トレイを備えたディスク装置
【課題】トレイの急激な傾きを抑え、安定した状態で移動できるトレイを備えたディスク装置を提供する。
【解決手段】トレイ2をディスク再生位置からディスク着脱位置へと移動させる際、トレイ2の重心位置Sがフレーム10の前壁部10Cまで達すると、トレイ2が最も不安定となるが、その位置で案内レール13の後端部上面に傾動緩和リブ17を接触させることにより、トレイ2が急激に傾斜することなく移動する。
【解決手段】トレイ2をディスク再生位置からディスク着脱位置へと移動させる際、トレイ2の重心位置Sがフレーム10の前壁部10Cまで達すると、トレイ2が最も不安定となるが、その位置で案内レール13の後端部上面に傾動緩和リブ17を接触させることにより、トレイ2が急激に傾斜することなく移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク状の記憶媒体(以下、単にディスクと称す)をディスク着脱位置とディスク再生位置との間で往復動自在に案内し、ディスク再生位置においてディスクの記録或いは再生を行うディスク装置に関し、特に、ディスク再生位置からトレイが搬出移動する際に生じる前記トレイの急激な傾きを抑えることが可能なディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からディスクの記録或いは再生を行うディスク装置は、据え置きのDVDプレーヤやCDプレーヤ等に限られず、テレビジョン受像機本体にも内蔵されるなど、その適用は広範囲に及んでいる。このようなディスク装置は、ディスクを載置するトレイと、該トレイを移動自在に支持する樹脂製のフレームと、前記ディスクの記憶面にレーザー光を照射して該ディスクの再生或いは記憶面へ記録するピックアップユニットとを主要構成部材として備えている。そして、ディスクの記録或いは再生を行う際には、トレイをフレーム外側のディスク着脱位置まで移動させて該トレイ上にディスクを載置した後、該トレイをディスク再生位置まで移動させる。前記トレイが前記ディスク再生位置まで移動すると、該トレイに載置したディスクの略中央部分の開口部にターンテーブルの先端部分を嵌合させて該トレイからディスクを浮上させ、浮上したディスクをターンテーブルとクランパとで挟着し、前記ターンテーブルに取着するモータの回転駆動力によって該ディスクを回転させ、ピックアップユニットによって該ディスクに情報を書き込み記録する、或いは該ディスクに記録された情報を読み出して再生する。
【0003】
ところで、前記ディスク再生位置から前記ディスク着脱位置へと搬出移動するトレイがフレームから突出する前記トレイの一部とフレーム内の前記トレイの他部との間に該トレイの重心が位置するときからさらに該トレイが突出すれば、前記フレームから突出するトレイの自重によって該トレイが急激に傾くこととなり、ディスク装置の品位を著しく低下させる要因となっていた。このため、例えば特許文献1では、トレイの下面両側縁に形成した各ガイド溝をフレームに形成するガイド部材に嵌合させることにより、トレイをディスク着脱位置からディスク再生位置へと往復動自在に案内するとともに、移動時におけるトレイの浮き上がりを防止するための複数の防止片がフレームの左右側壁内面に突設されている。また、この特許文献1で示すディスク装置は、フレームの左右側壁間に一体形成した合成樹脂製天板の一側部にスリットを形成することにより、トレイの一側縁上面に弾性的に接触させる略L字状押さえ片を形成することによって、移動時におけるトレイの急激な傾きを防止するとともに、フレームに略U字状の円弧面を形成し、該円弧面をトレイのガイド溝に弾性的に接触させてトレイの横方向におけるガタツキを抑えるようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−259336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1で示すディスク装置は、天板に形成する押さえ片をトレイの上面部に弾性的に接触させて上下方向におけるトレイの傾きを抑え、かつ、フレームに形成するU字状の円弧面をトレイのガイド溝に弾性的に接触させて左右方向におけるトレイのガタツキを抑制するように構成しているため、トレイの移動時において、トレイには常に押さえ片及び円弧面による押圧力が加わり、これら押さえ片及び円弧面とトレイとの過度の接触によって擦れて異音や磨耗粉などが発生する虞れがある。また、これらの押さえ片及び円弧面の成形加工も複雑となり、コストの上昇を招く、という課題を有していた。
【0006】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、簡単かつ安価な構造でトレイの急激な傾きを効果的に抑えることができるとともに、トレイの移動時において、異音や磨耗粉などの発生を抑制することが可能なトレイを備えたディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1のトレイを備えたディスク装置は、ディスク状の記憶媒体を載置するトレイと、このトレイを支持するフレームと、前記トレイをディスク着脱位置とディスク再生位置との間で往復動自在に案内する案内手段とを備えたディスク装置であって、前記フレームに、該フレームから前記トレイが搬出移動するときに生じる該トレイの急激な傾きを抑える傾動緩和手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項1の構成により、フレームからトレイが突出したディスク着脱位置において、トレイにディスクをセットする、又はトレイからディスクを取り出す。そして、ディスクの記録或いは再生を行う場合、駆動機構によってトレイをフレームの内側に移動させることによって、トレイ上に載置されたディスクがフレームの内側に完全に収納される。この状態にある位置がディスク再生位置であり、トレイ上のディスクがディスク再生位置まで移動すると、ターンテーブルが上昇し、ターンテーブルとクランパとでディスクを挟み付けた状態からモータの回転駆動力によるターンテーブルの回転によってディスクが回転すると同時にピックアップユニットからレーザー光が照射され、前記ピックアップユニットが前記ディスクの半径方向に移動してディスクに対する記録或いは再生処理が実行される。また、従来であれば、駆動機構によってディスク再生位置からディスク着脱位置へとトレイが搬出移動する際において、フレームから突出するトレイの重量が前記フレーム内にあるトレイの重量よりも大きくなる位置で前記トレイが急激に傾くこととなるが、本発明であれば、トレイは傾動緩和手段によって急激な傾きを抑えた状態で搬出される。
【0009】
請求項2のトレイを備えたディスク装置は、請求項1記載のトレイを備えたディスク装置において、前記フレームは、前記トレイを案内する水平面部と、この水平面部の左右両側に一体形成する側壁部とを有し、前記案内手段は、前記トレイの両側縁下面に形成された案内レールと、前記水平面部から突設して前記案内レールの凹溝と係合する係合突部とで構成されるとともに、前記フレームの側壁部内側には前記案内レールの上面と当接して前記トレイの浮き上がりを押える複数のガイドリブを一体形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2の構成により、駆動機構によってトレイを移動する際、フレームの水平面部から突設する係合突起とトレイの案内レールに形成する凹溝とが係合し、トレイは係合突起に沿ってディスク着脱位置からディスク再生位置或いはディスク再生位置からディスク着脱位置へと移動する。この時、フレームの側壁部内側に形成する複数のガイドリブが案内レールの上面と当接し、ガイドリブによってトレイの浮き上がりが抑制される。
