説明

トリガースプレイヤー

【課題】本発明は、噴射する液形態の種類を多くすることができ、また異なった形態の液が混ざることがなく、更にまた正面からの噴射する液形態の区別が簡単に可能なノズル、を有するトリガースプレイヤーを提供すること。
【解決手段】シリンダー部22内の液をピストン体3で加圧しノズル部Nから噴射させるトリガースプレイヤーAであって、ノズル部が回転ノズル部6を有し、該回転ノズル部6の噴射口61Aが回転ノズルの中心から一定半径線上に複数個設けられていることを特徴とするトリガースプレイヤー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種液体等を噴射するのに好適なトリガースプレイヤーに関し、更に詳しくは、噴射する液形態の種類を多くすることができるトリガースプレイヤーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のトリガースプレイヤーは、液体容器に取り付けられ、その容器から吸い上げたシリンダー内の液体をトリガーの押圧力によってピストンを介して圧縮し、ノズル部から噴射させるようになっている。
通常、トリガースプレイヤーを使う場合に、噴射する液の形(液の形態)は、使用対象となる部分、好み等により種々の形態を必要とする。
すなわち液の噴射形態には、例えば、水流状に噴射させるもの(ジェット流)、噴霧状に噴射させるもの(スプレー流)、泡として噴射させるもの(フォーム流)等があり、このような液形態を使い分けて使用する。
このような形態の異なる液の噴射を行うには、いわゆる回転ノズルを使った方法が採用される。
すなわち回転ノズルを回動することにより、液の流れる溝合わせを行って、形態の異なる液を噴射するのである。
【0003】
図15は、その回転ノズル部の従来例を断面で示したものである。
回転ノズル部Zの回動の中心に溝を有する噴射口Zがあり、異なった形態の液がこの単一の噴射口Zから噴射される。
すなわち各液形態別の噴射口Zが共有されており、異なった形態の液が1つの噴射口Zから噴射される。
【0004】
例えば、フォーム流が噴射された後、今度はジェット流を噴射させたい場合は、回転ノズルを一定角度回動させ、別の溝合わせをしてジェット流を噴射させる。
この場合、噴射口に最初に噴射したフォームが残留して付着していると、この残留フォームが次のジェット流に乗って一緒に噴射されることとなる。
このように、噴射口に残留する液が次の噴射される形態の液の中に混入される欠点がある。
一方、噴射口は回転ノズル部の中心部、すなわち軸線上にあるので、正面から見ても、今、如何なる液形態を噴射する噴射口となっているのか、区別できない。
もっとも、回転ノズル部の側面に対して、ジェット流、スプレー流、フォーム流、等の表示を設ければ、これを側面方向から見ることで区別ができるが、正面方向からは識別は不可能である。
更に、回転ノズルの中心に噴射する液形態を切り替える溝構造が設けられているため、設置スペースが小さくなり、液形態を切り替える溝構造は2種類が限度である。
3種類以上だと、集中して複雑な溝構造を形成することが必要であるため設置することは極めて困難である。
【0005】
以上のように、従来の回転ノズル部では、液形態の種類を多くすることが難しく、また異なった形態の液が混ざり易く、更にまた、正面方向からからの噴射する液形態の区別が難しいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−205045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる従来の問題点を解決できるものである。
すなわち、噴射する液形態の種類を多くすることができ、また異なった形態の液が混ざることがなく、更にまた正面からの噴射する液形態の区別が簡単に可能なノズル、を有するトリガースプレイヤーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して鋭意研究を重ねた結果、回転ノズル部の液の噴射口の配置を特殊なものとすることにより、このような構造、性能上の問題点を解決することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、(1)、シリンダー部内の液をピストン体で加圧しノズル部から噴射させるトリガースプレイヤーであって、ノズル部が回転ノズル部を有し、該回転ノズル部の噴射口が回転ノズルの中心から一定半径線上に複数個設けられているトリガースプレイヤーに存する。
