トリインフルエンザ赤血球凝集素の新規なDNA配列、ベクターおよびタンパク質
本発明は、トリインフルエンザウイルスA型赤血球凝集素タンパク質の新規なアミノ酸配列(コンセンサス配列を含む)を提供する。新しく構築されたこれらの遺伝子は、血清型ファミリーをまたがって、より広範な活性スペクトルが得られるように設計されており、これにより広範な異種性疾患への防御のためのワクチンの基盤を提供する。本発明の新規な遺伝子は、コードするアミノ酸配列に戦略的なグリコシル化部位を加えることによりさらに改善されている。これらの遺伝子はまた、必要に応じて、植物発現のためにコドンが最適化され、適切なベクターへ挿入され、発現用の植物へクローニングされてもよい。組換え宿主細胞またはトランスジェニック植物により産生されたポリペプチドは、感受性の個体においてインフルエンザを制御するためのワクチン創出用の抗原供給源として用いることもできる。さらに、トランスジェニック植物なる物質も、感受性の個体においてインフルエンザを制御するためのワクチン創出用の抗原供給源として用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2006年6月16日に出願した米国仮特許出願番号60/814,241号の利益を権利請求し、その仮出願に開示した内容は、あらゆる図、表およびアミノ酸または核酸配列を含め、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
アジアおよびヨーロッパの一部、中近東、およびアフリカにおいて大発生したトリインフルエンザA型(H5N1)は、一般的な人々の関心事であり、科学者たちはこの疾患が短期間のうちに顕著に減少するとは期待していない。さらに、トリの間でのH5N1感染は、特定地域においておそらく地方病となっており、感染した家禽との直接的な接触から生じるヒトへの感染が起こり続けるであろう。ヒトからヒトへのH5N1ウイルス伝染はこれまで稀であり、一人の人を超えて続くことはなく、ヒトとトリインフルエンザウイルスA型遺伝子間の遺伝子再集合の証拠は見付かっていないが、トリインフルエンザはなお公衆衛生に重大な驚異をもたらすものと考えられている。
【0003】
研究では、最近流行しているH5N1ウイルス株は、初期のH5N1ウイルスよりも動物における病原性がより高くなっていることが示唆されている。動物、例えばアヒルは、疾患の徴候を示さずに、より長期間より多くのウイルスを発散することが観察された。この知見はアヒルが他のトリ、おそらくヒトにも疾患を伝染させることを暗示している。中国のブタの間のH5N1感染およびネコにおけるH5N1感染も報告されている。ドイツから、ムナジロテン(stone marten)におけるH5N1感染も報告されている。
【0004】
ヒト集団はH5N1感染に対して先在の天然免疫を少ししか持っていない。ゆえに、H5N1ウイルスがヒトの間で有効に持続して伝染する能力を獲得すれば、インフルエンザの大流行は起こり得る。そのような大流行は高い発病率および致死率を引き起こす潜在力を持っている。方程式には、インフルエンザウイルスA型(H5N1)が抗ウイルス薬、例えばアマンタジンおよびリマンタジンに耐性を示し得るという知見が加えられる。これらの2つの薬物はインフルエンザの処置に一般的に用いられている。従って、トリインフルエンザウイルスA型(H5N1)に対して効果的であり得るワクチン候補を産生する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、トリインフルエンザウイルスA型赤血球凝集素(HA)タンパク質の新規なアミノ酸配列(コンセンサス配列を含む)を提供する。新しく構築されたこれらの遺伝子は、血清型ファミリーをまたがって、より広範な活性スペクトルが得られるように設計されており、これにより広範な異種性疾患への防御のためのワクチンの基盤を提供する。本発明の新規な遺伝子は、コードするアミノ酸配列に戦略的なグリコシル化部位を加えることによりさらに改善されている。これらの遺伝子はまた、必要に応じて、植物発現のためにコドンが最適化され、適切なベクターへ挿入され、発現用の植物へクローニングされてもよい。組換え宿主細胞またはトランスジェニック植物により産生されたポリペプチドは、感受性の個体においてインフルエンザを制御するためのワクチン創出用の抗原供給源として用いることもできる。さらに、トランスジェニック植物なる物質も、感受性の個体においてインフルエンザを制御するためのワクチン創出用の抗原供給源として用いることができる。
【0006】
配列表の簡単な説明
配列番号1は、赤血球凝集素V1(切断部位を含まないHAオリジナルTurkey Wisconsin 68)をコードするポリヌクレオチド配列を提供する。
【0007】
配列番号2は、配列番号1によってコードされたポリペプチドに相当する。
【0008】
配列番号3は、赤血球凝集素V2(アミノ酸239にグリコシル化部位を含有する)を示す。
【0009】
配列番号4は、配列番号3によってコードされたアミノ酸配列である。
【0010】
配列番号5は、赤血球凝集素V3(ネイティブなTurkey Wisconsin 68赤血球凝集素タンパク質のRQKR切断部位を含む)をコードするポリヌクレオチド配列を提供する。
【0011】
配列番号6は、配列番号5によってコードされたポリペプチドに相当する。
【0012】
配列番号7は、赤血球凝集素V4(99、102および170位にアミノ酸修飾を有する)を示す。
【0013】
配列番号8は、配列番号7によってコードされたアミノ酸配列である。
【0014】
配列番号9は、赤血球凝集素V5(99、102および239位にアミノ酸修飾を有する)をコードするポリヌクレオチド配列を提供する。
【0015】
配列番号10は、配列番号9によってコードされたポリペプチドに相当する。
【0016】
配列番号11は、赤血球凝集素V6(99、102、170および239位にアミノ酸修飾を含有する)をコードするDNAを示す。
【0017】
配列番号12は、配列番号11によってコードされたアミノ酸配列である。
【0018】
配列番号13は、本発明の「先祖」HAポリペプチドをコードする植物に最適化された核酸配列である。「先祖HAポリペプチド」なる用語は、バイオインフォマティクスを用いて推定した赤血球凝集素ポリペプチドを意味する。
【0019】
配列番号14は、本発明が提供する「先祖」配列である。「先祖HAポリペプチド」なる用語は、バイオインフォマティクスを用いて推定した赤血球凝集素ポリペプチドを意味する。
【0020】
配列番号15は、HA遺伝子の増幅のためのプライマーである。
【0021】
配列番号16は、HA遺伝子の増幅のためのプライマーである。
【0022】
表の簡単な説明
表1a-1bは、配列番号2、4、8、10および14のフラグメントについてのN末端およびC末端アミノ酸の位置を特定している。フラグメントは5〜563の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸であり得、N末端アミノ酸は1〜560の間の、これらを含む、いずれかの整数であり得(表1aを参照)、C末端アミノ酸は、表1bに同定したいずれかの整数(すなわち、5〜564)から選択されるいずれかの位置であり得る。
【0023】
表2a-2bは、配列番号6のフラグメントについてのN末端およびC末端アミノ酸の位置を特定している。フラグメントは、5〜567の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸であり得、N末端アミノ酸は、1〜564の間の、これらを含む、いずれかの整数であり得(表2aを参照)、C末端アミノ酸は、表2bに同定したいずれかの整数(すなわち、5〜568)から選択されるいずれかの位置であり得る。
【0024】
表3a-3bは、配列番号12のフラグメントについてのN末端およびC末端アミノ酸の位置を特定している。フラグメントは、5〜552の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸であり得、N末端アミノ酸は、1〜549の間の、これらを含む、いずれかの整数であり得(表3aを参照)、C末端アミノ酸は、表3bに同定したいずれかの整数(すなわち、5〜553)から選択されるいずれかの位置であり得る。
【0025】
表4 NT1植物細胞培養物におけるAIV HAの安定な発現。株番号の初めの2桁は、プラスミドコンストラクト(pDAB44xx)を示す。
【0026】
発明の詳細な説明
本発明は、限定しないが、以下の本発明の組成物、ならびにこれらの本発明の組成物を免疫原性ポリペプチドの産生に用いる方法、および個体における免疫反応を誘導する方法を提供する。よって、本発明は以下を含む本発明の様々な組成物を提供する:
a)配列番号2、4、6、8、10、12または14を含む、単離、精製および/または組換えポリペプチド;
b)配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドに対して少なくとも約20%〜99.99%の同一性、好ましくは少なくとも60〜99.99%の同一性を有し、配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドに関連する少なくとも1つの生物学的活性を有する変異ポリペプチド;
c)配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチド(または変異ポリペプチド)のフラグメント、配列番号2、4、6、8、10、12または14の「YからZ」であるフラグメント(ここでYは特定配列のN末端アミノ酸であり、Zは特定配列のC末端アミノ酸であり、フラグメントは少なくとも5アミノ酸長であり、YおよびZは表1〜3に同定された特定の配列番号についての整数の特定の(または選択された)いずれかの整数である)、または図1、2または3に示すポリペプチドフラグメント、ここで前記ポリペプチドフラグメントまたは変異ポリペプチドのフラグメントは、配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドの対応する生物学的活性と実質的に同じ少なくとも1つの生物学的活性を有する(本発明の文脈におけるさらなるフラグメントの例には、配列番号2、4、6、8、10、12または14のそれぞれのアミノ酸1〜16にまたがるリーダー配列、配列番号2、4、6、8、10、12または14のそれぞれの17位〜342位(赤血球凝集素ポリペプチドのH1領域に対応する)を含むまたはからなるアミノ酸配列、および、配列番号2、4、8、10または14の343〜364位に対応するアミノ酸配列;配列番号6の343〜568位に対応するアミノ酸配列;または配列番号12の343〜553位のアミノ酸配列を含むまたはからなる赤血球凝集素ポリペプチドのH2領域などがある);
d)配列番号2、4、6、8、10、12および14からなる群から選択されるポリペプチド(または変異ポリペプチド)のエピトープ;
e)本明細書に記載の少なくとも1つのエピトープを含むマルチエピトープコンストラクト;または
f)異種ポリペプチド配列をさらに含む実施態様a)、b)、c)、d)またはe)のいずれかに記載のポリペプチド;
g)植物由来の実施態様a)、b)、c)、d)、e)またはf)のいずれかに記載のポリペプチド;
h)担体およびa)、b)、c)、d)、e)、f)またはg)のいずれかに記載のポリペプチドを含む組成物、ここで担体はアジュバントまたは医薬上許容し得る賦形剤である;
i)配列番号2、4、6、8、10、12または14を含むポリペプチドをコードする、または(c)に記載の配列番号2、4、6、8、10、12または14の1以上のポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレオチド配列;
j)配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチドまたは配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14の1以上のポリペプチドフラグメントに対して20%〜99.99%の配列相同性または同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列、ここで前記ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチドまたは配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14の1以上のポリペプチドフラグメントに関連する少なくとも1つの生物学的活性を有する;
k)配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13を含むポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約20%〜99.99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列;
l)配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13を含むポリヌクレオチド配列、または配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13の少なくとも8連続ヌクレオチドのフラグメント;
m)(i)、(j)、(k)または(l)に記載のポリヌクレオチドに対して相補的なポリヌクレオチド;
n)低、中程度の、または高ストリンジェンシー下において、(i)、(j)、(k)、(l)または(m)に記載のポリヌクレオチド配列とハイブリダイズするポリヌクレオチド;
o)(i)、(j)、(k)、(l)または(m)に記載のポリヌクレオチド配列を含む遺伝子コンストラクト;
p)(i)、(j)、(k)、(l)、(m)または(n)に記載のポリヌクレオチドまたは遺伝子コンストラクトを含むベクター;
q)(p)に記載のベクター、(o)に記載の遺伝子コンストラクト、または(i)、(j)、(k)、(l)または(m)のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞;
r)(p)に記載のベクター、(o)に記載の遺伝子コンストラクト、または(i)、(j)、(k)、(l)もしくは(m)のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む、トランスジェニック植物、植物細胞または植物の部分;または
s)(i)、(j)、(k)、(l)、(m)または(n)に記載のポリヌクレオチド、および必要に応じて標識またはマーカーを含むプローブ。
【0027】
本発明の文脈において、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」なる用語は互換的に用いることができる;しかしながら、本発明は天然型のポリペプチドには関しない、言い換えると本発明のポリペプチドは天然環境には存在しないものであるが、本発明のポリペプチドは天然起源からの精製により単離または取得したものであり得る、あるいは遺伝子操作によって調製された宿主細胞から取得したものであり得る(例えば、それらのポリペプチドまたはそれらのフラグメントは、組換え技術によって、宿主細胞によりまたは化学合成により産生される)と解されたい。本発明に記載のポリペプチドは以下に記載する非天然のアミノ酸も含有し得る。「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」なる用語はまた、本明細書において、典型的には隣接するアミノ酸のαアミノ基とカルボキシル基の間のペプチド結合によって、一方から他方へ連結している一連の残基(典型的にはLアミノ酸)を指定するために用いられる。リンカー配列は、ペプチド結合によって、または以下に記載するような化学結合(例えば、異種二機能性の化学的リンカー配列)を介して本発明のポリペプチドと結合し得る。また、「アミノ酸」および「残基」なる用語は互換的に用いることができる。
【0028】
「ヌクレオチド配列」、「ポリヌクレオチド」または「核酸」は互換的に用いることができ、本発明において、二本鎖DNA、一本鎖DNAまたはそれらのDNAの転写産物(例えばRNA分子)を意味すると解されたい。また、本発明は天然環境または天然状態のゲノムポリヌクレオチド配列には関しないと解されたい。本発明の核酸、ポリヌクレオチドまたはヌクレオチド配列は、限定するものではないがイオン交換クロマトグラフィー、分子サイズ排除クロマトグラフィーなどの分離法によって、または遺伝子工学的手法、例えば増幅、サブトラクティブハイブリダイゼーション、クローニング、サブクローニングもしくは化学合成、またはこれらの遺伝子工学的手法の組み合わせによって、単離、精製(または部分的に精製)することができる。「ポリヌクレオチドワクチン」および「DNAワクチン」なる用語も本明細書において互換的に用いることができる。
【0029】
「含む」、「からなる」および「本質的に〜からなる」なる用語は、それらの標準的な意味に従って規定される。これらの用語は本出願を通して、それぞれの用語に関する特定の意味を付加するために互いに置き換えることができる。「単離された」または「生物学的に純粋な」なる語句は、天然状態で観察した場合に通常附随している成分を、実質的にまたは本質的に含まない物質を意味する。従って、本発明による単離ペプチドは、好ましくは、生体内のインサイチュ環境においてそのペプチドに通常附随している物質を含有しない。「連結する」または「結合する」は、限定するものではないが組換え技術による融合、共有結合、ジスルフィド結合、イオン結合、水素結合、および静電結合などの、ペプチドを機能的に結びつけるための当分野において既知のいずれかの方法を意味する。
【0030】
従って、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12または14、および/または配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドフラグメント(例えば図1、2または3に示すフラグメント)を含む赤血球凝集素ポリペプチドを提供する。いくつかの本発明の実施態様において、抗体またはT細胞受容体が結合する本発明のポリペプチドフラグメントは、「エピトープ」と指定する;本発明の文脈において、「エピトープ」は「配列番号2、4、6、8、10、12または14のフラグメント」として指定された本発明のサブセットと考える。
【0031】
本発明に記載のポリペプチドフラグメント(および/またはエピトープ)は、配列番号2、4、6、8、10、12または14の少なくとも5連続アミノ酸の連続配列を含む。本発明に記載のポリペプチドフラグメントは、配列番号2、4、6、8、10、12または14の少なくとも5連続アミノ酸から完全長ポリペプチドより1アミノ酸少ない数までのいずれかの整数の長さであり得る。従って、配列番号2、4、8、10または14において、ポリペプチドフラグメントは、5〜563の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸である。配列番号6において、ポリペプチドフラグメントは、5〜567の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸である。配列番号12において、ポリペプチドフラグメントは、5〜552アミノ酸の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸である。本発明の文脈におけるさらなるフラグメントの例には、配列番号2、4、6、8、10、12または14のそれぞれのアミノ酸1〜16にまたがるリーダー配列、配列番号2、4、6、8、10、12または14のそれぞれの17位〜342位(赤血球凝集素ポリペプチドのH1領域に相当する)を含むまたはからなるアミノ酸配列、および、配列番号2、4、8、10または14の343〜364位に相当するアミノ酸配列;配列番号6の343〜568位に相当するアミノ酸配列;または配列番号12の343〜553位からのアミノ酸配列を含むまたはからなる赤血球凝集素ポリペプチドのH2領域、などがある。
【0032】
本発明のそれぞれのポリペプチドフラグメントは、N末端およびC末端の位置の観点で記載することもできる。例えば、配列番号2の6連続アミノ酸から完全長ポリペプチドより1アミノ酸少ないアミノ酸数までのN末端からC末端のフラグメントの組み合わせが本発明に含まれる。従って、6連続アミノ酸フラグメントは1-6、2-7、3-8、4-9、5-10などからなる群から選択される位置を占め得る。さらに、本明細書に記載のポリペプチドフラグメントの実施態様は、「少なくとも〜」、「〜と等しい」、「〜と等しいかそれより少ない」、「〜より少ない」、「少なくとも〜であるが〜以下である」または「YからZ」であり得、ここでYは特定配列のN末端アミノ酸であり、Zは特定配列のC末端アミノ酸であり、そのフラグメントは少なくとも5アミノ酸長であり、YおよびZは、表1〜3に同定された整数の、特定の(または選択された)いずれかの整数である。配列番号2、4、8、10または14のフラグメントについて、表1から明らかなように、(5〜563の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸であるはずのフラグメント長に応じて)N末端アミノ酸(表1aにおいて特定されている)は、1〜560の間のいずれかの整数であり得、C末端アミノ酸(表1bに特定されている)は、5〜564のいずれかの整数である。配列番号6のフラグメントにおいて、(5〜567の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸であるはずのフラグメント長に応じて)N末端アミノ酸は1〜564の間のいずれかの整数であり得(表2aに特定されている)、C末端アミノ酸(表2bに特定されている)は、5〜568のいずれかの整数である。配列番号12のフラグメントに関して、(5〜552アミノ酸の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸であるフラグメント長に応じて)N末端アミノ酸は1〜549の間のいずれかの整数であり得(表3aに示されている)、C末端アミノ酸(表3bに示されている)は、5〜553のいずれかの整数である。本発明のいずれかの実施態様を表すために用いられるあらゆる範囲は、特に断りのない限りその両端の値を含むこと、また、得られるポリペプチドフラグメントはいずれかの整数の長さであり得るが、ただし、ポリペプチドフラグメントの長さは配列番号2、4、6、8、10、12または14に同定されたポリペプチドよりも少なくとも1アミノ酸短いことに注意されたい。
【0033】
本発明はまた、配列番号2、4、6、8、10、12または14の特定残基にまたがる様々なペプチドフラグメント(少なくとも5つの連続アミノ酸の連続(contiguousまたはconsecutive)配列を含む)を提供する。配列番号2において、好ましいフラグメントには、配列番号2のアミノ酸番号99を含有するまたはまたがる少なくとも5つの連続アミノ酸のフラグメントが含まれる。配列番号4に関して、好ましいフラグメントは配列番号4のアミノ酸239を含有する少なくとも5つの連続アミノ酸配列を含む。配列番号6の少なくとも5つの連続アミノ酸にまたがる好ましいフラグメントには、アミノ酸326;アミノ酸327;アミノ酸328;アミノ酸329;アミノ酸326および327;アミノ酸327および328;アミノ酸328および329;アミノ酸326、327および328;アミノ酸327、328および329;またはアミノ酸326、327、328および329を含有するまたはまたがるフラグメントなどがある。配列番号8において、(配列番号8の少なくとも5つの連続アミノ酸にまたがる)好ましいフラグメントは、アミノ酸99;アミノ酸102;アミノ酸170;アミノ酸99および102;アミノ酸102および170;またはアミノ酸99、102および170を含有するまたはまたがるフラグメントである。配列番号10の好ましいフラグメントは、アミノ酸99;アミノ酸102;アミノ酸239;アミノ酸99および102;アミノ酸102および239;またはアミノ酸99、102および239を含むまたは含有する少なくとも5つの連続アミノ酸配列のフラグメントである。配列番号12に関して、好ましいフラグメントは、アミノ酸99;アミノ酸102;アミノ酸170;アミノ酸239;アミノ酸99および102;アミノ酸102および170;アミノ酸170および239;アミノ酸99、102および170;アミノ酸102、170および239;またはアミノ酸99、102、170および239を含む少なくとも5つの連続アミノ酸配列を含むフラグメントである。
【0034】
本明細書に記載のフラグメントは、本発明のポリペプチドをタンパク質分解酵素(例えばトリプシン、キモトリプシンまたはコラゲナーゼ)によって、または化学試薬、例えば臭化シアン(CNBr)によって切断することにより得ることができる。あるいは、ポリペプチドフラグメントは、強い酸性環境、例えばpH2.5において創出することができる。このようなポリペプチドフラグメントは、化学合成によって、または本発明による発現ベクターにより形質転換した宿主細胞を用いて、同様に良好に調製することができる。形質転換宿主細胞は、ポリペプチドフラグメントの調節および/または発現のための適切なエレメントの制御下においてこれらのフラグメントの発現を可能にする核酸を含有する。
【0035】
特定の好ましい実施態様において、本明細書に記載のポリペプチドのフラグメントは、それらのフラグメントが由来する完全長ポリペプチドの少なくとも1つの特性または活性を保持している。よって、配列番号2、4、6、8、10、12または14に提供する完全長ポリペプチドおよびそれらのポリペプチドのフラグメントの両方は、1以上の以下の特性または生物学的活性を有する:1)配列番号2、4、6、8、10、12または14に特異的な抗体へ特異的に結合する能力;2)トリインフルエンザウイルスに感染した動物またはヒトにおいて観察される抗体へ特異的に結合する能力;トリインフルエンザウイルスに感染した動物またはヒトから単離される、または由来するMHCクラスIまたはクラスII抗原と関係してT細胞受容体(CTL(細胞毒性Tリンパ球)および/またはHTL(ヘルパーTリンパ球受容体))に結合する、および活性化する能力;3)トリインフルエンザウイルスに対する動物またはヒトにおける免疫反応を誘導する能力;4)トリインフルエンザウイルスに対する動物またはヒトにおける防御免疫反応を誘導する能力。本発明の特定の局面において、本発明の特性または生物学的活性はH5血清型またはトリインフルエンザA型のトリインフルエンザウイルスに方向付けられている。
【0036】
本出願にて提供するポリペプチド、変異ポリペプチド、またはポリペプチドもしくは変異ポリペプチドのフラグメントの産生に植物発現系を用いる場合、精製されたポリペプチドを含む組成物は、植物細胞成分(例えば、細胞壁、植物細胞膜の細胞マトリックスおよび炭水化物など)または植物細胞マトリックス成分を含み得る。同様に、本出願にて提供するポリペプチド、変異ポリペプチド、またはポリペプチドもしくは変異ポリペプチドのフラグメントの産生に真核または原核発現系を用いる場合、部分的に精製されたポリペプチドを含む組成物に、それぞれの発現系の細胞膜または細胞壁成分が存在し得る。
【0037】
本発明のポリペプチド(またはそれらのフラグメント)は、単量体または多量体(例えば、二量体、三量体、四量体およびより多い多量体)であり得る。従って、本発明は、本発明のポリペプチドの単量体および多量体、それらの調製、およびそれらを含有する組成物に関する。本発明の多量体ポリペプチドは、同じポリペプチド配列に由来し得る(「ホモ多量体」)、または本明細書に記載の異なる配列に由来し得る(「ヘテロ多量体」)。ホモ多量体は、同一のまたは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含有し得る;しかしながら、これらの配列は同じ元ポリペプチド(つまり、配列番号2、4、6、8、10、12または14)に由来する。ヘテロ多量体は、本発明のポリペプチドに加えて1以上の異種ポリペプチド(つまり、異なるタンパク質のポリペプチド)を含有する多量体ポリペプチドを意味する。従って、ヘテロ多量体は、本発明の文脈において、配列番号2、4、6、8、10、12または14(またはそれらのフラグメント)のいずれかの組み合わせを含有する多量体ポリペプチドを意味し得る。あるいは、ヘテロ多量体ポリペプチドは、疎水性、親水性、イオン性および/または共有結合性の会合を形成するポリペプチドまたは他の配列エレメントと融合した配列番号2、4、6、8、10、12または14のいずれかを含み得る。
【0038】
本明細書に記載の多量体ポリペプチドは、疎水性、親水性、イオン性および/または共有結合性の会合により形成され得、および/または例えばリポソーム形成により間接的に連結され得る。従って、一実施態様において、本発明の多量体、例えば、ホモ二量体またはホモ三量体などは、本発明のポリペプチドが溶液中において互いに接触することで形成される。別の実施態様において、本発明のヘテロ多量体、例えば、ヘテロ三量体またはヘテロ四量体は、本発明のポリペプチドが溶液中において本発明のポリペプチドに対する抗体(本発明の融合タンパク質における異種ポリペプチド配列に対する抗体を含む)と接触することで形成される。他の実施態様において、本発明の多量体は、本発明のポリペプチドとの、および/または本発明のポリペプチド間の共有結合性の会合により形成される。そのような共有結合性の会合の例に、これに限定されないが、Ig重鎖(例えば米国特許第5,478,925号明細書を参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に融合した配列番号2、4、6、8、10、12または14(またはそれらのフラグメント)を含むポリペプチドを含む本発明の融合タンパク質により提供される、免疫グロブリン重鎖間のジスルフィド結合形成がある。共有結合的に会合した多量体を形成することができる融合タンパク質の別の例は、破骨細胞形成抑制因子である(例えば国際公開第98/49305号パンフレットを参照のこと;参照によりその内容の全体が本明細書に組み込まれる)。別の実施態様において、2以上の本発明のポリペプチドはペプチドリンカーを介して連結する。その例には、米国特許第5,073,627号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に記載のペプチドリンカーなどがある。ペプチドリンカーにより隔てられた本発明の複数のポリペプチドを含むタンパク質は従来の組換えDNA技術を用いて産生され得る。
【0039】
他の多量体ポリペプチドは、本発明のポリペプチドをロイシンジッパーまたはイソロイシンジッパーポリペプチド配列と融合させることにより形成することができる。ロイシンジッパーおよびイソロイシンジッパードメインは、それらのドメインが存在するタンパク質の多量体化を促進するポリペプチドである。本発明の可溶性の多量体タンパク質の産生に適したロイシンジッパードメインの例は、これに限定されないが、国際公開第94/10308号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものである。溶液中において二量体または三量体化するポリペプチド配列と融合した本発明のポリペプチドを含む組換え融合タンパク質は、適切な宿主細胞において発現され、生じた可溶性の多量体融合タンパク質は当分野において既知の技術を用いて培養上清から回収される。
【0040】
多量体ポリペプチドは当分野に既知の化学的手法を用いて創出することもできる。例えば、本発明の多量体に含有されることが望まれるポリペプチドを、リンカー分子および当分野において既知のリンカー分子長最適化技術(例えば米国特許第5,478,925号明細書を参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を用いて化学的に架橋結合させることができる。さらに、多量体ポリペプチドは、多量体ポリペプチドを構築するために用いるポリペプチド配列内に位置するシステイン残基間にジスルフィド結合を導入することにより創出することができる(例えば米国特許第5,478,925号明細書を参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。さらに、本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチドのC末端またはN末端にシステインまたはビオチンを加えることにより、ルーチン的に修飾することができ、また当分野において既知の技術を1以上のこれらの修飾ポリペプチドを含有する多量体の創出に適用することができる(例えば米国特許第5,478,925号明細書を参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。さらに、当分野において既知の他の技術を、本発明の多量体に含有させることが望ましいポリペプチド成分を含有するリポソームの創出に適用することができる(例えば米国特許第5,478,925号明細書を参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0041】
本明細書において提供するポリペプチドならびにそれらのフラグメントは、他の分子、アミノ酸またはポリペプチド配列への本発明のフラグメントの結合を促進するリンカーエレメント(L)をさらに含んでもよい。それらのリンカーは、本発明のポリペプチドまたはそれらのフラグメントを、アフィニティー精製プロトコールに用いる固体支持体マトリックスへ結合させるためにも用いることができる。本発明の実施に適する「リンカー」の例には、これらに限定されないが、化学的リンカー(例えばPierce、Rockford, ILにより販売されているもの)、またはポリペプチドの組み合わせを連結させることができるペプチド(例えば米国特許第6,121,424号、5,843,464号、5,750,352号および5,990,275号明細書に記載のリンカーなどを参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)などがある。
【0042】
他の実施態様において、リンカーエレメント(L)はアミノ酸配列(ペプチドリンカー)であり得る。いくつかの実施態様において、ペプチドリンカーは1以上の以下の特徴を有する:a)そのペプチドリンカーが(互いに関連して)連結するポリペプチドを自由にローテーションすることができる;b)プロテアーゼによる消化(切断)に耐性である、または感受性である;およびc)一緒に連結するポリペプチドと相互作用しない。様々な実施態様において、本発明による多量体コンストラクトはペプチドリンカーを含み、そのペプチドリンカーは5〜60アミノ酸長である。より好ましくは、ペプチドリンカーは10〜30アミノ酸長である;さらにより好ましくは、ペプチドリンカーは10〜20アミノ酸長である。いくつかの実施態様において、ペプチドリンカーは17アミノ酸長である。
【0043】
本発明に用いるのに適するペプチドリンカーはGly、Ser、Asn、ThrおよびAlaからなる群から選択されるアミノ酸により構成される。好ましくは、ペプチドリンカーはGly-Serエレメントを含む。好ましい実施態様において、ペプチドリンカーは(Ser-Gly-Gly-Gly-Gly)yを含み、ここでyは1、2、3、4、5、6、7または8である。他の実施態様は((Ser-Gly-Gly-Gly-Gly)y-Ser-Pro)を含むペプチドリンカーを提供する。特定の好ましい実施態様において、yは3、4または5の値である。他の好ましい実施態様において、ペプチドリンカーは(Ser-Ser-Ser-Ser-Gly)yまたは((Ser-Ser-Ser-Ser-Gly)y-Ser-Pro)を含み、ここでyは1、2、3、4、5、6、7または8である。特定の好ましい実施態様において、yは3、4または5の値である。切断可能なリンカーエレメントが望ましい場合、1以上の切断可能リンカー配列、例えば第Xa因子またはエンテロキナーゼ(Invitrogen、San Diego Calif.)を単独で、または前述のリンカーと組み合わせて用いることができる。
【0044】
本発明の多量体コンストラクトは、必要に応じて、他のエレメントによって散在している一連の反復配列を含むこともできる。当業者には理解できるように、多量体ポリペプチドにおいて反復配列が起こる順序はさほど重要ではなく、本発明は、本明細書に記載のあらゆる配置の反復配列を提供し得る。従って、本発明による「多量体コンストラクト」は、要すれば、リンカーエレメント(化学的リンカーエレメントまたはアミノ酸リンカーエレメント)により互いに連結された、一連のポリペプチド、ポリペプチドフラグメントまたはエピトープを含む、多量体ポリペプチドを提供し得る。
【0045】
「変異ポリペプチド」(またはポリペプチド変異体)は、天然ポリペプチドに関して特定の修飾を示すポリペプチドを指定するためのものと理解されたい。これらの修飾には、欠失、付加または少なくとも1つのアミノ酸の置換、切断、伸長、キメラ融合(融合タンパク質)、突然変異、または翻訳後修飾を示すポリペプチドが含まれ得る。これらの同種変異ポリペプチドのうち、完全長、ネイティブ、または天然ポリペプチドに対して少なくとも(または少なくとも約)20.00%〜99.99%(両端を含む)の同一性を示すアミノ酸配列を含むポリペプチドは、本発明の別の局面である。前述の同一性のパーセンテージの範囲は、記載した値を含む、および提供すると解されたく、また20.00%から、0.01%の間隔で99.99%を含むまでの断片的な値をサポートしている。これらのパーセンテージは純粋に統計学的値であり、2つのポリペプチド配列間の差異は、無作為に、完全配列長にわたって分布し得る。従って、変異ポリペプチドは、本発明のポリペプチド配列と、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99パーセントの同一性を有し得る。好ましい実施態様において、変異または修飾ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12または14に対して少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99パーセントの同一性を示す。同一性のパーセンテージは、同定された具体的配列番号の完全長ポリペプチドまたはそのフラグメント長(例えば、配列番号2、4、6、8、10、12、14に記載のポリペプチドまたはそれらのフラグメント)を基準にして計算される。いずれの実施態様においても、変異ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12または14に記載のポリペプチドに関連する少なくとも1つの生物学的活性(例えば、個体において免疫反応を誘導する能力、または個体において防御免疫反応を誘導する能力)を保持している。「変異ポリペプチド」および「変異ポリペプチドのフラグメント」の定義から特に除外されるものは、一般に利用可能なデータベースにおいて提供されているインフルエンザ赤血球凝集素ポリペプチドである。例えば、インフルエンザウイルスA型(A/duck/Hong Kong/698/79(H5N3))、アクセッション番号AAD13571(AF082039)は、変異ポリペプチドとして特に除外される。
【0046】
本発明による融合タンパク質は、1以上の異種ポリペプチド配列、例えば、本発明のポリペプチドの精製を促進するタグ(例えば、米国特許第6,342,362号明細書;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる;Altendorf et al. [1999-WWW, 2000]「Structure and Function of the Fo Complex of the ATP Synthase from Escherichia Coli(大腸菌のATP合成酵素のFo複合体の構造および機能)」J. of Experimental Biology 203:19-28、The Co. of Biologists, Ltd.、G.B.;Baneyx [1999]「Recombinant Protein Expression in Escherichia coli(大腸菌における組換えタンパク質発現)」Biotechnology 10:411-21、Elsevier Science Ltd.;Eihauer et al. [2001]「The FLAGTM Peptide, a Versatile Fusion Tag for the Purification of Rcombinant Proteins(FLAG(商標)ペプチド、組換えタンパク質の精製のための多用途融合タグ)」J. Biochem Biophys Methods 49:455-65;Jones et al. [1995] J. Chromatography 707:3-22;Jones et al. [1995]「Current Trends in Molecular Recognition and Bioseparation(分子認識およびバイオセパレーションにおける最近の傾向)」J. of Chromatography A. 707:3-22、Elsevier Science B.V.;Margolin [2000]「Green Fluorescent Protein as a Reporter for Macromolecular Localization in Bacterial Cells(細菌細胞における高分子の所在についてのレポーターとしての緑色蛍光タンパク質)」Methods 20:62-72、Academic Press;Puig et al. [2001]「The Tandem Affinity Purification (TAP) Method: A General Procedure of Protein Complex Purification(タンデムアフィニティー精製(TAP)法:タンパク質複合体精製の一般法)」Methods 24:218-29、Academic Press;Sassenfeld [1990]「Engineering Proteins for Purification(精製のためのタンパク質の処理)」TibTech 8:88-93;Sheibani [1999]「Prokaryotic Gene Fusion Expression Systems and Their Use in Structural and Functional Studies of Proteins(タンパク質の構造および機能研究における原核生物遺伝子融合発現系およびそれらの使用)」Prep. Biochem.&Biotechnol. 29(1):77-90、Marcel Dekker, Inc.;Skerra et al. [1999]「Applications of a Peptide Ligand for Streptavidin: the Strep-tag(ストレプトアビジンに対するペプチドリガンドの適用:Strep-タグ)」、Biomolecular Engineering 16:79-86、Elsevier Science, B.V.;Smith [1998]「Cookbook for Eukaryotic Protein Expression: Yeast, Insect, and Plant Expression Systems(真核生物タンパク質発現のための化学実験マニュアル:酵母、昆虫および植物発現系)」The Scientist 12(22):20;Smyth et al. [2000]「Eukaryotic Expression and Purification of Recombinant Extracellular Matrix Proteins Carrying the Strep II Tag(Strep IIタグを担持する組換え細胞外マトリックスタンパク質の真核生物における発現および精製)」Methods in Molecular Biology, 139:49-57;Unger [1997]「Show Me the Money: Prokaryotic Expression Vectors and Purification Systems(実績を上げろ:原核生物の発現ベクターおよび精製系)」The Scientist 11(17):20を参照のこと;それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、または、STRATAGENE(La Jolla、CA)、NOVAGEN(Madison、WI)、QIAGEN, Inc.(Valencia、CA)もしくはInVitrogen(San Diego、CA)などのような業者から市販購入し得るタグを含む。