【0011】
請求項3のトレイを備えたディスク装置は、請求項1又は2記載のトレイを備えたディスク装置において、前記傾動緩和手段は、少なくとも前記フレームから突出するトレイの一部と前記フレーム内のトレイの他部との間に前記トレイの重心が位置するときにおいて前記トレイの後部上面と当接するように設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の構成により、フレームから突出するトレイの一部とフレーム内のトレイの他部との間に前記トレイの重心が位置するときに、トレイの後部上面と傾動緩和手段とが当接する。
【0013】
請求項4のトレイを備えたディスク装置は、請求項3記載のトレイを備えたディスク装置において、前記傾動緩和手段が前記ガイドリブの間に位置して前記側壁部の内面に一体形成された傾動緩和リブによって構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4の構成により、トレイはフレームから突出するトレイの一部とフレーム内のトレイの他部との間に前記トレイの重心が位置するときにおいて、トレイの後部上面と傾動緩和リブとが当接してトレイが急激に傾斜するように変動するのを抑えることができる。また、傾動緩和リブはトレイの浮き上がりを抑えるガイドリブとしての機能も果たす。
【0015】
請求項5のトレイを備えたディスク装置は、請求項4記載のトレイを備えたディスク装置において、少なくとも前記トレイと接触する前記傾動緩和リブの下面には、ディスク着脱位置からディスク再生位置へと向かうトレイ受け入れ側端部から該トレイの挿入方向に向かって次第に低い傾斜面又は曲面で構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5の構成により、トレイをディスク着脱位置からディスク再生位置へと移動する際、トレイの案内レールの後端縁が傾動緩和リブの傾斜面又は曲面によって円滑に案内され、案内レールが傾動緩和リブへと確実に誘い込まれる。
【0017】
請求項6のトレイを備えたディスク装置は、請求項5記載のトレイを備えたディスク装置において、案内レールの後端部に下向きの傾斜面又は曲面を形成したことを特徴とする。
【0018】
請求項6の構成により、トレイをディスク着脱位置からディスク再生位置へと移動する際、トレイの案内レールは、案内レールの後端縁と傾動緩和リブとに形成する傾斜面によって円滑に案内され、案内レールが傾動緩和リブへと確実に誘い込まれる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1のトレイを備えたディスク装置によれば、ディスク状の記憶媒体を載置するトレイと、このトレイを支持するフレームと、前記トレイをディスク着脱位置とディスク再生位置との間で往復動自在に案内する案内手段とを備えたディスク装置であって、前記フレームに、該フレームから前記トレイが搬出移動するときに生じる該トレイの急激な傾きを抑える傾動緩和手段を設けたものであるから、ディスク再生位置からディスク着脱位置へとトレイを搬出移動するときにおいて、傾動緩和手段によってフレームから突出するトレイの重量が前記フレーム内にあるトレイの重量よりも大きくなる位置で前記トレイが急激に傾くことなく、品位を損なうことのない安定したトレイの搬出動作を実現することができる。
【0020】
請求項2のトレイを備えたディスク装置によれば、請求項1記載のトレイを備えたディスク装置において、前記フレームは、前記トレイを案内する水平面部と、この水平面部の左右両側に一体形成する側壁部とを有し、前記案内手段は、前記トレイの両側縁下面に形成された案内レールと、前記水平面部から突設して前記案内レールの凹溝と係合する係合突部とで構成されるとともに、前記フレームの側壁部内側には前記案内レールの上面と当接して前記トレイの浮き上がりを抑える複数のガイドリブを一体形成したものであるから、トレイをディスク着脱位置からディスク再生位置或いはディスク再生位置からディスク着脱位置へと移動させる際、フレームの側壁部内側に形成する複数のガイドリブによってトレイが浮き上がることなく、安定した状態で移動することができる。
【0021】
請求項3のトレイを備えたディスク装置によれば、請求項1又は2記載のトレイを備えたディスク装置において、前記傾動緩和手段は、少なくとも前記フレームから突出するトレイの一部と前記フレーム内のトレイの他部との間に前記トレイの重心が位置するときにおいて前記トレイの後部上面と当接するように設けられているものであるから、トレイが移動する際に最も不安定となるフレームから突出するトレイの一部とフレーム内のトレイの他部との間に前記トレイの重心が位置するときにおいて、前記トレイが急激に傾斜することなく、安定した状態で移動することができる。
【0022】
請求項4のトレイを備えたディスク装置によれば、請求項3記載のトレイを備えたディスク装置において、前記傾動緩和手段が前記ガイドリブの間に位置して前記側壁部の内面に一体形成された傾動緩和リブによって構成されているから、トレイが移動する際に最も不安定となるフレームから突出するトレイの一部とフレーム内のトレイの他部との間に前記トレイの重心が位置するときにおいて、トレイの後部上面と傾動緩和リブとを当接させることによってトレイが急激に傾斜することなく、安定した状態で移動することができるとともに、傾動緩和リブをトレイの浮き上がりを抑えるガイドリブとして機能させることもできるから、フレームの成形加工も容易である。
【0023】
請求項5のトレイを備えたディスク装置によれば、請求項4記載のトレイを備えたディスク装置において、少なくとも前記トレイと接触する前記傾動緩和リブの下面には、ディスク着脱位置からディスク再生位置へと向かうトレイ受け入れ側端部から該トレイの挿入方向に向かって次第に低い傾斜面又は曲面で構成されているから、トレイの案内レールを傾動緩和リブへと確実に誘い込むことができるとともに、案内レールと傾動緩和リブとの接触面積も小さいから、案内レールと傾動緩和リブとの接触時に擦れによる異音や磨耗粉などが発生することも抑制することができる。
【0024】
請求項6のトレイを備えたディスク装置によれば、請求項5記載のトレイを備えたディスク装置において、案内レールの後端部に下向きの傾斜面又は曲面を形成したから、トレイの案内レールを傾動緩和リブへとより確実に誘い込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の具体的実施例について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施態様は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するためのものではない。
【0026】