【0010】
また、本発明は、(2)、シリンダー部内の液をピストン体で加圧しノズル部から噴射させるトリガースプレイヤーであって、ノズル部がノズル基部と該ノズル基部に回動可能に装着される回転ノズル部とを有し、該回転ノズル部は噴射口を備える前壁部と該前壁部から後方に突出した中心軸部と、該前壁部周辺から後方に延びる側壁部とを備え、該噴射口が回転ノズルの中心から一定半径線上に複数個設けられており、ノズル基部は前記中心軸部を収納する中心穴部と、前記前壁部に当接する拡大部を備え、液が中心軸部と中心穴部の内壁部とで形成される液通路を通って噴射口から噴射されるトリガースプレイヤーに存する。
【0011】
また、本発明は、(3)、前記回転ノズル部の中心軸部の周囲に形成された複数の横溝のうちの1つが前記ノズル基部の中心穴部の内壁面の1つの横溝と一致して液通路が形成される上記(2)記載のトリガースプレイヤーに存する。
【0012】
また、本発明は、(4)、前記回転ノズル部の前壁部に形成された収束溝の形により噴射液の状態を変更するものである上記(2)記載のトリガースプレイヤーに存する。
【0013】
また、本発明は、(5)、ノズル基部の前面部に形成された対向する一対の弧状溝により液の流路を分岐する上記(2)記載のトリガースプレイヤーに存する。
【0014】
また、本発明は、(6)、前記回転ノズル部の前壁部に形成された収束溝が渦流を発生させる溝である上記(4)記載のトリガースプレイヤーに存する。
【0015】
また、本発明は、(7)、 ノズル基部の前面壁には、ノズル前壁部との間で液漏れを防ぐための線状突起を形成した上記(2)記載のトリガースプレイヤーに存する。
【0016】
また、本発明は、(8)、ノズル基部がシリンダーに連絡される屈曲可能な連絡部(フレキシブルチューブ部)と一体となっている上記(2)記載のトリガースプレイヤーに存する。
【0017】
また、本発明は、(9)、上記(1)記載のトリガースプレイヤーにおいて、容器キャップに取り付けられるボディ体と、該ボディ体に取り付けられたシリンダー構造体と該シリンダー構造体に備わったシリンダー部の外壁面を摺動可能なピストン体とボディ体に回動可能に取り付けられたトリガー体とよりなり、トリガー体を引き込むことによりシリンダー部内の液体をピストン体で加圧し、シリンダー部に連通するノズル部から噴射させるトリガースプレイヤーであって、ピストン体は、後方に延びるバネ部を有し、該バネ部は一対の上アーチ部と一対の下アーチ部とを有し、これらアーチ部の屈曲弾性によりトリガー体の復帰力を発揮するものであるトリガースプレイヤーに存する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のトリガースプレイヤーによれば、ノズル部Nが回転ノズル部6を有し、該回転ノズル部6の噴射口61Aが回転ノズル部6の中心から一定半径線上に複数個設けられているので、従来の回転ノズル部のように噴射口(図15参照)が中心軸にあるのとは異なって設置スペースは十分に確保でき、より多くの噴射口61Aを設けることが可能である。
【0019】
また噴射口61Aの周りに区別模様を形成しておくことにより、噴射すべき液の形態の種類を容易に視認できる
また噴射口61Aを共有しない独立した構造であるため、従来のように異なった形態の液が混ざり合うようなことがない。
またピストン体は後方に延びるバネ部を有するのでピストンの動きが確実に効率よくバネ部に伝えられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の実施形態におけるトリガースプレイヤーの全体構成例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態におけるトリガースプレイヤーの全体構成例を示す断面図であり、トリガーを引いた後の状態を示す。
【図3】図3は、本発明の実施形態におけるトリガースプレイヤーの全体側面図を示す。
【図4】図4は、本発明の実施形態におけるトリガースプレイヤーの分解図を示す。
【図5】図5は、ノズル部Nを拡大して示した図であり、スプレー流の噴射の場合を示し、(A)は正面図、(B)は縦断面図、(C)は回転ノズル部の背面図、及び(D)は、ノズル基部の正面図である。
【図6】図6は、ノズル部Nを拡大して示した図であり、ジェット流の噴射の場合を示し、(A)は正面図、(B)は縦断面図、及び(C)は回転ノズル部の背面図である。
