説明

トリートメント装置

本発明のトリートメント装置は、充電池等の電気部品が内蔵された筐体と、複数のブラシを各々備え、透光性を有する材料で形成された第1及び第2ブラシユニットと、筐体内の複数のブラシの基端部分に内蔵されたLEDランプと、筐体内の電気部品の収容部を外部に対してシールする防水用のOリング及びパッキンと、頭皮に先端部を接触させた複数のブラシの先端部どうしの近接又は離間が繰り返されるようにして第1及び第2ブラシユニットをこの頭皮表面に沿った方向に往復動作させるブラシ駆動機構とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、例えば手足、肩等のボディ用マッサージや育毛等のトリートメントを行えるトリートメント装置に関する。
【背景技術】
従来、ヘアブラシでは、そのブラシ部分をブラッシングの際に振動させることにより、頭髪の育毛処理を効果的に行える構成のものが知られている(例えば、特開平10−327936号公報参照)。
すなわち、このヘアブラシ装置は、ブラシが植設された筐体の内部にモータを配置し、このモータを用いてブラッシングの際にブラシ部分を振動させることで、頭皮を刺激して血流を促進し育毛処理を施すものである。
また、上記構造のヘアブラシ装置の他にも、ブラシ部に相当する複数の弾性突起で頭皮を軽く叩いた際に、弾性突起に生じる変形を利用し、弾性突起の先端部を径方向に移動させるようにしてマッサージ作用を付与するヘアブラシ型のマッサージ装置等も提案されている(例えば、特開平9−122192号公報参照)。
しかしながら、前者の特許文献に例示される振動型のヘアブラシ装置においては、振動で頭皮を刺激して得られる育毛効果が必ずしも十分であるとは言えず、育毛効果の改善が求められている。また、後者の特許文献の装置においても、圧縮力による弾性変形を利用して弾性突起の先端部を径方向に僅かに移動させるといった機能では、良好なマッサージ効果や、また頭皮からの汚れ物質の除去効果をあまり期待できず、これらの点で課題を抱えている。
また、このような用途で使用される装置において、育毛用の装置としてのみならず、例えば肩こりや筋肉痛等をほぐす機能や、さらには、手足、肩、顔、首筋等のボディ部分に例えば美肌処理を行う機能等を付加することへの要望もある。
ここで、上述した育毛処理やボディ部分へのトリートメントを実際に行う環境を考慮した場合、例えば洗髪やボディ部分の洗浄を併用できるように、お風呂場等の環境においても上記トリートメントを行いたいところである。
【発明の開示】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、頭皮へのマッサージや頭皮からの汚れ物質の除去が好適に行われることで、優れた育毛効果を得ることができるとともに、ボディ部分へのマッサージや美肌処理等も行え、さらには、お風呂場等の使用環境においても装置への浸水等を懸念することなくトリートメントを行えるトリートメント装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のトリートメント装置は、電源を含む電気部品が内蔵された筐体と、前記筐体に突設されトリートメント対象の皮膚面に先端部を接触させて用いる接触子と、前記筐体内の前記電気部品の収容部を外部に対してシールする防水用のシール部材と、前記トリートメント対象の皮膚面に先端部を接触させた前記接触子を該皮膚面に沿った方向に往復動作させる接触子駆動機構とを具備することを特徴とする。
また、本発明のトリートメント装置は、前記接触子をそれぞれ複数設けてユニット化した第1及び第2の接触子群を有し、前記接触子駆動機構が、前記第1の接触子群の先端部分と前記第2の接触子群の先端部分との近接又は離間が繰り返されるようにして該第1及び第2の接触子群をそれぞれ往復動作させることを特徴とする。
さらに、本発明のトリートメント装置は、前記第1及び第2の接触子群が、接触子どうしの移動軌跡の交差を避けるように、前記第1の接触子群の複数の接触子と前記第2の接触子群の複数の接触子とが千鳥配置になっていることを特徴とする。
