説明

トリサイクリック誘導体の製造方法

本発明は、トリサイクリック誘導体の製造方法に関し、より詳細には、2−フルオロイソフタル酸化合物をエステル化反応させて、置換反応させてヒドロキシ基を導入した後、ピペリジル基を導入して再び還元反応させてヒドロキシ基を導入させた後に加水分解させてなる、収率および純度が高い新規なトリサイクリック誘導体の中間体の製造方法および前記中間体を用いたトリサイクリック誘導体の製造方法に関する。本発明の製造方法によれば、カラムクロマトグラフィー法で精製していた従来方法の代わりに再結晶法で精製することによって、従来の方法より生産性および経済性が高くかつ純度および収率が高いトリサイクリック誘導体およびその中間体を製造するのみならず、火災の危険性が高いため産業的に利用しにくいリチウムボロハイドライドを使用する従来方法の代わりに、火災の危険が少ないナトリウムボロハイドライドまたはリチウムアルミニウムハイドライドを使用するので、工業的な大量生産に有用に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収率および純度が高いトリサイクリック誘導体の中間体の製造方法および前記中間体を用いたトリサイクリック誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トリサイクリック誘導体は、癌細胞株に対して極めて強い細胞毒性を示し、動物毒性実験でコルヒチンまたはタキソール注射剤より顕著な毒性の減少を示し、腫瘍の大きさおよび重さを顕著に減少させ、HUVEC細胞において強力な血管新生抑制作用を示すことが知られていて、抗癌剤、抗増殖抑制剤および血管新生抑制剤として有用に使用することができる。
【0003】
特許文献1は、下記の化学式1のトリサイクリック誘導体化合物を合成するに際して重要な中間体である下記の化学式2の化合物を合成する方法を開示している。
【0004】
【化1】

【0005】
【化2】

【0006】
化学式2の中間体化合物は、下記のスキーム4に示されるように、化学式5の化合物およびメタノールをエステル化反応させて化学式6の化合物を合成して、還元剤にリチウムボロハイドライド(LiBH)を使用した還元反応させて一つのエステル基のみが還元された化学式11の化合物を合成した後、加水分解反応により合成される。
【0007】
【化3】

【0008】
しかし、前記スキーム4の製造方法は、水と激しく反応して有毒ガスおよび引火性ガスを生成して発火する危険性を有するリチウムボロハイドライド(LiBH)を還元剤に使用するため工業的な生産に適用するには相応しくなく、より扱い易い還元剤であるナトリウムボロハイドライド(NaBH)またはリチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)を使用する場合には、選択性が落ちて前記化学式6の化合物のエステル基が二つとも還元されるという欠点がある。また、前記スキーム4の製造方法は、化学式11の化合物を、カラムクロマトグラフィー法を使用して精製し、収率も58%と極めて低く、化学式11の化合物を再結晶法で精製する場合には、類縁物質が完全に除去されないで、最終目的化合物である前記化学式1のトリサイクリック誘導体化合物の純度が低くなるという欠点がある。
【0009】
また、非特許文献1は、下記のスキーム5に示されるように、ヒドロキシ基が保護された化学式13の2−フルオロベンジルアルコールにsec−ブチルリチウムおよびN、N、N’、N”、N”−ペンタメチルジエチレントリアミンを−78℃で加えて、前記溶液を固体相の二酸化炭素に加えて化学式14の中間体を合成した後、脱保護反応を経て化学式2の中間体化合物を合成する方法を開示している:
【0010】
【化4】

