[0045] 「アルキル複素環」は、C〜Cアルキル基の水素原子の1つが、複素環で置き換えられている、前に定義したC〜Cアルキル基を指す。アルキル複素環基の代表的な例には、限定はされないが、−CHCH−モルホリン、−CHCH−ピペリジン、−CHCHCH−モルホリン、および−CHCHCH−イミダゾールが含まれる。
【0056】
[0046] 「アルキルアミド」は、C〜Cアルキル基の水素原子の1つが、−C(O)NH基で置き換えられている、前に定義したC〜Cアルキル基を指す。アルキルアミド基の代表的な例には、限定はされないが、−CH−C(O)NH、−CHCH−C(O)NH、−CHCHCHC(O)NH、−CHCHCHCHC(O)NH、−CHCHCHCHCHC(O)NH、−CHCH(C(O)NH)CH、−CHCH(C(O)NH)CHCH、−CH(C(O)NH)CHCH、および−C(CHCHC(O)NHが含まれる。
【0057】
[0047] 「アルカノール」は、C〜Cアルキル基の水素原子の1つが、ヒドロキシル基で置き換えられている、前に定義したC〜Cアルキル基を指す。アルカノール基の代表的な例には、限定はされないが、−CHOH、−CHCHOH、−CHCHCHOH、−CHCHCHCHOH、−CHCHCHCHCHOH、−CHCH(OH)CH、−CHCH(OH)CHCH、−CH(OH)CH、および−C(CHCHOHが含まれる。
【0058】
[0048] 「アルキルカルボキシ」は、C〜Cアルキル基の水素原子の1つが、−−COOH基で置き換えられている、前に定義したC〜Cアルキル基を指す。アルキルカルボキシ基の代表的な例には、限定はされないが、−CHCOOH、−CHCHCOOH、−CHCHCHCOOH、−CHCHCHCHCOOH、−CHCH(COOH)CH、−CHCHCHCHCHCOOH、−CHCH(COOH)CHCH、−CH(COOH)CHCH、および−C(CHCHCOOHが含まれる。
【0059】
[0049] 用語「シクロアルキル」には、本明細書中で使用する場合、3〜12個の炭素、好ましくは3〜8個の炭素、より好ましくは3〜6個の炭素を有する飽和および部分不飽和の環状炭化水素基が含まれ、ここで、該シクロアルキル基は、さらに任意選択により置換されている。いくつかのシクロアルキル基には、限定はされないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが含まれる。
【0060】
[0050] 用語「ヘテロアリール」は、単環式の場合には1〜3個のヘテロ原子、二環式の場合には1〜6個のヘテロ原子、または三環式の場合には1〜9個のヘテロ原子を有する、芳香族の5〜8員単環式、8〜12員二環式、または11〜14員三環式環系を指し、前記ヘテロ原子は、O、N、またはSから選択され(例えば、炭素原子と、単環式、二環式、または三環式の場合、各々1〜3、1〜6、または1〜9個のO、NまたはSのヘテロ原子)、ここで、各環の0、1、2、3、または4個の原子は置換基で置換されている。ヘテロアリール基の例には、ピリジル、フリルまたはフラニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニルまたはチエニル、キノリニル、インドリル、チアゾリルなどが含まれる。
【0061】
[0051] 用語「ヘテロアリールアルキル」または用語「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールで置換されたアルキルを指す。用語「ヘテロアリールアルコキシ」は、ヘテロアリールで置換されたアルコキシを指す。
【0062】
[0052] 用語「ヘテロアリールアルキル」または用語「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールで置換されたアルキルを指す。用語「ヘテロアリールアルコキシ」は、ヘテロアリールで置換されたアルコキシを指す。
【0063】
[0053] 用語「ヘテロシクリル」は、単環式の場合には1〜3個のヘテロ原子、二環式の場合には1〜6個のヘテロ原子、または三環式の場合には1〜9個のヘテロ原子を有する、非芳香族の5〜8員単環式、8〜12員二環式、または11〜14員三環式環系を指し、前記ヘテロ原子は、O、N、またはSから選択され(例えば、炭素原子と、単環式、二環式、または三環式の場合、各々1〜3、1〜6、または1〜9個のO、NまたはSのヘテロ原子)、ここで、各環の0、1、2、または3個の原子は置換基で置換されている。ヘテロシクリル基の例には、ピペラジニル、ピロリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニルなどが含まれる。
【0064】
[0054] 用語「置換基」は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基上の任意の原子の位置で「置換されている」基を指す。適切な置換基には、限定はされないが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、オキソ、ニトロ、ハロアルキル、アルキル、アルカリール、アリール、アラルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルコキシカルボニル、アミド、カルボキシ、アルカンスルホニル、アルキルカルボニル、およびシアノ基が含まれる。
【0065】
[0055] いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、1つまたは複数の不斉中心を含み、したがって、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、個々のジアステレオマー、およびジアステレオマー混合物として現われる。これら化合物のすべてのこのような異性体は、別に明らかに示さない限り、本発明に包含される。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、複数の互変異性体でも表され、このような場合、本発明は、本明細書に記載の化合物のすべての互変異性体を包含する(例えば、環系をアルキル化することにより複数部位でアルキル化される場合、本発明は、このような反応生成物のすべてを包含する)。このような化合物のすべてのこのような異性体は、別に明らかに示さない限り、本発明に包含される。本明細書に記載の化合物のすべての結晶形は、別に明らかに示さない限り、本発明に包含される。
【0066】
[0056] 本明細書中で使用する場合、用語「増加」および「減少」は各々、少なくとも5%の統計的に有意な(すなわちp<0.1)増加または減少を引き起こすことを意味する。
【0067】
[0057] 本明細書中で使用する場合、変数に関する数値範囲の記載は、本発明をその範囲内の任意の値に等しい変数で実施できることを意味すると解釈される。したがって、本来的に(inherently)不連続である変数の場合、該変数は、範囲の端点を含むその数値範囲内の任意の整数値に等しい。同様に、本来的に連続である変数の場合、該変数は、範囲の端点を含むその数値範囲内の任意の実数値に等しい。例として、限定はされないが、0〜2の値を有すると記載されている変数は、該変数が本来的に不連続である場合には0、1または2の値を取り、該変数が本来的に連続である場合には0.0、0.1、0.01、0.001、または0以上2以下の任意の他の実数値を取る。
【0068】
[0058] 本明細書中で使用する場合、別に具体的に示さない限り、単語「または」は、「および/または」を含む意味で使用され、「どちらか/または」の排除的意味では使用されない。
【0069】
[0059] 本発明の1つまたは複数の特定の実施形態に関する詳細を、付随の図面および以下の説明中に示す。本発明のその他の特徴、目的、および利点も、該説明および図面ならびに特許請求の範囲から明白であろう。
【0070】
本発明のペプチドミメティック大環状化合物
[0060] 本発明は、式(I)
【0071】
【化11】

のペプチドミメティック大環状化合物を提供し、式中、
各A、C、DおよびEは、独立して、天然または非天然のアミノ酸であり;
Bは、天然または非天然のアミノ酸、アミノ酸アナログ、
【0072】
【化12】

、[−NH−L−CO−]、[−NH−L−SO−]、または[−NH−L−]であり;
およびRは、独立して、−H、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
は、水素、任意選択によりRで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
Lは、大環状化合物を形成する式
【0073】
【化13】

のリンカーであり;
、LおよびLは、独立して、各々任意選択によりRで置換されたアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアリーレン、ヘテロシクロアリーレン、または[−R−K−R−]であり;
各Rは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり;
各Kは、O、S、SO、SO、CO、CO、またはCONRであり;
各Rは、独立して、ハロゲン、アルキル、−OR、−N(R、−SR、−SOR、−SO、−CO、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
各Rは、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
は、−H、任意選択によりRで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリール、あるいはD残基を有する環状構造の一部であり;
は、−H、任意選択によりRで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリール、あるいはE残基を有する環状構造の一部であり;
vは、1〜1000の整数であり;
wは、1〜1000の整数であり;
xは、0〜10の整数であり;
yは、0〜10の整数であり;
zは、0〜10の整数であり;
nは、1〜5の整数である。
【0074】
[0061] 本発明のいくつかの実施形態において、x+y+zは、少なくとも3である。本発明の他の実施形態において、x+y+zは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。本発明の大環状化合物または大環状化合物前駆体中のA、B、C、DまたはEは、出現ごとに独立して選択される。例えば、式[A]で表される配列は、xが3なら、アミノ酸が非同一、例えばGln−Asp−Alaである実施形態、およびアミノ酸が同一、例えば、Gln−Gln−Glnである実施形態を包含する。このことは、指定範囲のx、y、またはzの任意の値に適用される。
【0075】
[0062] いくつかの実施形態において、本発明のペプチドミメティック大環状化合物は、α−ヘリックスである二次構造を含み、Rは、螺旋内水素結合を可能にする−Hである。
【0076】
[0063] 他の実施形態において、大環状化合物を形成するリンカーLの第1Cαから第2Cαまで測定した場合の長さは、所望の二次ペプチド構造、例えば、必ずしも限定はされないが第1Cαと第2Cαとの間の残基を含むペプチドミメティック大環状化合物の残基によって形成されるα−ヘリックスを安定化するように選択される。
【0077】
[0064] いくつかの実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、少なくとも1つのα−ヘリックスモチーフを含む。例えば、式Iの化合物中のA、Bおよび/またはCは、1つまたは複数のα−ヘリックスを含む。一般的な事項として、α−ヘリックスは、1ターンにつき3〜4個のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物のα−ヘリックスは、1〜5ターンを含み、それゆえ、3〜20個のアミノ酸残基を含む。具体的実施形態において、α−ヘリックスは、1ターン、2ターン、3ターン、4ターン、または5ターンを含む。いくつかの実施形態において、大環状化合物を形成するリンカーは、該ペプチドミメティック大環状化合物内に含まれるα−ヘリックスモチーフを安定化する。したがって、いくつかの実施形態において、大環状化合物を形成するリンカーLの第1Cαから第2Cαまでの長さは、α−ヘリックスの安定性を増加するように選択される。いくつかの実施形態において、大環状化合物を形成するリンカーは、1ターン〜5ターンのα−ヘリックスに及ぶ。いくつかの実施形態において、大環状化合物を形成するリンカーは、約1ターン、2ターン、3ターン、4ターン、または5ターンのα−ヘリックスに及ぶ。いくつかの実施形態において、大環状化合
物を形成するリンカーの長さは、α−ヘリックスの1ターンにつき約5Å〜9Å、またはα−ヘリックスの1ターンにつき約6Å〜8Åである。大環状化合物を形成するリンカーが、約1ターンのα−ヘリックスに及ぶ場合、その長さは、約5個の炭素−炭素結合〜13個の炭素−炭素結合、約7個の炭素−炭素結合〜11個の炭素−炭素結合、または約9個の炭素−炭素結合に等しい。大環状化合物を形成するリンカーが、約2ターンのα−ヘリックスに及ぶ場合、その長さは、約8個の炭素−炭素結合〜16個の炭素−炭素結合、約10個の炭素−炭素結合〜14個の炭素−炭素結合、または約12個の炭素−炭素結合に等しい。大環状化合物を形成するリンカーが、約3ターンのα−ヘリックスに及ぶ場合、その長さは、約14個の炭素−炭素結合〜22個の炭素−炭素結合、約16個の炭素−炭素結合〜20個の炭素−炭素結合、または約18個の炭素−炭素結合に等しい。大環状化合物を形成するリンカーが、約4ターンのα−ヘリックスに及ぶ場合、その長さは、約20個の炭素−炭素結合〜28個の炭素−炭素結合、約22個の炭素−炭素結合〜26個の炭素−炭素結合、または約24個の炭素−炭素結合に等しい。大環状化合物を形成するリンカーが、約5ターンのα−ヘリックスに及ぶ場合、その長さは、約26個の炭素−炭素結合〜34個の炭素−炭素結合、約28個の炭素−炭素結合〜32個の炭素−炭素結合、または約30個の炭素−炭素結合に等しい。大環状化合物を形成するリンカーが、約1ターンのα−ヘリックスに及ぶ場合、該連結部は、約4〜12個の原子、約6〜10個の原子、または約8個の原子を含む。大環状化合物を形成するリンカーが、約2ターンのα−ヘリックスに及ぶ場合、該連結部は、約7〜15個の原子、約9〜13個の原子、または約11個の原子を含む。大環状化合物を形成するリンカーが、約3ターンのα−ヘリックスに及ぶ場合、該連結部は、約13〜21個の原子、約15〜19個の原子、または約17個の原子を含む。大環状化合物を形成するリンカーが、約4ターンのα−ヘリックスに及ぶ場合、該連結部は、約19〜27個の原子、約21〜25個の原子、または約23個の原子を含む。大環状化合物を形成するリンカーが、約5ターンのα−ヘリックスに及ぶ場合、該連結部は、約25〜33個の原子、約27〜31個の原子、または約29個の原子を含む。大環状化合物を形成するリンカーが、約1ターンのα−ヘリックスに及ぶ場合、生じる大環状化合物は、約17員〜25員、約19員〜23員、または約21員を含む環を形成する。大環状化合物を形成するリンカーが、約2ターンのα−ヘリックスに及ぶ場合、生じる大環状化合物は、約29員〜37員、約31員〜35員、または約33員を含む環を形成する。大環状化合物を形成するリンカーが、約3ターンのα−ヘリックスに及ぶ場合、生じる大環状化合物は、約44員〜52員、約46員〜50員、または約48員を含む環を形成する。大環状化合物を形成するリンカーが、約4ターンのα−ヘリックスに及ぶ場合、生じる大環状化合物は、約59員〜67員、約61員〜65員、または約63員を含む環を形成する。大環状化合物を形成するリンカーが、約5ターンのα−ヘリックスに及ぶ場合、生じる大環状化合物は、約74員〜82員、約76員〜80員、または約78員を含む環を形成する。
【0078】
[0065] 大環状化合物を形成するリンカーLの典型的な実施形態を以下に示す:
【0079】
【化14】