また、本発明のトリートメント装置は、前記筐体が、前記電気部品の収容部を有する第1のケーシングと前記接触子を支持する第2のケーシングとから構成され、前記第1のケーシングに対し前記第2のケーシングを着脱自在に接合するための着脱機構をさらに具備することを特徴とする。
さらに、本発明のトリートメント装置は、前記接触子が、ブラシであることを特徴とする。
また、本発明のトリートメント装置は、前記トリートメント対象の皮膚面に特定の波長の光を照射する光照射機構をさらに具備することを特徴とする。
さらに、本発明のトリートメント装置は、前記接触子が透光性を有する材料で形成されていることを特徴とする。
また、本発明のトリートメント装置は、トリートメント対象の皮膚面に特定の波長の光を照射する光照射機構と、前記光照射機構及び電源を少なくとも含む電気部品が内蔵された筐体と、前記筐体内の前記電気部品の収容部を外部に対してシールする防水用のシール部材と、前記筐体に突設され、前記光照射機構が発する光を透過させる透光性を有し且つ前記トリートメント対象の皮膚面に先端部を接触させて用いる複数のブラシを各々ユニット化してなる第1及び第2のブラシ群と、前記トリートメント対象の皮膚面に先端部を接触させた前記第1のブラシ群の先端部分と前記第2のブラシ群の先端部分との近接又は離間が繰り返されるようにして該第1及び第2のブラシ群を該皮膚面に沿った方向にそれぞれ往復動作させるブラシ駆動機構とを具備することを特徴とする。
さらに、本発明のトリートメント装置は、上記第1及び第2のブラシ群が、ブラシどうしの移動軌跡の交差を避けるように、前記第1のブラシ群の複数のブラシと前記第2のブラシ群の複数のブラシとが千鳥配置になっていることを特徴とする。
また、本発明のトリートメント装置は、前記光照射機構及び電源を少なくとも含む電気部品が内蔵された筐体が、前記電気部品の収容部を有する第1のケーシングと前記各ブラシを支持する第2のケーシングとから構成され、前記第1のケーシングに対し前記第2のケーシングを着脱自在に接合するための着脱機構をさらに具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施形態のトリートメント装置を示す斜視図である。
図2は、図1に示すトリートメント装置の分解斜視図である。
図3は、図1に示すトリートメント装置を基端部側からみた斜視図である。
図4は、図1のトリートメント装置が備えるブラシ駆動機構(ブラシどうしの離間状態)を示す断面図である。
図5は、図4のブラシ駆動機構のブラシどうしの近接状態を示す断面図である。
図6は、図4のブラシ駆動機構をブラシの先端側からみた平面図である。
図7は、本発明の第2の実施形態のトリートメント装置を基端部側からみた斜視図である。
図8は、図7のトリートメント装置が備える第1及び第2ブラシユニット及びその周辺の構造を示す断面図である。
図9は、図4の機構と構造の異なる他のブラシ駆動機構(ブラシどうしの離間状態)を示す断面図である。
図10は、図9のブラシ駆動機構のブラシどうしの近接状態を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明を添付の図面に従ってより詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態のトリートメント装置を示す斜視図、図2は、このトリートメント装置の分解斜視図、図3は、このトリートメント装置を基端部側からみた斜視図である。
これらの図に示すように、このトリートメント装置1は、頭皮への育毛処理、並びに手足、肩等のボディ部分へのマッサージ及び美肌処理等のトリートメントをユーザが自身で行えるハンディタイプ(可搬型)の装置である。トリートメント装置1は、その外郭が筐体2によって形成されている。筐体2は、電源としての充電池3を含む電気部品の収容部5を有する第1ケーシング6と、第1及び第2の接触子群としての第1ブラシユニット7及び第2ブラシユニット8を共に支持する第2ケーシング9とから構成されている。第1ケーシング6には、ユーザによって把持される把持部(柄部)6aが設けられている。