【図7】図7は、ノズル部Nを拡大して示した図であり、フォーム流の噴射の場合を示し、(A)は正面図、(B)は縦断面図、及び(C)は回転ノズル部の背面図である。
【図8】図8は、ノズル部Nを拡大して示した図であり、噴射口が閉じて噴射できない場合を示し、(A)は正面図、(B)は縦断面図、及び(C)は回転ノズル部の背面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態のトリガースプレイヤーにおいて、ボディ体とシリンダー構造体との配設関係を示すものであり、(A)は装着前、(B)装着後を示す。
【図10】図10は、本発明の実施形態におけるトリガースプレイヤーのシリンダー構造体を示す図である。
【図11】図11は、シリンダー構造体のノズル部の先端にあるノズル口部がボディ体のノズル下取り付け部に支持された状態を示す。
【図12】図12は、ピストン体を説明する断面図である。
【図13】図13は、本発明の別の実施形態におけるトリガースプレイヤーのシリンダー構造体を示す断面図である。
【図14】図14は、本発明の更に別の実施形態におけるトリガースプレイヤーの全体構成例を示す断面図である。
【図15】図15は、従来の回転ノズル部を説明する図であり、Aは正面図、Bは縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、複数の形態の液を噴射できるノズル部Nを有するもので、この特殊なノズル部Nを備えたトリガースプレイヤーAにある。
そして、複数の形態の液を噴射できるノズル部Nを備えたトリガースプレイヤーAであれば、如何なる種類のトリガースプレイヤーAであっても適応可能である。
以下、ここでは、横方向にシリンダ・ピストンの構造を有するトリガースプレイヤーAの実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態におけるトリガースプレイヤーA体構成例を示す断面図である。
【0023】
また、図2は、同じくトリガースプレイヤーAの全体構成例を示す断面図であり、トリガーを引いた後の状態を示す。
【0024】
図3は、本発明の実施形態におけるトリガースプレイヤーAの全体側面図を示す。
【0025】
図4は、本発明の実施形態におけるトリガースプレイヤーAの分解図を示す。
このトリガースプレイヤーAは、ボディ体1を介して容器キャップに取り付け、容器本体に充填されている液体をノズル部Nから外部に噴射(吐出)させる機能を有するものである。
【0026】
このトリガースプレイヤーAは、そのボディ体1の部分が容器キャップBに取り付けられる。
該ボディ体1には、シリンダー部22を有するシリンダー構造体2が取り付けられ、該シリンダー部22内を特殊な形状のピストン体3が前後方向に摺動可能となっている。
なお、以下前後方向とはノズル側を前方とした場合で、図1でいう左右方向を云う。
ボディ体1にはトリガー体4が回動可能に取り付けられており、このトリガー体4を指等を使って引き込むことによりピストン体を後方に動かしシリンダー部内の液体を加圧し、シリンダー部22に連通するノズル首部23を通してノズル部Nから液を噴射させる。
本発明のトリガースプレイヤーAはノズル部の噴射口が回転ノズル部の中心から一定半径線上に複数個設けられている独特の構造を有する特徴がある。
【0027】
まず、トリガースプレイヤーAにおけるノズル部Nについて詳しく説明する。
(ノズル部)
図5は、ノズル部Nを拡大して示した図であり、スプレー流の噴射の場合を示す。
図5(A)は正面図、図5(B)は縦断面図、図5(C)は回転ノズル部の背面図、及び図5(D)は、ノズル基部の正面図である。
【0028】
また、図6は、ノズル部Nを拡大して示した図であり、ジェット流の噴射の場合を示す。
図6(A)は正面図、図6(B)は縦断面図、及び図6(C)は回転ノズル部の背面図である。
【0029】
また、図7は、ノズル部Nを拡大して示した図であり、フォーム流の噴射の場合を示す。
図7(A)は正面図、図7(B)は縦断面図、及び図7(C)は回転ノズル部の背面図である。
【0030】
また、図8は、ノズル部Nを拡大して示した図であり、噴射口が閉じて噴射できない場合を示す。
図8(A)は正面図、図8(B)は縦断面図、及び図8(C)は回転ノズル部の背面図である。
【0031】
