説明

トリガー式液体噴出器

【課題】トリガー式液体噴出器の低コスト化を図る。
【解決手段】噴出器本体11と、この噴出器本体11の前端に設けられたノズル12と、噴出器本体11を覆うシュラウド23と、が備えられ、シュラウド23の両側部を覆う一対の第1側板21、およびこれらの第1側板21を連結しシュラウド23の頂部を覆う第1上板22を備える本体カバー13と、ノズル12の両側部を覆う一対の第2側板25、およびこれらの第2側板25を連結しノズル12の頂部を覆う第2上板26を備えるノズルカバー27と、が備えられるとともに、ノズル12はノズル孔の開位置と閉位置との間を噴出器本体11に対して移動可能に設けられ、ノズルカバー27の後端と本体カバー13の前端とは破断可能な弱化部28を介して連結され、一対の第1側板21および一対の第2側板25と、第1上板22および第2上板26とは、平板が折り曲げられることにより区画されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトリガー式液体噴出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のトリガー式液体噴出器として、例えば下記特許文献1に示されるような、噴出器本体と、この噴出器本体の前端に設けられたノズルと、前記噴出器本体を覆うシュラウドと、このシュラウドを覆うように設けられるとともに、一度でも開封されたことがあるかどうかについて需要者に容易に判別させるためのバージン機能を有するカバー体と、が備えられた構成が知られている。このうちシュラウドによって、トリガー式液体噴出器に作用する外力が、噴出器本体に備えられた例えば往復ポンプや操作レバー等の各作動機構に伝達するのを抑制したり、あるいは外観に特徴を持たせて商品識別力を付与したりしている。
このシュラウドは、インジェクション成形で一旦最終形状に成形された後に、例えば外観に更なる特徴を持たせる等のために、その外表面に印刷等により文字や図柄等が付されることがある。
【特許文献1】特開2006−88008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来のトリガー式液体噴出器では、前述の最終形状に成形された成形体の外表面に文字や図柄等が付されていたので、この工程に時間や手間がかかり、トリガー式液体噴出器の低コスト化を図るのが困難であるという問題があった。
また、このトリガー式液体噴出器には、前述のバージン機能を簡易な構成として低コストで付与することに対する要望がある。
【0004】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、低コスト化の図られたトリガー式液体噴出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のトリガー式液体噴出器は、噴出器本体と、この噴出器本体の前端に設けられたノズルと、前記噴出器本体を覆うシュラウドと、が備えられるとともに、前記噴出器本体には、その前部に前後方向に揺動可能に垂設された操作レバーと、この操作レバーの前後動に伴って作動される往復ポンプと、が備えられ、前記操作レバーを前後動させたことによる往復ポンプの作動に伴って容器内から吸い上げられた内容液がノズルに至るトリガー式液体噴出器であって、前記シュラウドの両側部を覆う一対の第1側板、およびこれらの第1側板を連結し前記シュラウドの頂部を覆う第1上板を備える本体カバーと、前記ノズルの両側部を覆う一対の第2側板、およびこれらの第2側板を連結し前記ノズルの頂部を覆う第2上板を備えるノズルカバーと、が備えられるとともに、前記ノズルはノズル孔の開位置と閉位置との間を前記噴出器本体に対して移動可能に設けられ、前記ノズルカバーの後端と前記本体カバーの前端とは破断可能な弱化部を介して連結され、前記一対の第1側板および一対の第2側板と、前記第1上板および第2上板とは、平板が折り曲げられることにより区画されていることを特徴とする。
この発明では、例えばインジェクション成形で形成されるシュラウドとは別に、平板が折り曲げられることにより、一対の第1側板および一対の第2側板と、第1上板および第2上板とが区画された本体カバーおよびノズルカバーを備えているので、文字や図柄等をシュラウドの外表面ではなく本体カバーおよびノズルカバーに付すことが可能になる。したがって、折り曲げる前の平坦な平板の表面に文字や図柄等を付すことが可能になり、この工程に時間や手間がかかるのを抑制してトリガー式液体噴出器の高コスト化を抑えることができる。
さらに、本体カバーに弱化部を介してノズルカバーが連結されているので、ノズルを、ノズル孔の開口する開位置に向けて噴出器本体に対して移動させたときに、前記弱化部を破断させることが可能になり、このトリガー式液体噴出器にバージン機能を具備させることができる。しかも、このバージン機能が、ノズルカバーの後端と本体カバーの前端とが破断可能な弱化部を介して連結されることによってトリガー式液体噴出器に付与されているので、バージン機能を具備させたことによるトリガー式液体噴出器のコストの上昇を抑えることができる。
【0006】
ここで、前記一対の第1側板および第1上板それぞれの前後方向における各長さは、前記シュラウドの前後方向における長さより短くされ、前記シュラウドの後部が前記本体カバーから後方に露呈してもよい。