また、ほぼ三角柱形状に形成された第2ケーシング9は、第1ケーシング6に対して着脱自在に構成されている。すなわち、図2に示すように、第1ケーシング6には、その先端方向に突出する円柱状のロックバー10が設けられている。ロックバー10の最先端部の端面には、操作溝11が形成されおり、ロックバー10は、この操作溝11を通じてロックバー10本体をその周面(円柱形状の周面)に沿った方向に僅かに回動させることが可能となっている。
また、ロックバー10の周面の所定位置には、係合部が設けられている。この係合部は、第2ケーシング9の例えば内壁部分に設けられた被係合部と係合するように形成されている。ロックバー10の係合部は、第1ケーシング6に対し第2ケーシング9を直列的に配置した状態で、係合軸10を所定位置から、ある回転角以上回動させた場合に、第2ケーシング9の内壁の被係合部にロックされる。つまり、操作溝11や係合部を有する第1ケーシング6側のロックバー10と、第2ケーシング9の内壁の被係合部とは、第1ケーシング6に対し第2ケーシング9を着脱自在に接合するための着脱機構として機能する。
これにより、トリートメントを繰り返しているうちに例えば汚れてしまった第1及び第2ブラシユニット7、8を有する第2ケーシング9を、電気部品を有する第1ケーシング6側から矢印X1−X2方向に取り外してこれを洗浄することが可能となる。したがって、常に清浄な状態の第1及び第2ブラシユニット7、8で、後述する育毛トリートメント等を効果的に行うことができる。
次に、本実施形態のトリートメント装置1に設けられた接触子駆動機構としてのブラシ駆動機構を図1ないし図3に加え、図4ないし図6を用いて説明する。ここで、図4は、第1及び第2ブラシユニット7、8が、各々離間状態にあるブラシ駆動機構の断面図、図5は、第1及び第2ブラシユニット7、8が、各々近接状態にあるブラシ駆動機構の断面図、図6は、ブラシ駆動機構をブラシの先端側からみた平面図である。
これらの図に示すように、第1及び第2ブラシユニット7、8は、複数、例えば各々30本程度の接触子たるブラシ12、14が、それらの基端部を通じてブラシ支持部15、16上に各々一体的に支持されるかたちで構成されている。つまり、これら複数のブラシ12、14は、筐体2(第2ケーシング9)に対し突設されている。また、個々のブラシ12、14は、樹脂材料等により先端に球面部を設けて円柱状に成形されている。
ブラシ駆動機構17は、トリートメント対象の皮膚面Sに先端部を接触させたブラシ12、14を、当該皮膚面Sに沿った方向にそれぞれ往復動作、つまり、連続的にスライド動作させる。詳細には、ブラシ駆動機構17は、第1ブラシユニット7のブラシ12の先端部分と第2ブラシユニット8のブラシ14の先端部分との近接又は離間が繰り返されるようにして当該第1及び第2ブラシユニット7、8を矢印Y1−Y2方向に往復動作(ブラシの径方向への往復変位動作)させるものである。
すなわち、ブラシ駆動機構17は、図4及び図5に示すように、第1及び第2ブラシユニット7、8のブラシ支持部15、16に一端部が各々接続された第1及び第2アーム18、19と、第1及び第2アーム18、19の中央部分から分岐する分岐アーム18a、19aと、分岐アーム18a、19aの各先端部に設けられた支持軸20、21を通じて各々回転自在(回転フリー)に支持された第1及び第2ローラ22、23と、第1及び第2ローラ22、23の個々の周面に対し自身の周面にて各々摺動する位置に設けられた楕円形状のカム24等とを備えている。このカム24の中心部は、駆動軸26に固定されている。この駆動軸26は、第1ケーシング6内の電気部品の収容部5に収容されたモータ25の出力軸にカップリング機構等を介して連結されている。
