説明

トレース情報取得システム、およびトレース情報取得方法

【課題】インフラを共有しないフィールドにおいても、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができるトレース情報取得システムを提供する。
【解決手段】トレース情報取得システムは、製品の生産工程における消費電力に関するイベントデータ11を記録する記録手段と、記録手段により記録されたイベントデータ11から製品の生産工程における消費電力に関するトレース情報を取得する取得手段とを備える。ここで、イベントデータ11は、消費電力を計測する計測器の情報である計測器データ12a、消費電力を計測する人に関する人データ12b、消費電力を計測する時間に関する時点データ12c、消費電力を計測する場所に関する位置データ12d、および消費電力を計測する際の状態に関する状態データ12eを含み、複数の段階において、共通のデータ形式を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トレース情報取得システム、およびトレース情報取得方法に関するものであり、特に、複数の段階を経て生産される製品に関するトレース情報を取得するトレース情報取得システム、およびトレース情報取得方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、製品の品質維持や品質向上等の観点から、複数の段階を経て製造される製品の製造工程を追跡可能とするトレーサビリティシステムの構築、すなわち、製品に対するトレース情報の取得システムの構築が求められている。製品のトレーサビリティに関する技術は、例えば、特開2007−249326号公報(特許文献1)、および特開2005−346280号公報(特許文献2)に開示されている。
【0003】
特許文献1によると、隣接する複数の工程間において、各工程間の連携を関連付ける情報を記録し、記録された工程間関連情報を用いることにより、隣接する工程間に跨るトレース情報を取得することとしている。また、特許文献2によると、一連のプロセスからなるプロセスチェーンにおいて、製品のトレース情報の記録先を示すポインタを記録し、記録されたポインタを用いて、製品のトレース情報を取得することとしている。
【特許文献1】特開2007−249326号公報
【特許文献2】特開2005−346280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1および特許文献2に示すトレーサビリティについては、工程間の連係に関する情報や記録先を示すトレース情報ポインタを記録することが必要である。すなわち、記録された工程間の連係情報等を用いなければ、製品に関するトレース情報、例えば、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を得ることができない。そうすると、例えば、異なるサプライチェーンや、サプライチェーンを跨った範囲等、インフラを共有しない環境下におけるフィールドでは、工程間の連係情報等が記録されていない場合もあり、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を得ることができない。すなわち、インフラを共有しないフィールドにおいては、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができない。
【0005】
この発明の目的は、インフラを共有しないフィールドにおいても、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができるトレース情報取得システムを提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、インフラを共有しないフィールドにおいても、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができるトレース情報取得方法を提供することである。
【0007】
この発明のさらに他の目的は、インフラを共有しないフィールドにおいても、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができるトレース情報取得装置を提供することである。
【0008】
この発明のさらに他の目的は、インフラを共有しないフィールドにおいても、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができるトレース情報取得プログラムを提供することである。
【0009】
この発明のさらに他の目的は、インフラを共有しないフィールドにおいても、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができるトレース情報取得プログラムを記録した記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るトレース情報取得システムは、複数の段階を経て生産される製品に関するトレース情報を取得するトレース情報取得システムであって、製品の生産工程におけるエネルギーに関するイベントデータを記録する記録手段と、記録手段により記録されたイベントデータから製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得する取得手段とを備える。ここで、イベントデータは、複数の段階において、共通のデータ形式を有する。
【0011】