【0011】
(前記スキーム5で、Rはメトキシメチル基またはトリイソプロピルシリル基である)。
【0012】
しかし、前記スキーム5の製造方法は、前記化学式12のヒドロキシ基をメトキシメチル基で保護する場合には、収率が36%と極めて低く、トリイソプロピルシリル基で保護する場合には、収率が61%に増加するが、脱保護反応のために毒性および腐食性が強く、火災の危険性が高いボロントリフルオライドジエチルエーテラート(Boron trifluoride diethyl etherate)を使用しなければならないため、産業的側面から好ましくない。さらに、発火の危険性があるsec−ブチルリチウムを使用する工程は、工業的な生産に適用するには相応しくない。また、反応を進行させるために反応温度を−78℃に維持しなければならないことおよび−75℃の溶液を固体相の二酸化炭素に滴下する工程もまた、産業上応用する場合には、妥当な工程か否かは疑問が残る。
【0013】
化学式2の中間体化合物から化学式1のトリサイクリック誘導体化合物を製造する工程に関しては、既存の特許(韓国登録特許第0667464号)に開示がある。しかし、従来の方法では、化学式2の中間体化合物と各工程の中間体および最終生成物である化学式1のトリサイクリック誘導体化合物を精製する方法として、カラムクロマトグラフィー法を提供している。カラムクロマトグラフィー法は、精製量が少ない場合は高純度の化合物を得ることができるが、大量の化合物を精製することができないため産業的に相応しい方法であるとは言えない。また、カラムクロマトグラフィー法は、高価なシリカゲルが過剰に使用されて余計な産業廃棄物を誘発し、経済的にも相応しい方法であるとは認められない。
【0014】
そこで、本発明者らは、前記の従来技術の問題点を克服することができる化学式1のトリサイクリック誘導体の製造方法を研究する中で、新しい製造方法を用いて製造された中間体を使用して化学式2の中間体化合物を合成して、前記方法で製造された化学式2の中間体化合物から高純度の化学式1の化合物を高い収率で合成、精製することができる製造方法を見い出し、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】韓国登録特許第0667464号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】European Journal of Organic Chemistry,2002年,第15巻,p.2508
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、生産性および経済性が高い新規なトリサイクリック誘導体の製造方法を提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、収率および純度が高い化学式2の化合物の製造方法を提供することである。
【0019】
本発明のまた他の目的は、前記収率および純度が高い化学式2の化合物を製造する過程で生成される中間体化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記目的を達成するために、本発明は、生産性および経済性が高いトリサイクリック誘導体の製造方法を提供する。
【0021】
また、本発明は、2−フルオロイソフタル酸化合物をエステル化反応および置換反応させてヒドロキシ基を導入した後、ピペリジル基を導入して再び還元反応させてヒドロキシ基を導入させた後に加水分解させてなる、収率および純度が高い化学式2の化合物の製造方法を提供する。
【0022】
さらに、本発明は、前記化学式2の化合物を製造する過程で生成される中間体化合物を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の製造方法によれば、カラムクロマトグラフィー法で精製した従来方法の代わりに再結晶法で精製することで、従来の方法より生産性および経済性が高く、純度および収率が高いトリサイクリック誘導体およびその中間体を製造することのみならず、火災の高い危険性のために産業的に利用しにくいリチウムボロハイドライドを使用する従来の方法に代わって、火災の危険性が少ないナトリウムボロハイドライドまたはリチウムアルミニウムハイドライドを使用するため、工業的な大量生産に有用に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明は、下記のスキーム1に示されるように、
化学式5の化合物と化学式2の化合物をアミド化反応させて化学式6のカップリング化合物を製造する工程(工程a)、
前記工程aで製造された化学式6の化合物を塩基性条件下でスルホニルハライド(RSOY)化合物と置換反応させてスルホニル基(−SOR)を導入させる工程(工程b)、および前記工程bで製造された化学式7の化合物を置換反応させてニトロ基を導入させる工程(工程c)を含んでなる、化学式1のトリサイクリック誘導体の製造方法を提供する。
【0025】
【化5】

【0026】
以下、本発明による前記製造方法を工程別にさらに具体的に説明する。
【0027】
まず、前記工程aは、化学式5の化合物と化学式2の化合物をアミド化反応させて化学式6のカップリング化合物を製造する工程である。
【0028】
前記アミド化反応は、カップリング試薬である1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBT)または1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などの存在下で反応させることができる。前記反応は、塩基を使用しないで行なうことができるが、一般的にはアミド化反応に使用することができる塩基であるピリジン、トリエチルアミン、ジエチルイソプロピルアミンまたはN−メチルモルホリンなどの存在下で、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であるジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トルエンまたはジメチルホルムアミドなどを用いて反応を行なうことができる。反応温度は、特別に制限されないが一般的に前記反応は冷温ないし加温下で行なうことができ、常温で行なうことが好ましい。
【0029】
次に、前記工程bは、前記工程aで製造された化学式6の化合物を塩基性条件下でスルホニルハライド(RSOY)化合物と置換反応させてスルホニル基(−SOR)を導入させる工程である。
【0030】
前記置換反応は、塩基としてトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソブチルエチルアミン、ピリジンなどの3級アミンを使用して化学式6の化合物を溶媒に溶解してスルホニルハライド(RSOY)化合物と反応させてスルホニル基(−SOR)を導入することができる。ここで、前記スルホニルハライド(RSOY)化合物のRは置換されていないまたはハロゲンで置換されたC〜Cのアルキル、または置換されないまたはC〜Cのアルキルで置換されたフェニルであり、Yはフルオロまたは塩素である。前記スルホニルハライド(RSOY)化合物の好ましい例としては、メタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリドなどを挙げることができる。前記置換反応を通じてメタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基などを導入することができる。溶媒では、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどを使用することができる。反応温度は、特別に制限されないが一般的に前記の反応は冷温ないし加温下に行なうことができ、冷温または常温で行なうことが好ましい。
【0031】
次に、前記工程cは、前記工程bで製造された化学式7の化合物を置換反応させてニトロ基を導入させる工程である。
【0032】
前記置換反応は、硝酸銀(AgNO)、t−ブチルアンモニウムニトラート(BuNNO)などを使用して反応に悪影響を及ぼさない溶媒であるクロロホルム、アセトニトリルと水溶液の混合溶液、ジクロロメタンなどの存在下で行なうことができる。反応温度は、特に制限されないが、一般的に前記反応は冷温ないし加温下で行なうことができ、40℃〜60℃の温度範囲で行なうことが好ましい。
【0033】
前記製造方法は、各工程で製造された化合物を再結晶法で精製する過程を追加的に行なうことができる。本発明による製造方法は、従来のシリカゲルを使用するカラムクロマトグラフィー法とは異なり、再結晶法で精製することで生産性および経済性を高めるだけでなく、化合物の収率および純度を高めることができる。ここで、再結晶温度は、0℃〜25℃の温度範囲で行なうことが好ましい。各工程の再結晶法で使用した再結晶溶媒を、下記に示す。
【0034】
前記工程bは、前記工程aの実施の結果製造された化学式6の化合物を再結晶法で精製したものを使用することができる。前記再結晶法は、再結晶溶媒としてメタノール、トルエン、エチルアセテート、アセトニトリルまたはこれらの混合溶媒を使用することができ、アセトニトリルおよびエチルアセテートの混合溶媒を使用することが好ましい。
【0035】
また、前記工程cは、前記工程bの実施の結果製造された化学式7の化合物を再結晶法で精製したものを使用することができる。前記再結晶法は、再結晶溶媒としてアセトニトリル、エチルアセテート、トルエンなどを使用することができ、アセトニトリルを使用することが好ましい。
【0036】
また、前記工程cの実施の結果製造された化学式1の化合物を再結晶法で精製することができる。前記再結晶法は、再結晶溶媒としてメタノールおよびエチルアルコールの混合溶媒を使用することができる。
【0037】
また、本発明は下記のスキーム2に示されるように、化学式8の2−フルオロイソフタル酸化合物およびアルコールをエステル化反応させる工程(工程1)、
前記工程1で製造した化学式9の化合物を加水分解反応させて化学式10の化合物を製造する工程(工程2)、
前記工程2で製造した化学式10の化合物をアミン化合物とアミド化反応させて化学式3の化合物を製造する工程(工程3)、
前記工程3で製造した化学式3の化合物を還元反応させて化学式4の化合物を製造する工程(工程4)、および
前記工程4で製造した化学式4の化合物を加水分解させる工程(工程5)
を含んでなる化学式2の化合物の製造方法を提供する。
【0038】
【化6】