ノズル部Nは、ノズル基部23Aと該ノズル基部23Aに回動可能に装着される回転ノズル部6とを有する。
この例では、後述するようにノズル基部23Aがシリンダーに連絡される屈曲可能な連絡部(フレキシブルチューブ部)と一体となっている。
この回転ノズル部6は噴射口61Aが形成された前壁部61と該前壁部61の中央から(回転中心から)、垂直に、図でいう後方に突出した中心軸部62を備える。
噴射口61Aは回転ノズル部6の中心から一定半径線上に複数個(ここでは3個)、間隔をおいて独立して設けられている。
従って、回転ノズル部6を一定角度回転させると噴射口61Aも一定半径線上を動く。
【0032】
中心軸部62の周囲には複数本(ここでは3本)の横溝G1,G1,G1が個々に形成されている。
この横溝G1,G1,G1は中心軸部62の中央部から先端にかけて一定長さに形成されている。
前壁部61の周辺からは後方に延びる側壁部63が形成されている。
【0033】
この側壁部63は内側が円筒状に形成され、また外側が正4角形状に形成されている。
回転ノズル部6の前壁部61(前壁部61の裏面)には液を収束させて噴射口61Aと連通する3つの風車状の収束溝61Bが形成されている。
これら風車状の収束溝61Bは液を収束させて噴射口61Aに誘導する役割を果たす。
この中の2つは渦流を発生させるものであり、1つはスプレー流、他の1つはフォーム流の噴射に対応する。
また前壁部61(前壁部61の表面)には、噴射口61Aの1つを取り囲むように円筒部64が突出して形成されている。
噴射口から渦流を噴射しこの円筒部に衝突させることによりフォーム流となる。
【0034】
一方、ノズル基部23Aは鍔付きのスリーブ状をしており、前記回転ノズル部6の中心軸部62を収納するための中心穴部Hを有する。
この中心穴部Hの内壁面には1本の横溝G2が形成されている。
この横溝G2は後述の前部当接面から後方に一定長さに形成されている。
この横溝G2は、後述するように回転ノズル部6の溝合わせする際、中心軸部62の横溝G1,G1,G1の1つと長さ方向に一部が重なって連通状態となる。
【0035】
またノズル基部23Aは、回転ノズル部6の前壁部61に当接する前部当接面を備えている。
ノズル基部23Aの前部当接面には相向かい合う一対の弧状溝23A1が設けられており、前記ノズル基部23Aの中心穴部Hの内壁面に形成された1本の横溝G2と連通している。
この一対の弧状溝23A1は、横溝G2から導入される液を一旦、分岐させるためのものである。
ところで回転ノズル部6をノズル基部23Aに取り付けるには、回転ノズル部6の中心軸部62をノズル基部23Aの中心穴部Hに圧入する。
中心軸部62の外周面と中心穴部Hに内周面は圧接状態となり、またノズル基部23Aの前部当接面と回転ノズル部6の前壁部61とが圧接状態となる。
ノズル基部23Aの前部当接面には、回転ノズル部6の前壁部61との間で液漏れを防ぐための図示しない線状突起が形成されており、より確実な封止状態が保たれる。
【0036】
回転ノズル部6は回動させると、その中心軸部62の外周面に形成された複数の横溝G1,G1,G1の1つが、前記ノズル基部23Aの中心穴部Hの内壁面に形成された横溝G1と一致して重なり、液の通路が形成される。
尚、この液の通路は、前述した回転ノズル部6の前壁部61の風車状の収束溝61B、及び噴射口61Aに連通していることは云うまでもない。
従って、このトリガースプレイヤーAにおいては、液が噴射される際、シリンダー部22に通じるフレキシブルチューブ部23Bから供給されてきた液はノズル部Nに入る。
そして回転ノズル部6とノズル基部23Aとの間の壁面で形成される液の通路を通って噴射口61Aから外部に噴射される。
【0037】
すなわちノズル部Nにおいては、液は中心軸部62の外周面に形成された複数の横溝G1,G1,G1の1つを通り、次に中心穴部Hの内壁面に形成された横溝G2を通り、次にノズル基部23Aの前部当接面に形成された一対の弧状溝23A1を通り、次に回転ノズル部6の前壁部61に形成された風車状の収束溝61Bを通り、最後に噴射口61Aから外部に噴射される。
回転ノズル部6の回転により、ノズル基部23Aに形成された一対の弧状溝23A1に対応する風車状の収束溝61Bを選択できるので、ジェット流、スプレー流、フォーム流等の液形態の異なった噴射が可能である。
なお、噴射ができない状態(OFF状態)においては、一対の弧状溝23A1には、噴射口61Aが形成されていない部分が対応する。
