説明

トリプトファンヒドロキシラーゼ阻害剤を含む組成物

トリプトファンヒドロキシラーゼ阻害剤を含む組成物及びその使用方法が開示される。特に、幾つかの薬剤に関連するセロトニン媒介性の有害作用を軽減又は回避する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、トリプトファンヒドロキシラーゼ阻害剤を含む組成物と、該組成物を使用する方法とに関する。
【0002】
本願は、2007年6月26日付けで出願された米国仮特許出願第60/946,274号明細書に対する優先権を主張し、その内容が参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0003】
2.背景
神経伝達物質セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT))は、複数の中枢神経ファセットの気分調整、並びに睡眠、不安、アルコール依存、薬物乱用、食物摂取、及び性行動の調節に関わる。セロトニンは血管緊張、腸運動性、及び細胞媒介性免疫応答の調節にも関わる(Walther, D.J., et al., Science 299:76(2003))。またセロトニンは、凝血及び止血に関与し、自身ではセロトニンを産出することができない血小板は、末梢5−HTを大量に取り込む(Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10thed., p. 274-5(McGraw-Hill, 2001))。
【0004】
セロトニンは、アミノ酸トリプトファンから2段階で合成される(Goodman & Gilman's, p. 270)。第1の段階は律速であり、末梢で発現するTPH1と、主に脳で発現するTPH2との2つの既知のアイソフォームを有するトリプトファンヒドロキシラーゼ(TPH)酵素によって触媒される(Walther、同上)。セロトニンが身体から取り除かれる主な経路はモノアミンオキシダーゼ(MAO)酵素を包含し、これは化合物を5−ヒドロキシインドールアセトアルデヒドに変換した後、アルデヒドデヒドロゲナーゼ酵素によって5−ヒドロキシインドール酢酸(5−HIAA)に変換する(Goodman & Gilman's, p. 270-2)。
【0005】
tph1遺伝子が遺伝的に欠損したマウス(「ノックアウトマウス」)が報告されている。報告によると、1つのケースでは、このマウスは古典的にセロトニン作動性の脳領域では正常な量のセロトニンを発現したが、末梢ではセロトニンをほとんど欠いていた(Walther、同上)。別のケースでは、ノックアウトマウスが異常な心臓の活動を示し、このことは末梢セロトニンの欠失に起因していた(Cote, F., et al., PNAS 100(23): 13525-13530(2003))。特発性肺動脈高血圧症における酵素の役割を理解することを目的とする研究では、tph1ノックアウトマウスが、低酸素の影響に対して野生型マウスとは異なる反応を示すことが見出された(Morecroft, I. et al., Hypertension 49:232-236(2007))。
【0006】
血小板の5−HTを取り込む能力を阻害することができる、セロトニンレベルに作用する薬剤(MAO阻害剤及び選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)等)は、有害作用を伴うことが多い。特に深刻な例は、「フェン−フェン」として知られるフェンフラミンとフェンテルミンとのダイエット併合薬に関連する心毒性であり、これは、身体の血中セロトニンレベルを制御する能力に対する併合効果に起因すると考えられている。MIT News Office、「古い標識によって、「フェン−フェン」の併合毒性がもたらされるおそれがある(Outdates [sic] label may have led to toxic combination of 'fen-phen')」(http://web.mit.edu/newsoffice/1998/fenphen-0902.html)(1998)。
【0007】
最近になって、TPH1の安全且つ効果的な阻害のために開発された化合物が開示されてきている。特許文献1を参照されたい。かかる化合物が、広範な疾患及び障害を治療、管理及び予防する全く新しいアプローチを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007−0191370号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
3.発明の概要
本発明は一部、1つ又は複数の薬剤の投与に関連するセロトニン媒介性の有害作用を軽減及び/又は緩和する方法に関する。特定の方法は、トリプトファンヒドロキシラーゼ(TPH)の阻害を含む。
【0010】
本発明は、2つの薬学的活性成分を含む組成物も包含し、これらの1つはTPH阻害剤であり、もう1つはセロトニン媒介性の有害作用を引き起こし得る薬剤である。
【0011】
特定のTPH阻害剤は、式I:
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、Aは必要に応じて置換されたシクロアルキル、アリール、又は複素環であり、Xは結合(すなわち、AがDと直接結合する)、−O−、−S−、−C(O)−、−C(R)=、=C(R)−、−C(R)−、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−C(R)N(R)−、−N(R)C(R)−、−ONC(R)−、−C(R)NO−、−C(R)O−、−OC(R)−、−S(O)−、−S(O)N(R)−、−N(R)S(O)−、−C(R)S(O)−、又は−S(O)C(R)−であり、Dは必要に応じて置換されたアリール又は複素環であり、Rは水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール、若しくは複素環であり、Rは水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール、若しくは複素環であり、Rは水素、アルコキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、又は必要に応じて置換されたアルキルであり、Rは水素、アルコキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、又は必要に応じて置換されたアルキル若しくはアリールであり、各Rは独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル若しくはアリールであり、nは0〜3である)の化合物及びその薬学的に許容される塩を有する。
【0014】
4.図面の簡単な説明
添付の図面を参照して本発明の態様が理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】経口投与後のマウスの胃腸管及び脳における本発明の強力なTPH1阻害剤の効果を示す図である。全てのデータは、対照(ビヒクル投与)群の平均%として表される。誤差バーは標準誤差(S.E.M)である。N=1群当たり5回。記号*は、対照群に比べてp値が0.05未満であるものである。脳のデータに関しては、片側ANOVA(p=0.5)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
5.詳細な説明
モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤及び選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は、多様の有害作用をもたらし得るように、末梢セロトニンの代謝及び運命(fate)に作用する。セロトニン作動性経路に作用する他の薬剤(トリプタン等)も、セロトニン媒介性の有害作用を引き起こし得る。本発明の方法及び組成物によって、セロトニン関連の有害作用の軽減及び/又は緩和が可能になる。
【0017】
マウスでtph1遺伝子をノックアウトすることによって、GIセロトニンのレベルが有意に低減し、中枢神経系(CNS)に対する測定可能な効果は、たとえあったとしてもほとんど引き起こされないという発見に、本発明は一部基づいている。本発明は、TPH(例えばTPH1)を阻害する化合物の発見にも基づいている。
【0018】
5.1.定義
特に明示のない限り、「アルケニル」という用語は、2〜20(例えば2〜10又は2〜6)個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖、分岐鎖、及び/又は環式の炭化水素を意味する。代表的なアルケニル部分としては、ビニル、アリル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、2−オクテニル、3−オクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、2−デセニル、及び3−デセニルが挙げられる。
【0019】
特に明示のない限り、「アルキル」という用語は、1〜20(例えば1〜10又は1〜4)個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖、及び/又は環式(「シクロアルキル」)の炭化水素を意味する。1〜4個の炭素原子を有するアルキル部分は「低級アルキル」と称される。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、及びドデシルが挙げられる。シクロアルキル部分は単環又は多環であってもよく、例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びアダマンチルが挙げられる。アルキル部分のさらなる例は直鎖部分、分岐部分、及び/又は環状部分(例えば、1−エチル−4−メチル−シクロヘキシル)を有する。「アルキル」という用語は飽和炭化水素、並びにアルケニル部分及びアルキニル部分を含む。
【0020】
特に明示のない限り、「アルコキシ」という用語は、−O−アルキル基を意味する。アルコキシ基の例としては、−OCH、−OCHCH、−O(CHCH、−O(CHCH、−O(CHCH、及び−O(CHCHが挙げられる。
【0021】
特に明示のない限り、「アルキルアリール」又は「アルキル−アリール」という用語は、アリール部分に結合したアルキル部分を意味する。
【0022】
特に明示のない限り、「アルキルヘテロアリール」又は「アルキル−ヘテロアリール」という用語は、ヘテロアリール部分に結合したアルキル部分を意味する。
【0023】
特に明示のない限り、「アルキル複素環」又は「アルキル−複素環」という用語は、複素環部分に結合したアルキル部分を意味する。
【0024】
特に明示のない限り、「アルキニル」という用語は、2〜20(例えば2〜20又は2〜6)個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖、分岐鎖、又は環式の炭化水素を意味する。代表的なアルキニル部分としては、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−ヘプチニル、2−ヘプチニル、6−ヘプチニル、1−オクチニル、2−オクチニル、7−オクチニル、1−ノニニル、2−ノニニル、8−ノニニル、1−デシニル、2−デシニル、及び9−デシニルが挙げられる。
【0025】
特に明示のない限り、「アリール」という用語は、芳香環、又は炭素原子及び水素原子で構成される芳香環若しくは一部が芳香環の系を意味する。アリール部分は共に結合又は縮合した複数の環を含んでも良い。アリール部分の例としては、アントラセニル、アズレニル、ビフェニル、フルオレニル、インダン、インデニル、ナフチル、フェナントレニル、フェニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン、及びトリルが挙げられる。
【0026】
特に明示のない限り、「アリールアルキル」又は「アリール−アルキル」という用語は、アルキル部分に結合したアリール部分を意味する。
【0027】
特に明示のない限り、「生加水分解性(biohydrolyzable)アミド」、「生加水分解性エステル」、「生加水分解性カルバメート」、「生加水分解性カーボネート」、「生加水分解性ウレイド」、及び「生加水分解性ホスフェート」という用語は、それぞれ、1)化合物の生物活性を妨げないが、in vivoで、吸収、作用の持続時間、若しくは作用の開始等の有益な特性を化合物に付与することができる化合物、又は2)生物学的に不活性であるがin vivoで生物学的に活性な化合物に変換される化合物のアミド、エステル、カルバメート、カーボネート、ウレイド、又はホスフェートを意味する。生加水分解性エステルの例としては、低級アルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステル、及びコリンエステルが挙げられる。生加水分解性アミドの例としては、低級アルキルアミド、α−アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド、及びアルキルアミノアルキル−カルボニルアミドが挙げられる。生加水分解性カルバメートの例としては、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環アミン及び複素芳香族アミン、並びにポリエーテルアミンが挙げられる。
【0028】
特に明示のない限り、「ハロゲン」及び「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を包含する。
【0029】
特に明示のない限り、「ヘテロアルキル」という用語は、炭素原子の少なくとも1つがヘテロ原子(例えばN、O又はS)に置換されているアルキル部分(例えば直鎖、分岐鎖又は環式)を表す。
【0030】
特に明示のない限り、「ヘテロアリール」という用語は、炭素原子の少なくとも1つがヘテロ原子(例えばN、O又はS)に置換されているアリール部分を意味する。例としては、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾキナゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、イミダゾリル、インドリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、フタラジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、テトラゾリル、チアゾリル、及びトリアジニルが挙げられる。
【0031】
特に明示のない限り、「ヘテロアリールアルキル」又は「ヘテロアリール−アルキル」という用語は、アルキル部分に結合したヘテロアリール部分を意味する。
【0032】
特に明示のない限り、「複素環」という用語は、炭素、水素及び少なくとも1つのヘテロ原子(例えばN、O又はS)で構成される芳香族、部分芳香族若しくは非芳香族の単環式若しくは多環式の環又は環系を表す。複素環には、共に縮合又は結合した複数(すなわち2つ以上)の環を含んでもよい。複素環はヘテロアリールを含む。例としては、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、シンノリニル、フラニル、ヒダントイニル、モルホリニル、オキセタニル、オキシラニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、及びバレロラクタミルが挙げられる。
【0033】
特に明示のない限り、「複素環アルキル」又は「複素環−アルキル」という用語は、アルキル部分に結合した複素環部分を表す。
【0034】
特に明示のない限り、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、非芳香族の複素環を表す。
【0035】
特に明示のない限り、「ヘテロシクロアルキルアルキル」又は「ヘテロシクロアルキル−アルキル」という用語は、アルキル部分に結合したヘテロシクロアルキル部分を表す。
【0036】
特に明示のない限り、「薬学的に許容される塩」という用語は、薬学的に許容される非毒性の酸又は塩基(無機酸及び無機塩基並びに有機酸及び有機塩基を含む)から調製される塩を表す。好適な薬学的に許容される塩基付加塩としては、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛から生成される金属塩、又はリジン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、及びプロカインから生成される有機塩が挙げられる。好適な非毒性の酸としては、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、及びp−トルエンスルホン酸等の無機酸及び有機酸が挙げられる。特定の非毒性酸としては、塩化水素酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及びメタンスルホン酸が挙げられる。したがって、特定の塩の例としては、塩酸塩及びメシル酸塩が挙げられる。他のものも当該技術分野において既知である。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences(第18版、Mack Publishing, Easton PA: 1990)、及びRemington: The Science and Practice of Pharmacy(第19版、Mack Publishing, Easton PA: 1995)を参照されたい。
【0037】
特に明示のない限り、「強力なTPH1阻害剤」という用語は、TPH1_IC50が約10μM未満である化合物である。
【0038】
特に明示のない限り、「プロドラッグ」という用語は、本明細書に開示の化合物の薬学的に許容されるエステル、カーボネート、チオカーボネート、N−アシル誘導体、N−アシルオキシアルキル誘導体、第3級アミンの第4級誘導体、N−マンニッヒ塩基、シッフ塩基、アミノ酸抱合体、リン酸エステル、金属塩、及びスルホン酸エステルを包含する。プロドラッグの例としては、生加水分解性部分(例えば、生加水分解性アミド、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性エステル、生加水分解性ホスフェート、又は生加水分解性ウレイド類似体)を含む化合物が挙げられる。本明細書に開示の化合物のプロドラッグは当業者によって容易に構想及び調製される。例えば、Design of Prodrugs(Bundgaard, A. Ed., Elseview, 1985)、Bundgaard, H.著Design and Application of Prodrugs(A Textbook of Drug Design and Development, Krosgaard-Larsen and H. Bundgaard, Ed., 1991, Chapter 5, p. 113-191)、及びBundgaard, H.著Advanced Drug Delivery Review(1992, 8, 1-38)を参照されたい。
【0039】
特に明示のない限り、化合物の「予防的に有効な量」は、疾患若しくは病態、又は疾患若しくは病態に関連する1つ若しくは複数の症状を予防する、又はその再発を予防するのに十分な量である。化合物の予防的に有効な量は、単独で又は他の薬剤と併用して、疾患の予防において予防的利点を与える治療剤の量である。「予防的に有効な量」という用語は、予防法を全体的に改善する、又は別の予防剤の予防的な有効性を高める量を包含し得る。
【0040】
特に明示のない限り、化学反応を受ける分子の一部分を表すのに用いられる場合、「保護性基(protecting group)」又は「保護基(protective group)」という用語は、この化学反応の条件下で反応性がなく、これらの条件下で反応性がある部分を与えるために取り除くことができる化学的部分を意味する。保護性基は当該技術分野で既知である。例えば、Greene, T. W. and Wuts, P.G.M.著Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、John Wiley & Sons: 1999)、Larock, R. C.著Comprehensive Organic Transformations(第2版、John Wiley & Sons:1999)を参照されたい。幾つかの例としては、ベンジル、ジフェニルメチル、トリチル、Cbz、Boc、Fmoc、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、及びフタルイミドが挙げられる。
【0041】
特に明示のない限り、「擬ハロゲン」という用語は、その酸−塩基、置換及び酸化還元化学においてハロゲン化物イオンに類似し、一般的に弱塩基性であり、原子移動ラジカル重合条件下でフリーラジカルを形成する多原子陰イオンを表す。擬ハロゲンの例としては、アジドイオン、シアニド、シアネート、チオシアネート、チオスルフェート、スルホネート、及びハロゲン化スルホニルが挙げられる。
【0042】
特に明示のない限り、「選択的TPH1阻害剤」という用語は、TPH2_IC50がTPH1_IC50より少なくとも約10倍大きい化合物である。
【0043】
特に明示のない限り、「セロトニン媒介性の有害効果」という用語は、末梢5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)のレベルの増大に起因する有害効果を表す。
【0044】
特に明示のない限り、化合物の「立体異性体的に豊富な組成物」という用語は、特定の化合物をその立体異性体(複数可)よりも多く含有する、特定の化合物とその立体異性体(複数可)との混合物を表す。例えば、(S)−ブタン−2−オールの立体異性体的に豊富な組成物は、例えば約60/40、70/30、80/20、90/10、95/5及び98/2の比の(S)−ブタン−2−オールと、(R)−ブタン−2−オールとの混合物を包含する。
【0045】
特に明示のない限り、「立体異性体混合物」という用語は、ラセミ混合物、及び立体異性体的に豊富な混合物を包含する(例えば、R/S=30/70、35/65、40/60、45/55、55/45、60/40、65/35及び70/30)。
【0046】
特に明示のない限り、「立体異性体的に純粋である」という用語は、化合物の1つの立体異性体を含み、その化合物の他の立体異性体を実質的に含まない組成物を意味する。例えば、1つの立体中心を有する化合物の立体異性体的に純粋である組成物は、化合物の反対の立体異性体を実質的に含まない。2つの立体中心を有する化合物の立体異性体的に純粋である組成物は、化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的な立体異性体的に純粋である化合物は、約80重量%を超える化合物の1つの立体異性体と、約20重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含むか、約90重量%を超える化合物の1つの立体異性体と、約10重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含むか、約95重量%を超える化合物の1つの立体異性体と、約5重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含むか、約97重量%を超える化合物の1つの立体異性体と、約3重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含むか、又は約99重量%を超える化合物の1つの立体異性体と、約1重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含む。
【0047】
特に明示のない限り、「置換された」という用語は、化学構造又は部分を記載するために用いる場合は、その構造又は部分の誘導体を表し、ここで、1つ又は複数の水素原子は、アルコール、アルデヒド、アルコキシ、アルカノイルオキシ、アルコキシカルボニル、アルケニル、アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル)、アルキニル、アルキルカルボニルオキシ(−OC(O)アルキル)、アミド(−C(O)NH−アルキル−又は−アルキルNHC(O)アルキル)、アミジニル(−C(NH)NH−アルキル又は−C(NR)NH)、アミン(アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ等の第1級、第2級及び第3級のアミン)、アロイル、アリール、アリールオキシ、アゾ、カルバモイル(−NHC(O)O−アルキル−又は−OC(O)NH−アルキル)、カルバミル(例えば、CONH、並びにCONH−アルキル、CONH−アリール、及びCONH−アリールアルキル)、カルボニル、カルボキシル、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩化物、シアノ、エステル、エポキシド、エーテル(例えば、メトキシ、エトキシ)、グアニジノ、ハロ、ハロアルキル(例えば、−CCl、−CF、−C(CF)、ヘテロアルキル、ヘミアセタール、イミン(第1級及び第2級)、イソシアネート、イソチオシアネート、ケトン、ニトリル、ニトロ、酸素(すなわち、オキソ基を与える)、ホスホジエステル、スルフィド、スルホンアミド(例えばSONH)、スルホン、スルホニル(アルキルスルホニル、アリールスルホニル及びアリールアルキルスルホニルを含む)、スルホキシド、チオール(例えばスルフヒドリル、チオエーテル)並びに尿素(−NHCONH−アルキル−)(これらに限定されない)等の原子、化学的部分又は官能基で置換される。
【0048】
特に明示のない限り、化合物の「治療的に有効な量」は、疾患又は病態の治療又は管理において治療的利点を与えるのに、又は疾患又は病態に関連した1つ又は複数の症状を遅延又は最小にするのに十分な量である。化合物の治療的に有効な量は、疾患又は病態の治療又は管理に治療的利点を与える、治療剤の単独の又は他の療法を併用した量を意味する。「治療的に有効な量」という用語は、療法全体を改善させるか、疾患若しくは病態の症状若しくは病因を軽減又は回避するか、又は別の治療剤の治療的有効性を高める量を包含することができる。
【0049】
特に明示のない限り、「TPH1_IC50」という用語は、以下の実施例に記載されるin vitro阻害アッセイを用いて求められるようなTPH1に対する化合物のIC50である。
【0050】
特に明示のない限り、「TPH2_IC50」という用語は、以下の実施例に記載されるin vitro阻害アッセイを用いて求められるようなTPH2に対する化合物のIC50である。
【0051】
特に明示のない限り、「治療する(treat)」、「治療している(treating)」及び「治療(treatment)」という用語は、患者が特定の疾患又は障害を患っている間に行う処置を意図し、これによって疾患若しくは障害の重症度、又は1つ若しくは複数のその症状が軽減されるか、又は疾患若しくは障害の進行が遅延又は減速する。
【0052】
特に明示のない限り、「挙げられる(複数形)(include)」という用語は、「挙げられる(include)」と同じ意味を有し、「挙げられる(単数形)(includes)」という用語は、「挙げられるが、限定されない」と同じ意味を有する。同様に、「等」という用語は、「等(限定されない)」と同じ意味を有する。
【0053】
特に明示のない限り、一連の名詞の直前にくる1つ又は複数の形容詞は、それぞれの名詞を修飾するものとして解釈される。例えば、「必要に応じて置換されたアルキル、アリール又はヘテロアリール」という語句は、「必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリール又は必要に応じて置換されたヘテロアリール」と同じ意味を有する。
【0054】
より大きい化合物部分を形成する化学的部分は、単一分子として存在する場合に一般的に指す名称、又はその基を一般的に指す名称を用いて本明細書に記載され得ることに留意すべきである。例えば、「ピリジン」及び「ピリジル」という用語は、他の化学的部分と結合する部分を記載するのに用いる場合に、同じ意味を表す。したがって、「XOH(式中、Xはピリジルである)」及び「XOH(式中、Xはピリジンである)」という2つの語句は同じ意味を表し、ピリジン−2−オール、ピリジン−3−オール及びピリジン−4−オールの化合物を包含する。
【0055】
構造の立体化学、又は構造の一部分が例えば太線又は破線で示されない場合、構造又は構造の一部分はその全ての立体異性体を包含すると解釈されることに留意すべきである。同様に、キラル中心の立体化学が指定されていない1つ又は複数のキラル中心を有する化合物の名称は、その純粋な立体異性体及びそれらの混合物を包含する。さらに、図で示された満足な原子価を有しない任意の原子はこの原子価を満たすのに十分な水素原子と結合すると推測される。さらに、一本の破線に平行して一本の実線で示された化学結合は、原子価が許容される場合、単結合及び二重(例えば、芳香族)結合の両方を包含する。
【0056】
5.2.化合物
本発明の特定の実施形態は、トリプトファンヒドロキシラーゼ(TPH)を阻害することができる化合物を利用する。好ましい化合物は強力なTPH1阻害剤である。強力なTPH1阻害剤の例は、特許文献1に開示されている。
【0057】
特定の実施形態は、式I:
【0058】
【化2】