この場合、本体カバーを形成する材料の使用量を抑えることが可能になり、本体カバーおよびノズルカバーを設けたことによるトリガー式液体噴出器のコストの上昇を抑えることができる。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るトリガー式液体噴出器によれば、低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。この実施形態に係るトリガー式液体噴出器10は、噴出器本体11と、この噴出器本体11の前端に設けられたノズル12と、噴出器本体11を覆うシュラウド23と、を備えている。
噴出器本体11には、その前部に前後方向Aに揺動可能に垂設された操作レバー14と、この操作レバー14の前後動に伴って作動される往復ポンプ15と、容器の口部に取り付けられる装着筒部17と、装着筒部17を容器の口部に取り付けた状態で、下端開口部がこの容器内の底部に位置されるパイプ18と、が備えられている。
【0009】
また、ノズル12は、噴出器本体11に対して、ノズル孔の開位置と閉位置との間を移動可能に設けられている。なお、ノズル12は、噴出器本体11に対して、ノズル孔の開位置と閉位置との間を回動可能若しくは前後方向Aに進退可能に設けられている。
さらに、シュラウド23の後部23aは、装着筒部17よりも後方に膨出し、かつ下端縁23bが水平方向に沿って延在させられた状態で、前端縁側から後端縁に向かうに従い漸次、上下方向の長さが短くなっている。このシュラウド23の外表面は、印刷等で文字や図柄等が付されていない無地となっている。また、シュラウド23は例えばインジェクション成形により形成される。
【0010】
以上より、操作レバー14を前後動させたことによる往復ポンプ15の作動に伴って容器内からパイプ18内を通して吸い上げられた内容液がノズル12のノズル孔に至り、外部に噴出されるようになっている。ここで、装着筒部17の外周面を把持してこのトリガー式液体噴出器10が取り付けられた容器を持ち上げたときに、手の甲において親指と人指し指との間に位置する部分が、シュラウド23の下端縁23bに当接することにより、この容器の持ち上げを容易にしてその操作性が向上されるようになっている。
【0011】
そして、本実施形態では、トリガー式液体噴出器10に、シュラウド23の両側部を覆う一対の第1側板21、およびこれらの第1側板21を連結しシュラウド23の頂部を覆う第1上板22を備える本体カバー13と、ノズル12の両側部を覆う一対の第2側板25、およびこれらの第2側板25を連結しノズル12の頂部を覆う第2上板26を備えるノズルカバー27と、が備えられ、ノズルカバー27の後端と本体カバー13の前端とが破断可能な弱化部28を介して連結されている。
【0012】
図示の例では、第1側板21および第1上板22それぞれの前後方向Aにおける各長さは、シュラウド23の前後方向Aにおける長さよりも短くなっており、一対の第1側板21および第1上板22の各後端は、シュラウド23の後端縁よりも前側に位置されて、シュラウド23の後部23aが本体カバー13から後方に露呈している。なお、第1側板21および第1上板22の各前端と、シュラウド23の前端との前後方向Aにおける各位置はほぼ一致している。
また、一対の第1側板21それぞれの下部には、後端縁側から前端縁に向かうに従い漸次、この第1側板21の上下方向の長さを短くさせる切欠き部21aが形成されている。
【0013】
次に、以上のように構成されたトリガー式液体噴出器10の製造方法について説明する。
まず、平坦な平板の表面に印刷等により文字や図柄等を付した後に、この平板において文字や図柄等が付された部分を打ち抜いて、図3に示されるような、表裏面において弱化部28が形成された部分を除く全域が平坦なカバー形成部材(平板)Wを形成する。なお、この打ち抜き時に弱化部28を形成する。また、前記平板は、例えばシート成形、インジェクション成形またはコンプレッション成形等により形成される。
【0014】
そして、このカバー形成部材Wの裏面において本体カバー13と対応する部分に、例えば両面テープを貼着あるいは接着剤を塗布した後に、カバー形成部材Wを図3に示す2点鎖線に沿って折り曲げて、一対の第1側板21および一対の第2側板25と、第1上板22および第2上板26と、を区画して本体カバー13およびノズルカバー27を形成する。そして、ノズルカバー27を、噴出器本体11の前端に取り付けられたノズル12に被せるとともに、本体カバー13を、噴出器本体11に取り付けられたシュラウド23に被せ、ノズルカバー27の内面とノズル12の外面とは接着せずに、本体カバー13の内面とシュラウド23の外面とを接着する。
【0015】
以上説明したように本実施形態に係るトリガー式液体噴出器10によれば、シュラウド23とは別に、平坦なカバー形成部材Wが折り曲げられることにより、一対の第1側板21および一対の第2側板25と、第1上板22および第2上板26とが区画された本体カバー13およびノズルカバー27を備えているので、文字や図柄等をシュラウド23の外表面ではなく本体カバー13およびノズルカバー27に付すことが可能になる。
したがって、前述のように折り曲げる前の平坦な表面に文字や図柄等を付すことが可能になり、この工程に時間や手間がかかるのを抑制してトリガー式液体噴出器10の高コスト化を抑えることができる。
特に、本実施形態では、前述のように打ち抜く前の平板の表面に文字や図柄等を付しているので、この工程に時間や手間がかかるのを一層抑えることができる。
【0016】