【0047】
他の実施態様において、本発明のポリペプチド(例えば、配列番号2、4、6、8、10、12および/または14またはそれらのフラグメント)は、アジュバント活性を有する異種ポリペプチド配列(ポリペプチドアジュバント)へ融合し得る。そのようなポリペプチドの例には、これに限定されないが、熱ショックタンパク質(hsp)などがある(例えば米国特許第6,524,825号明細書を参照のこと;その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0048】
本発明の範囲には「エピトープ」である配列番号2、4、6、8、10、12または14の少なくとも1以上のポリペプチドフラグメントも含まれる。本発明の文脈において、「エピトープ」なる用語は、典型的には隣接するアミノ酸のαアミノ基とカルボキシル基間のペプチド結合によって互いに連結している一連の残基(典型的にはL-アミノ酸)を指定するために用いられる。本発明の好ましいCTL(またはCD8+T細胞)誘導ペプチドは、13残基またはそれより少ない長さであり、通常約8〜約11残基(例えば、8、9、10または11残基)、好ましくは9または10残基からなる。好ましいHTL(またはCD4+T細胞)誘導ペプチドは約50残基より少ない長さであり、通常約6〜約30残基、より一般的には約12〜25残基(例えば12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25残基)、しばしば約15〜20残基(例えば15、16、17、18、19または20残基)からなる。
【0049】
本発明はまた、本発明によるポリペプチドの生物学的に活性なフラグメント(エピトープ)を提供し、H5血清型インフルエンザウイルスに対する免疫反応を誘発することができるペプチドを含み、その免疫反応により、前記ポリペプチドのフラグメント、本明細書に記載のインタクトな、完全長の、非修飾ポリペプチド、またはポリペプチドのフラグメントと本明細書に記載のインタクトな完全長の非修飾ポリペプチドの両方、と反応性の成分(B細胞、抗体および/または細胞性免疫反応の成分(例えば、ヘルパー、細胞毒性および/またはサプレッサーT細胞))が生じる。
【0050】
本発明はまた、配列番号2、4、6、8、10、12または14(またはそれらのフラグメント)を含む少なくとも1つの単離、組換えまたは精製ポリペプチド、および少なくとも1つのさらなる成分を含む組成物を提供する。本発明の様々な局面において、前記のさらなる成分は、固体支持体(例えば、マイクロタイターウェル、電磁ビーズ、非電磁ビーズ、アガロースビーズ、ガラス、セルロース、プラスチック、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ニトロセルロース、ナイロンまたはポリスルホン)である。前記のさらなる成分はまた、当業者に既知の医薬上許容し得る賦形剤またはアジュバントであり得る。本発明のいくつかの局面において、固体支持体は、本発明のポリペプチドのアレイ、または本発明の様々なポリペプチドの組み合わせを含むポリペプチドのアレイを提供する。
【0051】
本発明はまた、個体において免疫反応を誘発する方法であって、個体において免疫反応を誘導するのに十分な量の本発明によるポリペプチドを含む組成物を個体へ投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施態様において、「防御」または「治療免疫反応」は個体において誘導される。「防御免疫反応」または「治療免疫反応」は、CTL(またはCD8+T細胞)および/またはHTL(またはCD4+T細胞)、および/または個体における疾患症状、副作用または進行を妨げる、減少させる、または少なくとも部分的に抑止する抗体反応を意味する。例えば、防御免疫反応が誘導された個体は、非免疫化対照個体と比較して、減少した死亡率を示し得、および/または減少したウイルスの出芽を示し得る。防御免疫反応は、ヘルパーT細胞(またはCD4+T細胞)の刺激により促進された抗体反応も含み得る。個体における免疫反応を誘導するさらなる方法は、米国特許第6,419,931号明細書に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本出願を通して、CTLなる用語はCD8+T細胞と互換的に用いることができ、HTLなる用語はCD4+T細胞と互換的に用いることができる。
【0052】
本出願の文脈において、個体は、鳥および/または哺乳類、例えば、これらに限定されないが、類人猿、チンパンジー、オランウータン、ヒト、サルまたは家畜化された動物(ペット)、例えばイヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ウサギ、フェレット、ウシ、ウマ、ヤギおよびヒツジを意味する。トリ(avian)または鳥(bird)は本明細書において、典型的に、翼へと変形した前肢、鱗状の下肢、くちばしを有し、固い殻の卵に子供を産み出す、温血脊椎動物の鳥類網のいずれかのメンバーと定義する。本明細書の目的において、好ましい鳥のグループは、家畜化されたニワトリ、シチメンチョウ、ダチョウ、アヒル、ガチョウ、ハクチョウおよびコーニッシュゲームヘンである。より好ましいグループは、家畜化されたニワトリおよびシチメンチョウである。
【0053】
投与する、または投与は、個体の身体へ物質を導入することと定義し、経口、経鼻、眼、直腸、膣および非経口の経路が含まれる。組成物は個々に、または他の薬剤と組み合わせて、皮下(SQ)、筋肉内(IM)、静脈内(IV)、腹腔内(IP)、皮内(ID)、鼻、眼または口腔粘膜(IN)を介して、または経口などであるがこれらに限定されないいずれかの投与経路を介して投与され得る。
【0054】
個体へ投与される組成物は、要すれば、アジュバントを含有してもよく、対象に免疫原を輸送するための当分野に既知のいずれかの方法により輸送することができる。組成物は、いずれかの担体、例えば、医薬上許容し得る担体、例えばE.W. Martinの「Remington's Pharmaceutical Science(レミントンの薬学)」、Mack Publishing Company、Easton, PAに記載のものなどの中に製剤化してもよい。好ましい実施態様において、組成物はフロイント不完全アジュバント、フロイント完全アジュバント、またはミョウバン中に製剤化してもよい。
【0055】
他の実施態様において、本発明は、ウエスタンブロットフォーマットまたは当業者に既知の標準的イムノアッセイに基づき、配列番号2、4、6、8、10、12または14を含む、本質的にからなる、またはからなるポリペプチドを用いる診断アッセイを提供する。例えば、抗体に基づくアッセイ、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ラテラルフローアッセイ、リバーシブルフロークロマトグラフィー結合アッセイ(例えば米国特許第5,726,010号明細書を参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、イムノクロマトグラフィーストリップアッセイ、自動化フローアッセイ、およびペプチド含有バイオセンサーを利用するアッセイを、本発明により提供するポリペプチド(またはそれらのフラグメント)と結合する抗体の検出に採用してもよい。アッセイおよびアッセイを行う方法は当分野においてよく知られており、それらの方法により、生物学的サンプル(例えば、血清、血漿または血液)を、本発明のポリペプチドと結合する抗体の存在について、定性的に(抗体の存在または非存在)または定量的に(本発明のポリペプチドを用いて作製された検量線に対するサンプルの比較)、試験することができる。
【0056】
抗体に基づくアッセイには以下の4つのタイプがあると考えられる:直接的結合アッセイ、サンドイッチアッセイ、競合アッセイおよび置換アッセイ。直接結合アッセイでは、抗体または抗原は標識化され、形成された複合体の数を測定する手段が存在する。サンドイッチアッセイでは、少なくとも3つの成分の複合体の形成(例えば、抗体-抗原-抗体)を測定する。競合アッセイでは、標識化抗原と非標識化抗原が抗体への結合について競合し、結合した成分または遊離成分のいずれかが測定される。置換アッセイでは、標識化抗原が予め抗体へ結合しており、受容体から、結合していた標識化抗原が非標識化抗原に取って代わられる際の、シグナルの変化が測定される。
【0057】
ラテラルフローアッセイは米国特許第 5,712,170号明細書およびそこに引用されている参考文献の教示に従って行うことができる。米国特許第5,712,170号明細書およびそこに引用されている参考文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。置換アッセイおよび置換アッセイを行うのに有用なフローイムノセンサーは以下に記載されている:(1)「Biosensor Technology(バイオセンサー技術)」、R. P. Buckら編、Marcel Dekker、N.Y.の、Kusterbeckら、「Antibody-Based Biosensor for Continuous Monitoring(連続モニタリングのための抗体に基づくバイオセンサー)」、pp. 345-350(1990);Kusterbeckら、「A Continuous Flow Immunoassay for Rapid and Sensitive Detection of Small Molecules(低分子の素早く敏感な検出のための連続フローイムノアッセイ)」、Journal of Immunological Methods、第135巻、pp. 191-197(1990);「Biosensor Design and Application(バイオセンサーの設計および利用)」、J. Findleyら編、American Chemical Society Pressの、Liglerら、「Drug Detection Using the Flow Immunosensor(フローイムノセンサーを用いる薬物検出)」pp. 73-80(1992);および、Ogertら、「Detection of Cocaine Using the Flow Immunosensor(フローイムノセンサーを用いるコカインの検出)」、Analytical Letters、第25巻、pp. 1999-2019(1992);これらは全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。置換アッセイおよびフローイムノセンサーは米国特許第5,183,740号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)にも記載されている。この置換イムノアッセイは、低分子を検知するのに用いられるほとんどの競合イムノアッセイと異なり、増加する抗原濃度に陽性シグナルを創出することができる。
【0058】
本発明はまた、本発明のポリペプチド(例えば配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14、またはそれらの抗体結合フラグメント)へ抗体を結合させる方法であって、抗体-抗原複合体の形成が可能な条件下において、抗体を含有するサンプルをポリペプチドと接触させることを含む方法を提供する。これらの方法は、抗体-抗原複合体の形成を検出する工程をさらに含み得る。この方法の様々な局面において、イムノアッセイはH5血清型インフルエンザウイルスを検出するために行う。このようなイムノアッセイの例には、これらに限定されないが、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ラテラルフローアッセイ、イムノクロマトグラフィーストリップアッセイ、自動化フローアッセイ、ウエスタンブロット、免疫沈降アッセイ、リバーシブルフロークロマトグラフィー結合アッセイ、凝集アッセイおよびバイオセンサーなどがある。本発明のさらなる局面は、前述の検出方法を行う際のポリペプチドのアレイの使用を提供する(アレイは配列番号2、4、6、8、10、12または14に記載の少なくとも1つのポリペプチド(またはそれらのフラグメント)を含有し得、また同じまたは異なるインフルエンザ血清型の他のポリペプチドも含有し得る)。
【0059】
本発明はまた、本発明のポリペプチドに結合する抗体に関する。本明細書に記載のポリペプチドに免疫学的に特異的な抗体を特に考慮している。さまざまな実施態様において、他の赤血球凝集素ポリペプチドと交差反応しない抗体が好ましい。特に好ましい抗体は、H5血清型インフルエンザウイルスに由来する赤血球凝集素ポリペプチドに対して産生された抗体と交差反応しない。本発明の抗体は、標準的な材料および当分野に既知の方法を用いて調製できる(例えば、「Monoclonal Antibodies: Principles and Practice(モノクローナル抗体:原理と実践)」、1983;「Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications(モノクローナルハイブリドーマ抗体:技術と利用)」、1982;「Selected Methods in Cellular Immunology(細胞免疫学における選択的方法)」、1980;「Immunological Methods(免疫学的方法)」、第II巻、1981;「Practical Immunology(実践免疫学)」、およびKohler et al. [1975] Nature 256:495を参照のこと)。これらの抗体は1以上のさらなる成分、例えば固体支持体、担体または医薬上許容し得る賦形剤、または標識をさらに伴ってもよい。
【0060】
「抗体」なる用語は、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および、所望の生物学的活性、特に中和活性を示す限り、抗体フラグメントを含む。「抗体フラグメント」は、完全長抗体の一部、一般にその抗原結合領域または可変領域を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント;二重特異性抗体;直鎖状抗体(linear antibody);単鎖抗体分子;および複数の抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体などがある。
【0061】
本明細書において用いられる場合、「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に同種の抗体集団から得られる抗体を意味する、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は若干量存在し得る潜在的な天然突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対して方向付けられている。さらに、典型的に様々な決定基(エピトープ)に特異的な様々な抗体を含む、従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に対して方向付けられている。「モノクローナル」なる修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られる際の抗体の特性を示し、いずれかの特定の方法による抗体の産生を必要とするとは解釈しない。例えば、本発明において用いるべきモノクローナル抗体は、Kohler et al. [1975] Nature 256: 495に初めに記載されたハイブリドーマ法によって作成することができ、または組換えDNA法により作成することができる(例えば米国特許第4,816,567号明細書を参照のこと)。「モノクローナル抗体」は、例えばClackson et al. [1991] Nature 352: 624-628およびMarks et al. [1991] J. Mol. Biol. 222: 581-597に記載の技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
【0062】
本明細書に記載のモノクローナル抗体には、特に、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の種に由来するまたは特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同であり、鎖の残りの部分が別の種に由来するまたは別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同である、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)ならびに所望の生物学的活性を示す限りはそのような抗体のフラグメントが含まれる(米国特許第4,816,567号明細書;およびMorrison et al. [1984] Proc. Natl. Acad Sci. USA 81: 6851-6855)。また、配列番号2、4、6、8、10、12または14に記載のポリペプチドまたはそれらのフラグメントと特異的に結合するヒト化抗体も含まれる(例えばヒト化抗体の作製法を教示している米国特許第6,407,213号または6,417,337号明細書を参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0063】
「単鎖Fv」または「sFv」抗体フラグメントは、抗体のVHおよびVLドメインを含み、ここでこれらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一般に、FvポリペプチドはVHとVLドメインとの間に、ポリペプチドリンカーをさらに含み、これによりsFvは抗原結合のための所望の構造形成をすることができる。sFvの概説については、「The Pharmacology of Monoclonal Antibodies(モノクローナル抗体の薬理学)」[1994]第113巻:269-315(RosenburgおよびMoore編、Springer Verlag、New York)のPluckthunを参照のこと。
【0064】
「二重特異性抗体」なる用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントを意味し、そのフラグメントは同じポリペプチド鎖内に軽鎖可変ドメイン(VL)と連結した重鎖可変ドメイン(VH)(VH−VL)を含む。二重特異性抗体は、例えば、欧州特許第404,097号明細書;国際公開第1993/011161号パンフレット;およびHollinger et al. [1993] Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448により完全に記載されている。「直鎖状抗体」なる用語はZapata et al. [1995] Protein Eng. 8(10):1057-1062に記載されている抗体を意味する。
【0065】
「単離」抗体とは、その天然環境の成分から同定され、分離され、および/または回収された抗体である。その天然環境の汚染成分は、抗体の診断上のまたは治療的な利用を妨げ得る物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質が含まれ得る。好ましい実施態様において、抗体は以下の程度まで精製する:(1)Lowry法により定量して抗体の95重量%を超えるまで、最も好ましくは99重量%を超えるまで、(2)スピニングカップ(spinning cup)配列決定装置を用いてN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、または(3)還元または非還元条件下、クマシーブルー染色または好ましくは銀染色を用いたSDS-PAGEにより、均一となるまで。単離抗体は、抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないので、組換え細胞内のインサイチュ抗体を含む。しかしながら、普通は、単離抗体は少なくとも1つの精製工程を経て調製されるであろう。
【0066】
上述のように、「ヌクレオチド配列」、「ポリヌクレオチド」または「核酸」は互換的に用いることができ、本発明によると、二本鎖DNA、一本鎖DNAまたはそれらのDNAの転写産物(例えばRNA分子)のいずれかを意味すると解する。
【0067】
同一性のパーセンテージの範囲、20.00%〜99.99%は、記載した値を含む、および提供すると解されたく、また20.00%から、0.01%の間隔で99.99%を含むまでの断片的な値をサポートしている。これらのパーセンテージは純粋に統計学的値であり、2つの核酸配列の間の差異は、無作為に、完全配列長にわたって分布し得る。例えば、相同配列は、本発明の配列と、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99パーセントの同一性の割合を示し得る。典型的には、同一性のパーセンテージは、完全長、ネイティブおよび/または天然ポリヌクレオチドを基準にして計算される。「同一の」または「同一性」のパーセンテージなる用語は、2以上のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の文脈において、比較ウィンドウにおける最大の一致について比較し、アライメントした場合に、配列比較アルゴリズムを用いて、または手動アライメントおよび目視検査により測定して、同じである、または、同じヌクレオチドまたはアミノ酸残基を特定のパーセンテージで有する2以上の配列またはサブ配列を意味する。
【0068】
タンパク質および核酸配列の両方の相同性は、当分野に既知の様々な配列比較アルゴリズムおよびプログラムのいずれかを用いて評価することができる。そのようなアルゴリズムおよびプログラムには、決して限定はしないが、TBLASTN、BLASTP、FASTA、TFASTAおよびCLUSTALWなどがある(Pearson and Lipman、1988、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85(8):2444-2448;Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215(3):403-410;Thompson et al., 1994, Nucleic Acids Res. 22(2): 4673-4680;Higgins et al., 1996, Methods Enzymol. 266:383-402;Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215(3):403-410;Altschul et al., 1993, Nature Genetics 3:266-272)。配列比較は、典型的には、業者が提供するデフォルトのパラメーターを用いて、または上記の参考文献(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のパラメーターを用いて行う。
【0069】
「相補的」ポリヌクレオチド配列は、本明細書において用いる場合、二本鎖核酸分子(DNA-DNA、DNA-RNAまたはRNA-RNA)の特定のプリンと特定のピリミジンの間の水素結合から生じる配列を一般に意味する。主な特異的な対形成は、グアニンとシトシン、およびアデニンとチミンまたはウラシルである。「相補的」ポリヌクレオチド配列は、「アンチセンス」ポリヌクレオチド配列または「アンチセンス配列」とも称する場合がある。
【0070】
配列相同性および配列同一性は、高ストリンジェンシー、中程度のストリンジェンシーおよび/または低ストリンジェンシー下におけるハイブリダイゼーション調査によって測定することもできる。様々な程度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーションを採用することができる。より厳しい条件であるほど、二本鎖形成に要求される相補性がより高くなる。条件の厳しさは、温度、プローブ濃度、プローブ長、イオン強度、時間などにより調節できる。好ましくは、ハイブリダイゼーションは、当分野においてよく知られる技術、例えば、Keller、G.H.、M.M. Manak [1987]「DNA Probes(DNAプローブ)」、Stockton Press、New York, NY.、pp. 169-170に記載の技術によって、低、中、高ストリンジェンシー条件下において行う。
【0071】
例えば、サザンブロットにおける32P-標識化遺伝子特異的プローブと固定化DNAとのハイブリダイゼーションは、標準的な方法により行うことができる(Maniatisら[1982]「Molecular Cloning: A Laboratory Manual(分子クローニング:実験室マニュアル)」、Cold Spring Harbor Laboratory、New York)。一般的に、ハイブリダイゼーションおよび後の洗浄は、例示のポリヌクレオチド配列と相同性を有する標的配列の検出を可能にする中〜高ストリンジェンシー条件下において行うことができる。二本鎖DNA遺伝子プローブの場合、ハイブリダイゼーションは、6×SSPE、5×デンハート液、0.1%SDS、0.1mg/ml変性DNA中においてDNAハイブリッドの融解温度(Tm)から20-25℃低い温度にて一晩行うことができる。融解温度は以下の式によって表される(Beltz et al. [1983] 「Methods of Enzymology(酵素学の手法)」、R. Wu, L. GrossmanおよびK. Moldave編、Academic Press、New York 100:266-285)。
Tm=81.5℃+16.6 Log[Na+]+0.41(%G+C)−0.61(%ホルムアミド)−600/塩基対における二本鎖の長さ
【0072】
洗浄は典型的には以下のように行う:
(1)1×SSPE、0.1%SDS中、室温にて15分間、2回(低ストリンジェンシー洗浄);
(2)0.2×SSPE、0.1%SDS中、Tmから20℃低い温度にて15分間、1回(中ストリンジェンシー洗浄)。
【0073】
オリゴヌクレオチドプローブの場合、ハイブリダイゼーションは、6×SSPE、5×デンハート液、0.1%SDS、0.1mg/ml変性DNA中、ハイブリッドの融解温度(Tm)から10-20℃低い温度にて、一晩行うことができる。オリゴヌクレオチドプローブのTmは以下の式によって決定することができる:
Tm(℃)=2(T/A塩基対の数)+4(G/C塩基対の数)(Suggsら、[1981] ICN-UCLA Symp. Dev. Biol. 「Using Purified Genes(精製遺伝子の使用)」、D.D. Brown編、Academic Press、New York、23:683-693)。
【0074】
洗浄は以下のように行うことができる:
(1)1×SSPE、0.1%SDS中、室温にて15分間、2回(低ストリンジェンシー洗浄);
(2)1×SSPE、0.1%SDS中、ハイブリダイゼーション温度にて15分間、1回(中程度ストリンジェンシー洗浄)。
【0075】
一般に、塩および/または温度を変更してストリンジェンシーを変化させることができる。70塩基程度以上の長さの標識化DNAフラグメントの場合、以下の条件を用いることができる:
低:1または2×SSPE、室温
低:1または2×SSPE、42℃
中:0.2×または1×SSPE、65℃
高:0.1×SSPE、65℃。
【0076】
別の例において、これに限定しないが、高ストリンジェンシー条件を用いる方法を以下のように行うこともできる:DNA含有フィルターのプレハイブリダイゼーションを、6×SSC、50mM Tris HCl(pH 7.5)、1 mM EDTA、0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.02%BSAおよび500μg/ml変性サケ精子DNAにより構成される緩衝液において、65℃にて8時間から一晩行う。フィルターを、100μg/ml変性サケ精子DNAおよび5-20×106cpmの32P標識化プローブを含有するプレハイブリダイゼーション混合物中において、48時間、65℃(好ましいハイブリダイゼーション温度)にて、ハイブリダイズさせる。あるいは、ハイブリダイゼーション工程は、SSC緩衝液(0.15M NaClおよび0.05Mクエン酸ナトリウムに相当する1×SSC)の存在下において、65℃にて行うことができる。次に、フィルターの洗浄を、2×SSC、0.01%PVP、0.01%Ficollおよび0.01%BSA含有溶液中において37℃にて1時間行い、次いで、0.1×SSCにおいて50℃にて45分間洗浄することができる。あるいは、フィルターの洗浄は、2×SSCおよび0.1%SDS、または0.5×SSCおよび0.1%SDS、または0.1×SSCおよび0.1%SDSを含有する溶液中において、68℃にて15分間隔で行うことができる。洗浄工程に続き、ハイブリダイズプローブをオートラジオグラフィーにより検出することができる。用いることができる他の高ストリンジェンシー条件は当分野においてよく知られており、Sambrookら、1989年、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual(分子クローニング、実験室マニュアル)」、第2版、Cold Spring Harbor Press、N.Y.、pp. 9.47-9.57;およびAusubelら、1989年、「Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学の最新プロトコール)」、Green Publishing Associates and Wiley Interscience、N.Y.(これらはその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0077】
中程度のストリンジェンシーの条件を用いる方法の別の例に、これに限定されないが、以下のものがある:DNA含有フィルターをプレハイブリダイゼーションし、次いで5×SSC緩衝液および標識化プローブの存在下において60℃にてハイブリダイズさせる。次に、フィルターの洗浄を2×SSC含有溶液中において50℃にて行い、ハイブリダイズしたプローブをオートラジオグラフィーにより検出する。用いることができる他の中程度のストリンジェンシー条件は当分野においてよく知られており、Sambrookら、1989年、「Molecular Cloning, A laboratory Manual(分子クローニング、実験室マニュアル)」、第2版、Cold Spring Harbor Press、N.Y.、pp. 9.47-9.57;およびAusubelら、1989年、「Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学の最新プロトコール)」、Green Publishing Associates and Wiley Interscience、N.Y.(これらはその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0078】
二本鎖の形成および安定性は、ハイブリッドの2つの鎖の間の実質的な相補性に依拠し、上記のように、特定の度合のミスマッチは許容し得る。それ故に、本発明のプローブ配列は突然変異(1つおよび複数の両方)、欠失、記載配列の挿入、およびそれらの組み合わせを含み、その突然変異、挿入および欠失は、それらが存在しても目的の標的ポリヌクレオチドとの安定なハイブリッドの形成が可能なものである。突然変異、挿入および欠失は与えられたポリヌクレオチド配列に多くの方法によって作り出すことができ、これらの方法は当業者に知られている。他の方法も将来発見され得る。
【0079】
制限酵素を用いて本発明のDNA配列の機能性フラグメントを得ることができることも当分野においてよく知られている。例えば、Bal31エキソヌクレアーゼは、時間制御された限定されたDNAの消化に好都合に用いることができる(一般に「erase-a-base(一塩基消去)」法と呼ばれる)。例えば、Maniatisら[1982]「Molecular Cloning: A Laboratory Manual(分子クローニング:実験室マニュアル)」、Cold Spring Harbor Laboratory、New York;Wei et al. [1983] J. Biol. Chem. 258:13006-13512.を参照のこと。
【0080】
本発明は本発明のポリヌクレオチド配列のフラグメントをさらに含む。本発明によるポリヌクレオチド配列の代表的なフラグメントは、由来する配列の少なくとも5連続のヌクレオチド、好ましくは少なくとも12連続のヌクレオチド、さらにより好ましくは少なくとも15、18または少なくとも20連続のヌクレオチドを有するいずれかのヌクレオチドフラグメントを意味すると解されたい。そのようなフラグメントの上限は、特定のポリペプチド(例えば配列番号2のようなポリペプチド)をコードする完全長配列に見られるヌクレオチドの総数である。「連続(successive)」なる用語は、「連続(consecutive)」または「連続配列(contiguous span)」なる語句と置き換えることができる。従って、いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチドフラグメントは「少なくともXヌクレオチドの連続配列」と呼ぶことができ、ここでXは5から始まるいずれかの整数値である;そのようなフラグメントの上限は、特定のポリペプチド(例えば配列番号2を含むポリペプチド)をコードする完全長配列に見られるヌクレオチドの総数より1ヌクレオチド少ない値である。
【0081】
いくつかの実施態様において、本発明は、様々な条件のストリンジェンシー条件(例えば、高または中程度のまたは低ストリンジェンシー)下において本発明によるヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるフラグメントを含む;本発明のヌクレオチド配列とハイブリダイズするフラグメントは、要すれば、下記に記載のように標識化することができる。
【0082】
本発明は、一実施態様において、形質転換宿主細胞において、またはトリインフルエンザに感染していることが疑われる個体から単離された細胞において、本発明による核酸の存在を同定する方法を提供する。これらの様々な実施態様において、本発明は、サンプル(個体または細胞培養物から得られる)における核酸の検出であって、サンプルと本発明の核酸(ポリヌクレオチド)(例えばRNA、mRNA、DNA、cDNAまたは他の核酸)とを接触させることを含む検出を提供する。好ましい実施態様において、ポリヌクレオチドは、要すれば、標識化され検出系において用いられるプローブである。核酸の検出法は多く存在し、あらゆる適切な検出法が本発明に包含される。核酸ハイブリダイゼーションを利用する典型的なアッセイの型には以下のものがあるがこれらに限定されない:1)核ランオン(run-on)アッセイ、2)スロットブロットアッセイ、3)ノーザンブロットアッセイ(Alwine, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 74:5350)、4)磁性粒子分離、5)核酸またはDNAチップ、6)逆ノーザンブロットアッセイ、7)ドットブロットアッセイ、8)インサイチュハイブリダイゼーション、9)RNaseプロテクションアッセイ(Melton, et al., Nuc. Acids Res. 12:7035およびAmbion, Inc.、Austin, Tex.の1998年カタログに記載されている)、10)リガーゼ連鎖反応、11)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、12)逆転写酵素(RT)-PCR(Berchtold, et al., Nuc. Acids. Res. 17:453)、13)ディファレンシャルディスプレイRT-PCR(DDRT-PCR)または他の技術およびアッセイの適切な組み合わせ。これらの検出法における使用に適した標識には以下のものなどがあるがこれらに限定されない1)放射性標識、2)酵素標識、3)化学発光標識、4)蛍光標識、5)磁気標識、または以下に記載のものを含む他の適切な標識。これらの方法および標識は当分野においてよく知られており、当業者に広く利用可能である。同様に、標識を核酸へ組み込む方法も当業者によく知られている。
【0083】
従って、本発明はまた、標的配列または標的配列から作製された単位複製配列とのハイブリダイゼーションについての検出プローブ(例えば、開示したポリヌクレオチド配列のフラグメント)を提供する。そのような検出プローブは、少なくとも 8、9、10、11、12、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100ヌクレオチドの隣接/連続配列を含むであろう。標識化プローブまたはプライマーは放射性化合物または上記の別の種類の標識(例えば、1)放射性標識、2)酵素標識、3)化学発光標識、4)蛍光標識、または5)磁気標識)により標識化される。あるいは、非標識化ヌクレオチド配列を、プローブまたはプライマーとして直接用いてもよい;しかしながら、それらの配列は一般に、多くの用途に用いることができるプローブを提供するために、放射性元素(32P、35S、3H、125I)またはビオチン、アセチルアミノフルオレン、ジゴキシゲニン、5-ブロモ-デオキシウリジン、またはフルオレセインなどの分子により標識化される。
【0084】
本発明のポリヌクレオチドは、アレイまたは固体支持体と結合したポリヌクレオチドを用いた遺伝子発現の定性的および定量的な分析にも用いることができる。本明細書に用いる場合、アレイなる用語は、完全長ポリヌクレオチド、または遺伝子発現の特異的検出が可能となる十分な長さのポリヌクレオチドの一次元、二次元または多次元の配置を意味する。好ましくは、それらのフラグメントは少なくとも15ヌクレオチド長である。より好ましくは、それらのフラグメントは少なくとも100ヌクレオチド長である。さらに好ましくは、それらのフラグメントは100ヌクレオチド長よりも長い。いくつかの実施態様において、それらのフラグメントは500ヌクレオチド長より長くてもよい。
【0085】
例えば、遺伝子発現の定量的な分析は、本発明の完全長ポリヌクレオチドまたはそれらのフラグメントを用い、Schenaらにより報告されている相補的DNAマイクロアレイにおいて行うことができる(Science 270:467-470、1995;Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93:10614-10619、1996)。ポリヌクレオチド、またはそれらのフラグメントを、PCRにより増幅し、シリル化した顕微鏡用スライド上に配列させる。プリントしたアレイを湿気のあるチャンバー内でインキュベートしてアレイの各要素を再水和させ、0.2%SDS中にて1分間1回、水中にて1分間2回、水素化ホウ素ナトリウム溶液中にて5分間1回リンスした。アレイを水中に95℃にて2分間浸し、0.2%SDSに移して1分間置き、水により2回リンスし、空気乾燥させ、25℃にて暗闇の中で保存した。
【0086】
mRNAを生物学的サンプルから単離し、プローブを1ラウンドの逆転写によって調製した。プローブを14×14mmのカバーガラス下の1cm2のマイクロアレイに60℃にて6-12時間ハイブリダイズさせる。アレイを低ストリンジェンシー洗浄緩衝液(1×SSC/0.2%SDS)中において25℃にて5分間、次いで高ストリンジェンシー洗浄緩衝液(0.1×SSC/0.2%SDS)中において室温にて10分間洗浄した。アレイを0.1×SSC中において特注のフィルターセットを取り付けた蛍光レーザースキャニング装置を用いてスキャンする。2つの独立したハイブリダイゼーション率の平均を取って正確な発現差異の測定値を得る。
【0087】
生物学的サンプルに存在するポリヌクレオチドの定量的な分析も、Pietuらにより報告されているように、相補的DNAアレイにおいて行うことができる(Genome Research 6:492-503、1996)。本発明のポリヌクレオチドまたはそれらのフラグメントを、PCR増幅し、膜上にスポットする。次いで、様々な組織または細胞に由来する生物学的サンプルを起源とするmRNAを放射性ヌクレオチドにより標識化する。ハイブリダイゼーションおよび制御された条件における洗浄後、ハイブリダイズしたmRNAをホスホイメージングまたはオートラジオグラフィーにより検出する。2反復の実験を行い、次いで示差的に発現されたmRNAの定量的な分析を行う。
【0088】
あるいは、本発明のポリヌクレオチド配列はDNAチップなどの分析系において用いることもできる。DNAチップおよびそれらの使用は当分野においてよく知られており(例えば米国特許第5,561,071号;5,753,439号;6,214,545号明細書;Schena et al., BioEssays, 1996, 18:427-431;Bianchi et al., Clin. Diagn. Virol.、1997, 8:199-208;それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、および/またはAffymetrix, Inc.、Santa Clara, CA)などの業者により提供されている。さらに、本発明の核酸配列は核酸分析法において分子量マーカーとして用いることができる。
【0089】
本発明はまた、以下を含む遺伝子コンストラクトを提供する:a)配列番号2、4、6、8、10、12または14を含むポリペプチドまたはそれらのフラグメントをコードするポリヌクレオチド配列;b)配列番号2、4、6、8、10、12または14を含むポリペプチド、または配列番号2、4、6、8、10、12または14のフラグメントをコードするポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約20%〜99.99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、ここで前記ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12または14を含むポリペプチドまたはそれらのフラグメントの少なくとも1つの生物学的活性を有する;c)配列番号2、4、6、8、10、12または14を含むポリペプチドまたは配列番号2、4、6、8、10、12または14のフラグメントに対して少なくとも約20%〜99.99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列、ここで前記ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12または14を含むポリペプチドまたはそれらのフラグメントの少なくとも1つの生物学的活性を有する;d)配列番号2、4、6、8、10、12または14を含むポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌクレオチド配列、ここでそのフラグメントは配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドの少なくとも1つの活性を有する;e)配列番号1、3、5、7、9、11または13を含むポリヌクレオチド配列;f)配列番号1、3、5、7、9、11または13のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約20%〜99.99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列;g)配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドの変異体(例えば変異ポリペプチド)をコードするポリヌクレオチド配列、ここでその変異体は配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドと関連する少なくとも1つの生物学的活性を有する;h)(g)に記載の変異ポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌクレオチド配列、ここでその変異ポリペプチドのフラグメントはそのポリペプチドと関連する少なくとも1つの生物学的活性を有する;i)多量体コンストラクトをコードするポリヌクレオチド配列;またはj)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)または(i)に記載のポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチド。本発明の遺伝子コンストラクトは、さらなる調節エレメント、例えばプロモーターおよびエンハンサーおよび、要すれば、選択可能マーカーを含有することもできる。
