説明

トリプタン化合物を含む製剤

本発明は、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む鼻内投与用医薬組成物であって、前記組成物を投与したときのTmax値が30分間未満である医薬組成物を提供する。他の態様及び実施形態も考えられ、記載される。また、本発明は、トリプタンと、薬学的に許容し得るビヒクルと、粘膜透過促進剤とを含む鼻内投与用医薬組成物であって、前記組成物を投与したときのTmax値が前記トリプタンを皮下投与したときのTmaxと実質的に等しい医薬組成物を提供する。他の態様及び実施形態も考えられ、記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマトリプタンの塩又はその薬学的に許容し得る溶媒和物と、粘膜透過促進剤とを含む医薬組成物;頭部疼痛に関連する症状を治療するための前記医薬組成物の使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
偏頭痛に対する現在の治療法としては、化学的にトリプタミン系の薬剤である、トリプタンと総称されるセロトニン5HT1B/1D受容体アゴニストの投与が挙げられる。スマトリプタンは、これらの化合物の中で最初に開発された化合物であり、麦角菌由来の化合物よりも有効性及び忍容性が改善されている。スマトリプタンの開発後、ゾルミトリプタン、ナラトリプタン、及びリザトリプタンを含む多くの第2世代トリプタンが直ぐに開発された。偏頭痛患者(1ヶ月間に2回超偏頭痛に悩まされるヒト)に対する最近の調査では、スマトリプタンの鼻噴霧(IMITREX(登録商標))よりも、(経口投与された)より親油性の高い他のトリプタンの製剤の方が更に好ましいことが示唆されている。これら別のトリプタンは、様々な5HT1B/1D受容体に対して僅かに異なる結合親和性を有するが、これら製剤が成功した1つの主な要因は作用の速度であると考えられる。
【0003】
スマトリプタンは、偏頭痛の治療に有用な選択的5−ヒドロキシトリプタミンID(5−HT1D)受容体アゴニストである。スマトリプタンの化学名は、1−[3−(2−ジメチルアミノエチル)−1H−インドール−5−イル]−N−メチル−メタンスルホンアミドであり、これは、以下の構造(I)を有する。大まかにいえば、全てのトリプタンが偏頭痛の治療に有用な選択的5HT受容体アゴニストである。
【化1】

【0004】
特許文献1は、3−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチル−1H−メタンスルホンアミド硫酸塩(2:1)及びその薬学的に許容し得る溶媒和物、並びに前記化合物を含有する医薬組成物について記載している。前記化合物は、頭部疼痛、特に偏頭痛に関連する症状の治療に有用である。前記医薬組成物は、鼻内製剤として特に有用である。
【0005】
特許文献2は、3−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチル−1H−インドール−5−メタンスルホンアミド硫酸塩(2:1)及びその薬学的に許容し得る溶媒和物について開示している。前記化合物は、頭部疼痛、特に偏頭痛に関連する症状の治療で用いるための医薬組成物の調製において用いられ、水溶液のpH範囲は、5〜7である。
【0006】
特許文献3は、アルキルグリコシド含有組成物と、ペプチド、ポリペプチド、又はその変異体、例えばインスリン、ペプチドT、又はこれらの類似体の安定性を高め、凝集及び免疫原性を低下させ、生物活性を高め、原線維形成を低減するか又は防ぐ方法とについて開示している。
【0007】
特許文献4は、界面活性剤と、少なくとも1つのアルキルグリコシド及び/又は糖アルキルエステルと、薬剤とを含む組成物について開示している。薬剤と混合されたとき、前記界面活性剤組成物は、無毒且つ非刺激性であると同時に前記薬剤を安定化させ、生物学的利用能を高める。また、この発明は、患者の口、眼、鼻、鼻涙管、吸入、肺、口腔(舌下又は頬側)、又はCSF送達経路を介する薬剤の吸収を高める組成物を提供している。この薬剤としては、グルカゴン及びエキセンディン−4が挙げられる。
【0008】
スマトリプタン又はスマトリプタンの塩を含有する医薬調製品が、特許文献1、2、及び5〜23に記載されている。
【0009】
特許文献24は、3−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチル−1H−インドール−5−メタンスルホンアミド(スマトリプタン)の生理学的に許容し得る塩であって、コハク酸塩、ヘミコハク酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、及び塩酸塩である塩について記載している。
【0010】
特許文献25は、生体膜を通過するコハク酸スマトリプタンの吸収を高めるためのコハク酸スマトリプタン及びカプリン酸ナトリウムを含む医薬組成物について開示している。また、この発明は、前記医薬組成物を製造する方法及び前記医薬組成物の使用を目的とする。
【0011】
商業的には、IMITREX(登録商標)という商品名のスマトリプタン鼻用製品が販売されており、これは、一塩基性リン酸カリウムNF、無水二塩基性リン酸ナトリウムUSP、硫酸NF、水酸化ナトリウムNF、及び純水USPを含有する単位用量100μLの緩衝溶液中に5mg、10mg、又は20mgのスマトリプタンを含有する鼻用スプレーとして供給されている。前記溶液のpHは、約5.5である。前記溶液の重量オスモル濃度は、5mg及び20mgの鼻用スプレーについて372m−Osmol又は742m−Osmolである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5705520号明細書
【特許文献2】米国特許第5554639号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0298010号明細書
【特許文献4】国際公開第2006/025882号パンフレット
【特許文献5】米国特許第4816470号明細書
【特許文献6】米国特許第4994483号明細書
【特許文献7】米国特許第5037845号明細書
【特許文献8】米国特許第5270333号明細書
【特許文献9】米国特許第5288498号明細書
【特許文献10】米国特許第5307953号明細書
【特許文献11】米国特許第5393773号明細書
【特許文献12】米国特許第5447729号明細書
【特許文献13】米国特許第5863559号明細書
【特許文献14】米国特許第6020001号明細書
【特許文献15】米国特許第6255502号明細書
【特許文献16】米国特許第6294192号明細書
【特許文献17】米国特許第6368627号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2003/0013753号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2003/0185761号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2003/0190286号明細書
【特許文献21】国際公開第98/02186号パンフレット
【特許文献22】国際公開第01/39836号パンフレット
【特許文献23】独国特許第4314976号明細書
【特許文献24】英国特許第2162522号明細書
【特許文献25】米国特許出願公開第2006/002989号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
現在販売されているトリプタン製剤が作用を発現するまでの時間は、約30分間以内である。したがって、投与後、既存の製剤よりも速やかに作用を発現して、偏頭痛の疼痛をより速やかに軽減する製剤を開発することが非常に望ましい。
【0014】
作用の速度又は発現が速く、既存のトリプタン製剤よりも透過性が改善され、且つ偏頭痛発作の治療において未だ満たされてない要件を満たしている別のトリプタン製剤を開発する必要があると長い間考えられている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、粘膜透過促進剤と、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物であって、前記組成物を投与したときのTmax値が30分間未満である医薬組成物を提供する。
【0016】
本発明は、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物であって、前記組成物を投与したときのTmax値が30分間未満である医薬組成物を提供する。
【0017】
好ましくは、本発明の態様は、特に、スマトリプタンのコハク酸又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0018】
別の態様では、本発明は、頭部疼痛に罹患しているか又は頭部疼痛に罹患しやすいヒトを治療する方法であって、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含み、前記組成物を投与したときのTmax値が30分間未満である組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0019】
本発明の別の態様は、トリプタンと、薬学的に許容し得るビヒクルと、粘膜透過促進剤とを含む鼻内投与用医薬組成物であって、前記組成物を投与したときのTmax値が前記トリプタンを皮下投与したときのTmax値と実質的に等しい医薬組成物を提供する。
【0020】
本発明の別の態様は、それを必要としている被験体におけるトリプタン化合物による治療に適した疾患又は症状を治療又は緩和する方法であって、トリプタンと、薬学的に許容し得るビヒクルと、粘膜透過促進剤とを含み、且つ投与したときのTmax値が前記トリプタンを皮下投与したときのTmax値と実質的に等しい医薬組成物を前記被験体に鼻内投与することを含む方法を提供する。
【0021】