ここで、第1ブラシユニット7と第1アーム18とからなるユニットは、回動中心となる第1アーム18の他端部が回動可能(矢印Y1−Y2方向に揺動可能)にアーム軸27に支持されている。一方、第2ブラシユニット8と第2アーム19とからなるユニットは、回動中心となる第2アーム19の他端部が回動可能(矢印Y1−Y2方向に揺動可能)にアーム軸28に支持されている。これらアーム軸27、28は、第2ケーシング9上にそれぞれの基端部が支持されている。
さらに、ブラシ支持部15とブラシ支持部16との互いに対向する各端部には、係止部29、30が設けられており、この係止部29、30には、矢印P方向に付勢力(引張力)を発生させる引張ばね31が掛け渡されている。すなわち、この引張ばね31は、楕円形状のカム24の周面に第1及び第2ローラ22、23の周面を圧接(押圧)する方向に第1及び第2アーム18、19を付勢する。
したがって、このように構成されたブラシ駆動機構17では、モータ25に電源を供給して駆動軸26を駆動させ、カム24を矢印K方向に回転させた場合には、図4、図5に示すように、アーム軸27、28を回動中心として第1及び第2アーム18、19が回動(揺動)し、これにより、第1及び第2ブラシユニット7、8のブラシ12、14の先端部分が、矢印Y1−Y2方向に往復動作することになる。
また、このように、第1(又は第2)ブラシユニットと第1(又は第2)アームとからなるユニットにおいて、ブラシの先端部と第1(又は第2)アーム上の回動中心部分と大きく離間させた構造とすることで、カム24付近でのアームの僅かな変位を、ブラシの先端部では大きな変位とすることができ、ブラシ先端部のスライド(ストローク)量を大きく確保することができる。
つまり、トリートメント装置1では、トリートメント対象の皮膚面、例えば頭皮に先端部を接触させたブラシ12、14を往復動作させつつトリートメントを行うことができる。したがって、トリートメント装置1によれば、頭皮に対してのブラシ先端の摺動作用により、頭皮の毛穴周辺の古い角質や皮脂(抜け毛の原因となる例えば過剰酸化された脂[パーオキシド])等の汚れ物質を効果的に除去することができ、頭皮の清浄化を図ることができる。
また、トリートメント装置1では、このように清浄化された頭皮の毛根部分がブラシ先端との摺動で刺激されることで、毛髪の代謝機能が促進し、優れた育毛効果を得ることができる。
さらに、トリートメント装置1では、往復動作するブラシ12、14を、筋肉疲労等が生じている手足や肩、腰等に押圧することで、身体のこのボディ部分がブラシ12、14の摺動作用で刺激されることによるマッサージ効果により、例えば肩こりや筋肉痛等を効果的に取り除く(ほぐす)ことができる。
また、トリートメント装置1によれば、当該ブラシ12、14を、美肌対象の手足、首筋、顔等に接触させることで、これにより得られる肌面の清浄化作用と、肌面でブラシ12、14の先端部が摺動してマッサージが行われることによる血行の促進作用等とにより、好適な美肌処理が施される。
ここで、トリートメント装置1では、前記第1及び第2の接触子群は、図6に示すように、ブラシどうしの移動軌跡の交差(オーバラップ)を三次元的にみて回避するように、第1ブラシユニット7の複数のブラシ12と第2ブラシユニット8の複数のブラシ14とが千鳥配置になっている。
つまり、第1ブラシユニット7を構成する複数のブラシ12の植設位置に対し、相対的に、第2ブラシユニット8を構成する複数のブラシ14の植設位置を矢印X1(又はX2)方向にずらしたかたちで、これらブラシ12及びブラシ14がそれぞれ配置されている。
これにより、トリートメント装置本体の小型化を図れることに加え、トリートメント対象の皮膚面の所定領域に対しブラシ12、14の先端部を密に摺動させることができるとともに、ブラシ部分の摺動にて頭皮を延ばしたり縮めたりする作用が効果的に得られ、これによりトリートメント効果のさらなる向上を図ることができる。
また、ブラシ支持部15とブラシ支持部16との互いに対向する各端部は、当該ブラシ振動機構17の往復動作時に当該各端部どうしの移動軌跡の交差を避けるように、凹凸形状に形成され且つブラシのレイアウトと同様に対向する凹凸部分が千鳥配置になっている。