【0090】
要すれば調節エレメントと連結した、本明細書に記載の遺伝子コンストラクトまたは上記に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するベクターまたは発現カセットも本発明の範囲内にある。ベクターおよび発現カセットは、さらなる転写調節配列も含有し得る。そのベクターおよび発現カセットは選択可能マーカーをさらに含み得る。発現カセットは、調節配列と作動可能に連結した、生物へ共に形質転換されるべき、少なくとも1つのさらなる遺伝子を含有し得る。あるいは、さらなる遺伝子および調節エレメントを多重発現カセット上に供給することができる。そのような発現カセットには、調節領域の転写調節下にあるべき本発明の配列を挿入するための複数の制限部位が供給されている。発現カセットは、調節エレメントに作動可能に連結した選択可能マーカー遺伝子をさらに含有し得る。
【0091】
発現カセットは、転写の5'-3'方向に、転写および翻訳開始領域、本発明のDNA配列、および転写および翻訳終結領域を含むであろう。転写開始領域、プロモーターは、宿主細胞にとって、ネイティブもしくは類似体、または外来もしくは異種性であり得る。さらに、プロモーターは天然配列あるいは合成配列であり得る。「外来」によって、転写開始領域が、その転写開始領域が導入されるネイティブ植物には見られないものであることを意図している。本明細書において用いる場合、キメラ遺伝子は、コード配列にとって異種性の転写開始領域に作動可能に連結されたコード配列を含む。
【0092】
本発明の別の局面は、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列のクローニングおよび/または発現のためのベクターを提供する。本発明のベクターは、ワクチンベクターを含め、与えられた宿主細胞においてそのヌクレオチド配列を発現および/または分泌させるのに必要なエレメントを含むこともできる。ベクターは、プロモーター、翻訳の開始および終結シグナル、ならびに適切な転写調節領域を含有し得る。特定の実施態様において、ベクターは、宿主細胞において安定に維持することができ、要すれば、翻訳されたタンパク質の分泌を方向付けるシグナル配列を含有することができる。これらの種々のエレメントは用いる宿主細胞に応じて選択する。ベクターは宿主ゲノムに組み込むことができ、または要すれば、自己複製ベクターであり得る。
【0093】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドにより形質転換された宿主細胞を、本発明のポリペプチドの発現、および要すれば、発現されたポリペプチドの回収が可能な条件下において培養することを含む、本明細書に開示されたポリヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチド、ペプチド、フラグメントまたは変異体の発現を提供する。
【0094】
開示されたポリヌクレオチド配列は、そのタンパク質またはペプチドが組換えDNA分子により形質転換された宿主において発現されるように、第2の核酸配列により調節することもできる。例えば、タンパク質またはペプチドの発現は、当分野において既知のいずれかのプロモーター/エンハンサーエレメントにより制御することができる。発現を制御するのに用いることができるプロモーターには、以下のものなどがあるがこれらに限定されない:CMV-IEプロモーター、SV40初期プロモーター領域(Bernoist and Chambon, 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスの長い3'末端反復に含有されるプロモーター(Yamamoto, et al., 1980, Cell 22: 787-797)、単純ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al., 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78: 1441-1445)、メタロイチオネイン遺伝子の調節配列(Brinster et al., 1982, Nature 296: 39-42);βラクタマーゼプロモーター(Villa-Kamaroff, et al., 1978, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 75:3727-3731)、またはtacプロモーター(DeBoer, et al., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:21-25)などのプロモーターを含有する原核生物ベクター;Scientific American、1980、242:74-94の「Useful Proteins from recombinant bacteria(組換え細菌由来の有用なタンパク質)」も参照のこと;ノパリンシンセターゼプロモーター領域(Herrera-Estrella et al., 1983, Nature 303:209-213)またはカリフラワー・モザイク・ウイルス35S RNAプロモーター(Gardner, et al., 1981, Nucl. Acids Res. 9:2871)、および光合成酵素リブロース二リン酸カルボキシラーゼのプロモーター(Herrera-Estrella et al., 1984, Nature 310:115-120)を含む植物発現ベクター;酵母または菌類由来のプロモーターエレメント、例えばGal 4プロモーター、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセリン酸(phosphoglycerol)キナーゼ)プロモーター、および/またはアルカリフォスファタ−ゼプロモーター。
【0095】
本発明によるベクターは、例えば、プラスミドまたはウイルス起源のベクターである。特定の実施態様において、開示したポリヌクレオチド配列に含有されるタンパク質またはペプチドコード核酸配列に作動可能に連結したプロモーター、1以上の複製開始点、および要すれば、1以上の選択可能マーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子)を含むベクターを用いる。発現ベクターは、所望の宿主細胞における遺伝子発現などの遺伝子発現を調節する調節配列を含む。本発明のポリペプチドの発現のためのベクターの例には、pET-タイププラスミドベクター(Promega)またはpBADプラスミドベクター(Invitrogen)または下記の実施例に記載のベクターなどがある。さらに、本発明によるベクターは、本発明のポリヌクレオチド配列をクローニングするまたは発現するように宿主細胞を形質転換するのに有用である。
【0096】
本発明はまた、本発明によるベクターにより形質転換された宿主細胞も包含する。これらの細胞は、上記に記載のようなベクターに挿入されたヌクレオチド配列を宿主細胞へ導入し、次いで、本発明のポリヌクレオチド配列の複製および/または発現が可能な条件下においてその細胞を培養することにより得ることができる。
【0097】
宿主細胞は、真核生物または原核生物系、例えば細菌細胞(グラム陰性またはグラム陽性)、酵母細胞(例えば、出芽酵母(Saccharomyces cereviseae)またはピキア・パストリス(Pichia pastoris))、動物細胞(例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)、植物細胞および/またはバキュロウイルスベクターを用いる昆虫細胞から選択され得る。いくつかの実施態様において、ポリペプチドの発現のための宿主細胞には、米国特許第6,319,691号、6,277,375号、5,643,570号または5,565,335号明細書(それぞれ参照によりその全体が組み込まれる)(各特許に引用されるあらゆる参考文献を含む)に記載されている細胞などがあるがこれらに限定されない。
【0098】
さらに、宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節する、または遺伝子産物を所望の特定の様式に修飾するおよび加工するものが選択され得る。特定のプロモーターからの発現は特定の誘導因子の存在下において増大させることができる;従って、その遺伝子操作されたポリペプチドの発現は制御することができる。さらに、種々の宿主細胞が、翻訳および翻訳後プロセシングおよびタンパク質の修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化)において特徴的な特別の作用機序を有する。発現された外来タンパク質の所望の修飾および加工を確実に行うために適切な細胞株または宿主系を選択してもよい。例えば、細菌系における発現を利用して非グリコシル化コアタンパク質産物を産生することができる。酵母における発現によりグリコシル化産物を産生し得る。哺乳類細胞における発現を利用して異種タンパク質の「ネイティブな」グリコシル化を確実に行うことができる。さらに、それぞれのベクター/宿主発現系は、それぞれの程度までプロセシング反応を行うことができる。
【0099】
調節エレメントに作動可能に連結した、本明細書に記載の1以上のポリヌクレオチド、またはそれらの生物学的に活性なフラグメントを含む、1以上のポリヌクレオチド配列、遺伝子コンストラクト、ベクターまたは発現カセットを含有する、形質転換植物細胞、トランスジェニック種子、トランスジェニック植物の部分およびトランスジェニック植物も提供する。本明細書において用いる場合、「植物」なる用語には藻類および高等植物(樹木を含むがこれに限定されない)が含まれる。従って、藻類、単子葉類および双子葉類は本発明の遺伝子コンストラクト、発現カセットまたは本発明によるベクターにより形質転換され得る。特定の好ましい実施態様において、タバコの植物体またはタバコ細胞株を本明細書による遺伝子コンストラクトにより形質転換する。
【0100】
このように、本出願に記載の組成物の産生または免疫化プロトコールに有用なポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12または14を含む(本質的にからなる、またはからなる)ポリペプチド、それらのフラグメント、それらの変異ポリペプチド、または前述のポリペプチドのフラグメント、を発現するように遺伝子改変されたトランスジェニック植物細胞から由来するまたは得ることができる。例えば、米国特許出願公開第2004/0268442 A1号明細書を参照のこと;その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0101】
トランスジェニック植物は、本明細書において、形質転換植物の細胞またはプロトプラストに由来する、植物細胞培養物、植物細胞株、植物組織培養物、下等植物、単子葉植物、双子葉植物またはそれらの子孫または部分と定義し、ここで形質転換植物のゲノムは、同じ種のネイティブの、非トランスジェニック植物細胞に本来存在しない、実験室における技術により導入された外来DNAを含有する。「トランスジェニック植物」および「形質転換植物」なる用語は、時として当分野においてDNAに外来DNA分子を含有する植物を定義するための同義語として用いられる。必要に応じて、本明細書に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、形質転換植物、植物細胞または植物の部分における発現のために最適化することができる。すなわち、遺伝子は目的の種に対応する、種に好ましいコドンを用いて合成することができる。例えば、植物に好ましい遺伝子の合成についての方法が、当分野において利用可能である。例えば米国特許第5,380,831号および5,436,391号明細書、およびMurray et al.(1989)Nucleic Acids Res. 17:477-498を参照のこと;参照により本明細書に組み込まれる。
【0102】
植物においてポリペプチドを発現するための遺伝子カセットの構築は、よく知られている方法、例えばSambrookら(1989);およびAusubelら(1987)「Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学の最新プロトコール)」、John Wiley and Sons、New York, NYに記載の方法を利用して容易に行うことができる。
【0103】
本発明のコンストラクトを調製するにあたり、適切な配向性、および必要に応じて、適切な読み枠のDNA配列が得られるように、様々なDNAフラグメントを操作してもよい。アダプターまたはリンカーをDNAフラグメントを連結させるのに用いてもよく、または、好都合な制限部位の導入、過剰なDNAの除去、制限部位の除去などを行うために他の操作を含んでもよい。
【0104】
様々な工程を行う際に、クローニングを用いて、後に所望の宿主細胞へ導入するプロモーター/目的の遺伝子を含有するベクターを増幅する。広範な種類のクローニングベクターが利用可能であり、ここでクローニングベクターは大腸菌(E. coli)において機能性の複製系および形質転換細胞の選択を可能にするマーカーを含む。ベクターの例には、pBR322、pUCシリーズ、pACYC184、Bluescriptシリーズ(Stratagene)などがある。従って、ベクターの適切な制限部位に配列を挿入し、得られたプラスミドを用いて大腸菌宿主(例えば、大腸菌株HB101、JM101およびDH5α)を形質転換し、その大腸菌を適切な栄養培地において成長させ、その細胞を収穫し、溶解させ、プラスミドを回収することができる。分析には、配列分析、制限酵素分析、電気泳動などが包含され得る。各操作後、最終コンストラクトに用いるべきDNA配列を、制限酵素により切断し、次の配列へ連結することができ、ここでそれぞれの部分的コンストラクトは同じまたは異なるプラスミドにおいてクローニングしてもよい。
【0105】
植物細胞の形質転換のためのベクターは入手可能であり、または容易に調製することができる。一般に、プラスミドまたはウイルスベクターは、所定の宿主における異種DNA配列の保持および発現の両方に必要な全てのDNA制御配列を含有すべきである。そのような制御配列は一般に、リーダー配列および翻訳開始シグナルコドン、翻訳終結コドンをコードするDNA配列、およびメッセンジャーRNAプロセシングを制御する3'UTRシグナルをコードするDNA配列を含む。いずれかの特定の種における発現を最適化するための適切なエレメントの選択は、本明細書の記載事項を利用する当業者の問題である。最終的に、ベクターは望ましくは、ベクターを含有する宿主細胞の同定を可能にする表現型的な性質を提供することができるマーカー遺伝子を持つべきである。
【0106】
植物細胞へ挿入される外来コード配列の活性は、その挿入物に近接する内在植物DNAの影響に依拠する。一般に、異種遺伝子の挿入は、いずれの形質転換技術を用いても無作為であるようである;しかしながら、植物細胞へのDNAの部位特異的組換えを有する植物を作り出すための技術は存在する(国際公開第91/09957号パンフレットを参照のこと)。プロモーターの制御下において所望の配列の発現を起こさせるあらゆる方法または方法の組み合わせが適用可能である。
【0107】
本発明は、植物細胞を形質転換するためのいずれかの特定方法に限定されない。DNAを植物細胞へ導入する技術は当業者によく知られている。外来DNAを植物細胞へ輸送する4つの基本的な方法が報告されている。化学的手法(Graham and van der Eb, Virology, 54(02):536-539、1973;Zatloukal, Wagner, Cotton, Phillips, Plank, Steinlein, Curiel, Birnstiel, Ann. N.Y. Acad. Sci.、660:136-153、1992);微量注入を含む物理的方法(Capecchi, Cell, 1980, 22(2):479-488)、エレクトロポレーション(Wong and Neumann, 1982, Biochim. Biophys. Res. Commun., 107(2):584-587;Fromm, Taylor, Walbot, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82(17):5824-5828;米国特許第5,384,253号明細書)および遺伝子銃(Johnston and Tang, 1994, Methods Cell. Biol., 43(A):353-365;Fynan, Webster, Fuller, Haynes, Santoro, Robinson, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90(24):11478-11482);ウイルスを用いる方法(Clapp, 1993, Clin. Perinatol., 20(1):155-168;Lu, Xiao, Clapp, Li, Broxmeyer, 1993, J. Exp. Med., 178(6):2089-2096;Eglitis and Anderson, 1988, Biotechniques, 6(7):608-614;Eglitis, Kantoff, Kohn, Karson, Moen, Lothrop, Blaese, Anderson, 1988, Avd. Exp. Med. Biol., 241:19-27);および受容体を媒介する方法(Curiel, Agarwal, Wagner, Cotten, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88(19):8850-8854;Curiel, Wagner, Cotten, Birnstiel, Agarwal, Li, Loechel, Hu, 1992, Hum. Gen. Ther., 3(2):147-154;Wagner et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89(13):6099-6103)。
【0108】
エレクトロポレーションによる植物細胞へのDNAの導入は当業者によく知られている。植物細胞壁分解酵素、例えばペクチン分解酵素を用いて、レピシエント細胞を未処理細胞よりもエレクトロポレーションによる形質転換に対してより感受性にする。エレクトロポレーションによる形質転換を達成するために、いずれかのもろい組織、例えば細胞の懸濁培養物、または胚発生カルス、または未成熟胚、または他の器質化組織を直接用いることができる。標的植物材料の植物細胞の細胞壁を部分的に分解するには、一般に、ペクチン分解酵素、または制御された方法により機械的に傷つける方法が必要とされている。そのように処理した植物材料はエレクトロポレーションにより外来DNAを容易に受け入れる。
【0109】
外来形質転換DNAを植物細胞へ輸送する別の方法は、微粒子銃による方法である。この方法において、微粒子は外来DNAにより被覆され、推進力により細胞へ輸送される。そのような微粒子は典型的にはタングステン、金、白金および同様の金属から作製される。微粒子銃の利点は、プロトプラストの単離も(Cristou et al., 1988, Plant Physiol., 87:671-674)アグロバクテリウム感染への感受性も必要ないことである。DNAをトウモロコシ細胞へ加速度により輸送する方法の実施態様の例は、微粒子銃粒子輸送(Biolistics Particle Delivery)系であり、これは、DNAまたは細胞によって被覆した粒子を、スクリーンを通して、懸濁培養において培養したトウモロコシ細胞により被覆したフィルターの表面上に推進させるのに用いることができる。スクリーンは粒子を分散させ、その結果、粒子は大きな凝集物の中にあるレピシエント細胞には輸送されない。ボンバードメントの際には、懸濁培養細胞を好ましくはフィルターまたは固体培養培地上に集めておく。あるいは、未成熟胚または他の標的細胞を固体培養培地上に配置しておいてもよい。発射粒子を受け取るべき細胞は、大きな粒子を止めるプレートの下の適切な距離に位置させる。微粒子銃による形質転換において、最大数の安定な形質転換がなされるように、ボンバードメントを行う前の培養条件およびボンバードメントのパラメーターを最適化することができる。ボンバードメントにおける物理的および生物学的パラメーターは、この技術において重要である。物理的因子は、DNA/微粒子沈殿の操作に関する因子、または微粒子銃の飛行および速度に影響する因子である。生物学的因子は、ボンバードメント前および直後の細胞の操作に関するあらゆる工程、ボンバードメントに関係する外傷の軽減を助けるための標的細胞の浸透圧の調整、また、直線化されたDNAまたはインタクトなスーパーコイルプラスミドなどの形質転換するDNAの性質を含む。
【0110】
アグロバクテリウム媒介性の移入は、DNAを全植物組織へ導入することができ、プロトプラストからインタクトな植物を再生する必要がないため、外来DNAを植物細胞へ導入するために広く適用可能な系である。DNAを植物細胞へ導入するためのベクターを組み込んだアグロバクテリウム媒介性植物の使用は、当分野においてよく知られている。例えばFraley et al., 1985, Biotechnology, 3:629;Rogers et al., 1987, Meth. in Enzymol., 153:253-277に記載の方法を参照のこと。さらに、Ti-DNAの組み込みは比較的正確な工程であり、再配列が少ししか生じない。移入を受けるべきDNAの領域は、広い配列によって規定され、Spielmann et al., 1986, Mol. Gen. Genet., 205:34;Jorgensen et al., 1987, Mol. Gen. Genet., 207:471に記載されているように、通常、介在DNAが植物ゲノムへ挿入される。
【0111】
最新のアグロバクテリウム形質転換ベクターは、大腸菌ならびにアグロバクテリウムにおける複製が可能であり、操作が便利になっている。さらに、アグロバクテリウム媒介性の遺伝子の移入のためのベクターにおける最近の技術的な進歩において、様々なタンパク質またはポリペプチドを発現することが可能なベクターの構築を容易にするためにベクターにおける遺伝子および制限部位の配置が改善されている。挿入されたポリペプチドコード遺伝子を直接的に発現するためのプロモーターおよびポリアデニル化部位に隣接している好都合なマルチリンカー領域が、本発明の目的に適している。さらに、アーム型およびディスアーム型の両方のTi遺伝子を含有するアグロバクテリウムを形質転換に用いることができる。
【0112】
植物プロトプラストの形質転換は、リン酸カルシウム沈殿に基づく方法、ポリエチレングリコール処理、エレクトロポレーション、およびこれらの処理の組み合わせを用いて達成することができる(例えばPotrykus et al., 1985, Mol. Gen. Genet., 199:183;Marcotte et al., 1988, Nature, 335:454を参照のこと)。様々な植物種へのこれらの系の適用は、その具体的な種がプロトプラストから再生できる能力に依拠している。
【0113】
植物細胞が形質転換され、選択され、抗原発現について確認されれば、いくつかの場合において完全な稔性植物を再生することが可能である。これは選択する植物種に大いに依拠している。多くの植物種を再生する方法が文献に報告されており、当業者によく知られている。本発明の実施において、一般的な長い再生工程を回避して、素早く培養し拡大できる植物細胞株を形質転換するのが好ましい。さらに、植物細胞培養物の使用により露地栽培が避けられ、遺伝子漏れおよび食物汚染の改変が非常に減少する。NT-1およびBY-2(An, G., 1985, Plant Physiol., 79:568-570)などの株は培養における処理に特に感受性であり、容易に形質転換され、安定に組み込み現象を生じ、冷凍保存に耐えるため、これらの株のタバコ懸濁細胞培養物が好ましい。
【0114】
タバコ懸濁細胞株NT-1は、本発明の実施に適している。NT-1細胞は元はタバコ(Nicotiana tabacum L.cv. bright yellow 2)から開発された。NT-1細胞株は広く用いられており、容易に入手できる;しかし、いずれのタバコ懸濁細胞株も本発明の実施と調和する。下記の実施例に用いるのに適したNT-1細胞は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)からアクセッション番号ATCC番号74840で入手可能である。米国特許第6,140,075号明細書も参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0115】
実験室規模の振盪フラスコから数千リットルのバイオリアクター容器に到る範囲の多くの植物細胞培養技術および系が、植物細胞培養の分野において報告されよく知られている。例えばFischer, R. et al, 1999, Biotechnol. Appl. Biochem., 30, 109-112およびDoran, P., 2000, Current Opinions in Biotechnology、11:199-204を参照のこと。形質転換された植物細胞を所望の質量にまで培養した後、収穫し、穏やかに洗浄し適切な破壊用緩衝液中におく。多くの種類の緩衝液が本発明に適合する。一般に、緩衝液は、膜を可溶化するのに用いることができる粗い界面活性剤を含有しない中性pHのまたはその付近のpHの等張性緩衝塩水溶液である。好ましい緩衝液には、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水および1mM EDTA含有PBSなどがある。
【0116】
一実施態様において、細胞は超音波処理により破壊することができる。洗浄した細胞を約0.01gm/ml〜約5.0gm/mlの範囲、好ましくは約0.1gm/ml〜約0.5gm/mlの範囲(洗浄した細胞の湿重量/緩衝液の体積)の緩衝液中におく。多くの市販購入し得る超音波処理装置は本発明と調和し、超音波時間は約5〜約20秒、好ましくは約15〜約20秒の範囲である。得られるものは数ミクロンから数百ミクロンのサイズの範囲であり得、HA1ポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを顕わにする。
【0117】
本発明はまた、免疫反応または防御免疫反応を誘発するのに用いることができるDNAワクチン組成物にも関する。本発明のこの局面において、個体において免疫反応または防御免疫反応を誘発するのに十分な量の、本明細書に記載のポリペプチド(またはそれらのフラグメント)をコードする組換えDNAまたはmRNAを含む組成物を個体に投与する。シグナル配列は目的の抗原をコードする核酸から除去してもよく、当分野において既知の方法によって免疫反応の誘導について個体をモニターすることができる。「防御免疫反応」または「治療免疫反応」は、疾患の症状、副作用または進行を何らかの方法で防止するまたは少なくとも部分的に抑止する、抗原に対するCTL(またはCD8+T細胞)、HTL(またはCD4+T細胞)および/または体液性防御免疫反応を意味する。本発明の文脈において、このような防御または治療反応は、非免疫化個体と比較して、免疫化個体において増加した生存率(減少した死亡率)をもたらし、またはトリインフルエンザウイルスに曝露した免疫化個体においてウイルス出芽の減少をもたらす。
【0118】
別の実施態様において、本発明は、本発明のポリペプチド抗原またはその組成物と併せてポリヌクレオチド(DNA)ワクチンを投与することをさらに含む。好ましい実施態様において、抗原はポリヌクレオチドワクチンとして投与されたポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドである。特に好ましい実施態様において、ポリヌクレオチドワクチンの初回投与後に追加免疫としてポリペプチド抗原を投与する。
【0119】
本発明のさらなる実施態様は、当業者に既知の「プライムブースト」予防接種投与計画を用いる、本明細書に開示した新規な赤血球凝集素抗原(例えば、添付の配列表に記載のポリペプチドおよびペプチドフラグメントを参照)に対する免疫反応の誘導を提供する。本発明のこの局面において、本発明のDNAワクチンまたはポリペプチド抗原の、個体の免疫反応を「刺激(プライム)」するのに十分な量を個体に投与する。次いで、個体の免疫反応を、1)本発明のペプチド、ポリペプチドおよび/または完全長ポリペプチド抗原のうちの1つまたはそれらの組み合わせ(必要に応じて免疫賦活分子および/またはアジュバントと併せて);または2)本明細書に記載の1以上の同じまたは要すれば異なる抗原、マルチエピトープコンストラクトおよび/またはペプチド抗原をコードする核酸を含有するウイルスベクターの投与によって「追加免疫(ブースト)」する。本発明のいくつかの別の実施態様において、免疫賦活分子をコードする遺伝子を、個体の免疫反応を「追加免疫」するのに用いるウイルスベクター内に組み込んでもよい。免疫賦活分子の例には、以下のものなどがあるが、これらに限定されない:IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-15、Il-16、Il-18、IL-23、IL-24、エリスロポエチン、G-CSF、M-CSF、血小板由来増殖因子(PDGF)、MSF、FLT-3リガンド、EGF、繊維芽細胞増殖因子(FGF;例えば、aFGF(FGF-1)、bFGF(FGF-2)、FGF-3、FGF-4、FGF-5、FGF-6またはFGF-7)、インスリン様増殖因子(例えば、IGF-1、IGF-2);血管内皮増殖因子(VEGF);インターフェロン(例えば、IFN-γ、IFN-α、IFN-β);白血病抑制因子(LIF);毛様体神経栄養因子(CNTF);オンコスタチンM;幹細胞因子(SCF);トランスフォーミング増殖因子(例えば、TGF-α、TGF-β1、TGF-β1、TGF-β1)、またはケモカイン(例えば、BCA-1/BLC-1、BRAK/Kec、CXCL16、CXCR3、ENA-78/LIX、エオタキシン-1、エオタキシン-2/MPIF-2、Exodus-2/SLC、フラクタルカイン/ニューロタクチン、GROアルファ/MGSA、HCC-1、I-TAC、リンホタクチン/ATAC/SCM、MCP-1/MCAF、MCP-3、MCP-4、MDC/STCP-1、ABCD-1、MIP-1α、MIP-1β、MIP-2α/GROβ、MIP-3α/Exodus/LARC、MIP-3β/Exodus-3/ELC、MIP-4/PARC/DC-CK1、PF-4、RANTES、SDF1α、TARCまたはTECKであるがこれらに限定されない)。これらの免疫賦活分子をコードする遺伝子は当業者に既知であり、コード配列は、様々な特許データベース、公的に入手可能なデータベース(例えば、国立医学図書館(National Library of Medicine)またはヨーロッパ分子生物学研究所(European Molecular Biology Laboratory)にて閲覧できる核酸およびタンパク質データベース)、科学文献、またはGenzyme, Inc.、R&D Systems, IncまたはInvivoGen, Inc.などの企業が作製したカタログに引用された科学文献を含む、様々な情報源から得ることができる(例えば、「the 1995 Cytokine Research Products catalog(1995年サイトカイン研究製品カタログ)」、Genzyme Diagnostics、Genzyme Corporation、Cambridge MA;R&D Systems, Inc.、Minneapolis, MNの2002年または1995年のカタログ;またはInvivoGen, Inc.、San Diego, CAの2002年のカタログを参照のこと;それぞれ参照により、その中に引用されているあらゆる参考文献を含め、その全体が組み込まれる)。
【0120】
DNAワクチンを個体へ導入する方法は当業者によく知られている。例えば、DNAは骨格筋または他の体細胞組織へ注射することができる(例えば筋肉内注射)。カチオン性リポソームまたは微粒子銃装置、例えば遺伝子銃を用いてDNAワクチンを輸送することができる。あるいは、イオントフォレーシスおよび他の経皮伝達手段をDNAワクチンの個体への導入に用いることができる。
【0121】
本発明に用いるウイルスベクターは、ウイルスの感染力を損なわずに新たな遺伝子を導入するために除去されるウイルスゲノムの一部を有する。本発明のウイルスベクターは、典型的には、非病原性ウイルスである。実験者の自由選択によって、ウイルスベクターは、特定の細胞タイプ、例えばプロフェッショナル抗原掲示細胞(例えばマクロファージまたは樹状細胞)に感染するものを選択することができる。あるいは、ウイルスベクターは、個体のあらゆる細胞に感染できるものを選択することができる。本発明に用いるのに適したウイルスベクターの例には、ポックスウイルス、例えばワクシニアウイルス、トリポックスウイルス、鶏痘ウイルス、高度に弱毒化されたワクシニアウイルス(例えばアンカラ(Ankara)またはMVA(Modified Vaccinia Ankara(修飾ワクシニアウイルスアンカラ)))、レトロウイルス、アデノウイルス、バキュロウイルスなどがあるがこれらに限定されない。好ましい実施態様において、ウイルスベクターはアンカラまたはMVAである。
【0122】
ワクシニアウイルス発現ベクターの一般的な構築法は当業者に知られている(例えば、Smith and Moss Bio Techniques Nov/Dec, 306-312, 1984;米国特許第4,738,846号明細書を参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。SutterおよびMoss(Proc. Nat'l. Acad. Sci U.S.A. 89:10847-10851, 1992)ならびにSutterら(Vaccine, 12(11):1032-40, 1994)は、本発明においてウイルスベクターとして用いることができる非反復性の組換えアンカラウイルス(MVA)の、ベクターとしての構築および使用を報告している。
【0123】
本発明のポリヌクレオチドを含む組成物は、市販購入し得る適切な核酸ワクチンベクター(プラスミド)(例えばVical、San Diego, CAから)、または、市販購入し得る他の核酸ベクター(プラスミド)(例えばValenti、Burlingame, CAから)を含み得る。あるいは、本発明は、本発明によるウイルスベクターおよびポリヌクレオチドを含む組成物を提供する。さらに、その組成物は医薬上許容し得る担体、例えば生理食塩水を含み得る。医薬上許容し得る担体は当分野においてよく知られており、市販購入することもできる。例えば、そのような許容し得る担体はE.W. Martinの「Remington's pharmaceutical Science(レミントンの薬学)」、Mack Publishing Company、Easton, PAに記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】図1は、MHC IおよびCTL(細胞毒性Tリンパ球)と相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−1】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−2】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−3】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−4】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−5】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−6】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−7】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−8】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−9】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図3】図3は、抗体分子と相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図4】図4は、植物における合成HA遺伝子の一過性の発現を示す(バイナリーベクターpDAB4492−pDAB4498を用いて観察した)。棒グラフは、接種の2または3日後に採取しプールした7つのサンプルから作製された粗製抽出物の2反復の平均ODを表す。平均化した後のトランスジェニックサンプルのODから野生型植物の葉のODを差し引いた。「92」はpDAB4492;「93」はpDAB4493;「94」はpDAB4494;「95」はpDAB4405;「96」はpDAB4496;「97」はpDAB4497;「98」はpDAB4498;「d2」は2日目、「d3」は3日目を表す。
【図5】図5は(NT1植物細胞培養物において)AIV HAを安定に発現する細胞株におけるHA含量を示す。株番号の初めの2桁はプラスミドコンストラクト(pDAB44xx)を示す。
【図6】図6は、ペチュニアの毛状根の培養物におけるpDAB4498の発現を示す:pDAB4498により形質転換されたペチュニア15株およびペチュニア陰性対照をHA発現についてELISAによりスクリーニングした。全可溶性タンパク質50μgをヤギ抗HAv5により被覆したELISAプレートに加えた。USDAニワトリ抗AIV、次いでウサギ抗ニワトリ、次いでヤギ抗ウサギIgG HRPを加えてHAを検出した。
【図7】図7はPR-8 HAに対する抗体反応を示し、マイクロタイタープレートを1ウェルにつき5μgのPR-8 HAによって被覆することにより標準的ELISA法によって検出した。
【図8】図8は、動物細胞のDNAトランスフェクションからのHA ELISA力価を示す。結果は、先祖遺伝子96(pDAB4496)、97(pDAB4497)および98(pDAB4498)が、ネイティブなTurkey Wisconsin 68 HA遺伝子93(pDAB4493)、94(pDAB4494)および95(pDAB4495)またはそれらネイティブ遺伝子の誘導体と同等の、またはより多いHAを発現することを示している。収集したトランスフェクト細胞をヤギ抗HAv5により被覆したELISAプレートに加えた。USDAニワトリ抗AIV、次いでウサギ抗ニワトリ、次いでヤギ抗ウサギIgG HRPを加えてHAを検出した。
【図9A】図9は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図9A(HAv1)は、配列番号1(HA5tw68 v3)に関するコンストラクトを図示する。
【図9B】図9は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図9B(pDAB4492)は、配列番号1(HA5tw68 v3)に関するコンストラクトを図示する。
【図10】図10は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図10(pDAB4493)は、配列番号1(HA5tw68 v3)に関するコンストラクトを図示する。
【図11A】図11は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図11A(HAv2)は、配列番号3(HA5tw68 v4)についてのコンストラクトを示す。
【図11B】図11は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図11B(pDAB4494)は、配列番号3(HA5tw68 v4)についてのコンストラクトを示す。
【図12A】図12は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図12A(HAv3)は配列番号5(HA5tw68 v5)についてのコンストラクトを示す。
【図12B】図12は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図12B(pDAB4495)は配列番号5(HA5tw68 v5)についてのコンストラクトを示す。
【図13A】図13は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図13A(HAv4)は、配列番号7(HA5AH v1)についてのコンストラクトを示す。
【図13B】図13は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図13B(pDAB4496)は、配列番号7(HA5AH v1)についてのコンストラクトを示す。
【図14A】図14は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図14A(HAv5)は、配列番号9(HA5AH v2)についてのコンストラクトを示す。
【図14B】図14は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図14B(pDAB4497)は、配列番号9(HA5AH v2)についてのコンストラクトを示す。
【図15A】図15は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図15A(HAv6)は、配列番号11(HA5AH v3)についてのコンストラクトを示す。
【図15B】図15は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図15B(pDAB4498)は、配列番号11(HA5AH v3)についてのコンストラクトを示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0125】
ベクターの構築
これらの実施例を通じて、以下の表記は、配列番号1、3、5、7、9、11または13に同定された配列を示すために用いることができる:
配列番号1:HA5TW68 v3:トリインフルエンザウイルス(AIV)赤血球凝集素(HA)H5 Turkey/Wisconsin/68;切断部位なし;植物コドンに最適化;配列番号3:HA5TW68 v4:トリインフルエンザウイルス(AIV)HA H5 Turkey/Wisconsin/68;切断部位なし;セリン239がアスパラギンへ変化;植物コドンに最適化;配列番号5:HA5TW68 v5:トリインフルエンザウイルス(AIV)HA H5 Turkey/Wisconsin/68ネイティブ配列;プロテアーゼ切断部位を含む;植物コドンに最適化;
配列番号7:HA5AH v1:99、102および170位にアミノ酸修飾を有するトリインフルエンザウイルス(AIV)HA H5 902755先祖コンセンサスハイブリッド;切断部位なし;植物コドンに最適化;配列番号9:HA5AH v2:99、102および239位にアミノ酸修飾を有するトリインフルエンザウイルス(AIV)HA H5 902755先祖コンセンサスハイブリッド;切断部位なし;植物コドンに最適化;および
配列番号11:HA5AH v3:99、102、170および239位にアミノ酸修飾を有するトリインフルエンザウイルス(AIV)HA H5 902755先祖コンセンサスハイブリッド;切断部位なし;植物コドンに最適化。
【0126】
配列番号1、3、5、7、9および11を含有する以下のHA遺伝子/ベクターコンストラクトも、これらの実施例において用いられる:
pDAB4492 v1 Ubi10-PAT:CSVMV-HA5tw68 v3(配列番号1含有ベクター);
pDAB4493 v1 Ubi10-PAT:dMas-HA5tw68 v3 (配列番号1含有ベクター);
pDAB4494 v2 Ubi10-PAT:dMas-HA5tw68 v4 (配列番号3含有ベクター);
pDAB4495 v3 Ubi10-PAT:dMas-HA5tw68 v5 (配列番号5含有ベクター);