【0059】
(式中、Aは必要に応じて置換されたシクロアルキル、アリール、又は複素環であり、Xは結合、−O−、−S−、−C(O)−、−C(R)=、=C(R)−、−C(R)−、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−C(R)N(R)−、−N(R)C(R)−、−ONC(R)−、−C(R)NO−、−C(R)O−、−OC(R)−、−S(O)−、−S(O)N(R)−、−N(R)S(O)−、−C(R)S(O)−、又は−S(O)C(R)−であり、Dは必要に応じて置換されたアリール又は複素環であり、Rは水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール、若しくは複素環であり、Rは水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール、若しくは複素環であり、Rは水素、アルコキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、又は必要に応じて置換されたアルキルであり、Rは水素、アルコキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、又は必要に応じて置換されたアルキル若しくはアリールであり、各Rは独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル若しくはアリールであり、nは0〜3である)の化合物及びその薬学的に許容される塩を利用する。
【0060】
特定の化合物は、式I(A):
【0061】
【化3】

【0062】
を有する。
【0063】
他のものとしては、式II:
【0064】
【化4】

【0065】
(式中、Aは必要に応じて置換されたシクロアルキル、アリール、又は複素環であり、Xは結合、−O−、−S−、−C(O)−、−C(R)=、=C(R)−、−C(R)−、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−C(R)N(R)−、−N(R)C(R)−、−ONC(R)−、−C(R)NO−、−C(R)O−、−OC(R)−、−S(O)−、−S(O)N(R)−、−N(R)S(O)−、−C(R)S(O)−、又は−S(O)C(R)−であり、Dは必要に応じて置換されたアリール又は複素環であり、Eは必要に応じて置換されたアリール又は複素環であり、Rは水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール、若しくは複素環であり、Rは水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール、若しくは複素環であり、Rは水素、アルコキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、又は必要に応じて置換されたアルキルであり、Rは水素、アルコキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、又は必要に応じて置換されたアルキル若しくはアリールであり、Rは水素又は必要に応じて置換されたアルキル若しくはアリールであり、nは0〜3である)及びその薬学的に許容される塩を有する。
【0066】
特定の化合物は、式II(A):
【0067】
【化5】

【0068】
を有する。
【0069】
本明細書に開示された式(例えば、式I、式I(A)、式II及び式II(A))に関して、特定の化合物としては、式中、Aが必要に応じて置換されたシクロアルキル(例えば、6員環及び5員環)であるものが挙げられる。幾つかでは、Aは必要に応じて置換されたアリール(例えば、フェニル又はナフチル)である。他では、Aは必要に応じて置換された複素環(例えば、6員環及び5員環)である。6員環の複素環の例としては、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、及びトリアジンが挙げられる。5員環の複素環の例としては、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール、チオフェン、及びフランが挙げられる。幾つかの化合物では、Aは芳香族である。他の化合物では、Aは芳香族ではない。幾つかの化合物では、Aは必要に応じて置換された二環式部分(例えば、インドール、イソインドール、ピロロピリジン、又はナフチレン(napthylene))である。
【0070】
特定の化合物は、式:
【0071】
【化6】

【0072】
(式中、A及びAのそれぞれは独立して、単環の必要に応じて置換されたシクロアルキル、アリール、又は複素環である)を有する。この式によって包含される化合物としては、式中、A及び/又はAが必要に応じて置換されたシクロアルキル(例えば、6員環及び5員環)であるものが挙げられる。幾つかでは、A及び/又はAは必要に応じて置換されたアリール(例えば、フェニル又はナフチル)である。他では、A及び/又はAは必要に応じて置換された複素環(例えば、6員環及び5員環)である。6員環の複素環の例としては、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、及びトリアジンが挙げられる。5員環の複素環の例としては、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール、チオフェン、及びフランが挙げられる。幾つかの化合物では、A及び/又はAは芳香族である。他の化合物では、A及び/又はAは芳香族ではない。
【0073】
本明細書に開示された式に関して、特定の化合物としては、式中、Dが必要に応じて置換されたアリール(例えば、フェニル又はナフチル)であるものが挙げられる。他では、Dは必要に応じて置換された複素環(例えば、6員環及び5員環)である。6員環の複素環の例としては、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、及びトリアジンが挙げられる。5員環の複素環の例としては、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール、チオフェン、及びフランが挙げられる。幾つかの化合物では、Dは芳香族である。他の化合物では、Dは芳香族ではない。幾つかの化合物では、Dは必要に応じて置換された二環式部分(例えば、インドール、イソインドール、ピロロピリジン、又はナフチレン)である。
【0074】
本明細書に開示される様々な式に関して、特定の化合物としては、式中、Eが必要に応じて置換されたアリール(例えば、フェニル又はナフチル)であるものが挙げられる。他では、Eは必要に応じて置換された複素環(例えば、6員環及び5員環)である。6員環の複素環の例としては、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、及びトリアジンが挙げられる。5員環の複素環の例としては、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール、チオフェン、及びフランが挙げられる。幾つかの化合物では、Eは芳香族である。他の化合物では、Eは芳香族ではない。幾つかの化合物では、Eは必要に応じて置換された二環式部分(例えば、インドール、イソインドール、ピロロピリジン、又はナフチレン)である。
【0075】
本明細書に開示される様々な式に関して、特定の化合物としては、式中、Rが水素又は必要に応じて置換されたアルキルであるものが挙げられる。
【0076】
幾つかでは、Rは水素又は必要に応じて置換されたアルキルである。
【0077】
幾つかでは、nは1又は2である。
【0078】
幾つかでは、Xは結合又はSである。他では、Xは−C(R)=、=C(R)−、−C(R)−、−C(R)=C(R)−、又は−C≡C−であり、例えばRは独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキルである。他では、Xは−O−、−C(R)O−、又は−OC(R)−であり、例えばRは水素又は必要に応じて置換されたアルキルであり、Rは水素又は必要に応じて置換されたアルキルである。幾つかでは、Rは水素であり、Rはトリフルオロメチルである。幾つかの化合物では、Xは−S(O)−、−S(O)N(R)−、−N(R)S(O)−、−C(R)S(O)−、又は−S(O)C(R)−であり、例えばRは水素又は必要に応じて置換されたアルキルであり、Rは水素又は必要に応じて置換されたアルキルであり、Rは水素又は必要に応じて置換されたアルキルである。他の化合物では、Xは−N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−C(R)N(R)−、又は−N(R)C(R)−であり、例えばRは水素又は必要に応じて置換されたアルキルであり、Rは水素又は必要に応じて置換されたアルキルであり、各Rは独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキルである。
【0079】
他の化合物は、式:
【0080】
【化7】

【0081】
(式中、例えばRはトリフルオロメチルである)を有する。他は、式:
【0082】
【化8】

【0083】
(式中、例えばRは水素である)によって包含される。
【0084】
幾つかの化合物は、式:
【0085】
【化9】

【0086】
(式中、Z、Z、Z及びZのそれぞれは独立して、N又はCRであり、各Rは独立して、水素、シアノ、ハロゲン、OR、NR、アミノ、ヒドロキシル、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、各Rは独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、各Rは独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、各Rは独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、mは1〜4である)によって包含される。或る特定のこのような化合物は、式:
【0087】
【化10】

【0088】
を有する。他のものとしては、式:
【0089】
【化11】

【0090】
(式中、例えばRはトリフルオロメチルである)を有する。他のものとしては、式:
【0091】
【化12】

【0092】
(式中、例えばRは水素である)を有する。
【0093】
上記の様々な式に関して、幾つかの化合物は、Z、Z、Z及びZの全てがNであるようなものである。他の化合物では、Z、Z、Z及びZのうちの3つだけがNである。他の化合物では、Z、Z、Z及びZのうちの2つだけがNである。他の化合物では、Z、Z、Z及びZのうちの1つだけがNである。他の化合物では、Z、Z、Z及びZのいずれもがNではない。
【0094】
幾つかの化合物は、式:
【0095】
【化13】

【0096】
(式中、Z’、Z’及びZ’のそれぞれは独立して、N、NH、S、O又はCRであり、各Rは独立して、アミノ、シアノ、ハロゲン、水素、OR、SR、NR、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、各Rは独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、各Rは独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、各Rは独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、pは1〜3である)を有する。或る特定のこのような化合物は、式:
【0097】
【化14】

【0098】
を有する。他のものとしては、式:
【0099】
【化15】

【0100】
(式中、例えばRはトリフルオロメチルである)を有する。他のものとしては、式:
【0101】
【化16】

【0102】
(式中、例えばRは水素である)を有する。
【0103】
上記の様々な式に関して、幾つかの化合物は、Z’、Z’及びZ’の全てがN又はNHであるようなものである。他の化合物では、Z’、Z’及びZ’のうちの2つだけがN又はNHである。他の化合物では、Z’、Z’及びZ’のうちの1つだけがN又はNHである。他の化合物では、Z’、Z’及びZ’のいずれもがN又はNHではない。
【0104】
幾つかの化合物は、式:
【0105】
【化17】

【0106】
(式中、Z’’、Z’’、Z’’及びZ’’のそれぞれは独立して、N又はCR10であり、各R10は独立して、アミノ、シアノ、ハロゲン、水素、OR11、SR11、NR1213、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、各R11は独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、各R12は独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、各R13は独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環である)によって包含される。或る特定のこのような化合物は、式:
【0107】
【化18】

【0108】
を有する。他のものとしては、式:
【0109】
【化19】

【0110】
(式中、例えばRはトリフルオロメチルである)を有する。他のものとしては、式:
【0111】
【化20】

【0112】
(式中、例えばRは水素である)を有する。
【0113】
上記の様々な式に関して、幾つかの化合物は、Z’’、Z’’、Z’’及びZ’’の全てがNであるようなものである。他の化合物では、Z’’、Z’’、Z’’及びZ’’のうちの3つだけがNである。他の化合物では、Z’’、Z’’、Z’’及びZ’’のうちの2つだけがNである。他の化合物では、Z’’、Z’’、Z’’及びZ’’のうちの1つだけがNである。他の化合物では、Z’’、Z’’、Z’’及びZ’’のいずれもがNではない。
【0114】
幾つかの化合物は、式:
【0115】
【化21】

【0116】
(式中、Z’’、Z’’、Z’’及びZ’’のそれぞれは独立して、N又はCR10であり、各R10は独立して、アミノ、シアノ、ハロゲン、水素、OR11、SR11、NR1213、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、各R11は独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、各R12は独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、各R13は独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環である)を有する。或る特定のこのような化合物は、式:
【0117】
【化22】

【0118】
を有する。他のものとしては、式:
【0119】
【化23】

【0120】
(式中、例えばRはトリフルオロメチルである)を有する。他のものとしては、式:
【0121】
【化24】

【0122】
(式中、例えばRは水素である)を有する。
【0123】
上記の様々な式に関して、幾つかの化合物は、Z’’、Z’’、Z’’及びZ’’の全てがNであるようなものである。他の化合物では、Z’’、Z’’、Z’’及びZ’’のうちの3つだけがNである。他の化合物では、Z’’、Z’’、Z’’及びZ’’のうちの2つだけがNである。他の化合物では、Z’’、Z’’、Z’’及びZ’’のうちの1つだけがNである。他の化合物では、Z’’、Z’’、Z’’及びZ’’のいずれもがNではない。
【0124】
幾つかは、式:
【0125】
【化25】

【0126】
を有し、この置換基は本明細書中で定義される。他のものとしては、式:
【0127】
【化26】

【0128】
を有し、この置換基は本明細書中で定義される。他のものとしては、式:
【0129】
【化27】

【0130】
を有し、この置換基は本明細書中で定義される。他のものとしては、式:
【0131】
【化28】

【0132】
を有し、この置換基は本明細書中で定義される。
【0133】
本明細書に開示される様々な式に関して、特定の化合物としては、式中、A及びEの両方が必要に応じて置換されたフェニルであり、例えばXが−O−、−C(R)O−、又は−OC(R)−であり、例えばRが水素であり、Rがトリフルオロメチルであり、例えばnが1であるようなものが挙げられる。
【0134】
本発明は、立体異性体的に純粋である化合物、及びそれらの立体異性体的に豊富な組成物を包含する。立体異性体は、キラルカラム、キラル分割剤又は酵素分割等の標準的な技法を用いて非対称に合成又は分割され得る。例えば、Jacques, J., et al.著Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley Interscience, New York, 1981)、Wilen, S. H., et al.著Tetrahedron(33: 2725(1977))、Eliel, E. L.著Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw Hill, NY, 1962)、及びWilen, S. H.著Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268(E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。
【0135】
本発明の特定の化合物は、強力なTPH1阻害剤である。特定の化合物は、TPH1_IC50が約10μM、5μM、2.5μM、1μM、0.75μM、0.5μM、0.4μM、0.3μM、0.2μM、0.1μM又は0.05μM未満である。
【0136】
特定の化合物は、選択的TPH1阻害剤である。特定の化合物は、TPH1_IC50がTPH2_IC50の約10、25、50、100、250、500又は1000分の1である。
【0137】
特定の化合物は、ヒトチロシンヒドロキシラーゼ(TH)を有意に阻害しない。例えば、特定の化合物は、THに対するIC50が約100μM、250μM、500μM又は1000μMを超える。
【0138】
特定の化合物は、ヒトのフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)を有意に阻害しない。例えば、特定の化合物は、PAHに対するIC50が約100μM、250μM、500μM又は1000μMを超える。
【0139】
本発明の特定の化合物は、アンギオテンシン変換酵素、エリスロポイエチン(EPO)レセプタ、第IX因子、第XI因子、インテグリン(例えば、α4)、イソオキサゾリン又はイソオキサゾールフィブリノゲンレセプタ、メタロプロテアーゼ、中性エンドペプチダーゼ(NEP)、ホスファターゼ(例えば、チロシンホスファターゼ)、ホスホジエステラーゼ(例えば、PDE−4)、ポリメラーゼ、PPARγ、TNF−α、血管細胞接着分子−1(VCAM−1)、又はビトロネクチンレセプタの1つ又は複数と有意に結合(例えば、約10μM、25μM、50μM、100μM、250μM、500μM、750μM又は1000μMを超えるIC50で阻害)しない。これらの標的のいずれかと結合(例えば阻害)する化合物の能力は、上記の参考文献に記載されたように、当該技術分野で既知の方法を用いて容易に求めることができる。本発明の特定の化合物は細胞接着を阻害しない。
【0140】
哺乳動物(例えば、マウス、ラット、イヌ、サル又はヒト)に投与する場合、本発明の或る特定の化合物は、血液脳関門を容易には通らない(例えば、血中、約5%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%又は0.01%未満の化合物が脳に移行する)。化合物が血液脳関門を通ることができるか又はできないかは、当該技術分野で既知の方法によって求めることができる。例えば、Riant, P. et al., Journal of Neurochemistry 51: 421-425(1988)、Kastin, A. J., Akerstrom, V., J. Pharmacol. Exp. Therapeutics 294: 633-636(2000)、W. A. Banks, W.A., et al., J. Pharmacol. Exp. Therapeutics 302: 1062-1069(2002)を参照されたい。
【0141】
5.3.化合物の合成
本発明の化合物は、当該技術分野で既知の方法によって、及び本明細書に記載の方法によって調製することができる。
【0142】
例えば、式Iを参照して、Eがフェニルであり、Dが必要に応じて置換されたピラジン、ピリジアジン、ピリジン又はフェニルである化合物は、スキーム1:
【0143】
【化29】

【0144】
(スキーム中、例えば
【0145】
【化30】

【0146】
は、
【0147】
【化31】

【0148】
である)で示される方法によって一般的に調製することができる。
【0149】
Xが−OCR−である化合物は、スキーム2:
【0150】
【化32】

【0151】
(スキーム中、例えばAは必要に応じて置換されたフェニル、ビフェニル又はナフチル(napthyl)である)で示される方法を用いて一般的に調製することができる(この化合物においてRはCFであり、Dはピリミジンである)。
【0152】
本発明の化合物は、以下のスキーム3:
【0153】
【化33】

【0154】
(スキーム中、PはR又は保護基であり、Pは保護基であり、PはOR又は保護基であり、X’は例えば、O又はNであり、Y及びYはハロゲン(例えば、Br、Cl)又は適切な擬ハロゲン化物(例えば、トリフラート)であり、各R’は独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール若しくは複素環であるか、又は結合する酸素原子と合わせて、環状ジオキサボロラン(例えば、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)を提供する)で示されたアプローチを用いても調製することができる。A基、R基、R基、R基、R基及びm基は本明細書の他の場所で定義されている。Z’’部分、Z’’部分、Z’’部分及びZ’’部分も本明細書でも定義されているが、上記のスキームに関して、これらの1つがフェニル環と結合することを理解するべきである。例えば、Z’’及びZ’’は独立してCR10であり得る一方で(本明細書で定義される)、Z’’はNであり、Z’’は隣接したフェニル環と結合した炭素原子である。
【0155】
上記で示された個々の反応は、当該技術分野で既知の条件を用いて行うことができる。例えば、パラジウム触媒、並びにホウ素及びハロゲン含有部分の鈴木カップリングに好適な条件が既知であり、例が以下で与えられる。さらに、保護基の種類及び適切な使用が既知であり、これらの除去方法及び水素等(これに限定されない)の部分への置換方法(例えば、酸性又は塩基性条件下での加水分解)も既知である。
【0156】
A部分は二環式(例えば、必要に応じて置換されたビフェニル)であり得る。このような場合、Aを含有する出発材料は、以下:
【0157】
【化34】

【0158】
(式中、Yはハロゲン又は擬ハロゲンであり、各Rは独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール若しくは複素環であるか、又は結合する酸素原子と合わせて、環状ジオキサボロラン(例えば、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)を提供する)で示されるように調製することができる。
【0159】
Dが必要に応じて置換されたピリミジン又はトリアジンである化合物の調製に対する別のアプローチは、以下のスキーム4:
【0160】
【化35】

【0161】
(スキーム中、例えばXはN、O又はSであり、FGは以下のように定義される:Eが必要に応じて置換されたフェニルである場合、FGはB(OH)であり、Eが
【0162】
【化36】

【0163】
である場合、FGは
【0164】
【化37】

【0165】
であり、Eが
【0166】
【化38】

【0167】
である場合、FGはHである)で示される。
【0168】
本発明のこれらの化合物及び他の化合物のエステル誘導体は、以下のスキーム5(スキーム中、Eは必要に応じて置換されたフェニルである):
【0169】
【化39】

