説明

トリプルネガティブ乳癌の治療に使用するBIBW2992

本発明はトリプルネガティブ乳癌を罹患する患者を治療する方法に関し、前記方法は、不可逆性EGFR/HER1およびHER2阻害剤、BIBW2992(1)の有効量を、そのような治療を必要とする者に、場合によってさらに別の化学療法剤(2)の投与と一緒に、放射線療法、放射線免疫療法および/または外科的腫瘍切除と組み合わせて投与する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリプルネガティブ乳癌を罹患する患者を治療する方法に関し、前記方法は、有効量の不可逆性EGFR/HER1およびHER2阻害剤、BIBW2992(1)をそのような治療を必要とする患者に、場合によってさらに別の化学療法剤(2)の投与と一緒に、また場合により放射線療法、放射線免疫療法および/または外科的腫瘍切除と組み合わせて投与する工程を含む。
【背景技術】
【0002】
BIBW2992は、化合物、4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンとして知られている:
【0003】
【化1】

1
【0004】
BIBW2992は、erbb1レセプター(EGFR)およびerbB2(Her2/neu)レセプターチロシンキナーゼの強力で選択的な二重阻害剤である。さらにまた、BIBW2992は、EGFRおよびHER2と共有結合し、それによって前記が結合したレセプター分子を不可逆的に不活化するように設計された。この化合物、その塩(例えば二マレイン酸塩)、それらの調製物、およびBIBW2992またはその塩を含む医薬処方物、BIBW2992および前記を含む組合せ物で治療されるべき適応症は、WO 02/50043、WO 2005/037824、WO 2007/054550 およびWO 2007/054551に開示されている。
乳癌は、それらが、エストロゲンレセプター、プロジェステロンレセプターまたはHER2/neu(ERBB2)の遺伝子をそれぞれ過剰発現するか否かによって分類される。これら3つのレセプターは乳癌細胞の増殖を促進することが知られており、もっとも成功率の高い乳癌治療は、これらレセプターを直接標的とするホルモン系または抗体系薬剤である。種々の薬剤が異なるレセプターを標的とするので、治療を開始する前に癌がどのサブタイプであるかを知ることが重要である。トリプルネガティブ乳癌(TNBC)は、エストロゲンレセプター(ER)、プロジェステロンレセプター(PR)およびHER2/neuをコードする遺伝子の十分なタンパク質量を発現しない、乳癌の特有のサブタイプを指す。このサブタイプの乳癌は、より攻撃的であり、標準的な(レセプター媒介)治療(ハーセプチンおよびタモキシフェンを含む)に対する応答性が低く、患者の総合的予後不良と切り離せないという臨床的特徴を有する。ステージにより、トリプルネガティブ乳癌は極めて攻撃的となることがあり、他の乳癌サブタイプよりも転移しやすい。組織学的には、そのような癌はほとんど分化せず、そのような癌の大半が、基礎マーカーの染色(すなわちサイトケラチン5/6)を特徴とする基本サブグループの乳癌に該当する。前記癌は、より若年(閉経前)の女性、BRCA1変異を有する女性、並びにアフリカ系アメリカ人およびヒスパニック系種族集団でより高率に診断される。トリプルネガティブ乳癌は全乳癌症例のほぼ15%に達する。
外科手術および放射線治療の後、TNBCは、典型には化学療法、ACTと称される3薬剤の組合せに応答する(ACTは、アドレアマイシン、シクロホスファミド(シトキサン)およびタキサン(例えばパクリタキセル、ドセタキセル)を意味する)。
【発明の概要】
【0005】
驚くべきことに、不可逆性EGFR/HER1およびHER2阻害剤BIBW2992(1)は、トリプルネガティブ乳癌を罹患する患者の治療に有利な効果を示す。
したがって、第一の特徴として、本発明は、トリプルネガティブ乳癌を罹患する患者を治療する方法に関し、前記方法は、有効量の不可逆性EGFR/HER1およびHER2阻害剤、BIBW2992(1)をそのような治療を必要とする者に、場合によってさらに別の化学療法剤(2)の投与と一緒に、および/または場合によって放射線療法、放射線免疫療法および/または外科的腫瘍切除と組み合わせて投与する工程を含む。
本発明の第二の特徴は、トリプルネガティブ乳癌を罹患する患者の治療用BIBW2992(1)またはその塩、例えばトリプルネガティブ乳癌を罹患する患者を治療するBIBW2992(1)を含む医薬組成物である。
本発明の第三の特徴は、トリプルネガティブ乳癌を罹患する患者の治療用医薬組成物を製造するためのBIBW2992(1)の使用である。
本発明の第一の好ましい実施態様では、本発明の治療方法はトリプルネガティブ乳癌のネオアジュバント/アジュバント治療である。
本発明の第二の好ましい実施態様では、治療されるべき適応症はトリプルネガティブ転移性乳癌である。
【0006】
本発明の第三の好ましい実施態様では、本発明の治療方法は、ネオアジュバントまたはアジュバント化学療法の失敗後の、または転移性疾患の原発症例では以前にネオアジュバントまたはアジュバント化学療法に曝露していない場合の一番目の優良治療である。
本発明の第四の好ましい実施態様では、本発明の治療方法は、1つの先行化学療法の失敗後の二番目の優良治療である。
本発明の第五の好ましい実施態様では、本発明の治療方法は2つの別個の先行化学療法の失敗後の三番目の優良治療である。
本発明の第六の好ましい実施態様では、本発明の治療方法は併用治療であり、前記併用治療は、有効量のBIBW2992(1)を、アドリアマイシン、シクロホスファミド(シトキサン)、タキサン(例えばパクリタキセル、ドセタキセル)および白金化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、テトラプラチンまたはイプロプラチン)から選択される化学療法剤の1つ、2つまたは3つの有効量の投与と一緒に、好ましくは外科手術および放射線治療後にそのような治療を必要とする者に投与する工程を含む。
【0007】
本発明の第七の好ましい実施態様では、本発明の治療方法は、腫瘍のerbBレセプター機能不全を示す特有の予め選択したトリプルネガティブ乳癌患者へのBIBW2992(1)による単一薬剤治療、またはBIBW2992(1)の有効量を既に確立された化学療法剤または実験的化学療法剤の有効量と一緒に投与する工程を含む併用治療であって、前記確立された化学療法剤または実験的化学療法剤は、例えばさらに別の化学療法剤(2)またはアドリアマイシン、シクロホスファミド(シトキサン)、タキサン(例えばパクリタキセル、ドセタキセル)および白金化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、テトラプラチンまたはイプロプラチン)から選択される1つ、2つまたは3つである。これらの特有の患者は、erbBレセプター(HER1、HER3および/またはHER4)または同族リガンド(EGF TGFa、AREG、Hb-EGF、BTC、エピゲン、EREG、NRG1、NRG2、NRG3、NRG4、トモレグリンおよびニューログリカン)の過剰発現または変異(当業者に周知の方法を用いてタンパク質、mRNAまたはDNAレベルで検出できる)を示す腫瘍を有する。或いは、腫瘍のerbBレセプターの機能不全は、erbBレセプター活性化の認証(例えばリン酸化EGFR、リン酸化HER2、リン酸化HER3、リン酸化HER4、ホモダイマー化もしくはヘテロダイマー化EGFR、ホモダイマー化もしくはヘテロダイマー化HER2、ホモダイマー化もしくはヘテロダイマー化HER3、ホモダイマー化もしくはヘテロダイマー化HER4)により当業者は周知の方法を用いて検出できる。