図1乃至図11は本発明の一実施例を示すものであり、図1は本発明の一実施例を示すディスク装置の斜視図、図2はフレーム単体を示す斜視図、図3はフレーム単体を示す平面図、図4はフレーム単体を示す断面図、図5はトレイ単体を示す斜視図、図6はトレイ単体を示す平面図及び背面図、図7は蓋体を取り外した状態を示すディスク装置の斜視図、図8はディスク再生位置における蓋体を取り外した状態のディスク装置の平面図、図9はトレイの移動状態を示す蓋体を取り外したディスク装置の平面図、図10はディスク着脱位置における蓋体を取り外した状態のディスク装置の平面図、図11はトレイとフレームとの位置関係を示す断面図である。
【0027】
同図に示すように、本実施例のディスク装置1は、図示しないディスクを搬入/搬出するトレイ2と、前記ディスクを回転駆動するターンテーブル4及びディスクの半径方向へ進退可能に設けたピックアップユニット5などから成るトラバースユニット6を主要構成部品とし、これらの主要構成部品を組み付ける合成樹脂製のフレーム10で構成している。
【0028】
前記フレーム10は、水平面部10Aと、この水平面部10Aの左右両側に一体形成する側壁部10Bと、水平面部10Aの前後に一体形成する前壁部10C及び後壁部10Dとで構成された有底箱型に形成され、その上面開口部は蓋体11で密閉される。前記トラバースユニット6は前記水平面部10Aのほぼ中央部に取り付けられ、前記トラバースユニット6に取り付けられるターンテーブル4と対向して前記フレーム10の上面開口部を覆う前記蓋体11にクランパ4Aが固定され、このクランパ4Aとターンテーブル4とでディスクを挟持して前記ディスクを回転駆動する。
【0029】
前記トレイ2は前記フレーム10の水平面部10Aに支持されて水平方向に往復動するものであり、前記トレイ2の両側縁下面に凹溝12を備えた左右一対の案内レール13を形成し、この案内レール13の凹溝12に係合する複数の係合突部14を前記水平面部10Aの両側に形成する段差部15に形成している。すなわち、案内レール13と係合突部14とで前記トレイ2を案内する案内手段を構成し、トレイ2は、案内レール13の凹溝12と嵌合する係合突部14に沿ってディスク着脱位置とディスク再生位置との間を往復動する。また、前記フレーム10の側壁部10Bには、トレイ2の浮き上がりを押えるために案内レール13の上面と当接する複数のガイドリブ16が側方に向かって突設されている。このガイドリブ16は、図4に示すようトレイ2の前端寄りに二つのガイドリブ16がそれぞれ並設されるとともにトレイ2の後端寄りに一つのガイドリブ16が一体形成され、さらに、これら三つのガイドリブ16と並んでフレーム10の側壁部10Bのほぼ中央部にトレイ2の急激な傾きを抑える傾動緩和手段として傾動緩和リブ17が一体形成されている。これらガイドリブ16と傾動緩和リブ17は、前記トレイ2の案内レール13がフレーム10の係合突部14に沿って移動する際、案内レール13の上面に当接するように、それぞれ水平方向に間隔をおいて並設されている。すなわち、トレイ2は、フレーム10に形成されるガイドリブ16と傾動緩和リブ17によって浮き上がりが抑制される。
【0030】
前記傾動緩和リブ17は、前記トレイ2の移動時において、フレーム10から突出するトレイ2の一部と前記フレーム10内のトレイ2の他部との間に前記トレイ2の重心がある位置、すなわち、図11(b)で示すように、トレイ2の重心位置Sがフレーム10の前壁部10Cまで達した位置において、前記案内レール13の後端部上面と接触するようにフレーム10の内面に形成されている。また、前記案内レール13と接触するガイドリブ16と傾動緩和リブ17の下面には、前記トレイ2がディスク着脱位置からディスク再生位置へと移動する際、案内レール13の後端縁を誘い込むように案内レール13の受け入れ側となるガイドリブ16及び傾動緩和リブ17の前端側からトレイ2の挿入方向に向かって次第に低くなる傾斜面16A、17Aがそれぞれ形成され、さらに、案内レール13の後端部にも下向きの傾斜面13Aが形成されている。
【0031】
また、前記トレイ2は射出成形などにより成形され、全体として平板状に成形されている。このトレイ2の上面には、図5に示されるように、段付きのほぼ円形の凹部2A,2Bが形成してあり、1段目の凹部2Aには、例えば12センチCDなどのディスクが載置でき、2段目の凹部2Bには、例えば8センチCDなどのディスクが載置できる。また、トレイ2には、フレーム10内に収納されるときに、ターンテーブル4やピックアップユニット5などと機械的に干渉しないように、開口窓部20が形成されている。
【0032】
以上のように構成されるディスク装置1は、前記トレイ2が図示しないトレイ駆動機構によってフレーム10の内側から前記フレーム10の外側に移動すると、トレイ2の上面に形成する凹部2A,2Bが完全にフレーム10の外側へと露出した状態で図示しないストッパ機構によってトレイ2の駆動が停止し、凹部2A又は凹部2Bへのディスクの載置、或いは凹部2A又は凹部2Bに載置されたディスクの取り出しが可能となり、この位置がディスク着脱位置となる(図11(c)参照)。そして、ディスク着脱位置においてトレイ2の凹部2A又は凹部2Bにディスクを載置し、トレイ駆動機構によって前記トレイ2が載置されたディスクと共にトレイ2がフレーム10の内側へと完全に収納される。この状態では、ディスクの略中央部分の開口部とターンテーブル4及びクランパ4Aとが一致し、この状態にある位置がディスク再生位置(図11(a)参照)となり、トラバースユニット6が上昇して該トラバースユニット6に取り付けたターンテーブル4とクランパとでディスクを挟み付けた状態でモータの回転駆動力によるターンテーブル4の回転によってディスクが回転し、同時にピックアップユニット5からレーザー光が照射され、前記ピックアップユニット5がディスクの半径方向に移動してディスクに対する記録或いは再生処理が実行される。
【0033】
また、前記トレイ2は、ディスク着脱位置からディスク再生位置或いはディスク再生位置からディスク着脱位置へと移動する際、案内レール13の凹溝12と嵌合する係合突部14に沿ってディスク着脱位置とディスク再生位置との間を往復動する。この時、トレイ2の移動に際し、案内レール13の上面にはフレーム10の側壁部10Bに一体形成する複数のガイドリブ16と傾動緩和リブ17が接触することから、これらガイドリブ16と傾動緩和リブ17によってトレイ2の浮き上がりが抑制され、安定した状態で案内される。
【0034】
そして、トレイ2がディスク再生位置からディスク着脱位置へと移動する際、フレーム10から突出するトレイ2の一部と前記フレーム10内のトレイ2の他部との間に前記トレイ2の重心がある位置、すなわち、図11(b)で示すように、トレイ2の重心位置Sがフレーム10の前壁部10Cまで達した位置において、トレイ2の案内レール13の後端部上面に傾動緩和リブ17が接触する。これにより、フレーム10から突出するトレイ2の急激な傾きを傾動緩和リブ17によって抑えることができ、トレイ2は安定した状態で移動する。そして、図11(c)に示すように、最終的にはトレイ2がディスク着脱位置への移動を完了し、凹部2Aまたは2Bへのディスクの載置或いはディスクの交換が可能となる。また、トレイ2の後端寄りはフレーム10の前端側に形成する二つのガイドリブ16によって支持され、ユーザーが外側へと突出したトレイ2を故意に上下方向へと動かした際の外れを防止することができる。