【0170】
で示されるような方法を用いて容易に調製することができる。
【0171】
トリアジン系化合物の調製に対する代替アプローチは、以下のスキーム6:
【0172】
【化40】

【0173】
で示される。
【0174】
環状部分Dは、本発明の化合物に容易に組み込まれる任意の様々な構造であり得る。例えば、Dがオキサゾールである化合物は、以下のスキーム7:
【0175】
【化41】

【0176】
で示されるように調製することができる。
【0177】
当該技術分野で既知の方法を用いて、上記に示す合成アプローチは、広範な化合物を得るように容易に修正される。例えば、キラルクロマトグラフィ及び当該技術分野で既知の他の技法は、最終生成物の立体異性体を単離するために用いられ得る。例えば、Jacques, J., et al.著Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley Interscience, New York, 1981)、Wilen, S . H., et al.著Tetrahedron(33: 2725 (1977))、Eliel, E. L.著Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw Hill, NY, 1962)、及びWilen, S. H.著Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268 (E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。さらに、上記のスキームの幾つかで示されるように、合成にはキラル出発材料が利用され、立体異性体的に豊富な生成物、又は立体異性体的に純粋である生成物を得ることができる。
【0178】
5.4.使用方法
本発明は、1つ又は複数の薬剤の投与に関連する、1つ又は複数のセロトニン媒介性の有害作用を軽減及び/又は緩和する方法を包含する。特定の方法は、セロトニン媒介性の有害作用を軽減又は緩和するのに十分な量のTPH阻害剤(例えば強力なTPH1阻害剤)を、それを必要とする患者に投与することを含む。
【0179】
セロトニン媒介性の有害作用の例としては、心臓血管及び胃腸管(GI)の有害作用が挙げられる。心臓血管の有害作用としては、血管(例えば肺内)及び心臓弁への損傷等の心臓及び肺の損傷が挙げられる。かかる損傷は、必ずしもそうとは限らないが、肺高血圧症及び心臓弁障害(lesions)を引き起こし得る。胃腸管の有害作用としては、GIの不快感及びGI痛と、腸運動の不良(motility and immotility)が挙げられる。
【0180】
一実施形態において、セロトニン媒介性の有害作用は、モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤に関連する。別の実施形態では、これは、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)に関連する。別の実施形態では、これは、トリプタンに関連する。別の実施形態では、これは、MAO阻害剤、SSRI、及び/又はトリプタンの少なくとも2つの組合せに関連する。
【0181】
MAO阻害剤の例としては、ブロファロミン、デクスフェンフルラミン、イソカルボキサジド(isocarboxazide)、イソニアジド、イプロニアジド、フェンフルラミン、モクロベミド、フェネルジン、プソイドエフェドリン、セレギリン、トロキサトン、又はトラニルシプロミン、及びそれらの薬学的に許容される塩、並びにそれらの薬理学的に活性のある立体異性体及び代謝体が挙げられる。
【0182】
SSRIの例としては、アミトリプチリン、シタロプラム、ドキセピン、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、ノルフルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、ベンラファキシン、又はジメリジン、及びそれらの薬学的に許容される塩、並びにそれらの薬理学的に活性のある立体異性体及び代謝体が挙げられる。
【0183】
トリプタンの例としては、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、又はゾルミトリプタン、及びそれらの薬学的に許容される塩、並びにそれらの薬理学的に活性のある立体異性体及び代謝体が挙げられる。
【0184】
TPH阻害剤の投与用量及び投与方法は、当業者が容易に決定することができる。例えば、セロトニン媒介性の有害作用の重症度が縮小するまで、阻害剤を滴定することができる。代替的に、血中5−HTレベルは、直接測定し、投与されるTPH阻害剤の量に関連付けることができる。
【0185】
5.5.薬学的組成物
本発明はTPH阻害剤(例えば強力なTPH1阻害剤)と、患者(例えばヒト)に投与すると末梢セロトニンのレベル又は分布に作用し得る、少なくとも1つの他の薬学的活性成分とを含む薬学的組成物を包含する。特定の組成物は、TPH阻害剤と、MAO阻害剤、SSRI、及び/又はトリプタンの少なくとも1つとを含む。
【0186】
或る特定の薬学的組成物は、患者への経口、経粘膜(例えば鼻、舌下、膣、口腔、又は直腸)、非経口(例えば皮下、静脈内、ボーラス注入、筋肉内、又は動脈内)、又は経皮投与に好適な単一の単位剤形である。剤形の例としては、限定されるものではないが、錠剤;キャプレット;軟ゼラチンカプセル等のカプセル;カシェ(cachets:カプセル);トローチ;ロゼンジ;分散液;坐剤;軟膏;パップ(湿布);ペースト;粉末;包帯剤;クリーム;硬膏;溶液;パッチ;エアロゾル(例えば経鼻スプレー又は吸入器);ジェル;懸濁液(例えば水性又は非水性の液体懸濁液、水中油型エマルジョン、又は油中水型エマルジョン)、溶液、及びエリキシルを含む患者への経口投与又は経粘膜投与に好適な液体剤形;患者への非経口投与に好適な液体剤形;並びに再構成して患者への非経口投与に好適な液体剤形を提供することができる滅菌固体(例えば結晶性又は非結晶性の固体)が挙げられる。
【0187】
製剤は、投与方式に合わせる必要がある。例えば、胃で分解しやすい化合物の経口投与は、腸溶性コーティングを用いて達成され得る。同様に、製剤は作用部位への活性成分(複数可)の送達を容易にする成分を含有し得る。例えば、化合物は、分解酵素から保護し、循環系における輸送を容易にし、細胞膜を通るこれらの送達に影響させるために、リポソーム製剤で投与され得る。
【0188】
同様に、難溶性化合物は、可溶化剤、乳化剤及びシクロデキストリン(例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、Captisol(登録商標)、及びEncapsin(商標)(例えば、Davis及びBrewster, Nat. Rev. Drug Disc. 3: 1023-1034 (2004)を参照されたい))(これらに限定されない)等の界面活性剤、Labrasol(登録商標)、Labrafil(登録商標)、Labrafac(登録商標)、cremafor、並びにエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、生体適合性油(例えば、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、及びこれらの混合物(例えば、DMSO:トウモロコシ油)(これらに限定されない)等の非水性溶媒を用いて、液体投与形態(及び再構成に最適な投与形態)に組み込むことができる。
【0189】
難溶性化合物は、当該技術分野で既知の他の技法を用いても懸濁液に組み込むことができる。例えば、ナノ粒子の化合物を液体に懸濁させ、ナノ懸濁液を与えることができる(例えば、Rabinow, Nature Rev. Drug Disc. 3: 785-796 (2004)を参照されたい)。本明細書に記載のナノ粒子形態の化合物は、米国特許出願公開第2004−0164194号明細書、同第2004−0195413号明細書、同第2004−0251332号明細書、同第2005−0042177号明細書、同第2005−0031691号明細書、及び米国特許第5,145,684号明細書、同第5,510,118号明細書、同第5,518,187号明細書、同第5,534,270号明細書、同第5,543,133号明細書、同第5,662,883号明細書、同第5,665,331号明細書、同第5,718,388号明細書、同第5,718,919号明細書、同第5,834,025号明細書、同第5,862,999号明細書、同第6,431,478号明細書、同第6,742,734号明細書、同第6,745,962号明細書(これらの全体がそれぞれ、参照により本明細書に援用される)に記載の方法によって調製され得る。一実施形態では、ナノ粒子形態は、平均粒径が約2000nm未満、約1000nm未満、又は約500nm未満である粒子を含む。
【0190】
剤形の組成、形状、及び種類は、典型的には用途に応じて異なる。例えば、疾患の急性期治療に用いる剤形は、1つ又は複数の活性成分を、同一疾患の慢性期治療に用いる剤形よりも多量に含有することができる。同様に、非経口剤形は、1つ又は複数の活性成分を、同一疾患を治療するために用いる経口剤形よりも少量含有することができる。このような違いを説明する方法は、当業者には明らかである。例えば「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第18版、Mack Publishing, Easton PA(1990)を参照されたい。
【0191】
5.5.1.経口剤形
経口投与に好適な本発明の薬学的組成物は、錠剤(例えばチュアブル錠)、キャプレット、カプセル、及び液体(例えば香りのするシロップ)(これらに限定されない)等の個別の剤形として提供することができる。このような剤形は所定量の活性成分を含有し、当業者に既知の製薬法によって調製することができる。一般に、「レミントンの薬学」、第18版、Mack Publishing, Easton PA(1990)を参照されたい。
【0192】
典型的な経口剤形は、慣用の薬学的配合技法に従い、密接な混合剤中で活性成分(複数可)を少なくとも1つの賦形剤と組み合わせることによって調製する。賦形剤は、投与に望ましい製剤の形態に応じて広範な形態を取ることができる。
【0193】
投与のしやすさのため、錠剤及びカプセルが最も有益な経口単位剤形である。所望であれば、錠剤は、標準の水性又は非水性技法によってコーティングすることができる。このような剤形は、慣用の製薬法でも調製することができる。一般に、薬学的組成物及び剤形は、活性成分を液体担体、微粉固体担体、又は両方と均一且つ密接に混合し、次に生成物を必要に応じて所望の形状にすることによって調製する。崩壊剤は、固体剤形に組み込み、迅速な溶解を容易にすることができる。また、滑沢剤を組み込んで、剤形(例えば錠剤)の調製を容易にすることができる。
【0194】
5.5.2.非経口剤形
非経口剤形は、皮下、静脈内(ボーラス注入を含む)、筋肉内、及び動脈内を含むさまざまな経路によって患者に投与することができる。典型的には汚染物質に対する患者の自然の防御を介さずに投与するため、非経口剤形は特に滅菌されているか、又は患者に投与する前に滅菌可能である。非経口剤形の例としては、すぐに注入できる溶液、注入のために薬学的に許容されるビヒクルにすぐに溶解又は懸濁できる乾燥産物、すぐに注入できる懸濁液、及びエマルジョンが挙げられる。
【0195】
本発明の非経口剤形を提供するために用いることができる好適なビヒクルは、当業者に既知である。例としては、注射用水USP;塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、及び乳酸加リンゲル液等の水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等の水混和性ビヒクル;並びにトウモロコシ油、綿実油、ラッカセイ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジル等の非水性ビヒクルが挙げられる。
【実施例】
【0196】
6.実施例
6.1.tph1遺伝子破壊マウスの生成
マウスTPH1遺伝子のエキソン3は、基本的にWattler et al.(Biotechniques 26(6): 1150-6 (1999))によって記載されたような遺伝子標的化によって取り除かれた。得られたノックアウト動物は、脳において正常なTPH活性を示したが、腸において劇的にTPH発現が低減した。
【0197】
6.2.tph1遺伝子破壊の生理学的影響
tph1の破壊に関して同型(−/−)のマウスを、野生型(+/+)同腹子と共に、遺伝子の破壊に関して異型(+/−)のマウスと併せて研究した。この分析の間、哺乳動物被験体における主要な組織系の機能を評価するように設計された、一連の統合された医学的診断手法を用いて、マウスを医学的に精密検査した。記載の数で、異型(+/−)及び野生型(+/+)の同腹子と併せて同型(−/−)ノックアウトマウスを研究することによって、より信頼性及び再現性のあるデータが得られた。
【0198】
tph1遺伝子の破壊は主にTPHのGI管アイソフォーム(TPH1)に影響し、TPHの脳アイソフォーム(TPH2)にはほとんど又は全く影響しなかった。遺伝子の破壊は、中枢神経系において測定可能な悪影響を引き起こさなかった。このことは、セロトニン免疫化学によって確認され、これによってセロトニンが胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸及び結腸で大きく低減したか、又は存在しなかったのに対し、縫線ニューロンではセロトニンレベルは影響を受けなかったことが示された。
【0199】
tph1遺伝子の破壊に関して同型(−/−)のマウスは、出血又は他の悪い兆候の有意な増大なく、血栓症を低減させた。
【0200】
6.3.HPLC特徴付け
以下の幾つかの合成例において、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)の保持時間が与えられる。特に明示のない限り、これらの保持時間を得るのに用いられる様々な条件は、以下に示される:
方法A:YMC−PACK ODS−A 3.0×50mm;溶媒A=90%水、10%MeOH、0.1%TFA;溶媒B=90%MeOH、10%水、0.1%TFA;B% 4分で0%〜100%;流量=2ml/分;観測波長=220nm。
方法B:YMC−PACK ODS−A 3.0×50mm;溶媒A=90%水、10%MeOH、0.1%TFA;溶媒B=90%MeOH、10%水、0.1%TFA;%B 4分で10%〜100%;流量=3ml/分;観測波長=220nm。
方法C:YMC−PACK ODS−A 3.0×50mm;溶媒A=90%水、10%MeOH、0.1%TFA;溶媒B=90%MeOH、10%水、0.1%TFA;B% 5分で0%〜100%;流量=2ml/分;観測波長=220nm。
方法D:Shim VP ODS 4.6×50mm;溶媒A=90%水、10%MeOH、0.1%TFA;溶媒B=90%MeOH、10%水、0.1%TFA;B% 4分で0%〜100%;流量=3ml/分;観測波長=220nm。
方法E:Shim VP ODS 4.6×50mm;溶媒A=90%水、10%MeOH、0.1%TFA;溶媒B=90%MeOH、10%水、0.1%TFA;B% 4分で0%〜100%;流量=3ml/分;観測波長=254nm。
方法F:YMC−PACK ODS−A 4.6×33mm;溶媒A=90%水、10%MeOH、0.1%TFA;溶媒B=90%MeOH、10%水、0.1%TFA;B% 4分で0%〜100%;流量=3ml/分;観測波長=220nm。
方法G:YMC−PACK ODS−A 4.6×50mm;溶媒A=90%水、10%MeOH、0.1%TFA;溶媒B=90%MeOH、10%水、0.1%TFA;B% 2分で0%〜100%;流量=2.5ml/分;観測波長=220nm。
方法H:C18 4.6×20mm;溶媒A=90%水、10%MeOH、0.1%TFA;溶媒B=90%MeOH、10%水、0.1%TFA;B% 2分で0%〜100%;流量=2ml/分;観測波長=220nm。
方法I:YMC−PACK ODS−A 3.0×50mm;溶媒A=90%水、10%MeOH、0.1%TFA;溶媒B=90%MeOH、10%水、0.1%TFA;B% 4分で10%〜100%;流量=2ml/分;観測波長=220nm。
方法J:YMC−PACK ODS−A 3.0×50mm;溶媒A=HO、0.1%TFA;溶媒B=MeOH、0.1%TFA;%B 4分で約10%〜約90%;流量=2ml/分;観測波長=220nm。
方法K:Sunfire C18 50mm×4.6mm×3.5μm;溶媒A=10mM NHOAc水溶液;溶媒B=MeCN;B% 2分で10%〜95%;流量=4.5ml/分.;観測波長=220nm。
方法L:Sunfire C18 50mm×4.6mm×3.5μm;溶媒A=10mM NHOAc;溶媒B=MeCN;B% 0.8分で2〜20%、次に2分で95%B;流量=4.5ml/分;観測波長=220nm。
方法M:YMC−PACK ODS−A 4.6×33mm;溶媒A=90%水、10%MeOH、0.1%TFA;溶媒B=90%MeOH、10%水、0.1%TFA;B% 5分で0%〜100%;流量=2.5ml/分;観測波長=254nm。
方法N:YMC−PACK ODS−A 3.0×50mm;溶媒A=HO、0.1%TFA;溶媒B=MeOH、0.1%TFA;B% 4分で10%〜90%;流量=2ml/分;観測波長=220nm及び254nm。
方法O:YMC−PACK ODS−A 3.0×50mm;溶媒A=90%水、10%MeOHと0.1%TFA;溶媒B=90%MeOH、10%水と0.1%TFA;B% 4分で0%〜100%;流量=2ml/分;観測波長=220nm及び254nm。
方法P:ShimPack VP ODS 4.6×50mm;溶媒A=90%HO、10%MeOH、1%TFA;溶媒B=10%HO、90%MeOH、1%TFA;B% 2分で0%〜100%;流量=3.5ml/分;観測波長=220nm及び254nm。
方法Q:Shim VP ODS 4.6×50mm;溶媒A=HOと0.1%TFA;溶媒B=MeOHと0.1%TFA;B% 4分で0%〜100%;流量=3ml/分;観測波長=254nm。
方法R:YMC−PACK ODS−A 4.6×33mm;溶媒A=HO、0.1%TFA;溶媒B=MeOHと0.1%TFA;B% 3分で10%〜90%;流量2ml/分;観測波長220nm及び254nm。
方法S:YMC−PACK ODS−A 3.0×50mm;溶媒A=90%HO、10%MeOH、1%TFA;溶媒B=10%HO、90%MeOH、1%TFA;B% 4分で10%〜90%;流量=2ml/分;観測波長=220nm及び254nm。
【0201】
6.4.(S)−2−アミノ−3−(4−(4−アミノ−6−((R)−1−(ナフタレン−2−イル)エチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0202】
【化42】

【0203】
2−アミノ−4,6−ジクロロ−[1,3,5]トリアジン(200mg、1.21mmol)と、(R)−(+)−1−(2−ナフチル)エチルアミン(207mg、1.21mmol)と、ジイソプロピル−エチルアミン(3.63mmol)との混合物を1,4−ジオキサン150mlに溶解した。溶液を90℃で3時間還流させた。反応(LCMSでモニタリング)終了後、溶媒を取り除き、反応混合物をCHCl(100ml)及びHO(100ml)で抽出した。有機層を分離し、HO(2×100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮させて、粗中間体を得た。粗化合物を20ml容のマイクロ波反応バイアル中のMeCN 5ml及びHO 5mlに溶解した。この溶液に、L−p−ボロノ−フェニルアラニン(253mg、1.21mmol)、炭酸ナトリウム(256mg、2.42mmol)及び触媒量のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(42.1mg、0.06mmol)を添加した。混合物に封をし、150℃で5分間マイクロ波リアクターで撹拌させた後、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、MeOH及びHO(1:1)に溶解し、MeOH/HO/TFA溶媒系を用いた調製HPLCによって精製した。組み合わせた純度の高い画分を真空下で蒸発させ、凍結乾燥機でさらに乾燥させて、238mgの2−アミノ−3−{4−[4−アミノ−6−(1−ナフタレン−2−イル)−エチルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−フェニル}−プロピオン酸を得た。(収率:46%、LC:カラム:YMC−PACK ODS−A 3.0×50mm、%B=0%〜100%、勾配時間=4分、流量=2ml/分、波長=220、溶媒A=90:10 水:MeOHと0.1%TFA、溶媒B=90:10 MeOH:水と0.1%TFA、RT=2.785分、MS:M+1=429)。NMR:H−NMR(400MHz,CDOD):δ1.65(d,3H)、3.22〜3.42(m,2H)、4.3(m,1H)、5.45(m,1H)、7.4(m,1H)、7.6(m,4H)、7.8(m,4H)、8.2(m,2H)。
【0204】
6.5.(S)−2−アミノ−3−(4−(4−アミノ−6−((R)−1−(ナフタレン−2−イル)エチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の代替合成
(R)−1−(1−(ナフタレン−2−イル)エチル)シアノグアニジンを、n−BuOH:HO(1:1)中でナフタレンアミン(1当量)と、二シアン化ナトリウム(0.95当量)、及びその後5NのHCl(1当量)との混合物を形成することによって調製した。混合物を160℃で1日、封管で還流させ、反応の進行をLCMSによってモニタリングした。反応終了後、溶媒(n−BuOH)を減圧下で取り除き、1NのHClを添加して、pHを3〜5の範囲に調節した。水溶液をEtOAc(2×100)で抽出し、組み合わせた有機相をNaSOで乾燥した。溶媒を真空下で取り除き、粗生成物を得た。溶媒系としてEtOAc:ヘキサン(7:3及び1:1)を用いたISCOカラムクロマトグラフィによって化合物を精製し、1g〜22.5g規模に対して48%〜71%の収率で白色固体を得た。NMR:H−NMR(400MHz,CDOD):δ1.5(d,3H)、5.1(m,1H)、7.5(m,4H)、7.8(s,1H)、7.9(m,2H);LCMS:RT1.69、M+1:239、収率:71%。
【0205】
スキーム6に示された方法に従って、表題の化合物を(R)−1−(1−(ナフタレン−2−イル)エチル)シアノグアニジンから調製した。
【0206】
6.6.(S)−2−アミノ−3−(4−(4−アミノ−6−((4’−メチルビフェニル−4−イル)メチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0207】
【化43】