【0080】
【化15】

【0081】
[0066] 他の実施形態において、Dおよび/またはEは、細胞取り込みを促進するために、さらに修飾される。いくつかの実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物を脂質化またはPEG化すると、細胞取り込みが促進され、バイオアベイラビリティーが増加し、血液循環が増加し、薬物動態が変化し、免疫原生が減少し、かつ/または必要とされる投与頻度が減少する。
【0082】
[0067] 一実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、対応する非大環状ポリペプチドと比較して構造安定性の増加、標的への親和性の増加、タンパク質分解への耐性の増加、および/または細胞浸透性の増加など、生物学的特性の改善を示す。別の実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、水溶液中で、1つまたは複数のα−ヘリックスを含み、かつ/または対応する非大環状ポリペプチドと比較して、α−螺旋性の程度の増加を示す。いくつかの実施形態において、大環状化合物を形成するリンカーは、ポリペプチドミメティック大環状化合物の細胞浸透性を増加させる。理論によって拘束されることを望むものではないが、大環状化合物を形成するリンカーは、対応する非大環状ポリペプチドと比較してポリペプチドミメティック大環状化合物の全体の疎水性を増加し得ると仮定される。
【0083】
[0068] 生物学的活性を付与すると考えられる二次構造を含む、既知の一次アミノ酸配列を有する任意のタンパク質またはポリペプチドが、本発明の対象である。例えば、ポリペプチドの配列を解析することができ、本発明のアジド含有アミノ酸アナログおよびアルキン含有アミノ酸アナログを適切な位置で置換することができる。適切な位置は、二次構造のどの表面が生物学的活性に必要であるか、したがって、大環状化合物を形成する本発明のリンカーが、他のどの表面を横切って、生物学的活性に必要な表面を立体的に遮蔽することなく大環状化合物を形成できるかを確認することによって決定される。このような決
定は、二次構造と天然の結合パートナーとの間の複合体に関するX線結晶学などの方法を使用して活性にとって重要な残基(および表面)を視覚化して行うか、活性にとって重要な残基(および表面)を機能的に同定するための二次構造中の残基の逐次突然変異誘発により行うか、またはその他の方法によって行われる。このような決定によって、適切なアミノ酸を、本発明のアミノ酸アナログおよび大環状化合物を形成するリンカーで置換する。例えば、α−ヘリックス二次構造に関して、該ヘリックスの1つの表面(例えば、ヘリックス軸に沿って縦に伸び、該ヘリックス軸のまわりに放射上に45〜135°に伸びた分子表面)を、生物学的活性のためにインビボまたはインビトロで別の生体分子と接触させることが必要となり得る。このような場合、大環状化合物を形成するリンカーは、ヘリックスの2つのα−炭素を連結するように設計される一方、その表面部分のヘリックスの表面に沿って縦に伸びることは活性のために直接的には必要とされない。
【0084】
[0069] 本発明のいくつかの実施形態において、ペプチドの配列は、BCL−2ファミリーのタンパク質に由来する。BCL−2ファミリーは、BH1、BH2、BH3、およびBH4と呼ばれ、かつすべてα−ヘリックスセグメントを含む、最大4個の保存的BCL−2相同(BH)ドメインの存在によって定義される(Chittendenら(1995)、EMBO 14: 5589;Wangら(1996)、Genes Dev. 10: 2895)。BCL−2およびBCL−Xなどの抗アポトーシスタンパク質は、すべてのBHドメインで配列保存を示す。プロアポトーシスタンパク質は、BH1、BH2、およびBH3ドメインに相同性を有する「マルチドメイン」ファミリーメンバー(例えば、BAK、BAX)、および、BH3両親媒性α−ヘリックス部分中に配列相同性を排他的に含む「BH−3ドメインのみ」のファミリーメンバー(例えば、BID、BAD、BIM、BIK、NOXA、PUMA)に類別される。BCL−2ファミリーメンバーは、ホモ−およびヘテロ二量体を形成する能力を有し、このことは、競合的結合およびプロアポトーシスタンパク質と抗アポトーシスタンパク質との割合が死の刺激に対する感受性を決定することを示唆している。抗アポトーシスタンパク質は、細胞をプロアポトーシス過剰(pro-apoptotic excess)、すなわち過剰なプログラム細胞死から保護するように機能する。さらなる「セキュリティ」手段には、プロアポトーシスタンパク質の転写を調節すること、およびそれらを不活性な立体配座異性体として維持することが含まれ、タンパク質分解の活性化、脱リン酸化、または死に至る(pro-death)機能を活性化するためのリガンド誘発性コンホメーション変化を要求する。ある種の細胞型において、細胞膜で受け取った死のシグナルは、ミトコンドリア経路を介してアポトーシスを引き起こす。ミトコンドリアは、カスパーゼ9を活性化し致死性の下流タンパク質の分解事象に至らしめるサイトゾル複合体の重要な成分であるシトクロムcを隔離することよって細胞死のゲートキーパーとして役立つことができる。BCL−2/BCL−XおよびBAK/BAXなどのマルチドメインタンパク質は、ミトコンドリア膜で保護者および実行者の争い役を演じ、それらの活性は、BCL−2ファミリーの上流BH3のみのメンバーによってさらに調節される。例えば、BIDは、プロアポトーシスタンパク質のBH3−ドメインのみのファミリーのメンバーであり、細胞膜で受け取った死のシグナルを、ミトコンドリア膜でエフェクターであるプロアポトーシスタンパク質に伝達する。BIDは、プロアポトーシスタンパク質および抗アポトーシスタンパク質の両方と相互作用する能力を有し、カスパーゼ8により活性化されると、シトクロムcの放出およびミトコンドリアのアポトーシスを引き起こす。欠失および突然変異誘発研究は、プロアポトーシスファミリーメンバーの両親媒性α−ヘリックスBH3部分が、死のドメイン(death domain)として機能することができ、そのため、マルチドメインアポトーシスタンパク質と相互作用するのに重要な構造モチーフになることができることを見出した。構造研究により、BH3ヘリックスが、BH1、2および3ドメインの界面によって形成される疎水性溝中に入ることによって抗アポトーシスタンパク質と相互作用することができることが示された。活性化された
BIDは、抗アポトーシスタンパク質(例えばBCL-2およびBCL-XL)によって拘束、隔離されることができ、シトクロムcの放出およびミトコンドリアのアポトーシスプログラムにつながるプロアポトーシスタンパク質BAXおよびBAKの活性化を引き起こすことができる。BADは、その発現がBAX/BAKの活性化を引き起こすBH3−ドメインのみのプロアポトーシスファミリーメンバーでもある。しかし、BIDとは対照的に、BADは、抗アポトーシスファミリーメンバー、BCL−2およびBCL−Xに対して優先的結合を示す。BAD BH3ドメインは、BCL−2に対して高い親和性結合を示すが、BAD BH3ペプチドは、インビトロでミトコンドリアからのシトクロムcの放出を活性化することができず、BADが、BAX/BAKの直接的活性化因子ではないことを示唆している。BCL−2を過剰発現するミトコンドリアは、BID誘導性のシトクロムc放出に耐性であるが、BADでの共治療は、BID感受性を回復できる。BADによるミトコンドリアのアポトーシスの誘導は、(1)BL−2/BCL−XL結合ポケットからのBIDおよびBID様タンパク質などのBAX/BAK活性化因子の置き換え、または(2)抗アポトーシスタンパク質によるBID様タンパク質の隔離を防ぐための、BADによるBCL−2/BCL−XL結合ポケットの選択的占有のいずれかから生ずると思われる。したがって、2種のBH3−ドメインのみのタンパク質、すなわち、ミトコンドリアのアポトーシスを直接的に活性化するBID様タンパク質、およびマルチドメインの抗アポトーシスタンパク質の結合ポケットを占有することによってミトコンドリアをBID様プロアポトーシスに対して敏感にする能力を有するBAD様タンパク質が明らかになった。本明細書で開示の方法論について修正可能なBCL−2ファミリーメンバーのタンパク質の様々なα−ヘリックスドメインが開示されている(Walenskyら(2004)、Scienc
e 305: 1466;およびWalenskyら、米国特許出願公開第2005/0250680号、これらの全開示を参照により本明細書に組み込む)。
【0085】
[0070] 他の実施形態において、ペプチドの配列は、発癌遺伝子タンパク質MDM2に結合する腫瘍抑制因子p53タンパク質に由来する。MDM2の結合部位は、αヘリックスを形成するp53腫瘍抑制因子の領域内に局在する。その全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7083983号で、Laneらは、MDM2への結合に責任を負うp53の領域は、成熟ヒトP53タンパク質のアミノ酸13〜31(PLSQETFSDLWKLLPENNV)によってほぼ表されることを開示している。本発明では、Laneによって開示されたその他の修飾された配列も考慮される。さらに、p53とMDM2との相互作用は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれるShairら(1997)、Chem.& Biol.4:791で考察されており、p53遺伝子中の突然変異は、報告されたすべての癌症例の実質的に半数で確認された。細胞にストレスを与えると、p53は、細胞周期停止およびDNA修復、またはプログラムされた細胞死に至る応答を指揮すると考えられる。p53タンパク質の機能を直接的に変えるp53遺伝子の突然変異に加えて、p53は、MDM2の変化によって変わり得る。MDM2タンパク質は、p53に結合し、p53のトランス活性化ドメインと会合することによって、転写活性化を途絶することが示されている。例えば、p53のトランス活性化ドメインに由来する11アミノ酸ペプチドは、MDM2の隙間に挿入する2.5ターンの両親媒性α−ヘリックスを形成する。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の方法によって作り出される新規なα−ヘリックス構造は、ヘリックス受容体にしっかりと結合し、本来のタンパク質−タンパク質相互作用を妨害する構造を作り出すように操作される。次いで、これらの構造を、ハイスループット技術を使用してスクリーニングし、最適な小分子ペプチドを見つける。MDM2相互作用を妨害する新規構造は、限定はされないが、軟部組織肉腫(野生型p53の存在下でMDM2を過剰発現する)の抑制を含む多くの用途で有用である。次いで、いくつかの実施形態において、これらの癌は、MDM2を妨害することによってp53の抑制を予防する小分子を用いて抑制される。さらに、いくつかの実施形態において、MDM2−p53相互作用の小分子妨害因子は、従来の化学療法におけるp53依存性アポトーシス応答の程度を制御および調節することを助けるためのアジュバント療法として使用される。
【0086】
[0071] 本発明で使用するのに適切なペプチド配列の非制限的な典型的リストを以下に示す:
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

【0089】
【表3】

【0090】
【表4】

【0091】
本発明のペプチドミメティック大環状化合物の調製方法
[0072] 本発明のペプチドミメティック大環状化合物の合成方法を本明細書中で開示する。いくつの実施形態において、これらのペプチドミメティック大環状化合物の合成は、アジド部分およびアルキン部分を含むペプチドミメティック前駆体の合成、それに続いて、該ペプチドミメティック前駆体を大環状化試薬と接触させてトリアゾールで連結されたペプチドミメティック大環状化合物を作り出すことを特徴とする多工程法を含む。大環状化合物または大環状化合物前駆体は、例えば、溶液相または固相法で合成され、天然型および非天然型アミノ酸の両方を含むことができる。例えば、G.C.Barrett編、「Chemistry and Biochemistry of the Amino Acids」、Chapman and Hall、1985中のHuntの「The Non−Protein Amino Acids」を参照されたい。
【0092】
[0073] いくつかの実施形態において、アジドは、残基のα−炭素に連結され、アルキンは、別の残基のα−炭素に結合される。いくつかの実施形態において、アジド部分は、アミノ酸であるL−リシン、D−リシン、α−メチル−L−リシン、α−メチル−D−リシン、L−オルニチン、D−オルニチン、α−メチル−L−オルニチン、またはα−メチル−D−オルニチンのアジドアナログである。別の実施形態において、アルキン部分は、L−プロパルギルグリシンである。さらなる他の実施形態において、アルキン部分は、L−プロパルギルグリシン、D−プロパルギルグリシン、(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−5−ヘキシン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−5−ヘキシン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−7−オクチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−7−オクチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−8−ノニン酸、および(R)−2−アミノ−2−メチル−8−ノニン酸からなる群から選択されるアミノ酸である。
【0093】
[0074] いくつかの実施形態において、本発明は、ペプチドミメティック大環状化合物の
合成方法を提供し、該方法は、式IIIまたは式IV
【0094】
【化16】