【0008】
治療に対する応答または臨床的成果(完全応答[CR]、部分応答[PR]または症状安定[SD])は当業者に周知の方法によってモニターされ、以下の著者らが記載した固形腫瘍の応答評価基準(RECIST)が適用される:P. Therasse et al., J Natl Cancer Inst 2000, 92, 205-216;およびEisenhauer EA, Therasse P, Bogaerts J, Schwartz LH, Sargent D, Ford R, et al., New response evaluation criteria in solid tumours: revised RECIST guideline (version 1.1). Eur J Cancer 2009;45:228-247。例えば、治療の結果、すなわち客観的応答もしくは腫瘍の退縮、症状の安定または腫瘍疾患の進行は、癌の視覚的精査の方法によって、例えば臨床査定、X線、CTスキャンまたはMRIの手段によってモニターできる。或いは、進行は腫瘍バイオマーカーの検出の方法によってモニターできる。
ある実施態様では、患者は、癌治療の全期間を通して種々の時点でモニターされる。例えば癌の進行は、第二の時点における癌の進行を分析してこの分析を第一の時点における分析と比較することによってモニターできる。第一の時点はBIBW2992(1)治療の開始の前でもまたは後でもよく、第二の時点は第一の時点の後である。癌の増殖の増加は癌の進行を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】コホートAおよびB処置セットによる全生存のカプラン-メイヤー(Kaplan-Meier)曲線(実施例1参照)。A:進行停止生存、B:全生存
【図2】コントロール(ベヒクル)に対する、マウスにおける乳癌/トリプルネガティブ、EGFR陽性SUM149Xの異種移植の75 mg/kgエルロチニブによる治療時の腫瘍体積[mm3]。
【図3】コントロール(ベヒクル)に対する、2 x 200 mg/kgのラパチニブと比較した、マウスにおける乳癌/トリプルネガティブ、EGFR陽性SUM149Xの異種移植の20 mg/kg BIBW2992 BS(投薬量は遊離塩基について提供)による治療時の腫瘍体積[mm3]。
【図4】コントロール(ベヒクル)に対する、10 mg/kgのトラスツズマブと比較した、マウスにおける乳癌/トリプルネガティブ、EGFR陽性SUM149Xの異種移植の20 mg/kg BIBW2992 BS(投薬量は遊離塩基について提供)による治療時の腫瘍体積[mm3]。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の治療方法は、治療的に有効な量のBIBW2992(1)またはその医薬的に許容できる塩をそのような治療を必要とする者に、場合によってさらに別の化学療法剤(2)の投与と一緒に、場合によって放射線療法、放射線免疫療法および/または外科的腫瘍切除と組み合わせて投与する工程を含む。本発明で提供される活性物質の用量決定または量は、いずれの場合も遊離塩基等価物、すなわち遊離塩基形のBIBW2992(1)を指す。
本発明では、(1)は、場合によって互変異性体および医薬的に許容できるその塩の形態で適用される。医薬的に許容できる塩は好ましくは以下から成る群から選択される:ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロアイオダイド、ヒドロスルフェート、ヒドロホスフェート、ヒドロメタンスルホネート、ヒドロナイトレート、ヒドロマレエート、ヒドロアセテート、ヒドロベンゾエート、ヒドロサイトレート、ヒドロフマレート、ヒドロタルトレート、ヒドロラクテート、ヒドロオキザレート、フドロスクシネート、ヒドロベンゾエート、およびヒドロ-p-トルエンスルホネート、好ましくはヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロスルフェート、ヒドロホスフェート、ヒドロマレエート、ヒドロフマレートおよびヒドロメタンスルホネート。特に好ましい実施態様では、(1)は、好ましくは下記式(1a)で示すように(1):マレイン酸=1:2の割合のヒドロマレエートとして適用される:
【0011】
【化2】

(1a)
【0012】
本発明の趣旨では、以下の種類の化学療法剤(2)が特に重要である(ただしこれらに限定されない):
−合成小分子VEGFレセプターアンタゴニスト、
−FGFR、HGFRまたはPDGFRを含む小分子増殖因子(GF)レセプターアンタゴニスト、
−下流シグナリングキナーゼ、例えばc-srcファミリーメンバーまたはFAKの小分子阻害剤、
−EGFレセプターおよび/またはHER2レセプターおよび/またはVEGFレセプターおよび/またはインテグリンレセプターまたは他の任意のタンパク質チロシンキナーゼレセプターの阻害剤であって、合成小分子には分類されないもの、
−小分子Polo様キナーゼ-1(PLK-1)阻害剤、
−MEK阻害因子を含むRas/Raf/MAPK経路の小分子阻害剤、
−mTOR阻害因子を含むPI3K/AKT経路または他の任意のセリン/スレオニンキナーゼの小分子阻害剤、
−Ras/Raf/MAPKもしくはPI3K/AKT経路または他の任意のセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤であって、合成小分子には分類されないもの、
−EGFレセプターおよび/またはVEGFレセプターおよび/またはインテグリンレセプターまたは他の任意のタンパク質チロシンキナーゼレセプターに対する阻害剤であって、合成により製造される抗体、抗体フラグメントまたは融合タンパク質、
−循環VEGFに対する阻害剤であって、合成により製造される抗体、抗体フラグメントまたは融合タンパク質、
−IGF1レセプターおよび/またはIGF1もしくはIGF2増殖因子に対する阻害剤であって、合成により製造される化学物質または抗体、抗体フラグメントもしくは融合タンパク質、
−核酸と相互作用し、アルキル化剤または白金化合物として分類される化合物、
−核酸と相互作用し、アントラサイクリン、DNA挿入剤またはDNA架橋剤として分類される化合物、
−代謝拮抗物質、
−例えばPARP阻害剤を含むDNA修復酵素の阻害剤、
−天然に存在するか、半合成であるか、または合成のブレオマイシン型抗生物質(BLMグループの抗生物質)、
−DNA転写酵素の阻害剤、特にトポイソメラーゼIまたはトポイソメラーゼII阻害剤、
−クロマチン改変剤
−有糸分裂阻害剤、抗有糸分裂剤、または細胞周期阻害剤、
−チューブリンと相互作用または結合する化合物、
−有糸分裂キネシン、またはEg5、CENP、MCAK、Kid、MKLP-1を含む(ただしこれらに限定されない)他のモータータンパク質を阻害する化合物、
−プロテアソーム阻害剤、
−熱ショックタンパク質阻害剤、
−Bcl-2、Bcl-x1および同様な分子の抗アポトーシス機能を標的とする化合物、
−ステロイド生合成の酵素ホルモン、ホルモンアンタゴニストもしくはホルモン阻害剤、または阻害剤、
−ステロイド、
−サイトカイン、低酸素症選択性細胞毒、サイトカインの阻害剤、リンホカイン、サイトカインに対する抗体、または経口および非経口耐性誘発方法、
−支持薬剤(supportive agent)、
−抗炎症性化合物(例えばCOX-2阻害剤であるがただし前記に限定されない)、
−化学照射感作物質および防御物質、
−光化学的に活性化される薬剤、
−合成ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、