pDAB4496 v4 Ubi10-PAT:dMas-HA5AH v1 (配列番号7含有ベクター);
pDAB4497 v5 Ubi10-PAT:dMas-HA5AH v2 (配列番号9含有ベクター);および
pDAB4498 v6 Ubi10-PAT:dMas-HA5AH v3 (配列番号11含有ベクター)。
【0127】
これらの実施例において、CSVMVは、米国特許第7,053,205号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のキャッサバ葉脈モザイクウイルス(Cassava vein mosaic virus)プロモーターを指定するために用いる;PATは、米国特許第5,633,434号;5,879,903号;5,637,489号;5,276,268号;5,273,894号明細書(それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ選択可能マーカーを指定するために用い、dMasは、米国特許第5,001,060号;5,573,932号および5,290,924号明細書(それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載の構成的キメラプロモーター4OCSΔMASを指定する。
【0128】
また、以下にそれぞれのコンストラクト内の遺伝子/アミノ酸修飾の概要を示す:
【表5】
【0129】
pDAB4492の構築
HA5tw68 v3の植物コドン最適化配列(配列番号1;赤血球凝集素H5 Turkey Wisconsin 68バージョン番号3)を含有するプラスミドDASPICO69を、PicoScript、8080 North Stadium, Suite 2100, Houston, TX 77054から入手した。DASPICO69から、BbsIおよびSacI制限酵素による消化によってHA5tw68 v3 DNAコード配列を単離し、pDAB3912の対応するNcoIおよびSacI切断部位へクローニングした。得られたコンストラクトpDAB4485は、CsVMVプロモーターv2(キャッサバ葉脈モザイクウイルスプロモーターバージョン番号2)−HA5tw68 v3コード配列−Atu ORF23 3'UTR v1(アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)オープンリーディングフレーム23 3'非翻訳領域バージョン番号1)と隣接するGateway attL組換え部位(Gatewayクローニング系およびatt部位はInvitrogen Corporation、Carlsbad, CAから入手)を含有していた。pDAB4485は制限酵素による消化によって確認した。
【0130】
CsVMVプロモーターv2−HA5tw68 v3−Atu ORF23 3'UTR v1カセットを、Gatewayクロナーゼ酵素反応(カタログ番号11791-019、Invitrogen Corporation、Carlsbad CA)によって、デスティネーションバイナリーベクターpDAB3736のattR Gateway組換え部位へ動員した。陽性クローンを制限酵素による消化によって同定し、シークエンシング反応によって確認した。完成したバイナリーは、T-DNAボーダー領域B−RB7 MARv3(シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)マトリックス結合領域バージョン番号3)−CsVMVプロモーターv2−HA5tw68 v3−Atu ORF23 3'UTR v1−At Ubi10プロモーターv2(シロイヌナズナポリユビキチン10プロモーターバージョン番号2)−PAT v3(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼバージョン番号3)−Atu ORF1 3'UTR v3(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム1 3'非翻訳領域バージョン番号3)−T-DNAボーダー領域Aを含有していた。得られたベクターが標識化pDAB4492であった。
【0131】
pDAB4493の構築
HA5tw68 v3の植物コドン最適化配列(赤血球凝集素H5 Turkey Wisconsin 68バージョン番号3)を含有するプラスミドDASPICO69をPicoScript、8080 North Stadium, Suite 2100, Houston, TX 77054から入手した。DASPICO69からBbsIおよびSac制限酵素による消化によってHA5tw68 v3 DNAコード配列を単離し、pDAB3914の対応するNcoIおよびSacI制限部位へクローニングした。得られたコンストラクトpDAB4486は、Delta MASプロモーターv1(Delta MAS 4 OCSプロモーターバージョン番号1)−HA5tw68 v3コード配列−Atu ORF23 3'UTR v1(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム23 3'非翻訳領域バージョン番号1)と隣接するGateway attL組換え部位(Gatewayクローニング系およびatt部位はInvitrogen Corporation、Carlsbad CAから入手)を含有していた。pDAB4486は制限酵素による消化によって確認した。
【0132】
Delta Masプロモーターv1−HA5tw68 v3−Atu ORF23 3'UTR v1カセットを、Gatewayクロナーゼ酵素反応(カタログ番号11791-019、Invitrogen Corporation、Carlsbad CA)によって、デスティネーションバイナリーベクターpDAB3736のattR Gateway組換え部位へ動員した。陽性クローンを制限酵素による消化によって同定し、シークエンス反応によって確認した。完成したバイナリーは、T-DNAボーダー領域B−RB7 MARv3(シロイヌナズナマトリックス結合領域バージョン番号3)−Delta Masプロモーターv1−HA5tw68 v3−Atu ORF23 3'UTR v1−At Ubi10プロモーターv2(シロイヌナズナポリユビキチン10プロモーターバージョン番号2)−PAT v3(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼバージョン番号3)−Atu ORF1 3'UTR v3(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム1 3'非翻訳領域バージョン番号3)−T-DNAボーダー領域Aを含有していた。得られたベクターが標識化pDAB4493であった。
【0133】
pDAB4494の構築
HA5tw68 v4の植物コドン最適化配列(配列番号3;赤血球凝集素H5 Turkey Wisconsin 68バージョン番号4)を含有するプラスミドDASPICO70を、PicoScript、8080 North Stadium, Suite 2100, Houston, TX 77054から入手した。DASPICO70からBbsIおよびSacI制限酵素による消化によってHA5tw68 v4 DNAコード配列を単離し、pDAB3914の対応するNcoIおよびSacI制限部位へクローニングした。得られたコンストラクトpDAB4487は、Delta Masプロモーターv1(Delta MAS 4 OCSプロモーターバージョン番号1)−HA5tw68 v4コード配列−Atu ORF23 3'UTR v1(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム23 3'非翻訳領域バージョン番号1)と隣接するGateway attL組換え部位(Gatewayクローニング系およびatt部位はInvitrogen Corporation、Carlsbad CAから入手)を含有していた。pDAB4487は制限酵素による消化によって確認した。
【0134】
Delta Masプロモーターv1−HA5tw68 v4−Atu ORF23 3'UTR v1カセットを、Gatewayクロナーゼ酵素反応(カタログ番号11791-019、Invitrogen Corporation、Carlsbad CA)によってデスティネーションバイナリーベクターpDAB3736のattR Gateway組換え部位へ動員した。陽性クローンを制限酵素による消化によって同定し、シークエンス反応によって確認した。完成したバイナリーは、T-DNAボーダー領域B−RB7 MARv3(シロイヌナズナマトリックス結合領域バージョン番号3)−Delta Masプロモーターv1−HA5tw68 v4−Atu ORF23 3'UTR v1−At Ubi10プロモーターv2(シロイヌナズナポリユビキチン10プロモーターバージョン番号2)−PAT v3(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼバージョン番号3)−Atu ORF1 3'UTR v3(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム1 3'非翻訳領域バージョン番号3)−T-DNAボーダー領域Aを含有していた。得られたベクターが標識化pDAB4494であった。
【0135】
pDAB4495の構築
HA5tw68 v5の植物コドン最適化配列(配列番号5;赤血球凝集素H5 Turkey Wisconsin 68バージョン番号5)を含有するプラスミドDASPICO71をPicoScript、8080 North Stadium, Suite 2100, Houston, TX 77054から入手した。DASPICO71からBbsIおよびSacI制限酵素による消化によってHA5tw68 v5 DNAコード配列を単離し、pDAB3914の対応するNcoIおよびSacI制限部位へクローニングした。得られたコンストラクトpDAB4488は、Delta Masプロモーターv1(Delta MAS 4 OCSプロモーターバージョン番号1)−HA5tw68 v5コード配列−Atu ORF23 3'UTR v1(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム23 3'非翻訳領域バージョン番号1)と隣接するGateway attL組換え部位(Gatewayクローニング系およびatt部位はInvitrogen Corporation、Carlsbad CAから入手)を含有していた。pDAB4488は制限酵素による消化によって確認した。
【0136】
Delta Masプロモーターv1−HA5tw68 v5−Atu ORF23 3'UTR v1カセットを、Gatewayクロナーゼ酵素反応(カタログ番号11791-019、Invitrogen Corporation、Carlsbad CA)によって、デスティネーションバイナリーベクターpDAB3736のattR Gateway組換え部位へ動員した。陽性クローンを制限酵素による消化によって同定し、シークエンス反応によって確認した。完成したバイナリーは、T-DNAボーダー領域B−RB7 MARv3(シロイヌナズナマトリックス結合領域バージョン番号3)−Delta Masプロモーターv1−HA5tw68 v5−Atu ORF23 3'UTR v1−At Ubi10プロモーターv2(シロイヌナズナポリユビキチン10プロモーターバージョン番号2)−PAT v3(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼバージョン番号3)−Atu ORF1 3'UTR v3(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム1 3'非翻訳領域バージョン番号3)−T-DNAボーダー領域Aを含有していた。得られたベクターが標識化pDAB4495であった。
【0137】
pDAB4496の構築
HA5AH v1の植物コドン最適化配列(配列番号7;赤血球凝集素H5 Animal Healthバージョン番号1)を含有するプラスミドDASDNA1を、DNA2.0、1430 O’Brien Drive, Suite E, Menlo Park, CA, 94025から入手した。DASDNA1からBbsIおよびSacI制限酵素による消化によってHA5AH v1 DNAコード配列を単離し、pDAB3914の対応するNcoIおよびSacI制限部位へクローニングした。得られたコンストラクトpDAB4489は、Delta Masプロモーターv1(Delta MAS 4 OCSプロモーターバージョン番号1)−HA5AH v1コード配列−Atu ORF23 3'UTR v1(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム23 3'非翻訳領域バージョン番号1)と隣接するGateway attL組換え部位(Gatewayクローニング系およびatt部位はInvitrogen Corporation、Carlsbad CAから入手)を含有していた。pDAB4489は制限酵素による消化によって確認した。
【0138】
Delta Masプロモーターv1−HA5AH v1−Atu ORF23 3'UTR v1カセットを、Gatewayクロナーゼ酵素反応(カタログ番号11791-019、Invitrogen Corporation、Carlsbad CA)によって、デスティネーションバイナリーベクターpDAB3736のattR Gateway組換え部位へ動員した。陽性クローンを制限酵素による消化によって同定し、シークエンス反応によって確認した。完成したバイナリーは、T-DNAボーダー領域B−RB7 MARv3(シロイヌナズナマトリックス結合領域バージョン番号3)−Delta Masプロモーターv1−HA5AH v1−Atu ORF23 3'UTR v1−At Ubi10プロモーターv2(シロイヌナズナポリユビキチン10プロモーターバージョン番号2)−PAT v3(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼバージョン番号3)−Atu ORF1 3'UTR v3(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム1 3'非翻訳領域バージョン番号3)−T-DNAボーダー領域Aを含有していた。得られたベクターが標識化pDAB4496であった。
【0139】
pDAB4497の構築
HA5AH v2の植物コドン最適化配列(配列番号9;赤血球凝集素H5 Animal Healthバージョン番号2)を含有するプラスミドDASDNA2を、DNA2.0, 1430 O’Brien Drive, Suite E, Menlo Park, CA, 94025から入手した。DASDNA2からBbsIおよびSacI制限酵素による消化によってHA5AH v2 DNAコード配列を単離し、pDAB3914の対応するNcoIおよびSacI制限部位へクローニングした。得られたコンストラクトpDAB4490は、Delta Masプロモーターv1(Delta MAS 4 OCSプロモーターバージョン番号1)−HA5AH v2コード配列−Atu ORF23 3'UTR v1(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム23 3'非翻訳領域バージョン番号1)と隣接するGateway attL組換え部位(Gatewayクローニング系およびatt部位はInvitrogen Corporation、Carlsbad CAから入手)を含有していた。pDAB4490は制限酵素による消化によって確認した。
【0140】
Delta Masプロモーターv1−HA5AH v2−Atu ORF23 3'UTR v1カセットを、Gatewayクロナーゼ酵素反応(カタログ番号11791-019、Invitrogen Corporation、Carlsbad CA)によって、デスティネーションバイナリーベクターpDAB3736のattR Gateway組換え部位へ動員した。陽性クローンを制限酵素による消化によって同定し、シークエンス反応によって確認した。完成したバイナリーは、T-DNAボーダー領域B−RB7 MARv3(シロイヌナズナマトリックス結合領域バージョン番号3)−Delta Masプロモーターv1−HA5AH v2−Atu ORF23 3'UTR v1−At Ubi10プロモーターv2(シロイヌナズナポリユビキチン10プロモーターバージョン番号2)−PAT v3(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼバージョン番号3)−Atu ORF1 3'UTR v3(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム1 3'非翻訳領域バージョン番号3)−T-DNAボーダー領域Aを含有していた。得られたベクターが標識化pDAB4497であった。
【0141】
pDAB4498の構築
HA5AH v3の植物コドン最適化配列(配列番号11;赤血球凝集素H5 Animal Healthバージョン番号3)を含有するプラスミドDASDNA3を、DNA2.0、1430 O’Brien Drive, Suite E, Menlo Park, CA, 94025から入手した。DASDNA3からBbsIおよびSacI制限酵素による消化によってHA5AH v3 DNAコード配列を単離し、pDAB3914の対応するNcoIおよびSacI制限部位へクローニングした。得られたコンストラクトpDAB4491は、Delta Masプロモーターv1(Delta MAS 4 OCSプロモーターバージョン番号1)−HA5AH v3コード配列−Atu ORF23 3'UTR v1(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム23 3'非翻訳領域バージョン番号1)と隣接するGateway attL組換え部位(Gatewayクローニング系およびatt部位はInvitrogen Corporation、Carlsbad CAから入手)を含有していた。pDAB4491は制限酵素による消化によって確認した。
【0142】
Delta Masプロモーターv1−HA5AH v3−Atu ORF23 3'UTR v1カセットを、Gatewayクロナーゼ酵素反応(カタログ番号11791-019、Invitrogen Corporation、Carlsbad CA)によって、デスティネーションバイナリーベクターpDAB3736のattR Gateway組換え部位へ動員した。陽性クローンを制限酵素による消化によって同定し、シークエンス反応によって確認した。完成したバイナリーは、T-DNAボーダー領域B−RB7 MARv3(シロイヌナズナマトリックス結合領域バージョン番号3)−Delta Masプロモーターv1−HA5AH v3−Atu ORF23 3'UTR v1−At Ubi10プロモーターv2(シロイヌナズナポリユビキチン10プロモーターバージョン番号2)−PAT v3(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼバージョン番号3)−Atu ORF1 3'UTR v3(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム1 3'非翻訳領域バージョン番号3)−T-DNAボーダー領域Aを含有していた。得られたベクターが標識化pDAB4498であった。
【0143】
アグロバクテリウムの形質転換
それぞれのバイナリーコンストラクトを、アグロバクテリウム・ツメファシエンス株LBA4404へエレクトロポレーションした(1.8V、25μF、100Ω)。
【0144】
タバコ植物の一過性発現
植物が合成遺伝子を正しく発現するかどうかを確認するために、Frederickらに従いバイナリーコンストラクトをベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)へ一時的に形質転換した(Frederick, R.D., Thilmony, R.L., Sessa, G.&Martin, G.B.「Recognition specificity for the bacterial avirulence protein AvrPto is determined by Thr-204 in the activation loop of the tomato Pto kinase.(細菌非病原性タンパク質AvrPtoに対する認識特異性はトマトPtoキナーゼの活性化ループにおけるThr-204により決定される)」Mol Cell 1998, 2(2), 241-245)。葉サンプルをインキュベーションの2、3日後に採取した。次いで発現をHA特異的ELISA分析によって試験した。0.01Mホウ酸塩緩衝液(3.8 g.l-1ホウ砂、pH9、滅菌フィルター)に希釈したヤギ抗HAにより96ウェルELISAプレートを被覆した。プレートを室温にて一晩インキュベートした。新鮮な植物材料を1ml.g-1のPBSにおいてBio 101 Fast Prep装置によりホモジナイズして粗製のタンパク質抽出物を作製した。Eppendorf 5415C微量遠心機により14000rpm、4℃にて5分間遠心分離して不溶性物質を除去した。得られたサンプルの上清は分析の間氷上に置き、後に−80℃にて保存した。プレート洗浄器を用いて1ウェルにつき300μlのPBST(PBSストック+0.05%Tween-20)によりプレートを3回洗浄した。次いでプレートを5%脱脂乳/PBST(200μl/ウェル)により37℃にて2時間ブロックし、PBST(300μl/ウェル)により3回洗浄した。次いで標準物質およびサンプルをウェルに加え(200μl/ウェル)、37℃にて1時間インキュベートした。プレートをPBST(300μl/ウェル)およびニワトリ抗AIV(100μl/ウェル)により3回洗浄し、37℃にて1時間インキュベーションした。次いでプレートをPBSTにより3回洗浄し、二次抗体であるヤギ抗ニワトリIgGまたはウサギ抗ヤギ西洋わさびペルオキシダーゼコンジュゲート(Sigma)の希釈液を、1ウェルにつき100μl加えた。プレートを37℃にて1時間インキュベートし、PBSTにより3回洗浄し、次いでTMB基質(Bio Rad、100μl/ウェル)と反応させた。20-25分間発色させて現像し、450nmにおけるOD値を測定した。
【0145】
図4に示すように、合成HA遺伝子の一過性発現を観察した(バイナリーベクターpDAB4492−pDAB4498を用いて)。棒グラフはインキュベーションの2または3日後に採取しプールした7つのサンプルから作製した粗製抽出物の2反復分の平均ODを示す。平均化した後のトランスジェニックサンプルのODから野生型植物の葉のODを差し引いた。「92」はpDAB4492;「93」はpDAB4493;「94」はpDAB4494;「95」はpDAB4405;「96」はpDAB4496;「97」はpDAB4497;「98」はpDAB4498;「d2」は2日目、「d3」は3日目を表す。このように、トリインフルエンザウイルスに対して産生された抗体により合成HA遺伝子を検出し、合成HA遺伝子は植物(ベンサミアナタバコ)において一時的に発現されていた。
【実施例2】
【0146】
NT1細胞株における発現
合成遺伝子が植物により発現可能であることが判明したので、そのコンストラクトをNT1細胞株の安定な形質転換に用いた。植物細胞株NT1は、減少したアルカロイド成分を含み、植物体への再生能のないタバコ(Nicotiana tobaccum)細胞に由来する。Cardineau, Guy A.;Mason, Hugh Stanley;Van Eck, Joyce M.;Kirk, Dwayne D.;Walmsley, Amanda Maree「Vectors and cells for preparing immunoprotective compositions, such as Newcastle disease virus HN antigen, from transgenic plants.(トランスジェニック植物から、防御免疫組成物、例えばNewcastle疾患ウイルスHN抗原を調製するためのベクターおよび細胞)」、国際公開第2004/098533号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように植物細胞培養物を形質転換し、HA発現を先に記載したHA特異的ELISAによって測定した。表4および図5は、様々な細胞株において発現されたHAの量を示す。
【表4】
【実施例3】
【0147】
ペチュニア植物の形質転換およびHA発現
ペチュニアを以下のプロトコールを用いて形質転換した。コンストラクトを含有するアグロバクテリウム・リゾゲネス(A. rhizogenes)の48時間培養物を、ビタミンを含む1/2 YMB培地および1/2 MurashigeとSkoogの基本培地(MS培地)に1:5に希釈して調製した。希釈した培養物を25℃にてさらに2時間インキュベートした。ペチュニアの葉片の表面を0.4%次亜塩素酸ナトリウムにより滅菌し、アグロバクテリウム・リゾゲネス培養物に浸した。感染した葉片をMS寒天プレート上に48時間置き、選択プレートへ移した。MS寒天プレートは、MS培地、3%(w/v)スクロース、1 mgL-1 6-ベンジルアミノプリン(BAP)、1 mgL-1インドール-3-酢酸(IAA)、および0.8%(w/v)寒天を含有していた。選択プレートは、MS培地、3%(w/v)スクロース、0.8%(w/v)寒天および5mg/Lグルホシネートを含有していた。親組織のごく一部を伴った新たに形成された毛状根を、500μgml-1セフォタキシムおよび5mg/Lグルホシネートを含有する液体選択MS培地へ移した。10〜14日間成長させた後、それぞれの健常に成長している培養物から1つの根端を採取し、新しい液体選択MS培地へ入れた。この1つの根端の継代培養後の根の培養物を独立株として分類した。独立株を2〜3週間毎に減少した抗生物質濃度(250μgml-1セフォタキシム)および5mg/Lグルホシネートを含有する新しい培地へ移した。図6に示すように、ペチュニアにおいて特異的抗体により認識されるHAを発現させることができた。
【実施例4】
【0148】
遺伝子pDAB4493−98のDNAワクチンコンストラクトおよびマウスの予防接種
修飾されたTurkey Wisconsin 68系ならびに修飾を有するコンセンサス配列先祖遺伝子を含むHA遺伝子をDNAワクチンのためのベクターへクローニングした。pDAB4493-4498のHA遺伝子をHind III部位を含有するプライマーAI 11(5’-GCTAGCGGCCGCAATGCAGATTCTGCATTGAA-3’)(配列番号15)およびNot I部位を含有するAI 12(5’-GCATAAGCTTCCATGGAGAGGATTGTGAT-3’)(配列番号16)を用いてPCR増幅した。PCR産物をゲル精製し(Qiagenキット)、Hind IIIおよびNot Iにより消化し、Hind IIIおよびNot Iにより消化したpcDNA3(Invitrogen)のマルチクローニング部位へライゲートした。得られたコンストラクトを制限酵素による消化、PCRおよびシークエンシングによって確認した。陽性対照のpCI-PR8はメルボルン大学(University of Melbourne、Melbourne Australia)のLorena Brown氏にご提供頂いた。pCI-PR8はA/PR/8/34(PR8)からのHA遺伝子(アクセッション番号AF389118)を含有する。10のBALBcマウス/グループ(5匹を2反復)を、0日目および10日目に100μgのDNAワクチンにより筋肉内経路によって免疫化し、14、28、56および84日目に血液を採取した。マイクロタイタープレートを5μg PR-8 HA/ウェルにより被覆することにより標準的ELISA技術によってPR-8 HAに対する抗体反応を検出し、結果を図7に示す。
【実施例5】
【0149】
動物細胞のDNAトランスフェクション
ポリエチレンイミン(PEI)法を用いてヒト293T細胞においてトランスフェクションを行った。簡単に説明すると、細胞を6ウェルプレートの10%ウシ胎仔血清を含有するDMEM(TC培地)に播種し、37℃、5%CO2にて一晩成長させた。翌日細胞が70-80%コンフルエントとなった時点で培地を除去し新たなTC培地1mlに置き換え、37℃、5%CO2にて1時間インキュベートした。このインキュベーションの間、反応混合物を1ウェルあたり以下のように調製した:総量200μlの単純DMEM中、DNA 2μg、PEI 9μl。反応混合物をボルテックスし、室温にて10-20分間インキュベートした。各ウェルに200μlを加え、プレートを37℃、5%CO2にて48時間インキュベートした。インキュベーション中24時間の時点にウェルをPBSにより洗浄し、新たなTC培地2mlを加えた。培地を除去してトランスフェクション産物を収集し、PBSにより洗浄し、5mM EDTAを含有するPBS(PBSE)500μl中に細胞を懸濁した。次いで細胞を1.5mlチューブへ移し、遠心沈殿させ、200μl PBSEに再懸濁した。細胞を3回の凍結/融解サイクルにかけ、非イオン性界面活性剤Nonidet P40(NP-40)を終濃度1%まで加えた。
【0150】
発現タンパク質の、ニワトリ赤血球を吸収する能力を測定するために、哺乳類細胞(293TおよびVero)をトランスフェクトし、無血清培地において1-4時間インキュベーションした。培地を除去し、0.5-1%ニワトリ赤血球500μlを加えた。室温にて45分間インキュベーションした後、細胞を大規模に洗浄し、顕微鏡により観察した。トランスジェニックHAタンパク質の、赤血球と交差結合する能力は、トランスジェニックタンパク質が、赤血球表面上の糖部分へ結合するための高次構造および能力を保持していることを示している。
【表6】
注
++++、多くの赤血球が結合した赤血球吸収細胞が高頻度である
+++、5より多い赤血球が結合した赤血球吸収細胞が中程度に高頻度である
++、5より多い赤血球が結合した赤血球吸収細胞が中頻度である
+、5より多い赤血球が結合した赤血球吸収細胞が少しの頻度である
−、検出される赤血球吸収細胞が存在しない
【0151】
【表1a】
【0152】
【表1b】
【0153】
【表2a】
【0154】
【表2b】
【0155】
【表3a】
【0156】
【表3b】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2006年6月16日に出願した米国仮特許出願番号60/814,241号の利益を権利請求し、その仮出願に開示した内容は、あらゆる図、表およびアミノ酸または核酸配列を含め、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
アジアおよびヨーロッパの一部、中近東、およびアフリカにおいて大発生したトリインフルエンザA型(H5N1)は、一般的な人々の関心事であり、科学者たちはこの疾患が短期間のうちに顕著に減少するとは期待していない。さらに、トリの間でのH5N1感染は、特定地域においておそらく地方病となっており、感染した家禽との直接的な接触から生じるヒトへの感染が起こり続けるであろう。ヒトからヒトへのH5N1ウイルス伝染はこれまで稀であり、一人の人を超えて続くことはなく、ヒトとトリインフルエンザウイルスA型遺伝子間の遺伝子再集合の証拠は見付かっていないが、トリインフルエンザはなお公衆衛生に重大な驚異をもたらすものと考えられている。
【0003】
研究では、最近流行しているH5N1ウイルス株は、初期のH5N1ウイルスよりも動物における病原性がより高くなっていることが示唆されている。動物、例えばアヒルは、疾患の徴候を示さずに、より長期間より多くのウイルスを発散することが観察された。この知見はアヒルが他のトリ、おそらくヒトにも疾患を伝染させることを暗示している。中国のブタの間のH5N1感染およびネコにおけるH5N1感染も報告されている。ドイツから、ムナジロテン(stone marten)におけるH5N1感染も報告されている。
【0004】
ヒト集団はH5N1感染に対して先在の天然免疫を少ししか持っていない。ゆえに、H5N1ウイルスがヒトの間で有効に持続して伝染する能力を獲得すれば、インフルエンザの大流行は起こり得る。そのような大流行は高い発病率および致死率を引き起こす潜在力を持っている。方程式には、インフルエンザウイルスA型(H5N1)が抗ウイルス薬、例えばアマンタジンおよびリマンタジンに耐性を示し得るという知見が加えられる。これらの2つの薬物はインフルエンザの処置に一般的に用いられている。従って、トリインフルエンザウイルスA型(H5N1)に対して効果的であり得るワクチン候補を産生する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、トリインフルエンザウイルスA型赤血球凝集素(HA)タンパク質の新規なアミノ酸配列(コンセンサス配列を含む)を提供する。新しく構築されたこれらの遺伝子は、血清型ファミリーをまたがって、より広範な活性スペクトルが得られるように設計されており、これにより広範な異種性疾患への防御のためのワクチンの基盤を提供する。本発明の新規な遺伝子は、コードするアミノ酸配列に戦略的なグリコシル化部位を加えることによりさらに改善されている。これらの遺伝子はまた、必要に応じて、植物発現のためにコドンが最適化され、適切なベクターへ挿入され、発現用の植物へクローニングされてもよい。組換え宿主細胞またはトランスジェニック植物により産生されたポリペプチドは、感受性の個体においてインフルエンザを制御するためのワクチン創出用の抗原供給源として用いることもできる。さらに、トランスジェニック植物なる物質も、感受性の個体においてインフルエンザを制御するためのワクチン創出用の抗原供給源として用いることができる。
【0006】
配列表の簡単な説明
配列番号1は、赤血球凝集素V1(切断部位を含まないHAオリジナルTurkey Wisconsin 68)をコードするポリヌクレオチド配列を提供する。
【0007】
配列番号2は、配列番号1によってコードされたポリペプチドに相当する。
【0008】
配列番号3は、赤血球凝集素V2(アミノ酸239にグリコシル化部位を含有する)を示す。
【0009】
配列番号4は、配列番号3によってコードされたアミノ酸配列である。
【0010】
配列番号5は、赤血球凝集素V3(ネイティブなTurkey Wisconsin 68赤血球凝集素タンパク質のRQKR切断部位を含む)をコードするポリヌクレオチド配列を提供する。
【0011】
配列番号6は、配列番号5によってコードされたポリペプチドに相当する。
【0012】
配列番号7は、赤血球凝集素V4(99、102および170位にアミノ酸修飾を有する)を示す。
【0013】
配列番号8は、配列番号7によってコードされたアミノ酸配列である。
【0014】
配列番号9は、赤血球凝集素V5(99、102および239位にアミノ酸修飾を有する)をコードするポリヌクレオチド配列を提供する。
【0015】
配列番号10は、配列番号9によってコードされたポリペプチドに相当する。
【0016】
配列番号11は、赤血球凝集素V6(99、102、170および239位にアミノ酸修飾を含有する)をコードするDNAを示す。
【0017】
配列番号12は、配列番号11によってコードされたアミノ酸配列である。
【0018】
配列番号13は、本発明の「先祖」HAポリペプチドをコードする植物に最適化された核酸配列である。「先祖HAポリペプチド」なる用語は、バイオインフォマティクスを用いて推定した赤血球凝集素ポリペプチドを意味する。
【0019】
配列番号14は、本発明が提供する「先祖」配列である。「先祖HAポリペプチド」なる用語は、バイオインフォマティクスを用いて推定した赤血球凝集素ポリペプチドを意味する。
【0020】
配列番号15は、HA遺伝子の増幅のためのプライマーである。
【0021】
配列番号16は、HA遺伝子の増幅のためのプライマーである。
【0022】
表の簡単な説明
表1a-1bは、配列番号2、4、8、10および14のフラグメントについてのN末端およびC末端アミノ酸の位置を特定している。フラグメントは5〜563の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸であり得、N末端アミノ酸は1〜560の間の、これらを含む、いずれかの整数であり得(表1aを参照)、C末端アミノ酸は、表1bに同定したいずれかの整数(すなわち、5〜564)から選択されるいずれかの位置であり得る。
【0023】
表2a-2bは、配列番号6のフラグメントについてのN末端およびC末端アミノ酸の位置を特定している。フラグメントは、5〜567の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸であり得、N末端アミノ酸は、1〜564の間の、これらを含む、いずれかの整数であり得(表2aを参照)、C末端アミノ酸は、表2bに同定したいずれかの整数(すなわち、5〜568)から選択されるいずれかの位置であり得る。
【0024】
表3a-3bは、配列番号12のフラグメントについてのN末端およびC末端アミノ酸の位置を特定している。フラグメントは、5〜552の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸であり得、N末端アミノ酸は、1〜549の間の、これらを含む、いずれかの整数であり得(表3aを参照)、C末端アミノ酸は、表3bに同定したいずれかの整数(すなわち、5〜553)から選択されるいずれかの位置であり得る。
【0025】
表4 NT1植物細胞培養物におけるAIV HAの安定な発現。株番号の初めの2桁は、プラスミドコンストラクト(pDAB44xx)を示す。
【0026】
発明の詳細な説明
本発明は、限定しないが、以下の本発明の組成物、ならびにこれらの本発明の組成物を免疫原性ポリペプチドの産生に用いる方法、および個体における免疫反応を誘導する方法を提供する。よって、本発明は以下を含む本発明の様々な組成物を提供する:
a)配列番号2、4、6、8、10、12または14を含む、単離、精製および/または組換えポリペプチド;
b)配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドに対して少なくとも約20%〜99.99%の同一性、好ましくは少なくとも60〜99.99%の同一性を有し、配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドに関連する少なくとも1つの生物学的活性を有する変異ポリペプチド;
c)配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチド(または変異ポリペプチド)のフラグメント、配列番号2、4、6、8、10、12または14の「YからZ」であるフラグメント(ここでYは特定配列のN末端アミノ酸であり、Zは特定配列のC末端アミノ酸であり、フラグメントは少なくとも5アミノ酸長であり、YおよびZは表1〜3に同定された特定の配列番号についての整数の特定の(または選択された)いずれかの整数である)、または図1、2または3に示すポリペプチドフラグメント、ここで前記ポリペプチドフラグメントまたは変異ポリペプチドのフラグメントは、配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドの対応する生物学的活性と実質的に同じ少なくとも1つの生物学的活性を有する(本発明の文脈におけるさらなるフラグメントの例には、配列番号2、4、6、8、10、12または14のそれぞれのアミノ酸1〜16にまたがるリーダー配列、配列番号2、4、6、8、10、12または14のそれぞれの17位〜342位(赤血球凝集素ポリペプチドのH1領域に対応する)を含むまたはからなるアミノ酸配列、および、配列番号2、4、8、10または14の343〜364位に対応するアミノ酸配列;配列番号6の343〜568位に対応するアミノ酸配列;または配列番号12の343〜553位のアミノ酸配列を含むまたはからなる赤血球凝集素ポリペプチドのH2領域などがある);
d)配列番号2、4、6、8、10、12および14からなる群から選択されるポリペプチド(または変異ポリペプチド)のエピトープ;
e)本明細書に記載の少なくとも1つのエピトープを含むマルチエピトープコンストラクト;または
f)異種ポリペプチド配列をさらに含む実施態様a)、b)、c)、d)またはe)のいずれかに記載のポリペプチド;
g)植物由来の実施態様a)、b)、c)、d)、e)またはf)のいずれかに記載のポリペプチド;
h)担体およびa)、b)、c)、d)、e)、f)またはg)のいずれかに記載のポリペプチドを含む組成物、ここで担体はアジュバントまたは医薬上許容し得る賦形剤である;
i)配列番号2、4、6、8、10、12または14を含むポリペプチドをコードする、または(c)に記載の配列番号2、4、6、8、10、12または14の1以上のポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレオチド配列;
j)配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチドまたは配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14の1以上のポリペプチドフラグメントに対して20%〜99.99%の配列相同性または同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列、ここで前記ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチドまたは配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14の1以上のポリペプチドフラグメントに関連する少なくとも1つの生物学的活性を有する;
k)配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13を含むポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約20%〜99.99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列;
l)配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13を含むポリヌクレオチド配列、または配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13の少なくとも8連続ヌクレオチドのフラグメント;
m)(i)、(j)、(k)または(l)に記載のポリヌクレオチドに対して相補的なポリヌクレオチド;
n)低、中程度の、または高ストリンジェンシー下において、(i)、(j)、(k)、(l)または(m)に記載のポリヌクレオチド配列とハイブリダイズするポリヌクレオチド;
o)(i)、(j)、(k)、(l)または(m)に記載のポリヌクレオチド配列を含む遺伝子コンストラクト;
p)(i)、(j)、(k)、(l)、(m)または(n)に記載のポリヌクレオチドまたは遺伝子コンストラクトを含むベクター;
q)(p)に記載のベクター、(o)に記載の遺伝子コンストラクト、または(i)、(j)、(k)、(l)または(m)のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞;
r)(p)に記載のベクター、(o)に記載の遺伝子コンストラクト、または(i)、(j)、(k)、(l)もしくは(m)のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む、トランスジェニック植物、植物細胞または植物の部分;または
s)(i)、(j)、(k)、(l)、(m)または(n)に記載のポリヌクレオチド、および必要に応じて標識またはマーカーを含むプローブ。
【0027】
