説明

トレイ装置

【課題】第2のトレイの上昇時におけるトレイ部の紙葉類支持面積を拡大できるようにする。
【解決手段】紙葉類Pを載置して移動する第1のトレイ21と、この移動してくる第1のトレイ21と入れ子状をなしたのち、上方へ移動することにより第1のトレイ21上の紙葉類Pを受け取る第2のトレイ40とを具備するトレイ装置において、第2のトレイ40が上方へ移動して紙葉類Pを受け取ったのち、第2のトレイ40を回動させる回動手段を備え、第2のトレイ40は回動手段によって回動されることにより、第1のトレイ21との入れ子時における幅寸法よりも大きな幅寸法になるような形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、紙葉類をその種類に応じて区分集積する紙葉類処理装置の紙葉類取出部に適用されるトレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類処理装置には取出ロータの回転により紙葉類を一枚ずつ取り出す取出部を有し、この取り出された紙葉類を情報処理部に搬送して情報処理し、この情報処理に基づいて紙葉類を集積部に区分集積するものがある。
【0003】
取出部には紙葉類を取出ロータに供給するためのトレイ装置が設けられている。このトレイ装置は紙葉類を積載して移動する第1のトレイと、この第1のトレイの移動によって移送されてくる積層紙葉類を受渡位置で受け取って取出ロータへと上昇させる第2のトレイとを有している。
【0004】
第1のトレイはその上面部に複数の凹部を有している。複数の凹部は第1のトレイの移動方向に沿い、かつ所定間隔を存して平行に形成されている。第2のトレイは上記した受渡位置で第1のトレイの複数の凹部に挿入されて入れ子状をなす複数のトレイ部を有している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−110207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来においては、第2のトレイのトレイ部の幅寸法を第1のトレイの凹部の幅寸法よりも大きくすることができず、紙葉類を支持するための支持面積を十分に得ることができなかった。このため、第2のトレイの上昇時に紙葉類が脱落してしまう恐れがあった。
【0006】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、第2のトレイのトレイ部の幅寸法を第1のトレイの凹部の幅寸法よりも大きくできるようにしたトレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1記載のものは、紙葉類を載置して移動する第1のトレイと、この移動してくる第1のトレイと入れ子状をなしたのち、上方へ移動することにより前記第1のトレイ上の紙葉類を受け取る第2のトレイとを具備するトレイ装置において、前記第2のトレイが上方へ移動して前記紙葉類を受け取ったのち、前記第2のトレイを回動させる回動手段を備え、前記第2のトレイは前記回動手段によって回動されることにより、前記第1のトレイとの入れ子時における幅寸法よりも大きな幅寸法になるような形状を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第2のトレイの上昇時におけるトレイ部の紙葉類支持面積を拡大でき、紙葉類の脱落を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は紙葉類処理装置を示す概略的構成図である。
【0011】
この紙葉類処理装置は取出部1、搬送部2、処理部3、第1の振分ゲート4、第1及び第2の集積ユニット5a,5b、及び排除用集積ユニット6から構成される。
【0012】
取出部1では取出ロータ8の回転により積層状態で載置された紙葉類Pを上方のものから順次、1枚ずつ取り出して搬送部2へ受け渡す。搬送部2では取出部1から受け渡された紙葉類Pを搬送ベルト10a,10bの間に挟み、一定の速度で搬送する。
【0013】
処理部3では紙葉類Pに対し様々な処理を施す。
【0014】
第1の振分ゲート4では処理部3からの情報に基づき紙葉類Pを第1或いは第2の分岐搬送路9,11に振り分ける。第1の分岐搬送路9には第1及び第2の集積ユニット5a,5bが接続され、第2の分岐搬送路11には排除用集積ユニット6が接続されている。
【0015】
第1及び第2の集積ユニット5a,5bは搬送されてきた紙葉類を受け止めて停止させ、再び束状に積層する。排除用集積ユニット6は第1及び第2の集積ユニット5a,5bと同様に、搬送されてきた紙葉類を受け止めて停止させ、再び束状に積層する。
【0016】