[式中、v、w、x、y、z、A、B、C、D、E、R、R、R、R、LおよびLは、前に定義した通りであり、R12は、大環状化試薬がCu試薬である場合には−Hであり、R12は、大環状化試薬がRu試薬である場合には−Hまたはアルキルである]のペプチドミメティック前駆体を大環状化試薬と接触させる工程を含み、さらに、前記の接触工程は、式IIIまたは式IV中のアルキン部分とアジド部分との間での共有結合を形成する。例えば、R12は、大環状化試薬がRu試薬である場合にはメチルでよい。
【0095】
[0075] 本発明の方法のいくつかの実施形態において、RおよびRの少なくとも一方は、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである。関連する実施形態において、RおよびRは、独立して、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである。
【0096】
[0076] 例えば、RおよびRの少なくとも一方は、非置換またはハロ−で置換されたアルキルでよい。別の例において、RおよびRの両方とも、独立して、非置換またはハロ−で置換されたアルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRの少なくとも一方は、メチルである。他の実施形態において、RおよびRは、メチルである。大環状化試薬は、Cu試薬またはRu試薬でよい。
【0097】
[0077] いくつかの実施形態において、ペプチドミメティック前駆体は、接触工程の前に精製される。他の実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、接触工程の後に精製される。さらに他の実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、接触工程の後にリフォールディングされる。該方法は、溶液中で実施することができるか、あるいは別法として、該方法は、固体支持体上で実施できる。
【0098】
[0078] 本明細書では、本発明の方法を、その結合に好都合である条件下でペプチドミメティック前駆体またはペプチドミメティック大環状化合物に結合する標的高分子の存在下で実施することが構想される。いくつかの実施形態において、該方法は、その結合に好都合である条件下でペプチドミメティック前駆体またはペプチドミメティック大環状化合物に優先的に結合する標的高分子の存在下で実施される。該方法は、また、ペプチドミメティック大環状化合物のライブラリーを合成するのに適用できる。
【0099】
[0079]本発明の方法により得られるペプチドミメティック大環状化合物は、水溶液中でα−ヘリックスを構成することができる。例えば、ペプチドミメティック大環状化合物は、水溶液中で、対応する非大環状ポリペプチドと比較してα−ヘリックス構造の増加を示すことができる。いくつかの実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、対応する非大環状ポリペプチドと比較して熱安定性の増加を示す。他の実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、対応する非大環状ポリペプチドと比較して生物学的活性の増加を示す。さらに他の実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、対応する非大環状ポリペプチドと比較してタンパク質分解に対する耐性の増加を示す。さらに他の実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、対応する非大環状ポリペプチドと比較して生存細胞への浸透能力の増加を示す。
【0100】
[0080] いくつかの実施形態において、式IIIまたは式IVのペプチドミメティック前駆体のアルキン部分は、L−プロパルギルグリシン、D−プロパルギルグリシン、(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−5−へキシン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−5−へキシン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−7−オクチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−7−オクチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−8−ノニン酸、および(R)−2−アミノ−2−メチル−8−ノニン酸からなる群から選択されるアミノ酸の側鎖である。他の実施形態において、式IIIまたは式IVのペプチドミメティック前駆体のアジド部分は、ε−アジド−L−リシン、ε−アジド−D−リシン、ε−アジド−α−メチル−L−リシン、ε−アジド−α−メチル−D−リシン、δ−アジド−α−メチル−L−オルニチン、およびδ−アジド−α−メチル−D−オルニチンからなる群から選択されるアミノ酸の側鎖である。
【0101】
[0081] いくつかの実施形態において、x+y+zは3であり、A、BおよびCは、独立して、天然または非天然のアミノ酸である。他の実施形態において、x+y+zは6であり、A、B、およびCは、独立して、天然または非天然のアミノ酸である。
【0102】
[0082] いくつかの実施形態において、接触工程は、プロトン性溶媒、水性溶媒、有機溶媒、およびこれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で実施される。例えば、溶媒は、HO、THF、THF/HO、tBuOH/HO、DMF、DIPEA、CHCN、CHCl、ClCHCHCl、またはこれらの混合物からなる群から選択できる。溶媒は、ヘリックス形成に好都合である溶媒でよい。
【0103】
[0083] いくつかの実施形態において、本発明の方法を実施して得られるペプチドミメティック大環状化合物は、式(I)
【0104】
【化17】

[式中、v、w、x、y、z、A、B、C、D、E、R、R、R、RおよびLは、前に定義した通りである]を有する。
【0105】
[0084] 代わりの等価な保護基、脱離基または試薬で代替し、合成工程のいくつかを別のシーケンスまたは順序で実施して、所望の化合物が製造される。本明細書に記載の化合物を合成するのに有用な合成化学的変換および保護基の方法論(保護および脱保護)には、例えば、Larockの著作「Comprehensive Organic Transformation」、VCH Publishers(1989);GreeneおよびWutsの著作「Protective Groups in Organic Synthesis」、2d.Ed.、John Wiley and Sons(1991);FieserおよびFieserの著作「Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis」、John Wiley and Sons(1994):およびPaquette編「Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis」、John Wiley and Sons(1995)、ならびにその後続版中に記載されているものが含まれる。
【0106】
[0085] 本発明のペプチドミメティック大環状化合物は、例えば、Grant,W.H編「Synthetic Peptides:A User’s Guide」Freeman & Co.、New York、ニューヨーク州、1992、p.77の第3章にFieldsらが記載しているような化学合成法によって作製される。それゆえ、例えば、ペプチドは、例えば自動ペプチド合成機(例えば、Applied Biosystems(Foster City、カリフォルニア州)、モデル430A、431、または432)を用い、側鎖が保護されたアミノ酸を使用するtBocまたはFmoc化学のどちらかによって保護されたアミンを用いる固相合成の自動Merrifield技術を使用して合成される。
【0107】
[0086] 本明細書に記載のペプチドミメティック前駆体およびペプチドミメティック大環状化合物を製造する1つの手法は、固相ペプチド合成(SPPS)を使用する。C末端アミノ酸は、リンカー分子との酸に不安定な結合を介して架橋ポリスチレン樹脂に結合される。この樹脂は、合成に使用される溶媒に不溶であり、このことが、過剰な試薬および副生物の洗浄除去を比較的簡単で迅速なものにする。N末端は、酸中で安定であるが塩基によって除去できるFmoc基で保護される。側鎖官能基は、必要な場合に、塩基に安定で酸に不安定な基で保護される。
【0108】
[0087] より長いペプチドミメティック前駆体は、例えば、本来の化学結合を使用して個々の合成ペプチドを結合することによって製造される。別法として、より長い合成ペプチドは、周知の組換えDNAおよびタンパク質発現技術によって生合成される。このような技術は、詳細なプロトコールを含む周知の標準的マニュアル中で提供される。本発明のペプチドミメティック前駆体をコードする遺伝子を構築するために、アミノ酸配列を必要な場合にはして、好ましくは遺伝子を発現される生物にとって最適であるコドンを有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を得る。次に、典型的には、ペプチドおよび必要な場合に任意の調節因子をコードするオリゴヌクレオチドを合成することによって、合成遺伝子を作製する。合成遺伝子を、適切なクローニングベクター中に挿入し、宿主細胞中にトランスフェクトする。次いで、選択された発現系および宿主に適切な条件下で、ペプチドを発現させる。ペプチドを、精製し、標準的方法で特性決定する。
【0109】
[0088] 例えば、ペプチドミメティック前駆体は、例えば、ハイスループットの多チャンネルコンビナトリアル合成機(例えば、AAPPTEC, Inc.、Louisville、ケンタッキー州からのモデルApex396多チャンネルペプチド合成機器)を使用するハイスループットコンビナトリアル方式で作製される。
【0110】
[0089] 以下の合成スキームは、本発明を単に説明するために提供され、本明細書に記載の本発明の範囲を限定することを意図しない。図面を簡単にするため、例となるスキームは、アジドアミノ酸アナログであるε−アジド−α−メチル−L−リシンおよびε−アジド−α−メチル−D−リシン、ならびにアルキンアミノ酸アナログであるL−プロパルギルグリシン、(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、および(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸を示す。したがって、以下の合成スキームにおいて、各R、R、RおよびRは−Hであり、各Lは−(CH−であり、各Lは−(CH)−である。しかし、前の詳細な説明の中で言及したように、R、R、R、R、LおよびLを、本明細書中で開示される様々な構造から独立して選択で
きる、多くのその他のアミノ酸アナログを用いることができる。
【0111】
[0090]
【化18】

【0112】
[0091] 合成スキーム1は、いくつかの本発明の化合物の調製を説明する。キラルな助剤(S)−2−[N−(N’−ベンジルプロピル)アミノ]ベンゾフェノン(BPB)、およびグリシンまたはアラニンなどのアミノ酸から誘導されるシッフ塩基のNi(II)錯体は、Belokonら(1998)、Tetrahedron Asymm.9:4249〜4252に記載のように調製される。得られる錯体を、引き続き、アジドまたはアルキニル部分を含むアルキル化試薬と反応させて、エナンチオマーに富む本発明の化合物を得る。所望する場合、ペプチド合成で使用するために、得られた化合物を保護することができる。
【0113】
[0092]
【化19】

【0114】
[0093] 合成スキーム2に示したペプチドミメティック大環状化合物の一般的合成方法において、ペプチドミメティック前駆体は、アジド部分およびアルキン部分を含み、市販のアミノ酸N−α−Fmoc−L−プロパルギルグリシン、ならびにアミノ酸(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(S)−2−アミノ−6−ヘプチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、N−メチル−ε−アジド−L−リシン、およびN−メチル−ε−アジド−D−リシンのN−α−Fmoc−保護形を使用する、液相または固相ペプチド合成(SPPS)によって合成される。次いで、ペプチドミメティック前駆体を、標準的条件(例えば、95%TFAなどの強酸)で脱保護し、固相樹脂から開裂させる。ペプチドミメティック前駆体を、粗混合物として、または反応の前に精製して、Cu(I)などの大環状化試薬と有機溶液または水溶液中で反応させる(Rostovtsevら(2002)、Angew. Chem. Int. Ed. 41: 2596〜2599;Tornoeら(2002)、J. Org. Chem. 67: 3057〜3064;Deitersら(2003)、J. Am. Chem. Soc. 125: 11782〜11783;Punnaら(2005)、Angew. Chem. Int. Ed. 44: 2215〜2220)。一実施形態において、トリアゾールを形成する反応は、α−ヘリックスの形成に好都合である条件下で実施される。一実施形態において、大環状化工程は、HO、THF、CHCN、DMF、DIPEA、tBuOH、またはこれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で実施される。別の実施形態において、大環状化工程は、DMF中で実施される。いくつかの実施形態において、大環状化工程は、緩衝化された水性または部分水性溶媒中で実施される。
【0115】
[0094]
【化20】

【0116】
[0095] 合成スキーム3に示したペプチドミメティック大環状化合物の一般的合成方法において、ペプチドミメティック前駆体は、アジド部分およびアルキン部分を含み、市販のアミノ酸N−α−Fmoc−L−プロパルギルグリシン、ならびにアミノ酸(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(S)−2−アミノ−6−ヘプチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、N−メチル−ε−アジド−L−リシン、およびN−メチル−ε−アジド−D−リシンのN−α−Fmoc−保護形を使用する、固相ペプチド合成(SPPS)によって合成される。ペプチドミメティック前駆体を、粗混合物として、樹脂上でCu(I)試薬などの大環状化試薬と反応させる(Rostovtsevら(2002)、Angew. Chem. Int. Ed. 41: 2596〜2599;Tornoeら(2002)、J. Org. Chem. 67: 3057〜3064;Deitersら(2003)、J. Am. Chem. Soc. 125: 11782〜11783;Punnaら(2005)、Angew. Chem. Int. Ed. 44: 2215〜2220)。得られたトリアゾール含有ペプチドミメティック大環状化合物を、次いで、標準的条件(例えば、95%TFAなどの強酸)で脱保護し、固相樹脂から開裂させる。いくつかの実施形態において、大環状化工程は、CHCl、ClCHCHCl、DMF、THF、NMP、DIPEA、2,6−ルチジン、ピリジン、DMSO、HO、またはこれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で
実施される。いくつかの実施形態において、大環状化工程は、緩衝化水性溶液または部分水性溶媒中で実施される。
【0117】
[0096]
【化21】

【0118】
[0097] 合成スキーム4に示したペプチドミメティック大環状化合物の一般的合成方法において、ペプチドミメティック前駆体は、アジド部分およびアルキン部分を含み、市販のアミノ酸N−α−Fmoc−L−プロパルギルグリシン、ならびにアミノ酸(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(S)−2−アミノ−6−ヘプチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、N−メチル−ε−アジド−L−リシン、およびN−メチル−ε−アジド−D−リシンのN−α−Fmoc−保護形を使用する、溶液相または固相ペプチド合成(SPPS)によって合成される。次いで、ペプチドミメティック前駆体を、標準的条件(例えば、95%TFAなどの強酸)で脱保護し、固相樹脂から開裂させる。ペプチドミメティック前駆体を、粗混合物として、または反応前に精製して、Ru(II)試薬などの大環状化試薬、例えば、Cp*RuCl(PPhまたは[Cp*RuCl]と反応させる(Rasmussenら(2007)、Org. Lett. 9: 5337〜5339;Zhangら(2005)、J. Am. Chem. Soc. 127: 15998〜15999)。いくつかの実施形態において、大環状化工程は、DMF、CHCNおよびTHFからなる群から選択される溶媒中で実施される。
【0119】
[0098]
【化22】