この噴射口61Aは回転ノズル部6の中心から一定半径線上に複数個独立して設けられているので、噴射口61Aの周りに区別模様を形成しておくことにより、噴射すべく液形態の種類を容易に視認できる
【0038】
また従来の回転ノズル部のように噴射口(図15参照)が中心軸にあるのとは異なって、設置スペースは十分に確保できる。
従って、従来に比べ、より多くの噴射口61Aを設けることが可能である。
また噴射口61Aを共有しない独立した構造であるため、従来のように異なった形態の液が混ざり合うようなことがない。
【0039】
以下、さらにノズル部N以外のトリガースプレイヤーAを構成する各要素部品について詳しく述べていく。
(ボディ体)
ボディ体1はシリンダー構造体2やトリガー体4、ピストン体3を組み付けるベースとなる部分で、容器キャップBに係止されて取り付けられるが、直接、容器の口部に取り付けることも可能である。
ボディ体1は、ベース部11と該ベース部に一体に形成されたカバー部12とよりなる。
このカバー部12はベース部11の後方にあるヒンジを介して回動可能となるように一体となって形成されている。
このカバー部12の先端には、ノズル部Nを上方から押さえるノズル上取付け部12Aを備える。
【0040】
また、ボディ体1は、ベース部11から上方に延びる両側側壁部11Aと該側壁部の前端に形成されノズル部Nを下方から支えるノズル下取付け部11Bを備える。
ボディ体1のベース部11にはシリンダー構造体2の円筒基部21を装着するためのシリンダー装着部11Cが設けられており、このシリンダー装着部11Cの下端にシリンダー構造体2が装着された状態で抜け止めを行うための雌嵌合部11Dが形成されている。
【0041】
図9は、本発明の実施形態のトリガースプレイヤーAにおいて、ボディ体1とシリンダー構造体2の配設関係を示すもので、図9(A)は装着前、図9(B)装着後を示す。
シリンダー構造体2の円筒基部21が上方から押し込まれボディ体1のベース部11のリンダー装着部11Cに装着されており、この状態で、シリンダー構造体1の後述する雄嵌合部25がベース部の雌嵌合部11Dに嵌まって係止されているのが分かる。
このような装着作用と抜け止め作用とが別々の部分でなされるため、シリンダー構造体2はボディ体1に対して封止めされ、また安定した取付け状態となる。
ボディ体1にシリンダー構造体2やピストン体3が収納された状態で、カバー部12を回動して閉じることでこれら主要な内部機構が覆われて保護される。
【0042】
(シリンダー構造体)
シリンダー構造体2は、円筒基部21と該円筒基部から起立して前後方向に延びるシリンダー部22と、円筒基部21の上端部から上方に延びるノズル首部23を備えている。
円筒基部21とノズル首部23の先端の位置にあるノズル基部23Aを連絡する部分は屈曲自在なフレキシブルチューブ部23Bとなっている。
シリンダー部22の下方には円筒基部から突出し前後方向に延びる中空のガイド軸24が並列して形成されている。
シリンダー部22は有底の円筒状であり底面22Aにノズル部Nに連絡される連絡通路Pが形成されている。
また円筒基部21の下端には雄嵌合部25が設けられ、この雄嵌合部25が前述したボディ体1のベース部11に形成された雌嵌合部11Dに係止されて取り付けられる。
なお、その際、円筒基部21は、前述したようにボディ体1のシリンダー装着部11Cに装着される。
【0043】
シリンダー構造体2は、これらノズル首部23、フレキシブルチューブ部23B、円筒基部21、シリンダー部22、及びガイド軸24が一体に成形(例えば射出成形により)されて作られている。
そしてシリンダー構造体2は、成形後の成形品としては、円筒基部21に対してノズル首部23(すなわちズル基部23Aとフレキシブルチューブ部23B)が延長されて同軸となっている。
【0044】
図10は、本発明の実施形態におけるトリガースプレイヤーAのシリンダー構造体(射出成形品)を示す図である。
ボディ体1に組み付ける際は、フレキシブルチューブ部23Bを前方に屈曲しボディ体のノズル下取付け部11Bとカバー部のノズル上取付け部12Aとの間で把持された状態で取り付けられる。
【0045】
図11は、ノズル部の先端にあるノズル口部23がボディ体のノズル下取付け部11Bに支持された状態を示し、この後、カバー部のノズル上取付け部12Aにより挟み込まれる。
【0046】
(ピストン体)
ピストン体3は、シリンダー部22内にある液体を加圧してシリンダー部内に連通するノズル部Nから噴射させるものである。