本発明の別の態様は、それを必要としている被験体におけるトリプタン化合物による治療に適した疾患又は症状を治療又は緩和する方法であって、トリプタンと、薬学的に許容し得るビヒクルと、粘膜透過促進剤とを含み、且つ投与したときにi)時間TmaxにおけるCmax、ii)時間Tmax2におけるCmax2、iii)時間TminにおけるCmin、及びiv)Cmax2のAUCTmin−infに対する比を提供し、前記Tminが前記Tmaxよりも後且つ前記Tmax2よりも前であり、前記Cmax及び前記Tmaxが皮下投与に特徴的であり、前記AUCTmin−infが前記粘膜透過促進剤を用いない鼻内投与に特徴的である医薬組成物を前記被験体に鼻内投与することを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、Imitrex(登録商標)鼻用スプレーレファレンス及び本明細書に記載されるスマトリプタン医薬組成物のリン酸塩について示される、様々な時点における全ての患者の平均血漿濃度の比較を示す。
【図2】図2は、Imitrex(登録商標)鼻用スプレーレファレンス及び本明細書に記載されるスマトリプタン医薬組成物のクエン酸塩について示される、様々な時点における全ての患者の平均血漿濃度の比較を示す。
【図3】図3は、Imitrex(登録商標)鼻用スプレーレファレンス及び本明細書に記載されるスマトリプタン医薬組成物の硫酸塩について示される、様々な時点における全ての患者の平均血漿濃度の比較を示す。
【図4】図4は、それぞれ0.1%、0.15%、及び2.0%の濃度の透過促進剤(PE)を含む医薬製剤を鼻内投与したときの、Imitrex(登録商標)鼻用スプレーレファレンス及びスマトリプタンの硫酸塩(スルフェート)について示される、様々な時点における全ての患者の平均血漿濃度の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
定義:
「スマトリプタンの塩」は、スマトリプタンの硫酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、ギ酸塩、及び酢酸塩のうちのいずれかが挙げられるが、これらに限定されない塩を含むことを意図する。
【0024】
スマトリプタンの塩の他の例は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、メシル酸塩、安息香酸塩、及びコハク酸塩であるが、これらに限定されない。
【0025】
また、「スマトリプタンの塩」は、対応する酸を添加することによって組成物の調製中にその場で又は外部で形成される、上に定義されるスマトリプタンの塩を含むことを意図する。
【0026】
「クエン酸の塩又は誘導体」は、無水クエン酸、クエン酸一水和物、クエン酸三ナトリウム二水和物、クエン酸一ナトリウム、及びクエン酸溶液を含有する群から選択することができるクエン酸源を示す。
【0027】
「市販製剤」とは、「グラクソスミスクライン社によって製造されているImitrex(登録商標)(スマトリプタン)鼻用スプレー(100μL当たり20mg)」を意味する。「生理学的に許容し得る溶媒和物」は、「その水和物」も含む。
【0028】
「十分な量」は、活性成分を溶解させるのに必要な溶媒の最小量として定義することができる。
【0029】
「トリプタン」は、スマトリプタンリザトリプタンナラトリプタンゾルミトリプタンエレトリプタンアルモトリプタンフロバトリプタン、及び/又はこれらの薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、プロドラッグ、若しくは混合物が挙げられる。
【0030】
「曲線下面積」又は「AUC」は、血漿中薬物濃度曲線下を測定したときの面積である。AUCは、血漿中薬物濃度曲線が積分される時間間隔、例えばAUCstart−finishによって特定されることが多い。したがって、AUC0−24は、0時間〜24時間の期間について血漿中濃度曲線を積分することによって得られるAUCを指し、ここでゼロは、慣習的に、患者に薬物又はその剤形を投与した時間を表す。
【0031】
AUC0−2は、0時間〜2時間の期間について血漿中濃度曲線を積分することによって得られるAUCを指し、ここでゼロは、慣習的に、患者に薬物又はその剤形を投与した時間を表す。AUC0−6は、0時間〜6時間の期間について血漿中濃度曲線を積分することによって得られるAUCを指し、ここでゼロは、便宜的に、患者に薬物又はその剤形を投与した時間を表す。AUCは、台形法によって計算される、「0」時間から時間「t」における最後の検出可能濃度までの血漿濃度曲線下面積を指す。AUCinfは、AUCの合計として計算される無限大まで外挿されるAUC値、及び時間tにおける濃度(Ct)をKelで除することによって計算される無限大まで外挿される面積を指す(ある被験体についてt1/2値が推定できなかった場合、その治療の平均t1/2値を用いてAUCinfを計算した)。「平均、単回用量、血漿中濃度時間曲線下面積AUCinf」は、何人かの患者に対して得られる平均AUCinfを意味するか、又は各患者に剤形を単回投与した後に薬物濃度を投与前濃度まで低下させるために投薬間に十分な休薬期間を設けながら様々な時点で同一患者に複数回投与することによって得られる平均AUCinfを意味する。「部分的AUC」は、血漿中薬物濃度が積分される時間間隔で特定される曲線下面積を意味し、例えば、AUC0−Tmaxである。
【0032】
「C」は、一般的に単位体積当たりの質量、典型的にはナノグラム(ng)/ミリリットルとして表される、被験体の血漿又は血清中の薬物濃度を意味する。便宜上、この濃度は、本明細書において「薬物血漿中濃度」、「血漿中薬物濃度」、又は「血漿中濃度」と称する場合もある。例えば、C9h又はC24h等のように、薬物投与後の任意の時間における血漿薬物濃度をCtimeと称する。内挿することなしに実験データから直接得られる、剤形の投与後に得られる最高血漿中濃度をCmaxと称する。対象期間中に得られる平均血漿中濃度をCavg又はCmeanと称する。「平均、単回用量、最大血漿中濃度Cmax」は、何人かの患者に対して得られる平均Cmaxを意味するか、又は各患者に剤形を単回投与した後に薬物濃度を投与前濃度まで低下させるために投薬間に十分な休薬期間を設けながら同一患者に複数回投与することによって得られる平均Cmaxを意味する。
【0033】
max2は、Cmaxよりも後の投与後経過時間で生じる被験体の血漿又は血清中の薬物濃度の第2の極大を意味し、一般的に単位体積当たりの質量、典型的にはナノグラム(ng)/ミリリットルとして表される。
【0034】
「Cmin」は、CmaxとCmax2との間で生じる被験体の血漿又は血清中の最低薬物濃度を意味し、一般的に単位体積当たりの質量、典型的にはナノグラム(ng)/ミリリットルとして表される。
【0035】
「Tmin」は、薬物濃度がCminの値を有するときの薬物投与後経過時間である。
【0036】
AUCTmin−infは、「Tmin」から無限大までの血漿中濃度曲線下面積を指す。本明細書では、AUCinfは、AUCTmin−tの合計として計算される無限大まで外挿されるAUC値、及び時間tにおける濃度(Ct)をKelで除することによって計算される無限大まで外挿される面積を指す。
【0037】
「平均、単回用量、最高血漿中濃度Tmaxまでの時間」は、何人かの患者に対して薬物を含む剤形を患者に投与してからその薬物についてのCmaxが得られる時間までに経過する平均時間であるか、又は各患者に剤形を単回投与した後に薬物濃度を投与前濃度まで低下させるために投薬間に十分な休薬期間を設けながら同一患者に複数回投与した時間までに経過する平均時間であり、内挿することなしに実験データから直接得られる。
【0038】
「血漿中薬物濃度曲線」又は「薬物血漿中濃度曲線」又は「血漿中濃度曲線」又は「血漿プロファイル」又は「血漿中濃度プロファイル」は、時間に対して血漿中薬物濃度、又は薬物血漿中濃度、又は血漿中濃度をプロットすることによって得られる曲線を指す。通常、時間尺度(慣習的にはX軸)におけるゼロ点が、患者に対して薬物又は薬物を含む剤形を投与する時間であるのが慣習である。
【0039】
固有の薬理学的活性を有さず、且つ不活性成分として用いられる物質を記載するために用語「薬学的に許容し得る賦形剤」を用いる。
【0040】
「粘膜透過促進剤」とは、粘膜を介した薬物の透過を補助する任意の透過促進剤を意味する。粘膜透過促進剤としては、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
用語「皮下投与と実質的に等しい」とは、血中濃度曲線の形状及び時間プロファイルが薬物の皮下投与の特徴を有すると薬理学及び/又は薬物動態学の分野における当業者によって認識されることを意味する。
【0042】
用語「約」は、それが修飾する値の−10%からそれが修飾する値の+10%まで変動する値の範囲を意味する。但し、かかるクレーム構成は、より広い等価値の適用を除外するものではない。
【0043】
用語「アルキルグリコシド又は糖アルキルエステル」としては、ドデシルマルトシド(1−O−n−ドデシル−β−D−マルトピラノシド)、トリデシルマルトシド、スクロースモノドデカノエート、スクロースモノトリデカノエート、及びスクロースモノテトラデカノエートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
