説明

トリハロメタン分析装置の反応部構造

【課題】反応部側から分離・溶解部側への伝熱を抑制して分離・溶解部構成部材の過熱による性能低下を防止するとともに、反応部及び分離・溶解部の構造を簡素化及び小型化することにより、装置コストを低減させることが可能なトリハロメタン分析装置の反応部構造を提供する。
【解決手段】サンプル水からトリハロメタンガスを分離させてキャリア液に溶解させる分離・溶解部38からのトリハロメタンガス溶解キャリア液を加熱してトリハロメタンをニコチン酸アミドと反応させる反応部36を備え、反応部36は、末端がフレア形状を有するチューブ31と、チューブ31が連続的に埋め込み可能な溝30sが形成されているとともに、チューブ31のフレア形状部分を外側に導出可能な孔30tが穿設された溝付きの平板30と、溝付きの平板30の平坦面と密着可能な平坦部を有する反応部押え板32とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液中の低融点有機塩素化合物のトリハロメタン分析装置に使用される、トリハロメタンガス反応部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トリハロメタンは、水中の有機化合物と疫学的安全性を確保するために使う塩素に起因して生成されるものである。水中のトリハロメタンは、揮発性であって、気体として微孔性の膜を透過できる性質を有している。この透過したトリハロメタンは、キャリア液に溶解することにより、水中の懸濁物、イオン及び種々の干渉物から分離することが可能となっている。
【0003】
上記トリハロメタンを自動分析するトリハロメタン分析装置としては、本件出願人の出願に係る特許文献1(特開平4−223266号公報)、特許文献2(特開平2−145961号公報)等の技術が提供されている。
図5は、かかるトリハロメタン分析装置の基本構成を示す系統図である。
このトリハロメタン分析装置では、送液ポンプ3等のキャリア液送液部と、送液ポンプ7等の試料送液部と、分離・溶解部38等のトリハロメタンガス分離・溶解部と、反応部9と、検出部10とを有している。
【0004】
送液ポンプ3は、ニコチン酸アミド電磁弁1を介して導入されるニコチン酸アミド溶液と、水酸化ナトリウム電磁弁2を介して導入される水酸化ナトリウム溶液とを混合したキャリア液12を分離・溶解部38に供給するように構成されている。
送液ポンプ7は、サンプル水電磁弁5を介して導入されるトリハロメタンを含むサンプル水4に、酸性還元剤溶液電磁弁6を介して導入される酸性還元剤溶液(硫酸ヒドラジン溶液)を混合させて分離・溶解部38に供給するように構成されている。この分離・溶解部38に関連して、当該分離・溶解部38内のガスチャンバ23中にエアを供給するエアポンプ11が設けられている。
分離・溶解部38では、ヒータ13,14によって70℃程度に加熱されたサンプル水4から内部のガス分離膜24を介してトリハロメタンガスが分離されることになる。分離されガス化されたトリハロメタンガスは、キャリア液12が流れるガス溶解膜25と接することにより、キャリア液12に溶解されて反応部9に搬送されることになる。
【0005】
反応部9では、ヒータ16によって90℃程度に保持されており、キャリア液12を流す過程でヒータ16にて90℃程度まで加温し、当該キャリア液12中のトリハロメタンをニコチン酸アミドと反応させている。
検出部10は、反応部9における反応生成物の蛍光強度を測定し、そのフォトマルセンサ信号を図示しない分析手段に伝送している。
以上の分析処理が行われた排水は、配管51を通り、分離・溶解部38から排水管52を通って排出されるサンプル水4の排水と共通配管53で合流し、外部に排出されることになる。
【0006】
図6は、上記反応部9及び分離・溶解部の接続構造を示す展開図である。
図6において、38はサンプル水からトリハロメタンガスを分離させてキャリア液に溶解させる分離・溶解部、9はキャリア液12中のトリハロメタンをニコチン酸アミドと反応させる反応部である。
かかる分離・溶解部38と反応部9とは、サンプル水流路押え板27とキャリア液流路押え板29とにより挟み込むようにして、キャリア液流路板28、ガス溶解膜25、ガスチャンバ板23、ガス分離膜24、サンプル水流路板26が、それぞれに空けた貫通孔を介してねじ止め固定されている。
上記ガス分離膜24及びガス溶解膜25は、例えば、孔径0.1μm以下の微細な孔を有している。