【0035】
一方、案内レール13と接触するガイドリブ16と傾動緩和リブ17の下面には、前記案内レール13を誘い込むように傾斜した傾斜面16A、17Aをそれぞれ形成しており、さらに、前記案内レール13の後端部には下向きの傾斜面13Aを形成しているから、トレイ2がディスク着脱位置からディスク再生位置へと移動する際においては、前記トレイ2の案内レール13の後端縁が傾斜面13A、16A、17Aによって円滑に案内され、ガイドリブ16と傾動緩和リブ17へと確実に誘い込まれ、最終的に前記トレイ2はフレーム10の内側に収まるディスク再生位置への移動が完了する。そして、ディスク再生位置にあるトレイ2は前後及び中間部がガイドリブ16と傾動緩和リブ17で支持される。また、トレイ2の案内レール13がガイドリブ16と傾動緩和リブ17と接触している状態においては、傾斜面16A、17Aによって案内レール13とガイドリブ16及び傾動緩和リブ17との接触面積も小さいから、案内レール13とガイドリブ16及び傾動緩和リブ17との接触時に擦れて異音や磨耗粉などが発生することも抑制することができる。
【0036】
以上のように、本実施例におけるディスク装置1は、トレイ2を前進又は後退させる際、案内レール13の上面にフレーム10の側壁部10Bに一体形成する複数のガイドリブ16と傾動緩和リブ17を接触させることによって、トレイ2の浮き上がりを抑制することができるとともに、トレイ2の移動時において、フレーム10から突出するトレイ2の一部と前記フレーム10内のトレイ2の他部との間に前記トレイの重心がある位置、すなわち、トレイ2の重心Sがフレーム10の前壁部10Cまで達した位置において、トレイ2の案内レール13の後端部上面に傾動緩和リブ17が接触することから、フレーム10から突出するトレイ2の自重によって前記トレイ2が急激に傾くことなく、品位の向上が可能な安定したトレイ2の移動動作を実現することができる。また、案内レール13と接触するガイドリブ16と傾動緩和リブ17の下面にそれぞれ傾斜面16A、17Aを形成するとともに、案内レール13の後端部にも下向き傾斜面13Aを形成することにより、案内レール13がガイドリブ16及び傾動緩和リブ17に円滑に案内され、案内レール13を確実に誘い込むことができる。さらに、傾斜面16A、17Aによって案内レール13とガイドリブ16及び傾動緩和リブ17との接触面積を小さく抑えることができ、案内レール13とガイドリブ16及び傾動緩和リブ17との接触時において異音や磨耗粉などの発生も抑制することができる。
【0037】
また、トレイ2がフレーム10から最も突出したディスク着脱位置においては、トレイ2の凹部2A又は凹部2Bにディスクをセットしたり、凹部2A又は凹部2Bからディスクを抜き取ることから、ユーザーがトレイ2に触れて前記トレイ2が上側または下側に傾斜する危険性が最も高いが、ディスク着脱位置にあるトレイ2の後端寄りをフレーム10の前端側に形成する二つのガイドリブ16で支持することによって、トレイ2を極めて安定した状態で保持できる。また、トレイ2の搬送時における急激な傾きを抑える傾動緩和リブ17は、移動時におけるフレーム10の浮き上がりを押えるガイドリブとして機能するからフレーム10の成形加工も容易である。
【0038】
以上、本発明の一実施例を詳述したが、本発明は前記実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、案内レール13を誘い込むためのガイドリブ16及び傾動緩和リブ17や案内レール13の後端部に平坦的な傾斜面13A、16A、17Aを形成した例を示したが、曲面状に形成してもよく、ガイドリブ16や傾動緩和リブ17の形状あるいは数などは適宜選定すればよい。また、ディスク装置1の基本的構造なども前記実施例に限定されるものでなく、適宜選定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例を示すディスク装置の斜視図である。
【図2】同上、フレーム単体を示す斜視図である。
【図3】同上、フレーム単体を示す平面図である。
【図4】同上、フレーム単体を示す断面図である。
【図5】同上、トレイ単体を示す斜視図である。
【図6】同上、トレイ単体を示し、図6(a)は平面図、図6(b)は背面図である。
【図7】同上、蓋体を取り外した状態を示すディスク装置の斜視図である。
【図8】同上、ディスク再生位置における蓋体を取り外した状態のディスク装置の平面図である。
【図9】同上、トレイの移動状態を示す蓋体を取り外したディスク装置の平面図である。
【図10】同上、ディスク着脱位置における蓋体を取り外した状態のディスク装置の平面図である。
【図11】同上、トレイの移動状態を示す断面図であり、図11(a)はディスク再生位置、図11(b)トレイ後端部と傾動緩和リブとが接触した状態、図11(c)はディスク着脱位置を示している。
【符号の説明】
【0040】
1 ディスク装置
2 トレイ
10 フレーム
10A 水平面部
10B 側壁部
12 凹溝
13 案内レール(案内手段)
14 係合突部(案内手段)
15 段差部
16 ガイドリブ
16A,17A,13A 傾斜面
17 傾動緩和リブ(傾動緩和手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク状の記憶媒体(以下、単にディスクと称す)をディスク着脱位置とディスク再生位置との間で往復動自在に案内し、ディスク再生位置においてディスクの記録或いは再生を行うディスク装置に関し、特に、ディスク再生位置からトレイが搬出移動する際に生じる前記トレイの急激な傾きを抑えることが可能なディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からディスクの記録或いは再生を行うディスク装置は、据え置きのDVDプレーヤやCDプレーヤ等に限られず、テレビジョン受像機本体にも内蔵されるなど、その適用は広範囲に及んでいる。このようなディスク装置は、ディスクを載置するトレイと、該トレイを移動自在に支持する樹脂製のフレームと、前記ディスクの記憶面にレーザー光を照射して該ディスクの再生或いは記憶面へ記録するピックアップユニットとを主要構成部材として備えている。そして、ディスクの記録或いは再生を行う際には、トレイをフレーム外側のディスク着脱位置まで移動させて該トレイ上にディスクを載置した後、該トレイをディスク再生位置まで移動させる。前記トレイが前記ディスク再生位置まで移動すると、該トレイに載置したディスクの略中央部分の開口部にターンテーブルの先端部分を嵌合させて該トレイからディスクを浮上させ、浮上したディスクをターンテーブルとクランパとで挟着し、前記ターンテーブルに取着するモータの回転駆動力によって該ディスクを回転させ、ピックアップユニットによって該ディスクに情報を書き込み記録する、或いは該ディスクに記録された情報を読み出して再生する。
【0003】