本発明の文脈において、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」なる用語は互換的に用いることができる;しかしながら、本発明は天然型のポリペプチドには関しない、言い換えると本発明のポリペプチドは天然環境には存在しないものであるが、本発明のポリペプチドは天然起源からの精製により単離または取得したものであり得る、あるいは遺伝子操作によって調製された宿主細胞から取得したものであり得る(例えば、それらのポリペプチドまたはそれらのフラグメントは、組換え技術によって、宿主細胞によりまたは化学合成により産生される)と解されたい。本発明に記載のポリペプチドは以下に記載する非天然のアミノ酸も含有し得る。「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」なる用語はまた、本明細書において、典型的には隣接するアミノ酸のαアミノ基とカルボキシル基の間のペプチド結合によって、一方から他方へ連結している一連の残基(典型的にはLアミノ酸)を指定するために用いられる。リンカー配列は、ペプチド結合によって、または以下に記載するような化学結合(例えば、異種二機能性の化学的リンカー配列)を介して本発明のポリペプチドと結合し得る。また、「アミノ酸」および「残基」なる用語は互換的に用いることができる。
【0028】
「ヌクレオチド配列」、「ポリヌクレオチド」または「核酸」は互換的に用いることができ、本発明において、二本鎖DNA、一本鎖DNAまたはそれらのDNAの転写産物(例えばRNA分子)を意味すると解されたい。また、本発明は天然環境または天然状態のゲノムポリヌクレオチド配列には関しないと解されたい。本発明の核酸、ポリヌクレオチドまたはヌクレオチド配列は、限定するものではないがイオン交換クロマトグラフィー、分子サイズ排除クロマトグラフィーなどの分離法によって、または遺伝子工学的手法、例えば増幅、サブトラクティブハイブリダイゼーション、クローニング、サブクローニングもしくは化学合成、またはこれらの遺伝子工学的手法の組み合わせによって、単離、精製(または部分的に精製)することができる。「ポリヌクレオチドワクチン」および「DNAワクチン」なる用語も本明細書において互換的に用いることができる。
【0029】
「含む」、「からなる」および「本質的に〜からなる」なる用語は、それらの標準的な意味に従って規定される。これらの用語は本出願を通して、それぞれの用語に関する特定の意味を付加するために互いに置き換えることができる。「単離された」または「生物学的に純粋な」なる語句は、天然状態で観察した場合に通常附随している成分を、実質的にまたは本質的に含まない物質を意味する。従って、本発明による単離ペプチドは、好ましくは、生体内のインサイチュ環境においてそのペプチドに通常附随している物質を含有しない。「連結する」または「結合する」は、限定するものではないが組換え技術による融合、共有結合、ジスルフィド結合、イオン結合、水素結合、および静電結合などの、ペプチドを機能的に結びつけるための当分野において既知のいずれかの方法を意味する。
【0030】
従って、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12または14、および/または配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドフラグメント(例えば図1、2または3に示すフラグメント)を含む赤血球凝集素ポリペプチドを提供する。いくつかの本発明の実施態様において、抗体またはT細胞受容体が結合する本発明のポリペプチドフラグメントは、「エピトープ」と指定する;本発明の文脈において、「エピトープ」は「配列番号2、4、6、8、10、12または14のフラグメント」として指定された本発明のサブセットと考える。
【0031】
本発明に記載のポリペプチドフラグメント(および/またはエピトープ)は、配列番号2、4、6、8、10、12または14の少なくとも5連続アミノ酸の連続配列を含む。本発明に記載のポリペプチドフラグメントは、配列番号2、4、6、8、10、12または14の少なくとも5連続アミノ酸から完全長ポリペプチドより1アミノ酸少ない数までのいずれかの整数の長さであり得る。従って、配列番号2、4、8、10または14において、ポリペプチドフラグメントは、5〜563の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸である。配列番号6において、ポリペプチドフラグメントは、5〜567の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸である。配列番号12において、ポリペプチドフラグメントは、5〜552アミノ酸の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸である。本発明の文脈におけるさらなるフラグメントの例には、配列番号2、4、6、8、10、12または14のそれぞれのアミノ酸1〜16にまたがるリーダー配列、配列番号2、4、6、8、10、12または14のそれぞれの17位〜342位(赤血球凝集素ポリペプチドのH1領域に相当する)を含むまたはからなるアミノ酸配列、および、配列番号2、4、8、10または14の343〜364位に相当するアミノ酸配列;配列番号6の343〜568位に相当するアミノ酸配列;または配列番号12の343〜553位からのアミノ酸配列を含むまたはからなる赤血球凝集素ポリペプチドのH2領域、などがある。
【0032】
本発明のそれぞれのポリペプチドフラグメントは、N末端およびC末端の位置の観点で記載することもできる。例えば、配列番号2の6連続アミノ酸から完全長ポリペプチドより1アミノ酸少ないアミノ酸数までのN末端からC末端のフラグメントの組み合わせが本発明に含まれる。従って、6連続アミノ酸フラグメントは1-6、2-7、3-8、4-9、5-10などからなる群から選択される位置を占め得る。さらに、本明細書に記載のポリペプチドフラグメントの実施態様は、「少なくとも〜」、「〜と等しい」、「〜と等しいかそれより少ない」、「〜より少ない」、「少なくとも〜であるが〜以下である」または「YからZ」であり得、ここでYは特定配列のN末端アミノ酸であり、Zは特定配列のC末端アミノ酸であり、そのフラグメントは少なくとも5アミノ酸長であり、YおよびZは、表1〜3に同定された整数の、特定の(または選択された)いずれかの整数である。配列番号2、4、8、10または14のフラグメントについて、表1から明らかなように、(5〜563の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸であるはずのフラグメント長に応じて)N末端アミノ酸(表1aにおいて特定されている)は、1〜560の間のいずれかの整数であり得、C末端アミノ酸(表1bに特定されている)は、5〜564のいずれかの整数である。配列番号6のフラグメントにおいて、(5〜567の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸であるはずのフラグメント長に応じて)N末端アミノ酸は1〜564の間のいずれかの整数であり得(表2aに特定されている)、C末端アミノ酸(表2bに特定されている)は、5〜568のいずれかの整数である。配列番号12のフラグメントに関して、(5〜552アミノ酸の間の、これらを含む、いずれかの数(整数)の連続アミノ酸であるフラグメント長に応じて)N末端アミノ酸は1〜549の間のいずれかの整数であり得(表3aに示されている)、C末端アミノ酸(表3bに示されている)は、5〜553のいずれかの整数である。本発明のいずれかの実施態様を表すために用いられるあらゆる範囲は、特に断りのない限りその両端の値を含むこと、また、得られるポリペプチドフラグメントはいずれかの整数の長さであり得るが、ただし、ポリペプチドフラグメントの長さは配列番号2、4、6、8、10、12または14に同定されたポリペプチドよりも少なくとも1アミノ酸短いことに注意されたい。
【0033】
本発明はまた、配列番号2、4、6、8、10、12または14の特定残基にまたがる様々なペプチドフラグメント(少なくとも5つの連続アミノ酸の連続(contiguousまたはconsecutive)配列を含む)を提供する。配列番号2において、好ましいフラグメントには、配列番号2のアミノ酸番号99を含有するまたはまたがる少なくとも5つの連続アミノ酸のフラグメントが含まれる。配列番号4に関して、好ましいフラグメントは配列番号4のアミノ酸239を含有する少なくとも5つの連続アミノ酸配列を含む。配列番号6の少なくとも5つの連続アミノ酸にまたがる好ましいフラグメントには、アミノ酸326;アミノ酸327;アミノ酸328;アミノ酸329;アミノ酸326および327;アミノ酸327および328;アミノ酸328および329;アミノ酸326、327および328;アミノ酸327、328および329;またはアミノ酸326、327、328および329を含有するまたはまたがるフラグメントなどがある。配列番号8において、(配列番号8の少なくとも5つの連続アミノ酸にまたがる)好ましいフラグメントは、アミノ酸99;アミノ酸102;アミノ酸170;アミノ酸99および102;アミノ酸102および170;またはアミノ酸99、102および170を含有するまたはまたがるフラグメントである。配列番号10の好ましいフラグメントは、アミノ酸99;アミノ酸102;アミノ酸239;アミノ酸99および102;アミノ酸102および239;またはアミノ酸99、102および239を含むまたは含有する少なくとも5つの連続アミノ酸配列のフラグメントである。配列番号12に関して、好ましいフラグメントは、アミノ酸99;アミノ酸102;アミノ酸170;アミノ酸239;アミノ酸99および102;アミノ酸102および170;アミノ酸170および239;アミノ酸99、102および170;アミノ酸102、170および239;またはアミノ酸99、102、170および239を含む少なくとも5つの連続アミノ酸配列を含むフラグメントである。
【0034】
本明細書に記載のフラグメントは、本発明のポリペプチドをタンパク質分解酵素(例えばトリプシン、キモトリプシンまたはコラゲナーゼ)によって、または化学試薬、例えば臭化シアン(CNBr)によって切断することにより得ることができる。あるいは、ポリペプチドフラグメントは、強い酸性環境、例えばpH2.5において創出することができる。このようなポリペプチドフラグメントは、化学合成によって、または本発明による発現ベクターにより形質転換した宿主細胞を用いて、同様に良好に調製することができる。形質転換宿主細胞は、ポリペプチドフラグメントの調節および/または発現のための適切なエレメントの制御下においてこれらのフラグメントの発現を可能にする核酸を含有する。
【0035】
特定の好ましい実施態様において、本明細書に記載のポリペプチドのフラグメントは、それらのフラグメントが由来する完全長ポリペプチドの少なくとも1つの特性または活性を保持している。よって、配列番号2、4、6、8、10、12または14に提供する完全長ポリペプチドおよびそれらのポリペプチドのフラグメントの両方は、1以上の以下の特性または生物学的活性を有する:1)配列番号2、4、6、8、10、12または14に特異的な抗体へ特異的に結合する能力;2)トリインフルエンザウイルスに感染した動物またはヒトにおいて観察される抗体へ特異的に結合する能力;トリインフルエンザウイルスに感染した動物またはヒトから単離される、または由来するMHCクラスIまたはクラスII抗原と関係してT細胞受容体(CTL(細胞毒性Tリンパ球)および/またはHTL(ヘルパーTリンパ球受容体))に結合する、および活性化する能力;3)トリインフルエンザウイルスに対する動物またはヒトにおける免疫反応を誘導する能力;4)トリインフルエンザウイルスに対する動物またはヒトにおける防御免疫反応を誘導する能力。本発明の特定の局面において、本発明の特性または生物学的活性はH5血清型またはトリインフルエンザA型のトリインフルエンザウイルスに方向付けられている。
【0036】
本出願にて提供するポリペプチド、変異ポリペプチド、またはポリペプチドもしくは変異ポリペプチドのフラグメントの産生に植物発現系を用いる場合、精製されたポリペプチドを含む組成物は、植物細胞成分(例えば、細胞壁、植物細胞膜の細胞マトリックスおよび炭水化物など)または植物細胞マトリックス成分を含み得る。同様に、本出願にて提供するポリペプチド、変異ポリペプチド、またはポリペプチドもしくは変異ポリペプチドのフラグメントの産生に真核または原核発現系を用いる場合、部分的に精製されたポリペプチドを含む組成物に、それぞれの発現系の細胞膜または細胞壁成分が存在し得る。
【0037】
本発明のポリペプチド(またはそれらのフラグメント)は、単量体または多量体(例えば、二量体、三量体、四量体およびより多い多量体)であり得る。従って、本発明は、本発明のポリペプチドの単量体および多量体、それらの調製、およびそれらを含有する組成物に関する。本発明の多量体ポリペプチドは、同じポリペプチド配列に由来し得る(「ホモ多量体」)、または本明細書に記載の異なる配列に由来し得る(「ヘテロ多量体」)。ホモ多量体は、同一のまたは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含有し得る;しかしながら、これらの配列は同じ元ポリペプチド(つまり、配列番号2、4、6、8、10、12または14)に由来する。ヘテロ多量体は、本発明のポリペプチドに加えて1以上の異種ポリペプチド(つまり、異なるタンパク質のポリペプチド)を含有する多量体ポリペプチドを意味する。従って、ヘテロ多量体は、本発明の文脈において、配列番号2、4、6、8、10、12または14(またはそれらのフラグメント)のいずれかの組み合わせを含有する多量体ポリペプチドを意味し得る。あるいは、ヘテロ多量体ポリペプチドは、疎水性、親水性、イオン性および/または共有結合性の会合を形成するポリペプチドまたは他の配列エレメントと融合した配列番号2、4、6、8、10、12または14のいずれかを含み得る。
【0038】
本明細書に記載の多量体ポリペプチドは、疎水性、親水性、イオン性および/または共有結合性の会合により形成され得、および/または例えばリポソーム形成により間接的に連結され得る。従って、一実施態様において、本発明の多量体、例えば、ホモ二量体またはホモ三量体などは、本発明のポリペプチドが溶液中において互いに接触することで形成される。別の実施態様において、本発明のヘテロ多量体、例えば、ヘテロ三量体またはヘテロ四量体は、本発明のポリペプチドが溶液中において本発明のポリペプチドに対する抗体(本発明の融合タンパク質における異種ポリペプチド配列に対する抗体を含む)と接触することで形成される。他の実施態様において、本発明の多量体は、本発明のポリペプチドとの、および/または本発明のポリペプチド間の共有結合性の会合により形成される。そのような共有結合性の会合の例に、これに限定されないが、Ig重鎖(例えば米国特許第5,478,925号明細書を参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に融合した配列番号2、4、6、8、10、12または14(またはそれらのフラグメント)を含むポリペプチドを含む本発明の融合タンパク質により提供される、免疫グロブリン重鎖間のジスルフィド結合形成がある。共有結合的に会合した多量体を形成することができる融合タンパク質の別の例は、破骨細胞形成抑制因子である(例えば国際公開第98/49305号パンフレットを参照のこと;参照によりその内容の全体が本明細書に組み込まれる)。別の実施態様において、2以上の本発明のポリペプチドはペプチドリンカーを介して連結する。その例には、米国特許第5,073,627号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に記載のペプチドリンカーなどがある。ペプチドリンカーにより隔てられた本発明の複数のポリペプチドを含むタンパク質は従来の組換えDNA技術を用いて産生され得る。
【0039】
他の多量体ポリペプチドは、本発明のポリペプチドをロイシンジッパーまたはイソロイシンジッパーポリペプチド配列と融合させることにより形成することができる。ロイシンジッパーおよびイソロイシンジッパードメインは、それらのドメインが存在するタンパク質の多量体化を促進するポリペプチドである。本発明の可溶性の多量体タンパク質の産生に適したロイシンジッパードメインの例は、これに限定されないが、国際公開第94/10308号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものである。溶液中において二量体または三量体化するポリペプチド配列と融合した本発明のポリペプチドを含む組換え融合タンパク質は、適切な宿主細胞において発現され、生じた可溶性の多量体融合タンパク質は当分野において既知の技術を用いて培養上清から回収される。
【0040】
多量体ポリペプチドは当分野に既知の化学的手法を用いて創出することもできる。例えば、本発明の多量体に含有されることが望まれるポリペプチドを、リンカー分子および当分野において既知のリンカー分子長最適化技術(例えば米国特許第5,478,925号明細書を参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を用いて化学的に架橋結合させることができる。さらに、多量体ポリペプチドは、多量体ポリペプチドを構築するために用いるポリペプチド配列内に位置するシステイン残基間にジスルフィド結合を導入することにより創出することができる(例えば米国特許第5,478,925号明細書を参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。さらに、本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチドのC末端またはN末端にシステインまたはビオチンを加えることにより、ルーチン的に修飾することができ、また当分野において既知の技術を1以上のこれらの修飾ポリペプチドを含有する多量体の創出に適用することができる(例えば米国特許第5,478,925号明細書を参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。さらに、当分野において既知の他の技術を、本発明の多量体に含有させることが望ましいポリペプチド成分を含有するリポソームの創出に適用することができる(例えば米国特許第5,478,925号明細書を参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0041】
本明細書において提供するポリペプチドならびにそれらのフラグメントは、他の分子、アミノ酸またはポリペプチド配列への本発明のフラグメントの結合を促進するリンカーエレメント(L)をさらに含んでもよい。それらのリンカーは、本発明のポリペプチドまたはそれらのフラグメントを、アフィニティー精製プロトコールに用いる固体支持体マトリックスへ結合させるためにも用いることができる。本発明の実施に適する「リンカー」の例には、これらに限定されないが、化学的リンカー(例えばPierce、Rockford, ILにより販売されているもの)、またはポリペプチドの組み合わせを連結させることができるペプチド(例えば米国特許第6,121,424号、5,843,464号、5,750,352号および5,990,275号明細書に記載のリンカーなどを参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)などがある。
【0042】
他の実施態様において、リンカーエレメント(L)はアミノ酸配列(ペプチドリンカー)であり得る。いくつかの実施態様において、ペプチドリンカーは1以上の以下の特徴を有する:a)そのペプチドリンカーが(互いに関連して)連結するポリペプチドを自由にローテーションすることができる;b)プロテアーゼによる消化(切断)に耐性である、または感受性である;およびc)一緒に連結するポリペプチドと相互作用しない。様々な実施態様において、本発明による多量体コンストラクトはペプチドリンカーを含み、そのペプチドリンカーは5〜60アミノ酸長である。より好ましくは、ペプチドリンカーは10〜30アミノ酸長である;さらにより好ましくは、ペプチドリンカーは10〜20アミノ酸長である。いくつかの実施態様において、ペプチドリンカーは17アミノ酸長である。
【0043】
本発明に用いるのに適するペプチドリンカーはGly、Ser、Asn、ThrおよびAlaからなる群から選択されるアミノ酸により構成される。好ましくは、ペプチドリンカーはGly-Serエレメントを含む。好ましい実施態様において、ペプチドリンカーは(Ser-Gly-Gly-Gly-Gly)yを含み、ここでyは1、2、3、4、5、6、7または8である。他の実施態様は((Ser-Gly-Gly-Gly-Gly)y-Ser-Pro)を含むペプチドリンカーを提供する。特定の好ましい実施態様において、yは3、4または5の値である。他の好ましい実施態様において、ペプチドリンカーは(Ser-Ser-Ser-Ser-Gly)yまたは((Ser-Ser-Ser-Ser-Gly)y-Ser-Pro)を含み、ここでyは1、2、3、4、5、6、7または8である。特定の好ましい実施態様において、yは3、4または5の値である。切断可能なリンカーエレメントが望ましい場合、1以上の切断可能リンカー配列、例えば第Xa因子またはエンテロキナーゼ(Invitrogen、San Diego Calif.)を単独で、または前述のリンカーと組み合わせて用いることができる。
【0044】
本発明の多量体コンストラクトは、必要に応じて、他のエレメントによって散在している一連の反復配列を含むこともできる。当業者には理解できるように、多量体ポリペプチドにおいて反復配列が起こる順序はさほど重要ではなく、本発明は、本明細書に記載のあらゆる配置の反復配列を提供し得る。従って、本発明による「多量体コンストラクト」は、要すれば、リンカーエレメント(化学的リンカーエレメントまたはアミノ酸リンカーエレメント)により互いに連結された、一連のポリペプチド、ポリペプチドフラグメントまたはエピトープを含む、多量体ポリペプチドを提供し得る。
【0045】
「変異ポリペプチド」(またはポリペプチド変異体)は、天然ポリペプチドに関して特定の修飾を示すポリペプチドを指定するためのものと理解されたい。これらの修飾には、欠失、付加または少なくとも1つのアミノ酸の置換、切断、伸長、キメラ融合(融合タンパク質)、突然変異、または翻訳後修飾を示すポリペプチドが含まれ得る。これらの同種変異ポリペプチドのうち、完全長、ネイティブ、または天然ポリペプチドに対して少なくとも(または少なくとも約)20.00%〜99.99%(両端を含む)の同一性を示すアミノ酸配列を含むポリペプチドは、本発明の別の局面である。前述の同一性のパーセンテージの範囲は、記載した値を含む、および提供すると解されたく、また20.00%から、0.01%の間隔で99.99%を含むまでの断片的な値をサポートしている。これらのパーセンテージは純粋に統計学的値であり、2つのポリペプチド配列間の差異は、無作為に、完全配列長にわたって分布し得る。従って、変異ポリペプチドは、本発明のポリペプチド配列と、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99パーセントの同一性を有し得る。好ましい実施態様において、変異または修飾ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12または14に対して少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99パーセントの同一性を示す。同一性のパーセンテージは、同定された具体的配列番号の完全長ポリペプチドまたはそのフラグメント長(例えば、配列番号2、4、6、8、10、12、14に記載のポリペプチドまたはそれらのフラグメント)を基準にして計算される。いずれの実施態様においても、変異ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12または14に記載のポリペプチドに関連する少なくとも1つの生物学的活性(例えば、個体において免疫反応を誘導する能力、または個体において防御免疫反応を誘導する能力)を保持している。「変異ポリペプチド」および「変異ポリペプチドのフラグメント」の定義から特に除外されるものは、一般に利用可能なデータベースにおいて提供されているインフルエンザ赤血球凝集素ポリペプチドである。例えば、インフルエンザウイルスA型(A/duck/Hong Kong/698/79(H5N3))、アクセッション番号AAD13571(AF082039)は、変異ポリペプチドとして特に除外される。
【0046】
本発明による融合タンパク質は、1以上の異種ポリペプチド配列、例えば、本発明のポリペプチドの精製を促進するタグ(例えば、米国特許第6,342,362号明細書;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる;Altendorf et al. [1999-WWW, 2000]「Structure and Function of the Fo Complex of the ATP Synthase from Escherichia Coli(大腸菌のATP合成酵素のFo複合体の構造および機能)」J. of Experimental Biology 203:19-28、The Co. of Biologists, Ltd.、G.B.;Baneyx [1999]「Recombinant Protein Expression in Escherichia coli(大腸菌における組換えタンパク質発現)」Biotechnology 10:411-21、Elsevier Science Ltd.;Eihauer et al. [2001]「The FLAGTM Peptide, a Versatile Fusion Tag for the Purification of Rcombinant Proteins(FLAG(商標)ペプチド、組換えタンパク質の精製のための多用途融合タグ)」J. Biochem Biophys Methods 49:455-65;Jones et al. [1995] J. Chromatography 707:3-22;Jones et al. [1995]「Current Trends in Molecular Recognition and Bioseparation(分子認識およびバイオセパレーションにおける最近の傾向)」J. of Chromatography A. 707:3-22、Elsevier Science B.V.;Margolin [2000]「Green Fluorescent Protein as a Reporter for Macromolecular Localization in Bacterial Cells(細菌細胞における高分子の所在についてのレポーターとしての緑色蛍光タンパク質)」Methods 20:62-72、Academic Press;Puig et al. [2001]「The Tandem Affinity Purification (TAP) Method: A General Procedure of Protein Complex Purification(タンデムアフィニティー精製(TAP)法:タンパク質複合体精製の一般法)」Methods 24:218-29、Academic Press;Sassenfeld [1990]「Engineering Proteins for Purification(精製のためのタンパク質の処理)」TibTech 8:88-93;Sheibani [1999]「Prokaryotic Gene Fusion Expression Systems and Their Use in Structural and Functional Studies of Proteins(タンパク質の構造および機能研究における原核生物遺伝子融合発現系およびそれらの使用)」Prep. Biochem.&Biotechnol. 29(1):77-90、Marcel Dekker, Inc.;Skerra et al. [1999]「Applications of a Peptide Ligand for Streptavidin: the Strep-tag(ストレプトアビジンに対するペプチドリガンドの適用:Strep-タグ)」、Biomolecular Engineering 16:79-86、Elsevier Science, B.V.;Smith [1998]「Cookbook for Eukaryotic Protein Expression: Yeast, Insect, and Plant Expression Systems(真核生物タンパク質発現のための化学実験マニュアル:酵母、昆虫および植物発現系)」The Scientist 12(22):20;Smyth et al. [2000]「Eukaryotic Expression and Purification of Recombinant Extracellular Matrix Proteins Carrying the Strep II Tag(Strep IIタグを担持する組換え細胞外マトリックスタンパク質の真核生物における発現および精製)」Methods in Molecular Biology, 139:49-57;Unger [1997]「Show Me the Money: Prokaryotic Expression Vectors and Purification Systems(実績を上げろ:原核生物の発現ベクターおよび精製系)」The Scientist 11(17):20を参照のこと;それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、または、STRATAGENE(La Jolla、CA)、NOVAGEN(Madison、WI)、QIAGEN, Inc.(Valencia、CA)もしくはInVitrogen(San Diego、CA)などのような業者から市販購入し得るタグを含む。
【0047】
他の実施態様において、本発明のポリペプチド(例えば、配列番号2、4、6、8、10、12および/または14またはそれらのフラグメント)は、アジュバント活性を有する異種ポリペプチド配列(ポリペプチドアジュバント)へ融合し得る。そのようなポリペプチドの例には、これに限定されないが、熱ショックタンパク質(hsp)などがある(例えば米国特許第6,524,825号明細書を参照のこと;その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0048】
本発明の範囲には「エピトープ」である配列番号2、4、6、8、10、12または14の少なくとも1以上のポリペプチドフラグメントも含まれる。本発明の文脈において、「エピトープ」なる用語は、典型的には隣接するアミノ酸のαアミノ基とカルボキシル基間のペプチド結合によって互いに連結している一連の残基(典型的にはL-アミノ酸)を指定するために用いられる。本発明の好ましいCTL(またはCD8+T細胞)誘導ペプチドは、13残基またはそれより少ない長さであり、通常約8〜約11残基(例えば、8、9、10または11残基)、好ましくは9または10残基からなる。好ましいHTL(またはCD4+T細胞)誘導ペプチドは約50残基より少ない長さであり、通常約6〜約30残基、より一般的には約12〜25残基(例えば12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25残基)、しばしば約15〜20残基(例えば15、16、17、18、19または20残基)からなる。
【0049】
本発明はまた、本発明によるポリペプチドの生物学的に活性なフラグメント(エピトープ)を提供し、H5血清型インフルエンザウイルスに対する免疫反応を誘発することができるペプチドを含み、その免疫反応により、前記ポリペプチドのフラグメント、本明細書に記載のインタクトな、完全長の、非修飾ポリペプチド、またはポリペプチドのフラグメントと本明細書に記載のインタクトな完全長の非修飾ポリペプチドの両方、と反応性の成分(B細胞、抗体および/または細胞性免疫反応の成分(例えば、ヘルパー、細胞毒性および/またはサプレッサーT細胞))が生じる。
【0050】
本発明はまた、配列番号2、4、6、8、10、12または14(またはそれらのフラグメント)を含む少なくとも1つの単離、組換えまたは精製ポリペプチド、および少なくとも1つのさらなる成分を含む組成物を提供する。本発明の様々な局面において、前記のさらなる成分は、固体支持体(例えば、マイクロタイターウェル、電磁ビーズ、非電磁ビーズ、アガロースビーズ、ガラス、セルロース、プラスチック、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ニトロセルロース、ナイロンまたはポリスルホン)である。前記のさらなる成分はまた、当業者に既知の医薬上許容し得る賦形剤またはアジュバントであり得る。本発明のいくつかの局面において、固体支持体は、本発明のポリペプチドのアレイ、または本発明の様々なポリペプチドの組み合わせを含むポリペプチドのアレイを提供する。
【0051】
本発明はまた、個体において免疫反応を誘発する方法であって、個体において免疫反応を誘導するのに十分な量の本発明によるポリペプチドを含む組成物を個体へ投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施態様において、「防御」または「治療免疫反応」は個体において誘導される。「防御免疫反応」または「治療免疫反応」は、CTL(またはCD8+T細胞)および/またはHTL(またはCD4+T細胞)、および/または個体における疾患症状、副作用または進行を妨げる、減少させる、または少なくとも部分的に抑止する抗体反応を意味する。例えば、防御免疫反応が誘導された個体は、非免疫化対照個体と比較して、減少した死亡率を示し得、および/または減少したウイルスの出芽を示し得る。防御免疫反応は、ヘルパーT細胞(またはCD4+T細胞)の刺激により促進された抗体反応も含み得る。個体における免疫反応を誘導するさらなる方法は、米国特許第6,419,931号明細書に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本出願を通して、CTLなる用語はCD8+T細胞と互換的に用いることができ、HTLなる用語はCD4+T細胞と互換的に用いることができる。
【0052】
本出願の文脈において、個体は、鳥および/または哺乳類、例えば、これらに限定されないが、類人猿、チンパンジー、オランウータン、ヒト、サルまたは家畜化された動物(ペット)、例えばイヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ウサギ、フェレット、ウシ、ウマ、ヤギおよびヒツジを意味する。トリ(avian)または鳥(bird)は本明細書において、典型的に、翼へと変形した前肢、鱗状の下肢、くちばしを有し、固い殻の卵に子供を産み出す、温血脊椎動物の鳥類網のいずれかのメンバーと定義する。本明細書の目的において、好ましい鳥のグループは、家畜化されたニワトリ、シチメンチョウ、ダチョウ、アヒル、ガチョウ、ハクチョウおよびコーニッシュゲームヘンである。より好ましいグループは、家畜化されたニワトリおよびシチメンチョウである。
【0053】
投与する、または投与は、個体の身体へ物質を導入することと定義し、経口、経鼻、眼、直腸、膣および非経口の経路が含まれる。組成物は個々に、または他の薬剤と組み合わせて、皮下(SQ)、筋肉内(IM)、静脈内(IV)、腹腔内(IP)、皮内(ID)、鼻、眼または口腔粘膜(IN)を介して、または経口などであるがこれらに限定されないいずれかの投与経路を介して投与され得る。
【0054】
個体へ投与される組成物は、要すれば、アジュバントを含有してもよく、対象に免疫原を輸送するための当分野に既知のいずれかの方法により輸送することができる。組成物は、いずれかの担体、例えば、医薬上許容し得る担体、例えばE.W. Martinの「Remington's Pharmaceutical Science(レミントンの薬学)」、Mack Publishing Company、Easton, PAに記載のものなどの中に製剤化してもよい。好ましい実施態様において、組成物はフロイント不完全アジュバント、フロイント完全アジュバント、またはミョウバン中に製剤化してもよい。
【0055】
他の実施態様において、本発明は、ウエスタンブロットフォーマットまたは当業者に既知の標準的イムノアッセイに基づき、配列番号2、4、6、8、10、12または14を含む、本質的にからなる、またはからなるポリペプチドを用いる診断アッセイを提供する。例えば、抗体に基づくアッセイ、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ラテラルフローアッセイ、リバーシブルフロークロマトグラフィー結合アッセイ(例えば米国特許第5,726,010号明細書を参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、イムノクロマトグラフィーストリップアッセイ、自動化フローアッセイ、およびペプチド含有バイオセンサーを利用するアッセイを、本発明により提供するポリペプチド(またはそれらのフラグメント)と結合する抗体の検出に採用してもよい。アッセイおよびアッセイを行う方法は当分野においてよく知られており、それらの方法により、生物学的サンプル(例えば、血清、血漿または血液)を、本発明のポリペプチドと結合する抗体の存在について、定性的に(抗体の存在または非存在)または定量的に(本発明のポリペプチドを用いて作製された検量線に対するサンプルの比較)、試験することができる。
【0056】
抗体に基づくアッセイには以下の4つのタイプがあると考えられる:直接的結合アッセイ、サンドイッチアッセイ、競合アッセイおよび置換アッセイ。直接結合アッセイでは、抗体または抗原は標識化され、形成された複合体の数を測定する手段が存在する。サンドイッチアッセイでは、少なくとも3つの成分の複合体の形成(例えば、抗体-抗原-抗体)を測定する。競合アッセイでは、標識化抗原と非標識化抗原が抗体への結合について競合し、結合した成分または遊離成分のいずれかが測定される。置換アッセイでは、標識化抗原が予め抗体へ結合しており、受容体から、結合していた標識化抗原が非標識化抗原に取って代わられる際の、シグナルの変化が測定される。
【0057】
ラテラルフローアッセイは米国特許第 5,712,170号明細書およびそこに引用されている参考文献の教示に従って行うことができる。米国特許第5,712,170号明細書およびそこに引用されている参考文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。置換アッセイおよび置換アッセイを行うのに有用なフローイムノセンサーは以下に記載されている:(1)「Biosensor Technology(バイオセンサー技術)」、R. P. Buckら編、Marcel Dekker、N.Y.の、Kusterbeckら、「Antibody-Based Biosensor for Continuous Monitoring(連続モニタリングのための抗体に基づくバイオセンサー)」、pp. 345-350(1990);Kusterbeckら、「A Continuous Flow Immunoassay for Rapid and Sensitive Detection of Small Molecules(低分子の素早く敏感な検出のための連続フローイムノアッセイ)」、Journal of Immunological Methods、第135巻、pp. 191-197(1990);「Biosensor Design and Application(バイオセンサーの設計および利用)」、J. Findleyら編、American Chemical Society Pressの、Liglerら、「Drug Detection Using the Flow Immunosensor(フローイムノセンサーを用いる薬物検出)」pp. 73-80(1992);および、Ogertら、「Detection of Cocaine Using the Flow Immunosensor(フローイムノセンサーを用いるコカインの検出)」、Analytical Letters、第25巻、pp. 1999-2019(1992);これらは全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。置換アッセイおよびフローイムノセンサーは米国特許第5,183,740号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)にも記載されている。この置換イムノアッセイは、低分子を検知するのに用いられるほとんどの競合イムノアッセイと異なり、増加する抗原濃度に陽性シグナルを創出することができる。
【0058】
本発明はまた、本発明のポリペプチド(例えば配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14、またはそれらの抗体結合フラグメント)へ抗体を結合させる方法であって、抗体-抗原複合体の形成が可能な条件下において、抗体を含有するサンプルをポリペプチドと接触させることを含む方法を提供する。これらの方法は、抗体-抗原複合体の形成を検出する工程をさらに含み得る。この方法の様々な局面において、イムノアッセイはH5血清型インフルエンザウイルスを検出するために行う。このようなイムノアッセイの例には、これらに限定されないが、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ラテラルフローアッセイ、イムノクロマトグラフィーストリップアッセイ、自動化フローアッセイ、ウエスタンブロット、免疫沈降アッセイ、リバーシブルフロークロマトグラフィー結合アッセイ、凝集アッセイおよびバイオセンサーなどがある。本発明のさらなる局面は、前述の検出方法を行う際のポリペプチドのアレイの使用を提供する(アレイは配列番号2、4、6、8、10、12または14に記載の少なくとも1つのポリペプチド(またはそれらのフラグメント)を含有し得、また同じまたは異なるインフルエンザ血清型の他のポリペプチドも含有し得る)。
【0059】
本発明はまた、本発明のポリペプチドに結合する抗体に関する。本明細書に記載のポリペプチドに免疫学的に特異的な抗体を特に考慮している。さまざまな実施態様において、他の赤血球凝集素ポリペプチドと交差反応しない抗体が好ましい。特に好ましい抗体は、H5血清型インフルエンザウイルスに由来する赤血球凝集素ポリペプチドに対して産生された抗体と交差反応しない。本発明の抗体は、標準的な材料および当分野に既知の方法を用いて調製できる(例えば、「Monoclonal Antibodies: Principles and Practice(モノクローナル抗体:原理と実践)」、1983;「Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications(モノクローナルハイブリドーマ抗体:技術と利用)」、1982;「Selected Methods in Cellular Immunology(細胞免疫学における選択的方法)」、1980;「Immunological Methods(免疫学的方法)」、第II巻、1981;「Practical Immunology(実践免疫学)」、およびKohler et al. [1975] Nature 256:495を参照のこと)。これらの抗体は1以上のさらなる成分、例えば固体支持体、担体または医薬上許容し得る賦形剤、または標識をさらに伴ってもよい。
【0060】
「抗体」なる用語は、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および、所望の生物学的活性、特に中和活性を示す限り、抗体フラグメントを含む。「抗体フラグメント」は、完全長抗体の一部、一般にその抗原結合領域または可変領域を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント;二重特異性抗体;直鎖状抗体(linear antibody);単鎖抗体分子;および複数の抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体などがある。
【0061】