一般的に、本発明において有用なアルキルグリコシド又は糖アルキルエステルとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アルキルグリコシド、例えば、オクチル−、ノニル−、デシル−、ウンデシル−、ドデシル−、トリデシル−、テトラデシル−、ペンタデシル−、ヘキサデシル−、ヘプタデシル−、及びオクタデシル−[α]−又は[β]−D−マルトシド、−グルコシド、又は−スクロシド(Koeltzow and Urfer;Anatrace Inc.,Maumee,Ohio;Calbiochem,San Diego,Calif.;Fluka Chemie,Switzerlandに従って合成);アルキルチオマルトシド、例えば、ヘプチル−、オクチル−、ドデシル−、トリデシル−、及びテトラデシル−[β]−D−チオマルトシド(Defaye,J.and Pederson,C,“Hydrogen Fluoride,Solvent and Reagent for Carbohydrate Conversion Technology”Carbohydrates as Organic Raw Materials,247−265(F.W.Lichtenthaler,ed.)VCH Publishers,New York(1991);Ferenci,T.,J.Bacteriol,144:7−11(1980))等;アルキルチオグリコシド、例えばヘプチル−又はオクチル1−チオ[α]−又は[β]−D−グルコピラノシド(Anatrace,Inc.,Maumee,Ohio;Saito,S.and Tsuchiya,T.Chem.Pharm.Bull.33:503−508(1985)を参照されたい);アルキルチオスクロース(例えば、Binder,T.P.and Robyt,J.F.,Carbohydr.Res.140:9−20(1985)に従って合成);アルキルマルトトリオシド(Koeltzow及びUrferに従って合成);スクロース[β]−アミノ−アルキルエーテルの長鎖脂肪族カルボン酸アミド;(オーストラリア特許第382,381号明細書(1987年)に従って合成);アミノ結合によってアルキル鎖に結合されたパラチノース及びイソマルトアミンの誘導体(Kunz,M.,“Sucrose−based Hydrophilic Building Blocks as Intermediates for the Synthesis of Surfactants and Polymers”Carbohydrates as Organic Raw Materials,127−153に従って合成);尿素によってアルキル鎖に結合されたイソマルトアミンの誘導体(Kunzに従って合成);スクロース[β]−アミノ−アルキルエーテルの長鎖脂肪族カルボン酸ウレイド(Gruber and Greber,pp.95−116に従って合成);及びスクロース[β]−アミノ−アルキルエーテルの長鎖脂肪族カルボン酸アミド(オーストラリア特許第382,381号明細書(1987年)、Chemical Abstracts,108:1 14719(1988)及びGruber and Greber,pp.95−116)。アルキルグリコシド及び/又はスクロースエステル型の界面活性剤は、計算することができるか又は経験的に求めることができる特徴的な親水性−親油性バランス(HLB)数を有する(M.J.Schick,Nonionic Surfactants,Marcel Dekker,Inc.,New York,p.607,1967)。好適な透過促進剤の例は、米国特許出願公開第2006/0046962号明細書、米国特許出願公開第2006/0045869号明細書、米国特許出願公開第2006/0045868号明細書、米国特許出願公開第2009/0163447号明細書、米国特許出願公開第2009/0047347号明細書、米国特許出願公開第2008/0299079号明細書、米国特許出願公開第2008/0200418号明細書、米国特許出願公開第2006/0046969号明細書にも開示されており、これらは参照することにより全体を本願に援用され、規定される目的のためのものである。
【0045】
薬物の吸収及び透過は、薬物が生体膜を通過して細胞、組織、又は器官に取り込まれることを含む。吸収/透過は、薬物がその投与部位を離れる速度及び程度ともいわれる。医薬組成物における分子の物理化学的性質、及び膜の物理化学的性質は、膜を通過する薬物の吸収に影響を与える。
【0046】
生体膜は、体内の器官及び構造を保護又は分割するために柔軟な表面被膜を提供する膜が挙げられるがこれに限定されない組織のシートである。本明細書で使用するとき、生体膜は、上皮膜である。上皮膜としては、皮膚の外層の外皮又は被膜、並びに例えば、消化系、呼吸系、生殖系、及び泌尿系等の幾つかの内部器官が挙げられるが、これらに限定されない。上皮膜としては、体腔の被膜が挙げられる。
【0047】
上皮膜としては、口腔、頬側、舌下、歯肉、口蓋、鼻腔、鼻咽頭、咽頭、結膜、経皮、膣、及び胃腸の膜が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の1つの実施形態では、上皮膜は、鼻腔膜である。
【0048】
吸収/透過促進剤は、生体膜を通過する薬物の吸収及び透過を増加させる剤である。本発明の医薬組成物において用いるための吸収/透過促進剤としては、アルキルグリコシドが挙げられるが、アルキルグリコシドのみに限定される訳ではなく、また、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせ等の物質であってもよい。
【0049】
用語「経粘膜」は、粘膜を介した送達系を指し、前記粘膜は、口腔、頬側、舌下、歯肉、口蓋、鼻腔、鼻咽頭、咽頭、結膜、膣、及び胃腸の膜であってもよい。
【0050】
治療上有効な量の活性成分は、懸濁液、エマルション、溶液、エアロゾル、粉末等の形態の医薬組成物の形態で提供することができる。かかる製剤は全て、限定することなく本発明に含まれる。
【0051】
本発明は、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、粘膜透過促進剤と、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物であって、前記組成物を投与したときのTmax値が30分間未満である医薬組成物を提供する。
【0052】
本発明は、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物であって、前記組成物を投与したときのTmax値が30分間未満である医薬組成物を提供する。
【0053】
好ましくは、上記態様によれば、本発明は、スマトリプタンの硫酸塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0054】
好ましくは、上記態様によれば、本発明は、スマトリプタンのクエン酸塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0055】
好ましくは、上記態様によれば、本発明は、スマトリプタンのリン酸塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0056】
好ましくは、上記態様によれば、本発明は、スマトリプタンのマレイン酸塩、スマトリプタンのギ酸塩、スマトリプタンの酢酸塩、又はこれらの生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0057】
上記態様によれば、本発明は、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物であって、pHが約4〜約8の範囲になるように調整されている医薬組成物を提供する。
【0058】
上記態様によれば、本発明は、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物であって、pHが約4.5〜約7.5の範囲になるように調整されている医薬組成物を提供する。
【0059】
上記態様によれば、本発明は、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物であって、pHが約7.1〜約9の範囲になるように調整されている医薬組成物を提供する。
【0060】
上記態様では、Cmax値は、約14ng/mL〜約214ng/mLである。
【0061】
好ましくは、上記態様によれば、本発明は、特に、スマトリプタンのクエン酸塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物であって、pHが約4〜約8の範囲になるように調整されている医薬組成物を提供する。
【0062】
好ましくは、上記態様によれば、本発明は、スマトリプタンのクエン酸塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物であって、pHが約4.5〜約6.5の範囲になるように調整されている医薬組成物を提供する。
【0063】
好ましくは、上記態様によれば、本発明は、特に、スマトリプタンのリン酸塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物であって、pHが約4.5〜約8の範囲になるように調整されている医薬組成物を提供する。
【0064】
好ましくは、上記態様によれば、本発明は、特に、スマトリプタンの硫酸塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物であって、pHが約4.5〜約8の範囲になるように調整されている医薬組成物を提供する。
【0065】
上記組成物のpHは、約5〜約6の範囲に調整されることが好ましい。
【0066】
上記態様では、前記粘膜透過促進剤は、約0.02%〜約3.0%の濃度で存在する。
【0067】
上記態様では、前記粘膜透過促進剤は、約0.05%〜約2.5%の濃度で存在することが好ましい。
【0068】
上記態様では、前記粘膜透過促進剤は、約0.1%〜約2.0%の濃度で存在することが好ましい。
【0069】
本発明の態様は、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、ドデシルマルトシドと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0070】
上記態様では、前記組成物を投与したときのTmax値は、30分間未満である。
【0071】
上記態様では、前記組成物を投与したときのTmax値は、15分間以下である。
【0072】
本発明の態様は、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む経粘膜製剤を提供する。
【0073】
上記態様では、前記組成物を投与したときのTmax値は、30分間未満である。
【0074】
上記態様では、前記組成物を投与したときのTmax値は、15分間以下である。
【0075】
本発明の態様は、鼻経路によって送達するための、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0076】
上記態様では、前記組成物を投与したときのTmax値は、30分間未満である。
【0077】
上記態様では、前記組成物を投与したときのTmax値は、15分間以下である。
【0078】
本発明の態様は、皮下経路によって送達するための、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0079】
上記態様では、前記組成物を投与したときのTmax値は、30分間未満である。
【0080】
上記態様では、前記組成物を投与したときのTmax値は、15分間以下である。
【0081】