ところで、前記ディスク再生位置から前記ディスク着脱位置へと搬出移動するトレイがフレームから突出する前記トレイの一部とフレーム内の前記トレイの他部との間に該トレイの重心が位置するときからさらに該トレイが突出すれば、前記フレームから突出するトレイの自重によって該トレイが急激に傾くこととなり、ディスク装置の品位を著しく低下させる要因となっていた。このため、例えば特許文献1では、トレイの下面両側縁に形成した各ガイド溝をフレームに形成するガイド部材に嵌合させることにより、トレイをディスク着脱位置からディスク再生位置へと往復動自在に案内するとともに、移動時におけるトレイの浮き上がりを防止するための複数の防止片がフレームの左右側壁内面に突設されている。また、この特許文献1で示すディスク装置は、フレームの左右側壁間に一体形成した合成樹脂製天板の一側部にスリットを形成することにより、トレイの一側縁上面に弾性的に接触させる略L字状押さえ片を形成することによって、移動時におけるトレイの急激な傾きを防止するとともに、フレームに略U字状の円弧面を形成し、該円弧面をトレイのガイド溝に弾性的に接触させてトレイの横方向におけるガタツキを抑えるようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−259336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1で示すディスク装置は、天板に形成する押さえ片をトレイの上面部に弾性的に接触させて上下方向におけるトレイの傾きを抑え、かつ、フレームに形成するU字状の円弧面をトレイのガイド溝に弾性的に接触させて左右方向におけるトレイのガタツキを抑制するように構成しているため、トレイの移動時において、トレイには常に押さえ片及び円弧面による押圧力が加わり、これら押さえ片及び円弧面とトレイとの過度の接触によって擦れて異音や磨耗粉などが発生する虞れがある。また、これらの押さえ片及び円弧面の成形加工も複雑となり、コストの上昇を招く、という課題を有していた。
【0006】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、簡単かつ安価な構造でトレイの急激な傾きを効果的に抑えることができるとともに、トレイの移動時において、異音や磨耗粉などの発生を抑制することが可能なトレイを備えたディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1のトレイを備えたディスク装置は、ディスク状の記憶媒体を載置するトレイと、このトレイを支持するフレームと、前記トレイをディスク着脱位置とディスク再生位置との間で往復動自在に案内する案内手段とを備えたディスク装置であって、前記フレームに、該フレームから前記トレイが搬出移動するときに生じる該トレイの急激な傾きを抑える傾動緩和手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項1の構成により、フレームからトレイが突出したディスク着脱位置において、トレイにディスクをセットする、又はトレイからディスクを取り出す。そして、ディスクの記録或いは再生を行う場合、駆動機構によってトレイをフレームの内側に移動させることによって、トレイ上に載置されたディスクがフレームの内側に完全に収納される。この状態にある位置がディスク再生位置であり、トレイ上のディスクがディスク再生位置まで移動すると、ターンテーブルが上昇し、ターンテーブルとクランパとでディスクを挟み付けた状態からモータの回転駆動力によるターンテーブルの回転によってディスクが回転すると同時にピックアップユニットからレーザー光が照射され、前記ピックアップユニットが前記ディスクの半径方向に移動してディスクに対する記録或いは再生処理が実行される。また、従来であれば、駆動機構によってディスク再生位置からディスク着脱位置へとトレイが搬出移動する際において、フレームから突出するトレイの重量が前記フレーム内にあるトレイの重量よりも大きくなる位置で前記トレイが急激に傾くこととなるが、本発明であれば、トレイは傾動緩和手段によって急激な傾きを抑えた状態で搬出される。
【0009】
請求項2のトレイを備えたディスク装置は、請求項1記載のトレイを備えたディスク装置において、前記フレームは、前記トレイを案内する水平面部と、この水平面部の左右両側に一体形成する側壁部とを有し、前記案内手段は、前記トレイの両側縁下面に形成された案内レールと、前記水平面部から突設して前記案内レールの凹溝と係合する係合突部とで構成されるとともに、前記フレームの側壁部内側には前記案内レールの上面と当接して前記トレイの浮き上がりを押える複数のガイドリブを一体形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2の構成により、駆動機構によってトレイを移動する際、フレームの水平面部から突設する係合突起とトレイの案内レールに形成する凹溝とが係合し、トレイは係合突起に沿ってディスク着脱位置からディスク再生位置或いはディスク再生位置からディスク着脱位置へと移動する。この時、フレームの側壁部内側に形成する複数のガイドリブが案内レールの上面と当接し、ガイドリブによってトレイの浮き上がりが抑制される。
【0011】
請求項3のトレイを備えたディスク装置は、請求項1又は2記載のトレイを備えたディスク装置において、前記傾動緩和手段は、少なくとも前記フレームから突出するトレイの一部と前記フレーム内のトレイの他部との間に前記トレイの重心が位置するときにおいて前記トレイの後部上面と当接するように設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の構成により、フレームから突出するトレイの一部とフレーム内のトレイの他部との間に前記トレイの重心が位置するときに、トレイの後部上面と傾動緩和手段とが当接する。
【0013】
請求項4のトレイを備えたディスク装置は、請求項3記載のトレイを備えたディスク装置において、前記傾動緩和手段が前記ガイドリブの間に位置して前記側壁部の内面に一体形成された傾動緩和リブによって構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4の構成により、トレイはフレームから突出するトレイの一部とフレーム内のトレイの他部との間に前記トレイの重心が位置するときにおいて、トレイの後部上面と傾動緩和リブとが当接してトレイが急激に傾斜するように変動するのを抑えることができる。また、傾動緩和リブはトレイの浮き上がりを抑えるガイドリブとしての機能も果たす。
【0015】
請求項5のトレイを備えたディスク装置は、請求項4記載のトレイを備えたディスク装置において、少なくとも前記トレイと接触する前記傾動緩和リブの下面には、ディスク着脱位置からディスク再生位置へと向かうトレイ受け入れ側端部から該トレイの挿入方向に向かって次第に低い傾斜面又は曲面で構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項5の構成により、トレイをディスク着脱位置からディスク再生位置へと移動する際、トレイの案内レールの後端縁が傾動緩和リブの傾斜面又は曲面によって円滑に案内され、案内レールが傾動緩和リブへと確実に誘い込まれる。
【0017】
請求項6のトレイを備えたディスク装置は、請求項5記載のトレイを備えたディスク装置において、案内レールの後端部に下向きの傾斜面又は曲面を形成したことを特徴とする。
【0018】
