トリュフ抽出物を含有したDHEA産生促進剤及びその用途

【課題】本発明は、抗老化機能及び生活改善機能を生体に付与する新たなDHEA産生促進剤及びこれを含んだ応用品(食品、食品添加物、サプリメント、ローション、化粧品等)を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のDHEA産生促進剤はトリュフの抽出物を含有することを特徴とする。この抽出物が熱水抽出物又は有機溶媒抽出物の少なくとも一方であることが好ましい。この有機溶媒抽出物は、さらに好ましくは、50℃〜80℃の温度範囲に設定された有機溶媒によってトリュフを抽出したものであることが好ましい。また、トリュフが人工的に培養されたものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デヒドロエピアンドロステロン(以下、「DHEA」と呼ぶ)の産生促進剤およびその用途に関するものである。より具体的には、トリュフの抽出物を含有したDHEA産生促進剤及びその用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
DHEAは副腎皮質から分泌する性ステロイドホルモンであり、その99%以上は、血中において硫化物となり、デヒドロエピアンドロステロンサルフェート(以下、「DHEA−s」と呼ぶ)として存在している。これらのDHEAおよびDHEA−sは、一般に、副腎アンドロゲンと呼ばれる(以下、両者をあわせて「DHEA」とも呼ぶ)。DHEAは、年齢によって経時的に変動する性ホルモンであり、思春期前には低く、思春期にピークを迎え、その後、減少することが知られている。
【0003】
DHEAの効能としては、例えば、皮膚表皮の角質化の促進・障壁(バリア)効果の促進、皮膚のしわ・つや・たるみ等の劣化防止等があり、アンチエイジングに有効であることが報告されている。この他にも、例えば、抗動脈硬化作用、抗糖尿病作用、抗骨粗しょう作用、抗肥満作用等が報告されている。
【0004】
このため、アンチエイジングや各種疾患の予防や改善に、DHEAが有用であると考えられ、例えば、DHEAを投与する直接的な方法や、DHEAの産生を促進する間接的な方法が実践されている。前者の直接的な方法としては、例えば、DHEAを投与する方法や、DHEAの前駆体(ジオスゲニン)を投与して体内での代謝により前駆体からDHEAを産生する方法が開示されている(特許文献1)。また、後者の間接的な方法としては、ローズオイル、バレリアンオイル、ジメトキシメチルベンゼンおよびリナロールからなる組成物を鼻粘膜や皮膚から経皮吸収させることで、DHEA産生を促進する方法が開示されている(特許文献2)。また、魚鱗粉末を原料としたDHEA産生促進剤が開示されている(特許文献3)。さらに、ローマカミツレ、ドクダミ、ブドウ、および、セイヨウサンザシの各乾燥物を混合した抽出物を原料としたDHEA産生促進剤が開示されている(特許文献4)。
【0005】
しかしながら、性ホルモンであるDHEAやその前駆体を直接投与することは、ホルモンバランスを崩す危険性がある。他方、DHEA産生促進剤の場合、前述のような経皮吸収では、十分量を摂取することが困難である。また、魚鱗粉末の場合、経口用としての使用が考えられるが、風味の点で問題がある。また、ローマカミツレ、ドクダミ、ブドウ、および、セイヨウサンザシの混合物の場合、多数の原料を調達する必要があるだけでなく、所定割合で混合する必要があり、製造上の問題が残る。
【0006】
一方、高級食材であるトリュフにも、様々な生理活性があることが知られており、自然環境や生活環境の影響によって、生体が受けるダメージを抑制する効果があることが知られている。例えば、特許文献5には、トリュフの子実体や菌体等をエタノール等の溶媒で抽出したもの(トリュフの抽出物)が生体の老化抑制に効果があることが開示されている。特許文献6には、トリュフの抽出物が皮膚の保湿や免疫低下予防に効果があることが開示されている。特許文献7には、トリュフの抽出物が分泌型イムノグロブリンA(IgA)分泌促進、免疫バランス改善、抗高脂血症に効果があることが開示されている。
【0007】
しかしながら、トリュフ自体がDHEA若しくはDHEA前駆体を含有しているかどうか、さらにはトリュフが摂取された場合に摂取者の血中DHEA濃度を高める機能(すなわち、DHEA産生促進能)を有するか否かについては、今までに報告例は無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−16013号公報