−他の化学療法剤、または天然に存在するか、半合成であるか、もしくは合成の治療薬剤、例えば細胞傷害性抗生物質、癌細胞の表面分子を標的とする抗体、増殖因子またはそれらのレセプターを標的とする抗体、メタロプロテイナーゼの阻害剤、オンコジーンの阻害剤、遺伝子転写もしくはRNA翻訳もしくはタンパク質発現の阻害剤、または希土類元素の複合体。
【0013】
本発明の別の好ましい実施態様では、化学療法剤(2)は以下から成る群から選択される:小分子VEGFレセプターアンタゴニスト、例えばバタラニビ(vatalanib)(PTK-787/ZK222584)、3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン(BIBF 1120)またはその塩、好ましくはBIBE1120モノエタンスルホネート、SU-5416、SU-6668、SU-11248、SU-14813、AZD-6474、AZD-2171、CP-547632、CEP-7055、AG-013736、IM-842またはGW-786034、小分子EGFRおよびHER2アンタゴニスト、例えばPF-299,804、AZD-8931、AC-480、BMS-690514、AV-412、HKI-272、CI-1033またはGW-2016、EGFRアンタゴニスト、例えばイレッサ(ゲフチニブ、ZD-1839)、タルセヴァ(tarceva)(エルロチニブ(erlotinib)、OSI-774)、PKI-166またはEKB-569、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼのアンタゴニスト、例えばBAY-43-9006またはBAY-57-9006、合成小分子に分類されないタンパク質キナーゼレセプターアンタゴニスト、例えばアトラセンタン(antrasentan)、リツキシマブ、トラスツズマブ(trastuzumab)(ハーセプチン)、ペルツズマブ(pertuzumab)(2C4)、セツキシマブ(cetuximab)(エルビタックス(erbitux)、C-225)、ザルツムマブ(zalutumumab)(HuMax EGFr)、パニツムマブ(panitumumab)(Vectibix)、ニモツズマブ(nimotuzumab)(h-R3)およびマツズマブ(matuzumab)(EMD-72000)、MM-111、MM-121、mAb806、mAb175、AMG888/U3-1287、MM-12、アヴァスチン(商標)(AvastinTM)(ベバシズマブ(bevasizumab))、ビバツズマブメルタンシン(bivatuzumab mertansine)、IMC-1C11、DC-101、ビタキシン(vitaxin)、イマチニブ、融合タンパク質であるタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、例えばVEGFtrap、アルキル化剤または白金化合物、例えばメルファラン、シクロホスファミド(シトキサン)、オキサザホスホリン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、テトラプラチン、イプロプラチン、マイトマイシン、ストレプトゾシン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ブスルファン、イフォスファミド、ストレプトゾシン、チオテパ、クロラムブシル、ナイトロジェンマスタード、例えばメクロレタミン、エチレンイミン化合物、アルキルスルホネート、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、リポソームドキソルビシン(ドキシル)、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ダクチノマイシン、ジスタマイシンまたはその誘導体、ネトロプシン(netropsin)、ピベンジモール(pibenzimol)、マイトマイシン、CC-1065、デュオカルミシン、ミトラマイシン(mithramycin)、クロモマイシン、オリヴォマイシン、フタラニリド、例えばプロパミジンまたはスチルバミジン、アントラマイシン、アジリジン、ニトロソウレアまたはその誘導体、ヌクレオシドジホスフェートレダクターゼのピリミジンもしくはプリンアナーローグまたはアンタゴニストもしくは阻害剤、例えばシタラビン、5-フルオロウラシル(5-FU)、ペメトレキシド(pemetrexed)、テガフール/ウラシル、ウラシルマスタード、フルダラビン、ゲムシタビン、カペシタビン、メルカプトプリン、クラドリビン、チオグアニン、メトトレキセート、ペントスタチン、ヒドロキシウレア、または葉酸、フレオマイシン、ブレオマイシンまたはその誘導体またはその塩、CHPP、BZPP、MTPP、BAPP、リブロマイシン、アクリジンまたはその誘導体、リファマイシン、アクチノマイシン、アドラマイシン、カンプトテシン、例えばイリノテカン(カンプトサール)またはトポテカン、アムサクリンまたはそのアナローグ、3環式カルボキサミド、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、例えばSAHA、MD-275、トリコスタチンA、CBHA、LAQ824、またはバルプロ酸、植物由来抗癌剤、例えばパクリタキセル(タキソール)、ドセタキセルまたはタキソテア、ビンカアルカロイド、例えばナベルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンまたはビノレルビン、トロポロンアルカロイド、例えばコルヒチンまたはその誘導体、マクロライド、例えばメイタンシン、アンサミトシンまたはリゾキシン、抗有糸分裂ペプチド、例えばフォモプシンまたはドラスタチン、エピポドフィロトキシンまたはポドフィロトキシンの誘導体、例えばエトポシドまたはテニポシド、ステガナシン、抗有糸分裂カルバメート誘導体、例えばコムブレタスタチンまたはアムフェチニル、プロカルバジン、プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブ(bortezomib)、酵素、例えばアスパラギナーゼ、PEG化アスパラギナーゼ(ペグアスパルガーゼ(pegaspargase))またはチミジンホスホリラーゼ阻害剤、ゲスターゲンまたはエストロゲン、例えばエストラムスチン(T-66)またはメゲストロール、抗アンドロゲン、例えばフルタミド、カソデックス、アナンドロンまたはシプロテロンアセテート、アロマターゼ阻害剤、例えばアミノグルテチミド、アナストロゾール、フォルメスタンまたはレトロゾール、GNRHアナローグ、例えばロイプロレリン、ブセレリン、ゴセレリンまたはトリプトレリン、抗エストロゲン、例えばタモキシフェンまたはそのクエン酸塩、ドロロキシフェン、トリオキシフェン、ラロキシフェンまたはジンドキシフェン、17β-エストラジオールの誘導体、例えばICI 164,384またはICI 