さらに、本体カバー13に弱化部28を介してノズルカバー27が連結されているので、ノズル12を、ノズル孔の開口する開位置に向けて噴出器本体11に対して移動させたときに、弱化部28を破断させることが可能になり、このトリガー式液体噴出器10にバージン機能を具備させることができる。しかも、このバージン機能が、ノズルカバー27の後端と本体カバー13の前端とが破断可能な弱化部28を介して連結されることによってトリガー式液体噴出器10に付与されているので、バージン機能を具備させたことによるトリガー式液体噴出器10のコストの上昇を抑えることができる。
本実施形態では、ノズルカバー27の内面とノズル12の外面とは接着せずに、本体カバー13の内面とシュラウド23の外面とを接着しているので、一旦弱化部28が破断されてノズルカバー27と本体カバー13とが分離されると、このノズルカバー27をノズル12に再セットしても容易に外れてしまうことになり、バージン機能をより一層向上させることが可能になる。
【0017】
また、本実施形態では、一対の第1側板21および第1上板22それぞれの前後方向Aにおける各長さが、シュラウド23の前後方向Aにおける長さより短くなっているので、本体カバー13を形成する材料の使用量を抑えることが可能になり、本体カバー13およびノズルカバー27を設けたことによるトリガー式液体噴出器10のコストの上昇を抑えることができる。
【0018】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、本体カバー13が、シュラウド23の外面に接着されて取り付けられた構成を示したが、これに代えて例えば溶着してもよいし、さらには本体カバー13に係合孔を形成する一方、シュラウド23の外面に係合突部を突設し、この係合突部を前記係合孔に係合させることによって、本体カバー13をシュラウド23に取り付けるようにしてもよい。なお、前記係合孔は、平板を打ち抜いてカバー形成部材Wを形成する際に打ち抜いて形成してもよい。
【0019】
さらに、前述のように平板を打ち抜いてカバー形成部材Wを形成する際に、図3の二点鎖線で示されるような折り曲げ予定部分を押圧して溝を刻設してもよい。
さらに、前記実施形態では、表面に文字や図柄等が付された平板を打ち抜いてカバー形成部材Wを形成したが、これに代えて例えば、インジェクション成形またはコンプレッション成形等によりカバー形成部材Wを形成し、その後、このカバー形成部材Wの表面に文字や図柄等を付すようにしてもよい。
また、前記実施形態に代えて、ノズルカバー27の内面とノズル12の外面とを接着してもよく、あるいは本体カバー13の内面とシュラウド23の外面とを接着せず、ノズルカバー27の内面とノズル12の外面とを接着してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
トリガー式液体噴出器の低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る一実施形態として示したトリガー式液体噴出器の側面図である。
【図2】図1に示すトリガー式液体噴出器の上面図である。
【図3】図1に示す本体カバーおよびノズルカバーの展開図である。
【符号の説明】
【0022】
10 トリガー式液体噴出器
11 噴出器本体
12 ノズル
13 本体カバー
14 操作レバー
15 往復ポンプ
21 第1側板
22 第1上板
23 シュラウド
25 第2側板
26 第2上板
27 ノズルカバー
28 弱化部
W カバー形成部材(平板)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴出器本体と、この噴出器本体の前端に設けられたノズルと、前記噴出器本体を覆うシュラウドと、が備えられるとともに、前記噴出器本体には、その前部に前後方向に揺動可能に垂設された操作レバーと、この操作レバーの前後動に伴って作動される往復ポンプと、が備えられ、前記操作レバーを前後動させたことによる往復ポンプの作動に伴って容器内から吸い上げられた内容液がノズルに至るトリガー式液体噴出器であって、
前記シュラウドの両側部を覆う一対の第1側板、およびこれらの第1側板を連結し前記シュラウドの頂部を覆う第1上板を備える本体カバーと、
前記ノズルの両側部を覆う一対の第2側板、およびこれらの第2側板を連結し前記ノズルの頂部を覆う第2上板を備えるノズルカバーと、が備えられるとともに、前記ノズルはノズル孔の開位置と閉位置との間を前記噴出器本体に対して移動可能に設けられ、
前記ノズルカバーの後端と前記本体カバーの前端とは破断可能な弱化部を介して連結され、
前記一対の第1側板および一対の第2側板と、前記第1上板および第2上板とは、平板が折り曲げられることにより区画されていることを特徴とするトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
請求項1記載のトリガー式液体噴出器であって、
前記一対の第1側板および第1上板それぞれの前後方向における各長さは、前記シュラウドの前後方向における長さより短くされ、前記シュラウドの後部が前記本体カバーから後方に露呈していることを特徴とするトリガー式液体噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−272634(P2008−272634A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117372(P2007−117372)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】