【0120】
[0099] 合成スキーム5に示したペプチドミメティック大環状化合物の一般的合成方法において、ペプチドミメティック前駆体は、アジド部分およびアルキン部分を含み、市販のアミノ酸N−α−Fmoc−L−プロパルギルグリシン、ならびにアミノ酸(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(S)−2−アミノ−6−ヘプチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、N−メチル−ε−アジド−L−リシン、およびN−メチル−ε−アジド−D−リシンのN−α−Fmoc−保護形を使用する、固相ペプチド合成(SPPS)によって合成される。ペプチドミメティック前駆体を、粗混合物として、樹脂上でRu(II)試薬などの大環状化試薬と反応させる。例えば、試薬は、Cp*RuCl(PPhまたは[Cp*RuCl]でよい(Rasmussenら(2007)、Org. Lett. 9: 5337〜5339;Zhangら(2005)、J. Am. Chem. Soc. 127: 15998〜15999)。いくつかの実施形態において、大環状化工程は、CHCl、ClCHCHCl、CHCN、DMF、およびTHFからなる群から選択される溶媒中で実施される。
【0121】
[00100] いくつかの典型的なペプチドミメティック大環状化合物を表5に示す。これらの大環状化合物の場合、対応する非大環状ポリペプチドは、BID BH3ポリペプチド配列のフラグメントDIIRNIARHLAQVGDSMDRSIである。「Nle」は、ノルロイシンを表し、メチオニン残基に取って代わっている。類似のリンカーが、表1から表4に開示されたポリペプチド配列に基づいてペプチドミメティック大環状化合物を合成するのに使用されることが構想される。
【0122】
【表5】

【0123】
アミノ酸アナログ
[00101] 本発明は、本明細書に記載のペプチドミメティック大環状化合物の合成に非天然型アミノ酸およびアミノ酸アナログの使用を企図する。本発明では、安定なトリアゾール含有ペプチドミメティック大環状化合物の合成に採用される合成方法に適合する任意のアミノ酸またはアミノ酸アナログを使用できる。本発明の有用なアミノ酸として、例えば、L−プロパルギルグリシンが企図される。しかし、本発明では、異なるアミノ酸側鎖を含むその他のアルキン含有アミノ酸も有用である。例えば、L−プロパルギルグリシンは、アミノ酸のα−炭素とアミノ酸側鎖のアルキンとの間に1つのメチレン単位を含む。本発明は、α−炭素とアルキンとの間に複数のメチレン単位を有するアミノ酸の使用も企図される。また、アミノ酸であるL−リシン、D−リシン、α−メチル−L−リシン、およびα−メチル−D−リシンのアジドアナログも、本発明における有用なアミノ酸であることが企図される。しかし、異なるアミノ酸側鎖を含む他の末端アジドアミノ酸も本発明で有用である。例えば、L−リシンのアジドアナログは、アミノ酸のα−炭素とアミノ酸側鎖の末端アジドとの間に4つのメチレン単位を含む。本発明は、α−炭素と末端アジドとの間に4つより少ないまたは4つを超えるメチレン単位を有するアミノ酸の使用も企図される。表6には、本発明のペプチドミメティック大環状化合物の調製で有用ないくつかのアミノ酸を示す。
【0124】
【表6】

【0125】
[00102] いくつかの実施形態において、アミノ酸およびアミノ酸アナログは、D−配置に属する。他の実施形態において、それらは、L−配置に属する。いくつかの実施形態において、ペプチドミメティックに含まれるいくつかのアミノ酸およびアミノ酸アナログはD−配置であり、同時に、いくつかのアミノ酸およびアミノ酸アナログがL−配置に属する。いくつかの実施形態において、アミノ酸アナログは、α−メチル−L−プロパルギルグリシン、α−メチル−D−プロパルギルグリシン、ε−アジド−α−メチル−L−リシン、およびε−アジド−α−メチル−D−リシンなどのα,α−二置換である。いくつかの実施形態において、アミノ酸アナログは、N−アルキル化され、例えば、N−メチル−L−プロパルギルグリシン、N−メチル−D−プロパルギルグリシン、N−メチル−ε−アジド−L−リシン、およびN−メチル−ε−アジド−D−リシンである。
【0126】
[00103] いくつかの実施形態において、アミノ酸の−NH部分は、限定はされないが、−Fmocおよび−Bocをはじめとする保護基を使用して保護される。他の実施形態において、アミノ酸は、ペプチドミメティック大環状化合物の合成前に保護されない。
【0127】
[00104] いくつかの実施形態において、本発明のペプチドミメティック大環状化合物の合成で有用なアミノ酸は、式IIaまたはIIb
【0128】
【化23】

の化合物であり、式中、
およびRは、独立して、−H、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
各QおよびTは各々、非置換またはRで置換されたアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、および[−R−K−R−]からなる群から独立して選択され;
Kは、O、S、SO、SO、CO、CO、またはCONRであり;
は、水素、任意選択によりRで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
は、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり;
各Rは、独立して、ハロゲン、アルキル、−OR、−N(R、−SR、−SOR、−SO、−CO、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
各Rは、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
およびRは、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
10およびR11は、独立して、−H、またはペプチド合成に適した任意の保護基であり;
gおよびhは、各々、独立して0〜5の整数であり(ここで、g+hは1を超える);
nは、1〜5の整数である。
【0129】
[00105] いくつかの実施形態において、化合物は、式IIaの化合物であり、Rは、非置換またはハロ−で置換されたアルキルである。他の実施形態において、化合物は、式IIbの化合物であり、Rは、非置換またはハロ−で置換されたアルキルである。さらに他の実施形態において、化合物は、式IIaの化合物であり、Rは、非置換のアルキルである。例えば、Rはメチルでよい。さらに他の実施形態において、化合物は、式IIbの化合物であり、Rは、非置換のアルキルである。例えば、Rはメチルでよい。
【0130】
[00106] 本発明の化合物のいくつかの実施形態において、RおよびR10の少なくとも一方は、ペプチド合成に適した保護された基である。
【0131】
キット
[00107] 別の態様において、本発明は、さらに、本発明の化合物または本発明のペプチドミメティック大環状化合物の調製で有用なその他のアミノ酸アナログを、本明細書に記載の大環状化試薬と一緒に含むキットを提供する。
【0132】
[00108] いくつかの実施形態において、本発明は、
a)式IIaおよびIIb
【0133】
【化24】