また、上記分離・溶解部38の両脇に配置されているヒータ13及びヒータ14は、サンプル水4及びキャリア液12をそれぞれ加熱するためのものである。
【0007】
次に、上記分離・溶解部38の詳細について説明する。
図6において、サンプル水4は、サンプル水入口20Aから注入され、サンプル水流路板26の溝とガス分離膜24とで構成された流路に流入し、サンプル水出口20Bから排出されるようになっている。この際、サンプル水4は、ガス分離膜24と接触しながら流れている。サンプル水4中にトリハロメタンが含有されていると、ヒータ13で加熱されてガス化し、ガス分離膜24を通して、水蒸気とともにガスチャンバ23の流路に到達するようになっている。
前記ガスチャンバ23の流路に溜まったトリハロメタンガスは、ガス溶解膜25と接触する。一方、キャリア液12は、キャリア液流路28とガス溶解膜25によって構成された流路内を、図中キャリア液入口22Aから入りキャリア液出口22Bから排出するようにガス溶解膜25と接触しながら流れている。この状態で、前記トリハロメタンガス30はガス溶解膜25を介してキャリア液に溶け込む。
【0008】
次に、上記装置における水蒸気の排出手段について説明する。
上述したように、サンプル水4はヒータ13で加熱されてガス化し、ガス分離膜24を通して、水蒸気とともにガスチャンバ板23の流路に到達する。ガスチャンバ板23内におけるトリハロメタンガスの飽和時間と、トリハロメタンガスの溶解に要する時間は、少なくとも30分以上は掛かる。
その間にトリハロメタンガスと共に大量の水蒸気が蒸発して、ガスチャンバ板23の流路とその両側に配置されたガス溶解膜25及びガス分離膜24の表面に付着して結露する。
この結露水の排出手段として、ガスチャンバ板23は、図6に示すように垂直に設置され、その流路は階段状に傾斜した形状となっている。このように構成したことにより、結露水は、ガスチャンバ23内を下方に流れて、図6に示す3つの空気出口21Bを通して外部に排出されることになる。
【0009】
図7は、上記反応部9の従来の接続構造を示す分解斜視図である。
図7において、分離・溶解部38と反応部9とは、継手37及び接続チューブ18によって接続されている。また、トリハロメタンガス溶解キャリア液加熱、反応用のチューブ31は、反応部流路板30と反応部押え板32との間に挟持されて配置されている。
このようにして、分離・溶解部38でキャリア液12にトリハロメタンガスを溶解させた後、継手37及び接続チューブ18により分離・溶解部38と反応部9とが接続されており、分離・溶解部38から接続チューブ18を通して搬送されたトリハロメタンガス溶解キャリア液は、反応部9においてヒータ16により90℃程度に加熱された後、キャリア液出口22Bから検出部10(図5参照)に送られて蛍光検出されることになる。
【特許文献1】特開平4−223266号公報
【特許文献2】特開平2−145961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図6及び図7に示される先行技術にあっては、次のような解決すべき課題を有している。
すなわち、図6及び図7に示されるトリハロメタン分析装置においては、分離・溶解部38と反応部9とが別個の部品で構成されている。この理由は、反応部9の内部構造に基因している。
すなわち、図7に示されるように、反応部9は、分離・溶解部38でトリハロメタンガスを溶解させたキャリア液12を蛍光物質に変えるために、90℃程度の温度で反応させることにしている。
このため、反応用のチューブ31を反応部流路板30と反応部押え板32とで挟持する構造にして、ヒータ16との距離を近くして反応効率を向上させている。
【0011】
ところが、反応部流路板30と反応部押え板32とで挟まれた内部にチューブ31を内蔵することで、これらチューブ31と分離・溶解部38との接続には、分離・溶解部38との接続チューブ18及び継手37を使用する必要がある。
然るに、反応部9側の継手部分は90℃程度の高温となっている。このため、反応部9側からの伝熱によって継手37及びチューブ31が軟化して、継手信頼性が低下することになる。
また、図6及び図7に示されるトリハロメタン分析装置においては、分離・溶解部38の加熱温度が70℃程度、反応部9の温度が90℃程度となっている。このような反応部9は、流路が一つであるために幅を薄くすることができ、ヒータ16からの距離が短く熱伝導が良好なことから、片面からの加熱でチューブ31内のキャリア液12を所定温度の90℃程度に加熱制御が可能である。