請求項6の構成により、トレイをディスク着脱位置からディスク再生位置へと移動する際、トレイの案内レールは、案内レールの後端縁と傾動緩和リブとに形成する傾斜面によって円滑に案内され、案内レールが傾動緩和リブへと確実に誘い込まれる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1のトレイを備えたディスク装置によれば、ディスク状の記憶媒体を載置するトレイと、このトレイを支持するフレームと、前記トレイをディスク着脱位置とディスク再生位置との間で往復動自在に案内する案内手段とを備えたディスク装置であって、前記フレームに、該フレームから前記トレイが搬出移動するときに生じる該トレイの急激な傾きを抑える傾動緩和手段を設けたものであるから、ディスク再生位置からディスク着脱位置へとトレイを搬出移動するときにおいて、傾動緩和手段によってフレームから突出するトレイの重量が前記フレーム内にあるトレイの重量よりも大きくなる位置で前記トレイが急激に傾くことなく、品位を損なうことのない安定したトレイの搬出動作を実現することができる。
【0020】
請求項2のトレイを備えたディスク装置によれば、請求項1記載のトレイを備えたディスク装置において、前記フレームは、前記トレイを案内する水平面部と、この水平面部の左右両側に一体形成する側壁部とを有し、前記案内手段は、前記トレイの両側縁下面に形成された案内レールと、前記水平面部から突設して前記案内レールの凹溝と係合する係合突部とで構成されるとともに、前記フレームの側壁部内側には前記案内レールの上面と当接して前記トレイの浮き上がりを抑える複数のガイドリブを一体形成したものであるから、トレイをディスク着脱位置からディスク再生位置或いはディスク再生位置からディスク着脱位置へと移動させる際、フレームの側壁部内側に形成する複数のガイドリブによってトレイが浮き上がることなく、安定した状態で移動することができる。
【0021】
請求項3のトレイを備えたディスク装置によれば、請求項1又は2記載のトレイを備えたディスク装置において、前記傾動緩和手段は、少なくとも前記フレームから突出するトレイの一部と前記フレーム内のトレイの他部との間に前記トレイの重心が位置するときにおいて前記トレイの後部上面と当接するように設けられているものであるから、トレイが移動する際に最も不安定となるフレームから突出するトレイの一部とフレーム内のトレイの他部との間に前記トレイの重心が位置するときにおいて、前記トレイが急激に傾斜することなく、安定した状態で移動することができる。
【0022】
請求項4のトレイを備えたディスク装置によれば、請求項3記載のトレイを備えたディスク装置において、前記傾動緩和手段が前記ガイドリブの間に位置して前記側壁部の内面に一体形成された傾動緩和リブによって構成されているから、トレイが移動する際に最も不安定となるフレームから突出するトレイの一部とフレーム内のトレイの他部との間に前記トレイの重心が位置するときにおいて、トレイの後部上面と傾動緩和リブとを当接させることによってトレイが急激に傾斜することなく、安定した状態で移動することができるとともに、傾動緩和リブをトレイの浮き上がりを抑えるガイドリブとして機能させることもできるから、フレームの成形加工も容易である。
【0023】
請求項5のトレイを備えたディスク装置によれば、請求項4記載のトレイを備えたディスク装置において、少なくとも前記トレイと接触する前記傾動緩和リブの下面には、ディスク着脱位置からディスク再生位置へと向かうトレイ受け入れ側端部から該トレイの挿入方向に向かって次第に低い傾斜面又は曲面で構成されているから、トレイの案内レールを傾動緩和リブへと確実に誘い込むことができるとともに、案内レールと傾動緩和リブとの接触面積も小さいから、案内レールと傾動緩和リブとの接触時に擦れによる異音や磨耗粉などが発生することも抑制することができる。
【0024】
請求項6のトレイを備えたディスク装置によれば、請求項5記載のトレイを備えたディスク装置において、案内レールの後端部に下向きの傾斜面又は曲面を形成したから、トレイの案内レールを傾動緩和リブへとより確実に誘い込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の具体的実施例について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施態様は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するためのものではない。
【0026】
図1乃至図11は本発明の一実施例を示すものであり、図1は本発明の一実施例を示すディスク装置の斜視図、図2はフレーム単体を示す斜視図、図3はフレーム単体を示す平面図、図4はフレーム単体を示す断面図、図5はトレイ単体を示す斜視図、図6はトレイ単体を示す平面図及び背面図、図7は蓋体を取り外した状態を示すディスク装置の斜視図、図8はディスク再生位置における蓋体を取り外した状態のディスク装置の平面図、図9はトレイの移動状態を示す蓋体を取り外したディスク装置の平面図、図10はディスク着脱位置における蓋体を取り外した状態のディスク装置の平面図、図11はトレイとフレームとの位置関係を示す断面図である。
【0027】
同図に示すように、本実施例のディスク装置1は、図示しないディスクを搬入/搬出するトレイ2と、前記ディスクを回転駆動するターンテーブル4及びディスクの半径方向へ進退可能に設けたピックアップユニット5などから成るトラバースユニット6を主要構成部品とし、これらの主要構成部品を組み付ける合成樹脂製のフレーム10で構成している。
【0028】
前記フレーム10は、水平面部10Aと、この水平面部10Aの左右両側に一体形成する側壁部10Bと、水平面部10Aの前後に一体形成する前壁部10C及び後壁部10Dとで構成された有底箱型に形成され、その上面開口部は蓋体11で密閉される。前記トラバースユニット6は前記水平面部10Aのほぼ中央部に取り付けられ、前記トラバースユニット6に取り付けられるターンテーブル4と対向して前記フレーム10の上面開口部を覆う前記蓋体11にクランパ4Aが固定され、このクランパ4Aとターンテーブル4とでディスクを挟持して前記ディスクを回転駆動する。
【0029】
前記トレイ2は前記フレーム10の水平面部10Aに支持されて水平方向に往復動するものであり、前記トレイ2の両側縁下面に凹溝12を備えた左右一対の案内レール13を形成し、この案内レール13の凹溝12に係合する複数の係合突部14を前記水平面部10Aの両側に形成する段差部15に形成している。すなわち、案内レール13と係合突部14とで前記トレイ2を案内する案内手段を構成し、トレイ2は、案内レール13の凹溝12と嵌合する係合突部14に沿ってディスク着脱位置とディスク再生位置との間を往復動する。また、前記フレーム10の側壁部10Bには、トレイ2の浮き上がりを押えるために案内レール13の上面と当接する複数のガイドリブ16が側方に向かって突設されている。このガイドリブ16は、図4に示すようトレイ2の前端寄りに二つのガイドリブ16がそれぞれ並設されるとともにトレイ2の後端寄りに一つのガイドリブ16が一体形成され、さらに、これら三つのガイドリブ16と並んでフレーム10の側壁部10Bのほぼ中央部にトレイ2の急激な傾きを抑える傾動緩和手段として傾動緩和リブ17が一体形成されている。これらガイドリブ16と傾動緩和リブ17は、前記トレイ2の案内レール13がフレーム10の係合突部14に沿って移動する際、案内レール13の上面に当接するように、それぞれ水平方向に間隔をおいて並設されている。すなわち、トレイ2は、フレーム10に形成されるガイドリブ16と傾動緩和リブ17によって浮き上がりが抑制される。
