説明

トルクセンサ

【課題】高温でもコレクタが離脱されることなく、堅固に固定できるように構造が改善されたトルクセンサを提供する。
【解決手段】トルクセンサは、ハウジング1、ハウジング1の内部空間部に設けられるステータ、ステータの内部に配置され、回転軸と共に回転するマグネット、ハウジングの内部に固設され、マグネットの回転によって磁化信号を出力する第1磁気素子が設けられる印刷回路基板、ハウジングに突出形成される少なくとも一つ以上の固定ボス2、及び、固定ボス2と対応する位置に貫通形成される複数個の通孔12を有し、マグネットの磁気フラックスをガイドして磁場を集中するコレクタ11、を含み、固定ボス2は、通孔11を通過した後、熱融着され、コレクタ11をハウジング1の内面に密着固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車の操向の安全性を保障するための装置として別途の動力で補助する操向装置が用いられる。従来には、このような補助操向装置として油圧を用いる装置を使用したが、最近は、動力の損失が少なくて正確性に優れた電動式操向装置(Electronic Power Steering System}が用いられる。
【0003】
上記のような電動式操向装置(EPS)は、車速センサ、アングルセンサ及びトルクセンサなどで感知した運行条件に応じて、電子制御装置(Electronic Control Unit)でモータを駆動して、旋回安全性を保障し、迅速な復元力を提供することによって、運転手にとって安全な走行を可能にする。
【0004】
ところが、このような動力装置がステアリングホイールを操作する力に介入するためには、操向軸にかかるトルクや操向角だけでなく、操向角速度を測定する必要性がある。一般に、操向軸の回転角度を測定するためにはアングルセンサを用い、操向トルクを測定するためにはトルクセンサを用いるが、最近は、トルクと回転角度を一つのセンサで感知できるトルクアングルセンサ(TAS)が多く用いられる。しかしながら、このような操向角や操向角速度を検出するトルクアングルセンサは、製造工程が複雑で、故障や誤作動の確率が高いため、インデックスセンサ(Index Sensor)方式のトルクインデックスセンサ(Torque Index Sensor:TIS)が用いられることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第2011−0041468号
【0006】
トルクセンサの一般的な構成は、2011年4月21日に公開された特許文献1に記載されている。前術した先行技術では、第1軸に作用するトルクを測定するためのトルクセンサを含むセンサ装置として、規定された回転角及び/又は規定された回転角範囲に対して第1軸の角位置を検出及び/又は確認できるように構成される回転角インデックスユニットを備えるセンサ装置の一例が開示されている。
【0007】
ところが、このようなトルクセンサには、マグネットの磁気フラックス(flux)を集中させるための部品としてコレクタ(collector)が設けられる。このコレクタはハウジングに固定されるが、もしコレクタとハウジングとの間の結合が緩むと、コレクタとステータとの間の距離が不均一になり、センサの測定値に誤差が発生できる。特に、電動式操向装置(EPS)に適用されるトルクセンサの場合、常温に比べて相対的に高温である80ないし125℃で動作するため、両面テープや、接着剤などを用いてコレクタを固定することが不可能である。よって、高温でも信頼性が保障されるコレクタの固定構造の必要性が提起されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような点を勘案して案出したものであって、高温でもコレクタが離脱されることなく、堅固に固定できるように構造が改善されたトルクセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるトルクセンサは、ハウジング、ハウジングの内部空間部に設けられるステータ、ステータの内部に配置され、回転軸と共に回転するマグネット、ハウジングの内部に固設され、マグネットの回転によって磁化信号を出力する第1磁気素子が設けられる印刷回路基板、ハウジングに突出形成される少なくとも一つ以上の固定ボス、及び、固定ボスと対応する位置に貫通形成される複数個の通孔を有し、マグネットの磁気フラックスをガイドして磁場を集中するコレクタ(collector)、を含み、固定ボスは、通孔を通過した後、熱融着され、コレクタをハウジングの内面に密着固定することを特徴とする。