【特許文献2】特開2007−8862号公報
【特許文献3】特開2005−306761号公報
【特許文献4】特開2008−231031号公報
【特許文献5】特開2002―249438号公報
【特許文献6】特開2006―69969号公報
【特許文献7】特開2010−222265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、従来のDHEA産生促進剤が有する欠点を解消し、抗老化及び生活改善機能を効果的に付与する新たなDHEA産生促進剤及びこれを含んだ応用品(食品、食品添加物、サプリメント、ローション、化粧品等)を提供することを目的とする。
【0010】
本発明者らは、鋭意検討の末、トリュフの抽出物がDHEA産生促進能を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、以下の構成・特徴を備えるものである。
(態様1)
トリュフの抽出物を含有することを特徴とするDHEA産生促進剤。
(態様2)
前記抽出物が熱水抽出物又は有機溶媒抽出物の少なくとも一方であることを特徴とする態様1に記載のDHEA産生促進剤。
(態様3)
前記有機溶媒抽出物は、50℃〜80℃の温度範囲に設定された低級1価アルコール類によって前記トリュフを抽出したものであることを特徴とする態様2に記載のDHEA産生促進剤。
(態様4)
前記トリュフが人工的に培養された不定形子実体又は菌糸体であることを特徴とする態様1〜3のいずれか1項に記載のDHEA産生促進剤。
(態様5)
前記トリュフが、米糠、ふすま、及びブドウ糖のうち少なくとも1つを含んだ糖類と、牛蒡、ナッツ類、及びベリー類のうち少なくとも1つを含んだ食用材料との混合物を含んだ培地によって培養されたものであることを特徴とする態様1〜4のいずれか1項にDHEA産生促進剤。
(態様6)
態様1〜5のいずれか1項に記載のDHEA産生促進剤を含むことを特徴とする食品。
(態様7)
態様1〜5のいずれか1項に記載のDHEA産生促進剤を含むことを特徴とする食品添加物。
(態様8)
態様1〜5のいずれか1項に記載のDHEA産生促進剤を含むことを特徴とするサプリメント。
(態様9)
態様1〜5のいずれか1項に記載のDHEA産生促進剤を含むことを特徴とするローション。
(態様10)
態様1〜5のいずれか1項に記載のDHEA産生促進剤を含むことを特徴とする入浴剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、経口投与等により摂取したヒト又は動物の血中のDHEAの産生量を増加させることができる。また、DHEAは上述したように様々な効能を有することから、本発明のDHEA産生促進剤やその応用品を摂取すれば、DHEAの産生が向上するため、例えば、アンチエイジング(抗老化)、皮膚の改善、免疫賦活等の種々の効果を得ることができる。
【0013】
加えて、本発明のDHEA産生促進剤はトリュフの抽出物を原料としている。従って、芳香や風味の点で非常に優れている。また、多種の植物を混ぜ合わせたものを原料とする必要が無い。さらに、後述するように、トリュフ自体には、ビタミンDの供給、活性酸素(特に一重項酸素)の消去、抗アレルギー、及びアンチエイジングに有効なオレイン酸等が含まれているため、DHEAの産生向上とオレイン酸等の存在とによりアンチエイジング等の効果がより顕著かつ相乗的に発揮され、本発明の剤の付加価値が高まるものと期待される。
【0014】
さらに、食材として市場価値の高い天然のトリュフ子実体に替えて、市場価値の低い不定形子実体、又は人工培養されたトリュフ子実体や菌糸体を原料にすることで、本発明の剤の生産性を向上でき、低コスト化に寄与できる。
【0015】
また、通常の大鋸屑からなる培地に替えて、米糠等の糖類と牛蒡等の食用材料との混合物を含んだ培地で培養したトリュフを原料にして抽出したDHEA産生促進剤は、摂取したヒトまたは動物に、本来のDHEA産生増強効果に加えて、抗酸化作用をも付与できることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】トリュフ投与マウスの血漿中DHEA濃度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0018】
(本発明の原料となるトリュフについて)