上記態様では、好ましくは、スマトリプタンの硫酸塩、クエン酸塩、若しくはリン酸塩、又はこれらの生理学的に許容し得る溶媒和物であるスマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む組成物を提供し、前記組成物は、鼻に投与したときに以下の薬物動態パラメータの1つ以上のパラメータを示す:
・Tmax値が約15分間以下である、
・市販製剤と比較してTmax値が少なくとも3倍低下する、
・市販製剤と比較してCmax値が少なくとも3倍上昇する、
・市販製剤と比較してAUC0−Tmax値が少なくとも1倍低下する、
・硫酸塩を含む類似の組成物と比較してAUC0−Tmax値が少なくとも1倍上昇する、
・市販製剤と比較してAUC0−inf値が少なくとも1倍上昇する、及び
・CmaxのAUC0−infに対する比が少なくとも約0.3である。
【0082】
1つの態様では、前記組成物は、スマトリプタンのクエン酸塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含み、前記組成物を鼻に投与したときのTmax値は、約15分間以下である。
【0083】
本発明の別の態様は、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、少なくとも約0.1%のアルキルグリコシドとを含む製剤を鼻に投与することによる、偏頭痛発作を治療する方法を提供する。
【0084】
上記態様では、アルキルグリコシドは、ドデシルマルトシド、トリデシルマルトシド、テトラデシルマルトシド、オクタデシルα又はβマルトシドから選択される。
【0085】
スマトリプタンの塩は、クエン酸塩が好ましい。
【0086】
スマトリプタンの塩は、リン酸塩が好ましい。
【0087】
スマトリプタンの塩は、硫酸塩が好ましい。
【0088】
別の態様では、本発明は、頭部疼痛に罹患しているか又は頭部疼痛に罹患しやすいヒトを治療する方法であって、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0089】
上記態様では、前記組成物を投与したときのTmax値は、30分間未満である。
【0090】
上記態様では、前記組成物を投与したときのTmax値は、15分間以下である。
【0091】
上記方法では、前記組成物は、pHが約4〜約8、好ましくは約4.5〜約7.5になるように調整された。
【0092】
本発明の更に別の態様は、頭部疼痛に罹患しているか又は頭部疼痛に罹患しやすいヒトを治療する方法であって、スマトリプタンのクエン酸塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0093】
上記態様では、前記組成物を投与したときのTmax値は、30分間未満である。
【0094】
上記態様では、前記組成物を投与したときのTmax値は、15分間以下である。
【0095】
上記方法では、前記組成物は、pHが約4〜約8、好ましくは約4.5〜約6.5、更に好ましくは約5〜約6になるように調整される。
【0096】
1つの態様では、本発明は、スマトリプタンの塩又はその薬学的に許容し得る溶媒和物を含む経粘膜製剤を提供する。1つの実施形態では、本発明は、スマトリプタン又はその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、水和物、多形、プロドラッグ、若しくは混合物と、アルキルグリコシドとを含むスマトリプタン医薬組成物を提供する。また、1つの実施形態は、哺乳類における頭部疼痛、特に偏頭痛に関連する症状を治療するためのかかる製剤の調製プロセス及び使用方法を含む。
【0097】
本発明の態様は、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、粘膜透過促進剤とを含む経粘膜送達系を提供する。
【0098】
本発明の態様は、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、粘膜透過促進剤とを含む鼻内送達系を提供する。鼻内用組成物は、液体形態で提供されても乾燥粉末形態で提供されてもよい。前記液体形態は、従来の手段によって、例えば、点鼻器、ピペット、若しくは噴霧器を用いて、又は加圧定量噴霧式吸入器(pMDI)を用いて溶液として、又は乾燥粉末吸入器(DPI)を用いて乾燥粉末として鼻腔に直接適用される溶液であってもよい。或いは、製剤は、呼吸作動式吸入器(BDI)によって投与されてもよい。前記乾燥粉末形態は、微粒子化形態の薬物を有する噴霧乾燥組成物又は凍結乾燥組成物であってもよく、或いは、マイクロ粒子又はナノ粒子の形態であってもよい。
【0099】
本発明の更なる態様は、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、粘膜透過促進剤とを含む鼻内送達系を提供する。
【0100】
本発明の更なる態様は、スマトリプタンの塩を含む組成物であって、経口、眼内、鼻涙管、吸入、肺内、舌下、頬側、又はCSFの送達経路を介して被験体の循環系に投与するために製剤化される組成物を提供する。
【0101】
本発明の態様は、加圧定量噴霧式吸入器(pMDI)又は呼吸作動式吸入器(BDI)を用いて投与される噴射剤溶液としての、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、粘膜透過促進剤とを含むエアロゾル製剤を提供する。
【0102】
本発明では、本発明者らは、驚くべきことに、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物を含む医薬組成物において粘膜透過促進剤を使用すると、粘膜を通過する透過を増加して薬物の吸収が高まり、且つ作用の発生と滞留時間とを同時に改善する改善された薬物動態プロファイルを提供し、これによってより多くの量の薬物を吸収部位に曝露させることができるので、吸収を高め且つ生物学的利用能を改善できることを見出した。
【0103】
更なる態様では、本発明は、群発性頭痛、慢性発作性片頭痛、血管障害に関連する頭痛、物質又はその禁断症状(例えば、薬物の禁断症状)に関連する頭痛、緊張性頭痛、特に偏頭痛等の頭部疼痛に関連する症状の治療において用いるための薬剤の調製におけるスマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物の使用を提供する。
【0104】
別の実施形態では、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルとを含む鼻内投与に適している医薬組成物は、水溶液の形態である。
【0105】
別の実施形態では、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルとを含む鼻内投与に適している医薬組成物は、粉末の形態である。
【0106】
上記実施形態では、前記塩は、硫酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、又はコハク酸塩から選択される。
【0107】
上記実施形態では、塩は、クエン酸塩が好ましい。
【0108】
上記実施形態では、塩は、リン酸塩が好ましい。
【0109】
上記実施形態では、塩は、硫酸塩が好ましい。
【0110】
本発明の別の態様は、トリプタンと、薬学的に許容し得るビヒクルと、粘膜透過促進剤とを含む鼻内投与用医薬組成物であって、前記組成物を投与したときのTmax値が前記トリプタンを皮下投与したときのTmax値と実質的に等しい医薬組成物を提供する。
【0111】
本発明の上記態様の1つの実施形態では、粘膜透過促進剤は、シクロデキストリンではない。
【0112】
上記態様では、前記粘膜透過促進剤は、約0.02%〜約3.0%の濃度で存在する。
【0113】
上記態様では、前記粘膜透過促進剤は、約0.05%〜約2.5%の濃度で存在することが好ましい。
【0114】
上記態様では、前記粘膜透過促進剤は、約0.1%〜約2.0%の濃度で存在することが好ましい。
【0115】
上記態様では、前記Tmax値は、約4分間〜約15分間である。
【0116】
特に、二相血液/濃度曲線を提供する鼻内投与用製剤及び関連する投与方法が考えられる。
【0117】
上記態様によれば、前記組成物は、時間Tmax2でCmax2を提供し、前記Tmax2は、前記Tmaxよりも後である。
【0118】
上記態様では、前記組成物は、時間TminでCminを提供し、前記Tminは、前記Tmaxよりも後であり且つ前記Tmax2よりも前である。
【0119】
上記態様では、前記Tmaxは、約4分間〜約15分間である。
【0120】
上記態様によれば、前記粘膜透過促進剤は、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルである。
【0121】
上記態様では、前記アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルは、(1−O−n−ドデシル−β−D−マルトピラノシド)、トリデシルマルトシド、スクロースモノドデカノエート、スクロースモノトリデカノエート、及びスクロースモノテトラデカノエートから選択される。
【0122】
好適な透過促進剤の例は、米国特許出願公開第20060046962号明細書、米国特許出願公開第20060045869号明細書、米国特許出願公開第20060045868号明細書、米国特許出願公開第20090163447号明細書、米国特許出願公開第20090047347号明細書、米国特許出願公開第20080299079号明細書、米国特許出願公開第20080200418号明細書、米国特許出願公開第20060046969号明細書に開示されており、これらは参照することにより全体が本願に援用され、所定の目的のためのものである。
【0123】
上記態様では、前記トリプタン化合物は、スマトリプタン、その薬学的に許容し得る塩、又はその薬学的に許容し得る溶媒和物である。
【0124】
上記態様では、前記医薬組成物は、i)時間TmaxにおけるCmax、ii)時間Tmax2におけるCmax2、iii)時間TminにおけるCmin、及びiv)Cmax2のAUCTmin−infに対する比を提供し、前記Tminは、前記Tmaxよりも後且つ前記Tmax2よりも前であり、前記Cmax及び前記Tmaxは、皮下投与に特徴的であり、前記AUCTmin−infは、前記粘膜透過促進剤を用いない鼻内投与に特徴的である。
【0125】