【0010】
本発明の好ましい一実施例によれば、コレクタは、少なくとも一つ以上の通孔を備えることが好ましい。
【0011】
また、コレクタは、第1磁気素子を中心に2個が一対となって、ハウジングの内部に上下対称に設けられるのがよい。
【0012】
また、コレクタは、一側端が第1磁気素子と接触されるように設けられるのがよい。
【0013】
印刷回路基板は、回転軸に設けられるインデックスマグネットを感知する第2磁気素子、をさらに含むこともできる。
【0014】
一方、通孔は、コレクタの重心を通る仮想の線を基準に一対が互いに対称になるように形成され、コレクタが結合されるハウジングの面接触部分に形成されるのがよい。
【0015】
本発明は、ハウジングの内側に突出形成された固定用ボスがコレクタに形成された通孔を通過した後、熱融着されるため、トルクセンサが長期間高温状態で動作しても、コレクタが離脱することなく、堅固に固定することができ、製品の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の好ましい一実施例によるトルクセンサの主要構成部の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明によるトルクセンサについて、図面を参考しながら説明する。
図1は、本発明の好ましい一実施例によるトルクセンサの主要構成部の一例を示す斜視図、図2は、図1の平面図、及び、図3は、図2の要部拡大図である。
【0018】
本発明の好ましい一実施例によるトルクセンサは、ハウジング1、ステータ10、マグネット20、印刷回路基板30を含み、ハウジング1には、少なくとも一つ以上の固定ボス2が突出形成され、ステータ10には、固定ボス2が貫通結合する通孔12を有するコレクタ11が設けられる。
【0019】
ハウジング1はトルクセンサの外郭を構成するものであって、樹脂材質で形成するのがよいが、これに限定するわけではなく、必要に応じて金属材質のように耐磨耗性の良い材質を用いることもよい。このように構成されたハウジング1は、図示しないステアリングホイールの回転軸上に装着することができるものであって、回転軸の回転に障害を発生しないながらも回転有無にかかわらず固定できるように配置される。
【0020】
ハウジング1の内側面には、図2に示したように、複数個の固定ボス2が突出形成される。固定ボス2は少なくとも2個以上設けられ、好ましくは、図示したように、中央に1個と、両端に対称に2個が突出形成される。
【0021】
ステータ10は櫛歯(tooth)状に設けられ、一端にマグネット20の磁場を効果的に集めるようにコレクタ11が設けられる。
【0022】
コレクタ11は、図1に示したように、ステータ10の上側及び下側に対称になるように配置され、マグネット20の磁気フラックスをガイドして、磁場を集中させる役割を果たす。また、コレクタ11には、固定ボス2と対応する位置に貫通形成される複数個の通孔12が形成される。
【0023】
本発明の好ましい一実施例によれば、通孔12は2個設けられるが、ハウジング1と面接触する位置に複数個が形成されるのがよく、コレクタ11の中心を基準に左右対称になるのがよい。
【0024】
したがって、固定ボス2は、通孔12を通過した後、図3に示したように、熱融着され、ねじ頭状のヘッド2aを形成することができる。ヘッド2aは、コレクタ11をハウジング1の内面側に加圧して、コレクタ11をハウジング1に密着固定することができる。つまり、通孔12を通過した固定ボス2をホットプレスすると、樹脂材質で形成される固定ボス2は平たく押しつぶされヘッド2aを形成し、コレクタ11と密着される。ヘッド2aは、コレクタ11をハウジング1の内側面に加圧して面接触状態で固定する。
【0025】
マグネット20はリング状に設けられ、ステータ10の内壁面に取り付けられ、ステアリングホイールの回転軸(図示せず)の回転に連動して回転する。
【0026】