次に、本実施形態のトリートメント装置1に設けられた防水機能について説明する。
筐体2を構成する第1ケーシング6内の電気部品の収容部5には、図3に示すように、装置本体の駆動電源として設けられ、モータ25への電力供給等を行う上記充電池3が内蔵されている。ここで、装置本体の駆動電源として乾電池を適用できるようにトリートメント装置1を構成してもよいし、AC(交流)電源等の電力導入回路をトリートメント装置1に設けてもよい。
また、第1ケーシング6の把持部6aの近傍には、装置本体の駆動電源をON/OFFする始動スイッチ32、停止スイッチ33が設けられている。これらのスイッチの近傍には、給電状況(電源のON/OFF)を、点灯/非点灯により示すLED34が設けられている。
さらに、上述した第1ケーシング6内の電気部品の収容部5には、充電池3の端子部が接続された導電部材30aと、この導電部材30aに基端部が接続された充電用コネクタ35が収容されている。充電用コネクタ35は、図3に示すように、筐体2(第1ケーシング6)の基端部に設けられた充電用アダプタ等の装着穴36から、当該コネクタの先端側部分を外部に露出させるかたちで設けられている。ここで、充電用コネクタ35の基端部と、このコネクタの基端部を保持する装着穴36近傍の第1ケーシング6の内壁部分との間には、防水用のOリング37が介挿されている。
また、図2に示すように、第1ケーシング6の先端部、つまり、第1ケーシング6と第2ケーシング9とが着脱される段部38には、三角形状の防水用のパッキン39が介挿されている。このパッキン39の中央部分には、長穴40が穿孔されている。長穴40の周縁部は、第1ケーシング6の電気部品の収容部5から、第1ケーシング6の先端方向(第2ケーシング9側)に突出する上記ロックバー10の基端部の外周部分と、カム24を駆動する駆動軸26をガイドする円柱状のガイドバー41の基端部の外周部分と、のそれぞれに密着するように形成されている。
ここで、ロックバー10及びガイドバー41の外周部と長穴40の周縁部との間に隙間が生じるような場合には、この間隙部分に樹脂等を充填することが望ましい。つまり、上述したOリング37及びパッキン39は、筐体2を構成する第1ケーシング6内の電気部品の収容部5を外部に対してシールする防水用のシール部材として機能する。
したがって、トリートメント装置1では、上述したメカニカルに動作するブラシ12、14やその駆動機構(浸水の原因になり得る振動発生源)を備えているものの、お風呂場等の使用環境においても浸水等を懸念することなくボディ洗浄や育毛等のトリートメントを施すことができる。これにより、例えば洗髪や身体のボディ部分の洗浄を併用するかたちで、好適なトリートメントを行うことができる。
また、既述したように、本実施形態のトリートメント装置1では、第1及び第2ブラシユニット7、8のブラシ12、14の先端部分どうしの近接又は離間が繰り返されるようにしてこれらを往復動作させるものである。したがって、トリートメント装置1によれば、例えばトリートメントの対象部分が例えば頭皮等である場合、この頭皮と摺動するブラシ12、14にて、実質的に頭皮を延ばしたり、また縮めたりする作用を付与しつつ育毛トリートメントを行うことができる。
これにより、頭皮からの汚れ物質の除去効果を高めることができるとともに、頭皮の上記伸縮(延縮)作用等により、毛根細胞等の活性化が図られ、好適な育毛処理を施すことができる。
さらに、このトリートメント装置1では、往復動作する第1及び第2ブラシユニット7、8のブラシ12、14の先端部分を頭皮に押圧する使用形態、往復動作中のブラシ12、14の先端で頭皮を軽く叩く使用形態、往復動作中のブラシ12、14で毛髪のブラッシングを行う使用形態等、種々のトリートメントの形態が例示される。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係るトリートメント装置を基端部側からみた斜視図、図8は、このトリートメント装置が備える第1及び第2ブラシユニット及びその周辺の構造を示す断面図である。