上記態様では、Tmaxは、約4分間〜約15分間である。
【0126】
上記態様では、Tmax2は、約30分間〜約120分間である。
【0127】
上記態様では、Cmaxは、約14ng/mL〜約214ng/mLである。
【0128】
上記態様では、Cmax2は、約9ng/mL〜約80ng/mLである。
【0129】
上記態様では、前記薬学的に許容し得るビヒクルは、液体である。
【0130】
上記態様では、前記薬学的に許容し得るビヒクルは、乾燥粉末、又は乾燥粉末と液体との混合物である。好適な噴射剤の例は、例えば、米国特許第7718162号明細書及び米国特許第7459146号明細書に記載されており、これらは参照することにより全体が本願に援用され、所定の目的のためのものである。本明細書に記載される組成物の鼻内投与には任意の好適な装置を使用することができる。好適な送達装置を選択するための方法は、例えば、米国特許第7659725号明細書に記載されており、これは参照することにより全体が本願に援用され、所定の目的のためのものである。
【0131】
また、薬学的に許容し得るビヒクルは、液体であっても加圧液体であってもよい。本発明の医薬組成物を送達するために、鼻内投与用の当該技術分野において公知の任意の装置を用いることができる。好適な装置の例は、米国特許第7497214号明細書に記載されており、これは参照することにより全体が本願に援用され、所定の目的のためのものである。
【0132】
本発明の更に別の態様は、それを必要としている被験体におけるトリプタン化合物による治療に適した疾患又は症状を治療又は緩和する方法であって、トリプタンと、薬学的に許容し得るビヒクルと、粘膜透過促進剤とを含む医薬組成物を前記被験体に鼻内投与することを含み、前記組成物を投与したときのTmaxが前記トリプタンを皮下投与したときのTmaxと実質的に等しい方法を提供する。
【0133】
上記態様では、前記Tmax値は、約4分間〜約15分間である。
【0134】
上記態様では、前記組成物は、時間Tmax2でCmax2を提供し、前記Tmax2は、前記Tmaxよりも後である。
【0135】
上記態様では、前記組成物は、時間TminでCminを提供し、前記Tminは、前記Tmaxよりも後であり且つ前記Tmax2よりも前である。
【0136】
上記態様では、前記粘膜透過促進剤は、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルである。
【0137】
上記態様では、前記アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルは、(1−O−n−ドデシル−β−D−マルトピラノシド)、トリデシルマルトシド、スクロースモノドデカノエート、スクロースモノトリデカノエート、及びスクロースモノテトラデカノエートから選択される。
【0138】
別の実施形態は、それを必要としている被験体におけるトリプタン化合物による治療に適した疾患又は症状を治療又は緩和する方法であって、トリプタンと、薬学的に許容し得るビヒクルと、粘膜透過促進剤とを含み、且つ投与したときにi)時間TmaxにおけるCmax、ii)時間Tmax2におけるCmax2、iii)時間TminにおけるCmin、及びiv)Cmax2のAUCTmin−infに対する比を提供し、前記Tminが前記Tmaxよりも後且つ前記Tmax2よりも前であり、前記Cmax及び前記Tmaxが皮下投与に特徴的であり、前記AUCTmin−infが前記粘膜透過促進剤を用いない鼻内投与に特徴的である医薬組成物を前記被験体に鼻内投与することを含む方法を提供する。
【0139】
上記態様では、前記Tmax値は、約4.5分間〜約15分間である。
【0140】
上記態様では、前記組成物は、時間Tmax2でCmax2を提供し、前記Tmax2は、前記Tmaxよりも後である。
【0141】
上記態様では、前記組成物は、時間TminでCminを提供し、前記Tminは、前記Tmaxよりも後であり且つ前記Tmax2よりも前である。
【0142】
上記態様では、前記粘膜透過促進剤は、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルである。
【0143】
上記態様では、前記アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルは、(1−O−n−ドデシル−β−D−マルトピラノシド)、トリデシルマルトシド、スクロースモノドデカノエート、スクロースモノトリデカノエート、及びスクロースモノテトラデカノエートから選択される。
【0144】
特に、AUC0−2が約22ng.h/mL〜約160ng.h/mLである本明細書に記載される医薬組成物が考えられる。
【0145】
特に、AUC0−6が約25ng.h/mL〜約160ng.h/mLである本明細書に記載される医薬組成物が考えられる。
【0146】
1つの実施形態では、上に定義されるスマトリプタンの各塩は、個別に検討される。
【0147】
別の実施形態では、鼻内投与に適している本発明の塩の水溶液のpHは、約4〜約8であってもよい。別の実施形態では、鼻内投与に適している本発明の塩の水溶液のpHは、約4.5〜約7.5であってもよい。
【0148】
別の実施形態では、鼻内投与用の本発明に係るスマトリプタンのクエン酸塩の水溶液のpHは、約4.5〜約6.5、例えば約5〜約6である。スマトリプタン塩の水溶液のpH値は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含むアルカリ金属水酸化物等の無機塩基等の塩基を添加することによって便利に所望の範囲内に調整することができる。
【0149】
本発明の水溶液は、対応する酸を含有する水に薬物を溶解させることによって調製することができる。例えば、1つの実施形態では、前記溶液は、1モル当量のスマトリプタンと、約0.2モル当量〜約0.5モル当量の濃リン酸又は0.30モル当量の濃リン酸とを水に混合することによって調製してもよい。
【0150】
別の実施形態では、前記溶液は、1モル当量のスマトリプタンと、約0.3モル当量〜約0.6モル当量のクエン酸一水和物又は約0.43モル当量のクエン酸一水和物とを水に混合することによって調製してもよい。
【0151】
塩の正確な治療用量は、患者の年齢及び症状、並びに治療される症状の性質に依存するが、最終的には主治医の裁量であることを理解されたい。
【0152】
しかし、頭部疼痛に関連する症状の治療、例えば偏頭痛の急性治療に有効な用量としては、一般的に、単位用量当たりの活性成分が約0.5mg〜約100mg、約1mg〜約60mg、又は約2mg〜約40mgであり、これは、単回投与してもよく、例えば、1日間当たり1回〜4回等の分割用量で投与してもよい。
【0153】
本発明の塩は、単位剤形で便利に提示することができる。鼻内投与に便利な単位用量製剤は、活性成分を約0.5mg〜約100mg、又は約1mg〜約60mg、又は約2mg〜約40mgの量含有し、これは、一方の鼻孔に投与してもよく両方の鼻孔に投与してもよい。1つの実施形態では、2.5mg〜25mgの活性成分が一方の鼻孔に単回用量で投与される。
【0154】
単回用量製剤は、例えば、従来の製造技術を用いて充填及び密封することができるガラス又はプラスチック材料のバイアル等、密封単位で単回用量として提供されてもよい。或いは、プラスチック材料の密封されたバイアルは、製袋充填技術によって製造してもよい。1つの実施形態では、バイアル及び前記バイアルに充填される医薬製剤の成分は、熱安定性である。密封されたバイアルを、例えば120℃で例えば15分間以上オートクレーブすることによって滅菌して滅菌単位投薬バイアルを提供してもよく、これは、使用前に便利な送達装置に組み立てることができる。別の実施形態では、単位用量の体積は、50μL〜200μL、例えば100μLである。
【0155】
一般的なプロセス−I:
スマトリプタンの塩は、スマトリプタン又はその塩若しくは生理学的に許容し得る溶媒和物を、リン酸又はクエン酸一水和物の溶液に溶解させることによって調製することができる。このプロセスは、任意でアルコール(例えば、エタノール又はイソプロパノール)等の有機溶媒が含まれていてもよい水性媒体中にて実施されることが望ましい場合がある。更に、スマトリプタンの塩は、スマトリプタン基剤とリン酸又はクエン酸一水和物とを水に混合することによって調製してもよい。
【0156】
一般的なプロセス−II:
スマトリプタンの塩は、スマトリプタン又はその塩若しくは溶媒和物を、マレイン酸、酢酸、又はギ酸の溶液に溶解させることによって調製することができる。このプロセスは、任意でアルコール(例えば、エタノール又はイソプロパノール)等の有機溶媒が含まれていてもよい水性媒体中にて実施されることが望ましい場合がある。更に、スマトリプタンの塩は、スマトリプタン基剤とギ酸、酢酸、またはマレイン酸とを水に混合することによってスマトリプタンの塩を調製してもよい。
【0157】
得られる生成物のpHは、水酸化ナトリウム又はリン酸バッファを添加することによって約4〜約8に調整される。
【0158】
別の態様では、本発明は、鼻内投与に適している形態の医薬組成物であって、スマトリプタン又はその生理学的に許容し得る塩若しくは溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルとの水溶液を含み、前記溶液が約4.5〜約7.5の範囲のpH値を有する医薬組成物を提供する。
【0159】
本発明の更に別の態様は、頭部疼痛、特に偏頭痛に罹患しているか又は偏頭痛に罹患しやすいヒトを含む哺乳類を治療する方法であって、スマトリプタン又はその生理学的に許容し得る塩若しくは溶媒和物とアルキルグリコシド又は糖アルキルエステルとの水溶液を含む医薬組成物を鼻内投与することを含み、前記溶液が約5〜約7の範囲のpH値を有する方法を提供する。
【0160】
経口組成物は、頭部疼痛に関連する症状の治療における特定の問題点に関連している可能性がある。例えば、かかる症状、特に偏頭痛は、吐き気を伴う場合が多いので、患者が経口組成物を服用するのは困難である。また、特に急性症状の治療において、高い生物学的利用能を有し、且つ作用の発生が速やかで一貫性のある医薬組成物が非常に望ましい。
【0161】
非経口投与(静脈内、皮下、腹腔内、又は動脈内)によって急速に吸収させることもできるが、一部の患者、特に、薬物を自己投与する場合には許容できない場合がある。鼻内投与は、投与するのに便利な別の経路である。
【0162】