本明細書において用いられる場合、「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に同種の抗体集団から得られる抗体を意味する、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は若干量存在し得る潜在的な天然突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対して方向付けられている。さらに、典型的に様々な決定基(エピトープ)に特異的な様々な抗体を含む、従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に対して方向付けられている。「モノクローナル」なる修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られる際の抗体の特性を示し、いずれかの特定の方法による抗体の産生を必要とするとは解釈しない。例えば、本発明において用いるべきモノクローナル抗体は、Kohler et al. [1975] Nature 256: 495に初めに記載されたハイブリドーマ法によって作成することができ、または組換えDNA法により作成することができる(例えば米国特許第4,816,567号明細書を参照のこと)。「モノクローナル抗体」は、例えばClackson et al. [1991] Nature 352: 624-628およびMarks et al. [1991] J. Mol. Biol. 222: 581-597に記載の技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
【0062】
本明細書に記載のモノクローナル抗体には、特に、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の種に由来するまたは特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同であり、鎖の残りの部分が別の種に由来するまたは別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同である、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)ならびに所望の生物学的活性を示す限りはそのような抗体のフラグメントが含まれる(米国特許第4,816,567号明細書;およびMorrison et al. [1984] Proc. Natl. Acad Sci. USA 81: 6851-6855)。また、配列番号2、4、6、8、10、12または14に記載のポリペプチドまたはそれらのフラグメントと特異的に結合するヒト化抗体も含まれる(例えばヒト化抗体の作製法を教示している米国特許第6,407,213号または6,417,337号明細書を参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0063】
「単鎖Fv」または「sFv」抗体フラグメントは、抗体のVHおよびVLドメインを含み、ここでこれらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一般に、FvポリペプチドはVHとVLドメインとの間に、ポリペプチドリンカーをさらに含み、これによりsFvは抗原結合のための所望の構造形成をすることができる。sFvの概説については、「The Pharmacology of Monoclonal Antibodies(モノクローナル抗体の薬理学)」[1994]第113巻:269-315(RosenburgおよびMoore編、Springer Verlag、New York)のPluckthunを参照のこと。
【0064】
「二重特異性抗体」なる用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントを意味し、そのフラグメントは同じポリペプチド鎖内に軽鎖可変ドメイン(VL)と連結した重鎖可変ドメイン(VH)(VH−VL)を含む。二重特異性抗体は、例えば、欧州特許第404,097号明細書;国際公開第1993/011161号パンフレット;およびHollinger et al. [1993] Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448により完全に記載されている。「直鎖状抗体」なる用語はZapata et al. [1995] Protein Eng. 8(10):1057-1062に記載されている抗体を意味する。
【0065】
「単離」抗体とは、その天然環境の成分から同定され、分離され、および/または回収された抗体である。その天然環境の汚染成分は、抗体の診断上のまたは治療的な利用を妨げ得る物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質が含まれ得る。好ましい実施態様において、抗体は以下の程度まで精製する:(1)Lowry法により定量して抗体の95重量%を超えるまで、最も好ましくは99重量%を超えるまで、(2)スピニングカップ(spinning cup)配列決定装置を用いてN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、または(3)還元または非還元条件下、クマシーブルー染色または好ましくは銀染色を用いたSDS-PAGEにより、均一となるまで。単離抗体は、抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないので、組換え細胞内のインサイチュ抗体を含む。しかしながら、普通は、単離抗体は少なくとも1つの精製工程を経て調製されるであろう。
【0066】
上述のように、「ヌクレオチド配列」、「ポリヌクレオチド」または「核酸」は互換的に用いることができ、本発明によると、二本鎖DNA、一本鎖DNAまたはそれらのDNAの転写産物(例えばRNA分子)のいずれかを意味すると解する。
【0067】
同一性のパーセンテージの範囲、20.00%〜99.99%は、記載した値を含む、および提供すると解されたく、また20.00%から、0.01%の間隔で99.99%を含むまでの断片的な値をサポートしている。これらのパーセンテージは純粋に統計学的値であり、2つの核酸配列の間の差異は、無作為に、完全配列長にわたって分布し得る。例えば、相同配列は、本発明の配列と、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99パーセントの同一性の割合を示し得る。典型的には、同一性のパーセンテージは、完全長、ネイティブおよび/または天然ポリヌクレオチドを基準にして計算される。「同一の」または「同一性」のパーセンテージなる用語は、2以上のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の文脈において、比較ウィンドウにおける最大の一致について比較し、アライメントした場合に、配列比較アルゴリズムを用いて、または手動アライメントおよび目視検査により測定して、同じである、または、同じヌクレオチドまたはアミノ酸残基を特定のパーセンテージで有する2以上の配列またはサブ配列を意味する。
【0068】
タンパク質および核酸配列の両方の相同性は、当分野に既知の様々な配列比較アルゴリズムおよびプログラムのいずれかを用いて評価することができる。そのようなアルゴリズムおよびプログラムには、決して限定はしないが、TBLASTN、BLASTP、FASTA、TFASTAおよびCLUSTALWなどがある(Pearson and Lipman、1988、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85(8):2444-2448;Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215(3):403-410;Thompson et al., 1994, Nucleic Acids Res. 22(2): 4673-4680;Higgins et al., 1996, Methods Enzymol. 266:383-402;Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215(3):403-410;Altschul et al., 1993, Nature Genetics 3:266-272)。配列比較は、典型的には、業者が提供するデフォルトのパラメーターを用いて、または上記の参考文献(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のパラメーターを用いて行う。
【0069】
「相補的」ポリヌクレオチド配列は、本明細書において用いる場合、二本鎖核酸分子(DNA-DNA、DNA-RNAまたはRNA-RNA)の特定のプリンと特定のピリミジンの間の水素結合から生じる配列を一般に意味する。主な特異的な対形成は、グアニンとシトシン、およびアデニンとチミンまたはウラシルである。「相補的」ポリヌクレオチド配列は、「アンチセンス」ポリヌクレオチド配列または「アンチセンス配列」とも称する場合がある。
【0070】
配列相同性および配列同一性は、高ストリンジェンシー、中程度のストリンジェンシーおよび/または低ストリンジェンシー下におけるハイブリダイゼーション調査によって測定することもできる。様々な程度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーションを採用することができる。より厳しい条件であるほど、二本鎖形成に要求される相補性がより高くなる。条件の厳しさは、温度、プローブ濃度、プローブ長、イオン強度、時間などにより調節できる。好ましくは、ハイブリダイゼーションは、当分野においてよく知られる技術、例えば、Keller、G.H.、M.M. Manak [1987]「DNA Probes(DNAプローブ)」、Stockton Press、New York, NY.、pp. 169-170に記載の技術によって、低、中、高ストリンジェンシー条件下において行う。
【0071】
例えば、サザンブロットにおける32P-標識化遺伝子特異的プローブと固定化DNAとのハイブリダイゼーションは、標準的な方法により行うことができる(Maniatisら[1982]「Molecular Cloning: A Laboratory Manual(分子クローニング:実験室マニュアル)」、Cold Spring Harbor Laboratory、New York)。一般的に、ハイブリダイゼーションおよび後の洗浄は、例示のポリヌクレオチド配列と相同性を有する標的配列の検出を可能にする中〜高ストリンジェンシー条件下において行うことができる。二本鎖DNA遺伝子プローブの場合、ハイブリダイゼーションは、6×SSPE、5×デンハート液、0.1%SDS、0.1mg/ml変性DNA中においてDNAハイブリッドの融解温度(Tm)から20-25℃低い温度にて一晩行うことができる。融解温度は以下の式によって表される(Beltz et al. [1983] 「Methods of Enzymology(酵素学の手法)」、R. Wu, L. GrossmanおよびK. Moldave編、Academic Press、New York 100:266-285)。
Tm=81.5℃+16.6 Log[Na+]+0.41(%G+C)−0.61(%ホルムアミド)−600/塩基対における二本鎖の長さ
【0072】
洗浄は典型的には以下のように行う:
(1)1×SSPE、0.1%SDS中、室温にて15分間、2回(低ストリンジェンシー洗浄);
(2)0.2×SSPE、0.1%SDS中、Tmから20℃低い温度にて15分間、1回(中ストリンジェンシー洗浄)。
【0073】
オリゴヌクレオチドプローブの場合、ハイブリダイゼーションは、6×SSPE、5×デンハート液、0.1%SDS、0.1mg/ml変性DNA中、ハイブリッドの融解温度(Tm)から10-20℃低い温度にて、一晩行うことができる。オリゴヌクレオチドプローブのTmは以下の式によって決定することができる:
Tm(℃)=2(T/A塩基対の数)+4(G/C塩基対の数)(Suggsら、[1981] ICN-UCLA Symp. Dev. Biol. 「Using Purified Genes(精製遺伝子の使用)」、D.D. Brown編、Academic Press、New York、23:683-693)。
【0074】
洗浄は以下のように行うことができる:
(1)1×SSPE、0.1%SDS中、室温にて15分間、2回(低ストリンジェンシー洗浄);
(2)1×SSPE、0.1%SDS中、ハイブリダイゼーション温度にて15分間、1回(中程度ストリンジェンシー洗浄)。
【0075】
一般に、塩および/または温度を変更してストリンジェンシーを変化させることができる。70塩基程度以上の長さの標識化DNAフラグメントの場合、以下の条件を用いることができる:
低:1または2×SSPE、室温
低:1または2×SSPE、42℃
中:0.2×または1×SSPE、65℃
高:0.1×SSPE、65℃。
【0076】
別の例において、これに限定しないが、高ストリンジェンシー条件を用いる方法を以下のように行うこともできる:DNA含有フィルターのプレハイブリダイゼーションを、6×SSC、50mM Tris HCl(pH 7.5)、1 mM EDTA、0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.02%BSAおよび500μg/ml変性サケ精子DNAにより構成される緩衝液において、65℃にて8時間から一晩行う。フィルターを、100μg/ml変性サケ精子DNAおよび5-20×106cpmの32P標識化プローブを含有するプレハイブリダイゼーション混合物中において、48時間、65℃(好ましいハイブリダイゼーション温度)にて、ハイブリダイズさせる。あるいは、ハイブリダイゼーション工程は、SSC緩衝液(0.15M NaClおよび0.05Mクエン酸ナトリウムに相当する1×SSC)の存在下において、65℃にて行うことができる。次に、フィルターの洗浄を、2×SSC、0.01%PVP、0.01%Ficollおよび0.01%BSA含有溶液中において37℃にて1時間行い、次いで、0.1×SSCにおいて50℃にて45分間洗浄することができる。あるいは、フィルターの洗浄は、2×SSCおよび0.1%SDS、または0.5×SSCおよび0.1%SDS、または0.1×SSCおよび0.1%SDSを含有する溶液中において、68℃にて15分間隔で行うことができる。洗浄工程に続き、ハイブリダイズプローブをオートラジオグラフィーにより検出することができる。用いることができる他の高ストリンジェンシー条件は当分野においてよく知られており、Sambrookら、1989年、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual(分子クローニング、実験室マニュアル)」、第2版、Cold Spring Harbor Press、N.Y.、pp. 9.47-9.57;およびAusubelら、1989年、「Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学の最新プロトコール)」、Green Publishing Associates and Wiley Interscience、N.Y.(これらはその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0077】
中程度のストリンジェンシーの条件を用いる方法の別の例に、これに限定されないが、以下のものがある:DNA含有フィルターをプレハイブリダイゼーションし、次いで5×SSC緩衝液および標識化プローブの存在下において60℃にてハイブリダイズさせる。次に、フィルターの洗浄を2×SSC含有溶液中において50℃にて行い、ハイブリダイズしたプローブをオートラジオグラフィーにより検出する。用いることができる他の中程度のストリンジェンシー条件は当分野においてよく知られており、Sambrookら、1989年、「Molecular Cloning, A laboratory Manual(分子クローニング、実験室マニュアル)」、第2版、Cold Spring Harbor Press、N.Y.、pp. 9.47-9.57;およびAusubelら、1989年、「Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学の最新プロトコール)」、Green Publishing Associates and Wiley Interscience、N.Y.(これらはその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0078】
二本鎖の形成および安定性は、ハイブリッドの2つの鎖の間の実質的な相補性に依拠し、上記のように、特定の度合のミスマッチは許容し得る。それ故に、本発明のプローブ配列は突然変異(1つおよび複数の両方)、欠失、記載配列の挿入、およびそれらの組み合わせを含み、その突然変異、挿入および欠失は、それらが存在しても目的の標的ポリヌクレオチドとの安定なハイブリッドの形成が可能なものである。突然変異、挿入および欠失は与えられたポリヌクレオチド配列に多くの方法によって作り出すことができ、これらの方法は当業者に知られている。他の方法も将来発見され得る。
【0079】
制限酵素を用いて本発明のDNA配列の機能性フラグメントを得ることができることも当分野においてよく知られている。例えば、Bal31エキソヌクレアーゼは、時間制御された限定されたDNAの消化に好都合に用いることができる(一般に「erase-a-base(一塩基消去)」法と呼ばれる)。例えば、Maniatisら[1982]「Molecular Cloning: A Laboratory Manual(分子クローニング:実験室マニュアル)」、Cold Spring Harbor Laboratory、New York;Wei et al. [1983] J. Biol. Chem. 258:13006-13512.を参照のこと。
【0080】
本発明は本発明のポリヌクレオチド配列のフラグメントをさらに含む。本発明によるポリヌクレオチド配列の代表的なフラグメントは、由来する配列の少なくとも5連続のヌクレオチド、好ましくは少なくとも12連続のヌクレオチド、さらにより好ましくは少なくとも15、18または少なくとも20連続のヌクレオチドを有するいずれかのヌクレオチドフラグメントを意味すると解されたい。そのようなフラグメントの上限は、特定のポリペプチド(例えば配列番号2のようなポリペプチド)をコードする完全長配列に見られるヌクレオチドの総数である。「連続(successive)」なる用語は、「連続(consecutive)」または「連続配列(contiguous span)」なる語句と置き換えることができる。従って、いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチドフラグメントは「少なくともXヌクレオチドの連続配列」と呼ぶことができ、ここでXは5から始まるいずれかの整数値である;そのようなフラグメントの上限は、特定のポリペプチド(例えば配列番号2を含むポリペプチド)をコードする完全長配列に見られるヌクレオチドの総数より1ヌクレオチド少ない値である。
【0081】
いくつかの実施態様において、本発明は、様々な条件のストリンジェンシー条件(例えば、高または中程度のまたは低ストリンジェンシー)下において本発明によるヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるフラグメントを含む;本発明のヌクレオチド配列とハイブリダイズするフラグメントは、要すれば、下記に記載のように標識化することができる。
【0082】
本発明は、一実施態様において、形質転換宿主細胞において、またはトリインフルエンザに感染していることが疑われる個体から単離された細胞において、本発明による核酸の存在を同定する方法を提供する。これらの様々な実施態様において、本発明は、サンプル(個体または細胞培養物から得られる)における核酸の検出であって、サンプルと本発明の核酸(ポリヌクレオチド)(例えばRNA、mRNA、DNA、cDNAまたは他の核酸)とを接触させることを含む検出を提供する。好ましい実施態様において、ポリヌクレオチドは、要すれば、標識化され検出系において用いられるプローブである。核酸の検出法は多く存在し、あらゆる適切な検出法が本発明に包含される。核酸ハイブリダイゼーションを利用する典型的なアッセイの型には以下のものがあるがこれらに限定されない:1)核ランオン(run-on)アッセイ、2)スロットブロットアッセイ、3)ノーザンブロットアッセイ(Alwine, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 74:5350)、4)磁性粒子分離、5)核酸またはDNAチップ、6)逆ノーザンブロットアッセイ、7)ドットブロットアッセイ、8)インサイチュハイブリダイゼーション、9)RNaseプロテクションアッセイ(Melton, et al., Nuc. Acids Res. 12:7035およびAmbion, Inc.、Austin, Tex.の1998年カタログに記載されている)、10)リガーゼ連鎖反応、11)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、12)逆転写酵素(RT)-PCR(Berchtold, et al., Nuc. Acids. Res. 17:453)、13)ディファレンシャルディスプレイRT-PCR(DDRT-PCR)または他の技術およびアッセイの適切な組み合わせ。これらの検出法における使用に適した標識には以下のものなどがあるがこれらに限定されない1)放射性標識、2)酵素標識、3)化学発光標識、4)蛍光標識、5)磁気標識、または以下に記載のものを含む他の適切な標識。これらの方法および標識は当分野においてよく知られており、当業者に広く利用可能である。同様に、標識を核酸へ組み込む方法も当業者によく知られている。
【0083】
従って、本発明はまた、標的配列または標的配列から作製された単位複製配列とのハイブリダイゼーションについての検出プローブ(例えば、開示したポリヌクレオチド配列のフラグメント)を提供する。そのような検出プローブは、少なくとも 8、9、10、11、12、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100ヌクレオチドの隣接/連続配列を含むであろう。標識化プローブまたはプライマーは放射性化合物または上記の別の種類の標識(例えば、1)放射性標識、2)酵素標識、3)化学発光標識、4)蛍光標識、または5)磁気標識)により標識化される。あるいは、非標識化ヌクレオチド配列を、プローブまたはプライマーとして直接用いてもよい;しかしながら、それらの配列は一般に、多くの用途に用いることができるプローブを提供するために、放射性元素(32P、35S、3H、125I)またはビオチン、アセチルアミノフルオレン、ジゴキシゲニン、5-ブロモ-デオキシウリジン、またはフルオレセインなどの分子により標識化される。
【0084】
本発明のポリヌクレオチドは、アレイまたは固体支持体と結合したポリヌクレオチドを用いた遺伝子発現の定性的および定量的な分析にも用いることができる。本明細書に用いる場合、アレイなる用語は、完全長ポリヌクレオチド、または遺伝子発現の特異的検出が可能となる十分な長さのポリヌクレオチドの一次元、二次元または多次元の配置を意味する。好ましくは、それらのフラグメントは少なくとも15ヌクレオチド長である。より好ましくは、それらのフラグメントは少なくとも100ヌクレオチド長である。さらに好ましくは、それらのフラグメントは100ヌクレオチド長よりも長い。いくつかの実施態様において、それらのフラグメントは500ヌクレオチド長より長くてもよい。
【0085】
例えば、遺伝子発現の定量的な分析は、本発明の完全長ポリヌクレオチドまたはそれらのフラグメントを用い、Schenaらにより報告されている相補的DNAマイクロアレイにおいて行うことができる(Science 270:467-470、1995;Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93:10614-10619、1996)。ポリヌクレオチド、またはそれらのフラグメントを、PCRにより増幅し、シリル化した顕微鏡用スライド上に配列させる。プリントしたアレイを湿気のあるチャンバー内でインキュベートしてアレイの各要素を再水和させ、0.2%SDS中にて1分間1回、水中にて1分間2回、水素化ホウ素ナトリウム溶液中にて5分間1回リンスした。アレイを水中に95℃にて2分間浸し、0.2%SDSに移して1分間置き、水により2回リンスし、空気乾燥させ、25℃にて暗闇の中で保存した。
【0086】
mRNAを生物学的サンプルから単離し、プローブを1ラウンドの逆転写によって調製した。プローブを14×14mmのカバーガラス下の1cm2のマイクロアレイに60℃にて6-12時間ハイブリダイズさせる。アレイを低ストリンジェンシー洗浄緩衝液(1×SSC/0.2%SDS)中において25℃にて5分間、次いで高ストリンジェンシー洗浄緩衝液(0.1×SSC/0.2%SDS)中において室温にて10分間洗浄した。アレイを0.1×SSC中において特注のフィルターセットを取り付けた蛍光レーザースキャニング装置を用いてスキャンする。2つの独立したハイブリダイゼーション率の平均を取って正確な発現差異の測定値を得る。
【0087】
生物学的サンプルに存在するポリヌクレオチドの定量的な分析も、Pietuらにより報告されているように、相補的DNAアレイにおいて行うことができる(Genome Research 6:492-503、1996)。本発明のポリヌクレオチドまたはそれらのフラグメントを、PCR増幅し、膜上にスポットする。次いで、様々な組織または細胞に由来する生物学的サンプルを起源とするmRNAを放射性ヌクレオチドにより標識化する。ハイブリダイゼーションおよび制御された条件における洗浄後、ハイブリダイズしたmRNAをホスホイメージングまたはオートラジオグラフィーにより検出する。2反復の実験を行い、次いで示差的に発現されたmRNAの定量的な分析を行う。
【0088】
あるいは、本発明のポリヌクレオチド配列はDNAチップなどの分析系において用いることもできる。DNAチップおよびそれらの使用は当分野においてよく知られており(例えば米国特許第5,561,071号;5,753,439号;6,214,545号明細書;Schena et al., BioEssays, 1996, 18:427-431;Bianchi et al., Clin. Diagn. Virol.、1997, 8:199-208;それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、および/またはAffymetrix, Inc.、Santa Clara, CA)などの業者により提供されている。さらに、本発明の核酸配列は核酸分析法において分子量マーカーとして用いることができる。
【0089】
本発明はまた、以下を含む遺伝子コンストラクトを提供する:a)配列番号2、4、6、8、10、12または14を含むポリペプチドまたはそれらのフラグメントをコードするポリヌクレオチド配列;b)配列番号2、4、6、8、10、12または14を含むポリペプチド、または配列番号2、4、6、8、10、12または14のフラグメントをコードするポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約20%〜99.99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、ここで前記ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12または14を含むポリペプチドまたはそれらのフラグメントの少なくとも1つの生物学的活性を有する;c)配列番号2、4、6、8、10、12または14を含むポリペプチドまたは配列番号2、4、6、8、10、12または14のフラグメントに対して少なくとも約20%〜99.99%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列、ここで前記ポリペプチドは配列番号2、4、6、8、10、12または14を含むポリペプチドまたはそれらのフラグメントの少なくとも1つの生物学的活性を有する;d)配列番号2、4、6、8、10、12または14を含むポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌクレオチド配列、ここでそのフラグメントは配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドの少なくとも1つの活性を有する;e)配列番号1、3、5、7、9、11または13を含むポリヌクレオチド配列;f)配列番号1、3、5、7、9、11または13のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約20%〜99.99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列;g)配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドの変異体(例えば変異ポリペプチド)をコードするポリヌクレオチド配列、ここでその変異体は配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドと関連する少なくとも1つの生物学的活性を有する;h)(g)に記載の変異ポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌクレオチド配列、ここでその変異ポリペプチドのフラグメントはそのポリペプチドと関連する少なくとも1つの生物学的活性を有する;i)多量体コンストラクトをコードするポリヌクレオチド配列;またはj)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)または(i)に記載のポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチド。本発明の遺伝子コンストラクトは、さらなる調節エレメント、例えばプロモーターおよびエンハンサーおよび、要すれば、選択可能マーカーを含有することもできる。
【0090】
要すれば調節エレメントと連結した、本明細書に記載の遺伝子コンストラクトまたは上記に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するベクターまたは発現カセットも本発明の範囲内にある。ベクターおよび発現カセットは、さらなる転写調節配列も含有し得る。そのベクターおよび発現カセットは選択可能マーカーをさらに含み得る。発現カセットは、調節配列と作動可能に連結した、生物へ共に形質転換されるべき、少なくとも1つのさらなる遺伝子を含有し得る。あるいは、さらなる遺伝子および調節エレメントを多重発現カセット上に供給することができる。そのような発現カセットには、調節領域の転写調節下にあるべき本発明の配列を挿入するための複数の制限部位が供給されている。発現カセットは、調節エレメントに作動可能に連結した選択可能マーカー遺伝子をさらに含有し得る。
【0091】
発現カセットは、転写の5'-3'方向に、転写および翻訳開始領域、本発明のDNA配列、および転写および翻訳終結領域を含むであろう。転写開始領域、プロモーターは、宿主細胞にとって、ネイティブもしくは類似体、または外来もしくは異種性であり得る。さらに、プロモーターは天然配列あるいは合成配列であり得る。「外来」によって、転写開始領域が、その転写開始領域が導入されるネイティブ植物には見られないものであることを意図している。本明細書において用いる場合、キメラ遺伝子は、コード配列にとって異種性の転写開始領域に作動可能に連結されたコード配列を含む。
【0092】
本発明の別の局面は、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列のクローニングおよび/または発現のためのベクターを提供する。本発明のベクターは、ワクチンベクターを含め、与えられた宿主細胞においてそのヌクレオチド配列を発現および/または分泌させるのに必要なエレメントを含むこともできる。ベクターは、プロモーター、翻訳の開始および終結シグナル、ならびに適切な転写調節領域を含有し得る。特定の実施態様において、ベクターは、宿主細胞において安定に維持することができ、要すれば、翻訳されたタンパク質の分泌を方向付けるシグナル配列を含有することができる。これらの種々のエレメントは用いる宿主細胞に応じて選択する。ベクターは宿主ゲノムに組み込むことができ、または要すれば、自己複製ベクターであり得る。
【0093】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドにより形質転換された宿主細胞を、本発明のポリペプチドの発現、および要すれば、発現されたポリペプチドの回収が可能な条件下において培養することを含む、本明細書に開示されたポリヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチド、ペプチド、フラグメントまたは変異体の発現を提供する。
【0094】
開示されたポリヌクレオチド配列は、そのタンパク質またはペプチドが組換えDNA分子により形質転換された宿主において発現されるように、第2の核酸配列により調節することもできる。例えば、タンパク質またはペプチドの発現は、当分野において既知のいずれかのプロモーター/エンハンサーエレメントにより制御することができる。発現を制御するのに用いることができるプロモーターには、以下のものなどがあるがこれらに限定されない:CMV-IEプロモーター、SV40初期プロモーター領域(Bernoist and Chambon, 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスの長い3'末端反復に含有されるプロモーター(Yamamoto, et al., 1980, Cell 22: 787-797)、単純ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al., 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78: 1441-1445)、メタロイチオネイン遺伝子の調節配列(Brinster et al., 1982, Nature 296: 39-42);βラクタマーゼプロモーター(Villa-Kamaroff, et al., 1978, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 75:3727-3731)、またはtacプロモーター(DeBoer, et al., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:21-25)などのプロモーターを含有する原核生物ベクター;Scientific American、1980、242:74-94の「Useful Proteins from recombinant bacteria(組換え細菌由来の有用なタンパク質)」も参照のこと;ノパリンシンセターゼプロモーター領域(Herrera-Estrella et al., 1983, Nature 303:209-213)またはカリフラワー・モザイク・ウイルス35S RNAプロモーター(Gardner, et al., 1981, Nucl. Acids Res. 9:2871)、および光合成酵素リブロース二リン酸カルボキシラーゼのプロモーター(Herrera-Estrella et al., 1984, Nature 310:115-120)を含む植物発現ベクター;酵母または菌類由来のプロモーターエレメント、例えばGal 4プロモーター、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセリン酸(phosphoglycerol)キナーゼ)プロモーター、および/またはアルカリフォスファタ−ゼプロモーター。
【0095】
本発明によるベクターは、例えば、プラスミドまたはウイルス起源のベクターである。特定の実施態様において、開示したポリヌクレオチド配列に含有されるタンパク質またはペプチドコード核酸配列に作動可能に連結したプロモーター、1以上の複製開始点、および要すれば、1以上の選択可能マーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子)を含むベクターを用いる。発現ベクターは、所望の宿主細胞における遺伝子発現などの遺伝子発現を調節する調節配列を含む。本発明のポリペプチドの発現のためのベクターの例には、pET-タイププラスミドベクター(Promega)またはpBADプラスミドベクター(Invitrogen)または下記の実施例に記載のベクターなどがある。さらに、本発明によるベクターは、本発明のポリヌクレオチド配列をクローニングするまたは発現するように宿主細胞を形質転換するのに有用である。
【0096】
本発明はまた、本発明によるベクターにより形質転換された宿主細胞も包含する。これらの細胞は、上記に記載のようなベクターに挿入されたヌクレオチド配列を宿主細胞へ導入し、次いで、本発明のポリヌクレオチド配列の複製および/または発現が可能な条件下においてその細胞を培養することにより得ることができる。
【0097】
宿主細胞は、真核生物または原核生物系、例えば細菌細胞(グラム陰性またはグラム陽性)、酵母細胞(例えば、出芽酵母(Saccharomyces cereviseae)またはピキア・パストリス(Pichia pastoris))、動物細胞(例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)、植物細胞および/またはバキュロウイルスベクターを用いる昆虫細胞から選択され得る。いくつかの実施態様において、ポリペプチドの発現のための宿主細胞には、米国特許第6,319,691号、6,277,375号、5,643,570号または5,565,335号明細書(それぞれ参照によりその全体が組み込まれる)(各特許に引用されるあらゆる参考文献を含む)に記載されている細胞などがあるがこれらに限定されない。
【0098】
さらに、宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節する、または遺伝子産物を所望の特定の様式に修飾するおよび加工するものが選択され得る。特定のプロモーターからの発現は特定の誘導因子の存在下において増大させることができる;従って、その遺伝子操作されたポリペプチドの発現は制御することができる。さらに、種々の宿主細胞が、翻訳および翻訳後プロセシングおよびタンパク質の修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化)において特徴的な特別の作用機序を有する。発現された外来タンパク質の所望の修飾および加工を確実に行うために適切な細胞株または宿主系を選択してもよい。例えば、細菌系における発現を利用して非グリコシル化コアタンパク質産物を産生することができる。酵母における発現によりグリコシル化産物を産生し得る。哺乳類細胞における発現を利用して異種タンパク質の「ネイティブな」グリコシル化を確実に行うことができる。さらに、それぞれのベクター/宿主発現系は、それぞれの程度までプロセシング反応を行うことができる。
【0099】
調節エレメントに作動可能に連結した、本明細書に記載の1以上のポリヌクレオチド、またはそれらの生物学的に活性なフラグメントを含む、1以上のポリヌクレオチド配列、遺伝子コンストラクト、ベクターまたは発現カセットを含有する、形質転換植物細胞、トランスジェニック種子、トランスジェニック植物の部分およびトランスジェニック植物も提供する。本明細書において用いる場合、「植物」なる用語には藻類および高等植物(樹木を含むがこれに限定されない)が含まれる。従って、藻類、単子葉類および双子葉類は本発明の遺伝子コンストラクト、発現カセットまたは本発明によるベクターにより形質転換され得る。特定の好ましい実施態様において、タバコの植物体またはタバコ細胞株を本明細書による遺伝子コンストラクトにより形質転換する。
【0100】
このように、本出願に記載の組成物の産生または免疫化プロトコールに有用なポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12または14を含む(本質的にからなる、またはからなる)ポリペプチド、それらのフラグメント、それらの変異ポリペプチド、または前述のポリペプチドのフラグメント、を発現するように遺伝子改変されたトランスジェニック植物細胞から由来するまたは得ることができる。例えば、米国特許出願公開第2004/0268442 A1号明細書を参照のこと;その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0101】
トランスジェニック植物は、本明細書において、形質転換植物の細胞またはプロトプラストに由来する、植物細胞培養物、植物細胞株、植物組織培養物、下等植物、単子葉植物、双子葉植物またはそれらの子孫または部分と定義し、ここで形質転換植物のゲノムは、同じ種のネイティブの、非トランスジェニック植物細胞に本来存在しない、実験室における技術により導入された外来DNAを含有する。「トランスジェニック植物」および「形質転換植物」なる用語は、時として当分野においてDNAに外来DNA分子を含有する植物を定義するための同義語として用いられる。必要に応じて、本明細書に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、形質転換植物、植物細胞または植物の部分における発現のために最適化することができる。すなわち、遺伝子は目的の種に対応する、種に好ましいコドンを用いて合成することができる。例えば、植物に好ましい遺伝子の合成についての方法が、当分野において利用可能である。例えば米国特許第5,380,831号および5,436,391号明細書、およびMurray et al.(1989)Nucleic Acids Res. 17:477-498を参照のこと;参照により本明細書に組み込まれる。
【0102】
植物においてポリペプチドを発現するための遺伝子カセットの構築は、よく知られている方法、例えばSambrookら(1989);およびAusubelら(1987)「Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学の最新プロトコール)」、John Wiley and Sons、New York, NYに記載の方法を利用して容易に行うことができる。
【0103】
本発明のコンストラクトを調製するにあたり、適切な配向性、および必要に応じて、適切な読み枠のDNA配列が得られるように、様々なDNAフラグメントを操作してもよい。アダプターまたはリンカーをDNAフラグメントを連結させるのに用いてもよく、または、好都合な制限部位の導入、過剰なDNAの除去、制限部位の除去などを行うために他の操作を含んでもよい。
【0104】
様々な工程を行う際に、クローニングを用いて、後に所望の宿主細胞へ導入するプロモーター/目的の遺伝子を含有するベクターを増幅する。広範な種類のクローニングベクターが利用可能であり、ここでクローニングベクターは大腸菌(E. coli)において機能性の複製系および形質転換細胞の選択を可能にするマーカーを含む。ベクターの例には、pBR322、pUCシリーズ、pACYC184、Bluescriptシリーズ(Stratagene)などがある。従って、ベクターの適切な制限部位に配列を挿入し、得られたプラスミドを用いて大腸菌宿主(例えば、大腸菌株HB101、JM101およびDH5α)を形質転換し、その大腸菌を適切な栄養培地において成長させ、その細胞を収穫し、溶解させ、プラスミドを回収することができる。分析には、配列分析、制限酵素分析、電気泳動などが包含され得る。各操作後、最終コンストラクトに用いるべきDNA配列を、制限酵素により切断し、次の配列へ連結することができ、ここでそれぞれの部分的コンストラクトは同じまたは異なるプラスミドにおいてクローニングしてもよい。
【0105】
植物細胞の形質転換のためのベクターは入手可能であり、または容易に調製することができる。一般に、プラスミドまたはウイルスベクターは、所定の宿主における異種DNA配列の保持および発現の両方に必要な全てのDNA制御配列を含有すべきである。そのような制御配列は一般に、リーダー配列および翻訳開始シグナルコドン、翻訳終結コドンをコードするDNA配列、およびメッセンジャーRNAプロセシングを制御する3'UTRシグナルをコードするDNA配列を含む。いずれかの特定の種における発現を最適化するための適切なエレメントの選択は、本明細書の記載事項を利用する当業者の問題である。最終的に、ベクターは望ましくは、ベクターを含有する宿主細胞の同定を可能にする表現型的な性質を提供することができるマーカー遺伝子を持つべきである。
【0106】