の化合物
[式中、
およびRは、独立して、−H、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
各QおよびTは各々、非置換またはRで置換されたアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、および[−R−K−R−]からなる群から独立して選択され;
Kは、O、S、SO、SO、CO、CO、またはCONRであり;
は、水素、任意選択によりRで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
は、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり;
各Rは、独立して、ハロゲン、アルキル、−OR、−N(R、−SR、−SOR、−SO、−CO、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
各Rは、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
およびRは、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
10およびR11は、独立して、−H、またはペプチド合成に適した任意の保護基であり;
gおよびhは、各々独立して0〜5の整数であり;
nは、1〜5の整数である]からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、および
b)大環状化試薬;
を含むキットを提供する。
【0134】
[00109] いくつかの実施形態において、キットは、式IIaの化合物を含み、Rは、非置換またはハロ−で置換されたアルキルである。関連する実施形態において、Rは、非置換のアルキルである。例えば、Rはメチルでよい。他の実施形態において、キットは、式IIbの化合物を含み、Rは、非置換またはハロ−で置換されたアルキルである。関連する実施形態において、Rは、非置換のアルキルである。例えば、Rはメチルでよい。
【0135】
[00110] いくつかの実施形態において、キットは、少なくとも1種の式IIaの化合物、および少なくとも1種の式IIbの化合物を含む。本発明のキットは、該式中のRおよびR10の少なくとも一方がペプチド合成に適した保護された基である式IIaまたは式IIbの化合物を含むこともできる。本発明のキットの具体的な実施形態において、大環状化試薬はCu試薬またはRu試薬である。いくつかの実施形態において、キットは、式IIaおよび/または式IIbの複数の化合物を含む。いくつかの実施形態において、キットは、本明細書に記載のような1種または複数のアミノ酸アナログを保持する1つまたは複数の容器を含む。他の実施形態において、キットは、本明細書に記載のような1種または複数の大環状化試薬を保持する1つまたは複数の容器を含む。さらに他の実施形態において、キットは、本明細書に記載のような1種または複数のアミノ酸アナログを保持する1つまたは複数の容器、および本明細書に記載のような1種または複数の大環状化試薬を保持する1つまたは複数の容器を含む。
【0136】
[00111] 例えば、いくつかの実施形態において、キットは、前に記載したような少なくとも2種のアミノ酸アナログ、すなわち、側鎖アルキンを有する少なくとも1種のアミノ酸アナログ、および側鎖末端アジド部分を有する少なくとも1種のアミノ酸アナログを保持する容器を含み、該アミノ酸アナログは、保護されていてもよく、本明細書に記載の合成に適している。いくつかの実施形態において、アミノ酸アナログは、L−プロパルギルグリシン、D−プロパルギルグリシン、(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−5−へキシン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−5−へキシン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−7−オクチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−7−オクチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−8−ノニン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−8−ノニン酸、ε−アジド−L−リシン、ε−アジド−D−リシン、ε−アジド−α−メチル−L−リシン、ε−アジド−α−メチル−D−リシン、δ−アジド−α−メチル−L−オルニチン、およびδ−アジド−α−メチル−D−オルニチン、ならびに液相または固相ペプチド合成のために適切に保護されたすべての形態からなる群から選択される。
【0137】
[00112] いくつかの実施形態において、キットは、ペプチドミメティック大環状化合物のための本明細書に記載の合成と適合性のある固体支持体に結合された少なくとも1種の非天然型アミノ酸またはアミノ酸アナログを保持する容器を含む。いくつかの実施形態において、キットは、本発明の大環状化試薬と共に、末端アルキン部分を含む本発明のアミノ酸アナログを保持する1つの容器を、末端アジド部分を含む本発明のアミノ酸アナログを保持する容器と組み合わせて含む。
【0138】
アッセイ
[00113] 本発明のペプチドミメティック大環状化合物の特性は、例えば、以下に記載の方法を使用してアッセイする。いくつかの実施形態において、本発明の大環状化合物は、対応する非大環状ポリペプチドと比較して高い特性を有する。対応する非大環状ポリペプチドとは、例えば、その大環状化合物に転換される式IIIまたはIVの化合物などの、ペプチドミメティック大環状化合物の前駆体である。あるいは、対応する非大環状ポリペプチドとは、本発明の大環状化合物と実質的な配列の重複を有する天然のポリペプチド配列などの、ポリペプチド配列である。大環状ポリペプチドに対応する天然ポリペプチドの
多くの例を、表1、2、3および4に示す。
【0139】
[00114] 一般に、対応する非大環状ポリペプチドは、標識された天然ポリペプチドまたはペプチドミメティック前駆体でもよい。例えば蛍光または放射性標識化によるこのような標識化は、所望する場合、以下に記載のいくつかのアッセイで使用される。このようなアッセイにおいて、大環状化合物および対応する非大環状ポリペプチドの両方は、典型的には、類似のまたは機能的に等価な方法によって標識される。
【0140】
α−螺旋性を判定するためのアッセイ
[00115] 溶液中で、α−ヘリックスのドメインを有するポリペプチドの二次構造は、しばしば「パーセント螺旋性」と表現される、ランダムコイル構造とα−ヘリックス構造との間での動的平衡に到達する。したがって、例えば、未修飾のプロアポトーシスBH3ドメインは、溶液中で大部分はランダムコイルであり、α−ヘリックス含有量は通常25%未満である。一方、最適リンカーを有するペプチドミメティック大環状化合物は、例えば、対応する非大環状ポリペプチドのそれの少なくとも2倍を超えるα−螺旋性を有する。いくつかの実施形態において、本発明の大環状化合物は、50%を超えるα−螺旋性を有する。BH3ドメインをベースにした大環状化合物など、本発明のペプチドミメティック大環状化合物の螺旋性をアッセイするために、化合物を、水溶液(例えば、pH7の50mMリン酸カリウム溶液、または蒸留HOで25〜50μMの濃度に希釈された)中に溶解する。円偏光二色性(CD)スペクトルは、標準的測定パラメーター(例えば、温度=20℃、波長=190〜260nm、工程分解能=0.5nm、速度=20nm/秒、積算=10、レスポンス=1秒、バンド幅=1nm、光路長=0.1cm)を使用する分光旋光計(例えば、Jasco J-170)を用いて得られる。各ペプチドのα−ヘリックス含有量は、平均の残基楕円率(residue ellipticity)(例えば、[Φ]222obs)をモデルの螺旋性デカペプチドに対する報告値で除算して計算される(Yangら(1986)、Methods Enzymol. 130: 208)。
【0141】
融解温度(Tm)を判定するためのアッセイ
[00116] α−ヘリックスなどの二次構造を含む本発明のペプチドミメティック大環状化合物は、例えば、対応する非大環状ポリペプチドに比べより高い融解温度を示す。典型的には、本発明のペプチドミメティック大環状化合物は、水溶液中で高度に安定な構造を示す>60℃のTmを示す。融解温度に対する大環状化合物形成の効果を評価するために、ペプチドミメティック大環状化合物または未修飾ペプチドを、蒸留HO中に(例えば、50μMの最終濃度で)溶解し、Tmを、標準的パラメーター(例えば、波長=222nm、工程分解能=0.5nm、速度=20nm/秒、積算=10、レスポンス=1秒、バンド幅=1nm、温度増加速度=1℃/分、光路長=0.1cm)を使用する分光旋光計(例えば、Jasco J-710)を用いて、温度範囲(例えば、4〜95℃)にわたって楕円率の変化を測定することによって判定した。
【0142】
プロテアーゼ耐性アッセイ
[00117] ペプチド骨格のアミド結合は、プロテアーゼによる加水分解を受けやすく、その結果、ペプチド化合物はインビボで急速に分解されやすい。しかし、ペプチドのヘリックス形成は典型的にはアミド骨格を埋没させ、その結果、アミド骨格をタンパク質分解性開裂から遮蔽することができる。本発明のペプチドミメティック大環状化合物を、インビトロでのトリプシンによるタンパク質分解にさらし、対応する非大環状ポリペプチドと比較した分解速度の何らかの変化について評価する。例えば、ペプチドミメティック大環状化合物および対応する非大環状ポリペプチドを、トリプシンアガロースとインキュベートし、遠心分離によって様々な時点で反応を止め、続いてHPLCに注入して280nmの紫外吸収により残存基質を定量化する。簡潔には、ペプチドミメティック大環状化合物およびペプチドミメティック前駆体(5μg)を、トリプシンアガロース(Pierce)(S/E〜125)と一緒に0、10、20、90、および180分間インキュベートする。高速の卓上遠心分離で反応を止め、分離した上清液中の残存基質を、280nmでピークを検出するHPLCで定量化する。タンパク質分解反応は、一次の反応速度を示し、ln[S]対時間のプロットから速度定数kを決定する(k=−1×勾配)。
【0143】
ex vivo安定性のアッセイ
[00118] 最適化されたリンカーをもつペプチドミメティック大環状化合物は、例えば、対応する非大環状ポリペプチドのそれの少なくとも2倍を超えるex vivo半減期を有し、12時間以上のex vivo半減期を有する。ex vivoでの血清安定性の研究には、各種のアッセイを使用できる。例えば、ペプチドミメティック大環状化合物および対応する非大環状ポリペプチド(具体的な例では、対応する天然のポリペプチド)(2μg)を、マウス、ラットおよび/またはヒトの新鮮な血清(2mL)と共に37℃で0、1、2、4、8および24時間インキュベートする。無傷の化合物の濃度を判定するためには、次の手順を使用できる。すなわち、100μLの血清を2mLの遠心分離管に移すこと、続いて10μLの50%ギ酸および500μLのアセトニトリルを添加すること、および4±2℃、14,000rpmで10分間遠心分離することによって試料を抽出する。次いで、上清液をきれいな2mL管に移し、Turbovapを用いて10psi未満のN、37℃下で蒸発させる。試料を、100μLのアセトニトリル:水(50:50)中で再構成し、LC−MS/MS分析にかける。
【0144】
インビトロでの結合アッセイ
[00119] ペプチドミメティック大環状化合物およびペプチドミメティック前駆体の受容体タンパク質に対する結合および親和性を評価するためには、例えば、蛍光偏光アッセイ(FPA)が行われている。FPA技術は、偏光および蛍光トレーサーを使用して分子の配向および移動性を測定する。偏光で励起されると、高い見掛け分子量の分子と結合した蛍光トレーサー(例えば、FITC)(例えば、大きなタンパク質に結合したFITC標識化ペプチド)は、それらのより遅い回転速度のため、より小さな分子と結合した蛍光トレーサー(溶液中で遊離であるFITC標識化ペプチド)と比較してより高レベルの偏光蛍光を放射する。
【0145】
[00120] 例えば、蛍光化ペプチドミメティック大環状化合物(25nM)を、結合用緩衝液(140mM NaCl、50mM Tris−HCL、pH7.4)中で受容体タンパク質(25〜1000nM)と共に室温で30分間インキュベートする。結合活性を、例えば、ルミネセンス分光光度計(例えば、Perkin-Elmer LS50B)を用いる蛍光偏光によって測定する。Kd値は、例えば、Graphpad Prismソフトウェア(Graphpad Software, Inc.、San Diego、カリフォルニア州)を使用する非線形回帰分析によって決定できる。本発明のペプチドミメティック大環状化合物は、いくつかの例で、対応する非大環状ポリペプチドに比べて類似のKdまたはより小さなKdを示す。
【0146】
[00121] このアッセイでは、例えば、BCL−2、BCL−X、BAXまたはMCL1などのBH−3ペプチドに対する受容体タンパク質を使用できる。このアッセイでは、p53ペプチドに対する受容体タンパク質、例えば、MDM2またはMDMXも使用できる。
【0147】
ペプチド−ペプチド相互作用の拮抗薬を特徴付けるためのインビトロ排除アッセイ
[00122] ペプチド(例えば、BH3ペプチドまたはp53ペプチド)と受容体タンパク質との間の相互作用に拮抗する化合物の結合および親和性を評価するには、例えば、ペプチドミメティック前駆体の配列に由来する蛍光化ペプチドミメティック大環状化合物を利用する蛍光偏光アッセイ(FPA)が使用される。FPA技術は、偏光および蛍光トレーサーを使用して分子の配向および移動性を測定する。偏光で励起されると、高い見掛け分子量の分子と結合した蛍光トレーサー(例えば、FITC)(例えば、大きなタンパク質に結合したFITC標識化ペプチド)は、それらのより遅い回転速度のため、より小さな分子と結合した蛍光トレーサー(溶液中で遊離であるFITC標識化ペプチド)と比較してより高レベルの偏光蛍光を放射する。蛍光化ペプチドミメティック大環状化合物と受容体タンパク質との間の相互作用に拮抗する化合物は、競合結合FPA実験で検出される。
【0148】
[00123] 例えば、推定拮抗薬化合物(1nM〜1mM)および蛍光化ペプチドミメティック大環状化合物(25nM)を、結合用緩衝液(140mM NaCl、50mM Tris−HCL、pH7.4)中で受容体タンパク質(50nM)と共に室温で30分間インキュベートする。例えば、ルミネセンス分光光度計(例えば、Perkin-Elmer LS50B)での蛍光偏光によって拮抗薬の結合活性を測定する。Kd値は、例えば、Graphpad Prismソフトウェア(GraphPad Software, Inc.、San Diego、カリフォルニア州)を使用する非線形回帰分析により決定できる。
【0149】
[00124] このアッセイでは、有機小分子、ペプチド、オリゴヌクレオチドまたはタンパク質など、任意の部類の分子を、推定拮抗薬として試験できる。このアッセイでは、BCL2、BCL−XL、BAXまたはMCL1などのBH3−ペプチドに対する受容体タンパク質を使用できる。このアッセイでは、p53ペプチドに対する受容体タンパク質、例えば、MDM2またはMDMXなどを使用できる。
【0150】
無傷細胞中での結合アッセイ
[00125] 免疫沈降実験によって、ペプチドまたはペプチドミメティック大環状化合物の無傷細胞中でのそれらの天然受容体への結合を測定することが可能である。例えば、無傷細胞を蛍光化(FITC標識化)化合物と共に、血清の不在下で4時間インキュベートし、続いて血清で置き換えて、4〜18時間の範囲でさらにインキュベートする。次いで、細胞をペレット化し、溶解緩衝液(50mM Tris[pH7.6]、150mM NaCl、1%CHAPS、およびプロテアーゼ阻害薬カクテル)中、4℃で10分間インキュベートする。抽出液を14,000rpmで15分間遠心分離し、上清液を捕集し、10μLのヤギ抗FITC抗体と共に4℃でターンして2時間インキュベートし、続いて、プロテインA/G Sepharose(50μLの50%ビーズスラリー)と共に4℃でさらに2時間インキュベートする。急速遠心分離の後、ペレットを、高い塩濃度(例えば、150、300、500mM)の溶解緩衝液中で洗浄する。次いで、ビーズを150mM NaClで再平衡化し、その後、SDS含有試料用緩衝液を添加し、沸騰させる。遠心分離の後、上清液を、任意選択により、4%〜12%のグラジエントBis−Trisゲルを使用して電気泳動にかけ、続いてImmobilon−Pメンブラン中に移す。ブロックした後、ブロットを、任意選択により、FITCを検出する抗体と共に、さらにペプチドミメティック大環状化合物に結合するBCL2、MCL1、BCL−XL、A1、BAX、BAK、MDM2、またはMDMXを含むタンパク質を検出する1種または複数の抗体と共にインキュベートする。
【0151】
細胞浸透性アッセイ
[00126] ペプチドミメティック大環状化合物は、例えば、対応する非大環状ポリペプチドと比較してより細胞浸透性である。いくつかの実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、対応する非大環状ポリペプチドに比べてより細胞浸透性である。最適化されたリンカーを含むペプチドミメティック大環状化合物は、例えば、対応する非大環状ポリペプチドに比べて少なくとも2倍を超える細胞浸透性を有し、4時間後に、適用されたペプチドのしばしば20%以上が、細胞に浸透したことが観察される。ペプチドミメティック大環状化合物および対応する非大環状ポリペプチドの細胞浸透性を測定するために、無傷細胞を、蛍光化されたペプチドミメティック大環状化合物または対応する非大環状ポリペプチド(10μM)と共に血清不含培地中、37℃で4時間インキュベートし、培地で2回洗浄し、トリプシン(0.25%)と共に37℃で10分間インキュベートする。細胞を、再度洗浄し、PBS中に再懸濁する。細胞の蛍光を、例えば、FACSCaliburフローサイトメーターまたはCellomics’KineticScan(登録商標)HCS Readerのいずれかを使用して分析する。
【0152】
細胞に対する効力のアッセイ
[00127] いくつかのペプチドミメティック大環状化合物の効力を、例えば、各種の腫瘍形成性および非腫瘍形成性細胞系ならびにヒトまたはマウスの細胞集団に由来する一次細胞を使用する細胞をベースとする死滅アッセイ(killing assay)で判定する。細胞生存率は、例えば、ペプチドミメティック大環状化合物(0.5〜50μM)とともに行う24〜96時間にわたるインキュベーションをモニタリングし、EC50<10μMで死滅する細胞を識別する。細胞生存率を測定するいくつかの標準的アッセイは市販され、任意選択により、該アッセイを使用してペプチドミメティック大環状化合物の効力を評価する。さらに、任意選択により、アネキシンVおよびカスパーゼ活性を測定するアッセイを使用して、ペプチドミメティック大環状化合物がアポトーシス機構を活性化することによって細胞を死滅させるかどうかを評価する。
【0153】
インビボ安定性の評価
[00128] ペプチドミメティック大環状化合物のインビボでの安定性を調べるために、例えば、化合物を、マウスおよび/またはラットに、静脈内、腹腔内、経口、または吸入の経路により0.1〜50mg/kgの範囲の濃度で投与し、注射後0分、5分、15分、30分、1時間、4時間、8時間、および24時間の時点で、血液試料を抜き取る。次いで、25μLの新鮮血清中の無傷化合物濃度を前記のようなLC−MS/MSによって測定する。
【0154】
動物モデルにおけるインビボでの効力
[00129] 本発明のペプチドミメティック大環状化合物のインビボでの抗腫瘍形成活性を判定するために、化合物を、例えば、単独で(腹腔内、静脈内、経口、吸入または経鼻の経路)または最適用量に達しない関連化学療法薬(例えば、シクロホスファミド、ドキソルビシン、エトポシド)と併用して投与する。一例において、ルシフェラーゼを安定的に発現する5×10のRS4;11細胞(急性リンパ芽球性白血病をもつ患者の骨髄から確立された)を、NOD−SCIDマウスに、それらのマウスを全身照射にさらして3時間後に尾部静脈で注射した。治療しないで放置して、この形態の白血病は、このモデルで3週間内に致死に至る。白血病は、例えば、マウスにD−ルシフェリン(60mg/kg)を注射すること、および麻酔した動物を画像化することによって容易にモニタリングされる(例えば、Xenogenインビボイメージング装置、Caliper Life Sciences、Hopkinton、マサチューセッツ州)。全生物発光を、Living Imageソフトウェア(Caliper Life Sciences、Hopkinton、マサチューセッツ州)による光量子束(光量子/秒)の積分によって定量化する。単独、または最適用量に達しない関連化学療法薬と併用したペプチドミメティック大環状化合物は、例えば、白血病マウスに、尾部静脈または腹腔内経路により0.1mg/kg〜50mg/kgの範囲の用量で7〜21日間投与される(実験1日目の注射後10日目、14〜16の生物発光範囲で)。任意選択により、マウスを、実験中1日おきに画像化し、実験継続期間中毎日、生存をモニタリングする。実験の終末時点で、試験を終えたマウスを、任意選択により剖検にかける。別の動物モデルは、安定的にルシフェラーゼを発現するヒト濾胞性リンパ腫に由来する細胞系DoHH2のNOD−SCIDマウス中へ移植することである。これらのインビボ試験により、任意選択により、予備的な薬物動態データ、薬力学データおよび毒性データを得る。