鼻内製剤は、一般的に、液体形態で提供されてもよく、乾燥粉末形態で提供されてもよい。満足のいく鼻内製剤は、一貫して正確な定量用量を分配するために、10℃〜40℃で温度変動する可能性のある条件下で長期間保存した後でさえも化学的及び物理的に十分安定でなければならない。したがって、活性成分は、製剤において用いられる賦形剤と適合しなければならず、また、例えば、液体製剤から沈殿したり、粉末製剤がケーキングしたりすることによって正確な用量を送達できなくなるように凝集してはならない。特に液体製剤の投与後、患者の鼻腔内に鼻内製剤を最大限保持するために、比較的少ない送達体積、例えば、50μL〜200μL、又は100μL以下の活性成分の単位用量を送達することが望ましい。これには、高濃度の薬剤を使用する必要がある場合があるので、可溶性の高い活性成分が有利である。明らかに、鼻粘膜を通して容易に吸収されるが、刺激等の任意の悪影響を伴わない形態で活性成分が提示されなければならない。
【0163】
活性成分の溶液は、一般的に、例えば水のみ(例えば、滅菌水又は発熱物質を含有しない水)から調製される水溶液であるか、水と生理学的に許容し得る共溶媒(例えば、エタノール、プロピレングリコール、及びPEG−400等のポリエチレングリコール)との溶液である。
【0164】
かかる溶液は、保存剤(例えば、塩化ベンズアルコニウム及びフェニルエチルアルコール)、緩衝剤、浸透圧調整剤(例えば、塩化ナトリウム)、増粘剤、吸収促進剤、着香剤(例えば、約0.001%w/w〜約0.5%w/wの量のメントール、ユーカリプトール、カンファー、及びサリチル酸メチル等の芳香剤)、及び甘味剤(例えば、約0.01%w/w〜約10%w/w、又は約1%w/w〜約5%w/wの量のサッカリン)等の他の賦形剤を更に含有してもよい。
【0165】
溶液は、従来の手段によって、例えば、点鼻器、ピペット、又は噴霧器を用いて鼻腔に直接適用される。製剤は、単回剤形で提供されてもよく、複数回剤形で提供されてもよい。後者の場合、用量を計量する手段が設けられることが望ましい。点鼻器又はピペットの場合、適切な所定の体積の溶液の投与を患者が行うことができる。噴霧器の場合、例えば、定量噴霧スプレーポンプを用いて行うことができる。
【0166】
また、鼻内投与は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、又はジクロロテトラフルオロエタン、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、二酸化炭素、又は別の好適な気体等の好適な噴射剤と共に加圧パッケージで化合物が提供されるエアロゾル製剤を用いて行うことができる。薬物の用量は、定量弁を備えることによって制御できる。
【0167】
1つの実施形態では、本発明は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び/又はポリプロピレン、及び/又はガラス、グラシンホイル、アルミニウムパウチ、及びブリスター、又はアルミニウムで構成されるストリップ、又は高密度ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ二塩化ビニリデン等の容器及び閉鎖具等の包装材料の使用を含む。
【実施例】
【0168】
以下の実施例は、本発明の特定の態様及び実施形態を更に説明し、その実施及び利点を示すものである。実施例は、単なる例証として記載されるものであって、如何なる方法によっても本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0169】
スマトリプタンのクエン酸塩の調製
スマトリプタン基剤130.0g(0.4406mol)を丸底フラスコ内のエタノール1,300mLに添加し、還流温度下で混合物を加熱して、均質な溶液を得た。クエン酸一水和物97.2g(0.462mol)及びエタノール溶液1,300mLを還流させながら上記反応混合物に添加した。30分間〜60分間、還流温度で反応混合物を維持した。反応混合物を25℃〜35℃に冷却し、イソプロパノール780mLを添加し、15分間〜30分間撹拌した。フラスコの側面に幾つかのガム状の塊が付着していた。溶媒を完全にデカントし、イソプロパノール2,600mLを前記ガム状の塊に添加し、2時間〜4時間撹拌した。固体を濾過し、イソプロパノール650mLで洗浄した。イソプロパノール2,600mLを濡れた状態の固体に添加し、2時間〜4時間撹拌した。固体を濾過し、イソプロパノール650mLで洗浄した。一定の重量が得られるまで、50℃〜60℃、減圧下で濡れた状態の固体を乾燥させた。収量:126.5g、HPLC:99.72%、HPLCによるアッセイ:67.2%(スマトリプタン基剤)、水分含量:2.0%、HPLCによるアッセイ:クエン酸の場合27.1%、クエン酸一水和物の場合29.5%。
【0170】
上記方法と類似する下記の方法によって、スマトリプタンの他の塩を調製することができる。
【0171】
塩組成物を調製するための一般的なプロセス:製造プロセス
工程−i:対応する塩の酸を水に溶解させた。
工程−ii:スマトリプタンを溶液に溶解させた。
工程−iii:リン酸バッファを添加し、十分に混合し、pHを調べ、必要に応じて水酸化ナトリウム(1N)で調整した。
工程−iv:メンブレンフィルタを通して溶液を濾過し、pHを調べてpH範囲を約4〜約8に維持した。
工程−v:糖アルキルを溶液に溶解させた。リン酸バッファを用いて溶液を最終体積にし、pHを再度調べた。
【0172】
実施例−1:「スマトリプタンのクエン酸塩」組成物の調製:
手順:
工程−i:リン酸バッファの調製
二塩基性リン酸ナトリウム0.2g及び一塩基性リン酸カリウム10.0gを十分な水に溶解させて1,000mLにした。
工程−ii:1Nの水酸化ナトリウムの調製
水酸化ナトリウム1.0gを十分な水に溶解させて25mLにした。
工程−iii:5Nのクエン酸一水和物の調製
クエン酸一水和物70.04gを十分な量の純水に溶解させ、純水を用いて体積を200mLにした。
工程−iv:必要な量のクエン酸一水和物(5N)溶液を必要な量の水に添加し、十分に混合して、均一な混合物を得た。これに、必要な量のスマトリプタンを添加し、混合物を撹拌して薬物を溶解させた。
工程−v:工程−ivで得られた溶液のpHを調べ、必要な量の水酸化ナトリウム(1N)を前記溶液に添加して前記溶液のpHを5.5±0.5に調整した。
工程−vi:必要な量のリン酸バッファを工程−vの溶液に添加し、十分に混合した。pHを調べ、必要に応じて必要な量の水酸化ナトリウム(1N)を添加することによってpHを必要な値に調整した。
工程−vii:必要な量の1−O−n−ドデシル−β−D−マルトピラノシドを工程−viの溶液に添加し、完全に溶解するまで十分に混合した。リン酸バッファで体積を調整し、得られた溶液を十分に混合した。
工程−viii:工程−viiの溶液をSS Filtrationアセンブリによってメンブレンフィルタを通して濾過した。
工程−ix:必要な量の工程−viiiの溶液を鼻用噴霧装置に充填した。
【表1】

【0173】
実施例−2:「スマトリプタンのリン酸塩」組成物の調製
以下の量の反応物質を用いて、実施例1に記載の手順と同様にスマトリプタンのリン酸塩を含む医薬組成物を調製する。
【表2】

【0174】
実施例−3〜5:「スマトリプタンのギ酸塩、酢酸塩、及びマレイン酸塩」組成物の調製
適切な量の反応物質を取り、適切で好適なpH条件を維持することによって、実施例−1に記載の手順に従ってスマトリプタンのギ酸塩、酢酸塩、及びマレイン酸塩の組成物を調製することができる。
【表3】

【0175】
実施例−6:スマトリプタンのクエン酸塩組成物
スマトリプタンのクエン酸塩を含む組成物を以下の手順に従って調製した:
工程−i:リン酸バッファの調製:二塩基性リン酸ナトリウム0.2g及び一塩基性リン酸カリウム10.0gを十分な水に溶解させて1,000mLにした。
工程−ii:1Nの水酸化ナトリウムの調製:水酸化ナトリウム1.0gを十分な量の水に溶解させ、水で希釈して25mLにした。
工程−iii:必要な量のスマトリプタン−クエン酸一水和物複合体を必要な量の水に添加し、溶解するまで十分に混合した。
工程−iv:工程ivの溶液のpHを調べ、必要な量の水酸化ナトリウム(1N)を前記溶液に添加して前記溶液のpHを5.5±0.5に調整した。
工程−v:必要な量のリン酸バッファを工程−ivの溶液に添加し、十分に混合した。pHを調べ、必要に応じて必要な量の水酸化ナトリウム(1N)を添加して前記溶液のpHを5.5±0.5に調整した。
工程−vi:必要な量のn−ドデシル−β−D−マルトピラノシドを工程−vの溶液に添加し、完全に溶解するまで十分に混合した。リン酸バッファで体積を調整し、十分に混合した。
【表4】

【0176】
実施例−7:他のスマトリプタン塩組成物
適切なスマトリプタン塩を取ることによって、実施例−6に記載の手順に従って医薬組成物を調製することができる。
【0177】
実施例−8:臨床試験のデータ
実験−1:それぞれ0.1%、0.15%、0.2%の濃度の透過促進剤を有する試験−1、試験−2、試験−3と、レファレンス製品としてのImitrex(登録商標)20mg(図4参照)とを用いるスマトリプタンの硫酸塩の鼻内投与の4用量クロスオーバー試験
(実験を完了した被験体数(n)=21)。
投与間に少なくとも7日間の休薬期間を設けた3用量クロスオーバー試験において、Ing.Erich Pfeiffer GmbH,Radolfzell,Germany,Valois Pharma,Le Neubourg,France又はBecton Dickinson,New Jersey,USAによって製造される装置等の標準的な定量鼻用噴霧装置を用いて100マイクロリットルの定量鼻内スプレーとして24人の患者に各薬物溶液(試験−1、試験−2、試験−3、及びレファレンス)を投与した。例えば以下の時間間隔で各患者から血液サンプルを回収した:0.08時間、0.17時間、0.25時間、0.33時間、0.42時間、0.6時間、0.67時間、0.83時間、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間。
【0178】
試験−1のサンプル:インドのドクター・レディーズ・ラボラトリーズ・リミテッドによって製造されている、スマトリプタンの硫酸塩組成物20mg鼻用スプレー(最終スマトリプタン濃度は、スプレー100マイクロリットル当たり20mgであり、約0.1%の透過促進剤(ドデシルマルトシド)を有する)。