第1の分岐搬送路9には、搬送される紙葉類の通過枚数をカウントする光学式センサ15が設けられているとともに、光学式センサ15を通過した紙葉類を第1及び第2の集積ユニット5a,5bに振り分ける第2の振分ゲート12が設けられている。第2の振分ゲート12は光学式センサ15が紙葉類を100枚検知する毎に動作されて紙葉類を第1或いは第2の集積ユニット5a,5bの方向へ振り分ける。
【0017】
上記した構成において、取出部1から取り出された紙葉類Pは搬送部2により処理部3に搬送されて情報処理される。この情報処理に基づいて第1の振分ゲート4が動作して紙葉類は第1或いは第2の分岐搬送路9,11に振り分けられる。
【0018】
第1の分岐搬送路9に振り分けられた紙葉類は第2の振分ゲート12を介して第1の集積ユニット5aへ送られて集積され、第2の分岐搬送路11に振り分けられた紙葉類は排除用集積ユニット6に集積される。第1の集積ユニット5a内に紙葉類が100枚集積されたのちは、第2の振分ゲート12が切り換えられて紙葉類は第2の集積ユニット5bへ送られて集積される。第1および第2の集積ユニット5a,5bに集積された紙葉類は再び束状に積層され、排除用集積ユニット6に集積された紙葉類も同様に、束状に積層される。
【0019】
図2は上記した取出部1に設けられる第1のトレイ21を示す斜視図で、図3は同じく取出部1に設けられる第2のトレイ40を示す斜視図である。
【0020】
第1のトレイ21は所定枚数、例えば、1000枚積層された状態で投入される積層紙葉類を積載して移動することにより第2のトレイ40に受け渡すもので、第2のトレイ40は受け取った積層紙葉類を上記した取出部1の取出ロータ8に向かって上昇させるものである。
【0021】
上記第1のトレイ21は図2に示すように、積層紙葉類を積載するトレイ部22を備えている。トレイ部22はレール23上にスライド自在に取り付けられている。トレイ部22には連結具24を介して駆動ベルト25が連結されている。駆動ベルト25は駆動プーリ27と従動プーリ28との間に掛け渡されている。駆動プーリ27はステッピングモータ31に接続され、ステッピングモータ31により正逆回転される。
【0022】
駆動ベルト25は駆動プーリ27の正逆回転により正逆方向に走行され、これにより、トレイ部22がホーム位置Hとワーク位置Wとの間で往復移動するようになっている。ホーム位置Hとワーク位置Wにはトレイ部22を検知するホーム位置検知センサ35、ワーク位置検知センサ36が配設されている。トレイ部22がホーム位置検知センサ35、或いはワーク位置検知センサ36で検知されるとその移動が停止されて位置決めされるようになっている。
【0023】
上記トレイ部22の上面部には図4に示すように、中央凹部22a、両側凹部22b,22cがトレイ部22の移動方向に沿い、かつ、所定間隔を存して平行に形成されている。
【0024】
一方、上記した第2のトレイ40は図3に示すように中央トレイ部41と、両側トレイ部42,43とによって構成されている。中央トレイ部41と、両側トレイ部42,43とは所定間隔を存して平行に配置されている。
【0025】
両側トレイ部42,43は断面L字状に折曲形成され、第1及び第2の支持面42a,42b、43a,43bを有している。第2の支持面43a,43bの幅寸法は第1の支持面42a,42bの幅寸法よりも小とされている。
【0026】
両側トレイ部42,43の基端部は回動ブラケット45に取り付けられ、回動ブラケット45のシャフト45aには動力伝達機構47を介してステッピングモータ48が接続されている。動力伝達機構47はステッピングモータ48の駆動プーリ50と従動プーリとの間にに掛け渡される駆動ベルト51と、この駆動ベルト51の走行によって回転され、回動ブラケット45のシャフト45aに接続される複数のギヤ列52とによって構成されている。
【0027】
回動ブラケット45のシャフト45aには被検出体54が取り付けられ、この被検出体54が検知センサ55によって検知されることにより、両側トレイ部42,43の回動量が制御されるようになっている。
【0028】
この第2のトレイ40は昇降機構56によって上下方向に昇降されるようになっている。
【0029】
上記した第1のトレイ21がワーク位置Wである紙葉類の受渡位置に移動されると、図5に示すように第2のトレイ40と入れ子状態になる。即ち、第1のトレイ21のトレイ部22の中央凹部22a内に第2のトレイ40の中央トレイ部41が挿入され、両側凹部22b,22c内に第2のトレイ40の両側トレイ部42,43がそれぞれ挿入されるようになっている。
【0030】
次に、取出部1の取出ロータ8への紙葉類の供給動作について説明する。
【0031】