【0208】
2−アミノ−4,6−ジクロロ−[1,3,5]トリアジン(100mg、0.606mmol)と、4’−メチル−ビフェニル−4−イル−メチルアミン(142mg、0.606mmol)と、炭酸セシウム(394mg、1.21mmol)との混合物を5ml容のマイクロ波バイアル中の1,4−ジオキサン(1.5ml)及びHO(1.5ml)に溶解した。混合物を100℃で15分間マイクロ波リアクターで撹拌した。溶媒を取り除き、残渣をCHCl(20ml)に溶解し、HO(2×20ml)で洗浄させ、NaSOで乾燥させた後、真空下で取り除いた。それから、粗中間体を5ml容のマイクロ波バイアル中のMeCN 1.5ml及びHO 1.5mlに溶解した。この溶液に、L−p−ボロノ−フェニルアラニン(126mg、0.606mmol)、炭酸ナトリウム(128mg、1.21mmol)及び触媒量のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(21.1mg、0.03mmol)を添加した。混合物に封をし、150℃で5分間、マイクロ波リアクターで撹拌した後、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、MeOH及びHO(1:1)に溶解し、MeOH/HO/TFA溶媒系を用いた調製HPLCによって精製した。組み合わせた純度の高い画分を真空下で蒸発させ、凍結乾燥機でさらに乾燥させて、21.6mgの2−アミノ−3−(4−{4−アミノ−6−[(4’−メチル−ビフェニル−4−イルメチル)−アミノ]−[1,3,5]トリアジン−2−イル}−フェニル)−プロピオン酸を得た(LC:カラム:YMC−PACK ODS−A、3.0×50mm、%B=0%〜100%、勾配時間=4分、流量=2ml/分、波長=220、溶媒A=90:10 水:MeOHと0.1%TFA、溶媒B=90:10 MeOH:水と0.1%TFA、RT=3.096分、MS:M+1=455)。H NMR(400MHz,CDOD)d2.33(s,3H)、3.24〜3.44(m,2H)、4.38(m,1H)、7.02(d,2H)、7.42(m,2H)、7.50〜7.60(m,6H)、8.22(m,2H)。
【0209】
6.7.(S)−2−アミノ−3−(4−(4−モルホリノ−6−(ナフタレン−2−イルメチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0210】
【化44】

【0211】
2,4−ジクロロ−6−モルホリン−4−イル−[1,3,5]トリアジン(121mg、0.516mmol)、C−ナフタレン−2−イル−メチルアミン塩酸塩(100mg、0.516mmol)と、炭酸セシウム(336mg、1.03mmol)との混合物を5ml容のマイクロ波バイアル中の1,4−ジオキサン(1.5ml)及びHO(1.5ml)に溶解した。混合物を180℃で600秒間マイクロ波リアクターで撹拌した。溶媒を取り除き、残渣をCHCl(10ml)に溶解し、HO(2×10ml)で洗浄させ、NaSOで乾燥させた後、真空下で取り除いた。残渣を調製HPLCによって精製し、20mgの中間体(収率11%、M+1=356)を得た。それから、中間体を2ml容のマイクロ波バイアル中のMeCN 0.5ml及びHO 0.5mlに溶解した。この溶液に、L−p−ボロノ−フェニルアラニン(11.7mg、0.0562mmol)、炭酸ナトリウム(11.9mg、0.112mmol)及び触媒量のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(2.0mg、5%)を添加した。混合物に封をし、150℃で5分間、マイクロ波リアクターで撹拌した後、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、MeOH及びHO(1:1)に溶解し、MeOH/HO/TFA溶媒系を用いた調製HPLCによって精製した。組み合わせた純度の高い画分を真空下で蒸発させ、凍結乾燥機でさらに乾燥させて、17mgの2−アミノ−3−(4−{4−モルホリン−4−イル−6−[(ナフタレン−2−イルメチル)−アミノ]−[1,3,5]トリアジン−2−イル}−フェニル)−プロピオン酸を得た(収率:63%、LC:方法B、RT=3.108分、MS:M+1=486)。
【0212】
6.8.(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0213】
【化45】

【0214】
フッ化テトラブチルアンモニウム(0.1ml、1.0Mのテトラヒドロフラン溶液)を、2−トリフルオロメチル−ベンズアルデヒド(1.74g、10mmol)及びトリフルオロメチルトリメチルシラン(TMSCF)(1.8ml、12mmol)のTHF溶液10mlに0℃で添加した。形成された混合物を室温まで温め、4時間撹拌した。それから、反応混合物を1NのHCl 12mlで処理し、一晩撹拌した。生成物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、2.2gの1−(2−トリフルオロメチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(収率90%)を得た。
【0215】
NaH(80mg、60%、3.0mmol)を、1−(2−トリフルオロメチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(244mg、1mmol)の無水THF溶液10mlに添加した。混合物を20分間撹拌し、2−アミノ−4,6−ジクロロ−ピリミジン(164mg、1mmol)を添加した後、反応混合物を70℃で1時間加熱した。冷却後、水5mlを添加し、酢酸エチル(20ml)を用いて、生成物を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータ(rotovap)によって取り除き、267mgの4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−トリフルオロメチルフェニル)−エトキシ]−ピリミジン−2−イルアミン(収率71%)を得た。
【0216】
マイクロ波バイアル中で、4−クロロ−2−アミノ−6−[1−(2−トリフルオロメチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン(33mg、0.1mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(31mg、0.15mmol)及びアセトニトリル1ml、水0.7ml、1Nの炭酸ナトリウム水溶液0.3ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を上記の溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波照射で150℃で5分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、調製LCによって精製し、5.6mgの2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(2−トリフルオロメチルフェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸を得た。H NMR(400MHz,CDOD)δ7.96(m,3H)、7.80(d,J=8.06Hz,1H)、7.74(t,J=7.91Hz,1H)、7.63(t,J=8.06Hz,1H)、7.41(d,J=8.3Hz,2H)、7.21(m,1H)、6.69(s,1H)、3.87(m,1H)、3.34(m,1H)、3.08(m,1H)。
【0217】
6.9.(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−p−トリルエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0218】
【化46】

【0219】
フッ化テトラブチルアンモニウム(0.1ml、1.0Mのテトラヒドロフラン溶液)を、4−メチル−ベンズアルデヒド(1.2g、10mmol)及びTMSCF(1.8ml、12mmol)のTHF溶液10mlに0℃で添加した。形成された混合物を室温まで温め、4時間撹拌した。それから、反応混合物を1NのHCl 12mlで処理し、一晩撹拌した。生成物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、1.6gの1−(4−メチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(収率86%)を得た。
【0220】
NaH(80mg、60%、3.0mmol)を、1−(4−メチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(190mg、1mmol)の無水THF溶液10mlに添加した。混合物を20分間撹拌し、2−アミノ−4,6−ジクロロ−ピリミジン(164mg、1mmol)を添加した後、反応混合物を70℃で1時間加熱した。冷却後、水5mlを添加し、酢酸エチル(20ml)を用いて、生成物を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータによって取り除き、209mgの4−クロロ−6−[1−(4−メチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン−2−イルアミン(収率66%)を得た。
【0221】
4−クロロ−2−アミノ−6−[1−(4−メチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン(33mg、0.1mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(31mg、0.15mmol)、アセトニトリル1ml、水0.7mlをマイクロ波バイアルに入れた。炭酸ナトリウム水溶液(0.3ml、1N)、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を上記溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波で150℃に5分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、調製LCによって精製し、14.6mgの2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルフェニル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸を得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ7.94(d,J=8.20Hz,2H)、7.47(d,J=7.24Hz,4H)、7.27(d,J=8.01Hz,2H)6.80(s,1H)、6.75(m,1H)、4.30(t,1H)、3.21〜3.44(m,2H)、2.37(s,3H)。
【0222】
6.10.(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(1−シクロヘキシル−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0223】
【化47】

【0224】
シクロヘキサンカルバルデヒド(0.9g、5mmol)を1,4−ジオキサン水溶液10mlに溶解し、それに200mg(10mmol)の水素化ホウ素ナトリウムを添加した。反応を室温で一晩行った。反応終了後、10%HCl溶液5mlを添加し、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、0.8gの1−シクロヘキシル−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(収率88%)を得た。
【0225】
NaH(80mg、60%、3.0mmol)を、1−シクロヘキシル−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(182mg、1mmol)の無水THF溶液10mlに添加し、混合物を20分間撹拌して、2−アミノ−4,6−ジクロロ−ピリミジン(164mg、1mmol)を添加した後、反応混合物を70℃で1時間加熱した。冷却後、水5mlを添加し、酢酸エチル(20ml)を用いて、生成物を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータによって取り除き、202mgの4−クロロ−6−[1−シクロヘキシル−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン−2−イルアミン(収率65%)を得た。
【0226】
マイクロ波バイアルに、4−クロロ−2−アミノ−6−[1−シクロヘキサン−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン(33mg、0.1mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(31mg、0.15mmol)及びアセトニトリル1ml、水0.7ml、炭酸ナトリウム水溶液(1M)0.3ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を上記の溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波で150℃に5分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解し、生成物を調製LCによって精製して、4.9mgの2−アミノ−3−{4−[2−アミノ−6−(1−シクロヘキシル−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ7.95(d,J=8.39Hz,2H)、7.49(d,J=8.39Hz,2H)、6.72(s,1H)、5.90(m,1H)、4.33(t,1H)、3.21〜3.44(m,2H)、1.73〜2.00(m,6H)、1.23〜1.39(m,5H)。
【0227】
6.11.(S)−2−アミノ−3−(4−(6−(2−フルオロフェノキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0228】
【化48】

【0229】
NaH(80mg、60%、3.0mmol)を、2−フルオロフェノール(112mg、1mmol)の無水THF溶液10mlに添加し、混合物を20分間撹拌して、4,6−ジクロロ−ピリミジン(149mg、1mmol)を添加した後、反応混合物を70℃で1時間加熱した。冷却後、水5mlを添加し、酢酸エチル(20ml)を用いて、生成物を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータによって取り除き、146mgの4−クロロ−6−(2−フルオロフェノキシ)−ピリミジン(収率65%)を得た。
【0230】
4−クロロ−6−[2−フルオロフェノキシ]−ピリミジン(33mg、0.1mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(31mg、0.15mmol)、及びアセトニトリル1ml、水0.7mlをマイクロ波バイアル(2ml)に入れ、炭酸ナトリウム水溶液(1M)0.3ml、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を上記溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波によって150℃に5分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させ、残渣をメタノール2.5mlに溶解し、生成物を調製LCによって精製し、4.9mgの2−アミノ−3−{4−[2−アミノ−6−(1−2−フルオロフェニル−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸を得た。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.74(s,1H)、8.17(d,J=8.06Hz,2H)、7.63(s,1H)、7.50(d,J=8.06Hz,2H)、7.30(m,5H)、4.33(m,1H)、3.34(m,1H)。
【0231】
6.12.(2S)−2−アミノ−3−(4−(4−(3−(4−クロロフェニル)ピペリジン−1−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0232】
【化49】

【0233】
3−(4−クロロフェニル)ピペリジン(232mg、1mmol)を、2,4−ジクロロトリアジン(149.97mg、1mmol)及び300mgのジイソプロピルエチルアミンのTHF溶液10mlに0℃で添加した。形成された混合物を室温まで温め、1時間撹拌した。生成物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、328mgの2−クロロ−4−[3−(4−クロロフェニル)−ピペリジン−1−イル]−[1,3,5]トリアジンを得た。
【0234】
2−クロロ−4−[3−(4−クロロフェニル)−ピペリジン−1−イル]−[1,3,5]トリアジン(62mg、0.2mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(60mg、0.3mmol)、アセトニトリル1ml、及び水0.7mlをマイクロ波バイアルに入れた。炭酸ナトリウム水溶液(0.6ml、1M)、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波で150℃に5分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、調製LCによって精製し、5.1mgの2−アミノ−3−(4−{4−[3−(4−クロロフェニル)−ピペリジン−1−イル]−[1,3,5]トリアジン−2−イル}−フェニル)−プロピオン酸を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.58(d,2H)、8.05(d,2H)、7.47(m,5H)、4.96(m,1H)、4.23(m,2H)、3.21〜3.44(m,4H)、2.37(m,5H)。
【0235】
6.13.(2S)−2−アミノ−3−(4−(4−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエトキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0236】
【化50】

【0237】
NaH(80mg、60%、3.0mmol)を、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノール(176mg、1mmol)の無水1,4−ジオキサン溶液10mlに添加した。混合物を20分間撹拌した後、2−アミノ−4,6−ジクロロ−トリアジン(164mg、1mmol)の1,4−ジオキサン溶液30mlに0℃で1時間添加した。それから、反応混合物を室温まで温めた。反応終了後、水5mlを添加し、酢酸エチル(20ml)を用いて、生成物を抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータによって取り除き、198mgの4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エトキシ]−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミン(収率65%)を得た。
【0238】
4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エトキシ]−[1,3,5]トリアジン−2−イルアミン(33mg、0.1mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(31mg、0.15mmol)、アセトニトリル1ml、及び水0.7mlをマイクロ波バイアルに入れた。炭酸ナトリウム水溶液(0.3ml、1M)、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を上記溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波によって150℃に5分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、調製LCによって精製し、3.2mgの2−アミノ−3−{4−[4−アミノ−6−(1−フェニル−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−フェニル)−プロピオン酸を得た。H NMR(300MHz,CDOD)δ8.22(d,J=8.20Hz,2H)、7.52(m,2H)、7.33(m,5H)6.62(m,1H)、4.19(t,1H)、3.1〜3.33(m,2H)。
【0239】
6.14.(S)−2−アミノ−3−(5−(4−アミノ−6−((R)−1−(ナフタレン−2−イル)エチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)ピリジン−2−イル)プロピオン酸の合成
【0240】
【化51】

【0241】
6−クロロ−N−[1−ナフタレン−2−イル−エチル]−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン(30mg、0.1mmol)、2−boc保護アミノ−3−{5−[4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリジン−2−イル−]−プロピオン酸(50mg、0.15mmol)、アセトニトリル1ml、及び水0.7mlをマイクロ波バイアルに入れた。炭酸ナトリウム水溶液(0.3ml、1N)、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波によって150℃に5分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、調製LCによって精製し、7mgのboc保護2−アミノ−3−{5−[4−アミノ−6−(1−ナフタレン−2−イル−エチルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−ピリジン−2−イル}プロピオン酸(proionic acid)を得た。
【0242】
上記の生成物(7.0mg)を10%TFA/DCM溶液0.1mlで2時間溶解し、1.1mgの2−アミノ−3−{3−[4−アミノ−6−(1−ナフタレン−2−イル−エチルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−ピリジン−2−イル}プロピオン酸を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ9.35(d,1H)、8.57(m,1H)、7.85(m,4H)、7.45(m,4H)、6.94(s,1H)、5.58(m,1H)、4.72(m,2H)、4.44(m,1H)、1.42(d,3H)。
【0243】
6.15.(S)−2−アミノ−3−(3−(4−アミノ−6−((R)−1−(ナフタレン−2−イル)エチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)プロピオン酸の合成
【0244】
【化52】

【0245】
6−クロロ−N−[1−ナフタレン−2−イル−エチル]−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン(30mg、0.1mmol)、2−boc保護アミノ−3−{3−[4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピラゾール−1−イル]−プロピオン酸(50mg、0.15mmol)、アセトニトリル1ml、及び水0.7ml、炭酸ナトリウム水溶液(0.3ml、1N)、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)をマイクロ波バイアルに加えた。反応容器に封をし、マイクロ波によって150℃に5分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させ、残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、調製LCによって精製し、6.8mgのboc保護2−アミノ−3−{3−[4−アミノ−6−(1−ナフタレン−2−イル−エチルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−ピラゾール−1−イル}プロピオン酸を得た。
【0246】
上記の生成物(6.8mg)を10%TFA/DCM溶液0.1mlで2時間撹拌し、3mgの2−アミノ−3−{3−[4−アミノ−6−(1−ナフタレン−2−イル−エチルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イル]−ピラゾール−1−イル}プロピオン酸を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ8.52(s,1H)、8.21(s,1H)、7.74(m,4H)、7.36(m,3H)、5.35(m,1H)、4.72(m,2H)、4.44(m,1H)、1.55(d,3H)。
【0247】
6.16.(S)−2−アミノ−3−(4’−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジルアミノ)ビフェニル−4−イル)プロピオン酸の合成
【0248】
【化53】

【0249】
トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(470mg、2.21mmol)を、4−ブロモ−フェニルアミン(252mg、1.47mmol)及び3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンズアルデヒド(324mg、1.47mmol)の1,2−ジクロロエタン(dicloroethtane)(DCE)溶液10mlに添加し、HOAc 0.5mlを添加した。混合物を室温で一晩撹拌した後、DCE 15mlを添加した。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータによって取り除き、656mgの粗(4−ブロモ−フェニル)−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジル)−アミンを得た。それをさらに精製せずに次の工程に用いた。
【0250】
(4−ブロモ−フェニル)−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジル)−アミン(84mg、0.22mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(46mg、0.22mmol)、及びアセトニトリル2mlをマイクロ波用のエムリスプロセスバイアル(2ml〜5ml)に入れた。炭酸ナトリウム水溶液(2ml、1M)、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を上記溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波によって150℃に5分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解し、調製LCによって精製して、5mgの2−アミノ−3−[4’−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジルアミノ)−ビフェニル−4−イル]−プロピオン酸(収率5%)を得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ1.46(m,2H)、1.62(m,4H)、3.01(m,2H)、3.64(s,3H)、4.14(s,3H)、4.66(m,1H)、6.61(d,2H)、6.81(s,2H)、6.88(s,1H)、7.18(d,2H)、7.31(d,2H)、7.44(d,2H)、7.60(m,1H)、8.19(s,3H)。
【0251】
6.17.(S)−2−アミノ−3−(4−(6−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジルアミノ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0252】
【化54】

【0253】
トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(985mg、4.65mmol)を、6−クロロ−ピリミジン−4−イルアミン(200mg、1.55mmol)及び3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンズアルデヒド(682mg、3.1mmol)のDCE溶液25mlに添加した。HOAc 1mlを添加し、混合物を50℃で一晩撹拌した後、DCE 25mlを添加した。有機相を水で洗浄し、生成物をカラム(シリカゲル、ヘキサン:EtOAc 5:1)で精製し、64mgの(6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジル)−アミン(収率12%)を得た。
【0254】
(6−クロロ−ピリミジン−4−イル)−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジル)−アミン(64mg、0.19mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(40mg、0.19mmol)、及びアセトニトリル2mlをマイクロ波用のエムリスプロセスバイアル(2ml〜5ml)に入れた。炭酸ナトリウム水溶液(2ml、1M)、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を上記溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波によって150℃に5分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解し、調製LCによって精製して、5.3mgの2−アミノ−3−{4−[6−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−フェニル}−プロピオン酸(収率6%)を得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ1.46(m,2H)、1.62(m,4H)、3.01(m,2H)、3.08(m,2H)、3.65(s,3H)、4.20(m,1H)、4.46(d,2H)、4.68(m,1H)、6.82(t,2H)、6.87(d,2H)、7.40(d,2H)、7.90(s,2H)、8.25(s,2H)、8.6(s,1H)。
【0255】
6.18.(S)−2−アミノ−3−(4−(6−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジルアミノ)ピラジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0256】
【化55】

【0257】
トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(sodium triacetoxy-borohydride)(1315mg、6.2mmol)を、6−クロロ−ピラジン−2−イル−アミン(400mg、3.10mmol)及び3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンズアルデヒド(818mg、3.7mmol)のDCE溶液50mlに添加し、HOAc 1mlを添加して、混合物を50℃で一晩撹拌した後、さらにDCE 50mlを添加した。有機相を水で洗浄し、生成物をカラム(シリカゲル、ヘキサン:EtOAc 6:1)で精製し、50mgの(6−クロロ−ピラジン−2−イル)−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジル)−アミン(収率10%)を得た。
【0258】
(6−クロロ−ピラジン−2−イル)−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジル)−アミン(50mg、0.15mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(31mg、0.15mmol)、及びアセトニトリル2mlをマイクロ波用のエムリスプロセスバイアル(2ml〜5ml)に入れた。炭酸ナトリウム水溶液(2ml、1M)、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波によって150℃に5分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解し、生成物を調製LCによって精製して、5.5mgの2−アミノ−3−{4−[6−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジルアミノ)−ピラジン−2−イル]−フェニル}−プロピオン酸(収率6%)を得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ1.46(m,2H)、1.62(m,4H)、3.01(m,2H)、3.08(m,2H)、3.65(s,3H)、4.0(m,1H)、4.45(d,2H)、4.65(m,1H)、6.90(s,2H)、6.95(s,1H)、7.32(d,2H)、7.60(t,1H)、7.90(s,1H)、7.95(d,2H)、8.25(s,1H)。
【0259】
6.19.(S)−2−アミノ−3−(4−(5−((4’−メチルビフェニル−2−イル)メチルアミノ)ピラジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0260】
【化56】