本発明の原料として使用されるトリュフは、子のう菌類セイヨウショウロ科に属する菌類であれば良く、特に制限はないが、白トリュフ(Tuber magnatum)及び/又は黒トリュフ(Tuber indicum及びTuber melanosporum)が好ましく用いられる。Tuber aestivum、Tuber borchi、Tuber macrosporum、Tuber mesentericum、Tuber uncinatumも用いることが可能である。トリュフは、塊状で地中に発生し、子実層は外に開いていない。子実体の多くは強い香りを持ち、リスやウサギのような動物が掘り出して食用とする。
【0019】
また、本発明において使用されるトリュフの形態として、例えば、天然品の他、人工栽培された子実体、液体培養された菌糸体またはそれらの処理物を使用することが可能である。ここで、後者の人工栽培されたトリュフは、前者の天然品に比して、培養条件等を管理しやすく安定かつ低コストで生産可能である点で、前者の天然のトリュフより好ましい。
【0020】
なお、種菌は、トリュフから適当な方法により無菌操作によって採取することができる。例えば、生子実体の内部組織から無菌的に一部を切り出すことで、容易に種菌を得ることができる。
【0021】
子実体の栽培の場合は以下のように行う。その場合の培養基には食用菌等に用いられるものを使用する。この鋸屑(木屑または木片)と米糠その他の栄養素などを混合・調製した培養基を子実体培養に用いることは公知のことである。種菌を培養基に穿った穴に注入し、低温に継続して培養する。その後、一週間ほどで培地全面に白色の菌糸がケバ立ったように生育しはじめ、1〜2ケ月で充分に菌糸が蔓延する。3〜4ケ月もすると、白色の気菌糸で覆われた培地表面に2〜3cm程度の子実体原基が形成される。
【0022】
トリュフ栽培用の培地として通常使用される大鋸屑を使用することができるが、以下に示す混合物を使用することも可能である。すなわち、米糠、ふすま、及びブドウ糖のうち少なくとも1つを含んだ糖類と、牛蒡、ナッツ類、及びベリー類のうち少なくとも1つを含んだ食用材料と、の混合物である。本発明者らは、培地として前記混合物を使用しトリュフ種菌を注入して培養したトリュフは、通常の大鋸屑で培養したトリュフよりも抗酸化作用の指標である活性酸素吸収能力(ORAC: Oxygen Radical Absorbance Capacity)値が高いことを経験上知っている。この生体に有用な抗酸化作用特に、混合物の混合割合として、糖類の重量を1としたときに食用材料の重量が0.5〜5の比率になるように混ぜ合わせることが好ましい。前記食用材料としては、粒状に粉砕された牛蒡であることが好ましい。従って、後者のような培地で培養されたトリュフ原料を用いて抽出した本発明の剤を生体が摂取することで、本発明の主たる作用効果であるDHEA産生増強に加えて、抗酸化作用をも生体に付与することが期待できる。
【0023】
菌糸体の場合、例えば、以下に述べるような液体培養によって得ることができる。液体培養に用いる培地は、一般に糸状菌(従属栄養型の腐生菌)の培地が使用可能である。望ましくは、窒素源としてイーストエキストラクト、モルトエキストラクト、コーンスチープリカー、乾燥酵母及びその粕、ペプトン、ブイヨン、各種アミノ酸類、各種アンモニウム塩及びアンモニア化合物などが使用できる。炭素源は、天然物抽出液から得られるデンプン、デキストリン、オリゴ糖の他、一般に培地に利用されるグルコース、キシロース、シュークロース、マルトース、ガラクトース、マンノースなどが望ましい。培地に添加する塩類は、硫酸マグネシウム、リン酸水素2カリウム、リン酸2水素アンモニウム、硫酸アンモニウムなどが好ましい。液体培養では、培養日数の経過とともに菌糸体は増殖するが、菌糸体量が最大値になった後では、過培養によって菌糸体の一部は自己溶解を始め収量は減じるようになる。従って必要以上に培養を続けることは好ましくなく、種菌接種後の収量が最大になる時点で菌糸体を回収するのが好ましい。
【0024】
また、上述したように、トリュフ子実体または菌糸体だけで無く、これらを酵素処理し、その処理物を使用することも可能である。酵素としては、細胞壁を形成する多糖を基質とする酵素とそれ以外の成分を基質とする酵素を挙げることができる。酵素としては、例えば、グルカナーゼ、キチナーゼ、プロテアーゼ、ペクチナーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、ヘミセルラーゼ、ヌクレアーゼ等が挙げられ、これらを組み合わせて使用することが好ましい。また、酵素の由来としては特に限定されないが、例えば、Aspergillus niger、Aspergillus melleus、Aspergillus oryzae、Rhizopus niveus、Bacillus subtilis、Arthrobacter sp.、Trichoderma viride由来のものが好ましい。