【0155】
臨床試験
[00130] 本発明のペプチドミメティック大環状化合物のヒトの治療に対する適合性を判定するため、臨床試験を実施する。例えば、癌と診断され治療を必要とする患者を選択し、治療群および1つまたは複数の対照群に分け、ここで、治療群は本発明のペプチドミメティック大環状化合物を投与され、一方、対照群は、プラセボまたは既知抗癌薬を服用する。したがって、本発明のペプチドミメティック大環状化合物の治療安全性および効力を、生存および生活の質などの要因に関して患者群の比較を実施することによって評価できる。この例で、ペプチドミメティック大環状化合物で治療された患者群は、プラセボで治療された患者対照群と比較して、改善された長期生存を示す。
【0156】
医薬組成物および投与経路
[00131] 本発明のペプチドミメティック大環状化合物には、その薬学上許容される誘導体またはプロドラッグも含まれる。「薬学上許容される誘導体」は、受容者に投与されると本発明の化合物を(直接的または間接的に)提供する能力を有する、本発明の化合物の任意の薬学上許容される塩、エステル、エステルの塩、プロドラッグ、またはその他の誘導体を意味する。特に好ましい薬学上許容される誘導体は、哺乳動物に投与された場合に本発明の化合物のバイオアベイラビリティーを増加させるもの(例えば、経口で投与された化合物の血液中への吸収を増加させることによって)、または親の種と比較して活性化合物の生物学的コンパートメント(例えば、脳またはリンパ系)への送達を増加させるものである。いくつかの薬学上許容される誘導体には、水溶性または胃腸粘膜を横切る能動輸送を増加させる化学物質群が含まれる。
【0157】
[00132] いくつかの実施形態において、本発明のペプチドミメティック大環状化合物は、選択的な生物学的特性を高めるために、共有または非共有結合で適切な官能基を連結することによって修飾される。このような修飾には、所与の生物学的コンパートメント(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)中への生物学的浸透を増加させる、経口アベイラビリティーを増加させる、注射での投与を可能にするように溶解性を増加させる、代謝を変える、および排泄速度を変える修飾が含まれる。
【0158】
[00133] 本発明の化合物の薬学上許容される塩には、薬学上許容される無機および有機の酸および塩基から誘導される塩が含まれる。適切な酸の塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、パルモエート(palmoate)、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、およびウンデカン酸塩が含まれる。適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN−(アルキル)塩が含まれる。
【0159】
[00134] 本発明の化合物から医薬組成物を調製する場合、薬学上許容される担体には、固体または液体の担体が含まれる。固形製剤には、粉剤、錠剤、ピル剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒剤が含まれる。固体担体は、希釈剤、風味料、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、またはカプセル化剤としても機能を発揮する1種または複数の物質でよい。製剤化および投与のための技術に関する詳細は、科学および特許文献中に詳しく記載されており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版、Maack Publishing Co、Easton、ペンシルヴェニア州を参照されたい。
【0160】
[00135] 粉剤の場合、担体は、微細に粉砕された活性成分との混合物の状態である微細に粉砕された固体である。錠剤の場合、活性成分は、必要な結合特性を有する担体と適切な比率で混合され、所望の形状および大きさに成形される。
【0161】
[00136] 適切な固体賦形剤は、炭水化物またはタンパク質のフィラーであり、限定はされないが、乳糖、蔗糖、マンニトールまたはソルビトールをはじめとする糖類;トウモロコシ、小麦、米、馬鈴薯またはその他の植物からのデンプン;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース;アラビアゴムおよびトラガカントゴムをはじめとするゴム類;ならびにゼラチンおよびコラーゲンなどのタンパク質が含まれる。所望する場合、崩壊剤または可溶化剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)を添加する。
【0162】
[00137] 液状製剤には、溶液剤、懸濁剤、および乳剤、例えば、水または水/プロピレングリコール溶液剤が含まれる。非経口注射の場合、液状製剤は、水性ポリエチレングリコール溶液中の溶液の状態で製剤化できる。
【0163】
[00138] 医薬製剤は、好ましくは単位剤形である。このような形態で、製剤は、適切な量の活性成分を含む単位投与量に再分割される。単位剤形は、包装された製剤、個別量の製剤を含む包装、例えば、小分けされた錠剤、カプセル、およびバイアル瓶またはアンプル中の粉剤でよい。また、単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、またはロゼンジ剤それ自体でよく、あるいは包装形態中の適切な数のこれらのいずれかでよい。
【0164】
[00139] 本発明の組成物がペプチドミメティック大環状化合物と1種または複数の追加の治療または予防薬との組合せを含む場合、該化合物および追加の剤は、両方とも、単剤療法計画で通常的に投与される投与量の約1〜100%、より好ましくは約5〜95%の投与量レベルで存在することが必要である。いくつかの実施形態において、追加の剤は、多剤投与計画の一部として本発明の化合物とは別個に投与される。別法として、それらの薬剤は、1つの組成物中に本発明の化合物と一緒に混合された単一剤形の一部である。
【0165】
使用方法
[00140] 一態様において、本発明は、ペプチドミメティック大環状化合物がモデルとされたタンパク質またはペプチドの天然リガンドに結合する薬剤を同定するための競合結合アッセイで有用である新規なペプチドミメティック大環状化合物を提供する。例えば、p53 MDM2系において、p53をベースにした標識され安定化されたペプチドミメティック大環状化合物が、MDM2に競合的に結合する小分子と一緒にMDM2結合アッセイで使用される。競合結合の研究は、p53/MDM2系に特異的な薬物候補の迅速なインビトロ評価および決定を可能にする。同様に、BH3/BCL−X抗アポトーシス系では、BH3をベースにした標識されたペプチドミメティック大環状化合物を、BCL−Xに競合的に結合する小分子と一緒にBCL−X結合アッセイで使用できる。競合結合の研究は、BH3/BCL−X系に特異的な薬物候補の迅速なインビトロ評価および決定を可能にする。本発明は、さらに、ペプチドミメティック大環状化合物に対する抗体の作出を提供する。いくつかの実施形態において、これらの抗体は、ペプチドミメティック大環状化合物、およびそれをもとにペプチドミメティック大環状化合物が誘導されるp53またはBH3ペプチドミメティック前駆体の両方に特異的に結合する。このような抗体は、例えば、各々p53/MDM2またはBH3/BCL−XL系を壊す。
【0166】
[00141] 他の態様において、本発明は、異常(例えば、不足または過剰)なBCL−2ファミリーメンバーの発現または活性に関連した障害(例えば、外因性または内因性アポトーシス経路の異常)の危険にさらされた(または感受性である)、または該障害を有する対象を処置する予防および治療方法を提供する。いくつかのBCL−2型障害は、少なくとも部分的には、1種または複数のBCL−2ファミリーメンバーの異常な濃度(例えば、過剰または不十分な発現)によって、あるいは異常な活性を示す1種または複数のBCL−2ファミリーメンバーの存在によって引き起こされると考えられる。かくして、BCL−2ファミリーメンバーの濃度および/または活性の低下、あるいはBCL−2ファミリーメンバーの濃度および/または活性の増大が、例えば、該障害の有害な症状を寛解または低減するのに使用される。
【0167】
[00142] 他の態様において、本発明は、腫瘍細胞中でのp53とMDM2との間の相互作用または結合を妨げることによって、過剰増殖性疾患を治療または予防する方法を提供する。これらの方法は、ヒトを含む温血動物に、または野生型p53を含む腫瘍細胞に有効量の本発明の化合物を投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の化合物を投与することは、細胞成長の停止またはアポトーシスを誘導する。他のまたはさらなる実施形態において、本発明は、高いMDM2濃度を含む疾患および/または腫瘍細胞を治療するのに使用される。高いMDM2濃度とは、本明細書中で使用する場合、正常なコピー数(2)を超えるmdm2を含む細胞中に見出される濃度を超えるMDM2濃度、またはELISAおよび類似のアッセイで測定した場合に1細胞につき約10,000分子を超えるMDM2濃度を指す(Picksleyら(1994)、Oncogene 9: 2523 2529)。
【0168】
[00143] 本明細書中で使用する場合、用語「治療」は、疾患、疾患の症状、または疾患に対する素因を治癒、回復、緩和、軽減、変更、矯正、寛解、改善、作用する目的で、疾患、疾患の症状、または疾患に対する素因を有する患者へ治療薬を適用または投与すること、あるいは該患者から単離された組織または細胞系へ治療薬を適用または投与することと定義される。
【0169】
[00144] いくつかの実施形態において、本発明のペプチドミメティック大環状化合物は、癌および腫瘍性状態を治療、予防、および/または診断するのに使用される。本明細書中で使用する場合、用語「癌」、「過剰増殖性」および「腫瘍性」は、自律的成長のための能力を有する細胞、すなわち急速に増殖する細胞成長で特徴付けられる異常な状態または病態を指す。過剰増殖性および腫瘍性の疾患状態は、病理学的、すなわち疾患状態を特徴付けるまたは構成する病理として分類することができるか、あるいは、非病理学的、すなわち疾患状態と関連しないが正常から逸脱しているものとして分類できる。該用語は、病理組織学的なタイプまたは侵襲性の工程に無関係に、すべてのタイプの癌性成長または発癌過程、転移組織または悪性形質転換細胞、組織または器官を含むことを意味する。転移性腫瘍は、限定はされないが、乳房、肺、肝臓、結腸および卵巣起源のものを含む多くの原発性腫瘍型から発生する。「病理学的過剰増殖」細胞は、悪性の腫瘍成長によって特徴付けられる疾患状態で現われる。非病理学的過剰増殖細胞の例には、創傷修復に関連する細胞の増殖が含まれる。細胞の増殖および/または分化障害の例には、癌、例えば、癌腫、肉腫、または転移性障害が含まれる。いくつかの実施形態において、ペプチドミメティック大環状化合物は、乳癌、卵巣癌、結腸癌、肺癌、このような癌の転移などを抑制するための新規な治療薬である。
【0170】
[00145] 癌または腫瘍性状態の例には、限定はされないが、線維肉腫、筋肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、胃癌、食道癌、直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮癌、頭頚部癌、皮膚癌、脳癌、扁平上皮細胞癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、精巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴覚神経腫、希突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、白血病、リンパ腫、またはカポジ肉腫が含まれる。
【0171】
[00146] 増殖性障害の例には、造血器の腫瘍性障害が含まれる。本明細書中で使用する場合、用語「造血器腫瘍性障害」には、造血器起源の過形成性/腫瘍性細胞を含む疾患、例えば骨髄性、リンパ性または赤血球系統、あるいはこれらの前駆体細胞に起因する疾患が含まれる。好ましくは、該疾患は、低分化急性白血病、例えば、赤芽細胞性白血病および急性巨核芽球性白血病に起因する。さらなる典型的な骨髄障害には、限定はされないが、急性前骨髄性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)が含まれ(Vaickus(1991)、Crit Rev. Oncol./Hemotol. 11: 267〜97中で概説されている);リンパ性悪性腫瘍には、限定はされないが、B−系統ALLおよびT−系統ALLを含む急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性
白血病(PLL)、ヘアリー細胞白血病(HLL)、およびワルデンストロームマクログロブリン血症(WM)が含まれる。悪性リンパ腫のさらなる形態には、限定はされないが、非ホジキンリンパ腫およびその異型、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGF)、ホジキン病、およびリード−シュテンベルグ病が含まれる。
【0172】
[00147] 乳房の細胞増殖性および/または分化性障害の例には、限定はされないが、例えば、上皮過形成、硬化性腺症、および小管乳頭腫を含む増殖性乳房疾患;腫瘍、例えば、線維腺腫、葉状腫瘍および肉腫などの間質性腫瘍、;および大管乳頭腫などの上皮腫瘍;原位置管癌(パジェット病を含む)および原位置小葉癌を含む原位置(非浸襲性)癌を含む乳癌;ならびに、限定はされないが、浸襲性管癌、浸襲性小葉癌、髄様癌、膠様(ムチン性)癌、管状癌、および浸襲性乳頭癌を含む浸襲性(浸潤性)癌;ならびにその他の悪性新生物が含まれる。男性の乳房障害には、限定はされないが、女性化乳房および癌が含まれる。
【0173】
[00148] 肺の細胞増殖性および/または分化性障害の例には、限定はされないが、腫瘍随伴症候群、細気管支肺胞上皮癌、気管支カルチノイドなどの神経内分泌腫瘍、その他の腫瘍、および転移性腫瘍を含む気管支原性癌;炎症性胸水、非炎症性胸水、気胸を含む胸膜の病理、孤在性線維腫瘍(胸膜線維腫)および悪性中皮腫を含む胸膜腫瘍が含まれる。
【0174】
[00149] 結腸の細胞増殖性および/または分化性障害の例には、限定はされないが、非腫瘍性ポリープ、腺腫、家族性症候群、結腸直腸発癌、結腸直腸癌、およびカルチノイド腫瘍が含まれる。
【0175】
[00150] 肝臓の細胞増殖性および/または分化性障害の例には、限定はされないが、結節性過形成、腺腫、および肝臓の原発性癌および転移性腫瘍を含む悪性腫瘍が含まれる。
【0176】
[00151] 卵巣の細胞増殖性および/または分化性障害の例には、限定はされないが、体腔上皮の腫瘍、漿液性腫瘍、粘液性腫瘍、子宮内膜腫瘍、明細胞腺癌、嚢胞線維腫、ブレンネル腫瘍、表面上皮腫瘍などの卵巣腫瘍;成熟型(良性)奇形腫、単胚葉性奇形腫、未熟型悪性奇形腫、精上皮腫、内胚葉洞腫瘍、絨毛癌などの胚細胞腫瘍;顆粒膜莢膜細胞腫瘍、莢膜線維腫、アンドロブラスト−マ、ヒル(hill)細胞腫瘍、および性腺芽細胞腫などの性索間質性腫瘍;ならびにクルケンベルグ腫瘍などの転移性腫瘍が含まれる。
【0177】
[00152] 他のまたはさらなる実施形態において、本明細書に記載のペプチドミメティック大環状化合物は、過活動性細胞死、または生理学的傷害による細胞死などによって特徴付けられる状態を治療、予防、診断するのに使用される。早まったまたは望まれない細胞死、あるいは望まれないまたは過剰な細胞増殖によって特徴付けられる状態のいくつかの例には、限定はされないが、減細胞(hypocellulor)/減形成(hypoplastic)、非細胞(acellulor)/形成不全(aplastic)、または過細胞(hypercellular)/過形成の状態が含まれる。いくつかの例には、限定はされないが、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、サラセミア、先天性好中球減少症、骨髄形成異常をはじめとする血液学的障害が含まれる。
【0178】
[00153] 他のまたはさらなる実施形態において、アポトーシスを低減するように作用する本発明のペプチドミメティック大環状化合物は、望ましくないレベルの細胞死に関連する障害を治療するのに使用される。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の抗アポトーシス性ペプチドミメティック大環状化合物は、ウイルス感染症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)への感染に関連した感染症などの感染症と関連した細胞死をもたらす障害などの障害を治療するのに使用される。広範な種類の神経疾患は、特定のニューロンが徐々になくなっていくことによって特徴付けられ、本発明の抗アポトーシス性ペプチドミメティック大環状化合物は、いくつかの実施形態において、これらの障害の治療で使用される。このような障害には、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、色素性網膜炎、脊髄性筋萎縮症、および各種形態の小脳変性症が含まれる。このような疾患における細胞欠失は、炎症性応答を誘発せず、アポトーシスは細胞死のメカニズムであると考えられる。さらに、いくつかの血液学的疾患は、血液細胞の生成の低下と関連している。これらの障害には、慢性疾患と関連した貧血、再生不良性貧血、慢性好中球減少症、および骨髄異形成症候群が含まれる。血液細胞の産生障害、例えば、骨髄異形成症候群、およびいくつかの形態の再生不良性貧血は、骨髄内でのアポトーシス性細胞死の増加と関連している。これらの障害は、アポトーシスを促進する遺伝子の活性化、間質細胞または造血性生存因子の後天性欠乏、または毒素および免疫応答のメディエーターの直接的効果にから生じ得る。細胞死に関連する2つの広く知られた障害が、心筋梗塞および脳卒中である。両方の障害において、血流の急性停止事象中に作り出される虚血中心域内細胞は、壊死の結果として急速に死亡すると思われる。しかし、中心虚血区域外で、細胞は、より長い時間にわたって死亡し、組織形態学的には、アポトーシスによって死亡すると思われる。他のまたはさらなる実施形態において、本発明の抗アポトーシス性ペプチドミメティック大環状化合物は、望ましくない細胞死と関連したすべてのこのような障害を治療するのに使用される。
【0179】
[00154] 本明細書に記載のペプチドミメティック大環状化合物で治療される免疫学的障害のいくつかの例には、限定はされないが、臓器移植拒絶、関節炎、狼瘡、IBD、クローン病、喘息、多発性硬化症、糖尿病などが含まれる。
【0180】
[00155] 本明細書に記載のペプチドミメティック大環状化合物で治療される神経学的障害のいくつかの例には、限定はされないが、アルツハイマー病、ダウン症候群、オランダ型遺伝性脳出血、アミロイドーシス、反応性アミロイドーシス、蕁麻疹および難聴を伴う家族性アミロイド腎症、マックル−ウェルズ症候群、特発性骨髄腫、マクログロブリン血症関連骨髄腫、家族性アミロイド多発ニューロパチー、家族性アミロイド心筋症、孤立性心アミロイド、全身性老人性アミロイドーシス、成人発症型糖尿病、膵島細胞腫、孤立性心房性アミロイド、甲状腺の髄様癌、家族性アミロイドーシス、アミロイドーシスを伴う
遺伝性脳出血、家族性アミロイド多発ニューロパチー、スクレイピー、クロイツフェルト−ヤコブ病、ゲルストマンストロイスラー−シャインカー症候群、ウシ海綿状脳炎、プリオン介在性疾患、およびハンチントン病が含まれる。
【0181】
[00156] 本明細書に記載のペプチドミメティック大環状化合物で治療される内分泌学的障害のいくつかの例には、限定はされないが、糖尿病、甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症、副甲状腺機能低下症、性腺機能低下症などが含まれる。
【0182】
[00157] 本明細書のペプチドミメティック大環状化合物で治療または予防される心血管障害(例えば、炎症性障害)のいくつかの例には、限定はされないが、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中、血栓症、動脈瘤、心不全、虚血性心疾患、狭心症、心臓突然死、高血圧性心疾患;動脈硬化症、小血管疾患、腎症、高グリセリド血症、高コレステロール血症、高脂肪血症、黄色腫症、喘息、高血圧、肺気腫および慢性肺疾患などの非冠血管疾患;あるいは血管形成術に続く再狭窄、シャント、ステント、合成もしくは天然切除移植片、留置カテーテル、弁もしくはその他の埋め込み可能なデバイスの設置などのインターベンション処置(「処置性血管外傷」)に関連した心血管状態が含まれる。好適な心血管障害には、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、動脈瘤、および脳卒中が含まれる。
【実施例】
【0183】
[00158] 以下の節で、本発明の例示的実施例を提供する。
【0184】
[00159] (実施例1)
α,α−二置換アミノ酸の調製
【0185】
【化25】

