説明

トルエンおよびスチレンに由来するテロマー分布と、それから生成された臭素化難燃剤

本発明は新規かつ有用なトルエンおよびスチレンに由来するテロマー分布に関し、このような分布は臭素化難燃剤の調製のために望ましい基体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規かつ有用なトルエンおよびスチレンに由来するテロマー分布に関し、このような分布は、臭素化難燃剤の調製のために望ましい基体である。さらに、本発明は、このようなテロマー分布から生成される臭素化難燃剤に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な臭素化芳香族化合物は、熱可塑性樹脂の難燃剤として知られている。例えば、臭素化ポリスチレンは、様々な熱可塑性樹脂の使用のために商業的に重要な難燃剤として受け入れられている。これらの臭素化難燃剤は、芳香族臭素の含有率が高く、そして可能な限り、熱的に不安定な臭素の含有率は低くなっている。しかしながら、高い芳香族臭素の含有率は、望ましい値よりも高い熱的に不安定な臭素の含有率を伴う可能性がある。臭素化難燃剤の熱的に不安定な臭素含有率は、難燃剤を一定期間高温で加熱した際に生成されたHBrの排気測定によって決定される。熱的に不安定な臭素の含有率は、(a)(含有率を減少させる手順を終えた後)まだ難燃剤中に残っているHBrの副産物の含有率、および(b)分子状の非芳香族臭素の現存量、に依存する。非芳香族臭素の例は、脂肪族臭素であり、そこで、脂肪族基は芳香族基間の架橋基として働くアルキレン基またはアルキリデン基の何れかであるか、もしくは芳香族基上においてアルキル置換基である。その源を問わず、熱可塑性調合物で使用される難燃剤からのHBrの排気は、例えばテレビの筐体などのような高熱になる用品における熱可塑性調合物を製造するのに使用される成形装置に損傷を与える可能性がある。従って、熱的に不安定な臭素の含有率が低い臭素化難燃剤を有する必要がある。
【0003】
幸いなことに、閉じ込められたHBrの量は、原油難燃性反応物質を急冷水することによって、また必要に応じて化学処理もしくは水洗浄することで仕上げ処理を行うことによって、大幅に削減することができる。通常、閉じ込められたHBrの除去はこのように効果的に行われ、完成した臭素化難燃剤製品における熱的に不安定な臭素含有率への貢献は重要では無い。
【0004】
HBr排気の他の源(すなわち、化学結合した高分子非芳香族臭化物)の削減には、より多くの問題がある。閉じ込められた臭素の低減に使用可能な技術には、満足できる選択肢がほとんど無く、多くの頑なな非芳香族臭素に対しては最小限の使用にとどめるという対策しかない。臭素化スチレン系重合体の場合には、率直に臭素化工程パラメータおよび反応供給量を変更することによって、それができるようになっており、アルベマール社(Albemarle Corporation)のHP7010およびHP3010難燃剤製品によって証明されているように非芳香族臭素の形成を減少させることができる。これらの商業製品は、いまだに製品における芳香族臭素の68重量%まで提供しているにもかかわらず、500ppm未満の熱的に不安定な臭素含有率を示す。
【0005】
もし、効果的に臭素化難燃剤を形成するために臭素化することができる新しい高分子芳香族および比較的低い分子量の炭化水素原料を提供する方法を見つけることができ、それが非常に高い芳香族臭素含有率を有していれば(すなわち臭素が72重量%超過)、しかしそれは同時に商業的に許容される低い熱不安定性臭素を有しており、技術への望ましい貢献になるかもしれない。
【0006】
本発明は、当該技術にこのような貢献を与えると考えられる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、他のもののうち、陰イオン性のスチレン単量体のトルエンへの連鎖移動および以前に形成したトルエン−スチレンテロマーに由来するテロマー分配に関する。テロマー分布は、化学式Ph−CH[−CHCH(Ph)]−CHCH−Phの分子から成り、
式中、Phはフェニル基であり、前記分布中の各分子に関して、「n」は0〜6の範囲内の整数である。好ましいテロマーの分布は、約0〜約2の範囲内の「n」の値を有する分子において富んでいる。
【0008】
本発明のテロマー分布は、数量体分布と比較して「n」の値が低い分子集団を好む。ここでの数量体分布における「n」の値の範囲は、7〜25であり、これに対して重合体分布における「n」の値の範囲は、26〜80である。「n」の値が0〜6のテロマー混合物を用いることで、実現される利点がある。第一に、本発明のテロマー分布において非常に高い臭素の重量%を得ることができる。例えば、本発明の臭素化難燃剤が、72重量%の臭素を超える、非常に高い芳香族臭素の含有率を有することができる。このような臭素化難燃剤は、容易に様々な熱可塑重合体と配合することができる。
第二に、本発明のテロマー分布は、「n」の値が7〜25もしくは26〜80の場合の分布と比較して、非芳香族臭素の熱的な不安定性の形成のサイトがより少なくなる。確かに、本発明のテロマー分布において、もし分子の「n」の値が6以上であれば、それは通常2GCP面積%未満に抑えることができる。
【0009】
また、本発明によって提供されたテロマーの分布は、以下の一つもしくは一つ以上の臭素化テロマー分布によって、特徴づけられる:
(a)化学式Ph−CH[−CHCH(Ph)]−CHCH−Phの分子の分布であって、
式中、各Phは1から5の臭素原子を有する臭素化フェニル基である。そして、
前記分布中の各分子に関して、「n」は整数の0〜6の範囲内であり、そして
(i)少なくとも分子の約46GPC面積%は「n」の値が0に等しく、
(ii)分子の約1から26GPC面積%は「n」の値が1に等しく、
(iii)分子の約0から14GPC面積%は「n」の値が2に等しい、分布と

(b)化学式Ph−CH[−CHCH(Ph)]−CHCH−Phの分子の分布であって、
式中、各Phは1から5の臭素原子を有する臭素化フェニル基である。そして、
前記分布中の各分子に関して、「n」は整数の0〜6の範囲内であり、その分布
内の「n」が0である大部分の分子によって特徴付けられ、そして少数は、49
GPC面積%を超えない「n」の値が1、2、3、4、5もしくは6の分子によ
って特徴付けられる。ここでのGCP面積%は、「n」が1に等しい場合>「n
」が2に等しい場合>「n」が3に等しい場合>「n」が4に等しい場合>「n
」が5に等しい場合>「n」が6に等しい場合という順序で少なくなっていく、
分布と、
(c)化学式Ph−CH[−CHCH(Ph)]−CHCH−Phの分子の非重合体および非数量体分布の分子式であって、
式中、各Phは1から5の臭素原子を有する臭素化フェニル基である。そして、
前記分布中の各分子に関して、「n」は整数の0〜6の範囲内であり、さらにそ
の分布には、「n」の値が1〜6の分子も含まれている、分布。
【0010】
上記および他の態様、特徴、形態および本発明の利点は、これ以降の説明および特許請求の範囲から更に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のテロマー分布:
本発明に含まれるテロマーの分布は、以下の一つもしくは一つ以上のものによって特徴付けられる:
(a)化学式Ph−CH[−CHCH(Ph)]−CHCH−Phの分子の分布であって、
式中、各Phはフェニル基であり、前記分布中の各分子に関して「n」は整数の0
から6の範囲であり、そしてここでは
(i)少なくとも分子の約46GPC面積%は「n」の値が0に等しく
(ii)分子の約1から約26GPC面積%は「n」の値が1に等しく、
(iii)分子の約0から約14GPC面積%は「n」の値が2に等しい、分布と、
(b)化学式Ph−CH[−CHCH(Ph)]−CHCH−Phの分子の分布であって、
式中、各Phはフェニル基であり、前記分布中の各分子に関して「n」は整数の0
〜6の範囲で変化し、その分布はその分布内の「n」が0である大部分の分子によっ
て特徴付けられ、そして少数は、49GPC面積%を超えない「n」の値が1、2、
3、4、5もしくは6の分子によって特徴付けられる。ここでのGCP面積%は、「