【0047】
図12は、ピストン体3を説明する断面図である。
ピストン体3は、内側有底円筒部31と外側円筒部32を備え、両者は、外方に(すなわち図でいうと前方に)開放されており、底面31Aが後方となっている。
また、内側有底円筒部31は、シリンダー部の内壁面に沿って移動し、外側円筒部32はシリンダー部の外壁面を圧するように摺動する。
すなわちシリンダー部の先端が外方にやや径大になっており、この径大部がピストン体3の外側円筒部32の内壁面に圧接されている。
なお内側有底円筒部31のシリンダー部の内壁面とは圧接状態にはない。
【0048】
内側有底円筒部31の外壁面と外側円筒部32の内壁面とシリンダー部の先端部で空間S1が区画形成される。
ピストン体が押されて後方に摺動するにつれて、この空間S1は縮小して、下死点(図2のように、ピストン体が最も後方の位置となる点)においてはゼロ空間となる。
この空間S1の液体はシリンダー部内の大空間Sに移動することはいうまでもない。
内側有底円筒部31の底面31Aは平らなのでシリンダー部22の平らな底面に正確に当接することができる。
そのため、シリンダー部内の有効空間を最大限に利用できる。
【0049】
ピストンは、トリガーから伝わる力によって移動するが、この力はピストンの開口端(図でいう前方端)から突出形成された押棒33をトリガーで押すことにより行われる。
この押棒33は、シリンダー部内壁に一部厚み部分を設け延出させて形成されている。
一方、ピストン体の外側円筒部32の一部は下方に突出して有底円筒案内部34を形成している。
【0050】
この有底円筒案内部34は前述したシリンダー部の下方に並列して存在するガイド軸24に沿って案内され前後方向に移動する。
有底円筒案内部34には外気に通じる通気溝Tが形成されており、ピストン体が最大後方に移動した時、外気がこの通気溝Tからガイド軸24内を通って容器本体内に入り負圧が防止される。
また、ピストン体3は外側円筒部32から後方に延設されたバネ部35を有する。
このバネ部35は一対の上アーチ部35Aと一対の下アーチ部35Bとよりなるもので、上アーチ部35Aと下アーチ部35Bとが離れるように曲がることでピストンの復帰力を蓄えるものである。
すなわち、これら各アーチ部の屈曲弾性によりトリガー体4の復帰力を発揮するものである。
【0051】
(トリガー体)
トリガー体4は、ボディ体1に回動可能に取り付けられている。
すなわち、トリガー体4の上端には、外方に回動軸41が突出しており、この回動軸41がボディ体1に形成されたU字状の軸受け部13に嵌り込んでいる。
トリガー体4は回動軸41を下方からU字状の軸受け部に押し込むことで軸受け部13に取り付けられる。
また、トリガー体4には回動軸41の下方に凹部42が形成されており、この凹部42で前述したピストンの押棒33の先端を押圧する。
そのため、トリガーを引き込むと、回動軸を支点としてトリガーが回動し、この凹部42がピストン体3の押棒33の先端を押圧することで、ピストン体はシリンダー部内を後方に摺動する。
この場合、トリガー体4の回動により凹部42の位置が上下に多少動くため押棒33も同様に動く。
しかし、前述したように、ピストン体は、外側円筒部32の部分でシリンダー部22に圧接されているだけなので(すなわちピストン体3の内側有底円筒部31とシリンダー部22の内壁面とは圧接状態にはない)、上下方向の振れにも十分、対応することができる。
【0052】
上述の各部品要素の材料としては、好ましくは、ボディ体1、ピストン体3、及びトリガー体4がポリプロピレン、シリンダー構造体2は直鎖状低密度ポリエチレンが採用される。
以上述べた、ボディ体1シリンダー構造体2、ピストン体3、トリガー体4が一体に組み込まれる。
尚、その際、ファーストバルブFV(例えば低密度ポリエチレン製)やノズルキャップ(例えばポリプロピレン製)、吸い上げ管(例えばポリプロピレン製)が同時に取り付けられる。
【0053】
組み付けにおいて、ボディ体1にシリンダー構造体2を取り付ける場合は、シリンダー構造体の円筒基部をボディ体のシリンダー装着部11Cに上方から押し入れる。
そして押し入れが終了した段階では、シリンダー構造体の雄嵌合部25がボディ体の雌嵌合部11Dに係止固定される。
これでボディ体(詳しくはシリンダー装着部)とシリンダー構造体(詳しく円筒基部)との間の密封が確実に保たれる。
また、ボディ体1に対するシリンダー構造体2の抜けが防止される。