これらの図に示すように、この実施形態のトリートメント装置51は、第1の実施形態のトリートメント装置1が備えていた第1及び第2ブラシユニット7、8に代えて、第1及び第2ブラシユニット52、53が適用されているとともに、さらに、特定の波長域の光を照射する光照射機構54が搭載されている。
光照射機構54は、光源として設けられた単数又は複数個のLEDランプ55を備えている。光照射機構54は、LEDランプ55の他、LEDランプ55から放出される光を、トリートメント対象の皮膚面S(ブラシの先端側)に向けて導光する各種レンズやミラー等を備えるものであってもよい。
また、上記光照射機構54のLEDランプ55の発光する光は、例えば波長域が572〜575nm)の黄色光であって、光度が例えば220mcd程度である。ここで、LEDランプ55の発光する光は、上記したように572〜575nmの波長域の光であれば最適であり、また、少なくとも550〜580nmの範囲内にある黄色光であることが望ましい。
この黄色光は、皮膚浸透度が高いため、皮膚表面のシミの除去等に効果的である。また、この黄色光によるクロモセラピー効果(色彩の作用)としては、肌の老化や肌荒れを抑制する効果等がある。
また、図8に示すように、LEDランプ55は、第1ブラシユニット52、53をそれぞれ構成する複数のブラシ57、58の基端部分と第2ケーシンング9の本体部分との間の内部空間61に配置されており、第2ケーシンング9に取り付けられた基板56上に実装されている。
一方、複数のブラシ57、58をそれぞれ複数設けてユニット化した第1及び第2ブラシユニット52、53は、透光性(光透過性)を有する例えばアクリルやポリカーボネート等の樹脂材料によって形成されている。つまり、トリートメント装置51では、光照射機構54のLEDランプ55が発する光を各ブラシ57、58を透過させつつ、トリートメント対象の皮膚面に照射させることが可能となっている。
この構成により、上述したように、トリートメント装置51の内部にLEDランプ55を配置することが可能となるため、お風呂場等でトリートメント装置51を使用する場合等において、LEDランプ55やその周辺の電気部品の防水効果が得られる。
また、個々のブラシ57、58の中心部分には、LEDランプ55から発光される光を各ブラシ57、58の先端部近傍まで導光するための非貫通の導光穴59がそれぞれ形成されている。この導光穴59は、上記内部空間61側に開口しており、LEDランプ55から発光される光を個々のブラシ57、58の先端部側まで極力光量の損失なく導光できるように設けられている。なお、導光穴59が、ブラシ57、58の先端側に対して非貫通である理由は、装置内部の防水性を確保するためのものである。
ここで、第1及び第2ブラシユニット52、53の材料として透光性を有する材料を選択せずに、所定の防水機能を確保した上で、個々のブラシ57、58の基端部どうしの間からLEDランプ55の表面を露出させるようにして、トリートメント装置51を構成してもよい。
このように構成されたトリートメント装置51では、ブラシ57、58の先端部をトリートメント対象の皮膚面S(例えば育毛対象の頭皮や美肌対象の肌面)に接触させた状態で、始動スイッチ60をONにして装置を稼働させた場合には、当該皮膚面Sに沿った方向にブラシ57、58が、スライド動作を繰り返す。この際、同時にLEDランプ55から橙色光が発光され、この光が、各ブラシ57、58の導光穴59を経て各ブラシの先端部から皮膚面Sに向けて照射される。
したがって、本実施形態のトリートメント装置51によれば、皮膚組織を構成するヘモグロビンやメラニン等に吸収させ易い波長域(例えば572〜575nm)の光(黄色光)を皮膚面Sに照射することによる皮膚深部の組織の活性化効果と、ブラシ57、58が皮膚面で摺動することによるマッサージ効果と、またこの摺動時に皮膚面Sに動的な刺激を付与できる振動効果との相乗効果により、好適な育毛処理や美肌処理を行うことができる。詳細には、皮膚面Sに照射されるこの黄色光は、上記メラニンに吸収され易いため、色素部位での蒸発作用により、肌の美白効果を得ることができる。