【0039】
(前記スキーム2で、RはC〜Cの直鎖状または分岐状アルキルであり、XはC〜Cのシクロアミノ基であり、C〜Cの直鎖状または分岐状アルキルで置換されたモノまたはジアルキルアミノ基である)。
【0040】
以下、本発明による前記製造方法を工程別にさらに具体的に説明する。
【0041】
まず、前記工程1は、化学式8の2−フルオロイソフタル酸化合物およびアルコールをエステル化反応させる工程である。
【0042】
前記エステル化反応は、酸触媒存在下でアルコールと反応させて行なうことができる。前記酸触媒は、硫酸または塩酸を使用することが好ましい。また、前記アルコールは、C〜Cの直鎖状または分枝状アルコールを使用することが好ましく、メタノール、エチルアルコール、プロパノール、ブタノールなどを使用することがさらに好ましい。
【0043】
次に、前記工程2は、前記工程1で製造した化学式9の化合物を加水分解反応させて化学式10の化合物を製造する工程である。
【0044】
前記加水分解反応は、化学式9の化合物を溶媒に溶解させた後、塩基と反応させて行なうことができる。前記溶媒には、メタノール、エチルアルコール、アセトンなどを使用することができ、メタノールを使用することが好ましい。前記塩基には、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどを使用することができ、水酸化カリウムを使用することが好ましい。反応温度は、特に制限されないが一般的に前記反応は、冷温ないし加温下で行なうことができ、常温で行なうことが好ましく、30〜50時間行なうことが好ましい。
【0045】
前記化学式10の化合物を製造する従来の技術(J.Amer.Chem.Soc.,第65巻,p.2308)では、水酸化リチウムを使用して加水分解するかまたは前記化学式8の化合物をモノエステル化反応させて前記化学式10の化合物を40〜47%の収率で製造することができるが、本発明による製造方法によれば、前記化学式10の化合物を75%の高い収率で製造することができる。
【0046】
次に、前記工程3は、前記工程2で製造した化学式10の化合物をアミン化合物とアミド化反応させて化学式3の化合物を製造する工程である。
【0047】
化学式10の酸化合物とアミン化合物を反応させてアミド結合を形成させるカップリング方法では、酸ハライド(acid halide)法、活性エステル(active−ester)法、混合無水物(mixed anhydride)法などを用いることができ、混合無水物法を用いることが好ましい。混合無水物法を用いる場合には、副反応を最小限に抑制しながら収率を増加させることができる。前記アミン化合物は、C〜CのシクロアミンまたはC〜Cの直鎖状または分枝状アルキルで置換されたモノまたはジアルキルアミンであることが好ましい。前記シクロアミンは、ピペリジンまたはピロリジンであることがさらに好ましく、前記アルキルアミンはジメチルアミンまたはジエチルアミンであることがさらに好ましい。
【0048】
前記アミド化反応は、塩基を使用しないで行なうことができるが、一般的にはアミド化反応に使用することができる塩基であるピリジン、トリエチルアミン、ジエチルイソプロピルアミンまたはN−メチルモルホリンなどの存在下で、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であるジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トルエンまたはジメチルホルムアミドなどを用いて反応を行なうことができる。反応温度は、特に制限されないが一般的に前記反応は、冷温ないし加温下で行なうことができ、常温で行なうことが好ましい。
【0049】
次に、前記工程4は、前記工程3で製造した化学式3の化合物を還元反応させて化学式4の化合物を製造する工程である。
【0050】
前記還元反応は、化学式3の化合物を溶媒に溶解した後、還元剤を滴下した後、1〜3時間還流撹拌して行なうことができる。
【0051】
前記還元剤は、ナトリウムボロハイドライド(NaBH)またはリチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)を使用することができ、ナトリウムボロハイドライド(NaBH)を使用することが好ましい。
【0052】
韓国登録特許第0667464号の化学式2の中間体化合物の製造方法によると、エステル基を還元させるために還元剤としてリチウムボロハイドライド(LiBH)を使用するが、前記リチウムボロハイドライド(LiBH)は水と激しく反応して有毒ガスおよび引火性ガスを生成して発火する引火性を有しているため、工業的な生産に適用するには相応しくなく、ナトリウムボロハイドライド(NaBH)またはリチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)を使用する場合には、選択性が低下してエステル基が二つとも還元されるという欠点がある。しかし、本発明による製造方法は、リチウムボロハイドライドより爆発または火災の危険性が少ないナトリウムボロハイドライド(NaBH)またはリチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)を使用するため、工業的な大量生産に適用するのに相応しく、収率を高めることができ、前記工程3で化学式10の化合物およびピペリジンをアミド化反応させてアミド結合を形成することによって前記還元剤を使用する場合に選択性が低下する欠点を克服することができる。
【0053】
次に、前記工程5は、前記工程4で製造した化学式4の化合物を加水分解させる工程である。前記加水分解反応は、塩基存在下で30〜50時間還流撹拌して行なうことができる。前記塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどを使用することができる。
【0054】
また、本発明は、前記化学式2の化合物を製造する過程で生成される中間体である下記の化学式3の化合物を提供する。
【0055】
【化7】