まず、図6に示すように、ホーム位置Hに位置する第1のトレイ21のトレイ部22上に紙葉類を例えば1000枚積載する。ついで、ステッピングモータ31を駆動させて駆動ベルト25を走行させて第1のトレイ21を前進させる。この前進によりワーク位置Wに到達すると、トレイ部22がワーク位置検知センサ36によって検知されて停止される。このときには、図7に示すようにトレイ部22の中央凹部22a内に第2のトレイ40の中央トレイ部41が挿入され、両側凹部22b,22c内に第2のトレイ40の両側トレイ部42,43がそれぞれ挿入される。即ち、第1のトレイ21と第2のトレイ40とは入れ子状態になる。
【0032】
この状態から図8に示すように、第2のトレイ40が所定距離上昇されてその中央トレイ部41、両側トレイ部42,43が第1のトレイ21から上方へ離脱される。これにより、紙葉類Pが第1のトレイ21から第2のトレイ40上に受け渡される。この紙葉類Pの受け渡し後、図9に示すように両側トレイ部42,43が矢印で示す方向に90度回動される。この回動により、両側トレイ部42,43の支持幅の大きな第2の支持面42b,42cが上向きになり、この第2の支持面42b,42cによって紙葉類Pが支持される。この紙葉類Pはさらに上昇されてその最上位の紙葉類が取出ロータ8に接触され、取出ロータ8の回転により一枚づつ取り出されることになる。
【0033】
上記したように、第2のトレイ40を上昇させて第1のトレイ21から離脱させたのち、その両側トレイ部42,43を回動させて支持幅の大きな第2の支持面42b,43bを上向きにして紙葉類Pを支持するため、紙葉類の支持面積を増大させることができる。
【0034】
従って、紙葉類の上方への移送時における安定性を向上でき、紙葉類の脱落を確実に防止できる。
【0035】
なお、上記した第2のトレイ40の材質は、金属でも、非金属でもよく、また、両側トレイ部42,43の回動量は、その第2の支持面42b,43bが水平になるように90度回動させることなく、紙葉類の幅寸法に応じて回動量を可変するようにしても良い。
【0036】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施の形態である紙葉類処理装置を示す概略的構成図。
【図2】図1の紙葉類処理装置の紙葉類の取出部に設けられる第1のトレイを示す斜視図。
【図3】図1の紙葉類処理装置の紙葉類の取出部に設けられる第2のトレイを示す斜視図。
【図4】図2の第1のトレイのトレイ部の構造を拡大して示す斜視図。
【図5】図2の第1のトレイと図3の第2のトレイとの入れ子状態を示す図。
【図6】図2の第1のトレイにホーム位置で紙葉類が積載されてワーク位置へ移送される状態を示す斜視図。
【図7】図6の第1のトレイがワーク位置に移動されて第2のトレイと入れ子になった状態を示す図。
【図8】図7の第2のトレイが上方へ移動されて第1のトレイから離脱した状態を示す図。
【図9】図8の第2のトレイの両側トレイ部が回動されてその紙葉類の支持面積を拡大させた状態を示す図。
【符号の説明】
【0038】
P…紙葉類、21…第1のトレイ、22a〜22c…凹部、22…トレイ部、40…第2のトレイ、42a,43a…第1の支持面、42b,43b…第2の支持面、47…動力伝達手段(回動手段)、48…スピンドルモータ(回動手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を載置して移動する第1のトレイと、
この移動してくる第1のトレイと入れ子状をなしたのち、上方へ移動することにより前記第1のトレイ上の紙葉類を受け取る第2のトレイと
を具備するトレイ装置において、
前記第2のトレイが上方へ移動して前記紙葉類を受け取ったのち、前記第2のトレイを回動させる回動手段を備え、
前記第2のトレイは前記回動手段によって回動されることにより、前記第1のトレイとの入れ子時における幅寸法よりも大きな幅寸法になるような形状を有することを特徴とするトレイ装置。
【請求項2】
前記回動手段は前記紙葉類の幅寸法に応じて前記第2のトレイの回動量を可変することを特徴とする請求項1記載のトレイ装置。
【請求項3】
前記第1のトレイはその移動方向に沿う凹部を所定間隔を存して複数平行に有し、前記第2のトレイは前記凹部に沿って挿入される複数のトレイ部を有し、前記複数のトレイ部が前記凹部から上方へ移動されたのち回動されることを特徴とする請求項1記載のトレイ装置。
【請求項4】
前記複数のトレイ部は断面L字状に折曲形成され、前記紙葉類を支持する第1の支持面と、この第1の支持面よりも幅寸法を大とする第2の支持面を有することを特徴とする請求項3記載のトレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−76880(P2007−76880A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−269986(P2005−269986)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】