【0261】
トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(215mg、1.02mmol)を、4’−メチル−ビフェニル−2−カルバルデヒド及び5−ブロモ−ピラジン−2−イルアミンのDCE溶液5mlに添加し、HOAc 0.1mlを添加し、混合物を室温で一晩撹拌した後、DCE 5mlを添加した。有機相を水で洗浄し、カラム(シリカゲル、ヘキサン:EtOAc 6:1)で精製し、100mgの(5−ブロモ−ピラジン−2−イル)−(4’−メチル−ビフェニル−2−イルメチル)−アミン(収率55%)を得た。
【0262】
(5−ブロモ−ピラジン−2−イル)−(4’−メチル−ビフェニル−2−イルメチル)−アミン(25mg、0.071mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(22mg、0.11mmol)、及びアセトニトリル1mlをマイクロ波用のエムリスプロセスバイアル(2ml〜5ml)に入れた。炭酸ナトリウム水溶液(1ml、1M)、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波によって150℃に5分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解し、生成物を調製LCによって精製して、19mgの2−アミノ−3−{4−[6−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジルアミノ)−ピラジン−2−イル]−フェニル}−プロピオン酸(収率63%)を得た。H−NMR(400MHz,CDOD):δ2.22(s,3H)、3.09(m,1H)、3.25(m,1H)、4.18(t,1H)、4.40(s,2H)、7.07(d,2H)、7.14(m,3H)、7.24(m,4H)、7.36(m,1H)、7.72(d,2H)、7.84(s,1H)、8.20(d,1H)。
【0263】
6.20.(2S)−2−アミノ−3−(4−(6−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエトキシ)−ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0264】
【化57】

【0265】
NaH(60%、120mg、3.0mmol)を、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノール(350mg、2.03mmol)のTHF溶液5mlに添加した。混合物を室温で20分間撹拌した。4,6−ジクロロ−ピリミジン(300mg、2.03mmol)を添加した後、反応混合物を70℃で1時間加熱した。冷却後、THFを蒸発させ、残渣を得て、これをEtOAc 15mlに溶解した後、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータによって取り除き、550mgの4−クロロ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エトキシ)−ピリミジン(収率95%)を得た。
【0266】
4−クロロ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エトキシ)−ピリミジン(30mg、0.11mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(32mg、0.16mmol)、アセトニトリル 1ml、及び水0.6mlをマイクロ波用のエムリスプロセスバイアル(2ml〜5ml)に入れた。炭酸ナトリウム水溶液(0.42ml、1M)、その後10モル%のPOPd(ジ−μ−クロロジクロロビス(ジ−tert−ブチルホスフィニト−κP)ジパラジウム酸二水素)を上記溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波によって120℃に30分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解し、生成物を調製LCによって精製して、4.8mgの2−アミノ−3−{4−[6−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エトキシ)−ピリミジン−4−イル]−フェニル}−プロピオン酸(収率11%)を得た。H−NMR(400MHz,CDOD):δ3.20(m,1H)、3.40(m,1H)、4.25(t,1H)、6.82(dd,1H)、7.43(m,5H)、7.57(s,1H)、7.60(m,2H)、8.10(d,2H)、8.75(s,1H)。
【0267】
6.21.(2S)−2−アミノ−3−(4−(6−(1−(3,4−ジフルオロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0268】
【化58】

【0269】
THF中のフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF:0.1ml、1M)を、3,4−ジフルオロ(difluro)−ベンズアルデヒド(1.42g、10mmol)及び(トリフルオロ(trifluro)メチル)トリメチルシラン(1.70g、12mmol)のTHF溶液10mlに0℃で添加した。混合物を室温まで温め、4時間撹拌した。反応混合物を1MのHCl 12mlで処理し、一晩撹拌した。生成物をジクロロメタン(3×20ml)で抽出し、有機層を組み合わせて、シリカゲルパッドに通した。有機溶媒を蒸発させて、1.9gの1−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(収率90%)を得た。
【0270】
NaH(80mg、60%、3.0mmol)を、1−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(212mg、1mmol)のTHF溶液5mlに添加し、混合物を20分間室温で撹拌した。4,6−ジクロロ−ピリミジン(149mg、1mmol)を添加した後、反応混合物を70℃で1時間加熱した。冷却後、THFを蒸発させた。残渣をEtOAc 15mlに溶解した後、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレータによって取り除き、230mgの4−クロロ−6−[1−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン(収率70%)を得た。
【0271】
4−クロロ−6−[1−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリミジン(33mg、0.1mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(31mg、0.15mmol)、アセトニトリル1ml、及び水0.7mlをマイクロ波用のエムリスプロセスバイアル(2ml〜5ml)に入れた。炭酸ナトリウム水溶液(0.3ml、1M)、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を上記溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波によって150℃に5分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解した後、調製LCによって精製して、10mgの2−アミノ−3−(4−{6−[1−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ]−ピリジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸(収率21%)を得た。H−NMR(400MHz,CDOD):δ3.11(m,1H)、3.27(m,1H)、4.19(dd,1H)、6.78(q,1H)、7.26(m,2H)、7.35(d,3H)、7.49(m,2H)、8.02(d,2H)、8.66(s,1H)。
【0272】
6.22.(S)−2−アミノ−3−(4−(5−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジルアミノ)−ピラジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0273】
【化59】

【0274】
ジクロロメタン(10ml)中の3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンズアルデヒド(417mg、1.895mmol)と、2−アミノ−5−ブロモピラジン(300mg、1.724mmol)と、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.5当量)と、氷酢酸(3当量)との混合物を室温で一晩撹拌した。それから、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、粗生成物を得て、それをISCO(SiOフラッシュカラムクロマトグラフィ)(ヘキサン/酢酸エチル=100/0→3/2)によって精製して、約400mgの6−ブロモ−ピラジン−2−イル)−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジル)−アミン(収率:61%)を得た。
【0275】
5ml容のマイクロ波バイアルに、上記の6−ブロモ−ピラジン−2−イル)−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジル)−アミン(50mg、0.132mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(30mg、0.144mmol)、NaCO(31mg、0.288mmol)、アセトニトリル(2ml)、及び水(2ml)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(5mg、0.007mmol)を添加した。バイアルに蓋をし、マイクロ波照射下で150℃で5分間撹拌した。反応混合物を冷却し、シリンジフィルタで濾過した後、YMC−PACK ODSの100×30mmのIDカラム(MeOH/HO/TFA溶媒系)を用いて逆相調製HPLCによって単離させた。純度の高い画分を真空下で濃縮した。それから、生成物を水5mlで懸濁させ、凍結乾燥して、トリフルオロ塩(12mg、20%)として表題の化合物を得た。H NMR(CDOD)δ8.41(s,1H)、7.99(s,1H)、7.83(d,J=9.0Hz,2H)、7.37(d,J=6.0Hz,2H)、6.90〜6.95(m,3H)、4.78(m,1H)、4.50(s,2H)、4.22〜4.26(m,1H)、3.79(s,3H)、3.12〜3.39(m,2H)、1.80〜1.81(m,6H)、1.60(m,2H)。M+1=463。
【0276】
6.23.(S)−2−アミノ−3−(4−(5−((3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)−(メチル)アミノ)ピラジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0277】
【化60】

【0278】
(6−ブロモ−ピラジン−2−イル)−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジル)−アミン(70mg、0.185mmol)のアセトニトリル溶液(10ml)に、ホルムアルデヒド(18.5mmol)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(sodium cyanoborohydride)(17mg、0.278mmol)を添加した。それから、濃HCl水溶液をpHが約2になるまで滴下した。混合物を室温で約6時間撹拌した。それから、それを酢酸エチルで希釈し、水(3×5ml)で洗浄して、MgSOで乾燥させた。溶媒を真空によって取り除き、70mgの粗生成物5−(ブロモ−ピラジン−2−イル)−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジル)−メチル−アミン(粗収率95%)を得て、それをさらに精製せずに次の工程に用いた。
【0279】
5−(ブロモ−ピラジン−2−イル)−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジル)−メチル−アミン(37mg、0.094mmol)を上記のように鈴木カップリング反応にかけ、6mgの表題の化合物(収率:13%)を得た。H NMR(CDOD)δ8.59(s,1H)、8.12(s,1H)、7.85(d,2H)、7.39(d,2H)、6.81〜6.91(m,3H)、4.72(m,1H)、4.30(m,1H)、3.79(s,3H)、3.20〜3.40(m,2H)、3.18(s,3H)、3.79(s,3H)、1.80(m,6H)、1.58(m,2H)。M+1=477。
【0280】
6.24.(S)−2−アミノ−3−(4−(5−((1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチルアミノ)ピラジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0281】
【化61】

【0282】
無水メタノール(3ml)中の1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルバルデヒド(142mg、1.145mmol)と、2−アミノ−5−ブロモピラジン(200mg、1.149mmol)と、ボラントリメチルアミン錯体(126mg、1.73mmol)と、氷酢酸(137mg、2.29mmol)との混合物を室温で一晩撹拌した。それから、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄して、MgSOで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、粗生成物として、300mgの(5−ブロモ−ピラジン−2−イル)−(1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イルメチル)アミン(粗収率:93%)を得て、それをさらに精製せずに次の工程の反応に用いた。
【0283】
(5−ブロモ−ピラジン−2−イル)−(1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イルメチル)アミン(40mg、0.142mmol)を上記のように鈴木カップリング反応に用い、19mgの表題の化合物(収率:36.5%)を得た。H NMR(CDOD)δ8.48(s,1H)、8.05(s,1H)、7.87(d,2H)、7.39(d,2H)、6.10(s,1H)、4.81(s,2H)、4.30(m,1H)、3.83(s,3H)、3.11〜3.38(m,2H)、2.10(s,3H)。M+1=367。
【0284】
6.25.(S)−2−アミノ−3−(4−(4−アミノ−6−((S)−1(ナフタレン−2−イル)エチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イルオキシ)フェニル)プロピオン酸の合成
【0285】
【化62】

【0286】
250ml容のフラスコに、R−(+)−1−(2−ナフチル)エチルアミン(400mg、2.424mmol)、2−アミノ−4,6−ジクロロトリアジン(373mg、2.181mmol)、無水1,4−ジオキサン(40ml)、及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1ml、5.732mmol)を添加し、約4時間ゆっくりと加熱還流させた。二置換生成物の形成を避けるために、反応を注意深くモニタリングした。(反応が長ければ長いほど、より多くの二置換生成物が形成されることが観察された)。4時間後、反応混合物を冷却し、溶媒を減圧下で取り除いた。水を残渣に添加し、溶液を2分〜3分超音波処理した。それから、溶媒を濾過し、水で洗浄して、乾燥させ、540mg(粗収率83%)の一塩化物、6−クロロ−N−(1−ナフタレン−2−イル−エチル)−[1,3,5]トリアジン−2,2−ジアミンを得て、それをさらに精製することなく次の工程の反応に用いた。
【0287】
イソプロパノール(8ml)中の6−クロロ−N−(1−ナフタレン−2−イル−エチル)−[1,3,5]トリアジン−2,2−ジアミン(90mg、0.300mmol)と、2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオン酸tert−ブチルエステル(102mg、0.303mmol)と、炭酸カリウム(82mg、0.594mmol)との混合物を一晩還流させた。溶媒を減圧下で取り除き、残渣を酢酸エチルで懸濁した。固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を濃縮した後、メタノール/水(90:10)の混合物で再び溶解し、Sunfire C18 OBDの100×30mmのIDカラム(MeOH/HO/TFA溶媒系)を用いて調製LCによって精製した。純度の高い画分を組み合わせて、濃縮し、50mgの純生成物、3−{4−[4−アミノ−6−(1−ナフタレン−2−イル−エチルアミノ)−[1,3,5]トリアジン−2−イルオキシ]−フェニル}2−tert−ブトキシカルボニル(carbonvl)アミノ−プロピオン酸tert−ブチルエステル(収率28%)を得た。
【0288】
上記の生成物(50mg、0.083mmol)をトリフルオロ酢酸/ジクロロメタン(8ml/2ml)に溶解し、室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で取り除いた。それから、残渣をメタノール/水(90:10)の混合物で再び溶解し、Sunfire C18 OBDの100×30mmのIDカラム(MeOH/HO/TFA溶媒系)を用いて調製LCによって精製した。純度の高い画分を組み合わせて、減圧下で濃縮し、約4mlを得て、それを凍結乾燥して、TFA塩として4mgの表題の化合物(収率11%)を得た。H NMR(CDOD)δ7.37〜7.81(m,8H)、7.19(m,2H)、6.98(m,1H)、5.37(m,1H)、4.19(m,1H)、3.17〜3.38(m,2H)、1.56(m,3H)。M+1=445。
【0289】
6.26.(S)−2−アミノ−3−(4−(4−アミノ−6−((R)−1−(ビフェニル−2−イル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0290】
【化63】

【0291】
THF(8ml)中の1−ビフェニル−2−イル−2,2,2−トリフルオロ−エタノン(300mg、1.2mmol)と、ボランテトラヒドロフラン錯体(1.2ml、THF中1M、1.2mmol)と、S−2−メチル−CBS−オキサアザボロリジン(0.24ml、トルエン中1M、0.24mmol)との混合物を室温で一晩撹拌した。数滴の濃HClを添加し、混合物を30分間撹拌した。生成物をSiOクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=100/0→3/1)によって精製し、290mgの1−ビフェニル−2−イル−2,2,2−トリフルオロ−エタノール(収率96%)を得た。
【0292】
上記のアルコール(290mg、1.151mmol)を無水THF(10ml)に溶解した。水素化ナトリウム(55mg、1.375mmol)を一度に全て添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。それから、溶液を2−アミノ−4,6−ジクロロ−トリアジン(190mg、1.152mmol)のTHF懸濁液(20ml)が入ったフラスコに移した。混合物を室温で一晩撹拌した。水を添加した後、混合物を酢酸エチルで希釈した。有機層を水で洗浄し、MgSOで乾燥させた後、濃縮して、400mgの粗生成物2−アミノ−4−(1−ビフェニル−2−イル−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ−6−クロロ−トリアジンを得た。
【0293】
2−アミノ−4−(1−ビフェニル−2−イル−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ−6−クロロ−トリアジン(40mg、0.105mmol)を、上記と同じ鈴木カップリング反応にかけ、5mgの表題の化合物(収率9.4%)を得た。H NMR(CDOD)δ8.18(d,2H)、7.86(m,1H)、7.40〜7.52(m,9H)、7.32(m,1H)、7.07(m,1H)、4.32(m,1H)、3.22〜3.41(m,2H)。M+1=510。
【0294】
6.27.(2S)−2−アミノ−3−(4−(4−アミノ−6−(1−(6,8−ジフルオロナフタレン−2−イル)エチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0295】
【化64】

【0296】
三つ口フラスコ中に、ヨウ化銅(CuI)(299mg、1.515mmol)及び塩化リチウム(LiCl)(145mg、3.452mmol)を窒素下で無水THF(60ml)に添加した。淡黄色の溶液が得られるまで、混合物を室温で撹拌した。0℃に冷却後、メチルビニルケトン及びクロロトリメチルシランを添加し、橙色が観察されるまで混合物を撹拌した(約20分)。約−40℃に冷却後、3,5−ジフルオロフェニルマグネシウム臭化物(27.65ml、13.8mmol)のTHF溶液(0.5M)をゆっくり添加した。反応混合物を約−40℃で0.5時間撹拌した後、冷浴を取り外し、温度を室温までゆっくりと温めた。溶媒を蒸発させ、残渣をヘキサン(4×20ml)で抽出した。回収した抽出物を冷10%NaHCO水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、3,5−ジフルオロフェニル−1−トリメチルシリルオキシアルケン(2.03g、7.929mmol、粗収率57%)を得て、それをさらに精製することなく逐次反応に用いた。
【0297】
炭酸カルシウム粉末(3.806g、38.06mmol)及びエチルビニルエーテル(2.184g、30.329mmol)を硝酸セリウムアンモニウム(10.430g、19.033mmol)のメタノール溶液(40ml)に窒素雰囲気下で添加した。得られた懸濁液に、上記で調製された3,5−ジフルオロフェニル−1−トリメチルシリルオキシアルケン(2.03g、7.929mmol)のエチルビニル溶液(6ml、4.518g、62.75mmol)を激しく撹拌させながら滴下し、混合物を室温で一晩撹拌した。固体をセライト層で濾過し、濾液を最初の容量の4分の1まで濃縮させた。得られた濃い混合物を激しく撹拌しながら、1:1(v/v)のジエチルエーテル−10%NaHCO水溶液にゆっくり注いだ。析出物を濾過し、エーテル溶液を分離し、溶媒を減圧下で蒸発させ、透明な液体を得た。得られた液体(非環状アセテートと環状アセテートとの混合物)のメタノール溶液(4ml)を0℃でジクロロジシアノベンゾキノン(1.77g、7.797mmol)の80%硫酸懸濁水溶液に滴下した。添加終了後、氷浴を取り外し、撹拌を30分間続けた。混合物を氷水に注ぎ、得られた茶色の析出物を濾過し、アセトンに溶解した。シリカゲルを添加し、プラグを作製して、粗生成物をクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=100/0→3/1)によって精製し、淡黄色の固体として760mgの1−(5,7−ジフルオロ−ナフタレン−2−イル)−エタノン(2工程で収率48%)を得た。
【0298】
上記のケトン(760mg、3.689mmol)をメタノール(40ml)に溶解した。それから、酢酸アンモニウム(2.841g、36.896mmol)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(232mg、3.389mmol)、及びモレキュラーシーブ(3Å、7.6g)を添加した。混合物を室温で2日間撹拌した。固体を濾過し、濾液を濃縮した。残渣を水に溶解し、pHが約2になるまで濃HCl水溶液を滴下した。それから、混合物を酢酸エチルで抽出し、最終生成物ではない(unfinished)ケトン及び他の副産物を取り除いた。水層を水酸化ナトリウム水溶液(1M)でpHを約10まで塩基性化し、ジクロロメタンで抽出して、有機層を組み合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、290mgの1−(5,7−ジフルオロ−ナフタレン−2−イル)−エチルアミン(収率38%)を得た。
【0299】
新たに生成されたアミン(290mg、1.401mmol)を2−アミノ−4,6−ジクロロトリアジン(277mg、1.678mmol)の無水1,4−ジオキサン懸濁液(60ml)に直接添加した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1ml、5.732mmol)を添加した。混合物を約3時間ゆっくりと加熱還流させた。それから、反応混合物を冷却し、溶媒を減圧下で取り除いた。残渣に水を添加し、混合物を2分〜3分超音波処理した。得られた固体を濾過し、水で洗浄して、乾燥させて、395mg(粗収率60%)の6−クロロ−N−[1−(6,8−ジフルオロ−ナフタレン−2−イル−エチル]−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミンを得て、それをさらに精製することなく直接次の工程の反応に用いた。
【0300】
上記の生成された一塩化物(48mg、0.144mmol)を上記と同じ鈴木カップリング反応にかけ、12mgの表題の生成物(収率17.9%)を得た。H NMR(CDOD)δ8.14〜8.22(m,2H)、8.05(m,1H)、7.92(m,1H)、7.63(m,1H)、7.32〜7.51(m,3H)、7.11(m,1H)、5.48(m,1H)、4.13(m,1H)、3.13〜3.41(m,2H)、1.66(d,3H)。M+1=465。
【0301】
6.28.(2S)−2−アミノ−3−(4−(4−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メチルビフェニル−2−イル)エトキシ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0302】
【化65】