【0030】
前記傾動緩和リブ17は、前記トレイ2の移動時において、フレーム10から突出するトレイ2の一部と前記フレーム10内のトレイ2の他部との間に前記トレイ2の重心がある位置、すなわち、図11(b)で示すように、トレイ2の重心位置Sがフレーム10の前壁部10Cまで達した位置において、前記案内レール13の後端部上面と接触するようにフレーム10の内面に形成されている。また、前記案内レール13と接触するガイドリブ16と傾動緩和リブ17の下面には、前記トレイ2がディスク着脱位置からディスク再生位置へと移動する際、案内レール13の後端縁を誘い込むように案内レール13の受け入れ側となるガイドリブ16及び傾動緩和リブ17の前端側からトレイ2の挿入方向に向かって次第に低くなる傾斜面16A、17Aがそれぞれ形成され、さらに、案内レール13の後端部にも下向きの傾斜面13Aが形成されている。
【0031】
また、前記トレイ2は射出成形などにより成形され、全体として平板状に成形されている。このトレイ2の上面には、図5に示されるように、段付きのほぼ円形の凹部2A,2Bが形成してあり、1段目の凹部2Aには、例えば12センチCDなどのディスクが載置でき、2段目の凹部2Bには、例えば8センチCDなどのディスクが載置できる。また、トレイ2には、フレーム10内に収納されるときに、ターンテーブル4やピックアップユニット5などと機械的に干渉しないように、開口窓部20が形成されている。
【0032】
以上のように構成されるディスク装置1は、前記トレイ2が図示しないトレイ駆動機構によってフレーム10の内側から前記フレーム10の外側に移動すると、トレイ2の上面に形成する凹部2A,2Bが完全にフレーム10の外側へと露出した状態で図示しないストッパ機構によってトレイ2の駆動が停止し、凹部2A又は凹部2Bへのディスクの載置、或いは凹部2A又は凹部2Bに載置されたディスクの取り出しが可能となり、この位置がディスク着脱位置となる(図11(c)参照)。そして、ディスク着脱位置においてトレイ2の凹部2A又は凹部2Bにディスクを載置し、トレイ駆動機構によって前記トレイ2が載置されたディスクと共にトレイ2がフレーム10の内側へと完全に収納される。この状態では、ディスクの略中央部分の開口部とターンテーブル4及びクランパ4Aとが一致し、この状態にある位置がディスク再生位置(図11(a)参照)となり、トラバースユニット6が上昇して該トラバースユニット6に取り付けたターンテーブル4とクランパとでディスクを挟み付けた状態でモータの回転駆動力によるターンテーブル4の回転によってディスクが回転し、同時にピックアップユニット5からレーザー光が照射され、前記ピックアップユニット5がディスクの半径方向に移動してディスクに対する記録或いは再生処理が実行される。
【0033】
また、前記トレイ2は、ディスク着脱位置からディスク再生位置或いはディスク再生位置からディスク着脱位置へと移動する際、案内レール13の凹溝12と嵌合する係合突部14に沿ってディスク着脱位置とディスク再生位置との間を往復動する。この時、トレイ2の移動に際し、案内レール13の上面にはフレーム10の側壁部10Bに一体形成する複数のガイドリブ16と傾動緩和リブ17が接触することから、これらガイドリブ16と傾動緩和リブ17によってトレイ2の浮き上がりが抑制され、安定した状態で案内される。
【0034】
そして、トレイ2がディスク再生位置からディスク着脱位置へと移動する際、フレーム10から突出するトレイ2の一部と前記フレーム10内のトレイ2の他部との間に前記トレイ2の重心がある位置、すなわち、図11(b)で示すように、トレイ2の重心位置Sがフレーム10の前壁部10Cまで達した位置において、トレイ2の案内レール13の後端部上面に傾動緩和リブ17が接触する。これにより、フレーム10から突出するトレイ2の急激な傾きを傾動緩和リブ17によって抑えることができ、トレイ2は安定した状態で移動する。そして、図11(c)に示すように、最終的にはトレイ2がディスク着脱位置への移動を完了し、凹部2Aまたは2Bへのディスクの載置或いはディスクの交換が可能となる。また、トレイ2の後端寄りはフレーム10の前端側に形成する二つのガイドリブ16によって支持され、ユーザーが外側へと突出したトレイ2を故意に上下方向へと動かした際の外れを防止することができる。
【0035】
一方、案内レール13と接触するガイドリブ16と傾動緩和リブ17の下面には、前記案内レール13を誘い込むように傾斜した傾斜面16A、17Aをそれぞれ形成しており、さらに、前記案内レール13の後端部には下向きの傾斜面13Aを形成しているから、トレイ2がディスク着脱位置からディスク再生位置へと移動する際においては、前記トレイ2の案内レール13の後端縁が傾斜面13A、16A、17Aによって円滑に案内され、ガイドリブ16と傾動緩和リブ17へと確実に誘い込まれ、最終的に前記トレイ2はフレーム10の内側に収まるディスク再生位置への移動が完了する。そして、ディスク再生位置にあるトレイ2は前後及び中間部がガイドリブ16と傾動緩和リブ17で支持される。また、トレイ2の案内レール13がガイドリブ16と傾動緩和リブ17と接触している状態においては、傾斜面16A、17Aによって案内レール13とガイドリブ16及び傾動緩和リブ17との接触面積も小さいから、案内レール13とガイドリブ16及び傾動緩和リブ17との接触時に擦れて異音や磨耗粉などが発生することも抑制することができる。
【0036】
以上のように、本実施例におけるディスク装置1は、トレイ2を前進又は後退させる際、案内レール13の上面にフレーム10の側壁部10Bに一体形成する複数のガイドリブ16と傾動緩和リブ17を接触させることによって、トレイ2の浮き上がりを抑制することができるとともに、トレイ2の移動時において、フレーム10から突出するトレイ2の一部と前記フレーム10内のトレイ2の他部との間に前記トレイの重心がある位置、すなわち、トレイ2の重心Sがフレーム10の前壁部10Cまで達した位置において、トレイ2の案内レール13の後端部上面に傾動緩和リブ17が接触することから、フレーム10から突出するトレイ2の自重によって前記トレイ2が急激に傾くことなく、品位の向上が可能な安定したトレイ2の移動動作を実現することができる。また、案内レール13と接触するガイドリブ16と傾動緩和リブ17の下面にそれぞれ傾斜面16A、17Aを形成するとともに、案内レール13の後端部にも下向き傾斜面13Aを形成することにより、案内レール13がガイドリブ16及び傾動緩和リブ17に円滑に案内され、案内レール13を確実に誘い込むことができる。さらに、傾斜面16A、17Aによって案内レール13とガイドリブ16及び傾動緩和リブ17との接触面積を小さく抑えることができ、案内レール13とガイドリブ16及び傾動緩和リブ17との接触時において異音や磨耗粉などの発生も抑制することができる。
【0037】