【0025】
(本発明のトリュフ抽出物について)
トリュフ子実体、液体培養された菌糸体、又はこれらの処理物は、乾燥、粉砕、抽出等の操作を経て、本発明のトリュフ抽出物となる。
【0026】
乾燥方法としては、特に制限はないが、自然乾燥、加熱乾燥、送風乾燥、蒸気乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等の方法が挙げられる。ここで、凍結乾燥法を用いると、熱により変質がなく、粉砕も容易であり、嗜好性に優れたものが得られるため好ましい。トリュフ子実体または菌糸は、回収、洗浄後、必要に応じて適当な大きさに、例えば2cm程度以下の大きさに、細断すると後の粉砕操作が容易となる。凍結乾燥の場合、−20℃以下に設定された雰囲気下、例えば−20℃以下に設定された公知の冷凍庫で凍結する工程を行う。この凍結工程は、氷晶が生じないように−30℃以下に設定された雰囲気下、さらに好ましくは−40℃以下に設定された雰囲気下で急速凍結すると好適である。凍結後、真空乾燥により凍結乾燥する。
【0027】
次の粉砕操作においては、得られた凍結乾燥品を粉砕し、微細化する。粉砕の方法としては、公知の方法であれば特に限定されず、例えば、カッター等による微裁断、ミル等による微粉砕、ローラーやグラインダー等による磨砕等が挙げられる。粉砕の方法は、配合するものの種類や目的に応じて適宜選択すればよく、粒径に特に制限はない。
【0028】
次に、本発明の抽出方法としては、特に限定されないが、連続式、バッチ式等の方法で、一般的な方法により、任意の時間、冷浸または温浸することで行うことが可能である。また亜臨界条件により効率よく抽出することも可能である。例えば、上記子実体または液体培養された菌糸やその乾燥物を、抽出溶媒に室温にて数分以上(好ましくは1時間以上)浸漬する、または抽出溶媒と共に数分以上(好ましくは1時間以上)加熱または加熱還流する等により抽出を行い、その後、抽出液から濾過等で抽出残渣を取り除くことにより、抽出物を得ることができる。
【0029】
抽出溶媒としては、例えば、水等の水性溶媒や以下に例示するような有機溶媒が挙げられる。ここで、有機溶媒としては、低級1価アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、液状多価アルコール(1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)が挙げられる。
【0030】
このうち、DHEA産生効果の面から、好ましい抽出溶媒として、熱水又は低級1価アルコール類であり、特に好ましくは、50℃〜80℃の温度範囲に設定された低級1価アルコール類である。これらの溶媒は1種でも2種以上を混合して用いても良い。
【0031】
トリュフ原料と抽出溶媒との添加割合は、原料1gに対して抽出溶媒は0.01〜100Lである。なお、後述のGC−MS等の質量分析を行って添加後の物質の品質確認も実施したい場合には、GS−MSへの負担も考慮すると、上記添加割合は、好ましくは原料1gに対して0.01〜1Lであり、更に好ましくは20ml程度である。
【0032】
抽出溶媒への原料の浸漬時間は、原料や抽出溶媒の種類や量によって適宜設定されるが、例えば、原料1gを抽出溶媒1Lに浸漬する場合、10分以上が好ましく、より好ましくは、30分以上〜12時間以内である。なお、常温下での浸漬時間は10時間〜12時間程度が好ましい。
【0033】
得られた抽出物は、そのまま(つまり抽出した溶液のまま)DHEA産生促進剤に使用しても良いし、必要に応じて、濃縮、希釈、濾過等の処理および活性炭等による脱色、脱臭処理を加えた処理物をDHEA産生促進剤に用いても良い。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行った乾燥物をDHEA産生促進剤に用いても良い。
【0034】
本発明における抽出物の形態は、制限されず、例えば、溶液状、ペースト状、粉末状があげられ、後述するDHEA産生促進剤の形態や用途に応じて、適宜選択することができる。
【0035】