【0303】
THF(3ml)中の3’−メチル−1−ビフェニル−2−カルバルデヒド(500mg、2.551mmol)と、トリフルオロメチルトリメチルシラン(435mg、3.061mmol)との混合物にテトラブチルアンモニウムフッ化物(13mg、0.05mmol)を0℃で添加した。温度を室温まで温めた。混合物を室温で5時間撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、水及びブラインで洗浄し、MgSOによって乾燥させた。溶媒を減圧下で取り除き、粗生成物として、660mg(粗収率97%)の2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル)−エタノールを得て、それをさらに精製することなく次の工程に用いた。
【0304】
上記で生成したアルコール(660mg、2.481mmol)を無水1,4−ジオキサン(10ml)に溶解した。水素化ナトリウム(119mg、鉱油中60%、2.975mmol)を一度に全て添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。溶液を2−アミノ−4,6−ジクロロ−トリアジン(491mg、2.976mmol)の1,4−ジオキサン懸濁液(70ml)が入ったフラスコに移した。混合物を室温で6時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルで懸濁して、それを水で洗浄し、MgSOで乾燥させた後、濃縮して、所望の生成物2−アミノ−4−(1−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ−6−クロロ−トリアジンを約57%、及び副産物(二置換生成物)を約43%含有した粗生成物790mgを得た。粗生成物をさらに精製することなく用いた。
【0305】
2−アミノ−4−(1−(3’−メチル−ビフェニル−2−イル−2,2,2−トリフルオロ−エトキシ−6−クロロ−トリアジン(98mg、純度57%、0.142mmol)を用いて、上記と同じ鈴木カップリング反応を行い、9mgの表題の化合物(収率12.0%)を得た。H NMR(CDOD)δ8.09(m,2H)、7.85(m,1H)、7.50(m,2H)、7.28〜7.43(m,5H)、7.17〜7.26(m,2H)、7.18(m,1H)、3.85(m,1H)、3.08〜3.44(m,2H)、2.33(s,3H)。M+1=524。
【0306】
6.29.(S)−2−アミノ−3−(4−(5−(3,4−ジメトキシフェニルカルバモイル)−ピラジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0307】
【化66】

【0308】
ジクロロメタン(20ml)中の3,4−ジメトキシフェニルアミン(0.306g、2mmol)と、トリエチルアミン(0.557ml、4mmol)との混合物に、5−クロロ−ピラジン−2−カルボニル塩化物(0.354g、2mmol)を0℃〜5℃で添加した。混合物を室温で3時間撹拌させた。混合物を塩化メチレン(20ml)で希釈し、飽和NaHCO(20ml)、ブライン(20ml)で洗浄し、乾燥させて(無水NaSO)、濃縮して、0.42gの粗5−クロロ−ピラジン−2−カルボン酸(3,4−ジメトキシ−フェニル)−アミドを得て、それを次の反応に直接用いた。
【0309】
5−クロロ−ピラジン−2−カルボン酸(3,4−ジメトキシ−フェニル)−アミド(0.18g、0.61mmol)、L−p−ボロノフェニルアラニン(0.146g、0.70mmol)、CHCN(2.5ml)、HO(2.5ml)、NaCO(0.129g、1.22mmol)をマイクロ波バイアル中で組み合わせた。混合物に封をし、150℃で5分間維持した。混合物を濾過し、濃縮した。残渣をメタノール/水(1:1)に溶解し、溶媒系としてMeOH/HO/TFAを用いて、調製HPLCによって精製して、TFA塩として2−アミノ−3−{4−[5−(3,4−ジメトキシ−フェニルカルボミル)−ピラジン−2−イル]−フェニル}−プロピオン酸を得た(HPLC:方法A、保持時間=2.846分、LCMS M+1 423)。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ3.10〜3.30(m,2H)、3.72(d,6H)、4.05(m,1H)、7.42〜7.62(m,4H)、8.22(m,3H)、9.30(m,2H)。
【0310】
6.30.(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(4−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)−ピペリジン−1−イル)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0311】
【化67】

【0312】
2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(0.164g、1mmol)、4−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペリジン塩酸塩(0.266g、1mmol)、及び炭酸セシウム(0.684g、2.1mmol)を、20ml容のマイクロ波バイアル中の1,4−ジオキサン(5ml)と、HO(5ml)との混合物に溶解した。混合物をマイクロ波リアクターで210℃で20分間撹拌した。溶媒を取り除き、残渣をCHCl(20ml)中の5%メタノールに溶解し、NaSOで乾燥させ、濃縮して、粗中間体4−クロロ−6−[4−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペリジン−1−イル]−ピリミジン−2−イルアミン(0.42g)を得て、それを以下の工程で直接用いた。
【0313】
粗中間体(0.42g)、L−p−ボロノ−フェニルアラニン(0.209g、1mmol)、炭酸ナトリウム(0.210g、2mmol)、及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(35mg、0.05mmol)を、10ml容のマイクロ波バイアル中のMeCN(2.5ml)と、HO(2.5ml)との混合物に溶解した。バイアルに封をし、マイクロ波リアクターで150℃で6分間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮させた。残渣をMeOH及びHO(1:1)に溶解し、溶媒系としてMeOH/HO/TFAを用いて、調製HPLCによって精製して、TFA塩として2−アミノ−3−(4−{4−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペリジン−1−イル]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸を得た(HPLC:方法A、保持時間=3.203分、LCMS M+1 486)。H NMR(400MHz,CDOD)δ1.80〜2.20(m,5H)、3.0〜3.16(m,2H)、3.22〜3.42(m,2H)、4.22(t,1H)、4.42〜4.54(m,1H)、5.22〜5.34(m,1H)、6.80(s,1H)、7.40(t,1H)、7.50〜7.60(m,4H)、7.68(d,1H)、7.82(d,2H)。
【0314】
6.31.(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−1−(ナフタレン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0315】
【化68】

【0316】
2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(0.164g、1mmol)、(R)−(+)−1−(2−ナフチル)−エチルアミン(0.171g、1mmol)、及び炭酸セシウム(0.358g、1.1mmol)を、20ml容のマイクロ波バイアル中の1,4−ジオキサン(4ml)と、HO(4ml)との混合物に溶解した。バイアルに封をし、マイクロ波リアクターで210℃で20分間撹拌した。溶媒を取り除き、残渣をCHCl(50ml)に溶解し、水(20ml)、ブライン(20ml)で洗浄して、乾燥させ(NaSO)、濃縮して、粗中間体6−クロロ−N−4−(ナフタレン−2−イル−エチル)−ピリミジン−2,4−ジアミン(0.270g)を得て、それを以下の工程で直接用いた。
【0317】
粗中間体(0.27g)、L−p−ボロノ−フェニルアラニン(0.210g、1mmol)、炭酸ナトリウム(0.210g、2mmol)、及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(25mg、0.036mmol)を、マイクロ波バイアル中のMeCN(2.5ml)と、HO(2.5ml)との混合物に溶解した。バイアルに封をし、マイクロ波リアクターで150℃で6分間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮させた。残渣をMeOH及びHO(1:1)に溶解し、溶媒系としてMeOH/HO/TFAを用いて、調製HPLCによって精製して、TFA塩として2−アミノ−3−{4−[2−アミノ−6−(1−ナフタレン−2−イル−エチルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−フェニル}−プロピオン酸を得た(HPLC:方法A、保持時間=3.276分、LCMS M+1 428)。H NMR(400MHz,CDOD)δ1.68(d,3H)、3.22〜3.40(m,2H)、4.30(t,1H)、5.60(q,1H)、6.42(s,1H)、7.42〜7.54(m,5H)、7.72(m,2H)、7.82〜7.84(m,4H)。
【0318】
6.32.(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(メチル((R)−1−(ナフタレン−2−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0319】
【化69】

【0320】
2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(0.327g、2mmol)、メチル−(1−ナフタレン−2−イル−エチル)−アミン(0.360g、2mmol)、及び炭酸セシウム(0.717g、2.2mmol)を20ml容のマイクロ波バイアル中の1,4−ジオキサン(7.5ml)と、HO(7.5ml)との混合物中に溶解した。バイアルに封をし、マイクロ波リアクター中で210℃で20分間撹拌した。溶媒を取り除き、残渣をCHCl(50ml)に溶解し、水(20ml)、ブライン(20ml)で洗浄して、乾燥させ(NaSO)、濃縮して、粗中間体6−クロロ−N−4−メチル−N−4−(1−ナフタレン−2−イル−エチル)−ピリミジン−2,4−ジアミン(0.600g)を得て、それを以下の工程で直接用いた。
【0321】
粗中間体(0.30g)、L−p−ボロノ−フェニルアラニン(0.210g、1mmol)、炭酸ナトリウム(0.210g、2mmol)、及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(25mg、0.036mmol)を、マイクロ波バイアル中のMeCN(2.5ml)と、HO(2.5ml)との混合物に溶解した。バイアルに封をし、マイクロ波リアクターで150℃で6分間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮させた。残渣をMeOH及びHO(1:1)に溶解し、溶媒系としてMeOH/HO/TFAを用いて、調製HPLCによって精製して、TFA塩として2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[メチル−(1−ナフタレン−2−イル−エチル)アミノ]−ピリミジン−4−イル}−フェニル)−プロピオン酸を得た(HPLC:方法C、保持時間=2.945分、LCMS M+1 442)。H NMR(400MHz,CDOD)δ1.70(m,3H)、2.92(s,3H)、3.22〜3.42(m,2H)、4.28(m,1H)、6.60(s,1H)、6.72(m,1H)、7.40〜7.92(m,11H)。
【0322】
6.33.(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((S)−2,2,2−トリフルオロ−1−(6−メトキシナフタレン−2−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0323】
【化70】

【0324】
2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(0.096g、0.6mmol)、2,2,2−トリフルオロ−1−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−エタノール(0.140g、0.55mmol)、及びNaH(96mg、0.60mmol)を窒素雰囲気下で無水ジオキサン(20ml)に添加した。反応物を80℃で12時間撹拌し、室温に冷却して、水(0.2ml)でクエンチした。反応混合物を濃縮し、残渣をCHCl(50ml)に溶解して、水(20ml)、ブライン(20ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して、粗中間体4−クロロ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−エトキシ]−ピリミジン−2−イルアミン(0.22g)を得て、それを以下の工程で直接用いた。
【0325】
粗中間体(0.22g)、L−p−ボロノ−フェニルアラニン(0.126g、0.6mmol)、炭酸ナトリウム(0.126g、1.2mmol)、及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(15mg、0.021mmol)を、マイクロ波バイアル中のMeCN(2.0ml)と、HO(2.0ml)との混合物に溶解した。バイアルに封をし、マイクロ波リアクターで150℃で6分間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮させた。残渣をMeOH及びHO(1:1)に溶解し、溶媒系としてMeOH/HO/TFAを用いて、調製HPLCによって精製して、TFA塩として2−アミノ−3−(4−{2−アミノ−6−[2,2,2−トリフルオロ−1−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−エトキシ]−ピリミジン−4−イル]−フェニル)−プロピオン酸を得た(HPLC:方法C、保持時間=3.190分、LCMS M+1 513)。H NMR(400MHz,CDOD)δ3.22〜3.42(m,2H)、3.86(s,3H)、4.32(1H)、6.88(m,1H)、6.92(1H)、7.20(dd,1H)、7.26(s,1H)、7.50(d,2H)、7.63(d,1H)、7.80〜7.90(m,4H)、8.05(s,1H)。
【0326】
6.34.(S)−2−アミノ−3−(4−(5−(ビフェニル−4−イルメチルアミノ)ピラジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0327】
【化71】

【0328】
4−フェニルベンズアルデヒド(0.3g、1.65mmol)及び2−アミノ−5−ブロモピラジン(0.24g、1.37mmol)を、室温で18時間、ジクロロエタン(7.0ml)及び酢酸(0.25ml)中でNa(OAc)BH(0.44g、2.06mmol)で処理した。混合物をジクロロメタンで希釈し、1.0NのNaOHで洗浄し、ブラインで洗浄して、MgSOで乾燥させ、濃縮した。クロマトグラフィ(SiO、EtOAc:Hex、1:1)によって、0.18gのN−(ビフェニル−4−イルメチル)−5−ブロモピラジン−2−アミンを得た。
【0329】
N−(ビフェニル−4−イルメチル)−5−ブロモピラジン−2−アミン(60mg、0.176mmol)、L−p−ボロノフェニルアラニン(37mg、0.176mmol)、パラジウムトリフェニルホスフィン二塩化物(3.6mg、0.0052mmol)、NaCO(37mg、0.353mmol)、アセトニトリル(1.25ml)及び水(1.25ml)を150℃で5分間、マイクロ波リアクターで加熱した。混合物を濃縮し、1.0NのHClに溶解して、エーテルで2回洗浄し、濃縮して、調製HPLCによって精製し、41mgの表題の化合物を得た。M+1=425;H NMR(CDOD)δ8.42(s,1H)、8.05(s,1H)、7.92(d,2H)、7.58(d,4H)、7.40(m,7H)、4.60(s,2H)、4.25(m,1H)、3.40(m,1H)、3.20(m,1H)。
【0330】
6.35.(S)−2−アミノ−3−(4−(5−(ナフタレン−2−イルメチルアミノ)ピラジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0331】
【化72】

【0332】
2−ナフトアルデヒド(0.6g、3.84mmol)及び2−アミノ−5−ブロモピラジン(0.56g、3.201mmol)を、室温で18時間、ジクロロエタン(15.0ml)及び酢酸(0.5ml)中でNa(OAc)BH(1.02g、4.802mmol)で処理した。混合物をジクロロメタンで希釈し、1.0NのNaOHで洗浄し、ブラインで洗浄して、MgSOで乾燥させ、濃縮した。クロマトグラフィ(SiO、EtOAc:Hex、1:1)によって、0.49gの5−ブロモ−N−(ナフタレン−2−イルメチル)ピラジン−2−アミンを得た。
【0333】
5−ブロモ−N−(ナフタレン−2−イルメチル)ピラジン−2−アミン(0.2g、0.637mmol)、L−p−ボロノフェニルアラニン(0.13g、0.637mmol)、パラジウムトリフェニルホスフィン二塩化物(13mg、0.019mmol)、NaCO(0.13g、1.27mmol)、アセトニトリル(5ml)及び水(5ml)を150℃で5分間、マイクロ波リアクターで加熱した。混合物を濃縮し、1.0NのHClに溶解して、エーテルで2回洗浄し、濃縮して、メタノールに溶解し、濾過し、濃縮して、0.12gの表題の化合物を得た。M+1=399;H NMR(CDOD)δ8.51(s,1H)、8.37(s,1H)、7.90(m,6H)、7.50(m,5H)、4.85(s,2H)、4.30(t,1H)、3.38(m,1H)、3.22(m,1H)。
【0334】
6.36.(S)−2−(Tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(4−(5−(ナフタレン−2−イルメチルアミノ)ピラジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0335】
【化73】

【0336】
(S)−2−アミノ−3−(4−(5−(ナフタレン−2−イルメチルアミノ)ピラジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸(0.15g、0.345mmol)を、0℃でジオキサン(3ml)及びHO(3ml)中のトリエチルアミン(87mg、0.862mmol)、及びboc−無水物(84mg、0.379)で処理した。混合物を室温に温め、一晩撹拌した。混合物を濃縮し、EtOAcと、HOとに分配した。水相を1.0NのHClで酸性化させpHを1にして、EtOAcで抽出した。有機物を組み合わせて、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮して、48mgの表題の化合物を得た。
【0337】
6.37.(S)−2−モルホリノエチル 2−アミノ−3−(4−(5−(ナフタレン−2−イルメチルアミノ)ピラジン−2−イル)フェニル)プロピオネートの合成
【0338】
【化74】

【0339】
(S)−2−(Tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(4−(5−(ナフタレン−2−イルメチルアミノ)ピラジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸(48mg、0.090mmol)、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン(12mg、0.090mmol)、トリエチルアミン(18mg、0.180mmol)、及びベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(BOP、18mg、0.090mmol)をジクロロメタン(3.0ml)中で室温で5時間撹拌した。さらに、トリエチルアミン(18mg、0.180mmol)及びBOP(18mg、0.090mmol)を添加し、混合物を一晩撹拌した。混合物を濃縮し、調製HPLCで精製して、2mgの表題の化合物を得た。
【0340】
6.38.(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−フルオロビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0341】
【化75】

【0342】
0℃のTHF(50ml)中の4’−ブロモ−2,2,2−トリフルオロアセトフェノン(5.0g、19.76mmol)に、NaBH(1.5g、39.52mmol)を添加した。混合物を室温に温め、1時間撹拌した。反応をTLC(CHCl)によって終了させた。混合物をHOでクエンチし、ロータリーエバポレータで処理して、大部分のTHFを取り除き、CHClで2回抽出した。有機物を組み合わせて、ブラインで洗浄し、少量に濃縮して、シリカゲルプラグで濾過した。シリカをCHClで洗浄し、生成物を溶離して、得られた溶液を濃縮し、4.65gの1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(収率92%)を得た。
【0343】
Pd(PPh(2.1g、1.823mmol)に、3−フルオロフェニルマグネシウム臭化物(55ml、THF中1.0M、55mmol)を15分かけて0℃で添加した。氷浴を取り外し、混合物を30分間撹拌させた。THF(50ml)中の1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(4.65g、18.23mmol)を10分かけて添加した。混合物を加熱し、3時間還流させ、LC(Sunfireカラム、TFA)によって完全に示された。混合物を冷却し、HOでクエンチして、ロータリーエバポレータで処理して、大部分のTHFを取り除き、CHClで3回抽出した。有機物を組み合わせて、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮した。クロマトグラフィ(SiO、CHCl)によって、4.64gの2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−フルオロビフェニル−4−イル)エタノール(収率94%)を得た。
【0344】
0℃のTHF(50ml)中の2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−フルオロビフェニル−4−イル)エタノール(1.4g、5.18mmol)に、NaH(鉱油中60%、0.31g、7.77mmol)を添加した。氷浴を取り外し、混合物を30分間撹拌させた。THF(25ml)中の2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(1.0g、6.22mmol)を1度に全て添加した。混合物を50℃に5時間加熱した。反応をLCMS(Sunfire、TFA)によって終了させた。混合物を冷却し、ブラインでクエンチして、CHClで3回抽出した。有機物を組み合わせて、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮した。クロマトグラフィ(SiO、CHCl)によって、1.48gの4−クロロ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−フルオロビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−2−アミン(収率73%)を得た。
【0345】
4−クロロ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−フルオロビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−2−アミン(0.75g、1.89mmol)、L−p−ボロノフェニルアラニン(0.47g、2.26mmol)、Pd(PPhCl(79mg、0.113mmol)、NaCO(0.44g、4.15mmol)、アセトニトリル(10ml)、及びHO(10ml)を20ml容のマイクロ波リアクターで組み合わせて、マイクロ波で150℃で7分間加熱した。反応をLCMS(Sunfire、中性)によって終了させた。混合物を濃縮し、NaOH(20ml、0.5N)に溶解して、濾過し、エーテルで3回抽出して、0℃に冷却した。0℃で、pHが6.5になるまで、1.0NのHClをゆっくり添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、生成物を濾過して、空気乾燥し、エーテル中の過剰な2.0NのHClで処理して、濃縮した後、CHClで粉砕して、1.12g、99%(純度95.5%)を得た。385mgを調製HPLC(Sunfire、TFA)で精製し、濃縮して、過剰な1.0NのHCl(水溶液)で処理し、少量に濃縮して、凍結乾燥させて、240mgの表題の化合物を得た。M+1=527;H NMRδ(CDOD)7.86(d,2H)、7.64(s,4H)、7.49(d,2H)、7.36(m,2H)、7.28(m,1H)、7.02(m,1H)、6.95(s,1H)、6.75(q,1H)、4.26(t,1H)、3.32(m,1H)、3.21(m,1H)。
【0346】
6.39.(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(ベンジルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0347】
【化76】

【0348】
ベンジルメルカプタン(0.14g、1.11mmol)を、30分間乾燥THF(15ml)中のNaH(鉱油中60%、67mg、1.66mmol)で処理した。2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(0.2g、1.22mmol)を添加し、混合物を一晩撹拌した。混合物を塩化メチレンで希釈し、水、その後ブラインで洗浄して、MgSOで乾燥させ、濃縮して、0.11gの4−(ベンジルチオ)−6−クロロピリミジン−2−アミンを得た。
【0349】
4−(ベンジルチオ)−6−クロロピリミジン−2−アミン(0.1g、0.397mmol)、L−p−ボロノフェニルアラニン(0.1g、0.477mmol)、Pd(PPhCl(17mg、0.024mmol)、NaCO(93mg、0.874mmol)、MeCN(2.5ml)及び水(2.5ml)をマイクロ波で150℃で5分間加熱した。混合物を濃縮し、調製HPLCで精製して、0.42gの表題の化合物を得た。M+1=381;H NMR(CDOD)δ7.8(d,2H)、7.37(t,4H)、7.23(m,2H)、7.16(m,1H)、6.98(s,1H)、4.43(s,2H)、4.20(t,1H)、3.29(m,1H)、3.13(M,1H)。
【0350】
6.40.(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(ナフタレン−2−イルメチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0351】
【化77】