一方、分離・溶解部38は、ガスチャンバ板23を挟んでサンプル流路板26とキャリア液流路板28の2つの流路に各々サンプル水4とキャリア液12が流れている。各々の温度が同じ70℃となるように制御するためには、片面からの加熱だけでは、熱の流れが一方向となり、温度を均一に保つことは困難である。
そのため、図6及び図7に示されるトリハロメタン分析装置においては、分離・溶解部38の両側にヒータ13とヒータ14とを設置する必要があり、これにより装置コストが増大することになる。
また、分離・溶解部38と反応部9との2部品に分かれているために、全体の装置に占める容積が大きくなっている。
【0012】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、反応部側から分離・溶解部側への伝熱を抑制して分離・溶解部構成部材の過熱による性能低下を防止するとともに、反応部及び分離・溶解部の構造を簡素化及び小型化することにより、装置コストを低減させることが可能なトリハロメタン分析装置の反応部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、サンプル水からトリハロメタンガスを分離させてキャリア液に溶解させる分離・溶解部と、該分離・溶解部からのトリハロメタンガス溶解キャリア液を加熱してトリハロメタンをニコチン酸アミドと反応させる反応部とを備えたトリハロメタン分析装置において、前記反応部は、末端がフレア形状を有し、前記トリハロメタンガス溶解キャリア液が流動するチューブと、該チューブが連続的に埋め込み可能な溝が形成されているとともに、前記チューブのフレア形状部分を外側に導出可能な孔が穿設された溝付きの平板と、該溝付きの平板の平坦面と密着可能な平坦部を有する平坦カバーとを備えている。
本発明において、好ましくは、前記チューブは、PTFEやPFAなど四フッ化エチレン化合物を材料として形成されている。
【0014】
また、本発明は、サンプル水からトリハロメタンガスを分離させてキャリア液に溶解させる分離・溶解部と、該分離・溶解部からのトリハロメタンガス溶解キャリア液を加熱してトリハロメタンをニコチン酸アミドと反応させる反応部とを備えたトリハロメタン分析装置において、前記反応部は、前記トリハロメタンガス溶解キャリア液が流動する溝が形成された溝付きの平板と、該溝付きの平板の平坦部と溶着可能な平坦面を有する平板とを溶着し、該溶着部によって前記溝内を流動する前記トリハロメタンガス溶解キャリア液の液体シールを行うように構成されている。
本発明において、好ましくは、前記溝付きの平板は、PTFEやPFAなど四フッ化エチレン化合物を材料として形成されている。
【発明の効果】
【0015】
上述の如く、本発明に係るトリハロメタン分析装置の反応部構造によれば、反応部を、末端がフレア形状を有し、トリハロメタンガス溶解キャリア液が流動するチューブと、このチューブが連続的に埋め込み可能な溝が形成されるとともに、チューブのフレア形状部分を外側に導出可能な孔が穿設された溝付きの平板と、該溝付きの平板の平坦面と密着可能な平坦部を有する平坦カバーとを組み合わせて構成し、あるいは、反応部を、トリハロメタンガス溶解キャリア液が流動する溝が形成された溝付きの平板と、該溝付きの平板の平坦部と溶着可能な平坦面を有する平板とを溶着し、該溶着部によってトリハロメタンガス溶解キャリア液の液体シールを行うように構成したので、分離・溶解部と反応部とを直接接続でき、既述のような継手や接続部配管が不要になり、さらには既述のような分離・溶解部と反応部との接続用継手部付近が90℃程度の高温であることによって当該継手部が軟化するという問題を解消でき、トリハロメタン分析装置の信頼性を各段に向上させることができる。
また、分離・溶解部と反応部とを直接接続して一体化することで、機械構造としての剛性が向上し、振動や耐衝撃性の向上も図ることができる。
【0016】
また、本発明の構成により、既述したような継手及び関連配管が不要となったことで反応部及び分離・溶解部の容積を大幅に減少でき(30%以上)、当該トリハロメタン分析装置を小型化できる。
さらに、分離・溶解部と反応部とを直接接続して一体化することで、分離・溶解部及び反応部を2つのヒータで両側から加熱して加熱の効率を保持しつつ、分離・溶解部と反応部との間に設置していたヒータを不要とすることが可能となり、ヒータ加熱のための消費電力を低減できるとともに(30%程度低減)、部品点数も削減できる。