182,780、アミノグルテチミド、フォルメスタン、ファドロゾール、フィナステリド、ケトコナゾール、LH-RHアンタゴニスト、例えばロイプロリド、ステロイド、例えばプレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ブデノシド、フルオコルトロンまたはトリアムシロノン、インターフェロン、例えばインターフェロンβ、インターロイキン、例えばIL-10またはIL-12、抗TNFα抗体、例えばエタネルセプト、TNFα(タソネルミン)、免疫調節剤、例えばサリドマイド、そのR-およびS-エナンチオマー並びにその誘導体、またはレヴィミド(revimid)(CC-5013)、ロイコトリエンアンタゴニスト、マイトマイシンC、アリジドキノン、例えばBMY-42355、AZQまたはEO-9、2-ニトロイミダゾール、例えばミソニダゾール、NLP-1またはNLA-1、ニトロアクリジン、ニトロキノリン、ニトロピラゾロアクリジン、“二重機能”ニトロアロマチック、例えばRSU-1069またはRB-6145)、CB1954、ナイトロジェンマスタードのN-オキシド、例えばニトロミン、ナイトロジェンマスタードの金属複合体、抗CD3または抗CD25抗体、耐性誘発剤、ビホスホネートまたはその誘導体、例えばミノドロン酸またはその誘導体(YM-529、Ono-5920、YH-529)、ゾレドロン酸一水和物、イバンドロネートナトリウム水和物またはクロドロネート二ナトリウム、ニトロイミダゾール、例えばメトロニダゾール、ミソニダゾール、ベンゾニダゾールまたはニモラゾール、ニトロアリール化合物、例えばRSU-1069、ニトロキシルまたはN-オキシド、例えばSR-4233、ハロゲン化ピリミジンアナローグ、例えばブロモデオキシウリジン、ヨードデオキシウリジン、チオホスフェート、例えばWR-2721、光化学的に活性化される薬剤、例えばポルフィマー、フォトフリン、ベンゾポルフィリン誘導体、フェオフォルビド誘導体、メロシアニン540(MC-540)または錫エチオポルプリン、抗鋳型または抗センスRNAもしくはDNA、例えばオブリメルセン、非ステロイド系炎症薬、例えばアセチルサリチル酸、メサラジン、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、インドメタシン、スリンダク(sulindac)、トルメチン(tolmetin)、ゾメピラク(zomepirac)、ナブメトン(nabumetone)、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、アルクロフェナク、ブロムフェナク(bromfenac)、イブフェナク、アセクロフェナク、アセメタシン、フェンチアザク(fentiazac)、クリダナク(clidanac)、エトドラク(etodolac)、オキシピナク(oxpinac)、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミン酸、トルフェナム酸、ジフルニサール、フルフェニサール、ピロキシカム(piroxicam)、テノキシカム(tenoxicam)、ロルノキシカム(lornoxicam)、ニメスリド(nimesulide)、メロキシカム(meloxicam)、セレコキシブ(celecoxib)、ロフェコキシブ(rofecoxib)、または非ステロイド系炎症薬の医薬的に許容できる塩、細胞傷害性抗生物質、癌細胞の表面分子を標的とする抗体、例えばアポリズマブまたは1D09C3、メタロプロテイナーゼの阻害剤、例えばTIMP-1またはTIMP-2、亜鉛、オンコジーンの阻害剤、例えばP53およびRb、希土類元素の複合体、例えばランタニドの複素環式複合体、光化学療法剤、例えばPUVA、転写因子複合体ESX/DRIP130/Sur-2の阻害剤、HER-2発現の阻害剤、例えば熱ショックタンパク質HSP90調節物質ゲルダマイシンおよびその誘導体17-アリルアミノゲルダマイシンまたは17-AAG、または以下から選択される治療薬:シトキサン、IM-842、テトラチオモリブデート、スクォラミン、コンブレスタチンA4、TNP-470、マリマスタット(marimastat)、ネオバスタット(neovastat)、ビカルタミド(bicalutamide)、アバレリクス(abarelix)、オレゴボマブ(oregovomab)、ミツモマブ(mitumomab)、TLK-286、アレムツズマブ(alemtuzumab)、イブリツモマブ(ibritumomab)、テモゾロミド(temozolomide)、デニロイキン(denileukin)、ジフチトックス(diftitox)、アルデスロイキン(aldesleukin)、ダカルバジン、フロクスウリジン(floxuridine)、プリカマイシン(plicamycin)、ミトタン(mitotane)、ピポブロマン(pipobroman)、プリカマイシン、タモキシフェンおよびテストラクトン、さらに別のDNA修復酵素阻害剤(例えばBSI-201、ベリパリブ(veliparib)、PF-01367338、オラパリブ(olaparib)、INO-1001から選択されるPARP阻害剤を含む)。
【0014】
本発明にしたがえば、BIBW2992(1)および任意選択の化学療法剤(2)は、経口(頬側または舌下を含む)、経腸、非経口(例えば筋肉内、腹腔内、静脈内、経皮もしくは皮下注射または移植)、鼻、膣、直腸または局所(例えば吸入)経路によって投与可能であり、各投与経路に適した通常の医薬的に許容できる非毒性担体、アジュバントおよびベヒクルを含む適切な投薬ユニット処方物として単独でまたは一緒に処方することができる。
好ましい実施態様では、BIBW2992(1)は経口的に、経腸的に、経皮的に、静脈内に、腹腔内にまたは注射により投与されるが、好ましくは経口的に投与される。本発明で適切な投薬形および処方物は当分野で公知である。例えば、そのような投薬形および処方物には、BIBW2992(1)についてWO 02/50043、WO 2007/054550およびWO 2007/05455または本出願の実施例で開示されたものが含まれる。
【0015】
投薬量/BIBW2992:
ある実施態様では、本発明は上記に記載した治療方法に関し、前記治療方法は、BIBW2992(1)またはそのポリモルフ、代謝物、水和物、溶媒和物または医薬的に許容できる塩が、少なくとも12時間の投与間隔の間に当該活性物質の血中レベルが好ましくは10から5000nMにあるように間欠的にまたは1日の投薬で投与されることを特徴とする。
経口治療のためには、BIBW2992(1)は、0.01−4 mg/kg体重(bw)、好ましくは0.1−2 mg/kgの1日の用量で、特に好ましくは1日0.2−1.3 mg/kg bwの用量でヒトの患者に投与できる。例えばBIBW2992(1)は、10から150mg、好ましくは20から70mg、もっとも好ましくは40から60mgの1日の全用量で経口的に投与できる。例えば投与される1日の経口用量は10、20、30、40、50、60、70、100または150mgであり得る。もっとも好ましくは1日の全用量は50mgである。1日の投薬は、1日を通していくつかの用量に、例えば1、2または3用量に分割して投与できる。好ましくは1日の経口用量はただ1回投与される。
BIBW2992(1)の静脈内使用のための投薬量は、1から500mg、好ましくは5から300mg、特に好ましくは10から100mgであり得る。前記は、ボーラスとして、またはより高用量が適用される場合は数時間かけて(例えば約1、2、4、6、10、12または12時間かけて)緩徐な静脈内輸液として投与される。
投薬量/化学療法剤(2):
個々の化学療法剤(2)のための医薬組成物、投薬および治療スケジュールは当分野で公知であり、本発明で同様に適用できる。具体的な組合せの個々の活性にしたがって、化学療法剤(2)の投薬量は減少させることができる。例えば前記は、従来記載された投薬量の1/1から1/20の範囲で変動させることができる。
転移性乳癌の患者のためには、ドセタキセルによる組合せを55mg/m2から100mg/m2の用量で、最も具体的には60から75mg/m2の用量で21日毎に1回の投与スケジュールで投与することができる。1週間毎の投与スケジュールでは、ドセタキセルの用量は減少させることができる。
転移性乳癌の患者のためには、アドリアマイシン(ドキソルビシン)による組合せを50mg/m2から80mg/m2の用量で、最も具体的には60から75mg/m2の用量で21日毎に1回の投与スケジュールで投与することができる。1週間毎の投与スケジュールでは、ドキソルビシンの用量は減少させることができる。
【0016】