【0352】
2−メルカプトナフタレン(0.2g、1.148)を、30分間乾燥THF(10ml)中のNaH(鉱油中60%、92mg、2.30mmol)で処理した。2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(0.21g、1.26mmol)を添加し、混合物を一晩撹拌した。混合物を塩化メチレンで希釈し、水、その後ブラインで洗浄して、MgSOで乾燥させ、濃縮して、0.18gの4−クロロ−6−(ナフタレン−2−イルメチルチオ)ピリミジン−2−アミンを得た。
【0353】
4−クロロ−6−(ナフタレン−2−イルメチルチオ)ピリミジン−2−アミン(0.1g、0.331mmol)、L−p−ボロノフェニルアラニン(83mg、0.397mmol)、Pd(PPhCl(14mg、0.020mmol)、NaCO(77mg、0.729mmol)、MeCN(2.5ml)及び水(2.5ml)をマイクロ波で150℃で5分間加熱した。混合物を濃縮し、調製HPLCで精製して、57mgの表題の化合物を得た。M+1=431;H NMR(CDOD)δ7.85(s,1H)、7.79(d,2H)、7.72(d,3H)、7.46(dd,1H)、7.35(m,4H)、6.95(s,1H)、4.58(s,2H)、4.17(m,1H)、3.26(m,1H)、3.11(m,1H)。
【0354】
6.41.(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(1−(3,4−ジフルオロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0355】
【化78】

【0356】
3,5−ジフルオロフェニル−トリフルオロメチルケトンを、THF(5ml)中のNaBH(0.18g、4.76mmol)で2時間処理した。混合物を水でクエンチして、塩化メチレンで(2回)抽出した。有機物を組み合わせて、シリカゲルで濾過し、濃縮して、0.46gの1−(3,4−ジフルオロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールを得た。
【0357】
1−(3,4−ジフルオロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(0.1g、0.471mmol)を、30分間乾燥THF(3ml)中でNaH(鉱油中60%、38mg、0.943mmol)で処理した。2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(77mg、0.471mmol)を添加し、混合物を50℃で6時間撹拌した。混合物を水でクエンチし、塩化メチレンで(2回)抽出した。有機物を組み合わせて、水、その後ブラインで洗浄して、MgSOで乾燥させ、濃縮して、0.14gの4−クロロ−6−(1−(3,4−ジフルオロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)−ピリミジン−2−アミンを得た。
【0358】
4−クロロ−6−(1−(3,4−ジフルオロフェニル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリミジン−2−アミン(0.14g、0.421mmol)、L−p−ボロノフェニルアラニン(110mg、0.505mmol)、Pd(PPhCl(18mg、0.025mmol)、NaCO(98mg、0.926mmol)、MeCN(2.5ml)及び水(2.5ml)をマイクロ波で150℃で5分間加熱した。混合物を濃縮し、調製HPLCで精製して、74mgの表題の化合物を得た。M+1=469;H NMR(CDOD)δ7.83(d,2H)、7.47(m,1H)、7.38(m,4H)、7.28(m,1H)、4.21(t,1H)、3.29(m,1H)、3.15(m,1H)。
【0359】
6.42.(2S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メチルビフェニル−2−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0360】
【化79】

【0361】
0℃のTHF(50ml)中の4’−ブロモ−2,2,2−トリフルオロアセトフェノン(5.0g、19.76mmol)に、NaBH(1.5g、39.52mmol)を添加した。混合物を室温に温め、1時間撹拌した。反応をTLC(CHCl)によって終了させた。混合物をHOでクエンチし、ロータリーエバポレータで処理して、大部分のTHFを取り除き、CHClで2回抽出した。有機物を組み合わせて、ブラインで洗浄し、少量に濃縮して、シリカゲルプラグで濾過した。シリカをCHClで洗浄し、生成物を溶離して、得られた溶液を濃縮し、4.65gの1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(収率92%)を得た。
【0362】
1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(0.13g、0.525mmol)、m−トリルボロン酸(0.1g、0.736mmol)、Fibercat(4.28%のPd、47mg、0.0157mmolのPd)、KCO(0.22g、1.576mmol)、EtOH(3ml)、及びHO(0.5ml)を組み合わせて、80℃で4時間加熱した。反応をTLC(CHCl)によって完全に示した。混合物を冷却し、濾過して、濃縮させ、CHCl中でスラリー状にし、シリカゲル(CHCl)でクロマトグラフィにかけ、0.1gの2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メチルビフェニル−2−イル)エタノール(収率:72%)を得た。
【0363】
代替的に、1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(0.98g、3.86mmol)、m−トリルボロン酸(0.63g、4.63mmol)、Pd(PPhCl(0.16g、0.232mmolのPd)、NaCO(0.90g、8.49mmol)、AcCN(10ml)、及びHO(10ml)を組み合わせて、マイクロ波で150℃で10分間加熱した。反応をTLC(CHCl)によって完全に示した。混合物を冷却し、濃縮させ、CHCl中でスラリー状にし、濾過して、シリカゲル(CHCl)でクロマトグラフィにかけ、0.80gの2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メチルビフェニル−2−イル)エタノール(収率:79%)を得た。
【0364】
代替的に、フッ化テトラブチルアンモニウム(THF13μL中の1.0NのTBAF、3.3mg、0.013mmol)を、0℃のTHF(1.5ml)中の3−メチル−ビフェニル−2−カルボキシアルデヒド(0.25g、1.27mmol)と、トリフルオロメチルトリメチルシラン(0.25g、1.53mmol)との混合物に添加した。反応物を室温に温めて、4時間撹拌した。HCl(3.0N、2.0ml)を添加し、混合物を3時間撹拌した。混合物を濃縮し、塩化メチレンに溶解し、シリカゲルで濾過し、濃縮して、0.15gの2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メチルビフェニル−2−イル)エタノールを得た。
【0365】
2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メチルビフェニル−2−イル)エタノール(0.15g、0.563mmol)を、30分間乾燥THF(5ml)中でNaH(鉱油中60%、45mg、1.12mmol)で処理した。2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(92mg、0.5633mmol)を添加し、混合物を50℃で6時間撹拌した。混合物を水でクエンチし、塩化メチレンで(2回)抽出した。有機物を組み合わせて、水、その後ブラインで洗浄して、MgSOで乾燥させ、濃縮して、0.16gの4−クロロ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メチルビフェニル−2−イル)エトキシ)ピリミジン−2−アミンを得た。
【0366】
4−クロロ−6−(2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メチルビフェニル−2−イル)エトキシ)ピリミジン−2−アミン(0.16g、0.406mmol)、L−p−ボロノフェニルアラニン(10mg、0.487mmol)、Pd(PPhCl(17mg、0.024mmol)、NaCO(95mg、0.894mmol)、MeCN(2.5ml)及び水(2.5ml)をマイクロ波で150℃で5分間加熱した。混合物を濃縮し、調製HPLCで精製して、105mgの表題の化合物を得た。M+1=523;H NMR(CDOD)δ7.85(d,2H)、7.70(d,1H)、7.44(m,4H)、7.31(t,1H)、7.21(m,2H)、7.10(m,2H)、6.87(q,1H)、6.84(s,1H)、4.25(t,1H)、3.30(m,1H)、3.18(m,1H)。
【0367】
6.43.(S)−2−アミノ−3−(4−(5−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジルアミノ)ピリジン−3−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0368】
【化80】

【0369】
トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(245mg、1.16mmol)を、5−ブロモ−ピリジン−3−アミン(100mg、0.57mmol)及び3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンズアルデヒド(127mg、0.57mmol)の1,2−ジクロロエタン(DCE)溶液10mlに添加し、HOAc(66μL、2当量、1.16mmol)を添加して、混合物を室温で一晩撹拌した後、DCE 15mlを添加した。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で取り除き、200mgの粗5−ブロモ−N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミンを得て、それをさらに精製することなく次の工程に用いた。
【0370】
5−ブロモ−N−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル)ピリジン−3−アミン(40mg、0.106mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(22mg、0.106mmol)、及びアセトニトリル2mlをマイクロ波用のエムリスプロセスバイアル(2ml〜5ml)に入れた。炭酸ナトリウム水溶液(2ml、1M)、その後10モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を上記溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波で180℃に10分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させた。残渣をメタノール2.5mlに溶解し、調製LCで精製して、20mgの(S)−2−アミノ−3−(4−(5−3−(シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−ベンジルアミノ)ピリジン−3−イル)フェニル)−プロピオン酸を得た。NMR:H−NMR(400MHz,CDOD):δ1.59(m,2H)、1.7(m,6H)、3.17(m,1H)、3.3(m,1H)、3.75(s,3H)、4.2(dd,1H)、4.39(s,2H)、4.7(m,1H)、6.9(m,3H)、7.4(d,2H)、7.6(d,2H)、7.7(s,1H)、7.9(s,1H)、8.15(s,1H);分析HPLC:RT2.69;M+1:462(RT:1.285)。
【0371】
6.44. 2−アミノ−3−(3−(4−アミノ−6−((R)−1−(ナフタレン−2−イル)エチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0372】
【化81】

【0373】
2−(ジフェニルメチレン−アミノ)酢酸tert−ブチル(400mg、1.35mmol)のTHF溶液(25ml)に、LDA溶液(THF中1.8M、2当量、2.7mmol、Aldrich製の未使用のボトル)を−78℃で5分かけて添加し、得られた混合物を20分間撹拌した。2−(3−(ブロモメチル)フェニル)−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン(460mg、1.2当量、1.62mmol)のTHF溶液(10ml)を5分かけて反応混合物に滴下した。反応を同じ温度(−78℃)で30分間続けて、室温で3時間置いた。反応物を飽和NHClでクエンチした後、水(30ml)を添加して、EtOAc(2×40ml)で抽出した。有機画分を組み合わせて、NaSOで乾燥させた。それから、溶媒を減圧下で濃縮し、粗3−(3−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)フェニル)−2−(ジフェニルメチレンアミノ)プロピオン酸tert−ブチルを、カラムクロマトグラフィによって精製し、半固体として生成物を得た。
【0374】
(R)−6−クロロ−N−(1−(ナフタレン−2−イル)エチル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(100mg、0.33mmol)、3−(3−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)フェニル)−2−(ジフェニルメチレンアミノ)プロピオン酸tert−ブチル(248mg、0.5mmol、1.5当量)、及びアセトニトリル6mlをマイクロ波用のエムリスプロセスバイアル(20ml)に入れ、さらに炭酸ナトリウム水溶液(1M)6ml、その後10モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を上記溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波で190℃に10分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させた。残渣をTHF 10mlに溶解し、それに5NのHCl(5ml)を添加した。ベンゾホン及びtert−ブチル基を脱保護するために、混合物を2時間還流させた。得られた反応混合物を濃縮し、メタノール(8ml)に溶解し、調製LCで精製して、15mgの2−アミノ−3−(4−(4−アミノ−6−((R)−1−(ナフタレン−2−イル)エチルアミノ)−1,3,5−トリジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸を得た。NMR:H−NMR(400MHz,CDOD):δ1.85(d,3H)、3.2〜3.45(m,2H)、4.37(m,1H)、5.5(m,1H)、7.4(m,1H)、7.6(m,4H)、7.9(m,4H)、8.18(m,2H)、分析HPLC:RT2.79、M+1:429(RT:1.35)。
【0375】
6.45. 2−アミノ−3−(4−(4−アミノ−6−((R)−1−(ナフタレン−2−イル)エチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−2−フルオロフェニル)プロピオン酸の合成
【0376】
【化82】

【0377】
2−(ジフェニルメチレン−アミノ)酢酸tert−ブチル(1.1g、3.73mmol)のTHF溶液(30ml)に、LDA溶液(THF中1.8M、1当量、3.73mmol、Aldrich製の未使用のボトル)を−78℃で5分かけて添加し、得られた混合物を20分間撹拌した。4−ブロモ−1−(ブロモメチル)−2−フルオロベンゼン(1g、3.74mmol)のTHF溶液(10ml)を5分かけて反応混合物に滴下した。反応を−78℃で30分間続けた後、室温で3時間置いた。反応物を飽和NHClでクエンチした後、水(30ml)を添加した。生成物をEtOAc(2×40ml)で抽出し、有機画分を組み合わせて、NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で濃縮し、粗3−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(ジフェニルメチレンアミノ)−プロピオン酸tert−ブチルを、カラムクロマトグラフィによって精製した。生成物を固体として得た。
【0378】
3−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(ジフェニルメチレンアミノ)−プロピオン酸tert−ブチル(600mg、1.24mmol)、Pd(dba)2(71mg、0.124mmol)、PCy3(35mg、0.124mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン(346mg、1.1当量、1.36mmol)及びKOAc(182mg、1.5当量、1.86mmol)と、DMF 20mlとをマイクロ波用のエムリスプロセスバイアル(20ml)に入れた。反応容器に封をし、マイクロ波によって160℃に20分間加熱した。冷却後、乾燥するまで減圧下で反応混合物を蒸発させた。残渣をHO(30ml)に溶解し、EtOAc(2×40ml)で抽出し、調製LCで精製して、220mgの2−(ジフェニルメチレンアミノ)−3−(2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)プロピオン酸tert−ブチルを得た。
【0379】
(R)−6−クロロ−N−(1−(ナフタレン−2−イル)エチル)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(67mg、0.22mmol)、2−(ジフェニルメチレンアミノ)−3−(2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)プロピオン酸tert−ブチル(120mg、0.22mmol)、及びアセトニトリル2mlをマイクロ波用のエムリスプロセスバイアル(5ml)に入れた。炭酸ナトリウム水溶液(2ml、1M)、その後10モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を上記溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波によって190℃に10分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させた。残渣をTHF 10mlに溶解し、それに5NのHCl(2ml)を添加した。混合物を2時間還流させた(ベンゾホン及びtert−ブチル基の脱保護)。2つの基の脱保護後、混合物を濃縮し、メタノール(5ml)に溶解し、調製LCで精製して、10mgの2−アミノ−3−(4−(4−アミノ−6−((R)−1−(ナフタレン−2−イル)エチルアミノ)−1,3,5−トリジン−2−イル)−2−フルオロフェニル)プロピオン酸を得た。NMR:H−NMR(400MHz,CDOD):δ1.6(d,3H)、3.07(m,1H)、3.45(m,1H)、3.8(m,1H)、5.45(m,1H)、7.4(m,4H)、7.6(m,1H)、7.8(m,4H)、8.08(m,1H)、分析HPLC:RT2.88、M+1:447(RT:1.44)。
【0380】
6.46.(2S)−2−アミノ−3−(4−(4−アミノ−6−(1−(アダマンチル)エチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0381】
【化83】

【0382】
アダマンタン(adamantine)アミン(1当量)、2−アミノ−4,6−ジクロロ−[1,3,5]トリアジン(1当量)及びジイソプロピルエチルアミン(5当量、Aldrich)の無水1,4−ジオキサン溶液を130℃で3時間還流させた。反応終了後、ジオキサンを減圧下で取り除いた。それから、反応物を室温に冷却し、水を添加して、生成物をジクロロメタン(2×40ml)で抽出した。組み合わせた有機溶液をNaSOで乾燥させ、濃縮して、生成物を得て、精製することなく次の工程に用いた。
【0383】
アダマンタントリジン塩化物(200mg、0.65mmol)、4−ボロノ−L−フェニルアラニン(135mg、0.65mmol)、及びアセトニトリル5mlをマイクロ波用のエムリスプロセスバイアル(20ml)に入れた。炭酸ナトリウム水溶液(5ml、1M)、その後5モル%のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)を上記溶液に添加した。反応容器に封をし、マイクロ波で190℃に20分間加熱した。冷却後、乾燥するまで反応混合物を蒸発させた。残渣をメタノール4mlに溶解し、調製LCで精製して、60mg(収率21%)の結合生成物を得た。NMR:H−NMR(400MHz,CDOD):δ1.22(m,3H)、1.6〜1.8(m,12H)、2.01(d,3H)、3.25〜3.42(m,2H)、4.0(m,1H)、4.40(m,1H)、7.6(d,2H)、8.2(d,2H)、分析HPLC:RT3.11、M+1:437(RT:1.76)。
【0384】
6.47.(2S)−2−アミノ−3−(4−(4−アミノ−6−(1−((アダマンチル)エチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の代替合成
シアノグアニジン(1当量)、(S)−2−アミノ−3−(4−シアノフェニルプロピオン酸(1当量)及びカリウムtert−ブトキシド(3.5当量、Aldrich)の乾燥n−BuOH溶液を形成することによって、アダマンタン−(2−イル)エチルシアノグアニジンを調製し、これを封管中で160℃で2日間激しく還流させた。反応終了後、混合物を室温に冷却させ、反応物を水でクエンチした。溶媒を減圧下で取り除いた。再び、室温に冷却させた後、1NのNaOHを添加することによって、反応混合物のpHを12〜14にした。それから、エーテル:EtOAc(9:1、2×100ml)で抽出しながら不純物を取り除いた。水溶液を0℃に冷却した後、1NのHClを添加し、pHを7に調節した。淡黄色の生成物をHO中でゆっくりと粉砕し、混合物を30分間、冷却装置に置き、固体を濾過によって92%の純度で得た。化合物をMeOHから結晶化し、白色固体(純度98%超、収率48%〜78%)を得た。H−NMR(400MHz,CDOD):δ1.0(d,3H)、1.45〜1.6(m,6H)、4.62〜4.8(m,4H)、2.0(m,2H)、3.3(m,1H)、3.5(m,1H);分析HPLC:RT2.69;M+1:462(RT:1.285)。
【0385】
スキーム6で示された方法を用いて、表題の化合物をアダマンタン−(2−イル)エチルシアノグアニジンから調製した。
【0386】
6.48.(S)−2−アミノ−3−(4−(5−フルオロ−4−((R)−1−(ナフタレン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−2−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0387】
【化84】

【0388】
(R)−(+)−1−(2−ナフチル)エチルアミン(102.6mg、0.599mmol)と、2,4−ジクロロ−5−フルオロピリミジン(100mg、0.599mmol)と、炭酸セシウム(390mg、1.2mmol)との混合物を10ml容のマイクロ波バイアル中の1,4−ジオキサン(3ml)及びHO(3ml)に溶解した。混合物をマイクロ波リアクター中で80℃で10分間撹拌した。残渣をCHCl(50ml)に溶解し、水(20ml)、ブライン(20ml)で洗浄して、乾燥させ(NaSO)、濃縮して、粗中間体2−クロロ−5−フルオロ−ピリミジン−4−イル)−(1−ナフタレン−2−イル−エチル)−アミンを得た。
【0389】
それから、粗中間体(250mg、0.83mmol)を、20ml容のマイクロ波バイアル中のMeCN 6.0ml及びHO 6mlに溶解した。この溶液に、L−p−ボロノ−フェニルアラニン(173.6mg、0.83mmol)、炭酸ナトリウム(173.6mg、1.66mmol)及び触媒量のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(11.6mg、0.0166mmol)を添加した。それから、反応バイアルに封をし、マイクロ波リアクターで150℃で7分間撹拌した。それから内容物を濾過し、濾液を濃縮させ、MeOH及びHO(1:1)に溶解し、溶媒系としてMeOH/HO/TFAを用いて、調製HPLCによって精製した。組み合わせた純度の高い画分を真空下で蒸発させ、さらに凍結乾燥器で乾燥して、154mgの2−アミノ−3−{4−[5−フルオロ−4−(1−ナフタレン−2−イル−エチルアミノ)−ピリミジン−2−イル]−フェニル}−プロピオン酸を得た。NMR:H−NMR(400MHz,CDOD)δ1.8(d,3H)3.2〜3.4(m,2H)、4.35(m,1H)、5.7(q,1H)、7.5(m,4H)、7.6(d,1H)、7.8〜7.9(m,4H)、8.1(d,2H)、8.3(d,1H)。LCMS:M+1=431。
【0390】
6.49.(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(4−(トリフルオロメチル)−ベンジルアミノ)−ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0391】
【化85】