【0054】
また、ピストン体3は、そのバネ部35のアーチ部の間に下方からノズル首部23を通した状態で、ピストンと有底円筒案内部34をシリンダー構造体のシリンダー部及びガイド軸24に沿って押し込む。
バネ部の後端は、ボディ体のベース部に立設した起立壁11Eに当接して支持される。
トリガー体4は、ボディ体1に対して下方から押し上げることで、その回動軸41がボディ体のU字状の軸受け部13に嵌り込み回動自在に取り付けられる。
最後に、カバーをヒンジ部を起点として回動させ、その先端のノズル上取付け部12Aとボディ体のノズル下取付け部11Bとでノズル首部23を挟み込み、ノズルキャップを装着する。
このようにトリガースプレイヤーAにおいては組み込みが極めて容易に行われる。
【0055】
(作用)
次にトリガースプレイヤーAを使った場合の操作を述べる。
いま、トリガースプレイヤーAを握って指でトリガー体4を引くと、トリガー体が回動軸41を支点として回動し、ピストン体の押棒33を押す。
ピストン体3の内側有底円筒部31は、シリンダー部22の内壁面に沿って移動し、且つ外側円筒部32はシリンダー部22の外壁面を圧するように摺動する。
トリガー体4の回動により押棒33も上下に動くが、前述したように、ピストン体3は上下方向の振れにも十分、対応することができる。
【0056】
ピストン体3が後方向に押し込まれると、シリンダー部内の液は加圧され、シリンダー部の底面に形成された連絡通路Pからフレキシブルチューブ部23Bを通ってノズル基部23Aから液が噴射される。
ピストン体が押されて後方に摺動するにつれて、空間S1は縮小し、ここにある液体はシリンダー部内の大空間Sに移動し、またこの大空間Sも縮小する。
下死点では大空間Sはゼロとなる。
【0057】
また、ピストン体やトリガー体の復帰力についていうと、ピストン体が後方向に移動すると、バネ部35が変形して復帰力が生まれる。
すなわちバネ部の上アーチ部35Aと下アーチ部35Bとが曲がって相互に離れると、バネ力が生じ復帰力が蓄えられる。
【0058】
トリガー体4から指を放して力を抜くと、この復帰力により、バネ部の上アーチ部35Aと下アーチ部35Bとが接近するように作用し、ピストン体3が前方に戻るように移動する。
バネ部35はピストン体3と一体となっているので、両者間に摩擦、間隙等は全く生じなく、ピストン体3の力がバネ部35に確実にしかも効率良く伝達される。
【0059】
以上、本発明を説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、変形例も可能である。
例えば、シリンダー構造体2に一体化されているノズル基部23Aは、フレキシブルチューブ部23B(液の通路部)を介してノズル基部23Aがあるが、フレキシブルチューブ部23Bを屈曲しない液の通路部としてもよい。
またノズル基部23Aをシリンダー構造体2と別体とすることも可能である。
【0060】
図13は、ノズル部が屈曲可能なフレキシブルチューブ部23Bを使わない通路部を有する別の実施形態のシリンダー構造体2を示す断面図である。
また、カバー部12については、ベース部11に一体に形成されてなくとも、別体であっても採用可能である。
またシリンダー部の円筒基部21の雄嵌合部25やボディ体のベース部の雌嵌合部11Dは、どちらを雌にするか雄にするかは自由である。
【0061】
図14は、本発明の更に別の実施形態におけるトリガースプレイヤーの全体構成例を示す断面図である。
この例では、ノズル部Nのノズル基部7が図1のようにフレキシブルチューブ部23Bと一体になっているものとは違って、独立した部品となっているものである。
このように、本発明のノズル部Nの原理は種々のトリガースプレイヤーに適用でき極めて有用である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、シリンダー部内の液をピストン体で加圧しノズル部から噴射させるトリガースプレイヤーであって、ノズル部が回転ノズル部を有し、該回転ノズル部の噴射口が回転ノズルの中心から一定半径線上に複数個設けられているものである。
そのため噴射する液形態の種類を多くすることでき、また異なった液形態が混ざることがなく、更にまた正面からの噴射する液形態の区別が簡単に可能である。
この原理を応用する限り、このトリガースプレイヤー以外の型式構造を持つポンプディスペンサーにも適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…ボディ体