【0056】
前記化学式3において、
前記RはC〜Cの直鎖状または分枝状アルキルであり、XはC〜Cのシクロアミノ基であり、C〜Cの直鎖状または分枝状アルキルで置換されたモノまたはジアルキルアミノ基である。
【0057】
好ましくは、
前記Rは、メチル、エチル、プロピルまたはブチルであり、
Xは、ピペリジル基、ピロリジニル基、ジメチルアミノ基またはジエチルアミノ基である。
【0058】
また、本発明は、前記化学式2の化合物を製造する過程で生成される中間体である下記の化学式4の化合物を提供する:
【0059】
【化8】

【0060】
(前記化学式4において、RおよびXは前記化学式3において定義したものと同様である)。
【0061】
また、本発明は、下記のスキーム3に示されたように、
化学式8の2−フルオロイソフタル酸化合物およびアルコールをエステル化反応させる工程(工程A)、
前記工程Aで製造した化学式9の化合物を加水分解反応させて化学式10の化合物を製造する工程(工程B)、
前記工程Bで製造した化学式10の化合物をアミン化合物とアミド化反応させて化学式3の化合物を製造する工程(工程C)、
前記工程Cで製造した化学式3の化合物を還元反応させて化学式4の化合物を製造する工程(工程D)、
前記工程Dで製造した化学式4の化合物を加水分解させる工程(工程E)、
前記工程Eで製造した化学式5の化合物と化学式2の化合物をアミド化反応させて化学式6のカップリング化合物を製造する工程(工程F)、
前記工程Fで製造された化学式6の化合物を塩基性条件下で置換反応させてスルホニル基(−SOR)を導入させる工程(工程G)、および
前記工程Gで製造された化学式7の化合物を置換反応させてニトロ基を導入させる工程(工程H)、
を含んでなる、化学式1のトリサイクリック誘導体の製造方法を提供する。
【0062】
【化9】