n」が1に等しい場合>「n」が2に等しい場合>「n」が3に等しい場合>「n」
が4に等しい場合>「n」が5に等しい場合>「n」が6に等しい場合という順序で
少なくなっていく、分布と、
(c)化学式Ph−CH[−CHCH(Ph)]−CHCH−Phの分子の非重合体および非数量体分布であって、
式中、各Phはフェニル基であり、前記分布中の各分子に関して「n」は整数の0
〜6の範囲で変化し、さらにその分布には、「n」の値が1〜6の分子も含まれてい
る、分布。
【0012】
好ましいテロマー混合物は、数式を参照して上記のテロマー分布を有する。その分布は、約46〜76GPC面積%を有する「n」=0の分子、約16〜26GPC面積%を有する「n」=1の分子および約1〜14GPC面積%を有する「n」=2の分子によって特徴付けられる。
【0013】
また、好ましいテロマー混合物は、数式を参照して上記のテロマー分布をしており、その分布は以下を有するものによって特徴付けられる。
(i)0に等しい「n」値を有する、約76から約95GPC面積%の分子
(ii)1に等しい「n」値を有する、約17から約5GPC面積%の分子、および
(iii)2に等しい「n」値を有する、約5から0GPC面積%の分子
【0014】
更に、好ましいテロマー混合物は、数式を参照して上記のテロマー分布をしており、その分布は(i)0に等しい「n」値を有する約95から約99のGPC面積%の分子(ii)1に等しい「n」値を有する約5から約1のGPC面積%の分子の含有率によって特徴付けられる。
【0015】
一方、「n」値が0、1、および2に等しい、もしくは0および1に等しい分子のGPC面積%は、上記に記載されているが、「n」の値が0から2もしくは0から1以外の分子が全く存在しないということを意味するものではない。また、供給の特徴は、その個体群における分子のGPC面積%によってのみ詳細を述べられている。「n」値が0から2もしくは0から1がこの限られた個体群において最重要であり、高いGPC面積%はそれに関連する。実施例1〜7を参照してみると、製品は前述の特性の範囲内に生成している
がまた、多くはないが「n」の値が2もしくは1よりも大きい分子の個体群も有している。
【0016】
上記で使用されるように、「非重合体」という用語は、OECDの「重合体」の定義におけるコンテキスト内で使用される。
「一つまたは複数のタイプの単量体単位の配列によって特徴付けされ、少なくとも
単純重量の大半の分子が3つの単量体単位を含み、共有結合的に少なくとも一つの
他の単量体単位もしくは他の反応物質にバウンドし、同じ分子量の分子の単純質量
の過半数未満で構成されている、分子で構成される化学物質。このような分子は、
高分子量の範囲で分布されなければならない。ここでの分子量の違いは主に、単量
体単位の数の違いに起因する。」
【0017】
本発明におけるテロマー分布は、陰イオン性、連鎖転送が終了し、触媒量のポリ(第3級アミン)複合体リチウム試薬を使用して、1から約7のスチレン単位をトルエンに添加することによって得ることができる。テロマー化の工程は、トルエンを反応物質(連鎖移動剤)および反応溶媒の両方として使用している。より具体的には、その工程は触媒量のアルキルリチウム(ブチルリチウムが好ましい)およびN、N、N'、N' -テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を用いて、最初にトルエンから形成される反応混合物にスチレンを混合することによって達成される。反応物質の温度は、添加が行われている間は85℃から115℃の範囲にする必要がある。この付加反応は、陰イオン性、連鎖移動付加反応である。陰イオン性についてさらに詳細を見てみると、本発明の工程における、テロマー分布供給を行うために使用することができる連鎖移動付加反応は、2008年6月6日に出願されたPCT出願番号PCT/US08/66219に見つけることができ、それは米国の利益を主張している。2007年6月7日に提出された仮出願番号60/942,599およびそのPCT出願は、本明細書で完全に説明されているかのように、全体として本開示に参照により組み込まれる。実施例1−7に、本発明のテロマー分布を取得するための方法を示している。
【0018】
実施例1
乾燥した500mLの4口、油外被付きガラスフラスコに、熱電対、ガラスパドル付きのガラス製頭上攪拌機、コンデンサー、および窒素の注入口を装備した。その反応器へ、150mL(130.5g、1.55mol)の無水トルエンを投入し、そして引き続いて、周辺温度で2.7mL(0.0054mol)のn−ブチルリチウム(シクロヘキサン中2M)および0.72mL(0.56g、0.0048mol)のTMEDAを投入した。反応物の温度は、110℃まで上昇した。スチレン(50mL、45g、0.43mol)は、反応混合物の一定で激しい撹拌を維持しながら、137分以上一定の速度を維持し、反応器に注入した。スチレンの注入が完了すると、スチレンの供給線をオフにして、20mLの無水トルエンを反応混合物に添加した。続いて反応混合物を80℃まで冷却した後、0.5mLのイソプロピルアルコールで急冷した。室温まで冷却し、リチウムプロポキシド塩が沈殿した後、反応器はGPC分析のためにサンプリングされた。未反応トルエンを除くGPCの面積%分析は、以下のようになった。C1516は64.3%;C2324は23.4%;C3132は8.2%;C3940は2.9%;C4748は0.9%;C5556は0.3%;C6364は0%;C7172は0%;C7980は0%;C8788およびそれよりも高分子の数量体は0%であった。
【0019】
実施例2
スチレン45g(0.43mol)が127分間以上にわたって、130.5g(1.55mol)の無水トルエン、1.8mL(0.0036mol)の2Mn−ブチルリチウムおよびTMEDA0.42g(0.0036mol)から形成される反応混合物に供
給されたことを除いて、実施例1の手順を用いた。未反応トルエンを除くGPCの面積%分析は、以下のようになった。C1516は46.1%;C2324は25.5%;C3132は13.6%;C3940は7.2%;C4748は3.8%;C5556は1.7%;C6364およびそれよりも高分子の数量体は2%であった。
【0020】
実施例3
スチレン60.9g(0.58mol)が173分間以上にわたって、115.0g(1.25mol)の無水トルエン、2.4mL(0.00487mol)の2Mn−ブチルリチウムおよび0.57g(0.00487mol)のTMEDAから形成される反応混合物に供給されたことを除いて、実施例1の手順を用いた。未反応トルエンを除くGPCの面積%分析は、以下のようになった。C1516は64.8%;C2324は22.3%;C3132は7.6%;C3940は3.0%;C4748は1.9%であった。
【0021】
実施例4
反応器システム:
油外被の付随した、12リットルのガラス球面クリーズ反応器に、還流冷却器、蒸留ヘッド、水中熱電対、底排弁、およびステンレス鋼製の内部冷却コイルを装備した。温度はしっかりと、冷却コイルの水の流れを制御するPIDコントローラを介して設定値に維持した。1つは傾斜し、もう1つは平坦に軸に取り付けた2つのガラスの撹拌翼がセットとなった、外径19mmのガラス軸で構成される頭上撹拌機構によって激しく撹拌を行った。反応器はすべてのぬれたPTFE部品や他の重合体フッ素材料やエラストマーを本質的に含まない。
【0022】
供給技術:
反応器を、全ての操作の間、不活性乾燥N雰囲気下で保持した。反応器へ、ダイヤフラムポンプによって浸漬用脚を通じて連鎖移動剤が添加した。アルキルリチウム、追加の溶剤およびアミンプロモータTMEDAは、全て同じ浸漬用脚を通じて、連鎖移動剤の撹拌の表面下で供給した。スチレンは、基本的な酸化アルミニウム(EMD化学薬品、酸化アルミニウム90、メッシュ70−230、カラムクロマトグラフィーグレード)でできた3インチの円柱カラム(1.75インチ径、100g)によって、反応器に注入され、また微細な流れもしくは1/16インチ外径の供給用ノズルによって反応混合物の表面上に噴霧することによって送り届けられた。
【0023】
詳細な手順:
115℃に加熱する前に、トルエン2913g(3.4リットル、31.61mol)を反応器に投入した。トルエンを還流し、共沸することによって4時間かけて乾燥させた。カールフィッシャー水分分析の残留水が21ppmを示すように、このトルエンを1.5gのn−BuLi溶液と一緒に乾燥させた。乾燥したトルエンを、両方とも82℃に設定した油外被とPID制御の巻コイルによって82℃まで冷却した。設定温度に冷却すると、63gのn−BuLi溶液(シクロヘキサンにおいて2M、0.162mol)をトルエン反応混合物の表面化へ浸漬用脚を通じて優しく撹拌しながら(300rpm)投入した。供給線は、75mLの無水トルエンで増水した。次に、TMEDA−複合ベンジルリチウムイオンの特性である鮮やかな赤色と、同時にブタンの排気発生で形成される供給線の表面下を通じて、46.4gのTMEDA(0.399mol)を反応器へ投入した。表面下の線は、次に、定量ポンプを介して無水トルエン75mL一定分量によって増水した。反応器の撹拌は、510rpmまで上げられ、3080gのトルエンに溶かした1713gのスチレン(99+%、16.45mol)を360分以上にわたって投入した。よく校正された計量ポンプを、13.3g/分の一定速度で供給するようにプログラムした。無水シクロヘキサン(2×200mL)がアルミナベッドを満たすためのスチレン
供給システムに添加した。
反応器へのスチレン供給を、通常冷却コイルの自動制御弁の閉鎖によって示される、反応熱がこれ以上観察されなくなった時に、完了とみなす。PID温度コントローラの設定点を82℃で維持し、水を、熱い油の流れが反応器をバイパスするように変更された場合必要に応じて、冷却コイルを通じて供給した。水と白濁した混合物中に得られた反応混合物を50mLの脱酸素水によって75℃に急冷した。その反応混合物を脱酸素水(3×650mL)で洗浄した。位相の分割は、迅速であまり時間がかからなかった。水および任意の小片もしくは乳濁液を、底排水弁を通じて除去した。6時間の供給の過程において、一定量を3時間後に分析のために取り出した。未反応トルエンを除くGPCの面積%分析は、以下のようになった。M=226、M=247、M=281、PD=1.091
1516は70.3%;C2324は20.1%;C3132は6.4%そしてそれよりも高分子の数量体は3.2%であった。油外被の温度は、冷却コイルの制御弁がオフになっている間、130℃まで上昇した。シクロヘキサン、残留水分およびトルエンは、ポットの温度が114℃になるまで簡単な蒸留ヘッド(1気圧)で蒸留される。一定量がGPC分析のために取り出され、反応生成混合物の組成(本発明のテロマー分布)は、以下のようになった。C1516は75.7%;C2324は17.4%;C3132は4.7%そしてそれよりも高分子のテロマーは2.2%であった。
【0024】
従って、本発明の実施例4において単離されたテロマー分布は、以下のように形成されたと考えられる。1,3ジフェニルプロパン(75.7GPC面積%)、1,3,5−トリフェニルペンタン(17.4GPC面積%)、1,3,5,7−テトラフェニルヘプタン(4.7GPC面積%)、およびそれよりも高分子のテロマー(それはおそらく、もしくは完全に1,3,5,7,9−ペンタフェニルノナンである)は2.2GPC面積%であった。そのGPC分布は、以下の通りである。M=219、M=238、M=269、PD=1087。
【0025】
実施例5
乾燥した500mLの4口の油外被付きガラスフラスコに、熱電対、ガラスパドル付きのガラス製頭上攪拌器、および窒素の注入口を装備した。反応器には、175mL(151.4g、1.64mol)の無水トルエン、続いて2.24g(0.0082mol)のn−ブチルリチウム(シクロヘキサンにおいて23.5重量%)、および2.97mL(2.29g、0.0197mol)のTMEDAを周囲の温度で添加した。反応混合物の温度は、85℃まで上昇した。スチレン(94.6mL、86g、0.83mol)およびトルエン(175mL、151.4g、1.64mol)を混合し、359分以上85℃に維持して混合物の一定の有意な攪拌を続けながら、反応器へ注入した。スチレン供給が完了すると、スチレン供給線をオフにして20mLの無水トルエンを反応混合物に注入した。反応混合物を80℃に冷却した後、0.5mLのイソプロピルアルコールで急冷した。室温に冷却し、リチウムイソプロポキシド塩が沈殿した後、反応器からGPC分析のためにサンプリングを行った。未反応トルエンを除くGPCの面積%分析は、以下のようになった。C1516は86.3%;C2324は11.9%;C3132は1.8%およびそれよりも高分子の数量体は0%で、M=203、M=210、M=220、PD=1033であった。
【0026】
従って、本発明の実施例5において単離されたテロマー分布は、以下のように形成されたと考えられる。1,3ジフェニルプロパン(86.3GPC面積%)、1,3,5−トリフェニルペンタン(11.9GPC面積%)、1,3,5,7−テトラフェニルヘプタン(1.8GPC面積%)。
【0027】
実施例6
乾燥した500mLの4口の油外被付きガラスフラスコに、熱電対、ガラスパドル付き
のガラス製頭上攪拌器、および窒素の注入口を装備した。反応器には、150mL(130.5g、1.55mol)の無水トルエン、続いて2.7mL(0.0054mol)のn−ブチルリチウム(シクロヘキサンにおいて2M)、および2.42mL(1.88g、0.0162mol)のTMEDAを周囲の温度で添加した。反応混合物の温度は110℃まで上昇した。150mLのトルエンに溶かしたスチレン(50mL、45g、0.43mol)を、温度を110−115℃に維持し、混合物を56分以上一定で有意に攪拌しながら、反応器に注入した。スチレン供給が完了すると、スチレン供給線をオフにして20mLの無水トルエンを反応混合物に注入した。反応混合物を80℃に冷却した後、0.5mLのイソプロピルアルコールで急冷した。室温に冷却し、リチウムイソプロポキシド塩が沈殿した後、反応器からGPC分析のためにサンプリングを行った。未反応トルエンを除くGPCの面積%分析は、以下のようになった。C1516は84.5%;C2324は13.1%;C3132は2.3%;C3940は0.2%およびそれよりも高分子の数量体は0%で、M=214、M=225、M=243、PD=1054であった。
【0028】
従って、本発明の実施例6において単離されたテロマー分布は、以下のように形成されたと考えられる。1,3−ジフェニルプロパン(84.5GPC面積%)、1,3,5−トリフェニルペンタン(13.1GPC面積%)、1,3,5,7−テトラフェニルヘプタン(2.3GPC面積%)および1,3,5,7,9−ペンタフェニルノナン(0.2GPC%)であった。
【0029】
実施例7
ガラスを裏打ちした100ガロンの外被付き反応器に、頭上凝縮器、浸漬熱坑井/熱電対、および底排弁を装備した。蒸気制御弁を用いて、外被を通じて流れる水の温度を制御することにより、温度を設定点に保持した。可変速度駆動部上の3枚刃で後退曲線の撹拌機を用いて、激しい撹拌を実現した。反応器は、全ての湿潤したPTFE部分または他の重合体のフッ化材料またはエラストマーを本質的に含まない。
【0030】
全ての操作の最中に、反応器を不活性乾燥N雰囲気下で保持した。可搬槽からの圧力移動を用いて、浸漬用脚を通じて反応器に1つまたは複数の連鎖移動剤を投入した。アルキルリチウム、追加の溶媒、およびアミン促進剤(TMEDA)を全て、同じ浸漬用脚を通じて撹拌した1つまたは複数の連鎖移動剤へ表面下に供給した。スチレンを、3Åmolのふるい((ゼオケム)Zeochem)の24インチの円筒形カラム(直径3インチ

6ポンド)を通じて、可搬の圧力容器から絞り弁を用いて圧力移動させ、反応混合物の表面より上にスリット供給ノズルを通じて、微細な流れつまり噴霧として運搬した。
【0031】