植物細胞へ挿入される外来コード配列の活性は、その挿入物に近接する内在植物DNAの影響に依拠する。一般に、異種遺伝子の挿入は、いずれの形質転換技術を用いても無作為であるようである;しかしながら、植物細胞へのDNAの部位特異的組換えを有する植物を作り出すための技術は存在する(国際公開第91/09957号パンフレットを参照のこと)。プロモーターの制御下において所望の配列の発現を起こさせるあらゆる方法または方法の組み合わせが適用可能である。
【0107】
本発明は、植物細胞を形質転換するためのいずれかの特定方法に限定されない。DNAを植物細胞へ導入する技術は当業者によく知られている。外来DNAを植物細胞へ輸送する4つの基本的な方法が報告されている。化学的手法(Graham and van der Eb, Virology, 54(02):536-539、1973;Zatloukal, Wagner, Cotton, Phillips, Plank, Steinlein, Curiel, Birnstiel, Ann. N.Y. Acad. Sci.、660:136-153、1992);微量注入を含む物理的方法(Capecchi, Cell, 1980, 22(2):479-488)、エレクトロポレーション(Wong and Neumann, 1982, Biochim. Biophys. Res. Commun., 107(2):584-587;Fromm, Taylor, Walbot, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82(17):5824-5828;米国特許第5,384,253号明細書)および遺伝子銃(Johnston and Tang, 1994, Methods Cell. Biol., 43(A):353-365;Fynan, Webster, Fuller, Haynes, Santoro, Robinson, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90(24):11478-11482);ウイルスを用いる方法(Clapp, 1993, Clin. Perinatol., 20(1):155-168;Lu, Xiao, Clapp, Li, Broxmeyer, 1993, J. Exp. Med., 178(6):2089-2096;Eglitis and Anderson, 1988, Biotechniques, 6(7):608-614;Eglitis, Kantoff, Kohn, Karson, Moen, Lothrop, Blaese, Anderson, 1988, Avd. Exp. Med. Biol., 241:19-27);および受容体を媒介する方法(Curiel, Agarwal, Wagner, Cotten, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88(19):8850-8854;Curiel, Wagner, Cotten, Birnstiel, Agarwal, Li, Loechel, Hu, 1992, Hum. Gen. Ther., 3(2):147-154;Wagner et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89(13):6099-6103)。
【0108】
エレクトロポレーションによる植物細胞へのDNAの導入は当業者によく知られている。植物細胞壁分解酵素、例えばペクチン分解酵素を用いて、レピシエント細胞を未処理細胞よりもエレクトロポレーションによる形質転換に対してより感受性にする。エレクトロポレーションによる形質転換を達成するために、いずれかのもろい組織、例えば細胞の懸濁培養物、または胚発生カルス、または未成熟胚、または他の器質化組織を直接用いることができる。標的植物材料の植物細胞の細胞壁を部分的に分解するには、一般に、ペクチン分解酵素、または制御された方法により機械的に傷つける方法が必要とされている。そのように処理した植物材料はエレクトロポレーションにより外来DNAを容易に受け入れる。
【0109】
外来形質転換DNAを植物細胞へ輸送する別の方法は、微粒子銃による方法である。この方法において、微粒子は外来DNAにより被覆され、推進力により細胞へ輸送される。そのような微粒子は典型的にはタングステン、金、白金および同様の金属から作製される。微粒子銃の利点は、プロトプラストの単離も(Cristou et al., 1988, Plant Physiol., 87:671-674)アグロバクテリウム感染への感受性も必要ないことである。DNAをトウモロコシ細胞へ加速度により輸送する方法の実施態様の例は、微粒子銃粒子輸送(Biolistics Particle Delivery)系であり、これは、DNAまたは細胞によって被覆した粒子を、スクリーンを通して、懸濁培養において培養したトウモロコシ細胞により被覆したフィルターの表面上に推進させるのに用いることができる。スクリーンは粒子を分散させ、その結果、粒子は大きな凝集物の中にあるレピシエント細胞には輸送されない。ボンバードメントの際には、懸濁培養細胞を好ましくはフィルターまたは固体培養培地上に集めておく。あるいは、未成熟胚または他の標的細胞を固体培養培地上に配置しておいてもよい。発射粒子を受け取るべき細胞は、大きな粒子を止めるプレートの下の適切な距離に位置させる。微粒子銃による形質転換において、最大数の安定な形質転換がなされるように、ボンバードメントを行う前の培養条件およびボンバードメントのパラメーターを最適化することができる。ボンバードメントにおける物理的および生物学的パラメーターは、この技術において重要である。物理的因子は、DNA/微粒子沈殿の操作に関する因子、または微粒子銃の飛行および速度に影響する因子である。生物学的因子は、ボンバードメント前および直後の細胞の操作に関するあらゆる工程、ボンバードメントに関係する外傷の軽減を助けるための標的細胞の浸透圧の調整、また、直線化されたDNAまたはインタクトなスーパーコイルプラスミドなどの形質転換するDNAの性質を含む。
【0110】
アグロバクテリウム媒介性の移入は、DNAを全植物組織へ導入することができ、プロトプラストからインタクトな植物を再生する必要がないため、外来DNAを植物細胞へ導入するために広く適用可能な系である。DNAを植物細胞へ導入するためのベクターを組み込んだアグロバクテリウム媒介性植物の使用は、当分野においてよく知られている。例えばFraley et al., 1985, Biotechnology, 3:629;Rogers et al., 1987, Meth. in Enzymol., 153:253-277に記載の方法を参照のこと。さらに、Ti-DNAの組み込みは比較的正確な工程であり、再配列が少ししか生じない。移入を受けるべきDNAの領域は、広い配列によって規定され、Spielmann et al., 1986, Mol. Gen. Genet., 205:34;Jorgensen et al., 1987, Mol. Gen. Genet., 207:471に記載されているように、通常、介在DNAが植物ゲノムへ挿入される。
【0111】
最新のアグロバクテリウム形質転換ベクターは、大腸菌ならびにアグロバクテリウムにおける複製が可能であり、操作が便利になっている。さらに、アグロバクテリウム媒介性の遺伝子の移入のためのベクターにおける最近の技術的な進歩において、様々なタンパク質またはポリペプチドを発現することが可能なベクターの構築を容易にするためにベクターにおける遺伝子および制限部位の配置が改善されている。挿入されたポリペプチドコード遺伝子を直接的に発現するためのプロモーターおよびポリアデニル化部位に隣接している好都合なマルチリンカー領域が、本発明の目的に適している。さらに、アーム型およびディスアーム型の両方のTi遺伝子を含有するアグロバクテリウムを形質転換に用いることができる。
【0112】
植物プロトプラストの形質転換は、リン酸カルシウム沈殿に基づく方法、ポリエチレングリコール処理、エレクトロポレーション、およびこれらの処理の組み合わせを用いて達成することができる(例えばPotrykus et al., 1985, Mol. Gen. Genet., 199:183;Marcotte et al., 1988, Nature, 335:454を参照のこと)。様々な植物種へのこれらの系の適用は、その具体的な種がプロトプラストから再生できる能力に依拠している。
【0113】
植物細胞が形質転換され、選択され、抗原発現について確認されれば、いくつかの場合において完全な稔性植物を再生することが可能である。これは選択する植物種に大いに依拠している。多くの植物種を再生する方法が文献に報告されており、当業者によく知られている。本発明の実施において、一般的な長い再生工程を回避して、素早く培養し拡大できる植物細胞株を形質転換するのが好ましい。さらに、植物細胞培養物の使用により露地栽培が避けられ、遺伝子漏れおよび食物汚染の改変が非常に減少する。NT-1およびBY-2(An, G., 1985, Plant Physiol., 79:568-570)などの株は培養における処理に特に感受性であり、容易に形質転換され、安定に組み込み現象を生じ、冷凍保存に耐えるため、これらの株のタバコ懸濁細胞培養物が好ましい。
【0114】
タバコ懸濁細胞株NT-1は、本発明の実施に適している。NT-1細胞は元はタバコ(Nicotiana tabacum L.cv. bright yellow 2)から開発された。NT-1細胞株は広く用いられており、容易に入手できる;しかし、いずれのタバコ懸濁細胞株も本発明の実施と調和する。下記の実施例に用いるのに適したNT-1細胞は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)からアクセッション番号ATCC番号74840で入手可能である。米国特許第6,140,075号明細書も参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0115】
実験室規模の振盪フラスコから数千リットルのバイオリアクター容器に到る範囲の多くの植物細胞培養技術および系が、植物細胞培養の分野において報告されよく知られている。例えばFischer, R. et al, 1999, Biotechnol. Appl. Biochem., 30, 109-112およびDoran, P., 2000, Current Opinions in Biotechnology、11:199-204を参照のこと。形質転換された植物細胞を所望の質量にまで培養した後、収穫し、穏やかに洗浄し適切な破壊用緩衝液中におく。多くの種類の緩衝液が本発明に適合する。一般に、緩衝液は、膜を可溶化するのに用いることができる粗い界面活性剤を含有しない中性pHのまたはその付近のpHの等張性緩衝塩水溶液である。好ましい緩衝液には、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水および1mM EDTA含有PBSなどがある。
【0116】
一実施態様において、細胞は超音波処理により破壊することができる。洗浄した細胞を約0.01gm/ml〜約5.0gm/mlの範囲、好ましくは約0.1gm/ml〜約0.5gm/mlの範囲(洗浄した細胞の湿重量/緩衝液の体積)の緩衝液中におく。多くの市販購入し得る超音波処理装置は本発明と調和し、超音波時間は約5〜約20秒、好ましくは約15〜約20秒の範囲である。得られるものは数ミクロンから数百ミクロンのサイズの範囲であり得、HA1ポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを顕わにする。
【0117】
本発明はまた、免疫反応または防御免疫反応を誘発するのに用いることができるDNAワクチン組成物にも関する。本発明のこの局面において、個体において免疫反応または防御免疫反応を誘発するのに十分な量の、本明細書に記載のポリペプチド(またはそれらのフラグメント)をコードする組換えDNAまたはmRNAを含む組成物を個体に投与する。シグナル配列は目的の抗原をコードする核酸から除去してもよく、当分野において既知の方法によって免疫反応の誘導について個体をモニターすることができる。「防御免疫反応」または「治療免疫反応」は、疾患の症状、副作用または進行を何らかの方法で防止するまたは少なくとも部分的に抑止する、抗原に対するCTL(またはCD8+T細胞)、HTL(またはCD4+T細胞)および/または体液性防御免疫反応を意味する。本発明の文脈において、このような防御または治療反応は、非免疫化個体と比較して、免疫化個体において増加した生存率(減少した死亡率)をもたらし、またはトリインフルエンザウイルスに曝露した免疫化個体においてウイルス出芽の減少をもたらす。
【0118】
別の実施態様において、本発明は、本発明のポリペプチド抗原またはその組成物と併せてポリヌクレオチド(DNA)ワクチンを投与することをさらに含む。好ましい実施態様において、抗原はポリヌクレオチドワクチンとして投与されたポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドである。特に好ましい実施態様において、ポリヌクレオチドワクチンの初回投与後に追加免疫としてポリペプチド抗原を投与する。
【0119】
本発明のさらなる実施態様は、当業者に既知の「プライムブースト」予防接種投与計画を用いる、本明細書に開示した新規な赤血球凝集素抗原(例えば、添付の配列表に記載のポリペプチドおよびペプチドフラグメントを参照)に対する免疫反応の誘導を提供する。本発明のこの局面において、本発明のDNAワクチンまたはポリペプチド抗原の、個体の免疫反応を「刺激(プライム)」するのに十分な量を個体に投与する。次いで、個体の免疫反応を、1)本発明のペプチド、ポリペプチドおよび/または完全長ポリペプチド抗原のうちの1つまたはそれらの組み合わせ(必要に応じて免疫賦活分子および/またはアジュバントと併せて);または2)本明細書に記載の1以上の同じまたは要すれば異なる抗原、マルチエピトープコンストラクトおよび/またはペプチド抗原をコードする核酸を含有するウイルスベクターの投与によって「追加免疫(ブースト)」する。本発明のいくつかの別の実施態様において、免疫賦活分子をコードする遺伝子を、個体の免疫反応を「追加免疫」するのに用いるウイルスベクター内に組み込んでもよい。免疫賦活分子の例には、以下のものなどがあるが、これらに限定されない:IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-15、Il-16、Il-18、IL-23、IL-24、エリスロポエチン、G-CSF、M-CSF、血小板由来増殖因子(PDGF)、MSF、FLT-3リガンド、EGF、繊維芽細胞増殖因子(FGF;例えば、aFGF(FGF-1)、bFGF(FGF-2)、FGF-3、FGF-4、FGF-5、FGF-6またはFGF-7)、インスリン様増殖因子(例えば、IGF-1、IGF-2);血管内皮増殖因子(VEGF);インターフェロン(例えば、IFN-γ、IFN-α、IFN-β);白血病抑制因子(LIF);毛様体神経栄養因子(CNTF);オンコスタチンM;幹細胞因子(SCF);トランスフォーミング増殖因子(例えば、TGF-α、TGF-β1、TGF-β1、TGF-β1)、またはケモカイン(例えば、BCA-1/BLC-1、BRAK/Kec、CXCL16、CXCR3、ENA-78/LIX、エオタキシン-1、エオタキシン-2/MPIF-2、Exodus-2/SLC、フラクタルカイン/ニューロタクチン、GROアルファ/MGSA、HCC-1、I-TAC、リンホタクチン/ATAC/SCM、MCP-1/MCAF、MCP-3、MCP-4、MDC/STCP-1、ABCD-1、MIP-1α、MIP-1β、MIP-2α/GROβ、MIP-3α/Exodus/LARC、MIP-3β/Exodus-3/ELC、MIP-4/PARC/DC-CK1、PF-4、RANTES、SDF1α、TARCまたはTECKであるがこれらに限定されない)。これらの免疫賦活分子をコードする遺伝子は当業者に既知であり、コード配列は、様々な特許データベース、公的に入手可能なデータベース(例えば、国立医学図書館(National Library of Medicine)またはヨーロッパ分子生物学研究所(European Molecular Biology Laboratory)にて閲覧できる核酸およびタンパク質データベース)、科学文献、またはGenzyme, Inc.、R&D Systems, IncまたはInvivoGen, Inc.などの企業が作製したカタログに引用された科学文献を含む、様々な情報源から得ることができる(例えば、「the 1995 Cytokine Research Products catalog(1995年サイトカイン研究製品カタログ)」、Genzyme Diagnostics、Genzyme Corporation、Cambridge MA;R&D Systems, Inc.、Minneapolis, MNの2002年または1995年のカタログ;またはInvivoGen, Inc.、San Diego, CAの2002年のカタログを参照のこと;それぞれ参照により、その中に引用されているあらゆる参考文献を含め、その全体が組み込まれる)。
【0120】
DNAワクチンを個体へ導入する方法は当業者によく知られている。例えば、DNAは骨格筋または他の体細胞組織へ注射することができる(例えば筋肉内注射)。カチオン性リポソームまたは微粒子銃装置、例えば遺伝子銃を用いてDNAワクチンを輸送することができる。あるいは、イオントフォレーシスおよび他の経皮伝達手段をDNAワクチンの個体への導入に用いることができる。
【0121】
本発明に用いるウイルスベクターは、ウイルスの感染力を損なわずに新たな遺伝子を導入するために除去されるウイルスゲノムの一部を有する。本発明のウイルスベクターは、典型的には、非病原性ウイルスである。実験者の自由選択によって、ウイルスベクターは、特定の細胞タイプ、例えばプロフェッショナル抗原掲示細胞(例えばマクロファージまたは樹状細胞)に感染するものを選択することができる。あるいは、ウイルスベクターは、個体のあらゆる細胞に感染できるものを選択することができる。本発明に用いるのに適したウイルスベクターの例には、ポックスウイルス、例えばワクシニアウイルス、トリポックスウイルス、鶏痘ウイルス、高度に弱毒化されたワクシニアウイルス(例えばアンカラ(Ankara)またはMVA(Modified Vaccinia Ankara(修飾ワクシニアウイルスアンカラ)))、レトロウイルス、アデノウイルス、バキュロウイルスなどがあるがこれらに限定されない。好ましい実施態様において、ウイルスベクターはアンカラまたはMVAである。
【0122】
ワクシニアウイルス発現ベクターの一般的な構築法は当業者に知られている(例えば、Smith and Moss Bio Techniques Nov/Dec, 306-312, 1984;米国特許第4,738,846号明細書を参照のこと;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。SutterおよびMoss(Proc. Nat'l. Acad. Sci U.S.A. 89:10847-10851, 1992)ならびにSutterら(Vaccine, 12(11):1032-40, 1994)は、本発明においてウイルスベクターとして用いることができる非反復性の組換えアンカラウイルス(MVA)の、ベクターとしての構築および使用を報告している。
【0123】
本発明のポリヌクレオチドを含む組成物は、市販購入し得る適切な核酸ワクチンベクター(プラスミド)(例えばVical、San Diego, CAから)、または、市販購入し得る他の核酸ベクター(プラスミド)(例えばValenti、Burlingame, CAから)を含み得る。あるいは、本発明は、本発明によるウイルスベクターおよびポリヌクレオチドを含む組成物を提供する。さらに、その組成物は医薬上許容し得る担体、例えば生理食塩水を含み得る。医薬上許容し得る担体は当分野においてよく知られており、市販購入することもできる。例えば、そのような許容し得る担体はE.W. Martinの「Remington's pharmaceutical Science(レミントンの薬学)」、Mack Publishing Company、Easton, PAに記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】図1は、MHC IおよびCTL(細胞毒性Tリンパ球)と相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−1】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−2】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−3】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−4】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−5】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−6】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−7】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−8】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図2−9】図2は、MHCクラスIIと相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図3】図3は、抗体分子と相互作用することが予想される配列番号14の様々なペプチドフラグメントを提供する。
【図4】図4は、植物における合成HA遺伝子の一過性の発現を示す(バイナリーベクターpDAB4492−pDAB4498を用いて観察した)。棒グラフは、接種の2または3日後に採取しプールした7つのサンプルから作製された粗製抽出物の2反復の平均ODを表す。平均化した後のトランスジェニックサンプルのODから野生型植物の葉のODを差し引いた。「92」はpDAB4492;「93」はpDAB4493;「94」はpDAB4494;「95」はpDAB4405;「96」はpDAB4496;「97」はpDAB4497;「98」はpDAB4498;「d2」は2日目、「d3」は3日目を表す。
【図5】図5は(NT1植物細胞培養物において)AIV HAを安定に発現する細胞株におけるHA含量を示す。株番号の初めの2桁はプラスミドコンストラクト(pDAB44xx)を示す。
【図6】図6は、ペチュニアの毛状根の培養物におけるpDAB4498の発現を示す:pDAB4498により形質転換されたペチュニア15株およびペチュニア陰性対照をHA発現についてELISAによりスクリーニングした。全可溶性タンパク質50μgをヤギ抗HAv5により被覆したELISAプレートに加えた。USDAニワトリ抗AIV、次いでウサギ抗ニワトリ、次いでヤギ抗ウサギIgG HRPを加えてHAを検出した。
【図7】図7はPR-8 HAに対する抗体反応を示し、マイクロタイタープレートを1ウェルにつき5μgのPR-8 HAによって被覆することにより標準的ELISA法によって検出した。
【図8】図8は、動物細胞のDNAトランスフェクションからのHA ELISA力価を示す。結果は、先祖遺伝子96(pDAB4496)、97(pDAB4497)および98(pDAB4498)が、ネイティブなTurkey Wisconsin 68 HA遺伝子93(pDAB4493)、94(pDAB4494)および95(pDAB4495)またはそれらネイティブ遺伝子の誘導体と同等の、またはより多いHAを発現することを示している。収集したトランスフェクト細胞をヤギ抗HAv5により被覆したELISAプレートに加えた。USDAニワトリ抗AIV、次いでウサギ抗ニワトリ、次いでヤギ抗ウサギIgG HRPを加えてHAを検出した。
【図9A】図9は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図9A(HAv1)は、配列番号1(HA5tw68 v3)に関するコンストラクトを図示する。
【図9B】図9は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図9B(pDAB4492)は、配列番号1(HA5tw68 v3)に関するコンストラクトを図示する。
【図10】図10は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図10(pDAB4493)は、配列番号1(HA5tw68 v3)に関するコンストラクトを図示する。
【図11A】図11は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図11A(HAv2)は、配列番号3(HA5tw68 v4)についてのコンストラクトを示す。
【図11B】図11は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図11B(pDAB4494)は、配列番号3(HA5tw68 v4)についてのコンストラクトを示す。
【図12A】図12は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図12A(HAv3)は配列番号5(HA5tw68 v5)についてのコンストラクトを示す。
【図12B】図12は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図12B(pDAB4495)は配列番号5(HA5tw68 v5)についてのコンストラクトを示す。
【図13A】図13は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図13A(HAv4)は、配列番号7(HA5AH v1)についてのコンストラクトを示す。
【図13B】図13は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図13B(pDAB4496)は、配列番号7(HA5AH v1)についてのコンストラクトを示す。
【図14A】図14は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図14A(HAv5)は、配列番号9(HA5AH v2)についてのコンストラクトを示す。
【図14B】図14は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図14B(pDAB4497)は、配列番号9(HA5AH v2)についてのコンストラクトを示す。
【図15A】図15は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図15A(HAv6)は、配列番号11(HA5AH v3)についてのコンストラクトを示す。
【図15B】図15は、植物標的化コンストラクトの遺伝子設計を図示する。図15B(pDAB4498)は、配列番号11(HA5AH v3)についてのコンストラクトを示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0125】
ベクターの構築
これらの実施例を通じて、以下の表記は、配列番号1、3、5、7、9、11または13に同定された配列を示すために用いることができる:
配列番号1:HA5TW68 v3:トリインフルエンザウイルス(AIV)赤血球凝集素(HA)H5 Turkey/Wisconsin/68;切断部位なし;植物コドンに最適化;配列番号3:HA5TW68 v4:トリインフルエンザウイルス(AIV)HA H5 Turkey/Wisconsin/68;切断部位なし;セリン239がアスパラギンへ変化;植物コドンに最適化;配列番号5:HA5TW68 v5:トリインフルエンザウイルス(AIV)HA H5 Turkey/Wisconsin/68ネイティブ配列;プロテアーゼ切断部位を含む;植物コドンに最適化;
配列番号7:HA5AH v1:99、102および170位にアミノ酸修飾を有するトリインフルエンザウイルス(AIV)HA H5 902755先祖コンセンサスハイブリッド;切断部位なし;植物コドンに最適化;配列番号9:HA5AH v2:99、102および239位にアミノ酸修飾を有するトリインフルエンザウイルス(AIV)HA H5 902755先祖コンセンサスハイブリッド;切断部位なし;植物コドンに最適化;および
配列番号11:HA5AH v3:99、102、170および239位にアミノ酸修飾を有するトリインフルエンザウイルス(AIV)HA H5 902755先祖コンセンサスハイブリッド;切断部位なし;植物コドンに最適化。
【0126】
配列番号1、3、5、7、9および11を含有する以下のHA遺伝子/ベクターコンストラクトも、これらの実施例において用いられる:
pDAB4492 v1 Ubi10-PAT:CSVMV-HA5tw68 v3(配列番号1含有ベクター);
pDAB4493 v1 Ubi10-PAT:dMas-HA5tw68 v3 (配列番号1含有ベクター);
pDAB4494 v2 Ubi10-PAT:dMas-HA5tw68 v4 (配列番号3含有ベクター);
pDAB4495 v3 Ubi10-PAT:dMas-HA5tw68 v5 (配列番号5含有ベクター);
pDAB4496 v4 Ubi10-PAT:dMas-HA5AH v1 (配列番号7含有ベクター);
pDAB4497 v5 Ubi10-PAT:dMas-HA5AH v2 (配列番号9含有ベクター);および
pDAB4498 v6 Ubi10-PAT:dMas-HA5AH v3 (配列番号11含有ベクター)。
【0127】
これらの実施例において、CSVMVは、米国特許第7,053,205号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のキャッサバ葉脈モザイクウイルス(Cassava vein mosaic virus)プロモーターを指定するために用いる;PATは、米国特許第5,633,434号;5,879,903号;5,637,489号;5,276,268号;5,273,894号明細書(それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ選択可能マーカーを指定するために用い、dMasは、米国特許第5,001,060号;5,573,932号および5,290,924号明細書(それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載の構成的キメラプロモーター4OCSΔMASを指定する。
【0128】
また、以下にそれぞれのコンストラクト内の遺伝子/アミノ酸修飾の概要を示す:
【表5】
【0129】
pDAB4492の構築
HA5tw68 v3の植物コドン最適化配列(配列番号1;赤血球凝集素H5 Turkey Wisconsin 68バージョン番号3)を含有するプラスミドDASPICO69を、PicoScript、8080 North Stadium, Suite 2100, Houston, TX 77054から入手した。DASPICO69から、BbsIおよびSacI制限酵素による消化によってHA5tw68 v3 DNAコード配列を単離し、pDAB3912の対応するNcoIおよびSacI切断部位へクローニングした。得られたコンストラクトpDAB4485は、CsVMVプロモーターv2(キャッサバ葉脈モザイクウイルスプロモーターバージョン番号2)−HA5tw68 v3コード配列−Atu ORF23 3'UTR v1(アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)オープンリーディングフレーム23 3'非翻訳領域バージョン番号1)と隣接するGateway attL組換え部位(Gatewayクローニング系およびatt部位はInvitrogen Corporation、Carlsbad, CAから入手)を含有していた。pDAB4485は制限酵素による消化によって確認した。
【0130】
CsVMVプロモーターv2−HA5tw68 v3−Atu ORF23 3'UTR v1カセットを、Gatewayクロナーゼ酵素反応(カタログ番号11791-019、Invitrogen Corporation、Carlsbad CA)によって、デスティネーションバイナリーベクターpDAB3736のattR Gateway組換え部位へ動員した。陽性クローンを制限酵素による消化によって同定し、シークエンシング反応によって確認した。完成したバイナリーは、T-DNAボーダー領域B−RB7 MARv3(シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)マトリックス結合領域バージョン番号3)−CsVMVプロモーターv2−HA5tw68 v3−Atu ORF23 3'UTR v1−At Ubi10プロモーターv2(シロイヌナズナポリユビキチン10プロモーターバージョン番号2)−PAT v3(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼバージョン番号3)−Atu ORF1 3'UTR v3(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム1 3'非翻訳領域バージョン番号3)−T-DNAボーダー領域Aを含有していた。得られたベクターが標識化pDAB4492であった。
【0131】
pDAB4493の構築
HA5tw68 v3の植物コドン最適化配列(赤血球凝集素H5 Turkey Wisconsin 68バージョン番号3)を含有するプラスミドDASPICO69をPicoScript、8080 North Stadium, Suite 2100, Houston, TX 77054から入手した。DASPICO69からBbsIおよびSac制限酵素による消化によってHA5tw68 v3 DNAコード配列を単離し、pDAB3914の対応するNcoIおよびSacI制限部位へクローニングした。得られたコンストラクトpDAB4486は、Delta MASプロモーターv1(Delta MAS 4 OCSプロモーターバージョン番号1)−HA5tw68 v3コード配列−Atu ORF23 3'UTR v1(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム23 3'非翻訳領域バージョン番号1)と隣接するGateway attL組換え部位(Gatewayクローニング系およびatt部位はInvitrogen Corporation、Carlsbad CAから入手)を含有していた。pDAB4486は制限酵素による消化によって確認した。
【0132】
Delta Masプロモーターv1−HA5tw68 v3−Atu ORF23 3'UTR v1カセットを、Gatewayクロナーゼ酵素反応(カタログ番号11791-019、Invitrogen Corporation、Carlsbad CA)によって、デスティネーションバイナリーベクターpDAB3736のattR Gateway組換え部位へ動員した。陽性クローンを制限酵素による消化によって同定し、シークエンス反応によって確認した。完成したバイナリーは、T-DNAボーダー領域B−RB7 MARv3(シロイヌナズナマトリックス結合領域バージョン番号3)−Delta Masプロモーターv1−HA5tw68 v3−Atu ORF23 3'UTR v1−At Ubi10プロモーターv2(シロイヌナズナポリユビキチン10プロモーターバージョン番号2)−PAT v3(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼバージョン番号3)−Atu ORF1 3'UTR v3(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム1 3'非翻訳領域バージョン番号3)−T-DNAボーダー領域Aを含有していた。得られたベクターが標識化pDAB4493であった。
【0133】
pDAB4494の構築
HA5tw68 v4の植物コドン最適化配列(配列番号3;赤血球凝集素H5 Turkey Wisconsin 68バージョン番号4)を含有するプラスミドDASPICO70を、PicoScript、8080 North Stadium, Suite 2100, Houston, TX 77054から入手した。DASPICO70からBbsIおよびSacI制限酵素による消化によってHA5tw68 v4 DNAコード配列を単離し、pDAB3914の対応するNcoIおよびSacI制限部位へクローニングした。得られたコンストラクトpDAB4487は、Delta Masプロモーターv1(Delta MAS 4 OCSプロモーターバージョン番号1)−HA5tw68 v4コード配列−Atu ORF23 3'UTR v1(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム23 3'非翻訳領域バージョン番号1)と隣接するGateway attL組換え部位(Gatewayクローニング系およびatt部位はInvitrogen Corporation、Carlsbad CAから入手)を含有していた。pDAB4487は制限酵素による消化によって確認した。
【0134】
Delta Masプロモーターv1−HA5tw68 v4−Atu ORF23 3'UTR v1カセットを、Gatewayクロナーゼ酵素反応(カタログ番号11791-019、Invitrogen Corporation、Carlsbad CA)によってデスティネーションバイナリーベクターpDAB3736のattR Gateway組換え部位へ動員した。陽性クローンを制限酵素による消化によって同定し、シークエンス反応によって確認した。完成したバイナリーは、T-DNAボーダー領域B−RB7 MARv3(シロイヌナズナマトリックス結合領域バージョン番号3)−Delta Masプロモーターv1−HA5tw68 v4−Atu ORF23 3'UTR v1−At Ubi10プロモーターv2(シロイヌナズナポリユビキチン10プロモーターバージョン番号2)−PAT v3(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼバージョン番号3)−Atu ORF1 3'UTR v3(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム1 3'非翻訳領域バージョン番号3)−T-DNAボーダー領域Aを含有していた。得られたベクターが標識化pDAB4494であった。
【0135】
pDAB4495の構築
HA5tw68 v5の植物コドン最適化配列(配列番号5;赤血球凝集素H5 Turkey Wisconsin 68バージョン番号5)を含有するプラスミドDASPICO71をPicoScript、8080 North Stadium, Suite 2100, Houston, TX 77054から入手した。DASPICO71からBbsIおよびSacI制限酵素による消化によってHA5tw68 v5 DNAコード配列を単離し、pDAB3914の対応するNcoIおよびSacI制限部位へクローニングした。得られたコンストラクトpDAB4488は、Delta Masプロモーターv1(Delta MAS 4 OCSプロモーターバージョン番号1)−HA5tw68 v5コード配列−Atu ORF23 3'UTR v1(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム23 3'非翻訳領域バージョン番号1)と隣接するGateway attL組換え部位(Gatewayクローニング系およびatt部位はInvitrogen Corporation、Carlsbad CAから入手)を含有していた。pDAB4488は制限酵素による消化によって確認した。
【0136】
Delta Masプロモーターv1−HA5tw68 v5−Atu ORF23 3'UTR v1カセットを、Gatewayクロナーゼ酵素反応(カタログ番号11791-019、Invitrogen Corporation、Carlsbad CA)によって、デスティネーションバイナリーベクターpDAB3736のattR Gateway組換え部位へ動員した。陽性クローンを制限酵素による消化によって同定し、シークエンス反応によって確認した。完成したバイナリーは、T-DNAボーダー領域B−RB7 MARv3(シロイヌナズナマトリックス結合領域バージョン番号3)−Delta Masプロモーターv1−HA5tw68 v5−Atu ORF23 3'UTR v1−At Ubi10プロモーターv2(シロイヌナズナポリユビキチン10プロモーターバージョン番号2)−PAT v3(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼバージョン番号3)−Atu ORF1 3'UTR v3(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム1 3'非翻訳領域バージョン番号3)−T-DNAボーダー領域Aを含有していた。得られたベクターが標識化pDAB4495であった。
【0137】
pDAB4496の構築
HA5AH v1の植物コドン最適化配列(配列番号7;赤血球凝集素H5 Animal Healthバージョン番号1)を含有するプラスミドDASDNA1を、DNA2.0、1430 O’Brien Drive, Suite E, Menlo Park, CA, 94025から入手した。DASDNA1からBbsIおよびSacI制限酵素による消化によってHA5AH v1 DNAコード配列を単離し、pDAB3914の対応するNcoIおよびSacI制限部位へクローニングした。得られたコンストラクトpDAB4489は、Delta Masプロモーターv1(Delta MAS 4 OCSプロモーターバージョン番号1)−HA5AH v1コード配列−Atu ORF23 3'UTR v1(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム23 3'非翻訳領域バージョン番号1)と隣接するGateway attL組換え部位(Gatewayクローニング系およびatt部位はInvitrogen Corporation、Carlsbad CAから入手)を含有していた。pDAB4489は制限酵素による消化によって確認した。
【0138】
Delta Masプロモーターv1−HA5AH v1−Atu ORF23 3'UTR v1カセットを、Gatewayクロナーゼ酵素反応(カタログ番号11791-019、Invitrogen Corporation、Carlsbad CA)によって、デスティネーションバイナリーベクターpDAB3736のattR Gateway組換え部位へ動員した。陽性クローンを制限酵素による消化によって同定し、シークエンス反応によって確認した。完成したバイナリーは、T-DNAボーダー領域B−RB7 MARv3(シロイヌナズナマトリックス結合領域バージョン番号3)−Delta Masプロモーターv1−HA5AH v1−Atu ORF23 3'UTR v1−At Ubi10プロモーターv2(シロイヌナズナポリユビキチン10プロモーターバージョン番号2)−PAT v3(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼバージョン番号3)−Atu ORF1 3'UTR v3(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム1 3'非翻訳領域バージョン番号3)−T-DNAボーダー領域Aを含有していた。得られたベクターが標識化pDAB4496であった。
【0139】
pDAB4497の構築
HA5AH v2の植物コドン最適化配列(配列番号9;赤血球凝集素H5 Animal Healthバージョン番号2)を含有するプラスミドDASDNA2を、DNA2.0, 1430 O’Brien Drive, Suite E, Menlo Park, CA, 94025から入手した。DASDNA2からBbsIおよびSacI制限酵素による消化によってHA5AH v2 DNAコード配列を単離し、pDAB3914の対応するNcoIおよびSacI制限部位へクローニングした。得られたコンストラクトpDAB4490は、Delta Masプロモーターv1(Delta MAS 4 OCSプロモーターバージョン番号1)−HA5AH v2コード配列−Atu ORF23 3'UTR v1(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム23 3'非翻訳領域バージョン番号1)と隣接するGateway attL組換え部位(Gatewayクローニング系およびatt部位はInvitrogen Corporation、Carlsbad CAから入手)を含有していた。pDAB4490は制限酵素による消化によって確認した。