印刷回路基板30には、マグネット30の磁気力を感知して、ステアリングホイールの回転に連動して回転する回転軸のトルクシグナルを感知する第1磁気素子31が設けられる。第1磁気素子31は、一般に、一対のリニアホール素子(Linear Hall IC)を使用する。印刷回路基板30は、図1に示したように、トルクセンサの一番外側部分に配置されるのがよい。
【0027】
一方、必要な場合、図示しないの回転軸の回転シグナルが入力できるインデックスマグネット40が、図1に示したように、さらに備えられてもよい。インデックスマグネット40は、回転軸に設けられるマグネットホルダーに設けられ、回転軸の回転によって位置変更される。
【0028】
また、印刷回路基板30には、インデックスマグネット40の磁場を感知する第2磁気素子32が設けられてもよい。第2磁気素子32は、インデックスマグネット40の回転をパルス信号で感知し、回転軸の操向角の計算のためにインデックスパルスシグナルを出力する。一般に、第2磁気素子32はホールスイッチとして設けられ、インデックスパルスシグナルを出力する。
【0029】
このような本発明によると、コレクタ11をハウジング1に固定結合するために、ハウジング1に一体に設けられた固定ボス2をコレクタ11に貫通形成された通孔12を通過させた後に、熱融着するため、高温状態で長期間使用しても、コレクタ11が常にハウジング1に密着された状態で固定できる。すると、コレクタ11とマグネット20と常に一定の距離を維持することができ、センサ測定値の信頼性を向上させることができる。
【0030】
また、通孔12を通過した固定ボス2を熱融着して、図3に示したように、平たく押しつぶしてヘッド2aを形成すると、ヘッド2aとコレクタ11との間の接触面積だけの圧力でコレクタ11をハウジング1側に加圧することができるため、より堅固に結合が維持されることが可能である。
【0031】
上記で説明し、図面に示した本発明の実施例は、本発明の技術的思想を限定するものと解釈されてはならない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲に記載の事項のみによって制限され、本発明の技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的思想を多様な形態に改良変更することが可能である。したがって、このような改良及び変更は通常の知識を有する者にとって自明なものである限り、本発明の保護範囲に属するものと認めるべきである。
【符号の説明】
【0032】
1 ハウジング
2 固定ボス
10 ステータ
11 コレクタ
12 通孔
20 マグネット
30 印刷回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの内部空間部に設けられるステータと、
前記ステータの内部に配置され、回転軸と共に回転するマグネットと、
前記ハウジングの内部に固設され、前記マグネットの回転によって磁化信号を出力する第1磁気素子が設けられる印刷回路基板と、
前記ハウジングに突出形成される少なくとも一つ以上の固定ボスと、
前記固定ボスと対応する位置に貫通形成される複数個の通孔を有し、前記マグネットの磁気フラックスをガイドして磁場を集中するコレクタと、を含み、
前記固定ボスは、前記通孔を通過した後、熱融着され、前記コレクタを前記ハウジングの内面に密着固定することを特徴とするトルクセンサ。
【請求項2】
前記コレクタは、少なくとも一つ以上の通孔を有する、請求項1に記載のトルクセンサ。
【請求項3】
前記コレクタは、前記第1磁気素子を中心に2個が一対となって、前記ハウジングの内部に上下対称に設けられる、請求項1に記載のトルクセンサ。
【請求項4】
前記コレクタは、一側端が前記第1磁気素子と接触されるように設けられる、請求項1に記載のトルクセンサ。
【請求項5】
前記印刷回路基板は、前記回転軸に設けられるインデックスマグネットを感知する第2磁気素子、をさらに含む、請求項1に記載のトルクセンサ。
【請求項6】
前記通孔は、前記コレクタの重心を通る仮想の線を基準に一対が互いに対称になるように形成される、請求項2に記載のトルクセンサ。
【請求項7】
前記通孔は、前記コレクタが結合されるハウジングの面接触部分に形成される、請求項2に記載のトルクセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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