転移性乳癌の患者のためには、シクロホスファミド(シトキサン)による組合せを体重1kg(2.2ポンド)当たり40から50ミリグラム(mg)として用量を分割して2から5日にわたって静脈内に投与することができる。前記はまた、体重1kg(2.2ポンド)当たり10から15mgとして7から10日毎に、または体重1kg(2.2ポンド)当たり3から5mgとして週に2回投与することができる。
転移性乳癌の患者では、パクリタキセル(タキソール)は、3週間毎に3時間かけて175mg/m2までの用量で投与される。1週間毎の投与スケジュールでは、パクリタキセルの用量はより低く例えば80mg/m2であり得る。アジュバントの設定では、ドキソルビシン含有化学療法との組合せ(ドキソルビシンおよびシクロホスファミドの4コースが用いられた)に続いて、3週間毎にパクリタキセルが175mg/m2までの用量で3時間かけて投与されるであろう。
転移性乳癌の患者では、1週間毎の投与スケジュールでビノレルビンを25mg/m2までの用量で用いることができる。
転移性乳癌の患者では、21日治療サイクルの各々の1日目および8日目に30分かけて1250mg/m2の用量のゲムシタビンが、パクリタキセルと組み合わせて用いられるであろう。パクリタキセルは1日目のゲムシタビンの投与の前に3時間輸液として175mg/m2で投与されるべきである。
しかしながら、体重または投与方法、投薬に対する個々の応答、用いた処方物の性質およびそれを投与する時間および間隔にしたがって、BIBW2992(1)および/または個々の化学療法剤(2)について指定した量から逸脱させることは場合によって必要であり得よう。したがって、いくつかの症例では、上記に指定した最少量未満を用いても十分であり得るが、他の症例では、指定した上限を超えねばならないであろう。大量を投与するときは、前記を何回ものシングルドースとして当日1日にわたって分散させることが推奨されよう。
【0017】
線量/放射線療法または放射線免疫療法:
放射線療法および放射線免疫療法のための線量および治療スケジュールは当分野で公知であり、本発明に同様に適用できる。BIBW2992(1)および場合によっては化学療法剤(2)との具体的な組合せの個々の活性にしたがって、放射線療法および放射線免疫療法成分の線量は、当分野で示されている線量の1/1から1/20の範囲で変動可能である。
【0018】
定義:
“ErbB1”、“表皮増殖因子レセプター”および“EGFR”という用語は本明細書では互換的に用いられ、例えばCarpenterらの論文(Ann. Rev. Biochem. 56:881-914, 1987)に開示された天然のEGFR配列を指す。前記天然のEGFR配列には、その変種、例えばEGFR欠失変異体(Humphrey et al. PNAS (USA) 87:4207-4211, 1990)が含まれる。erbB1は、EGFRタンパク質生成物をコードする遺伝子を指す。本明細書で用いられるEGFRタンパク質は、erbBl遺伝子(GenBankアクセッション番号NM_005228)によってコードされるGenBankアクセッション番号NP_005219として開示されている。前記配列は、WO 2006/084058の図5でそれぞれ配列番号:1および配列番号:2として開示されている。
“治療的に有効な量”という用語は、患者の少なくとも有意な部分集団に対して有益な効果、例えば症状の改善、治癒、疾患の緩和、腫瘍体積または細胞数の減少、疾患の安定、延命または生活の質の向上をもたらす、研究者または臨床医が探し求めている、組織系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を惹起する薬剤または医薬の量を意味するであろう。
以下の実施例は本発明を限定することなく本発明を例示するために供される。
【実施例1】
【0019】
臨床試験
方法
試験の設計:
フェースII、オープンラベル、マルチセンター試験をベルギーおよびドイツで実施した。以下の2つの患者コホートを含んでいた:
コホートA:トリプルネガティブmBCの患者
コホートB:HER2陰性、HR陽性mBCの患者。
−まず初めにコホートAおよびBの第一の終了点は、P. Therasse(J Natl Cancer Inst 2000, 92, 205-216)が記載した固形腫瘍の応答評価(RECIST)基準によって決定される客観的応答であった。コホートAについては、これは臨床的成果(CB)に対する修正によって改変された:すなわち少なくとも4コースについては完全な応答(CR)、部分的応答(PR)および症状の安定(SD)であった。
−第二の終了点は、進行までの時間、進行停止生存(PFS)、全生存(OS)、客観的応答までの時間、客観的応答の期間、安全性および薬物動態(PK)であった。臨床的成果(CR、PR、SD)はコホートBについての第二の終了点であった。
−全部で80人の患者(すなわち各コホートに40人の患者)をこの試験に登録するために計画した。早期停止規定は、各コホートの患者が20人になった後に実施された。
−処置に対する応答は8週間で評価し、その後8週間間隔で評価した。
−BIBW2992の血中濃度の定量のために、5mLの静脈血をコース1の1日目およびコース2の15日目に以下の時点で収集した:プレドース並びに薬剤投与後1、2および3時間。さらにまた任意PKサンプルはBIBW2992投与後4から24時間以内に依頼することができた。また別のプレドース血漿サンプルを、コース1の15日目、コース2の1日目およびその後の全コース(コース3から後)の1日目に採取した。BIBW2992薬剤濃度は、有効性確認高速液体クロマトグラフィー-質量分析(HPLC-MS/MS)アッセイによって決定した。BIBW2992血中濃度分布は記述統計(descriptive statistics)によってタイムポイントでまとめ、実行可能な場合にはグラフにより精査した。
【0020】
治療:
患者は1日1回のBIBW2992の経口用量(50mg/日)を疾患の進行または副作用(AE)による撤退まで投与された。一定の薬剤関連AEを示す患者については、40mg/日および30mg/日の用量減少が随意に選択された。
【0021】
主な選別基準:
−第IV期のHER2陰性転移性乳癌(HER2 2+および蛍光in situハイブリダイゼーション陰性またはHER2 1+もしくは陰性)の診断が確認されていること、
−コホートBについて2つを超えない化学療法(アジュバント治療を含むがホルモン治療は含まない)後に進行があること、
−年齢が18歳以上であること、
−余命は少なくとも6ヶ月であること、
−書面によるインフォームドコンセントがあること、
−東部協同腫瘍学グループ(Eastern Cooperative Oncology Group, ECOG)のパフォーマンススコアが0−2であること、
−RECIST基準にしたがって測定可能な疾患であること、
−EGFR検査に主要サンプル(生材料またはパラフィン材料)が利用可能であること、
−EGFR/HER1またはHER2阻害剤による先行治療が存在しないこと、
−肝、腎および骨髄の機能が適切であること、
−他の研究開発薬剤による同時治療を受けていないこと、
−本試験薬剤による最初の治療前の4週間以内に他の抗癌治療を受けていないこと、
−ビホスホネートによる同時治療は許容される。
【0022】
コホートAの組み入れのための追加基準
−HR陰性患者:エストロゲンレセプター(ER)状況およびプロジェステロンレセプター(PgR)状況は、免疫化学(IHC)およびAllred(Harvey JM et al., J Clin Oncol 1999, 17(5), 1474-1481)によって評価されねばならない。
コホートBの組み入れのための追加基準