140ポンド(689mol)のトルエンを反応器に投入し、カール・フィッシャー水分分析は7ppmの残留HOを示した。撹拌が始まった。温度調節した水を容器の外被に加えることにより、溶媒を78℃に加熱した。設定点温度に到達する際に、10ポンドのトルエン(49.24mol)中における4.07ポンドのTMEDA(15.9mol)を、撹拌したトルエンの反応混合物の表面の下方にある浸漬用脚を通じて反応器に投入した。その後、供給線を21ポンド(103mol)の無水トルエンで洗い流した。次に、3.9ポンドのn−BuLi溶液(シクロヘキサン中で23.5重量%)(6.53molのn−BuLi)を、付属物のブタンの気体放出を伴う、TMEDA複合ベンジルリチウム陰イオンの特徴的な明るい赤橙色を形成する、表面下の供給線を通じて投入した。その後、供給線を21ポンド(103mol)の無水トルエンで洗い流した。374.4ポンドのスチレン(99%以上、1,629mol、アメリカン・スチレニクス(American Styrenics))を162分以上にわたって供給した。2.31ポンド/分という一定の供給速度で、窒素で調整した可搬槽からの絞り弁を通じる圧力移動を用いてスチレンを
添加した。反応器を5分にわたって放置し、反応が完了したことを確認した。
【0032】
前もって一晩にわたり脱酸素化していた10ガロンの0.75重量%の塩化アンモニウム溶液で、反応混合物を70℃にて急冷した。2度目の10ガロンの脱酸素水で反応混合物を洗浄した。相切断は迅速であり、整定時間をほとんど必要としなかった。底排弁を通じて水および任意の小片または乳濁液を除去した。
【0033】
温度調節した水を容器の外被に用いて、反応器を大気沸点に加熱した。その後、蒸気を反応器の外被に加え、反応器の外被の温度を140℃に増加させた。シクロヘキサン、残留水分、およびトルエンを煮沸し、頭上凝縮器内で凝縮し、135℃のポット温度を観測するまで円筒容器に排出した。反応器を50℃に冷却した。真空を容器に加え、反応器を沸点に加熱した。その後、蒸気を容器の外被に加え、反応器の外被の温度を140℃に増加させた。真空を用いて反応器の圧力を35mmHgに減少させた。シクロヘキサン、残留水分、およびトルエンを煮沸し、頭上凝縮器内で凝縮し、135℃のポット温度を観測するまで円筒容器に排出した。GPCを介する分析のために、ある分割量を反応器から取り出した(M:301、M:433、M;626、M:883、PD:1.45)。反応塊(443ポンド)を350ガロンの運搬箱内に集めた。
【0034】
粗製の植物から剥ぎ取った反応混合物の3,893gの試料を、(1.0GPC面積%の最大規格に対する)残余のトルエンおよび1,3−ジフェニルプロパンの連続的な操作を介して、払拭薄膜蒸発器(WFE)を用いて剥ぎ取り、下記のGPC分析を有した3,111gの生成物を生じた:M:409、M:543、M:698、M:907、PD:1.29。WFEの操作条件は下記の通りであった:供給速度=1.33L/時、油外被の温度=155℃、圧力=0.1mmHg未満、凝縮器の温度=0℃。加えて、低温指部は下記のGPC分析を有する784gの混合物を凝縮した:80.65%のC1516、17.7%のC2324、1.5%のC3132、および0.2%のC3940を伴って、M=204、M=212、PD=1.04。
【0035】
従って、この凝縮物、本発明のテロマーの分布は、1,3−ジフェニルプロパン(80.65GPC面積%)、1,3,5−トリフェニルペンタン(17.7GPC面積%)、1,3,5,7−テトラフェニルヘプタン(1.5GPC面積%)、および1,3,5,7,9−ペンタフェニルノナン(0.2GPC面積%)から成ったことが分かるだろう。
【0036】
実施例1から7までで説明したGPC面積%を、個々のテロマーの基準線分解能に基準線を与え、ならびに、任意の付随の短鎖数量体を部分的に分解したオリゴポア(oligopore)カラムを用いて、(以下でより詳細に記載される)GPCにより得た。従って、これらの生成物の混合物を離散した分子の関連する形成の点から検討することが可能である。結果として得られたデータは、様々なテロマーの混合物を異なる工程条件下で調製することができることを立証する。生成物の分布は、連鎖移動剤に対する単量体の比率、第三級ポリアミン錯体の有機リチウム開始剤に対する単量体の比率、およびその単量体の供給速度への依存を立証する。
【0037】
表1は、実施例1〜7に関する条件および結果を要約する。
【表1】

【0038】
本発明の臭素化テロマーの分布
本発明の臭素化テロマーの分布は、様々な可燃性の重合体または樹脂の基体において、当該分布を難燃剤としての使用に適するようにする、有用な物理的特性を有することを特徴とする。例えば、本発明の場合の臭素化テロマーは、極めて高い臭素含有率、例えば、約77重量%から約81重量%までの範囲内の臭素を有する。より大きい溶融流動指数(MFI)を与える物質が所望である場合、約72重量%から約77重量%までの範囲内にある臭素含有率の臭素を有する本発明の臭素化分布は、この目的に高度に適している。より高度に可溶な臭素化難燃剤が所望である、ポリウレタン類および発泡ポリスチレン等の、発泡用途用の特定の樹脂における使用のために、約45重量%から約72重量%の範囲内にある臭素含有率の臭素を有する、本発明の臭素化テロマーを使用することができる。
【0039】
本発明の臭素化テロマーの別の特徴は、その熱的安定性である。例えば、本発明の臭素化テロマーの分布は、窒素流下で測定される場合、300℃で1,000ppm未満、および280℃で300ppm未満の熱HBr含有率を有する場合がある。加えて、本発明の臭素化テロマーは5重量%のTGA重量損失を有する場合があり、これは少なくとも320℃の温度に到達するまで起こらない。
【0040】
本発明の臭素化テロマーのさらに別の特徴は、望ましい色特性である。本発明の臭素化テロマーの分布は、多くの用途に適切である、10未満のASTM D 1925に従うハンター色差計の黄色さ指数(YI)を有するように調製されている。
【0041】
比較的低分子量の臭素化種の可塑化効果を相殺するために、適切に高度な範囲内にあるガラス転移温度(T)を有する難燃剤を提供することがいくつかの難燃剤用途において望ましい。実験は、本発明に準じ、Tが約135℃から約215℃までの範囲内にある臭素化テロマーを生成することが可能であることをこれまでに示した。同様に、このような用途では、示差走査熱量測定法(DSC)により測定される際に、融点の最小限度が約
160℃から約310℃までの範囲内にある温度に存在する融点を有する難燃剤を提供することが望ましい。この広範な最小融点温度の分布、および前述の広範なガラス転移温度の範囲により、難燃剤の使用者が、検討中の特定の難燃性の重合体組成物の必要性に適するように、自分の自由に難燃剤を適合させることが可能になる。
【0042】
本発明の特に好適な臭素化スチレンテロマーの分布は、約77重量%超過から約81重量%までの臭素含有率を有すること、300℃における1,000ppm未満の熱HBr値、320℃以上で起こる5重量%のTGA重量損失、10未満のハンター色YI、170℃から215℃までの範囲内にあるTを有すること、および/または約225℃から約310℃までの範囲内に存在する融点の最小限度(DSC)を有することを特徴とするものである。
【0043】
本発明の臭素化テロマーの分布を生成するために、芳香族炭化水素類の臭素化のためのあらゆる既知の方法を使用することができる。一般的に、臭素化は光の非存在下で行われ、好ましくは元素状臭素を臭素化剤として用いる。臭素化は、ハロゲン化アルミニウムまたはハロゲン化第二鉄の触媒等の適切なルイス酸触媒を用いて、無水条件下で行われる。脂肪族炭素原子上で臭素化を最小限にするために、反応は好ましくは約25℃未満の温度で行われる。例えば、ジブロモメタン、二臭化エチレン、ブロモクロロメタン、ジクロロメタン、二塩化エチレン等の臭素化溶媒が、典型的にその工程において用いられる。
【0044】
本発明の実施において用いられる好適な臭素化手順の概要は、以下の通りである。
【0045】
臭素化の準備
ジクロロメタン(DCM)または他の適切な臭素化溶媒を、酸性酸化アルミニウムの活性アルミナ(イー・エム・ディー・ケミカルズ(EMD Chemicals)、酸化アルミニウム、70〜230メッシュ、カラムクロマトグラフィー等級)で乾燥させた(カール・フィッシャーで5〜40ppmの水分)。全ての供給線、供給槽、およびガラス器具を乾燥させ(適切な場合には、炉が130℃にて最小で2時間にわたって乾燥した)、臭素化反応における使用より前に一晩にわたって浄化した。臭素化反応器の設定および操作の過程の最中に、全てのガラス器具、供給線、および供給槽をN雰囲気下で保持する。