このように、製品の生産工程におけるエネルギーに関するイベントデータが、複数の段階において共通のデータ形式を有するため、記録されたイベントデータを基に、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができる。そうすると、インフラとは無関係に複数の段階を経て生産される製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができ、例えば、複数の段階を経て生産される製品において、複数の段階を関連付けるデータを記録することなく、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができる。したがって、インフラを共有しないフィールドにおいても、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができる。
【0012】
好ましくは、イベントデータは、エネルギーを計測する計測器の情報である計測器データ、エネルギーを計測する人に関する人データ、エネルギーを計測する時間に関する時点データ、エネルギーを計測する場所に関する位置データ、およびエネルギーを計測する際の状態に関する状態データを含む。
【0013】
さらに好ましくは、取得手段は、記録手段により記録された複数のイベントデータの中から、互いに関連付けられた複数のイベントデータを抽出する抽出手段を含む。
【0014】
また、抽出手段は、抽出手段は、複数のイベントデータのうち、位置データが同じもの同士を、互いに関連付けられたイベントデータとして抽出してもよい。
【0015】
さらに好ましい一実施形態として、記録手段は、RFID(Radio Frequency Identification)タグを用いてイベントデータを記録する。
【0016】
この発明の他の局面において、トレース情報取得方法は、複数の段階を経て生産される製品に関するトレース情報を取得するトレース情報取得方法であって、複数の段階において共通のデータ形式を有し、製品の生産工程におけるエネルギーに関するイベントデータを記録する記録ステップと、記録ステップにより記録されたイベントデータから製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得する取得ステップとを備える。
【0017】
この発明のさらに他の局面において、トレース情報取得装置は、複数の段階を経て生産される製品に関するトレース情報を取得するトレース情報取得装置であって、複数の段階において共通のデータ形式を有し、製品の生産工程におけるエネルギーに関するイベントデータを記録する記録部と、記録部により記録されたイベントデータから製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得する取得部とを備える。
【0018】
この発明のさらに他の局面において、トレース情報取得プログラムは、コンピュータを、複数の段階を経て生産される製品に関するトレース情報を取得するために、複数の段階において共通のデータ形式を有し、製品の生産工程におけるエネルギーに関するイベントデータを記録する記録手段、および記録手段により記録されたイベントデータから製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得する取得手段として機能させるためのトレース情報取得プログラムである。
【0019】
この発明のさらに他の局面において、記録媒体は、上記したトレース情報取得プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0020】
このようなトレース情報取得システムによると、製品の生産工程におけるエネルギーに関するイベントデータが、複数の段階において共通のデータ形式を有するため、記録されたイベントデータを基に、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができる。そうすると、インフラとは無関係に複数の段階を経て生産される製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができ、例えば、複数の段階を経て生産される製品において、複数の段階を関連付けるデータを記録することなく、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができる。したがって、インフラを共有しないフィールドにおいても、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができる。
【0021】
また、このようなトレース情報取得方法、トレース情報取得装置、トレース情報取得プログラムおよび記録媒体についても、製品の生産工程におけるエネルギーに関するイベントデータが、複数の段階において共通のデータ形式を有するため、記録されたイベントデータを基に、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができる。そうすると、インフラとは無関係に複数の段階を経て生産される製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができ、例えば、複数の段階を経て生産される製品において、複数の段階を関連付けるデータを記録することなく、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができる。したがって、インフラを共有しないフィールドにおいても、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、この発明の一実施形態に係るトレース情報取得システムで用いられるイベントデータについて説明する。図1は、イベントデータのデータ形式を示す概念図である。図1を参照して、イベントデータ11は、複数の段階を経て生産される製品において、製品の生産工程におけるエネルギーとしての消費電力をモニタリングした消費電力モニタリングイベントに関するデータであって、製品を生産する際の複数の段階において、共通のデータ形式を有する。イベントデータ11は、センシング対象である製品の消費電力モニタリングイベントに関する計測器の情報である計測器データ12a、消費電力モニタリングイベントに関する人の情報である人データ12b、消費電力モニタリングイベントに関する時間の情報である時点データ12c、消費電力モニタリングイベントに関する場所の情報である位置データ12d、および消費電力モニタリングイベントに関する状態の情報である状態データ12eを含む。計測器データ12a、人データ12b、時点データ12c、および位置データ12dはそれぞれ、状態データ12eによって繋がっている概念である。