【0186】
[00160] 化合物1は、Yaoら(2004)J.Org.Chem、69:1720〜1722に従って2工程のシーケンスで調製した。ジメチルホルムアミド(10mL)中の1−ヨード−4−クロロ−ブタン(1mL、8.2ミリモル)に、アジ化ナトリウム(0.53g、8.2ミリモル)を添加し、反応物を周囲温度で一晩攪拌した。次いで、反応物を酢酸エチルおよび水で希釈した。有機層を、水で(3回)洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空で濃縮して80%の収率で1−アジド−4−クロロ−ブタンを得た。該アジドをアセトン(38mL)で希釈し、ヨウ化ナトリウム(1.98g、13.00ミリモル)を添加し、反応物を還流下に一晩加熱した。その後、反応物を水で希釈し、生成物をエーテルで(3回)抽出した。合わせた有機抽出物を重炭酸ナトリウムおよび食塩水で洗浄した。有機抽出物を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空で濃縮した。生成物1を、中性アルミナのプラグを通して精製した。収率は89%であった。
【0187】
【化26】

【0188】
[00161] 化合物2は、Belokonら(1998)、Tetrahedron Asymm.9:4249〜4252に従って3工程のシーケンスで調製した。S−プロリン(100g、0.869モル)およびKOH(172g、2.61モル)のイソプロパノール(600mL)溶液を40℃で攪拌しながら調製した。溶液が透明になったら直ぐに、同温度で塩化ベンジル(156mL、1.34モル)を添加した。添加を完結(3.5時間)した後、反応物を40℃で一晩攪拌した。反応物を、濃HCl(110mL)でpH5まで中和し、次いで反応混合物にクロロホルム(400mL)を添加し、混合物を一晩攪拌したままにした。次いで、混合物を濾過し、沈殿物をCHClで洗浄した。CHCl3溶液を合わせて蒸発させ、残留物をアセトンと処理し、粗生成物の沈殿物を濾過し、さらにアセトンで洗浄した。ベンジルプロリン生成物を75%の収率で単離した。
【0189】
[00162] ベンジルプロリン(41g、0.2モル)の塩化メチレン(200mL)溶液に、攪拌しながら塩化チオニル(18.34mL、0.25モル)を−20℃〜−30℃で10分間にわたって添加した。攪拌を、反応混合物がほとんど透明になるまで−10℃で継続した。次いで、反応混合物に、攪拌しながら2−アミノベンゾフェノン(25g、0.125モル)の塩化メチレン(100mL)溶液を−30℃で添加した。攪拌を、周囲温度でさらに10時間継続し、攪拌しながら反応混合物に0℃で炭酸ナトリウム(40g)の水溶液(150mL)を添加した。有機層を分離し、水層を塩化メチレンで数回抽出し、有機溶液を合わせて蒸発させた。生成物(ベンジルプロリン−アミノベンゾフェノン付加体)をエタノールから結晶化し、85%の収率で単離した。
【0190】
[00163] メタノール(175)中のベンジルプロリン−アミノベンゾフェノン付加体(19.5g、0.05モル)、硝酸ニッケル六水和物(29.1g、0.1モル)、およびL−Ala(8.9g、0.1モル)の攪拌された混合物中に、KOH(23.1g、0.35モル)のメタノール(75mL)溶液を窒素下に40〜50℃で注いだ。反応混合物を55〜65℃で2時間攪拌し、次いで、酢酸(20mL)で中和した。反応物を水(500mL)で希釈した。6時間後、分離した結晶性固体を濾過し、水で(2回)洗浄して純粋な化合物2を得た(赤色固体、22g)。[M+H]実測値512.4、[M+H]計算値512.1。
【0191】
【化27】

【0192】
[00164] 化合物2(5.122g、10.0ミリモル)に、凍結−解凍のサイクルで脱気したジメチルホルムアミド(45mL)を添加した。溶液を氷浴で4℃まで冷却し、粉末KOH(6.361g、100ミリモル)を一度に添加した。冷浴を除去し、ジメチルホルムアミド(4.0mL)に溶解した化合物1(3.375g、15ミリモル)をシリンジ経由で添加した。反応物を周囲温度で40分間攪拌した。次いで、反応物を冷えた5%酢酸水溶液(200mL)に徐々に添加して反応を止めた。粗生成物を、濾過によって収集し、冷水で3回洗浄した。生成物を、Biotageシリカカラムおよび溶出液としてのヘキサン/酢酸エチルを使用するフラッシュクロマトグラフィーで精製した。化合物3が赤色固体として得られた(収率51%)。[M+H]計算値609.2、[M+H]実測値609.37。純度は、UV254nmで98%と測定された。
【0193】
【化28】

【0194】
[00165] 5−クロロペンチン(5g、47.8ミリモル)のアセトン(80mL)溶液に、ヨウ化ナトリウム(14.321g、95.54ミリモル)を添加した。反応物を還流下で一晩加熱した。その後、反応物を水で希釈し、生成物をエーテルで(3回)抽出した。合わせた有機抽出物を重炭酸ナトリウムおよび食塩水で洗浄した、有機抽出物を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空で濃縮した。生成物4を、中性アルミナのプラグを通すことによって精製した。収率は92%であった。
【0195】
【化29】

【0196】
[00166] 化合物2(2.561g、5.0ミリモル)に凍結−解凍のサイクルで脱気したジメチルホルムアミド(23mL)を添加した。溶液を氷浴で4℃まで冷却し、粉末KOH(3.181g、50ミリモル)を一度に添加した。冷浴を除去し、ジメチルホルムアミド(2.0mL)に溶解した化合物4(1.94g、10ミリモル)をシリンジ経由で添加した。反応物を周囲温度で40分間攪拌した。次いで、反応物を冷えた5%酢酸水溶液(100mL)に徐々に添加して反応を止めた。粗生成物を、濾過によって収集し、冷水で3回洗浄した。生成物を、Biotageシリカカラムおよび溶出液としてのヘキサン/酢酸エチルを使用するフラッシュクロマトグラフィーで精製した。化合物5は、1.4gの赤色固体である。収率48%。[M+H]計算値578.19、[M+H]実測値578.69。純度は、UV254nmで97%と測定された。
【0197】
【化30】

【0198】
[00167] 70℃の3N HCl/MeOH(1/1)溶液(12mL)に、化合物3(1g、1.65ミリモル)のMeOH(3mL)溶液を滴加した。出発原料は、5〜10分以内に消失した。次いで、反応混合物を真空で濃縮し、残留溶媒を高真空ポンプで除去した。粗残留物を、氷浴で0℃まで冷却された10%Na2CO3水(16mL)で希釈した。ジオキサン(16mL)に溶解したFmoc−OSu(0.84g、2.5ミリモル)を添加し、反応物を一晩攪拌しながら周囲温度に戻した。その後、反応物を酢酸エチルおよび1N HClで希釈した。有機層を1N HClで(3回)洗浄した。次いで、有機層を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空で濃縮した。Biotageシリカカラムならびに溶出液としての酢酸エチル/ヘキサンおよび塩化メチレン/メタノールを用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製した後に、純粋な生成物を単離し、両方の工程で36%の全収率で粘性オイルを得た。[M+Na]実測値431.89、[M+H]計算値409.18。純度はUV254nmで98%と測定された。
【0199】
【化31】