【0046】
活性触媒の0.25モル%(式[AlBrのモル/Brのモル]*100%=0.25モル%のAlBrを用いて計算した)溶液を作るために必要なAlBr触媒(市販)の量を秤量し、その後、窒素で浄化したグローブボックス内にある炉で乾燥させた試薬瓶に移した。活性触媒とは、臭素それ自体または臭素化反応に関与する任意の他の工程流の何れかにおいて、そうでなければ恐らく水分により不活性化されることになる、任意の追加量を超える触媒量を意味する。臭素(5〜10ppmの水分含有率)を、AlBrを包含する試薬瓶に注ぎ込み、その後、PTFEで被覆した磁性撹拌棒で30分にわたって撹拌し、触媒の均質な溶解を確実にした。その後、臭素溶液中における0.25モル%のAlBrを、大容量の実験室用天秤に設置された目盛り付き供給容器に移した。
【0047】
用いた陰イオン性連鎖移動スチレンテロマー(ACTST)を乾燥(5〜10ppmの水分の)DCM中で溶解させ、25重量%の溶液を作った。その後、溶液を目盛り付き供給容器に投入した。臭素中における0.25モル%のAlBr、およびDCM溶液中における25重量%のACTSTを、別個の蠕動ポンプを介して1/8インチ(3.2mm)の過汲み上げ供給線を通じて、十分に撹拌した未使用または再利用の無水DCMの末端に0℃から−10℃までにおいて共供給した。供給した2つの試薬の比率が、求電子的臭素化反応の過程の最中に一定または一定に近いままであるように、相対的な供給速度を絶えず監視する。
【0048】
臭素化設備の設定:
5Lの油外被付きフラスコ(臭素化反応器)に、頭上ガラス撹拌機の心棒、PTFE撹拌ヘラ、水冷凝縮器、サーモウェル、窒素注入口、および底排弁を装備した。反応器を硫酸カルシウムの水分捕捉を通じて十分に撹拌した苛性洗浄器に通気し、共生成物のHBrおよび同伴Brを吸収した。加えて、反応器に3つの注入線を取り付けた:1)BCMの反応器への初期供給用の、1/4インチ(6.4mm)の過汲み上げPTFEのBCM供給物(BCMは、未使用でも、前回の実行からのBCMの再利用末端でもよい)、2)1/8インチ(3.2mm)の過汲み上げ基体/BCMの表面下供給線、および3)1/8インチ(3.2mm)の過汲み上げBr/AlBrの表面下供給線。両方の注入線がそれらの内容物をごく接近して排出し、局部的に高い試薬濃度を引き起こすように、AlBr/BrおよびACTST/BCMの供給線を固定する。臭素化反応器を完全にアルミニウム箔で覆って光を遮断し、反応を暗い通気フード内で行った。
【0049】
臭素化反応器を、臭素化反応器の底排弁を急冷ポットに接続し、臭素化反応器の内容物の直接移動を可能にする、3/8インチ(9.5mm)の過汲み上げPTFE排出線を有する、6リットルの水急冷ポットの上方に設置した。急冷ポットに油外被を取り付け、頭上撹拌機構、サーモウェルを装備し、有機相および水相の緊密混合のために調節した。急冷ポットは窒素注入口を有し、当該ポットを苛性洗浄器に対して浄化した。急冷ポットは、ポットの内容物の中間にある5リットルの保存容器への移動を可能にする底排弁を有した。中間にある保存容器に配管し、その内容物を洗浄やかんに移した。洗浄やかんは、頭上撹拌機、熱電対、および底排弁を取り付けた、6リットルの油外被付きで調節した反応器であった。
【0050】
生成物の単離設定は、その中に生成物のスラリーが同時に起こるDCMの共沸除去に付随して供給される、水を包含する容器を提供する。この溶媒除去工程からの沈殿物を濾過または遠心分離により収集し、その後、乾燥のために炉を通過させる。
【0051】
実施例8(臭素化)
上記の5Lの臭素化反応器に、3320.23g(4.4リットル)の乾燥DCM(33ppmの水分、カール・フィッシャー)を投入した。DCMを暗所で−1℃に冷却し、(80.65%のC1516、17.7%のC2324、1.5%のC3132、および0.2%のC3940から成った)前もって調製した25重量%の溶液は200gの実施例7の凝縮物から成り、シリンダーの全内容物を蠕動絞りポンプを用いて臭素化反応器へ移すように設置された、1/8インチ(3.2mm)のPTFE供給線を取り付けた、乾燥した2,000mLのNで覆った目盛り付きシリンダーに、399.3gの乾燥DCMを投入した。前もって調製した臭素(1,600g)中におけるAlBr(0.25モル%)を、蠕動ポンプを介して1.5リットルの目盛り付きシリンダー内に移した。この供給容器をN雰囲気下で保持し、所望量の臭素溶液を蠕動絞りポンプを用いて臭素化反応器に移すように設置された、1/8インチ(3.2mm)のPTFE供給線を取り付けた。
【0052】
2つの供給物の全内容物を投入し、120分内に同時に完了するように、2つの試薬を所定の相対速度で共供給する。反応温度が−2℃に近いままであるように、操作を通して十分な冷却を提供した。供給の完了の際に、反応をさらに60分にわたって撹拌しておき、未反応の臭素を消費することを可能にするように徐々に15℃に温めた。底排弁および3/8インチ(9.5mm)の過汲み上げPTFE移動線を通じて、反応混合物を6Lの冷却ポットに移した(重力)。
【0053】
急冷ポットをあらかじめ1,000mLの水道水(25℃)で満たして400rpmで撹拌し、有機相および水相の緊密混合を確実にした。その急冷は発熱性であり、10℃の
温度上昇を観測した。撹拌速度を毎分20回転に落とし、有機スラリー相を沈降させた。赤い臭素/HBrの水相を徐々に分離し、最上層を形成した。下方の有機スラリー相を、1,000mLの10%NaOHを含有する5Lの保存容器に移した。
【0054】
その後、この二相系を6Lの洗浄やかんに移し、30分にわたって還流させた(39℃)。撹拌を中断し、底の有機層を反応器から切り離した。有機層を完全に空にしたやかんに戻し、10というpHを観測し、水洗の色が微かな黄色になるまで、1,000mLの水道水で2回洗浄した。その後、2重量%のNaOH中における0.5重量%の水素化ホウ素ナトリウムで、有機スラリーを36℃にて洗浄した。有機スラリーを分離し、終端時刻に1,000mLの水道水で洗浄した。
【0055】
スラリーを撹拌した槽に入れ、同時に起こるDCMの共沸蒸留とともに沈殿反応器(2グラムのNaBHを含有する10リットルの水道水、60℃)に重力を供給した。その供給の完了の際に、ポット温度を98℃に増加させ、20分にわたってその温度に保持した。結果として生じた灰白色の生成物を真空濾過により収集し、すすぎが9未満のpHを示すまで水道水ですすいだ。その生成物を窒素で浄化した炉内で、185℃にて一定重量の850gに乾燥させた。従って、得た生成物は表2に示される分析を有した。
【表2】

【0056】
本発明の難燃剤の使用
上述のように、本発明の臭素化テロマーの分布(下文において、度々「本発明の難燃剤」と呼ばれる)を、特に、熱可塑性重合体および熱硬化性重合体、ならびに、熱可塑性ポリウレタンエラストマーなどを含む、天然および合成のエラストマー等の高分子物質において、難燃剤として用いることができる。
【0057】
例解的な重合体は、オレフィン重合体、架橋重合体およびその他のもの(例えば、エチレン、プロピレン、およびブチレンの単独重合体)、このようなアルケン単量体のうち2
つ以上の共重合体、およびこのようなアルケン単量体と他の共重合可能な単量体のうち1つ以上の共重合体(例えば、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体とエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/アクリル酸塩共重合体とエチレン/酢酸ビニル共重合体)、オレフィン不飽和単量体の重合体(例えば、ポリスチレン、例を挙げると高衝撃ポリスチレン、およびスチレン共重合体、ポリウレタン類)、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリカーボネート類、ポリエーテル類、アクリル樹脂、ポリエステル類、特にポリ(テレフタル酸エチレン)とポリ(テレフタル酸ブチレン)、ポリ塩化ビニル、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)、エラストマー(例えば、ブタジエン/スチレン共重合体とブタジエン/アクリロニトリル共重合体)、アクリロニトリル、ブタジエン、およびスチレンの三元重合体、天然ゴム、ブチルゴムおよびポリシロキサン類である。適切な場合には、化学的手段または放射線照射により重合体を架橋することができる。ラテックス系裏面被覆材などの織物用途において、本発明の難燃剤を用いることもできる。