【0179】
試験−2のサンプル:インドのドクター・レディーズ・ラボラトリーズ・リミテッドによって製造されている、スマトリプタンの硫酸塩組成物20mg鼻用スプレー(最終スマトリプタン濃度は、スプレー100マイクロリットル当たり20mgであり、約0.15%の透過促進剤(ドデシルマルトシド)を有する)。
【0180】
試験−3のサンプル:インドのドクター・レディーズ・ラボラトリーズ・リミテッドによって製造されている、スマトリプタンの硫酸塩組成物20mg鼻用スプレー(最終スマトリプタン濃度は、スプレー100マイクロリットル当たり20mgであり、約0.2%の透過促進剤(ドデシルマルトシド)を有する)。
【0181】
レファレンス:グラクソスミスクライン社によって製造されているImitrex(登録商標)(スマトリプタン)鼻用スプレー(100マイクロリットル当たり20mg)。
【0182】
実験−9:0.2%の透過促進剤を有する様々なスマトリプタン塩(リン酸塩、クエン酸塩、及び硫酸塩)の鼻内投与の3剤クロスオーバー試験(それぞれ、図1、図2、及び図3を参照されたい)
(実験を完了した被験体数(n)=15)
投与間に少なくとも8日間の休薬期間を設けた3剤クロスオーバー試験においてIng.Erich Pfeiffer GmbH,Radolfzell,Germany,Valois Pharma,Le Neubourg,France又はBecton Dickinson,New Jersey,USAによって製造される装置等の標準的な定量鼻内噴霧装置を用いて100マイクロリットルの定量鼻内スプレーとして18人の患者に各薬物溶液(スマトリプタンのリン酸塩、クエン酸塩、及び硫酸塩)を投与した。例えば以下の時間間隔で各患者から血液サンプルを回収した:0.08時間、0.17時間、0.25時間、0.33時間、0.42時間、0.6時間、0.67時間、0.83時間、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間。
【0183】
インドのドクター・レディーズ・ラボラトリーズ・リミテッドによって製造されている、スマトリプタンのリン酸塩組成物20mg鼻用スプレー(最終スマトリプタン濃度は、スプレー100マイクロリットル当たり20mgであり、約0.2%の透過促進剤(ドデシルマルトシド)を有する)。
【0184】
インドのドクター・レディーズ・ラボラトリーズ・リミテッドによって製造されている、スマトリプタンのクエン酸塩組成物20mg鼻用スプレー(最終スマトリプタン濃度は、スプレー100マイクロリットル当たり20mgであり、約0.2%の透過促進剤(ドデシルマルトシド)を有する)。
【0185】
インドのドクター・レディーズ・ラボラトリーズ・リミテッドによって製造されている、スマトリプタンの硫酸塩組成物20mg鼻用スプレー(最終スマトリプタン濃度は、スプレー100マイクロリットル当たり20mgであり、約0.2%の透過促進剤(ドデシルマルトシド)を有する)。
【0186】
実施例−10:
実験−3:約0.2%の透過促進剤を有する試験−1と、透過促進剤を含まない試験−2と、レファレンス製品としてのImitrex(登録商標)とを用いるスマトリプタンの硫酸塩の鼻内投与の3用量クロスオーバー試験
(実験を完了した被験体数(n)=15)。
投与間に少なくとも4日間の休薬期間を設けた3用量クロスオーバー試験においてIng.Erich Pfeiffer GmbH,Radolfzell,Germany,Valois Pharma,Le Neubourg,France又はBecton Dickinson,New Jersey,USAによって製造される装置等の標準的な定量鼻内噴霧装置を用いて100マイクロリットルの定量鼻用スプレーとして18人の患者に各薬物溶液(試験−1、試験−2、及びレファレンスサンプル)を投与した。例えば以下の時間間隔で各患者から血液サンプルを回収した:0.08時間、0.17時間、0.25時間、0.33時間、0.42時間、0.6時間、0.67時間、0.83時間、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間。
【0187】
試験−1で用いられるサンプル:インドのドクター・レディーズ・ラボラトリーズ・リミテッドによって製造されている、スマトリプタンの硫酸塩組成物20mg鼻用スプレー(最終スマトリプタン濃度は、スプレー100マイクロリットル当たり20mgであり、約0.2%の透過促進剤(ドデシルマルトシド)を有する)。
【0188】
試験−2で用いられるサンプル:インドのドクター・レディーズ・ラボラトリーズ・リミテッドによって製造されている、スマトリプタンの硫酸塩組成物20mg鼻用スプレー(最終スマトリプタン濃度は、スプレー100マイクロリットル当たり20mgであり、約0.2%の透過促進剤(ドデシルマルトシド)を含まない)。
【0189】
レファレンス:グラクソスミスクライン社によって製造されているImitrex(登録商標)(スマトリプタン)鼻用スプレー(100マイクロリットル当たり20mg)。
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む鼻内投与用医薬組成物であって、前記組成物を投与したときのTmax値が30分間未満であることを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
組成物のpH値が、約4〜約8に調整される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物のpH値が、約4.5〜約7.5に調整される請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
鼻内投与に適している請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルが、ドデシルマルトシド(1−O−n−ドデシル−β−D−マルトピラノシド)、トリデシルマルトシド、スクロースモノドデカノエート、スクロースモノトリデカノエート、及びスクロースモノテトラデカノエートから選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルが、1−O−n−ドデシル−β−D−マルトピラノシドである請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
スマトリプタンの塩が、クエン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、及びギ酸塩から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
スマトリプタンの塩が、リン酸塩である請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
スマトリプタンのクエン酸塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項10】
組成物のpH値が、約4〜約8に調整される請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
組成物のpH値が、約4.5〜約6.5に調整される請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
組成物のpH値が、約5〜約6に調整される請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物を鼻に投与したときのTmax値が15分間以下である請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物を鼻に投与したときのCmaxのAUC0−infに対する比が、少なくとも約0.3である請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
アルキルグリコシドの量が、少なくとも約0.1%である請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
アルキルグリコシドの量が、少なくとも約0.1%である請求項9に記載の組成物。
【請求項17】
頭部疼痛に罹患しているか又は頭部疼痛に罹患しやすいヒトを治療する方法であって、スマトリプタンの塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む組成物を投与することを含み、前記組成物を投与したときのTmax値が30分間未満であることを特徴とする方法。
【請求項18】
組成物のpH値が、約4〜約8に調整される請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
組成物のpH値が、約4.2〜約7.5に調整される請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
組成物が、鼻内投与される請求項17に記載の方法。
【請求項21】
組成物が、水溶液の形態で投与される請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
スマトリプタンの塩が、クエン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、又はマレイン酸塩から選択される請求項17に記載の組成物。
【請求項23】
頭部疼痛に罹患しているか又は頭部疼痛に罹患しやすいヒトを治療する方法であって、スマトリプタンのクエン酸塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
組成物のpH値が、約4〜約8に調整される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
組成物のpH値が、約4.5〜約6.5に調整される請求項23に記載の方法。
【請求項26】
組成物のpH値が、約5〜約6に調整される請求項23に記載の方法。
【請求項27】
組成物が、鼻内投与される請求項25に記載の方法。
【請求項28】
組成物が、水溶液の形態で投与される請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ヒトが、偏頭痛に罹患しているか又は偏頭痛に罹患しやすい請求項17に記載の方法。
【請求項30】
ヒトが、偏頭痛に罹患しているか又は偏頭痛に罹患しやすい請求項23に記載の方法。