【0392】
トリフルオロメチルベンジルアミン(106.8mg、0.610mmol)と、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(100mg、0.610mmol)と、炭酸セシウム(217mg、1.2mmol)との混合物を20ml容のマイクロ波バイアル中の1,4−ジオキサン(6ml)及びHO(6ml)に溶解した。混合物をマイクロ波リアクター中で210℃で25分間撹拌した。それから、溶媒を取り除いた。残渣をCHCl(50ml)に溶解し、水(20ml)、ブライン(20ml)で洗浄して、乾燥させ(NaSO)、濃縮して、粗中間体6−クロロ−N−4’−(トリフルオロメチル−ベンジル)−ピリミジン(pryrimidine)−2,4−ジアミンを得た。
【0393】
それから、粗中間体(150mg、0.497mmol)を、10ml容のマイクロ波バイアル中のMeCN 3.0ml及びHO 3mlに溶解した。この溶液に、L−p−ボロノ−フェニルアラニン(104mg、0.497mmol)、炭酸ナトリウム(150mg、0.994mmol)及び触媒量のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(6.9mg、0.00994mmol)を添加した。それから、反応バイアルに封をし、マイクロ波リアクターで150℃で5分間撹拌した。内容物を濾過し、濾液を濃縮させ、MeOH及びHO(1:1)に溶解し、MeOH/HO/TFA溶媒系を用いて、調製HPLCによって精製した。組み合わせた純度の高い画分を真空下で蒸発させ、さらに凍結乾燥器で乾燥して、2−アミノ−3−{4−[2−アミノ−6−(4−トリフルオロメチル−ベンジルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−フェニル}−プロピオン酸を得た。NMR:H−NMR(300MHz,CDOD)δ3.1〜3.3(m,2H)、4.2(t,1H)、4.7(s,2H)、6.3(s,1H)、7.4〜7.5(m,4H)、7.6(d,2H)、7.7(d,2H)。LCMS:M+1=432。
【0394】
6.50. 2−アミノ−3−(5−(5−フェニルチオフェン−2−イル)−1H−インドール−3−イル)プロピオン酸の合成
【0395】
【化86】

【0396】
5−フェニル−チオフェン−2−ボロン酸(0.016g、0.078mmol)、NaCO(0.015g、0.142mmol)、アセトニトリル(1.5ml)/水(1.5ml)、及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(3mg、0.003mmol)の入った5ml容のマイクロ波バイアルに、2−アミノ−3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸(0.020g、0.071mmol)を添加した。マイクロ波バイアルに蓋をし、マイクロ波照射下で150℃で5分間撹拌した。反応混合物を冷却し、シリンジフィルタで濾過した後、YMC−PACK ODS 100×30mmのIDカラム(MeOH/HO/TFA溶媒系)を用いて、逆相調製HPLCによって単離した。純度の高い画分を真空下で濃縮した。それから、生成物を水5mlで懸濁し、凍結乾燥して、5mgの純生成物2−アミノ−3−[5−(5−フェニル−チオフェン−2−イル)−1H−インドール−3−イル]−プロピオン酸を得た。1H−NMR(300MHz,CDOD):3.21〜3.26(m,2H)、4.25(q,1H)、7.15〜7.35(m,8H)、7.58(d,2H)、7.82(d,1H)。
【0397】
6.51. (S)−2−アミノ−3−(4−(4−(4−フェノキシフェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0398】
【化87】

【0399】
O:ジオキサン(5:1)中の1−エチニル−4−フェノキシ−ベンゼン(126mg、0.65mmol)と、(S)−3−(4−アジド−フェニル)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸(200mg、0.65mg)の混合物を封管中で100℃で一晩加熱した。反応終了後、3NのHCl(5ml)を添加して、混合物を50℃で2時間撹拌した。溶媒の除去によって、粗生成物が得られ、それをMeOHに溶解し、調製HPLCによって精製して、45mgの所望の生成物(収率:29%)を得た。H−NMR(400MHz,CDOD):d(ppm)3.2(m,1H)、3.4(m,1H)、4.3(m,1H)、6.9(d,2H)、7.0(d,2H)、7.2(m,1H)、7.3(d,2H)、7.4〜7.55(m,6H)、8.0(s,1H)。
【0400】
6.52. (S)−2−アミノ−3−(4−(4−(4−(チオフェン−2−カルボキサミド)フェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)プロピオン酸及び(S)−2−アミノ−3−(4−(5−(4−(チオフェン−2−カルボキサミド)フェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0401】
【化88】

【0402】
5mlのHO:ジオキサン(5:1)中のチオフェン−2−カルボン酸(4−エチル−フェニル)アミド(117mg、0.49mmol)と、(S)−3−(4−アジド−フェニル)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸(150mg、0.49mg)の混合物を封管中で100℃で一晩加熱した。反応終了後、3NのHCl(5ml)を添加して、混合物を50℃で2時間撹拌した。溶媒の除去によって、粗生成物が得られ、それをMeOHに溶解し、調製HPLCによって精製した。LCMS(保持時間)及びNMRに従って、2つの位置異性体(全収率:70mg、66%)を得た。主な生成物は(S)−2−アミノ−3−(4−(4−(4−(チオフェン−2−カルボキサミド)フェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)プロピオン酸である。NMR:H−NMR(400MHz,CDOD):δ3.2(m,1H)、3.4(m,1H)、4.3(m,1H)、7.15(m,1H)、7.3(d,2H)、7.6(m,4H)、7.0(m,3H)、7.95(d,1H)、8.0(s,1H)。少量の生成物は(S)−2−アミノ−3−(4−(5−(4−(チオフェン−2−カルボキサミド)フェニル)−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル)プロピオン酸である。H−NMR(400MHz,CDOD):δ3.2(m,1H)、3.4(m,1H)、4.35(m,1H)、7.2(m,1H)、7.3(d,2H)、7.5〜7.6(m,4H)、7.75(m,3H)、7.95(d,1H)、8.05(s,1H)。
【0403】
6.53.(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−(フェニルエチニル)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロピオン酸の合成
【0404】
【化89】

【0405】
2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(0.180g、1.1mmol)、トリメチル−フェニルエチニル−スタンナン(0.264g、1mmol)をTHF(20ml)中に溶解し、混合物を65℃で12時間撹拌した。LCMSによって反応の終了が示された。溶媒を取り除き、残渣を以下の工程で直接用いた。
【0406】
粗中間体(0.42g)、L−p−ボロノ−フェニルアラニン(0.210g、1mmol)、炭酸ナトリウム(0.210g、2mmol)、及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)(25mg、0.036mmol)を、10ml容のマイクロ波バイアル中のMeCN(3ml)及びHO(3ml)の混合物に溶解した。バイアルに封をし、150℃で6分間マイクロ波リアクターで撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮した。溶媒系としてMeOH/HO/TFAを用いて、調製HPLCによって残渣を精製し、TFA塩として(S)−2−アミノ−3−[4−(2−アミノ−6−フェニルエチニル−ピリミジン−4−イル(−フェニル]−プロピオン酸を得た。H−NMR(400MHz,CDOD):d(ppm)3.20〜3.42(m,2H)、4.31(m,1H)、7.40〜7.51(m,6H)、7.62(d,2H)、8.18(d,2H)。
【0407】
6.54.付加的な化合物
当該技術分野で既知及び/又は本明細書に記載の方法を用いて調製した付加的な化合物は以下に挙げられる。
【0408】
【表1】














【0409】
6.55.in vitro阻害アッセイ
ヒトTPH1、TPH2、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)及びフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PH)をそれぞれ以下のアクセッション番号を有する遺伝子を用いて全て生成した:X52836、AY098914、X05290、及びU49897。
【0410】
ヒトTPH1の全長コード配列を細菌発現ベクターpET24(Novagen, Madison, WI, USA)にクローン化した。発現ベクターを内在するBL21(DE3)細胞の単一コロニーが、Lブロス(LB)−カナマイシン培地50mlに接種され、振盪しながら37℃で終夜培養させた。それから、培地の半分(25ml)を、1.5%酵母抽出物、2% Bacto Peptone、0.1mMのトリプトファン、0.1mMの硫酸第一鉄アンモニウム、及び50mMのリン酸緩衝液(pH7.0)を含有する3Lの培地に移し、酸素を40%で供給し、pHを7.0に維持して、グルコースを添加しながら37℃でOD600が6になるまで培養した。25℃で10時間にわたって15%D−ラクトースでTPH1の発現を誘導した。細胞を遠沈して、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1回洗浄した。
【0411】
プテリンとの結合に基づき、アフィニティクロマトグラフィによって、TPH1を精製した。細胞ペレットを、50mMのトリス−Cl(pH7.6)、0.5MのNaCl、0.1%Tween−20、2mMのEDTA、5mMのDTT、プロテアーゼ阻害混合物(Roche Applied Science, Indianapolis, IN, USA)、及び1mMのフッ化フェニルメタンスルホニル(PMSF)を含有する溶解緩衝液(100ml/20g)に再懸濁し、細胞をマイクロフルイダイザー(microfluidizer)で溶解した。溶解物を遠心分離し、50mMのトリス(pH8.0)、2MのNaCl、0.1%Tween−20、0.5mMのEDTA、及び2mMのDTTを含有する緩衝液で平衡化したプテリン結合セファロース4Bカラムに上清を充填した。カラムをこの緩衝液50mlで洗浄し、30mMのNaHCO(pH10.5)、0.5MのNaCl、0.1%Tween−20、0.5mMのEDTA、2mMのDTT、及び10%グリセロールを含有する緩衝液でTPH1を溶離した。溶離した酵素を、200mMのKHPO(pH7.0)、0.5MのNaCl、20mMのDTT、0.5mMのEDTA、及び10%グリセロールで迅速に中和して、−80℃で保存した。
【0412】
ヒトのトリプトファンヒドロキシラーゼII型(TPH2)、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)及びフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)は、増殖中にTHに対してはチロシン及びPAHに対してはフェニルアラニンを細胞に供給したことを除いて本質的に同じ方法で発現させ精製した。
【0413】
50mMの4−モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)(pH7.0)、60μMのトリプトファン、100mMの硫酸アンモニウム、100μMの硫酸第一鉄アンモニウム、0.5mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、0.3mMの6−メチルテトラヒドロプテリン、0.05mg/mlのカタラーゼ、及び0.9mMのDTTを含有する反応混合物でTPH1活性及びTPH2活性を測定した。TPH1を7.5nMの最終濃度まで添加することによって、反応を開始させた。360nm(励起波長=300nm)での蛍光の変化に従って、反応の開始速度を求めた。様々な化合物濃度でのこれらの活性を測定することによって、TPH1及びTPH2の阻害を求め、式:
【0414】
【数1】

【0415】
(式中、vは所定の化合物濃度Cでの開始速度であり、Cが0の場合vはvであり、bはバックグラウンドシグナルであり、Dはおよそ1に等しいHill勾配であり、Ic50は最大の酵素活性の半分を阻害する化合物の濃度である)を用いて、所定の化合物の効力を算出した。
【0416】
ヒトのTH活性及びPAH活性は、それぞれL−[3,4−H]−チロシン及びL−[4−H]−フェニルアラニンを用いて生成されたOの量を測定することによって求めた。初めに、酵素(100nM)を0.1mMのその基質で約10分間インキュベートして、50mMのMOPS(pH7.2)、100mMの硫酸アンモニウム、0.05%Tween−20、1.5mMのTCEP、100μMの硫酸第一鉄アンモニウム、0.1mMのチロシン又はフェニルアラニン、0.2mMの6−メチルテトラヒドロプテリン、0.05mg/mlのカタラーゼ、及び2mMのDTTを含有する反応混合物に添加した。反応を10分〜15分間進行させ、2MのHClを添加することによって停止させた。それから、混合物を活性炭で濾過し、濾液の放射活性をシンチレーション計測によって求めた。このアッセイを用いてTH及びPAHに対する化合物の活性を求め、TPH1及びTPH2と同じ方法で算出した。
【0417】
6.56.細胞ベースの阻害アッセイ
2つの種類の細胞株をスクリーニングに用いた:RBL2H3は、TPH1を含有し、自然に5−ヒドロキシトリプタミン(5HT)を生成するラット肥満細胞腫細胞株であり、BONは、TPH1を含有し、5−ヒドロキシトリプトファン(5HTP)を生成するヒトカルチノイド細胞株である。CBAを96ウェルプレートフォーマットで行った。HPLCで用いる移動相は、100mMの酢酸ナトリウム(pH3.5)を97%及びアセトニトリルを3%含有していた。WatersのC18カラム(4.6×50mm)をWatersのHPLC(モデル2795)に用いた。多チャンネル蛍光光度計(モデル2475)を用いて、励起波長を280nm、及び発光波長を360nmに設定して、通過液をモニタリングした。
【0418】
RBL CBA:細胞を3時間〜4時間完全培地(5%ウシ血清含有)で増殖し、細胞をプレートウェル(7K細胞/ウェル)に結合させた。それから、化合物を0.016μM〜11.36μMの濃度範囲でそれぞれのウェルに添加した。対照は、化合物が全く存在しない完全培地中の細胞であった。37℃で3日間のインキュベート後に細胞を採取した。化合物が存在しない細胞の集密度(confluent)は95%を超えていた。培地をプレートから取り除き、細胞を等量の0.1NのNaOHに溶解した。等量の1MのTCAと混合することによって、細胞溶解物の大部分を処理した後、ガラス繊維で濾過した。5HT濃度を分析するために、濾液を逆相HPLCに充填した。また、細胞溶解物をごくわずか採取して、用いた濃度での化合物の細胞毒性を反映する細胞のタンパク質濃度を測定した。BCA法を用いることによって、タンパク質濃度を測定した。
【0419】
化合物で処理されない細胞における平均5HTレベルを、上記の式に従ったIC50誘導の最大値として用いた。5HTの最小値は、0であるか、又は細胞毒性がない最大濃度の化合物で処理した細胞から求められる。
【0420】
BON CBA:等量のDMEM及びF12Kにおいて5%ウシ血清で3時間〜4時間細胞を増殖して(20K細胞/ウェル)、化合物を0.07μM〜50μMの濃度範囲で添加した。細胞を37℃で一晩インキュベートした。それから、50μMの培養上清を5HTP測定のために採取した。上清を等量の1MのTCAと混合した後、ガラス繊維で濾過した。5HTP濃度測定のために、濾液を逆相HPLCに充填した。PromegaのCelltiter−Glo発光細胞生存率アッセイで残存細胞を処理することによって、細胞生存率を測定した。それから、RBL CBAと同じ方法で化合物の効力を算出した。
【0421】
6.57.in vivo効果
化合物の経口投与後のマウスの腸及び脳における5−HTレベルの変化を求めることによって、本発明の強力なTPH1阻害剤のin vivo効果を幾つかの研究で評価した。
【0422】
化合物を異なるビヒクルに配合して、懸濁液又は溶液のいずれかを準備した。一般的に、14週齢の雄のC57アルビノマウスに、4日間連続して1日1回、5ml/kgを胃チューブで投与した。最後の投与の5時間後、動物を速やかに犠牲にした。腸管及び全脳の様々な領域を採取し、迅速に凍結した。5−HTを組織から抽出し、HPLCによって測定した。曝露分析のために血液サンプルを採取した。
【0423】
強力なTPH1阻害剤は、小腸及び大腸の両方で5−HTレベルを低減させたが、脳では低減しなかったことが見出された。或る研究では、化合物をHOに配合させ、4つの異なる用量レベル:15、50、150、及び500mg/kgで、胃チューブによって1日1回マウスに投与した。図1で示されるように、化合物は、用量依存的な空腸及び回腸における5−HTの有意な低減を引き起こした。結腸では、5−HTの統計的に有意な低減が、50、150、及び500mg/kg/日の用量レベルで見られた。いずれの用量レベルでも脳では、5−HTレベルの有意な変化は見られなかった。
【0424】
上記で言及した全ての公報(例えば、特許及び特許出願)はその全体が、参照により本明細書中に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の薬学的活性成分と、第2の薬学的活性成分とを含む薬学的組成物であって、該第1の薬学的活性成分がセロトニン媒介性の有害作用に関連しており、該第2の薬学的活性成分がトリプトファンヒドロキシラーゼ阻害剤である、薬学的組成物。
【請求項2】
前記第1の薬学的活性成分がモノアミンオキシダーゼ阻害剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1の薬学的活性成分が選択的セロトニン再取り込み阻害剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1の薬学的活性成分がトリプタンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記モノアミンオキシダーゼ阻害剤が、ブロファロミン、デクスフェンフルラミン、イソカルボキサジド、イソニアジド、イプロニアジド、フェンフルラミン、モクロベミド、フェネルジン、プソイドエフェドリン、セレギリン、トロキサトン、若しくはトラニルシプロミン、又はそれらの薬学的に許容される塩、又はそれらの薬理学的に活性のある立体異性体若しくは代謝体である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記選択的セロトニン再取り込み阻害剤が、アミトリプチリン、シタロプラム、ドキセピン、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、ノルフルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、ベンラファキシン、若しくはジメリジン、又はそれらの薬学的に許容される塩、又はそれらの薬理学的に活性のある立体異性体若しくは代謝体である、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記トリプタンが、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、若しくはゾルミトリプタン、又はそれらの薬学的に許容される塩、又はそれらの薬理学的に活性のある立体異性体若しくは代謝体である、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記トリプトファンヒドロキシラーゼ阻害剤が強力なTPH1阻害剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記強力なTPH1阻害剤が、式:
【化1】

(式中、Aは必要に応じて置換されたシクロアルキル、アリール、又は複素環であり、
Xは結合、−O−、−S−、−C(O)−、−C(R)=、=C(R)−、−C(R)−、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−C(R)N(R)−、−N(R)C(R)−、−ONC(R)−、−C(R)NO−、−C(R)O−、−OC(R)−、−S(O)−、−S(O)N(R)−、−N(R)S(O)−、−C(R)S(O)−、又は−S(O)C(R)−であり、
Dは必要に応じて置換されたアリール又は複素環であり、
は水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール、若しくは複素環であり、
は水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール、若しくは複素環であり、
は水素、アルコキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、又は必要に応じて置換されたアルキルであり、
は水素、アルコキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、又は必要に応じて置換されたアルキル若しくはアリールであり、
各Rは独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル若しくはアリールであり、
nは0〜3である)又はその薬学的に許容される塩を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記強力なTPH1阻害剤が、式:
【化2】

(式中、Eは必要に応じて置換されたアリール又は複素環である)
を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記強力なTPH1阻害剤が、式:
【化3】

(式中、A及びAはそれぞれ独立して、必要に応じて置換された単環式のシクロアルキル、アリール又は複素環である)
を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記強力なTPH1阻害剤が、式:
【化4】

を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記強力なTPH1阻害剤が、式:
【化5】

(式中、Z’’、Z’’、Z’’、及びZ’’のそれぞれは独立して、N又はCR10であり、
各R10は独立して、アミノ、シアノ、ハロゲン、水素、OR11、SR11、NR1213、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、
各R11は独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、
各R12は独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、
各R13は独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環である)
を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記強力なTPH1阻害剤が、式:
【化6】

を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記トリプトファンヒドロキシラーゼ阻害剤が、式:
【化7】

(式中、Aは必要に応じて置換されたシクロアルキル、アリール、又は複素環であり、
Xは結合、−O−、−S−、−C(O)−、−C(R)=、=C(R)−、−C(R)−、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−C(R)N(R)−、−N(R)C(R)−、−ONC(R)−、−C(R)NO−、−C(R)O−、−OC(R)−、−S(O)−、−S(O)N(R)−、−N(R)S(O)−、−C(R)S(O)−、又は−S(O)C(R)−であり、
Eは必要に応じて置換されたアリール又は複素環であり、
は水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール、若しくは複素環であり、
は水素、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール、アルキル−複素環、アリール、若しくは複素環であり、
は水素、アルコキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、又は必要に応じて置換されたアルキルであり、
は水素、アルコキシ、アミノ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、又は必要に応じて置換されたアルキル若しくはアリールであり、
各Rは独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル若しくはアリールであり、
各R10は独立して、アミノ、シアノ、ハロゲン、水素、OR11、SR11、NR1213、又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、
各R11は独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、
各R12は独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、
各R13は独立して、水素又は必要に応じて置換されたアルキル、アルキル−アリール若しくはアルキル−複素環であり、
nは0〜3であり、
qは1〜2である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
Eがアリールである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
Xが−O−、−C(R)O−、又は−OC(R)−である、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
が水素又は必要に応じて置換されたアルキルであり、Rが水素又は必要に応じて置換されたアルキルである、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
が水素であり、Rがトリフルオロメチルである、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
nが1である、請求項15に記載の組成物。
【請求項21】
qが1である、請求項15に記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2010−531889(P2010−531889A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515027(P2010−515027)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/067998
【国際公開番号】WO2009/002970
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(508192566)レクシコン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【Fターム(参考)】