【0140】
Delta Masプロモーターv1−HA5AH v2−Atu ORF23 3'UTR v1カセットを、Gatewayクロナーゼ酵素反応(カタログ番号11791-019、Invitrogen Corporation、Carlsbad CA)によって、デスティネーションバイナリーベクターpDAB3736のattR Gateway組換え部位へ動員した。陽性クローンを制限酵素による消化によって同定し、シークエンス反応によって確認した。完成したバイナリーは、T-DNAボーダー領域B−RB7 MARv3(シロイヌナズナマトリックス結合領域バージョン番号3)−Delta Masプロモーターv1−HA5AH v2−Atu ORF23 3'UTR v1−At Ubi10プロモーターv2(シロイヌナズナポリユビキチン10プロモーターバージョン番号2)−PAT v3(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼバージョン番号3)−Atu ORF1 3'UTR v3(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム1 3'非翻訳領域バージョン番号3)−T-DNAボーダー領域Aを含有していた。得られたベクターが標識化pDAB4497であった。
【0141】
pDAB4498の構築
HA5AH v3の植物コドン最適化配列(配列番号11;赤血球凝集素H5 Animal Healthバージョン番号3)を含有するプラスミドDASDNA3を、DNA2.0、1430 O’Brien Drive, Suite E, Menlo Park, CA, 94025から入手した。DASDNA3からBbsIおよびSacI制限酵素による消化によってHA5AH v3 DNAコード配列を単離し、pDAB3914の対応するNcoIおよびSacI制限部位へクローニングした。得られたコンストラクトpDAB4491は、Delta Masプロモーターv1(Delta MAS 4 OCSプロモーターバージョン番号1)−HA5AH v3コード配列−Atu ORF23 3'UTR v1(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム23 3'非翻訳領域バージョン番号1)と隣接するGateway attL組換え部位(Gatewayクローニング系およびatt部位はInvitrogen Corporation、Carlsbad CAから入手)を含有していた。pDAB4491は制限酵素による消化によって確認した。
【0142】
Delta Masプロモーターv1−HA5AH v3−Atu ORF23 3'UTR v1カセットを、Gatewayクロナーゼ酵素反応(カタログ番号11791-019、Invitrogen Corporation、Carlsbad CA)によって、デスティネーションバイナリーベクターpDAB3736のattR Gateway組換え部位へ動員した。陽性クローンを制限酵素による消化によって同定し、シークエンス反応によって確認した。完成したバイナリーは、T-DNAボーダー領域B−RB7 MARv3(シロイヌナズナマトリックス結合領域バージョン番号3)−Delta Masプロモーターv1−HA5AH v3−Atu ORF23 3'UTR v1−At Ubi10プロモーターv2(シロイヌナズナポリユビキチン10プロモーターバージョン番号2)−PAT v3(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼバージョン番号3)−Atu ORF1 3'UTR v3(アグロバクテリウム・ツメファシエンスオープンリーディングフレーム1 3'非翻訳領域バージョン番号3)−T-DNAボーダー領域Aを含有していた。得られたベクターが標識化pDAB4498であった。
【0143】
アグロバクテリウムの形質転換
それぞれのバイナリーコンストラクトを、アグロバクテリウム・ツメファシエンス株LBA4404へエレクトロポレーションした(1.8V、25μF、100Ω)。
【0144】
タバコ植物の一過性発現
植物が合成遺伝子を正しく発現するかどうかを確認するために、Frederickらに従いバイナリーコンストラクトをベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)へ一時的に形質転換した(Frederick, R.D., Thilmony, R.L., Sessa, G.&Martin, G.B.「Recognition specificity for the bacterial avirulence protein AvrPto is determined by Thr-204 in the activation loop of the tomato Pto kinase.(細菌非病原性タンパク質AvrPtoに対する認識特異性はトマトPtoキナーゼの活性化ループにおけるThr-204により決定される)」Mol Cell 1998, 2(2), 241-245)。葉サンプルをインキュベーションの2、3日後に採取した。次いで発現をHA特異的ELISA分析によって試験した。0.01Mホウ酸塩緩衝液(3.8 g.l-1ホウ砂、pH9、滅菌フィルター)に希釈したヤギ抗HAにより96ウェルELISAプレートを被覆した。プレートを室温にて一晩インキュベートした。新鮮な植物材料を1ml.g-1のPBSにおいてBio 101 Fast Prep装置によりホモジナイズして粗製のタンパク質抽出物を作製した。Eppendorf 5415C微量遠心機により14000rpm、4℃にて5分間遠心分離して不溶性物質を除去した。得られたサンプルの上清は分析の間氷上に置き、後に−80℃にて保存した。プレート洗浄器を用いて1ウェルにつき300μlのPBST(PBSストック+0.05%Tween-20)によりプレートを3回洗浄した。次いでプレートを5%脱脂乳/PBST(200μl/ウェル)により37℃にて2時間ブロックし、PBST(300μl/ウェル)により3回洗浄した。次いで標準物質およびサンプルをウェルに加え(200μl/ウェル)、37℃にて1時間インキュベートした。プレートをPBST(300μl/ウェル)およびニワトリ抗AIV(100μl/ウェル)により3回洗浄し、37℃にて1時間インキュベーションした。次いでプレートをPBSTにより3回洗浄し、二次抗体であるヤギ抗ニワトリIgGまたはウサギ抗ヤギ西洋わさびペルオキシダーゼコンジュゲート(Sigma)の希釈液を、1ウェルにつき100μl加えた。プレートを37℃にて1時間インキュベートし、PBSTにより3回洗浄し、次いでTMB基質(Bio Rad、100μl/ウェル)と反応させた。20-25分間発色させて現像し、450nmにおけるOD値を測定した。
【0145】
図4に示すように、合成HA遺伝子の一過性発現を観察した(バイナリーベクターpDAB4492−pDAB4498を用いて)。棒グラフはインキュベーションの2または3日後に採取しプールした7つのサンプルから作製した粗製抽出物の2反復分の平均ODを示す。平均化した後のトランスジェニックサンプルのODから野生型植物の葉のODを差し引いた。「92」はpDAB4492;「93」はpDAB4493;「94」はpDAB4494;「95」はpDAB4405;「96」はpDAB4496;「97」はpDAB4497;「98」はpDAB4498;「d2」は2日目、「d3」は3日目を表す。このように、トリインフルエンザウイルスに対して産生された抗体により合成HA遺伝子を検出し、合成HA遺伝子は植物(ベンサミアナタバコ)において一時的に発現されていた。
【実施例2】
【0146】
NT1細胞株における発現
合成遺伝子が植物により発現可能であることが判明したので、そのコンストラクトをNT1細胞株の安定な形質転換に用いた。植物細胞株NT1は、減少したアルカロイド成分を含み、植物体への再生能のないタバコ(Nicotiana tobaccum)細胞に由来する。Cardineau, Guy A.;Mason, Hugh Stanley;Van Eck, Joyce M.;Kirk, Dwayne D.;Walmsley, Amanda Maree「Vectors and cells for preparing immunoprotective compositions, such as Newcastle disease virus HN antigen, from transgenic plants.(トランスジェニック植物から、防御免疫組成物、例えばNewcastle疾患ウイルスHN抗原を調製するためのベクターおよび細胞)」、国際公開第2004/098533号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように植物細胞培養物を形質転換し、HA発現を先に記載したHA特異的ELISAによって測定した。表4および図5は、様々な細胞株において発現されたHAの量を示す。
【表4】
【実施例3】
【0147】
ペチュニア植物の形質転換およびHA発現
ペチュニアを以下のプロトコールを用いて形質転換した。コンストラクトを含有するアグロバクテリウム・リゾゲネス(A. rhizogenes)の48時間培養物を、ビタミンを含む1/2 YMB培地および1/2 MurashigeとSkoogの基本培地(MS培地)に1:5に希釈して調製した。希釈した培養物を25℃にてさらに2時間インキュベートした。ペチュニアの葉片の表面を0.4%次亜塩素酸ナトリウムにより滅菌し、アグロバクテリウム・リゾゲネス培養物に浸した。感染した葉片をMS寒天プレート上に48時間置き、選択プレートへ移した。MS寒天プレートは、MS培地、3%(w/v)スクロース、1 mgL-1 6-ベンジルアミノプリン(BAP)、1 mgL-1インドール-3-酢酸(IAA)、および0.8%(w/v)寒天を含有していた。選択プレートは、MS培地、3%(w/v)スクロース、0.8%(w/v)寒天および5mg/Lグルホシネートを含有していた。親組織のごく一部を伴った新たに形成された毛状根を、500μgml-1セフォタキシムおよび5mg/Lグルホシネートを含有する液体選択MS培地へ移した。10〜14日間成長させた後、それぞれの健常に成長している培養物から1つの根端を採取し、新しい液体選択MS培地へ入れた。この1つの根端の継代培養後の根の培養物を独立株として分類した。独立株を2〜3週間毎に減少した抗生物質濃度(250μgml-1セフォタキシム)および5mg/Lグルホシネートを含有する新しい培地へ移した。図6に示すように、ペチュニアにおいて特異的抗体により認識されるHAを発現させることができた。
【実施例4】
【0148】
遺伝子pDAB4493−98のDNAワクチンコンストラクトおよびマウスの予防接種
修飾されたTurkey Wisconsin 68系ならびに修飾を有するコンセンサス配列先祖遺伝子を含むHA遺伝子をDNAワクチンのためのベクターへクローニングした。pDAB4493-4498のHA遺伝子をHind III部位を含有するプライマーAI 11(5’-GCTAGCGGCCGCAATGCAGATTCTGCATTGAA-3’)(配列番号15)およびNot I部位を含有するAI 12(5’-GCATAAGCTTCCATGGAGAGGATTGTGAT-3’)(配列番号16)を用いてPCR増幅した。PCR産物をゲル精製し(Qiagenキット)、Hind IIIおよびNot Iにより消化し、Hind IIIおよびNot Iにより消化したpcDNA3(Invitrogen)のマルチクローニング部位へライゲートした。得られたコンストラクトを制限酵素による消化、PCRおよびシークエンシングによって確認した。陽性対照のpCI-PR8はメルボルン大学(University of Melbourne、Melbourne Australia)のLorena Brown氏にご提供頂いた。pCI-PR8はA/PR/8/34(PR8)からのHA遺伝子(アクセッション番号AF389118)を含有する。10のBALBcマウス/グループ(5匹を2反復)を、0日目および10日目に100μgのDNAワクチンにより筋肉内経路によって免疫化し、14、28、56および84日目に血液を採取した。マイクロタイタープレートを5μg PR-8 HA/ウェルにより被覆することにより標準的ELISA技術によってPR-8 HAに対する抗体反応を検出し、結果を図7に示す。
【実施例5】
【0149】
動物細胞のDNAトランスフェクション
ポリエチレンイミン(PEI)法を用いてヒト293T細胞においてトランスフェクションを行った。簡単に説明すると、細胞を6ウェルプレートの10%ウシ胎仔血清を含有するDMEM(TC培地)に播種し、37℃、5%CO2にて一晩成長させた。翌日細胞が70-80%コンフルエントとなった時点で培地を除去し新たなTC培地1mlに置き換え、37℃、5%CO2にて1時間インキュベートした。このインキュベーションの間、反応混合物を1ウェルあたり以下のように調製した:総量200μlの単純DMEM中、DNA 2μg、PEI 9μl。反応混合物をボルテックスし、室温にて10-20分間インキュベートした。各ウェルに200μlを加え、プレートを37℃、5%CO2にて48時間インキュベートした。インキュベーション中24時間の時点にウェルをPBSにより洗浄し、新たなTC培地2mlを加えた。培地を除去してトランスフェクション産物を収集し、PBSにより洗浄し、5mM EDTAを含有するPBS(PBSE)500μl中に細胞を懸濁した。次いで細胞を1.5mlチューブへ移し、遠心沈殿させ、200μl PBSEに再懸濁した。細胞を3回の凍結/融解サイクルにかけ、非イオン性界面活性剤Nonidet P40(NP-40)を終濃度1%まで加えた。
【0150】
発現タンパク質の、ニワトリ赤血球を吸収する能力を測定するために、哺乳類細胞(293TおよびVero)をトランスフェクトし、無血清培地において1-4時間インキュベーションした。培地を除去し、0.5-1%ニワトリ赤血球500μlを加えた。室温にて45分間インキュベーションした後、細胞を大規模に洗浄し、顕微鏡により観察した。トランスジェニックHAタンパク質の、赤血球と交差結合する能力は、トランスジェニックタンパク質が、赤血球表面上の糖部分へ結合するための高次構造および能力を保持していることを示している。
【表6】
注
++++、多くの赤血球が結合した赤血球吸収細胞が高頻度である
+++、5より多い赤血球が結合した赤血球吸収細胞が中程度に高頻度である
++、5より多い赤血球が結合した赤血球吸収細胞が中頻度である
+、5より多い赤血球が結合した赤血球吸収細胞が少しの頻度である
−、検出される赤血球吸収細胞が存在しない
【0151】
【表1a】
【0152】
【表1b】
【0153】
【表2a】
【0154】
【表2b】
【0155】
【表3a】
【0156】
【表3b】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2、4、6、8、10、12または14を含む、単離、精製および/または組換えポリペプチド。
【請求項2】
配列番号2、4、6、8、10、12または14のフラグメントを含む、単離、精製および/または組換えポリペプチドであって、該フラグメントが以下を含むポリペプチド:
a)配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドのフラグメント;
b)「YからZ」である配列番号2、4、6、8、10、12または14のフラグメント、ここでYは特定配列のN末端アミノ酸であり、Zは特定配列のC末端アミノ酸であり、該フラグメントは少なくとも5アミノ酸長であり、YおよびZは特定の配列番号について表1〜4に特定されたいずれかの整数である;または
c)図1、2または3に示すポリペプチドフラグメント、
ここで、該ポリペプチドフラグメントまたは変異ポリペプチドのフラグメントは、配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドの対応する生物学的活性と実質的に同じである少なくとも1つの生物学的活性を有する。
【請求項3】
配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドに対して少なくとも60〜99.99%の同一性を有し、配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドと関連する少なくとも1つの生物学的活性を有する、単離または精製変異ポリペプチド。
【請求項4】
以下を含む、単離、精製および/または組換えポリペプチド:
a)配列番号2、4、6、8、10、12および14からなる群から選択されるポリペプチドのエピトープ;または
b)配列番号2、4、6、8、10、12および14からなる群から選択されるポリペプチドの少なくとも1つのエピトープを含む、マルチエピトープコンストラクト。
【請求項5】
異種ポリペプチド配列および請求項1、2または3のいずれかに記載のポリペプチドを含む、単離または精製ポリペプチド。
【請求項6】
担体および請求項1、2、3または4のいずれかに記載のポリペプチドを含む組成物。
【請求項7】
配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14、または配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14の少なくとも5つの連続アミノ酸のフラグメント、または図1、2または3に記載の一連のアミノ酸を含むフラグメントを含む単離ポリペプチドであって、該ポリペプチドまたはフラグメントが感染性トリインフルエンザウイルスへの防御免疫反応を誘導し、該少なくとも5つのアミノ酸のフラグメントが、配列番号2のアミノ酸番号99;配列番号4のアミノ酸239;配列番号6のアミノ酸326、アミノ酸327、アミノ酸328、アミノ酸329、アミノ酸326および327、アミノ酸327および328、アミノ酸328および329、アミノ酸326、327および328、アミノ酸327、328および329、もしくはアミノ酸326、327、328および329;配列番号8のアミノ酸99、アミノ酸102、アミノ酸170、アミノ酸99および102、アミノ酸102および170、もしくはアミノ酸99、102および170;配列番号10のアミノ酸99、アミノ酸102、アミノ酸239、アミノ酸99および102、アミノ酸102および239、もしくはアミノ酸99、102および239;または配列番号12のアミノ酸99、アミノ酸102、アミノ酸170、アミノ酸239、アミノ酸99および102、アミノ酸102および170、アミノ酸170および239、アミノ酸99、102および170、アミノ酸102、170および239、もしくはアミノ酸99、102、170および239にまたがる、単離ポリペプチド。
【請求項8】
以下を含む工程により植物細胞において産生される、請求項7に記載の単離ポリペプチド:
a)前記ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクターにより植物細胞を形質転換し、形質転換植物細胞を形成する;
b)形質転換植物細胞を該ポリペプチドの発現に適した条件下において培養する;および
c)形質転換植物細胞から該ポリペプチドを回収する。
【請求項9】
前記ポリペプチドまたはポリペプチドフラグメントが異種融合ポリペプチド配列である、請求項7または8に記載の単離ポリペプチド。
【請求項10】
個体をトリインフルエンザウイルスに対して免疫化する方法であって、
個体において免疫反応を誘導するのに十分な量の組成物を投与することを含み、
該組成物が以下を含み:担体、および、配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、または配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14の少なくとも5つの連続アミノ酸のフラグメント、または図1、2もしくは3に記載の一連のアミノ酸を含むフラグメント、
該ポリペプチドまたはフラグメントが感染性トリインフルエンザウイルスに対する防御免疫反応を誘導し、
該少なくとも5つの連続アミノ酸のフラグメントが、配列番号2のアミノ酸番号99;配列番号4のアミノ酸239;配列番号6のアミノ酸326、アミノ酸327、アミノ酸328、アミノ酸329、アミノ酸326および327、アミノ酸327および328、アミノ酸328および329、アミノ酸326、327および328、アミノ酸327、328および329、もしくはアミノ酸326、327、328および329;配列番号8のアミノ酸99、アミノ酸102、アミノ酸170、アミノ酸99および102、アミノ酸102および170、もしくはアミノ酸99、102および170;配列番号10のアミノ酸99、アミノ酸102、アミノ酸239、アミノ酸99および102、アミノ酸102および239、もしくはアミノ酸99、102および239;または配列番号12のアミノ酸99、アミノ酸102、アミノ酸170、アミノ酸239、アミノ酸99および102、アミノ酸102および170、アミノ酸170および239、アミノ酸99、102および170、アミノ酸102、170および239、もしくはアミノ酸99、102、170および239にまたがる、方法。
【請求項11】
前記ポリペプチドまたはポリペプチドフラグメントが異種融合ポリペプチド配列である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリペプチドまたはそのフラグメントが、植物により産生されたポリペプチドまたは植物により産生されたフラグメントである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
トリインフルエンザ(AI)ウイルス株に対する免疫反応を誘導する方法であって、動物において免疫反応を誘導するのに十分な量の、配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、またはそのポリペプチドの免疫原性フラグメント、または図1、2もしくは3に記載のアミノ酸配列を含むペプチドフラグメントをコードする核酸配列;あるいは2)配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、またはそのポリペプチドの免疫原性フラグメント、または図1、2もしくは3に記載のアミノ酸配列を含むペプチドフラグメントをコードする核酸配列を含むウイルスベクター、を個体へ投与することを含む方法。
【請求項14】
配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、またはそのポリペプチドの免疫原性フラグメント、または図1、2もしくは3に記載のアミノ酸配列を含むペプチドフラグメントを含む組成物を投与することにより、動物の免疫反応を追加免疫することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリペプチドまたはそのポリペプチドの免疫原性フラグメントが異種融合ポリペプチド配列である、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
該ポリペプチドまたは該ポリペプチドの免疫原性フラグメントが植物由来である、請求項13、14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリペプチドが原核または真核細胞において調製される、請求項7、10、11、13、14または15に記載の方法。
【請求項18】
配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、図1、2もしくは3の1以上のポリペプチドフラグメント、または配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14のフラグメントをコードする単離ポリヌクレオチド配列、またはそれに相補的なポリヌクレオチド。
【請求項19】
配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、または配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14または図1、2もしくは3の1以上のポリペプチドフラグメントに対して、20%〜99.99%の配列相同性または同一性を有するポリペプチドであって、配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、または配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14または図1、2もしくは3の1以上のポリペプチドフラグメントと関連する少なくとも1つの生物学的活性を有するポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド配列を含む、単離ポリヌクレオチド配列またはそれに相補的なポリヌクレオチド。
【請求項20】
配列番号1、3、5、7、9、11または13を含むポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約20%〜99.99%の同一性を有する、単離または精製ポリヌクレオチド配列、またはそれに相補的なポリヌクレオチド。
【請求項21】
配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13、または配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13の少なくとも8連続ヌクレオチドのフラグメントを含む単離または精製ポリヌクレオチド配列、またはそれに相補的なポリヌクレオチドであって、該フラグメントが必要に応じて標識化されているポリヌクレオチド配列。
【請求項22】
以下を含むポリヌクレオチド配列を含む遺伝子コンストラクト:
a)配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、または図1、2もしくは3の1以上のポリペプチドフラグメント、または配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14のフラグメントをコードするポリヌクレオチド、またはそれに相補的なポリヌクレオチド;
b)配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、または配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14または図1、2もしくは3の1以上のポリペプチドフラグメントに対して、20%〜99.99%の配列相同性または同一性を有するポリペプチドであって、配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、または配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14または図1、2もしくは3の1以上のポリペプチドフラグメントと関連する少なくとも1つの生物学的活性を有するポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド配列またはそれに相補的なポリヌクレオチド;
c)配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13を含むポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約20%〜99.99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、またはそれに相補的なポリヌクレオチド;または
d)配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13を含むポリヌクレオチド配列、または配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13の少なくとも8連続ヌクレオチドのフラグメント、またはそれに相補的なポリヌクレオチド。
【請求項23】
ベクターである、請求項22に記載の遺伝子コンストラクト。
【請求項24】
請求項22に記載の遺伝子コンストラクト、または請求項18、19、20もしくは21のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む、宿主細胞。
【請求項25】
請求項22に記載の遺伝子コンストラクト、または請求項18、19、20もしくは21のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む、トランスジェニック植物。
【請求項1】
配列番号2、4、6、8、10、12または14を含む、単離、精製および/または組換えポリペプチド。
【請求項2】
配列番号2、4、6、8、10、12または14のフラグメントを含む、単離、精製および/または組換えポリペプチドであって、該フラグメントが以下を含むポリペプチド:
a)配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドのフラグメント;
b)「YからZ」である配列番号2、4、6、8、10、12または14のフラグメント、ここでYは特定配列のN末端アミノ酸であり、Zは特定配列のC末端アミノ酸であり、該フラグメントは少なくとも5アミノ酸長であり、YおよびZは特定の配列番号について表1〜4に特定されたいずれかの整数である;または
c)図1、2または3に示すポリペプチドフラグメント、
ここで、該ポリペプチドフラグメントまたは変異ポリペプチドのフラグメントは、配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドの対応する生物学的活性と実質的に同じである少なくとも1つの生物学的活性を有する。
【請求項3】
配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドに対して少なくとも60〜99.99%の同一性を有し、配列番号2、4、6、8、10、12または14のポリペプチドと関連する少なくとも1つの生物学的活性を有する、単離または精製変異ポリペプチド。
【請求項4】
以下を含む、単離、精製および/または組換えポリペプチド:
a)配列番号2、4、6、8、10、12および14からなる群から選択されるポリペプチドのエピトープ;または
b)配列番号2、4、6、8、10、12および14からなる群から選択されるポリペプチドの少なくとも1つのエピトープを含む、マルチエピトープコンストラクト。
【請求項5】
異種ポリペプチド配列および請求項1、2または3のいずれかに記載のポリペプチドを含む、単離または精製ポリペプチド。
【請求項6】
担体および請求項1、2、3または4のいずれかに記載のポリペプチドを含む組成物。
【請求項7】
配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14、または配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14の少なくとも5つの連続アミノ酸のフラグメント、または図1、2または3に記載の一連のアミノ酸を含むフラグメントを含む単離ポリペプチドであって、該ポリペプチドまたはフラグメントが感染性トリインフルエンザウイルスへの防御免疫反応を誘導し、該少なくとも5つのアミノ酸のフラグメントが、配列番号2のアミノ酸番号99;配列番号4のアミノ酸239;配列番号6のアミノ酸326、アミノ酸327、アミノ酸328、アミノ酸329、アミノ酸326および327、アミノ酸327および328、アミノ酸328および329、アミノ酸326、327および328、アミノ酸327、328および329、もしくはアミノ酸326、327、328および329;配列番号8のアミノ酸99、アミノ酸102、アミノ酸170、アミノ酸99および102、アミノ酸102および170、もしくはアミノ酸99、102および170;配列番号10のアミノ酸99、アミノ酸102、アミノ酸239、アミノ酸99および102、アミノ酸102および239、もしくはアミノ酸99、102および239;または配列番号12のアミノ酸99、アミノ酸102、アミノ酸170、アミノ酸239、アミノ酸99および102、アミノ酸102および170、アミノ酸170および239、アミノ酸99、102および170、アミノ酸102、170および239、もしくはアミノ酸99、102、170および239にまたがる、単離ポリペプチド。
【請求項8】
以下を含む工程により植物細胞において産生される、請求項7に記載の単離ポリペプチド:
a)前記ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクターにより植物細胞を形質転換し、形質転換植物細胞を形成する;
b)形質転換植物細胞を該ポリペプチドの発現に適した条件下において培養する;および
c)形質転換植物細胞から該ポリペプチドを回収する。
【請求項9】
前記ポリペプチドまたはポリペプチドフラグメントが異種融合ポリペプチド配列である、請求項7または8に記載の単離ポリペプチド。
【請求項10】
個体をトリインフルエンザウイルスに対して免疫化する方法であって、
個体において免疫反応を誘導するのに十分な量の組成物を投与することを含み、
該組成物が以下を含み:担体、および、配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、または配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14の少なくとも5つの連続アミノ酸のフラグメント、または図1、2もしくは3に記載の一連のアミノ酸を含むフラグメント、
該ポリペプチドまたはフラグメントが感染性トリインフルエンザウイルスに対する防御免疫反応を誘導し、
該少なくとも5つの連続アミノ酸のフラグメントが、配列番号2のアミノ酸番号99;配列番号4のアミノ酸239;配列番号6のアミノ酸326、アミノ酸327、アミノ酸328、アミノ酸329、アミノ酸326および327、アミノ酸327および328、アミノ酸328および329、アミノ酸326、327および328、アミノ酸327、328および329、もしくはアミノ酸326、327、328および329;配列番号8のアミノ酸99、アミノ酸102、アミノ酸170、アミノ酸99および102、アミノ酸102および170、もしくはアミノ酸99、102および170;配列番号10のアミノ酸99、アミノ酸102、アミノ酸239、アミノ酸99および102、アミノ酸102および239、もしくはアミノ酸99、102および239;または配列番号12のアミノ酸99、アミノ酸102、アミノ酸170、アミノ酸239、アミノ酸99および102、アミノ酸102および170、アミノ酸170および239、アミノ酸99、102および170、アミノ酸102、170および239、もしくはアミノ酸99、102、170および239にまたがる、方法。
【請求項11】
前記ポリペプチドまたはポリペプチドフラグメントが異種融合ポリペプチド配列である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリペプチドまたはそのフラグメントが、植物により産生されたポリペプチドまたは植物により産生されたフラグメントである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
トリインフルエンザ(AI)ウイルス株に対する免疫反応を誘導する方法であって、動物において免疫反応を誘導するのに十分な量の、配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、またはそのポリペプチドの免疫原性フラグメント、または図1、2もしくは3に記載のアミノ酸配列を含むペプチドフラグメントをコードする核酸配列;あるいは2)配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、またはそのポリペプチドの免疫原性フラグメント、または図1、2もしくは3に記載のアミノ酸配列を含むペプチドフラグメントをコードする核酸配列を含むウイルスベクター、を個体へ投与することを含む方法。
【請求項14】
配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、またはそのポリペプチドの免疫原性フラグメント、または図1、2もしくは3に記載のアミノ酸配列を含むペプチドフラグメントを含む組成物を投与することにより、動物の免疫反応を追加免疫することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリペプチドまたはそのポリペプチドの免疫原性フラグメントが異種融合ポリペプチド配列である、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
該ポリペプチドまたは該ポリペプチドの免疫原性フラグメントが植物由来である、請求項13、14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリペプチドが原核または真核細胞において調製される、請求項7、10、11、13、14または15に記載の方法。
【請求項18】
配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、図1、2もしくは3の1以上のポリペプチドフラグメント、または配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14のフラグメントをコードする単離ポリヌクレオチド配列、またはそれに相補的なポリヌクレオチド。
【請求項19】
配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、または配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14または図1、2もしくは3の1以上のポリペプチドフラグメントに対して、20%〜99.99%の配列相同性または同一性を有するポリペプチドであって、配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、または配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14または図1、2もしくは3の1以上のポリペプチドフラグメントと関連する少なくとも1つの生物学的活性を有するポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド配列を含む、単離ポリヌクレオチド配列またはそれに相補的なポリヌクレオチド。
【請求項20】
配列番号1、3、5、7、9、11または13を含むポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約20%〜99.99%の同一性を有する、単離または精製ポリヌクレオチド配列、またはそれに相補的なポリヌクレオチド。
【請求項21】
配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13、または配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13の少なくとも8連続ヌクレオチドのフラグメントを含む単離または精製ポリヌクレオチド配列、またはそれに相補的なポリヌクレオチドであって、該フラグメントが必要に応じて標識化されているポリヌクレオチド配列。
【請求項22】
以下を含むポリヌクレオチド配列を含む遺伝子コンストラクト:
a)配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、または図1、2もしくは3の1以上のポリペプチドフラグメント、または配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14のフラグメントをコードするポリヌクレオチド、またはそれに相補的なポリヌクレオチド;
b)配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、または配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14または図1、2もしくは3の1以上のポリペプチドフラグメントに対して、20%〜99.99%の配列相同性または同一性を有するポリペプチドであって、配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14を含むポリペプチド、または配列番号2、4、6、8、10、12もしくは14または図1、2もしくは3の1以上のポリペプチドフラグメントと関連する少なくとも1つの生物学的活性を有するポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド配列またはそれに相補的なポリヌクレオチド;
c)配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13を含むポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約20%〜99.99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列、またはそれに相補的なポリヌクレオチド;または
d)配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13を含むポリヌクレオチド配列、または配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13の少なくとも8連続ヌクレオチドのフラグメント、またはそれに相補的なポリヌクレオチド。
【請求項23】
ベクターである、請求項22に記載の遺伝子コンストラクト。
【請求項24】
請求項22に記載の遺伝子コンストラクト、または請求項18、19、20もしくは21のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む、宿主細胞。
【請求項25】
請求項22に記載の遺伝子コンストラクト、または請求項18、19、20もしくは21のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む、トランスジェニック植物。
【図1】
【図2−1】
【図2−2】
【図2−3】
【図2−4】
【図2−5】
【図2−6】
【図2−7】
【図2−8】
【図2−9】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図2−1】
【図2−2】
【図2−3】
【図2−4】
【図2−5】
【図2−6】
【図2−7】
【図2−8】
【図2−9】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【公表番号】特表2009−540801(P2009−540801A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515579(P2009−515579)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/070755
【国際公開番号】WO2007/149715
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(390039192)ダウ・アグロサイエンス・エル・エル・シー (20)
【氏名又は名称原語表記】Dow AgroSciences LLC
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/070755
【国際公開番号】WO2007/149715
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(390039192)ダウ・アグロサイエンス・エル・エル・シー (20)
【氏名又は名称原語表記】Dow AgroSciences LLC
【Fターム(参考)】
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