11…ベース部
11A…両側側壁部
11B…ノズル下取付け部
11C…シリンダー装着部
11D…雌嵌合部
11E…起立壁
12…カバー部
12A…ノズル上取付け部
13…軸受け部
2…シリンダー構造体
21…円筒基部
22…シリンダー部
22A…底面
23…ノズル首部
23A…ノズル基部
23A1…一対の弧状溝
23B…フレキシブルチューブ部
24…ガイド軸
25…雄嵌合部
3…ピストン体
31…内側有底円筒部
31A…底面
32…外側円筒部
33…押棒
34…有底円筒案内部
35…バネ部
35A…上アーチ部
35B…下アーチ部
4…トリガー体
41…回動軸
42…凹部
5…吸い上げ管
6…回転ノズル部
61…前壁部
61A…噴射口
61B…風車状の収束溝
62…中心軸部
63…側壁部
64…円筒部
7…ノズル基部
A…トリガースプイレイヤー
B…容器キャップ
G1…横溝
G2…横溝
H…中心穴部
N…ノズル部
P…連絡通路
S…空間
T…通気溝
FV…ファ−ストバルブ
Z…噴射口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダー部内の液をピストン体で加圧しノズル部から噴射させるトリガースプレイヤーであって、ノズル部が回転ノズル部を有し、該回転ノズル部の噴射口が回転ノズルの中心から一定半径線上に複数個設けられていることを特徴とするトリガースプレイヤー。
【請求項2】
シリンダー部内の液をピストン体で加圧しノズル部から噴射させるトリガースプレイヤーであって、
ノズル部がノズル基部と該ノズル基部に回動可能に装着される回転ノズル部とを有し、該回転ノズル部は噴射口を備える前壁部と該前壁部から後方に突出した中心軸部と、該前壁部周辺から後方に延びる側壁部とを備え、
該噴射口が回転ノズルの中心から一定半径線上に複数個設けられており、
ノズル基部は前記中心軸部を収納する中心穴部と、前記前壁部に当接する拡大部を備え、
液が中心軸部と中心穴部の内壁部とで形成される液通路を通って噴射口から噴射されることを特徴とするトリガースプレイヤー。
【請求項3】
前記回転ノズル部の中心軸部の周囲に形成された複数の横溝のうちの1つが前記ノズル基部の中心穴部の内壁面の1つの横溝と一致して液通路が形成されることを特徴とする請求項2記載のトリガースプレイヤー。
【請求項4】
前記回転ノズル部の前壁部に形成された収束溝の形により噴射液の状態を変更するものであることを特徴とする請求項2記載のトリガースプレイヤー。
【請求項5】
ノズル基部の前面部に形成された対向する一対の弧状溝により液の流路を分岐することを特徴とする請求項2記載のトリガースプレイヤー。
【請求項6】
前記転ノズル部の前壁部に形成された収束溝が渦流を発生させる溝であることを特徴とする請求項4記載のトリガースプレイヤー。
【請求項7】
ノズル基部の前面壁には、ノズル前壁部との間で液漏れを防ぐための線状突起を形成したことを特徴とする請求項2記載のトリガースプレイヤー。
【請求項8】
ノズル基部がシリンダーに連絡される屈曲可能な連絡部(フレキシブルチューブ部)と一体となっていることを特徴とする請求項2記載のトリガースプレイヤー。
【請求項9】
前記請求項1記載のトリガースプレイヤーにおいて、容器キャップに取り付けられるボディ体と、該ボディ体に取り付けられたシリンダー構造体と該シリンダー構造体に備わったシリンダー部の外壁面を摺動可能なピストン体とボディ体に回動可能に取り付けられたトリガー体とよりなり、トリガー体を引き込むことによりシリンダー部内の液体をピストン体で加圧し、シリンダー部に連通するノズル部から噴射させるトリガースプレイヤーであって、ピストン体は、後方に延びるバネ部を有し、該バネ部は一対の上アーチ部と一対の下アーチ部とを有し、これらアーチ部の屈曲弾性によりトリガー体の復帰力を発揮するものであることを特徴とするトリガースプレイヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−245435(P2011−245435A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122306(P2010−122306)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(390028196)キャニヨン株式会社 (42)
【Fターム(参考)】