以上により、トリハロメタン分析装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係るトリハロメタン分析装置の反応部構造について、その実施形態を詳細に説明する。
【0018】
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係るトリハロメタン分析装置の反応部及び分離・溶解部の接続構造を示す分解斜視図である。
図1において、38はトリハロメタンガスをサンプル水4(図5参照)から分離させてキャリア液12に溶解させる部分である分離・溶解部、36はキャリア液12中のトリハロメタンをニコチン酸アミドと反応させる反応部であり、後述するように、出口フランジ付き反応部として構成されている。
上記分離・溶解部38は、キャリア液流路押え板29とサンプル水流路押え板27とにより挟み込むようにして、垂直となるように配置されたキャリア液流路板28、ガス溶解膜25、ガスチャンバ板23、ガス分離膜24、サンプル水流路板26が、それぞれに空けた貫通孔を介して、この順序でねじ止め固定されている。
ガス分離膜24及びガス溶解膜25は、共に例えば、孔径0.1μm以下の微細な孔を有している。
また、分離・溶解部38に近接して配置されているヒータ13は、サンプル水4及びキャリア液12をそれぞれ加熱するものであり、出口フランジ付き反応部36に近接して配置されているヒータ16は反応部36のトリハロメタンガス溶解キャリア液を加熱するものである。
【0019】
上記サンプル水4は、サンプル水入口20Aから注入し、サンプル水流路板26とガス分離膜24とで構成された流路に流入し、サンプル水出口20Bから排出されるようになっている。この際において、サンプル水4は、サンプル水流路板26のガス分離膜24側の面に形成された凹溝状のサンプル水通路26sを、ガス分離膜24と接触しながら所定流量流れている、そのため、サンプル水通路26sは、上下方向にわたって階段のような傾斜したジグザグ状(蛇行状)とすることにより、流路の長さが長くなるように形成されており、サンプル水入口20Aはサンプル水通路26sの下部に配設されているとともに、サンプル水出口20Bはサンプル水通路26sの上部に配設されている。
このようなサンプル水4中にトリハロメタンが含有されていると、ヒータ13で例えばトリハロメタンの沸点62.5℃以上に加熱されることによりガス化し、このトリハロメタンガスは、ガス分離膜24を通して、ガスチャンバ板23のトリハロメタンガス流路23sに到達するようになっている。
上記ガスチャンバ板23には、溝状のトリハロメタンガス流路23sが当該ガスチャンバ板23を貫通し、上下方向にわたって階段のような傾斜したジグザグ状(蛇行状)に形成されている。このようなガスチャンバ板23のトリハロメタンガス流路23sとサンプル水流路板26のサンプル水通路26sとは、ガス分離膜24を挟んで互いに対向するように配置されている。したがって、このトリハロメタンガス流路23sに溜まったトリハロメタンガスは、ガス溶解膜25と接触し、かつガス分離膜24とも接触しながら流動することなる。
一方、キャリア液12(図5参照)は、キャリア液入口22Aから入り、キャリア液流路板28のガス溶解膜25側の面に上下方向にわたって階段のような傾斜したジグザグ状(蛇行状)に形成された凹溝状のキャリア液流路28sをガス溶解膜25と接触しながら流れて、キャリア液出口22Bから排出されるようになっている。かかるキャリア液12の流動時に、上記トリハロメタンガスはガス溶解膜25を介してキャリア液12に溶け込むことになる。
【0020】
図2はこの第1実施形態における反応部の接続構造を示し、(A)は出口フランジ付き反応部の分解斜視図、(B)は(A)におけるA部拡大図、(C)は出口フランジ付き反応部の組立斜視図、(D)は(C)におけるB部拡大図である。
図2に示す出口フランジ付き反応部36において、トリハロメタンガス溶解キャリア液が流動する加熱及び反応用のチューブ31は、水平方向に延在しながら端部で屈曲して上下に渡る蛇行状に形成され、反応部流路板30と反応部押え板32との間に挟持されて、反応部流路板30の溝30sに連続的に埋め込み可能に構成されている。そのため、反応部流路板30は、溝付きの平板として構成されており、溝30sは、チューブ31と対応する蛇行状に形成されている。また、反応部押え板32は、溝付きの平板としての反応部流路板30の平坦面と密着可能な平坦部を有する平坦カバーとして構成されている。