【0058】
調合物において用いられる本発明の難燃剤の量は、求められる難燃性を得るのに必要とされるような分量となることになる。一般的に、調合物および結果として生じる生成物は、少なくとも1つの本発明の難燃剤の形態でそれに導入される、約1重量%から約50重量%の臭素を含有する場合がある。好ましくは、この量は、少なくとも1つの本発明の難燃剤の形態で基体重合体に導入される、臭素の約5重量%から約30重量%の範囲内にある。重合体のマスターバッチは、追加量の気体重合体と混合される、1つ以上の本発明の難燃剤から形成される。マスターバッチにおいて用いられる本発明の難燃剤の量は、通常、50重量%から99重量%の範囲内にある。
【0059】
アンチモン系共力剤(例えば、Sb)等の1つ以上の適切な難燃性共力剤と組み合わせて、本発明の難燃剤を用いることは有利である。一般的に、約1:1から7:1、好ましくは約2:1から約4:1に及ぶ重量比で、本発明の難燃剤をアンチモン系共力剤とともに用いることになる。
【0060】
熱可塑性調合物において用いられるいくつかの従来の添加剤の何れかを、それらのそれぞれの従来量で、本発明の難燃剤とともに用いることができる。このような従来の添加剤の例としては、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、顔料、UV安定剤、滑剤、衝撃改質剤、および同様のものが挙げられる。
【0061】
本発明の難燃剤を基体重合体と混合するための様々な手段を用いることができる。このような手段の非限定的な例としては、溶融混合、粉体混合、および同様のものが挙げられる。
【0062】
熱可塑性重合体および本発明の難燃剤を含有する調合物から形成される熱可塑性物品を、従来的に、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、および同様のものにより製造することができる。吹込成形も特定の場合において適切であり得る。
【0063】
本発明のより具体的な実施形態のうち1つでは、典型的に6個から10個の範囲内の芳香族炭素原子を含有する、様々なスチレン単量体の単独重合体および/または共重合体を含む、様々なスチレン重合体において本発明の難燃剤を用いることができる。このような単量体の例は、スチレン、アルファ‐メチルスチレン、オルト−メチルスチレン、メタ−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、パラ−エチルスチレン、イソプロペニルトルエン、ビニルナフタレン、イソプロペニルナフタレン、ビニルビフェニル、ジメチルスチレン類、tert−ブチルスチレン、および類似単量体である。約72重量%から約81重量%までの範囲内にある臭素含有率を有する本発明の難燃剤は、難燃衝撃改質ポリスチレン類(例えば、HIPS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN)、および衝
撃改質スチレン−アクリロニトリル共重合体(例えば、ABS)における使用に特に良好に適している。
【0064】
本発明のより具体的な実施形態のうち別のものでは、約45から約72の範囲内にある臭素含有率を有する臭素化スチレンテロマーから成る本発明の難燃剤は、軟性ポリウレタン発泡体等のポリウレタン発泡体を形成する際の使用に適している。典型的に、本発明のこのようなテロマーおよび付加物は、重合の開始より前にポリウレタン調合物に導入される。典型的に、本発明のテロマーおよび付加物は、イソプロピル化リン酸トリフェニル類等の液体リン酸塩の難燃剤中にあらかじめ溶解される。当該技術で十分に知られているように、軟性ポリウレタン発泡体を調製するために用いられる調合物は、成分または原料として、少なくともイソシアン酸塩、ポリオール、界面活性剤、触媒、および吹込剤を含む。本発明の臭素化テロマーおよび付加物は、ポリウレタン類を調製するために用いられるこのような調合物とともに含められるべき難燃剤成分としての使用に適していると見なされる。触媒は、重合が起こるように、通常は調合物に最終原料として添加される。本発明の臭素化テロマーまたは臭素化付加物が、イソプロピル化リン酸トリフェニル等のアルキル化リン酸トリフェニルとともにポリウレタン調合物に導入される場合、結果として生じる軟性ポリウレタン発泡体は良好な焼け焦げ耐性を有することを特徴とする。アルキル化リン酸トリフェニル類ならびに他の既知の物質は、難燃性共力剤として機能することも知られている。
【0065】
本発明の難燃剤の使用により形成することができる特定の難燃組成物の中には、下記のものがある:
A)難燃量の本発明の臭素化難燃剤を含有するHIPS系調合物。このような調合物は主としてHIPSから成る場合があるか、あるいは、ポリフェニレンエーテル−HIPS混合体等の、HIPSの混合物である場合がある。これらは、本発明の臭素化難燃剤をHIPSまたはその混合物と混合することにより形成される難燃組成物である。
B)難燃量の本発明の臭素化難燃剤を含有するABS系調合物。このような調合物は主としてABSから成る場合があるか、あるいは、ポリカーボネート−ABS混合体等の、ABSの混合物である場合がある。これらは、本発明の臭素化難燃剤をABSまたはその混合物と混合することにより形成される難燃組成物である。
C)難燃量の本発明の臭素化難燃剤を含有するポリオレフィン系調合物。このようなポリオレフィン系調合物としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、および、それらとともに重合可能な他のオレフィン単量体を有するエチレンまたはプロピレンの共重合体が挙げられる。これらは、本発明の臭素化難燃剤をポリオレフィンの単独重合体または共重合体と混合することにより形成される難燃組成物である。
D)難燃量の本発明の臭素化難燃剤を含有する工学熱可塑性物質系調合物。これらは、本発明の臭素化難燃剤を工学熱可塑性重合体またはその混合体と混合することにより形成される難燃組成物である。
E)工学熱可塑性物質が熱可塑性ポリエステルである、D)にあるような調合物。これらは、本発明の臭素化難燃剤を熱可塑性ポリエステルまたはその混合体と混合することにより形成される難燃組成物である。
F)工学熱可塑性物質が熱可塑性ポリアミドである、D)にあるような調合物。これらは、本発明の臭素化難燃剤をポリアミド熱可塑性物質またはその混合体と混合することにより形成される難燃組成物である。
G)難燃量が調合物の総重量に基づいて約1重量%から約95重量%までの範囲内にある、A)〜F)の何れかにあるような調合物。
H)調合物が共力量の難燃性共力剤を追加的に含有する、A)〜F)の何れかにあるような調合物。
I)その中に難燃量の本発明の臭素化難燃剤が含まれている熱硬化性樹脂を含む、難燃熱硬化性樹脂組成物。
J)前記熱硬化性樹脂がノボラック樹脂である、I)にあるような組成物。
【0066】
分析手段
既知の分析法を用いるか、あるいは、本発明の組成物および調合物の特性を評価する際の使用に適合させることができる。
【0067】
GPC重量%のテロマー分布
島津(Shimadzu)製自動試料採取装置(SIL‐9型)、島津(Shimadzu)製屈折率検出器(RID‐6A型)、水HPLCポンプ(510型)、および水TCMカラム加熱器を有するモジュラシステムを用いて、GPCによりGPC面積%の値を得た。用いたカラムは、ポリマー・ラブス(Polymer Labs)(ヴァリアン(Varian))製オリゴポア(Oligopore)カラム、300mm×7.5mm、部品番号:1113‐6520であった。用いた溶媒は、テトラヒドロフラン、HPLC等級であった。用いた試験手順は、10mLのTHF中におけるおよそ0.10gの試料を溶解させることを必要とした。この溶液のある分割量を濾過し、50μLをカラム上に注入する。単離した1,3−ジフェニルプロパンおよび1,3,5−トリフェニルペンタンの付加物、および分離の形態に基づくのは大きさ排除であり、1,3−ジフェニルプロパン、1,3,5−トリフェニルペンタン、1,3,5,7−テトラフェニルヘプタン、1,3,5,7,9−ペンタフェニルノナンなどのように、その溶出の順序に従って最大点を同定する。その後、数量体物質の個々の最大点を理論分子量の値に割り当てる。これらの理論値およびそれらの対応する保持時間を用いて、較正曲線を作図する。この較正に基づいて、全体の分布データを計算および報告する。ヴィスコテック・オムニセック(Viscotek Omnisec)、4.2.0.237版のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)データ収集および処理システムにより計算を行った。