【0063】
(前記スキーム3で、RはC〜Cの直鎖状または分枝状アルキルで、XはC〜Cのシクロアミノ基、C〜Cの直鎖状または分枝状アルキルで置換されたモノまたはジアルキルアミノ基であり、Rは置換されないまたはハロゲンに置換されたC〜Cのアルキル、または置換されないまたはC〜Cのアルキルに置換されたフェニルであり、Yはフルオロまたは塩素である)。
【0064】
前記工程A〜Eは前記スキーム1の工程1〜5と、前記工程F〜Hは前記スキーム2の工程a〜cと同一な方法で実施することができる。
【0065】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明する。
【0066】
但し、下記の実施例は、本発明を例示するだけのものであって、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0067】
<実施例1>2−フルオロ−3−(ヒドロキシメチル)安息香酸の製造
工程1:ジメチル−2−フルオロイソフタレートの製造
2−フルオロイソフタル酸430g(2.34mol)をメタノール4.3lに溶解させて触媒量の硫酸を滴下した後、還流撹拌した。反応が完了した反応混合物に炭酸水素ナトリウム飽和水溶液860mlを加えた後、メタノールを減圧蒸留した。蒸留水860mlを加えた後、1時間常温で撹拌した。生成された固体をろ過した後、水で洗浄乾燥して白色固体のジメチル−2−フルオロイソフタレート471gを得た。
収率:95.0%
【0068】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) : δ 8.10-8.06(m, 2H), 7.43(t, 1H, J=8.0 Hz), 3.86(s, 6H)
【0069】
工程2:2−フルオロ−3−(メトキシカルボニル)安息香酸の製造
前記工程1で得たジメチル−2−フルオロイソフタレート471g(2.22mol、1.0eq)をメタノール4lに溶解した後、水酸化カリウム143g(2.55mol、1.15eq)をメタノール1lに溶解して常温で滴下した。反応混合物を常温で40時間撹拌した。反応終了確認後、メタノールを減圧蒸留して蒸留水2.5lを加えた後、エチルアセテート1.0lで洗浄した。得られた水相を0℃に冷却した後、塩酸318mlを徐々に加えた。0℃で2時間撹拌して生成された結晶をろ過した後、水で洗浄し乾燥して白色固体の2−フルオロ−3−(メトキシカルボニル)安息香酸330gを得た。
収率:75.0%
【0070】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) : δ 8.10-8.04(m, 2H), 7.41(t, 1H, J=8.0 Hz), 3.87(s, 3H)
【0071】
工程3:メチル 2−フルオロ−3−(ピペリジン−1−カルボニル)ベンゾエートの製造
前記工程2で得た2−フルオロ−3−(メトキシカルボニル)安息香酸278g(1.4mol、1.0eq)とジクロロメタン2.7lとの混合溶液に、N−メチルモルホリン162ml(1.47mol、1.05eq)を加えて0℃で30分間撹拌した。イソブチルクロロホルマート191ml(1.47mol、1.05eq)を徐々に加えた後、0℃で1時間撹拌した。ピペリジン139ml(1.4mol、1.0eq)を徐々に加えた後、常温で1時間撹拌した。反応終了確認後、反応液を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液560ml、アンモニウムクロライド飽和水溶液560ml、蒸留水1lの順で洗浄した。得られた有機相を無水硫酸マグネシウムで脱水させてろ過した後、減圧濃縮して赤黄色油状のメチル 2−フルオロ−3−(ピペリジン−1−カルボニル)ベンゾエート371gを得た。
収率:99%
【0072】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) : δ 7.92(td, 1H, J=7.6 Hz, J=1.6 Hz), 7.64-7.60(m, 1H), 7.38(t, 1H, J=7.6 Hz), 3.85(s, 3H), 3.60(br, 2H), 3.14(br, 2H), 1.16-1.40(m, 6H)
【0073】
工程4:(2−フルオロ−3−(ヒドロキシメチル−フェニル)(ピペリジン−1−イル)メタノンの製造
前記工程3で得た2−フルオロ−3−(ピペリジン−1−カルボニル)ベンゾエート1.73g(6.52mmol、1.0eq)をテトラヒドロフラン17mlに溶解した後、ナトリウムボロハイドライド987mg(26.1mmol、4.0eq)を蒸留水4.3mlに溶解して滴下した。反応混合物を2時間還流撹拌した。反応液を常温まで冷却した後、塩酸を加えて酸性化させて(pH〜2.0)、ジクロロメタンで抽出した。有機相を希釈した炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで脱水化させた後、減圧濃縮した。得られた白色固体の化合物にエチルアセテート8mlを加えて30分間還流撹拌した。常温に冷却後、生成された固体をろ過乾燥して(2−フルオロ−3−(ヒドロキシメチル−フェニル)(ピペリジン−1−イル)メタノン1.33gを得た。
収率:94.4%
【0074】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) : δ 7.56-7.50(m, 1H), 7.27-7.22(m, 2H), 5.36(t, 1H, J=6.0 Hz), 4.56(d, 2H, J=6.0 Hz), 3.60(br, 2H), 3.17-3.15(m, 2H), 1.60-1.39(m, 6H)
【0075】
工程5:2−フルオロ−3−(ヒドロキシメチル)安息香酸の製造
(2−フルオロ−3−(ヒドロキシメチル−フェニル)(ピペリジン−1−イル)メタノン44.0g(0.185mol)と蒸留水220mlの混合物に水酸化ナトリウム37.1g(0.927mol、5.0eq)を加えて40時間還流撹拌した。反応終了確認後、反応混合液を常温まで冷却した。ジクロロメタンで水相を洗浄して0℃に冷却後、塩酸を加えて酸性化させた(pH=2.0)。エチルアセテートで抽出して得られた有機相を無水硫酸マグネシウムで脱水させてろ過した後、濃縮して白色固体の2−フルオロ−3−(ヒドロキシメチル)安息香酸29.5gを得た。
収率:93.6%
【0076】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) : δ 7.74(t, 1H, J=3.2 Hz), 7.68(t, 1H, J=3.2 Hz), 7.27(t, 1H, J=3.2 Hz), 4.57(s, 2H)
【0077】
<実施例2>N−(3−エトキシ−1,2−ジメトキシ−10−メチルスルファニル−9−オキソ−5,6,7,9−テトラヒドロ−ベンゾ[a]ヘプタレン−7−イル)−2−フルオロ−3−ニトロオキシメチルベンズアミドの製造
工程a:N−(3−エトキシ−1,2−ジメトキシ−10−メチルスルファニル−9−オキソ−5,6,7,9−テトラヒドロ−ベンゾ[a]ヘプタレン−7−イル)−2−フルオロ−3−ヒドロキシメチルベンズアミドの製造
(7S)−7−アミノ−3−エトキシ−1,2,−ジメトキシ−10−メチルスルファニル−6,7−ジハイドロ−5H−ベンゾ[a]ヘプタレン−9−オン163g(421mmol、1.0eq)をジクロロメタン1.4lに溶解した後、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド105g(547mmol、1.3eq)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物5.7g(42.1mmol、0.1eq)を加えた。2−フルオロ−3−(ヒドロキシメチル)安息香酸93.6g(547mmol、1.3eq)を加えて反応混合物を常温で2時間撹拌した。反応終了確認後、反応混合物を精製水で洗浄して無水硫酸マグネシウムで脱水させた後、減圧濃縮して黄色固体の生成物を得た。得られた生成物にアセトニトリル300mlおよびエチルアセテート250mlの混合溶液を加えて常温で30分、0℃で2時間撹拌した。生成された固体をろ過してエチルアセテートで洗浄後に乾燥して黄色固体のN−(3−エトキシ−1,2−ジメトキシ−10−メチルスルファニル−9−オキソ−5,6,7,9−テトラヒドロ−ベンゾ[a]ヘプタレン−7−イル)−2−フルオロ−3−ヒドロキシメチルベンズアミド211gを得た。
収率:92.9%
純度(HPLCによる):98.4%
【0078】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) : δ 9.12(d, 1H, J=7.6 Hz), 7.58(t, 1H, J=7.2 Hz), 7.38(t, 1H, J=7.2 Hz), 7.30-7.17(m, 4H), 6.80(s, 1H), 5.41(t, 1H, J=5.6 Hz), 4.59(d, 2H, J=5.6 Hz), 4.56-4.50(m, 1H), 4.17-4.08(m, 2H), 3.82(s, 3H), 3.59(s, 3H), 2.67-2.60(m, 1H), 2.42(s, 3H), 2.29-1.97(m, 3H), 1.38(t, 3H, J=6.8 Hz).
【0079】
工程b:メタンスルホン酸 3−(3−エトキシ−1,2−ジメトキシ−10−メチルスルファニル−9−オキソ−5,6,7,9−テトラヒドロ−ベンゾ[a]ヘプタレン−7−イルカルバモイル)−2−フルオロ−ベンジルエステルの製造
前記実施例2の工程aで得た、N−(3−エトキシ−1,2−ジメトキシ−10−メチルスルファニル−9−オキソ−5,6,7,9−テトラヒドロ−ベンゾ[a]ヘプタレン−7−イル)−2−フルオロ−3−ヒドロキシメチルベンズアミド50g(92.7mmol、1.0eq)とジクロロメタン500mlとの混合物を0℃に冷却後、トリエチルアミン20.6ml(148mmol、1.6eq)を加えた。反応混合液にメタンスルホニルクロリド10.7ml(139mmol、1.5eq)を滴下した後、0℃で30分間撹拌した。反応終了確認後、反応混合物を精製水300mlで洗浄して無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮して黄色固体の生成物を得た。得られた生成物にアセトニトリル100mlを加えて常温で30分、0℃で2時間撹拌した。生成された固体をろ過して乾燥して黄色固体のメタンスルホン酸 3−(3−エトキシ−1,2−ジメトキシ−10−メチルスルファニル−9−オキソ−5,6,7,9−テトラヒドロ−ベンゾ[a]ヘプタレン−7−イルカルバモイル)−2−フルオロ−ベンジルエステル51.4gを得た。
収率:89.8%
純度(HPLCによる):96.7%
【0080】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) : δ 9.24(d, 1H, J=7.2 Hz), 7.68(t, 1H, J=7.2 Hz), 7.57(t, 1H, J=7.2 Hz), 7.36-7.16(m, 4H), 6.81(s, 1H), 5.35(s, 2H), 4.56-4.50(m, 1H), 4.14-4.09(m, 2H), 3.82(s, 3H), 3.59(s, 3H), 3.29(s, 3H), 2.66-2.61(m, 1H), 2.42(s, 3H), 2.30-1.97(m, 3H), 1.38(t, 3H, J=6.8 Hz)
【0081】
工程c:N−(3−エトキシ−1,2−ジメトキシ−10−メチルスルファニル−9−オキソ−5,6,7,9−テトラヒドロ−ベンゾ[a]ヘプタレン−7−イル)−2−フルオロ−3−ニトロオキシメチルベンズアミドの製造
前記実施例2の工程bで得たメタンスルホン酸 3−(3−エトキシ−1,2−ジメトキシ−10−メチルスルファニル−9−オキソ−5,6,7,9−テトラヒドロ−ベンゾ[a]ヘプタレン−7−イルカルバモイル)−2−フルオロ−ベンジルエステル55.6g(90.1mmol、1.0eq)とアセトニトリル500mlとの混合物に硝酸銀68.8g(405mmol、4.5eq)を加えて50℃で18時間撹拌した。反応終了確認後、溶媒を減圧濃縮した後、精製水を加えてジクロロメタンで抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで脱水させてシリカゲルパッドでろ過した後、減圧濃縮して黄色固体の生成物を得た。得られた生成物にメタノール、エチルアルコールを加えて常温で30分、0℃で1時間撹拌した。生成された固体をろ過して乾燥して黄色固体のN−(3−エトキシ−1,2−イメトキシ−10−メチルスルファニル−9−オキソ−5,6,7,9−テトラヒドロ−ベンゾ[a]ヘプタレン−7−イル)−2−フルオロ−3−ニトロオキシメチルベンズアミド38.8gを得た。
収率:73.7%
純度(HPLCによる):99.8%
【0082】
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) : δ 9.24(d, 1H, J=6.0 Hz), 7.71-7.56(m, 2H), 7.36-7.16(m, 4H), 6.81(s, 1H), 5.69(s, 2H), 4.56-4.50(m, 1H), 4.15-4.09(m, 2H), 3.82(s, 3H), 3.59(s, 3H), 2.66-2.61(m, 1H), 2.42(s, 3H), 2.28-1.97(m, 3H), 1.38(t, 3H, J=6.8 Hz)
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、収率および純度が高いトリサイクリック誘導体の中間体の製造方法および前記中間体を用いたトリサイクリック誘導体の製造方法に関するもので、従来の方法より生産性および経済性が高くかつ純度および収率が高いトリサイクリック誘導体およびその中間体を製造することができ、工業的な大量生産に有用に用いることができるため産業上の利用可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のスキーム1に示されるように、
化学式5の化合物と化学式2の化合物をアミド化反応させて化学式6のカップリング化合物を製造する工程(工程a)、
前記工程aで製造された化学式6の化合物を塩基性条件下でスルホニルハライド(RSOY)化合物と置換反応させてスルホニル基(−SOR)を導入させる工程(工程b)、および
前記工程bで製造された化学式7の化合物を置換反応させてニトロ基を導入させる工程(工程c)、
を含んでなる化学式1のトリサイクリック誘導体の製造方法。
【化1】