【0023】
ここで、製品の生産工程における消費電力に関するイベントデータ、すなわち、製品の生産工程における消費電力をモニタリングした消費電力モニタリングイベントに関するイベントデータは、製品の生産工程に関するイベントデータと対応付けてもよい。すなわち、センシング対象である製品に関する製品(モノ)データ15a、人に関する人データ15b、時間に関する時点データ15c、位置(場所)に関する位置データ15d、および状態に関する状態データ15eを含む製品の生産工程イベントデータ16を、計測器データ12a、人データ12b、時点データ12c、位置データ12d、および状態データ12eを含むイベントデータ11と対応させるようにする。具体的には、作業者としての人データ15bと記録者である人データ12b、装置としての位置データ15dと装置としての位置データ12d、時間としての時点データ15cと時間としての時点データ12cとが一致すれば、製品の生産工程における製品データ15aと製品の生産工程における計測器データ12aとを関連付けることができる。こうすることにより、その製品の生産工程において同一人により同じ場所で同じ時間を共有するイベントデータを用いて、製品の生産工程における消費電力に関するトレース情報を抽出することができる。
【0024】
図2は、この発明の一実施形態に係るトレース情報取得システムのハードウェア構成を示すシステム構成図である。図1および図2を参照して、トレース情報取得システム21は、イベントデータや、複数のイベントデータを記録したイベントデータマスタ等、種々のデータを記録可能であるサーバ22と、既存システムを構築し、生産管理系データや工程マスタ、BOM(Build Of Material)マスタを記録したサーバ23と、イベントデータ等のデータを入力させるコンピュータ24a、24b、24c、24dと、イベントデータをそのまま入力可能なセンサーデバイス25aと、コンピュータ24cを介してイベントデータを入力可能なセンサーデバイス25bと、サーバ22、23、コンピュータ24a〜24dを接続する接続線26とを備える。サーバ22は、製品の生産工程における消費電力に関するイベントデータを記録する記録手段と、記録手段により記録されたイベントデータから製品の生産工程における消費電力に関するトレース情報を取得する取得手段とを備える。ここで、コンピュータ24cは、センサーデバイス25bに対して、デバイス設定インターフェースとして機能する。また、トレース情報取得システム21は、製品と離隔した状態でイベントデータを入出力可能なRFIDタグシステム27を含む。RFIDタグシステム27は、コンピュータ24d側に設けられたリーダライタ28aと、リーダライタ28aによりデータの読書き、すなわち、データの入出力が可能であり、製品29に取り付けられたRFIDタグ28bとを備える。ここで、コンピュータ24dは、RFIDタグシステム27に対して、外部記録データインターフェースとして機能する。
【0025】
なお、サーバ22とサーバ23は1台のサーバで実現しても構わない。また、接続線26は、有線によるものに限定されず、一部または全部を無線で実現しても構わない。また、コンピュータ24a〜24dは4台に限定されず、最低1台以上あればよく、何台でも構わない。また、センサーデバイス25a、25b、およびRFIDタグシステム27は、含まなくともよいし、それぞれを2台以上含んでいてもよい。
【0026】
ここで、製品の生産工程における消費電力に関するイベントデータを記録する方法について説明する。図3は、イベントデータを記録する場合の動作の流れを示すフローチャートである。図4は、この発明の一実施形態に係るトレース情報取得システムのブロック図である。図1〜図4を参照して、まず、デバイス機器によるイベントセンシングタイプのイベントデータの記録方法について説明する。なお、イベントセンシングタイプのイベントデータの記録方法とは、例えば、図2に示すシステム構成図のセンサーデバイス25aやセンサーデバイス25bのようなセンサーデバイスにより直接イベントデータを取得して記録する方法を指す。
【0027】
まず、コンピュータ24cのデバイス設定インターフェースにおいて、センサーデバイス(デバイス機器)25bから、データを読取る(図3において、ステップS11、以下、ステップを省略する)。次に、コンピュータ24cにおけるインターフェースロジックによって、上記した構成のイベントデータを作成する(S12)。その後、サーバ22に記録されているイベントデータマスタのデータベースを更新する(S13)。ここでは、テーブルマスタ、状態マスタ、位置マスタ、計測器マスタ、および人マスタから構成されるイベントデータマスタの更新を行なう。すなわち、各マスタに、新たなイベントデータを記録する。
【0028】
ここで、イベントデータマスタは、各イベントデータのデータと内容を対応付けるためのマスタである。例えば、人データであれば、データ自体は数字やアルファベット等の単純な記号で記録されている。この記号と、実際の作業者の氏名や所属等の情報の対応付けが記録されているマスタがイベントデータマスタ内の人マスタである。状態マスタ、位置マスタ、計測器マスタについても同様である。また、テーブルマスタは、種々のデータベースに対応するマスタである。なお、時点データについては、それ自体が年月日、日時のデータであり、別の情報と対応付けは不要なので、マスタは存在しない。