【0068】
総臭素含有率(燃焼)
本発明のテロマーから生成される臭素化生成物の臭素含有率を、典型的に燃焼法の使用により決定する。この方法の手順は下記の通りである。
【0069】
0.04〜0.08gの臭素化テロマーの試料を、5箇所分析天秤上で1/4枚のシワのある黒い濾紙の上にて、0.00001gの精度で秤量する。試料を白金の試料保持器内に配置した濾紙の内部に折り畳む。15mLの苛性亜ヒ酸塩溶液および3滴の濃縮NHOHを添加することにより、燃焼フラスコを準備する。少なくとも2分にわたって、酸素でフラスコを徹底的に洗い流す。白金の試料保持器を燃焼フラスコの頂部に入れ、その後、当該フラスコを少なくともさらに1分にわたって洗い流す。フラスコが反転される際に気密であるように、フラスコに栓をしかつ固定する。シリコーン潤滑油を用い、接合面全体の周りに連続封止を形成する。試料を包含する反転した燃焼フラスコを、トーマス・オッグ酸素フラスコの赤外線点火装置に入れる。試料に点火し、残留物を固体KOHで塩基性にした脱イオン化水に溶解させ、煮沸によりさらに温浸する。溶液を濃縮し、冷却し、硫酸で酸性化する。その後、自動滴定装置上にある銀の滴定電極を用いて、0.1Nから0.01NまでのAgNOで標準化した溶液で臭素を滴定する。臭素化テロマーの臭素(重量%)を以下の等式により与える:
Br(重量%)=(S−B)(N)(7.9904)
グラムでの試料重量
式中:
S=試料を滴定するのに必要なAgNOのミリリットル数
B=空白物を滴定するのに必要なAgNOのミリリットル数
N=AgNOの規定度
【0070】
黄色さ指数のハンター色差計
本発明のテロマーから形成される臭素化生成物の色特性を評価するために、ASTM D 1925に記載されている分析手順を採用した。
【0071】
熱重量分析
熱重量分析(TGA)も用い、本発明のテロマーから形成される難燃剤組成物の熱的挙動を試験する。ティー・エイ・インスツルメンツ(TA Instruments)製熱重量分析器の使用によりTGA値を得る。25℃から約600℃まで10℃/分で、50〜60mL/分の窒素流とともに、Pt蒸発皿上で各試料を加熱する。
【0072】
熱安定性試験(熱的に不安定な臭素試験)
本発明ノテロマーの臭素化により生成される臭素化難燃剤の熱安定性を決定するためのこの試験手順は、本質的に米国特許第5,637,650号に記載されている通りの手順である。この試験を行う際に、各試料を繰り返して処理する。2.00g±0.01gの試料を、新しく清潔な20mm×150mmの試験管に入れる。ネオプレン栓およびViton(登録商標)のフルオロエラストマー管系を用いて、それぞれ200mLの0.1NのNaOHおよび5滴のフェノールフタレインを含有する3つの250mLの枝付き濾過フラスコ内において、表面下気体分散フリットを通じて試験管からの出口気体を連続的に通している状態で、試験管を窒素浄化線に接続する。0.5SCFHでの一定の窒素浄化とともに、300℃で溶融塩浴(51.3%のKNO/48.7%のNaNO)内にて15分にわたり、その後大気温度で5分にわたり、試験管を加熱する。その後、試料を含有する試験管を清潔で乾燥した試験管と取り換え、空の試験管が300℃の塩浴内にある状態で、装置を窒素でさらに10分にわたって浄化する。試験管、管系、および気体分散管を全て脱イオン水ですすぎ、そのすすぎ液を3つの収集フラスコ内の溶液と定量的に混合する。混合した溶液を1:1のHNOで酸性化し、自動電位差滴定装置(メトローム(Metrohm)670、716、736、または均等物)を用いて0.01NのAgNOで滴定する。下記の等式に従って結果をppmとして計算する:
HBr=(終点までのAgNO(mL))・(AgNOの規定度)・(80912)/(試料重量)
【0073】
次の分析の前に、管系を窒素で徹底的に乾燥する。第1の試料の前に毎日、3つの空で清潔な試験管を空白物として処理し、残余のハロゲン化水素が系内に全くないことを確実にする。
【0074】

ティー・エイ・インスツルメンツ(TA Instruments)製DSC型2920を用いて、DSCによりT値を得た。10℃/分の速度において窒素下で試料を400℃に加熱した。ガラスからゴムへの転移において、重合体の比熱の変化を記録することによりTを決定する。これは二次吸熱転移である(転移を経るために熱を必要とする)。DSCでは、遷移は段階遷移として現れ、恐らく融解転移とともに見られる場合があるような最大点としては現れない。重合体科学工学の原理、技術者および化学者のための入門書、アルフレッド・ルディン、アカデミックプレス、フロリダ州オーランドー、1982年、403ページ(The Elements of Polymer Science and Engineering, An introductory Text for Engineers and Chemist, Alfred Rudin, Academic Press, Orlando FL, 1982, pg 403)を参照されたい。
【0075】
本出願の本明細書または請求項内のどこでも、化学名または化学式により言及される成分は、単数形で言及されるか複数形で言及されるかにかかわらず、化学名または化学型により言及される別の物質(例えば、別の成分、溶媒、または他のもの)と接触するより前に存在すると見なされる。どのような化学変化、化学変換、および/または化学反応が結果として生じる混合物または溶液の中で起こるかは、たとえあるとしても、このような変
化、変換、および/または反応が本開示に準じて要求される条件の下で特定の成分をまとめることの当然の結果であるため、重要でない。従って、その成分は、所望の操作を行うことに関連して、または所望の組成物を形成する際に、まとめられることになる原料と見なされる。同様に、たとえ下文の請求項が物質、成分、および/または原料を現在時制(「〜を含む」、「〜である」など)で言及する場合があるとしても、その言及は、本開示に従って1つ以上の他の物質、成分、および/または原料と最初に接触、混合、または混和された直前の時間に存在した際には、その物質、成分、および/または原料に対するものである。従って、物質、成分、または原料が、本開示および化学者の通常の技術に従って行われる場合に、接触操作、混合操作、または混和操作の過程で化学反応または化学変換を通じてその最初の同一性を失った場合があるという事実は、実際の懸念を全く有しない。
【0076】
本明細書の任意の部分で言及されているありとあらゆる特許または刊行物は、本明細書で完全に説明されているかのように、全体として本開示に参照により組み込まれる。
【0077】
明確に他に示され得る時を除いて、本明細書で用いられる場合および時の冠詞「一」または「一つ」は、請求項をその冠詞が言及する単一の要素に限定することを目的とせず、かつ当該限定を行うものと解釈されるべきでない。そうではなく、本明細書で用いられる場合および時の冠詞「一」または「一つ」は、文脈に取り入れられている文章が明白に他に示さない限り、1つ以上のこのような要素を含めることを目的とする。
【0078】
本発明は、本明細書で列挙されている物質および/または手順を含み、それらから成り、あるいは本質的にそれらから成る。
【0079】
本発明は、その実施において多数の変化を受け入れる余地がある。従って、前述の記載は、本発明を上文に提示されている特定の例示に限定することを目的とせず、かつ当該限定を行うものと解釈されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)化学式Ph−CH[−CHCH(Ph)]−CHCH−Phの分子の分布であって、