また、トレイ2がフレーム10から最も突出したディスク着脱位置においては、トレイ2の凹部2A又は凹部2Bにディスクをセットしたり、凹部2A又は凹部2Bからディスクを抜き取ることから、ユーザーがトレイ2に触れて前記トレイ2が上側または下側に傾斜する危険性が最も高いが、ディスク着脱位置にあるトレイ2の後端寄りをフレーム10の前端側に形成する二つのガイドリブ16で支持することによって、トレイ2を極めて安定した状態で保持できる。また、トレイ2の搬送時における急激な傾きを抑える傾動緩和リブ17は、移動時におけるフレーム10の浮き上がりを押えるガイドリブとして機能するからフレーム10の成形加工も容易である。
【0038】
以上、本発明の一実施例を詳述したが、本発明は前記実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、案内レール13を誘い込むためのガイドリブ16及び傾動緩和リブ17や案内レール13の後端部に平坦的な傾斜面13A、16A、17Aを形成した例を示したが、曲面状に形成してもよく、ガイドリブ16や傾動緩和リブ17の形状あるいは数などは適宜選定すればよい。また、ディスク装置1の基本的構造なども前記実施例に限定されるものでなく、適宜選定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例を示すディスク装置の斜視図である。
【図2】同上、フレーム単体を示す斜視図である。
【図3】同上、フレーム単体を示す平面図である。
【図4】同上、フレーム単体を示す断面図である。
【図5】同上、トレイ単体を示す斜視図である。
【図6】同上、トレイ単体を示し、図6(a)は平面図、図6(b)は背面図である。
【図7】同上、蓋体を取り外した状態を示すディスク装置の斜視図である。
【図8】同上、ディスク再生位置における蓋体を取り外した状態のディスク装置の平面図である。
【図9】同上、トレイの移動状態を示す蓋体を取り外したディスク装置の平面図である。
【図10】同上、ディスク着脱位置における蓋体を取り外した状態のディスク装置の平面図である。
【図11】同上、トレイの移動状態を示す断面図であり、図11(a)はディスク再生位置、図11(b)トレイ後端部と傾動緩和リブとが接触した状態、図11(c)はディスク着脱位置を示している。
【符号の説明】
【0040】
1 ディスク装置
2 トレイ
10 フレーム
10A 水平面部
10B 側壁部
12 凹溝
13 案内レール(案内手段)
14 係合突部(案内手段)
15 段差部
16 ガイドリブ
16A,17A,13A 傾斜面
17 傾動緩和リブ(傾動緩和手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状の記憶媒体を載置するトレイと、このトレイを支持するフレームと、前記トレイをディスク着脱位置とディスク再生位置との間で往復動自在に案内する案内手段とを備えたディスク装置であって、前記フレームに、該フレームから前記トレイが搬出移動するときに生じる該トレイの急激な傾きを抑える傾動緩和手段を設けたことを特徴とするトレイを備えたディスク装置。
【請求項2】
前記フレームは、前記トレイを案内する水平面部と、この水平面部の左右両側に一体形成する側壁部とを有し、前記案内手段は、前記トレイの両側縁下面に形成された案内レールと、前記水平面部から突設して前記案内レールの凹溝と係合する係合突部とで構成されるとともに、前記フレームの側壁部内側には前記案内レールの上面と当接して前記トレイの浮き上がりを抑える複数のガイドリブを一体形成したことを特徴とする請求項1記載のトレイを備えたディスク装置。
【請求項3】
前記傾動緩和手段は、少なくとも前記フレームから突出するトレイの一部と前記フレーム内のトレイの他部との間に前記トレイの重心が位置するときにおいて前記トレイの後部上面と当接するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のトレイを備えたディスク装置。
【請求項4】
前記傾動緩和手段が前記ガイドリブの間に位置して前記側壁部の内面に一体形成された傾動緩和リブによって構成されていることを特徴とする請求項3記載のトレイを備えたディスク装置。
【請求項5】
少なくとも前記トレイと接触する前記傾動緩和リブの下面には、ディスク着脱位置からディスク再生位置へと向かうトレイ受け入れ側端部から該トレイの挿入方向に向かって次第に低い傾斜面又は曲面で構成されていることを特徴とする請求項4記載のトレイを備えたディスク装置。
【請求項6】
案内レールの後端部に下向きの傾斜面又は曲面を形成したことを特徴とする請求項5記載のトレイを備えたディスク装置。
【請求項1】
ディスク状の記憶媒体を載置するトレイと、このトレイを支持するフレームと、前記トレイをディスク着脱位置とディスク再生位置との間で往復動自在に案内する案内手段とを備えたディスク装置であって、前記フレームに、該フレームから前記トレイが搬出移動するときに生じる該トレイの急激な傾きを抑える傾動緩和手段を設けたことを特徴とするトレイを備えたディスク装置。
【請求項2】
前記フレームは、前記トレイを案内する水平面部と、この水平面部の左右両側に一体形成する側壁部とを有し、前記案内手段は、前記トレイの両側縁下面に形成された案内レールと、前記水平面部から突設して前記案内レールの凹溝と係合する係合突部とで構成されるとともに、前記フレームの側壁部内側には前記案内レールの上面と当接して前記トレイの浮き上がりを抑える複数のガイドリブを一体形成したことを特徴とする請求項1記載のトレイを備えたディスク装置。
【請求項3】
前記傾動緩和手段は、少なくとも前記フレームから突出するトレイの一部と前記フレーム内のトレイの他部との間に前記トレイの重心が位置するときにおいて前記トレイの後部上面と当接するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のトレイを備えたディスク装置。
【請求項4】
前記傾動緩和手段が前記ガイドリブの間に位置して前記側壁部の内面に一体形成された傾動緩和リブによって構成されていることを特徴とする請求項3記載のトレイを備えたディスク装置。
【請求項5】
少なくとも前記トレイと接触する前記傾動緩和リブの下面には、ディスク着脱位置からディスク再生位置へと向かうトレイ受け入れ側端部から該トレイの挿入方向に向かって次第に低い傾斜面又は曲面で構成されていることを特徴とする請求項4記載のトレイを備えたディスク装置。
【請求項6】
案内レールの後端部に下向きの傾斜面又は曲面を形成したことを特徴とする請求項5記載のトレイを備えたディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−200507(P2007−200507A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20787(P2006−20787)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(390001959)オリオン電機株式会社 (427)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(390001959)オリオン電機株式会社 (427)
【Fターム(参考)】
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