【0029】
次に、既存システムによるデータトランスファタイプのイベントデータの記録方法について説明する。なお、データトランスファタイプのイベントデータの記録方法とは、例えば、図2に示すシステム構成図のサーバ23のような既存システムの記録装置に記録されたデータを読取り、イベントデータへ変換して記録する方法、およびシステム構成図に示すRFIDタグ28bのような外部記録媒体に記録されたデータを読取り、イベントデータへ変換して記録する方法を指す。
【0030】
まず、サーバ22において、既存システムを構築する生産管理系のサーバ23から、データを読取る(S21)。次に、サーバ22の既存システムインターフェースにおけるインターフェースロジックによって、イベントデータを作成する(S22)。次に、サーバ22に記録されているイベントデータマスタのデータベースを更新する(S23)。
【0031】
次に、外部記録データによるデータトランスファタイプのイベントデータの記録方法について説明する。コンピュータ24dにおいて、RFIDタグシステム27により、データを読取る(S31)。具体的には、製品29に取り付けられたRFIDタグ28bから、リーダライタ28aにより外部システム記録データを読取り、コンピュータ24dに入力する。次に、コンピュータ24dの外部記録データインターフェースにおけるインターフェースロジックによって、イベントデータを作成する(S32)。次に、サーバ22に記録されているイベントデータマスタのデータベースを更新する(S33)。
【0032】
上記のようにして、種々のデータ、具体的には、デバイス機器によるイベントセンシングタイプのデータ、既存システムによるデータトランスファタイプのデータ、および外部記録データによるデータトランスファタイプのデータのイベントデータを生成し、データベースの更新を行なう。
【0033】
次に、イベントデータを用いて、製品の生産工程における消費電力に関するトレース情報を取得する方法について説明する。図4は、製品の生産工程における消費電力に関するトレース情報を取得する場合の処理の流れを示すフローチャートである。図1〜図4を参照して、トレーシングエージェントとしてトレース情報を取得する対象となる製品の情報がサーバ22に入力される(S41)。この場合、製品イベントデータを抽出することにより入力してもよい。次に、複数の段階を経て製造される製品の生産工程における消費電力に関するイベントデータを抽出する(S42)。具体的には、図3に示すように、製品の生産工程における消費電力をモニタリングした消費電力モニタリングイベントに関するイベントデータを、消費電力計測器を基に形成された消費電力計測一次データベースを格納したゲートウェイサーバから抽出する。ここで、サーバ22に含まれる取得手段は、記録手段により記録された複数のイベントデータの中から、互いに関連付けられた複数のイベントデータを抽出する抽出手段を含む。次に、イベントデータのうちの人データ、時点データおよび位置(場所)データを基に、同一人における同時発生、すなわち、同じ人データ、同じ時点データおよび同じ位置データを有する消費電力モニタリングイベントを抽出する。ここで、抽出手段は、複数のイベントデータのうち、位置データが同じもの同士を、互いに関連付けられたイベントデータとして抽出する。
【0034】
その後、抽出した消費電力モニタリングイベントに関するイベントデータを基に、消費電力を算出する(S43)。この場合、例えば、時間の遅い時点データを有するイベントデータのうちの計測器データから、時間の早い時点データを有するイベントデータのうちの計測器データを減ずることにより、消費電力が算出される。
【0035】
このようにして、イベントデータにより、製品の生産工程におけるエネルギーのトレース情報、ここでは、消費電力に関するトレース情報を取得する(S44)。
【0036】
このようなトレース情報取得システムによると、製品の生産工程における消費電力に関するイベントデータが、複数の段階において共通のデータ形式を有するため、記録されたイベントデータを基に、製品の生産工程における消費電力に関するトレース情報を取得することができる。そうすると、インフラとは無関係に複数の段階を経て生産される製品の生産工程における消費電力に関するトレース情報を取得することができ、例えば、複数の段階を経て生産される製品において、複数の段階を関連付けるデータを記録することなく、製品の生産工程における消費電力に関するトレース情報を取得することができる。したがって、インフラを共有しないフィールドにおいても、製品の生産工程における消費電力に関するトレース情報を取得することができる。
【0037】
また、この発明に係るトレース情報取得方法は、複数の段階を経て生産される製品に関するトレース情報を取得するトレース情報取得方法であって、複数の段階において共通のデータ形式を有し、製品の生産工程におけるエネルギーに関するイベントデータを記録する記録ステップと、記録ステップにより記録されたイベントデータから製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得する取得ステップとを備える。
【0038】
また、この発明に係るトレース情報取得装置は、複数の段階を経て生産される製品に関するトレース情報を取得するトレース情報取得装置であって、複数の段階において共通のデータ形式を有し、製品の生産工程におけるエネルギーに関するイベントデータを記録する記録部と、記録部により記録されたイベントデータから製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得する取得部とを備える。ここで、トレース情報取得装置には、上記した図2におけるサーバ22が該当する。