式中、各Phはフェニル基であり、前記分布中の各分子に関して、「n」は0から6までの範囲内にある整数であり、そこで、
(i)前記分子の少なくとも約46GPC面積%が0に等しい「n」値を有し、
(ii)前記分子の約1GPC面積%から約26GPC面積%までが1に等しい「n」値を有し、
(iii)前記分子の0GPC面積%から約14GPC面積%までが2に等しい「n」値を有する、分布と、
(b)化学式Ph−CH[−CHCH(Ph)]−CHCH−Phの分子の分布であって、
式中、各Phはフェニル基であり、式中、前記分布中の各分子に関して、「n」は0から6までの範囲内にある整数であり、そこで、前記分布は、前記分布中の前記分子の多数が0という「n」値を有し、前記分布中の前記分子の49GPC面積%を超えない少数が1、2、3、4、5、または6という「n」値を有することを特徴とし、そこで、前記GPC面積%が、「n」が1に等しい場合>「n」が2に等しい場合>「n」が3に等しい場合>「n」が4に等しい場合>「n」が5に等しい場合>「n」が6に等しい場合という順序で少なくなっていく、分布と、
(c)化学式Ph−CH[−CHCH(Ph)]−CHCH−Phの分子の非重合体および非数量体の分布であって、
式中、各Phはフェニル基であり、かつ、前記分布中の各分子に関して、「n」は0から6までの範囲内にある整数であり、そこで、前記分布は1から6までの「n」値を有する分子を含む、分布と、
のうち1つ以上から成るテロマー分布。
【請求項2】
前記分布が、「n」=0を有する分子に対する約46GPC面積%から約76GPC面積%までの含有量と、「n」=1を有する分子に対する約16GPC面積%から約26GPC面積%までの含有量と、「n」=2を有する分子に対する約1GPC面積%から約14GPC面積%までの含有量とを有することを特徴とする、請求項1に記載のテロマー分布。
【請求項3】
前記分布が、
(i)0に等しい「n」値を有する、約76GPC面積%から約95GPC面積%までの前記分子と、
(ii)1に等しい「n」値を有する、約17GPC面積%から約5GPC面積%までの前記分子と、
(iii)2に等しい「n」値を有する、約5GPC面積%から0GPC面積%までの前記分子と、
を有することを特徴とする、請求項1に記載のテロマー分布。
【請求項4】
前記分布が、
(i)0に等しい「n」値を有する、約95GPC面積%から約99GPC面積%までの前記分子と、
(ii)1に等しい「n」値を有する、約5GPC面積%から約1GPC面積%までの前記分子と、
を有することを特徴とする、請求項1に記載のテロマー分布。
【請求項5】
下記のもの:
(a)化学式Ph−CH[−CHCH(Ph)]−CHCH−Phの分子の分布であって、
式中、各Phは1個から5個の臭素原子を有する臭素化フェニル基であり、前記分布中の各分子に関して、「n」は0から6までの範囲内にある整数であり、そこで、
(i)前記分子の少なくとも約46GPC面積%が0に等しい「n」値を有し、
(ii)前記分子の約1GPC面積%から約26GPC面積%までが1に等しい「n」値を有し、
(iii)前記分子の0GPC面積%から約14GPC面積%までが2に等しい「n」値を有する、分布と、
(b)化学式Ph−CH[−CHCH(Ph)]−CHCH−Phの分子の分布であって、
式中、各Phは1個から5個の臭素原子を有する臭素化フェニル基であり、前記分布中の各分子に関して、「n」は0から6までの範囲内にある整数であり、そこで、前記分布は、前記分布中の前記分子の多数が0という「n」値を有し、前記分布中の前記分子の49GPC面積%を超えない少数が1、2、3、4、5、または6という「n」値を有することを特徴とし、そこで、前記GPC面積%が、「n」が1に等しい場合>「n」が2に等しい場合>「n」が3に等しい場合>「n」が4に等しい場合>「n」が5に等しい場合>「n」が6に等しい場合という順序で少なくなっていく、分布と、
(c)化学式Ph−CH[−CHCH(Ph)]−CHCH−Phの分子の非重合体および非数量体の分布であって、
式中、各Phは2個から5個の臭素原子を有する臭素化フェニル基であり、式中、前記分布中の各分子に関して、「n」は0から6までの範囲内にある整数であり、そこで、前記分布は1から6までの「n」値を有する分子を含む、分布と、
のうち1つ以上を特徴とする、臭素化テロマー分布。
【請求項6】
約77重量%から約81重量%の範囲内にある臭素含有率の臭素を有する、請求項5に記載の臭素化テロマー分布。
【請求項7】
約72重量%から約77重量%の範囲内にある臭素含有率の臭素を有する、請求項5に記載の臭素化テロマー分布。
【請求項8】
約45重量%から約72重量%の範囲内にある臭素含有率の臭素を有する、請求項5に記載の臭素化テロマー分布。
【請求項9】
300℃で1,000ppm未満、280℃で300ppm未満の熱HBr含有率を有する、請求項5〜8の何れかに記載の臭素化テロマー分布。
【請求項10】
320℃以上の温度で起こる5重量%のTGA重量損失を有する、請求項5〜9の何れかに記載の臭素化テロマー分布。
【請求項11】
10未満のハンター色YIを有する、請求項5〜10の何れかに記載の臭素化テロマー分布。
【請求項12】
135℃から215℃までの範囲内にあるTを有する、請求項5〜11の何れかに記載の臭素化テロマー分布。
【請求項13】
約160℃から約310℃までの範囲内に存在する示差走査熱量測定法の融点の最小限度を有する、請求項5〜11の何れかに記載の臭素化テロマー分布。
【請求項14】
・約77重量%から約81重量%の範囲内にある臭素含有率と、
・300℃における1,000ppm未満の熱HBr含有率と、
・320℃以上で起こる5重量%のTGA重量損失と、
・10未満のハンター色YIと、
・170℃から215℃までの範囲内、および/または、約225℃から約310℃までの範囲内に存在する示差走査熱量測定法の融点の最小限度にあるTと、
を有する、請求項5に記載の臭素化テロマー分布。
【請求項15】
難燃量の請求項5〜14の何れかに記載の組成物を含有する、難燃HIPS系重合体組成物。
【請求項16】
難燃量の請求項5〜14の何れかに記載の組成物を含有する、難燃ABS系重合体組成物。
【請求項17】
その中に難燃量の請求項5、8、または9に記載の組成物が含まれている熱硬化性樹脂を含む、難燃熱硬化性樹脂組成物。
【請求項18】
前記熱硬化性樹脂がノボラック樹脂である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記難燃量が、前記組成物の総重量に基づいて約1重量%から約95重量%までの範囲内にある、請求項15〜17の何れかに記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が共力量の難燃性共力剤を追加的に含有する、請求項15〜16の何れかに記載の組成物。
【請求項21】
前記難燃性共力剤がアンチモン含有共力剤である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記共力剤の量が、前記組成物の総重量に基づいて約1重量%から約12重量%までの範囲内にある、請求項20〜21の何れかに記載の組成物。
【請求項23】
その調合物が、難燃剤として、請求項5、8、または9に記載の組成物を含有することを特徴とする、ポリウレタンの調製のための調合物。
【請求項24】
少なくとも1つの難燃性共力剤をさらに含む、請求項23に記載の調合物。
【請求項25】
前記共力剤がアルキル化リン酸トリフェニルである、請求項23に記載の調合物。

【公表番号】特表2012−510538(P2012−510538A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538715(P2011−538715)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/066121
【国際公開番号】WO2010/065462
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】