(前記スキーム1で、Rは置換されていないまたはハロゲンで置換されたC〜Cのアルキル、または置換されていないまたはC〜Cのアルキルで置換されたフェニルであり、Yはフルオロまたは塩素である)。
【請求項2】
前記スルホニルハライド(RSOY)化合物が、メタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロライドおよびトリフルオロメタンスルホニルクロリドからなる群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、
請求項1に記載の化学式1のトリサイクリック誘導体の製造方法。
【請求項3】
前記工程bが、前記工程aの実施の結果製造された化学式6の化合物を再結晶法で精製したものを使用することを特徴とする、
請求項1に記載の化学式1のトリサイクリック誘導体の製造方法。
【請求項4】
前記再結晶法が、再結晶溶媒としてメタノール、トルエン、エチルアセテート、アセトニトリルまたはそれらの混合溶媒からなる群から選択されるいずれか一つを使用することを特徴とする、
請求項3に記載の化学式1のトリサイクリック誘導体の製造方法。
【請求項5】
前記工程cが、前記工程bの実施の結果製造された化学式7の化合物を再結晶法で精製したものを使用することを特徴とする、
請求項1に記載の化学式1のトリサイクリック誘導体の製造方法。
【請求項6】
前記再結晶法が、再結晶溶媒としてアセトニトリル、エチルアセテートおよびトルエンからなる群から選択されるいずれか一つを使用することを特徴とする、
請求項5に記載の化学式1のトリサイクリック誘導体の製造方法。
【請求項7】
前記工程cの実施の結果製造された化学式1の化合物を再結晶法で精製することを特徴とする、
請求項1に記載の化学式1のトリサイクリック誘導体の製造方法。
【請求項8】
前記再結晶法が、再結晶溶媒としてメタノールおよびエチルアルコールの混合溶媒を使用することを特徴とする、
請求項7に記載の化学式1のトリサイクリック誘導体の製造方法。
【請求項9】
下記のスキーム2に示されるように、
化学式8の2−フルオロイソフタル酸化合物およびアルコールをエステル化反応させる工程(工程1)、
前記工程1で製造した化学式9の化合物を加水分解反応させて化学式10の化合物を製造する工程(工程2)、
前記工程2で製造した化学式10の化合物をアミン化合物とアミド化反応させて化学式3の化合物を製造する工程(工程3)、
前記工程3で製造した化学式3の化合物を還元反応させて化学式4の化合物を製造する工程(工程4)、および
前記工程4で製造した化学式4の化合物を加水分解させる工程(工程5)、
を含んでなる化学式2の化合物の製造方法。
【化2】