本発明のDHEA産生促進剤は、前記トリュフ抽出物が含まれていればよく、その形態は制限されず、固形状、液状、ゲル状等があげられる。形態の具体例としては、例えば、アンプル、カプセル、丸剤、錠剤、粉末、顆粒等があげられる。また、本発明のDHEA産生促進剤は、前記抽出物の他に、例えば、賦形剤等の各種添加剤を含んでもよい。
【0036】
本発明の食品、食品添加物、サプリメント、ローション、又は入浴剤には、前述のDHEA産生促進剤をそのまま使用しても良く、又は、このDHEA産生促進剤の効果を損なわない範囲内で、通常の食品、化粧品、医薬部外品、医薬品に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、キレート剤、賦形剤、安定剤、保存剤、結合剤、崩壊剤等の成分を配合することもできる。
【0037】
本発明の食品、食品添加物、サプリメント、ローション、又は入浴剤は、溶液状態や前記のような乾燥粉体の他、種々の剤形とすることもできる。
【0038】
本発明のDHEA産生促進剤は、食品への添加物として、例えば、飴、チョコレート、ガム、焼き菓子、米菓、アイス等の菓子や、例えばふりかけ、スパイス、ドレッシング、醤油、ケチャップ、マヨネーズ、ソースなどの調味料、例えばチーズ、バター、ホイップ、マーガリンなどの乳製品、例えばパン、ご飯、麺類などの穀物製品、例えばスポーツドリンクや栄養ドリンク等のジュース類、ビール、発泡酒、リキュール、日本酒、焼酎、ウィスキー等の酒類などの飲料品に配合して提供され得る。これらの食品はその形状や好みに応じてそのまま食しても、例えば、ご飯や麺類にふりかけて食することも可能である。水、お湯もしくは牛乳などに溶いて飲んでも良い。また、ソーセージ、卵加工製品、食肉加工製品、シチュー、カレー、サラダ、スープ等の加工食品に配合しても良い。
【0039】
また、本発明のサプリメントとしては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤とすることができるが、これらに限定されない。また本発明のサプリメントを持続性、徐放性のものとしてもよい。そしてこれらは、用途又は好みに応じて、液状として供することができる。あるいはハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル錠、錠剤、丸剤もしくは糖衣錠としてか、又は粉末状、顆粒状、茶状、ティーバッグ状等の形状で提供され得る。
【0040】
また、本発明のローションとしては、用途に応じて乳液状、クリーム状、パック類等とすることができる。
【0041】
本発明の入浴剤としては、その形態は限定されず、例えば粉末状、固形状、液状として供することができる。
【0042】
本発明のDHEA産生促進剤は、特異臭も無く(無臭であるか或いはトリュフの芳香を残すため)、食品に配合して食品組成物とした場合、その風味を損うことなく栄養的に優れたものとなすことができる。
【0043】
以上のように、本発明のDHEA産生促進剤は、通常の食品、栄養食品や健康食品等の食品の技術分野の他、医療分野においても広範に使用できるものである。食品として使用する場合には、前述したように通常の食品ないし食品添加物と全く同様に使用することができ、例えば、加熱したり、溶解したり、他の食品等に添加混合しても何ら差し支えなく、また場合によってはそのまま使用することも可能である。
【0044】
本発明のDHEA産生促進剤(又はこれを含有した応用品)によれば、経口投与等により摂取した者又は動物の血中のDHEAの産生量を増加させることができる。また、DHEAは上述したように様々な効能を有することから、本発明のDHEA産生促進剤を摂取すれば、DHEAの産生が向上するため、例えば、アンチエイジング、皮膚の改善、免疫賦活等の種々の効果を得ることができる。
【0045】
加えて、本発明のDHEA産生促進剤はトリュフの抽出物を原料としている。従って、芳香や風味の点で非常に優れている。また、多種の植物を混ぜ合わせたものを原料とする必要が無い。さらに、後述するように、トリュフ自体には、動脈硬化・高血圧・心疾患などの生活習慣病の予防・改善等に有効なオレイン酸や抗骨粗しょう作用・抗肥満作用等に優れたビタミンD等が含まれているため、DHEAの産生向上とオレイン酸等の存在とによりアンチエイジング等の効果がより顕著かつ相乗的に発揮されるものと期待される。
【0046】
以下に、本発明の製造例、その効果を説明するための実施例を挙げるが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0047】
(トリュフ成分のプロファイリングと同定)