−ER陽性および/またはPgR陽性患者:ER状況およびPgR状況は、IHCおよびAllred(Harvey JM et al., J Clin Oncol 1999, 17(5), 1474-1481)によって評価されねばならない。
結果
−2006年12月1日から2009年5月20日まで、全部で56人の患者をこの試験のためにスクリーニングした。
−全部で50人の患者がこの試験でBIBW2992により処置された。29人の患者がコホートA(トリプルネガティブ)に含まれ、21人の患者がコホートB(HER2陰性、HR陽性)に含まれた。コホートBに含まれた全患者がER陽性で、21人のうち19人がPgR陽性であった。
−19人の患者でAEのために処置を中断した(15人が用量減少毒性のため、4人が他のAEのため)。31人の患者で疾患の進行のために処置を中断した(19人の患者がコホートA、12人の患者がコホートB)。
−患者は平均59日間(6−336日の範囲)処置された。処置期間はコホートAでわずかに長く、コホートBの平均54日に対して62日であった。
【0023】
応答の評価:
−コホートAの27人の患者およびコホートBの18人の患者を処置の応答について少なくとも1回評価した。
−いずれのコホートでも客観的な応答は観察されなかった。
コホートA:
−客観的応答(OR)は観察されなかったが、持続性のある臨床的成果(CB)が試験の初期に2人の患者で観察され、修正に続いてこのコホートでは十分な増加まで補充が許容された。
−7人の患者が最良応答のSDを示した。
−全部で3人の患者が処置に残り4サイクルを超えてSDを示し、132から355日の間SDを維持した。
コホートB:
−ORは観察されなかった。早期停止規定にしたがって、補充は2008年2月1日に終了した。
−5人の患者が最良の応答SDを有した。
−1人の患者が4サイクル以上の間SDを示した。
コホートAおよびBについてのPFSおよび生存データは図1に示されている。
【0024】
まとめおよび結論
−全部で50人の患者をフェースII試験で処置した。
−BIBW2992は他のEGFR TKIと類似する安全性プロフィルを有する。もっとも頻繁に観察された薬剤関連副作用は、胃腸および皮膚関連AEである(前記AEは最も処理しやすかった)。
−薬理動態は以前のフェースI試験で観察されたデータと類似するようであった。
−コホートB(ホルモンレセプター陽性)に含まれる21人の患者ではORは観察されず、早期停止規定にしたがって補充は早期に終了した。
−コホートAに関しては、持続性SDが早期から2人の患者で観察されたので、少なくとも3/20の患者が臨床的成果を示した場合は、この試験を修正して十分な増加を可能にした。3項目陰性乳癌を示す全部で29人の患者をコホートAに含めた。全体的な中間PFSは53日であった。しかしながら、3人の患者(4ヶ月を越えて臨床的成果を有した)については、平均PFSは217日で中央値は184日であった。
−BIBW2992は、進行したトリプルネガティブ乳癌の幾人かの患者で抗腫瘍活性を示した。
【実施例2】
【0025】
前臨床データ
表1:乳癌:トリプルネガティブ乳房細胞パネル

【0026】
表2:マウスにおける乳癌/トリプルネガティブ、EGFR陽性SUM149の異種移植

*これらの化合物のMTDに対応する


SUM149は大量のEGFR、AREG、EREGおよびTGFαを発現する。
【実施例3】
【0027】
固形BIBW2992 MA2錠剤の医薬組成物(MA2:ジマレイネート)
表1:

処方物A、BおよびC、DおよびEは、表2のフィルム-コートで被覆できる錠剤である。
【0028】
表2:処方物A−Eのためのフィルムコーティングの例示的組成

【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリプルネガティブ乳癌を罹患する患者を治療する方法であって、有効量の不可逆性EGF阻害剤BIBW2992(1)またはその塩をそのような治療を必要とする者に、場合によってさらに別の化学療法剤(2)の投与と一緒に、および/または場合によって放射線療法、放射線免疫療法および/または外科的腫瘍切除と組み合わせて投与する工程を含む、前記方法。
【請求項2】
治療がネオアジュバント療法またはアジュバント療法である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
癌がトリプルネガティブ転移性乳癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
治療が、ネオアジュバント療法またはアジュバント化学療法の失敗後の、または原発性トリプルネガティブ転移性乳癌症例では以前にネオアジュバント/アジュバント化学療法に曝露されていない場合の一番目の優良治療であるか、または
治療が、先行する1つの化学療法の失敗後の二番目の優良治療であるか、または
治療が、先行する2つの異なる化学療法の失敗後の三番目の優良治療である、請求項1または3に記載の方法。
【請求項5】
治療が併用治療であって、前記併用治療が、BIBW2992(1)を、アドリアマイシン、シクロホスファミド(シトキサン)、タキサン(例えばパクリタキセル、ドセタキセル)および白金化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、テトラプラチンまたはイプロプラチン)から選択される化学療法剤の1つ、2つまたは3つの投与と一緒に、好ましくは外科手術および放射線治療後にそのような治療を必要とする者に投与する工程を含む、請求項1または3に記載の方法。
【請求項6】
治療が併用治療であって、前記併用治療が、腫瘍のerbBレセプター機能不全を示す予め選択したトリプルネガティブ乳癌を罹患する患者に、BIBW2992(1)を以下から選択されるさらに別の化学療法剤(2)と一緒に、またはアドリアマイシン、シクロホスファミド(シトキサン)、タキサン(例えばパクリタキセル、ドセタキセル)および白金化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、テトラプラチンまたはイプロプラチン)から選択される化学療法剤の1つ、2つまたは3つと一緒に投与する工程を含む、請求項1または3に記載の方法:
−合成小分子VEGFレセプターアンタゴニスト、
−FGFR、HGFRまたはPDGFRを含む小分子増殖因子(GF)レセプターアンタゴニスト、
−下流シグナリングキナーゼ、例えばc-srcファミリーメンバーまたはFAKの小分子阻害剤、
−EGFレセプターおよび/またはHER2レセプターおよび/またはVEGFレセプターおよび/またはインテグリンレセプターまたは他の任意のタンパク質チロシンキナーゼレセプターの阻害剤であって、合成小分子には分類されないもの、
−小分子Polo様キナーゼ-1(PLK-1)阻害剤、
−MEK阻害因子を含むRas/Raf/MAPK経路の小分子阻害剤、
−mTOR阻害因子を含むPI3K/AKT経路または他の任意のセリン/スレオニンキナーゼの小分子阻害剤、
−Ras/Raf/MAPKもしくはPI3K/AKT経路または他の任意のセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤であって、合成小分子には分類されないもの、
−EGFレセプターおよび/またはVEGFレセプターおよび/またはインテグリンレセプターまたは他の任意のタンパク質チロシンキナーゼレセプターに対する阻害剤であって、合成により製造される抗体、抗体フラグメントまたは融合タンパク質、
−循環VEGFに対する阻害剤であって、合成により製造される抗体、抗体フラグメントまたは融合タンパク質、
−IGF1レセプターおよび/またはIGF1もしくはIGF2増殖因子に対する阻害剤であって、合成により製造される化学物質または抗体、抗体フラグメントもしくは融合タンパク質、