【0200】
[00168] 70℃の3N HCl/MeOH(1/1)溶液(18mL)に、化合物5(1.4g、2.4ミリモル)のMeOH(4mL)溶液を滴加した。出発原料は、5〜10分以内に消失した。次いで、反応混合物を真空で濃縮し、残留溶媒を高真空ポンプで除去した。粗残留物を、氷浴で0℃まで冷却された10%Na2CO3水(24mL)で希釈した。ジオキサン(24mL)に溶解したFmoc−OSu(0.98g、2.9ミリモル)を添加し、反応物を一晩攪拌しながら周囲温度に戻した。その後、反応物を酢酸エチルおよび1N HClで希釈した。有機層を1N HClで(3回)洗浄した。次いで、有機層を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空で濃縮した。Biotageシリカカラムならびに溶出液としての酢酸エチル/ヘキサンおよび塩化メチレン/メタノールを用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製した後に、純粋な生成物を単離した(両工程で30%収率)。生成物は、粘性オイルとして得られ、該オイルは、放置して固化した。[M+H]計算値378.16、[M+Na]実測値400.85。
【0201】
[00169] 本発明のいくつかの実施形態を説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱しないで様々な修正をなし得ることが理解されるであろう。したがって、その他の実施形態も次の特許請求の範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

のペプチドミメティック大環状化合物
[式中、
各A、C、D、およびEは、独立して、天然または非天然のアミノ酸であり;
Bは、天然または非天然のアミノ酸、アミノ酸アナログ、
【化2】

、[−NH−L−CO−]、[−NH−L−SO−]、または[−NH−L−]であり;
およびRは、独立して、−H、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
は、水素、任意選択によりRで置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
Lは、式
【化3】

の大環状化合物を形成するリンカーであり;
、LおよびLは、独立して、各々任意選択によりRで置換されたアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアリーレン、ヘテロシクロアリーレン、または[−R−K−R−]であり;
各Rは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり;
各Kは、O、S、SO、SO、CO、CO、またはCONRであり;
各Rは、独立して、ハロゲン、アルキル、−OR、−N(R、−SR、−
SOR、−SO、−CO、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
各Rは、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
は、−H、任意選択によりRで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリール、あるいはD残基を有する環状構造の一部であり;
は、−H、任意選択によりRで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリール、あるいはE残基を有する環状構造の一部であり;
vは、1〜1000の整数であり;
wは、1〜1000の整数であり;
xは、0〜10の整数であり;
yは、0〜10の整数であり;
zは、0〜10の整数であり;
nは、1〜5の整数である]。
【請求項2】
Lが、
【化4】

である、請求項1に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項3】
Lが、
【化5】

である、請求項1に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項4】
およびRの少なくとも一方が、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである、請求項1に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項5】
およびRが、独立して、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである、請求項1に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項6】
およびRの少なくとも一方が、非置換またはハロ−で置換されたアルキルである、請求項1に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項7】
およびRが、独立して、非置換またはハロ−で置換されたアルキルである、請求項1に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項8】
およびRの少なくとも一方が、メチルである、請求項1に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項9】
およびRが、メチルである、請求項1に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項10】
DおよびEの少なくとも一方が、高分子量の脂質または炭化水素で置換された天然または非天然のアミノ酸である、請求項1に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項11】
DおよびEの少なくとも一方が、大環状化合物を形成するさらなるリンカーに結合されている、請求項1に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項12】
ペプチドミメティック大環状化合物の二次構造が、対応する非大環状ポリペプチドの対応する二次構造に比べてより安定である、請求項1に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項13】
ペプチドミメティック大環状化合物が、α−ヘリックスを含む、請求項1に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項14】
α−ヘリックスが、1ターン〜5ターンを含む、請求項13に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項15】
α−ヘリックスが、対応する非大環状ポリペプチドのα−ヘリックスに比べてより安定である、請求項13に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項16】
大環状化合物を形成するリンカーが、1ターン〜5ターンのα−ヘリックスに及ぶ、請求項13に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項17】
大環状化合物を形成するリンカーが、約1、2、3、4または5ターンのα−ヘリックスに及ぶ、請求項13に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項18】
大環状化合物を形成するリンカーの長さが、α−ヘリックスの1ターンにつき約5Å〜約9Åである、請求項13に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項19】
大環状化合物を形成するリンカーが、約1ターンのα−ヘリックスに及ぶ、請求項13に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項20】
大環状化合物を形成するリンカーの長さが、約6個の炭素−炭素結合〜約14個の炭素−炭素結合の長さにほぼ等しい、請求項19に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項21】
大環状化合物を形成するリンカーの長さが、約8個の炭素−炭素結合〜約12個の炭素−炭素結合の長さにほぼ等しい、請求項19に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項22】
大環状化合物が、約18〜26個の原子の環を含む、請求項19に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項23】
α−ヘリックスが、約2ターンを含む、請求項13に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項24】
大環状化合物を形成するリンカーの長さが、約8個の炭素−炭素結合〜約16個の炭素−炭素結合の長さにほぼ等しい、請求項23に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項25】
大環状化合物を形成するリンカーの長さが、約10個の炭素−炭素結合〜約13個の炭素−炭素結合の長さにほぼ等しい、請求項23に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項26】
大環状化合物が、約29〜約37個の原子の環を含む、請求項23に記載のペプチドミメティック大環状化合物。
【請求項27】
式IIaまたはIIb
【化6】

の化合物
[式中、
およびRは、独立して、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
各QおよびTは各々、非置換またはRで置換されたアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、および[−R−K−R−]からなる群から独立して選択され;
Kは、O、S、SO、SO、CO、CO、またはCONRであり;
は、水素、任意選択によりRで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
は、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり;
各Rは、独立して、ハロゲン、アルキル、−OR、−N(R、−SR、−SOR、−SO、−CO、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
各Rは、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、蛍光部分、放射性同位元素、または治
療薬であり;
およびRは、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
10およびR11は、独立して、−H、またはペプチド合成に適した任意の保護基であり;
gおよびhは、各々独立して、0〜5の整数であり(ここでg+hは1を超える);
nは、1〜5の整数である]。
【請求項28】
式IIaの化合物であり、Rが非置換またはハロ−で置換されたアルキルである、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
式IIbの化合物であり、Rが非置換またはハロ−で置換されたアルキルである、請求項27に記載の化合物。
【請求項30】
式IIaの化合物であり、Rが非置換のアルキルである、請求項27に記載の化合物。
【請求項31】
式IIbの化合物であり、Rが非置換のアルキルである、請求項27に記載の化合物。
【請求項32】
式IIaの化合物であり、Rがメチルである、請求項27に記載の化合物。
【請求項33】
式IIbの化合物であり、Rがメチルである、請求項27に記載の化合物。
【請求項34】
およびR10の少なくとも一方が、ペプチド合成に適した保護された基である、請求項27に記載の化合物。
【請求項35】
a)式IIaおよびIIb
【化7】

の化合物
[式中、
およびRは、独立して、−H、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
各QおよびTは各々、非置換またはRで置換されたアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、および[−R−K−R−]からなる群から独立して選択され;
Kは、O、S、SO、SO、CO、CO、またはCONRであり;
は、水素、任意選択によりRで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
は、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり;
各Rは、独立して、ハロゲン、アルキル、−OR、−N(R、−SR、−SOR、−SO、−CO、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
各Rは、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、蛍光部分、放射性同位元素、または治療薬であり;
およびRは、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
10およびR11は、独立して、−H、またはペプチド合成に適した任意の保護基であり;
gおよびhは、各々独立して、0〜5の整数であり;
nは、1〜5の整数である]からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、および
b)大環状化試薬
を含むキット。
【請求項36】
式IIaの化合物を含み、Rが非置換またはハロ−で置換されたアルキルである、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
式IIbの化合物を含み、Rが非置換またはハロ−で置換されたアルキルである、請求項35に記載のキット。
【請求項38】
式IIaの化合物を含み、Rが非置換のアルキルである、請求項35に記載のキット。
【請求項39】
式IIbの化合物を含み、Rが非置換のアルキルである、請求項35に記載のキット。
【請求項40】
式IIaの化合物を含み、Rがメチルである、請求項35に記載のキット。
【請求項41】
式IIbの化合物を含み、Rがメチルである、請求項35に記載のキット。
【請求項42】
およびR10の少なくとも一方が、ペプチド合成に適した保護された基である、請求項35に記載のキット。
【請求項43】
少なくとも1種の式IIaの化合物および少なくとも1種の式IIbの化合物を含む、請求項35に記載のキット。
【請求項44】
大環状化試薬がCu試薬である、請求項35に記載のキット。
【請求項45】
大環状化試薬がRu試薬である、請求項35に記載のキット。
【請求項46】
ペプチドミメティック大環状化合物の合成方法であって、式IIIまたは式IV
【化8】

[式中、v、w、x、y、z、A、B、C、D、E、R、R、R、R、LおよびLは、請求項1で定義した通りであり、R12は、大環状化試薬がCu試薬である場合には−Hであり、R12は、大環状化試薬がRu試薬である場合には−Hまたはアルキルである]のペプチドミメティック前駆体を大環状化試薬と接触させる工程を含み、前記接触工程が、式IIIまたは式IV中のアルキンとアジド部分との間に共有結合を形成する、合成方法。
【請求項47】
およびRの少なくとも一方が、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
およびRが、独立して、非置換またはハロ−で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
およびRの少なくとも一方が、非置換またはハロ−で置換されたアルキルである、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
およびRが、独立して、非置換またはハロ−で置換されたアルキルである、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
およびRの少なくとも一方が、メチルである、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
およびRが、メチルである、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
大環状化試薬が、Cu試薬である、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
大環状化試薬が、Ru試薬である、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
ペプチドミメティック前駆体が、接触工程の前に精製される、請求項46に記載の方法。
【請求項56】
ペプチドミメティック大環状化合物が、接触工程の後に精製される、請求項46に記載の方法。
【請求項57】
ペプチドミメティック大環状化合物が、接触工程の後にリフォールディングされる、請求項46に記載の方法。
【請求項58】
溶液中で実施される、請求項46に記載の方法。
【請求項59】
固体支持体上で実施される、請求項46に記載の方法。
【請求項60】
その結合に好都合である条件下でペプチドミメティック前駆体またはペプチドミメティック大環状化合物に結合する標的高分子の存在下で実施される、請求項46に記載の方法。
【請求項61】
その結合に好都合である条件下でペプチドミメティック前駆体またはペプチドミメティック大環状化合物に優先的に結合する標的高分子の存在下で実施される、請求項46に記載の方法。
【請求項62】
ペプチドミメティック大環状化合物のライブラリーを合成するのに適用される、請求項46に記載の方法。
【請求項63】
ペプチドミメティック大環状化合物が、水溶液中でα−ヘリックスを構成する、請求項46に記載の方法。
【請求項64】
ペプチドミメティック大環状化合物が、水溶液中で、対応する非大環状ポリペプチドと比較して増大したα−ヘリックス構造を示す、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
ペプチドミメティック大環状化合物が、対応する非大環状ポリペプチドと比較して増大した熱安定性を示す、請求項46に記載の方法。
【請求項66】
ペプチドミメティック大環状化合物が、対応する非大環状ポリペプチドと比較して増大した生物学的活性を示す、請求項46に記載の方法。
【請求項67】
ペプチドミメティック大環状化合物が、対応する非大環状ポリペプチドと比較してタンパク質分解に対する増大した耐性を示す、請求項46に記載の方法。
【請求項68】
ペプチドミメティック大環状化合物が、対応する非大環状ポリペプチドと比較して生存細胞への増大した浸透能力を示す、請求項46に記載の方法。
【請求項69】
式IIIまたは式IVのペプチドミメティック前駆体のアルキン部分が、L−プロパルギルグリシン、D−プロパルギルグリシン、(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−5−ヘキシン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−5−ヘキシン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−7−オクチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−7−オクチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−8−ノニン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−8−ノニン酸からなる群から選択されるアミノ酸の側鎖であり、式IIIまたは式IVのペプチドミメティック前駆体のアジド部分が、ε−アジド−L−リシン、ε−アジド−D−リシン、ε−アジド−α−メチル−L−リシン、ε−アジド−α−メチル−D−リシン、δ−アジド−α−メチル−L−オルニチン、およびδ−アジド−α−メチル−D−オルニチンからなる群から選択されるアミノ酸の側鎖である、請求項46に記載の方法。
【請求項70】
x+y+zが3であり、A、BおよびCが、独立して、天然または非天然のアミノ酸である、請求項46に記載の方法。
【請求項71】
x+y+zが6であり、A、BおよびCが、独立して、天然または非天然のアミノ酸である、請求項46に記載の方法。
【請求項72】
大環状化試薬がCu試薬であり、接触工程が、プロトン性溶媒、水性溶媒、有機溶媒、およびこれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で実施される、請求項46に記載の方法。
【請求項73】
溶媒が、HO、THF/HO、tBuOH/HO、DMF、DIPEA、CHCN、CHCl、またはClCHCHClである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
大環状化試薬がRu試薬であり、接触工程が有機溶媒中で実施される、請求項46に記載の方法。
【請求項75】
溶媒が、DMF、THF、CHCN、CHCl、またはClCHCHClである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
溶媒が、ヘリックスの形成に好都合である溶媒である、請求項72に記載の方法。
【請求項77】
ペプチドミメティック大環状化合物が、式(I)
【化9】

[式中、v、w、x、y、z、A、B、C、D、E、R、R、R、R、およびLは、請求項1で定義した通りである]を有する、請求項46に記載の方法。

【公開番号】特開2012−144555(P2012−144555A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−63887(P2012−63887)
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【分割の表示】特願2009−551061(P2009−551061)の分割
【原出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(509163754)エイルロン セラピューティクス,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】