さらに、頭皮や肌面に育毛剤や美容液等の薬液を供給した状態で、トリートメント装置51を駆動させてもよい。この場合、ブラシのスライド動作により皮膚面に生じる比較的低周波の振動と、特定波長の光(橙色光)とが、皮膚面Sに作用することで、皮膚内のアクアポリンが開き、薬液を皮膚内に浸透させ易くすることができる。
なお、上記LEDランプ55では、波長域が572〜575nmである黄色光を発光するものであったが、これに代えて、例えば440〜449nm程度の波長域の青色光、波長域500〜574nmの緑色光、波長域595〜640nmの橙色光、波長域641〜700nmの赤色光等をそれぞれ発光するLEDランプを適用してもよい。上記青色光は、ヘモグロビンによく吸収されるので、赤ら顔や赤アザに効果的である。また、上記緑色光は、上述した青色光よりも、皮膚浸透度が高いので、真皮深部のヘモグロビンに吸収され、真皮深部の赤アザに効果的である。さらに、上記橙色光は、メラニンやヘモグロビンに吸収され易く、茶色いシミの除去等に効果的である。また、上記赤色光は、皮膚浸透度が高く、皮膚深部のメラニンに反応し、皮膚の奥深くのシミの除去に効果的である。
以上、本発明を実施の形態により具体的に説明したが、本発明は前記実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述した実施形態では、第1及び第2ブラシユニット7、8のブラシ12、14が矢印Y1−Y2方向に往復動作するものであったが、これに代えて、複数のブラシ12、14を矢印X1−X2方向に往復動作するようにブラシ振動機構を構成してもよい。
この場合、複数のブラシ12が矢印X1方向にスライドしている動作中には、複数のブラシ14が矢印X2方向にスライドする動作が行われることが望ましい。これにより、例えばブラシとの摺動により例えば頭皮の表面等を実質的に延ばしたり縮めたりする作用が、せん断方向(互い違い)に働き、頭皮からの汚れ物質の除去効果やマッサージ効果を高めることができる。
また、上述したブラシ駆動機構を配置するためのレイアウトに制約がある場合には、上記ブラシ駆動機構17に代えて、図9及び図10に示すように、ブラシ駆動機構45を適用してもよい。ここで、図9及び図10では、ブラシ駆動機構17の構成部材とほぼ同様の部材には、図4、図5で記したものと同一の符号を付与し、その説明を省略する。
すなわち、ブラシ駆動機構45は、ブラシ支持部46、47に一端部が各々接続された第1及び第2アーム48、49を備えている。第2ローラ22、23は、第1及び第2アーム46、47の他端部に設けられている。第1ブラシユニットと第1アーム48とからなるユニットの回動中心となるアーム軸27は、第1アーム48のほぼ中央部分に設けられている。
また、第2ブラシユニットと第2アーム49とからなるユニットの回動中心となるアーム軸28は、第2アーム49のほぼ中央部分に設けられている。引張ばね31は、第1及び第2アーム18、19上の回動中心部分と第1及び第2ローラ22、23の支持部分との間に設けられた係止部29、30に係止されている。
このような構造のブラシ駆動機構45においても、アーム軸27、28を回動中心として第1及び第2アーム48、49が回動(揺動)し、これにより、第1及び第2ブラシユニットのブラシ12、14の先端部分を矢印Y1−Y2方向に往復動作させることができる。勿論、図9、図10に例示したブラシ駆動機構45を第2の実施形態のトリートメント装置51に対して適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
本発明のトリートメント装置は、身体における例えば痩身効果のある経絡(ツボ)に対し、往復動作するブラシ先端を接触させ、ブラシによる摺動作用やこの際に生じる振動作用にて経絡を刺激することができるので、痩身装置等として適用することも可能である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源を含む電気部品が内蔵された筐体と、