【0039】
また、この発明に係るトレース情報取得プログラムは、コンピュータを、複数の段階を経て生産される製品に関するトレース情報を取得するために、複数の段階において共通のデータ形式を有し、製品の生産工程におけるエネルギーに関するイベントデータを記録する記録手段、および記録手段により記録されたイベントデータから製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得する取得手段として機能させるためのトレース情報取得プログラムである。
【0040】
また、この発明に係る記録媒体は、上記したトレース情報取得プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体である。
【0041】
ここで、この発明に係るトレース情報取得システムの一実施例について説明する。図5は、製品の実装作業を行なう場合のイベントデータの一例を示す図である。図5を参照して、電力計測器における電力計測作業については、電力計測において、トリガーを「タイマー」とする「着手時間」というイベント、およびトリガーを「タイマー」とする「完了時間」というイベントが発生する。これらにイベントに対し、図5に示すようなイベントデータが記録される。
【0042】
具体的には、トリガーを「タイマー」とする「着手時間」というイベントに対し、計測器データとしての「計測器5」、人データとしての「装置責任者A」、位置データとしての「実装機4」、時点データとしての「9:00」、状態データとしての「100KW」がイベントデータとして記録される。これは、すなわち、装置責任者Aが、時間9:00に、計測器5が100KWを計測している実装機4において、作業に着手した、ということを意味している。同様に、トリガーを「タイマー」とする「完了時間」というイベントに対し、計測器データとしての「計測器5」、人データとしての「装置責任者A」、位置データとしての「実装機4」、時点データとしての「9:45」、状態データとしての「200KW」がイベントデータとして記録される。これは、すなわち、装置責任者Aが、時間9:45に、計測器5が200KWを計測している実装機4において、作業を完了した、ということを意味している。
【0043】
また、製品の実装作業に関しては、トリガーを「作業着手」とする「実装機」イベント、およびトリガーを「作業完了」とする「実装機」イベントが発生する。そして、図5に示すように、トリガーを「作業着手」とする「実装機」というイベントに対し、モノデータとしての「製品オーダ1」、人データとしての「作業者D」、位置データとしての「実装機4」、時点データとしての「9:00」、状態データとしての「正常開始」がイベントデータとして記録される。これは、すなわち、作業者Dが、時間9:00に、実装機4において、製品オーダ1を正常にセットした、ということを意味している。同様に、トリガーを「作業完了」とする「実装機」というイベントに対し、モノデータとしての「製品オーダ1」、人データとしての「作業者D」、位置データとしての「実装機4」、時点データとしての「9:45」、状態データとしての「正常終了」がイベントデータとして記録される。これは、すなわち、作業者Cが、時間9:45に、実装機4において、製品オーダ1を正常に終了した、ということを意味している。
【0044】
ここで、トレース情報の取得により、図5中の実線矢印で示す製品の生産工程における消費電力に関するトレース情報の関連付けがなされる。すなわち、実装機4に関するイベントデータにおいて、位置データはすべて、「実装機4」である。そうすると、図5に示すように、「着手時間」というイベント、および「完了時間」というイベントの関連付けを直接記録しておかなくても、各イベントデータにより、製品の生産工程における消費電力に関するトレース情報の関連付けを行うことができる。この場合、製品の生産工程における消費電力に関するトレース情報として、200KWから100KWを減じた100KWが、着手開始から完了までに消費した電力となり、このトレース情報を取得することができる。
【0045】
さらに、製品の生産工程におけるイベントデータを用いて、関連付けを行なうことができる。すなわち、図5に示す場合においては、位置データとして「実装機4」が関連するため、これらと対応付けて、トレース情報を取得することができる。
【0046】
以上より、このようなトレース情報取得システムによると、インフラとは無関係に複数の段階を経て生産される製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができ、例えば、複数の段階を経て生産される製品において、複数の段階を関連付けるデータを記録することなく、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができる。したがって、インフラを共有しないフィールドにおいても、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができる。
【0047】
また、このようなトレース情報取得方法、トレース情報取得装置、トレース情報取得プログラムおよび記録媒体についても、インフラとは無関係に複数の段階を経て生産される製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができ、例えば、複数の段階を経て生産される製品において、複数の段階を関連付けるデータを記録することなく、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができる。したがって、インフラを共有しないフィールドにおいても、製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得することができる。