【請求項31】
スマトリプタンのクエン酸塩又はその生理学的に許容し得る溶媒和物と、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルと、任意で少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物であって、前記組成物を鼻内に投与したときのTmax値が15分間以下であることを特徴とする医薬組成物。
【請求項32】
アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルが、1−O−n−ドデシル−β−D−マルトピラノシドである請求項9に記載の組成物。
【請求項33】
鼻内用組成物であり且つ乾燥粉末形態で提供される請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
乾燥粉末形態が、噴霧乾燥組成物又は凍結乾燥組成物である請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
トリプタンと、薬学的に許容し得るビヒクルと、粘膜透過促進剤とを含む鼻内投与用医薬組成物であって、前記組成物を投与したときのTmax値が前記トリプタンを皮下投与したときのTmax値と実質的に等しいことを特徴とする医薬組成物。
【請求項36】
粘膜透過促進剤が、シクロデキストリンではない請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
粘膜透過促進剤が、約0.05%〜約3.0%の濃度で存在する請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項38】
粘膜透過促進剤が、約0.1%〜約2.0%の濃度で存在する請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
maxが、約4分間〜約15分間である請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項40】
組成物が、時間Tmax2におけるCmax2を提供し、前記Tmax2がTmaxよりも後である請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項41】
組成物が、時間TminにおけるCminを提供し、前記TminがTmaxよりも後であり且つTmax2よりも前である請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
maxが、約4分間〜約15分間である請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項43】
粘膜透過促進剤が、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルである請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項44】
アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルが、(1−O−n−ドデシル−β−D−マルトピラノシド)、トリデシルマルトシド、スクロースモノドデカノエート、スクロースモノトリデカノエート、及びスクロースモノテトラデカノエートから選択される請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項45】
トリプタン化合物が、スマトリプタン、その薬学的に許容し得る塩、又はその薬学的に許容し得る溶媒和物である請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
i)時間TmaxにおけるCmax、ii)時間Tmax2におけるCmax2、iii)時間TminにおけるCmin、及びiv)Cmax2のAUCTmin−infに対する比を提供し、前記Tminが前記Tmaxよりも後且つ前記Tmax2よりも前であり、前記Cmax及び前記Tmaxが皮下投与に特徴的であり、前記AUCTmin−infが粘膜透過促進剤を用いない鼻内投与に特徴的である請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項47】
maxが、約4.5分間〜約15分間である請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
max2が、約30分間〜約120分間である請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項49】
maxが、約14ng/mL〜約214ng/mLである請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項50】
max2が、約9ng/mL〜約80ng/mLである請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項51】
薬学的に許容し得るビヒクルが、液体である請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項52】
薬学的に許容し得るビヒクルが、乾燥粉末である請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項53】
それを必要としている被験体におけるトリプタン化合物による治療に適した疾患又は症状を治療又は緩和する方法であって、トリプタンと、薬学的に許容し得るビヒクルと、粘膜透過促進剤とを含み、且つ投与したときのTmaxが前記トリプタンを皮下投与したときのTmaxと実質的に等しい医薬組成物を前記被験体に鼻内投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項54】
maxが、約4分間〜約15分間である請求項53に記載の方法。
【請求項55】
組成物が、時間Tmax2におけるCmax2を提供し、前記Tmax2がTmaxよりも後である請求項53に記載の方法。
【請求項56】
組成物が、時間TminにおけるCminを提供し、前記TminがTmaxよりも後であり且つTmax2よりも前である請求項55に記載の方法。
【請求項57】
maxが、約4分間〜約15分間である請求項56に記載の方法。
【請求項58】
粘膜透過促進剤が、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルである請求項53に記載の方法。
【請求項59】
アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルが、(1−O−n−ドデシル−β−D−マルトピラノシド)、トリデシルマルトシド、スクロースモノドデカノエート、スクロースモノトリデカノエート、及びスクロースモノテトラデカノエートから選択される請求項58に記載の医薬組成物。
【請求項60】
それを必要としている被験体におけるトリプタン化合物による治療に適した疾患又は症状を治療又は緩和する方法であって、トリプタンと、薬学的に許容し得るビヒクルと、粘膜透過促進剤とを含み、且つ投与したときにi)時間TmaxにおけるCmax、ii)時間Tmax2におけるCmax2、iii)時間TminにおけるCmin、及びiv)Cmax2のAUCTmin−infに対する比を提供し、前記Tminが前記Tmaxよりも後且つ前記Tmax2よりも前であり、前記Cmax及び前記Tmaxが皮下投与に特徴的であり、前記AUCTmin−infが前記粘膜透過促進剤を用いない鼻内投与に特徴的である医薬組成物を前記被験体に鼻内投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項61】
maxが、約4分間〜約15分間である請求項60に記載の方法。
【請求項62】
組成物が、時間Tmax2におけるCmax2を提供し、前記Tmax2がTmaxよりも後である請求項60に記載の方法。
【請求項63】
組成物が、時間TminにおけるCminを提供し、前記TminがTmaxよりも後であり且つTmax2よりも前である請求項62に記載の方法。
【請求項64】
maxが、約4分間〜約15分間である請求項63に記載の方法。
【請求項65】
粘膜透過促進剤が、アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルである請求項60に記載の方法。
【請求項66】
アルキルグリコシド又は糖アルキルエステルが、(1−O−n−ドデシル−β−D−マルトピラノシド)、トリデシルマルトシド、スクロースモノドデカノエート、スクロースモノトリデカノエート、及びスクロースモノテトラデカノエートから選択される請求項65に記載の医薬組成物。
【請求項67】
約22ng.h/mL〜約160ng.h/mLのAUC0−2を提供する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項68】
約22ng.h/mL〜約160ng.h/mLのAUC0−2を提供する請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項69】
約25ng.h/mL〜約160ng.h/mLのAUC0−6を提供する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項70】
約25ng.h/mL〜約160ng.h/mLのAUC0−6を提供する請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項71】
maxが、約14ng/mL〜約214ng/mLである請求項1に記載の医薬組成物。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−505924(P2013−505924A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530344(P2012−530344)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001708
【国際公開番号】WO2011/036521
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(399131150)ドクター・レディーズ・ラボラトリーズ・リミテッド (19)
【Fターム(参考)】