−核酸と相互作用し、アルキル化剤または白金化合物として分類される化合物、
−核酸と相互作用し、アントラサイクリン、DNA挿入剤またはDNA架橋剤として分類される化合物、
−代謝拮抗物質、
−例えばPARP阻害剤を含むDNA修復酵素の阻害剤、
−天然に存在するか、半合成であるか、または合成のブレオマイシン型抗生物質(BLMグループの抗生物質)、
−DNA転写酵素の阻害剤、特にトポイソメラーゼIまたはトポイソメラーゼII阻害剤、
−クロマチン改変剤
−有糸分裂阻害剤、抗有糸分裂剤、または細胞周期阻害剤、
−チューブリンと相互作用または結合する化合物、
−有糸分裂キネシン、またはEg5、CENP、MCAK、Kid、MKLP-1を含む(ただしこれらに限定されない)他のモータータンパク質を阻害する化合物、
−プロテアソーム阻害剤、
−熱ショックタンパク質阻害剤、
−Bcl-2、Bcl-x1および同様な分子の抗アポトーシス機能を標的とする化合物、
−ステロイド生合成の酵素ホルモン、ホルモンアンタゴニストもしくはホルモン阻害剤、または阻害剤、
−ステロイド、
−サイトカイン、低酸素症選択性細胞毒、サイトカインの阻害剤、リンホカイン、サイトカインに対する抗体、または経口および非経口耐性誘発方法、
−支持薬剤、
−抗炎症性化合物(例えばCOX-2阻害剤であるがただし前記に限定されない)、
−化学照射感作物質および防御物質、
−光化学的に活性化される薬剤、
−合成ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、および
−細胞傷害性抗生物質、癌細胞の表面分子を標的とする抗体、増殖因子またはそれらのレセプターを標的とする抗体、メタロプロテイナーゼの阻害剤、オンコジーンの阻害剤、遺伝子転写もしくはRNA翻訳もしくはタンパク質発現の阻害剤、または希土類元素の複合体。
【請求項7】
腫瘍のerbBレセプターの機能不全が、タンパク質、mRNAまたはDNAレベルで検出できる、erbBレセプター(HER1、HER3および/またはHER4)または同族リガンド(EGF TGFa、AREG、Hb-EGF、BTC、エピゲン、EREG、NRG1、NRG2、NRG3、NRG4、トモレグリンおよびニューログリカン)の過剰発現または変異を特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
トリプルネガティブ転移性乳癌に由来するトリプルネガティブ乳癌を罹患する患者の治療のためのBIBW2992(1)またはその塩。
【請求項9】
治療が、ネオアジュバントまたはアジュバント化学療法の失敗後の、または以前にネオアジュバント/アジュバント化学療法に曝露していない場合の、原発性のトリプルネガティブ転移性乳癌罹患患者の一番目の優良治療であるか、または
治療が、1つの先行する化学療法の失敗後のトリプルネガティブ乳癌罹患患者の二番目の優良治療であるか、または
治療が、1つの先行する化学療法の失敗後のトリプルネガティブ転移性乳癌罹患患者の二番目の優良治療である、請求項8に記載の使用のためのBIBW2992(1)またはその塩。
【請求項10】
請求項8に記載の使用のために、アドリアマイシン、シクロホスファミド(シトキサン)、タキサン(例えばパクリタキセル、ドセタキセル)および白金化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、テトラプラチンまたはイプロプラチン)から選択される化学療法剤の1つ、2つまたは3つと併用される、BIBW2992(1)またはその塩。
【請求項11】
患者が腫瘍のerbBレセプター機能不全を示すトリプルネガティブ乳癌を罹患する予め選択された患者である、請求項8に記載の使用のために、以下から選択されるさらに別の化学療法剤(2)と併用されるか:
−合成小分子VEGFレセプターアンタゴニスト、
−FGFR、HGFRまたはPDGFRを含む小分子増殖因子(GF)レセプターアンタゴニスト、
−下流シグナリングキナーゼ、例えばc-srcファミリーメンバーまたはFAKの小分子阻害剤、
−EGFレセプターおよび/またはHER2レセプターおよび/またはVEGFレセプターおよび/またはインテグリンレセプターまたは他の任意のタンパク質チロシンキナーゼレセプターの阻害剤であって、合成小分子には分類されないもの、
−小分子Polo様キナーゼ-1(PLK-1)阻害剤、
−MEK阻害因子を含むRas/Raf/MAPK経路の小分子阻害剤、
−mTOR阻害因子を含むPI3K/AKT経路または他の任意のセリン/スレオニンキナーゼの小分子阻害剤、
−Ras/Raf/MAPKもしくはPI3K/AKT経路または他の任意のセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤であって、合成小分子には分類されないもの、
−EGFレセプターおよび/またはVEGFレセプターおよび/またはインテグリンレセプターまたは他の任意のタンパク質チロシンキナーゼレセプターに対する阻害剤であって、合成により製造される抗体、抗体フラグメントまたは融合タンパク質、
−循環VEGFに対する阻害剤であって、合成により製造される抗体、抗体フラグメントまたは融合タンパク質、
−IGF1レセプターおよび/またはIGF1もしくはIGF2増殖因子に対する阻害剤であって、合成により製造される化学物質または抗体、抗体フラグメントもしくは融合タンパク質、
−核酸と相互作用し、アルキル化剤または白金化合物として分類される化合物、
−核酸と相互作用し、アントラサイクリン、DNA挿入剤またはDNA架橋剤として分類される化合物、
−代謝拮抗物質、
−例えばPARP阻害剤を含むDNA修復酵素の阻害剤、
−天然に存在するか、半合成であるか、または合成のブレオマイシン型抗生物質(BLMグループの抗生物質)、
−DNA転写酵素の阻害剤、特にトポイソメラーゼIまたはトポイソメラーゼII阻害剤、
−クロマチン改変剤
−有糸分裂阻害剤、抗有糸分裂剤、または細胞周期阻害剤、
−チューブリンと相互作用または結合する化合物、
−有糸分裂キネシン、またはEg5、CENP、MCAK、Kid、MKLP-1を含む(ただしこれらに限定されない)他のモータータンパク質を阻害する化合物、
−プロテアソーム阻害剤、
−熱ショックタンパク質阻害剤、
−Bcl-2、Bcl-x1および同様な分子の抗アポトーシス機能を標的とする化合物、
−ステロイド生合成の酵素ホルモン、ホルモンアンタゴニストもしくはホルモン阻害剤、または阻害剤、
−ステロイド、
−サイトカイン、低酸素症選択性細胞毒、サイトカインの阻害剤、リンホカイン、サイトカインに対する抗体、または経口および非経口耐性誘発方法、
−支持薬剤、
−抗炎症性化合物(例えばCOX-2阻害剤であるがただし前記に限定されない)、
−化学照射感作物質および防御物質、
−光化学的に活性化される薬剤、
−合成ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、および
−細胞傷害性抗生物質、癌細胞の表面分子を標的とする抗体、増殖因子またはそれらのレセプターを標的とする抗体、メタロプロテイナーゼの阻害剤、オンコジーンの阻害剤、遺伝子転写もしくはRNA翻訳もしくはタンパク質発現の阻害剤、または希土類元素の複合体、
またはアドリアマイシン、シクロホスファミド(シトキサン)、タキサン(例えばパクリタキセル、ドセタキセル)および白金化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、テトラプラチンまたはイプロプラチン)から選択される化学療法剤の1つ、2つまたは3つと併用される、BIBW2992(1)またはその塩。
【請求項12】