先ず、トリュフの抽出物自体がDHEA成分を有するか否かを検討するために、中国産黒トリュフの子実体と、イタリア産トリュフの子実体と、イタリア産トリュフの菌糸体と、を用意し、これらをエタノールで抽出した(抽出条件)。各エタノール抽出物をガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS)法により解析した。解析に際して、15種の主要成分を分離し、20万件のデータベースが蓄積されたアメリカ国立標準技術研究所(NIST)のNISTライブラリーの検索を行うことにより、各主要成分の同定を行った。
【0048】
この結果、トリュフ抽出物には、オレイン酸(oleic acid)、アラキジン酸(eicosanoic acid)、等の脂肪酸、エルゴステロール(ergosterol)ブラシカステロール(brassicasterol)等のステロイド類が主要成分として存在することが分かった。従って、このような成分の存在は、トリュフ自体が、ビタミンDの供給素材、活性酸素(特に一重項酸素)の消去素材、抗アレルギー素材、及びアンチエイジング素材として有望であることを示しており、後述するDHEA産生増強効果と相乗的かつ相補的に適合するものといえることが分かった。
【0049】
しかしながら、ステロイド類の一種であるDHEAは検出されなかった。なお、より高感度なELISA法でも測定したが、検出されなかった。従って、トリュフ抽出物中には顕著な量のDHEAが含まれていなかったことと、後述の結果のように、トリュフ抽出物を摂取したマウスのDHEA濃度が上昇したこととを併せて考慮すると、摂取者(ヒト又は動物)によって摂取されたトリュフ抽出物に含まれているDHEAの存在に応じて、血漿中のDHEA濃度が上昇するのではなく、摂取者が産生するDHEAが、体内に取り込まれたトリュフ抽出物の何らかの成分によって増強されることが推測される。
【0050】
(マウス血漿中のDHEA濃度の評価)
DHEA産生効果を確認するための動物実験を行った。具体的には、摂取条件を変えながらトリュフを摂取させたラットの血漿中のDHEA濃度の比較・評価した。
【0051】
(比較例)
中国産の黒トリュフとイタリア産の黒トリュフとを用意し、これらの乾燥粉末を所定量(50 mg/kg−body weight)、ラットに経口投与した(これらのラットから採取・調整(詳細は後述する)された血漿をそれぞれ比較例1及び比較例2と呼ぶ)。また、コントロールとして、トリュフに替えて蒸留水のみを経口投与したマウスから採取された血漿も評価対象とした。
【0052】
(実施例)
さらに、約70℃の温度に加熱・維持したアルコール100cc中に、前述の中国産の黒トリュフ乾燥粉末0.1g又はイタリア産の黒トリュフ乾燥粉末0.1gを1時間だけ浸漬させることでトリュフ抽出物を作成し、これらのトリュフ抽出物を前記比較例と同一量(50 mg/kg−body weight)、ラットに経口投与した(これらのラットから採取・調整された血漿をそれぞれ実施例1及び実施例2と呼ぶ)。
【0053】
(DHEA濃度測定のための血漿の調整)
前述の各条件でマウスに経口投与して2時間経過後に採血され、さらに凝固防止用のへパリン(heparin)を滴下した血液に、環境温度4℃の下、スイング式ローターを用いて3000rpmで15分間だけ遠心分離を行った。このようにして得られた上澄み液120μlに対して、同量の酢酸エチルを加えて、よく振り混ぜた。そうすると、上澄み液中のDHEA成分は酢酸エチル中に溶けだすため、酢酸エチルを採取し、窒素を吹き付ける等して酢酸エチルを揮発させると、DHEA成分だけ得られる。
【0054】
(DHEA濃度の測定方法)
抗原抗体反応において酵素の発色を利用して物質を定量する方法をEIA法(enzyme immunoassay:酵素免疫抗体法)の一種であるELISA法(emzyme-linked immunosorbent assay:固相酵素免疫検定法)により、前述の測定サンプルのDHEA濃度を評価した。具体的には、市販測定キットであるDHEA EIA Kit(Enzo Life Science社製)を用いて測定した。
【0055】
DHEA濃度測定の評価結果を図1に示す。図中の各投与条件の測定結果は3つの測定値の平均値を示す。
【0056】
これらの測定結果より、本発明のトリュフ抽出物のラットへの経口投与によって、血漿中のDHEA濃度が増加傾向を示すことが認められた。また、その増加傾向は程度の差はあるものの、中国産トリュフ及びイタリア産トリュフのどちら実施例においても確認された。すなわち、子のう菌類セイヨウショウロ科に属する菌類(トリュフ)であれば、原産国を問わず、一定以上のDHEA産生促進効果が期待できる。