前記筐体に突設されトリートメント対象の皮膚面に先端部を接触させて用いる接触子と、
前記筐体内の前記電気部品の収容部を外部に対してシールする防水用のシール部材と、
前記トリートメント対象の皮膚面に先端部を接触させた前記接触子を該皮膚面に沿った方向に往復動作させる接触子駆動機構と
を具備することを特徴とするトリートメント装置。
【請求項2】
前記接触子をそれぞれ複数設けてユニット化した第1及び第2の接触子群を有し、
前記接触子駆動機構は、前記第1の接触子群の先端部分と前記第2の接触子群の先端部分との近接又は離間が繰り返されるようにして該第1及び第2の接触子群をそれぞれ往復動作させることを特徴とする請求項1記載のトリートメント装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の接触子群は、接触子どうしの移動軌跡の交差を避けるように、前記第1の接触子群の複数の接触子と前記第2の接触子群の複数の接触子とが千鳥配置になっていることを特徴とする請求項2記載のトリートメント装置。
【請求項4】
前記筐体が、前記電気部品の収容部を有する第1のケーシングと前記接触子を支持する第2のケーシングとから構成され、
前記第1のケーシングに対し前記第2のケーシングを着脱自在に接合するための着脱機構をさらに具備することを特徴とする請求項1記載のトリートメント装置。
【請求項5】
前記接触子が、ブラシであることを特徴とする請求項1記載のトリートメント装置。
【請求項6】
前記トリートメント対象の皮膚面に特定の波長の光を照射する光照射機構をさらに具備することを特徴とする請求項1記載のトリートメント装置。
【請求項7】
前記接触子が透光性を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載のトリートメント装置。
【請求項8】
トリートメント対象の皮膚面に特定の波長の光を照射する光照射機構と、
前記光照射機構及び電源を少なくとも含む電気部品が内蔵された筐体と、
前記筐体内の前記電気部品の収容部を外部に対してシールする防水用のシール部材と、
前記筺体に突設され、前記光照射機構が発する光を透過させる透光性を有し且つ前記トリートメント対象の皮膚面に先端部を接触させて用いる複数のブラシを各々ユニット化してなる第1及び第2のブラシ群と、
前記トリートメント対象の皮膚面に先端部を接触させた前記第1のブラシ群の先端部分と前記第2のブラシ群の先端部分との近接又は離間が繰り返されるようにして該第1及び第2のブラシ群を該皮膚面に沿った方向にそれぞれ往復動作させるブラシ駆動機構と
を具備することを特徴とするトリートメント装置。
【請求項9】
前記第1及び第2のブラシ群は、ブラシどうしの移動軌跡の交差を避けるように、前記第1のブラシ群の複数のブラシと前記第2のブラシ群の複数のブラシとが千鳥配置になっていることを特徴とする請求項8記載のトリートメント装置。
【請求項10】
前記筐体は、前記電気部品の収容部を有する第1のケーシングと前記各ブラシを支持する第2のケーシングとから構成され、
前記第1のケーシングに対し前記第2のケーシングを着脱自在に接合するための着脱機構をさらに具備することを特徴とする請求項8記載のトリートメント装置。

【国際公開番号】WO2005/025478
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【発行日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513809(P2005−513809)
【国際出願番号】PCT/JP2004/005342
【国際出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【出願人】(000114628)ヤーマン株式会社 (31)
【Fターム(参考)】