チューブ31は、屈曲性を有し、かつ後述するフレア加工が容易なPTFEPFAなど四フッ化エチレン化合物を材料として用いることにより形成されている。
【0021】
上記チューブ31の上部に位置する末端部は、反応部流路板30へ向かって延び、反応部流路板30への接続部となっており、その先端部分には、外方へ広がるフレア加工が施されている。かかるチューブ31の末端部のフレア加工により、図2(B)に示すように、チューブ31の末端部はフレア形状のフランジ部31aとなるように形成されている。
一方、反応部流路板30において、チューブ31の埋め込み部の終端つまりフランジ部31aの挿通位置には孔30tが穿設され、この孔30tを通してチューブ31のフランジ部31aが分離・溶解部38側に導出可能となっている。なお、チューブ31の下部に位置する末端部は、反応部押え板32を貫通して延在している。
【0022】
このようにチューブ31の末端部のフレア加工によって当該末端部がフレア形状のフランジ部31aとなっているので、図2(C)、(D)のB部に示す通り、出口フランジ付き反応部36と分離・溶解部38のキャリア液流路押え板29とは、その入口部分が前記フランジ部31aで接することができ、出口フランジ付き反応部36と分離・溶解部38のキャリア液流路押え板29同士をねじ接続することで、キャリア液の流れを完全にシールすることができる。
かかる構成により、これら分離・溶解部38と反応部(出口フランジ付き反応部)36とが一体化され、図6及び図7に示すような、分離・溶解部38と反応部(出口フランジ付き反応部)36とを接続させるための配管や継手が不要となる。
【0023】
なお、本発明の第1実施形態における、分離・溶解部38から反応部36に至る一連のキャリア液の流れについては、キャリア液入口22Aから注入されたキャリア液は、キャリア液流路板28のキャリア液流路28sに入り、当該キャリア液流路板28でトリハロメタンガスを溶解してトリハロメタンガス溶解キャリア液となる。
そして、このトリハロメタンガス溶解キャリア液は、キャリア液流路押え板29を経由して、出口フランジ付き反応部36に入り、該反応部36の内部でヒータ16により90℃程度に加熱されて、キャリア液出口22Bから排出され、検出部10(図5参照)に送られて蛍光検出されることになる。
【0024】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係るトリハロメタン分析装置の反応部及び分離・溶解部の接続構造を示す分解斜視図である。図4は、本発明の第2実施形態における反応部の接続構造を示す分解斜視図である。
この第2実施形態においては、図4に示すように、溶着反応部35が、溶着可能な反応部押え板34と溶着可能な反応部流路板33とを互いに平坦面同士で熱溶着することによって構成されている。
そして、反応部流路板33には、分離・溶解部38からのトリハロメタンガス溶解キャリア液が流動する反応流路である蛇行形状の溝33aが形成されており、当該反応部流路板33は溝付きの平板として構成されている。
【0025】
すなわち、上記溶着反応部35は、かかる該溝33a付きの平板からなる反応部流路板33の平坦部と、上記反応部押え板34の平坦面とを溶着して、該溶着部によって溝33a内を流動するトリハロメタンガス溶解キャリア液の液体シールを行うように構成されている。
そして、反応部流路板33は、溶着性の良好なPTFEやPFAなど四フッ化エチレン化合物を材料として用いることにより形成されている。
上記熱溶着は、反応部押え板34及び反応部流路板33の素材の融点である320℃以上に加熱して行われている。かかる溶着により、溶着反応部35の入口及び出口は孔の空いた形状になっている。
【0026】
これにより、溶着反応部35と、分離・溶解部38のキャリア液流路押え板29及びキャリア液流路板28とは、お互いを孔同士で接することができ、キャリア液流路押え板29とキャリア液流路板28同士をねじ接続することで、キャリア液の流れを完全にシールすることができる。
以上により、分離・溶解部38と溶着反応部35とが一体化され、図6及び図7に示されるような両者を接続させるための配管や継手が不要となる。
【0027】