【0057】
(本発明の食品(発泡酒)の製造)
次に、上述したDHEA産生促進剤を含んだ食品の例示として、発泡酒を製造した。先ず、麦芽24重量%、大麦30重量%、及び液糖46重量%にホップを加えた仕込み工程と、この仕込み液を約60℃で1時間煮込む糖化工程と、この煮込んだ液に酵母を添加し1週間発酵させる発酵工程と、が終了した後、瓶詰め及び加熱殺菌を行う最終工程前に本発明のトリュフ抽出液(DHEA産生促進剤)を所定量(発泡酒500ccに対して5ml)注入した。なお、トリュフ抽出液は、トリュフ菌糸体50mgを用意し、これを75%濃度のアルコール中で約70℃の温度にして約1時間加熱抽出を行った後、濾過することで製造された。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明により、珍味な食材として今まで用いられていたトリュフを、抗老化機能及び生活改善機能を生体に付与する機能性食品として提供することが可能になる。本発明のDHEA産生促進剤の原料として、低コストかつ生産性に優れる人工培養によって作成したトリュフを使用することも可能である。また、高級食材として食されるトリュフ子実体だけでなく、トリュフ食材としての市場価値の低い不定形子実体や、子実体培養中の菌糸体も原料として使用することも可能である。
【0059】
本発明のDHEA産生促進剤の用途として、上述したように、機能性食品、機能性食品添加物、機能性アルコール飲料(例えば、発泡酒、リキュール)、機能性化粧品、機能性医薬品等が挙げられ、多数の分野で応用可能である。従って、本発明は産業上の利用価値が非常に高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリュフの抽出物を含有することを特徴とするDHEA産生促進剤。
【請求項2】
前記抽出物が熱水抽出物又は有機溶媒抽出物の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載のDHEA産生促進剤。
【請求項3】
前記有機溶媒抽出物は、50℃〜80℃の温度範囲に設定された低級1価アルコール類によって前記トリュフを抽出したものであることを特徴とする請求項2に記載のDHEA産生促進剤。
【請求項4】
前記トリュフが人工的に培養された不定形子実体又は菌糸体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のDHEA産生促進剤。
【請求項5】
前記トリュフが、米糠、ふすま、及びブドウ糖のうち少なくとも1つを含んだ糖類と、牛蒡、ナッツ類、及びベリー類のうち少なくとも1つを含んだ食用材料との混合物を含んだ培地によって培養されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項にDHEA産生促進剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のDHEA産生促進剤を含むことを特徴とする食品。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のDHEA産生促進剤を含むことを特徴とする食品添加物。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のDHEA産生促進剤を含むことを特徴とするサプリメント。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のDHEA産生促進剤を含むことを特徴とするローション。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のDHEA産生促進剤を含むことを特徴とする入浴剤。

【図1】
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【公開番号】特開2013−112651(P2013−112651A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261075(P2011−261075)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(509080244)新潟麦酒株式会社 (3)
【出願人】(505111982)学校法人 新潟科学技術学園 新潟薬科大学 (7)
【Fターム(参考)】