(前記スキーム2で、RはC〜Cの直鎖状または分枝状アルキルであり、XはC〜Cのシクロアミノ基であり、C〜Cの直鎖状または分枝状アルキルで置換されたモノまたはジアルキルアミノ基である)。
【請求項10】
前記工程1のアルコールが、C〜Cの直鎖状または分枝状アルコールであることを特徴とする、
請求項9に記載の化学式2の化合物の製造方法。
【請求項11】
前記工程3のアミド化反応が、混合無水物法を使用することを特徴とする、
請求項9に記載の化学式2の化合物の製造方法。
【請求項12】
前記工程3のアミン化合物が、C〜CのシクロアミンまたはC〜Cの直鎖状または分枝状アルキルに置換されたモノまたはジアルキルアミンであることを特徴とする、
請求項9に記載の化学式2の化合物の製造方法。
【請求項13】
前記シクロアミンが、ピペリジンまたはピロリジンであり、前記アルキルアミンはジメチルアミンまたはジエチルアミンであることを特徴とする、
請求項12に記載の化学式2の化合物の製造方法。
【請求項14】
前記工程4の還元反応が、還元剤としてナトリウムボロハイドライド(NaBH)またはリチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH)を使用することを特徴とする、
請求項9に記載の化学式2の化合物の製造方法。
【請求項15】
前記工程5が、前記工程4の実施の結果製造された化学式4の化合物を再結晶法で精製したものを使用することを特徴とする、
請求項9に記載の化学式2の化合物の製造方法。
【請求項16】
前記再結晶法が、再結晶溶媒としてジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびエチルアセテートからなる群から選択されるいずれか一つを使用することを特徴とする、
請求項15に記載の化学式2の化合物の製造方法。
【請求項17】
前記化学式2の化合物を製造する過程で生成される中間体である化学式3の化合物:
【化3】