【0048】
なお、上記の実施の形態としては、エネルギーとして消費電力を用いて説明したが、これに限らず、エネルギーとして例えば、ガスや火力、水等を用いた場合についても、適用される。
【0049】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
この発明に係るトレース情報取得システム、トレース情報取得方法、トレース情報取得装置、トレース情報取得プログラムおよび記録媒体は、インフラを共有しない環境において、適切に、複数の段階を経て生産される製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得する必要がある場合に、有効に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】製品の生産工程における消費電力をモニタリングした消費電力モニタリングイベントに関するイベントデータを示す概念図である。
【図2】この発明の一実施形態に係るトレース情報取得システムのハードウェア構成を示すシステム構成図である。
【図3】イベントデータを記録する場合の動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】製品のトレース情報を取得する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】製品の実装作業を行なう場合のイベントデータの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
11,13 イベントデータ、12a 計測器データ、12b,14b 人データ、12c,14c 時点データ、12d,14d 位置データ、12e,14e 状態データ、14a 製品データ、21 トレース情報取得システム、22,23 サーバ、24a,24b,24c,24d コンピュータ、25a,25b センサーデバイス、26 接続線、27 RFIDタグシステム、28a リーダライタ、28b RFIDタグ、29 製品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の段階を経て生産される製品に関するトレース情報を取得するトレース情報取得システムであって、
製品の生産工程におけるエネルギーに関するイベントデータを記録する記録手段と、
前記記録手段により記録された前記イベントデータから製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得する取得手段とを備え、
前記イベントデータは、前記複数の段階において、共通のデータ形式を有する、トレース情報取得システム。
【請求項2】
前記イベントデータは、エネルギーを計測する計測器の情報である計測器データ、エネルギーを計測する人に関する人データ、エネルギーを計測する時間に関する時点データ、エネルギーを計測する場所に関する位置データ、およびエネルギーを計測する際の状態に関する状態データを含む、請求項1に記載のトレース情報取得システム。
【請求項3】
前記取得手段は、前記記録手段により記録された複数の前記イベントデータの中から、互いに関連付けられた複数の前記イベントデータを抽出する抽出手段を含む、請求項1または2に記載のトレース情報取得システム。
【請求項4】
前記抽出手段は、複数の前記イベントデータのうち、前記位置データが同じもの同士を、互いに関連付けられたイベントデータとして抽出する、請求項3に記載のトレース情報取得システム。
【請求項5】
前記記録手段は、RFIDタグを用いて前記イベントデータを記録する、請求項1〜4のいずれかに記載のトレース情報取得システム。
【請求項6】
複数の段階を経て生産される製品に関するトレース情報を取得するトレース情報取得方法であって、
前記複数の段階において共通のデータ形式を有し、製品の生産工程におけるエネルギーに関するイベントデータを記録する記録ステップと、
前記記録ステップにより記録された前記イベントデータから製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得する取得ステップとを備える、トレース情報取得方法。
【請求項7】
複数の段階を経て生産される製品に関するトレース情報を取得するトレース情報取得装置であって、
前記複数の段階において共通のデータ形式を有し、製品の生産工程におけるエネルギーに関するイベントデータを記録する記録部と、
前記記録部により記録された前記イベントデータから製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得する取得部とを備える、トレース情報取得装置。
【請求項8】
コンピュータを、
複数の段階を経て生産される製品に関するトレース情報を取得するために、前記複数の段階において共通のデータ形式を有し、製品の生産工程におけるエネルギーに関するイベントデータを記録する記録手段、
および前記記録手段により記録された前記イベントデータから製品の生産工程におけるエネルギーに関するトレース情報を取得する取得手段として機能させるためのトレース情報取得プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のトレース情報取得プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−92367(P2010−92367A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263123(P2008−263123)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】