なお、本発明の第2実施形態における、分離・溶解部38から反応部35に至る一連のキャリア液の流れについては、上記第1実施形態と同様、キャリア液入口22Aから注入されたキャリア液は、キャリア液流路板28のキャリア液流路28sに入り、当該キャリア液流路板28でトリハロメタンガスを溶解してトリハロメタンガス溶解キャリア液となる。
そして、このトリハロメタンガス溶解キャリア液は、キャリア液流路押え板29を経由して溶着反応部35に入り、該溶着反応部35の内部でヒータ16により90℃程度に加熱されて、キャリア液出口22Bから排出され、検出部10(図5参照)に送られて蛍光検出されることになる。
【0028】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係るトリハロメタン分析装置の反応部及び分離・溶解部の接続構造を示す分解斜視図である。
【図2】上記第1実施形態における反応部の接続構造を示し、(A)は反応部の分解斜視図、(B)は(A)におけるA部拡大図、(C)は反応部の組立斜視図、(D)は(C)におけるB部拡大図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るトリハロメタン分析装置の反応部及び分離・溶解部の接続構造を示す分解斜視図である。
【図4】上記第2実施形態における反応部の接続構造を示す分解斜視図である。
【図5】トリハロメタン分析装置の基本構成を示す系統図である。
【図6】先行技術に係る反応部及び分離・溶解部の接続構造を示す分解斜視図である。
【図7】従来技術に係る反応部の接続構造を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
4 サンプル水
9 反応部
10 検出部
12 キャリア液
13,16 ヒータ
23 ガスチャンバ
25 ガス溶解膜
29 キャリア液流路押え板
30 反応部流路板
30s 溝
30t 孔
31 チューブ
31a フランジ部(フレア形状の末端)
32 反応部押え板(平坦カバー)
33 反応部流路板
33a 溝
34 反応部押え板
35 溶着反応部
36 出口フランジ付き反応部
38 分離・溶解部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル水からトリハロメタンガスを分離させてキャリア液に溶解させる分離・溶解部と、該分離・溶解部からのトリハロメタンガス溶解キャリア液を加熱してトリハロメタンをニコチン酸アミドと反応させる反応部とを備えたトリハロメタン分析装置において、
前記反応部は、末端がフレア形状を有し、前記トリハロメタンガス溶解キャリア液が流動するチューブと、該チューブが連続的に埋め込み可能な溝が形成されているとともに、前記チューブのフレア形状部分を外側に導出可能な孔が穿設された溝付きの平板と、該溝付きの平板の平坦面と密着可能な平坦部を有する平坦カバーとを備えたことを特徴とするトリハロメタン分析装置の反応部構造。
【請求項2】
前記チューブは、四フッ化エチレン化合物を材料として形成されていることを特徴とする請求項1に記載のトリハロメタン分析装置の反応部構造。
【請求項3】
サンプル水からトリハロメタンガスを分離させてキャリア液に溶解させる分離・溶解部と、該分離・溶解部からのトリハロメタンガス溶解キャリア液を加熱してトリハロメタンをニコチン酸アミドと反応させる反応部とを備えたトリハロメタン分析装置において、
前記反応部は、前記トリハロメタンガス溶解キャリア液が流動する溝が形成された溝付きの平板と、該溝付きの平板の平坦部と溶着可能な平坦面を有する平板とを溶着し、該溶着部によって前記溝内を流動する前記トリハロメタンガス溶解キャリア液の液体シールを行うように構成されたことを特徴とするトリハロメタン分析装置の反応部構造。
【請求項4】
前記溝付きの平板は、四フッ化エチレン化合物を材料として形成されていることを特徴とする請求項3に記載のトリハロメタン分析装置の反応部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−145164(P2008−145164A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330314(P2006−330314)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(507291316)富士電機水環境システムズ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】