(前記化学式3において、RはC〜Cの直鎖状または分枝状アルキルであり、XはC〜Cのシクロアミノ基であり、C〜Cの直鎖状または分枝状アルキルで置換されたモノまたはジアルキルアミノ基である)。
【請求項18】
前記Rは、メチル、エチル、プロピルまたはブチルであり、
Xはピペリジル基、ピロリジニル基、ジメチルアミノ基またはジエチルアミノ基であることを特徴とする、
請求項17に記載の化学式3の化合物。
【請求項19】
前記化学式2の化合物を製造する過程で生成される中間体である化学式4の化合物:
【化4】

(前記化学式4において、RおよびXは請求項17の化学式3において定義したものと同様である)。
【請求項20】
下記のスキーム3に示されるように、
化学式8の2−フルオロイソフタル酸化合物およびアルコールをエステル化反応させる工程(工程A)、
前記工程Aで製造した化学式9の化合物を加水分解反応させて化学式10の化合物を製造する工程(工程B)、
前記工程Bで製造した化学式10の化合物をアミン化合物とアミド化反応させて化学式3の化合物を製造する工程(工程C)、
前記工程Cで製造した化学式3の化合物を還元反応させて化学式4の化合物を製造する工程(工程D)、
前記工程Dで製造した化学式4の化合物を加水分解させる工程(工程E)、
前記工程Eで製造した化学式5の化合物と化学式2の化合物をアミド化反応させて化学式6のカップリング化合物を製造する工程(工程F)、
前記工程Fで製造された化学式6の化合物を塩基性条件下で置換反応させてスルホニル基(−SOR)を導入させる工程(工程G)、および
前記工程Gで製造された化学式7の化合物を置換反応させてニトロ基を導入させる工程(工程H)、
を含んでなる、化学式1のトリサイクリック誘導体の製造方法。
【化5】


(前記スキーム3において、RはC〜Cの直鎖状または側鎖アルキルであり、XはC〜Cのシクロアミノ基であり、C〜Cの直鎖状または分枝状アルキルで置換されたモノまたはジアルキルアミノ基であり、Rは置換されていないまたはハロゲンに置換されたC〜Cのアルキルであり、または置換されていないまたはC〜Cのアルキルに置換されたフェニルであり、Yはフルオロまたは塩素である)。


【公表番号】特表2012−531407(P2012−531407A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517404(P2012−517404)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/KR2010/004212
【国際公開番号】WO2011/004980
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(511114841)ジェ イル ファーマシューティカル カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】