腫瘍のerbBレセプターの機能不全が、タンパク質、mRNAまたはDNAレベルで検出できる、erbBレセプター(HER1、HER3および/またはHER4)または同族リガンド(EGF TGFa、AREG、Hb-EGF、BTC、エピゲン、EREG、NRG1、NRG2、NRG3、NRG4、トモレグリンおよびニューログリカン)の過剰発現または変異を特徴とする、請求項11に記載の使用のためのBIBW2992(1)またはその塩。
【請求項13】
トリプルネガティブ乳癌を罹患する患者を治療するための、BIBW2992(1)またはその塩を含む医薬組成物。
【請求項14】
治療がネオアジュバント/アジュバント療法である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
癌がトリプルネガティブ転移性乳癌である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
治療が、ネオアジュバントまたはアジュバント化学療法の失敗後の、または原発性トリプルネガティブ転移性乳癌症例では以前にネオアジュバント/アジュバント化学療法に曝露されていない場合の一番目の優良治療であるか、または
治療が、先行する1つの化学療法の失敗後の二番目の優良治療であるか、または
治療が、先行する2つの異なる化学療法の失敗後の三番目の優良治療である、請求項13または15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
アドリアマイシン、シクロホスファミド(シトキサン)、タキサン(例えばパクリタキセル、ドセタキセル)および白金化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、テトラプラチンまたはイプロプラチン)から選択される化学療法剤の1つ、2つまたは3つを含む、請求項13または15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
アドリアマイシン、シクロホスファミド(シトキサン)、タキサン(例えばパクリタキセル、ドセタキセル)および白金化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、テトラプラチンまたはイプロプラチン)から選択される化学療法剤の1つ、2つまたは3つを含む、請求項13または15に記載の医薬組成物。
【請求項19】
患者が腫瘍のerbBレセプター機能不全を示すトリプルネガティブ乳癌を罹患する予め選択された患者であって、以下から選択されるさらに別の化学療法剤(2
−合成小分子VEGFレセプターアンタゴニスト、
−FGFR、HGFRまたはPDGFRを含む小分子増殖因子(GF)レセプターアンタゴニスト、
−下流シグナリングキナーゼ、例えばc-srcファミリーメンバーまたはFAKの小分子阻害剤、
−EGFレセプターおよび/またはHER2レセプターおよび/またはVEGFレセプターおよび/またはインテグリンレセプターまたは他の任意のタンパク質チロシンキナーゼレセプターの阻害剤であって、合成小分子には分類されないもの、
−小分子Polo様キナーゼ-1(PLK-1)阻害剤、
−MEK阻害因子を含むRas/Raf/MAPK経路の小分子阻害剤、
−mTOR阻害因子を含むPI3K/AKT経路または他の任意のセリン/スレオニンキナーゼの小分子阻害剤、
−Ras/Raf/MAPKもしくはPI3K/AKT経路または他の任意のセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤であって、合成小分子には分類されないもの、
−EGFレセプターおよび/またはVEGFレセプターおよび/またはインテグリンレセプターまたは他の任意のタンパク質チロシンキナーゼレセプターに対する阻害剤であって、合成により製造される抗体、抗体フラグメントまたは融合タンパク質、
−循環VEGFに対する阻害剤であって、合成により製造される抗体、抗体フラグメントまたは融合タンパク質、
−IGF1レセプターおよび/またはIGF1もしくはIGF2増殖因子に対する阻害剤であって、合成により製造される化学物質または抗体、抗体フラグメントもしくは融合タンパク質、
−核酸と相互作用し、アルキル化剤または白金化合物として分類される化合物、
−核酸と相互作用し、アントラサイクリン、DNA挿入剤またはDNA架橋剤として分類される化合物、
−代謝拮抗物質、
−例えばPARP阻害剤を含むDNA修復酵素の阻害剤、
−天然に存在するか、半合成であるか、または合成のブレオマイシン型抗生物質(BLMグループの抗生物質)、
−DNA転写酵素の阻害剤、特にトポイソメラーゼIまたはトポイソメラーゼII阻害剤、
−クロマチン改変剤
−有糸分裂阻害剤、抗有糸分裂剤、または細胞周期阻害剤、
−チューブリンと相互作用または結合する化合物、
−有糸分裂キネシン、またはEg5、CENP、MCAK、Kid、MKLP-1を含む(ただしこれらに限定されない)他のモータータンパク質を阻害する化合物、
−プロテアソーム阻害剤、
−熱ショックタンパク質阻害剤、
−Bcl-2、Bcl-x1および同様な分子の抗アポトーシス機能を標的とする化合物、
−ステロイド生合成の酵素ホルモン、ホルモンアンタゴニストもしくはホルモン阻害剤、または阻害剤、
−ステロイド、
−サイトカイン、低酸素症選択性細胞毒、サイトカインの阻害剤、リンホカイン、サイトカインに対する抗体、または経口および非経口耐性誘発方法、
−支持薬剤、
−抗炎症性化合物(例えばCOX-2阻害剤であるがただし前記に限定されない)、
−化学照射感作物質および防御物質、
−光化学的に活性化される薬剤、
−合成ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、および
−細胞傷害性抗生物質、癌細胞の表面分子を標的とする抗体、増殖因子またはそれらのレセプターを標的とする抗体、メタロプロテイナーゼの阻害剤、オンコジーンの阻害剤、遺伝子転写もしくはRNA翻訳もしくはタンパク質発現の阻害剤、または希土類元素の複合体、
またはアドリアマイシン、シクロホスファミド(シトキサン)、タキサン(例えばパクリタキセル、ドセタキセル)および白金化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、テトラプラチンまたはイプロプラチン)から選択される化学療法剤の1つ、2つまたは3つを含む、請求項13または15に記載の医薬組成物。
【請求項20】
腫瘍のerbBレセプターの機能不全が、タンパク質、mRNAまたはDNAレベルで検出できる、erbBレセプター(HER1、HER3および/またはHER4)または同族リガンド(EGF TGFa、AREG、Hb-EGF、BTC、エピゲン、EREG、NRG1、NRG2、NRG3、NRG4、トモレグリンおよびニューログリカン)の過剰発現または変異を特徴とする、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
トリプルネガティブ乳癌またはトリプルネガティブ転移性乳癌を罹患する患者の治療用医薬組成物を製造するための、BIBW2992(1)またはその塩の使用。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−512882(P2013−512882A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541532(P2012−541532)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068968
【国際公開番号】WO2011/069962
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】